JP7445353B1 - 電子顕微鏡等の観察において視認性を向上させる包埋固定用組成物、及びそれを用いた観察方法 - Google Patents

電子顕微鏡等の観察において視認性を向上させる包埋固定用組成物、及びそれを用いた観察方法 Download PDF

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Abstract

グラファイトや窒化ホウ素のような軽元素から構成される固体材料の微構造を、電子顕微鏡等の観察において明瞭に可視化して視認性を向上することができる包埋固定用組成物と、それを用いた電子顕微鏡等による観察方法とを提供する。ポリビニルアルコール等の水溶性高分子とリンタングステン酸等の水溶性重金属塩とを、水に溶解して液体組成物とする。これを固体材料に含浸させて固体化し、微構造を包埋固定して電子顕微鏡等で観察する。【選択図】図1

Description

本発明は、軽元素を主成分とする固体材料の微構造を、電子顕微鏡又はX線顕微鏡の観察下において明瞭に可視化して視認性を向上することができる包埋固定用組成物、それを備えたキット、その製造方法、並びにそれを用いた電子顕微鏡又はX線顕微鏡による観察方法に関する。
電子顕微鏡等による固体材料の形態観察において、試料が多孔質材料、粉体材料、繊維材料、強度が低く変形し易い材料等の場合には、樹脂包埋が行われている。固体材料を樹脂へ包埋することによって、その後の取り扱いが容易となる。樹脂包埋後に研磨等により内部構造を露出させることで、材料内部の形態を観察することもできる。
この方法は金属組織観察の分野において歴史が古く、光学顕微鏡観察、電子顕微鏡観察、走査型プローブ顕微鏡観察等の各種顕微鏡を使用した材料解析において一般的に行われている。
電子顕微鏡やX線顕微鏡を使用した観察においては、得られるコントラストは試料の原子番号に強く依存する。軽元素から構成される試料、高分子材料、生体材料等を樹脂包埋した場合、試料のハンドリング性が改善して内部観察が可能となっても、包埋樹脂と試料の間で明瞭なコントラストが得られず観察像の視認性が悪いという問題がある。
また、樹脂包埋した試料は導電性が低いため、電子顕微鏡のような荷電粒子をプローブとする測定方法では試料の帯電(チャージ)やドリフトが問題となることもある。そのため、従来までは以下の4つの方法等によってこれらの問題を回避していた。
従来法の一つ目として、試料が高分子材料の場合には、分子構造の特定部位に四酸化ルテニウム、四酸化オスミウム、リンタングステン酸等の重金属を付加させた後で樹脂包埋し、導電処理して観察する電子染色が挙げられる。この方法により、軽元素を主成分とする高分子材料の微構造等でも、コントラストを改善して観察することができる。
二つ目として、試料の表面にAu、Pt、Pd,Os等の貴金属をコーティングした後で樹脂包埋し、次に研磨を行い、断面観察を行う方法が挙げられる。この方法では、断面構造が「樹脂/貴金属/試料」となるため、シリコンウエハ上の高分子レジスト等の微細な凹凸構造も、コントラストを改善して観察することができる。
三つ目として、試料の周囲に酢酸ウラン、酢酸ガドリニウム、リンタングステン酸等の水溶液を滴下した後で、導電処理して観察するネガティブ染色が挙げられる。この方法により、カーボンブラック、グラフェン、セルロースナノファイバーなどの粒子・繊維状試料や生物試料の微構造等も、コントラストを改善して観察することができる。
四つ目として、試料の微構造へ硫酸バリウムや有機ヨードなどの造影剤を含浸させた後でX線観察する方法が挙げられる。この方法により、コンクリートの微細なひび割れなどの欠陥を検出することができる。
また、以下の特許文献1には、生存環境付与成分、糖類及び電解質を含有することを特徴とする、電子顕微鏡観察用保護剤とそれを用いた電子顕微鏡による試料の観察方法等が開示されている。この保護剤を用いることにより、真空下においても含水状態の生物試料を変形させずに、生きたままの状態を保護して観察することができる。
国際公開第2015/115502号
樹脂包埋した試料の電子顕微鏡やX線顕微鏡による観察においては、「軽元素から構成される試料では、包埋樹脂と試料の区別が付かない」という問題が存在する。この問題の根本的な要因は、包埋樹脂の主成分がC、H、Oなどの軽元素であるという点である。電子顕微鏡やX線顕微鏡で得られるコントラストは試料の原子番号に強く依存するため、包埋樹脂と構成元素の近い試料の場合、明瞭なコントラストを得ることは原理的に不可能である。
そこで、観察像のコントラストを改善するため上記の各種方法が試みられているが、必ずしも十分ではない。従来法の一つ目に挙げた電子染色では、無機化合物、フッ素系樹脂、エンジニアリングプラスチックなどの電子染色ができない材料が多数存在するため、観察できる材料が限定されてしまう。また、試料の作製に時間がかかり、試薬の毒性も強い。
二つ目に挙げた金属をコーティングする方法では、試料が多孔体や微細な凹凸の場合にはコーティングが不均一になりやすく、明瞭に観察できる形態が限定されてしまう。また、金属を含む試料の場合、構成元素種によっては金属膜と類似のコントラストとなり、視認性を妨げる要因となってしまう。
三つ目に挙げたネガティブ染色では、試料を包埋できないため断面作製には不向きであり、内部形態を観察することができない。また、粗大な空間を埋めることはできないため多孔体等には不向きであり、観察できる材料が限定されてしまう。
四つ目に挙げた造影剤を含浸させてX線観察する方法では、液状の造影剤を沈着させるだけで固体化できないため、試料を包埋固定できず内部形態を観察することができない。また、造影剤を含侵させた後の試料の取り扱いが難しい。
また、特許文献1に記載された方法では、試料表面に塗布したゲル状物質を電子線やプラズマで架橋して膜を形成する必要がある。電子線やプラズマが到達しない試料内部では硬化反応が進まないため、試料内部を包埋固定できず内部形態を観察することができない。また、試料の作製に電子線やプラズマの照射が必要であり手間と費用がかかる。
観察する材料の形態や特性によっては従来技術で対応可能な場合もあるが、汎用性、操作性、得られた画像の解釈のしやすさという点において、上記の通り従来技術には技術的課題が複数存在しているのが現状である。
本発明は、以上の背景技術とその課題を鑑みてなされたものであり、軽元素を主成分とする固体材料の微構造を、電子顕微鏡又はX線顕微鏡の観察下において、明瞭に可視化して視認性を向上できる包埋固定用組成物を提供することを目的とする。また、それを用いた固体材料の微構造を簡単で明瞭に観察できる電子顕微鏡又はX線顕微鏡による観察方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、電子密度の高い重金属塩と水溶性高分子とを水に溶解した水溶液とすることにより、様々な形態の固体材料の含浸に適し、物理的又は化学的な方法により固体化させ包埋固定することができ、組成物はナノレベルで構造を有さず固体材料の微構造を明瞭に可視化できる包埋固定用組成物を実現できることを見出した。そして、その組成や観察方法についてさらに研究を進めた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、水溶性重金属塩と、水溶性高分子及び/又はその誘導体とを含有し、これらの水溶性成分が水に溶解した水溶液であり、軽元素を主成分とする固体材料の電子顕微鏡又はX線顕微鏡の観察において、前記水溶性重金属塩を構成する重金属と前記固体材料の主成分である軽元素とのコントラストによって、観察像の視認性を向上することができる、包埋固定用組成物である。
水溶性重金属塩と水溶性高分子及び/又はその誘導体とが水に溶解した水溶液とすることにより、様々な形態の固体材料に容易に含浸させることができ、物理的又は化学的な方法により固体化させて包埋固定することができる。また、固体化した組成物は高分子中に電子密度の高い重金属塩が均一に分散してナノレベルで構造を有さず、電子顕微鏡及びX線顕微鏡の観察下において、軽元素を主成分とする固体材料の微構造をコントラストよく明瞭に可視化することができる。
また、水溶性重金属塩がリンタングステン酸(PTA)、酢酸ガドリニウム、モリブデン酸アンモニウム、リンモリブデン酸、フェロシアンカリウム、硝酸鉛及び酢酸鉛からなる群より選択される1種以上であり、水溶性高分子がポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリアクリル酸(PAA)及びポリエチレンオキシド(PEO)からなる群より選択される1種以上である、前記包埋固定用組成物である。
さらに、水溶性重金属塩がリンタングステン酸(PTA)であり、水溶性高分子がポリビニルアルコール(PVA)である、前記包埋固定用組成物である。
また、組成物全体量に対して、水溶性重金属塩0.25~40質量%と、水溶性高分子及び/又はその誘導体0.5~15質量%とを含有する、前記包埋固定用組成物である。
本発明を上記各組成とすることにより、試薬としての安定性や取扱性、固体材料の微構造への含侵性、固体化後の観察像の視認性をさらに向上させることができ、製造コストも抑えることができる。
また、本発明は、水溶性重金属塩の含有量及び/又は種類が異なる前記包埋固定用組成物を2種類以上備え、該包埋固定用組成物の種類を変更することにより観察像のコントラストを調整することができる、前記包埋固定用組成物の観察用キットである。
本発明の包埋固定用組成物は、水溶性重金属塩の配合量や種類を変えることによって、黒と白の絵の具でモノトーンの背景を調整するように、観察像の背景の明度を調整することができる。これにより、観察する固体材料の構成元素に対応して、包埋に用いる組成物の種類を変更しコントラスト(濃淡)を最適化して、観察像の視認性を向上することができる。
さらに、本発明は、前記包埋固定用組成物と、導電性高分子が水に分散した分散液とを備え、該分散液を前記包埋固定用組成物に添加することにより導電性を付与することができる、前記包埋固定用組成物の観察用キットである。
また、導電性高分子がポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸との複合体(PEDOT/PSS)である、前記包埋固定用組成物の観察用キットである。
導電性高分子を添加して導電性を付与することにより、帯電現象(チャージアップ)を防止することができ、試料の作製条件にもよるが、包埋固定後の導電処理を省略又は簡略化することができる。また、従来のカーボンペーストやカーボンテープのように、シート状にしてその表面に粒子や繊維状の試料を付着又は仮固定し、導電処理することなく簡便に観察する用途にも使用できる。
また、本発明は、固体又は水溶液の形態の水溶性重金属塩と、固体又は水溶液の形態の水溶性高分子とを備え、前記水溶性重金属塩と前記水溶性高分子とを、水に加えて混合又は互いに混合して溶解又は混和することにより、前記包埋固定用組成物を製造することができる、包埋固定用組成物の製造用キットである。
本発明の包埋固定用組成物を用時調製できる2成分混合型のキットとすることにより、2成分の試薬を秤量混合して溶解混和する作業が必要となるが、所望の濃度の包埋固定用組成物を自由に調製できるため、試薬数を減らしてコストを削減することができる。また、2成分を別々に収容保管することで、より長期間の安定した保管が可能となる。
さらに、本発明は、水溶性高分子を水に加えて溶解する工程と、得られた水溶液に水溶性重金属塩を加えて溶解する工程とを含む、前記包埋固定用組成物の製造方法である。
本発明の包埋固定用組成物は、水溶性の2成分を水に溶解するだけで製造することができ、工程が単純でコストも低い。必要に応じて、粉末の原材料から自家調製することも可能である。
また、本発明は、前記包埋固定用組成物を固体材料に含侵させる段階と、前記包埋固定用組成物の水を蒸発させること又は水溶性高分子及び/又はその誘導体を架橋させることにより固体化する段階と、該包埋固定した固体材料を加工して観察面を露出させる段階とを含む、電子顕微鏡又はX線顕微鏡による観察方法である。
また、水溶性重金属塩の含有量及び/又は種類が異なる前記包埋固定用組成物を2種類以上用いて、観察像のコントラストを最適化する段階を含む、前記電子顕微鏡又はX線顕微鏡による観察方法である。
本発明の電子顕微鏡又はX線顕微鏡による観察方法は、操作が簡単で様々な形態や種類の固体材料に対応することができ、軽元素を主成分とする固体材料の微構造を電子顕微鏡又はX線顕微鏡の観察下において明瞭に観察することができる。
また、用いる包埋固定用組成物の水溶性重金属塩の配合量や種類を変更することにより背景の明度を調整できるため、試料の前処理によって観察像のコントラストを制御することができる。
本発明の包埋固定用組成物とそれを用いた観察方法は、軽元素を主成分とする固体材料の微構造を、電子顕微鏡又はX線顕微鏡の観察下において明瞭に可視化して視認性を向上することができる。本発明の包埋固定用組成物は重金属塩を含有しているため、固体材料を構成している元素の原子番号が小さいほどコントラスト差が大きくなり、鮮明で明瞭な観察が可能となる。
Aは実施例1の試料を走査型電子顕微鏡により観察した画像(撮影倍率5千倍)、Bはその部分拡大画像である(撮影倍率5万倍)。 Aは比較例1の試料を走査型電子顕微鏡により観察した画像(撮影倍率5千倍)、Bはその部分拡大画像である(撮影倍率5万倍)。 Aは比較例2の試料を走査型電子顕微鏡により観察した画像(撮影倍率5千倍)、Bはその部分拡大画像である(撮影倍率5万倍)。 A及びBは実施例2の試料を走査型電子顕微鏡により観察した画像(撮影倍率2千5百倍及び5千倍)、C及びDはその部分拡大画像である(撮影倍率5万倍及び15万倍)。Aは作成した垂直断面を真上から撮影した画像。B、C及びDは断面を撮影した画像である。 Aは実施例3の試料を透過型電子顕微鏡により観察した画像(視野サイズ91.51nm×91.51nm)、Bはその部分拡大画像(視野サイズ10.01nm×10.01nm)、Cは電子線回析図形を示す画像である。 実施例1及び7の包埋固定用組成物を固体化した試料、ポリビニルアルコール(PVA)、リンタングステン酸(PTA)並びにビニロンをX線光電子分光法(XPS)により測定したスペクトルである。AはC1sスペクトル、BはW4fスペクトルである。 Aは実施例4の試料を低真空走査型電子顕微鏡により観察した画像(撮影倍率250倍)、Bはその部分拡大画像(撮影倍率1千倍)である。 Aは実施例5の試料を低真空走査型電子顕微鏡により観察した画像(視野サイズ600μm×90μm)、Bは比較例3の試料を同一の条件で観察した画像である。
Aは実施例6の試料をX線顕微鏡により観察した画像、Bは比較例4の試料を同一の条件で観察した画像である。 Aは実施例7の試料を走査型電子顕微鏡により観察した画像(撮影倍率100倍)、Bはその部分拡大画像(撮影倍率1万倍)、Cは実施例7の試料の外観像である。 実施例7の包埋固定用組成物を固体化した試料、リンタングステン酸(PTA)及びビニロンをX線光電子分光法(XPS)により測定したスペクトルである。AはC1sスペクトル、BはW4fスペクトルである。 比較例5の試料をフィールドエミッション走査型電子顕微鏡により観察した画像であり、Aは反射電子像、Bは二次電子像である(視野サイズ6.8μm×6.6μm)。 A~Fは実施例8のPVA:PTAの配合比率を20:1~1:10の範囲で変化させた試料を、フィールドエミッション走査型電子顕微鏡により観察した画像である(視野サイズ6.8μm×7.0μm)。 A~Fは実施例9の水溶性重金属塩の種類と配合比率を変更した試料を、フィールドエミッション走査型電子顕微鏡により観察した画像である(視野サイズ6.8μm×7.0μm)。 Aは実施例10の試料を走査型電子顕微鏡により観察した画像(撮影倍率2万倍)、Bは比較例6の試料を同一の条件で観察した画像である。
以下、本発明の包埋固定用組成物、それを備えたキット、その製造方法、並びにそれを用いた電子顕微鏡及びX線顕微鏡による観察方法について詳細に説明する。なお、説明が省略されている成分、製法、観察法等については、当該技術分野の当業者に知られているものと同一又は実質的に同一のものとすることができる。
本発明の包埋固定用組成物は、水溶性重金属塩と水溶性高分子及び/又はその水溶性高分子誘導体とが水に溶解した水溶液である。軽元素を主成分とする固体材料の電子顕微鏡又はX線顕微鏡の観察において、重金属塩を構成する重金属を含有する領域と固体材料を構成する軽元素を主成分とする領域とのコントラスト差によって、観察像の視認性を向上することができる。
本発明において「包埋固定用」とは、電子顕微鏡及びX線顕微鏡による観察において、固体材料を包埋及び固定する用途の他に、シート状にしてその表面に粒子・繊維状の固体材料を付着又は仮固定するための用途を含むものとする。
走査型電子顕微鏡(SEM)の観察像では、固体材料を構成する元素の原子番号が大きいほど二次電子や反射電子が増加して明るくなり、原子番号が小さいほど暗くなる。一方、透過型電子顕微鏡(TEM)やX線顕微鏡(XRM)の観察像では、試料を構成する元素の原子番号が大きいほど透過電子や透過X線強度が減少して暗くなり、原子番号が小さいほど明るくなる。
本発明において「重金属」とは、原子番号が鉄(Fe:原子番号26)以上の金属を意味する。また「軽元素」とは、原子番号がフッ素(F:原子番号9)以下の元素を意味する。さらに「主成分」とは、軽元素が固体材料を構成する全元素の50質量%以上を占めることを意味する。
本発明の適応となる固体材料を構成する軽元素としては、主に炭素(C)、水素(H)、酸素(O)、窒素(N)及びホウ素(B)が想定され、特に炭素(C)が想定される。固体材料全体の中でこれら軽元素の占める割合が、70質量%以上、90質量%以上など高くなるほど本発明が効果的となり、特に全てが軽元素から構成される固体材料において効果的である。
本発明が含有する水溶性重金属塩は、水に対する大きな溶解度を示し、固体材料を構成する軽元素よりも原子番号が十分に大きく、電子顕微鏡及びX線顕微鏡の観察時に大きなコントラストが得られる重金属塩及びその水和物が好ましい。具体的には、リンタングステン酸(H[P(W10]・nHO)(PTA)、酢酸ガドリニウム((CHCOO)Gd・nHO)、モリブデン酸アンモニウム((NHMo24・4HO)、リンモリブデン酸(H(PMo1240)・nHO)、フェロシアンカリウム(K[Fe(CN)]・nHO)、硝酸鉛(Pb(NO)、酢酸鉛(Pb(CHCOO))等が挙げられる。これらの重金属塩を2種以上含有してもよい。
水への溶解性が高く、取り扱いが容易なことから、リンタングステン酸(PTA)、モリブデン酸アンモニウム、リンモリブデン酸、酢酸ガドリニウム、酢酸鉛が好ましい。1分子当たりの金属量が多く少ない添加量で大きなコントラストが得られることから、リンタングステン酸(PTA)が最も好ましい。
本発明が含有する水溶性高分子は、水に対する大きな溶解度を示し、安定性と取扱性に優れた高分子が好ましい。具体的には、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリエチレンオキシド(PEO)等が挙げられる。これらの高分子を2種以上含有してもよい。
水への溶解性が高く、取り扱いが容易なことから、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)が好ましい。Na、K等の観察に影響を与える不純物が少ないことから、ポリビニルアルコール(PVA)が最も好ましい。固体化前の水に溶解した状態の重合度やケン化度は、本発明の所定の機能を発揮できる範囲であれば特に限定されない。適度な粘性による固体材料への含侵性と取扱性の観点から、PVAの場合には重合度1500~1700の範囲、ケン化度90~100mol%の範囲が例示される。
水に水溶性高分子を溶解して水溶性重金属塩を添加すると、2つの水溶性成分の種類や配合比率にもよるが、水溶性高分子の官能基が反応して水溶性高分子の誘導体が形成される。本発明の包埋固定用組成物はこの水溶性高分子誘導体も含有する。後述する実施例では、強酸性によるPVAの残存酢酸基の加水分解と、PTAによるPVAの水酸基間の架橋が示唆されている。誘導体となる組成物中の高分子の比率や、反応する高分子中の官能基の比率は、水溶性高分子と水溶性重金属塩の種類やそれらの配合率により異なり、本発明の所定の機能を発揮できる範囲であれば特に限定されない。一部又は全部でもよい。
水溶性高分子誘導体は水溶性高分子としての特性を維持しているが、水溶性高分子誘導体が形成されることにより、本発明の包埋固定用組成物の効果への寄与が期待できる。例えば、水溶液中において重金属塩と高分子との分散性が向上することにより、包埋固定後の試料中においても重金属塩と高分子との分散性が向上することが考えられる。また、乾燥固化後の固体物の水への溶解性が低下することや、架橋硬化後の固体物の硬度が上昇することにより、包埋固定後の試料の取扱性や加工性が向上することが考えられる。
本発明の包埋固定用組成物は、上記の水溶性重金属塩及び水溶性高分子の2成分、水溶性重金属塩及び水溶性高分子誘導体の2成分、又は、水溶性重金属塩、水溶性高分子及び水溶性高分子誘導体の3成分が水に溶解した水溶液である。2つ又は3つの水溶性成分は完全に溶解していることが好ましいが、微量が溶けきらずに微粒子の状態で分散していても、本発明の所定の機能を発揮できる範囲であれば、完全に溶解している状態と同一視できるものとする。水はNaやKなどの不純物を含まない、RO水、蒸留水、イオン交換水、精製水等の純水が好ましい。
常法に従って調製することができ、水溶性高分子と水溶性重金属塩とを水に混合して攪拌と加温を併用して溶解する。例えば、PVAの場合には常温の水に樹脂粉末を攪拌しながら混合してよく分散させ、続いて80~100℃未満に加温して30分~60分攪拌して完全に溶解させる。次に水溶性重金属塩を加えるが、水溶液の温度が高いときに混合すると酸化物が生成して着色しやすいため、水溶液が冷えてから攪拌しながら混合して完全に溶解させるのが好ましい。
水溶性高分子の配合量は、固体化した際に重金属塩を分散した状態で包含するために十分な量であること、得られる水溶液の粘度が適度に低く固体材料の微構造に含浸させやすいこと、溶解度(飽和濃度)以下で溶け残しが生じないことなどを考慮して設定される。例えば、PVAの場合には組成物(水溶液)全体量に対して、好ましくは0.5~15質量%、より好ましくは1.0~10質量%、さらに好ましくは2.0~7.5質量%の範囲である。
水溶性重金属塩の配合量は、包埋する固体材料に対して十分なコントラストが得られること、溶解度(飽和濃度)以下で溶け残しが生じないこと、固体化させたときに結晶が析出しないことなどを考慮して設定される。例えば、PTAの場合には組成物(水溶液)全体量に対して、好ましくは0.25~40質量%、より好ましくは0.5~35質量%、さらに好ましくは2.5~20質量%の範囲である。
水溶性高分子と水溶性重金属塩との配合比率は、同様に十分なコントラストが得られること、溶け残しが生じないこと、結晶が析出しないことなどを考慮して設定される。水溶性高分子:水溶性重金属塩の範囲は、好ましくは5:1~1:20、より好ましくは3:1~1:15、さらに好ましくは2:1~1:12.5の範囲である。
本発明の包埋固定用組成物は、水溶性重金属塩の配合量や種類を変えることによって、黒と白の絵の具でモノトーンの背景を調整するように、観察像の背景の明度を調整することができる。これにより、観察する固体材料の構成元素に対応して、包埋に用いる組成物の種類を変更してコントラスト(濃淡)を最適化し、観察像の視認性を向上することができる。水溶性重金属塩の含有量や種類を変化させた2種以上の包埋固定用組成物を予め調製して容器に充填しキット化することにより、観察時の操作性や利便性が向上する。
本発明の包埋固定用組成物は、さらに導電性高分子を添加してもよい。導電性を付与することにより、電子顕微鏡観察時の帯電現象(チャージアップ)を防止することができ、試料の作製条件にもよるが、貴金属のスパッタリングや蒸着による導電処理を省略又は簡略化することができる。また、従来のカーボンペーストやカーボンテープのように、シート状にしてその表面に粒子や繊維状の試料を付着又は仮固定し、導電処理することなく簡便に観察する用途にも使用できる。
導電性高分子は、好適な導電性が付与でき水溶液への分散性に優れる高分子が好ましい。具体的には、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸との複合体(PEDOT/PSS)、ポリアニリン、P3HT、PCBMなどが挙げられる。金属塩を含むPVAと混合した際のゲル化を利用するといった観点から、PEDOT/PSSが最も好ましい。導電性高分子を包埋固定用組成物に添加すると水溶性高分子のゲル化が進む可能性があるため、予め包埋固定用組成物に配合しておくのではなく、別容器に充填しておき必要時に混合するキット形態が好ましい。
導電性高分子の添加量は、固体化後に十分な導電性を付与できること、水溶液に均一に分散して本発明の所定の機能を妨げないことなどを考慮して設定される。例えば、PEDOT/PSSの場合には組成物(水溶液)全体量に対して、好ましくは0.1~2質量%、より好ましくは0.25~1.5質量%、さらに好ましくは0.5~1.0質量%の範囲である。
本発明の含有する水溶性重金属塩及び水溶性高分子を、粉末、顆粒、タブレットなどの固体又は水に溶解した水溶液の形態で、別々に密閉容器に収容保管し、用時調製する2成分混合型のキットとしてもよい。これにより、2成分の試薬から所望の濃度の包埋固定用組成物を自由に調製できるため、濃度別の試薬数を減らして簡素化しコストを削減することができる。また、2成分を別々に収容保管することで、経時変化を抑制してより長期間の安定した保管が可能となる。
具体的には、溶解が容易な水溶性重金属塩を粉末又は水溶液の形態で、水溶性高分子を水溶液の形態で収容保管し、観察時に必要量の水溶性重金属塩と水溶性高分子とを秤量して、水溶性重金属塩を水溶性高分子に混合して溶解混和し、所望の濃度の包埋固定用組成物を調製することが例示される。予め備える2成分の水溶液の濃度は1種類でも2種類以上でもよい。粉末等の固体を充填する容器としてはプラスチック製の密閉可能な小袋や容器、水溶液を充填する容器としてはガラス製のバイアルなどが挙げられる。
本発明の包埋固定用組成物は、前記2つ若しくは3つの水溶性成分が水に溶解した水溶液、又はこれに導電性高分子を分散させた水溶液である。その特性をさらに向上させるため、界面活性剤等の他の成分を添加してもよいが、NaやKなどが混入すると電子顕微鏡及びX線顕微鏡の観察時に悪影響を与える可能性があるため、界面活性剤等の他の成分はNaやKなどを含まないことが望ましい。
また、本発明は包埋固定用組成物を含侵させる段階と、固体化する段階と、観察面を露出させる段階とを含む、電子顕微鏡又はX線顕微鏡による観察方法であり、軽元素を主成分とする固体材料の微構造を簡単な操作で明瞭に観察することができる。
本発明の包埋固定用組成物は適度な粘性の水溶液であり、固体材料の微構造への含侵性に優れている。そのため、固体材料を水溶液中に浸漬してもよく、固体材料と水溶液を混合して攪拌してもよく、固体材料の表面に水溶液を塗布してもよい。また、減圧などの含侵処理を併用してもよい。
固体材料の微構造中に水溶液を含浸させて、その空隙が満たされた後で固化又は硬化させることにより固体化し、固体材料の微構造を包埋固定することができる。固体化は自然乾燥により水分を蒸発させる固化が、最も簡便で試料に対しても負荷が少ない。減圧や加温を併用してもよい。固体材料に含侵、混合、塗布等して固化又は硬化させた後の組成物は、硬めの固体、柔らかめの固体、ゲル状、ペースト状等いずれの形態でもよい。
また、水溶性高分子間に化学的に架橋を形成して硬化させてもよい。これにより包埋固定した試料に耐水性を付与することができる。化学的な架橋は常法を用いることができる。例えばPVAの場合には、80℃以上に加温しながらホルムアルデヒドと塩酸を添加して架橋を促進させることができる。
包埋固定した固体材料を加工して観察面を露出させることにより、固体材料の内部構造を観察することができる。加工方法としては、集束イオンビーム装置によるFIB(Focused Ion Beam)加工、イオンミリング装置によるCP(Cross Section Polisher)加工、刃物による物理的な切削等が挙げられる。
本発明の観察方法に用いる電子顕微鏡としては、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)、低真空走査型電子顕微鏡(Low-Vacuum Pressure Scanning Electron Microscope:LVP-SEM)、集束イオンビーム装置(Focused Ion Beam System:FIB)、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)が挙げられる。X線顕微鏡(X-Ray Microscope:XRM)としては、軟X線又は硬X線走査型顕微鏡、3次元X線顕微鏡(X-Ray Computed Tomography:X線CT)が挙げられる。
以下、本発明の包埋固定用組成物、その製造方法及びそれを用いた観察方法について、実施例、比較例及び試験例を参照して具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例等によって限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
[実施例1]
純水90gにポリビニルアルコール(PVA)(東京化成工業(株)製、製品コードP0469)5gを、室温で攪拌しながら徐々に混合して十分に分散させた。続いて、攪拌しながら80℃まで加温し、さらに90、95、98℃まで段階的に加温し、各温度で30分間攪拌して完全に溶解させた。この溶液が室温まで冷えてから、リンタングステン酸(PTA)(TAAB社製)5gを攪拌しながら徐々に混合して溶解し、本発明の包埋固定用組成物(水溶液)を調製した。そのpHは1.40であった。
この水溶液1gに乾燥させたカーボンペースト粉末(C:原子番号6)(TED PELLA社製、製品名アクアダック)0.01~0.1gを加えて混合し、シリコンウエハ表面に塗布し自然乾燥して固化させた。減圧などの含侵処理は行わなかった。
スパッタリングによりC又はOsをコーティングして導電処理を行った後、走査型電子顕微鏡(SEM)を搭載した集束イオンビーム装置(FEI社製、型式Scios)でFIB加工して、固化した試料及びシリコンウエハの表面に垂直方向の断面を形成した。試料全体を水平位置から52°傾けて、露出した断面を上方からSEMで観察した。観察結果を図1A及びBに示す。図1Bは図1A中の試料部分の拡大観察像である。
[比較例1]
PTAを加えずPVAのみを溶解した水溶液にカーボン粉末を混合して包埋固定したこと以外は、実施例1と同様に試料を作成して断面を観察した。観察結果を図2A及びBに示す。
[比較例2]
市販のエポキシ系包埋樹脂(GATAN社製、製品名G2 Epoxy)にカーボン粉末を混合して包埋固定したこと以外は、実施例1と同様に試料を作成して断面を観察した。観察結果を図3A及びBに示す。
図1A及びBの結果より、実施例1では軽元素のカーボン粉末の暗色と、重金属のタングステンを含む固化した包埋組成物の明色との間で大きなコントラストが付き、観察像の視認性が向上して数十nmレベルの微構造まで識別できることが分かる。一方、図2A及びB並びに図3A及びBの結果より、比較例1及び2では軽元素のカーボン粉末と固化したPVA及び硬化したエポキシ系包埋樹脂との間でコントラストがほとんど付かず、観察像の視認性が劣り微構造が十分に識別できないことが分かる。
[実施例2]
カーボン粉末の代わりに窒化ホウ素粉末凝集体(BN:原子番号5及び7)を用いたこと以外は、実施例1と同様に試料を作成して断面を観察した。観察結果を図4A~Dに示す。
図4A~Dの結果より、実施例2では軽元素の窒化ホウ素粉末の暗色と、固化した包埋組成物の明色との間で大きなコントラストが付き、明瞭に可視化され観察像の視認性が向上していることが分かる。図4Dの観察像からは粒子間の約10nmの隙間も識別することができる。
[実施例3]
実施例1と同じ包埋固定用組成物のみをシリコンウエハ上に塗布し、自然乾燥させて固化させた。次いで、集束イオンビーム装置(FIB)(FEI社製、型式Scios)で厚さ約100nmの薄膜を作製し、透過型電子顕微鏡(TEM)(Thermo Fisher Scientific社製、型式Talos)で観察した。観察結果を図5A及びBに示す。また、電子線回折像の観察結果を図5Cに示す。
図5A及びBの結果より、本発明を固化させた組成物では、矢印部分などに1nm以下のサイズで構造体らしきものが散見されるが、PTAがナノレベルでPVA中に均一に分散しており、ほぼ無構造であることが分かる。また、図5Cの結果より、固化させた組成物はアモルファスであることが分かる。固化後に高分子中に重金属塩がナノレベルで分散していることが、微構造の明瞭な可視化を可能にしていると考えられる。
[試験例1]
実施例1の包埋固定用組成物を乾燥固化させた試料(PVA+PTA)、PVA及びPTA、並びに定法に従って合成したビニロンの表面を、X線光電子分光法(XPS)測定装置(アルバック・ファイ社製、型式Quantera SXM)で測定した。高分解能分析(ナロースキャン分析)により、構成元素の化学結合状態を解析した。取得されたC1s及びW4fスペクトルを図6A及びBに示す。なお、後述する実施例7の包埋固定用組成物を架橋硬化させた試料(ビニロン+PTA)のC1s及びW4fスペクトルを合わせて示す。
図6AのC1sスペクトルより、PVAにPTAを添加すると、PVAの残存酢酸基に由来するO-C=Oのピークが消失していることが分かる。これより、強酸性下においてPVAの酢酸基のエステル結合が加水分解されていることが考えられる。また、PVAのC-O結合の比率が相対的に低下しC-C結合の比率が相対的に増加していることが分かる。これより、PTAによりPVAの水酸基が化学修飾等され架橋されていることが考えられる。これらの結果は、水溶液中においてPVAの誘導体が形成されていることを示している。
PVAの誘導体が形成され残存酢酸基が大きく減少することにより、PVAの官能基は相対的に水酸基が多数を占めるようになる。これにより、水溶液中におけるPTAとPVAとの分散性が向上して、包埋固定後の試料中においてもPTAとPVAとの分散性が向上することが考えられる。また、PVAのケン化度が高くなることにより、乾燥固化後の固体物の水への溶解性が低下し、架橋硬化後の固体物の硬度が上昇することにより、包埋固定後の試料の取扱性や加工性が向上することが考えられる。
一方、図6BのW4fスペクトルより、PVAにPTAを添加しても、PTAのタングステン(W)のスペクトル形状はほとんど変化しないことが分かる。このことは、PVAにPTAを添加しても、水溶液中におけるPTAの構造変化は極めて小さいことを示している。
[実施例4]
実施例1と同じ包埋固定用組成物に市販の衣服から取り出した綿糸を浸漬して、自然乾燥して固化させ包埋固定した。減圧などの含侵処理は行わなかった。次いで、カミソリでカットして、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM)(日本電子(株)製、型式JSM-7800F Prime)の低真空モードで観察した。観察結果を図7A及びBに示す。
図7A及びBの結果より、本発明を用いると繊維(有機物)でも簡単な処理だけで内部まで十分に包埋固定でき、高コントラストにより微構造の視認性が向上することが分かる。
[実施例5]
市販のポリプロピレン製クリアファイルの表面にカッターで傷をつけ、そこに実施例1と同じ包埋固定用組成物を塗布し、自然乾燥して固化させた。減圧などの含侵処理は行わなかった。次いで、カミソリでカットして、その断面を実施例4と同様にSEMの低真空モードで観察した。観察結果を図8Aに示す。
[比較例3]
比較例1と同じPVAのみを溶解した水溶液を用いて包埋したこと以外は、実施例5と同様に試料を作成して断面を観察した。観察結果を図8Bに示す。
図8A及びBの結果より、一部剥離が認められるものの、本発明を用いると高分子材料でも簡単な処理だけで欠陥の細部まで十分に包埋でき、高コントラストにより微細な欠陥の視認性が向上することが分かる。
[実施例6]
市販のポリカーボネート製ワッシャー(内径3mm×外径8mm×厚み0.8mm)を、実施例1と同じ包埋固定用組成物に浸漬して、自然乾燥して固化させ包埋した。次いで、X線顕微鏡(XRM)(メディエックステック(株)製、型式MXT-160UU)で上方から観察した。観察結果を図9Aに示す。
[比較例4]
比較例1と同じPVAのみを溶解した水溶液を用いて包埋したこと以外は、実施例6と同様に試料を作成して観察した。観察結果を図9Bに示す。
図9A及びBの結果より、本発明の包埋固定用組成物を用いるとX線顕微鏡による観察においても、高分子材料を高コントラストで観察できることが分かる。このことは、X線顕微鏡やX線CTによる観察において、高分子多孔体やカーボンフィルターを本発明で包埋固定して、微構造をより明瞭に可視化できる可能性を示している。
[実施例7]
純水80gにPVA10gとPTA10gを混合して溶解したこと以外は、実施例1と同様の条件で包埋固定用組成物とカーボン粉末との混合物を1g調製した。続いて、13.4mol/Lのホルムアルデヒドを0.08mL加えてよく混合し、さらに12.0mol/Lの塩酸を0.12mL滴下してPVAを化学的に架橋した。生成したゲル状組成物を80℃に加温して水分を蒸発させ硬化させた。
この硬化組成物を市販のエポキシ系包埋樹脂(GATAN社製、製品名G2 Epoxy)で包埋固定して、イオンミリング装置(日本電子(株)製、型式IB-19520CCP)で加工して断面を形成した。スパッタリングによりCをコーティングして導電処理を行い、走査型電子顕微鏡(SEM)(日本電子(株)製、型式JSM-7800F Prime)で断面を観察した。観察結果を図10A及びBに示す。図10Bは図10A中試料部分の拡大観察像である。また、硬化組成物の外観を図10Cに示す。
図10A及びBの結果より、本発明の包埋固定用組成物を化学的に架橋して硬化させた試料においても、軽元素のカーボン粉末の暗色と、重金属のタングステンを含む硬化組成物の明色との間で大きなコントラストが付き、観察像の視認性が向上して数十nmレベルの微構造まで識別できることが分かる。
[試験例2]
実施例7の包埋固定用組成物を架橋硬化させた試料(ビニロン+PTA)の断面を、試験例1と同様のX線光電子分光法(XPS)により測定した。取得されたC1s及びW4fスペクトルを図6A及びB並びに図11A及びBに示す。なお、比較のため図11A及びBのピーク強度のスケールを調整している。
図6A、図11A1及び2のC1sスペクトルでは、C-C結合のスペクトルのみが現れており、実施例7の包埋固定用組成物を化学的に架橋させることにより、PVAからビニロンが形成されていることが分かる。また、図11B1及び2のW4fスペクトルでは、スペクトルの形状が変化して金属タングステンのスペクトルが現れる約31~34eVの領域にシフトしており、ホルムアルデヒドと塩酸の添加によりPTAのWOが還元されて、金属WやWOが形成されていると考えられる。
[比較例5]
比較例1及び2と同様にしてPVA溶液及びエポキシ系包埋樹脂を用いてカーボンペースト粉末を包埋固定した試料を作製した。次に、フィールドエミッション走査型電子顕微鏡(FE-SEM)を搭載した集束イオンビーム装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、型式XVision200TB)でFIB加工して、露出させた断面の反射電子像と二次電子像を観察した。図12A1及び2に反射電子像を、図12B1及び2に二次電子像を示す。
図12A1及び2の結果より、反射電子の観察像では、軽元素のカーボン粉末(矢印部分)と固化したPVA及び硬化したエポキシ系包埋樹脂との間でコントラストが全く付かず、微構造が全く識別できないことが分かる。一方、図12B1及び2の結果より、二次電子の観察像では、僅かにコントラストが付き外縁は識別できるものの、視認性が劣り微構造までは識別できないことが分かる。
[実施例8]
ポリビニルアルコール(PVA)とリンタングステン酸(PTA)の配合比率、PVA:PTA=20:1(10g:0.5g)、10:1(10g:1g)、3:1(7.5g:2.5g)、1:1(5g:5g)、1:3(2.5g:7.5g)、1:10(1g:10g)の6種類の包埋固定用組成物を調製した。その他の試料の作製条件は実施例1と同様とした。次に、試料の表面を比較例5と同様の方法でFIB加工して、露出させた断面をFE-SEMで観察した。各組成物で包埋固定した試料の観察結果を図13A~Fに示す。全ての観察像は検出器の条件を一定にして取得した反射電子像であり、試料台となるシリコンウエハ部分のコントラストは全ての試料において同一とした。
図13A~Fの結果より、PVA:PTAの配合比率が20:1や10:1ではコントラストが付かずカーボン粉末(矢印部分)がほとんど視認できないが、3:1からコントラストが付き始め、PTAの配合比率を大きくするとそれに比例してコントラストが大きくなることが分かる。特に1:1~1:10の範囲では、カーボン粉末(矢印部分)の暗色と固化した組成物の明色との間で十分なコントラストが付き視認性が向上して、数十nmレベルの微構造まで十分に識別できることが分かる。このことは、観察する固体材料の構成元素に応じて、包埋固定組成物の重金属塩の配合比率を変えることにより、観察像のコントラストを最適化して視認性を向上できることを示している。
例えば、電子顕微鏡で電極触媒の白金担持カーボン(Pt/C)を観察する場合には、原子番号が大きく明るいPtに対応してPTAを少なく配合して背景を暗くする。一方、マグネシウム担持カーボン(Mg/C)の観察をする場合は、原子番号が小さく暗いMgに対応してPTAを多く配合して背景を明るくすることなどが例示される。
観察する試料を前処理することによって、その観察像のコントラストを制御する技術は従来無かったものである。前述の金属コーティングやネガティブ染色では不可能であり、電子染色でも極めて困難であり再現性も期待できない。本発明の包埋固定用組成物を用いた重金属塩の配合比率を変える方法は、簡単な前処理で実現することができ再現性にも優れている。
[実施例9]
水溶性重金属塩としてモリブデン酸アンモニウム((NHMo24・4HO)、酢酸ガドリニウム((CHCOO)Gd・nHO)、及び酢酸鉛(Pb(CHCOO))を用いた。ポリビニルアルコール(PVA)と水溶性重金属塩の配合比率を、1:1(5g:5g)、1:5(2g:10g)として計6種類の包埋固定用組成物を調製した。その他の試料の作製条件や観察条件は実施例8と同様とした。各組成物で包埋固定した試料の観察結果を図14A~Fに示す。
図14A~Fの結果より、PTA以外の水溶性重金属塩を用いても、カーボン粉末の暗色と固化した組成物の明色との間でコントラストが付き視認性が向上して微構造を識別できることが分かる。また、水溶性重金属塩の配合比率を大きくするとそれに比例してコントラストが大きくなることが分かる。
[実施例10]
実施例1と同じ包埋固定用組成物に、導電性高分子のポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸との複合体(PEDOT/PSS)(Sigma-Aldrich社製、品番739332)の1.1質量%分散液を下記表1の配合比率となるように添加して混合した。
PEDOT/PSSを添加すると組成物のゲル化が進むため、添加後にアルミ製試料台上にシート状に塗布してゲル化させた。その塗膜上にアセチレンカーボンブラック(STREM CHEMICALS社製、品番06-0026)を振り掛けて付着させ固定した。次いで、導電処理を行わずに、その粒子形態を加速電圧1kVのSEM(FEI社製、型式Scios)で観察した。試料サンプルNo.2の観察結果を図15Aに、観察時のチャージの有無を表1に示す。
また、調製した組成物をスライドガラス上に線状(幅約2mm×厚み約0.1mm)に塗布して乾燥させた。次いで、この乾燥サンプルの抵抗値を電極間隔約10mmのテスターで測定した。測定結果を合わせて表1に示す。
[比較例6]
市販のカーボンペースト(TED PELLA社製、製品名アクアダック)を用いてカーボンブラックを固定したこと以外は、実施例10と同様の方法により試料を作製し、カーボンペースト塗膜上のカーボンブラックの粒子形態をSEMで観察した。観察結果を図15Bに、観察時のチャージの有無を表1に示す。また、測定した塗膜の抵抗値を合わせて表1に示す。
Figure 0007445353000002
図15Aの結果より、導電性を付与した実施例10の塗膜を下地にした観察では、カーボンブラックの暗い色と、下地のタングステンを含むゲル化シートの明るい色との間で大きなコントラスト付き、視認性が向上していることが分かる。一方、図15Bの結果より、従来のカーボンペーストを下地にした観察では、カーボンブラックとカーボンペーストの主成分が同一でありコントラストが付かないため、視認性が悪いことが分かる。
本発明の包埋固定組成物用いた観察方法では、従来の包埋樹脂を用いた観察方法と比較した場合、固体材料の電子顕微鏡やX線顕微鏡の観察で得られる画像コントラストには歴然とした差が生じる。特に固体材料を構成している元素の原子番号が小さいほどコントラスト差が大きくなり、鮮明な観察が可能となる。例えば、グラファイト、カーボンブラック、ダイヤモンドのような炭素のみから構成されている固体材料に対しては極めて大きな効果を発揮する。
したがって、本発明の包埋固定用組成物とそれを用いた電子顕微鏡等による観察方法は、炭素材料、高分子材料等の素材、これらの素材を用いる固体高分子型燃料電池等の評価や解析において極めて有用であると考えられ、これらの産業の発展に大いに寄与することが期待される。
1A1…FIB加工で形成した垂直断面、1A2…カーボン粉末を包埋固定した実施例1試料の断面、1A3…試料台のシリコンウエハの断面、1A4…図1Bの拡大観察領域。
2A1…FIB加工で形成した垂直断面、2A2…カーボン粉末を包埋固定した比較例1試料の断面、2A3…試料台のシリコンウエハの断面、2A4…図2Bの拡大観察領域。
3A1…FIB加工で形成した垂直断面、3A2…カーボン粉末を包埋固定した比較例2試料の断面、3A3…試料台のシリコンウエハの断面、3A4…図3Bの拡大観察領域。
4A1…窒化ホウ素粉末凝集体、4B1…FIB加工で形成した垂直断面、4B2…窒化ホウ素粉末凝集体を包埋固定した実施例2試料の断面、4B3…試料台のシリコンウエハの断面。
5A1…固化した実施例3試料の垂直断面、5A2…試料台のシリコンウエハの垂直断面。
8A1…固化した実施例5試料の断面、8A2…ポリプロピレンシートの断面、8B1…硬化した比較例3試料の断面、8B2…ポリプロピレンシートの断面。
10A1…架橋して樹脂包埋した実施例7試料をCP加工して形成した断面、10C1…架橋して樹脂包埋した実施例7試料の外観。

Claims (16)

  1. 軽元素を主成分とする固体材料の包埋固定用組成物であって、
    水溶性重金属塩と、水溶性高分子(但し、多糖類を除く)及び/又はその誘導体とを含有し、これらの水溶性成分が水に溶解した水溶液の形態であり、
    固体化することで、前記水溶性重金属塩が前記水溶性高分子及び/又はその誘導体中に均一に分散した組成物により、前記固体材料の微構造を包埋固定することができ、
    電子顕微鏡又はX線顕微鏡の観察において、前記水溶性重金属塩を構成する重金属と前記固体材料の主成分である軽元素とのコントラストによって、前記微構造の観察像の視認性を向上することができる、包埋固定用組成物。
  2. 水溶性重金属塩がリンタングステン酸(PTA)、酢酸ガドリニウム、モリブデン酸アンモニウム、リンモリブデン酸、フェロシアンカリウム、硝酸鉛及び酢酸鉛からなる群より選択される1種以上であり、水溶性高分子がポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリアクリル酸(PAA)及びポリエチレンオキシド(PEO)からなる群より選択される1種以上である、請求項1に記載の包埋固定用組成物。
  3. 水溶性重金属塩がリンタングステン酸(PTA)であり、水溶性高分子がポリビニルアルコール(PVA)である、請求項2に記載の包埋固定用組成物。
  4. 組成物全体量に対して、水溶性重金属塩0.25~40質量%と、水溶性高分子及び/又はその誘導体0.5~15質量%とを含有する、請求項1から3の何れかに記載の包埋固定用組成物。
  5. 水溶性重金属塩の含有量及び/又は種類が異なる請求項1から3の何れかに記載の包埋固定用組成物を2種類以上備え、該包埋固定用組成物の種類を変更することにより観察像のコントラストを調整することができる、包埋固定用組成物の観察用キット。
  6. 請求項1から3の何れかに記載の包埋固定用組成物と、導電性高分子が水に分散した分散液とを備え、該分散液を前記包埋固定用組成物に添加することにより導電性を付与することができる、包埋固定用組成物の観察用キット。
  7. 導電性高分子がポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸との複合体(PEDOT/PSS)である、請求項6に記載の包埋固定用組成物の観察用キット。
  8. 固体又は水溶液の形態の水溶性重金属塩と、固体又は水溶液の形態の水溶性高分子とを備え、前記水溶性重金属塩と前記水溶性高分子とを、水に加えて混合又は互いに混合して溶解又は混和することにより、請求項1から3の何れかに記載の包埋固定用組成物を製造することができる、包埋固定用組成物の製造用キット。
  9. 水溶性高分子を水に加えて溶解する工程と、得られた水溶液に水溶性重金属塩を加えて溶解する工程とを含む、請求項1から3の何れかに記載の包埋固定用組成物の製造方法。
  10. 請求項1から3の何れかに記載の包埋固定用組成物を固体材料の微構造に含侵させる段階と、前記包埋固定用組成物を物理的又は化学的な方法により固体化して前記固体材料の微構造を包埋固定する段階とを含む、電子顕微鏡又はX線顕微鏡による観察方法。
  11. 固体材料の微構造を包埋固定した試料を加工して前記微構造が露出した観察面を形成する段階を含む、請求項10に記載の電子顕微鏡又はX線顕微鏡による観察方法
  12. 溶性重金属塩の含有量及び/又は種類が異なる請求項1から3の何れかに記載の包埋固定用組成物を2種類以上用いて、観察像のコントラストを最適化する段階を含む、請求項10に記載の電子顕微鏡又はX線顕微鏡による観察方法。
  13. 軽元素を主成分とする固体材料の微構造観察用試料であって、
    前記固体材料の微構造が、水溶性重金属塩が水溶性高分子(但し、多糖類を除く)及び/又はその誘導体中に均一に分散した組成物により包埋固定されており、
    電子顕微鏡又はX線顕微鏡による観察において、前記水溶性重金属塩を構成する重金属と前記固体材料の主成分である軽元素とのコントラストによって、前記微構造の観察像の視認性が向上している、微構造観察用試料
  14. 固体材料の微構造が包埋固定された試料の一部に、前記微構造が露出した観察面が形成されている、請求項13に記載の微構造観察用試料
  15. 請求項1から3の何れかに記載の包埋固定用組成物を固体材料の微構造に含侵させる工程と、前記包埋固定用組成物を物理的又は化学的な方法により固体化して前記微構造を包埋固定する工程とを含む、請求項13に記載の微構造観察用試料の製造方法
  16. 請求項15に記載の工程と、固体材料の微構造を包埋固定した試料を加工して前記微構造が露出した観察面を形成する工程とを含む、請求項14に記載の微構造観察用試料の製造方法
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