JP7443109B2 - 医用情報処理装置、医用情報処理方法及びプログラム - Google Patents

医用情報処理装置、医用情報処理方法及びプログラム Download PDF

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本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用情報処理装置、医用情報処理方法及びプログラムに関する。
急性期脳梗塞の患者の搬送先病院区分として、1次脳卒中センター(Primary Stroke Center:PSC)と包括型脳卒中センター(Comprehensive Stroke Center:CSC)とがある。急性期脳梗塞の治療方法として、再開通療法というものがある。再開通療法は、大きく血栓溶解療法と血栓回収療法に分けられる。血栓溶解療法はtPA(tissue plasminogen activator)等の薬の投与によるものであり、1次脳卒中センターにおいても可能である。一方、血栓回収療法は、血管内治療のため専門医のいる包括型脳卒中センターでしか行うことができない。
急性期脳梗塞の患者の治療のワークフローとして、ドリップ&シップ(drip&ship)という考え方がある。ドリップ&シップでは、救急車の出動があった際、患者は、まず最寄の1次脳卒中センターへ搬送される。次に、1次脳卒中センターにおいて、血栓溶解剤であるtPAが患者に投与される。tPAの投与後、医師は、血栓回収療法が必要か否かに応じて、包括型脳卒中センターへの転送判断を行う。血栓回収療法が必要な場合、患者は包括型脳卒中センターへ転送され、血栓回収療法が適用される。血栓回収療法が不要な場合、患者は、包括型脳卒中センターへ転送されない。
このようなドリップ&シップでは、1次脳卒中センター等の医療現場において、血栓回収療法の要否や転送判断等といった適切な分類結果を得るために必要な医用情報を適切に得ることが困難な場合がある。
特開2015-103243号公報
クリストファー M. ビショップ(Christopher M. Bishop)著、「パターン認識と機械学習(Pattern recognition and machine learning)」、(米国)、第1版、スプリンガー(Springer)、2006年、P.225-290
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、医療現場において、適切な分類結果を得るために必要な医用情報を適切に得ることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
実施形態に係る医用情報処理装置は、取得部と、選択部と、判定部と、特定部と、出力部と、を備える。取得部は、特定の患者に関する医用情報を取得する。選択部は、前記医用情報を入力することにより医用判断に関する分類結果を出力する複数の学習済みモデルの中から、前記医用情報が有する入力項目に対応する学習済みモデルを候補モデルとして選択する。判定部は、前記候補モデルの分類性能に基づいて、前記候補モデルが分類性能に関する条件を満たすか否かを判定する。特定部は、前記候補モデルが前記条件を満たさない場合、前記学習済みモデルの中から前記条件を満たす適格モデルを特定し、前記適格モデルに対応する入力項目のうち、前記医用情報に含まれない入力項目を追加項目として特定する。出力部は、前記追加項目を出力する。
図1は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置の構成の一例を示す図である。 図2は、第1の実施形態に係る分類器における入力と出力の関係の一例を示す概略図である。 図3は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置による転送判断支援処理の処理手順を例示するフローチャートである。 図4は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置による転送判断支援処理における医用情報入力画面を例示する図である。 図5は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置による転送判断支援処理における追加項目提示画面を例示する図である。 図6は、第1の実施形態の第1の変形例に係る医用情報処理装置による転送判断支援処理における追加項目提示画面を例示する図である。 図7は、第1の実施形態の第2の変形例に係る医用情報処理装置の構成の一例を示す図である。 図8は、第1の実施形態の第2の変形例に係る分類器の学習に用いられる学習データセットの一例を示す概略図である。 図9は、第2の実施形態に係る医用情報処理装置の構成の一例を示す図である。 図10は、第2の実施形態に係る分類器における入力と出力の関係の一例を示す概略図である。 図11は、第2の実施形態に係る医用情報処理装置による分類支援処理の処理手順を例示するフローチャートである。 図12は、第2の実施形態に係る医用情報処理装置による転送判断支援処理における追加項目提示画面を例示する図である。 図13は、第2の実施形態の第1の変形例に係る医用情報処理装置の構成の一例を示す図である。 図14は、第2の実施形態の第1の変形例に係る分類器の学習に用いられる学習データセットの一例を示す概略図である。
以下、図面を参照しながら、医用情報処理装置の実施形態について詳細に説明する。以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る医用情報処理装置40を含む医用システム1の構成を示す図である。医用システム1は、1次脳卒中センター(Primary Stroke Center:PSC)内に設けられる。医用システム1は、HIS(Hospital Information System)10と、検査装置20と、医用情報処理装置40とを備える。医用情報処理装置40は、医師による、1次脳卒中センターから包括型脳卒中センター(Comprehensive Stroke Center:CSC)への転送判断を支援する。包括型脳卒中センターは、血管内治療を実行可能な施設の一例である。
医用情報処理装置40は、LAN(Local Area Network)等を介して、ワークステーション、PACS(Picture Archiving and Communication System)、HIS10、RIS(Radiology Information System)、及び検査装置20等と接続されている。検査装置20は、1次脳卒中センターにおける急性期脳梗塞の患者の検査に用いられる装置である。検査装置20は、例えば、X線コンピュータ断層撮影装置(Computed Tomography)、磁気共鳴イメージング装置(Magnetic Resonance Imaging)、X線診断装置などの医用画像診断装置や、血液検査装置等である。医用情報処理装置40は、LAN(Local Area Network)等を介して、各種情報を接続先との間で送受信することができる。医用情報処理装置40は、例えば、接続先と無線通信可能なタブレット端末である。医用情報処理装置40は、デスクトップ型であってもよい。
医用情報処理装置40は、メモリ41、ディスプレイ42、入力インターフェース43及び処理回路44を備えている。なお、以下、医用情報処理装置40は、単一のコンソールにて複数の機能を実行するものとして説明するが、複数の機能を別々のコンソールが実行することにしても構わない。例えば、医用情報処理装置40が実行する各機能は、異なるコンソール装置に分散して搭載されても構わない。
メモリ41は、種々の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、集積回路等の記憶装置である。また、メモリ41は、HDDやSSD等以外にも、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体であってもよい。なお、メモリ41は、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等の半導体メモリ素子等との間で種々の情報を読み書きする駆動装置であってもよい。また、メモリ41の保存領域は、医用情報処理装置40内にあってもよいし、ネットワークで接続された外部記憶装置内にあってもよい。
メモリ41は、例えば、医用情報、処理回路44によって実行されるプログラム、処理回路44の処理に用いられる各種データ、処理回路44の処理に用いられる分類器等を記憶する。メモリ41は、記憶部の一例である。医用情報は、医療現場で用いられる患者に関する情報である。医用情報は、言語情報であってもよく、テキスト情報であってもよく、画像情報であってもよく、画像情報に基づいて生成された非画像情報であってもよい。プログラムとしては、例えば、予めネットワーク又は非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体からコンピュータにインストールされ、処理回路44の各機能を当該コンピュータに実現させるプログラムが用いられる。なお、本明細書において扱う各種データは、典型的にはデジタルデータである。
メモリ41には、n個の分類器C1~Cnが記憶されている。分類器C1~Cnのそれぞれは、学習済みの機械学習モデルであり、複数の関数が合成されたパラメータ付き合成関数である。パラメータ付き合成関数は、複数の調整可能な関数及びパラメータの組合せにより定義される。
分類器C1~Cnのそれぞれは、例えば、クリストファー M. ビショップ(Christopher M. Bishop)著、「パターン認識と機械学習(Pattern recognition and machine learning)」、(米国)、第1版、スプリンガー(Springer)、2006年、P.225-290に記載のニューラルネットワークによって実現される。分類器C1~Cnのそれぞれは、上記の要請を満たす如何なるパラメータ付き合成関数であっても良い。
以下の説明において学習済みの機械学習モデルは、入力データに基づいて対応する出力データを出力できるように各パラメータが学習された多層のネットワークモデルである。なお、学習済みの機械学習モデルは、メモリ41に学習済みモデルなどのプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成されていても構わない。すなわち、学習済みの機械学習モデルは、処理回路44におけるASIC(Application Specific Integrated Circuit)、或いはプログラマブル論理デバイスにプリセットされてもよい。換言すれば、学習済みモデルは、ASIC、或いはプログラマブル論理デバイスで作りこまれていてもよい。
また、以下の説明において多層のネットワークモデルは、生物の脳の神経回路を模した深層ニューラルネットワーク(DNN:Deep Neural Network)であるとする。なお、多層のネットワークモデルは、DNNに限定されず、例えば、畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)が多層のネットワークモデルとして用いられてもよい。
分類器C1~Cnのそれぞれは、医用情報を入力することにより医用判断に関する分類結果を出力する。分類器C1~Cnは、対応する入力項目の組み合わせが異なる。メモリ41は、入力項目として想定される全ての項目の組み合わせに対応する数の分類器を記憶する。すなわち、メモリ41は、想定している医用情報のあり得る組み合わせを入力として推論を行う分類器群を備える。
また、メモリ41には、分類器毎に、分類器の分類性能が記憶されている。分類性能は、例えば、感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率、偽陽性率、及び偽陰性率のうちの少なくとも1つである。このうち、陽性的中率、陰性的中率、偽陽性率、及び偽陰性率のそれぞれは「精度」の一例である。本実施形態では、一例として、分類性能として「感度」が用いられる構成について説明する。
なお、複数の種類の分類性能が分類器毎に記憶されていてもよい。例えば、メモリ41には、分類性能として「陽性的中率」と「特異度」とが、分類器毎に記憶されていてもよい。また、メモリ41に記憶される分類器の数は、想定している医用情報のあり得る組み合わせの全てに対応する個数よりも少なくてもよい。例えば、分解性能が所定の閾値よりも高い分類器のみが記憶されていてもよい。
本実施形態では、分類器C1~Cnのそれぞれは、臨床情報を入力することにより血管内治療を実行可能な施設への患者の転送の要否を出力する。臨床情報は、医用情報の一例である。血管内治療を実行可能な施設への患者の転送の要否は、分類結果の一例である。
臨床情報は、脳梗塞を患った特定の患者に関する情報である。臨床情報は、例えば、年齢情報、身体情報、症状に関する情報、画像情報、及び症状に対する所見に関する情報のうちの少なくとも1つを含む。年齢情報は、例えば、患者の年齢、生年月日等である。身体情報は、例えば、患者の性別、身長、体重等である。症状に関する情報は、例えば、急性期脳梗塞患者における神経学的症状に関する情報である。具体的には、症状に関する情報は、例えば、発症時刻、発症からの経過時間、意識の有無、視野の有無、顔面麻痺の有無、失語の有無、四肢の麻痺の有無、注視の状態等である。画像情報は、例えば、患者の頭部X線画像、頭部CT画像等である。症状に対する所見に関する情報は、例えば、患者のX線画像に対する所見である。所見に関する情報は、例えば、所見脳梗塞の体積(core volume)、Alberta Stroke Program Early CT Score(ASPECTS)、hyperdense artery sign(Hyper dense)等である。臨床情報のそれぞれは、入力項目と、入力情報とを含む。入力項目は、項目名と呼ばれてもよい。
本実施形態では、一例として、10種類の臨床情報a1~a10のうちの少なくとも1つが分類器C1~Cnに対する入力として想定される場合について説明する。臨床情報a1~a10のそれぞれは、「年齢」、「性別」、「発症時刻」、「意識の有無」、「視野の有無」、「顔面麻痺の有無」、「失語の有無」、「core volume」、「ASPECTS」、及び「Hyper dense」のうちのいずれか1つである。
本実施形態では、メモリ41には、臨床情報a1~a10のうち10種類を入力として生成された1010(=1)個の分類器、臨床情報a1~a10のうち9種類を入力として生成された109(=10)個の分類器、…及び臨床情報a1~a10のうち1種類を入力として生成された101(=10)個の分類器が予め記憶されている。すなわち、メモリ41には、n(=1010109+…101)個の分類器が予め記憶されている。
図2は、分類器における入力と出力の関係の一例を示す概略図である。図2は、一例として、臨床情報a1、臨床情報a5、臨床情報a6を入力することにより、患者の転送要否を出力する分類器について示している。
ディスプレイ42は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路44によって生成された医用情報や、操作者からの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。例えば、ディスプレイ42は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。また、ディスプレイ42は、表示部の一例である。
入力インターフェース43は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路44に出力する。例えば、入力インターフェース43は、医用情報の入力、各種コマンド信号の入力等を操作者から受け付ける。入力インターフェース43は、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッドである。入力インターフェース43は、処理回路44の各種処理等を行うためのマウスやキーボード、トラックボール、スイッチボタン、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現されてもよい。入力インターフェース43は、処理回路44に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換し制御回路へと出力する。なお、本明細書において、入力インターフェースは、マウス、キーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路44へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェースの例に含まれる。入力インターフェース43は、入力部の一例である。
処理回路44は、医用情報処理装置40全体の動作を制御する。処理回路44は、メモリ41内のプログラムを呼び出し実行することにより、取得機能441、選択機能442、判定機能443、特定機能444、転送判断機能445、及び表示制御機能446を実行するプロセッサである。
なお、図1においては、単一の処理回路44にて取得機能441、判定機能443、転送判断機能445、及び表示制御機能446が実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより各機能を実現するものとしても構わない。また、取得機能441、選択機能442、判定機能443、特定機能444、転送判断機能445及び表示制御機能446は、それぞれ取得回路、選択回路、判定回路、特定回路、転送判断回路、及び表示制御回路と呼んでもよく、個別のハードウェア回路として実装してもよい。処理回路44が実行する各機能についての上記説明は、以下の各実施形態及び変形例でも同様である。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、ASIC、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)等の回路を意味する。プロセッサはメモリ41に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、メモリ41にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。上記「プロセッサ」の説明は、以下の各実施形態及び変形例でも同様である。
処理回路44は、取得機能441により、特定の患者に関する医用情報を取得する。この際、処理回路44は、学習済みモデルの分類性能に関する閾値をさらに取得する。また、処理回路44は、入力項目毎に正確性に関する情報を取得し、正確性に関する情報に基づいて、正確性が高い入力項目のみを医用情報として取得する。正確性に関する情報は、例えば、入力項目について、正確性が高い、入力項目の正確性が低い、再検査などによる正確な情報の取得が可能である、再検査などによる正確な情報の取得が不可能である、等の情報を含む。正確性に関する情報は、正確度、信頼度、確信度等と呼ばれてもよい。取得機能441を実現する処理回路44は、取得部の一例である。
本実施形態では、処理回路44は、取得機能441により、臨床情報a1~a10のうち少なくとも1つを取得する。また、処理回路44は、取得機能441により、臨床情報a1~a10のそれぞれについて、正確性に関する情報(以下、正確度と呼ぶ)を取得する。臨床情報a1~a10及び正確度は、例えば、入力インターフェース43において医師が手動で入力することにより、取得される。臨床情報a1~a10及び正確度は、ネットワーク等を介して、HIS10、検査装置20等から取得してもよい。
また、処理回路44は、取得機能441により、学習済みモデルの分類性能に関する閾値として、適切な判断結果を得ることができる分類器の感度(以下、目標感度と呼ぶ)を取得する。目標感度は、入力インターフェース43において医師が手動で入力してもよく、予め所定の値が設定されていてもよい。目標感度は、学習済みモデルの分類性能に関する閾値の一例である。
処理回路44は、選択機能442により、医用情報を入力することにより医用判断に関する分類結果を出力する複数の学習済みモデルの中から、取得した医用情報が有する入力項目に対応する学習済みモデルを、医用判断に関する分類に使用する候補の学習済みモデル(以下、候補モデルと呼ぶ)として選択する。選択機能442を実現する処理回路44は、選択部の一例である。
本実施形態では、処理回路44は、選択機能442により、分類器C1~Cnの中から、医師により入力された臨床情報の項目の組み合わせに対応する分類器を転送判断に使用する候補モデルとして選択する。
処理回路44は、判定機能443により、候補モデルの分類性能に基づいて、候補モデルが分類性能に関する条件を満たすか否かを判定する。この際、処理回路44は、候補モデルの分類性能が閾値より大きいか否かを判定することにより、候補モデルが分類性能に関する条件を満たすか否かを判定する。判定機能443を実現する処理回路44は、判定部の一例である。
本実施形態では、処理回路44は、判定機能443により、候補モデルの感度が目標感度より大きいか否かを判定することにより、候補モデルが分類性能に関する条件を満たすか否かを判定する。
処理回路44は、特定機能444により、候補モデルが前記条件を満たさない場合、複数の学習済みモデルの中から分類性能に関する条件を満たす学習済みモデル(以下、適格モデルと呼ぶ)を特定し、適格モデルに対応する入力項目のうち、医用情報に含まれない入力項目を、適格モデルを使用するために追加で取得することが必要な項目(以下、追加項目と呼ぶ)として特定する。この際、処理回路44は、学習済みモデルのそれぞれに対して分類性能が閾値より大きいか否かを判定することにより、適格モデルを特定する。また、処理回路44は、正確性に関する情報に基づいて、正確な情報を取得可能な入力項目のみを追加項目として特定する。特定機能444を実現する処理回路44は、特定部の一例である。
本実施形態では、処理回路44は、特定機能444により、分類器C1~Cnの中から、感度が目標感度より大きい分類器を適格モデルとして特定し、感度が目標感度より大きい分類器に対応する入力項目のうち、取得した臨床情報に含まれない入力項目を、追加項目として特定する。
処理回路44は、転送判断機能445により、候補モデルが分類性能に関する条件を満たす場合、候補モデルに対して医用情報を入力することにより分類結果を取得し、候補モデルが分類性能に関する条件を満たさない場合、適格モデルに対して追加項目を含む医用情報を入力することにより分類結果を取得する。転送判断機能445を実現する処理回路44は、処理部の一例である。
本実施形態では、処理回路44は、転送判断機能445により、候補モデルの感度が目標感度より大きい場合、取得した臨床情報を候補モデルに入力することにより、包括型脳卒中センターへの患者の転送の要否を取得する。また、処理回路44は、候補モデルの感度が目標感度以下である場合、追加で取得した追加項目を含む臨床情報を候補モデルに入力することにより、包括型脳卒中センターへの患者の転送の要否を取得する。
処理回路44は、表示制御機能446により、ディスプレイ42に学習済みモデルによる分類結果を出力する。また、処理回路44は、表示制御機能446により、ディスプレイ42に追加項目を出力する。この際、処理回路44は、適格モデルごとに追加項目を表示する表示画面データを出力する。また、処理回路44は、追加項目の種類が少ない順に適格モデルを表示する表示画面データを出力する。また、処理回路44は、適格モデルの分類性能が高い順に適格モデルを表示する表示画面データを出力する。また、処理回路44は、表示制御機能446により、患者に関する医用情報を取得するための入力画面(以下、医用情報入力画面と呼ぶ)を、ディスプレイ42に出力する。表示制御機能446を実現する処理回路44は、出力部の一例である。
なお、適格モデルの追加項目を表示する順番は、医師等のユーザの入力により適宜設定されてもよい。また、表示される追加項目は、一つずつ表示されてもよく、全ての適格モデルに対する追加項目が一度に表示されてもよい。また、ユーザ設定により、追加項目の種類が所定の数以下の適格モデルのみが表示されるように設定されてもよい。
また、処理回路44は、医用情報処理装置40とは異なる外部装置にネットワーク等を介して、学習済みモデルによる分類結果や追加項目を表示する表示画面データを出力してもよい。
次に、医用情報処理装置40により実行される転送判断支援処理の動作について説明する。転送判断支援処理とは、医師が入力した臨床情報のうち確実に正しいものを入力とする分類器を選択し、選択された分類器の分類性能が閾値より高い場合、選択された分類器による分類結果を出力し、選択された分類器の分類性能が閾値より低い場合、閾値よりも高い分類性能を有する分類器を使用するために最低限必要な臨床情報を提示し、適切な分類結果を得るために必要な情報収集を促す処理である。
なお、以下で説明する転送判断支援処理における処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な限り適宜変更可能である。また、以下で説明する処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換、及び追加が可能である。
図3は、本実施形態に係る転送判断支援処理の手順の一例を示すフローチャートである。例えば、医師は、1次脳卒中センターにおいてtPA(tissue plasminogen activator)が患者に投与された後に、入力インターフェース43において転送判断支援処理を開始させる指示を入力する。処理回路44は、入力インターフェース43において転送判断支援処理を開始させる指示が入力されたことに基づいて、転送判断支援処理を開始する。医師は、ユーザの一例である。
(転送判断支援処理)
(ステップS101)
処理回路44は、表示制御機能446により、患者に関する臨床情報及び正確度を取得するための入力画面(以下、医用情報入力画面と呼ぶ)を、ディスプレイ42に表示する。医師は、入力インターフェース43において、臨床情報及び正確度を入力する。入力される臨床情報は、例えば、1次脳卒中センターへの救急車での搬送時に救急隊員によって取得されたものでもよく、1次脳卒中センターにおいて担当医によって取得されたものでもよく、HIS10から取得された過去の情報であってもよい。また、1次脳卒中センターにおいて取得された臨床情報は、tPA投与前に取得されたものでもよく、tPA投与後に取得されたものでもよい。処理回路44は、臨床情報及び正確度が入力されたことに基づいて、取得機能441により、臨床情報及び正確度を取得する。また、医師は、入力インターフェース43において、目標感度を入力する。処理回路44は、目標感度が入力されたことに基づいて、取得機能441により、目標感度を取得する。
図4は、医用情報入力画面の一例を示す図である。「入力項目」には、想定される臨床情報a1~a10の種類の名称が表示されている。「入力情報」には、臨床情報に関する患者の情報が、臨床情報の種類毎に表示されている。「正確度」には、患者の情報に関する正確度が、臨床情報の種類毎に表示されている。図4の一例では、「正確度」には、「〇」、「×」、「?」のうちいずれかが入力される。「〇」は、「入力情報」に入力された情報が確実である場合、又は、「入力情報」に入力された情報が正しい場合に入力される。「×」は、「入力情報」に入力された情報が確実に間違っている場合、情報が取得できない(不明である)場合、又は、「入力情報」に情報が入力されていない場合に入力される。「?」は、「入力情報」に入力された情報が不確実である場合、又は、「入力情報」に入力された情報が正しいか否かが分からない場合に入力される。例えば、「年齢」に対する入力情報の「20」が正しいか否かが分からない場合、医師は、「正確度」として「?」を入力する。また、例えば、「性別」に対する入力情報の「M」(男性)が正しい場合、医師は、「正確度」として「〇」を入力する。また、例えば、「発症時刻」に対して入力情報が入力されていないため、医師は、「正確度」として「×」を入力する。
(ステップS102)
処理回路44は、選択機能442により、ステップS101の処理で取得した臨床情報に基づいて、分類器C1~Cnの中から、取得した臨床情報の組み合わせに対応する分類器を、候補モデルとして選択する。この際、処理回路44は、ステップS101の処理で取得した臨床情報のうち、正確度が高い臨床情報のみに基づいて、候補モデルを選択する。例えば、図4の一例では、「正確度」に「〇」が入力されている「性別」、「意識」、「core volume」に対する「入力情報」のみに基づいて、「性別」、「意識」、「core volume」の組み合わせに対応する分類器を分類器C1~Cnの中から選択する。
(ステップS103)
処理回路44は、判定機能443により、候補モデルの感度と目標感度とを比較する。処理回路44は、候補モデルの感度が目標感度より大きい場合(S103-Yes)、候補モデルの分類性能が十分であると判定する。この場合、処理はステップS104に進む。候補モデルの感度が目標感度以下である場合(S103-No)、処理回路44は、候補モデルの分類性能が十分でないと判定する。この場合、処理はステップS105に進む。例えば、目標感度が「50%」で、かつ、候補モデルの感度が「80%」である場合、処理回路44は、候補モデルの感度が医師の入力した目標感度より大きいため、候補モデルの分解性能が十分であると判定する。一方、例えば、目標感度が「50%」で、かつ、候補モデルの感度が「40%」である場合、処理回路44は、候補モデルの感度が医師の入力した目標感度以下であるため、候補モデルの分解性能が十分でないと判定する。
(ステップS104)
処理回路44は、転送判断機能445により、ステップS101の処理で取得した臨床情報を候補モデルに適用する。これにより、処理回路44は、ステップS101の処理で取得した臨床情報に基づいた、包括型脳卒中センターへの患者の転送の要否の判定結果を取得する。
(ステップS105)
処理回路44は、特定機能444により、分類器C1~Cnの感度と目標感度とに基づいて、分類器C1~Cnの中から感度が目標感度よりも大きい分類器を、適格モデルとして特定する。例えば、ステップS101の処理において、目標感度として「50」が入力された場合、分類器C1~Cnのうち感度が50より大きい全ての分類器が、適格モデルとして特定される。
(ステップS106)
処理回路44は、特定機能444により、ステップS101の処理において取得した臨床情報と、ステップS105の処理において特定した適格モデルとに基づいて、適格モデル毎に追加項目を特定する。この際、処理回路44は、特定した適格モデルのそれぞれについて、適格モデルに対応する臨床情報の組み合わせから、ステップS101の処理において取得した臨床情報を除くことにより、追加項目を特定する。また、処理回路44は、特定した適格モデルのそれぞれについて、適格モデルに対応する臨床情報の組み合わせから取得した臨床情報を除いた項目のうち、正確度が「?」である項目のみを、追加項目として特定する。すなわち、正確度が「×」である項目は、追加項目として特定されない。
(ステップS107)
処理回路44は、表示制御機能446により、追加項目が表示される表示画面(以下、追加項目提示画面と呼ぶ)を、ディスプレイ42に表示する。追加項目提示画面では、追加項目が適格モデル毎に表示される。追加項目提示画面では、追加項目が適格モデル毎に表示され、かつ、適格モデルは、追加項目の種類が少ない順に表示される。
図5は、追加項目提示画面の一例を示す図である。図5は、医師により臨床情報a1、a5、a6が入力され、臨床情報a1、a5、a6の組み合わせに対応する分類器の感度が「40%」であり、医師により入力された目標感度が「50%」である場合に表示される追加項目提示画面を示している。追加項目提示画面では、上から、追加項目の種類数が少ない順に、適格モデルとして特定された分類器の追加項目と、分類器の感度が表示される。追加項目の種類数が同じである場合、上から、分類器の感度が大きい順に、分類器の追加項目と、分類器の感度が表示される。例えば、上から一列目には、追加項目の種類数が1つであり、入力する臨床情報が「a1、a5,a6、a7」である分類器について、追加項目である「a7」と、この分類器の感度である「70%」とが表示されている。また、最も下の列には、追加項目の種類数が7つであり、入力する臨床情報が「a1~a10」である分類器について、追加項目である「a2、a3、a4、a7、a8、a9、a10」と、この分類器の感度である「95%」とが表示されている。
(ステップS108)
処理回路44は、追加項目を適格モデル毎にディスプレイ42に表示した後、追加項目を取得するまで待機する(ステップS108-No)。例えば、医師により入力インターフェース43において追加項目が入力されると(ステップS108-Yes)、処理回路44は、追加項目を取得する。そして、処理は、ステップS109に進む。
(ステップS109)
処理回路44は、選択機能442により、ステップS101の処理で取得した臨床情報と、ステップS108の処理で取得した追加項目とに基づいて、追加項目を含む臨床情報の組み合わせに対応する分類器を、適格モデルの中から選択する。例えば、入力項目として臨床情報a1、a5、a6が入力され、追加項目として臨床情報a7が入力された場合、臨床情報a1、a5、a6、a7の組み合わせに対応する分類器が選択される。
(ステップS110)
処理回路44は、転送判断機能445により、ステップS101の処理で取得した臨床情報とステップS109の処理で取得した追加項目とを、ステップS109の処理で選択した適格モデルに適用する。これにより、処理回路44は、適格モデルに対応する項目を全て含む医用情報を適格モデルに適用することにより、適格モデルによる転送の要否の判定結果を取得する。
(ステップS111)
処理回路44は、表示制御機能446により、ステップS104の処理又はステップS110の処理で取得した、転送の要否の判定結果を表示する表示画面をディスプレイ42に出力し、転送の要否の判定結果をディスプレイ42に表示する。
以下、本実施形態に係る医用情報処理装置40の効果について説明する。
本実施形態の医用情報処理装置40は、取得部と、選択部と、判定部と、特定部と、出力部と、を備える。取得部は、特定の患者に関する医用情報を取得する。選択部は、医用情報を入力することにより医用判断に関する分類結果を出力する複数の学習済みモデルの中から、医用情報が有する入力項目に対応する学習済みモデルを候補モデルとして選択する。判定部は、候補モデルの分類性能に基づいて、候補モデルが分類性能に関する条件を満たすか否かを判定する。特定部は、候補モデルが当該条件を満たさない場合、学習済みモデルの中から条件を満たす適格モデルを特定し、適格モデルに対応する入力項目のうち、医用情報に含まれない入力項目を追加項目として特定する。出力部は、追加項目を出力する。
このように、本実施形態では、医用情報が有する入力項目に対応して適切な分類結果が得られない場合、不足している入力項目が追加項目として出力されるため、医療現場において、適切な分類結果を得るために必要な追加項目を適切に提示することができる。提示された追加項目の医用情報は、検査等により追加で取得することができる。
また、医用情報処理装置40は、処理部と記憶部とをさらに備える。処理部は、候補モデルが条件を満たす場合、候補モデルに対して医用情報を入力することにより分類結果を取得し、候補モデルが当該条件を満たさない場合、適格モデルに対して追加項目を含む医用情報を入力することにより分類結果を取得する。複数の学習済みモデルは、対応する入力項目の組み合わせが異なる。記憶部は、入力項目として想定される項目のうち全ての項目の組み合わせに対応する数の学習済みモデルを記憶する。
このように、本実施形態では、医用情報が有する入力項目に対応して適切な分類結果が得られない場合でも、追加項目を含む医用情報を入力することにより、医用判断に関する適切な分類結果を得ることができる。
また、取得部は、学習済みモデルの分類性能に関する閾値をさらに取得し、判定部は、候補モデルの分類性能が閾値より大きいか否かを判定することにより、候補モデルが分類性能に関する条件を満たすか否かを判定し、特定部は、学習済みモデルのそれぞれに対して分類性能が閾値より大きいか否かを判定することにより、適格モデルを特定する。また、分類性能は、感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率、偽陽性率、及び偽陰性率のうちの少なくとも1つを含む。
このように本実施形態では、感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率、偽陽性率、及び偽陰性率のうちの少なくとも1つを含む分類性能に関する条件に基づいて適格モデルを特定することにより、感度や、特異度や、陽性的中率、陰性的中率、偽陽性率、及び偽陰性率といった精度の観点から、適切な分類結果を得ることができる。
具体的には、医用情報は、脳梗塞を患った特定の患者に関する情報であり、分類結果は、血管内治療を実行可能な施設への患者の転送の要否である。例えば、医師による入力により取得された患者の臨床情報に基づいて、臨床情報を入力することにより血管内治療を実行可能な施設への転送の要否の判断結果を出力する複数の分類器の中から、入力された臨床情報が含む入力項目に対応する分類器が候補モデルとして選択される。候補モデルの感度が目標感度以下である場合、感度が目標感度よりも大きい分類器が適格モデルとして特定され、適格モデルに対応する入力項目のうち、入力された臨床情報に含まれない入力項目が追加項目として特定される。特定された追加項目は、例えばディスプレイ42に出力されることにより、医師に提示される。そして、追加項目を含む臨床情報に基づいて、血管内治療を実行可能な施設への転送の要否の判断結果が取得される。
すなわち、上記の構成及び動作により、本実施形態の医用情報処理装置40によれば、例えば、医師により入力された臨床情報に対応する適切な分類器がない場合、転送判断をより適切に行うために必要な最低限の追加の入力項目を提示することができる。医師は、提示された追加項目を確認することにより、所望の精度を超える転送判断を得るために追加で収集すべき情報を確認することができる。これにより、適切な転送判断を得るために必要な情報収集を、医師に促すことができる。また、医師は、最低限必要な臨床情報のみを追加で取得することにより、効果的に転送判断を行うことができる。
本実施形態に関する比較例として、従来技術について補足する。従来は、1次脳卒中センター等の医療現場において、血栓回収療法の要否や転送判断等といった適切な分類結果を得るために必要な医用情報を適切に得ることが困難な場合がある。
例えば、比較例のドリップ&シップの際に問題となることは、どのような患者を1次脳卒中センターから包括型脳卒中センターへ搬送するかという転送判断である。ドリップ&シップの際において、全ての患者に血栓回収療法が必要な訳ではない。また、tPAのみで再開通可能な患者、あるいは血栓回収療法を施術しても効果のない患者は、コストの観点等で転送対象とはなり得ない。特に前者で問題となるのは、tPAを投与してもすぐ効果が出る訳ではないため、包括型脳卒中センターへ転送すると判断したが、転送中の救急車内で効果が出て、結果的に転送の必要がなかったというケースがあり得ることである。
この問題の解決策として、機械学習等の分類器を用いて適切な転送判断を行うという他の比較例が考えられる。他の比較例の分類器は、1次脳卒中センターにおいて入手可能な臨床情報を入力として、tPA投与群の患者の内、転機良好な患者群を推論することにより、医師が判断するよりも適切に転送するか否かの解を得ることができる。
ただし、1次脳卒中センターにおいて、時間的制約やヒューマンリソース、設備の観点から、期待する臨床情報が、常に全て正確かつ確実に得られるとは限らない。例えば、十分な訓練を積んでいない医師は、麻痺の判断が正確にできない場合がある。また、例えば、患者が言語障害を患っている場合に、年齢を正しく聞き取れない可能性がある。さらに、症状の発症時刻など、ウェイクアップストローク(wake-up stroke)の際には得ることができないような情報もある。これらの情報のうちいくつかの情報は、時間をかけて熟練した医師に協力を求めるといった方法で取得することができる。しかし、急性期脳梗塞の治療のような救急の現場では時間を優先すべきであるため、全ての情報を詳細に得ることは得策ではない。このような場合、他の比較例では、分類器が期待する入力情報を揃えることができず、分類器が適用できない、または分類器が適切に作動しないということが起こり得る。
このように、医療現場において、期待する臨床情報が得られないことから、適切な分類結果を得るために必要な医用情報を適切に得ることが困難な場合がある。
一方、本実施形態によれば、前述した通り、入力された臨床情報に対応する適切な分類器がない場合、医師の意思決定をより適切に行うために必要な最低限の追加の入力項目を提示することができる。従って、医療現場において、適切な分類結果を得るために必要な医用情報を適切に得ることができる。
また、取得部は、入力項目毎に医用情報の正確性に関する情報を取得し、正確性が高い入力項目のみを医用情報として取得する。また、特定部は、適格モデルに対応する入力項目のうち、取得可能な入力項目のみを追加項目として特定する。したがって、本実施形態では、正確な情報を取得できない項目は追加項目として採用されず、正確な情報を取得可能な項目のみが追加項目として医師に提示される。そして、正確な情報のみが分類器に適用されることにより、医師は、適切な判定結果を得ることができる。
また、出力部は、適格モデルごとに追加項目を表示する表示画面データを出力する。表示画面データは、追加項目の種類が少ない順に、かつ、分類性能が高い順に、適格モデルを表示する。したがって、本実施形態では、追加項目の種類が少ない順に、かつ、感度が高い順に、目標感度よりも大きい感度の分類器が表示される。
すなわち、上記の構成及び動作により、本実施形態の医用情報処理装置40によれば、医師は、追加項目を取得することが容易で、かつ、分類性能が高い分類器に関する情報を優先的に得ることができる。
(第1の実施形態の第1の変形例)
第1の実施形態の第1の変形例について説明する。本変形例は、第1の実施形態の構成を以下の通りに変形したものである。本変形例では、追加項目提示画面に表示される追加項目の表示態様が、第1の実施形態に対して異なる。第1の実施形態と同様の構成、動作、及び効果については、説明を省略する。
処理回路44は、表示制御機能446により、追加項目を出力する。この際、処理回路44は、取得困難度が低い順に、かつ、適格モデル毎に、追加項目と取得困難度とを表示する表示画面データをディスプレイ42に出力する。
取得困難度は、例えば、検査などにより正確な情報を取得することの難しさを示す。取得困難度は、例えば、追加項目として想定される各臨床情報のそれぞれについて予め設定されている。例えば、正確な情報を取得するために長い検査時間を要する項目には、取得困難度として高い値が設定される。例えば、顔面麻痺のように、約2分程度の追加作業で取得可能な項目には、取得困難度として低い値が設定される。処理回路44は、適格モデルに対応する各追加項目の取得困難度を合計することにより、適格モデル毎に、追加項目の取得困難度を算出する。取得困難度は、困難度又は追加取得確認困難度等と呼ばれてもよい。
なお、取得困難度は、予め設定されてもよく、例えば学習済みモデルを用いて算出されてもよい。また、例えば、失語の患者に対しては、一部の項目の取得困難度が変更されるように設定されていてもよい。
図6は、本変形例においてディスプレイ42に表示される追加項目提示画面の一例を示す図である。図6は、医師により臨床情報a1、a5,a6が入力され、臨床情報a1、a5,a6の組み合わせに対応する分類器の感度が「40%」であり、医師により入力された目標感度が「50%」である場合に表示される追加項目提示画面を示している。追加項目提示画面では、上から、困難度が小さい順に、適格モデルとして特定された分類器の追加項目と、分類器の感度と、取得困難度が表示される。取得困難度が同じである場合、例えば、上から、分類器の感度が大きい順に表示される。例えば、上から一列目には、取得困難度が1であり、入力する臨床情報が「a1、a5,a6、a7」である分類器について、追加項目である「a7」と、この分類器の感度である「70%」と、取得困難度として「困難度1」とが表示されている。また、最も下の列には、取得困難度が10で、入力する臨床情報が「a1~a10」である分類器について、追加項目である「a2、a3,a4、a7、a8、a9、a10」と、この分類器の感度である「95%」と、取得困難度として「困難度10」とが表示されている。
本変形例では、医用情報処理装置40は、取得困難度が低い順に、適格モデル毎に追加項目を表示する。したがって、本変形例では、医師は、追加で正確な情報を取得することが容易な項目に関する情報を優先的に得ることができる。
(第1の実施形態の第2の変形例)
第1の実施形態の第2の変形例について説明する。本変形例は、第1の実施形態の構成を以下の通りに変形したものである。本変形例では、医用情報処理装置40は、多層のネットワークモデル(未学習モデル)を学習させることにより、学習済みモデルとして分類器C1~Cnを生成する機能を有する。第1の実施形態と同様の構成、動作、及び効果については、説明を省略する。
図7は、本変形例に係る医用情報処理装置40の構成例を示す図である。本変形例では、メモリ41は、分類器C1~Cnの学習に用いる学習データセットを記憶する。
処理回路44は、第1の実施形態で説明した各機能に加えて、学習機能447を実行する。処理回路44は、学習機能447により、学習データセットを多層のネットワークモデル(未学習モデル)に学習させることにより、学習済みモデルとして分類器C1~Cnを生成する。なお、学習機能447は、医用情報処理装置40とは異なる装置に搭載される処理回路によって実行されてもよい。
図8は、分類器の学習に用いられる学習データセットの一例を示す。図8は、一例として、臨床情報a1、臨床情報a5、臨床情報a6を入力することにより、患者の転送要否を出力する分類器の学習に用いられる学習データセットを示している。
学習データセットは、複数の学習サンプルを含む。複数の学習サンプルは、同一の患者のものであってもよく、異なる患者のものであってもよい。学習サンプルのそれぞれは、急性期脳梗塞の患者として1次脳卒中センターに搬送された同一の患者についての、臨床情報a1、臨床情報a5、臨床情報a6、及び転送要否情報を含む。臨床情報a1、臨床情報a5及び臨床情報a6は、ドリップ&シップによる急性期脳梗塞の患者の一連の治療過程の中で、1次脳卒中センター内又は1次脳卒中センターへの搬送時において取得された情報である。臨床情報a1、臨床情報a5及び臨床情報a6は、学習時における訓練データと呼ばれてもよい。転送要否情報は、1次脳卒中センターから包括型脳卒中センターへの転送が結果的に必要であったか否かを示す情報である。転送要否情報は、訓練時における教師データと呼ばれてもよい。
本変形例では、医用情報処理装置40又は他の装置は、患者の転送要否を出力する分類器の学習データセットを未学習モデルに学習させることにより、学習済みモデルとして分類器C1~Cnを生成する。したがって、本変形例では、医用情報処理装置40又は他の装置により、第1の実施形態の作用効果を奏する分類器C1~Cnを生成することができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態について説明する。本実施形態は、第1の実施形態の構成を以下の通りに変形したものである。本実施形態では、医用システム1は、腹部疼痛の患者に対する治療方針を決定する施設に設けられる。医用情報処理装置40は、腹部疼痛の原因特定のために最低限必要な検査の項目名(以下、検査項目と呼ぶ)を提示する。第1の実施形態と同様の構成、動作、及び効果については、説明を省略する。
図9は、本実施形態に係る医用情報処理装置40を含む医用システム1の構成を示す図である。検査装置20は、例えば、末梢性検査、尿検査、糞便検査、血液生化学検査、腹部X線検査、胃液検査等を行う各種医用装置である。
本実施形態では、医用情報は、医用判断を行うために行う検査項目と、検査項目毎の検査結果とを含む。分類結果は、例えば、診断方法、治療方法、転院の判断、症状の原因の特定結果、精密検査が必要であるか否か等である。検査項目は、入力項目の一例である。
以下、一例として、腹部疼痛の原因を特定するために行う検査項目と検査結果とを入力することにより腹部疼痛の原因と推論される疾患の名称を出力する分類器C1~Cnを用いる構成について、説明する。
分類器C1~Cnは、対応する検査項目の組み合わせが異なる。メモリ41は、検査項目として想定される全ての項目の組み合わせに対応する数の分類器を記憶する。すなわち、メモリ41は、想定している検査項目のあり得る組み合わせを入力として推論を行う分類器群を備える。
検査項目は、例えば、末梢性検査、尿検査、糞便検査、血液生化学検査、腹部X線検査、胃液検査等である。本実施形態では、一例として、10種類の検査項目b1~b10が検査項目として想定され、検査項目b1~b10のそれぞれの検査結果のうち少なくとも1つが分類器C1~Cnに対する入力として想定される場合について説明する。また、本実施形態では、一例として、分類性能として「感度」が用いられる構成について説明する。
本実施形態では、メモリ41には、検査項目b1~b10のうち10種類の検査結果を入力として生成された1010(=1)個の分類器、検査項目b1~b10のうち9種類の検査結果を入力として生成された109(=10)個の分類器、…及び検査項目b1~b10のうち1種類の検査結果を入力として生成された101(=10)個の分類器が予め記憶されている。すなわち、メモリ41には、n(=1010109+…101)個の分類器が予め記憶されている。
図10は、分類器における入力と出力の関係の一例を示す概略図である。図10は、一例として、検査項目b1、検査項目b5、検査項目b6の検査結果を入力することにより、分類結果を出力する分類器について示している。分類結果は、例えば、腹部疼痛の原因と推論される疾患の名称である。
処理回路44は、医用情報処理装置40全体の動作を制御する。処理回路44は、メモリ41内のプログラムを呼び出し実行することにより、取得機能441、選択機能442、判定機能443、特定機能444、表示制御機能446、及び分類機能448を実行するプロセッサである。
本実施形態では、処理回路44は、取得機能441により、検査項目b1~b10のうち少なくとも1つを取得する。検査項目b1~b10は、例えば、入力インターフェース43において医師が手動で入力することにより、取得される。また、処理回路44は、目標感度を取得する。目標感度は、入力インターフェース43において医師が手動で入力してもよく、予め所定の値が設定されていてもよい。
本実施形態では、処理回路44は、選択機能442により、分類器C1~Cnの中から、医師により入力された検査項目の組み合わせに対応する分類器を分類結果の推論に使用する候補モデルとして選択する。
本実施形態では、処理回路44は、判定機能443により、候補モデルの感度が目標感度より大きいか否かを判定することにより、候補モデルが分類性能に関する条件を満たすか否かを判定する。
本実施形態では、処理回路44は、特定機能444により、分類器C1~Cnの中から、感度が目標感度より大きい分類器を適格モデルとして特定し、感度が目標感度より大きい分類器に対応する検査項目のうち、取得した検査項目に含まれない項目を、追加項目として特定する。
本実施形態では、処理回路44は、表示制御機能446により、候補モデルの感度が目標感度より大きい場合、候補モデルの感度をディスプレイ42に出力する。また、候補モデルの感度が目標感度以下である場合、処理回路44は、ディスプレイ42に追加項目を出力する。この際、処理回路44は、適格モデルごとに、かつ、適格モデルの追加項目の種類が少ない順に、かつ、適格モデルの感度が低い順に、追加項目を表示する表示画面データを出力する。
本実施形態では、処理回路44は、分類機能448により、医師等のユーザにより入力された検査結果を候補モデル又は適格モデルに入力することにより、腹部疼痛の原因と推論される疾患の名称を取得する。取得された疾患の名称は、表示制御機能446により、ディスプレイ42に出力される。
次に、医用情報処理装置40により実行される分類支援処理の動作について説明する。分類支援処理とは、医師が入力した検査項目を入力とする分類器を選択し、選択された分類器の分類性能が閾値より低い場合、閾値よりも高い分類性能を有する分類器を使用するために最低限必要な検査項目を提示し、治療方法、治療計画等の決定を支援する処理である。
なお、以下で説明する分類支援処理における処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な限り適宜変更可能である。また、以下で説明する処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換、及び追加が可能である。
図11は、本実施形態に係る分類支援処理の手順の一例を示すフローチャートである。例えば、医師は、腹部疼痛の患者に対してこれから行う検査項目を決定した後、入力インターフェース43において分類支援処理を開始させる指示を入力する。処理回路44は、入力インターフェース43において分類支援処理を開始させる指示が入力されたことに基づいて、分類支援処理を開始する。
(分類支援処理)
(ステップS201)
処理回路44は、表示制御機能446により、患者に関する検査項目、及び目標感度を取得するための医用情報入力画面を、ディスプレイ42に表示する。医師は、入力インターフェース43において、検査項目及び目標感度を入力する。処理回路44は、検査項目及び目標感度が入力されたことに基づいて、取得機能441により、検査項目及び目標感度を取得する。
(ステップS202)
処理回路44は、選択機能442により、ステップS101の処理で取得した検査項目に基づいて、分類器C1~Cnの中から、取得した検査項目の組み合わせに対応する分類器を、候補モデルとして選択する。
(ステップS203)
処理回路44は、判定機能443により、候補モデルの感度と目標感度とを比較する。処理回路44は、候補モデルの感度が目標感度より大きい場合(S203-Yes)、候補モデルの分類性能が十分であると判定する。この場合、処理はステップS204に進む。候補モデルの感度が目標感度以下である場合(S203-No)、処理回路44は、候補モデルの分類性能が十分でないと判定する。この場合、処理はステップS205に進む。
(ステップS204)
処理回路44は、表示制御機能446により、候補モデルの感度をディスプレイ42に表示する。医師は、候補モデルの感度を確認することにより、入力した検査項目での検査結果を入力することにより、目標感度を超える精度の分類結果を得ることができることを確認する。この際、入力した検査項目での検査結果を入力することにより、目標感度を超える精度の分類結果を得ることができることを示す表示をディスプレイ42に表示させてもよい。そして、処理は、ステップS208に進む。
(ステップS205)
処理回路44は、特定機能444により、分類器C1~Cnの感度と目標感度とに基づいて、分類器C1~Cnの中から感度が目標感度よりも大きい分類器を、適格モデルとして特定する。
(ステップS206)
処理回路44は、特定機能444により、ステップS201の処理において取得した検査項目と、ステップS205の処理において特定した適格モデルとに基づいて、適格モデル毎に追加項目を特定する。この際、処理回路44は、特定した適格モデルのそれぞれについて、適格モデルに対応する検査項目の組み合わせから、ステップS101の処理において取得した検査項目を除くことにより、追加項目を特定する。
(ステップS207)
処理回路44は、表示制御機能446により、追加項目提示画面を、ディスプレイ42に表示する。追加項目提示画面では、追加項目が適格モデル毎に表示される。追加項目提示画面では、追加項目が適格モデル毎に表示される。また、追加項目提示画面では、適格モデルは、追加項目の種類が少ない順に、かつ、感度が小さい順に表示される。
図12は、追加項目提示画面の一例を示す図である。図12は、医師により検査項目b1、b5、b6が入力され、検査項目b1、b5、b6の組み合わせに対応する分類器の感度が「40%」であり、医師により入力された目標感度が「50%」である場合に表示される追加項目提示画面を示している。追加項目提示画面では、上から、追加項目の種類数が少ない順に、適格モデルとして特定された分類器の追加項目と、分類器の感度が表示される。追加項目の種類数が同じである場合、上から、分類器の感度が小さい順に、分類器の追加項目と、分類器の感度が表示される。例えば、上から一列目には、追加項目の種類が1つであり、入力する検査項目が「b1、b5,b6、b7」である分類器について、追加項目である「b7」と、この分類器の感度である「50%」とが表示されている。また、上から二列目には、追加項目の種類が1つであり、入力する臨床情報が「b1、b5,b6、b8」である分類器について、追加項目である「b8」と、この分類器の感度である「60%」とが表示されている。
(ステップS208)
処理回路44は、検査結果を取得するまで待機する(ステップS208-No)。例えば、医師により入力インターフェース43において検査結果が入力されると(ステップS208-Yes)、処理回路44は、入力された検査結果を取得する。
(ステップS209)
処理回路44は、選択機能442により、ステップS208の処理で取得した検査結果に対応する検査項目に基づいて、検査項目の組み合わせに対応する分類器を選択する。例えば、検査項目b1、b5、b6、b7の検査結果が入力された場合、検査項目b1、b5、b6、b7の組み合わせに対応する分類器が選択される。
(ステップS210)
処理回路44は、分類機能448により、ステップS208の処理で取得した検査結果を、ステップS209の処理で選択した分類器に適用する。これにより、処理回路44は、腹部疼痛の原因と推論される疾患の名称を取得する。
(ステップS211)
処理回路44は、表示制御機能446により、ステップS210の処理で取得した疾患の名称をディスプレイ42に表示する。
以下、本実施形態に係る医用情報処理装置40の効果について説明する。
本実施形態では、医師による入力により取得された検査項目に基づいて、検査結果を入力することにより分類結果を出力する複数の分類器の中から、入力された検査項目に対応する分類器が候補モデルとして選択される。候補モデルの感度が目標感度以下である場合、感度が目標感度よりも大きい分類器が適格モデルとして特定され、適格モデルに対応する検査項目のうち、入力された検査項目に含まれない項目が追加項目として特定される。特定された追加項目は、例えばディスプレイ42に出力されることにより、医師に提示される。
すなわち、上記の構成及び動作により、本実施形態の医用情報処理装置40によれば、医師は、例えば、腹部疼痛の患者に対する治療計画を作成する際において、実行する予定の検査項目による検査結果を用いて原因となる疾患の名称を特定する分類器を使用した場合に、所望の精度以上の分類結果を得ることができるかどうかを、事前に把握することができる。また、実行する予定の検査項目だけでは所望の精度以上の分類結果を得ることができない場合、所望の精度以上の分類結果を得るために追加で実行することが必要な最低限の検査項目を、確認することができる。これにより、所望の精度以上の分類結果を得るために必要な検査のみを効率的に実行することができる。
本実施形態に関する比較例として、従来技術について補足する。従来は、腹部疼痛の患者の治療の際には、診断方法の決定、治療方法の決定、及び転院の判断等をするために、各種検査が必要となる。現在は、ガイドラインや各種知見に基づき、これらの判断を行っている。必要な検査としては、末梢性検査、尿検査、糞便検査、血液生化学検査、腹部X線検査、胃液検査等がある。
この際、機械学習モデルを用いてこれらの判断を支援する技術が知られている。より具体的には、現在一般的に使用されている検査項目に対応する結果を入力として、期待する分類を推論結果とする機械学習モデルが用いられる。機械学習は、独立した関連する入力項目が多いほど、より高い分類性能を実現することができると思われる。しかし、実際の検査においては、感度/特異度などのうち重視すべきパラメータや、求める分解性能は異なる。例えば、厳密な確定診断のレベルで正確に10分類する必要があるシチュエーションや、見落としを少なくするため、感度を重視して精密検査を行うか否かの2分類を判断するようなシチュエーションが存在する。また、検査を全て行うにはいくつもの部署をまたぐことになり、時間・コストの観点で負荷が高い。しかしながら、臨床現場において、期待する判断精度を満たすために必要な最小限な検査のみを行うということができていない。
このように、医療現場において、期待する判断精度を満たすための検査のみを行うことができていないことから、適切な分類結果を得るために必要な医用情報を適切に得ることが困難な場合がある。
一方、本実施形態によれば、前述した通り、入力された検査項目に対応する適切な分類器がない場合、医師の意思決定をより適切に行うために必要な最低限の追加の検査項目を提示することができる。従って、医療現場において、適切な分類結果を得るために必要な医用情報を適切に得ることができる。
(第2の実施形態の第1の変形例)
第2の実施形態の第1の変形例について説明する。本変形例は、第2の実施形態の構成を以下の通りに変形したものである。本変形例では、医用情報処理装置40は、多層のネットワークモデル(未学習モデル)を学習させることにより、学習済みモデルとして分類器C1~Cnを生成する機能を有する。第2の実施形態と同様の構成、動作、及び効果については、説明を省略する。
図13は、本変形例に係る医用情報処理装置40の構成例を示す図である。本変形例では、メモリ41は、分類器C1~Cnの学習に用いる学習データセットを記憶する。
処理回路44は、第2の実施形態で説明した各機能に加えて、学習機能447を実行する。処理回路44は、学習機能447により、学習データセットを多層のネットワークモデル(未学習モデル)に学習させることにより、学習済みモデルとして分類器C1~Cnを生成する。
図14は、分類器の学習に用いられる学習データセットの一例を示す。図14は、一例として、検査項目b1の検査結果、検査項目b5の検査結果、検査項目b6の検査結果を入力することにより、腹部疼痛の原因となる疾患の名称を出力する分類器の学習に用いられる学習データセットを示している。
学習データセットは、複数の学習サンプルを含む。複数の学習サンプルは、同一の患者のものであってもよく、異なる患者のものであってもよい。学習サンプルのそれぞれは、同一の患者についての、検査項目b1の検査結果、検査項目b5の検査結果、検査項目b6の検査結果、及び疾患情報を含む。検査項目b1の検査結果、検査項目b5の検査結果及び検査項目b6の検査結果のそれぞれは、腹部疼痛の治療時の際に取得された実際の検査結果である。検査項目b1の検査結果、検査項目b5の検査結果及び検査項目b6の検査結果は、学習時における訓練データと呼ばれてもよい。疾患情報は、実際に腹部疼痛の原因であった疾患の名称である。疾患情報は、学習時における教師データと呼ばれてもよい。
本変形例では、医用情報処理装置40又は他の装置は、腹部疼痛の原因となる疾患の名称を出力する分類器の学習データセットを未学習モデルに学習させることにより、学習済みモデルとして分類器C1~Cnを生成する。したがって、本変形例では、医用情報処理装置40又は他の装置により、第2の実施形態の作用効果を奏する分類器C1~Cnを生成することができる。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、医療現場において、適切な分類結果を得るために必要な医用情報を適切に得ることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1…医用システム
10…HIS
20…検査装置
40…医用情報処理装置
41…メモリ
42…ディスプレイ
43…入力インターフェース
44…処理回路
441…取得機能
442…選択機能
443…判定機能
444…特定機能
445…転送判断機能
446…表示制御機能
447…学習機能
448…分類機能
C1~Cn…分類器
a1~a10…臨床情報
b1~b10…検査項目

Claims (15)

  1. 特定の患者に関する医用情報を取得する取得部と、
    前記医用情報を入力することにより医用判断に関する分類結果を出力する複数の学習済みモデルの中から、前記医用情報が有する入力項目に対応する学習済みモデルを候補モデルとして選択する選択部と、
    前記候補モデルの分類性能に基づいて、前記候補モデルが分類性能に関する条件を満たすか否かを判定する判定部と、
    前記候補モデルが前記条件を満たさない場合、前記学習済みモデルの中から前記条件を満たす適格モデルを特定し、前記適格モデルに対応する入力項目のうち、前記医用情報に含まれない入力項目を追加項目として特定する特定部と、
    前記追加項目を出力する出力部と、
    を備える、医用情報処理装置。
  2. 前記候補モデルが前記条件を満たす場合、前記候補モデルに対して前記医用情報を入力することにより前記分類結果を取得し、前記候補モデルが前記条件を満たさない場合、前記適格モデルに対して前記追加項目を含む医用情報を入力することにより前記分類結果を取得する、処理部をさらに備える、
    請求項1に記載の医用情報処理装置。
  3. 前記複数の学習済みモデルは、対応する入力項目の組み合わせが異なる、
    請求項1または2に記載の医用情報処理装置。
  4. 前記入力項目として想定される項目のうち全ての項目の組み合わせに対応する数の前記学習済みモデルを記憶する記憶部をさらに備える、
    請求項3に記載の医用情報処理装置。
  5. 前記取得部は、前記学習済みモデルの分類性能に関する閾値をさらに取得し、
    前記判定部は、前記候補モデルの分類性能が前記閾値より大きいか否かを判定することにより、前記候補モデルが分類性能に関する条件を満たすか否かを判定し、
    前記特定部は、前記学習済みモデルのそれぞれに対して前記分類性能が前記閾値より大きいか否かを判定することにより、前記適格モデルを特定する、
    請求項1乃至4のいずれか1項に記載の医用情報処理装置。
  6. 前記分類性能は、精度、感度、及び特異度のうちの少なくとも1つを含む、
    請求項5に記載の医用情報処理装置。
  7. 前記取得部は、前記入力項目毎に正確性に関する情報を取得し、前記正確性に関する情報に基づいて、正確性が高い入力項目のみを前記医用情報として取得し、
    前記特定部は、前記正確性に関する情報に基づいて、正確な情報を取得可能な入力項目のみを前記追加項目として特定する、
    請求項1乃至6のいずれか1項に記載の医用情報処理装置。
  8. 前記出力部は、前記適格モデルごとに前記追加項目を表示する表示画面データを出力する、
    請求項1乃至7のいずれか1項に記載の医用情報処理装置。
  9. 前記表示画面データは、前記追加項目の種類が少ない順に前記適格モデルを表示する、 請求項8に記載の医用情報処理装置。
  10. 前記表示画面データは、前記分類性能が高い順に前記適格モデルを表示する、
    請求項8に記載の医用情報処理装置。
  11. 前記表示画面データは、取得困難度が低い順に前記適格モデルを表示する、
    請求項8に記載の医用情報処理装置。
  12. 前記医用情報は、脳梗塞を患った特定の患者に関する情報であり、
    前記分類結果は、血管内治療を実行可能な施設への前記患者の転送の要否である、
    請求項1乃至11のいずれか1項に記載の医用情報処理装置。
  13. 前記医用情報は、症状の原因を特定するために行う検査の項目名と検査結果とを含み、 前記分類結果は、前記症状の原因として推論された疾患の種類である、
    請求項1乃至12のいずれか1項に記載の医用情報処理装置。
  14. 請求項1乃至13のいずれか1項に記載の医用情報処理装置の各部をコンピュータに実行させる、プログラム。
  15. 取得部が、特定の患者に関する医用情報を取得することと、
    選択部が、前記医用情報を入力することにより医用判断に関する分類結果を出力する複数の学習済みモデルの中から、前記医用情報が有する入力項目に対応する学習済みモデルを候補モデルとして選択することと、
    判定部が、前記候補モデルの分類性能に基づいて、前記候補モデルが分類性能に関する条件を満たすか否かを判定することと、
    特定部が、前記候補モデルが前記条件を満たさない場合、前記学習済みモデルの中から前記条件を満たす適格モデルを特定し、前記適格モデルに対応する入力項目のうち、前記医用情報に含まれない入力項目を追加項目として特定することと、
    出力部が、前記追加項目を出力することと、
    を備える、医用情報処理方法。
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