JP7441403B2 - 静電チャック、および処理装置 - Google Patents

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Description

本発明の態様は、静電チャック、および処理装置に関する。
アルミナ等のセラミック誘電体基板のあいだに電極を挟み込み、焼成することで作製されるセラミック製の静電チャックは、内蔵する電極に静電吸着用電力を印加し、シリコンウェーハ等の基板を静電力によって吸着するものである。このような静電チャックにおいては、セラミック誘電体基板の表面と、吸着対象物である基板の裏面と、の間にヘリウム(He)等の不活性ガスを流し、吸着対象物である基板の温度をコントロールしている。
例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)装置、スパッタリング装置、イオン注入装置、エッチング装置など、基板に対する処理を行う装置において、処理中に基板の温度上昇を伴うものがある。このような装置に用いられる静電チャックでは、セラミック誘電体基板と吸着対象物である基板との間にHe等の不活性ガスを流し、基板に不活性ガスを接触させることで基板の温度上昇を抑制している。
He等の不活性ガスによる基板温度の制御を行う静電チャックにおいては、セラミック誘電体基板及びセラミック誘電体基板を支持するベースプレートに、He等の不活性ガスを導入するための穴(ガス導入路)が設けられる。また、セラミック誘電体基板には、ベースプレートのガス導入路と連通する貫通孔が設けられる。これにより、ベースプレートのガス導入路から導入された不活性ガスは、セラミック誘電体基板の貫通孔を通って、基板の裏面へ導かれる。
ここで、装置内で基板を処理する際、装置内のプラズマから金属製のベースプレートに向かう放電(アーク放電)が発生することがある。ベースプレートのガス導入路やセラミック誘電体基板の貫通孔は、放電の経路となりやすいことがある。そこで、ベースプレートのガス導入路やセラミック誘電体基板の貫通孔に、多孔質部を設けることで、アーク放電に対する耐性(絶縁耐圧等)を向上させる技術がある。例えば、特許文献1には、ガス導入路内にセラミック焼結多孔体を設け、セラミック焼結多孔体の構造及び膜孔をガス流路にすることで、ガス導入路内での絶縁性を向上させた静電チャックが開示されている。また、特許文献2には、ガス拡散用空隙内に、セラミックス多孔体からなり放電を防止するための処理ガス流路用の放電防止部材を設けた静電チャックが開示されている。また、特許文献3には、アルミナのような多孔質誘電体として誘電体インサートを設け、アーク放電を低減する静電チャックが開示されている。また、特許文献4には、窒化アルミニウムなどからなる静電チャックに、レーザ加工法により、ガス供給孔と連通する複数の細孔を設ける技術が開示されている。
このような静電チャックにおいて、アーク放電のさらなる低減が望まれている。
特開2010-123712号公報 特開2003-338492号公報 特開平10-50813号公報 特開2009-218592号公報
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、アーク放電の低減を図ることができる静電チャック、および処理装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、吸着の対象物を載置する第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面と、を有するセラミック誘電体基板と、前記セラミック誘電体基板を支持し、ガス導入路を有するベースプレートと、前記セラミック誘電体基板に設けられ、前記ガス導入路と対向する第1多孔質部と、前記ベースプレートに設けられ、前記ガス導入路と対向する第2多孔質部と、を備え、前記ベースプレートから前記セラミック誘電体基板へ向かう方向を第1方向とし、前記第1方向に略直交する方向を第2方向としたときに、前記セラミック誘電体基板は、前記第1主面と、前記第1多孔質部との間に位置する第1孔部を有し、前記第1多孔質部は、複数の孔を有する第1多孔領域と、前記第1多孔領域よりも緻密な第1緻密領域と、を有し、前記第1多孔領域は、少なくとも1つの第1緻密部をさらに有し、前記第1緻密領域は、筒状を呈し、前記第1多孔領域の側面を囲み、前記第2多孔質部は、複数の孔を有する第2多孔領域と、前記第2多孔領域よりも緻密な第2緻密領域と、を有し、前記第2多孔領域は、少なくとも1つの第2緻密部をさらに有し、前記第2緻密領域は、筒状を呈し、前記第2多孔領域の側面を囲み、前記1方向に対して垂直な平面に投影したときに、前記第1緻密部と前記第1孔部とは重なり、前記第2緻密部の少なくとも一部と前記第1緻密部の少なくとも一部とが重なる、または、前記第2緻密部の少なくとも一部と前記第1緻密部の少なくとも一部とが接するように構成され、前記第1方向に対して垂直な平面に投影したときに、前記第1緻密部の少なくとも一部と、前記第2緻密部を除く前記第2多孔領域の少なくとも一部とが重なるように構成されたことを特徴とする静電チャックである。
この静電チャックによれば、第1多孔質部を流れた電流が、第2緻密部が設けられた第2多孔質部を流れる際に第2緻密部を迂回して流れようとする。そのため、電流が流れる距離(導電パス)を長くすることができるので、電子が加速されにくくなり、ひいてはアーク放電の発生を抑制することができる。
第2の発明は、第1の発明において、前記第1方向に対して垂直な平面に投影したときに、前記第1緻密部の寸法は、前記第1孔部の寸法と同じ、または、前記第1緻密部の寸法は、前記第1孔部の寸法よりも大きいことを特徴とする静電チャックである。
この静電チャックによれば、第1孔部の内部を流れた電流を第1緻密部に導くことができる。そのため、電流が流れる距離(導電パス)を効果的に長くすることができる。
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記第1方向に対して垂直な平面に投影したときに、前記第2緻密部と前記第1緻密領域とが重なる、または、前記第2緻密部と前記第1緻密領域とが接することを特徴とする静電チャックである。
この静電チャックによれば、第1多孔質部を流れた電流が、第2緻密部を介さずに、第2多孔質部を流れるのを抑制することができる。そのため、電流が流れる距離(導電パス)を効果的に長くすることができる。
第4の発明は、第1~第3のいずれか1つの発明において、前記第1多孔領域は、複数の第1疎部分と、第1密部分と、を有し、前記第1疎部分は、前記複数の孔を有し、前記第1密部分は、前記第1疎部分の密度よりも高い密度を有し、前記第2方向における寸法が、前記第2方向における前記第1緻密領域の寸法よりも小さく、前記複数の第1疎部分のそれぞれは、前記第1方向に延び、前記第1密部分は、前記複数の第1疎部分同士の間に位置し、前記第1疎部分は、前記複数の孔同士の間に設けられた第1壁部を有し、前記2方向において、前記第1壁部の寸法の最小値は、前記第1密部分の寸法の最小値よりも小さいことを特徴とする静電チャック。
この静電チャックによれば、第1多孔質部に第1方向に延びる第1疎部分と第1密部分とが設けられているので、アーク放電に対する耐性とガス流量とを確保しつつ、第1多孔質部の機械的な強度(剛性)を向上させることができる。
第5の発明は、第の発明において、前記第2多孔領域は、複数の第2疎部分と、第2密部分と、を有し、前記第2疎部分は、前記複数の孔を有し、前記第2方向において、前記複数の第1疎部分のそれぞれに設けられた前記複数の孔の寸法は、前記第1密部分の寸法よりも小さいおよび/または前記第2方向において、前記複数の第2疎部分のそれぞれに設けられた前記複数の孔の寸法は、前記第2密部分の寸法よりも小さいことを特徴とする静電チャック。
この静電チャックによれば、複数の孔の寸法を十分に小さくできるため、アーク放電に対する耐性をさらに向上させることができる。
第6の発明は、第の発明において、前記複数の第1疎部分のそれぞれに設けられた前記複数の孔の縦横比および/または前記複数の第2疎部分のそれぞれに設けられた前記複数の孔の縦横比は、30以上であることを特徴とする静電チャックである。
この静電チャックによれば、アーク放電に対する耐性をさらに向上させることができる。
第7の発明は、第5または発明において、前記第2方向において、前記複数の第1疎部分のそれぞれに設けられた前記複数の孔の寸法および/または前記複数の第2疎部分のそれぞれに設けられた前記複数の孔の寸法は、1マイクロメートル以上20マイクロメートル以下であることを特徴とする静電チャックである。
この静電チャックによれば、孔の寸法が1~20マイクロメートルの1方向に延びる孔を配列させることができるので、アーク放電に対する高い耐性を実現することができる。
第8の発明は、第~7のいずれか1つの発明において、前記第1方向に沿って見たときに、前記第1疎部分に設けられた複数の孔は、前記第1疎部分の中心部に位置する第1孔を含み、前記複数の孔のうち前記第1孔と隣接し前記第1孔を囲む孔の数は、6であるおよび/または前記第1方向に沿って見たときに、前記第2疎部分に設けられた複数の孔は、前記第2疎部分の中心部に位置する第2孔を含み、前記複数の孔のうち前記第2孔と隣接し前記第2孔を囲む孔の数は、6であることを特徴とする静電チャックである。
この静電チャックによれば、平面視において、高い等方性かつ高い密度で複数の孔を配置することが可能となる。これにより、アーク放電に対する耐性と流れるガスの流量とを確保しつつ、第1多孔質部の剛性を向上させることができる。
第9の発明は、第1~8のいずれか1つの発明において、前記第1緻密部の前記第1方向に沿う長さは、前記第1多孔質部の前記第1方向に沿う長さよりも小さいことを特徴とする静電チャックである。
この静電チャックによれば、アーク放電に対する耐性をさらに向上させることができる。
第10の発明は、第1~9のいずれか1つの発明において、前記第1方向において、前記第1緻密部と前記ベースプレートとの間に前記第1多孔領域が設けられることを特徴とする静電チャックである。
この静電チャックによれば、アーク放電に対する耐性をさらに向上させることができる。
第11の発明は、第1~10のいずれか1つの発明において、前記第1緻密部の前記第1方向に沿う長さは、前記第1多孔質部の前記第1方向に沿う長さと略同じであることを特徴とする静電チャックである。
この静電チャックによれば、アーク放電に対する耐性をさらに向上させることができる。
第12の発明は、第のいずれか1つの発明において、前記第1方向に対して垂直な平面に投影したときに、前記第1緻密部の周囲に前記複数の第1疎部分が設けられることを特徴とする静電チャックである
この静電チャックによれば、ガス流を確保しつつアーク放電の発生を効果的に抑制することができる。
第13の発明は、第1~12のいずれか1つの発明において、前記第2多孔質部に設けられた前記複数の孔の径の平均値は、前記第1多孔質部に設けられた複数の孔の径の平均値よりも大きいことを特徴とする静電チャックである。
この静電チャックによれば、孔の径が大きい第2多孔質部が設けられているので、ガスの流れの円滑化を図ることができる。また、孔の径が小さい第1多孔質部が吸着の対象物側に設けられているので、アーク放電の発生をより効果的に抑制することができる。
第14の発明は、第1~13のいずれか1つの発明において、前記ガス導入路の、前記セラミック誘電体基板側の開口の縁の少なくとも一部は曲線で構成されていることを特徴とする静電チャックである。
この静電チャックによれば、ガス導入路の開口の縁の少なくとも一部が曲線で構成されているので、電界集中を抑制することができ、ひいてはアーク放電の低減を図ることができる。
第15の発明は、第1~14のいずれか1つの発明において、前記セラミック誘電体基板は、前記第1主面と、前記第1多孔質部との間に位置する第1孔部を有し、前記セラミック誘電体基板および前記第1多孔質部の少なくともいずれかは、前記第1孔部と、前記第1多孔質部との間に位置する第2孔部を有し、前記2方向において、前記第2孔部の寸法は、前記第1多孔質部の寸法よりも小さく、前記第1孔部の寸法よりも大きいことを特徴とする静電チャックである。
この静電チャックによれば、ガス導入路と対向する位置に設けられた第1多孔質部により、第1孔部に流れるガスの流量を確保しつつ、アーク放電に対する耐性を向上させることができる。また、所定の寸法を有する第2孔部が設けられているので、寸法の大きな第1多孔質部に導入されたガスの大部分を、第2孔部を介して寸法の小さな第1孔部に導入することができる。すなわち、アーク放電の低減とガスの流れの円滑化を図ることができる。
第16の発明は、上記のいずれか1つの静電チャックと、前記静電チャックに設けられたガス導入路にガスを供給可能な供給部と、を備えたことを特徴とする処理装置である。 この処理装置によれば、アーク放電の低減を図ることができる。
本発明の態様によれば、アーク放電の低減を図ることができる静電チャック、および処理装置が提供される。
本実施形態に係る静電チャックを例示する模式断面図である。 (a)~(d)は、実施形態に係る静電チャックを例示する模式図である。 (a)、(b)は、実施形態に係る静電チャックの多孔質部を例示する模式図である。 実施形態に係る静電チャックの多孔質部を例示する模式平面図である。 実施形態に係る静電チャックの多孔質部を例示する模式平面図である。 (a)、(b)は、実施形態に係る静電チャックの多孔質部を例示する模式平面図である。 (a)、(b)は、他の実施形態に係る第1多孔質部90を例示する模式図である。 実施形態に係る静電チャックを例示する模式断面図である。 (a)、(b)は、実施形態に係る静電チャックを例示する模式断面図である。 実施形態に係る静電チャックの多孔質部を例示する模式断面図である。 他の実施形態に係る多孔質部を例示する模式断面図である。 (a)、(b)は、他の実施形態に係る多孔質部を例示する模式断面図である。 (a)~(d)は、他の実施形態に係る多孔質部を例示する模式断面図である。 (a)~(c)は、他の実施形態に係る多孔質部を例示する模式断面図である。 (a)、(b)は、他の実施形態に係る多孔質部を例示する模式断面図である。 他の実施形態に係る静電チャックを例示する模式断面図である。 (a)、(b)は、図16に示す領域Cの拡大図である。 他の実施形態に係る複数の孔を例示する模式断面図である。 (a)、(b)は、孔の開口部分の形状を例示する模式断面図である。 他の実施形態に係る静電チャックを例示する模式断面図である。 他の実施形態に係る静電チャックを例示する模式断面図である。 他の実施形態に係る静電チャックを例示する模式断面図である。 図22に示す領域Eの拡大図である。 図22に示す領域Eの、他の実施形態を表す拡大図である。 本実施の形態に係る処理装置を例示する模式図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
なお、各図中において、ベースプレート50からセラミック誘電体基板11へ向かう方向をZ方向(第1方向の一例に相当する)、Z方向と略直交する方向の1つをY方向(第2方向の一例に相当する)、Z方向及びY方向に略直交する方向をX方向(第2方向の一例に相当する)としている。
(静電チャック)
図1は、本実施形態に係る静電チャックを例示する模式断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る静電チャック110は、セラミック誘電体基板11と、ベースプレート50と、多孔質部90と、を備える。この例では、静電チャック110は、多孔質部70をさらに備えている。
セラミック誘電体基板11は、例えば焼結セラミックによる平板状の基材である。例えば、セラミック誘電体基板11は、酸化アルミニウム(Al)を含む。例えば、セラミック誘電体基板11は、高純度の酸化アルミニウムで形成される。セラミック誘電体基板11における酸化アルミニウムの濃度は、例えば、99原子パーセント(atоmic%)以上100atоmic%以下である。高純度の酸化アルミニウムを用いることで、セラミック誘電体基板11の耐プラズマ性を向上させることができる。セラミック誘電体基板11は、対象物W(吸着対象物)が載置される第1主面11aと、第1主面11aとは反対側の第2主面11bと、を有する。対象物Wは、例えばシリコンウェーハなどの半導体基板である。
セラミック誘電体基板11には、電極12が設けられる。電極12は、セラミック誘電体基板11の第1主面11aと、第2主面11bと、の間に設けられる。電極12は、セラミック誘電体基板11の中に挿入されるように形成されている。電極12には、接続部20および配線211を介して電源210が電気的に接続される。電源210により、電極12に吸着保持用電圧を印加することによって、電極12の第1主面11a側に電荷を発生させ、静電力によって対象物Wを吸着保持することができる。
電極12の形状は、セラミック誘電体基板11の第1主面11a及び第2主面11bに沿った薄膜状である。電極12は、対象物Wを吸着保持するための吸着電極である。電極12は、単極型でも双極型でもよい。図1に例示をした電極12は双極型であり、同一面上に2極の電極12が設けられている。
電極12には、セラミック誘電体基板11の第2主面11b側に延びる接続部20が設けられている。接続部20は、例えば、電極12と導通するビア(中実型)やビアホール(中空型)である。接続部20は、ロウ付けなどの適切な方法によって接続された金属端子でもよい。
ベースプレート50は、セラミック誘電体基板11を支持する部材である。セラミック誘電体基板11は、図2(a)に例示をした接合部60によってベースプレート50の上に固定される。接合部60は、例えば、シリコーン接着剤が硬化したものとすることができる。
ベースプレート50は、例えば金属製である。ベースプレート50は、例えば、アルミニウム製の上部50aと下部50bとに分けられており、上部50aと下部50bとの間に連通路55が設けられている。連通路55の一端側は、入力路51に接続され、連通路55の他端側は、出力路52に接続される。ベースプレート50は、第2主面11b側の端部に溶射部(図示しない)を有していてもよい。溶射部は、例えば溶射によって形成される。溶射部は、ベースプレート50の第2主面11b側の端面(上面50U)を構成してもよい。溶射部は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
ベースプレート50は、静電チャック110の温度調整を行う役目も果たす。例えば、静電チャック110を冷却する場合には、入力路51から冷却媒体を流入し、連通路55を通過させ、出力路52から流出させる。これにより、冷却媒体によってベースプレート50の熱を吸収し、その上に取り付けられたセラミック誘電体基板11を冷却することができる。一方、静電チャック110を保温する場合には、連通路55内に保温媒体を入れることも可能である。セラミック誘電体基板11やベースプレート50に発熱体を内蔵させることも可能である。ベースプレート50やセラミック誘電体基板11の温度を調整することで、静電チャック110によって吸着保持された対象物Wの温度を調整することができる。
また、セラミック誘電体基板11の第1主面11a側には、必要に応じてドット13が設けられており、ドット13の間に溝14が設けられている。すなわち、第1主面11aは凹凸面であり、凹部と凸部とを有する。第1主面11aの凸部がドット13に相当し、第1主面11aの凹部が溝14に相当する。溝14は、例えば、XY平面内において連続して延びるものとすることができる。それによって、He等のガスを第1主面11a全体に分配することができる。静電チャック110に載置された対象物Wの裏面と溝14を含む第1主面11aとの間に空間が形成される。
セラミック誘電体基板11は、溝14と接続された貫通孔15を有する。貫通孔15は、第2主面11bから第1主面11aにかけて設けられる。すなわち、貫通孔15は、第2主面11bから第1主面11aまでZ方向に延び、セラミック誘電体基板11を貫通する。貫通孔15は、例えば、孔部15a、孔部15b、孔部15c、孔部15dを含む(詳細は後述)。
ドット13の高さ、溝14の深さ、ドット13及び溝14の面積比率、形状等を適宜選択することで、対象物Wの温度や対象物Wに付着するパーティクルを好ましい状態にコントロールすることができる。
ベースプレート50には、ガス導入路53が設けられる。ガス導入路53は、ベースプレート50を例えば貫通するように設けられる。ガス導入路53は、ベースプレート50を貫通せず、他のガス導入路53の途中から分岐してセラミック誘電体基板11側まで設けられていてもよい。また、ガス導入路53は、ベースプレート50の複数箇所に設けられてもよい。
ガス導入路53は、貫通孔15と連通する。すなわち、ガス導入路53に流入したガス(ヘリウム(He)等)は、ガス導入路53を通過した後に、貫通孔15に流入する。
貫通孔15に流入したガスは、貫通孔15を通過した後に、対象物Wと溝14を含む第1主面11aとの間に設けられた空間に流入する。これにより、対象物Wをガスによって直接冷却することができる。
多孔質部90は、例えば、Z方向においてベースプレート50と、セラミック誘電体基板11の第1主面11aと、の間に設けることができる。多孔質部90は、例えば、ガス導入路53と対向する位置に設けることができる。例えば、多孔質部90は、セラミック誘電体基板11の貫通孔15に設けられる。例えば、多孔質部90は、貫通孔15に挿入されている。
図2(a)、(b)は、実施形態に係る静電チャックを例示する模式図である。図2(a)は、多孔質部90および多孔質部70の周辺を例示する。図2(a)は、図1に示す領域Aの拡大図に相当する。図2(b)は、多孔質部90を例示する平面図である。
また、図2(c)、(d)は、他の実施形態に係る孔部15cおよび孔部15dを例示するための模式断面図である。
なお、煩雑となるのを避けるために、図2(a)、(c)、(d)においてはドット13(例えば、図1を参照)を省いて描いている。
この例では、貫通孔15は、孔部15aと、孔部15b(第1孔部)と、を有する。孔部15aの一端は、セラミック誘電体基板11の第2主面11bに位置する。
また、セラミック誘電体基板11は、Z方向において第1主面11aと多孔質部90との間に位置する孔部15bを有することができる。孔部15bは、孔部15aと連通し、セラミック誘電体基板11の第1主面11aまで延びる。すなわち、孔部15bの一端は、第1主面11a(溝14の底面14a)に位置する。孔部15bは、セラミック誘電体基板11の第1主面11aと第1多孔質部90との間に位置する。孔部15bは、多孔質部90と溝14とを連結する連結孔である。孔部15bの径(X方向に沿った長さ)は、孔部15aの径(X方向に沿った長さ)よりも小さい。径の小さい孔部15bを設けることにより、セラミック誘電体基板11と対象物Wとの間に形成される空間(例えば溝14を含む第1主面11a)のデザインの自由度を高めることができる。例えば、図2(a)のように、溝14の幅(X方向に沿った長さ)を多孔質部90の幅(X方向に沿った長さ)よりも短くすることができる。これにより、例えば、セラミック誘電体基板11と対象物Wとの間に形成される空間における放電を抑制することができる。
孔部15bの径は、例えば0.05ミリメートル(mm)以上0.5mm以下である。孔部15aの径は、例えば1mm以上5mm以下である。なお、孔部15bは、孔部15aと間接的に連通していてもよい。すなわち、孔部15aと孔部15bとを接続する孔部15c(第2孔部)が設けられていてもよい。図2(a)に例示をしたように、孔部15cは、セラミック誘電体基板11に設けることができる。図2(c)に例示をしたように、孔部15cは、多孔質部90に設けることもできる。図2(d)に例示をしたように、孔部15cは、セラミック誘電体基板11および多孔質部90に設けることもできる。すなわち、セラミック誘電体基板11および多孔質部90の少なくともいずれかは、孔部15bと多孔質部90との間に位置する孔部15cを有することができる。この場合、孔部15cがセラミック誘電体基板11に設けられていれば、孔部15cの周囲における強度を高くすることができ、孔部15cの周辺におけるチッピングなどの発生を抑制できる。そのため、アーク放電の発生をより効果的に抑制することができる。孔部15cが多孔質部90に設けられていれば、孔部15cと多孔質部90との位置合わせが容易となる。そのため、アーク放電の低減とガスの流れの円滑化との両立がより容易となる。孔部15a、孔部15b及び孔部15cのそれぞれは、例えば、Z方向に延びる円筒状である。
この場合、X方向またはY方向において、孔部15cの寸法は、多孔質部90の寸法よりも小さく、孔部15bの寸法よりも大きくすることができる。本実施形態に係る静電チャック110によれば、ガス導入路53と対向する位置に設けられた多孔質部90により、孔部15bに流れるガスの流量を確保しつつ、アーク放電に対する耐性を向上させることができる。また、孔部15cのX方向またはY方向における寸法を、孔部15bの該寸法よりも大きくしているので、寸法の大きな多孔質部90に導入されたガスの大部分を、孔部15cを介して寸法の小さな孔部15bに導入することができる。すなわち、アーク放電の低減とガスの流れの円滑化を図ることができる。
前述したように、セラミック誘電体基板11は、第1主面11aに開口し、貫通孔15と連通する少なくとも1つの溝14を有している。また、孔部15cのZ方向における寸法を、溝14のZ方向における寸法よりも小さくすることができる。それにより、ガスが孔部15cを通過する時間を短くすることができる。すなわち、ガスの流れの円滑化を図りつつ、アーク放電の発生をより効果的に抑制することができる。また、X方向またはY方向において、孔部15cの寸法は、溝14の寸法よりも大きくすることができる。この様にすれば、溝14にガスを流入させるのが容易となる。そのため、対象物Wをガスによって効果的に冷却することが可能となる。
また、孔部15cの、第1主面11a側の面15c1(天井面)の算術平均表面粗さRaは、溝14の、底面14a(第2主面11b側の面)の算術平均表面粗さRaよりも小さくすることが好ましい。この様にすれば、孔部15cの面15c1に大きな凹凸がないので、アーク放電の発生を効果的に抑制することができる。
また、溝14の第2主面11b側の面14aの算術平均表面粗さRaは、第2主面11bの算術平均表面粗さRaよりも小さくすることが好ましい。この様にすれば、溝14の面14aに大きな凹凸がないので、アーク放電の発生を効果的に抑制することができる。
また、孔部15bと孔部15cとの間に設けられた孔部15d(第3孔部)をさらに備えることができる。X方向またはY方向において、孔部15dの寸法は孔部15bよりも大きく、孔部15cよりも小さくすることができる。孔部15dを設ければ、ガスの流れの円滑化を図ることができる。
前述したように、セラミック誘電体基板11と、ベースプレート50との間には接合部60を設けることができる。Z方向において、孔部15cの寸法は、接合部60の寸法よりも小さくすることができる。この様にすれば、セラミック誘電体基板11とベースプレート50との接合強度を向上させることができる。また、Z方向における孔部15cの寸法を、接合部60の寸法よりも小さくしているので、ガスの流れの円滑化を図りつつ、アーク放電の発生をより効果的に抑制することができる。
この例では、多孔質部90は、孔部15aに設けられている。このため、多孔質部90の上面90Uは、第1主面11aに露出していない。すなわち、多孔質部90の上面90Uは、第1主面11aと第2主面11bとの間に位置する。一方、多孔質部90の下面90Lは、第2主面11bに露出している。
次に多孔質部90について説明する。多孔質部90は、後述する複数の疎部分94と複数の密部分95とを有する。なお、図2においては、多孔質部90をセラミック基板11に設ける場合を例示しているが、後述するように、多孔質部90をベースプレート50に設けてもよい(例えば、図12(b)など)。
多孔質部90は、複数の孔96を有する多孔領域91(第1多孔領域、第2多孔領域の一例)と、多孔領域91よりも緻密な緻密領域93(第1緻密領域、第2緻密領域の一例)と、を有する。多孔領域91はガスが流通可能に構成される。複数の孔96のそれぞれは、内部をガスが流通する。緻密領域93は、多孔領域91に比べて孔96が少ない領域、または、実質的に孔96を有さない領域である。緻密領域93の気孔率(パーセント:%)は、多孔領域91の気孔率(%)よりも低い。緻密領域93の密度(グラム/立方センチメートル:g/cm)は、多孔領域91の密度(g/cm)よりも高い。緻密領域93が多孔領域91に比べて緻密であることにより、例えば、緻密領域93の剛性(機械的な強度)は、多孔領域91の剛性よりも高い。
緻密領域93の気孔率は、例えば、緻密領域93の全体積に占める、緻密領域93に含まれる空間(孔96)の体積の割合である。多孔領域91の気孔率は、例えば、多孔領域91の全体積に占める、多孔領域91に含まれる空間(孔96)の体積の割合である。例えば、多孔領域91の気孔率は、5%以上40%以下、好ましくは10%以上30%以下であり、緻密領域93の気孔率は、0%以上5%以下である。
多孔質部90は、柱状(例えば円柱状)である。また、多孔領域91は、柱状(例えば円柱状)である。緻密領域93は、多孔領域91と接している、または、多孔領域91と連続している。図2(b)に示すように、Z方向に対して垂直な平面(XY平面)に投影したときに、緻密領域93は、多孔領域91の外周を囲む。緻密領域93は、多孔領域91の側面91sを囲む筒状(例えば円筒状)である。言い換えれば、多孔領域91は、緻密領域93をZ方向に貫通するように設けられている。ガス導入路53から貫通孔15へ流入したガスは、多孔領域91に設けられた複数の孔96を通り、溝14に供給される。
このような多孔領域91を有する多孔質部90を設けることにより、貫通孔15に流れるガスの流量を確保しつつ、アーク放電に対する耐性を向上させることができる。また、多孔質部90が緻密領域93を有することにより、多孔質部90の剛性(機械的な強度)を向上させることができる。
多孔質部90がセラミック誘電体基板11に設けられた場合においては、多孔質部は、例えば、セラミック誘電体基板11と一体化してもよい。2つの部材が一体化している状態とは、2つの部材が化学的に結合している状態である。2つの部材の間には、一方の部材を他方の部材に対して固定するための材料(例えば接着剤)が設けられない。すなわち、この例では、多孔質部90とセラミック誘電体基板11との間には、接着剤などの他の部材が設けられておらず、多孔質部90とセラミック誘電体基板11とが一体化している。
このように、多孔質部90は、セラミック誘電体基板11と一体化することで、セラミック誘電体基板11に対して固定した場合には、多孔質部90を接着剤などによってセラミック誘電体基板11に固定する場合に比べて、静電チャック110の強度を向上させることができる。例えば、接着剤の腐食やエロージョン等による静電チャックの劣化が生じない。
多孔質部90とセラミック誘電体基板11とを一体化させる場合、多孔質部90の外周の側面には、セラミック誘電体基板11から力が掛かる場合がある。一方、ガスの流量を確保するため、多孔質部90に複数の孔を設けた場合、多孔質部90の機械的強度が低下する。このため、多孔質部90をセラミック誘電体基板11と一体化するときに、セラミック誘電体基板11から多孔質部90に加えられる力によって、多孔質部90が破損する恐れがある。
これに対して、多孔質部90が緻密領域93を有することにより、多孔質部90の剛性(機械的な強度)を向上させることができ、且つ、多孔質部90をセラミック誘電体基板11と一体化させることができる。
なお、実施形態において、多孔質部90は、セラミック誘電体基板11と必ずしも一体化していなくてもよい。例えば、図11に示すように、接着剤を用いて、多孔質部90をセラミック誘電体基板に取り付けてもよい。
また、緻密領域93は、貫通孔15を形成するセラミック誘電体基板11の内壁15wと、多孔領域91と、の間に位置する。すなわち、多孔質部90の内側に多孔領域91が設けられ、外側に緻密領域93が設けられている。多孔質部90の外側に緻密領域93が設けられることにより、セラミック誘電体基板11から多孔質部90に加えられる力に対する剛性を向上させることができる。これにより、多孔質部90とセラミック誘電体基板11とを一体化させやすくすることができる。また、例えば、多孔質部90とセラミック誘電体基板11との間に接着部材61(図11参照)が設けられる場合、多孔質部90内を通過するガスが接着部材61に触れることを緻密領域93によって抑制することができる。これにより、接着部材61の劣化を抑制することができる。また、多孔質部90の内側に多孔領域91が設けられることにより、セラミック誘電体基板11の貫通孔15が緻密領域93で塞がれることを抑え、ガスの流量を確保することができる。
緻密領域93の厚み(多孔領域91の側面91sと、緻密領域93の側面93sと、の間の長さL0)は、例えば、100μm以上1000μm以下である。
多孔質部90の材料には、絶縁性を有するセラミックが用いられる。多孔質部90(多孔領域91及び緻密領域93のそれぞれ)は、酸化アルミニウム(Al)、酸化チタン(TiO)及び酸化イットリウム(Y)の少なくともいずれかを含む。これにより、多孔質部90の高い絶縁耐圧と高い剛性とを得ることができる。
例えば、多孔質部90は、酸化アルミニウム、酸化チタン、及び酸化イットリウムのいずれかを主成分とする。
この場合、セラミック誘電体基板11の酸化アルミニウムの純度は、多孔質部90の酸化アルミニウムの純度よりも高くすることができる。この様にすれば、静電チャック110の耐プラズマ性等の性能を確保し、かつ、多孔質部90の機械的強度を確保することができる。一例としては、多孔質部90に微量の添加物を含有させることにより、多孔質部90の焼結が促進され、気孔の制御や機械的強度の確保が可能となる。
本明細書において、セラミック誘電体基板11の酸化アルミニウムなどのセラミックス純度は、蛍光X線分析、ICP-AES法(Inductively Coupled Plasma-Atomic Emission Spectrometry:高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法)などにより測定することができる。
例えば、多孔領域91の材料と緻密領域93の材料とは、同じである。ただし、多孔領域91の材料は緻密領域93の材料と異なっていてもよい。多孔領域91の材料の組成は、緻密領域93の材料の組成と異なっていてもよい。
図3(a)、(b)は、実施形態に係る静電チャックの多孔質部90を例示する模式図である。
図3(a)は、Z方向に沿って見た多孔質部90の平面図であり、図3(b)は、多孔質部90のZY平面における断面図である。
図3(a)及び図3(b)に示すように、多孔質部90において、多孔領域91は、複数の疎部分94(第1疎部分、第2疎部分の一例)と、密部分95(第1密部分、第2密部分の一例)と、を有する。密部分95を複数有していてもよい。複数の疎部分94のそれぞれは、複数の孔96を有する。密部分95は、疎部分94よりも緻密である。すなわち、密部分95は、疎部分94に比べて孔が少ない部分、または、実質的に孔を有さない部分である。X方向またはY方向における密部分95の寸法は、X方向またはY方向における緻密領域93の寸法よりも小さい。密部分95の気孔率は、疎部分94の気孔率よりも低い。そのため、密部分95の密度は、疎部分94の密度よりも高い。密部分95の気孔率は、緻密領域93の気孔率と同じであってもよい。密部分95が疎部分94に比べて緻密であることにより、密部分95の剛性は、疎部分94の剛性よりも高い。
1つの疎部分94の気孔率は、例えば、その疎部分94の全体積に占める、その疎部分94に含まれる空間(孔96)の体積の割合である。密部分95の気孔率は、例えば、密部分95の全体積に占める、密部分95に含まれる空間(孔96)の体積の割合である。例えば、疎部分94の気孔率は、20%以上60%以下、好ましくは30%以上50%以下であり、密部分95の気孔率は、0%以上5%以下である。
複数の疎部分94のそれぞれは、Z方向に延びる。例えば、複数の疎部分94のそれぞれは、柱状(円柱状又は多角柱状)であり、多孔領域91をZ方向に貫通するように設けられている。密部分95は、複数の疎部分94同士の間に位置する。密部分95は、互いに隣接する疎部分94を仕切る壁状である。図3(a)に示すように、Z方向に対して垂直な平面(XY平面)に投影したときに、密部分95は、複数の疎部分94のそれぞれの外周を囲むように設けられている。密部分95は、多孔領域91の外周において、緻密領域93と連続している。
多孔領域91内に設けられる疎部分94の数は、例えば50個以上1000個以下である。図3(a)に示すように、Z方向に対して垂直な平面(XY平面)に投影したときに、複数の疎部分94同士は、互いに略同じ大きさである。例えば、Z方向に対して垂直な平面(XY平面)に投影したときに、複数の疎部分94は、多孔領域91内において等方的に均一に分散されている。例えば、隣接する疎部分94同士の距離(すなわち密部分95の厚み)は、略一定である。
例えば、Z方向に対して垂直な平面(XY平面)に投影したときに、緻密領域93の側面93sと、複数の疎部分94のうち最も側面93sに近い疎部分94と、の間の距離L11は、100μm以上1000μm以下である。
このように、多孔領域91に複数の疎部分94と、疎部分94よりも緻密な密部分95と、を設けることにより、多孔領域内において3次元的にランダムに複数の孔が分散された場合に比べて、アーク放電に対する耐性と貫通孔15に流れるガスの流量とを確保しつつ、多孔質部90の剛性を向上させることができる。
例えば、多孔領域91の気孔率が大きくなると、ガスの流量が大きくなる一方、アーク放電に対する耐性及び剛性が低下する。これに対して、多孔領域91に、X方向またはY方向の寸法が、緻密領域93のX方向またはY方向の寸法よりも小さい密部分95を設けることにより、気孔率を大きくした場合でも、アーク放電に対する耐性及び剛性の低下を抑制することができる。
例えば、Z方向に対して垂直な平面(XY平面)に投影したときに、複数の疎部分94のすべてを含む最小の円、楕円、又は多角形を想定する。その円、楕円、又は多角形の内側を多孔領域91とし、その円、楕円、又は多角形の外側を緻密領域93と考えることができる。
以上に説明したように、多孔質部90は、第1孔96および第2孔96を含む複数の孔96を有する複数の疎部分94と、疎部分94の密度よりも高い密度を有する密部分95と、を有することができる。複数の疎部分94のそれぞれは、Z方向に延びている。密部分95は、複数の疎部分94同士の間に位置している。疎部分94は、複数の孔96同士の間(第1孔96と第2孔96との間)に設けられた壁部97(第1壁部、第2壁部の例)を有している。X方向またはY方向において、壁部97の寸法の最小値は、密部分95の寸法の最小値よりも小さくすることができる。この様にすれば、多孔質部90にZ方向に延びる疎部分94と密部分95とが設けられているので、アーク放電に対する耐性とガス流量とを確保しつつ、多孔質部90の機械的な強度(剛性)を向上させることができる。
また、後述する図5に例示をしたように、X方向またはY方向において、複数の疎部分94のそれぞれに設けられた複数の孔96の寸法は、密部分95の寸法よりも小さくすることができる。この様にすれば、複数の孔96の寸法を十分に小さくできるため、アーク放電に対する耐性をさらに向上させることができる。
また、複数の疎部分94のそれぞれに設けられた複数の孔96の縦横比(アスペクト比)は、30以上10000以下とすることができる。この様にすれば、アーク放電に対する耐性をさらに向上させることができる。より好ましくは、複数の孔96の縦横比(アスペクト比)の下限は100以上であり、上限は1600以下である。
また、X方向またはY方向において、複数の疎部分94のそれぞれに設けられた複数の孔96の寸法は、1マイクロメートル以上20マイクロメートル以下とすることができる。この様にすれば、孔96の寸法が1~20マイクロメートルの1方向に延びる孔96を配列させることができるので、アーク放電に対する高い耐性を実現することができる。
また、後述する図6(a)、(b)に例示をしたように、Z方向に対して垂直な平面(XY平面)に投影したときに、孔96aは疎部分94の中心部に位置し、複数の孔96のうち孔96aと隣接し孔96aを囲む孔96b~96gの数は、6とすることができる。この様にすれば、平面視において、高い等方性かつ高い密度で複数の孔を配置することが可能となる。これにより、アーク放電に対する耐性と流れるガスの流量とを確保しつつ、多孔質部90の剛性を向上させることができる。
図4は、実施形態に係る静電チャックの多孔質部90を例示する模式平面図である。
図4は、Z方向に沿って見た多孔質部90の一部を示し、図3(a)の拡大図に相当する。
Z方向に対して垂直な平面(XY平面)に投影したときに、複数の疎部分94のそれぞれは、略六角形(略正六角形)である。Z方向に対して垂直な平面(XY平面)に投影したときに、複数の疎部分94は、多孔領域91の中心部に位置する疎部分94aと、疎部分94aを囲む6つの疎部分94(疎部分94b~94g)を有する。
疎部分94b~94gは、疎部分94aと隣接している。疎部分94b~94gは、複数の疎部分94のうち、疎部分94aに最も近接して設けられる。
疎部分94b及び疎部分94cは、疎部分94aとX方向において並ぶ。すなわち、疎部分94aは、疎部分94bと疎部分94cとの間に位置する。
疎部分94aのX方向に沿った長さL1(疎部分94aの径)は、疎部分94aと疎部分94bとの間のX方向に沿った長さL2よりも長く、疎部分94aと疎部分94cとの間のX方向に沿った長さL3よりも長い。
なお、長さL2及び長さL3のそれぞれは、密部分95の厚みに相当する。すなわち、長さL2は、疎部分94aと疎部分94bとの間の密部分95のX方向に沿った長さである。長さL3は、疎部分94aと疎部分94cとの間の密部分95のX方向に沿った長さである。長さL2と長さL3とは、略同じとすることができる。例えば、長さL2は、長さL3の0.5倍以上2.0倍以下とすることができる。
また、長さL1は、疎部分94bのX方向に沿った長さL4(疎部分94bの径)と略同じとすることができる。長さL1は、疎部分94cのX方向に沿った長さL5(疎部分95cの径)と略同じとすることができる。例えば、長さL4及び長さL5のそれぞれは、長さL1の0.5倍以上2.0倍以下とすることができる。
このように、疎部分94aは、複数の疎部分94のうちの6つの疎部分94に隣接し囲まれている。すなわち、Z方向に対して垂直な平面(XY平面)に投影したときに、多孔領域91の中心部において、1つの疎部分94と隣接する疎部分94の数は、6である。これにより、平面視において、高い等方性かつ高い密度で複数の疎部分94を配置することが可能である。これにより、アーク放電に対する耐性と貫通孔15に流れるガスの流量とを確保しつつ、多孔質部90の剛性を向上させることができる。また、アーク放電に対する耐性のばらつき、貫通孔15に流れるガスの流量のばらつき、及び多孔質部90の剛性のばらつきを抑制することができる。
疎部分94の径(長さL1、L4、またはL5など)は、例えば、50μm以上500μm以下である。密部分95の厚み(長さL2またはL3など)は、例えば、10μm以上100μm以下である。疎部分94の径は、密部分95の厚みよりも大きい。また、前述のとおり、密部分95の厚みは、緻密領域93の厚みよりも小さい。
図5は、実施形態に係る静電チャックの多孔質部90を例示する模式平面図である。
図5は、Z方向に沿って見た多孔質部90の一部を示す。図5は、1つの疎部分94の周辺の拡大図である。
図5に示すように、この例では、疎部分94は、複数の孔96と、複数の孔96同士の間に設けられた壁部97と、を有する。
複数の孔96のそれぞれは、Z方向に延びる。複数の孔96のそれぞれは、1方向に延びるキャピラリ状(1次元キャピラリ構造)であり、疎部分94をZ方向に貫通している。壁部97は、互いに隣接する孔96を仕切る壁状である。図5に示すように、Z方向に対して垂直な平面(XY平面)に投影したときに、壁部97は、複数の孔96のそれぞれの外周を囲むように設けられる。壁部97は、疎部分94の外周において、密部分95と連続している。
1つの疎部分94内に設けられる孔96の数は、例えば50個以上1000個以下である。図5に示すように、Z方向に対して垂直な平面(XY平面)に投影したときに、複数の孔96同士は、互いに略同じ大きさである。例えば、Z方向に対して垂直な平面(XY平面)に投影したときに、複数の孔96は、疎部分94内において等方的に均一に分散されている。例えば、隣接する孔96同士の距離(すなわち壁部97の厚み)は、略一定である。
このように、1方向に延びる孔96が疎部分94内に配列されることで、疎部分内において3次元的にランダムに複数の孔が分散された場合に比べて、アーク放電に対する高い耐性を少ないばらつきで実現することができる。
ここで、複数の孔96の「キャピラリ状構造」についてさらに説明する。
近年、半導体装置の高集積化を目的とした回路線幅の細線化、回路ピッチの微細化がさらに進行している。静電チャックには更なるハイパワーが印加され、より高いレベルでの対象物Wの温度コントロールが求められている。こうした背景より、ハイパワー環境下においてもアーク放電を確実に抑制しつつ、ガス流量を十分に確保するとともに、その流量を高精度に制御することが求められている。本実施の形態に係る静電チャック110では、ヘリウム供給孔(ガス導入路53)でのアーク放電防止のために従来から設けられているセラミックプラグ(多孔質部90)において、その孔径(孔96の径)を例えば数~十数μmのレベルにまで小さくしている(孔96の径の詳細については後述する)。径がこのレベルにまで小さくなると、ガスの流量制御が困難となる恐れがある。そこで、本発明においては、例えば、孔96を、Z方向に沿うようにその形状をさらに工夫している。具体的には、従来は比較的大きな孔で流量を確保し、かつ、その形状を3次元的に複雑にすることでアーク放電防止を達成していた。一方、本発明では、孔96を例えばその径が数~十数μmのレベルにまで微細にすることでアーク放電防止を達成し、逆にその形状を単純化することにより流量を確保している。つまり、従来とは全く異なる思想に基づき本発明に想到したものである。
なお、疎部分94の形状は、六角形に限らず、円(又は楕円)やその他の多角形であってもよい。例えば、Z方向に対して垂直な平面(XY平面)に投影したときに、10μm以下の間隔で並ぶ複数の孔96のすべてを含む最小の円、楕円、又は多角形を想定する。その円、楕円、又は多角形の内側を疎部分94とし、その円、楕円、又は多角形の外側を密部分95と考えることができる。
図6(a)、(b)は、実施形態に係る静電チャックの多孔質部90を例示する模式平面図である。
図6(a)及び図6(b)は、Z方向に沿って見た多孔質部90の一部を示し、1つの疎部分94内の孔96を示す拡大図である。
図6(a)に示すように、Z方向に対して垂直な平面(XY平面)に投影したときに、複数の孔96は、疎部分94の中心部に位置する孔96aと、孔96aを囲む6つの孔96(孔96b~96g)を有する。孔96b~96gは、孔96aと隣接している。孔96b~96gは、複数の孔96のうち、孔96aに最近接する孔96である。
孔96b及び孔96cは、孔96aとX方向において並ぶ。すなわち、孔96aは、孔96bと孔96cとの間に位置する。
例えば、孔96aのX方向に沿った長さL6(孔96aの径)は、孔96aと孔96bとの間のX方向に沿った長さL7よりも長く、孔96aと孔96cとの間のX方向に沿った長さL8よりも長い。
なお、長さL7及び長さL8のそれぞれは、壁部97の厚みに相当する。すなわち、長さL7は、孔96aと孔96bとの間の壁部97のX方向に沿った長さである。長さL8は、孔96aと孔96cとの間の壁部97のX方向に沿った長さである。長さL7と長さL8とは、略同じとすることができる。例えば、長さL7は、長さL8の0.5以上2.0倍以下とすることができる。
また、長さL6は、孔96bのX方向に沿った長さL9(孔96bの径)と略同じとすることができる。長さL6は、孔96cのX方向に沿った長さL10(孔96cの径)と略同じとすることができる。例えば、長さL9及び長さL10のそれぞれは、長さL6の0.5倍以上2.0倍以下とすることができる。
例えば、孔の径が小さいと、アーク放電に対する耐性や剛性が向上する。一方、孔の径が大きいと、ガスの流量を大きくすることができる。孔96の径(長さL6、L9、またはL10など)は、例えば、1マイクロメートル(μm)以上20μm以下である。径が1~20μmの1方向に延びる孔が配列されることで、アーク放電に対する高い耐性を少ないばらつきで実現することができる。より好ましくは孔96の径は、3μm以上10μm以下である。
ここで、孔96の径の測定方法について説明する。走査型電子顕微鏡(例えば、日立ハイテクノロジーズ、S-3000)を用い、1000倍以上の倍率で画像を取得する。市販の画像解析ソフトを用い、孔96について100個分の円相当径を算出し、その平均値を孔96の径とする。
複数の孔96の径のばらつきを抑制することがさらに好ましい。径のばらつきを小さくすることで、流れるガスの流量および絶縁耐圧をより精密に制御することが可能となる。複数の孔96の径のばらつきとして、上記孔96の径の算出において取得した100個分の円相当径の累積分布を利用することができる。具体的には、粒度分布測定に一般に用いられる、累積分布50vol%のときの粒子径D50(メジアン径)及び累積分布90vol%のときの粒子径D90の概念を適用し、横軸を孔径(μm)、縦軸を相対孔量(%)とした孔96の累積分布グラフを用い、その孔径の累積分布50vol%のときの孔径(D50径に相当)および累積分布90vol%のときの孔径(D90径に相当)を求める。複数の孔96の径のばらつきが、D50:D90≦1:2の関係を満たす程度に抑制されることが好ましい。
壁部97の厚み(長さL7、L8など)は、例えば、1μm以上10μm以下である。壁部97の厚みは、密部分95の厚みよりも薄い。
このように、孔96aは、複数の孔96のうちの6つの孔96に隣接し囲まれている。すなわち、Z方向に対して垂直な平面(XY平面)に投影したときに、疎部分94の中心部において、1つの孔96と隣接する孔96の数は、6である。これにより、平面視において、高い等方性かつ高い密度で複数の孔96を配置することが可能である。これにより、アーク放電に対する耐性と貫通孔15に流れるガスの流量とを確保しつつ、多孔質部90の剛性を向上させることができる。また、アーク放電に対する耐性のばらつき、貫通孔15に流れるガスの流量のばらつき、及び多孔質部90の剛性のばらつきを抑制することができる。
図6(b)は、疎部分94内における複数の孔96の配置の別の例を示す。図6(b)に示すように、この例では、複数の孔96は、孔96aを中心に同心円状に配置される。これにより、Z方向に対して垂直な平面(XY平面)に投影したときに、高い等方性かつ高い密度で複数の孔を配置することが可能となる。
また、長さL0~L10のそれぞれは、走査型電子顕微鏡などの顕微鏡を用いた観察により測定することができる。
本明細書における気孔率の評価について説明する。ここでは、多孔質部90における気孔率の評価を例にとって説明する。
図3(a)の平面図のような画像を取得し、画像解析により、多孔領域91に占める複数の疎部分94の割合R1を算出する。画像の取得には、走査型電子顕微鏡(例えば、日立ハイテクノロジーズ、S-3000)を用いる。加速電圧を15kV、倍率を30倍としてBSE像を取得する。例えば、画像サイズは、1280×960画素であり、画像階調は256階調である。
多孔領域91に占める複数の疎部分94の割合R1の算出には、画像解析ソフトウェア(例えばWin-ROOFVer6.5(三谷商事))を用いる。
Win-ROOFVer6.5を用いた割合R1の算出は以下のようにすることができる。
評価範囲ROI1(図3(a)を参照)を、全ての疎部分94を含む最小の円(又は楕円)とする。
単一閾値(例えば0)による二値化処理を行い、評価範囲ROI1の面積S1を算出する。
2つの閾値(例えば0及び136)による二値化処理を行い、評価範囲ROI1内の複数の疎部分94の合計の面積S2を算出する。この際、疎部分94内の穴埋め処理、及び、ノイズと考えられる小さい面積の領域の削除(閾値:0.002以下)を行う。また、2つの閾値は、画像の明るさやコントラストによって適宜調整する。
面積S1に対する、面積S2の割合として、割合R1を算出する。すなわち、割合R1(%)=(面積S2)/(面積S1)×100である。
実施形態において、多孔領域91に占める複数の疎部分94の割合R1は、例えば、40%以上70%以下、好ましくは50%以上70%以下である。割合R1は、例えば60%程度である。
図5の平面図のような画像を取得し、画像解析により、疎部分94に占める複数の孔96の割合R2を算出する。割合R2は、例えば、疎部分94の気孔率に相当する。画像の取得には、走査型電子顕微鏡(例えば、日立ハイテクノロジーズ、S-3000)を用いる。加速電圧を15kV、倍率を600倍としてBSE像を取得する。例えば、画像サイズは、1280×960画素であり、画像階調は256階調である。
疎部分94に占める複数の孔96の割合R2の算出には、画像解析ソフトウェア(例えばWin-ROOFVer6.5(三谷商事))を用いる。
Win-ROOFVer6.5を用いた割合R1の算出は以下のようにすることができる。
評価範囲ROI2(図5を参照)を、疎部分94の形状を近似する六角形とする。評価範囲ROI2内に1つの疎部分94に設けられたすべての孔96が含まれる。
単一閾値(例えば0)による二値化処理を行い、評価範囲ROI2の面積S3を算出する。
2つの閾値(例えば0及び96)による二値化処理を行い、評価範囲ROI2内の複数の孔96の合計の面積S4を算出する。この際、孔96内の穴埋め処理、及び、ノイズと考えられる小さい面積の領域の削除(閾値:1以下)を行う。また、2つの閾値は、画像の明るさやコントラストによって適宜調整する。
面積S3に対する面積S4の割合として、割合R2を算出する。すなわち、割合R2(%)=(面積S4)/(面積S3)×100である。
実施形態において、疎部分94に占める複数の孔96の割合R2(疎部分94の気孔率)は、例えば、20%以上60%以下、好ましくは30%以上50%以下である。割合R2は、例えば40%程度である。
多孔領域91の気孔率は、例えば、多孔領域91に占める複数の疎部分94の割合R1と、疎部分94に占める複数の孔96の割合R2と、の積に相当する。例えば、割合R1が60%であり、割合R2が40%の場合、多孔領域91の気孔率は、24%程度と算出できる。
このような気孔率の多孔領域91を有する多孔質部90を用いることで、貫通孔15に流れるガスの流量を確保しつつ、絶縁耐圧を向上させることができる。
同様にして、セラミック誘電体基板11、多孔質部70の気孔率を算出することができる。なお、走査型電子顕微鏡の倍率は、観察対象に応じて、例えば数十倍~数千倍の範囲において適宜選択することが好ましい。
図7(a)、(b)は、他の実施形態に係る多孔質部90を例示する模式図である。
図7(a)は、Z方向に沿って見た多孔質部90の平面図であり、図7(b)は、図7(a)の一部の拡大図に相当する。
図7(a)及び図7(b)に示すように、この例では、疎部分94の平面形状は、円形である。このように、疎部分94の平面形状は、六角形でなくてもよい。
図8は、実施形態に係る静電チャックを例示する模式断面図である。
図8は、図2に示す領域Bの拡大図に相当する。すなわち、図8は、多孔質部90(緻密領域93)とセラミック誘電体基板11との界面F1の近傍を示す。なお、この例では、多孔質部90及びセラミック誘電体基板11の材料には、酸化アルミニウムが用いられている。
図8に示すように、多孔質部90は、X方向またはY方向においてセラミック誘電体基板11側に位置する第1領域90pと、第1領域90pとX方向またはY方向において連続した第2領域90qと、を有する。第1領域90p及び第2領域90qは、多孔質部90の緻密領域93の一部である。
第1領域90pは、X方向またはY方向において第2領域90qとセラミック誘電体基板11との間に位置する。第1領域90pは、界面F1からX方向またはY方向に40~60μm程度の領域である。すなわち、第1領域90pのX方向またはY方向に沿う幅W1(界面F1に対して垂直な方向における第1領域90pの長さ)は、例えば、40μm以上60μm以下である。
また、セラミック誘電体基板11は、X方向またはY方向において多孔質部90(第1領域90p)側に位置する第1基板領域11pと、第1基板領域11pとX方向またはY方向において連続した第2基板領域11qと、を有する。第1領域90pと第1基板領域11pとは接して設けられる。第1基板領域11pは、X方向またはY方向において第2基板領域11qと多孔質部90との間に位置する。第1基板領域11pは、界面F1からX方向またはY方向に40~60μm程度の領域である。すなわち、第1基板領域11pのX方向またはY方向に沿う幅W2(界面F1に対して垂直な方向における第1基板領域11pの長さ)は、例えば、40μm以上60μm以下である。
図9(a)、(b)は、実施形態に係る静電チャックを例示する模式断面図である。
図9(a)は、図8に示した第1領域90pの一部の拡大図である。図9(b)は、図8に示した第1基板領域11pの一部の拡大図である。
図9(a)に示すように、第1領域90pは、複数の粒子g1(結晶粒)を含む。また、図9(b)に示すように、第1基板領域11pは、複数の粒子g2(結晶粒)を含む。
第1領域90pにおける平均粒子径(複数の粒子g1の径の平均値)は、第1基板領域11pにおける平均粒子径(複数の粒子g2の径の平均値)と異なる。
第1領域90pにおける平均粒子径と第1基板領域11pにおける平均粒子径とが異なることにより、界面F1において、多孔質部90の結晶粒と、セラミック誘電体基板11の結晶粒と、の結合強度(界面強度)を向上させることができる。例えば、多孔質部90のセラミック誘電体基板11からの剥離や、結晶粒の脱粒を抑制することができる。
なお、平均粒子径には、図9(a)及び図9(b)のような断面の画像における、結晶粒の円相当直径の平均値を用いることができる。円相当直径とは、対象とする平面形状の面積と同じ面積を有する円の直径である。
セラミック誘電体基板11と、多孔質部90は、一体化されていることも好ましい。多孔質部90はセラミック誘電体基板11と一体化していることで、セラミック誘電体基板11に固定されている。これにより、多孔質部90を接着剤などによってセラミック誘電体基板11に固定する場合に比べて、静電チャックの強度を向上させることができる。例えば、接着剤の腐食やエロージョン等による静電チャックの劣化を抑制することができる。
この例では、第1基板領域11pにおける平均粒子径は、第1領域90pにおける平均粒子径よりも小さい。第1基板領域11pにおける粒子径が小さいことにより、多孔質部90とセラミック誘電体基板との界面において、多孔質部90と、セラミック誘電体基板と、の結合強度を向上させることができる。また、第1基板領域における粒子径が小さいことでセラミック誘電体基板11の強度を高め、製作時やプロセス時に発生する応力によるクラック等のリスクを抑えることができる。例えば、第1領域90pにおける平均粒子径は、3μm以上5μm以下である。例えば、第1基板領域11pにおける平均粒子径は、0.5μm以上2μm以下である。第1基板領域11pにおける平均粒子径は、第1領域90pにおける平均粒子径の1.1倍以上5倍以下である。
また、例えば、第1基板領域11pにおける平均粒子径は、第2基板領域11qにおける平均粒子径よりも小さい。第1領域90pと接して設けられる第1基板領域11pでは第1領域90pとの間における拡散等の相互作用により第1領域90pとの間の界面強度を高くすることが好ましい。一方、第2基板領域11qでは、セラミック誘電体基板11の材料本来の特性が発現されることが好ましい。第1基板領域11pにおける平均粒子径を第2基板領域11qにおける平均粒子径よりも小さくすることで、第1基板領域11pにおける界面強度の担保と、第2基板領域11qにおけるセラミック誘電体基板11の特性とを両立させることができる。
第1領域90pにおける平均粒子径は、第1基板領域11pにおける平均粒子径より小さくてもよい。これによって多孔質部90とセラミック誘電体基板との界面において、多孔質部90と、セラミック誘電体基板と、の結合強度を向上させることができる。また、第1領域90pにおける平均粒子径が小さいことで、多孔質部90の強度が高くなるため、プロセス時の粒子の脱落を抑制でき、パーティクルを低減できる。
また、前述したものと同様にして、第1領域90pにおける平均粒子径が、第2基板領域11qにおける平均粒子径よりも小さくなるようにすることもできる。この様にすれば、第1領域90pにおける機械的な強度を向上させることができる。
図2(a)を再び参照して、静電チャック110の構造について説明を続ける。静電チャック110は、前述のとおり多孔質部70(第1多孔質部、第2多孔質部)をさらに有していてもよい。多孔質部70は、図3~7において説明した複数の疎部分94と複数の密部分95とを有さない。この例では、多孔質部70は、べースプレートに設けられ、ガス導入路53と対向して配置される。多孔質部70は、例えばZ方向において多孔質部90とガス導入路53との間に設けることができる。例えば、多孔質部70は、ベースプレート50の、セラミック誘電体基板11側に嵌め込まれる。図2(a)に例示をしたように、例えば、ベースプレート50のセラミック誘電体基板11側には、座ぐり部53aが設けられる。座ぐり部53aは、筒状に設けられる。座ぐり部53aの内径を適切に設計することで、多孔質部70は、座ぐり部53aに嵌合される。なお、後述するように、多孔質部70をセラミック基板11に設けてもよい。
この例では、多孔質部70の上面70Uは、ベースプレート50の上面50Uに露出している。多孔質部70の上面70Uは、多孔質部90の下面90Lと対向している。この例では、多孔質部70の上面70Uと多孔質部90の下面90Lとの間は、空間SPとなっている。第1多孔質部は、多孔質部90、多孔質部70のいずれかとすることができる。第2多孔質部は、多孔質部90、多孔質部70のいずれかとすることができる。
多孔質部70は、複数の孔を有する多孔領域71(第1多孔領域、第2多孔領域の例)と、多孔領域71よりも緻密な緻密領域72(第1緻密領域、第2緻密領域の例)と、を有する。多孔領域71は、筒状(例えば、円筒形)に設けられ、座ぐり部53aに嵌合される。多孔質部70の形状は、円筒形が望ましいが、円筒形に限定されるものではない。多孔質部70には、絶縁性を有する材料が用いられる。多孔質部70の材料は、例えばAlやY、ZrO、MgO、SiC、AlN、Siである。多孔質部70の材料は、SiOなどのガラスでもよい。多孔質部70の材料は、Al-TiOやAl-MgO、Al-SiO、Al13Si、YAG、ZrSiOなどでもよい。
多孔領域71の気孔率は、例えば20%以上60%以下である。多孔領域71の密度は、例えば1.5g/cm以上3.0g/cm以下である。ガス導入路53を流れてきたHe等のガスは、多孔領域71の複数の孔71pを通過し、セラミック誘電体基板11に設けられた貫通孔15から溝14へ送られる。
緻密領域72は、例えば、セラミック絶縁膜からなる部分を有する。セラミック絶縁膜は、多孔領域71とガス導入路53との間に設けられる。セラミック絶縁膜は、多孔領域71よりも緻密である。セラミック絶縁膜の気孔率は、例えば10%以下である。セラミック絶縁膜の密度は、例えば3.0g/cm以上4.0g/cm以下である。セラミック絶縁膜は、多孔質部70の側面に設けられる。
セラミック絶縁膜の材料には、例えばAl、Y、ZrO、MgOなどが用いられる。セラミック絶縁膜の材料には、Al-TiO、Al-MgO、Al-SiO、Al13Si、YAG、ZrSiOなどが用いられてもよい。
セラミック絶縁膜は、例えば、多孔質部70の側面に溶射、PVD(Physical Vapor Deposition)やCVD、ゾルゲル法、エアロゾルデポジション法などによって形成することができる。セラミック絶縁膜の膜厚は例えば0.05mm以上0.5mm以下である。
セラミック誘電体基板11の気孔率は、例えば1%以下である。セラミック誘電体基板11の密度は、例えば4.2g/cmである。
セラミック誘電体基板11及び多孔質部70における気孔率は、前述のとおり、走査型電子顕微鏡により測定される。密度は、JIS C 2141 5.4.3に基づいて測定される。
多孔質部70がガス導入路53の座ぐり部53aに嵌合されると、セラミック絶縁膜72とベースプレート50とが接する状態になる。すなわち、He等のガスを溝14に導く貫通孔15と、金属製のベースプレート50との間に、絶縁性の高い多孔領域71及び緻密領域73とを有する多孔質部70が介在することになる。このような多孔質部70を用いることで、多孔領域71のみをガス導入路53に設ける場合に比べて、高い絶縁性を発揮できるようになる。
また、多孔質部70に設けられた複数71pの孔は、多孔質部90に設けられた複数の孔96よりも3次元的に分散し、Z方向に貫通する孔の割合は、多孔質部70よりも多孔質部90の方が多くなるようにすることができる。3次元的に分散した複数の孔71pを有する多孔質部70を設けることでより高い絶縁耐圧を得ることができるので、ガスの流れの円滑化を図りつつ、アーク放電の発生を効果的に抑制できる。また、図2(a)に示したように、Z方向に貫通する孔の割合が多い多孔質部90をセラミック誘電体基板11に設けることで、例えばプラズマ密度が高い場合においても、アーク放電の発生をより効果的に抑制できる。
ベースプレート50に設けられる多孔質部(第2多孔質部、図2(a)では多孔質部70)に設けられる複数の孔の平均値を、セラミック誘電体基板11に設けられる多孔質部(第1多孔質部、図2(a)では多孔質部90)に設けられる複数の孔の平均値よりも大きくすることができる。この様にすれば、孔の径が大きい多孔質部がガス導入路53側に設けられているので、ガスの流れの円滑化を図ることができる。また、孔の径が小さい多孔質部が吸着の対象物側に設けられているので、アーク放電の発生をより効果的に抑制することができる。
また、多孔質部70がベースプレート50に設けられ、多孔質部90がセラミック誘電体基板11に設けられる例においては、多孔質部70に設けられた複数の孔71pの径の平均値は、多孔質部90に設けられた複数の孔96の径の平均値よりも大きくすることができる。この様にすれば、孔の径が大きい多孔質部70が設けられているので、ガスの流れの円滑化を図ることができる。また、孔の径が小さい多孔質部90が吸着の対象物側に設けられているので、アーク放電の発生をより効果的に抑制することができる。
また、複数の孔の径のばらつきを小さくすることができるので、アーク放電のより効果的な抑制を図ることができる。
図10は、実施形態に係る静電チャックの多孔質部70を例示する模式断面図である。 図10は、多孔領域71の断面の一部の拡大図である。
多孔領域71に設けられた複数の孔71pは、多孔領域71の内部において、X方向、Y方向及びZ方向に3次元的に分散されている。言い換えれば、多孔領域71は、X方向、Y方向及びZ方向に孔71pが広がる3次元的な網状構造である。多孔質部70において、複数の孔71pは、多孔領域71に、例えばランダム又は均一に分散されている。
複数の孔71pは、3次元的に分散されているため、複数の孔71pの一部は、多孔領域71の表面にも露出している。そのため、多孔領域71の表面には細かい凹凸が形成されている。つまり、多孔領域71の表面を粗くすることができる。多孔領域71の表面粗さによって、多孔領域71の表面に、例えばセラミック絶縁膜(緻密領域72)を形成しやすくすることができる。例えば、セラミック絶縁膜(緻密領域72)と多孔領域71との接触が向上する。また、セラミック絶縁膜(緻密領域72)の剥離を抑制することができる。
多孔領域71に設けられた複数の孔71pの径の平均値は、例えば、多孔領域91に設けられた複数の孔96の径の平均値よりも大きい。孔71pの径は、例えば10μm以上50μm以下である。孔96の径が小さい多孔領域91によって、貫通孔15に流れるガスの流量を制御(制限)することができる。これにより、セラミック多孔体71に起因したガス流量のばらつきを抑制することができる。孔71pの径及び孔96の径の測定は、前述のとおり、走査型電子顕微鏡により行うことができる。
図11は、他の実施形態に係る多孔質部90を例示する模式断面図である。
図11は、図2(a)と同様に、多孔質部90の周辺を例示する。
この例では、多孔質部90は、セラミック誘電体基板11に設けられている。多孔質部70は、ベースプレート50に設けられている。すなわち、第1多孔質部に、多孔質部90が用いられている。第2多孔質部に、多孔質部70が用いられている。なお、多孔質部90は、セラミック誘電体基板11およびベースプレート50の双方に設けられていてもよい。
この例では、多孔質部90とセラミック誘電体基板11との間には接着部材61(接着剤)が設けられている。多孔質部90は、セラミック誘電体基板11に接着部材61で接着されている。例えば、接着部材61は、多孔質部90の側面(緻密領域93の側面93s)と、貫通孔15の内壁15wと、の間に設けられる。多孔質部90とセラミック誘電体基板11は、接していなくてもよい。
接着部材61には、例えば、シリコーン接着剤が用いられる。接着部材61は、例えば弾性を有する弾性部材である。接着部材61の弾性率は、例えば、多孔質部90の緻密領域93の弾性率よりも低く、セラミック誘電体基板11の弾性率よりも低い。
接着部材61によって多孔質部90とセラミック誘電体基板11とが接着される構造においては、接着部材61を、多孔質部90の熱収縮とセラミック誘電体基板11の熱収縮との差に対する緩衝材とすることができる。
図12(a)、(b)は、他の実施形態に係る多孔質部90を例示する模式断面図である。
前述した実施形態(図2参照)においては、多孔質部90がセラミック誘電体基板11に設けられ、多孔質部70がベースプレート50に設けられていた。
しかしながら、多孔質部90を用いる場合においては、ベースプレート50に設けられる多孔質部、セラミック誘電体基板11に設けられる多孔質部のいずれか一方を省くこともできる。
例えば、図12(a)に示した例においては、多孔質部90をセラミック誘電体基板11に設け、ベースプレート50にはガス導入路53を設けるようにしている。この様にすれば、多孔質部90に供給されるHe等のガスの流路抵抗を低減させることができる。
また、図12(b)に示した例においては、セラミック誘電体基板11には孔部15bを設け、多孔質部90をベースプレート50に設けるようにしている。この様にすれば、多孔質部90に供給されるHe等のガスの流路抵抗を低減させることができる。
また、図12(a)に示すように、ガス導入路53の、セラミック誘電体基板11側の開口の縁53bの少なくとも一部は曲線で構成することができる。例えば、ガス導入路53の開口の縁53bに、いわゆる「R面取り」を施すことができる。この場合、ガス導入路53の開口の縁53bが、半径0.2ミリメートル(mm)程度の曲線で構成されるようにすることができる。
前述したように、ベースプレート50は、アルミニウムなどの金属から形成されている。そのため、ガス導入路53の開口の縁が尖っていると電界集中が発生しやすくなり、アーク放電が生じ易くなるおそれがある。
本実施の形態においては、ガス導入路53の開口の縁53bの少なくとも一部が曲線で構成されているので、電界集中を抑制することができ、ひいてはアーク放電の低減を図ることができる。
図13(a)~(d)は、他の実施形態に係る多孔質部90a、70aを例示する模式断面図である。
図14(a)~(c)は、他の実施形態に係る多孔質部90a、90bを例示する模式断面図である。
図13(a)は、セラミック誘電体基板11に多孔質部90の緻密領域93が変更された多孔質部90aを設け、ベースプレート50に多孔質部70の緻密領域72が変更された多孔質部70aを設けた場合の例である。図14(a)は、セラミック誘電体基板11およびベースプレート50に多孔質部90の緻密領域93が変更された多孔質部90a、および多孔質部70の緻密領域72が変更された多孔質部70bをそれぞれ設けた場合の例である。
図13(a)、図13(b)、および図14(a)に示すように、セラミック誘電体基板11に設けられた多孔質部90aにおいて、多孔領域91は、緻密部92aをさらに有する。すなわち、多孔質部90aは、前述した多孔質部90に緻密部92aをさらに加えたものである。
図13(a)および図13(b)に示すように、緻密部92aは、板状(例えば円板状)を呈するものとすることができる。図14(a)に示すように、緻密部92aは、柱状(例えば円柱状)を呈するものとすることもできる。緻密部92aの材料は、例えば、前述した緻密領域93の材料と同様とすることができる。緻密部92aは多孔領域91よりも緻密である。緻密部92aと緻密領域93との緻密度が同程度であってもよい。Z方向に対して垂直な平面(XY平面)に投影したときに、緻密部92aと孔部15bとは重なる。多孔領域91と孔部15bとは重ならないように構成されていることがより好ましい。このような構成によれば、発生した電流が緻密部92aを迂回して流れようとする。そのため、電流が流れる距離(導電パス)を長くすることができるので、電子が加速されにくくなり、ひいてはアーク放電の発生を抑制することができる。
また、Z方向に対して垂直な平面(XY平面)に投影したときに、緻密部92aの寸法は、孔部15bの寸法と同じ、または、緻密部92aの寸法は、孔部15bの寸法よりも大きくすることが好ましい。この様にすれば、孔部15bの内部を流れた電流を緻密部92aに導くことができる。そのため、電流が流れる距離(導電パス)を効果的に長くすることができる。
この例では、Z方向に対して垂直な平面に投影したときに、緻密部92aの周囲に多孔領域91が設けられている。孔部15bと対向する位置には緻密部92aを配置してアーク放電に対する耐性を高めつつ、その周囲を多孔領域91としているので十分なガス流を確保することができる。つまり、アーク放電の低減とガスの流れの円滑化を両立させることができる。
図13(a)に示すように、緻密部92aのZ方向に沿う長さは、多孔質部90aのZ方向に沿う長さよりも小さくしてもよいし、図14(a)に示すように、多孔質部90aのZ方向に沿う長さと略同じとしてもよい。緻密部92aのZ方向に沿う長さを長くすれば、アーク放電の発生をより効果的に抑制することができる。緻密部92aのZ方向に沿う長さを、多孔質部90aのZ方向に沿う長さよりも小さくすればガスの流れの円滑化を図ることができる。
緻密部92aは、実質的に孔を有さない緻密体で構成してもよいし、多孔領域91よりも緻密であれば、複数の孔を有するように構成してもよい。緻密部92aが複数の孔を有する場合には、その孔の径を多孔領域91が有する孔の径よりも小さくすることが好ましい。緻密部92aの気孔率(パーセント:%)は、多孔領域91の気孔率(%)よりも低くすることができる。そのため、緻密部92aの密度(グラム/立方センチメートル:g/cm)は、多孔領域91の密度(g/cm)よりも高くすることができる。緻密部92aの気孔率は、例えば、前述した緻密領域93の気孔率と同様とすることができる。
ここで、アーク放電は、孔部15bの内部を、セラミック誘電体基板11側からベースプレート50側に向けて電流が流れることで発生する場合が多い。そのため、低い気孔率を有する緻密部92aが孔部15bの近傍に設けられていれば、図13(a)および図14(a)に示すように、電流200は緻密部92aを迂回して流れようとする。そのため、電流200が流れる距離(導電パス)を長くすることができるので、電子が加速されにくくなり、ひいてはアーク放電の発生を抑制することができる。
また、図13(a)に示すように、例えばベースプレート50に設けられた多孔質部70において多孔領域71が緻密部92bをさらに備えた多孔質部70aを用いることもできる。
また、図14(a)に示すように、多孔質部90aをセラミック誘電体基板11に設け、多孔質部70bをベースプレート50に設けることもできる。多孔質部70bは、多孔領域71が、緻密部92bをさらに有する。すなわち、多孔質部70bは、前述した多孔質部70に緻密部92bをさらに加えたものである。
すなわち、ベースプレート50に設けられる多孔質部70または多孔質部90に、緻密部92bをさらに加えることもできる。
緻密部92bは、少なくとも1つ設けることができる。図13(c)および図14(b)に示すように、板状(例えば円板状)または柱状(例えば円柱状)を呈する緻密部92bを複数設けることもできる。図13(d)および図14(c)に示すように、環状(例えば円環状)または筒状(例えば円筒状)を呈する緻密部92bを設けることもできる。緻密部92bの材料、密度、気孔率などは、緻密部92aと同様とすることができる。
Z方向に対して垂直な平面(XY平面)に投影したときに、ベースプレート50に設けられた多孔質部が有する緻密部(例えば緻密部92b)の少なくとも一部が、セラミック誘電体基板11に設けられた多孔質部が有する緻密部(例えば緻密部92a)と重なるようにすることが好ましい。このような構成によれば、例えば多孔質部90a(セラミック誘電体基板11側多孔質部)において緻密部92aを迂回して流れた電流が、緻密部92bが設けられた多孔質部70、90b(ベースプレート50側多孔質部)を流れる際に、ベースプレート50側に設けられた多孔質部の多孔領域(例えば多孔領域71、91)を流れることなく、緻密部92bをさらに迂回して流れようとする。そのため、電流が流れる距離(導電パス)をさらに長くすることができるので、電子がさらに加速されにくくなり、ひいてはアーク放電の発生を効果的に抑制することができる。
図15(a)、(b)は、他の実施形態に係る多孔質部を例示する模式断面図である。
図15(a)、(b)に示すように、Z方向に対して垂直な平面(XY平面)に投影したときに、緻密部92aと緻密部92bが重なるようにすることができる。また、Z方向に対して垂直な平面(XY平面)に投影したときに、緻密部92aと緻密部92bが接するようにしてもよい。なお、Z方向に対して垂直な平面(XY平面)に投影したときに、緻密部92aと緻密部92bとの間の隙間が僅かであれば、緻密部92aと緻密部92bとの間を電流が流れるのを抑制することができる。そのため、緻密部92aと緻密部92bとの間を電流が流れるのを抑制することができる程度であれば、緻密部92aと緻密部92bとの間に隙間を設けることもできる。
この様にすれば、多孔質部90aを流れた電流が、緻密部92bを介さずに、多孔質部70aを流れるのを抑制することができる。そのため、電流が流れる距離(導電パス)を効果的に長くすることができる。
また、図15(a)、(b)に示すように、Z方向に対して垂直な平面(XY平面)に投影したときに、緻密部92bと緻密領域93が重なるようにすることが好ましい。また、Z方向に対して垂直な平面(XY平面)に投影したときに、緻密部92bと緻密領域93が接するようにしてもよい。この様にすれば、電流が流れる距離(導電パス)をさらに長くすることができるので、電子がさらに加速されにくくなり、ひいてはアーク放電の発生を効果的に抑制することができる。
図16は、他の実施形態に係る静電チャックを例示する模式断面図である。
図17(a)、(b)は、図16に示す領域Cの拡大図に相当する。
図16および図17(a)、(b)に示すように、静電チャック110aは、セラミック誘電体基板11cと、ベースプレート50と、を備える。すなわち、セラミック誘電体基板11cには、多孔質部(多孔質部70または多孔質部90)が設けられていない。
セラミック誘電体基板11cには、複数の孔16が直接設けられている。複数の孔16は、セラミック誘電体基板11cに例えば、レーザを照射、あるいは、超音波加工などによって形成することができる。この例では、複数の孔16の一端は、溝14の面14aに位置する。複数の孔16の他端はセラミック誘電体基板11cの第2主面11bに位置する。すなわち、複数の孔16は、セラミック誘電体基板11cをZ方向に貫通している。
図17(a)、(b)に示すように、ベースプレート50には、多孔質部(例えば、多孔質部70a)を設けることができる。なお、ベースプレート50には、多孔質部90bが設けられるようにしてもよい。また、図12(a)に例示をしたように、ベースプレート50に多孔質部70または多孔質部90が設けられず、ガス導入路53が設けられるようにしてもよい。
また、図17(a)、(b)に示すように、ベースプレート50に設けられた多孔質部70の上面70U(または多孔質部90の上面90U)と、セラミック誘電体基板11cの第2主面11bとは接触していなくてもよい。また、前述したものと同様に、ガス導入路53の、セラミック誘電体基板11c側の開口の縁53bの少なくとも一部を曲線で構成することができる。
複数の孔16をセラミック誘電体基板11cに設ければ、静電チャック110aに載置された対象物Wの裏面と溝14を含む第1主面11aとの間に供給するガスの流量を確保しつつ、アーク放電に対する耐性を向上させることができる。
緻密部92bのZ方向に沿う長さは、多孔質部70a、90bのZ方向に沿う長さよりも小さくすることができる。また、緻密部92bのZ方向に沿う長さは、多孔質部70a、90bのZ方向に沿う長さと略同じとすることもできる。緻密部92bのZ方向に沿う長さを短くすれば、ガス流の円滑化を図ることができる。緻密部92bのZ方向に沿う長さを長くすれば、アーク放電の発生をより効果的に抑制することができる。
Z方向に対して垂直な平面(XY平面)に投影したときに、複数の孔16の少なくとも1つは、緻密部92bと重なるようにすることができる。複数の緻密部92bの材料、密度、気孔率などは、例えば、前述したとおりである。
図17(a)に示すように、複数の緻密部92bを有する多孔質部70aがベースプレート50に設けられていてもよい。図17(b)に示すように、複数の緻密部92bを有する多孔質部90bがベースプレート50に設けられていてもよい。
図18は、他の実施形態に係る複数の孔16hを例示する模式断面図である。
複数の孔16hは、セラミック誘電体基板11にレーザを照射あるいは、超音波加工などによって形成することができる。
図18に示すように、セラミック誘電体基板11に設けられた複数の孔16hの少なくとも1つは、溝部14に開口する第1部分16h1と、第2主面11bに開口する第2部分16h2と、を有することができる。X方向またはY方向において、第1部分16h1の寸法は第2部分16h2の寸法よりも小さくすることができる。X方向またはY方向において、複数の孔16hの少なくとも1つは、溝14の面14a側の開口寸法D4が、ベースプレート50側の開口寸法D3よりも小さくなるようにすることができる。なお、図18においては、段付き構造を有する孔16hを例示したが、テーパ構造を有する孔16hとすることもできる。例えば、開口寸法D4は、直径が0.01ミリメートル(mm)~0.1ミリメートル(mm)とすることができる。例えば、開口寸法D3は、直径が0.15ミリメートル(mm)~0.2ミリメートル(mm)程度とすることができる。開口寸法D4が開口寸法D3よりも小さくなっていれば、アーク放電の発生を効果的に抑制することができる。
また、孔16hの縦横比(アスペクト比)は、例えば、3~60とすることができる。アスペクト比の算出において、「縦」は例えば図18における孔16hのZ方向の長さとし、「横」は孔16hの上面(面14a)における孔16hのX方向の長さと、孔16hの下面(第2主面11b)における孔16hのX方向の長さと、の平均長さとする。なお、孔16hのX方向の長さの測定には、レーザ顕微鏡、工場顕微鏡などの光学顕微鏡、デジタルマイクロスコープなどを用いることができる。
また、開口寸法D4は、図4に例示をした疎部分94aの長さL1(疎部分94bのL4、疎部分94cの長さL5)よりも小さくすることができる。
図19(a)、(b)は、孔16の開口部分の形状を例示する模式断面図である。
図19(b)は、図19(a)に示す領域Dの拡大図に相当する。図19(a)では、孔16において図18の開口寸法D3の部分がない。すなわち、孔16の開口寸法は図18における開口寸法D4に対応している。
図19(a)、(b)に示すように、孔16の第1主面11a側(溝14の面14a側)の開口の縁16iは、孔16の第2主面11b側の開口の縁16jよりもなだらかに傾斜させることができる。この例では、複数の孔16の少なくとも1つは、孔16の溝14側の開口の縁16iと、溝14の第2主面11b側の面14aとがなす角度をα、孔16の第2主面11b側の開口の縁16jと第2主面11bとがなす角度をβとした場合に、「α<β」となっている。この様にすれば、電界集中を抑制することができ、ひいてはアーク放電の低減を図ることができる。なお、この例では、縁16iは、直線で構成されている。ただし、縁16iは、曲線で構成されていてもよいし、直線と曲線とで構成されていてもよい。縁16iと縁16jが曲線で構成されている場合には、縁16iの曲率半径が、縁16jの曲率半径よりも大きくすることができる。縁16iと縁16jが直線と曲線とで構成されている場合には、直線部分同士の関係、および、曲線部分同士の関係の少なくともいずれかが前述した関係を満たすようにすればよい。
縁16iが縁16jよりもなだらかに傾斜していれば、チッピングなどの発生や電界集中を抑制できる。そのため、アーク放電の発生をより効果的に抑制することができる。
なお、一例として、孔16の開口部分の形状を例示したが、段付き構造やテーパ構造を有する孔16hの場合も同様である。
図20は、他の実施形態に係る静電チャックを例示する模式断面図である。
図20は、図16に示す領域Cの拡大図に相当する。
図17(a)に例示をした複数の孔16のそれぞれは、略Z方向に延びている。これに対して、図20に例示をした複数の孔16の少なくとも1つは、Z方向に対して傾斜しているものとすることができる。複数の孔16の少なくとも1つが、Z方向に対して傾いた方向に延びていれば、孔16の内部を電流が流れる際に、電子が加速されにくくなると考えられる。そのため、アーク放電の発生を効果的に抑制することができる。本発明者らの得た知見によれば、Z方向に対して傾斜する角度θが5°以上、30°以下、好ましくは5°以上、15°以下となるようにすれば、孔16の径を小さくすることなく、アーク放電の発生を抑制することができる。
なお、一例として、孔16の場合を例示したが、段付き構造やテーパ構造を有する孔16hの場合も同様である。
Z方向に対して傾斜する孔16は、セラミック誘電体基板11cにレーザを照射あるいは、超音波加工などによって直接形成することができる。そのため、Z方向に対して傾斜する少なくとも1つの孔16が設けられた領域は、セラミック誘電体基板11と同じ材料を含んでいる。
図21は、他の実施形態に係る静電チャックを例示する模式断面図である。
図21は、図16に示す領域Cの拡大図に相当する。
図21に示すように、多孔質部90bは、多孔領域91が、緻密部92bをさらに有する。すなわち、多孔質部90bは、前述した多孔質部90に緻密部92bをさらに加えたものである。すなわち、ベースプレート50に設けられる多孔質部70または多孔質部90に、緻密部92bをさらに加えることもできる。
Z方向に対して垂直な平面(XY平面)に投影したときに、複数の孔16の、緻密部92b側の開口の少なくとも1つは、緻密部92bと重なるようにすることができる。複数の緻密部92bの材料、密度、気孔率などは、例えば、前述したとおりである。
図22は、他の実施形態に係る静電チャックを例示する模式断面図である。
図23は、図22に示す領域Eの拡大図に相当する。
図24は、図22に示す領域Eの、他の実施形態を表す拡大図である。
図22、図23、および図24に示すように、静電チャック110bは、セラミック誘電体基板11dと、ベースプレート50と、を備える。セラミック誘電体基板11dには多孔質部90bまたは多孔質部90aが設けられている。
セラミック誘電体基板11dには、複数の孔16が設けられている。複数の孔16は、セラミック誘電体基板11dに例えば、レーザを照射、あるいは、超音波加工などによって形成することができる。この例では、複数の孔16の一端は、溝14の面14aに位置する。複数の孔16の他端は、孔部15cの底面に位置する。すなわち、複数の孔16は、セラミック誘電体基板11dをZ方向に貫通している。
図23に示すように、Z方向に対して垂直な平面(XY平面)に投影したときに、複数の孔16の少なくとも1つは、緻密部92bと重なるようにすることができる。緻密部92bの材料、密度、気孔率などは、例えば、前述したとおりである。
図24に示すように、Z方向に対して垂直な平面(XY平面)に投影したときに、複数の孔16の少なくとも1つは、緻密部92aと重なるようにすることができる。緻密部92aの材料、密度、気孔率などは、例えば、前述したとおりである。
(処理装置)
図25は、本実施の形態に係る処理装置200を例示する模式図である。
図25に示すように、処理装置200には、静電チャック110、電源210、媒体供給部220、および供給部230を設けることができる。
電源210は、静電チャック110に設けられた電極12と電気的に接続されている。電源210は、例えば、直流電源とすることができる。電源210は、電極12に所定の電圧を印加する。また、電源210には、電圧の印加と、電圧の印加の停止とを切り替えるスイッチを設けることもできる。
媒体供給部220は、入力路51および出力路52に接続されている。媒体供給部220は、例えば、冷却媒体または保温媒体となる液体の供給を行うものとすることができる。
媒体供給部220は、例えば、収納部221、制御弁222、および排出部223を有する。
収納部221は、例えば、液体を収納するタンクや工場配管などとすることができる。また、収納部221には、液体の温度を制御する冷却装置や加熱装置を設けることができる。収納部221には、液体を送り出すためのポンプなどを備えることもできる。
制御弁222は、入力路51と収納部221の間に接続されている。制御弁222は、液体の流量および圧力の少なくともいずれかを制御することができる。また、制御弁222は、液体の供給と供給の停止とを切り替えるものとすることもできる。
排出部223は、出力路52に接続されている。排出部223は、出力路52から排出された液体を回収するタンクやドレイン配管などとすることができる。なお、排出部223は必ずしも必要ではなく、出力路52から排出された液体が収納部221に供給されるようにしてもよい。この様にすれば、冷却媒体または保温媒体を循環させることができるので省資源化を図ることができる。
供給部230は、ガス供給部231、およびガス制御部232を有する。
ガス供給部231は、ヘリウムなどのガスを収納した高圧ボンベや工場配管などとすることができる。なお、1つのガス供給部231が設けられる場合を例示したが、複数のガス供給部231が設けられるようにしてもよい。
ガス制御部232は、複数のガス供給路53とガス供給部231との間に接続されている。ガス制御部232は、ガスの流量および圧力の少なくともいずれかを制御することができる。また、ガス制御部232は、ガスの供給と供給の停止とを切り替える機能をさらに有するものとすることもできる。ガス制御部232は、例えば、マスフローコントローラやマスフローメータなどとすることができる。
図25に示すように、ガス制御部232は、複数設けることができる。例えば、ガス制御部232は、第1主面11aの複数の領域毎に設けることができる。この様にすれば、供給するガスの制御を複数の領域毎に行うことができる。この場合、複数のガス供給路53毎にガス制御部232を設けることもできる。この様にすれば、複数の領域におけるガスの制御をより精密に行うことができる。なお、複数のガス制御部232が設けられる場合を例示したが、ガス制御部232が複数の供給系におけるガスの供給を独立に制御可能であれば1台であってもよい。
ここで、対象物Wを保持する手段には、バキュームチャックやメカニカルチャックなどがある。しかしながら、バキュームチャックは大気圧よりも減圧された環境においては用いることができない。また、メカニカルチャックを用いると対象物Wが損傷したり、パーティクルが発生したりするおそれがある。そのため、例えば、半導体製造プロセスなどに用いられる処理装置には静電チャックが用いられている。
この様な処理装置においては、処理空間を外部の環境から隔離する必要がある。そのため、処理装置200は、チャンバ240をさらに備えることができる。チャンバ240は、例えば、大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能な気密構造を有するものとすることができる。
また、処理装置200は、複数のリフトピンと、複数のリフトピンを昇降させる駆動装置を備えることができる。対象物Wを搬送装置から受け取ったり、対象物Wを搬送装置に受け渡したりする際には、リフトピンが駆動装置により上昇し第1主面11aから突出する。搬送装置から受け取った対象物Wを第1主面11aに載置する際には、リフトピンが駆動装置により下降しセラミック誘電体基板11の内部に収納される。
また、処理装置200には、処理の内容に応じて各種の装置を設けることができる。例えば、チャンバ240の内部を排気する真空ポンプなどを設けることができる。チャンバ240の内部にプラズマを発生させるプラズマ発生装置を設けることができる。チャンバ240の内部にプロセスガスを供給するプロセスガス供給部を設けることができる。チャンバ240の内部において対象物Wやプロセスガスを加熱するヒータを設けることもできる。なお、処理装置200に設けられる装置は例示をしたものに限定されるわけではない。処理装置200に設けられる装置には既知の技術を適用することができるので詳細な説明は省略する。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。例えば、静電チャック110として、クーロン力を用いる構成を例示したが、ジョンソン・ラーベック力を用いる構成であっても適用可能である。また、前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
11 セラミック誘電体基板、11a 第1主面、11b 第2主面、11c セラミック誘電体基板、12 電極、14 溝、14a 底面、15 貫通孔、15a 孔部、15b 孔部、15c 孔部、15c1 面、15d 孔部、16 孔、16h 孔、16i 縁、16j 縁、50 ベースプレート、53 ガス導入路、53b 縁、60 接合部、70 多孔質部、70a 多孔質部、71 多孔領域、72 緻密領域、90 多孔質部、90a 多孔質部、90b 多孔質部、92a 緻密部、92b 緻密部、96 孔、110 静電チャック、110a 静電チャック、200 処理装置、210 電源、230 供給部、W 対象物

Claims (16)

  1. 吸着の対象物を載置する第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面と、を有するセラミック誘電体基板と、
    前記セラミック誘電体基板を支持し、ガス導入路を有するベースプレートと、
    前記セラミック誘電体基板に設けられ、前記ガス導入路と対向する第1多孔質部と、
    前記ベースプレートに設けられ、前記ガス導入路と対向する第2多孔質部と、
    を備え、
    前記ベースプレートから前記セラミック誘電体基板へ向かう方向を第1方向とし、前記第1方向に略直交する方向を第2方向としたときに、
    前記セラミック誘電体基板は、前記第1主面と、前記第1多孔質部との間に位置する第1孔部を有し、
    前記第1多孔質部は、複数の孔を有する第1多孔領域と、前記第1多孔領域よりも緻密な第1緻密領域と、を有し、前記第1多孔領域は、少なくとも1つの第1緻密部をさらに有し、前記第1緻密領域は、筒状を呈し、前記第1多孔領域の側面を囲み、
    前記第2多孔質部は、複数の孔を有する第2多孔領域と、前記第2多孔領域よりも緻密な第2緻密領域と、を有し、前記第2多孔領域は、少なくとも1つの第2緻密部をさらに有し、前記第2緻密領域は、筒状を呈し、前記第2多孔領域の側面を囲み、
    前記1方向に対して垂直な平面に投影したときに、前記第1緻密部と前記第1孔部とは重なり、前記第2緻密部の少なくとも一部と前記第1緻密部の少なくとも一部とが重なる、または、前記第2緻密部の少なくとも一部と前記第1緻密部の少なくとも一部とが接するように構成され
    前記第1方向に対して垂直な平面に投影したときに、前記第1緻密部の少なくとも一部と、前記第2緻密部を除く前記第2多孔領域の少なくとも一部とが重なるように構成されたことを特徴とする静電チャック。
  2. 前記第1方向に対して垂直な平面に投影したときに、前記第1緻密部の寸法は、前記第1孔部の寸法と同じ、または、前記第1緻密部の寸法は、前記第1孔部の寸法よりも大きいことを特徴とする請求項1記載の静電チャック。
  3. 前記第1方向に対して垂直な平面に投影したときに、前記第2緻密部と前記第1緻密領域とが重なる、または、前記第2緻密部と前記第1緻密領域とが接することを特徴とする請求項1または2に記載の静電チャック。
  4. 前記第1多孔領域は、複数の第1疎部分と、第1密部分と、を有し、
    前記第1疎部分は、前記複数の孔を有し、
    前記第1密部分は、前記第1疎部分の密度よりも高い密度を有し、前記第2方向における寸法が、前記第2方向における前記第1緻密領域の寸法よりも小さく、
    前記複数の第1疎部分のそれぞれは、前記第1方向に延び、
    前記第1密部分は、前記複数の第1疎部分同士の間に位置し、
    前記第1疎部分は、前記複数の孔同士の間に設けられた第1壁部を有し、
    前記2方向において、前記第1壁部の寸法の最小値は、前記第1密部分の寸法の最小値よりも小さいことを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の静電チャック。
  5. 前記第2多孔領域は、複数の第2疎部分と、第2密部分と、を有し、
    前記第2疎部分は、前記複数の孔を有し、
    前記第2方向において、前記複数の第1疎部分のそれぞれに設けられた前記複数の孔の寸法は、前記第1密部分の寸法よりも小さいおよび/または前記第2方向において、前記複数の第2疎部分のそれぞれに設けられた前記複数の孔の寸法は、前記第2密部分の寸法よりも小さいことを特徴とする請求項記載の静電チャック。
  6. 前記複数の第1疎部分のそれぞれに設けられた前記複数の孔の縦横比および/または前記複数の第2疎部分のそれぞれに設けられた前記複数の孔の縦横比は、30以上であることを特徴とする請求項記載の静電チャック。
  7. 前記第2方向において、前記複数の第1疎部分のそれぞれに設けられた前記複数の孔の寸法および/または前記複数の第2疎部分のそれぞれに設けられた前記複数の孔の寸法は、1マイクロメートル以上20マイクロメートル以下であることを特徴とする請求項5または記載の静電チャック。
  8. 前記第1方向に沿って見たときに、前記第1疎部分に設けられた複数の孔は、前記第1疎部分の中心部に位置する第1孔を含み、
    前記複数の孔のうち前記第1孔と隣接し前記第1孔を囲む孔の数は、6であるおよび/または
    前記第1方向に沿って見たときに、前記第2疎部分に設けられた複数の孔は、前記第2疎部分の中心部に位置する第2孔を含み、
    前記複数の孔のうち前記第2孔と隣接し前記第2孔を囲む孔の数は、6であることを特徴とする請求項~7のいずれか1つに記載の静電チャック。
  9. 前記第1緻密部の前記第1方向に沿う長さは、前記第1多孔質部の前記第1方向に沿う長さよりも小さいことを特徴とする請求項1~8のいずれか1つに記載の静電チャック。
  10. 前記第1方向において、前記第1緻密部と前記ベースプレートとの間に前記第1多孔領域が設けられることを特徴とする請求項1~9のいずれか1つに記載の静電チャック。
  11. 前記第1緻密部の前記第1方向に沿う長さは、前記第1多孔質部の前記第1方向に沿う長さと略同じであることを特徴とする請求項1~10のいずれか1つに記載の静電チャック。
  12. 前記第1方向に対して垂直な平面に投影したときに、前記第1緻密部の周囲に前記複数の第1疎部分が設けられることを特徴とする請求項のいずれか1つに記載の静電チャック。
  13. 前記第2多孔質部に設けられた前記複数の孔の径の平均値は、前記第1多孔質部に設けられた複数の孔の径の平均値よりも大きいことを特徴とする請求項1~12のいずれか1つに記載の静電チャック。
  14. 前記ガス導入路の、前記セラミック誘電体基板側の開口の縁の少なくとも一部は曲線で構成されていることを特徴とする請求項1~13のいずれか1つに静電チャック。
  15. 前記セラミック誘電体基板は、前記第1主面と、前記第1多孔質部との間に位置する第1孔部を有し、
    前記セラミック誘電体基板および前記第1多孔質部の少なくともいずれかは、前記第1孔部と、前記第1多孔質部との間に位置する第2孔部を有し、
    前記2方向において、前記第2孔部の寸法は、前記第1多孔質部の寸法よりも小さく、前記第1孔部の寸法よりも大きいことを特徴とする請求項1~14のいずれか1つに記載の静電チャック。
  16. 請求項1~15のいずれか1つに記載の静電チャックと、
    前記静電チャックに設けられたガス導入路にガスを供給可能な供給部と、
    を備えたことを特徴とする処理装置。
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