以下、本発明を遊技機の一種である回胴式遊技機、具体的にはスロットマシンに適用した場合の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はスロットマシン10及びカードユニット230の正面図、図2は、カードユニット230はそのままで、スロットマシン10の前面扉12を開いた状態の斜視図、図3は、カードユニット230はそのままで、スロットマシン10の前面扉12を取り外した状態の筐体11の正面図である。本実施の形態においてスロットマシン10は、カードユニット230に接続されて使用されるものであり、カードユニット230に挿入されたカード(磁気カードやICカードなどのプリペイドカードや会員カード)に記憶される残高金額(有価価値)の範囲内で、遊技価値を払い出すようになっている。尚、本実施の形態においては、遊技価値には遊技メダルのような物理的な実体はなく、遊技価値の貸出し、入賞による遊技価値の獲得、遊技の用に供するための遊技価値の投入を電磁的方法のみにより行うように構成されている。
図1~図3に示すように、スロットマシン10は、その外殻を形成する筐体11を備えている。筐体11は、図2および図3に示すように、木製板状に形成された天板11a、底板11b、背板11c、左側板11d及び右側板11eからなり、隣接する各板11a~11eが接着等の固定手段によって固定されることにより、全体として前面を開放した箱状に形成されている。なお、各板11a~11eは木製のパネルによって構成する以外に、合成樹脂製パネル又は金属製パネルによって構成してもよいし、合成樹脂材料又は金属材料によって一体の箱状に形成することによって構成してもよい。以上のように構成された筐体11は、遊技ホールへの設置の際にいわゆる島設備に対し釘を打ち付ける等して取り付けられる。
筐体11の前面側には、前面開閉扉としての前面扉12が開閉可能に取り付けられている。すなわち、筐体11の左側板11dには、図3に示すように、上下一対の支軸25a,25bが設けられている。支軸25a,25bは上方に向けて突出した先細り形状の軸部を備えている。一方、前面扉12には、各支軸25a,25bに対応して当該支軸25a,25bの軸部が挿入される挿入孔を備えた支持金具26a,26bが設けられている。そして、各支軸25a,25bの上方に支持金具を配置した上で前面扉12を降下することにより、支持金具26a,26bの挿入孔に支軸25a,25bの軸部が挿入された状態となる。これにより、前面扉12は筐体11に対して両支軸25a,25bを結ぶ上下方向へ延びる開閉軸線を中心として回動可能に支持され、その回動によって筐体11の前面開放側を開放したり閉鎖したりすることができるように構成されている。
前面扉12は、その裏面に設けられた施錠装置によって開放不能な施錠状態とされる。また、前面扉12の右端側上部には、図1に示すように、解錠操作部たるキーシリンダ20が設けられている。キーシリンダ20は施錠装置と一体化されており、キーシリンダ20に対する所定のキー操作によって前記施錠状態が解除されるように構成されている。そこで、施錠装置を含むロック機構について概略を説明する。
前面扉12の右端側、すなわち前面扉12の開閉軸の反対側には、その裏面に施錠装置が設けられている。施錠装置は、図1および図2に示すように、上下方向に延び前面扉12に固定された基枠と、基枠の上部から前面扉12の前方に延びるように設けられたキーシリンダ20と、基枠に対して上下方向に移動可能に組み付けられた長尺状の連動杆21とを備えている。そして、施錠装置のうちキーシリンダ20だけが前面扉12の前方に突出した状態で設けられている。キーシリンダ20が設けられる位置は前面扉12の中でも肉厚の薄い上部位置とされており、その結果、全長の短い汎用性のあるキーシリンダ20を採用することができる。
連動杆21は、キーシリンダ20に差し込んだキーを時計回りに操作することで下方へ移動する。連動杆21には、鉤形状をなす上下一対の鉤金具22が設けられており、筐体11に対して前面扉12を閉鎖した際には、鉤金具22が筐体11側の支持金具23(図3参照)に係止されて施錠状態となる。なお、鉤金具22には施錠状態を維持する側へ付勢するコイルバネ等の付勢部材が設けられている。キーシリンダ20に対してキーが時計回りに操作されると、連動杆21が下方に移動し、前記付勢部材の付勢力に抗して鉤金具22が移動することにより当該鉤金具22と支持金具23との係止状態が解除され、筐体11に対する前面扉12の施錠状態が解除される。
前面扉12の中央部上寄りには、図1に示すように、遊技者に遊技状態を報知する遊技パネル30が設けられている。遊技パネル30には、縦長の3つの表示窓31L,31M,31Rが横並びとなるように形成されている。表示窓31L,31M,31Rは透明又は半透明な材質により構成されており、各表示窓31L,31M,31Rを通じてスロットマシン10の内部が視認可能な状態となっている。なお、各表示窓31L,31M,31Rを1つにまとめて共通の表示窓としてもよい。
図2に示すように、筐体11は仕切り板40によりその内部が上下2分割されており、仕切り板40の上部には、表示装置を構成するリールユニット41が取り付けられている。リールユニット41は、円筒状(円環状)にそれぞれ形成された左リール42L,中リール42M,右リール42Rを備えている。なお、各リール42L,42M,42Rは少なくとも無端状ベルトとして構成されていればよく、円筒状(円環状)に限定されるものではない。また、ベルトやドラム等の回胴として構成しても良い。
各リール42L,42M,42Rは、その中心軸線が当該リールの回転軸線となるように回転可能に支持されている。各リール42L,42M,42Rの回転軸線は略水平方向に延びる同一軸線上に配設され、それぞれのリール42L,42M,42Rが各表示窓31L,31M,31Rと1対1で対応している。従って、各リール42L,42M,42Rの表面の一部はそれぞれ対応する表示窓31L,31M,31Rを通じて視認可能な状態となっている。また、リール42L,42M,42Rが正回転すると、各表示窓31L,31M,31Rを通じてリール42L,42M,42Rの表面は上から下へ向かって移動しているかのように映し出される。
これら各リール42L,42M,42Rは、それぞれがステッピングモータ61(61L,61M,61R(図4参照))に連結されており、各ステッピングモータ61L,61M,61Rの駆動により各リール42L,42M,42Rが個別に、即ちそれぞれ独立して回転駆動し得る構成となっている。
ステッピングモータ61は例えば504パルスの駆動信号(励磁信号あるいは励磁パルスとも言う。以下同じ)を与えることにより1回転されるように設定されており、この励磁パルスによってステッピングモータ61の回転位置、すなわち対応する各リール42L,42M,42Rの回転位置が制御される。
各リール42L,42M,42Rの各ベルト上には、その長辺方向(周回方向)に複数個、具体的には21個の図柄が描かれている。従って、所定の位置においてある図柄から次の図柄へ切り替えるには24パルス(=504パルス÷21図柄)を要する。そして、後述するリールインデックスセンサ55(図4参照)の検出信号が出力された時点からのパルス数により、どの図柄が表示窓31L,31M,31Rから視認可能な状態となっているかを認識したり、任意の図柄を露出窓31L,31M,31Rから視認可能な状態としたりする制御を行うことができる。
各リール42L,42M,42Rに付された図柄のうち、表示窓31L,31M,31Rを介して全体を視認可能な図柄数は、主として表示窓31L,31M,31Rの上下方向の長さによって決定される所定数に限られている。本実施形態では各リール3個ずつとされている。このため、各リール42L,42M,42Rがすべて停止している状態では、3×3=9個の図柄が遊技者に視認可能な状態となる。
なお、リールユニット41の各リール42L,42M,42Rは識別情報を変動表示する表示装置の一例であり、表示装置はこれ以外の構成であってもよい。例えば、ベルトを自転させるのではなく周回させるタイプ等の他の機械的なリール構成としてもよく、また、機械的なリール構成に代えて、或いはこれに加えて、液晶表示器、ドットマトリックス表示器等の電気的表示により識別情報を変動表示させるものを設けてもよく、この場合は表示形態に豊富なバリエーションをもたせることが可能となる。
遊技パネル30には、各表示窓31L,31M,31Rを結ぶようにして、横方向へ平行に3本、斜め方向へたすき掛けに2本、計5本の組合せラインが付されている。勿論、最大組合せライン数を6以上としてもよく、5未満としてもよく、所定条件に応じて最大組合せライン数を変更するようにしてもよい。これら各組合せラインに対応して、表示窓31L,31M,31R群の正面から見て左側には有効ライン表示部32,33,34が設けられている。第1有効ライン表示部32は組合せラインのうち中央の横ライン(中央ライン)が有効化された場合に点灯等によって表示報知される。第2有効ライン表示部33は組合せラインのうち上下の横ライン(上ライン及び下ライン)が有効化された場合に点灯等によって表示報知される。第3有効ライン表示部34は組合せラインのうち一対の斜めライン(右下がりライン及び右上がりライン)が有効化された場合に点灯等によって表示報知される。そして、有効化された組合せライン、すなわち有効ライン上に図柄が所定の組合せで停止した場合に入賞となり、予め定められた遊技価値払出処理や特定遊技への移行処理などが実行される。
本実施の形態においては、図柄の組み合わせによって、遊技価値の異なる複数の役が用意されている。具体的には、ボーナス図柄として設定された図柄が有効ライン上に揃う組み合わせであるボーナス役、小役図柄として設定された図柄が有効ライン上に揃う組み合わせである小役、リプレイ図柄として設定された図柄が有効ライン上に揃う組み合わせであるリプレイ役などである。ボーナス役に入賞した場合(ボーナス図柄が有効ライン上に揃った場合)には、15枚の遊技価値が払出される。小役に入賞した場合(小役図柄が有効ライン上に揃った場合)には、小役図柄の種類に応じて、2枚~8枚の遊技価値が払い出される。リプレイ役に入賞した場合(リプレイ図柄が有効ライン上に揃った場合)には、遊技者にベット(遊技を開始するために必要な遊技価値の投入)なしで再度遊技をする権利が付与される。ボーナス役、小役、リプレイ役に入賞しなかった場合(有効ライン上に左・中・右と同一図柄が揃わない場合)は、外れとなり、この場合には一切遊技価値の払出は行われない。
遊技パネル30の下方左側には、図1に示すように、各リール42L,42M,42Rを一斉(同時である必要はない)に回転開始させるために操作されるスタートレバー71が設けられている。スタートレバー71はリール42L,42M,42Rを回転開始、すなわち図柄の変動表示を開始させるべく始動操作が行われる始動操作手段を構成する。スタートレバー71は、遊技者が遊技(ゲーム)を開始するときに手で押し操作するレバーであり、内蔵されるバネにより手が離れたあと元の位置に自動復帰する。遊技価値が投入されているときにこのスタートレバー71が操作されると、各リール42L,42M,42Rが一斉に又は若干の時間間隔をおいて回転を始める。
スタートレバー71の右側には、図1に示すように、回転している各リール42L,42M,42Rを個別に停止させるために操作されるボタン状のストップスイッチ72,73,74が設けられている。各ストップスイッチ72,73,74は停止対象となるリール42L,42M,42Rに対応する表示窓31L,31M,31Rの直下にそれぞれ配置されている。ストップスイッチ72,73,74はリール42L,42M,42Rの回転に基づく変動表示を停止させるべく操作される停止操作手段を構成する。各ストップスイッチ72,73,74は、左リール42Lが回転を開始してから所定時間が経過すると停止させることが可能な状態となり、かかる状態中には図示しないランプが点灯表示されることによって停止操作が可能であることが報知され、回転が停止すると消灯されるようになっている。
遊技パネル30の表示窓31L,31M,31Rの下方には、持ち遊技価値数を表示する遊技価値数表示部35と、ビッグボーナスやレギュラーボーナス等の特別遊技状態の際に例えば残りのゲーム数等を表示するゲーム数表示部36と、獲得遊技価値の数を表示する獲得遊技価値表示部37とがそれぞれ設けられている。これら表示部35~37は7セグメント表示器によって構成されているが、液晶表示器等によって代替することは当然可能である。尚、本実施の形態においては、貸遊技価値の払出しは電磁的方法により行われるので、遊技価値貸しが実行されると、遊技価値数表示部35に表示される値は、貸し出された貸遊技価値の数に応じて更新される。
表示窓31L,31M,31Rの下方左側には、図1に示すように、遊技価値を一度に3枚投入するためのボタン状の第1遊技価値投入スイッチ77が設けられている。また、第1遊技価値投入スイッチ77の左方には当該スイッチ77よりも小さなボタン状に形成された第2遊技価値投入スイッチ78及び第3遊技価値投入スイッチ79が設けられている。第2遊技価値投入スイッチ78は遊技価値を一度に2枚投入するためのものであり、第3遊技価値投入スイッチ79は遊技価値を1枚投入するためのものである。
遊技価値の投入は第1~第3遊技価値投入スイッチ77~79を用いた電磁的方法により行われる。具体的には、第3遊技価値投入スイッチ79が押された際には、遊技価値が1枚投入されたこととして遊技価値数表示部35に表示されている数値が1つ減算され、第1有効ライン表示部32が点灯して中央ラインが有効ラインとなる。第2遊技価値投入スイッチ78が押された際には、遊技価値が2枚投入されたこととして遊技価値数表示部35に表示されている数値が2つ減算され、第1有効ライン表示部32および第2有効ライン表示部33が点灯して合計3本の組合せラインが有効ラインとなる。第1遊技価値投入スイッチ77が押された際には、遊技価値が3枚投入されたこととして遊技価値数表示部35に表示されている数値が3つ減算され、全ての有効ライン表示部32~34が点灯して合計5本の組合せラインが有効ラインとなる。
なお、第1~第3遊技価値投入スイッチ77~79のいずれかが押された際に投入されるべき持ち遊技価値数が十分でない場合、例えば遊技価値数表示部35の表示が2のときに第1遊技価値投入スイッチ77が押された場合等には、遊技価値数表示部35の数値が全て減算されて0となり、2枚の遊技価値が投入される。
なお、第1遊技価値投入スイッチ77は、1ゲームにつき投入できる遊技価値最大数(3枚)に達していないことを促すため、図示しない発光部材としてのランプが内蔵されている。当該ランプは、第1遊技価値投入スイッチ77のスイッチ操作が有効である状況時において点灯されて当該スイッチ77の操作を促すが、持ち遊技価値数が存在しない場合や既に3枚の遊技価値投入がなされている状況下では消灯される。ここで、上記点灯に代えて、点滅させて遊技価値投入の促しを遊技者に一層分かり易くしてもよい。
スタートレバー71の左側には、図1に示すように、ボタン状の計数スイッチ80が設けられている。計数スイッチ80が押下されると、接続されているカードユニット230に持ち遊技価値数が送信され、カードユニット230は挿入されたカードに当該持ち遊技価値数を計数遊技価値数として記憶させる。その結果、スロットマシン10が保持している持ち遊技価値数はゼロになる。
磁気カードに計数遊技価値数を記憶させる際、併せて、当該カードユニット230に設定されている1枚当たりの貸出し金額(レート)の識別情報を記憶させてもよい。遊技ホール内において、異なるレートで遊技価値貸を行う場合もあるので、レート毎に持ち遊技価値数を記憶させるためである。
既に当該磁気カードに、同一レートの計数遊技価値数が記憶されている場合、新たに受信した持ち遊技価値数を、当該計数遊技価値数に加算して、新たな計数遊技価値数として記憶させてもよい。そうすれば磁気カードの記憶領域を節約することができる。磁気カードの記憶領域に余裕がある場合は、別レコードとして記憶させてもよい。
このスロットマシン10からカードユニット230への持ち遊技価値数の転送は、持ち遊技価値数に応じて遊技者が知覚できる程度に時間がかかる。遊技者が計数を行うのは、当該スロットマシン10での遊技を終了する場合であり、遊技の結果多量に遊技価値を獲得できた場合はその分計数に時間がかかることとなり、それだけ多量の遊技価値を獲得した充実感を実感することができるのである。
計数中に再度計数スイッチ80が押下された場合、計数を中止し、遊技を再開できるようにしてもよい。計数中に遊技者の気が変わることもあるからである。また、計数スイッチ80を、1度押されるとオン状態になり、もう1度押されるとオフ状態になり、その後押下操作が行われるごとにオンオフが切り替わるトグル式に構成し、オン状態の間に計数を行うこととしてもよい。また、押し込んだ後スライドさせることにより、オン状態を保持するような機械的な構造のスイッチであってもよい。押した状態を手で保持する必要がなく、操作が楽である。
表示窓31L,31M,31Rの下方右側には、図1に示すように、精算スイッチ76が設けられている。精算スイッチ76を押下すると、投入した遊技価値を持ち遊技価値数へ戻すことができる。ただし、スタートレバー71を操作した後は、既に遊技が開始された状態なので、投入した遊技価値を持ち遊技価値数へ戻すことはできない。遊技価値を投入した状態で、まだスタートレバー71を操作せず、遊技が開始されていない状態であれば、計数スイッチ80を押下した場合、精算スイッチ76が押下されたものとみなして、投入した遊技価値を持ち遊技価値数に戻した後、計数を開始するようにしてもよい。計数スイッチ80を遊技者が押下するということは、投入した遊技価値も含めてユニット230へ持ち遊技価値を転送することが遊技者の意思に沿っているからである。
前面扉12の上部には、遊技の進行に伴い点灯したり点滅したりする上部ランプ13と、遊技の進行に伴い種々の効果音を鳴らしたり、遊技者に遊技状態を報知したりする左右一対のスピーカ14と、遊技者に各種情報を与える補助表示部15とが設けられている。補助表示部15は、本実施形態では表示内容の多様化及び表示演出の重厚化を意図して液晶表示器によって構成されているが、ドットマトリックス表示器等の他の表示器を使用してもよい。補助表示部15は、遊技の進行に伴って各種表示演出を実行するためのものであり、各リール42L,42M,42Rによる遊技を主表示部によるものと考えることができることから、本実施形態では補助表示部15と称している。補助表示部15の背面には上部ランプ13やスピーカ14、補助表示部15を駆動させるための表示制御装置111が設けられている。なお、上部ランプ13及びスピーカ14の形状や位置、数等は特に以上説明したものに限られない。
各ストップスイッチ72,73,74の下方には、図1に示すように、機種名や遊技に関わるキャラクタなどが表示された下段プレート16が装着されている。また、下段プレート16の下方左側には、反転可能な灰皿19が設けられている。
図2に示すように、筐体11の内部において仕切り板40の下部左方には、電源ボックス121が設けられている。電源ボックス121は、電源スイッチ122やリセットスイッチ123や設定キー挿入孔124などを備えている。電源スイッチ122は、主制御基板131を始めとする各部に電源を供給するための起動スイッチである。
リセットスイッチ123は、スロットマシン10の各種状態をリセットするためのスイッチである。本スロットマシン10は各種データのバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。従って、例えば遊技ホールの営業が終了する場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持されるが、リセットスイッチ123を押しながら電源スイッチ122をオンすると、バックアップデータがリセットされるようになっている。また、電源スイッチ122がオンされている状態でリセットスイッチ123を押した場合には、エラー状態がリセットされる。
設定キー挿入孔124は、ホール管理者などが遊技価値の出玉調整を行うためのものである。すなわち、ホール管理者等が設定キーを設定キー挿入孔124へ挿入して操作(回転操作)することにより、スロットマシン10の設定状態(当選確率設定処理)を「設定1」から「設定6」まで変更できるようになっている。
図3に示すように、リールユニット41の上方には、主制御基板131が筐体11の背板11cに取り付けられている。主制御基板131は、主たる制御を司るMPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを一時的に記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロック回路等を含む主基板を具備しており、主基板が透明樹脂材料等よりなる被包手段としての基板ボックスに収容されて構成されている。基板ボックスは、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印手段としての封印ユニットによって開封不能に連結され、これにより基板ボックスが封印されている。なお、ボックスベースとボックスカバーとを鍵部材を用いて開封不能に連結する構成としてもよい。
また、筐体11の内部において左側板11dには、遊技球等貸出装置接続端子板250が取り付けられている。遊技球等貸出装置接続端子板250は、スロットマシン10とカードユニット230とを相互に接続するための中継基板である。遊技球等貸出装置接続端子板250は、ケーブル105によってスロットマシン10に接続されている(図5参照)。また、遊技球等貸出装置接続端子板250は、ケーブル260によってカードユニット230に接続されている(図5参照)。この遊技球等貸出装置接続端子板250を介して、スロットマシン10とカードユニット230を相互に接続することにより、独立して製造される各装置の接続と分離とを簡便に行うことができる。
遊技球等貸出装置接続端子板250の下方位置であって背板11cの正面視左側の部分には、一端が遊技球等貸出装置接続端子板250に接続されたケーブル260を、筐体11の外部に導出するためのケーブル口261が貫通形成されている。ケーブル口261から導出されたケーブル260の他端は、カードユニット230の背面側においてカードユニット230に接続されている。カードユニット230は、スロットマシン10の左側に併設されているので、遊技球等貸出装置接続端子板250を左側板11dに設け、また、ケーブル口261を背板11cの正面視左側の部分に設けることにより、ケーブル260の取り回しを容易としている。
上記のように構成されたスロットマシン10の左側には、正面視縦長の長方形状のカードユニット230が並設されている。カードユニット230は磁気カードに記録された残高金額(磁気情報)の読み取りと、書き換えとを行う装置であり、磁気カードに記憶される残高金額にて遊技価値貸しを行い、計数した遊技価値数(スロットマシン10から送信された持ち遊技価値数)を磁気カードに記憶させるためのものである。
カードユニット230の上下方向における略中央部分には、金銭と同等の有価価値を有する磁気カードを挿入するためのカード挿入口224と、その下に挿入した磁気カードをカード挿入口224から排出させるための返却ボタン200が配設されている。このカード挿入口224の上方であって、カードユニット230の上部には液晶表示パネル225が配設されている。
返却ボタン200は、カードユニット230の奥方へ(図1において紙面奥側へ)押下可能に形成されると共に、通常時には内蔵されたスプリングによりカードユニット230の前面側に付勢されている。また、返却ボタン200は、返却ボタン200の押下によりオンされると共に押下された応力から解放されるとオフされる押しボタンタイプのスイッチを内蔵している。返却ボタン200が押下(スイッチオン)されると、カードユニット230に挿入中の磁気カードは、図示しないアクチュエータによって、カード挿入口224から強制的に排出される。
カード挿入口224と液晶表示パネル225との間部分であって、カードユニット230の上側位置には、略三角形状に形成された左右一対の連結台方向表示ランプ226が配設されている。この一対の連結台方向表示ランプ226は、カードユニット230が接続されているスロットマシン10の配設(並設)方向を示すためのものである。よって、例えば、カードユニット230が右側に並設されるスロットマシン10に接続される場合には左側のLEDが点灯され、カードユニット230が左側に並設されるスロットマシン10(図示せず)に接続される場合には右側のLEDが点灯される。この連結台方向表示ランプ226の下側には、カード挿入中ランプ227が配設されている。このカード挿入中ランプ227は磁気カードがカード挿入口224に挿入されている場合に点灯され、一方、磁気カードがカード挿入口224に挿入されていない場合には消灯される。
液晶表示パネル225の下方には、度数表示器205と、計数遊技価値表示器206と、遊技価値貸ボタン210とが配設されている。
度数表示器205は、カードユニット230により読み取られる磁気カードの残高金額を表示する3つの7セグメントLEDにより構成されている。本実施の形態では、貸し遊技価値を100円単位で実行するので、度数表示LED205は、残高金額を百の位以上で表示するようになっている。図1の正面視において最も右側の7セグメントLEDには、残高金額の百の位の値が表示され、真ん中の7セグメントLEDには千の位の値が表示され、最も左側の7セグメントLEDには万の位の値が表示される。尚、本実施の形態においては、度数表示LED205は、金額を表示するものとしたが、金額に代えて、残高金額に相当する残度数や残遊技価値数を表示するものとしても良い。
遊技価値貸ボタン210は、カードユニット230の奥方へ(図1において紙面奥側へ)押下可能に形成されると共に、通常時には内蔵されたスプリングによりカードユニット230の前面側に付勢されている。また、遊技価値貸ボタン210は、押下によりオンとなると共に押下された応力から解放されるとオフとなる押しボタンタイプのスイッチを内蔵している。
遊技価値貸しは、スロットマシン10とカードユニット230との両者が、共に遊技価値貸し可能な状態にある場合に実行可能となる。スロットマシン10においては、次の3つの条件が全て成立している場合が、遊技価値貸し可能な状態とされている。第1の条件は、スロットマシン10において遊技が実行状態にない場合(遊技が非実行状態にある場合)、即ち、スタートレバー71操作後におけるリール42L,42M,42Rの回転待機中以外で、すべてのリール42L,42M,42Rが停止され且つ遊技価値の払い出しが無いか、或いは遊技価値の払い出しがあってもその払い出しが終了している場合である。
尚、遊技価値が投入された状態でスタートレバー71が操作されるとリール42L,42M,42Rは回転を開始するが、前回の遊技でリール42L,42M,42Rが停止した後、所定の時間が経過していない場合、スタートレバー71の操作により直ちにリール42L,42M,42Rは回転を開始せず、回転を待機する状態となる。かかる場合は、リール42L,42M,42Rは停止中で且つ遊技価値の払い出しは無いが、遊技は実行状態と認識される。尚、遊技価値が投入されていなければ、スタートレバー71を操作してもリール42L,42M,42Rが回転することはないので、スタートレバー71操作後におけるリール42L,42M,42Rの回転待機中とはならない。
第2の条件は、遊技価値がマックスベットされていないことである。遊技を開始するために必要な遊技価値数は、最大3枚であり、遊技を開始するために3枚の遊技価値が投入されると、マックスベットとなる。つまり、投入された遊技価値数が2枚以下であると、第2の条件が成立することとなる。
第3の条件は、スロットマシン10が内部に保持している持ち遊技価値数が、遊技価値貸によってその最大値を超えないことである。持ち遊技価値数には上限があり、それをオーバーフローするような操作はエラー状態を招くからである。なお、当面遊技を継続できる程度の持ち遊技価値数が存在すれば、貸遊技価値により更に持ち遊技価値数を増加させる必要性はないので、第3の判断基準とする持ち遊技価値数を、実際の持ち遊技価値数最大値よりもかなり少なく設定してもよい。かかる3つの条件が成立している場合に、この遊技価値貸ボタン210が押下されると、遊技価値貸しが実行されるようになっている(図13のS282参照)。
また、遊技価値貸ボタン210には、図示しない発光部材としてのランプが内蔵されている。当該ランプは、遊技価値貸しが可能である場合に点灯され、一方、遊技価値貸しが不能である場合に消灯される。本実施の形態においては、スロットマシン10において上記の3つの条件が成立しており(遊技が非実行状態(スタートレバー71操作後におけるリール42L,42M,42Rの回転待機中以外で、すべてのリール42L,42M,42Rが停止中で、且つ遊技価値の払い出しが無いか或いは終了している状態)にあり、更に、投入された遊技価値の枚数が2枚以下で、持ち遊技価値数が所定の枚数以下であり、且つカードユニット230に磁気カードが挿入されている(磁気カードが貸遊技価値を実行できる残高金額を有している)ことを必要条件として、当該ランプが点灯される。
計数遊技価値表示器206は、カードユニット230により読み取られる磁気カードの計数遊技価値を表示する5つの7セグメントLEDにより構成されている。計数遊技価値は、計数スイッチ80が押下された際に、スロットマシン10からカードユニット230へ送信された持ち遊技価値数を、受信したカードユニット230が磁気カードに記憶させたものである。遊技者は、遊技ホールのカウンタにおいて、磁気カードに記憶された計数遊技価値に応じた景品と交換することができる。遊技ホールは、会員サービスの一環として、景品交換に代えて、計数遊技価値を会員口座に預け入れする場合もある。
磁気カードに、残高金額と計数遊技価値の両方が記憶されている場合、遊技価値貸ボタン210が押下されると、残高金額から遊技価値貸しすることに代えて、計数遊技価値から一部払出しを行うよう構成してもよい。計数遊技価値は、もともとスロットマシン10から送信された持ち遊技価値数であるから、カードユニット230からスロットマシン10へ計数遊技価値数を送信することにより、再びスロットマシン10で持ち遊技価値として遊技の用に供することも可能であるからである。
液晶表示パネル225には、磁気カードがカード挿入口224へ挿入されていない場合は、カード挿入口224へ磁気カードが挿入可能であるか否かが表示され、磁気カードがカード挿入口224へ既に挿入済の場合は、遊技価値貸ボタン210を押下することにより、遊技価値貸ができる旨の操作案内が表示される。
また、液晶表示パネル225がタッチパネル機能を備える場合、度数表示器205と、計数遊技価値表示器206と、遊技価値貸ボタン210に代えて、液晶表示パネル225のみで磁気カードに記憶されている残高金額表示、計数遊技価値数表示、貸遊技価値操作を行うようにしてもよい。
液晶表示パネル225に残高金額を表示する場合、百の位以上を度数として表示するだけでなく、全ての位を表示するようにしてもよい。そうすれば、消費税を考慮した自由度の高い遊技価値貸を行うことができる。また、遊技者に選択により、金額に代えて、残高金額に相当する遊技価値数を表示できるようにしてもよい。遊技をあとどれくらい行うことかできるか、把握し易くなる。
磁気カードにレートの異なる遊技機で獲得した計数遊技価値が記憶されている場合、レート毎に計数遊技価値が表示される。そして、残高金額から貸遊技価値を行うか、計数遊技価値から払い出すか、選択できるようにしてもよい。その場合、現在遊技をしている遊技機のレートと異なるレートの計数遊技価値は、グレーアウト表示してレートが一致する計数遊技価値のみ払い出せるようにしてもよい。あるいは、レートの異なる計数遊技価値は、現在遊技をしている遊技機のレートに換算して遊技価値数を表示し、その遊技価値数の範囲内で払い出せるようにしてもよい。更に、ぱちんこ式遊技機で計数した計数遊技価値をレートに基づいて換算して払い出すようにしてもよい。
磁気カードがサービス会員証を兼ねている場合、会員口座に預けている遊技遊技価値の預入残高を表示し、そこから払い出せるようにしてもよい。このように、磁気カードに記憶された残高金額からの貸遊技価値、磁気カードに記憶された計数遊技価値からの払出し、会員口座の預入残高からの払出し等を受けることで遊技中に現金を取り扱うことなく、遊技を実行することができ、現金を取り扱う不便さを解消することができる。
次に、本スロットマシン10の電気的構成について、図4のブロック図に基づいて説明する。主制御基板131には、演算処理手段であるMPU151を中心とするマイクロコンピュータが搭載されている。MPU151には、電源ボックス121の内部に設けられた電源装置161の他に、所定周波数の矩形波を出力するクロック回路154や、入力ポート155、出力ポート156、シリアルポート157などが内部バス等を介して接続されている。かかる主制御基板131は、スロットマシン10に内蔵されるメイン基板としての機能を果たすものである。
主制御基板131の入力側には、スタートレバー71の操作を検出するスタート検出センサ71a、各ストップスイッチ72,73,74の操作を個別に検出するストップ検出センサ72a,73a,74a、各遊技価値投入スイッチ77,78,79の操作を個別に検出する投入検出センサ77a,78a,79a、計数スイッチ80の操作を検出する計数検出センサ80a、各リール42の回転位置(原点位置)を個別に検出するリールインデックスセンサ55、リセットスイッチ123の操作を検出するリセット検出センサ123a、持ち遊技価値数クリアスイッチ127の操作を検出する持ち遊技価値数クリア検出センサ127a、設定キー挿入孔124に設定キーが挿入され該設定キーが回転操作されたことを検出する設定キー検出センサ124a等の各種センサが接続されており、これら各種センサからの信号は入力ポート155を介してMPU151へ入力されるようになっている。
また、主制御基板131の入力側には、電源装置161に設けられた停電監視回路161bと、ラッチ回路126とが、入力ポート155を介して接続されている。電源装置161には、主制御基板131を始めとしてスロットマシン10の各電子機器に駆動電力を供給する電源部161aや、上述した停電監視回路161bなどが搭載されている。尚、停電監視回路161bは、主制御基板131に設けても良い。
停電監視回路161bは電源の遮断状態を監視し、停電時はもとより、電源スイッチ122による電源遮断時に停電信号を生成するためのものである。そのため停電監視回路161bは、電源部161aから出力されるこの例では直流12ボルトの安定化駆動電圧を監視し、この駆動電圧が例えば10ボルト未満まで低下したとき電源が遮断されたものと判断して停電信号が出力されるように構成されている。停電信号は入力ポート155に供給され、MPU151ではこの停電信号を認識することにより後述する停電時処理を実行する。
電源部161aからは出力電圧が10ボルト未満まで低下した場合でも、主制御基板131などの制御系における駆動電圧として使用される5ボルトの安定化電圧が出力されるように構成されており、この安定化電圧が出力されている時間としては、主制御基板131による停電時処理を実行するに十分な時間が確保されている。
乱数カウンタ更新回路125は、所定の周波数のクロックと16ビットの乱数カウンタとを備え、クロックから出力されるクロックパルスの例えば立ち下がり毎に、1カウントずつ乱数カウンタの値をカウントアップするものである。乱数カウンタの乱数値は、クロックパルスによって、ソフト制御では到底追従することができない高速な速度で、「0~65535」の範囲で常時更新されている。その更新された乱数値は、常時、ラッチ回路126に出力されている。
ラッチ回路126は、上記した入力ポート155以外に、乱数カウンタ更新回路125とスタートレバー71とに接続されている。このラッチ回路126は、16ビットの記憶回路で構成され、乱数カウンタ更新回路125から出力される信号(乱数値)を、スタートレバー71が操作されたタイミングでラッチするためのものである。ラッチ回路126によりラッチされた乱数値は、ラッチ回路126からMPU151に出力される。
尚、乱数カウンタ更新回路125とラッチ回路126とは、主制御基板131に搭載されている。また、乱数カウンタ更新回路125に設けられるクロックには、クロック回路154から出力される矩形波の周波数と非同期の周波数で動作するものであって、1.49msecの間隔を得ることのできないものが用いられている。乱数カウンタを、主制御基板131の動作周期である1.49msecの間隔とは非同期の間隔で更新することにより、「ぶら下げ基板」と称される不正な基板が、主制御基板131(MPU151)に同期して動作するようにスロットマシン10に取り付けられていても、「ぶら下げ基板」によって乱数カウンタの値(乱数値)を把握することはできない。
主制御基板131の出力側には、各有効ライン表示部32,33,34、遊技価値数表示部35、ゲーム数表示部36、獲得遊技価値数表示部37、各リール42L,42M,42Rを回転させるための各ステッピングモータ61(61L,61M,61R)、表示制御装置111等が、出力ポート156を介して接続されている。
表示制御装置111は、上部ランプ13、スピーカ14並びに補助表示部15を駆動させるための制御装置であり、これらを駆動させるためのCPU、ROM、RAM等を搭載した基板を備えている。そして、主制御基板131からの信号を受け取った上で、表示制御装置111が独自に上部ランプ13、スピーカ14及び補助表示部15を駆動制御する。従って、表示制御装置111は、遊技を統括管理するメイン基板たる主制御基板131との関係では補助的な制御を実行するサブ基板となっている。即ち、間接的な遊技に関する音声やランプ、表示についてはサブ基板を設けることにより、メイン基板の負担軽減を図っている。なお、各種表示部32~37を表示制御装置111が制御する構成としてもよい。
また、主制御基板131とカードユニット230とは、遊技球等貸出装置接続端子板250を介して接続されている。この主制御基板131とカードユニット230と遊技球等貸出装置接続端子板250とが正常に接続されており、かつ、カードユニット230が正常に起動していることを示すVL接続確認信号は、入力ポート155を介してMPU151へ入力されるようになっているので、MPU151は、カードユニット230との接続状態を知ることができるのである。更に、シリアル通信信号がシリアルポート157を介して接続されているので、カードユニット230との間で相互にシリアル情報通信を実行することができる。
上述したMPU151には、このMPU151によって実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM152と、このROM152内に記憶されている制御プログラムを実行するに当たって各種のデータを一時的に記憶する作業エリアを確保するためのRAM153のほかに、図示はしないが周知のように割込み回路を始めとしてタイマ回路、データ送受信回路などスロットマシン10において必要な各種の処理回路などが内蔵されている。ROM152とRAM153によって記憶手段としてのメインメモリが構成され、図8~図20の各種のフローチャートに示される処理を実行するためのプログラムは、制御プログラムの一部として上述したROM152に記憶されている。
RAM153は、スロットマシン10の電源が遮断された後においても電源ボックス121内に設けられた電源装置161からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM153には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に、バックアップエリアが設けられている。
バックアップエリアは、停電などの発生により電源が遮断された場合において、電源遮断時(電源スイッチ122の操作による電源遮断をも含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアであり、停電解消時(電源スイッチ122の操作による電源投入をも含む。以下同様)には、バックアップエリアの情報に基づいてスロットマシン10の状態が電源遮断前の状態に復帰できるようになっている。バックアップエリアへの書き込みは停電時処理(図9参照)によって電源遮断時に実行され、バックアップエリアに書き込まれた各値の復帰は電源投入時のメイン処理(図16参照)において実行される。なお、停電監視回路161bからの停電信号は入力ポート155に入力されているので、MPU151では入力ポート155を介してこの停電信号をリードし、停電等の発生による電源遮断が生じているか否かを認識することができる。この停電信号の監視は、定期的に実行されるタイマ割込み処理(図8参照)で行われ、停電等が発生したと認識した場合は、停電フラグ生成処理が実行される。
また、RAM153は、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリとして、当否乱数メモリ153a、ベットカウンタ153b、持ち遊技価値カウンタ153c、送信用投入カウンタ153dを備えている。当否乱数メモリ153aは、開始された遊技に対応する役を決定するための乱数値を記憶するメモリである。開始された遊技がいずれの役に当選するかまたは外れになるかは、この当否乱数メモリ153aに記憶される値によって決定される。当否乱数メモリ153aには、乱数カウンタ更新回路125から出力された乱数値の内、遊技価値がベットされた状態においてスタートレバー71が操作されることによりラッチ回路126にラッチされた乱数値が、書き込まれる(図18のS601参照)。MPU151は、後述する抽選処理(S505、図18参照)の中で、この当否乱数メモリ153aに記憶される乱数値を、諸条件に基づいて選定された乱数テーブルに照らして役の抽選を行い、該乱数値に対応する当否(役に当選させるか外れとするか)と、役への当選である場合には当選させる役の種類とを判断する。
持ち遊技価値カウンタ153cは、スロットマシン10が保持する遊技価値の数を記憶するカウンタである。磁気カードに記憶された残高金額からの貸遊技価値、磁気カードに記憶された計数遊技価値からの払出し、会員口座の預入残高からの払出し、入賞による遊技価値ルの払出しがあると、その分増加する。一方、第1~第3遊技価値投入スイッチ77~79が押下されて遊技価値の投入が行われた場合、投入した遊技価値数分減算される。また、計数スイッチ80が押下されると、接続されているカードユニット230に持ち遊技価値カウンタ153cに記憶された持ち遊技価値数が送信され、その結果、スロットマシン10が保持している持ち遊技価値数はゼロになる。なお、1回の通信で全ての持ち遊技価値数を送信する代わりに、複数回の通信に分けて持ち遊技価値数を送信するようにしてもよい。持ち遊技価値数が多いと、それに応じて計数にかかる時間が長くなり、遊技者は遊技の結果獲得した遊技価値数の多さを実感し、満足感に浸ることができるのである。その場合、計数スイッチ80を再度押下することにより、計数を中止するように構成してもよい。計数中に遊技者の気が変わって、遊技を再開するような場合に対応できる。また、計数は、計数スイッチ80が押下されている間に行うように構成してもよい。計数中止の操作が簡単になる。
ベットカウンタ153bは、1回の遊技に対し投入された遊技価値数を記憶するカウンタである。遊技価値の投入であるから、持ち遊技価値カウンタ153cは投入された遊技価値数だけ減算される。具体的には、第3遊技価値投入スイッチ79が押された際には、遊技価値が1枚投入されたこととして、ベットカウンタ153bの値は1つ加算され、持ち遊技価値カウンタ153cは1つ減算される。第2遊技価値投入スイッチ78が押された際には、遊技価値が2枚投入されたこととしてベットカウンタ153bの値は2つ加算され、持ち遊技価値カウンタ153cは2つ減算される。第1遊技価値投入スイッチ77が押された際には、遊技価値が3枚投入されたこととしてベットカウンタ153bの値は3つ加算され、持ち遊技価値カウンタ153cは3つ減算される。
なお、遊技価値が投入された後、スタートレバーが操作される前に、精算スイッチ76が押下された場合、ベットカウンタ153bに記憶されていた遊技価値数は持ち遊技価値カウンタ153cに加算され、ベットカウンタ153bは0となる。
送信用投入カウンタ153dは、遊技価値を投入する毎に、その投入した遊技価値数をカードユニット230へ送信するにあたり、投入した遊技価値数を記憶するカウンタである。記憶した遊技価値数をカードユニット230へ送信すると0にクリアされる。また、精算スイッチ76が押下された場合、送信用投入カウンタ153dからベットカウンタ153bの値が減算されるので、負の値になることもある。カードユニット230は、この投入する毎に送信される送信用投入カウンタ153dの値を、スロットマシン10が保持する遊技価値のエラー監視用に使用する。
図5は、遊技球等貸出装置接続端子板250の電気的構成、およびスロットマシン10と遊技球等貸出装置接続端子板250とカードユニット230との接続状態を示したブロック回路図である。
遊技球等貸出装置接続端子板250は、スロットマシン10が接続される第1コネクタ251と、カードユニット230が接続される第2コネクタ252と、かかる第1コネクタ251と第2コネクタ252に接続されるフォトカプラ255~257とを備えている。このように、フォトカプラ255~257を介して接続することにより、スロットマシン10と、カードユニット230は、絶縁状態を保ったまま情報の授受を行うことができる。
第1コネクタ251は、ケーブル105を介してスロットマシン10に接続されるコネクタであり、電源ラインに接続される端子として、スロットマシン10から5ボルトの直流電圧が入力される入力端子を備えている。また、第1コネクタ251には、シリアル通信の送信信号がスロットマシン10から入力される入力端子が設けられている。更に、第1コネクタ251にはVL接続確認信号、シリアル通信受信信号の各信号をスロットマシン10へ出力する出力端子が設けられている。
第2コネクタ252は、ケーブル260を介してカードユニット230と接続されるコネクタであり、電源ラインに接続される端子として、カードユニット230から5ボルトの直流電圧(VL)が入力される入力端子を備えている。また、第2コネクタ252は、接続確認信号PSI、シリアル通信の受信信号の各信号をそれぞれカードユニット230へ出力する出力端子を備えている。更に、第2コネクタ252は、カードユニット230からシリアル通信の送信信号が入力される入力端子を備えている。
カードユニット230に電源が投入されると、カードユニットを制御する図示していないMPUが、初期設定、自己診断、その他初期化処理を実行した後、スロットマシン10と接続する準備が整ったと判断したとき、電源回路237をONする。そうすると、電源回路237は、遊技球等貸出装置接続端子板250に対し、電源(VL)を出力する。この遊技球等貸出装置接続端子板250に対する電源(VL)は、カードユニット230内で抵抗を介してフォトカプラ235bのダイオードのアノードに接続されている。そしてフォトカプラ235bのカソード側は、接続確認信号(PSI)として遊技球等貸出装置接続端子板250に接続されているが、遊技球等貸出装置接続端子板250内で接続確認信号(PSI)は、カードユニット230のグランドに接続されている。したがって、電源(VL)がONになり、かつ、カードユニット230と遊技球等貸出装置接続端子板250が正常に接続されていると、フォトカプラ235bのダイオードに電流が流れ、トランジスタがONする。そうすると、プルアップ抵抗235aによりHになっていたフォトカプラ235bの出力信号がLになり、入力ポート235を介してカードユニット230のMPUが、遊技球等貸出装置接続端子板250との接続が正常であることを確認することができる。
一方、カードユニット230が電源(VL)をONすると、遊技球等貸出装置接続端子板250のフォトカプラ255がONする。フォトカプラ255の出力側は、スロットマシン10にVL接続確認信号として出力され、スロットマシン10内では抵抗155aによりプルアップされて入力ポート155に入力されている。すなわち、スロットマシン10のMPU151は、VL接続確認信号がLであれば、カードユニット230は動作準備完了であると判断できるのである。
このようにして、スロットマシン10はカードユニット230が接続され、かつ、動作準備完了していることを確認し、カードユニット230は遊技球等貸出装置接続端子板250が正常に接続されていることを確認するのである。
一方、スロットマシン10のシリアルポート157から送信されシリアルデータは、フォトカプラ256を介して、カードユニット230のシリアルポート238に伝達され、カードユニット230のシリアルポート238から送信されるシリアルデータは、フォトカプラ257を介してスロットマシン10のシリアルポート157に伝達される。
図6により、スロットマシン10とカードユニット230との間のシリアル通信の概要を説明する。
1フレーム内のデータは、電文長、コマンド、通番、データ部、チェックサムで構成され、それらのデータは、分割送信せずに一度に送信される。電文長は、電文の長さをバイト数で示したものである。コマンドは、電文の種別を示し、(1)遊技機情報通知、(2)計数通知、(3)貸出通知、(4)貸出受領結果応答の4種類の電文がある。通番は、電文の通し番号のことで、連続しているか否かにより、電文の喪失や伝送異常を検出することができる。データ部は、各電文の詳細な情報である。チェックサムは電文データを加算したもので、伝送異常を検出するためのものである。
(1)遊技機情報通知は、300msec毎にスロットマシン10からカードユニット230へ向けて送信される。(2)計数通知は、(1)遊技機情報通知の後100msec後にスロットマシン10からカードユニット230へ向けて送信される。その後、170msecの間にカードユニット230からスロットマシン10へ向けて(3)貸出通知が送信された場合、(4)貸出受領結果応答がスロットマシン10からカードユニット230へ向けて送信される。
(1)遊技機情報通知はデータ部の内容によって更に、(1-1)遊技機設置情報、(1-2)遊技機性能情報、(1-3)ホールコン・不正監視情報、の3種類の電文に細分化される。
(1-1)遊技機設置情報は、遊技機を特定することのできる情報で、制御用MPUチップID、遊技機製造メーカコード、製品コードから構成される。
(1-2)遊技機性能情報は、遊技機の出玉性能を示すデータであり、具体的には次のようなデータで構成されている。総投入枚数(電源ONから累積した投入枚数)、総払出枚数(電源ONから累積した払出枚数)、MY(電源ON以降算出される最大差玉)、役物総払出枚数(電源ONから累積した役物の作動による払出枚数)、連続役物総払出枚数(電源ONから累積した連続役物の作動による払出枚数)、役物比率(所定遊技数のうち役物作動による払出枚数の比率)、連続役物比率(所定遊技数のうち連続役物作動による払出し枚数の比率)、有利区間比率(所定遊技数のうち有利区間での払出し枚数の比率)、指示込役物比率(所定遊技数のうち指示機能作動時及び役物作動による払出枚数の比率)、役物等状態比率(所定遊技数のうち役物及び連続役物作動による払出枚数の比率)。
(1-3)ホールコン・不正監視情報は、ホールコンピューターに出力される情報、および、不正を監視するのに使用する情報で、持ち遊技価値数(現在の遊技価値数)、遊技価値投入数(投入した遊技価値の枚数)、遊技価値払出数(1遊技の終了時に払出された遊技価値数)、遊技機状態(RB、BB、ATなどの主制御の状態)、エラー状態(遊技機で発生したエラーコード)、不正検知情報(磁石センサや振動センサなどから不正を検知した情報や、扉の開放や設定変更を検知した情報)、遊技情報(遊技価値投入時の投入枚数、払出枚数:遊技価値エラー監視用)などから構成される。
(2)計数通知は、スロットマシン10からカードユニット230へ向けて送信される電文で、スロットマシン10が保持する遊技価値をカードユニット230へ送信する際使用する。0~255の値をとることができる。計数スイッチ80が押下されていない場合は、0枚の計数遊技価値数が送信される。計数スイッチ80が押下されている場合は、1枚~255枚のいずれかの計数遊技価値数が送信される。スロットマシン10が保持する遊技価値数が255よりも多い場合、複数回の計数通知により計数する。計数通知が送信された後、次に計数通知が送信されるのは、前述したように300msec後であるので、複数回の計数通知により計数する場合、その回数に300msecを乗じた時間が計数にかかる時間となる。計数にかかる時間は、遊技の結果獲得した遊技価値数に対して短過ぎると遊技者の満足感が低下し、長過ぎると遊技者に冗長な印象を与えてしまうので、適度な計数時間が存在する。1回の計数通知により送信する計数遊技価値数は、スロットマシン10の制御プログラムが設定するものなので、それにより計数にかかる時間を調整することができる。その際、計数すべき遊技価値数に応じて、1回の計数通知で送信する計数遊技価値数を変更してもよい。
(3)貸出通知は、カードユニット230からスロットマシン10に向けて送信される電文で、計数通知をカードユニット230が受信した後、所定時間内にスロットマシン10から送信される。したがって、何等かの理由により、スロットマシン10が計数通知を送信しなかった場合、カードユニット230は貸出通知を送信することがない。遊技者がカードユニット230を操作することにより、磁気カードに記憶された残高金額からの貸遊技価値、磁気カードに記憶された計数遊技価値からの払出し、会員口座の預入残高からの払出し、入賞による遊技価値の払出しを行う場合に、1回の貸出通知で1枚~50枚の遊技価値数が設定され、送信される。貸出し等がない場合は、0枚が設定され送信される。計数を行いながら貸出しを行うことは通常あり得ないので、貸出通知の前に通信される計数通知が1枚以上ある場合、貸出通知は0枚で送信される。
(4)貸出受領結果応答は、スロットマシン10からカードユニット230へ向けて送信される電文で、スロットマシン10が(3)貸出通知を受領した結果を応答する電文である。電文の通番が連続していない場合、スロットマシン10が動作不可能状態の場合、貸出し遊技価値数を加算した結果の遊技価値数が所定の上限を超える場合、などは、「異常」を応答する。
このように、スロットマシン10とカードユニット230との間の一連の通信は、マスターであるスロットマシン10の(1)遊技機情報通知により開始する。スロットマシン10とカードユニット230の電源をそれぞれONしたとき、先にカードユニット230が起動した場合は、カードユニット230から通信を開始することなく、カードユニット230はスロットマシン10が起動し、(1)遊技機情報通知を送信するのを待つ。カードユニット230が先に起動した場合、(1)遊技機情報通知、(2)計数通知の2つが送信されるが、(3)貸出通知が送信されないので、(4)貸出受領結果応答も送信されず、カードユニット230が起動するまでは、(1)遊技機情報通知、(2)計数通知の2つの電文のみが一方的に送信されることとなる。
なお、前述したように、スロットマシン10は、遊技球等貸出装置接続端子板250の電源(VL)がONされたことを検知してカードユニット230が起動完了したことを知るので、その後上記の通信を開始するようにしてもよい。更に、この電源(VL)がONであることの確認は、通信開始時だけでなく、通信開始後も常に行うようにしてもよく、そうすれば、カードユニット230が何等かの理由で動作に支障がある場合、電源(VL)をOFFにすることで通信を止めることができる。
遊技球等貸出装置接続端子板250の電源(VL)がOFFの場合、カードユニット230が正常に接続されていないとして、通信を止めるだけでなく、スロットマシン10をエラー状態として遊技価値の投入をはじめとする各種遊技操作をできなくしてもよい。カードユニット230が接続されていなければ、遊技価値の貸出しを受けることができないからである。その場合、遊技者、あるいはホールの従業員に、スロットマシン10がどのような状態になっているか分かるように、MPU151は表示装置111に指示して、カードユニットが使用できない状態である旨、補助表示部15に表示してもよい。
カードユニット230は、遊技球等貸出装置接続端子板250の電源(VL)をOFFにする条件、あるいは、ONにしない条件として、磁気カードの会員IDに基づいて特定する遊技者の状況からギャンブル依存症が疑われるか否かという条件を加えてもよい。例えば、直近の所定期間における、遊技金額、損失金額、遊技時間、遊技回数などを総合して所定の閾値を超えた場合である。あるいは、ギャンブル依存症改善を希望する家族や親しい人などからの求めに応じて、会員IDとともに許容される遊技頻度が登録されている場合である。これらの判断は、カードユニット230内で行ってもよいし、カードユニット230の上位にネットワークで接続されたサーバで行ってもよい。
ギャンブル依存症が疑われるために、遊技機の動作が制限される場合、カードユニット230の液晶表示パネル225に、ギャンブル依存症に対する注意書や、上位サーバから取得した家族や友人などからのメッセージを表示するようにしてもよい。
図7は、(2)計数通知、(3)貸出通知、(4)貸出受領結果応答の各電文を省略し、(1)遊技機情報通知のみ図示したものである。図6で説明したように、省略した電文は、(1)遊技機情報通知の電文と電文との間に存在する。(1)遊技機情報通知は、前述のように、(1-1)遊技機設置情報、(1-2)遊技機性能情報、(1-3)ホールコン・不正監視情報、の3種類の電文に細分化される。図7に示すように、(1-1)遊技機設置情報は、60sec周期で通知され、(1-2)遊技機性能情報は、180sec周期で通知され、(1-3)ホールコン・不正監視情報は、300msec周期で通知される。通知条件が重なった場合は、(1-1)遊技機設置情報、(1-2)遊技機性能情報、(1-3)ホールコン・不正監視情報、の順に優先される。
続いて、スロットマシン10において、主制御基板131内のMPU151により実行される各制御処理を図8から図20のフローチャートを参照しながら説明する。かかるMPU151の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では1.49msec周期で)起動されるタイマ割込み処理とがあり、説明の便宜上、はじめにタイマ割込み処理とを説明し、その後メイン処理を説明する。
図8は、主制御基板131で定期的に実行されるタイマ割込み処理のフローチャートであり、主制御基板131のMPU151により例えば1.49msecごとにタイマ割込みが発生する。
先ず、S201に示すレジスタ退避処理では、後述する通常処理で使用しているMPU151内の全レジスタの値をRAM153のバックアップエリアに退避させる(S201)。その後、停電信号を受信しているか否かを確認し(S202)、停電信号を受信しているときに限って停電時処理を実行する(S203)。停電信号とは、停電の発生などによって電源が遮断されると、電源装置161の停電監視回路161bによって生成される信号で、主制御基板131に対して出力される。
ここで、停電時処理(S203)について図9を用いて説明する。この停電時処理(S203)は、タイマ割込み処理のうち特にレジスタ退避処理の直後に行われるため、その他の割込み処理を中断することなく実行できる。従って、例えば各種コマンドの送信処理中、スイッチの状態(オンオフ)の読み込み処理中などのように、それぞれの処理に割り込んでこの停電時処理が実行されることはなく、かかるタイミングで実行されることをも考慮した停電時処理のプログラムを作成する必要がなくなる。これにより停電時処理用の処理プログラムを簡略化してプログラム容量を削減できる。なお、このことは後述する復電時処理用の処理プログラムについても同様である。
停電時処理(S203)では、まず、コマンド送信が終了しているか否かを判定する(S221)。送信が終了していない場合には(S221:No)、停電時処理(S203)を終了して図8のタイマ割込み処理に復帰し、コマンド送信を終了させる。このように停電時処理の初期段階でコマンドの送信が完了しているか否かを判断し、送信が未完であるときには送信処理を優先し、単位コマンドの送信処理終了後に停電時処理(S203)を実行する構成とすることにより、コマンドの送信途中で停電時処理が実行されることをも考慮した停電時処理プログラムを構築する必要がなくなる。その結果停電時処理プログラムを簡略化してROM152の小容量化を図ることができる。
S221の処理においてコマンドの送信が完了している場合には(S221:Yes)
、MPU151のスタックポインタの値をRAM153内のバックアップエリアに保存する(S222)。その後、停止処理として後述するRAM判定値をクリアすると共に出力ポート156における出力ポートの出力状態をクリアし、図示しない全てのアクチュエータをオフ状態にする(S223)。更に、RAM判定値を算出し、バックアップエリアに保存する(S224)。RAM判定値とは、具体的にはRAM153の作業領域アドレスにおけるチェックサムの2の補数である。RAM判定値をバックアップエリアに保存することにより、RAM153のチェックサムは0となる。RAM153を不用意に書き換えないよう、それ以後のRAMアクセスを禁止する(S225)。その後は、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるのに備え、無限ループに入る。
なお、例えばノイズ等に起因して停電信号が誤って受信される場合を考慮し、無限ループに入るまでは停電信号が出力されているか否かを確認する。停電信号が出力されていなければ停電状態から復旧したこととなるため、RAM153への書き込みを許可すると共に停電フラグをリセットし、図8のタイマ割込み処理に復帰する。停電信号の出力が継続してなされていれば、そのまま無限ループに入る。
なお、電源装置161の電源部161aは、上述した停電時処理を実行するのに十分な時間、制御系の駆動電圧として使用される安定化電圧(5ボルト)の出力が保持されるように構成されている。本実施形態では、30msecの間、駆動電圧が出力され続けるようになっている。
図8に戻って、タイマ割込み処理について説明する。S202の処理にて停電信号を受信していない場合、または、停電時処理(S203)が終了した後には、S204以降の各種処理を行う。
S204では、誤動作の発生を監視するためのウオッチドッグタイマの値を初期化するウオッチドッグタイマのクリア処理を行う(S204)。S205では、各リール42L,42M,42Rを回転させるために、それぞれの回胴駆動モータであるステッピングモータ61L~61Rを駆動させるステッピングモータ制御処理を行う(S205)。
S206では、入力ポート155に接続された各種センサ(図4参照)の状態を監視するセンサ監視処理を行う(S206)。カードユニット230との接続状態についても、ここで処理される。すなわち、前述したように、カードユニット230が遊技球等貸出装置接続端子板250の電源(VL)をONすると、遊技球等貸出装置接続端子板250のフォトカプラ255がONし、プルアップ抵抗155aが接続された入力ポート155の入力をLレベルにするので、入力ポート155を監視することでカードユニット230との接続状態が認識できる。そして、接続不良を認識した場合、状態フラグにカードユニット接続エラー、あるいは、カードユニット未接続を設定する。状態フラグにカードユニット接続エラー、あるいは、カードユニット未接続の状態が設定されている場合、後述する遊技価値投入スイッチ処理(S209)において、遊技価値投入処理を行わないように制御したり、計数処理(S277)において、常に計数遊技価値数をゼロとして計数通知通信を行ったりするようにしてもよい。カードユニットが未接続の状態で計数通知を行うと、スロットマシン10の持ち遊技価値カウンタはゼロになるが、その持ち遊技価値がカードユニット230の磁気カードに転送される保証がなく、遊技者に損害を与えることとなるからである。電源(VL)の状態からカードユニット230が正常に接続されていることが認識できた場合、状態フラグのカードユニット接続エラー、あるいは、カードユニット未接続という状態をクリアし、正常であることを示す。また、このような異常接続状態の場合は、遊技者、あるいはホールの従業員に、スロットマシン10がどのような状態になっているか分かるように、後述するコマンド出力処理(S212)において、表示制御装置111に指示して、カードユニットが使用できない状態である旨、補助表示部15に表示させてもよい。
S207では、各カウンタやタイマの値を減算するタイマ減算処理を行う(S207)。
S208では、計数スイッチに関する処理を行う(S208)。
ここで、計数スイッチ処理(S208)について図10を用いて説明する。計数とはスロットマシン10からカードユニット230への持ち遊技価値数を転送する動作のことで、当該計数動作の制御は、ユニット通信処理(S211)中の計数処理(S277)で処理される。この計数スイッチ処理(S208)では、計数処理(S277)において、計数動作を行うか否かを指定する計数状態フラグを設定する処理を行う。
先ず、VL接続確認信号がONか否かを判定する(S231)。前述したように、カードユニット230が正常動作中は遊技球等貸出装置接続端子板250に対して、電源(VL)をONする。この状態が確認できない場合(S231:NO)、カードユニット230は、スロットマシン10から持ち遊技価値数の転送を受ける準備が完了していないこととなるので、計数スイッチ処理を実行することなくリターンする。
S231においてVL接続確認信号がONである場合には(S231:YES)、計数スイッチ80がオン操作されているか否かを判定する(S232)。計数スイッチ80がオン操作されていない場合には(S232:NO)、持ち遊技価値カウンタが自動計数遊技価値数上限以上か否か判定する(S240)。なお、計数スイッチ80がオン操作されている間のみ計数動作をする仕様を実現する場合は、ここで計数状態フラグをOFFにした後リターンする。
S240において持ち遊技価値カウンタが自動計数遊技価値数上限以上の場合(S240:YES)、第2計数状態フラグをセットする(S241)。第2計数状態フラグがセットされると、後述する計数処理(S277)において、カードユニット230に対して計数通知を送信することとなる。そして、計数処理(S277)において、持ち遊技価値カウンタが自動計数遊技価値数下限よりも少なくなるまで持ち遊技価値をカードユニット230に送信した後、第2計数状態フラグはクリアされる(S300)。
第2計数状態フラグは、このように遊技者が計数スイッチ80を操作しない場合であっても、持ち遊技価値数があまり多量にならないように自動的に計数を行うためのフラグである。自動計数遊技価値数上限は、遊技者が設定できるようにしてもよいし、ホール管理者のみが設定できるようにしてもよい。また、設定できず、遊技機固有の値としてもよい。自動計数遊技価値数下限は、あまり頻繁に自動計数が起動されないように、上限に対してある程度少ない枚数が好ましい。例えば、自動計数遊技価値数上限を2,000枚、自動計数遊技価値数下限を1,000枚とすれば、持ち遊技価値数が2,000枚を超えると自動計数が始まり、持ち遊技価値数が1,000枚になったところで自動計数が終わるのである。自動計数を作動させない遊技機であれば、S240、S241の処理は不要である。
持ち遊技価値は、持ち遊技価値カウンタに電磁的に記憶されているので、遊技価値数が多くても、実メダルと異なり、容積のような物理的な制約を受けるわけではない。しかし、数千枚のような多量の遊技価値は、遊技においては必要ないだけでなく、遊技終了時、一度に計数しようとすれば、計数に長い時間が必要となり、不便である。また、事故や電気的な誤動作による消失のリスクを考慮すれば、必要な遊技価値数だけ遊技機中に保持し、残りは磁気カードに移しておいた方が安心である。
S232において計数スイッチ80がオン操作されている場合には(S232:YES)、計数状態フラグがONされているか否か判定する(S233)。計数状態フラグは、ONの場合は計数動作を行い、OFFの場合は計数動作を行わないことを指定するフラグである。計数状態フラグがONの場合には(S233:YES)、既に計数動作中であり、計数スイッチ80がオン操作されたとしても特段の処理は不要なので、単にリターンする。なお、計数動作を遊技者が計数スイッチ80を再度押下することにより中止することができる仕様を実現する場合は、ここで計数状態フラグをOFFにした後リターンする。その場合、計数スイッチ80がオン操作されているという判定(S232:YES)は、オンエッジの判定のことである。
S233において計数状態フラグがONでない場合には(S233:NO)、現在の遊技がリプレイ中か否か判定する(S234)。リプレイ遊技におけるベットカウンタ153bの値は、遊技価値を投入した結果のベット数ではないので、リプレイ中の場合には(S234:YES)次に続くベットカウンタ153bの値を計数遊技価値に含める処理をスキップし、持ち遊技価値数の有無を判定する処理(S238)へジャンプする。
S234においてリプレイ中でない場合には(S234:NO)、ベットカウンタ153bが0か否かの判定する(S235)。ベットカウンタ153bが0でない場合には(S235:NO)、持ち遊技価値カウンタ153cにベットカウンタ153bの値を加算し(S236)、ベットカウンタ153bをクリアする(S237)。ベットカウンタ153bが0でない状態は、遊技価値を投入した後、スタートレバー71を操作する前の状態なので、S236、S237の処理は、遊技価値の投入をキャンセルする処理、すなわち精算スイッチ76を押下した際と同様の処理である。計数スイッチ80を押下することで、精算スイッチ76を押下することなく、投入した遊技価値を含めて計数できるので便利である。なお、精算処理は精算スイッチ76を押下した場合に限る、という仕様とする場合は、S234~S237の処理を省略する。
S234においてリプレイ中である場合(S234:YES)、S235においてベットカウンタ153bが0である場合(S235:YES)、及び、S237においてベットカウンタ153bをクリアした後は、持ち遊技価値カウンタ153cが0か否かの判定をする(S238)。持ち遊技価値カウンタ153cが0の場合には(S238:YES)、計数する持ち遊技価値を有していないので、計数することなくリターンする。持ち遊技価値カウンタ153cが0でない場合には(S238:NO)、計数状態フラグをONにし、第2計数状態フラグをクリアした後(S239)、リターンする。自動計数中に遊技者が計数スイッチ80を押下するということは、自動計数遊技価値数下限で計数を停止することなく、全て計数したいということなので、第2計数状態フラグをクリアする。
図8に戻って、タイマ割込み処理について説明する。S208の計数スイッチ処理を行った後は、遊技価値投入スイッチ処理(S209)を行う。
ここで、遊技価値投入スイッチ処理(S209)について、図11を用いて説明する。この処理は、遊技価値を一度に3枚投入するための第1遊技価値投入スイッチ77、一度に2枚投入するための第2遊技価値投入スイッチ78、一度に1枚投入するための第3遊技価値投入スイッチ79が押下された場合の処理である。単に押下された遊技価値投入スイッチの枚数を投入するのではなく、持ち遊技価値数、ベット数を考慮して、実際に何枚の遊技価値を投入するのかを決定する。
先ず、計数状態フラグがONか否かを判定する(S251)。計数状態フラグがONの場合は(S251:YES)、遊技価値投入スイッチの処理を行わず、リターンする。計数状態フラグがONの場合は、持ち遊技価値カウンタ153cの値をカードユニット230に転送する計数モードの状態であるから、持ち遊技価値カウンタ153cの値は間もなく0になる。その状態で、持ち遊技価値カウンタ153cから遊技価値を投入することは不自然であるから、計数モード中は、遊技価値投入を不可としているのである。ただし、計数の速度が遅く、全て計数するのに時間がかかる場合は、計数中に数回、遊技を行うことを認めても不自然ではない。その場合は、S251の処理を省略し、また、計数スイッチ処理において、計数スイッチ80が押下された場合に、精算スイッチ76が押されたものとみなして、ベットカウンタ153bの値を持ち遊技価値カウンタ153cに戻す処理(S234~S237)を省略する。
なお、第2計数状態フラグがONか否かは問わない。自動計数は、持ち遊技価値カウンタ153cの余剰分をカードユニット230へ転送する状態なので、計数後は持ち遊技価値カウンタ153cの値は0にならず、遊技を継続するのに十分な持ち遊技価値数が残り、遊技を継続することとなる。したがって、第2計数状態においては遊技価値投入を含め、遊技操作を行うことができるのである。
計数状態フラグがONでない場合には(S251:NO)、持ち遊技価値カウンタ153cが0か否かを判定する(S252)。持ち遊技価値カウンタ153cが0の場合には(S252:YES)、投入する持ち遊技価値を有していないので、遊技価値投入スイッチの処理を行わずリターンする。
S252において持ち遊技価値カウンタ153cが0でない場合には(S252:NO)、ベットカウンタ153bが規定数か否かの判定する(S253)。規定数とは、当該遊技において投入することのできる遊技価値の最大数である。ベットカウンタ153bが規定数の場合には(S253:YES)、既に遊技価値を最大限投入済であるので、遊技価値投入スイッチの処理を行わずリターンする。
S253においてベットカウンタ153bが規定数でない場合には(S253:NO)、第1から第3のいずれかの遊技価値投入スイッチ77~79がONか否かを判定する(S254)。いずれの遊技価値投入スイッチもONでない場合(S254:NO)、遊技価値投入スイッチの処理を行わずリターンする。
S254において、いずれかの遊技価値投入スイッチ77~79がONの場合(S254:YES)、以下の処理で実際に投入する遊技価値の枚数を決定する。先ず、投入枚数のワークエリアにONとなった遊技価値投入スイッチ77~79に対応した投入遊技価値数をセットする(S255)。例えば、第1遊技価値投入スイッチ77がONの場合は、3を投入枚数にセットする。
次に、投入遊技価値数が持ち遊技価値カウンタ153cの値以下か否かを判定する(S256)。投入遊技価値数が遊技価値カウンタ153cの値以下の場合には(S256:YES)、投入遊技価値数はそのままにしておく。投入遊技価値数が遊技価値カウンタ153cの値以下ではない場合には(S256:NO)、押された遊技価値投入スイッチに対応した枚数の遊技価値を投入するだけ持ち遊技価値を有していないことになるので、投入遊技価値数に持ち遊技価値カウンタ153cの値をセットする。
次に、規定数とベットカウンタ153bの値との差が、投入枚数以上か否かを判定する(S258)。規定数とベットカウンタ153bの値との差が、投入枚数以上の場合には(S258:YES)、投入遊技価値数はそのままにしておく。規定数とベットカウンタ153bの値との差が、投入枚数以上でない場合には(S258:NO)、投入枚数を全部投入してしまうと、ベットカウンタ153bの値が規定数を超えてしまうので、そうならないよう、投入枚数に、規定数とベットカウンタ153bの値の差をセットする(S259)。
以上の処理で求めた投入枚数が、実際に投入する遊技価値数であるので、その値を持ち遊技価値カウンタ153cから減算し、ベットカウンタ153b、および、送信用投入カウンタ153dに加算し、有効ライン表示部32~34を更新して(S260)、遊技価値投入処理S209をリターンする。
図8に戻って、タイマ割込み処理について説明する。S209の遊技価値投入スイッチ処理を行った後は、スタートレバー処理(S210)を行う。
ここで、スタートレバー処理(S210)について、図12を用いて説明する。この処理は、遊技の進行を制御する通常処理(S407)において、遊技の開始を待つ個所(S504)に対応する割込み処理で、スタートレバー71を操作されたことを、スタートフラグを介して割込み処理から通常処理へ伝達するものである。
先ず、ベットカウンタ153bが0か否かを判定する(S261)。ベットカウンタ153bが0の場合には(S261:YES)、投入した遊技価値がないということなので、特段の処理を行わずリターンする。
S261においてベットカウンタ153bが0でない場合には(S261:NO)、スタートレバー71がONか否かを判定する(S262)。スタートレバー71の動きは、スタート検出センサ71aを介して、入力ポート155から認識することができる。ここでのONとは、OFF状態からON状態になった、いわゆるエッジのタイミングのことである。スタートレバー71がONでない場合には(S262:NO)、スタートレバー71は操作されていないので、次の精算スイッチ76が操作された場合の処理の先頭である、現在がリプレイ中か否を判定する処理(S266)へ行く
S262においてスタートレバー71がONの場合には(S262:YES)、遊技価値をベットした状態でスタートレバー71が操作されたことになるので、ゲームを開始するための一連の処理S263~S265を行う。S263では、スタートフラグをセットする。S264では、カードユニット230へ送信するため、遊技機情報通知内遊技情報の投入枚数のフィールドにベットカウンタ153bの値をセットする。S265では、ベットカウンタ153の値とリプレイ中フラグをクリアし、リターンする。
S262においてスタートレバー71がONでない場合には(S262:NO)、現在がリプレイ中か否かを判定する(S266)。現在がリプレイ中の場合(S266:YES)、リプレイゲームにおけるベット数は、遊技価値として戻すことはできないので、次に続く精算スイッチ76に関する処理を行わず、リターンする。
S266において現在がリプレイ中でない場合には(S266:NO)、精算スイッチ76がONか否かを判定する(S267)。精算スイッチ76の動きは、精算検出センサ76aを介して、入力ポート155から認識することができる。精算スイッチ76がONでない場合には(S267:NO)、精算スイッチ76は操作されていないということなので、特段の処理を行わずリターンする。
S267において精算スイッチ76がONの場合には(S267:YES)、遊技価値をベットしたものの、ゲームを開始せずに、投入した遊技価値を戻す操作であるので、持ち遊技価値カウンタ153cにベットカウンタ153bの値を加算する(S268)。そして、カードユニット230へ送信するため、送信用投入カウンタ153dからベットカウンタ153bの値を減算する(S269)。これは、ベットした遊技価値を持ち遊技価値数に戻すという意味である。その後、ベットカウンタ153bをクリアし(S270)、リターンする。
図8に戻って、タイマ割込み処理について説明する。S210のスタートレバー処理を行った後は、ユニット通信処理(S211)を行う。
ここで、ユニット通信処理(S211)について、図13を用いて説明する。この処理は、図6に示した、スロットマシン10とカードユニット230との間のシリアル通信を制御する処理である。
先ず、遊技機情報通知タイマを更新し(S271)、遊技機情報通知タイマが0か否かを判定する(S272)。遊技機情報通知は300msec周期で送信されるところ、本実施例においてタイマ割込み処理は1.49msec毎に起動されるので、タイマの値としては202を初期値として設定しておき、S271において遊技機情報通知タイマを1減算し、0になった場合に(S272:YES)、通信間隔は300.98msecとなり、通信の要件を満たす。
S272において遊技機情報通知タイマが0の場合には(S272:YES)、遊技機情報通知タイマに前述の202を再設定し(S273)、遊技機情報通知の送信を開始する(S274)。遊技機情報通知は、図7で示したように、60sec周期で送信される(1-1)遊技機設置情報と、180sec周期で送信される(1-2)遊技機性能情報と、300msec周期で送信される(1-3)ホールコン・不正監視情報に細分化される。したがって、通常は(1-3)ホールコン・不正監視情報を送信し、200回毎に(1-1)遊技機設置情報を送信し、600回毎に(1-2)遊技機性能情報を送信するようにする。
S272において遊技機情報通知タイマが0でない場合には(S272:NO)、計数通知タイミングの判定(S275)を行う。S273において遊技機情報通知タイマに202が再設定され、その後1.49msec毎に1減算され、134と一致するタイミングが(202-134)×1.49msec=101.32msecであるので、このタイミングが計数通知タイミングである(S275:YES)。計数通知タイミングでない場合には(S275:NO)、貸出通知タイマが0か否かの判定(S279)へ行く。計数タイミングである場合は(S275:YES)、VL接続確認信号の確認処理を行う(S276)。S276では、VL接続確認信号がONの場合は特段の処理は行わないが、VL接続確認信号がOFFの場合は、カードユニット230は、スロットマシン10から持ち遊技価値数の転送を受ける準備が完了していないこととなるので、計数状態フラグ、及び、第2計数状態フラグをクリアする。その後、計数処理(S277)を行う。
ここで、計数処理(S277)について、図14を用いて説明する。この処理は、計数状態の場合に、計数遊技価値数を決定し、計数通知を送信開始するのであるが、持ち遊技価値数が多い場合、1回の計数通知では計数を完了することができないので、複数回の計数通知により計数を行うための処理である。
先ず、計数状態か否かを判定する(S291)。前述した計数スイッチ処理(S208)において、計数スイッチ80がオン操作されていると認識した場合に計数状態フラグがセットされる。また、計数スイッチ80がオン操作されていなくても、持ち遊技価値カウンタが自動計数遊技価値数上限以上の場合は第2計数状態フラグがセットされる。計数状態とは、計数状態フラグ、または、第2計数状態フラグのどちらかがセットされた状態である。計数状態でない場合は(S291:NO)、計数遊技価値数に0を設定して(S299)、計数通知の送信を開始する(S301)。
S291において計数状態の場合には(S291:YES)、持ち遊技価値カウンタ153cの値が単位計数遊技価値数未満か否かを判定する(S292)。単位計数遊技価値数とは、1回の計数通知通信によりスロットマシン10からカードユニット230へ送信する計数遊技価値数の最大値のことで、スロットマシン10に固有な値として固定値でも良いし、計数処理の開始時に、計数する持ち遊技価値数に応じた値を決定してもよい。
持ち遊技価値の計数にかかる時間は、(持ち遊技価値数/単位計数遊技価値数)×300msec(計数通知通信の周期)であるので、単位計数遊技価値数が大きな値だと、計数にかかる時間が短くなる。また、持ち遊技価値数が大きな値だと、計数にかかる時間が長くなる。一方、スロットマシン10は、実体としての遊技メダルを扱わないことから、遊技の終了時に行う遊技価値の計数にかかる時間は、獲得した持ち遊技価値数を実感することのできる貴重な機会でもあるので、計数時間は短ければ良いというものでもない。したがって、遊技者の満足感を最大限に引き出すために、単位計数遊技価値数を調整することで、計数にかかる時間を最適な長さに調整することができる。また、満足感は感覚的なものなので、満足感を得ることのできる計数時間は、持ち遊技価値数と比例しないかもしれない。そのような場合、持ち遊技価値数に応じて単位計数遊技価値数を適宜選択することにより、持ち遊技価値数にかかわらず、計数における満足感を遊技者に与えることができるのである。
S292において持ち遊技価値カウンタ153cの値が単位計数遊技価値数未満の場合には(S292:YES)、現在の持ち遊技価値数を1回の計数通知により送信することができるので、計数遊技価値数に持ち遊技価値カウンタ153cの値を設定し(S293)、持ち遊技価値カウンタ153cをクリアし(S294)、計数状態フラグをクリアする処理(S300)へ行く。
S292において持ち遊技価値カウンタ153cの値が単位計数遊技価値数未満でない場合には(S292:NO)、現在の持ち遊技価値数を1回の計数通知により送信することができないので、計数遊技価値数に単位計数遊技価値数の値を設定し(S295)、持ち遊技価値カウンタ153cから単位計数遊技価値数を減算する(S296)。その結果、ちょうど持ち遊技価値カウンタ153cが0になる場合もあるので、持ち遊技価値カウンタ153cの値が0か否かを判定する(S297)。S297において持ち遊技価値カウンタ153cの値が0の場合(S297:YES)、持ち遊技価値を全て計数したことになるので、計数状態を通常状態に戻すべく、計数状態フラグをクリアし(S300)、計数通知を送信開始する(S301)。
S297において持ち遊技価値カウンタ153cの値が0でない場合(S297:NO)、持ち遊技価値カウンタ153cが自動計数遊技価値数下限以下か否かを判断する(S298)。持ち遊技価値カウンタが自動計数遊技価値数下限以下になった場合(S298:YES)、第2計数状態フラグをクリアする(S300)。この場合、計数スイッチ80がオン操作されて計数状態になった場合は、自動計数遊技価値数下限で計数を止める必要はないので、計数状態フラグはクリアしない。
S298において持ち遊技価値カウンタ153cの値が自動計数遊技価値数下限以下でない場合には(S298:NO)、まだ計数状態は継続するので、第2計数状態フラグはクリアせずに、計数通知を送信開始する(S301)。
図13に戻って、ユニット通信処理について説明する。S277の計数処理を行った後は、貸出通知タイマ設定処理(S278)を行う。貸出通知タイマの初期値は0であり、S277の計数処理の後、170msecに相当する値が設定される(S278)。
S279において貸出通知タイマが0か否か判定される(S279)。貸出通知タイマが0の場合には(S279:YES)、貸出通知に関する処理をスキップしてリターンする。貸出通知通信は、カードユニット230からスロットマシン10へ送信されるシリアル通信なので、カードユニット230が未接続状態であったり、まだ起動していなかったりした場合、スロットマシン10が貸出通知通信を受信することはない。そのような場合でも、際限なく貸出通知通信を待つことがないよう、計数通知の後170msecの間のみ、貸出通知通信を受信することとしている。貸出通知タイマは、S277の計数処理の後170msecの間は0でないので、貸出通知タイマが0でない場合には(S279:NO)、貸出通知通信に関する処理を行う。
S280において貸出通知タイマが更新される(S280)。S281において貸出通知を受信したか否か判定する(S281)。S281において貸出通知を受信していない場合には(S281:NO)貸出通知に関する処理をスキップしてリターンする。
S281において貸出通知を受信している場合には(S281:YES)、貸出処理(S282)を行う。
ここで、貸出処理(S282)について、図15を用いて説明する。この処理は、カードユニット230から受信した遊技価値の貸出通知に応じて、持ち遊技価値カウンタ153cの値を更新し、カードユニット230に対して応答を送信する処理である。
先ず、受信した貸出通知の貸出枚数が0か否かを判定する(S311)。貸出枚数が0の場合は(S311:YES)、持ち遊技価値カウンタ153cの更新を行わず、貸出枚数受領結果に「正常」をセットする処理(S314)へ行く。
S311において貸出枚数が0でない場合には(S311:NO)、持ち遊技価値カウンタ153cの値が貸出し不要遊技価値数以上か否かを判定する(S312)。遊技価値の貸出しを受けたときに、それを持ち遊技価値カウンタ153cに加算すると持ち遊技価値カウンタ153cがオーバーフローしてしまう場合は、貸出しを受けることができないのは当然のことであるが、そもそも遊技を継続するのに十分な持ち遊技価値がある場合、それ以上貸出しを受ける理由はない。そこで、持ち遊技価値カウンタ153cがとり得る最大値よりもはるかに小さい値であっても、遊技を継続するのに十分な値を貸出し不要遊技価値数として定義しておき、持ち遊技価値カウンタ153cがその値を超えていると、貸出しを拒否するのである。そのため、持ち遊技価値カウンタ153cの値が貸出し不要遊技価値数以上の場合(S312:YES)、持ち遊技価値カウンタ153cは更新せずに、貸出枚数受領結果に「異常」をセットする(S315)。このようにして、カードユニット230から貸出通知が送信されてきたとしても、その貸出しが不要と判断した場合は、その貸出通知を拒否するのである。
S312において持ち遊技価値カウンタ153cの値が貸出し不要遊技価値数以上ではない場合には(S312:NO)、持ち遊技価値カウンタ153cに貸出枚数を加算し(S313)、貸出枚数受領結果に「正常」をセットする(S314)。
貸出枚数受領結果に「正常」、または「異常」をセットした後、それを貸出受領結果応答として送信し(S316)、リターンする。
図13に戻って、ユニット通信処理について説明する。S282の貸出処理を行った後は、貸出通知タイマをクリアして(S283)、リターンする。
図8に戻って、タイマ割込み処理について説明する。S211のユニット通信処理を行った後は、表示制御装置111へコマンドなどを送信するコマンド出力処理(S212)を行う。S213では、遊技価値数表示部35、ゲーム数表示部36および獲得枚数表示部37にそれぞれ該当する数字、記号などを表示するためのセグメントデータを決定し、そのセグメントデータを各表示部35~37に出力ポート155を介して出力するポート出力処理を行う(S213)。S214では、先のS201にてバックアップエリアに退避させた各レジスタの値をそれぞれMPU151内の対応するレジスタに復帰させる(S214)。その後、次回のタイマ割込みを許可する割込み許可処理を行い、この一連のタイマ割込み処理を終了する。
図16は電源投入後に実行される主制御基板131でのメイン処理を示すフローチャートである。メイン処理は、停電からの復旧や電源スイッチ122のオン操作によって電源が投入された際に実行される。
先ず、初期化処理として、スタックポインタの値をMPU151内に設定すると共に、割込み処理を許可する割込みモードを設定し、その後、MPU151内のレジスタ群や、I/O装置等に対する各種の設定などを行う(S401)。
これらの初期化処理(S401)が終了すると、次に設定キーが設定キー挿入孔124に挿入されているか否かを判定する(S402)。設定キーが挿入されている場合には(S402:YES)、次にリセットスイッチ123がオン操作されているか否かを判定する(S403)。リセットスイッチ123がオン操作されている場合には(S403:YES)、電源スイッチ122のON操作に際してリセットスイッチ123がON操作されていることになるので、全部クリア処理としてRAM153に記憶されたデータを全てクリアする(S405)。リセットスイッチ123がオン操作されていない場合には(S403:NO)、一部クリア処理としてRAM153に記憶されたデータの一部をクリアする(S404)。つまり、RAM153を初期化するための操作が行われることなくスロットマシン10の設定値の変更が行われる場合には一部クリア処理(S404)が実行され、RAM153を初期化するための操作が行われた場合には全部クリア処理(S405)が実行される。
一部クリア処理(S404)では、RAM153においてBB状態であるか否かを示すデータが記憶されたエリア、BB状態における遊技価値の合計付与数を示すデータが記憶されたエリア、AT状態であるか否かを示すデータが記憶されたエリア、AT状態の終了条件を特定するためのデータが記憶されたエリア、及び後述する抽選モードの種類を示すデータが記憶されたエリアを除く、RAM153の各エリアを0クリアする。この場合、当選役が記憶されたエリアは0クリアされる。全部クリア処理(S405)では、一部クリア処理において0クリアの実行対象外とされるエリアを含めてRAM153の全エリアを0クリアする。これにより、一部クリア処理(S404)が実行されたとしてもBB状態、AT状態及び抽選モードは電源遮断前の状態に維持され、全部クリア処理(S405)が実行された場合には電源遮断前の状態とは無関係に通常遊技状態となる。
なお、上記構成に限定されることはなく、BB状態で電源が遮断された場合において一部クリア処理が実行された場合にはBB状態ではない状態となる構成としてもよく、AT状態で電源が遮断された場合において一部クリア処理が実行された場合にはAT状態ではない状態となる構成としてもよい。また、一部クリア処理が実行されたとしても、BB役に当選したことを示すデータが記憶されたエリアが0クリアされない構成としてもよい。
一部クリア処理(S404)又は全部クリア処理(S405)の処理を実行した後は、設定変更処理(S406)を行う。設定変更処理では、予め設定された6段階の設定状態(「設定1」~「設定6」)のうちどの設定状態が選択されたかを判定した上で、選択された設定状態に応じた内部処理を実行する。設定変更処理(S405)を行った後には、後述する通常処理(S407)を実行する。
S402にて設定キーが挿入されていない場合には(S402:NO)、S408以降に示す復電処理に移行する。復電処理を実行する。復電処理とは、スロットマシン10の状態を電源遮断前の状態に復帰させるための処理である。
復電処理では、先ず設定値が正常か否かを判定する(S408)。具体的には、設定値が「設定1」~「設定6」のいずれかである場合に正常であると判定し、「0」又は「7」以上である場合に異常であると判定する。設定値が正常である場合には(S408:YES)、停電フラグに「1」がセットされているか否かを確認する(S409)。停電フラグは動作電力の供給が停止される場合において停電時処理が正常に実行された場合には当該停電フラグに「1」がセットされることとなる。停電フラグに「1」がセットされている場合には(S409:YES)、RAM判定値が正常であるか否かを確認する(S410)。具体的には、RAM153のチェックサムの値を調べ、その値が正常、つまりRAM判定値を加味したチェックサムの値が0か否かを確認する。RAM判定値を加味したチェックサムの値が0である場合(S410:YES)、RAM153のデータは正常であると判定する。
RAM判定値が正常であると判定した場合には(S410:YES)、S408~S410の全てにおいて肯定判定をした場合なので、前回の電断時における停電時処理が正常に実行されたことを意味する。その場合、バックアップエリアに保存されたスタックポインタの値をMPU151のスタックポインタに書き込み、スタックの状態を電源が遮断される前の状態に復帰させる(S411)。そして、停電フラグをクリアし(S412)、復電処理の実行を伝える復電コマンドを表示制御装置111に送信し(S413)、電源遮断前の番地に戻る(S414)。
一方、S408~S410のいずれかで否定判定をした場合には動作禁止処理を実行する。動作禁止処理では、次回のタイマ割込み処理(図8)の実行を禁止し(S415)、MPU151の全ての出力ポートを0クリアすることにより当該出力ポートに接続された全てのアクチュエータをOFF状態とし(S416)、ホール管理者等にエラーの発生を報知するためのエラー報知処理を実行する(S417)。そして、無限ループとなる。当該動作禁止処理は、全部クリア処理(S405)が実行されることにより解除される。
次に、遊技に関わる主要な制御を行う通常処理(S407)について図17のフローチャートに基づき説明する。
通常処理(S407)においては、先ず、表示クリア処理を実行する(S501)。表示クリア処理では、前回のゲームで所定の表示が行われるように補助表示部15が表示制御されている場合、その所定の表示が消去されるようにする。これにより、補助表示部15は何も表示さていない消灯状態となる。
次に、前回の遊技の結果がリプレイ入賞であったか否か判定する(S502)。リプレイ入賞であった場合には(S502:YES)、今回の遊技は、遊技価値を投入せずに行うことができる。具体的には、ベットカウンタ153bに前回投入数をセットして(S503)、スタートフラグがONするのを待つ(S504)。
前回の遊技の結果がリプレイ入賞でなかった場合には(S502:NO)、遊技価値が投入され、スタートフラグがONするのを待つ(S504)。
前述したように、遊技価値投入スイッチが押下された場合の遊技価値投入、精算スイッチが押下された場合の投入された遊技価値のキャンセル、計数スイッチが押下された場合の遊技の終了、スタートレバーが操作されたことの検出は、タイマ割込み処理で行っている。遊技の進行を制御する通常処理では、スタートフラグがONするのを待つだけでよいのである(S504)。
スタートレバー71が操作され、スタートフラグがONになった場合には(S504:YES)、スタートレバー71の操作を契機として実行する遊技に対し、当否および当選させる役を抽選する抽選処理を実行する(S505)。
ここで、抽選処理(S505)について、図18を用いて説明する。抽選処理は、実行する遊技に対し、当否および当選させる役を抽選する処理であり、先ず、かかるタイミングでラッチ回路126にラッチされた乱数値を当否乱数メモリ153aに書き込む(S601)。この、乱数値の取り込みは、タイマ割込み処理でスタートフラグをONにする個所で行ってもよい。その後、スロットマシン10の現在の設定状態やベットされた遊技価値の枚数、小役確率の高低等に基づき、当否決定用の乱数テーブルを選択する(S602)。ここで、スロットマシン10の設定状態は設定キーを用いてセットされた「設定1」~「設定6」のいずれかであり、「設定1」のときに役の当選確率が最も低い乱数テーブルが選択され、「設定6」のときに役の当選確率が最も高い乱数テーブルが選択される。また、ベットされた遊技価値の枚数は1~3枚のいずれかであり、ベット枚数が多いほど役の当選確率が高くなるような乱数テーブルが選択される。例えば3枚ベットされたときの役の当選確率は、1枚ベットされたときの役の当選確率と比して3倍よりも高い確率となっている。さらに、小役確率については高低2種類存在し、現在の出玉率が所定の期待値を下回っているときには小役当選確率が高い乱数テーブルが選択され、所定の期待値を上回っているときには小役当選確率が低い乱数テーブルが選択される。
S603では、このようにして選択された乱数テーブルに、当否乱数メモリ153aに記憶される値、即ち、スタートレバー71の操作を契機としてラッチ回路126にラッチした乱数カウンタ更新回路125の乱数値を照らして役の抽選を行う(S603)。そして、いずれかの役に当選したか否かを判定し(S604)、いずれの役にも当選していない(外れである)場合には(S604:NO)、そのまま本処理を終了する。いずれかの役に当選した場合には(S604:YES)、その役に応じた当選フラグをセットし(S605)、図柄を揃えるべき有効ラインを決定する。S605の処理後、リール停止制御用のスベリテーブルを決定し、これをRAM153のスベリテーブル格納エリアに格納して(S606)、この抽選処理(S505)を終了する。
尚、ここで、スベリテーブルとは、ストップスイッチ72~74が押されたタイミングにおける所定の有効ライン上の図柄と、その有効ライン上に停止させるべき図柄とが異なる場合に、その停止させるべき図柄を所定の有効ライン上で止まるようにリールをどれだけ滑らせるかを定めたテーブルである。リール制御処理(S506)において、かかるスベリテーブルを用いて、リール42L,42M,42Rの停止位置を制御することにより、停止したリール42L,42M,42Rの態様を抽選結果に整合させることができる。
図17に戻って、通常処理について説明する。S505の抽選処理を行った後各リール42L,42M,42Rの回転と停止とを制御するリール制御処理を実行する(S506)。
ここで、リール制御処理(S506)について、図19を用いて説明する。リール制御処理は、先ず、各リール42L,42M,42Rの回転を開始させる回転開始処理を行う(S701)。回転開始処理では、前回のゲームで役の抽選処理(図18)の結果に対応するリール42L,42M,42Rの回転が開始された時点から予め定めたウエイト時間(例えば4.1秒)が経過したか否かを確認し、経過していない場合にはウエイト時間が経過するまで待機する。ウエイト時間が経過した場合には、次回のゲームのためのウエイト時間を再設定するとともに、RAM153における後述する特定制御用のワークエリアに設けられたモータ制御格納エリアに回転開始情報をセットする。かかる処理を行うことにより、タイマ割込み処理(図8)におけるステッピングモータ制御処理(S205)にてステッピングモータの加速処理が開始され、各リール42L,42M,42Rが回転を開始する。その後、各リール42L,42M,42Rが所定の回転速度で定速回転するまで待機し、回転開始処理を終了する。また、MPU151は、各リール42L,42M,42Rの回転速度が定速となると、各ストップスイッチ72~74の図示しないランプを点灯表示することにより、停止指令を発生させることが可能となったことを遊技者等に報知する。
その後、ストップスイッチ72~74のいずれかが操作されたか否かを判定する(S702)。ストップスイッチ72~74のいずれかが操作されたと判定した場合には(S702:YES)、回転中のリールと対応するストップスイッチが操作されたか否かを判定する(S703)。回転中のリールと対応するストップスイッチが操作された場合には(S703:YES)、回転中のリールを停止させるべくS704~S709に示す停止制御処理を行う。
停止制御処理では、ストップスイッチ72~74が操作されたタイミングで基点位置(本
実施形態では下段)に到達している到達図柄の図柄番号を確認する(S704)。具体的には、リールインデックスセンサの検出信号が入力された時点から出力した励磁パルス数により、基点位置に到達している到達図柄の図柄番号を確認する。その後、今回停止させるべきリールのスベリ数を算出する(S705)。
本スロットマシン10では、各リール42L,42M,42Rを停止させる停止態様として、ストップスイッチ72~74が操作された場合に、基点位置に到達している到達図柄をそのまま停止させる停止態様と、対応するリールを1図柄分滑らせた後に停止させる停止態様と、2図柄分滑らせた後に停止させる停止態様と、3図柄分滑らせた後に停止させる停止態様と、4図柄分滑らせた後に停止させる停止態様との5パターンの停止態様が用意されている。そこでS705では、スベリ数として「0」~「4」のいずれかの値を算出する。
その後、算出したスベリ数を到達図柄の図柄番号に加算し、基点位置に実際に停止させる停止図柄の図柄番号を決定する(S706)。そして、今回停止させるべきリールの到達図柄の図柄番号と停止図柄の図柄番号が等しくなったか否かを判定し(S707)、等しくなった場合には(S707:YES)、リールの回転を停止させるリール停止処理を行う(S708)。その後、全リール42L,42M,42Rが停止したか否かを判定する(S709)。全リール42L,42M,42Rが停止していない場合には(S709:NO)、S702に戻る。
全リール42L,42M,42Rが停止していると判定した場合には(S709:YES)、入賞判定処理(S710)を実行した後に、入賞結果コマンドを表示するため、表示制御装置111への入賞結果表示コマンドをセットして(S711)、リターンする。
ここで、入賞判定処理(S710)について、図20を用いて説明する。入賞判定処理は、先ず、各リール42L,42M,42Rがどの図柄で停止したのか、停止図柄を把握する(S801)。そして、各リール42L,42M,42Rに停止表示されている各図柄について、図柄の種類毎に設定されている2バイトデータにより、図柄組合せの論理演算処理(S802)を行う。その後、当該導出した2バイトデータがいずれかの入賞データに対応しているか否かにより、入賞が発生したか否か判定する(S803)。入賞発生した場合には(S803:YES)、その入賞データが今回のゲームの開始時に抽選処理(図18)にて選択された当選役と対応しているか否かを判定する(S804)。当選役と対応している場合(S804:YES)、入賞対応処理を実行して(S805)、リターンする。入賞対応処理(S805)では、その入賞が小役入賞であれば、次の遊技価値払出処理(S507)において遊技価値の付与を可能とするように払出対象となる遊技価値の数を払出対象カウンタにセットする。一方、その入賞がリプレイ入賞であれば、前述の通常処理(図17)にて自動投入処理(S503)が実行されるようにするためのフラグ設定処理を実行する。
一方、当選役と対応していない場合には(S804:NO)、抽選処理で抽選した結果と異なる不正入賞であると判断し、表示制御装置111への異常報知コマンドをセットする(S806)。その後、動作禁止処理(S807)を実行した後に、無限ループとなることで遊技の進行を停止させる。動作禁止処理(S807)では、次回のタイマ割込み処理を禁止し、MPU151の全ての出力ポートを0クリアすることにより当該出力ポートに接続された全てのアクチュエータをOFF状態とする。この動作禁止状態は、全部クリア処理(S405)が実行されることにより解除される。
図17に戻って、通常処理について説明する。S506のリール制御処理を行った後、入賞した結果の払出対象カウンタにセットされた遊技価値数を、獲得枚数表示部37に表示したり、持ち遊技価値カウンタ153cに加算したりする、遊技価値払出し処理を実行する(S507)。その後、RB、BB、AT、ART、RTなどの遊技状態の遷移を制御する、遊技終了時の対応処理(S508)が実行される。そして、次の遊技のため表示クリア処理(S501)へ戻る。
このように、第1の実施の形態によれば、一定の時間間隔で実行されるタイマ割込み処理で計数スイッチが操作されたことを検出して計数モードへ状態を切り替えるので、通常処理で制御される遊技の進行状況に影響されることなく、遊技者が計数スイッチを操作することのできる遊技機を提供することができる。
また、計数操作が直感的に理解でき、計数を中断する場合は計数スイッチを離すだけでよいので、計数操作の簡単な遊技機を提供することができる。
更に、計数動作に長時間を要する遊技機の場合、計数する間計数スイッチを押し続ける必要がなく、しかも、計数を中断したい場合は再度計数スイッチを押すだけでよいので、計数操作の簡単な遊技機を提供することができる。
また、第2計数状態フラグによって、遊技者が計数スイッチ80を操作しない場合であっても、持ち遊技価値数があまり多量にならないように自動的に計数を行う遊技機を提供することができる。持ち遊技価値は、持ち遊技価値カウンタに電磁的に記憶されているので、枚数が多くても、実メダルと異なり、容積のような物理的な制約を受けるわけではない。しかし、数千枚のような多量の遊技価値は、遊技においては必要ないだけでなく、遊技終了時、一度に計数しようとすれば、計数に長い時間が必要となり、不便である。また、事故や電気的な誤動作による消失のリスクを考慮すれば、必要な枚数だけ遊技機中に保持し、残りは磁気カードに移しておいた方が安心である。
更に、自動計数動作中であっても自動計数の終了を待つことなく、計数スイッチを押すだけで計数状態に移行することができるので、計数操作の簡単な遊技機を提供することができる。
また、持ち遊技価値の計数にかかる時間は、(持ち遊技価値数/単位計数遊技価値数)×300msec(計数通知通信の周期)であるので、単位計数遊技価値数が大きな値だと、計数にかかる時間が短くなる。また、持ち遊技価値数が大きな値だと、計数にかかる時間が長くなる。一方、スロットマシン10は、実体としての遊技メダルを扱わないことから、遊技の終了時に行う遊技価値の計数にかかる時間は、獲得した遊技価値数を実感することのできる貴重な機会でもあるので、計数時間は短ければ良いというものでもない。したがって、遊技者の満足感を最大限に引き出すために、単位計数遊技価値数を調整することで、計数にかかる時間を最適な長さに調整することができる。また、満足感は感覚的なものなので、満足感を得ることのできる計数時間は、持ち遊技価値数と比例しないかもしれない。そのような場合、持ち遊技価値数に応じて単位計数遊技価値数を適宜選択することにより、持ち遊技価値数にかかわらず、計数における満足感を遊技者に与えることができるのである。
更に、計数する遊技価値数に応じて計数に係る通信で送信する遊技価値数を決定するので、計数する遊技価値数が多い場合でも少ない場合でも、違和感がないような計数処理時間に調整する遊技機を提供することができる。計数する遊技価値数は、数十枚の場合から一万枚を超える場合まで広範囲に渡るので、計数に係る通信において一定の遊技価値数を送信すると、計数する遊技価値数が少ない場合は即座に計数処理が終了し、計数する遊技価値数が多い場合は、計数処理が終わるまで長時間待たされる、という状況になる。
更に、計数に係る通信回数が多くなるに従って1回の計数に係る通信で送信する遊技価値数を増やすことができるので、計数する遊技価値数が多い場合でも少ない場合でも、違和感がないような計数処理時間に調整する遊技機を提供することができる。また、通常は単なる計数処理待ちの時間に、加速感のある計数処理によって興趣を添えることができる。
更に、同じ遊技価値数であっても、貸出しレートの高い遊技機の場合と、低い遊技機の場合とでは、遊技者の受ける印象が異なるので、例えば、高いレートの遊技機の遊技価値数はゆっくりと計測し、低いレートの遊技機の遊技価値数は早目に計測することにより、その印象に合わせた計数処理速度の遊技機を提供することができる。
更に、遊技者が計数スイッチを押下することにより、計数処理速度を調整することができるので、遊技者の意向に合致した計数処理を行う遊技機を提供することができる。
また、既に遊技を継続するのに十分な持ち遊技価値がある場合、それ以上の貸出しを拒絶する遊技機を提供することができる。持ち遊技価値は、持ち遊技価値カウンタに電磁的に記憶されているので、枚数が多くても、実メダルと異なり、容積のような物理的な制約を受けるわけではない。しかし、数千枚のような多量の遊技価値は、遊技においては必要ないだけでなく、遊技終了時、一度に計数しようとすれば、計数に長い時間が必要となり、不便である。また、事故や電気的な誤動作による消失のリスクを考慮すれば、必要な枚数だけ遊技機中に保持し、残りは磁気カードに移しておいた方が安心である。
また、遊技価値貸出装置をネットワークに接続し、遊技者のID番号(磁気カードの会員ID)に基づいてネットワークの上位サーバから送信された当該遊技者の所定期間における、遊技金額、損失金額、遊技時間、遊技回数のうち1以上のデータを組合せて所定の方法で算出した値が、所定の値を超えない場合に限り、遊技価値の貸出操作を受け付けるようにすれば、いわゆるのめり込みと呼ばれる状態の遊技者が過度に遊技をするのを抑制することができ、適度に楽しむことのできる遊技機を提供することができる。また、前記所定条件が成立する遊技者であっても、完全に遊技を禁止するのではなく、一日のうち遊技時間、遊技金額、遊技回数などが所定範囲内であれば遊技を認めるなどの柔軟な対応でもよい。
更に、遊技価値を貸出すか否かの判断、すなわち、当該遊技者に遊技をさせるか否かの判断を上位サーバが行うようにすれば、判断条件を変更する場合、上位サーバの記憶内容を変更するだけですみ、社会情勢などによって変化し易いのめり込みの判断条件に柔軟に対応することができる。
更に、遊技者のID番号に基づいて、当該遊技者への遊技価値の貸出しを認めるか否かの判断基準を、ネットワークに接続された上位サーバに当該遊技者が登録できるようにしてもよい。そうすれば、当該遊技者に遊技をさせるか否かの判断条件に、当該遊技者自身の意見を加味することができるので、のめり込み状態の解消を効果的に推進することができる。
次に、図21から図32を参照して、第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態においては、主制御基板131がスロットマシン10を制御するよう構成されていた。これに加えて、第2の実施の形態においては、持ち遊技価値数表示制御基板132が主制御基板131と協調してスロットマシン10を制御するよう構成されている。持ち遊技価値数表示制御基板132は、遊技者が遊技の用に供することができる遊技価値の総数を電磁的方法により記録し、表示する機能を分担するものである。尚、他の部分は、上記した第1の実施の形態と同様であるので、第1の形態と同じ部分には同じ符号を付してその説明を省略する。
図21は、第2の実施の形態におけるスロットマシン10の電気的構成を示したブロック図である。主制御基板131に搭載されたMPU151と、持ち遊技価値数表示制御基板132に搭載されたMPU141は、シリアルポート、または、パラレルポートを介して相互に情報を送受信できる。カードユニット230と接続するための遊技球等貸出装置接続端子版250は、第1の実施の形態においては、主制御基板131と接続されていたが、第2の実施の形態においては、持ち遊技価値数表示制御基板132と接続されている。VL接続確認信号は、持ち遊技価値数表示制御基板132が受信し、主制御基板131に通信により、その状態を通知する。また、持ち遊技価値数表示制御基板132に搭載されたMPU141のRAM143に設けられた持ち遊技価値カウンタ143cに、遊技者が遊技の用に供することができる遊技価値の総数を記録し、持ち遊技価値数表示部35にその値を表示する。
送信用投入カウンタ153dは、遊技価値を投入する毎に、その投入した枚数を持ち遊技価値数表示制御基板132へ送信するにあたり、投入した遊技価値数を記憶するカウンタである。記憶した遊技価値の枚数を持ち遊技価値数表示制御基板132へ送信した後0にクリアする。また、精算スイッチ76が押下された場合、送信用投入カウンタ153dからベットカウンタ153bの値が減算されるので、負の値になることもある。持ち遊技価値数表示制御基板132は、この投入する毎に送信される送信用投入カウンタ153dの値を、スロットマシン10が保持する遊技価値数である持ち遊技価値カウンタ143cの更新に用いるとともに、カードユニット230へ送信する。
カードユニット230と遊技球等貸出装置接続端子版250を介して接続されているのは持ち遊技価値数表示制御基板132という相違はあるものの、スロットマシン10とカードユニット230との間のシリアル通信の内容については、図6および図7で説明した内容と同一である。
なお、図21においては、主制御基板131と持ち遊技価値数表示制御基板132が独立した制御基板として記載しているが、これらを機能ブロックとして、同一の制御基板に構成してもよい。そうすれば、主制御基板131と持ち遊技価値数表示制御基板132とを接続するハーネスやコネクタが不要になり、コスト的にメリットがあるだけでなく、信号の授受について外来ノイズの影響を抑制することが容易となり、安定した動作が期待できる。
図22は、第2の実施の形態における通信の概要である。この図によりスロットマシン10における、主制御基板131と、持ち遊技価値数表示制御基板132と、カードユニット230との間における通信を説明する。
持ち遊技価値数表示制御基板132とカードユニット230と間のシリアル通信は、図6において説明したスロットマシン10とカードユニット230との間のシリアル通信と、内容とタイミングの全てが同一なので、説明を省略する。
主制御基板131と持ち遊技価値数表示制御基板132との間の通信は、パラレル通信であっても、シリアル通信であってもよい。持ち遊技価値数表示制御基板132からは、(5)持ち遊技価値数通知が送信され、主制御基板131からは、(6)遊技機情報通知が送信される。図示していないが、それぞれの通信には、前回受信した相手方の通信についての受領通知も含まれるので、前回の送信結果を知ることができ、必要に応じて再送信などの措置をとることができる。
図6において説明したように、持ち遊技価値数表示制御基板132とカードユニット230との間のシリアル通信は、持ち遊技価値数表示制御基板132がマスターとして機能し、300ms周期の通信タイミングを決定している。主制御基板131と持ち遊技価値数表示制御基板132との間の通信も、持ち遊技価値数表示制御基板132がマスター、主制御基板131がスレーブとして機能することにより、カードユニット230との間の通信と同期がとれ、送信データの準備などを確実に実行することができる。
持ち遊技価値数表示制御基板132から送信される(5)持ち遊技価値数通知は、持ち遊技価値数表示制御基板132の持ち遊技価値カウンタ143cの値を送信するものである。持ち遊技価値数表示制御基板132は、主制御基板131から受信する遊技価値投入数、遊技価値払出し数、および、カードユニット230から受信する貸出し通知を、持ち遊技価値カウンタ143cに加減算することにより、持ち遊技価値カウンタ143cを最新の状態に管理するのである。主制御基板131は、持ち遊技価値数表示制御基板132から受信した(5)持ち遊技価値数通知を持ち遊技価値カウンタ153cに保持し、遊技価値投入時に投入可能な遊技価値数として参照する。持ち遊技価値数表示制御基板132からは、他に、カードユニット230の状態を示すVL接続状態、計数状態フラグ、第2計数状態フラグの各値が送信される。
主制御基板131から送信される(6)遊技機情報通知にはさまざまなデータが含まれる。制御用MPUチップID、遊技機製造メーカコード、製品コードは、スロットマシン10に固有の常に同じ値である。持ち遊技価値数表示制御基板132は、このデータに基づいて、図6における(1-1)遊技機設置情報である、制御用MPUチップID、遊技機製造メーカコード、製品コードのデータとする。
遊技価値投入数は、スタートレバー71が操作された場合に送信される。また、遊技価値払出数は、全てのリールが停止し、1回の遊技が終了した際送信される。いずれも、1回のみ送信されるデータなので、0ではないデータを送信した後、受領通知により受信エラーを検出した場合、再送される。持ち遊技価値数表示制御基板132は、これらの、遊技価値投入数、遊技価値払出し数、を持ち遊技価値カウンタ143cに反映させる。
遊技機状態(RB、BB、AT、・・・)、エラー状態、不正検知は、現在の状態が送信される。
持ち遊技価値数表示制御基板132は、主制御基板131から受信した、遊技価値投入数、遊技価値払出し数、遊技機状態(RB、BB、AT、・・・)、エラー状態、不正検知の各データ、および持ち遊技価値カウンタ143cの値に基づいて、図6における(1-3)ホールコン・不正監視情報の、持ち遊技価値数、遊技価値投入数、遊技価値払出数、遊技機状態(RB、BB、AT、・・・)、エラー状態、不正検知、の送信データを作成する。
また、持ち遊技価値数表示制御基板132は、同じデータに基づいて、総投入枚数、総払出枚数、MY(最大差玉)、を集計し、図6における(1-2)遊技機性能情報のデータとする。
続いて、第2の実施の形態におけるスロットマシン10において、主制御基板131内のMPU151により実行される各制御処理を図23から図25のフローチャートを参照しながら説明する。
図23は、主制御基板131で定期的に実行されるタイマ割込み処理のフローチャートである。図8において説明した、第1の実施の形態におけるタイマ割込み処理と比較して、計数スイッチ処理(S2208)と、持ち遊技価値数表示制御基板通信処理(S2211)の処理内容が異なり、その他の処理内容は同じである。
図24は、図23のタイマ割込み処理で実行される計数スイッチ処理(S2208)のフローチャートである。図10において説明した、第1の実施の形態における計数スイッチ処理(S208)と比較して相違する部分を説明する。
先ず、VL接続確認信号がONか否かを判定する(S2231)。前述したように、遊技球等貸出装置接続端子板250は、持ち遊技価値数表示制御基板132に接続されているので、カードユニット230が正常動作中か否かを確認できるVL接続確認信号は、持ち遊技価値数表示制御基板132に入力し、その結果を主制御基板131に送信してくる。したがって、VL接続確認信号がONか否かの判定は、持ち遊技価値数表示制御基板132から受信したVL接続確認信号の状態に基づいて判断することとなる。VL接続確認信号がONでない場合(S2231:NO)、計数スイッチ処理を実行することなくリターンする。
送信用投入カウンタ153dから、ベットカウンタ153bの値を減算する処理(S2236)は、遊技価値を投入した後、スタートレバー71を操作する前の状態で計数スイッチ80が押下された場合に、精算スイッチ76を押下した際と同様の処理をする部分である。送信用投入カウンタ153dは、遊技価値を投入する都度、持ち遊技価値数表示制御基板132へ送信するために投入した遊技価値数を記憶しておく領域で、送信した後は0クリアされる。例えば、遊技価値を3枚投入した後、スタートレバー71を操作する前の状態では、既に持ち遊技価値数表示制御基板132へ送信した後なので、送信用投入カウンタ153dは0である。ここから、ベットカウンタ153bの値である3を減算すると、送信用投入カウンタ153dの値は-3と、負の数になる。この値を受信した持ち遊技価値数表示制御基板132は、-3枚が投入されたということは投入済の遊技価値が持ち遊技価値数に戻されたと解釈し、持ち遊技価値カウンタ143cに3枚を加算する。なお、精算処理は精算スイッチ76を押下した場合に限る、という仕様とする場合は、S234、S235、S2236、S237の処理を省略する。
S240、S241は、遊技者が計数スイッチ80を操作しない場合であっても、持ち遊技価値数があまり多量にならないように自動的に計数を行うための第2計数状態フラグを設定する処理である。この処理は、遊技者の操作を必要とせず、持ち遊技価値カウンタ153cの値に基づいて主制御基板131が実行するが、持ち遊技価値カウンタ143cの値に基づいて持ち遊技価値数表示制御基板132が実行するようにしてもよい。主制御基板131の負担が軽くなり、遊技の制御のためにメモリやCPU時間等の資源をより多く使えるようになるメリットがある。
図25は、図23のタイマ割込み処理で実行される持ち遊技価値数表示制御基板通信処理(S2211)のフローチャートである。図22において説明したように、主制御基板131と持ち遊技価値数表示制御基板132との間の通信は、持ち遊技価値数表示制御基板132がマスター、主制御基板131がスレーブとして機能する。したがって、持ち遊技価値数表示制御基板通信処理(S2211)は、持ち遊技価値数表示制御基板132からの通信の受信完了を契機として、主制御基板131からデータを送信する、という動作になる。
先ず、受信完了か否かを判定する(S2901)。受信完了の場合は(S2901:YES)、受信データの持ち遊技価値数を持ち遊技価値カウンタ153cへセットし、VL接続状態をセットする(S2902)。
次に、送信バッファに遊技機情報通知をセットする(S2903)。具体的には、図22に示した「(6)遊技機情報通知」の各データである、制御用MPUチップID、遊技機製造メーカコード、製品コード、遊技価値投入数、遊技価値払出数、遊技機状態(RB、BB、AT、・・・)、エラー状態、不正検知、遊技情報(持ち遊技価値数更新用:投入枚数、払出枚数)である。持ち遊技価値カウンタ143c更新用の投入枚数には、送信用投入カウンタ153dの値をセットする。持ち遊技価値カウンタ143c更新用の払出し枚数には、S507で決定した払出し枚数をセットする。また、計数スイッチ処理S2208で決定した計数状態フラグ、第2計数状態フラグ、もそれぞれ送信バッファにセットする。そして、送信開始をして(S2904)、リターンする。
S2901において受信完了ではない場合には(S2901:NO)、送信完了か否かを判定する(S2905)。送信完了の場合は(S2905:YES)、受信を開始し(S2906)、リターンする。
S2905において送信完了ではない場合には(S2905:NO)、通信中か否か、すなわち送信中または受信中か否かを判定する(S2907)。主制御基板131はスレーブとして動作しているので、受信中、受信完了、送信中、送信完了のいずれでもない状態はあり得ず、もし何らかの誤動作の結果、この状態になってしまうと、この状態から抜け出すことができなくなってしまうので、通信中でない場合には(S2907:NO)、通信回路をリセットし、受信開始の処理を行い(S2908)、リターンする。
次に掲げる第1の実施の形態における各処理については、第2の実施の形態においても同様であるので、説明を省略する。図9において説明した停電処理(S203)、図11において説明した遊技価値投入スイッチ処理(S209)、図12において説明したスタートレバー処理(S210)、図16において説明したメイン処理、図17において説明した通常処理(S407)、図18において説明した抽選処理(S505)、図19において説明したリール制御処理(S506)、図20において説明した入賞判定処理(S710)。
続いて、第2の実施の形態におけるスロットマシン10において、持ち遊技価値数表示制御基板132内のMPU141により実行される各制御処理を図26から図32のフローチャートを参照しながら説明する。
図26は、電源投入後に実行される持ち遊技価値数表示制御基板132でのメイン処理を示すフローチャートである。メイン処理は、停電からの復旧や電源スイッチ122のオン操作によって電源が投入された際に実行される。
先ず、初期化処理として、スタックポインタの値をMPU141内に設定すると共に、割込み処理を許可する割込みモードを設定し、その後、MPU141内のレジスタ群や、I/O装置等に対する各種の設定などを行う(S7001)。
これらの初期化処理(S7001)が終了すると、次に持ち遊技価値数クリアスイッチ127がONしているか否かを判定する(S7002)。持ち遊技価値数クリアスイッチ127がONしている場合には(S7002:YES)、持ち遊技価値カウンタ143cをクリアする(S7003)。
持ち遊技価値数クリアスイッチ127がONしていない場合には(S7002:NO)、持ち遊技価値カウンタ143cをクリアする処理(S7003)をスキップして、RAM判定値が正常であるか否かを確認する(S7004)。具体的には、RAM143のチェックサムの値を調べ、その値が正常、つまりRAM判定値を加味したチェックサムの値が0か否かを確認する。RAM判定値を加味したチェックサムの値が0である場合(S7004:YES)、RAM143のデータは正常であると判定する。その場合、バックアップエリアに保存されたスタックポインタの値をMPU141のスタックポインタに書き込み、スタックの状態を電源が遮断される前の状態に復帰させる(S7005)。そして、停電フラグをクリアし(S7006)、タイマ割込みを起動し(S7007)、電源遮断前の番地に戻る(S7008)。
RAM判定値が正常でない場合(S7004:NO)、初めて電源を投入する場合か、前回の電断時における停電時処理が正常に実行されていなかったことを意味する。その場合、正常な動作を担保するため、RAM143をクリアする(SS7009)。そして、タイマ割込みを起動し(S7010)、無限ループにより、割込み処理が起動するのを待つ。
図27は、持ち遊技価値数表示制御基板132で定期的に実行されるタイマ割込み処理のフローチャートである。本実施の形態では2msec周期で起動されるものとして説明する。
先ず、S7021に示すレジスタ退避処理では、MPU141内の全レジスタの値をRAM143のバックアップエリアに退避させる(S7021)。その後、停電信号を受信しているか否かを確認し(S7022)、停電信号を受信しているときに限って停電時処理を実行する(S7023)。停電信号とは、停電の発生などによって電源が遮断されると、電源装置161の停電監視回路161bによって生成される信号で、主制御基板131と持ち遊技価値数表示制御基板132に対して出力される。
ここで、停電時処理(S7023)について図28を用いて説明する。停電時処理(S7023)では、まず、コマンド送信が終了しているか否かを判定する(S7031)。送信が終了していない場合には(S7031:No)、停電時処理(S7023)を終了して図27のタイマ割込み処理に復帰し、コマンド送信を終了させる。このように停電時処理の初期段階でコマンドの送信が完了しているか否かを判断し、送信が未完であるときには送信処理を優先し、単位コマンドの送信処理終了後に停電時処理(S7023)を実行する構成としている。
S7031の処理においてコマンドの送信が完了している場合には(S7031:Yes)
、MPU141のスタックポインタの値をRAM143内のバックアップエリアに保存する(S7032)。その後、停止処理として後述するRAM判定値をクリアすると共に出力ポート146における出力ポートの出力状態をクリアし、図示しない全てのアクチュエータをオフ状態にする(S7033)。更に、RAM判定値を算出し、バックアップエリアに保存する(S7034)。RAM判定値とは、具体的にはRAM143の作業領域アドレスにおけるチェックサムの2の補数である。RAM判定値をバックアップエリアに保存することにより、RAM143のチェックサムは0となる。RAM143を不用意に書き換えないよう、それ以後のRAMアクセスを禁止する(S7035)。その後は、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるのに備え、無限ループに入る。
なお、例えばノイズ等に起因して停電信号が誤って受信される場合を考慮し、無限ループに入るまでは停電信号が出力されているか否かを確認する。停電信号が出力されていなければ停電状態から復旧したこととなるため、RAM143への書き込みを許可すると共に停電フラグをリセットし、図27のタイマ割込み処理に復帰する。停電信号の出力が継続してなされていれば、そのまま無限ループに入る。
なお、電源装置161の電源部161aは、上述した停電時処理を実行するのに十分な時間、制御系の駆動電圧として使用される安定化電圧(5ボルト)の出力が保持されるように構成されている。本実施形態では、30msecの間、駆動電圧が出力され続けるようになっている。
図27に戻って、タイマ割込み処理について説明する。S7022の処理にて停電信号を受信していない場合、または、停電時処理(S7023)が終了した後には、S7024以降の各種処理を行う。
S7024では、誤動作の発生を監視するためのウオッチドッグタイマの値を初期化するウオッチドッグタイマのクリア処理を行う(S7024)。S7025では、各カウンタやタイマの値を減算するタイマ減算処理を行う(S7025)。
S7028ではユニット通信処理(S7028)を行う。ここで、ユニット通信処理(S7028)について、図29を用いて説明する。この処理は、図6に示した、スロットマシン10とカードユニット230との間のシリアル通信を制御する処理である。
先ず、遊技機情報通知タイマを更新し(S7041)、遊技機情報通知タイマが0か否かを判定する(S7042)。遊技機情報通知は300msec周期で送信されるところ、本実施例においてタイマ割込み処理は2msec毎に起動されるので、タイマの値としては150を初期値として設定しておき、S7041において遊技機情報通知タイマを1減算し、0になった場合に(S7042:YES)、通信間隔は300msecとなり、通信の要件を満たす。
なお、遊技機情報通知タイマは、後述する主制御基板通信処理(S7029)においても参照され、主制御基板との通信タイミングの決定に使われる。同一のタイマに対して異なる判定値を使うことにより、同一割込み内で、ユニット通信処理と主制御基板通信処理とが共に動作することを避けることができて好都合である。
S7042において遊技機情報通知タイマが0の場合には(S7042:YES)、遊技機情報通知タイマに前述の150を再設定し(S7043)、遊技機情報通知の送信を開始する(S7044)。遊技機情報通知は、図7で示したように、60sec周期で送信される(1-1)遊技機設置情報と、180sec周期で送信される(1-2)遊技機性能情報と、300msec周期で送信される(1-3)ホールコン・不正監視情報に細分化される。したがって、通常は(1-3)ホールコン・不正監視情報を送信し、200回毎に(1-1)遊技機設置情報を送信し、600回毎に(1-2)遊技機性能情報を送信するようにする。
S7042において遊技機情報通知タイマが0でない場合には(S7042:NO)、計数通知タイミングの判定(S7045)を行う。S7043において遊技機情報通知タイマに150が再設定され、その後2msec毎に1減算され、100と一致するタイミングが(150-100)×2msec=100msecであるので、このタイミングが計数通知タイミングである(S7045:YES)。計数通知タイミングでない場合には(S7045:NO)、貸出通知タイマが0か否かの判定(S7049)へ行く。計数タイミングである場合は(S7045:YES)、VL接続確認信号の確認処理を行う(S7046)。S7046では、VL接続確認信号がONの場合は特段の処理は行わないが、VL接続確認信号がOFFの場合は、カードユニット230は、スロットマシン10から持ち遊技価値数の転送を受ける準備が完了していないこととなるので、計数状態フラグ、及び、自動計数状態フラグをクリアする。その後、計数処理(S7047)を行う。
ここで、計数処理(S7047)について、図30を用いて説明する。この処理は、計数状態の場合に、計数遊技価値数を決定し、計数通知を送信開始するのであるが、持ち遊技価値数が多い場合、1回の計数通知では計数を完了することができないので、複数回の計数通知により計数を行うための処理である。
先ず、計数状態か否かを判定する(S7061)。後述する主制御基板通信処理S7029において、主制御基板から送信されてきた計数状態フラグ、第2計数状態フラグの値に基づいて判断する。計数状態とは、計数状態フラグ、または、第2計数状態フラグのどちらかがセットされた状態である。計数状態でない場合は(S7061:NO)、計数遊技価値数に0を設定して(S7069)、計数通知の送信を開始する(S7071)。
S7061において計数状態の場合には(S7061:YES)、持ち遊技価値カウンタ143cの値が単位計数遊技価値数未満か否かを判定する(S7062)。単位計数遊技価値数とは、1回の計数通知通信によりスロットマシン10からカードユニット230へ送信する計数遊技価値数の最大値のことで、スロットマシン10に固有な値として固定値でも良いし、計数処理の開始時に、計数する持ち遊技価値数に応じた値を決定してもよい。
持ち遊技価値の計数にかかる時間は、(持ち遊技価値数/単位計数遊技価値数)×300msec(計数通知通信の周期)であるので、単位計数遊技価値数が大きな値だと、計数にかかる時間が短くなる。また、持ち遊技価値数が大きな値だと、計数にかかる時間が長くなる。一方、スロットマシン10は、実体としての遊技メダルを扱わないことから、遊技の終了時に行う遊技価値の計数にかかる時間は、獲得した持ち遊技価値数を実感することのできる貴重な機会でもあるので、計数時間は短ければ良いというものでもない。したがって、遊技者の満足感を最大限に引き出すために、単位計数遊技価値数を調整することで、計数にかかる時間を最適な長さに調整することができる。また、満足感は感覚的なものなので、満足感を得ることのできる計数時間は、持ち遊技価値数と比例しないかもしれない。そのような場合、持ち遊技価値数に応じて単位計数遊技価値数を適宜選択することにより、持ち遊技価値数にかかわらず、計数における満足感を遊技者に与えることができるのである。
S7062において持ち遊技価値カウンタ143cの値が単位計数遊技価値数未満の場合には(S7062:YES)、現在の持ち遊技価値数を1回の計数通知により送信することができるので、計数遊技価値数に持ち遊技価値カウンタ143cの値を設定し(S7063)、持ち遊技価値カウンタ143cをクリアし(S7064)、計数状態フラグをクリアする処理(S7070)へ行く。
S7062において持ち遊技価値カウンタ143cの値が単位計数遊技価値数未満でない場合には(S7062:NO)、現在の持ち遊技価値数を1回の計数通知により送信することができないので、計数遊技価値数に単位計数遊技価値数の値を設定し(S7065)、持ち遊技価値カウンタ143cから単位計数遊技価値数を減算する(S7066)。その結果、ちょうど持ち遊技価値カウンタ143cが0になる場合もあるので、持ち遊技価値カウンタ143cの値が0か否かを判定する(S7067)。S7067において持ち遊技価値カウンタ143cの値が0の場合(S7067:YES)、持ち遊技価値を全て計数したことになるので、計数状態を通常状態に戻すべく、計数状態フラグをクリアし(S7070)、計数通知を送信開始する(S7071)。
S7067において持ち遊技価値カウンタ143cの値が0でない場合(S7067:NO)、持ち遊技価値カウンタ143cが自動計数遊技価値数下限以下か否かを判断する(S7068)。持ち遊技価値カウンタ143cが自動計数遊技価値数下限以下になった場合(S7068:YES)、第2計数状態フラグをクリアする(S7070)。この場合、計数スイッチ80がオン操作されて計数状態になった場合は、自動計数遊技価値数下限で計数を止める必要はないので、計数状態フラグはクリアしない。
S7068において持ち遊技価値カウンタ143cの値が自動計数遊技価値数下限以下でない場合には(S7068:NO)、まだ計数状態は継続するので、第2計数状態フラグはクリアせずに、計数通知を送信開始する(S7071)。
図29に戻って、ユニット通信処理について説明する。S7047の計数処理を行った後は、貸出通知タイマ設定処理(S7048)を行う。貸出通知タイマの初期値は0であり、S7047の計数処理の後、170msecに相当する値が設定される(S7048)。
S7049において貸出通知タイマが0か否か判定される(S7049)。貸出通知タイマが0の場合には(S7049:YES)、貸出通知に関する処理をスキップしてリターンする。貸出通知通信は、カードユニット230からスロットマシン10へ送信されるシリアル通信なので、カードユニット230が未接続状態であったり、まだ起動していなかったりした場合、スロットマシン10が貸出通知通信を受信することはない。そのような場合でも、際限なく貸出通知通信を待つことがないよう、計数通知の後170msecの間のみ、貸出通知通信を受信することとしている。貸出通知タイマは、計数処理(S7047)の後170msecの間は0でないので、貸出通知タイマが0でない場合には(S7049:NO)、貸出通知通信に関する処理を行う。
S7050において貸出通知タイマが更新される(S7050)。S7051において貸出通知を受信したか否か判定する(S7051)。S7051において貸出通知を受信していない場合には(S7051:NO)貸出通知に関する処理をスキップしてリターンする。
S7051において貸出通知を受信している場合には(S7051:YES)、貸出処理(S7052)を行う。
ここで、貸出処理(S7052)について、図31を用いて説明する。この処理は、カードユニット230から受信した遊技価値の貸出通知に応じて、持ち遊技価値カウンタ143cの値を更新し、カードユニット230に対して応答を送信する処理である。
先ず、受信した貸出通知の貸出枚数が0か否かを判定する(S7081)。貸出枚数が0の場合は(S7081:YES)、持ち遊技価値カウンタ143cの更新を行わず、貸出枚数受領結果に「正常」をセットする処理(S7084)へ行く。
S7081において貸出枚数が0でない場合には(S7081:NO)、持ち遊技価値カウンタ143cの値が貸出し不要遊技価値数以上か否かを判定する(S7082)。遊技価値の貸出しを受けたときに、それを持ち遊技価値カウンタ143cに加算すると持ち遊技価値カウンタ143cがオーバーフローしてしまう場合は、貸出しを受けることができないのは当然のことであるが、そもそも遊技を継続するのに十分な持ち遊技価値がある場合、それ以上貸出しを受ける理由はない。そこで、持ち遊技価値カウンタ143cがとり得る最大値よりもはるかに小さい値であっても、遊技を継続するのに十分な値を貸出し不要遊技価値数として定義しておき、持ち遊技価値カウンタ143cがその値を超えていると、貸出しを拒否するのである。そのため、持ち遊技価値カウンタ143cの値が貸出し不要遊技価値数以上の場合(S7082:YES)、持ち遊技価値カウンタ143cは更新せずに、貸出枚数受領結果に「異常」をセットする(S7085)。
S7082において持ち遊技価値カウンタ143cの値が貸出し不要遊技価値数以上ではない場合には(S7082:NO)、持ち遊技価値カウンタ143cに貸出枚数を加算し(S7083)、貸出枚数受領結果に「正常」をセットする(S7084)。このようにして、カードユニット230から貸出通知が送信されてきたとしても、その貸出しが不要と判断した場合は、その貸出通知を拒否するのである。
貸出枚数受領結果に「正常」、または「異常」をセットした後、それを貸出受領結果応答として送信し(S7086)、リターンする。
図29に戻って、ユニット通信処理について説明する。S7052の貸出処理を行った後は、貸出通知タイマをクリアして(S7053)、リターンする。
図27に戻って、タイマ割込み処理について説明する。S7028のユニット通信処理を行った後は、主制御基板通信処理(S7029)を行う。
ここで、主制御基板通信処理(S7029)について、図32を用いて説明する。この処理は、図22に示した、スロットマシン10内における、主制御基板131と持ち遊技価値数表示制御基板132との間の通信を制御する処理である。
先ず、遊技機情報通知タイマが通信タイミングか否かを判定する(S7091)。前述したように、遊技機情報通知タイマは、ユニット通信処理(S7026)で更新され、通信タイミングを決定するために使われているタイマで、0~150の値をとる。そして0のときに遊技機情報通知を送信し、100のときに計数通知を送信するので、例えばその中間の130のときに、主制御基板132に対して持ち遊技価値数通知を送信するようにすれば、ユニット通信処理(S7026)と処理タイミングを重ねることなく、しかも、全体としてカードユニット230との通信と通信タイミングを同期させることができる。
遊技機情報通知タイマが通信タイミングである場合には(S7091:YES)、持ち遊技価値数通知データを送信バッファにセットする(S7092)。具体的には、持ち遊技価値カウンタ143cの値、VL接続状態、計数状態フラグ、第2計数状態フラグの各値である。計数状態フラグ、第2計数状態フラグは、前述したように、計数処理(S7047)を実行した結果、クリアされる場合があるので、その結果を主制御基板131に伝えるためである。その後、持ち遊技価値数通知を送信開始し(S7093)、リターンする。
遊技機情報通知タイマが通信タイミングでない場合には(S7091:NO)、送信完了したか否か判定する(S7094)。送信完了した場合には(S7094:YES)、受信を開始し(S7095)、リターンする。
送信完了ではない場合には(S7094:NO)、受信完了したか否か判定する(S7096)。受信完了した場合には(S7096:YES)、受信データに基づいて、持ち遊技価値カウンタ143cの値等を更新する(S7097)。具体的には、受信データ中の遊技情報(持ち遊技価値数更新用:投入枚数)は、投入した遊技価値の枚数である送信用投入カウンタ153dの値であるので、これを、持ち遊技価値カウンタ143cから減算する。特別な場合として、精算スイッチ76が押下された場合、送信用投入カウンタ153dの値として負の値が送信されてくるが、負の値を減算することで、持ち遊技価値カウンタ143cの値は増加する。これは、精算は投入した遊技価値を持ち遊技価値に戻す行為だからである。また、遊技情報(持ち遊技価値数更新用:払出枚数)は、遊技の結果獲得した遊技価値数なので、これを持ち遊技価値カウンタ143cへ加算する。また、受信データ中には、計数スイッチ80が押下された場合にセットされる計数状態フラグや、持ち遊技価値数に基づいて自動的に計数状態になる第2計数状態フラグが含まれているので、計数状態をこれらのフラグに合わせる。その後、リターンする。
受信完了ではない場合には(S7096:NO)、遊技機情報通知タイマは受信可能時間内か否か判定する(S7098)。図22で説明してように、持ち遊技価値数表示制御基板132は、主制御基板131との通信において、マスターとして機能するので、(5)持ち遊技価値数通知を送信した後は、主制御基板131から送信されてくる(6)遊技機情報通知を待つのであるが、主制御基板131が電源投入直後の初期化処理中のように、通信ができない状態の場合もあるので、次回の(5)持ち遊技価値数通知の送信に干渉しないように、(6)遊技機情報通知の受信を待つ期間を制限するのである。例えば、前述のS7091において、遊技機情報通知タイマ=130の場合に(5)持ち遊技価値数通知を送信し、S7098において遊技機情報通知タイマ≧30を受信可能時間内と判断すれば、(130-30)×2ms=200msの期間だけ主制御基板131からの(6)遊技機情報通知を待つのである。時間内であれば(S7098:YES)、何もせず、リターンする。
遊技機情報通知タイマは受信可能時間内でない場合(S7098:NO)、受信状態であった通信回路をリセットし(S7099)、リターンする。
図27に戻って、タイマ割込み処理について説明する。S7029のユニット通信処理を行った後は、先のS7021にてバックアップエリアに退避させた各レジスタの値をそれぞれMPU141内の対応するレジスタに復帰させる(S7030)。その後、次回のタイマ割込みを許可する割込み許可処理を行い、この一連のタイマ割込み処理を終了する。
このように、第2の実施の形態によれば、持ち遊技価値数表示制御基板132が、主制御基板131に代わって、カードユニット230との通信を行い、遊技価値の貸出し処理、計数処理など、持ち遊技価値数の管理処理を行うこととなるので、主制御基板131の負荷が大幅に軽くなり、その分、遊技の進行制御に処理能力を振り向けることができる。したがって、興趣を添えた、より面白い遊技機を提供することができる。
また、遊技価値数制御基板(持ち遊技価値数表示制御基板132)の処理において、主制御基板通信処理(S7029)と、ユニット通信処理(S7028)とで処理タイミングが重複させないようにすることができ、特定のタイミングの割込み処理時間が延びることによる定期割込み処理の破綻を回避することができる。
更に、計数スイッチが操作された場合の計数モードに係る処理を、遊技価値数制御基板が処理することになり、その分遊技の進行を制御する主制御基板のROMやRAMなどにできる余裕を、遊技の制御に使うことができるので、興趣に富む遊技機を提供することができる。
更に、遊技者が操作した遊技価値投入スイッチに対応した枚数の遊技価値を投入できるか否かを判定するのに、遊技価値数記憶手段を備える遊技価値数制御基板に対して、投入しようとする遊技価値数を送信し、投入の可否を判断させようとすると、往復の通信時間によるタイムラグで、遊技価値投入スイッチを操作してからその操作が受け付けられるまで時間がかかり、操作性が悪くなるところ、あらかじめ受信しておいた遊技価値数を遊技価値の投入可否判断に使うので、遊技価値投入スイッチを操作した後、通信を待つ必要がなくなり、操作に対する反応がよくなり、操作し易い遊技機を提供することができる。
次に、図33から図36を参照して、第3の実施の形態について説明する。第2の実施の形態においては、計数スイッチ80の操作を検出する計数検出センサ80aが主制御基板131の入力ポート155に接続に接続されているところ、第3の実施の形態においては、持ち遊技価値数表示制御基板132の入力ポート145に接続されている点が相違する。他の部分は、上記した第1の実施の形態、および、第2の実施の形態と同様であるので、同じ部分には同じ符号を付してその説明を省略する。
図33は、第3の実施の形態におけるスロットマシン10の電気的構成を示したブロック図である。計数スイッチ80の操作を検出する計数検出センサ80aが、持ち遊技価値数表示制御基板132の入力ポート145に接続されている。それ以外の構成は、図21の第2の実施の形態におけるスロットマシン10の電気的構成と同様である。
スロットマシン10における、主制御基板131と、持ち遊技価値数表示制御基板132と、カードユニット230との間における通信は、図22において説明した第2の実施の形態と同様である。
図34は、主制御基板131で定期的に実行されるタイマ割込み処理のフローチャートである。計数スイッチ80が押下された場合の処理が持ち遊技価値数表示制御基板132に移されたことに伴い、図23において説明した、第2の実施の形態におけるタイマ割込み処理と比較して、計数スイッチ処理(S2208)が削除されている。その他の処理内容は同じである。
次に掲げる第1の実施の形態における各処理については、第3の実施の形態においても同様であるので、説明を省略する。図9において説明した停電処理(S203)、図11において説明した遊技価値投入スイッチ処理(S209)、図12において説明したスタートレバー処理(S210)、図16において説明したメイン処理、図17において説明した通常処理(S407)、図18において説明した抽選処理(S505)、図19において説明したリール制御処理(S506)、図20において説明した入賞判定処理(S710)。
また、図25において説明した第2の実施の形態における持ち遊技価値数表示制御基板通信処理(S2211)については、第3の実施の形態においても同様であるので、説明を省略する。
続いて、第3の実施の形態におけるスロットマシン10において、持ち遊技価値数表示制御基板132内のMPU141により実行される各制御処理を図35から図36のフローチャートを参照しながら説明する。
図35は、持ち遊技価値数表示制御基板132で定期的に実行されるタイマ割込み処理のフローチャートである。図27において説明した、第2の実施の形態におけるタイマ割込み処理と比較して、計数スイッチ処理(S7026)が追加されている。その他の処理内容は同じである。
図36は、図35のタイマ割込み処理で実行される計数スイッチ処理(S7026)のフローチャートである。
先ず、VL接続確認信号がONか否かを判定する(S7111)。前述したように、カードユニット230が正常動作中は遊技球等貸出装置接続端子板250に対して、電源(VL)をONする。この状態が確認できない場合(S7111:NO)、カードユニット230は、スロットマシン10から持ち遊技価値数の転送を受ける準備が完了していないこととなるので、計数スイッチ処理を実行することなくリターンする。
S7111においてVL接続確認信号がONである場合には(S7111:YES)、計数スイッチ80がオン操作されているか否かを判定する(S7112)。計数スイッチ80がオン操作されていない場合には(S7112:NO)、持ち遊技価値カウンタが自動計数遊技価値数上限以上か否か判定する(S7116)。なお、計数スイッチ80がオン操作されている間のみ計数動作をする仕様を実現する場合は、ここで計数状態フラグをOFFにした後リターンする。
S7116において持ち遊技価値カウンタが自動計数遊技価値数上限以上の場合(S7116:YES)、第2計数状態フラグをセットする(S7117)。第2計数状態フラグがセットされると、計数処理(S7047)において、カードユニット230に対して計数通知を送信することとなる。そして、計数処理(S7047)において、持ち遊技価値カウンタが自動計数遊技価値数下限よりも少なくなるまで持ち遊技価値をカードユニット230に送信した後、第2計数状態フラグはクリアされる(S7070)。自動計数を作動させない遊技機であれば、S7116、S7117の処理は不要である。
S7112において計数スイッチ80がオン操作されている場合には(S7112:YES)、計数状態フラグがONされているか否か判定する(S7113)。計数状態フラグはONの場合は計数動作を行い、OFFの場合は計数動作を行わないことを指定するフラグである。計数状態フラグがONの場合には(S7113:YES)、既に計数動作中であり、計数スイッチ80がオン操作されたとしても特段の処理は不要なので、単にリターンする。なお、計数動作を遊技者が計数スイッチ80を再度押下することにより中止することができる仕様を実現する場合は、ここで計数状態フラグをOFFにした後リターンする。その場合、計数スイッチ80がオン操作されているという判定(S7112:YES)は、オンエッジの判定のことである。
S7113において計数状態フラグがONでない場合には(S7113:NO)、持ち遊技価値カウンタ143cが0か否かの判定をする(S7114)。持ち遊技価値カウンタ143cが0の場合には(S7114:YES)、計数する持ち遊技価値を有していないので、計数することなくリターンする。持ち遊技価値カウンタ143cが0でない場合には(S7114:NO)、計数状態フラグをONにした後(S7115)、リターンする。
次に掲げる第2の実施の形態における各処理については、第3の実施の形態においても同様であるので、説明を省略する。図26において説明したメイン処理、図28において説明した停電処理(S7023)、図29において説明したユニット通信処理(S7026)、図30において説明した計数処理(S7047)、図31において説明した貸出処理(S7052)、図32において説明した主制御基板通信処理(S7029)。
このように、第3の実施の形態によれば、計数スイッチ80が押下された場合の処理を持ち遊技価値数表示制御基板132が行うので、主制御基板131が計数スイッチに関する処理を行う場合と比較して、主制御基板131の処理能力に余裕ができる。主制御基板131は、遊技の進行を制御するので、興趣を添えた面白い遊技機を提供することができる。
次に、図37から図40を参照して、第4の実施の形態について説明する。第1から第3の実施の形態においては、VL接続確認信号を入力ポート155を介してMPU151が、あるいは、入力ポート145を介してMPU141が読み取ることにより、カードユニット230が正常に接続されており、かつ、動作準備完了していることを確認し、スロットマシン10の制御を行っていた。例えば、図10に示した第1の実施の形態における計数スイッチ処理(S208)においてVL接続確認信号がONか否か判定する処理(S231)である。第4の実施の形態においては、VL接続確認信号がハード的に計数スイッチ80等を機能させるか否か制御することにより、MPUがVL接続確認信号を読み取ることなく、同様の制御が行えるようにする。
図37は、第4の実施の形態におけるスロットマシン10の電気的構成を示したブロック図である。遊技球等貸出装置接続端子版250から出力されたVL接続確認信号は、入力ポート158のイネーブル端子に接続される。入力ポート158は、イネーブル端子に入力される信号のレベルに応じて、ポートに入力された信号をMPU151へ出力するか否か制御する機能を有する入力ポートである。
入力ポート158には、遊技価値投入スイッチ77~79からの信号、および、計数スイッチ80からの信号が入力される。これらの信号は、VL接続確認信号がディセーブルの場合にMPU151に伝達されないので、カードユニット230が正常に接続されていない場合は、計数スイッチ80と遊技価値投入スイッチ77~79が操作できないこととなる。すなわち、カードユニット230が正常に接続されていない場合は、計数、および遊技価値投入ができないのである。
一方、スタートレバー71、ストップスイッチ72~74、精算スイッチ76は、入力ポート155に接続されているので、カードユニット230の接続状態にかかわらず、リール回転のスタート、リールの停止、投入した遊技価値のキャンセルは操作できる。
このように、カードユニット230が正常に接続されていない場合に、どのような操作を制限するかは遊技機の仕様によるが、それは入力ポート158に入力する遊技の操作に係る入力信号を選択することにより実現することができるのである。すなわち、遊技に係る操作を一切禁止する場合は、スタートレバー71、ストップスイッチ72~74、精算スイッチ76、遊技価値投入スイッチ77~79、計数スイッチ80の入力信号を入力ポート158に入力し、計数操作のみ禁止する場合は、計数スイッチ80の入力信号のみ入力ポート158に接続すればよいのである。
図38は、第4の実施の形態において、主制御基板131と持ち遊技価値数表示制御基板132が協調してスロットマシン10を制御するよう構成する場合の電気的構成を示したブロック図である。遊技球等貸出装置接続端子版250から出力されたVL接続確認信号は、入力ポート148のイネーブル端子に接続される。入力ポート148のイネーブル端子の機能は、前述の入力ポート158と同様である。
入力ポート148には、計数スイッチ80からの信号が入力される。すなわち、カードユニット230が正常に接続されていない場合は、計数操作ができないのである。
図39は、主制御基板131と持ち遊技価値数表示制御基板132の両方で、イネーブル端子による制御機能を有する入力ポート148、158を備える場合の電気的構成を示したブロック図である。遊技球等貸出装置接続端子版250から出力されたVL接続確認信号は、持ち遊技価値数表示制御基板132に入力され、そこで入力ポート148のイネーブル端子に接続される。そして、そのまま主制御基板131へ出力され、入力ポート158のイネーブル端子に接続される。
入力ポート148には、計数スイッチ80からの信号が入力される。また、入力ポート158には遊技価値投入スイッチ77~79が接続される。すなわち、計数スイッチ80に関する処理と遊技価値投入スイッチ77~79に関する処理が、2つの制御基板に分散していたとしても、カードユニット230が正常に接続されていない場合は、VL接続確認信号によって、いずれの操作も制限することができるのである。
計数とはスロットマシン10からカードユニット230への持ち遊技価値数を転送する動作のことなので、カードユニット230が正常に接続されていない場合は、計数スイッチ80が機能しないことは合理的である。このような状態において、スタートレバー71、ストップスイッチ72~74、遊技価値投入スイッチ77~79、精算スイッチ76に係る操作を受付けないようにすることで、不用意に遊技状態や持ち遊技価値数が変化しないようにすることができる。また、ゲームの途中で操作ができなくなることは不自然な印象を与えるので、遊技価値投入スイッチ77~79の操作を抑制し、スタートレバー71、やストップスイッチ72~74の操作を認めるようにすれば、全リールが停止したゲームの区切りで新たな遊技価値投入ができなくなり、遊技の進行が停止させることができる。更に、計数操作、及び、遊技価値の貸出しを受けることができないとしても、持ち遊技価値数があれば、遊技をすることは可能なので、そのような場合は、計数スイッチ80のみ操作を抑制するようにすればよい。
図40は、イネーブル端子による制御機能を有する入力ポート158を備えた主制御基板131に遊技球等貸出装置接続端子板250を接続した場合の電気的構成を示したブロック回路図である。カードユニット230が電源(VL)をONした場合の遊技球等貸出装置接続端子板250の動作は前述した通りである。また、イネーブル端子による制御機能を有する入力ポート148を備えた持ち遊技価値数表示制御基板132に遊技球等貸出装置接続端子板250を接続した場合も同様である。
カードユニット230が電源(VL)をONすると、遊技球等貸出装置接続端子板250のフォトカプラ255がONする。フォトカプラ255の出力側は、スロットマシン10にVL接続確認信号として出力され、スロットマシン10内では抵抗155bによりプルアップされて入力ポート158のイネーブル端子に入力されている。すなわち、カードユニット230は動作準備完了であれば、VL接続確認信号がLとなり、入力ポート158がイネーブル状態になるので、計数スイッチ80からの入力信号がMPU151に伝達されるのである。
図41は、イネーブル端子による制御機能を有しない入力ポート155を備えた主制御基板131に遊技球等貸出装置接続端子板250を接続した場合の電気的構成を示したブロック回路図である。
入力ポート155の入力端子には、プルアップ抵抗155aと計数スイッチ80が接続されている。計数スイッチ80が操作されていない状態では、計数スイッチ80はオープン状態なので、入力ポート155の入力端子にはプルアップ抵抗155aの効果でHレベルが入力される。一方、計数スイッチ80が操作された状態では、計数スイッチ80はショート状態なので、ここにVL接続確認信号が接続される状態となる。VL接続確認信号は、フォトカプラ255の出力トランジスタに接続されているので、カードユニット230が正常に接続されており、正常動作中であれば、フォトカプラ255の出力トランジスタはONしており、Lレベルとなる。カードユニット230との接続が正常でなかったり、動作準備できていなかったりした場合は、このトランジスタはOFFであり、計数スイッチ80が操作されてプルアップ抵抗155aに接続されたとしても、信号はHレベルのままである。すなわち、VL接続確認信号が正常な場合は、計数スイッチ80の操作状態をMPU151が読み取ることができるが、VL接続確認信号が正常でない場合は、計数スイッチ80の操作状態はMPU151から読み取ることはできないのである。
このように、第4の実施の形態によれば、VL接続確認信号をプログラムで読み取ることなく、制御処理を実行することができるので、処理能力に余裕ができる。その余裕を遊技の進行を制御する処理に振り向けることで、より興趣を添えた面白い遊技機を提供することができる。
<上記実施形態から抽出される発明群について>
以下、上述した実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお、以下においては、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
<特徴A群>
特徴A1.遊技価値の数を記憶する遊技価値数記憶手段(持ち遊技価値カウンタ153c)と、
遊技価値貸出装置(カードユニット230)と通信する遊技価値貸出装置通信手段(遊技球等貸出装置接続端子板250)と、
計数スイッチ(計数スイッチ80)と、
前記計数スイッチの操作信号が入力される入力ポート(入力ポート155)と、
を備え、
前記遊技機価値貸出装置から送信される遊技価値の数(図6に記載の(3)貸出通知)を、前記遊技価値貸出装置通信手段で受信し、前記遊技価値数記憶手段に加算すること(図15に記載のS313において持ち遊技価値カウンタ153cに加算する処理)によって遊技価値の貸出しとし、
前記遊技価値数記憶手段から減算すること(図11に記載のS260において持ち遊技価値カウンタ153cから減算する処理)によって遊技価値を遊技の用に供することとし、
前記遊技価値数記憶手段に加算すること(図17に記載のS507において、払出対象カウンタにセットされた遊技価値数を、獲得枚数表示部37に表示したり、持ち遊技価値カウンタ153cに加算したりする遊技価値払出し処理)によって遊技の結果である遊技価値の獲得とし、
前記遊技価値数記憶手段に記憶する遊技価値の数を、前記遊技価値貸出装置通信手段により、遊技価値貸出装置へ送信すること(図14に記載の計数処理S277)によって遊技価値の計数とする遊技機であって、
遊技の進行を制御する通常処理(図17に記載の通常処理S407)と、
一定の時間間隔で実行されるタイマ割込み処理(図8に記載のタイマ割込み処理)と、
を有し、
前記タイマ割込み処理において、前記入力ポートに入力された操作信号に基づいて、前記計数スイッチが押下されたことを検出した場合に、前記遊技価値数記憶手段に記憶している遊技価値の数を、前記遊技価値貸出装置へ送信する計数モードへ状態を切り替える(図10に記載の計数スイッチ処理S208)ことを特徴とする遊技機。
特徴A1によれば、一定の時間間隔で実行されるタイマ割込み処理で計数スイッチが操作されたことを検出して計数モードへ状態を切り替えるので、通常処理で制御される遊技の進行状況に影響されることなく、遊技者が計数スイッチを操作することができる遊技機、すなわち、好適な遊技価値の管理を行うことのできる遊技機を提供することが可能となる。
特徴A2.計数スイッチが押下されている期間は計数モードとし(図10に記載のS232においてYESの場合、常にS239を実行して計数状態フラグをセットする)、
計数スイッチの押下が解除された場合、計数モードが解除される(図10に記載のS232においてNOの場合、図示しないが計数状態フラグをクリアする)ことを特徴とする、
特徴A1に記載の遊技機。
特徴A2によれば、計数操作が直感的に理解でき、計数を中断する場合は計数スイッチを離すだけでよいので、計数操作の簡単な遊技機を提供することができる。
特徴A3.計数スイッチの押下を検出した場合に、状態が計数モードでないとき(図10に記載のS233においてNOの場合)は状態を計数モードに切替え(S239において計数状態フラグをセットする)、状態が計数モードであるときは計数モードを解除する(S233においてYESの場合、図示しないが計数状態フラグをクリアする)ことを特徴とする、特徴A1に記載の遊技機。
特徴A3によれば、計数動作に長時間を要する遊技機の場合、計数する間計数スイッチを押し続ける必要がなく、しかも、計数を中断したい場合は再度計数スイッチを押すだけでよいので、計数操作の簡単な遊技機を提供することができる。
<特徴B群>
特徴B1.遊技価値の数を記憶する遊技価値数記憶手段(持ち遊技価値カウンタ153c)と、
遊技価値貸出装置(カードユニット230)と通信する遊技価値貸出装置通信手段(遊技球等貸出装置接続端子板250)と、
計数スイッチ(計数スイッチ80)と、
前記計数スイッチの操作信号が入力される入力ポート(入力ポート155)と、
を備え、
前記遊技価値貸出装置から送信される遊技価値の数(図6に記載の(3)貸出通知)を、前記遊技価値貸出装置通信手段で受信し、前記遊技価値数記憶手段に加算すること(図15に記載のS313において持ち遊技価値カウンタ153cに加算する処理)によって遊技価値の貸出しとし、
前記遊技価値数記憶手段から減算すること(図11に記載のS260において持ち遊技価値カウンタ153cから減算する処理)によって遊技価値を遊技の用に供することとし、
前記遊技価値数記憶手段に加算すること(図17に記載のS507において、払出対象カウンタにセットされた遊技価値数を、獲得枚数表示部37に表示したり、持ち遊技価値カウンタ153cに加算したりする遊技価値払出し処理)によって遊技の結果である遊技価値の獲得とし、
前記遊技価値数記憶手段に記憶する遊技価値の数を、前記遊技価値貸出装置通信手段により、遊技価値貸出装置へ送信すること(図14に記載の計数処理S277)によって遊技価値の計数とする遊技機であって、
前記遊技価値数記憶手段に記憶している遊技価値の数が所定数を超えた場合(図10に記載のS240においてYESの場合)に、前記遊技価値数記憶手段に記憶している遊技価値の数を、前記遊技価値貸出装置へ送信する第二計数モードへ状態を切り替え(S241において第2計数状態フラグをセットする)、
第二計数モードである状態において、前記遊技価値数記憶手段に記憶している遊技価値の数が所定数を下回った場合に(図14に記載のS298においてYESの場合)、第二計数モードを解除する(S300において第2計数状態フラグをクリアする)ことを特徴とする遊技機。
特徴B1によれば、第2計数状態フラグによって、遊技者が計数スイッチ80を操作しない場合であっても、持ち遊技価値数があまり多量にならないように自動的に計数を行う遊技機を提供することができる。持ち遊技価値数は、持ち遊技価値カウンタに電磁的に記憶されているので、枚数が多くても、実メダルと異なり、容積のような物理的な制約を受けるわけではない。しかし、数千枚のような多量の遊技価値は、遊技においては必要ないだけでなく、遊技終了時、一度に計数しようとすれば、計数に長い時間が必要となり、不便である。また、事故や電気的な誤動作による消失のリスクを考慮すれば、必要な枚数だけ遊技機中に保持し、残りは磁気カードに移しておいた方が安心である。このように、好適な遊技価値の管理を行うことのできる遊技機を提供することが可能となる。
特徴B2.計数スイッチの押下を検出した場合に、状態が第二計数モードであるとき(図10に記載のS233においてNOの場合)は、第二計数モードを解除し、第一計数モードに切替える(S239において第2計数状態フラグをクリアし、計数状態フラグをセットする)ことを特徴とする、特徴B1に記載の遊技機。
特徴B2によれば、自動計数動作中であっても自動計数の終了を待つことなく、計数スイッチを押すだけで計数状態に移行することができるので、計数操作の簡単な遊技機を提供することができる。
<特徴C群>
特徴C1.遊技価値の数を記憶する遊技価値数記憶手段(持ち遊技価値カウンタ153c)と、
遊技価値貸出装置(カードユニット230)と通信する遊技価値貸出装置通信手段(遊技球等貸出装置接続端子板250)と、
を備え、
前記遊技価値貸出装置から送信される遊技価値の数(図6に記載の(3)貸出通知)を、前記遊技価値貸出装置通信手段で受信し、前記遊技価値数記憶手段に加算すること(図15に記載のS313において持ち遊技価値カウンタ153cに加算する処理)によって遊技価値の貸出しとし、
前記遊技価値数記憶手段から減算すること(図11に記載のS260において持ち遊技価値カウンタ153cから減算する処理)によって遊技価値を遊技の用に供することとし、
前記遊技価値数記憶手段に加算すること(図17に記載のS507において、払出対象カウンタにセットされた遊技価値数を、獲得枚数表示部37に表示したり、持ち遊技価値カウンタ153cに加算したりする遊技価値払出し処理)によって遊技の結果である遊技価値の獲得とし、
前記遊技価値数記憶手段に記憶する遊技価値の数を、前記遊技価値貸出装置通信手段により、遊技価値貸出装置へ送信すること(図14に記載の計数処理S277)によって遊技価値の計数とする遊技機であって、
前記計数に係る送信において、1回の通信で送信する遊技価値の数を、所定の条件により変更すること(図14に記載のS295において、計数遊技価値数に単位計数遊技価値数を設定すること。単位計数遊技価値数とは、1回の計数通知通信によりスロットマシン10からカードユニット230へ送信する計数遊技価値数の最大値のことで、スロットマシン10に固有な値として固定値でも良いし、計数処理の開始時に、計数する持ち遊技価値数に応じた値を決定してもよい。)を特徴とする遊技機。
特徴C1によれば、計数処理にかかる時間を調整できるので、好適な遊技価値の管理を行うことのできる遊技機を提供することが可能となる。
持ち遊技価値の計数にかかる時間は、(持ち遊技価値数/単位計数遊技価値数)×300msec(計数通知通信の周期)であるので、単位計数遊技価値数が大きな値だと、計数にかかる時間が短くなる。また、持ち遊技価値数が大きな値だと、計数にかかる時間が長くなる。一方、スロットマシン10は、実体としての遊技メダルを扱わないことから、遊技の終了時に行う遊技価値の計数にかかる時間は、獲得した持ち遊技価値数を実感することのできる貴重な機会でもあるので、計数時間は短ければ良いというものでもない。したがって、遊技者の満足感を最大限に引き出すために、単位計数遊技価値数を調整することで、計数にかかる時間を最適な長さに調整することができる。また、満足感は感覚的なものなので、満足感を得ることのできる計数時間は、持ち遊技価値数と比例しないかもしれない。そのような場合、持ち遊技価値数に応じて単位計数遊技価値数を適宜選択することにより、持ち遊技価値数にかかわらず、計数における満足感を遊技者に与えることができるのである。
特徴C2.計数開始時における遊技価値の数(持ち遊技価値カウンタ153cの値)に応じて、1回の計数に係る通信で送信する遊技価値を決定することを特徴とする特徴C1に記載の遊技機。
特徴C2によれば、計数する遊技価値の数に応じて計数に係る1回の通信で送信する遊技価値を決定するので、計数する遊技価値の数が多い場合でも少ない場合でも、違和感がないような計数処理時間に調整する遊技機を提供することができる。計数する遊技価値の数は、数十枚の場合から一万枚を超える場合まで広範囲に渡るので、計数に係る1回の通信において一定の遊技価値の数を送信すると、計数する遊技価値が少ない場合は即座に計数処理が終了し、計数する遊技価値が多い場合は、計数処理が終わるまで長時間待たされる、という状況になる。
特徴C3.計数開始後の計数に係る通信回数に応じて、1回の計数に係る通信で送信する遊技価値の数を決定することを特徴とする特徴C1に記載の遊技機。
特徴C3によれば、計数に係る通信回数が多くなるに従って1回の計数に係る通信で送信する遊技価値の数を増やすことができるので、計数する遊技価値が多い場合でも少ない場合でも、違和感がないような計数処理時間に調整する遊技機を提供することができる。また、通常は単なる計数処理待ちの時間に、加速感のある計数処理によって興趣を添えることができる。
特徴C4.遊技価値の貸出レートに応じて、1回の計数に係る通信で送信する遊技価値の数を決定することを特徴とする特徴C1に記載の遊技機。
特徴C4によれば、同じ遊技価値の数であっても、貸出しレートの高い遊技機の場合と、低い遊技機の場合とでは、遊技者の受ける印象が異なるので、例えば、高いレートの遊技機の遊技価値はゆっくりと計測し、低いレートの遊技機の遊技価値は早目に計測することにより、その印象に合わせた計数処理速度の遊技機を提供することができる。
特徴C5.計数モード中は、計数スイッチの押下を検出する都度、1回の計数に係る通信において送信する遊技価値の数を変更することを特徴とする、特徴C1に記載の遊技機。
特徴C5によれば、遊技者が計数スイッチを押下することにより、計数処理速度を調整することができるので、遊技者の意向に合致した計数処理を行う遊技機を提供することができる。
<特徴D群>
特徴D1.遊技価値の数を記憶する遊技価値数記憶手段(持ち遊技価値カウンタ153c)と、
遊技価値貸出装置(カードユニット230)と通信する遊技価値貸出装置通信手段(遊技球等貸出装置接続端子板250)と、
を備え、
前記遊技価値貸出装置から送信される遊技価値の数(図6に記載の(3)貸出通知)を、前記遊技価値貸出装置通信手段で受信し、前記遊技価値数記憶手段に加算すること(図15に記載のS313において持ち遊技価値カウンタ153cに加算する処理)によって遊技価値の貸出しとし、
前記遊技価値数記憶手段から減算すること(図11に記載のS260において持ち遊技価値カウンタ153cから減算する処理)によって遊技価値を遊技の用に供することとし、
前記遊技価値数記憶手段に加算すること(図17に記載のS507において、払出対象カウンタにセットされた遊技価値数を、獲得枚数表示部37に表示したり、持ち遊技価値カウンタ153cに加算したりする遊技価値払出し処理)によって遊技の結果である遊技価値の獲得とし、
前記遊技価値数記憶手段に記憶する遊技価値の数を、前記遊技価値貸出装置通信手段により、遊技価値貸出装置へ送信すること(図14に記載の計数処理S277)によって遊技価値の計数とする遊技機であって、
前記遊技価値貸出し装置から、遊技価値の貸出しにかかる通信が送信されてきたとき、前記遊技価値数記憶手段に記憶する遊技価値の数が所定以上の場合(図15に記載のS312においてYESの場合)、遊技価値の貸出しを拒否する応答を前記遊技価値貸出し装置に送信すること(S315において貸出枚数受領結果に「異常」をセットする処理)を特徴とする遊技機。
特徴D1によれば、既に遊技を継続するのに十分な持ち遊技価値がある場合、それ以上の貸出しを拒絶する遊技機を提供することができる。持ち遊技価値数は、持ち遊技価値カウンタに電磁的に記憶されているので、枚数が多くても、実メダルと異なり、容積のような物理的な制約を受けるわけではない。しかし、数千枚のような多量の遊技価値は、遊技においては必要ないだけでなく、遊技終了時、一度に計数しようとすれば、計数に長い時間が必要となり、不便である。また、事故や電気的な誤動作による消失のリスクを考慮すれば、必要な枚数だけ遊技機中に保持し、残りは磁気カードに移しておいた方が安心である。このように、好適な遊技価値の管理を行うことのできる遊技機を提供することが可能となる。
<特徴E群>
特徴E1.遊技の進行を制御する主制御基板(主制御基板131)と、
遊技価値の数を制御する遊技価値数制御基板(持ち遊技価値数表示制御基板132)と、
を備え、
前記遊技価値数制御基板は、
遊技価値の数を記憶する遊技価値数記憶手段(持ち遊技価値カウンタ143c)と、
遊技価値貸出装置(カードユニット230)と通信する遊技価値貸出装置通信手段(遊技球等貸出装置接続端子板250)と、
前記主制御基板と通信する主制御基板通信手段と、
を備え、
前記遊技価値貸出装置から送信される遊技価値の数(図22に記載の(3)貸出通知)を、前記遊技価値貸出装置通信手段で受信し、前記遊技価値数記憶手段に加算すること(図31に記載のS7083において持ち遊技価値カウンタ143cに加算する処理)によって遊技価値の貸出しとし、
前記遊技価値数記憶手段から減算すること(図22に記載の(6)遊技機情報通知の遊技情報(持ち遊技価値数更新用:投入枚数)を、図32に記載のS7097において持ち遊技価値カウンタ143cから減算する処理)によって遊技価値を遊技の用に供することとし、
前記遊技価値数記憶手段に加算すること(図22に記載の(6)遊技機情報通知の遊技情報(持ち遊技価値数更新用:払出枚数)を、図32に記載のS7097において持ち遊技価値カウンタ143cへ加算する処理)によって遊技の結果である遊技価値の獲得とし、
前記遊技価値数記憶手段に記憶する遊技価値の数を、前記遊技価値貸出装置通信手段により、遊技価値貸出装置へ送信すること(図30に記載の計数処理S7047)によって遊技価値の計数とする遊技機であって、
前記遊技価値数制御基板と、前記遊技価値貸出装置との通信は、前記遊技価値数制御基板がマスターとしてタイミングを制御し、一定の時間間隔で一連の通信を繰り返す定期通信であり(図22に記載の、持ち遊技価値数表示制御基板132と、カードユニット230との間における通信)、
前記遊技価値数制御基板と、前記主制御基板との通信も、前記遊技価値数制御基板がマスターとしてタイミングを制御し、前記遊技価値貸出装置との通信と同じ時間間隔で一連の通信を繰り返す定期通信である(図22に記載の、主制御基板131と、持ち遊技価値数表示制御基板132との間における通信。図32に記載の、持ち遊技価値数表示制御基板での処理における主制御基板通信処理S7029で、通信タイミングを決定するS7091において、ユニット通信処理(S7026)で更新され、通信タイミングを決定するために使われているタイマと同じ遊技機情報通知タイマを参照している。)ことを特徴とする遊技機。
特徴E1によれば、遊技価値数制御基板(持ち遊技価値数表示制御基板132)の処理において、主制御基板通信処理(S7029)と、ユニット通信処理(S7026)とで処理タイミングが重複させないようにすることができ、特定のタイミングの割込み処理時間が延びることによる定期割込み処理の破綻を回避することができる。このように、好適な遊技価値の管理を行うことのできる遊技機を提供することが可能となる。
特徴E2.計数スイッチ(計数スイッチ80)と、
前記計数スイッチの操作信号が入力される入力ポート(入力ポート145)と、
を備え、
遊技価値数制御基板(持ち遊技価値数表示制御基板132)が、前記入力ポートに入力された操作信号に基づいて、前記計数スイッチが押下されたことを検出した場合に、前記遊技価値数記憶手段(持ち遊技価値カウンタ143c)に記憶している遊技価値の数を、前記遊技価値貸出装置へ送信する計数モードへ状態を切り替えることを特徴とする特徴E1に記載の遊技機。
特徴E2によれば、計数スイッチが操作された場合の計数モードに係る処理を、遊技価値数制御基板が処理することになり、その分遊技の進行を制御する主制御基板のROMやRAMなどにできる余裕を、遊技の制御に使うことができるので、興趣に富む遊技機を提供することができる。
特徴E3.遊技価値投入スイッチ(遊技価値投入スイッチ77~79)と、
前記遊技価値投入スイッチの操作信号が入力される入力ポート(入力ポート155)と、
を備え、
主制御基板(主制御基板131)が、遊技価値数制御基板(持ち遊技価値数表示制御基板132)から送信されてきた遊技価値の数(図22に記載の(5)持ち遊技価値数通知)を記憶しておき、前記入力ポートに入力された操作信号に基づいて、前記遊技価値投入スイッチが押下されたことを検出した場合に、記憶しておいた前記遊技価値の数に基づいて、遊技価値の投入の可否を判断すること(図11に記載の遊技価値投入スイッチ処理S209において、S256で持ち遊技価値カウンタの値が投入枚数よりも大きいか否かを判断すること)を特徴とする特徴E1からE2に記載の遊技機。
特徴E3によれば、遊技者が操作した遊技価値投入スイッチに対応した枚数の遊技価値を投入できるか否かを判定するのに、遊技価値記憶手段を備える遊技価値数制御基板に対して、投入しようとする遊技価値を送信し、投入の可否を判断させようとすると、往復の通信時間によるタイムラグで、遊技価値投入スイッチを操作してからその操作が受け付けられるまで時間がかかり、操作性が悪くなるところ、あらかじめ受信しておいた遊技価値を遊技価値の投入可否判断に使うので、遊技価値投入スイッチを操作した後、通信を待つ必要がなくなり、操作に対する反応がよくなり、操作し易い遊技機を提供することができる。
<特徴F群>
特徴F1.遊技価値の数を記憶する遊技価値数記憶手段(持ち遊技価値カウンタ153c)と、
遊技価値貸出装置(カードユニット230)と通信する遊技価値貸出装置通信手段(遊技球等貸出装置接続端子板250)と、
計数スイッチ(計数スイッチ80)と、
前記計数スイッチの操作信号が入力される入力ポート(入力ポート158、又は、入力ポート148)と、
を備え、
前記遊技機価値貸出装置から送信される遊技価値の数(図6に記載の(3)貸出通知)を、前記通信手段で受信し、前記遊技価値数記憶手段に加算すること(図15に記載のS313において持ち遊技価値カウンタ153cに加算する処理)によって遊技価値の貸出しとし、
前記遊技価値数記憶手段から減算すること(図11に記載のS260において持ち遊技価値カウンタ153cから減算する処理)によって遊技価値を遊技の用に供することとし、
前記遊技価値数記憶手段に加算すること(図17に記載のS507において、払出対象カウンタにセットされた遊技価値数を、獲得枚数表示部37に表示したり、持ち遊技価値カウンタ153cに加算したりする遊技価値払出し処理)によって遊技の結果である遊技価値の獲得とし、
前記遊技価値数記憶手段に記憶する遊技価値の数を、前記通信手段により、遊技価値貸出装置へ送信すること(図14に記載の計数処理S277)によって遊技価値の計数とする遊技機であって、
前記遊技価値貸出装置通信手段からは、前記遊技価値貸出装置の接続状態を示す接続確認信号(図40に記載のVL接続確認)が出力されており、
前記接続確認信号が、前記入力ポートのイネーブル端子に接続されていて、前記接続信号に応じて前記入力ポートの入力信号を遮断することができることを特徴とする遊技機。
特徴F1によれば、VL接続確認信号をプログラムで読み取ることなく、制御処理を実行することができるので、処理能力に余裕ができる。その余裕を遊技の進行を制御する処理に振り向けることで、より興趣を添えた面白い遊技機を提供することができる。
特徴F2.計数スイッチ(計数スイッチ80)、遊技価値投入スイッチ(遊技価値投入スイッチ77~79)、精算スイッチ、(精算スイッチ76)、スタートレバー(スタートレバー71)、ストップスイッチ(ストップスイッチ72~74)のいずれか1以上の入力信号が、入力ポートの入力信号として接続されていることを特徴とする、特徴F1に記載の遊技機。
特徴F2によれば、遊技機価値貸出装置(カードユニット230)が正常に接続されていない場合において、スタートレバー、ストップスイッチ、遊技価値投入スイッチ、精算スイッチに係る操作を受付けないようにすることで、不用意に遊技状態や持ち遊技価値数が変化しないようにすることができる。また、ゲームの途中で操作ができなくなることは不自然な印象を与えるので、遊技価値投入スイッチの操作を抑制し、スタートレバー、やストップスイッチの操作を認めるようにすれば、全リールが停止したゲームの区切りで新たな遊技価値投入ができなくなり、遊技の進行が停止させることができる。更に、計数操作、及び、遊技価値の貸出しを受けることができないとしても、持ち遊技価値数があれば、遊技をすることは可能なので、そのような場合は、計数スイッチのみ操作を抑制するようにすればよい。このように、好適な遊技価値の管理を行うことのできる遊技機を提供することが可能となる。
特徴F3.遊技の進行を制御する主制御基板(主制御基板131)と、
遊技価値を制御する遊技価値数制御基板(持ち遊技価値数表示制御基板132)と、
を備え、
前記遊技価値数制御基板は、遊技価値貸出装置通信手段(遊技球等貸出装置接続端子板250)と接続されており、
前記遊技価値貸出装置通信手段から前記遊技価値数制御基板に入力された接続確認信号(図40に記載のVL接続確認)は前記遊技価値数制御基板から前記主制御基板に出力されており、
前記遊技価値制御基板に実装された入力ポート(入力ポート148)と、
前記主制御基板に実装された入力ポート(入力ポート158)とのうち、
少なくとも1の入力ポートのイネーブル端子に前記接続確認信号が接続されていることを特徴とする、特徴F1からF2に記載の遊技機。
特徴F3によれば、操作入力に関する処理が、2つの制御基板に分散していたとしても、カードユニット230が正常に接続されていない場合は、VL接続確認信号によって、いずれの操作も制限することができるのである。
<特徴G群>
特徴G1.遊技価値を記憶する遊技価値記憶手段(持ち遊技価値カウンタ153c)と、
遊技価値貸出装置(カードユニット230)と通信する通信手段(遊技球等貸出装置接続端子板250)と、
を備え、
前記遊技価値貸出装置から送信される遊技価値(図6に記載の(3)貸出通知)を、前記通信手段で受信し、前記遊技価値記憶手段に加算すること(図15に記載のS313において持ち遊技価値カウンタ153cに加算する処理)によって遊技価値の貸出しとし、
前記遊技価値記憶手段から減算すること(図11に記載のS260において持ち遊技価値カウンタ153cから減算する処理)によって遊技価値を遊技の用に供することとし、
前記遊技価値記憶手段に加算すること(図17に記載のS507において、払出対象カウンタにセットされた遊技価値数を、獲得枚数表示部37に表示したり、持ち遊技価値カウンタ153cに加算したりする遊技価値払出し処理)によって遊技の結果である遊技価値の獲得とし、
前記遊技価値記憶手段に記憶する遊技価値を、前記通信手段により、遊技価値貸出装置へ送信すること(図14に記載の計数処理S277)によって遊技価値の計数とする遊技機であって、
前記遊技価値貸出装置はネットワークに接続されており、遊技者のID番号(磁気カードの会員ID)に基づいてネットワークの上位サーバから送信された当該遊技者の所定期間における、遊技金額、損失金額、遊技時間、遊技回数のうち1以上のデータを組合せて所定の方法で算出した値が、所定の値を超えない場合に限り、遊技価値の貸出操作を受け付ける(図6に記載の(3)貸出通知を送信する、または、遊技球等貸出装置接続端子板250の電源(VL)をONにする)遊技価値貸出装置であることを特徴とする遊技機。
特徴G1によれば、いわゆるのめり込みと呼ばれる状態の遊技者が遊技をするのを抑制することができ、適度に楽しむことのできる遊技機を提供することができる。また、前記所定条件が成立する遊技者であっても、完全に遊技を禁止するのではなく、一日のうち遊技時間、遊技金額、遊技回数などが所定範囲内であれば遊技を認めるなどの柔軟な対応でもよい。
特徴G2.遊技者のID番号に基づいて、当該遊技者への遊技価値の貸出しを認めるか否かの判断を、ネットワークに接続された上位サーバが行うことを特徴とする、特徴G1に記載の遊技機。
特徴G2によれば、遊技価値を貸出すか否かの判断、すなわち、当該遊技者に遊技をさせるか否かの判断を上位サーバが行うことになるので、判断条件を変更する場合、上位サーバの記憶内容を変更するだけですみ、社会情勢などによって変化し易いのめり込みの判断条件に柔軟に対応することができる。
特徴G3.遊技者のID番号に基づいて、当該遊技者への遊技価値の貸出しを認めるか否かの判断基準を、ネットワークに接続された上位サーバに当該遊技者が登録できることを特徴とする、特徴G1からG2に記載の遊技機。
特徴G3によれば、遊技価値を貸出すか否かの判断、すなわち、当該遊技者に遊技をさせるか否かの判断条件に、当該遊技者自身の意見を加味することができるので、のめり込み状態の解消を効果的に推進することができる。