JP7440435B2 - 流体採取用架台 - Google Patents
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Description
そのような設備の中で、地熱発電は、地下深部に存在する高温の流体である地熱流体を取り出し、地熱流体の蒸気や熱水によりタービンを回転させることにより発電する。
地熱流体を地上に取り出すための方法として、地熱井戸(生産井)の地下深部にある地熱流体を揚湯ポンプで吸い込み、揚湯管を通じて地上の設備に送る方法がある。揚湯管は、所定長さの短配管を例えば百本程度繋げて全長の長い配管として構成されている。地下深部に配管する際には、200t級の大型クレーンで全体を吊り下げながら短配管を1本ずつ繋げて地下深部に降ろしている。また、地熱発電プラント稼働後のメンテナンス時または揚湯管引き抜き時には、大型クレーンで揚湯管全体を引き上げつつ短配管を1本ずつ取り外している。短配管同士はネジの螺合により連結されている。
一方、地熱発電プラントは、山岳地帯に存在していることが多い。このため、大型クレーンの搬入が煩雑であり、大型クレーンを用いない施工やメンテナンスの方法が望まれていた。特に、冬期の降雪時期には、地熱発電プラントまで山道を通って大型クレーンを通行させることが難しく、故障、トラブル等により発電が停止した場合でも迅速に対応できなかった。
大型クレーンを用いずに揚湯管を引き上げる方法の一つとして、例えば、掘削リグ装置を利用することが考えられるが、堀削リグ装置は、ウィンチによるワイヤー式となるため、揚重重量を確保するために必然的にワイヤーの掛け数が多くなり装置が大掛かりとなるという問題が生じる。また、ワイヤーの掛け数が多くなると、ウィンチに対するワイヤー角度(フリートアングル)の関係で装置の高さが大きくなるという問題も生じる。
本発明は、前記した課題を解決し、配管の施工やメンテナンスを容易に行うことができる流体採取用架台を提供することを課題とする。
本発明では、上側チャック及び下側チャックを作動させることにより、短配管の連結または取り外しを行うことができる。例えば、下側チャックと上側チャックとで交互に短配管を挟持しつつ、上側チャックの昇降を組み合わせて、短配管を順に連結したり短配管を順に取り外したりできる。したがって、大型クレーンを用いることなく揚湯管等の配管の施工やメンテナンスを容易に行うことができる。
また、上側チャック部材と下側チャック部材との挟持位置の干渉を好適に回避しつつ、短配管の連結または取り外しを好適に行うことができる。
架台本体100は、図1,図2に示すように、生産井Hの地上開口部H1に設けられた基礎F上に、鋼製のフレーム部材を櫓状に枠組みした構造を備えている。架台本体100は、ベースフレーム1,1と、ベースフレーム1,1の前部から立ち上がる左右一対の前柱2,2と、ベースフレーム1,1の後部から立ち上がる左右一対の後柱3,3(図2参照)と、上下3つの作業フロア10,20,30と、昇降階段40とを備えている。また、架台本体100の内部には、上側チャック50と、下側チャック60と、作業クレーン70とが備わる。架台本体100の上部にはストランド預け台5が備わる。
上部の作業フロア10は、架台本体100の上部に設けられている。上部の作業フロア10は、前柱2,2間及び後柱3,3間に架設された上部前後フレーム11,11と、前後の柱2,3間に架設された上部左右フレーム12,12と、上部前後フレーム11,11間に架設された上部中央フレーム13,13と、メッシュ状の金属板からなるフロア部材14とを備えている。
上部の作業フロア10上には安全柵8が設けられている。また、上部の作業フロア10上には、ストランド預け台5が立設されている。
ストランド預け台5は、上側チャック50の不使用時にセンターホールジャッキ15のストランド18を預け置くための台であり、ストランド18を預け置くことができる高さを備えている。ストランド預け台5の上部には、側面視で半円弧状の載置部5a,5aが設けられている。
フロア部材24の中央部には、上側チャック50の昇降を可能にする略四角形状の挿通孔25が開口形成されている。資材スペース26は、フロア部材24の前部、左部及び後部に連続するスペースであり、その後部右側部分が昇降階段40の同じ高さ位置に設けられた踊り場に繋がっている。
作業フロア20は、主として、上側チャック50で短配管S1を挟持する挟持作業、及び上側チャック50による短配管S1の挟持を解放する解放作業を行う際の作業足場として使用される。
フロア部材33の中央部には、下側チャック60の左右スライドを可能にする略四角形状の挿通孔35が開口形成されている。挿通孔35には、下側チャック60の支持部材64及び下側チャック部材65の一部が挿通されている。金属板33aは、左右フレーム32,32に沿う図示しない支持部材に対して着脱可能である。これにより、必要に応じて金属板33aの撤去が可能である。
下部資材スペース36は、フロア部材33の前部、左部及び後部に連続するスペースであり、その後部右側部分が昇降階段40の同じ高さ位置に設けられた踊り場に繋がっている。
作業フロア30は、主として、短配管S1の連結作業あるいは短配管S1の連結解除作業を行う際の作業足場として使用される。
外配管81と内配管82との間のスペースSP1は、地熱採取地点の揚湯ポンプ(不図示)から送られてくる熱水の採取路となる。外配管81の上端外周部には、カラー部材84が螺合されている。カラー部材84の下端面84aは、上側チャック50、下側チャック60で短配管S1を挟持した際(図5(a)、図6参照)に、上側チャック部材53の上端部または下側チャック部材65の上端部に引っ掛かり、落下防止部として機能する。外配管81の上端部及び下端部には、カラー部材84を介して他の短配管S1の外配管81が連結可能である。
シャフト部材83は、地上(架台本体100内)に設置される電動モータ120(図12参照)の回転駆動力を地下深部の地熱採取地点に配置された揚湯ポンプ(不図示)に伝達するための部材である。シャフト部材83の上端部及び下端部には、ねじが形成されており、シャフト用カラー部材86を介して他のシャフト部材83が連結可能である。
以上のような短配管S1の外配管81、内配管82及びシャフト部材83は、図示しないワイヤー等の連結具を利用した落下防止部材により相互に連結されている。これにより、短配管S1を連結する際に短配管S1を縦向きの姿勢で吊り下げても、外配管81から内配管82及びシャフト部材83が落下しないようになっている。
下側チャック60は、左右一対の下側チャックフレーム63,63と、各下側チャックフレーム63,63の前後方向の中央部に立設された支持部材64,64と、相互に対向するように各支持部材64,64に設けられた下側チャック部材65,65(図6参照)とを備えている。下側チャックフレーム63は、前後方向に延在する2つの鋼材63a,63aを複数の連結鋼材63bで連結してなる。各下側チャックフレーム63,63は、レールフレーム67,67上を左右方向に移動可能に設けられている。なお、下側チャックフレーム63,63には、チャックを開閉するための図示しない下側チャック開閉機構が設けられている。
また、上側チャック50に連結されるストランド18を小型クレーンのフックU1で持ち上げ、上側チャック50を昇降可能状態に待機しておく。
そして、作業クレーン70に油圧パワートング130を吊り下げ、既設の短配管S1のシャフト部材83を油圧パワートング130で挟持して本締めする。
その後、上側チャック開閉機構を操作して上側チャック50を閉じ、繋げた短配管S1を上側チャック50で挟持する。そして、上側チャック50のフランジ部54,54にピン部材55を差し込んで(図3(a)参照)、上側チャック50を閉じた状態にロックする。
その後、上側チャック50を開いて上側チャック50による挟持状態を解除する。これにより、短配管S1が上側チャック50から下側チャック60に預け渡される。そして、図11(b)に示すように、センターホールジャッキ15,15を作動させて、上側チャック50を上位置に移動させる。なお、上側チャック50の上昇に合わせてクレーンのフックU2を適宜上昇させてストランド18,18の弛みを取り除く。なお、センターホールジャッキ15,15を弛め、クレーンのフックU2により上側チャック部材53,53を上方へ移動することも可能である。
なお、メンテナンス時等に配管Sを引き上げて短配管S1を1本ずつ取り外す場合には、短配管S1を繋ぐときの手順と逆の手順で上側チャック50、下側チャック60等を作動させることにより行うことができる。
また、上側チャック50のチャック部材と下側チャック60のチャック部材とは、短配管S1の軸方向から見たときに周方向に異なる位置に配置されているので、上側チャック部材53,53と下側チャック部材65,65との挟持位置の干渉を好適に回避しつつ、短配管S1の連結または取り外しを容易に行うことができる。
例えば、前記実施形態では、2つの小型クレーンを用いて短配管S1の吊り下げやストランド18,18の吊り下げを行ったが、これに限られることはなく、一つのクレーンを使い回して行ってもよい。
また、上側チャック50は、センターホールジャッキ15,15により昇降する構成を示したが、これに限られることはなく、他のジャッキ装置等で代用してもよい。
また、上側チャック50の上側チャック部材53,53と下側チャック60の下側チャック部材65,65とは、短配管S1の軸方向から見て周方向に90度異ならせて配置したが、これに限られることはなく、上側チャック部材53,53と下側チャック部材65,65とが干渉しなければ、周方向に適宜の角度異ならせて配置してもよい。
また、上側チャック50及び下側チャック60の形状等は、前記実施形態のものに限られることはなく、種々の形状のものを採用することができる。
また、前記実施形態では、地熱発電に利用する地熱流体を採取するための流体採取用架台について説明したが、これに限られることはなく、温泉に利用する流体を採取したり、油田から石油を含む鉱物油を採油したりする架台としても用いることができる。
53 上側チャック部材
60 下側チャック
65 下側チャック部材
100 架台本体
H 生産井(流体採取用穴)
H1 地上開口部
S 揚湯管(配管)
S1 短配管
Claims (2)
- 流体採取用穴に配置される複数本の短配管の連結または取り外しを行うための流体採取用架台であって、
前記流体採取用穴の地上開口部を跨ぐように構築された架台本体と、
前記架台本体の内部において昇降可能であるとともに、前記短配管を挟持可能な上側チャック部材を有する上側チャックと、
前記架台本体の内部において前記上側チャックの下方に設けられ、前記短配管を挟持可能な下側チャック部材を有する下側チャックと、を備え、
前記上側チャック部材と前記下側チャック部材とは、前記短配管の軸方向から見たときに周方向に異なる位置に配置されており、かつそれぞれのチャック方向が短配管の軸方向に直交する方向であり、前記上側チャック部材で挟持した短配管を前記下側チャック部材に預け渡す際、及び前記下側チャック部材で挟持した短配管を前記上側チャック部材に預け渡す際の預け渡し位置において、一方が他方の挟持位置の周方向の側方に入り込んで短配管を挟持可能であることを特徴とする流体採取用架台。 - 前記短配管を連結する場合に、
前記上側チャックは、上位置に移動されて前記短配管を挟持した後、下位置に移動され、
前記下側チャックは、前記上側チャックの下位置への移動に伴って下降した前記短配管を挟持し、
前記短配管を取り外す場合に、
前記上側チャックは、下位置に移動されて前記短配管を挟持した後、上位置に移動され、
前記下側チャックは、前記上側チャックの上位置への移動に伴って上昇した前記短配管を挟持することを特徴とする請求項1に記載の流体採取用架台。
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