JP7440093B2 - 末期腎不全発症予測方法 - Google Patents

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Description

本発明は、糖尿病患者の末期腎不全発症を予測する方法に関する。
近年、世界的な糖尿病患者数の増加とともに、糖尿病による合併症の増加と重症化が問題となっている。特に、糖尿病性腎症については、それが重症化し腎不全に陥ることで、人工透析を要する状態となり、患者のquality of life(QOL)を著しく低下させるのみならず、医療経済的にも社会に大きな負担となっている。また、糖尿病性腎症は、血液透析の第一位の原因疾患であり、早期において末期腎不全への進展リスクを簡易でかつ精度高く予測できる方法の開発が望まれている。
糖尿病性腎症の重症度は、尿蛋白(尿アルブミン)と糸球体濾過量(glomerular filtration ratio;GFR)の程度によって分類されているが(非特許文献1及び2)、より精度の高い予後や末期腎不全への進展のリスクを予測する方法の開発が期待されている。
また、日常診療におけるGFRは、推算式で算出した推定GFR(eGFR)が用いられており、早期におけるeGFRの年間低下量が一定以上大きい例(GFR early decliner)では、将来の末期腎不全の進展のリスクが高いとの報告があるが(非特許文献3)、評価には、数年間の経過観察を要する。
また、新規の予測因子としていくつかの血清中または尿中の因子(血清中TNF受容体1および2濃度、尿中Kidney injury molecule-1排泄量)が報告されているが(非特許文献4及び5)、日常診療で簡易に測定される因子ではなく、予測精度も明らかにされていない。
一方、最近、ビッグデータ活用と機械学習の普及により、日常診療で利用されている臨床データの組み合わせを用いた疾患発症の予測モデルの開発が試みられており、糖尿病患者における末期腎不全予測モデルも報告されているが(非特許文献6~9)、いずれも多因子(7因子、10因子、11因子、18因子)を用いたモデルである。1論文のみ4因子モデルの報告があるが(文献10)、糖尿病患者では必須の因子と考えられる血糖コントロール指標(血糖値またはヘモグロビンA1c値)が用いられておらず、本発明の予測データセットとはいくつかの違いがある。日常診療で用いられる少数の因子で、かつより精度の高い予測が可能なミニマムモデルの開発が期待されている。
糖尿病性腎症合同委員会:糖尿性腎症病期分類2014の策定(糖尿病性腎症病期分類改訂)について. 糖尿病57: 529-534, 2014 日本腎臓学会(編):CKD診療ガイド2012, 東京医学社, 東京, 2012 Coresh J, Turin TC, Matsushita K, et al. Decline in estimated glomerular filtration rate and subsequent risk of end-stage renal disease and mortality. JAMA 311(24): 2518-2531, 2014 Niewczas MA, Gohda T, Skupien J, et al. Circulating TNF receptors 1 and 2 predict ESRD in type 2 diabetes. J Am Soc Nephrol 23(3):507-515, 2012 Sabbisetti VS, Waikar SS, Antoine DJ, et al. Blood kidney injury moleclule-1 is a biomarker of acute and chronic kidney injury and predicts progression to ESRD in type I diabetes. J Am Soc Nephrol 25: 2177-2186, 2014. Jardine MJ, Hata J, Woodward M, et al. Prediction of kidney-related outcomes in patients with type 2 diabetes. Am J Kidney Dis 2012; 60: 770-8. Elley CR, Robinson T, Moyes SA, et al. Derivation and validation of a renal risk score for people with type 2 diabetes. Diabetes Care 36:3113-3120, 2013 Lin CC, Li CI, Liu CS, et al. Development and validation of a risk prediction model for end-stage renal disease in patients with type 2 diabetes. Sci Rep 7:10177, 2017 Nagaraj SB, Pena MJ, Ju W, et al. Machine learning based early prediction of end-stage renal disease in patients with diabetic kidney disease using clinical trials data. Diabetes Obes Metab. Ahead of print. doi: 10.1111/dom.14178, 2020. Keane WF, Zhang Z, Lyle PA, et al. Risk scores for predicting outcomes in patients with type 2 diabetes and nephropathy: The RENNAL Study. Clin J Am Soc Nephrol 2006; 1: 761-7.
本発明の課題は、日常診療で測定する検査値を用いて、簡易かつ高精度に、糖尿病患者の末期腎不全の発症を予測する方法を提供することにある。
本発明者らは、日常診療の検査で利用されている少数の因子(検査値)を用いて、より高い精度で末期腎不全の発症を予測する方法を検討した結果、推算糸球体濾過量、尿蛋白の陽陰判定、及びヘモグロビンA1c値をリスク因子として用いることにより、これを解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
また、これらの3因子に加えて、血清アルブミン値を用いることにより、より高い精度で予測することができ、血清ビリルビン値を用いることにより、さらに高い精度で予測することができ、血清アルブミン値及び血清ビリルビン値の両因子を用いることにより、特に高い精度で予測できることを見いだした。
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
[1]推算糸球体濾過量、尿蛋白の陽陰判定、及びヘモグロビンA1c値をリスク因子として用いて、糖尿病患者の末期腎不全の発症を予測することを特徴とする末期腎不全発症予測方法。
[2]さらに、血清アルブミン値をリスク因子として用いることを特徴とする[1]記載の末期腎不全発症予測方法。
[3]さらに、血清ビリルビン値をリスク因子として用いることを特徴とする[1]記載の末期腎不全発症予測方法。
[4]さらに、血清アルブミン値及び血清ビリルビン値をリスク因子として用いることを特徴とする[1]記載の末期腎不全発症予測方法。
[5]リスク因子として、3因子を用いることを特徴とする[1]記載の末期腎不全発症予測方法。
[6]リスク因子として、4因子を用いることを特徴とする[2]又は[3]記載の末期腎不全発症予測方法。
[7]リスク因子として、5因子を用いることを特徴とする[4]記載の末期腎不全発症予測方法。
[8]Cox比例ハザードモデルを用いて統計分析し、糖尿病患者の末期腎不全の発症を予測することを特徴とする[1]~[7]のいずれか記載の末期腎不全発症予測方法。
[9]所定期間内に末期腎不全を発症する確率として予測することを特徴とする[8]記載の末期腎不全発症予測方法。
[10]時間t経過までの間に末期腎不全を発症する確率p (t)が、以下の式1により算出されることを特徴とする[9]記載の末期腎不全発症予測方法。
p (t) =1 - exp (-H0 (t)) exp (prediction score) …(式1)
(式中、H0(t)は、累積ベースラインハザード関数であり、prediction scoreは、 A x eGFR + B x HbA1c + D x serum albumin + E x serum bilirubin + C x 1 if proteinuria positive(A~Eは係数であり、eGFRは推算糸球体濾過量を表し、HbA1cはヘモグロビンA1c値を表し、if proteinuria positiveは尿蛋白の陽性判定の場合を表し、serum albuminは血清アルブミン値を表し、serum bilirubinは血清ビリルビン値を表し、血清アルブミン値及び/又は血清ビリルビン値を用いない場合は、当該部分の式を省略する。)である。)
[11]リスク因子として、推算糸球体濾過量、尿蛋白の陽陰判定、及びヘモグロビンA1c値の3因子を用いる方法であって、時間t経過までの間に末期腎不全を発症する確率p (t)が、以下の式により算出されることを特徴とする[10]記載の末期腎不全発症予測方法。
p (t) = 1 - exp (-H0 (t)) exp (A x eGFR + B x HbA1c + C x 1 if proteinuria positive)
(式中、係数Aは、-0.059±0.008であり、係数Bは、0.415±0.079であり、係数Cは、1.822±0.418である。)
[12]時間tが365日(1年)のとき、H0 (t) = 0.003~0.023であり、時間tが730日(2年)のとき、H0 (t) = 0.005~0.044であり、時間tが1095日(3年)のとき、H0 (t) = 0.008~0.068であり、時間tが1460日(4年)のとき、H0 (t) = 0.012~0.096であり、時間tが1825日(5年)のとき、H0 (t) = 0.015~0.120であることを特徴とする[11]記載の末期腎不全発症予測方法。
[13]リスク因子として、推算糸球体濾過量、尿蛋白の陽陰判定、ヘモグロビンA1c値、及び血清アルブミン値の4因子を用いる方法であって、時間t経過までの間に末期腎不全を発症する確率p (t)が、以下の式により算出されることを特徴とする[10]記載の末期腎不全発症予測方法。
p (t) = 1 - exp (-H0 (t)) exp (A x eGFR + B x HbA1c + D x serum albumin + C x 1 if proteinuria positive)
(ただし、係数Aは、-0.054±0.008であり、係数Bは、0.387±0.079であり、係数Cは、1.310±0.448であり、係数Dは、-1.113±0.272である。)
[14]時間tが365日(1年)のとき、H0 (t) = 0.102~2.065であり、時間tが730日(2年)のとき、H0 (t) = 0.251~5.052であり、時間tが1095日(3年)のとき、H0 (t) = 0.394~7.485であり、時間tが1460日(4年)のとき、H0 (t) = 0.582~12.166であり、時間tが1825日(5年)のとき、H0 (t) = 0.785~15.525であることを特徴とする[13]記載の末期腎不全発症予測方法。
[15]リスク因子として、推算糸球体濾過量、尿蛋白の陽陰判定、ヘモグロビンA1c値、及び血清ビリルビン値の4因子を用いる方法であって、時間t経過までの間に末期腎不全を発症する確率p (t)が、以下の式により算出されることを特徴とする[10]記載の末期腎不全発症予測方法。
p (t) = 1 - exp (-H0 (t)) exp (A x eGFR + B x HbA1c + E x serum bilirubin + C x 1 if proteinuria positive)
(ただし、係数Aは、-0.053±0.008であり、係数Bは、0.380±0.078であり、係数Cは、1.718±0.425であり、係数Eは、-2.250±0.853である。)
[16]時間tが365日(1年)のとき、H0 (t) = 0.009~0.102であり、時間tが730日(2年)のとき、H0 (t) = 0.021~0.214であり、時間tが1095日(3年)のとき、H0 (t) = 0.031~0.290であり、時間tが1460日(4年)のとき、H0 (t) = 0.046~0.462であり、時間tが1825日(5年)のとき、H0 (t) = 0.059~0.563であることを特徴とする[15]記載の末期腎不全発症予測方法。
[17]リスク因子として、推算糸球体濾過量、尿蛋白の陽陰判定、ヘモグロビンA1c値、血清アルブミン値及び血清ビリルビン値の5因子を用いる方法であって、時間t経過までの間に末期腎不全を発症する確率p (t)が、以下の式により算出されることを特徴とする[10]記載の末期腎不全発症予測方法。
p (t) = 1 - exp (-H0 (t)) exp (A x eGFR + B x HbA1c + D x serum albumin + E x serum bilirubin + C x 1 if proteinuria positive)
(ただし、係数Aは、-0.052±0.009であり、係数Bは、0.368±0.079であり、係数Cは、1.270±0.455であり、係数Dは、-0.972±0.285であり、係数Eは、-1.410±0.816である。)
[18]時間tが365日(1年)のとき、H0 (t) = 0.176~3.392であり、時間tが730日(2年)のとき、H0 (t) = 0.407~8.331であり、時間tが1095日(3年)のとき、H0 (t) = 0.672~12.322であり、時間tが1460日(4年)のとき、H0 (t) = 0.932~19.802であり、時間tが1825日(5年)のとき、H0 (t) = 1.276~26.156であることを特徴とする[17]記載の末期腎不全発症予測方法。
[19]時間tが、5年以内のいずれかの時間であることを特徴とする[10]~[18]のいずれか記載の末期腎不全発症予測方法。
[20][1]~[19]のいずれか記載の末期腎不全発症予測方法を用いることを特徴とするアプリケーション。
本発明の方法によれば、日常診療で測定する検査値を用いて、簡易かつ高精度に、糖尿病患者の末期腎不全の発症を予測することができる。
Cox比例ハザードモデル3及びモデル5における、3年後及び5年後の糖尿病患者の末期腎不全発症の予測確率と観測確率の一致度を示す図である。 糖尿病患者の末期腎不全の5年以内の発症確率を出力できるWebアプリケーションの画面を示す図である。
本発明の末期腎不全発症予測方法は、推算糸球体濾過量、尿蛋白の陽陰判定、及びヘモグロビンA1c値をリスク因子として用いて、糖尿病患者の末期腎不全の発症を予測することを特徴とする。
本発明の方法を用いることにより、日常診療で利用している簡易な検査値の組み合わせで、所定期間以内に末期腎不全に至る可能性を精度高く予測することができる。また、末期腎不全ハイリスク群を簡易に特定でき、健康保健関連事業者や行政によるリスクの程度に応じた保健指導による介入や、医師による診療におけるリスクの程度に応じた治療法の選択と介入を効率良く行うことが可能となる。また、患者自身に具体的な数値を提示することにより、患者自身の療養のモチベーションを高めることが可能となる。さらに、定期的な保健指導や医師による治療の効果判定にも利用可能であり、保健指導や治療の向上と、それによる腎症重症化の予防、最終的に人工透析数の抑制に繋がることが期待される。
本発明の末期腎不全発症予測方法においては、推算糸球体濾過量、尿蛋白の陽陰判定、及びヘモグロビンA1c値の3因子に加えて、血清アルブミン値及び血清ビリルビン値のうちの少なくとも1因子を用いることが好ましい。また、血清アルブミン値及び血清ビリルビン値の両因子を用いることが特に好ましい。これにより、予測精度をより向上させることができ、多因子を用いた場合と遜色のない予測精度とすることができる。この血清アルブミン値及び血清ビリルビン値も、日常診療で利用している簡易な検査値であり、特別な検査を行うことなく、末期腎不全に至る可能性を簡便に予測することができる。
なお、本発明の方法においては、他のリスク因子を用いることを妨げるものではないが、上記3~5因子で十分に実用的な予想を行うことができる。
本発明における末期腎不全とは、腎臓の機能が徐々に低下することにより慢性腎不全となり、さらに腎不全が進行し、腎臓の働きを代替する治療として、血液透析もしくは腹膜透析、又は腎移植が必要になる状態をいう。
ここで、末期腎不全を予測する方法としては、例えば、所定期間以内に末期腎不全を発症する可能性をランク付けで提示する方法や、所定期間以内に末期腎不全を発症する確率を提示する方法を例示することができる。
(推定糸球体濾過量)
推定糸球体濾過量(eGFR:estimated glemerular filtration rate)は、腎臓の濾過機能を表す値として利用されている。血液中の老廃物であるクレアチニンやイヌリンは、腎臓の糸球体で濾過され、そのほとんどが尿中に排出されるが、腎機能が低下している場合は、尿中に排出されず、血液中に蓄積される。eGFRは、血液中のクレアチニン値等に基づき、腎臓の濾過機能を推定するものである。このeGFRは、健康診断等の日常診療で行われる血液検査の結果から算出することができる。具体的には、血清クレアチニン値や、血清シスタチンC値を用いて算出することができる。
(尿蛋白の陽陰判定)
腎臓に異常が生じると、濾過機能が正常に働かず、血液中に含まれるアルブミン等の蛋白が再吸収されずに尿中に漏出するため、尿中の蛋白量が増加する。一般的に、尿中の蛋白質量が150mg/日以上である状態であると尿蛋白陽性と判定される。本発明の方法においては、この尿蛋白の判定が陽性か陰性かの判定結果を用いることができる。この結果は、健康診断等の日常診療で行われる尿検査で得ることができる。
(ヘモグロビンA1c値)
ヘモグロビンA1c値(HbA1c値)とは、赤血球中のヘモグロビンに対するブドウ糖が結合した糖化ヘモグロビンの割合を表す値である。このヘモグロビンA1c値は、健康診断等の日常診療で行われる血液検査により得ることができる。
(血清アルブミン値)
血清アルブミン値とは、血液中の総蛋白の約6割を占める蛋白質の一種であるアルブミンの血中量を示す値である。この血清アルブミン値は、健康診断等の日常診療で行われる血液検査により得ることができる。
(血清ビリルビン値)
血清ビリルビン値とは、寿命が尽きた赤血球をもとに作られる黄色の色素(胆汁色素)であるビリルビンの血中量を示す値であり、一般には肝機能障害や胆管障害等の評価に用いられている。この血清ビリルビン値は、健康診断等の日常診療で行われる血液検査により、総ビリルビン量として得ることができる。
本発明の方法における末期腎不全発症の予測は、ランダムフォレスト法等の機械学習や生存時間解析等の統計分析を用いることができる。機械学習は、多数の変数をその線形性や相互作用に関係なく扱えることより多くの因子を用いた予測分析に適している。本発明では、20のリスク因子を用いランダムフォレスト法による末期腎不全発症に対する予測解析を行い、各因子の予測に対する寄与度を算出するのに用い、寄与度の高い3~5因子を抽出した。一方、統計分析としてCox比例ハザードモデルは、少ない説明変数を用いての予測が実行でき、かつ汎用性が高く、各変数のイベント発症に対する影響を知るにも有効である。例えば、Cox比例ハザードモデルを用いて、所定期間内に少数の変数より末期腎不全を発症する確率を的確に予測することができる。以下の実施例で具体的に示す。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[eGFRの解析]
九州大学病院に2008年6月~2019年12月の間に1年以上外来通院した患者の中から、登録時20歳から69歳の糖尿病患者で、eGFRが追跡可能であった2549人を対象として解析を行った。
その結果、以下の解析結果が得られた。
末期腎不全(eGFR<15ml/min/1.73m、人工透析導入または移植)176人(6.2%)
観察期間 中央値4.7年(四分位範囲2.3年-8.8年)
末期腎不全までの期間 中央値2.5年(四分位範囲0.9年-4.8年)
[糖尿病患者における末期腎不全発症に対する各リスク因子の相対的寄与度の機械学習(ランダムフォレスト法)による予測解析]
末期腎不全を目的変数、20のリスク因子を説明変数として、機械学習(ランダムフォレスト法)を用いて、末期腎不全発症に対する予測解析を行った。なお、20のリスク因子は、一般的に末期腎不全の発症に関係すると考えられている指標、及び本願発明者が末期腎不全発症に関係すると考える指標を採用した。
表1に、各リスク因子を末期腎不全発症に対する寄与度の高い順位に列挙する。
表1に示すように、eGFR、尿蛋白の陽性判定、HbA1c(ヘモグロビンA1c)値、血清アルブミン値及び血清ビリルビン値の5因子が、順に末期腎不全発症に対する寄与度が高いことが明らかとなった。
[糖尿病患者における末期腎不全発症に対する各リスク因子の相対的寄与度のCox比例ハザードモデルによる解析]
Cox比例ハザードモデルを用いて、同様な末期腎不全予測解析を行い、機械学習の結果との比較検討を行った。各リスク因子の寄与度を比較するために、各リスク因子を、その平均値からの差を標準偏差で割って標準化した後に、Cox比例ハザード解析を行った。
表2に、Cox比例ハザード解析の結果を示す。
表2に示すように、機械学習(ランダムフォレスト法)の結果と一致して、20のリスク因子の中で、eGFR、ヘモグロビンA1c、尿蛋白の陽性判定、血清アルブミン値及び血清ビリルビン値の5因子が順に寄与度も高く、統計学的にも有意な予測因子であることが確認された。
[糖尿病患者における各モデルを用いた末期腎不全発症の予測可能性の検討]
eGFR、ヘモグロビンA1c値、尿蛋白の陽性判定、血清アルブミン値及び血清ビリルビン値の5因子を組み合わせたデータセット(モデル1~5)を用いることで、精度の高い末期腎不全発症の予測が可能であるかについて、Cox比例ハザードモデルを用い確認した。
表3に、糖尿病患者における末期腎不全発症に対する各モデルのハザード比及びC統計量を示す。
表3のハザード比に示されるように、いずれのモデルにおいても、eGFR、尿蛋白の陽性判定、HbA1c(ヘモグロビンA1c)値、血清アルブミン値及び血清ビリルビン値は、有意な末期腎不全の予測因子であった。また、予測精度の指標であるC統計量は、本発明の3因子を少なくとも用いるモデル3、モデル4.1、モデル4.2及びモデル5で高い値が示された。特に、モデル5で極めて良好であり、全因子(20因子)とほぼ同等であった。
以上より、eGFR、尿蛋白の陽性判定、ヘモグロビンA1c値の上位3因子だけのデータセット(モデル3)で、精度の高い末期腎不全の予測が可能であることが明らかとなった。また、4因子のデータセット(モデル4.1、モデル4.2)では、より高い精度で末期腎不全の予測が可能であった。さらに、5因子のデータセット(モデル5)を用いることで、極めて精度高く、全因子(20因子)を用いた場合と同等程度に、末期腎不全を予測できることが明らかとなった。
また、図1に、表3に示すモデル3及びモデル5における、3年後及び5年後の糖尿病患者の末期腎不全発症の予測確率(predicted probability)及び観測確率(observed probability)の一致度を示す。なお、予測確率および観察確率は、予測確率の高い者から10分割して、各グループの予測確率の平均の確率および実際に発症した確率をプロットした。
図1において、(a)は、モデル3の3年後の末期腎不全の発症確率を表し、(b)は、モデル5の3年後の末期腎不全の発症確率を示す。また、(c)は、モデル3の5年後の末期腎不全の発症確率を示し、(d)は、モデル5の5年後の末期腎不全の発症確率を示す。
図1より、予測確率は、観察確率と良好に一致しており、予測値と観測値の一致度を表す指標であるΧ統計量(カイ二乗統計量)は、3年後の予測において、モデル3で13.2、モデル5で11.9と一致度は上昇し、5年後の予測でもモデル3で22.4、モデル5で7.7と一致度は上昇し、やはりいずれも良好であることを確認した。また、モデル5が、いずれも最も一致度が優れていた。
[今回開発した末期腎不全予測モデルの他の対象者に対する有効性の確認]
今回開発した末期腎不全予測モデルを用いて、九州大学病院以外の対象者で有効性を確認した。対象者は、登録時年齢30歳から88歳の糖尿患者7817人(関東ITソフトウエアー健康組合加入者で2015年4月から2020年8月まで健康診断を受けた糖尿病患者と、2014年1月から2021年2月まで医療法人森和会行橋中央病院に通院していた糖尿病患者)であり、その対象者の解析結果は以下の通りである。
末期腎不全発症は41人(0.5%)
観察期間 中央値4.8年(四分位範囲4.3年-5.1年)
末期腎不全までの期間 中央値3.3年(四分位範囲2.1年-4.0年)
今回開発した末期腎不全予測モデルを使った予測精度を示すC統計量を示す。
表4に示すように、本糖尿病患者集団は、九州大学病院の糖尿病患者集団と比較して末期腎不全発症の発症率が大きく異なった集団であったにもかかわらず、C統計量はすべてのモデルで極めて良好であり、予測精度は優れていた。なお、5因子モデルの予測精度が一番高かった。
以下、具体的に、Cox比例ハザードモデルを用いて統計分析して糖尿病患者の末期腎不全の発症を予測する方法を説明する。
現在から時間t経過までの間に末期腎不全を発症する確率p (t)は、以下の式1により算出することができる。
p (t) =1 - exp (-H0 (t)) exp (prediction score) …(式1)
式1中、H0(t)は、累積ベースラインハザード関数である。
このH0(t)は、Cox比例ハザードモデルより求められる(例えば、Keane WF, Honda T, Yoshida D, Hata J, et al. Development and validation of modified risk prediction models for cardiovascular disease and its subtypes: The Hisayama Study. Atherosclerosis 279;38-44, 2018 参照)。
時間tは5年以内のいずれかの時間(期間)が好ましい。例えば、各モデルにおける1年(365日)、2年(730日)、3年(1095日)、4年(1460日)又は5年(1825日)のH0(t)(95%信頼区間)は、以下の通りである。
prediction scoreは、用いる因子の組合せによってCox比例ハザードモデル分析により決定される。具体的に、prediction scoreは、下記式により表される。
A x eGFR + B x HbA1c + D x serum albumin + E x serum bilirubin + C x 1 if proteinuria positive
式中、A~Eは係数であり、「eGFR」は推算糸球体濾過量を表し、「HbA1c」はヘモグロビンA1c値を表し、「if proteinuria positive」は尿蛋白の陽性判定の場合を表し、「serum albumin」は血清アルブミン値を表し、「serum bilirubin」は血清ビリルビン値を表す。なお、尿蛋白の陰性判定の場合は、1を掛けずに0を掛ける。また、血清アルブミン値及び/又は血清ビリルビン値を用いない場合は、当該部分の式(「+ D x serum albumin」及び/又は「+ E x serum bilirubin」)を省略する。
(モデル3)
具体的に、例えば、リスク因子として3因子を用いるモデル3における、時間t経過までに末期腎不全を発症する確率p (t)は、以下の式により算出することができる。
p (t) = 1 - exp (-H0 (t)) exp (A x eGFR + B x HbA1c + C x 1 if proteinuria positive)
係数Aは、-0.059±0.008であり、係数Bは、0.415±0.079であり、係数Cは、1.822±0.418である。なお、この係数の範囲は、95%信頼区間である。
任意の時間tにおいてH0 (t) が求められるが、例えば、時間tが1095日(3年)のとき、H0 (t) = 0.023であり、時間tが1825日(5年)のとき、H0 (t) = 0.043である。
すなわち、例えば3年の場合、以下の式より発症確率を算出することができる。
p (1,095) in Model 3 =1 - exp (-H0 (1,095)) exp (prediction score) =1- exp (-0.023) exp (prediction score) =1- 0.977 exp ( -0.059 x eGFR + 0.415 x HbA1c + 1.822 x 1 if proteinuria positive)
また、5年の場合、以下の式より発症確率を算出することができる。
p (1,825) in Model 3 =1 - exp (-H0 (1,825)) exp (prediction score) =1- exp (-0.043) exp (prediction score) =1- 0.958 exp ( -0.059 x eGFR + 0.415 x HbA1c + 1.822 x 1 if proteinuria positive)
(モデル4.1)
また、例えば、リスク因子として血清アルブミン値を含む4因子を用いるモデル4.1における、時間t経過までに末期腎不全を発症する確率p (t)は、以下の式により算出することができる。
p (t) = 1 - exp (-H0 (t)) exp (A x eGFR + B x HbA1c + D x serum albumin + C x 1 if proteinuria positive)
係数Aは、-0.054±0.008であり、係数Bは、0.387±0.079であり、係数Cは、1.310±0.448であり、係数Dは、-1.113±0.272である。なお、この係数の範囲は、95%信頼区間である。
任意の時間tにおいてH0 (t) が求められるが、例えば、時間tが1095日(3年)のとき、H0 (t) =1.778であり、時間tが1825日(5年)のとき、H0 (t) = 3.598である。
すなわち、例えば3年の場合、以下の式より発症確率を算出することができる。
p (1,095) in Model 4.1 =1 - exp (-H0 (1,095)) exp (prediction score) =1- exp (-1.778) exp (prediction score) =1- 0.169 exp (-0.054 x eGFR + 0.387 x HbA1c - 1.113 x serum albumin + 1.310 x 1 if proteinuria positive)
また、5年の場合、以下の式より発症確率を算出することができる。
p (1,825) in Model 4.1 =1 - exp (-H0 (1,825)) exp (prediction score) =1- exp (-3.598) exp (prediction score) =1- 0.027 exp (-0.054 x eGFR + 0.387 x HbA1c - 1.113 x serum albumin + 1.310 x 1 if proteinuria positive)
(モデル4.2)
また、例えば、リスク因子として血清ビリルビン値を含む4因子を用いるモデル4.2における、時間t経過までに末期腎不全を発症する確率p (t)は、以下の式により算出することができる。
p (t) = 1 - exp (-H0 (t)) exp (A x eGFR + B x HbA1c + E x serum bilirubin + C x 1 if proteinuria positive)
係数Aは、-0.053±0.008であり、係数Bは、0.380±0.078であり、係数Cは、1.718±0.425であり、係数Eは、-2.250±0.853である。なお、この係数の範囲は、95%信頼区間である。
任意の時間tにおいてH0 (t) が求められるが、例えば、時間tが1095日(3年)のとき、H0 (t) =0.092であり、時間tが1825日(5年)のとき、H0 (t) =0.174である。
すなわち、例えば3年の場合、以下の式より発症確率を算出することができる。
p (1,095) in Model 4.2 =1 - exp (-H0 (1,095)) exp (prediction score) =1- exp (-0.092) exp (prediction score) =1- 0.912 exp (-0.053 x eGFR + 0.380 x HbA1c - 2.250 x serum bilirubin + 1.718 x 1 if proteinuria positive)
また、5年の場合、以下の式より発症確率を算出することができる。
p (1,825) in Model 4.2 =1 - exp (-H0 (1,825)) exp (prediction score) =1- exp (-0.174) exp (prediction score) =1- 0.840 exp (-0.053 x eGFR + 0.380 x HbA1c - 2.250 x serum bilirubin + 1.718 x 1 if proteinuria positive)
(モデル5)
また、例えば、リスク因子として5因子を用いるモデル5における、時間t経過までに末期腎不全を発症する確率p (t)は、以下の式により算出することができる。
p (t) = 1 - exp (-H0 (t)) exp (A x eGFR + B x HbA1c + D x serum albumin + E x serum bilirubin + C x 1 if proteinuria positive)
係数Aは、-0.052±0.009であり、係数Bは、0.368±0.079であり、係数Cは、1.270±0.455であり、係数Dは、-0.972±0.285であり、係数Eは、-1.410±0.816である。なお、この係数の範囲は、95%信頼区間である。
任意の時間tにおいてH0 (t) が求められるが、例えば、時間tが1095日(3年)のとき、H0 (t) =2.613であり、時間tが1825日(5年)のとき、H0 (t) =5.260である。
すなわち、例えば3年の場合、以下の式より発症確率を算出することができる。
P (1,095) in Model 5 = 1 - exp (-H0 (1,095)) exp (prediction score) =1- exp (-2.613) exp (prediction score) = 1 - 0.073 exp (- 0.052 x eGFR + 0.368 x HbA1c - 0.972 x serum albumin - 1.410 x serum bilirubin + 1.270 x 1 if proteinuria positive)
また、5年の場合、以下の式より発症確率を算出することができる。
P (1,825) in Model 5 = 1 - exp (-H0 (1,825)) exp (prediction score) =1- exp (-5.260) exp (prediction score) = 1 - 0.005 exp (- 0.052 x eGFR + 0.368 x HbA1c - 0.972 x serum albumin - 1.410 x serum bilirubin + 1.270 x 1 if proteinuria positive)
[糖尿病患者における末期腎不全の5年以内の発症確率を出力できるWebアプリケーション]
eGFR、尿蛋白の陽陰判定、及びヘモグロビンA1c値の3因子、又はeGFR、尿蛋白の陽陰判定、ヘモグロビンA1c値、血清アルブミン値及び血清ビリルビン値の5因子を入力することで、糖尿病患者の末期腎不全の5年以内の発症確率を出力できるWebアプリケーションを開発した。図2に、そのWebアプリケーション画面を示す。
本発明の方法は、健康保健関連事業者や行政による保健指導の介入のための糖尿病性腎症の末期腎不全ハイリスク群の抽出や患者への指導ツールとして利用可能であり、また、糖尿病診療における治療法の選択や治療の効果判定のための診療ツールとして利用可能なものであり、産業上の有用性は高い。

Claims (14)

  1. 推算糸球体濾過量、尿蛋白の陽陰判定、ヘモグロビンA1c値、及び血清ビリルビン値をリスク因子として用いて、糖尿病患者の末期腎不全の発症を予測することを特徴とする末期腎不全の発症の予測を補助する方法。
  2. さらに、血清アルブミン値をリスク因子として用いることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. Cox比例ハザードモデルを用いて統計分析し、糖尿病患者の末期腎不全の発症を予測することを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
  4. 所定期間内に末期腎不全を発症する確率として予測することを特徴とする請求項1~3のいずれか記載の方法。
  5. 推算糸球体濾過量、尿蛋白の陽陰判定、及びヘモグロビンA1c値をリスク因子として用いて、時間t経過までの間に末期腎不全を発症する確率p (t)を算出することにより、糖尿病患者の末期腎不全の発症予測を補助する方法であって、
    時間t経過までの間に末期腎不全を発症する確率p (t)が、以下の式1により算出されることを特徴とする末期腎不全の発症の予測を補助する方法。
    p (t) =1 - exp (-H0 (t)) exp (prediction score) …(式1)
    (式中、H0(t)は、累積ベースラインハザード関数であり、prediction scoreは、 A x eGFR + B x HbA1c + D x serum albumin + E x serum bilirubin + C x 1 if proteinuria positive(A~Eは係数であり、eGFRは推算糸球体濾過量を表し、HbA1cはヘモグロビンA1c値を表し、if proteinuria positiveは尿蛋白の陽性判定の場合を表し、serum albuminは血清アルブミン値を表し、serum bilirubinは血清ビリルビン値を表し、血清アルブミン値及び/又は血清ビリルビン値を用いない場合は、当該部分の式を省略する。)である。)
  6. リスク因子として、推算糸球体濾過量、尿蛋白の陽陰判定、及びヘモグロビンA1c値の3因子を用いる方法であって、時間t経過までの間に末期腎不全を発症する確率p (t)が、以下の式により算出されることを特徴とする請求項5記載の方法。
    p (t) = 1 - exp (-H0 (t)) exp (A x eGFR + B x HbA1c + C x 1 if proteinuria positive)
    (式中、係数Aは、-0.059±0.008であり、係数Bは、0.415±0.079であり、係数Cは、1.822±0.418である。)
  7. 時間tが365日(1年)のとき、H0 (t) = 0.003~0.023であり、時間tが730日(2年)のとき、H0 (t) = 0.005~0.044であり、時間tが1095日(3年)のとき、H0 (t) = 0.008~0.068であり、時間tが1460日(4年)のとき、H0 (t) = 0.012~0.096であり、時間tが1825日(5年)のとき、H0 (t) = 0.015~0.120であることを特徴とする請求項6記載の方法。
  8. リスク因子として、推算糸球体濾過量、尿蛋白の陽陰判定、ヘモグロビンA1c値、及び血清アルブミン値の4因子を用いる方法であって、時間t経過までの間に末期腎不全を発症する確率p (t)が、以下の式により算出されることを特徴とする請求項5記載の方法。
    p (t) = 1 - exp (-H0 (t)) exp (A x eGFR + B x HbA1c + D x serum albumin + C x 1 if proteinuria positive)
    (ただし、係数Aは、-0.054±0.008であり、係数Bは、0.387±0.079であり、係数Cは、1.310±0.448であり、係数Dは、-1.113±0.272である。)
  9. 時間tが365日(1年)のとき、H0 (t) = 0.102~2.065であり、時間tが730日(2年)のとき、H0 (t) = 0.251~5.052であり、時間tが1095日(3年)のとき、H0 (t) = 0.394~7.485であり、時間tが1460日(4年)のとき、H0 (t) = 0.582~12.166であり、時間tが1825日(5年)のとき、H0 (t) = 0.785~15.525であることを特徴とする請求項8記載の方法。
  10. リスク因子として、推算糸球体濾過量、尿蛋白の陽陰判定、ヘモグロビンA1c値、及び血清ビリルビン値の4因子を用いる方法であって、時間t経過までの間に末期腎不全を発症する確率p (t)が、以下の式により算出されることを特徴とする請求項5記載の方法。
    p (t) = 1 - exp (-H0 (t)) exp (A x eGFR + B x HbA1c + E x serum bilirubin + C x 1 if proteinuria positive)
    (ただし、係数Aは、-0.053±0.008であり、係数Bは、0.380±0.078であり、係数Cは、1.718±0.425であり、係数Eは、-2.250±0.853である。)
  11. 時間tが365日(1年)のとき、H0 (t) = 0.009~0.102であり、時間tが730日(2年)のとき、H0 (t) = 0.021~0.214であり、時間tが1095日(3年)のとき、H0 (t) = 0.031~0.290であり、時間tが1460日(4年)のとき、H0 (t) = 0.046~0.462であり、時間tが1825日(5年)のとき、H0 (t) = 0.059~0.563であることを特徴とする請求項10記載の方法。
  12. リスク因子として、推算糸球体濾過量、尿蛋白の陽陰判定、ヘモグロビンA1c値、血清アルブミン値及び血清ビリルビン値の5因子を用いる方法であって、時間t経過までの間に末期腎不全を発症する確率p (t)が、以下の式により算出されることを特徴とする請求項5記載の方法。
    p (t) = 1 - exp (-H0 (t)) exp (A x eGFR + B x HbA1c + D x serum albumin + E x serum bilirubin + C x 1 if proteinuria positive)
    (ただし、係数Aは、-0.052±0.009であり、係数Bは、0.368±0.079であり、係数Cは、1.270±0.455であり、係数Dは、-0.972±0.285であり、係数Eは、-1.410±0.816である。)
  13. 時間tが365日(1年)のとき、H0 (t) = 0.176~3.392であり、時間tが730日(2年)のとき、H0 (t) = 0.407~8.331であり、時間tが1095日(3年)のとき、H0 (t) = 0.672~12.322であり、時間tが1460日(4年)のとき、H0 (t) = 0.932~19.802であり、時間tが1825日(5年)のとき、H0 (t) = 1.276~26.156であることを特徴とする請求項12記載の方法。
  14. 時間tが、5年以内のいずれかの時間であることを特徴とする請求項5~13のいずれか記載の方法。
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