JP7439908B2 - フィルタリング装置、制御システム、フィルタリング方法 - Google Patents

フィルタリング装置、制御システム、フィルタリング方法 Download PDF

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Description

本発明は、フィルタリング装置、制御システム、フィルタリング方法に関する。
建設機械を含むロボットなどの制御対象機械を制御する制御装置は、制御対象機械の状態などの情報を測定するセンサから、その状態を数値等で示した測定データを取得し、その測定データに基づいて制御対象機械を制御している。例えば、センサは、制御対象機械の状態などの情報として、所定部位の基準位置からの角度、所定部位の駆動の速さ、所定部位に加わる力、などの測定データを、制御装置へ出力する。制御装置は、これらの測定データに基づいたフィードバック制御などを行うことにより、制御対象機械を制御する。ここで、制御装置が取得する測定データの多くには、ノイズが重畳されている。制御装置は、制御対象機械を高精度に制御するために、測定データに重畳されるノイズの削減を精度良く行う必要がある。このようなノイズの削減に関する技術に関連する技術が、特許文献1、特許文献2に開示されている。
特許文献1には、バックホウ装置の各部の角度を検出するセンサの検出値に基づいて、バックホウ装置のバケットの運転部に対する位置を検出し、その情報に基づいてバケットが運転部と干渉することを阻止することが記載されている。また特許文献2には、作業機械に備えられた計測装置によって検出された角速度及び加速度から姿勢角を求め、その姿勢角に含まれる雑音を低減することが記載されている。
特許第2672143号 特開2002-180504号公報
上述した測定データに重畳されるノイズは、制御対象機械の姿勢状態や駆動状態に応じて変動する。例えば、制御対象機械が油圧ショベルで、制御対象機械の状態に関する情報を測定するセンサが重力に基づいて物体の勾配や角度を測定する傾斜センサであるとする。この場合、油圧ショベルが静止しているときと動作しているときとでは、重力以外に加わる運動加速度の大きさが異なるため、傾斜センサの測定データに重畳されるノイズの特性が異なる。従って、制御対象機械を高精度に制御するためには、制御対象機械の姿勢状態や駆動状態に応じて適切にノイズ(測定データに重畳されるノイズ)の削減を行う必要がある。
そこでこの発明は、上述の課題を解決するフィルタリング装置、制御システム、フィルタリング方法を提供することを目的としている。
本発明の第1の態様によれば、フィルタリング装置は、制御対象機械の状態を示す状態情報に基づいて前記制御対象機械の状態に関する測定データに重畳されているノイズの特性を推定するノイズ特性推定手段と、前記推定したノイズ特性に基づいて前記ノイズを削減するためのフィルタリングを調整するフィルタリング調整手段と、を備えることを特徴とする。
本発明の第2の態様によれば、制御システムは、制御対象機械の状態に関する測定データを取得するセンサと、前記制御対象機械の状態を示す状態情報に基づいて前記測定データに重畳されているノイズの特性を推定するノイズ特性推定手段と、前記推定したノイズ特性に基づいて前記ノイズを削減するためのフィルタリングを調整するフィルタリング調整手段と、を備えることを特徴とする。
本発明の第3の態様によれば、フィルタリング方法は、制御対象機械の状態を示す状態情報に基づいて前記制御対象機械の状態に関する測定データに重畳されているノイズの特性を推定し、前記推定したノイズ特性に基づいて前記ノイズを削減するためのフィルタリングを調整することを特徴とする。
本発明によれば、制御対象機械の姿勢状態や駆動状態に応じて変動するノイズ(測定データに重畳されるノイズ)を高精度に削減することができる。
本発明の一実施形態による制御システムの構成を示すブロック図である。 本発明の一実施形態による外部制御装置のハードウェア構成を示す図である。 第一実施形態による制御システムの機能ブロックを示す図である。 第一実施形態による外部制御装置の処理フローを示す図である。 第二実施形態による制御システムの機能ブロック図である。 本発明の一実施形態によるフィルタリング装置の最小構成を示す図である。 本発明の一実施形態による最小構成のフィルタリング装置による処理フローを示す図である。
以下、本発明の一実施形態によるフィルタリング装置を備えた制御システムを、図面を参照して説明する。
図1は、同実施形態による制御システムの構成を示すブロック図である。
制御システム100は、制御対象機械の一例である建設機械1と、建設機械1の状態に関する情報を測定する1つまたは複数のセンサ10と、外部制御装置2と、を少なくとも含んで構成される。本実施形態においては、建設機械1は、油圧ショベルである。
一例として、センサ10は傾斜センサであり、当該建設機械1の状態に関する情報として、建設機械1において駆動対象となる各部位の傾きを示す値を検出し、その値を含むセンシング情報を出力する。センサ10は、各駆動対象部位にそれぞれ備えられ、それぞれの駆動対象部位の傾きを検出してもよい。駆動対象部位とは、例えば、建設機械1が油圧ショベルであれば、アームやブームやバケットなどである。なお、センサ10は、駆動対象部位の傾き以外の建設機械1の物理的な状態を検出するセンサであってもよい。例えば、建設機械1が油圧ショベルであれば、センサ10は、下部走行体に対する上部旋回体の旋回角度を示すものであってもよい。この場合、センサ10は、ジャイロセンサやリニアエンコーダなどとなる。この場合、センサ10は、旋回角度を示すセンシング情報を出力してもよい。あるいは、センサ10は、建設機械1の各駆動対象部位に流入した油量を検出するものであってもよい。例えば、建設機械1が油圧ショベルであれば、センサ10は、各駆動対象部位の油圧シリンダーに流入した油量を測定する。この場合、センサ10は、建設機械1の各駆動対象部位の油圧シリンダーに流入した油量を示すセンシング情報を出力してもよい。あるいは、センサ10は、建設機械1の各駆動対象部位の動作距離を測定するものであってもよい。例えば、建設機械1が油圧ショベルであれば、センサ10は、各駆動対象部位の油圧シリンダーから押し出されたロッドの長さを測定する。この場合、センサ10はストロークセンサとなる。また、センサ10は、各駆動対象部位の動作距離を示すセンシング情報を出力してもよい。センシング情報はフィードバック情報の一態様である。外部制御装置2は、遠隔などの外部から建設機械1の動作を制御する装置である。
図2は、外部制御装置のハードウェア構成を示す図である。
図2で示すように、外部制御装置2は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、通信モジュール104等の各ハードウェアを備えたコンピュータである。外部制御装置2は、予め記憶する制御プログラムを実行する。これにより外部制御装置2は、図1で示すように、フィルタリング装置21、姿勢算出部22、制御部23の機能を発揮する。またフィルタリング装置21は、ノイズ特性推定部211、フィルタリング調整部212、フィルタリング処理部213の機能を発揮する。なお、これらの機能の何れかは、電子回路によって実現されてもよい。
フィルタリング装置21は、センサ10から測定データを取得し、その測定データに重畳されるノイズを削減するフィルタリング処理を行う。姿勢算出部22は、フィルタリング処理後の測定データを用いて、建設機械1の現在の姿勢を示す値(姿勢値)を含む姿勢情報を算出する。制御部23は、建設機械1の姿勢情報と、操作ユーザの操作や自動制御による建設機械1のアクチュエータなどの各駆動対象部位に対する駆動方向と駆動速度が含まれる駆動制御情報に基づいて、建設機械1を制御する。
フィルタリング装置21のノイズ特性推定部211は、建設機械1の状態を示す状態情報に基づいて、センサ10から取得した測定データに重畳されているノイズの特性を推定する。状態情報は姿勢情報または駆動制御情報の少なくとも一方を示す。一例として、推定するノイズの特性は、所定時間におけるノイズの大きさであってよい。フィルタリング調整部212は、推定したノイズの特性に基づいて、測定データに重畳されているノイズを削減するためのフィルタリングを調整する。一例として、フィルタリング調整部212は、フィルタリング(ノイズフィルタリングの処理)の算出式のパラメータを調整する。または、フィルタリング調整部212は、フィルタリングの算出式を他のフィルタリングの算出式に変更してもよい。フィルタリング処理部213は、フィルタリング調整部212により調整されたフィルタリングの算出式を用いて、測定データに重畳されるノイズのフィルタリング処理を行う。
なお、以降の各実施形態では、制御対象機械を全て建設機械として説明するが、制御対象機械は建設機械に限るものではない。例えば、制御対象機械は物流搬送機械であってもよい。具体的には、フォークリフト、スタッカークレーン、無人搬送車(AGV: Automated guided vehicle)などがある。あるいは、制御対象機械は、他の産業機械、パーソナルロボット、舶用油圧装置などでもよい。これら制御対象機械は、測定データに重畳されるノイズの特性に状態遷移が生じる機械であり、言い換えると、測定データに重畳されるノイズの特性に状態遷移が生じる機械であれば上記以外の制御対象機械であってよい。
<第一実施形態>
図3は、第一実施形態による制御システムの機能ブロックを示す図である。
建設機械1は、内部制御装置11、アクチュエータ制御装置12、アクチュエータ13を備える。センサ10、外部制御装置2については、上述と同様である。第一実施形態では、外部制御装置2の制御部23が、建設機械1に備わる内部制御装置11へ、駆動制御情報を直接出力し、内部制御装置11は、駆動制御情報に基づいて、アクチュエータ制御装置12を制御し、アクチュエータ制御装置12は、内部制御装置11による制御に従い、アクチュエータ13を駆動する。一例として、アクチュエータ13は、建設機械1が油圧ショベルである場合、ブームやアームやバケットなどを駆動する。なお、内部制御装置11は、駆動制御情報に基づいて、建設機械1に備わる走行装置や、建設機械1のボディを水平方向に回転させる回転機構などを制御してもよい。
図4は、第一実施形態による外部制御装置の処理フローを示す図である。
以下、制御システム100の処理の詳細について説明する。
建設機械1が、外部制御装置2の出力した駆動制御情報に基づいて動作している際、センサ10は、各測定データを外部制御装置2へ出力する。一例として、センサ10は、有線通信により外部制御装置2と通信接続し、測定データを含む有線信号を外部制御装置2へ送信する。なお、センサ10は、無線通信により外部制御装置2と通信接続し、測定データを含む無線信号を外部制御装置2へ送信してもよい。外部制御装置2は測定データを取得する(ステップS101)。
フィルタリング処理部213は、フィルタリング調整部212で調整されたフィルタリングの算出式を用いて、取得した測定データのノイズを除去するフィルタリング処理を行う(ステップS102)。姿勢算出部22は、フィルタリング処理によるノイズ除去後の測定データを用いて、現在の建設機械1の状態の一例である現在の姿勢値を算出する(ステップS103)。建設機械1の姿勢値は、各駆動対象部位の基準位置に対する角度である。一例としては上述したように、姿勢値は、ブーム、アーム、バケットそれぞれの基準方向からの回転角度を示す。
制御部23は、姿勢算出部22からの姿勢情報から現在の姿勢値を取得する。また、制御部23は、操作ユーザの操作や自動制御に基づいて決定される、目標となる姿勢値を取得する(ステップS104)。制御部23は、現在の姿勢値と目標となる姿勢値に基づいて、駆動制御情報を生成する(ステップS105)。駆動制御情報には、アクチュエータなどの各駆動対象部位に対する駆動方向と駆動速度を示す情報が含まれる。なお、駆動制御情報には、建設機械1の駆動種別を含む情報が含まれてもよい。駆動種別とは、例えば、建設機械1であれば、建設機械1の仕事の種別であり、建設機械1が油圧ショベルであれば、掘削、持ち上げ、均し、放土、旋回、前方走行、後方走行などの種別である。制御部23は、生成した駆動制御情報を建設機械1へ出力する(ステップS106)。
建設機械1の内部制御装置11は、駆動制御情報を取得する。内部制御装置11は、駆動制御情報をアクチュエータ制御装置12が認識する信号に変換して出力する。アクチュエータ制御装置12は、内部制御装置11の出力した信号に基づいて、アクチュエータ13を制御する。これにより、建設機械1は、駆動制御情報に基づく動作を行う。
一方、姿勢算出部22は、各センサ10が出力した測定データに応じた姿勢値をノイズ特性推定部211へ出力する。また、制御部23は、建設機械1に出力した駆動制御情報をノイズ特性推定部211へ出力する。ノイズ特性推定部211は、建設機械1の現在の姿勢を示す姿勢値と駆動制御情報とを用いて、測定データに重畳されているノイズの特性を推定する(ステップS107)。
より具体的には、外部制御装置2は、自装置に備える記憶装置にノイズ特性推定テーブルを保持する。ノイズ特性推定テーブルは、一例としては、建設機械1の姿勢値と、建設機械1の駆動種別と、に応じたノイズ特性を予め記憶するデータテーブルである。本実施形態では、建設機械1の姿勢値は、上述の通り、各駆動対象部位の基準方向からの回転角度である。ノイズ特性推定テーブルに記録される姿勢値と駆動種別に応じたノイズ特性は、過去の測定などによって予め計測された値であり、例えば、建設機械1をある姿勢にした場合や、ある姿勢からある姿勢まで駆動させた場合において、各姿勢の正解値とセンサ10から取得した所定時間の測定データから算出した姿勢値との差分をノイズと定義し、そのノイズの分散値などの統計値を記憶しておく。各姿勢の正解値とは、トータルステーションなどの測量器を用いて、建設機械1の各制御対象部位の各姿勢を正確に測定した値である。ノイズ特性推定部211は、取得した姿勢値と、取得した駆動制御情報に含まれる駆動種別と、に基づいて、ノイズ特性推定テーブルから現在のノイズ特性を選択することで、測定データに重畳されているノイズの特性を推定する。ノイズ特性推定部211は、選択したノイズ特性をフィルタリング調整部212へ出力する。
なお、ノイズ特性推定部211は、他の手法によってノイズ特性を推定してもよい。例えば、ノイズ特性推定部211は、建設機械1の姿勢値のみに基づいてノイズ特性を推定してもよい。この場合、ノイズ特性推定テーブルは、一例としては、建設機械1の姿勢値に応じたノイズ特性を予め記憶するデータテーブルとなる。ノイズ特性推定部211は、取得した姿勢値に基づいて、ノイズ特性推定テーブルから現在のノイズ特性を選択することで、測定データに重畳されているノイズの特性を推定する。
あるいは、ノイズ特性推定部211は、建設機械1の駆動種別のみに基づいてノイズ特性を推定してもよい。この場合、ノイズ特性推定テーブルは、一例としては、建設機械1の駆動種別に応じたノイズ特性を予め記憶するデータテーブルとなる。ノイズ特性推定部211は、取得した駆動制御情報に含まれる駆動種別に基づいて、ノイズ特性推定テーブルから現在のノイズ特性を選択することで、測定データに重畳されているノイズの特性を推定する。
上述したノイズ特性推定部211の処理は、状態情報の値とノイズ特性との対応関係に基づいて、取得した状態情報の値に応じたノイズ特性を選択する処理の一態様である。
また、ノイズ特性推定部211は、建設機械1の駆動対象部位の駆動内容に基づいてノイズ特性を推定してもよい。この場合、ノイズ特性推定テーブルは、一例としては、建設機械1の駆動対象部位ごとに、その駆動内容に応じたノイズ特性を予め記憶するデータテーブルとなる。駆動内容とは、駆動対象部位の駆動方向と駆動速度である。なお、駆動速度は、当該駆動対象部位の単位時間当たりの移動量であってもよい。ノイズ特性推定テーブルに記録される駆動対象部位の駆動内容に応じたノイズ特性は、過去の測定などによって予め計測された値であり、例えば、建設機械1のある駆動対象部位について、ある姿勢からある姿勢に、ある駆動方向とある駆動速度とで駆動させた場合において、駆動中の当該駆動対象部位の各姿勢の正解値とセンサ10から取得した所定時間の測定データから算出した姿勢値との差分をノイズと定義し、そのノイズの分散値などの統計値を記憶しておく。ノイズ特性推定部211は、取得した駆動制御情報に含まれる駆動内容に基づいて、ノイズ特性推定テーブルから現在のノイズ特性を選択することで、測定データに重畳されているノイズの特性を推定する。
更に、ノイズ特性推定部211は、建設機械1の駆動対象部位にかかる慣性力に基づいてノイズ特性を推定してもよい。例えば、センサ10が傾斜センサの場合を述べる。油圧ショベルが動作しているとき、駆動対象部位にかかる力は、重力の他に遠心力などの運動加速度が加わる。傾斜センサは、重力加速度と他の運動加速度を分離して検出することができないため、重力加速度と他の運動加速度の合力を運動加速度として検出する。そのため、重力加速度と他の運動加速度の合力を重力方向として駆動対象部位の勾配や角度を測定することになり、実際の重力方向との差分が誤差(ノイズ)となって現れる。そこで、遠心力などの重力加速度以外の運動加速度から、重力方向との差分を計算することで、誤差(ノイズ)を除くことができる。例えば、傾斜センサが1軸の場合、駆動対象部位の勾配(角度)は式(1)で計算される。式(1)において、θは、駆動対象部位の勾配(角度)であり、Fは、傾斜センサが検出した重力加速度であり、Gは、重力加速度である。いま、油圧ショベルが動作しているとすると、Fは、重力加速度の他に、遠心力などの運動加速度を合わせた合力となる。傾斜センサが検出した重力加速度のうち、重力加速度をF(G)、他の運動加速度をF(A)とすれば、式(1)は式(2)に変換できる。式(2)から、重力加速度F(G)を求めると、式(3)となる。式(3)で求めた重力加速度F(G)を用い、実際の駆動対象部位の勾配(角度θ’)を求めると式(4)となる。
Figure 0007439908000001
Figure 0007439908000002
Figure 0007439908000003
Figure 0007439908000004
他の運動加速度F(A)が遠心力の場合、当該他の運動加速度F(A)は、式(5)で計算できる。mは、傾斜センサの質量、ωは、傾斜センサの角速度、rは、駆動対象部位の回転軸から傾斜センサまでの距離、φは、傾斜センサの基準方向と遠心力との角度から計算される角度である。なお、傾斜センサの角速度は、姿勢算出部22が算出した直近の姿勢情報から求めてもよい。
Figure 0007439908000005
また、他の運動加速度F(A)は、直近の姿勢情報から傾斜センサの検出方向の単位時間当たりの移動距離を求め、その変化量としてもよい。あるいは、慣性モーメントや固有振動数などから求めてもよい。
ノイズ特性推定部211は、ノイズ特性を推定すると、そのノイズ特性をフィルタリング調整部212へ出力する。このノイズ特性推定部211の処理は、状態情報の値に基づいて算出した制御対象機械の状態の解析結果(慣性力、慣性モーメント、固有振動数など)に基づいて、ノイズの特性を推定する処理の一態様である。なお、ノイズ特性推定部211は、センサ10から取得した測定データそれぞれについて、別々に、上記処理の何れかを用いてノイズ特性を推定してもよい。この場合、ノイズ特性推定部211は、測定データに対応するセンサ10の識別子と、ノイズ特性との組み合わせの情報を、フィルタリング調整部212へ出力する。
フィルタリング調整部212は、推定したノイズ特性に基づいて、測定データのノイズを削減するフィルタリングの算出式を、建設機械1が現在の姿勢または駆動を行っている場合に適切なノイズの削減ができるフィルタリングの算出式へと調整する(ステップS108)。
例えば、フィルタリング調整部212が、ノイズ削減のためのフィルタリング処理を、カルマンフィルタを用いて行う場合、カルマンフィルタにおけるシステム雑音の分散σ と観測雑音の分散σ の値を、推定したノイズ特性に基づいて補正する。より具体的には、フィルタリング調整部212は、式(6)に示すように、予測ステップにおいて、事前誤差共分散行列P(k)におけるシステム雑音の分散σ を、推定したノイズ特性に基づいて補正する。あるいは、フィルタリング調整部212は、式(7)に示すように、フィルタリングステップにおいて、カルマンゲインにおける観測雑音の分散σ の値を、推定したノイズ特性に基づいて補正する。
Figure 0007439908000006
Figure 0007439908000007
なお、フィルタリング調整部212は、ステップS108の処理を行う代わりに、推定したノイズ特性に基づいてフィルタリングの種類を変更してもよい。例えば、フィルタリング調整部212は、カルマンフィルタや無限インパルス応答(IIR;Infinite impulse response)フィルタ、などの複数のフィルタリング手法のうち、推定したノイズ特性に応じたフィルタリング手法を選択してもよい。フィルタリング調整部212は、決定したフィルタリング手法をフィルタリング処理部213へ出力する。
フィルタリング処理部213は、出力されたフィルタリング手法を用いて、センサ10から取得した測定データに重畳されるノイズのフィルタリング処理を行う。
なお、外部制御装置2は上述のステップS101~ステップS108の処理を繰り返し実施してもよい。外部装置2は、この繰り返しの処理の実施を、逐次的または周期的におこなってよい。一例として外部制御装置2は、センサの出力周期に基づいて、上述の処理を周期的に行ってよい。または、外部制御装置2は、センサから測定データを受信したタイミングで上記ステップS101の処理から開始してもよい。
上記S101からS108のステップにより、フィルタリング装置21は、建設機械1の姿勢や駆動状態に応じて測定データに重畳されるノイズを適切に削減することができるようにフィルタリングを調整ことができる。その結果、外部制御装置2は、建設機械1の姿勢や駆動状態に応じ応じて変動するノイズ(測定データに重畳されるノイズ)を高精度に削減することができるため、建設機械1の姿勢や駆動の制御の精度を高めることができる。
<第二実施形態>
図5は、第二実施形態による制御システムの機能ブロック図である。
第二実施形態による制御システム100は、外部制御装置2が建設機械1を操作するロボット3に対して駆動制御情報を出力する点で、第一実施形態における制御システム100と異なる。
この場合、建設機械1は、操作レバーや操作ペダルなどの操作子14、アクチュエータ制御装置12、アクチュエータ13を備える。ロボット(アタッチメント)3は、外部制御装置2から取得した建設機械1の駆動制御情報に基づいて、建設機械1の操作子14を操作する。この場合、ロボット(アタッチメント)3は操作子を操作するために、操作子14の近傍に設置される。
第二実施形態において、外部制御装置2の動作は、第一実施形態と同様である。そして、ロボット(アタッチメント)3は、外部制御装置2から取得した建設機械1の駆動制御情報に基づいて、駆動制御情報に対応するアクチュエータ13などの動作となるよう、建設機械1の操作子14を操作する。これにより、アクチュエータ制御装置12は、操作子が操作されることにより出力した信号を取得し、その信号に基づいて、アクチュエータ13を制御する。これにより、建設機械1は駆動制御情報に基づく動作を行う。
<第三実施形態>
図6は、第三実施形態によるフィルタリング装置を含むフィルタリングシステムの構成を示す図である。
図7は、第三実施形態によるフィルタリング装置による処理フローを示す図である。
フィルタリングシステムはセンサ10と、フィルタリング装置21とにより構成される。フィルタリング装置21は少なくとも、ノイズ特性推定部211と、フィルタリング調整部212を備える。
センサ10は、制御対象機械の状態に関する測定データを取得する。
ノイズ特性推定部211は、制御対象機械の状態を示す状態情報に基づいて測定データに重畳されているノイズの特性を推定する(ステップS701)。
フィルタリング調整部212は、推定したノイズ特性に基づいてノイズを削減するためのフィルタリングを調整する(ステップS702)。
上述の各装置は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
フィルタリング装置のコンピュータを、
制御対象機械の状態を示す状態情報に基づいて前記制御対象機械の状態に関する測定データに重畳されているノイズの特性を推定するノイズ特性推定手段と、
前記推定したノイズ特性に基づいて前記ノイズを削減するためのフィルタリングを調整するフィルタリング調整手段と、
として機能させるプログラム。
(付記2)
前記ノイズ特性推定手段は、前記状態情報の値と前記ノイズの特性との対応関係に基づいて、取得した前記状態情報の値に応じた前記ノイズの特性を推定する
付記1に記載のプログラム。
(付記3)
前記ノイズ特性推定手段は、前記状態情報の値に基づいて算出した前記制御対象機械の状態の解析結果に基づいて、前記ノイズの特性を推定する
付記1に記載のプログラム。
(付記4)
前記フィルタリング調整手段は、カルマンフィルタの分散値を前記ノイズの特性に応じて調整する
付記1から付記3の何れか一つに記載のプログラム。
(付記5)
前記フィルタリング調整手段は、前記フィルタリングの算出式を、前記ノイズの特性に応じた当該ノイズの削減ができる前記フィルタリングの算出式へと調整し、その調整の後の前記フィルタリングの算出式に基づいて前記ノイズを削減する
付記1から付記3の何れか一つに記載のプログラム。
(付記6)
前記フィルタリング調整手段は、複数の異なる前記フィルタリングの算出式のうち、前記ノイズの特性に応じたフィルタリングの算出式を特定し、そのフィルタリングの算出式に基づいて前記ノイズを削減する
付記1から付記5何れか一項に記載のプログラム。
(付記7)
前記状態情報は、前記制御対象機械の姿勢を示す姿勢情報または前記制御対象機械の駆動に関する指示を示す駆動制御情報の少なくとも一方を含む
付記1から付記6の何れか一項に記載のプログラム。
1・・・建設機械
2・・・外部制御装置
3・・・ロボット
10・・・センサ
21・・・フィルタリング装置
22・・・姿勢算出部
23・・・制御部
211・・・ノイズ特性推定部
212・・・フィルタリング調整部
213・・・フィルタリング処理部

Claims (10)

  1. 制御対象機械の状態を示す状態情報であって、前記制御対象機械の姿勢を示す姿勢情報と前記制御対象機械の駆動種別とを含む状態情報に基づいて、前記制御対象機械の状態に関する測定データに重畳されているノイズの特性を推定するノイズ特性推定手段と、
    前記推定したノイズ特性に基づいて前記ノイズを削減するためのフィルタリングを調整するフィルタリング調整手段と、
    を備えるフィルタリング装置。
  2. 前記ノイズ特性推定手段は、前記状態情報の値と前記ノイズの特性との対応関係に基づいて、取得した前記状態情報の値に応じた前記ノイズの特性を推定する
    請求項1に記載のフィルタリング装置。
  3. 制御対象機械の状態に関する測定データを取得するセンサと、
    前記制御対象機械の状態を示す状態情報であって、前記制御対象機械の姿勢を示す姿勢情報と前記制御対象機械の駆動種別とを含む状態情報に基づいて前記測定データに重畳されているノイズの特性を推定するノイズ特性推定手段と、
    前記推定したノイズ特性に基づいて前記ノイズを削減するためのフィルタリングを調整するフィルタリング調整手段と、
    を備える制御システム。
  4. 前記ノイズ特性推定手段は、前記状態情報の値と前記ノイズの特性との対応関係に基づいて、取得した前記状態情報の値に応じた前記ノイズの特性を推定する
    請求項3に記載の制御システム。
  5. 前記ノイズ特性推定手段は、前記状態情報の値に基づいて算出した前記制御対象機械の状態の解析結果に基づいて、前記ノイズの特性を推定する
    請求項3に記載の制御システム。
  6. 前記フィルタリング調整手段は、カルマンフィルタの分散値を前記ノイズの特性に応じて調整する
    請求項3から請求項5の何れか一項に記載の制御システム。
  7. 制御対象機械の状態を示す状態情報であって、前記制御対象機械の姿勢を示す姿勢情報と前記制御対象機械の駆動種別とを含む状態情報に基づいて前記制御対象機械の状態に関する測定データに重畳されているノイズの特性を推定し、
    前記推定したノイズ特性に基づいて前記ノイズを削減するためのフィルタリングを調整する
    フィルタリング方法。
  8. 前記状態情報の値と前記ノイズの特性との対応関係に基づいて、取得した前記状態情報の値に応じた前記ノイズの特性を推定する
    請求項7に記載のフィルタリング方法。
  9. 前記状態情報の値に基づいて算出した前記制御対象機械の状態の解析結果に基づいて、前記ノイズの特性を推定する
    請求項7に記載のフィルタリング方法。
  10. 前記フィルタリングの調整において、カルマンフィルタの分散値を前記ノイズの特性に応じて調整する
    請求項7から請求項9の何れか一項に記載のフィルタリング方法。
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