JP7438410B2 - フレグランス成分の空間認識性予測方法およびフレグランス組成物の空間認識性予測方法 - Google Patents

フレグランス成分の空間認識性予測方法およびフレグランス組成物の空間認識性予測方法 Download PDF

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Description

本発明は、フレグランス成分の空間認識性予測方法およびフレグランス組成物の空間認識性予測方法に関する。本発明は、特に香料の分野に適用される。より明確には、本発明は、フレグランス性能のモデリングおよび可視化、フレグランス組成物のインテリジェント設計のためのデジタルツール、フレグランス組成物の性能最適化、フレグランスの空間的および時間的性能特性、より具体的にはファインフレグランスの臭跡性能の分野に適用することができる。
発明の背景
フレグランスの性能は、特にファインフレグランスの場合、インパクト、ロングラスティング、およびプロジェクションの3つの属性に分けられ、プロジェクションは「拡散」と「臭跡」とから構成される。プロジェクション(当該技術分野では「ボリューム」と称されることもある)とは、離れた場所において、他の人々がどれくらいよくフレグランスを知覚できるかを説明するものである。
香水の分野における「拡散」という用語は、一般に、フレグランス(またはフレグランス成分)が、フレグランス供給源(フレグランス着用者)の「アウラ」または直近で、いかに効果的に知覚され得るかを意味する。ここでいうアウラとは、フレグランス供給源周辺の空間により定義され、アウラにおける適切な輸送メカニズムは、気液界面からの拡散(つまり、空気にさらされた皮膚上の香水)である。このような定義は、次の出版物:“A Novel Technology to Study the Emission of Fragrance from the Skin”, by Braja D. Mookherjee, Subha M. Patel, Robert W. Trenkle and Richard A. Wilson in Cosmetics & Toiletries (1998), 113(7), 53-56, 58-60にもみられる。この用語は、主要輸送ベクトルが圧倒的にフレグランス供給源の移動または気流またはその両方から生じる対流である「臭跡」または「シラージ」とは相対するべきものである。
確かに、フレグランス着用の最も一般的な状況は、フレグランス着用者がオフィスに座っているかまたは歩いているかに関係なく、ある種の換気または気流(対流)を伴う。気流は、建物の換気、着用者の能動的な動き、着用者の直前の動き、風、または体温による自然対流など、様々な手段で引き起こすことができる。着用者の周囲の空気の対流の強さは、フレグランス着用の様々な状況を際立たせるものであり、着用者からフレグランスが移動(拡散)する際に、周囲の空気中のフレグランスプルームが気相で希釈される程度がそれぞれ異なることに関連している。
フレグランス臭跡現象は、実際には、フレグランス着用者の周囲の実質的な気流の乱流、対流に関連しており、着用者の動作(歩行)または周囲の空気(風)の動き、またはその両方により引き起こされる可能性がある。したがって、臭跡におけるフレグランスの性能は、フレグランス性能に関する最終的なストレステストとして考えることができる。つまり、着用者から発せられる周囲のフレグランスの空気による気相の希釈度は、フレグランス着用時の他の全ての状況と比較して、臭跡の場合に最も広範囲にわたる。
フレグランス臭跡は、特許文献や科学出版物の両方で言及されることが多いが、歩行中の人の周囲における気相フレグランス希釈度に関する現実的な定量データまたは予測、およびそのデータを離れた場所でのフレグランス性能に役立てるための応用、およびその知識とフレグランス成分の人間の嗅覚の用量反応特性に関する知識に基づいた臭跡性能に関する実用的なフレグランスの最適化に関しては、依然として公開技術間に格差が存在する。
前段落で述べたような知識ブロックが存在しないため、混合成分の空間的認識性を信頼性をもって予測または推定することは不可能であり、経験的に混合物を調製し、官能パネルで認識性を測定するといった、時間と手間のかかるプロセスに頼る必要がある。このような制約は、フレグランス(混合物)の設計プロセスを大幅に遅らせ、フレグランス開発プロセスのコストを押し上げ、貴重な原材料を無駄にする。
例えば、ウェブサイトfragrantica.comで使用されている現在のシステムおよび方法論は、多数のフレグランス製品について、着用者からフレグランスが放出される距離の観点から、フレグランスの臭跡性能に関する経験的分類を提供している。しかし、このような分類に関するデータは、ウェブサイトが実施した非公式の消費者投票から得られたものであり、このような経験的分類を、性能によるフレグランスの評価に使用できたとしても、優れた臭跡性能を可能にするフレグランス作成の法則を、このデータのみから収集することは不可能である。
他の現行のシステムおよび方法論における、フレグランス性能に対するアプローチは、その構成成分の匂い値によるものである。香料成分の匂い値は、成分の気相濃度に対する、成分の飽和濃度としても知られている平衡気相濃度(一般に「揮発度」と呼ばれる)の、匂い検出閾値における比である。匂い値および匂い検出閾値という用語は、香料、人間の感覚認知、または関連する分野において当業者に周知であり、かつ従来技術において広く用いられている。
フレグランスの臭跡性能および他の側面に関する測定基準としての匂い値の欠陥は、2点である。
第一に、匂い値の概念は匂い検出閾値に基づくので、匂い値に基づくあらゆる成分性能の測定基準には、その匂い検出閾値において成分が気相中に存在するということのみが要求される、つまり、成分が、単に人間の鼻により検出できなければならない、ということを意味している。顧客が、成分や香りを単に検出するだけでなく、認識・解釈できるような有限の強度で香りとその成分が知覚されることを望む場合、この基準は、香水用途における成分や香りの性能目標を設定するのに必要ではあるが、十分ではない。匂い値は、あらゆる成分における最小限の感覚的に知覚可能なシグナル、つまり検出に基づくため、匂い値に基づく性能の測定基準は、フレグランス成分自体およびフレグランス組成物中におけるフレグランス成分の性能能力を、系統的に誇張することになる。したがって、性能の基準としての感覚的な検出、および性能の測定基準としての匂い値は、現実的で定量的な予測が必要とされる性能重視のフレグランス設計や最適化にとっては、非実用的かつ不十分である。
第二に、異なる成分の性能を比較する場合、匂い値に基づく性能測定基準(後者は臭気検出にリンクする)は、現実的な香水製品への応用に関連する匂い認識にリンクするような、より高い知覚強度における相対的な成分性能を予測することができない。
図1は、芳香成分の精神物理学的強度140を、成分の気相濃度135に応じて示す図である。このような関数は「用量反応曲線」と呼ばれ、図1の場合、アルファダマスコン115とデルタダマスコン120の両方について示されている。
成分が知覚される(人間の鼻で検出される)最低気相濃度は、匂い検出閾値と呼ばれ、105、110で表される。匂い値性能推定パラダイムにおいて、匂い値は、平衡状態における最大気相濃度と、人間の嗅覚で化合物を検出できる最小気相濃度との差を、数学的比率で定量化したものである。匂い検出閾値は、一連のトライアングルテストによって測定され、官能結果は、無臭のブランクと実際に芳香性である原料との両方を含む無作為化官能テストの正解率として表される。匂い検出閾値は通常、官能パネルからの正解率50%相当であるが、トライアングルテストでは、正解率67%を基準として使用する。
デルタダマスコンはアルファダマスコンよりも高い匂い値を有しており、このことは、匂い値に基づく性能推定パラダイムにおいて、匂い検出の官能基準に基づき、デルタダマスコンがアルファダマコンよりも性能が高く、希釈範囲が広いことを意味する。しかし、より高い感覚強度では、これら2つの成分の用量反応曲線は2回交差し、アルファダマスコンはデルタダマスコンと比較して、より高い性能を維持する。
匂い値とその欠陥に関する論文は、例えば、Neuner-Jehle, N. and F. Etzweiler. “The Measuring of Odors”, In Perfumes: Art, Science and Technology, P.M. Mueller, D. Lamparsky, eds. Chapter 6, p. 153, Elsevier Applied Science: 1991に記載されている。論文では、香水の性能を、匂い値と関連付けて論じている。成分の匂い検出閾値は、匂いの強さと濃度との関係に適用されるスティーブンスの精神物理学的冪関数に従って紹介されている。匂い値の概念は、気相中の成分飽和濃度(平衡状態)と気相中の成分匂い検知閾値濃度との商として定義され、どちらも通常は空気1リットル当たりのナノグラム単位で表されると、簡単に紹介されている。
著者らは、匂い値は、匂い強度の相対的かつ近似的な尺度であり得るが、制限があることに具体的に言及している。その制限とは:
- 匂いの強さは、精神物理学的な冪関数に基づくと、匂いの濃度に対して直線的に増加することはない;つまり、匂い値が導き出される濃度比は、匂いの検出を超える匂いの強度に対して、数値的に等価であることはできないこと、および
- 異なる香料の匂い強度は、濃度と共に異なる速度で増加し、2つの香料の組成における部分匂い値(すなわち、混合物組成を考慮した部分揮発度に基づく)が同一であるレベルで組成物に使用されることがあっても、非常に異なる匂い強度で知覚されることがあること
を含む。
古典的な匂い値を利用したアプローチは、Givaudanにより出願され「有機組成物を作製するための方法および装置」と題する国際特許出願である、国際公開第2019/122306号に見ることができる。この刊行物には、フレグランス/フレーバー設計システムが開示されている:ユーザーがフレグランスまたはフレーバー組成物を製造できるように配置されたコンピュータ端末であって、プロセッサと、成分を格納するデータベースへのデータベース接続と、組成物のサンプルを製造するように構成された出力装置への出力接続と、ディスプレイと、ユーザー入力手段とを備え;プロセッサは、ユーザー入力手段を介してデータベースからの成分の選択を受け付け;選択された成分を表すピクトグラムをディスプレイ上の嗅覚設計空間に追加し、各選択された成分についてのピクトグラムの大きさは、その選択された成分の組成物に対する嗅覚的寄与を表し;選択された成分ごとに、その嗅覚的寄与を成分の対応量に変換し;かつユーザーが入力手段を介して組成物のサンプルを要求すると、選択した成分の対応量を調合するように、出力デバイスに対して指示するように、構成されている。
この刊行物は、様々なデータベースや周辺機器に接続される視覚的なフレグランス生成ポータルの設計に主に焦点を当てているが、組成物における成分の性能測定基準のアプローチと評価に関連する、特定の要素を参照している:
- 匂い値の概念は、組成物の内部および外部の両方において、成分性能の好ましい尺度として詳細な仕様を用いて広範囲に参照される;
- 刊行物は、「さらに、用量反応曲線を(ローカルまたはリモートで)保存し、可視化することで、追加のインパクトスコアを提供することができる。用量反応曲線は、ヘッドスペース中の成分の濃度に応じて、成分のインパクトの変化を表す」と述べ、性能の追加可能な属性として、用量反応曲線に言及しているが、このような用量反応データを、製剤(組成物中の用量)または一定の距離における性能の予測を導くための定量的測定基準に変換する方法についての詳細は、特定していない;かつ
- この刊行物は、臭跡などの属性を計算するためにポータルで実行できる適切なアプローチの例としての「拡散と対流との両方のレジームに対する流体力学輸送方程式」について、「粘り強さ、直接性、ブルーム、ラジアンス、ボリューム、および臭跡などの時空間性能基準も有用な属性として組み込むことがでる。任意に、これらの属性は、作成ツールに実装された適切なアルゴリズムを使用して算出することができる。適切なアルゴリズムの例としては、気液平衡(VLE)計算、および拡散と対流両方のレジームに対する流体力学輸送方程式の計算などがある」と言及している。しかしながら、気液平衡の計算が当業者にとって解りやすい一方で、拡散と対流に関する流体力学輸送方程式は、多数の形状と計算方法によってアプローチすることができ、その計算がフレグランス性能予測に対して及ぼす影響については、何ら詳細に規定されていない。
匂い値に基づく同様のアプローチは、Givaudanにより出願され、「香料組成物」と題する国際特許出願である、国際公開第2015/181257号にも見ることができる。この刊行物は、制御されたまたは望ましい時空間的嗅覚プロファイルを示すと主張される香料組成物を開示する。開示は、この組成物の時空間的嗅覚プロファイルを定量化する方法にも関する。この刊行物は、フレグランスの臭跡(シラージ)性能について、性能測定基準としての匂い値と、臭跡(シラージ)性能を知覚的に評価するために構築された装置という枠組みの中で、改めて言及・考察している。この従来技術の意図は、(1)成分の揮発度と匂い検出閾値の知識に依存する構成成分の匂い値の知識に基づき、匂い値を活用したグラフィカルなアプローチ(対数プロットと特定の性能ゾーンを区切る線)によって高性能成分を選択し、強い臭跡性能を示すと主張する香料組成物を配合すること;および(2)フレグランスの臭跡を評価するための機器および測定方法を提供することの2点にあるように思われる。著者らは、揮発度と匂い検知閾値に基づく高性能なフレグランス成分(臭跡に関するものも含む)を主張する。
この刊行物には、臭跡を含む香りの様々な着用・使用モードに関する成分選択および性能の測定基準として、昔ながらの匂い値を使用するなど、先に述べた開示と同じ欠陥がある。
したがって、理解できるように、従来技術で知られている全ての既知のフレグランスの性能予測方法は、匂い検出閾値に基づく匂い値の概念を採用しているので、フレグランスの臭跡の実際の状況に関して、消費者の実際の香りの着用と使用習慣に基づく距離での香りとその構成成分の性能を予測、またはシミュレーションする方法が存在しない。
発明の概要
本発明は、従来技術に関する欠点の全て、または一部を改善することを意図する。
本発明者らは、着用者に適用されるフレグランスの量と組成を、着用者の背後の臭跡において要求される知覚強度レベルの成分の空間到達範囲にリンクする新規な方法を発見し、これにより、香りの受容者は、特定の距離および特定の最小感覚強度レベルで、香りを知覚できる。
特に、図1を例とすると、匂い検出閾値の代わりに、異なる目標強度145の基準を成分性能の測定基準の基礎として選択した場合、デルタダマスコンよりも優れたアルファダマスコンの性能を、消費者向けフレグランス製品および消費者の使用にリンクする知覚強度の実用範囲において、定量的に把握することができる。
この発見された新規の関係を応用することで、
- 目標強度のフレグランス(および/またはその成分)が、皮膚上のフレグランス(液相)の量と組成とに応じて知覚され得る、供給源(着用者)からの距離を予測すること、
- 目標量のフレグランス(および/またはその成分)が、皮膚上のフレグランス(液相)の量と組成とに応じて知覚される、供給源(着用者)からの距離を予測すること、
- 目標知覚強度について、所定の距離に到達するのに必要な皮膚上のフレグランス(液相)の量と組成を予測すること、
- 所定の最小知覚強度について、目標の距離に到達するのに必要な皮膚上のフレグランス(液相)の量と組成を予測すること、
- 所定の距離、および液相における目標量について、フレグランスの知覚強度、およびその構成成分を予測すること、および/または
- 目標距離、および液相における所定の量について、フレグランスの知覚強度、およびその構成成分を予測すること
などの、様々な場面において、消費者のフレグランス着用状況や使用習慣に基づくフレグランスの性能を予測することができる。
本発明において、「臭跡」は「アウラ」とは対照的に定義され、双方とも時間と距離との側面を共に有している。フレグランスのアウラは、着用者のすぐ近くに生じ、あったとしても着用者の僅かな動き、または空気の攪拌と同義である。本質的に、アウラとは皮膚または衣服からフレグランスが最初に気相へと放出され、かつ着用者のすぐ近くに最初に伝わることであり、これに着用者の動き、および/または更なる空気の対流が組み込まれると、臭跡が生じる。臭跡とは、歩行などの着用者の動き、または風などの空気の動き、またはその両方と同義である。臭跡は他の人々により評価され、少なくとも1メートル、好ましくは2メートル、および最も好ましくは4メートル離れた距離で、適用から少なくとも30分、好ましくは適用から少なくとも1時間、さらに好ましくは少なくとも2時間、および最も好ましくは適用から4時間後のフレグランスが落ち着いて「ドライダウン」した段階において、所望の感覚強度(例えば、匂い認知度にリンクした強度)で知覚されるべきである。
ここで、揮発度それ自体は気相飽和濃度であり、元から備わっているというよりはむしろ誘導された特性であることに注意するべきである。揮発度は、蒸気圧から測定または計算することができ、かつ蒸気圧が沸点に関係するのと同様に、(液体の)沸点に関係する場合がある。高い蒸気圧は、高い揮発度を示し、高い沸点は、低い揮発度を示す。蒸気圧および沸点は、対象の化学物質を比較するために使用することができる特性の表およびチャートに提示されることが多い。
本発明において、揮発度は、好ましくは、空気1リットル当たりのマイクログラムの化合物のような濃度の単位で表され、気体状態の成分が、閉鎖系における液相または固相と、所与の温度において平衡状態に到達する最大濃度に対応する。
揮発度は、蒸発プロセスの説明だけでなく、その所望の知覚レベルまたは人間の嗅覚応答に関連付けられた気相濃度が判っている場合、成分の匂い性能または嗅覚性能に関する尺度としても関連する。このような気相濃度は、匂い検出閾値、すなわち、匂いを検出することができる気相濃度、または本発明の範囲内で使用されるように、成分の用量反応曲線の一部であり、かつ感覚認識閾値にリンクされた知覚強度を含み得る、特定の有限の知覚強度、すなわち、匂いを正確に識別し、かつ/または説明できる気相濃度のいずれかを規定し得る。
本発明において、「揮発性成分」と呼ばれる成分は、22℃の通常の室温で少なくとも1E-6mmHg(0.000001mmHg)の蒸気圧を示す。化合物の使用を意図した最低温度を表す最低温度閾値を上回る温度において、そのような成分は、無視できないほどに蒸発する。例えば、日常生活において知覚されるべきフレグランスで使用されることを意図している成分の場合、最低温度は0℃であり得る。この例では、0℃を上回る温度で、成分は、人の鼻で知覚され得る「気相」と呼ばれる芳香蒸気を形成する。そのような化学成分は、成分の分子量によって定義することもできる。この定義方法によれば、揮発性成分は、350Da未満の分子量を示す成分である。好ましくは、揮発性成分は、325Da未満の分子量を示す成分である。好ましくは、揮発性成分は、300Da未満の分子量を示す成分である。
「コンピュータインタフェース上」との用語は、一般に、命令を計算システムに入力する動作によって定義されることに留意するべきである。
このような入力動作には、ヒューマンマシンインタフェース、例えばキーボード、マウス、タッチスクリーン、またはユーザーからの入力を受信するあらゆる対話型GUI(「グラフィカルユーザーインタフェース」)を使用することができる。
変形例において、検討される入力は、計算システムによって(無線かどうかにかかわらず)情報技術ネットワークを介して受信されたコマンドなどの論理入力であり、この場合、インタフェースは、計算システム上で実行されているソフトウェアの論理「ポート」である。
検討される入力は、人間による判断の結果であっても、計算システムによって自動的に決定されたものであってもよい。
「計算システム」との用語は、数値の入力を受信でき、かつデジタルおよび/またはアナログのあらゆる種類のインタフェースにより、かつインタフェースに対して、数値の出力が可能な、統合または分散型のあらゆる電子計算装置を指すことに留意すべきである。代表的な計算システムは、データストレージへのアクセスを有するソフトウェアを実行するコンピュータ、またはクライアント側がインタフェースとして動作する間にデータおよび/または計算がサーバ側で実行されるクライアント-サーバアーキテクチャのいずれかを指す。
本明細書において、発明者らは、香り付けされた消費者向け製品の性能向上の目的で、フレグランスの臭跡を形成する歩行している人間(または等しくは、風のような空気の流れの経路にいる静止した人間)のすぐ後における成分の希釈を、その成分の供給源(フレグランス着用者)における成分の位置と、センサー(例えば人間の鼻)の位置との間の距離に応じて特徴付けて利用する、新規な方法を見出したということを理解すべきである。このような関係は、消費者によるフレグランス着用の状況と関連するため、これまで信頼性が高く、定量的、かつ現実的な方法で使用されることがなかった。
「認識性」との用語は、フレグランスを嗅ぐ複数の人が、フレグランス供給源(着用者)から特定の距離にある気相中の成分の嗅覚特性を知覚し、かつより好ましくは認識または正しく説明する可能性によって定義される。認識性および検出性は、2つの別個の概念であり、後者は、フレグランスを嗅いでいる複数の人が、この成分またはより好ましくは成分自体に関連付けられる匂いの特徴を認識することも正確に説明することもできないが、匂いの存在を検出する可能性に関する。
「距離」との用語は、例えば香水着用者と、ある一定の距離および例えばフレグランス臭跡に対応する方向に位置するその香水の気相と接触している人のような、2つの対象物間の空間的距離をいう。
「感覚強度レベル」との用語は、ある成分について知覚される精神物理学的強度の値をいい、その成分の用量反応関係によって定められる範囲内から特定される。感覚強度レベルは、例えば、10段階のスケールにおける3.5のような絶対値で、またはスケールの最大値のパーセンテージ、例えば、スケールの35%のように表すことができる。絶対値定義および相対値定義は入れ替え可能であり、使用される所望のスケールの最大値が特定されている場合には、容易に相互変換可能である。
「フレグランス供給源」との用語は、フレグランス成分または組成物が液体の状態で、バルクで、または表面に分散して存在する場所を指す。
「最大合計希釈度」との用語は、気液界面における、フレグランス組成物(混合物)中の液相希釈度、例えばフレグランス組成物における重量分率で測定されるような液相希釈度と、特定の距離にある気相における気相濃度に対する空気による空間的希釈度との両方を含む、フレグランス成分の希釈度を指す。「最大合計希釈度」との用語は、少なくとも選択された匂い成分の最小感覚強度の官能基準を満たすように特定されているため、「最大」の用語を含む。
「相対成分量」または「相対量」という用語は、複数の成分、溶媒、および/または他の機能性原料を含む、所与のフレグランス組成物またはフレグランス調合物における成分の重量分率を指す。
「成分量」または「組成量」の用語は、消費者により、例えばフレグランススプレーなどを使用して液体または固体の形で人体に適用されるフレグランスの絶対量(質量または体積)を指す。成分の量または組成の量が明示的に特定されていない場合、ユーザーが明示的に変更しない限り、常にデフォルト値が使用される。あらかじめ計算された空間希釈度とフレグランス着用者から下流の距離との関数的関係が、空気流速度、フレグランスが適用される体の部分、および適用されるフレグランスまたは成分の量について提供された情報に基づいて検索され、フレグランスまたは成分の量は、フレグランス供給源を含む体上の表面積に変換される。
消費者のフレグランス着用および使用習慣は、対象の消費者向け製品の用途に関する技術用語で定義することができ、そのような技術定義は、本発明に記載されているようなロバストな技術予測方法を開発するために必要である。例えば、ファインフレグランスの場合、予測方法の技術的仕様は、
- ヒドロエタノール混合物中の5~20%のフレグランス用途;
- 消費者による、例えば首、胸部、肩、腕、または様々な脈拍点であり、かつ50~500cmの体表面積をカバーするような体の様々な部位への、2~4回のフレグランスのスプレー;
- 1.0~1.4m/秒の平均歩行速度;
- 着用者から、空気流の下流方向に沿った、皮膚に近い距離から4メートルを超えるまでの距離;
- 通常、官能知覚スケールの下半分(すなわち、10段階のスケールで5まで)から選択されるがこれらに限定されない、所与の距離におけるフレグランス中の構成成分の所望の感覚強度;ならびに
- 望ましい感覚強度レベルが達成される、皮膚への適用からの時間
を含み得るが、それらに限定されない。
感覚強度レベルとは、複数のパネリストの統計的に処理された反応から所定のスケールに基づき測定された、または有効な人間の嗅覚用量反応関係を表す数式から推定された、非常に明確に定義された量であり、後者はまた、好ましくは30人以上のパネリストの統計的に処理された反応から構築される。フレグランスの性能を表す好ましい感覚強度のレベルは、消費者向け製品の用途や地域によって異なり、消費者はフレグランス性能のある面をより強調することを好む場合もあれば、より弱くすることを好む場合もある。好ましい感覚強度のレベルは、複数の対象を用いて官能パネルから厳密に決定し、その結果は統計的に処理され、本発明のフレグランス性能予測モデルにパラメータとして与えられる。
フレグランス成分またはフレグランス組成物の好ましい感覚強度レベルは、例えば、官能パネルの結果から決定されたその成分または組成物の認識閾値に関連付けることができる。認識閾値とは、感覚強度、またはフレグランス成分またはフレグランス組成物が認識され、人間の感覚によって正確に識別または説明することができる気相濃度である。
本発明が従来技術と異なる重要な特徴の1つは、実際のフレグランス使用状況における所定の感覚強度レベルを性能予測方法のパラメータとして組み込んだことであり、これにより、所与の組成物におけるフレグランス成分性能の実際の推定が可能になるだけでなく、フレグランス組成物における所望の感覚性能を得るために好ましい使用レベルの推定も可能となる。匂い値を利用するいかなる予測方法またはアプローチも、フレグランス性能についての所定の感覚強度基準を特定することができない。なぜなら、匂い値は、定義によれば、本発明において特定されうるあらゆる範囲の感覚強度レベルではなく、匂い検出閾値にのみ結び付けられているからである。
第1の態様によれば、本発明は、フレグランス成分または組成物を含むフレグランス組成物を調製するための、フレグランス成分または組成物の空間認識性予測方法であって、
- 成分に関する所定の最小精神物理学的強度に対応する最小感覚強度レベル、
- 成分が所定の最小精神物理学的強度レベルにおいて知覚されるべき距離に対応する最大距離、または
- 液相中の成分の量
のパラメータのうちの1つまたは2つを表す値を、コンピュータインタフェース上で選択する工程であって、
選択される値が、少なくとも2つの別個の値の範囲内で選択される、選択する工程、
- 成分に関する所定の最小精神物理学的強度に対応する最小感覚強度レベル、
- 選択されたかまたはデフォルトで設定された最小感覚強度レベルで成分が知覚されるべき距離に対応する最大距離、または
- 液相中の成分の量
のパラメータのうちのいずれか1つを表す値を、計算システムにより計算する工程であって、
計算される値は、選択される値に関連付けられたパラメータ以外のパラメータを表し、選択も計算もされないパラメータの値はデフォルト値に設定されており、成分デジタル識別子が、計算も選択もされる値に応じて、調製されるフレグランス組成物内で使用される実物の成分に対応する、計算する工程
を含む方法を意図する。
このような規定は、本発明の他の全ての態様をあわせたものと同様の利点を提供する。
第2の態様によれば、本発明は、フレグランス成分または組成物を含むフレグランス組成物を調製するための、フレグランス成分または組成物の空間認識性予測方法であって、
- 成分に関して望ましい所定の知覚された最小精神物理学的強度に対応する、要求される最小感覚強度レベルを表す値を、コンピュータインタフェース上で選択する工程であって、値は少なくとも2つの別個の値の範囲内で選択される、選択する工程、
- 選択された最小感覚強度レベルに対応する成分の最小気相濃度を表す値を、気相濃度を選択された最小感覚強度にリンクする用量反応曲線に応じて、計算システムにより決定する工程、
- フレグランスの気相および液相の両方に関して許容可能な最大合計成分希釈度を、決定された最小気相濃度に応じて、計算システムにより算定する工程、および
- フレグランス供給源からの最大距離までのフレグランス供給源からの距離を表す少なくとも1つの値を、計算システムにより計算する工程であって、その距離において、成分は、少なくとも算定された最大合計成分希釈度に応じて、選択された最小感覚強度レベルを示し、計算する工程は、フレグランス供給源からの所定の下流距離に対応する気相成分に関する最小空間希釈度を表す少なくとも1つの値を、電子ストレージから取得する工程を含む、計算する工程
を含む方法を意図する。
このような規定により、フレグランスの臭跡を表す距離でのフレグランス性能の正確な予測および最適化が可能になる。実際、可変の最小感覚強度レベルの使用により、フレグランスの各成分の最小性能閾値を定義することができ、この閾値により、フレグランス成分が特定の知覚強度など、要求される感覚性能を提供できる最大距離を計算することができる。このような性能閾値と距離との関係により、フレグランス成分およびフレグランス組成物全体について、現実的、定量的、かつ信頼性の高い性能予測および評価が可能となる。このような知見により、例えば、距離と時間との観点から特定の性能が要求される複数成分のフレグランスの、高度な設計が可能となる。
特定の実施形態において、計算工程は、電子ストレージから、フレグランス供給源からの所定の下流距離に対応する気相中の成分に関する最小空間的希釈を表す少なくとも1つの値を取得する工程を含み、この値は、選択された最小感覚強度レベルを成分が少なくとも呈するフレグランス供給源からの最大下流距離を計算するために使用される。
そのような実施形態は、選択されたフレグランス成分または組成物の性能レベル、例えば最小感覚強度などに関連する距離の決定において、希釈計算アルゴリズム、例えば数値流体力学に基づくあらかじめ計算された気相希釈レベルの使用を可能にする。
特定の実施形態において、本発明の方法の目的は、取得工程の前に、最小空間希釈度電子ストレージを構築する工程をさらに備え、構築工程は、最小空間希釈度の値を、フレグランス供給源からの少なくとも1つの距離の値、および
- 成分を含むフレグランス供給源に入射する流入空気流の速度を表す指標、
- 成分またはフレグランス組成物の適用表面積を表す指標、
- 人体の形状に関するシミュレーションパラメータを表す指標、および/または
- 成分またはフレグランス組成物が適用される人体上の面積位置を表す指標
のうちの少なくとも1つにマッチングさせ、
構築する工程は、供給源からの所定の下流距離における空間希釈度の値を算定するように構成された数値流体力学シミュレーションの工程を含む、方法である。
このような実施形態は、高度な数値流体力学計算アルゴリズムの使用を可能にし、その結果、フレグランス着用者からの所定の距離におけるフレグランス成分の気相濃度を正確に予測し、これを今度は無次元空間希釈度、または空間希釈係数に変換し、フレグランス組成物設計のための成分性能測定基準にリンクすることができる。
特定の実施形態において、本発明の方法は、成分のドライダウンの継続時間を表す値を設定する工程をさらに含み、計算工程は、設定されたドライダウンの継続時間に応じて得られるフレグランス供給源からの距離を表す値を計算する方法である。
そのような実施形態は、フレグランスの臭跡を表す距離における、フレグランス組成物中の全ての成分性能の時空的な解析を可能にする。
第3の態様によれば、本発明は、フレグランス成分または組成物を含むフレグランス組成物を調製するための、フレグランス成分または組成物の空間認識性予測方法であって、
- 少なくとも2つの別個の値の範囲内で、かつ成分がその所定の最小精神物理学的強度に対応する最小感覚強度レベルを示すフレグランス供給源からの最大下流距離までの距離を表す値を、コンピュータインタフェース上で、選択する工程、
- 選択された距離に関連付けられた最小空間希釈度の値を、電子ストレージから取得する工程、
- 取得された空間希釈度の値に対応する成分の気相濃度を表す値を、計算システムにより決定する工程、および
- 選択された距離の値に関して、感覚強度レベルを表す少なくとも1つの値を、気相濃度を感覚強度レベルにリンクする用量反応曲線に応じて、計算システムにより計算する工程
を含む、方法を意図する。
このような規定は、本発明の第2の態様と同様の利点を提供するが、要求される知覚強度にリンクした距離を計算する代わりに、感覚強度が目的の距離で計算されるという、第1の態様とは逆の態様を提供する。
第4の態様によれば、本発明は、フレグランス成分または組成物を含むフレグランス組成物を調製するための、フレグランス成分または組成物の空間認識性予測方法であって、
- 成分に関する所定の最小精神物理学的強度に対応する、達成されるべき最小感覚強度レベルを表す値を、コンピュータインタフェース上で選択する工程、
- フレグランス供給源からの下流距離を表す値を、コンピュータインタフェース上で選択する工程、
- 選択された最小感覚強度レベルに対応する成分の気相濃度を表す値を、気相濃度を選択された最小感覚強度にリンクする成分に関する用量反応に応じて、計算システムにより決定する工程、
- 最小空間希釈度の値を、フレグランス供給源からの選択された距離に応じて、電子ストレージから取得する工程、
- 最大合計成分希釈度を表す少なくとも1つの値を、成分に関する決定された気相濃度に応じて、計算システムにより算定する工程、および
- 計算された最大合計成分希釈度を表す少なくとも1つの値、および選択された距離に関して取得された最小空間希釈度を表す少なくとも1つの値に関して、液相の成分の量を表す少なくとも1つの値を、成分が、所定の距離における成分希釈度の値に応じて最小感覚強度レベルを示すように、計算システムにより計算する工程
を含む、方法を意図する。
このような規定は、本発明の第2の態様と同様の利点を提供するが、さらに、組成物中の成分使用レベルの明確な予測により、最小の感覚強度およびこの強度が知覚される着用者からの最短距離によって特定される性能レベルの提供が可能となる。
第5の態様によれば、本発明は、フレグランス成分または組成物を含むフレグランス組成物を調製するための、フレグランス成分または組成物の空間認識性予測方法であって、
- フレグランス供給源を形成するための少なくとも2つの成分デジタル識別子を、コンピュータインタフェース上で選出する工程、
- デジタル識別子により識別される少なくとも1つの成分の相対量を表す値を、コンピュータインタフェース上で設定する工程、
- 少なくとも1つの成分に関する望ましい所定の知覚された最小精神物理学的強度に対応する、要求される最小感覚強度レベルを表す値を、少なくとも2つの別個の値の範囲内で、コンピュータインタフェース上で選択する工程、
- 選択された最小感覚強度レベルに対応する各成分に関する最小気相濃度を表す値を、気相濃度を選択された最小感覚強度にリンクする用量反応曲線に応じて、計算システムにより決定する工程、
- フレグランスの気相および液相の両方に関する最大合計成分希釈度を、各成分に関して決定された最小気相濃度に応じて、計算システムにより算定する工程、および
- フレグランス供給源からの最大距離までのフレグランス供給源からの距離を、計算システムにより計算する工程であって、距離において、少なくとも1つの成分が、少なくとも算定された最大合計成分希釈度に応じて、選択された最小感覚強度レベルを示す、計算する工程
を含む、方法を意図する。
そのような規定は、多成分フレグランスについての本発明の第2の態様と同様の利点を提供する。
特定の実施形態において、少なくとも1つの成分デジタル識別子が、コンピュータメモリ内で、対応する成分の匂いを表す記述子に関連付けられており、方法は、少なくとも1つの代替成分デジタル識別子を、選出された成分デジタル識別子のうちの少なくとも1つに、選出された成分デジタル識別子に関連付けられた少なくとも1つの記述子に応じて、コンピュータインタフェース上で提供する工程をさらに含む。
このような実施形態は、高度なフレグランスデザイン能力を可能にし、調香師やその他香料の技術に熟練したインタフェースユーザーに、インテリジェントな洞察を与える。
このような実施形態の例において、ある成分が所与の記述子に関連付けられている場合、同じ記述子に関連付けられている別の成分により当初検討されていた成分と比べより良好な最大空間到達範囲または知覚強度が得られるならば、その別の成分と置き換えられる候補となることがある。
特定の実施形態において、提供する工程は、選出された成分デジタル識別子に関連付けられた少なくとも1つの記述子と、成分デジタル識別子について最大下流空間距離を表す計算値との両方に応じて行われる。
そのような実施形態は、高度なフレグランス設計能力を可能にし、香料設計者にインテリジェントな洞察を与える。
第6の態様によれば、本発明は、フレグランス成分または組成物を含むフレグランス組成物を調製するためのフレグランス組成物の空間認識性予測方法であって、
- フレグランス供給源を形成する少なくとも2つの成分デジタル識別子を、コンピュータインタフェース上で選出する工程、
- デジタル識別子により識別される少なくとも1つの成分の相対量を表す値を、コンピュータインタフェース上で設定する工程、
- 少なくとも2つの別個の値の範囲内で、かつ少なくとも1つの成分が、各成分に関する所定の最小精神物理学的強度に対応する最小感覚強度レベルを示す、フレグランス供給源からの最大下流距離までの距離を表す値を、コンピュータインタフェース上で選択する工程、
- 選択された距離に関連付けられた最小空間希釈度の値を、電子ストレージから取得する工程、
- 取得された空間希釈度の値に対応する少なくとも1つの成分の気相濃度を表す値を、計算システムにより決定する工程、および
- 選択された距離の値に関して、感覚強度レベルを表す少なくとも1つの値を、気相濃度を感覚強度レベルにリンクする用量反応曲線に応じて、計算システムにより計算する工程
を含む、方法を意図する。
このような規定は、本発明の第5の態様と同様の利点を提供する。
第7の態様によれば、本発明は、フレグランス組成物の製造方法であって、
- フレグランス組成物のデジタル表現を形成するための少なくとも1つの成分デジタル識別子を、コンピュータインタフェース上で選択する工程、
- 請求項1から10までのいずれか1項記載の、フレグランス組成物の空間認識性予測方法に従って、選択された少なくとも1つの成分デジタル識別子に関する空間認識性を、計算装置により予測する工程、および
- フレグランス組成物を、フレグランス組成物のデジタル表現に応じて調製する工程
を含むことを特徴とする、方法を意図する。
本発明の他の利点、目的、および特定の特徴は、本発明の対象である少なくとも1つの特定の方法に関する以下の非網羅的な説明から、ここに添付した図面との関連で、明らかになる。
2つの特定のフレグランス成分についての用量反応曲線を、模式的に表す図である。 本発明の対象である方法の工程における第1の特定の一連の流れを、模式的に、かつフローチャートの形態で表す図である。 本発明の対象である方法の工程における第2の特定の一連の流れを、模式的に、かつフローチャートの形態で表す図である。 本発明の対象である方法の工程における第3の特定の一連の流れを、模式的に、かつフローチャートの形態で表す図である。 本発明の対象である方法の工程における第4の特定の一連の流れを、模式的に、かつフローチャートの形態で表す図である。 フレグランスを着用した人のすぐ後ろの臭跡現象を、数値流体力学シミュレーションから抽出した空間的等方希釈輪郭により、模式的にグラフ表示する図である。 フレグランス成分(化合物)の匂い希釈能力を、同じ成分の匂い値と比較して模式的にグラフ表示する図である。 縦軸にフレグランス組成物における全ての成分の空間到達度を、横軸にその成分の揮発度を表すインタフェースを、模式的に示す図である。 本発明の対象である方法の工程における第5の特定の一連の流れを、模式的に、かつフローチャートの形態で表す図である。 本発明の対象である方法の工程における第6の特定の一連の流れを、模式的に、かつフローチャートの形態で表す図である。 揮発度、匂い値(匂い検出閾値)に基づく空間到範囲(認識度)、および匂い希釈能(ODC)に基づく空間到達範囲(認識度)の関係を、多数の成分について、模式的に示す図である。 本発明に関連するスケールモデルの単純化された数値流体力学シミュレーションの環境を、模式的に示す図である。 本発明の対象である方法の工程における第7の特定の一連の流れを、模式的に、かつフローチャートの形態で示す図である。 シミュレートされた数値流体力学により得られた値と、実際の測定値との比較を、模式的に示す図である。 本発明の目的である方法を実行するソフトウェアのインタフェースを、模式的に示す図である。
発明の詳細な説明
1つの実施形態の各特徴は、他のあらゆる実施形態のあらゆる特徴と有利な方法で組み合わせることができるため、この説明は網羅的ではない。
欧州特許出願EP20172487.9号明細書は、参照により本明細書に組み込まれる。
ここで、図面は縮尺通りではないことに留意されたい。
ここで、「認識性予測方法」とは、技術的パラメータを表す値が当該方法の出力である限り、技術的パラメータについてのシミュレーション方法と考えられることに留意されたい。技術的パラメータについて、そのようなパラメータは、自然の力を表すパラメータであることが理解される。
フレグランス成分または組成物を含むフレグランス組成物を調製するためのフレグランス成分または組成物の空間認識性予測方法は、最小の実施形態において、
- 成分に関する所定の最小精神物理学的強度に対応する最小感覚強度レベル、
- 成分が所定の最小精神物理学的強度レベルにおいて知覚されるべき距離に対応する最大距離、または
- 液相中の成分の量、
のパラメータのうちの1つまたは2つを表す値を、コンピュータインタフェース上で選択する工程であって、
選択される値が、少なくとも2つの別個の値の範囲内で選択される、選択する工程、
- 成分に関する所定の最小精神物理学的強度に対応する最小感覚強度レベル、
- 選択されたかまたはデフォルトで設定された最小感覚強度レベルで成分が知覚されるべき距離に対応する最大距離、または
- 液相中の成分の量
のパラメータのうちのいずれか1つを表す値を、計算システムにより計算する工程であって、
計算される値は、選択される値に関連付けられたパラメータ以外のパラメータを表し、選択も計算もされないパラメータの値はデフォルト値に設定されており、成分デジタル識別子が、計算も選択もされる値に応じて、調製されるフレグランス組成物内で使用される実物の成分に対応する、計算する工程
を含む。
このような実施形態を、以下の図2~図11の説明において例を挙げて説明する。
図2は、本発明の対象である方法における、特定の一連の工程を示す。
このフレグランス成分または組成物を含むフレグランス組成物を調製するためのフレグランス成分または組成物の空間認識性予測方法200は、最小の実施形態において、
- 成分に関して望ましい所定の知覚された最小精神物理学的強度に対応する、要求される最小感覚強度レベルを表す値を、コンピュータインタフェース上で選択する工程であって、値は少なくとも2つの別個の値の範囲内で選択される、選択する工程205、
- 選択された最小感覚強度レベルに対応する成分の最小気相濃度を表す値を、気相濃度を選択された最小感覚強度にリンクする用量反応曲線に応じて、計算システムにより決定する工程240、
- フレグランスの気相および液相の両方に関して許容可能な最大合計成分希釈度を、決定された最小気相濃度に応じて、計算システムにより算定する工程210、および
- フレグランス供給源からの最大距離までのフレグランス供給源からの距離を表す少なくとも1つの値を、計算システムにより計算する工程215であって、その距離において、成分は、少なくとも算定された最大合計成分希釈度に応じて、選択された最小感覚強度レベルを示し、計算する工程は、フレグランス供給源からの所定の下流距離に対応する気相成分に関する最小空間希釈度を表す少なくとも1つの値を、好ましくは、着用者が適用する成分量、適用場所、および歩行速度のデフォルトにおいて、電子ストレージから取得する工程220を含む、計算する工程215
を含む。
選択する工程205は、検討されるコンピュータインタフェース上で手動または自動で実行することができる。例えば、特定の実施形態において、選択する工程205は、計算システム上で実行されるソフトウェアのGUI上で、成分にとって望ましい選択された最小感覚強度レベルを入力するために、マウスおよび/またはキーボードを操作する人間のオペレータにより実行される。
選択された最小感覚強度レベルは、消費者の嗜好や消費者の使用習慣に沿った成分の所望の性能に対応するべきものである。選択された値が高いほど、フレグランス組成物または成分により高い性能を要求する、より制限的に意図された嗅覚知覚レベルに対応する。この発明の特定の実施形態において、最小感覚強度レベルは、例えば、検討される成分の認識閾値に対応することができる。この発明の特定の実施形態において、フレグランス組成物中の異なる成分に対して、異なる最小感覚強度レベルを選択することができる。
最小感覚強度レベルは、例えば、用量反応曲線(例えば、図1)によって定義されるような、成分に関する知覚される精神物理学的強度の値に対応し、次いで、成分の気相濃度の値に対応する。
国際公開第2006/138726号に開示されているような従来技術において、知覚される精神物理学的強度と、成分の気相濃度との関係は、線形であると考えられている。このような考察から、本発明者らは、この関係を確立するために線形回帰を使用することを思いついた。しかし、このような関係は予測精度の点で劣ることが、本発明の発明者らによって見出された。
他のモデルにおいて、用量反応曲線データベースを用いた香料原料の香り強度の予測方法-花王(株)-和歌山英樹、逆井光義、吉川圭一、井上道昭、Ind. Eng. Chem. Res., 58, 15036-15044, 2019の開示を利用することが可能である。この開示において、314個の香料原料について、用量反応曲線が提供されている。
より高度な実施形態において、ある範囲または一連の最小感覚強度レベルが選択され、必ずしも組成物中の全ての成分について同じであるとは限らない。このような実施形態において、算定する工程210および計算工程215は、以下に説明するように、選択された一連の値の各値、または選択された値の範囲の境界に対して実行可能である。
特定の実施形態において、本発明の対象である方法200は、スプレーディスペンサなどにより着用者の体に適用される成分の液相量を表し、成分が適用される表面積にリンクする(したがって、フレグランス供給源に位置する)値を設定する工程(図示せず)を含む。
このような設定する工程は、選択する工程205と同様の方法で行うことができる。このような実施形態において、化合物の気相濃度は、運動量保存式(例えば、乱流処理のためのレイノルズ平均ナビエ・ストークス方程式)および質量保存式を含む輸送現象の等式を介して、液相量にリンクされ、これらは以下でより詳細に説明する通り、計算し、電子ストレージ内に格納することが可能である。
決定する工程240は、例えば、計算システムよって実行され、この計算システムは、選択された最小感覚強度レベルに対応する気相濃度を表す値を、用量反応曲線を記述する数式のパラメータに基づいて計算するコンピュータプログラムを実行するように構成されている。
特定の実施形態において、本発明の方法200は、用量反応曲線を記述する数式の主要なパラメータを表す、用量反応曲線の数学的パラメータのデータベースにアクセスする工程(図示せず)を含む。そのような実施形態において、そのような数学的パラメータは、決定工程の間に使用される。
算定する工程210は、例えば、計算システムによって実行されるソフトウェアによって行われる。このソフトウェアは、フレグランス臭跡内における成分に要求される知覚された精神物理学的強度(感覚強度)をフレグランス臭跡内における成分の最大空間希釈度にリンクさせるアルゴリズムを実行することができる。フレグランス組成物の場合、アルゴリズムはまた、成分の質量分率などの、ドライダウン中の選択された時間(フレグランスを着用者に適用してから経過した時間)におけるフレグランスの組成を表す値、および任意で、所与のフレグランス組成物に関する成分の活量係数を表す値を使用する。
例えば、この算定する工程210の工程中、以下の数式を使用することができる:
y=5,1696x+13,507x
式中:
- yは、無次元空間希釈係数に相当し、この無次元空間希釈係数は、距離ゼロにおける(フレグランスの気液界面における)最大ヘッドスペース濃度の、フレグランス供給源からの距離xにおける最大ヘッドスペース濃度に対する比率であり、かつ
- xは、1メートル/秒の空気流量で人間のスケールシステムとの幾何学的な類似性を示すスケールダウンモデルにおけるフレグランス供給源からの距離(センチメートル)を表す。
本発明において、「最大合計希釈度」(「匂い希釈能」(ODC)ともいう)は、所与の温度における成分の平衡(飽和)気相濃度(または揮発度)の、成分について要求される最小感覚強度レベルに対応する、成分の気相濃度に対する比率をいう。成分の最大合計希釈値またはODCが高いほど、成分空間希釈に対する耐性が高く、したがって、フレグランス供給源から離れても、所与の液相希釈について、特定された最小感覚強度レベル、またはそれ以上で、成分を知覚することができる。換言すれば、成分のODCが高いほど液相でより希釈され得るので、フレグランス供給源から一定の距離をおいて最小感覚強度レベル、またはそれ以上で知覚され得る。
単一の(純粋な)成分の場合、最大空間希釈度は、最大合計希釈度(すなわち、上記で定義されたODC)と同じであり、成分が知覚されるべき意図された強度レベルの関数である。フレグランス組成物などの混合物の一部である成分の場合、最大空間希釈度は、ドライダウンにおける選択された時間(着用者にフレグランスが適用されてから経過した時間)における組成物中の成分の相対的用量、例えばその重量分率、ならびに任意に活量係数(例えばUNIFAC, Modified UNIFAC Dortmund、または類似の活量係数モデルから計算される)を用いて、適宜、混合物の非理想性を考慮に入れて、最大合計希釈度から計算される。
成分の到達距離(空間)を表す少なくとも1つの値を計算する工程215は、例えば、計算システムによって実行されるソフトウェアによって行われ、このソフトウェアは、空間的希釈度を臭跡内の着用者(またはフレグランス供給源)からの下流距離にリンクするアルゴリズムを使用して実行する。
このようなアルゴリズムは、当業者であれば、気体成分を供給源(気液界面)位置からセンサー位置まで輸送する気流強度が決定された場合に、着用者の皮膚上などその気液界面に位置する成分の供給源から所定の距離における成分の気相濃度を経験的に測定することにより構築することができる。あるいは風洞式実験における測定から得ることができる値もある。
あるいは空間希釈度を供給源からの下流距離とリンクさせるアルゴリズムは、環境工学から借用したガウスプルームタイプのモデルを利用した高度に近似的な推定方法から構築することができる。しかしながら、このようなモデルは、例えば環境汚染物質の輸送に関するような、マイルやキロメートルなどより大きな長さスケールでの適用が意図されており、フレグランス臭跡の本質的な特徴である人体周囲の空気流による強い乱流気相混合は考慮されていない。
あるいは好ましい実施形態において、空間希釈度を供給源からの下流距離にリンクさせるアルゴリズムは、図6において説明されているようなデジタルモデリングの生成物でもよい。このような代替的な実施形態では、空間(気相)希釈係数の値は、所与の(選択された)量のフレグランスが適用される場合のフレグランス供給源からの下流距離の値、または同等に、体の特定の部分においてフレグランスが適用された表面積に関係する。
単純な実施形態において、このような、空間希釈とフレグランス供給源からの下流距離とのリンクは、着用者からの下流距離を空間(気相)希釈に一致させる対応表によって得られ、後者は、気液界面(供給源)における飽和気相濃度に対する成分の気相濃度の低下を定量化する。例えば、特定の入射気流速度および人体においてフレグランスが適用される表面積に応じて、1メートルの距離が、少なくとも30倍の界面気相濃度の低減にリンクされ、2メートルの距離が、少なくとも65倍、3メートルの距離が、少なくとも100倍の低減にリンクされる可能性がある。
選択された最小感覚強度レベル以上にその知覚レベルを維持しながら、成分(純粋成分またはフレグランス組成物のいずれか)に適用できる最大空間希釈度が判ったところで、計算工程215は、最小感覚強度レベルが満たされる着用者からの最大下流距離を決定する。
図2に示すような特定の実施形態において、計算する工程215は、フレグランス供給源からの所定の下流距離に対応する気相中の成分の最小空間希釈度を表す少なくとも1つの値を、電子ストレージから取得する工程220を含み、取得された値は、選択された最小感覚強度レベルを成分が少なくとも示す、フレグランス供給源からの最大下流距離を計算するために使用される。
取得する工程220は、例えば、計算システムのネットワークカードによって命令される通信媒体によって行われる。このような通信媒体は、通信ネットワーク(例えばインターネット)とアンテナまたは有線でつなぐことができる。あるいは電子ストレージは、例えば、ハードドライブなどの、計算システムに取り付けられているかまたはその一部である電子メモリである。
この取得する工程220中、計算システムは、要求された値を抽出するために、電子ストレージへの接続を確立する。このような空間希釈度に対する下流距離の関数的関係は、次いで、計算する工程215において使用される。
図2に示したような特定の実施形態において、本発明の方法200は、取得する工程220の前に、最小空間希釈電子ストレージを構築する工程225を含み、この構築する工程は、最小空間希釈度の値を、フレグランス供給源からの少なくとも1つの距離の値、および
- 成分を含むフレグランス供給源に入射する流入空気流の速度を表す指標、
- 成分またはフレグランス組成物の適用表面積を表す指標、
- 人体の形状に関するシミュレーションパラメータを表す指標、および/または
- 成分またはフレグランス組成物が適用される人体上の面積位置を表す指標
のうちの少なくとも1つにマッチングさせ、
構築する工程は、供給源からの所定の下流距離における空間希釈度の値を算定するように構成された数値流体力学シミュレーションの工程230を含む。
構築する工程225は、数値流体力学シミュレーションのソフトウェアを実行する計算システムにより実施可能であり、人体の特定の寸法および近似しているが現実的な幾何学的詳細を含む複数の入力パラメータに基づきモデルをセットアップし、数値流体力学シミュレーションの工程230を実行し、計算から得られたローデータの後処理分析を行いデータ寸法を3次元から1次元(距離)へと減らし、計算された値をストレージに格納する。
このような人体の幾何学的な詳細は、例えば、頭部の位置、または頭部、胴、または腕のサイズおよび形状であってもよい。
数値流体力学シミュレーションの工程230は、例えば、メンターのせん断応力輸送乱流モデルを利用する。シミュレーションを扱いやすくするために、シミュレーションは、好ましくは、人間を静止させたまま、空気が好ましくは目的の平均速度(例えば、平均歩行速度1.4メートル/秒)で、人体の前面に入射する方向(例えば、人体の背中に対して外向きに垂直な方向、または同等に、胸などの人体の前面に対して外向きに垂直な方向とは逆の方向)に動くような、静止メッシュで実行される。最初に、空気流速度ベクトル場としても知られる、空間内の空気流速度分布が、上述の乱流モデルに基づき、人体周囲の3次元で計算される。次に、実際の消費者のフレグランス着用習慣を表すために選択された、人体の複数の所定のフレグランス適用表面積およびフレグランス適用位置に関して、対流(前工程であらかじめ計算された3次元空気流速度ベクトル場を利用)および拡散(乱流拡散性を含む)を考慮して、空気中のフレグランス輸送が3次元でシミュレートされる。
前記数値流体力学シミュレーションの工程230に関するシミュレーション環境は、図12に例示する通りである。このフレグランス臭跡の非常に単純化されたスケールモデル1234において、フレグランス供給源1233は、上面(以下の例では3平方センチメートル)に位置し、モデル1234はチューブ1232内に位置し、モデル1234においては、チューブの対称軸と一致する方向に空気流が向けられ、ファンなどの渦度を誘起するいかなる上流域混合手段も採用されない。
図12の環境における、このような数値流体力学シミュレーションの工程230からの出力は、例えば、以下の通りである。
Figure 0007438410000001
図14は、
- シミュレートされた数値流体力学モデリングの結果を表す曲線1405
- 曲線1405によりモデル化されたシステムと同様の、実生活における実測値1410、
- x軸1420に、化合物の気液界面からの距離(センチメートル)、および
- y軸1415に、化合物の気相濃度(マイクログラム/リットル)
を、示すグラフ1400を模式的に示す。
図6は、このような数値流体力学シミュレーションの工程230の結果を、模式的にプロットしたものである:
- 参照番号605は、所定の適用表面積の成分またはフレグランス組成物を身体の特定の位置に着用している人間モデル610に向けて放出される、空気流の量を表し、かつ
- 参照番号615、620および625は、等値線、すなわち計算値の範囲内から選択された一定の気相濃度をトレースする輪郭線を表し、輪郭線によって表すべく選択された値の中で、第1の等値線615は最高気相濃度を表し、第2の等値線620は中間の気相濃度を表し、第3の等値線625は最低気相濃度を表す。
あるいはこれらの等値線615、620、および625は、計算値の範囲内から選択された一定の空間希釈係数の輪郭線を指定してもよく、希釈係数は、成分が体に着用される場所630における、選択したフレグランス成分の界面濃度(つまり、同じ温度における理想気体の状態方程式による蒸気圧(液相の混合物の一部である場合は蒸気分圧)に対する、所与の温度における飽和気相濃度)である、成分の最大気相濃度を、フレグランス臭跡内で検討される、特定の空間座標における気相濃度で除算することにより算出される。
図6から明らかなように、臭跡における気相フレグランス濃度および関連する空間希釈度(空間希釈係数に同じ)は、人間モデルから下流方向に実質的かつ非線形である複雑な空間変動を示す。同様に、気相濃度と関連する空間希釈係数の複雑な空間変動は、流入する空気流の方向に垂直な(すなわち図6に示す平面に垂直な)断面(図示せず)上にも存在する。人間モデルからの各下流距離において、最大気相フレグランス濃度(最小気相希釈係数に同じ)を、完全な3次元解から抽出することができる。このアプローチの結果として、臭跡内の気相(空間)希釈度と、フレグランスを着用している人からの下流距離との間の1対1の関係の点で、フレグランス臭跡の実用的かつ扱いやすい解釈が得られる。
この分析は、例えば、首、肩、またはその両方のような異なる場所への成分またはフレグランスの配置についても行うことができる。この分析は、人体上の、成分または香料組成物が適用される表面積が異なる場合も行うことができる。この分析はまた、流入空気速度が異なる場合も行うことができる。
フレグランス組成物の性能は、それが臭跡に、または従来技術において定義されることのある他の性能特性にリンクされているかにかかわらず、構成成分の嗅覚的性能測定基準の観点から検討される場合がほとんどである。
従来技術において、匂い値は、匂い化合物についてのデファクト・スタンダードな嗅覚的性能測定基準であり、性能に基づいた成分の選択、および調合物における成分性能の推定に利用されてきた。
匂い成分の匂い値は、その揮発度の無次元比として定義され、これは、飽和時の平衡(界面)気相濃度(通常は20~40℃の範囲の温度が用いられるが、他の温度を用いることもできる)であり、かつその匂い検出閾値(ODT)は、人間の鼻により成分が検出可能である最低の気相濃度である:匂い値=Cg,interf/Cg,ODT、ここで、Cg,interfは、飽和における成分の界面気相濃度(またはその揮発度)であり、理想気体の状態方程式と、蒸気圧(純成分の場合)または分圧(組成物中の成分の場合)のいずれかから導き出すことができ、Cg,ODTは、上述したようにODTである。
フレグランス性能に関する測定基準としての匂い値には、2点の欠陥がある。
第1に、匂い値は匂い検出閾値に基づくので、匂い値に基づくいかなる成分性能測定基準であっても、成分が少なくともその匂い検出感覚レベルで気相中に存在することのみを必要とし、匂い付けされた消費者向け製品における実際の使用レベルにおいて、成分が強い知覚を誘発するか、または弱い知覚を誘発するかを予測することはない。したがって、この匂い検出基準は、必要ではあるが、消費者の期待に応えるかまたはそれを上回る望ましい性能を示すフレグランス製品を設計するには十分ではない。基礎となる感覚認知基準が不十分であるため、匂い値に基づく性能測定基準は、調合物(組成物)を含む成分の性能を強調しすぎ、要求される感覚性能レベル(例えば、特定の最小感覚強度または認識)を提供するために実際に必要とされるよりも少ない量で成分が使用され得ることが示唆される。
第2に、異なる成分の性能を比較した場合、匂い値に基づく性能測定基準は、様々な消費者向け製品の用途における所望のフレグランス性能に一般的にリンクされている知覚強度における相対的な成分性能を予測するものではない。図1は、この点を、アルファダマスコンおよびデルタダマスコンに関する用量反応曲線を用いて示しており、ここでは、検出レベル(ODT)から中間強度レベルに気相濃度が増加する一方で、相対的性能の交差が見られる。つまり、嗅覚的用量反応特性は、消費者によるフレグランスの着用および使用の実際の条件における匂い検出閾値(または検出閾値に基づく匂い値)に比較して、匂い成分の感覚性能を、非常に正確にかつ信頼性をもって説明する。匂い値に基づく性能測定基準の使用に起因する性能の誇張の誤りの程度を、以下に説明する。
本発明の方法において、フレグランス組成物中の構成成分の性能は、臭跡における構成成分の空間的な到達範囲にリンクしており、要求される成分の最小感覚強度が得られるフレグランス着用者からの最大下流距離として定義され、成分の匂い希釈能力(ODC)を定義および評価し、ODCは、匂い値とは異なり、消費者のフレグランス着用および消費者のフレグランス製品の使用にリンクした実際的な感覚性能基準に基づいている。
匂い成分の匂い希釈能力は、Cg,interf/Cg,(Iref)として定義することができ、Cg,interfは、選択された(蒸気圧に数学的に関連する)固定基準温度における飽和状態における純粋な成分の界面気相濃度であり、C(Iref)は、所与の消費者向け製品における成分またはフレグランスの性能の特定の要件(すなわち、例えば成分またはフレグランス組成物の認識にリンクする場合がある特定の感覚強度)に関連して選択される、必要とされる最小感覚強度レベルIrefにおける、成分の気相濃度である。図7に、ODCの定義を示し、一例としての用量反応曲線について、本発明のODC725のアプローチと従来技術に基づく従来の匂い値726のアプローチとの差をグラフで示す。
図7は、選択された最小感覚強度レベル145に基づくデルタダマスコンに関するODC725の値を、グラフで示す。
ODC測定基準は、所与の消費者向け製品への適用または所与の成分に関して必要とされる最小感覚強度であるIrefの基準を変更することにより、特定の消費者向け製品用途の感覚性能要件に適合するように、容易に調整することができることに留意すべきである。他方で、従来技術における匂い値のアプローチでは、このようなことは不可能である。というのも、このようなアプローチでは、感覚性能は、匂い検出によりアクセスできるレベルでしかないからである。このように、匂い値は、フレグランス成分の性能を定量化するために可能な限り最も大雑把な感覚性能基準を適用し、そのために、純粋なフレグランス成分および組成物中のフレグランス成分の両方の性能を、ことさら誇張するのである。
図11は、x軸1105上に有限数の成分の揮発度を、y軸上に成分が知覚される(フレグランス供給源からの)距離にリンクした成分の認識性の範囲のいくつかを表すグラフを模式的に示す。これらの範囲は:
- 皮膚の近く(または供給源もしくは基材の近く)1111、
- アウラ(供給源からから0.5メートルまで)1112、
- 臭跡(供給源から4メートルまで)1113、および
- 空間に充満(供給源から4メートル以上)1114
のカテゴリーにクラスタリングされている。
図11に示される各成分の液相分率(液相希釈度)は、本願に開示されているODC性能測定基準から計算されるのと同じレベルの認識性1110(y軸)を生じるように選択されている。図11の各縦線は1つの成分を表し、ODC性能測定基準から決定された成分の認識性レベル1110を、例えば、1121~1133とラベル付けされた点で示される従来技術の匂い値性能測定基準から決定された成分の認識性レベルに、垂直に接続している。
図11は、従来技術の匂い値に基づく測定基準が、特定のパターンを有さない多数のフレグランス成分の認識性(距離到達範囲)を実質的に過大評価することを示しており、匂い検出閾値および匂い値の概念に依存する従来技術の方法の実質的な欠陥を示す。匂い値に基づく測定基準は、匂い検出のみを参照しているため、臭跡および消費者による使用の実際の条件にリンクされた成分の用量反応特性からの有限の知覚強度を参照する本発明に開示されているODC測定基準とは対照的に、成分の空間到達範囲(認識性)を著しく過大評価している場合が多い。
以下の表では、図11のチャート上の成分の一部を同定している。空間認識性に関する成分の空間性能は、当技術分野で現在知られている方法では、実質的に過大評価されている。
Figure 0007438410000002
上記で考察した数値流体力学シミュレーションの結果は、消費者の着用習慣およびフレグランスの使用にリンクした実際のフレグランス着用パラメータに関して、歩く人間から放出されるフレグランス成分またはフレグランス組成物の気相(空間)希釈度に、フレグランス着用者の臭跡の下流距離をリンクする。したがって、着用者によるフレグランス着用からの所与の時間におけるフレグランスに関する組成的な情報(例えば、構成成分の相対量)とフレグランスの構成成分に関するODC値とを組み合わせることで、臭跡内の所望の距離におけるフレグランスの感覚性能を、所望のフレグランス着用パラメータの任意の組み合わせについて計算された距離と空間希釈度とのこのような関係から、予測することができる。
したがって、最小感覚強度レベル基準が一度選択されると、この感覚基準を満たすフレグランス成分の対応する最大気相希釈度により、臭跡における成分の空間到達範囲(すなわち、感覚基準が満たされる、フレグランス着用者からの最大下流距離)の推定が可能になる。フレグランス成分のこの最大気相希釈度は、性能に関する感覚基準として認識または特定の感覚強度を使用するというよりは、むしろ単なる匂い検知を使用する、従来技術の匂い値測定基準から得ることができるが、匂い値測定基準では成分の性能が強調されすぎ、実際の消費者によるフレグランス着用および消費者向け製品の使用習慣に関連付けられた感覚強度における成分の相対的性能は予測できない。したがって、最も好ましくは、そして従来技術に対する有意な改善として、フレグランス成分の最大気相希釈度は、消費者向け製品の用途において遭遇する消費者のフレグランス着用および習慣と関連付けられた実際の感覚強度を、目標とするフレグランス性能に関する感覚基準として利用する、本発明の匂い希釈能計測基準から、得られる。
ODCを計算するために、フレグランス調合物の構成成分に関して、気相濃度に応じた感覚強度を記述する数学的表現のパラメータとして提供可能な感覚用量反応特性、ならびに、それらの成分の蒸気圧または揮発度と、(いくつかの特定の実施形態では、認識または認識閾値にリンクすることができる)最小感覚性能レベルに関する感覚基準としての所望の感覚強度レベルIrefが必要であり、Irefは、各成分に対して一連の値から選択、または個別設定することさえ可能である。
上記で開示したような、約数百種類の匂い成分の嗅覚用量反応データが、花王株式会社から公開されている。
蒸気圧は、DIPPR (American Institute of Chemical Engineers)、Dortmund Data Bank (DDBST GmbH)、PHYSPROP (Syracuse Research Corporation)、またはDETHERM (DECHEMA)のような、物性データベースから得ることがでるが、これらに限定されない。また、蒸気圧は、EPISuite(米国環境保護局)のような無料で入手可能なソフトウェアツールを用いて予測することができるが、これに限定されない。
図2に示すような特定の実施形態において、本発明の方法200は、成分または成分を含有する組成物のドライダウンの継続時間(すなわち、着用者が最初に製品を適用してから経過した時間)を表す値を設定する工程245、および設定したドライダウンの継続時間に応じて得られる、フレグランス供給源からの距離を表す値を計算する工程215を含む。
この値は、通常、0~360分の範囲内で設定されるが、対象となる消費者向け製品におけるフレグランスの使用可能期間に関連する任意の長さまで延長可能である。
この設定する工程245は、手動で、または自動的にコンピュータインタフェース上で実行することができる。例えば、特定の実施形態において、設定する工程245は、計算システム上で実行されるソフトウェアのGUIに、成分の所望のドライダウン期間を入力するために、マウスおよび/またはキーボードを操作する人間のオペレータによって行われる。
設定された時間は、液相から気相への成分の蒸発継続時間を表し、そのような成分は、空気流によってフレグランス供給源から運ばれて離れていく。ドライダウンの継続時間に応じた空気中の所与の成分の量を、蒸発速度式を使用することにより、知ることができる。
ドライダウンの継続時間は、フレグランス組成物中の成分の位置における最大気相濃度を、フレグランス組成物中の成分の揮発度、ならびに他の成分の揮発度および相対量に応じて、低減または増加させることがある。例えばトップノートおよびある種のミドル(ハート)ノートなどのような、フレグランス組成物においてより高い揮発度を有する成分の場合、気相濃度および対応する空間到達範囲は、着用者がフレグランスを着用してから経過した時間と共に単調に減少する。しかしながら、組成物中において揮発度がより低いまたは最も低いボトム(ベース)ノートなどの成分の場合、調合物におけるそれら成分の相対的な寄与は、より揮発度が高い成分が調合物から離れるにつれ、フレグランスの適用から経過する時間と共に実際には増加し、それらより低い揮発度を有する成分の気相濃度と臭跡性能も増加する。
図2に示すような特定の実施形態において、本発明の方法200は、成分デジタル識別子データベースを増強する工程250を含む。
この増強する工程250は、例えば、所望の感覚強度レベルの周りに固定された知覚強度の変化を、所定の空間成分希釈係数(率)に応じて決定するように構成されたソフトウェアを実行する計算システムによって行われる。この気相中の特定された成分希釈率の結果としての知覚強度の変化を、ここでは「希釈に対する耐性」と定義し、この計算結果は、好ましくは成分デジタル識別子に対応して、電子ストレージに格納される。
成分の希釈に対する耐性は、選択された最小知覚強度レベル付近の例えば20倍の気相希釈度にわたる知覚強度の変化から計算されるが、この特定の気相希釈係数に限定されることはなく、意図される消費者による付香製品の使用および/または製品形式に基づいて調整することができる。
図2に示す特定の実施形態において、成分デジタル識別子データベースを増強する工程250は、計算された希釈に対する耐性(「ΔΙ」と表示され、または特定の例として、希釈係数が20の場合には「I20X」と表示される)および種々の最小感覚強度レベルにリンクするODC値に基づいて、関連する更なる成分性能測定基準を決定し格納するように設計されており、この更なる成分性能測定基準は、すでに説明した性能測定基準から導き出される場合もあり、また、例えばコストなどの、他の成分情報を統合する場合もある。デジタル成分識別子データベースのこのような増強は、インテリジェントフレグランス設計の実用的な恩恵をもたらし、臭跡における性能に基づく成分の選択および用量、ひいてはフレグランス設計に関するその他の特徴、例えばコストなどの最適化につながり、それらの全てがそのようなフレグランスが組み込まれた消費者向け製品の改良へとつながる。
図3は、本発明の対象である方法の特定の一連の工程を示す。このフレグランス成分または組成物を含むフレグランス組成物を調製するための、フレグランス成分または組成物の空間認識性予測方法300は、
- 少なくとも2つの別個の値の範囲内で、かつ成分がその所定の最小精神物理学的強度に対応する最小感覚強度レベルを示すフレグランス供給源からの最大下流距離までの距離を表す値を、コンピュータインタフェース上で、選択する工程305、
- 選択された距離に関連付けられた最小空間希釈度の値を、電子ストレージから取得する工程310、
- 取得された空間希釈度の値に対応する成分の気相濃度を表す値を、計算システムにより決定する工程340、および
- 選択された距離の値に関して、感覚強度レベルを表す少なくとも1つの値を、気相濃度を感覚強度レベルにリンクする用量反応曲線に応じて、計算システムにより計算する工程315
を含む。
選択する工程305は、検討されるコンピュータインタフェース上で手動または自動で行うことができる。例えば、特定の実施形態において、選択する工程305は、マウスおよび/またはキーボードを操作する人間のオペレータによって行われ、計算システム上で実行されるソフトウェアのGUIに、成分に関して所望される最大距離が入力される。
最大選択可能距離は、着用者から下流の臭跡における成分の最大空間到達範囲に対応するのが望ましく、この最大空間到達範囲において最小感覚強度基準が満たされる。この最大値よりも高い距離を選択すると、特定の最小感覚強度基準違反につながる。
特定の実施形態において、本発明の方法300は、選択された距離に加えて成分の液相量を表す値を設定する工程(図示せず)を含む。この量は、着用者に適用される液状製品の絶対量であり、特定の最小感覚強度基準に関する各成分の最大選択可能距離を決定する際に使用される。
この設定する工程は、選択する工程305と同様に行うことができる。取得する工程310は、例えば、計算システムによって実行されるソフトウェアによって行われ、このソフトウェアは、距離を空間希釈度にリンクするアルゴリズムを使用する。
この場合、上記で定義したODCとしても知られる「最大合計希釈度」は、好ましくは所与の温度に関する成分の最大(飽和)気相濃度(または揮発度)と、選択された最小感覚強度レベルに対応する気相濃度との比として定量化される差のことをいう。最大合計希釈度(またはODC)の値が高いほど、成分は空間希釈に対して強くなり、したがって、着用者に適用される所与の量の液相について選択された最小感覚強度で、より遠く離れて成分を知覚することができる。
決定する工程340は、例えば、コンピュータプログラムを実行するように構成された計算システムによって行われる。この決定する工程340の間、気相濃度、または気相濃度変動の値が、距離を希釈にリンクするモデル、例えば図6に説明するように得られるモデルの結果を使用して得られる。
初期の液相量を設定する工程を含む実施形態において、ドライダウン(すなわち、着用者が成分を適用した時から経過した時間)中の様々な時点での液相量を、所与の成分の揮発度に対する液相の蒸発速度により計算することができる。蒸発速度と揮発度と関係は、例えば、経験的測定によって、または数値流体力学を利用するシミュレーションによって、かつそれに続く目的の温度における純成分の蒸発速度の電子ストレージを構築することによって、得ることができる。
感覚的強度レベルを表す少なくとも1つの値を計算する工程315は、例えば、計算システムによって実行されるソフトウェアによって行われ、このソフトウェアは、気相濃度を感覚的強度レベルにリンクするアルゴリズムを使用して実行する。このような計算する工程315は、成分の用量反応曲線、または用量反応曲線の数式を表すパラメータを使用して、知覚感覚強度レベルを決定することができる。
図3の実施形態は、特に、取得する工程220、構築する工程225、数値流体力学シミュレーションの工程230、ドライダウンの継続時間を表す値を決定する工程245、データベースを増強する工程250、計算する工程255、および/または希釈に対する耐性を構築する工程260に関して、図2の実施形態における全ての変化形を含み得ることを理解されたい。
図4は、本発明の対象である方法の特定の一連の工程を示す。フレグランス成分または組成物を含むフレグランス組成物を調製するための、このフレグランス組成物の空間認識性予測方法400は、
- フレグランス供給源を形成するための少なくとも2つの成分デジタル識別子を、コンピュータインタフェース上で選出する工程405、
- デジタル識別子により識別される少なくとも1つの成分の相対量を表す値を、コンピュータインタフェース上で設定する工程410、
- 少なくとも1つの成分に関する望ましい所定の知覚された最小精神物理学的強度に対応する、要求される最小感覚強度レベルを表す値を、少なくとも2つの別個の値の範囲内で、コンピュータインタフェース上で選択する工程205、
- 選択された最小感覚強度レベルに対応する各成分に関する最小気相濃度を表す値を、気相濃度を選択された最小感覚強度にリンクする用量反応曲線に応じて、計算システムにより決定する工程240、
- フレグランスの気相および液相の両方に関する最大合計成分希釈度を、各成分に関して決定された最小気相濃度に応じて、計算システムにより算定する工程210、および
- フレグランス供給源からの最大距離までのフレグランス供給源からの距離を、計算システムにより計算する工程215であって、距離において、少なくとも1つの成分が、少なくとも算定された最大合計成分希釈度に応じて、選択された最小感覚強度レベルを示す、計算する工程215
を含む。
選出する工程405は、検討されるコンピュータインタフェース上で手動または自動で行うことができる。例えば、特定の実施形態において、選出する工程405は、マウスおよび/またはキーボードを操作する人間のオペレータによって行われ、計算システム上で実行されるソフトウェアのGUIに、成分に関して所望される最大距離が入力される。
このような選出する工程405は、直接的な選出、すなわち、例えばインタフェース上にそのまま表される成分識別子の選択、または間接的な選出、すなわち識別子を表す画像またはアイコン等の中間ディジタルオブジェクトを介した成分識別子の選択からなる場合がある。
設定する工程410は、検討されるコンピュータインタフェース上で手動または自動で行うことができる。例えば、特定の実施形態において、設定する工程410は、マウスおよび/またはキーボードを操作する人間のオペレータによって行われ、計算システム上で実行されるソフトウェアのGUIに、成分に関して所望される最大距離が入力される。
選択される相対量は、フレグランスの成分組成中の質量分率またはモル分率を表す場合がある。
このようにして、臭跡におけるフレグランス組成物の性能を構成成分により予測するために、混合の法則(理想混合物に関するラウールの法則が最も一般的な例である)が、各構成成分のODCに適用される。これは以下の通り理由付けされる:ODC性能測定基準により、感覚性能レベルを選択された最小感覚強度レベル以上に維持しながら、成分の最大合計希釈度が提供される。ODCにより説明される最大合計希釈度は、液相中の希釈度(すなわち、フレグランス組成物中の各成分の相対量によって定義される)および気相中の希釈度を含む。液相中の希釈度は、成分のODCに、組成中の重量分率としても知られる質量分率(またはより厳密に正確ではあるが実用的な利便性は無いモル分率)を乗じることによって説明される。なぜなら、フレグランス組成物において、ODCの定義の一部である、成分の平衡(最大)界面気相濃度(または数学的な関係によれば蒸気圧)が、成分が現時点で混合物の一部であるために、部分揮発度(または数学的な関係によれば部分蒸気圧)となり、部分揮発度や部分蒸気圧などのこのような部分量は、混合物中に存在する成分の相対量を組み込むことにより混合の法則から計算される。フレグランス組成物を説明するための選択肢として、ラウールの法則を利用することは、最も基本的かつ最も現実的な実施形態である。より高度な実施形態において、フレグランス組成物中の各成分のODCはまた、熱力学、物理化学、化学、化学工学、または関連分野の当業者によく知られる量である活量係数によって乗算される。各成分の活量係数は、(理想)混合物に関するラウールの法則による説明の補正係数であり、理想的な混合物と比較した、実際のかつ潜在的に非理想的な混合物の気液平衡挙動における偏差を説明する。理想的な混合物中の成分の活量係数は、定義上、単一(1)に等しい。非理想的混合物中の成分の活量係数は、当技術分野でよく知られたアルゴリズムから計算することができ、これにはUNIFACまたは修正UNIFACが含まれるが、これらに限定されるものではない。
このように、本発明の方法400によって計算される調合物中の成分性能は、全ての構成成分について最小感覚性能基準(図1の説明では「Iref」)を満たすかまたは超える一方で、フレグランス供給源からの距離に関連したフレグランス構成成分の最大許容気相(空間)希釈度をもたらす。
図8は、上記で開示された測定基準および分析を提供するユーザーインタフェース800のグラフィック表現を示す。このようなインタフェース800は、ユーザーのフレグランス設計を支援するために使用可能である。
このインタフェース800において、組成物中の成分820は、x軸上の揮発度830の増加に従い並べられる。y軸は、3つの別個の成分挙動が現れるように、成分に関する空間到達範囲825を示す:
- 第1の挙動805は、フレグランス成分または組成物が適用された皮膚の近く、通常、皮膚から5~10cm以内において、選択された最小知覚強度レベルで知覚可能な成分に対応し、
- 第2の挙動810は、アウラにおいて、選択された最小知覚強度レベルで知覚可能な成分に対応し、アウラは、フレグランス供給源から通常、少なくとも5~10センチ離れているが、典型的には50センチ未満、確実に1メートル未満離れていることを表し、
- 第3の挙動815は、臭跡中で選択された最小知覚強度レベルで知覚可能な成分に対応し、臭跡は、フレグランス供給源から少なくとも1メートルの距離を表し、より好ましくは成分の一部に関して2メートルまで、より好ましくは成分の一部に関して4メートルまで、かつ最も好ましくは成分の一部に関して4メートルを超える距離を表し、この最後の性能レベルは、達成可能な最高臭跡性能という特別な事例である「空間充満」に分類される。
ここで、距離に関する最適な性能は、全ての成分について同じである必要は無く、それらの嗅覚的記述子、および/またはそれらが属するオルファクティブファミリーに依存し得ることに留意されたい。本発明の方法により、香料の当業者は、フレグランス組成物を含むフレグランス成分の性能を予測し、インテリジェントなフレグランス最適化を促進して最適または所望の性能レベルを得ることが可能となる。
技術的性能については、成分がy軸に沿って高い位置にあるほど、空間到達範囲、または要求される最小感覚強度レベルで知覚される最大下流距離の点について、成分がよりしっかりと機能することになる。
このようなインタフェース800は、着用者にフレグランスを適用してから経過した時間である、ドライダウンにおける所与の時間において表される。このインタフェース800におけるデータは、組成物の性能に対する時間の影響を示すために、いくつかの継続時間について計算することができる。
図4に示すような特定の実施形態において、フレグランス組成物の性能を最適化する方法として、少なくとも1つの成分デジタル識別子が、コンピュータメモリ内で、対応する成分の匂いを表す記述子に関連付けられており、方法は、少なくとも1つの代替成分デジタル識別子を、選出された成分デジタル識別子のうちの少なくとも1つ、選出された成分デジタル識別子に関連付けられた少なくとも1つの記述子に応じて、コンピュータインタフェース上で提供する工程415をさらに含む。
記述子は、例えば、成分のオルファクティブファミリーを表すことができる。提供する工程415において、選出された成分識別子とは異なる成分識別子を選択するために、例えば計算システムにより計算が行われ、選択された成分識別子は、選出された成分識別子の記述子のうちの少なくとも1つに一致する少なくとも1つの記述子を有する。
この計算が行われた後、フレグランス設計における支援のために、コンピュータインタフェース上に結果を示すことができる。
図4に示すような特定の実施形態において、提供する工程415は、選出された成分デジタル識別子に関連付けられた少なくとも1つの記述子と、成分デジタル識別子に関する最大下流空間距離を表す計算値との両方に応じて行われる。
このように、代替成分識別子は、好ましくは、希釈に対する耐性、ODC、もしくは他の任意の性能指標に従って、またはそのような性能指標の組み合わせに従って、成分の用量反応特性に基づき評価される。
例えば、最適化されるフレグランス組成物が、嗅覚的表現によるとサンダルウッドノートを呈すると説明されるオシロールを含む場合、本発明の方法を行う計算システムによって検索されユーザーに提示される潜在的代替オプションには、サンダルウッド系列のバクダノール、ジャバノール、サンデラ、エバノール、サンダロールおよびポリサントールなどの成分(順不同)が含まれる可能性がある。これらの成分代替オプションは、表のテキストとして、または図の形で、ユーザーインタフェースを介して表示され、本発明に開示されている上述の性能指標に従って評価されることになる。
図5は、本発明の対象である方法の特定の一連の工程を示す。フレグランス成分または組成物を含むフレグランス組成物を調製するための、フレグランス組成物の空間認識性予測方法500は、
- フレグランス供給源を形成する少なくとも2つの成分デジタル識別子を、コンピュータインタフェース上で選出する工程405、
- デジタル識別子により識別される少なくとも1つの成分の相対量を表す値を、コンピュータインタフェース上で設定する工程410、
- 少なくとも2つの別個の値の範囲内で、かつ少なくとも1つの成分が、各成分に関する所定の最小精神物理学的強度に対応する最小感覚強度レベルを示すフレグランス供給源からの最大下流距離までの距離を表す値を、コンピュータインタフェース上で選択する工程305、
- 選択された距離に関連付けられた最小空間希釈度の値を、電子ストレージから取得する工程310、
- 取得された空間希釈度の値に対応する少なくとも1つの成分の気相濃度を表す値を、計算システムにより決定する工程340、および
- 選択された距離の値に関して、感覚強度レベルを表す少なくとも1つの値を、気相濃度を感覚強度レベルにリンクする用量反応曲線に応じて、計算システムにより計算する工程315
を含む。
選出する工程405および設定する工程410は、図4に関して開示された対応する工程と同様である。
選択する工程305、取得する工程310、および計算する工程315は、図3に関して開示された対応する工程と同様である。
図4および図5に示されるフレグランス組成物の可視化により、調香師など香料分野の当業者は、ドライダウンにおける異なる時間においてどの香調が優勢であるかなどの嗅覚的な影響の観点から、組成物に用いられる成分の固有の嗅覚性能特性、例えば任意の距離における性能などの観点から、臭跡における空間到達範囲の観点から、組成物の長所および短所を容易に識別することができる。このような可視化により、当業者は、香調またはノートの連続性、組成物中の成分の嗅覚的に対照的なブロック、ならびに嗅覚的特性と結び付けられた構成成分の物理化学的特性(例えば揮発度)の観点から、調合物中のポテンシャルホールを識別することも可能である。
図9は、本発明の方法の特定の一連の工程を示す。この原料デジタル識別子データベースの増強方法900は、
- 計算システムまたはコンピュータインタフェースにより、成分デジタル識別子を選択する工程905、
- 計算システムにより、
- 成分に要求される最小知覚強度レベルに応じて、成分デジタル識別子と関連付けられた成分の空間到達範囲を表す指標であり、最小知覚強度レベルは、任意に成分の用量反応特性に応じて、任意にフレグランス組成物中の成分の相対量に応じて、かつ任意にフレグランス着用者の様々なパラメータ(例えば歩行速度、適用される液体フレグランスの量、および体のどこに適用されたか)に関連する着用者からの所与の距離に相関する希釈係数に応じて、好ましくは最小知覚強度レベルの選択工程中に選択され、希釈係数は、好ましくは希釈係数データベースから希釈係数を取り出す工程中に取り出され、希釈係数データベースは好ましくは数値流体力学シミュレーションの工程を含む構築工程中に構築される、指標、
- 成分デジタル識別子に関連付けられた成分の知覚強度を成分からの距離に応じて表す指標であり、距離は、任意に成分の用量反応特性に応じて、任意にフレグランス組成物中の成分の相対量に応じて、かつ任意にフレグランス着用者の様々なパラメータ(例えば歩行速度、適用される液体フレグランスの量、および体のどこに適用されたか)に関連する着用者からの所与の距離に相関する希釈係数に応じて、好ましくは、距離の選択工程中に選択され、希釈係数は、好ましくは希釈係数データベースから希釈係数を取り出す工程中に取り出され、希釈係数データベースは好ましくは数値流体力学シミュレーションの工程を含む構築工程中に構築される、指標、
- 成分デジタル識別子に関連付けられた成分の相対量を、フレグランス供給源からの成分の所望の空間到達範囲に応じて、任意に成分に要求される最小知覚強度レベルに応じて表す指標であり、最小知覚強度レベルは、任意に成分の用量反応特性に応じて、かつ任意にフレグランス着用者の様々なパラメータ(例えば歩行速度、適用される液体フレグランスの量、および体のどこに適用されたか)に関連する着用者からの所与の距離に相関する希釈係数に応じて、好ましくは最小知覚強度レベルの選択工程中に選択され、希釈係数は、好ましくは希釈係数データベースから希釈係数を取り出す工程中に取り出され、希釈係数データベースは好ましくは数値流体力学シミュレーションの工程を含む構築工程中に構築される、指標、および/または
- 任意で、成分デジタル識別子に関連付けられた成分の希釈に対する耐性を表す指標であり、通常の知覚強度と所定の希釈係数における知覚強度との間における知覚強度の差に応じて算定される指標
のうちの少なくとも1つを計算する工程910、
- 少なくとも1つの計算された指標の値を、成分デジタル識別子に対応して格納する工程915
を含む。
図10は、本発明の対象である方法の特定の一連の工程を示す。フレグランス成分または組成物を含むフレグランス組成物を調製するための、フレグランス成分または組成物の空間認識性予測方法1000は、
- 成分に関する所定の最小精神物理学的強度に対応する、得られるべき最小感覚強度レベルを表す値を、コンピュータインタフェース上で選択する工程1005、
- フレグランス供給源からの下流距離を表す値を、コンピュータインタフェース上で選択する工程1006、
- 選択された最小感覚強度レベルに対応する成分の気相濃度を表す値を、気相濃度を選択された最小感覚強度にリンクする成分に関する用量反応に応じて、計算システムにより決定する工程1010、
- 最小空間希釈度の値を、フレグランス供給源からの選択された距離に応じて、電子ストレージから取得する工程1011、
- 最大合計成分希釈度を表す少なくとも1つの値を、成分に関する決定された気相濃度に応じて、計算システムにより算定する工程1015、および
- 計算された最大合計成分希釈度を表す少なくとも1つの値、および選択された距離に関する最小空間希釈度を表す少なくとも1つの値に関して、液相中の成分の量を表す少なくとも1つの値を計算システムにより計算する工程であり、これにより成分が、所定の距離における成分希釈度の値に応じて最小感覚強度レベルを示す工程1020
を含む。
選択する工程1005は、図2に関して説明した選択する工程205と同様に行うことができる。
特定の実施形態において、本発明の方法1000は、所定の距離を表す値を設定する工程(図示せず)を含む。このような実施形態において、希釈度は、例えば電子ストレージに格納されている、あらかじめ計算された距離-希釈ルックアップテーブルからの距離の設定値に応じて算定される。
決定する工程1010は、図2に関して説明した決定する工程240と同様に行うことができる。
算定工程1015は、例えば、気相濃度を希釈度へ、距離に応じて関連付けるアルゴリズムを実行するコンピュータプログラムを実行するように構成された計算システムにより行われる。このようなアルゴリズムを、特に図6に関連して説明する。
計算する工程1020は、例えば、希釈度および最小感覚強度レベルを成分の液相量に関連付けるアルゴリズムを実行するコンピュータプログラムを実行するように構成された計算システムにより行われる。このようなアルゴリズムの結果は、この計算する工程1020中にアクセスされる電子ストレージに格納することができる。
そのようなアルゴリズムは、液相量とドライダウンの継続時間、つまり液体フレグランス成分の適用から経過した時間とをリンクする蒸発速度を使用する場合がある。そのような蒸発速度を測定またはモデリングして、電子ストレージに格納することができる。
蒸発速度は、質量輸送動力学の結果であるが、空間的に完全な液相量と気相濃度との相関関係をこれにより得ることはできない。
液相量と気相濃度との相関関係は、数値流体力学計算工程で用いられるような運動量保存法定式と質量保存方程式により定義される。
数値流体力学の観点からみると、距離と空間希釈係数とを相関させるテーブルは、距離に依存した方法で液相を気相に接続する方法であり、例えば歩行速度、適用される液体フレグランスの量、およびフレグランスが適用される体上の場所などのフレグランス着用のパラメータを利用する。
成分の蒸発速度は、フレグランスの液相の蒸発および組成的な進展の時間的なシミュレーションを行うために使用される。このとき、時間的な組成に関する情報は、本明細書に記載する様々な実施態様において使用される。
他の実施態様(図示せず)において、本発明は、フレグランス組成物の性能好適化を目的とした、フレグランス成分の置換方法を目的とし、
- 少なくとも1種の成分を選択して調合物を形成する工程、
- 調合物の少なくとも1つの成分について、例えば、図2~図10に関して開示したような、性能測定基準、例えば、ODC、ODCに基づく最大空間到達範囲、所与の距離における知覚強度、希釈に対する耐性、またはこれらの組み合わせを計算する工程、
- 少なくとも1つの成分について、選択された性能測定基準の好ましい値を示すか、または選択された1つの性能測定基準の値が同等または劣るが同時に別の性能測定基準(例えばコストなど)の好ましい値を示す、現在の調合物に存在しない嗅覚に関連する成分のリストを決定する工程であり、かかる成分のリストは、任意に、グラフィックインタフェースで表示され、置換のために選択された元の成分と比較した性能の測定基準の相対値を示す工程
を含む。
他の実施形態(図示せず)において、本発明は、フレグランス組成物におけるフレグランス成分の相対量修正方法を目的とし、
- 少なくとも1種の成分を選択して調合物を形成する工程、
- 調合物の少なくとも1つの成分について、例えば、図2~図10に関して開示したような、性能測定基準、例えば、ODC、ODCに基づく最大空間到達範囲、所与の距離における知覚強度、希釈に対する耐性、またはこれらの組み合わせを計算する工程、
- 少なくとも1つの成分について、フレグランス組成物を目的とした性能測定方法に関する目標値を得るために、組成物中のその成分の相対量を増やすか減らすかの提案を決定する工程
を含む。
図13は、本発明の方法1300の特定の実施態様を、模式的に示す。このフレグランス組成物調製方法1300は、
- フレグランス組成物のデジタル表現を形成するための少なくとも1つの成分デジタル識別子を、コンピュータインタフェース上で選択する工程する工程1305、
- 上記に開示されたいずれかの実施形態に従い、フレグランス組成物の空間認識性予測方法200、300、400、500、および/または1000に従って、選択された少なくとも1つの成分デジタル識別子に関する空間認識性を、計算装置により予測する工程1310、ならびに
- フレグランス組成物を、フレグランス組成物のデジタル表現に応じて調製する工程1315
を含むことを特徴とする。
選択する工程1305は、選択する工程205または上記で開示した任意の他の同様の工程と同様に行うことができる。この選択する工程1305の間に、ユーザーまたはコンピュータプログラムは、実物の成分をデジタルで表す少なくとも1つの識別子を選択し、デジタル表現、例えば識別子またはグラフィック表現によって表されるフレグランス組成物を形成する。
予測する工程1310は、上記で開示した方法200、300、400、500および/または1000のいずれかの実施形態によって行ってもよい。
調製する工程1315は、当業者に公知のいずれか1つの成分デジタル識別子組成物製造技術によって行ってもよい。
図15は、本発明の方法200、300、400、および/または1000を実行するソフトウェアのユーザーインタフェース1500の例を、模式的に示す。このユーザーインタフェース1500は、
- 成分デジタル識別子の追加または削除によって更新可能な、成分デジタル識別子リスト1505、
- 各成分に関する相対量または絶対量のいずれかを示す、更新可能な関連成分量リスト1510、
- 本発明の方法200、300、400および/または1000のいずれかを使用して得られたいずれか1つのキー性能指標を示すカスタマイズ可能な性能スペース1515であって、そのような指標は、フレグランス放出からの特定の時間における知覚に関する最大距離であり得る、カスタマイズ可能な性能スペース1515、
- 設計されたフレグランスが成分に関連する性能指標に従って最適化され得る方法を示す最適化提案スペース1520であって、そのような最適化は、例えば、量または成分デジタル識別子の変化に対応し得る、最適化提案スペース1520
を含む。

Claims (11)

  1. フレグランス成分または組成物を含むフレグランス組成物を調製するための、前記フレグランス成分または組成物の空間認識性予測方法(200,300,400,500,1000)であって、
    - 前記成分に関する所定の最小精神物理学的強度に対応する最小感覚強度レベル、
    - 前記成分が所定の最小精神物理学的強度レベルにおいて知覚されるべき距離に対応する最大距離、または
    - 液相中の前記成分の量
    のパラメータのうちの1つまたは2つを表す値を、コンピュータインタフェース上で選択する工程(205,305,410,1005)であって、
    前記選択される値が、少なくとも2つの別個の値の範囲内で選択される、選択する工程(205,305,410,1005)、
    - 前記成分に関する所定の最小精神物理学的強度に対応する最小感覚強度レベル、
    - 選択されたかまたはデフォルトで設定された最小感覚強度レベルで前記成分が知覚されるべき距離に対応する最大距離、または
    - 液相中の前記成分の量
    のパラメータのうちのいずれか1つを表す値を、計算システムにより計算する工程(215,315,1020)であって、
    前記計算される値は、前記選択される値に関連付けられたパラメータ以外のパラメータを表し、選択も計算もされない前記パラメータの値はデフォルト値に設定されており、前記計算される値は、前記選択される値に関連付けられたパラメータおよび選択も計算もされない前記パラメータの前記値に応じて計算され、成分デジタル識別子によって表される成分が、前記計算も選択もされる値に応じて、調製されるフレグランス組成物内で使用される実物の成分に対応する、計算する工程(215,315,1020)、
    を含む、方法(200,300,400,500,1000)。
  2. - 前記成分に関して知覚された最小精神物理学的強度に対応する、要求される最小感覚強度レベルを表す値を、コンピュータインタフェース上で選択する工程(205)であって、前記値は少なくとも2つの別個の値の範囲内で選択される、選択する工程(205)、
    - 前記選択された最小感覚強度レベルに対応する前記成分の最小気相濃度を表す値を、気相濃度を前記選択された最小感覚強度にリンクする用量反応曲線に応じて、計算システムにより決定する工程(240)、
    - フレグランスの気相および液相の両方に関して許容可能な最大合計成分希釈度を、前記決定された最小気相濃度に応じて、計算システムにより算定する工程(210)、および
    - フレグランス供給源からの最大距離までの前記フレグランス供給源からの距離を表す少なくとも1つの値を、計算システムにより計算する工程(215)であって、前記距離において、前記成分は、少なくとも前記算定された最大合計成分希釈度に応じて、前記選択された最小感覚強度レベルを示し、前記計算する工程は、前記フレグランス供給源からの所定の下流距離に対応する前記気相中の成分に関する前記最小空間希釈度を表す少なくとも1つの値を、電子ストレージから取得する工程(220)を含む、計算する工程(215)
    を含む、請求項1記載の、フレグランス成分または組成物の空間認識性予測方法(200)。
  3. 前記取得する工程(220)の前に、最小空間希釈度電子ストレージを構築する工程(225)をさらに含み、前記構築する工程は、最小空間希釈度の値を、フレグランス供給源からの少なくとも1つの距離の値、および
    - 前記成分を含む前記フレグランス供給源に入射する流入空気流の速度を表す指標、
    - 成分またはフレグランス組成物の適用表面積を表す指標、
    - 人体の形状に関するシミュレーションパラメータを表す指標、および/または
    - 前記成分またはフレグランス組成物が適用される人体上の面積位置を表す指標
    のうちの少なくとも1つにマッチングさせ、
    前記構築する工程は、前記供給源からの所定の下流距離における前記空間希釈度の値を算定するように構成された数値流体力学シミュレーションの工程(230)を含む、
    請求項2記載の方法(200)。
  4. 成分のドライダウンの継続時間を表す値を設定する工程(245)をさらに含み、前記計算する工程(215)は、前記設定されたドライダウンの継続時間に応じて得られる前記フレグランス供給源からの距離を表す値を計算する、請求項2または3記載の方法(200)。
  5. - 少なくとも2つの別個の値の範囲内で、かつ前記成分が、前記成分に関する所定の最小精神物理学的強度に対応する最小感覚強度レベルを示す前記フレグランス供給源からの最大下流距離までの距離を表す値を、コンピュータインタフェース上で選択する工程(305)、
    - 前記選択された距離に関連付けられた最小空間希釈度の値を、電子ストレージから取得する工程(310)、
    - 前記取得された空間希釈度の値に対応する前記成分の気相濃度を表す値を、計算システムにより決定する工程(340)、および
    - 前記選択された距離の値に関して、感覚強度レベルを表す少なくとも1つの値を、気相濃度を感覚強度レベルにリンクする用量反応曲線に応じて、計算システムにより計算する工程(315)
    を含む、請求項1記載の、フレグランス成分または組成物の空間認識性予測方法(300)。
  6. - 前記成分に関する所定の最小精神物理学的強度に対応する、達成されるべき最小感覚強度レベルを表す値を、コンピュータインタフェース上で選択する工程(1005)、
    - フレグランス供給源からの下流距離を表す値を、コンピュータインタフェース上で選択する工程(1006)、
    - 前記選択された最小感覚強度レベルに対応する前記成分の気相濃度を表す値を、気相濃度を前記選択された最小感覚強度にリンクする前記成分に関する用量反応に応じて、計算システムにより決定する工程(1010)、
    - 最小空間希釈度の値を、前記フレグランス供給源からの前記選択された距離に応じて、電子ストレージから取得する工程(1011)、
    - 最大合計成分希釈度を表す少なくとも1つの値を、前記成分に関する前記決定された気相濃度に応じて、計算システムにより算定する工程(1015)、および
    - 計算された最大合計成分希釈度を表す少なくとも1つの値、および前記選択された距離に関して取得された最小空間希釈度を表す少なくとも1つの値に関して、液相の成分の量を表す少なくとも1つの値を、前記成分が、前記所定の距離における成分希釈度の値に応じて前記最小感覚強度レベルを示すように、計算システムにより計算する工程(1020)
    を含む、請求項1記載の、フレグランス成分または組成物の空間認識性予測方法(1000)。
  7. - フレグランス供給源を形成するための少なくとも2つの成分デジタル識別子を、コンピュータインタフェース上で選出する工程(405)、
    - 前記デジタル識別子により識別される少なくとも1つの前記成分の相対量を表す値を、コンピュータインタフェース上で設定する工程(410)、
    - 少なくとも1つの成分に関する知覚された最小精神物理学的強度に対応する、要求される最小感覚強度レベルを表す値を、少なくとも2つの別個の値の範囲内で、コンピュータインタフェース上で選択する工程(205)、
    - 前記選択された最小感覚強度レベルに対応する前記各成分に関する最小気相濃度を表す値を、気相濃度を前記選択された最小感覚強度にリンクする用量反応曲線に応じて、計算システムにより決定する工程(240)、
    - 前記フレグランスの気相および液相の両方に関する最大合計成分希釈度を、前記各成分に関して前記決定された最小気相濃度に応じて、計算システムにより算定する工程(210)、および
    - 前記フレグランス供給源からの最大距離までの前記フレグランス供給源からの距離を表す少なくとも1つの値を、計算システムにより計算する工程(215)であって、前記距離において、少なくとも1つの成分が、少なくとも前記算定された最大合計成分希釈度に応じて、前記選択された最小感覚強度レベルを示す、計算する工程(215)
    を含む、請求項1記載の、フレグランス組成物の空間認識性予測方法(400)。
  8. 少なくとも1つの成分デジタル識別子が、コンピュータメモリ内で、前記対応する成分の匂いを表す記述子に関連付けられており、前記方法は、少なくとも1つの代替成分デジタル識別子を、前記選出された成分デジタル識別子のうちの少なくとも1つに、前記選出された成分デジタル識別子に関連付けられた少なくとも1つの記述子に応じて、コンピュータインタフェース上で提供する工程(415)をさらに含む、請求項7記載の方法(400)。
  9. 前記提供する工程(415)は、前記選出された成分デジタル識別子に関連付けられた少なくとも1つの記述子と、前記成分デジタル識別子に関する最大下流空間距離を表す前記計算値との両方に応じて行われる、請求項8記載の方法(400)。
  10. - フレグランス供給源を形成する少なくとも2つの成分デジタル識別子を、コンピュータインタフェース上で選出する工程(405)、
    - 前記デジタル識別子により識別される少なくとも1つの前記成分の相対量を表す値を、コンピュータインタフェース上で設定する工程(410)、
    - 少なくとも2つの別個の値の範囲内で、かつ少なくとも1つの成分が、前記各成分に関する所定の最小精神物理学的強度に対応する最小感覚強度レベルを示す前記フレグランス供給源からの最大下流距離までの距離を表す値を、コンピュータインタフェース上で選択する工程(305)、
    - 前記選択された距離に関連付けられた最小空間希釈度の値を、電子ストレージから取得する工程(310)、
    - 前記取得された空間希釈度の値に対応する少なくとも1つの前記成分の気相濃度を表す値を、計算システムにより決定する工程(340)、および
    - 前記選択された距離の値に関して、感覚強度レベルを表す少なくとも1つの値を、気相濃度を感覚強度レベルにリンクする用量反応曲線に応じて、計算システムにより計算する工程(315)
    を含む、請求項1記載の、フレグランス組成物の空間認識性予測方法(500)。
  11. フレグランス(1300)組成物の調製方法において、
    - フレグランス組成物のデジタル表現を形成するための少なくとも1つの成分デジタル識別子を、コンピュータインタフェース上で選択する工程(1305)、
    - 請求項1から10までのいずれか1項記載の、フレグランス組成物の空間認識性予測方法に従って、選択された少なくとも1つの成分デジタル識別子に関する空間認識性を、計算装置により予測する工程(1310)、および
    - フレグランス組成物を、前記フレグランス組成物のデジタル表現に応じて調製する工程(1315)
    を含むことを特徴とする、方法。
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