JP7436560B2 - 光拡散シート、バックライトユニット、液晶表示装置及び情報機器 - Google Patents

光拡散シート、バックライトユニット、液晶表示装置及び情報機器 Download PDF

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Description

本開示は、光拡散シート、バックライトユニット、液晶表示装置及び情報機器に関するものである。
近年、スマートフォンやタブレット端末などの各種情報機器の表示装置として、液晶表示装置(以下、液晶ディスプレイということもある)が広く利用されている。液晶ディスプレイのバックライトとしては、光源が液晶パネルの背面に配置される直下型方式、又は、光源が液晶パネルの側面の近傍に配置されるエッジライト方式が主流となっている。
直下型バックライトを採用する場合、LED(Light Emitting Diode)等の光源からの光を拡散させて画面全体に亘って輝度や色度の均一性を上げるために、光拡散シートが使用される(例えば特許文献1参照)。
光拡散シートは、光出射面に凹凸形状を付与することで生じる拡散や、シート基材内に当該基材と異なる屈折率を有する微粒子を分散させることで生じる拡散を利用して、光入射面から入射した光を拡散させる。また、画面内での輝度の均一性(面内輝度均一性)を向上させるために、光拡散シートを複数枚積層して用いることもある。
特許文献1には、一面に複数の四角錐が形成され、他面に複数の平行直線プリズムが形成された光拡散シートが開示されている。
米国出願公開第2021/0072598A1号
液晶ディスプレイのバックライトでは、ディスプレイの薄型化への要求に伴って、光拡散シートの厚みや、光拡散シートの積層枚数の削減が求められている。また、直下型バックライトでは、光源が表示画面の直下に配置されるため、光源と光拡散シートとの距離の削減も求められる。そのため、薄型化に対しても面内輝度均一性を維持するために、光拡散シート1枚あたりの輝度均一化能力を向上させる必要がある。
本開示は、輝度均一化能力の高い光拡散シートを提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本開示に係る光拡散シートは、光出射面となる第1面と、光入射面となる第2面とを有する光拡散シートである。前記第1面及び前記第2面のうちの一方に、略逆四角錐状の複数の凹部が設けられる。前記第1面及び前記第2面のうちの他方に、所定の方向に延びる複数の線状構造が設けられる。前記複数の凹部の頂角は、100°以上である。
本開示に係る光拡散シートによると、一面に略逆四角錐状の複数の凹部を設け、他面に所定の方向に延びる複数の線状構造を設け、凹部の頂角を100°以上に設定している。このため、複数の凹部による光拡散効果と、複数の線状構造による光拡散効果との相乗作用を増大させることができる。従って、光拡散シート1枚あたりの輝度均一化能力を向上させることができるので、さらなる薄型化に伴う光拡散シートの厚みや積層枚数の削減などにも対応することができる。
尚、本開示において、「光拡散シート」は、板状の「光拡散板」や膜状の「光拡散フィルム」を包含するものとする。
本開示に係る光拡散シートにおいて、前記複数の線状構造は、プリズム、ヘアライン、レンチキュラー、又は回折格子を構成してもよい。このようにすると、略逆四角錐状の凹部との組合せによって、光拡散効果の相乗作用を確実に増大させることができる。
本開示に係る光拡散シートにおいて、前記複数の線状構造は、頂角が95°以下のプリズムを構成し、前記複数の凹部の頂角は、110°以上130°以下であってもよい。このようにすると、複数の凹部による光拡散効果と、複数の線状構造による光拡散効果との相乗作用を特に増大させることができる。
本開示に係る光拡散シートにおいて、前記複数の線状構造は、前記複数の線状構造は、プリズムを構成し、前記複数の凹部の頂角は、130°以上150°以下であってもよい。このようにすると、輝度均一化能力を向上させながら輝度を増大させることができる。
本開示に係る光拡散シートにおいて、前記複数の凹部は、二次元マトリクス状に配列され、当該配列方向と前記所定の方向(前記複数の線状構造が延びる方向)とは交差してもよい。このようにすると、凹部の頂角の広い範囲に亘って、光拡散効果の相乗作用を増大させることができる。
本開示に係る光拡散シートの別の態様は、光出射面となる第1面と、光入射面となる第2面とを有する光拡散シートである。前記第1面及び前記第2面のうちの一方に、略逆四角錐状の複数の凹部が設けられる。前記第1面及び前記第2面のうちの他方に、所定の方向に延びる複数の線状構造が設けられる。前記複数の線状構造は、頂角が95°以上のプリズムを構成し、前記複数の凹部の頂角は、85°以上95°以下である。
本開示に係る光拡散シートの別の態様によると、一面に略逆四角錐状の複数の凹部を設け、他面に所定の方向に延びる複数の線状構造を設け、各線状構造は、頂角が95°以上のプリズムを構成し、凹部の頂角を85°以上95°以下に設定している。このため、複数の凹部による光拡散効果と、複数の線状構造による光拡散効果との相乗作用を増大させることができる。従って、光拡散シート1枚あたりの輝度均一化能力を向上させることができるので、さらなる薄型化に伴う光拡散シートの厚みや積層枚数の削減などにも対応することができる。
本開示に係るバックライトユニットは、液晶表示装置に組み込まれ、複数の光源から発せられた光を表示画面側に導くバックライトユニットであって、前記表示画面と前記複数の光源との間に、前述の本開示に係る光拡散シート(別の態様を含む。以下、同じ。)を備える。
本開示に係るバックライトユニットによると、前述の本開示に係る光拡散シートを備えるため、光拡散シート1枚あたりの輝度均一化能力を向上させることができる。従って、さらなる薄型化に伴う光拡散シートの厚みや積層枚数の削減などにも対応できる。
本開示に係るバックライトユニットにおいて、前記複数の光源は、前記光拡散シートから見て前記表示画面の反対側に設けられた反射シートの上に配置されてもよい。このようにすると、光拡散シートと反射シートとの間での多重反射によって光がさらに拡散されるので、面内輝度均一性がより一層向上する。
本開示に係るバックライトユニットにおいて、前記光拡散シートは、複数枚積層して前記表示画面と前記複数の光源との間に配置されてもよい。このようにすると、複数枚の光拡散シートを用いて、面内輝度均一性をさらに向上させることができる。この場合、複数枚積層された前記光拡散シートは、第1光拡散シートと、第2光拡散シートとを含み、前記第1光拡散シートにおける前記複数の線状構造の延びる方向と、前記第2光拡散シートにおける前記複数の線状構造の延びる方向とは交差してもよい。このようにすると、モアレ(干渉縞)の発生を抑制することができる。
本開示に係るバックライトユニットにおいて、前記表示画面と前記光拡散シートとの間に、他の光拡散シートをさらに備え、前記他の光拡散シートの一面には、略逆四角錐状の複数の他の凹部が設けられ、前記複数の他の凹部の頂角は、前記複数の凹部の頂角よりも小さくてもよい。このようにすると、異なる構成の光拡散シートを組み合わせて用いたバックライトユニットにおいて、輝度を増大させながら、面内輝度均一性を向上させることができる。
本開示に係るバックライトユニットにおいて、前記複数の光源と前記光拡散シートとの間の距離は、0mm以上1mm以下であってもよい。このようにすると、薄型化のために光源・シート間距離を十分に確保できない場合でも、前述の本開示に係る光拡散シートの拡散性能によって、面内輝度均一性の悪化を抑制することができる。
本開示に係る液晶表示装置は、前述の本開示に係るバックライトユニットと、液晶表示パネルとを備える。
本開示に係る液晶表示装置によると、前述の本開示に係るバックライトユニットを備えるため、さらなる薄型化に伴う光拡散シートの厚みや積層枚数の削減などに対しても、面内輝度均一性を維持することができる。
本開示に係る情報機器は、前述の本開示に係る液晶表示装置を備える。
本開示に係る情報機器によると、前述の本開示に係る液晶表示装置を備えるため、さらなる薄型化に対しても、面内輝度均一性を維持することができる。
本開示によると、輝度均一化能力の高い光拡散シート、並びに、当該光拡散シートを用いたバックライトユニット、液晶表示装置及び情報機器を提供することができる。
実施形態に係る液晶表示装置の断面図である。 実施形態に係るバックライトユニットの断面図である。 実施形態に係る光拡散シートの断面図である。 実施形態に係る光拡散シートの斜視図である。 実施形態に係る光拡散シートの一面に設けられた略逆四角錐状の凹部の平面構成及び断面構成を示す図である。 実施形態に係る光拡散シートにおける凹部の配列方向と線状構造の延伸方向との関係を示す図であって、(a)は、各方向が一致する場合を示し、(b)は、各方向が45°で交差する場合を示す。 実施形態に係る光拡散シートの他面に設けられた複数の線状構造のバリエーションを示す断面図であって、(a)は、線状構造がヘアラインを構成する場合を示し、(b)は、線状構造がレンチキュラーを構成する場合を示し、(c)は、線状構造が回折格子を構成する場合を示す。 第1実施例及び比較例の光拡散シートの面内輝度均一性の評価結果を示す図である。 第2実施例及び第3実施例の光拡散シートが組み込まれるバックライトユニットの断面図である。 第2実施例に係る光拡散シートの断面図である。 第2実施例の光拡散シートの面内輝度均一性の評価結果を示す図である。 第2実施例の光拡散シートの輝度(平均値)の評価結果を示す図である。 第3実施例の光拡散シートの面内輝度均一性の評価結果を示す図である。 第3実施例の光拡散シートの輝度(平均値)の評価結果を示す図である。
(実施形態)
以下、実施形態に係る光拡散シート、バックライトユニット、液晶表示装置及び情報機器について、図面を参照しながら説明する。尚、本開示の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
<液晶表示装置>
図1は、本実施形態に係る液晶表示装置の断面図の一例である。
図1に示すように、液晶表示装置50は、液晶表示パネル5と、液晶表示パネル5の下面に貼付された第1偏光板6と、液晶表示パネル5の上面に貼付された第2偏光板7と、液晶表示パネル5の背面側に第1偏光板6を介して設けられたバックライトユニット40とを備えている。液晶表示パネル5は、互いに対向するように設けられたTFT基板1及びCF基板2と、TFT基板1とCF基板2との間に設けられた液晶層3と、TFT基板1とCF基板2との間に液晶層3を封入するために枠状に設けられたシール材(図示省略)とを備える。
液晶表示装置50の表示画面50aを正面(図1の上方)から見た形状は、原則、長方形又は正方形であるが、これに限らず、長方形の角が丸くなった形状、楕円形、円形、台形、又は、自動車のインストルメントパネル(インパネ)などの任意の形状であってもよい。
液晶表示装置50では、各画素電極に対応する各サブ画素において、液晶層3に所定の大きさの電圧を印加して液晶層3の配向状態を変える。これにより、バックライトユニット40から第1偏光板6を介して入射した光の透過率が調整される。透過率が調整された光は第2偏光板7を介して出射されて画像が表示される。
本実施形態の液晶表示装置50は、種々の情報機器(例えばカーナビゲーション等の車載装置、パーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末、携帯型ゲーム機、コピー機、券売機、現金自動預け払い機など)に組み込まれる表示装置として用いられる。
TFT基板1は、例えば、ガラス基板上にマトリクス状に設けられた複数のTFTと、各TFTを覆うように設けられた層間絶縁膜と、層間絶縁膜上にマトリクス状に設けられ且つ複数のTFTにそれぞれ接続された複数の画素電極と、各画素電極を覆うように設けられた配向膜とを備える。CF基板2は、例えば、ガラス基板上に格子状に設けられたブラックマトリクスと、ブラックマトリクスの各格子間にそれぞれ設けられた赤色層、緑色層及び青色層を含むカラーフィルターと、ブラックマトリクス及びカラーフィルターを覆うように設けられた共通電極と、共通電極を覆うように設けられた配向膜とを備える。液晶層3は、電気光学特性を有する液晶分子を含むネマチック液晶材料等により構成される。第1偏光板6及び第2偏光板7は、例えば、一方向の偏光軸を有する偏光子層と、その偏光子層を挟持するように設けられた一対の保護層とを備える。
<バックライトユニット>
図2は、本実施形態に係るバックライトユニットの断面図の一例である。
バックライトユニット40は、図2に示すように、反射シート41と、反射シート41上に2次元状に配置された複数の光源42と、複数の光源42の上側に設けられた光拡散シート(下用光拡散シート)43と、光拡散シート43の上側に設けられた色変換シート44と、色変換シート44の上側に順に設けられた第1プリズムシート45及び第2プリズムシート46と、第2プリズムシート46の上側に設けられた光拡散シート(上用光拡散シート)47とを備える。
尚、図2では、同じ構造の光拡散シート43を三層積層してバックライトユニット40に設ける場合を例示しているが、光拡散シート43は単層で用いてもよいし、又は、二層若しくは四層以上積層して用いてもよい。
反射シート41は、例えば、白色のポリエチレンテレフタレート樹脂製のフィルム、銀蒸着フィルム等により構成される。
光源42の種類は特に限定されないが、例えばLED素子やレーザー素子等であってもよく、コスト、生産性等の観点からLED素子を用いてもよい。光源42は、平面視した場合に長方形状を有していてもよく、その場合、一辺の長さは10μm以上(好ましくは50μm以上)20mm以下(好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下)であってもよい。光源42としてLEDを用いる場合、複数の数mm角のLEDチップを一定の間隔をもって反射シート41上に配置してもよい。光源42となるLEDの出光角度特性を調節するために、LEDにレンズを装着してもよい。光源42の配置数も特に限定されないが、複数の光源42を分散配置する場合は、反射シート41上に規則的に配置することが好ましい。規則的に配置するとは、一定の法則性をもって配置することを意味し、例えば、光源42を等間隔で配置する場合が該当する。等間隔で光源42を配置する場合、隣り合う2つの光源42の中心間距離は、0.5mm以上(好ましくは2mm以上)20mm以下であってもよい。
光拡散シート(下用光拡散シート)43は、光源42から入射される光線を拡散させつつ法線方向側へ集光させる(つまり集光拡散させる)。光拡散シート43を構成するマトリックス樹脂は、光を透過させる材料で構成されていれば、特に限定されないが、例えば、ポリカーボネート、アクリル、ポリスチレン、MS(メチルメタクリレート・スチレン共重合)樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、セルロールアセテート、ポリイミド等であってもよい。光拡散シート43の厚さも、特に限定されないが、例えば、50μm以上3mm以下であってもよい。光拡散シート43の厚さが3mmを超えると、液晶ディスプレイの薄型化の達成が難しくなる一方、光拡散シート43の厚さが50μmを下回ると、十分な光拡散効果を得ることが難しくなる。図2に示すように、同じ構造の光拡散シート43を複数枚積層する場合、積層厚さが数百μm~数mm程度であってもよい。光拡散シート43は、フィルム状であってもよいし、プレート(板)状であってもよい。光拡散シート43の詳細な構成や製法については後述する。
色変換シート44は、光源42からの光(例えば青色の光)を、任意の色(例えば緑色や赤色)の波長をピーク波長とする光に変換する波長変換シートである。色変換シート44は、例えば、波長450nmの青色光を、波長540nmの緑色光と波長650nmの赤色光に変換する。この場合、波長450nmの青色光を発する光源42を用いると、色変換シート44によって青色光が部分的に緑色光と赤色光に変換されるので、色変換シート44を透過した光は白色光になる。色変換シート44としては、例えば、QD(量子ドット)シートや蛍光シート等を用いてもよい。
第1プリズムシート45及び第2プリズムシート46は、色変換シート44側から入射される光線を法線方向側に屈折させる。プリズムシート45、46のそれぞれの光出射面側には、例えば、横断面が二等辺三角形の複数の溝条が互いに隣り合うように設けられ、隣り合う一対の溝条に挟まれた三角柱部分によってプリズムが構成される。プリズムの頂角は、例えば90°程度である。第1プリズムシート45に形成された各溝条と、第2プリズムシート46に形成された各溝条とは、互いに直交するように配置されてもよい。このようにすると、色変換シート44側から入射される光線を第1プリズムシート45によって法線方向側に屈折させ、さらに第1プリズムシート45から出射される光線を第2プリズムシート45によって光拡散シート47の光入射面に対して略垂直に進むように屈折させることができる。プリズムシート45、46は、別体で積層されてもよいし、或いは、一体に形成されてもよい。プリズムシート45、46の合計厚さは、例えば、100~400μm程度であってもよい。プリズムシート45、46としては、例えば、PET(polyethylene terephthalate)フィルムにUV硬化型アクリル系樹脂を用いてプリズム形状をつけたものを用いてもよい。
光拡散シート(上用光拡散シート)47は、第2プリズムシート46側から入射される光線を若干程度拡散させてプリズムシート45、46のプリズム部の形状等に起因する輝度ムラを抑制する。光拡散シート47は、プリズムシート4の表面に直接積層されてもよい。光拡散シート47の厚さは、特に限定されないが、例えば、50μm以上3mm以下であってもよい。光拡散シート47の厚さが3mmを超えると、液晶ディスプレイの薄型化の達成が難しくなる一方、光拡散シート47の厚さが50μmを下回ると、十分な光拡散効果を得ることが難しくなる。光拡散シート47は、フィルム状であってもよいし、プレート(板)状であってもよい。光拡散シート47としては、例えば、PETフィルムの少なくとも一面にUV硬化型アクリル系樹脂を用いて凹凸形状をつけたものを用いてもよい。
<光拡散シート(下用光拡散シート)の詳細構成>
図3及び図4は、本実施形態に係る光拡散シートの断面図及び斜視図の一例である。
光拡散シート43は、図3に示すように、光出射面となる第1面43aと、光入射面となる第2面43bとを有する。すなわち、光拡散シート43は、第2面43bを光源42の方に向けて配置される。光拡散シート43は、基材層101と、基材層101の第1面43a側に設けられた第1拡散層102と、基材層101の第2面43b側に設けられた第2拡散層103とから構成される。第1拡散層102には、略逆多角錐状、具体的には略逆四角錐状(逆ピラミッド状)の複数の凹部105が設けられる。第2拡散層103には、所定の方向に延びる複数の線状構造106が設けられる。
尚、本実施形態では、第1拡散層102が形成される第1面43aを光出射面とし、第2拡散層103が形成される第2面43bを光入射面としたが、これに代えて、第1面43aを光入射面とし、第2面43bを光出射面としてもよい。
基材層101は、光線を透過させる必要があるので、透明(例えば無色透明)の合成樹脂を主成分として形成される。基材層101の主成分は、特に限定されるものではなく、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリオレフィン、セルロースアセテート、耐候性塩化ビニル等を用いてもよい。尚、「主成分」とは、最も含有量の多い成分をいい、例えば含有量が50質量%以上の成分をいう。基材層101は、拡散剤その他の添加剤を含有してもよいし、或いは、実質的に添加剤を含有しなくてもよい。含有可能な添加剤は、特に限定されないが、例えば、シリカ、酸化チタン、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の無機粒子であってもよいし、例えば、アクリル、アクリルニトリル、シリコーン、ポリスチレン、ポリアミド等の有機粒子であってよい。
基材層101の平均厚さの下限としては、10μm程度が好ましく、35μm程度がより好ましく、50μm程度がさらに好ましい。基材層101の平均厚さの上限としては、500μm程度が好ましく、250μm程度がより好ましく、180μm程度がさらに好ましい。基材層101の平均厚さが前記下限に満たないと、拡散層102、103を形成した場合にカールを発生するおそれがある。逆に、基材層101の平均厚さが前記上限を超えると、液晶表示装置50の輝度が低下するおそれがあると共に、液晶表示装置50の薄型化の要請に沿えないおそれがある。尚、「平均厚さ」とは、任意の10点の厚さの平均値をいう。
第1拡散層102は、光線を透過させる必要があるので、透明(例えば無色透明)の合成樹脂を主成分として形成されてもよい。第1拡散層102は、例えば、基材層101となる母材樹脂の押出成形の際に基材層101と一体に成形してもよいし、或いは、基材層101の成形後に、紫外線硬化型樹脂を用いて別途成形してもよい。
第1拡散層102(光拡散シート43の第1面43a)に設けられた略逆四角錐状(逆ピラミッド状)の複数の凹部105は、例えば図4に示すように、二次元マトリクス状に配列されてもよい。言い換えると、複数の凹部105は、互いに直交する2方向に沿って配列されてもよい。隣り合う凹部105同士は、稜線111によって区画される。稜線111は、凹部105が配列される2方向に沿って延びる。凹部105の配列ピッチは、例えば50μm程度以上500μm程度以下であってもよい。凹部105の中心(逆ピラミッドの頂点)112は、凹部105の最深部である。凹部105の中心(最深部)112は、基材層101の表面(光出射面)に達していてもよい。言い換えると、凹部105の深さは、第1拡散層102の厚さと等しくてもよい。尚、図4では、簡単のため、凹部105が5×5のマトリクス状に配置された様子を例示しているが、凹部105の実際の配列数ははるかに多い。
本実施形態の特徴の1つとして、凹部105の頂角θは、100°以上に設定される。尚、第1拡散層102による光拡散性の低下を抑制するために、凹部105の頂角θの上限を例えば170°としてもよい。ここで、凹部105の頂角θとは、図5に示すように、光拡散シート43の載置面(水平面)に対して垂直な面(縦断面)で、逆ピラミッドの頂点112を通り且つ頂点112を挟んで向き合う一対の稜線111を垂直に横切るように凹部105を切断したときに現れる断面(図5の下図)において、凹部105の傾斜面同士がなす角のことである。尚、図5の上図は、凹部105の平面構成を示す。また、図5において、「H」は、凹部105の深さ(ピラミッド形状の高さ)を示し、「P」は、凹部105の水平幅(つまり凹部105の配列ピッチ)を示す。凹部105の深さHは、凹部105の配列ピッチPと、凹部105の頂角θとによって定まる。
本実施形態では、逆ピラミッド状(略逆四角錐状)の凹部105を二次元マトリクス状に配列して凹凸形状を設けたが、凹部105は、本発明の作用効果が失われない程度にランダムに配列されてもよい。凹部105を規則的に2次元配列する場合、凹部105同士の間に隙間を設けてもよいし、或いは、設けなくてもよい。凹部105は、略逆四角錐状とは異なる他の略逆多角錐状を有していてもよい。例えば、凹部105の「逆多角錐」形状を、逆四角錐と同様に隙間なく二次元配置することが可能な逆三角錐又は逆六角錐としてもよい。凹部105の「逆多角錐」形状を逆四角錐とする場合、凹部105を設ける際の押出成形や射出成形等の製造工程で用いられる金型(金属ロール)の表面切削作業の精度を向上させることが容易である。
尚、本開示では、通常の形状転写技術により幾何学的に厳密な逆多角錐の凹部を形成することが難しいことを考慮して、「略逆多角錐」との表記を用いるが、「略逆多角錐」は、真正の又は実質的に逆多角錐とみなせる形状を含むものとする。また、「略」とは、近似可能であることを意味し、例えば「略逆四角錐」とは、逆四角錐に近似可能な形状をいう。例えば、頂部が平坦な「逆多角錐台形」についても、本発明の作用効果が失われない程度に頂部面積が小さいものは、「略逆多角錐」に包含されるものとする。また、工業生産上の加工精度に起因する不可避的な形状のばらつきの範囲内で「逆多角錐」から変形した形状も、「略逆多角錐」に包含される。
第2拡散層103は、光線を透過させる必要があるので、透明(例えば無色透明)の合成樹脂を主成分として形成されてもよい。第2拡散層103は、例えば、基材層101となる母材樹脂の押出成形の際に基材層101と一体に成形してもよいし、或いは、基材層101の成形後に、紫外線硬化型樹脂を用いて別途成形してもよい。
第2拡散層103(光拡散シート43の第2面43b)に所定の方向に延びるように設けられた線状構造106は、例えばストライプ状のプリズム(三角柱状体)であってもよい。第2拡散層103の厚さ(基材層101の表面(光入射面)から線状構造106となるプリズムの頂点までの高さ)の下限は、例えば、5μm程度、より好ましくは10μm程度であってもよい。第2拡散層103の厚さの上限は、200μm程度、より好ましくは100μm程度であってもよい。線状構造106のピッチの下限は、例えば、10μm程度、より好ましくは20μm程度であってもよい。線状構造106のピッチの上限は、例えば、200μm程度、より好ましくは100μm程度であってもよい。線状構造106となるプリズムの屈折率の下限は、例えば、1.5、より好ましくは1.55であってもよく、当該屈折率の上限は、例えば、1.7であってもよい。
図6に示すように、複数の凹部105が二次元マトリクス状に配列される場合、当該配列方向(つまり稜線111の延伸方向)の1つに沿って、線状構造106を延伸させてもよいし(図6の(a)参照)、或いは、当該配列方向と線状構造106の延伸方向とを交差させてもよい(図6の(b)参照)。凹部105の配列方向と線状構造106の延伸方向とを交差させる場合、当該交差角度は、例えば、30°以上60°以下、好ましくは40°以上50°以下であってもよい。尚、図6は、光拡散シート43の一部を凹部105(第1拡散層102)側から見た平面図である。
バックライトユニット40において光拡散シート43を複数枚積層して用いる場合、一の光拡散シート43における線状構造106の延伸方向と、他の光拡散シート43における線状構造106の延伸方向とは、一致してもよいし、或いは、交差してもよい。
尚、図3に示す光拡散シート43では、複数の線状構造106として、ストライプ状のプリズムを設けたが、線状構造106は、第2拡散層103(光拡散シート43の第2面43b)において所定の方向に延びる凸状体を含むものであれば、特に限定されるものではない。例えば図7に示すように、複数の線状構造106は、ヘアライン(図7の(a))、レンチキュラー(図7の(b))、回折格子(図7の(c))などを構成してもよい。線状構造106となるヘアラインは、例えば、基材層101の表面に対して単一方向へ研磨を行って生成した細長い筋目であってもよい。線状構造106となるレンチキュラーは、例えば、基材層101の表面に設けた微細で細長いカマボコ状の凸レンズ体であってもよい。線状構造106となる回折格子は、例えば、基材層101の表面に周期的に並置された直線状の凹凸からなる格子パターンであってもよい。尚、図7は、図3に示す光拡散シート43の断面構成のうち第2拡散層103の断面構成のバリエーションを示す。
また、線状構造106としてプリズムを設ける場合、当該プリズムの高さを垂直方向に沿って周期的に変化させてもよい。すなわち、線状構造106となるプリズムの頂部(稜線)を垂直方向に上下させてウェーブさせてもよい。また、プリズムの高さと共にプリズムの幅も変化させてもよい。具体的には、プリズムの高さが高い箇所ではプリズムの幅が広くなり、プリズムの高さが低い箇所ではプリズムの幅が狭くなってもよい。また、プリズム稜線に繰り返し現れる山の高さ及び反復周期は同一であってもよい。以上のようにプリズムの高さを変化させることにより、重ね合わせる他の光拡散シート43とプリズムとの接触面積を縮小して、異物の混入、接触によるスクラッチ、及びユーザーの不良視認性を低減することができる。
また、線状構造106としてプリズムを設ける場合、当該プリズムを水平方向に周期的に蛇行させながら所定の方向に延伸させてもよい。具体的には、プリズムの形状(高さ、ピッチ、頂角)は変えずにプリズム稜線の並びを周期的に蛇行させてもよい。すなわち、光拡散シート43の第2面43bを正面から見て、線状構造106となるプリズムがウェーブしながら延伸していてもよい。これにより、逆ピラミッド状の凹部105と線状構造106となるプリズムとの組合せに起因する干渉模様の発生を抑制することができる。
<光拡散シート(下用光拡散シート)の製法>
光拡散シート43の製造方法は、特に限定されないが、例えば、以下のような4つの製造方法のいずれかを用いて光拡散シート43の製造が可能である。
第1の製造方法では、まず、ペレット状の母材樹脂(プラスチック樹脂)を押出成形機によって樹脂フィルム化する。その後、2本の金属ロールのうち一方のロールとして、凸ピラミッド形状を表面に持つロール、他方のロールとして、所定の方向に延びる複数の線状凹形状を表面に有するロールを使用し、当該両ロールを樹脂フィルムに圧着して、一面に逆ピラミッド形状(凹部105)、他面に線状凸形状(線状構造106)を持つ光拡散シート43を作製する。この製造方法では、基材層101、第1拡散層102及び第2拡散層103は、一体に形成される。
第2の製造方法では、まず、ペレット状の母材樹脂(プラスチック樹脂)を押出成形機によって樹脂フィルム化する。その後、2本の金属ロールのうち一方のロールとして、凸ピラミッド形状を表面に持つロール、他方のロールとして、鏡面ロールを使用し、当該両ロールを樹脂フィルムに圧着して、一面に逆ピラミッド形状(凹部105)、他面に鏡面を持つシート(基材層101と第1拡散層102とが一体となったシート)を作製する。続いて、当該シートを一対の押圧ロール間に送りつつ、一対の押圧ロールの直前で基材層101の裏面側(例えば液晶表示装置50に組み込まれた場合における光入射面側)に紫外線硬化型樹脂(突起形成用樹脂組成物)を供給する。ここで、紫外線硬化型樹脂に接する側の押圧ロールとしては、外周面に所定の方向に延びる複数の線状凹部を有するものを用いる。紫外線硬化型樹脂が供給された前記シートを一対の押圧ロールで押圧した後、紫外線を照射することによって紫外線硬化型樹脂を硬化させ、逆ピラミッド形状(凹部105)を付与した前記シートの反対面側に、複数の線状凹部の反転形状である複数の線状突起(線状構造106)を転写する。この製造方法では、第2拡散層103だけが別体で形成される。
第3の製造方法では、まず、ペレット状の母材樹脂(プラスチック樹脂)を押出成形機によって樹脂フィルム化する。その後、2本の金属ロールのうち一方のロールとして、所定の方向に延びる複数の線状凹部を表面に持つロール、他方のロールとして、鏡面ロールを使用し、当該両ロールを樹脂フィルムに圧着して、一面に複数の線状凹部の反転形状である複数の線状突起(線状構造106)、他面に鏡面を持つシート(基材層101と第2拡散層103とが一体となったシート)を作製する。次に、当該シートを一対の押圧ロール間に送りつつ、一対の押圧ロールの直前で基材層101の表面側(例えば液晶表示装置50に組み込まれた場合における光出射面側)に紫外線硬化型樹脂(突起形成用樹脂組成物)を供給する。ここで、紫外線硬化型樹脂に接する側の押圧ロールとしては、外周面に複数の略正四角錐状の凸部を有するものを用いる。紫外線硬化型樹脂が供給された前記シートを一対の押圧ロールで押圧した後、紫外線を照射することによって紫外線硬化型樹脂を硬化させ、複数の線状突起(線状構造106)を付与した前記シートの反対面側に、複数の略正四角錐状の凸部の反転形状である複数の逆ピラミッド形状(凹部105)を転写する。この製造方法では、第1拡散層102だけが別体で形成される。
第4の製造方法では、まず、例えばポリエチレンテレフタレートを主成分とする基材層101を用意する。この基材層101を一対の第1押圧ロール間に送りつつ、一対の第1押圧ロールの直前で、基材層101の裏面側(例えば液晶表示装置50に組み込まれた場合における光入射面側)に第1紫外線硬化型樹脂(突起形成用樹脂組成物)を供給する。ここで、第1紫外線硬化型樹脂に接する側の第1押圧ロールとしては、外周面に所定の方向に延びる複数の線状凹部を有するものを用いる。第1紫外線硬化型樹脂が供給された基材層101を一対の第1押圧ロールで押圧した後、紫外線を照射することによって第1紫外線硬化型樹脂を硬化させ、基材層101の裏面側に、複数の線状凹部の反転形状である複数の線状凸形状(線状構造106)を転写したシート(基材層101と第2拡散層103とが積層されたシート)を作製する。次に、当該シートを一対の第2押圧ロール間に送りつつ、一対の第2押圧ロールの直前で、複数の線状凸形状(線状構造106)を転写した前記シートの表面側(例えば液晶表示装置50に組み込まれた場合における光出射面側)に第2紫外線硬化型樹脂(突起形成用樹脂組成物)を供給する。第2紫外線硬化型樹脂に接する側の第2押圧ロールとしては、外周面に複数の略正四角錐状の凸部を有するものを用いる。第2紫外線硬化型樹脂が供給された前記シートを一対の第2押圧ロールで押圧した後、紫外線を照射することによって第2紫外線硬化型樹脂を硬化させ、複数の線状突起(線状構造106)を付与した前記シートの反対面側に、複数の略正四角錐状の凸部の反転形状である複数の逆ピラミッド形状(凹部105)を転写する。この製造方法では、基材層101、第1拡散層102及び第2拡散層103はそれぞれ、別体で形成される。
第5の製造方法では、まず、ペレット状の母材樹脂(プラスチック樹脂)を押出成形機によって樹脂フィルム化する。その後、2台の金属平板のうち一方の平板として、凸ピラミッド形状を表面に持つ金属平板、他方の平板として、所定の方向に延びる複数の線状凹形状を表面に有する金属平板を使用し、当該両金属平板を樹脂フィルムに圧着(熱プレス)して、一面に逆ピラミッド形状(凹部105)、他面に線状凸形状(線状構造106)を持つ光拡散シート43を作製する。この製造方法では基材層101、第1拡散層102及び第2拡散層103は、一体に形成される。
<実施形態の特徴>
以上に説明した本実施形態の光拡散シート43によると、一面に略逆四角錐状の複数の凹部105を設け、他面に所定の方向に延びる複数の線状構造106を設け、凹部105の頂角を100°以上に設定している。このため、複数の凹部105による光拡散効果と、複数の線状構造106による光拡散効果との相乗作用を増大させることができる。従って、光拡散シート43の輝度均一化能力を向上させることができるので、さらなる薄型化に伴う光拡散シート43の厚みや積層枚数の削減などにも対応することができる。
本実施形態の光拡散シート43において、複数の線状構造106は、プリズム、ヘアライン、レンチキュラー、又は回折格子を構成してもよい。このようにすると、略逆四角錐状の凹部105との組合せによって、光拡散効果の相乗作用を確実に増大させることができる。
本実施形態の光拡散シート43において、複数の凹部105は、二次元マトリクス状に配列され、当該配列方向と線状構造106の延伸方向とは、交差してもよい。このようにすると、凹部105の頂角θの広い範囲に亘って、光拡散効果の相乗作用を増大させることができる。
本実施形態のバックライトユニット40は、液晶表示装置50に組み込まれ、複数の光源42から発せられた光を表示画面50a側に導く。バックライトユニット40は、表示画面50aと光源42との間に、本実施形態の光拡散シート43を備える。このため、光拡散シート43の輝度均一化能力が向上するので、さらなる薄型化に伴う光拡散シート43の厚みや積層枚数の削減などにも対応できる。
本実施形態のバックライトユニット40において、複数の光源42は、光拡散シート43から見て表示画面50aの反対側に設けられた反射シート41の上に配置されてもよい。このようにすると、光拡散シート43と反射シート41との間での多重反射によって光がさらに拡散されるので、面内輝度均一性がより一層向上する。
本実施形態のバックライトユニット40において、光拡散シート43は、複数枚積層して表示画面50aと複数の光源42との間に配置されてもよい。このようにすると、複数枚の光拡散シート43を用いて、面内輝度均一性をさらに向上させることができる。この場合、複数枚積層された光拡散シート43において、一の光拡散シート43における複数の線状構造106の延びる方向と、他の光拡散シート43における複数の線状構造106の延びる方向とは交差してもよい。このようにすると、モアレ(干渉縞)の発生を抑制することができる。
本実施形態のバックライトユニット40において、複数の光源42と光拡散シート43との間の距離が0mm以上1mm以下であってもよい。このようにすると、薄型化のために光源・シート間距離を十分に確保できない場合でも、本実施形態の光拡散シート43の拡散性能によって、面内輝度均一性の悪化を抑制することができる。
本実施形態の液晶表示装置50は、本実施形態のバックライトユニット40と、液晶表示パネル5とを備える。このため、バックライトユニット40によって、面内輝度均一性を向上させることができるので、さらなる薄型化に伴う光拡散シート43の厚みや積層枚数の削減などに対しても、面内輝度均一性を維持することができる。本実施形態の液晶表示装置50が組み込まれた情報機器(パーソナルコンピュータ、携帯電話など)においても同様の効果を得ることができる。
尚、本実施形態においては、バックライトユニット40として、液晶表示装置50の表示画面50aの背面側に複数の光源42を分散配置させた直下型のバックライトユニットを用いている。このため、液晶表示装置50を小型化するためには、光源42と光拡散シート43との距離を小さくする必要がある。しかしながら、この距離を小さくすると、例えば、分散配置された光源42同士の間の領域上に位置する部分の表示画面50aの輝度が他の部分よりも小さくなる現象(輝度ムラ)が生じやすくなる。
それに対して、本実施形態の光拡散シート43を用いることは、輝度ムラの抑制に有用である。特に、今後の中小型液晶ディスプレイの薄型化をにらみ、光源42と光拡散シート(下用光拡散シート)43との距離を15mm以下、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下、さらに好ましくは2mm以下、究極的には0mmとした場合に、本実施形態の光拡散シート43の有用性はより一層顕著になると考えられる。
<第1実施例>
以下、第1実施例について説明する。前述の光拡散シート43の第1実施例となる評価サンプルとして、表1に示すように、凹部105となる逆ピラミッド形状の頂角θが100°及び120°のものを用意した。尚、いずれのサンプルでも、ポリカーボネートからなる基材層101に、アクリレート系のUV硬化樹脂を用いて逆ピラミッド形状や線状構造106(プリズム形状)を転写した。
表1に示すように、いずれの評価サンプルについても、逆ピラミッド形状の高さは50μmに設定した。これにより、逆ピラミッド形状の頂角θが100°のサンプルでは、逆ピラミッド形状の配列ピッチは119μmとなり、逆ピラミッド形状の頂角θが120°のサンプルでは、逆ピラミッド形状の配列ピッチは180μmとなった。
また、逆ピラミッド形状の頂角θが100°、120°のそれぞれのサンプルについて、基材層101の厚さが70μmで、線状構造106となるプリズム形状の頂角(以下、プリズム角ということもある)が64°であるものと、基材層101の厚さが90μmでプリズム角が90°であるものの2種類を用意した。プリズム角が64°のサンプルでは、プリズム形状の高さを50μmとし、プリズム形状の配列ピッチを62μmとした。プリズム角が90°のサンプルでは、プリズム形状の高さを12.5μmとし、プリズム形状の配列ピッチを25μmとした。
尚、表1では、逆ピラミッド形状の頂角θ、高さ、ピッチも、プリズム形状の頂角、高さ、ピッチも、それらの形状を作製するための金型の寸法から得られた値を示している。
また、比較例となる評価サンプルとして、表1に示すように、逆ピラミッド形状の頂角θが80°(高さは50μm、ピッチは84μm)でプリズム角が64°及び90°(プリズム形状の高さ、ピッチは前述の場合と同じ)であるものを用意した。さらに、他の比較例となる評価サンプルとして、表1に示すように、逆ピラミッド形状の頂角θが80°、90°、100°及び120°(90°を除いて、逆ピラミッド形状の高さ、ピッチは前述の場合と同じ)、基材層101の厚さが70μmで、プリズムの無い(プリズム角180°に対応)つまり第2拡散層103を形成しないサンプルを用意した。逆ピラミッド形状の頂角θが90°のサンプルでは、逆ピラミッド形状の高さ及び配列ピッチはそれぞれ50μm、100μmとした。
表1に示す第1実施例及び比較例の評価サンプルの面内輝度均一性の評価を、図2に示すバックライトユニット40を以下のように構成して実施した。複数の光源42として、3mmピッチで配列された青色LEDアレイを用いた。評価サンプル(光拡散シート43)は、同じ構成のものを同じ向き(線状構造106の延伸方向が一致する向き)で3枚積層して用いた。各サンプルについて3枚積層したときの総厚さを表1に示す。バックライトユニット40を構成するシート類の浮きを抑えるために、光拡散シート(上用光拡散シート)47の上には透明ガラス板を載せた。
以上のように構成したバックライトユニット40において、トプコンテクノハウス社製の2次元色彩輝度計UA-200を用いて、鉛直方向上向き(LEDアレイからガラス板に向かう方向)の輝度を測定した。次に、得られた二次元輝度分布画像に対して、個々のLEDの発光強度バラツキに対する補正を行い、異物等に起因する輝点・暗点ノイズを抑えるためのフィルタリング処理を行った後、全画素の輝度について平均値及び標準偏差を算出した。最後に、「面内輝度均一性」を「輝度の平均値/輝度の標準偏差」と定義して、第1実施例及び比較例の評価サンプルの面内輝度均一性を算出した。尚、面内輝度均一性の評価は、逆ピラミッド形状(凹部105)を光出射面側にして(図3の向きで)サンプルを積層した場合と、逆ピラミッド形状(凹部105)を光入射面側にして(図3の向きを上下反転した向きで)サンプルを積層した場合の両方について行った。
図8及び表2に、第1実施例及び比較例の評価サンプルの面内輝度均一性を評価した結果を示す。尚、図8の「逆ピラミッド上」及び表2の「(上)」は、逆ピラミッド形状が光出射面側であることを表し、図8の「逆ピラミッド下」及び表2の「(下)」は、逆ピラミッド形状が光入射面側であることを表す。また、表2では、逆ピラミッド形状の頂角θが90°の場合の面内輝度均一性の算出値を省略している。
図8及び表2に示すように、頂角100°及び120°の逆ピラミッド形状とプリズム形状とが設けられた第1実施例の面内輝度均一性は、頂角80°の逆ピラミッド形状が設けられるか又はプリズム形状が設けられない比較例と比べて概ね高くなった。具体的には、プリズム形状が設けられない比較例(プリズム角180°の平坦面を持つサンプル)の場合、逆ピラミッド形状の頂角が大きくなるほど、面内輝度均一性が低下した。それに対して、プリズム形状を設けた場合、逆ピラミッド形状の頂角が大きくなるほど、また、プリズム角が大きくなるほど、面内輝度均一性が増大した。特に、頂角120°の逆ピラミッド形状とプリズム角90°のプリズム形状とを設けた第1実施例では、逆ピラミッド形状を光出射面側、光入射面側のいずれに配置した場合でも、面内輝度均一性は200を超える高い値となった。
<第2実施例>
以下、第2実施例について説明する。光拡散シート43の第2実施例となる評価サンプルとして、表3に示すように、凹部105となる逆ピラミッド形状の頂角θ(以下、ピラミッド頂角ということもある)が80°、90°、100°、120°、140°、160°のものを用意した。尚、いずれのサンプルでも、ポリカーボネートからなる基材層101に、アクリレート系のUV硬化樹脂を用いて逆ピラミッド形状や線状構造106(プリズム形状)を転写した。
表3に示すように、いずれの評価サンプルについても、逆ピラミッド形状の高さは50μmに設定した。これにより、ピラミッド頂角が80°のサンプルでは、逆ピラミッド形状の配列ピッチは84μmとなり、ピラミッド頂角が90°のサンプルでは、逆ピラミッド形状の配列ピッチは100μmとなり、ピラミッド頂角が100°のサンプルでは、逆ピラミッド形状の配列ピッチは118μmとなり、ピラミッド頂角が120°のサンプルでは、逆ピラミッド形状の配列ピッチは172μmとなり、ピラミッド頂角が140°のサンプルでは、逆ピラミッド形状の配列ピッチは275μmとなり、ピラミッド頂角が160°のサンプルでは、逆ピラミッド形状の配列ピッチは568μmとなった。
また、ピラミッド頂角が80°~160°のそれぞれのサンプルについて、基材層101の厚さが50μmで、線状構造106となるプリズム形状の頂角(以下、プリズム頂角ということもある)がそれぞれ80°、90°、100°、120°である4種類を用意した。いずれのプリズム頂角のサンプルについてもプリズム形状の高さを50μmとし、プリズム頂角が80°のサンプルでは、プリズム形状の配列ピッチを84μmとし、プリズム頂角が90°のサンプルでは、プリズム形状の配列ピッチを100μmとし、プリズム頂角が100°のサンプルでは、プリズム形状の配列ピッチを118μmとし、プリズム頂角が120°のサンプルでは、プリズム形状の配列ピッチを172μmとした。
尚、表3では、逆ピラミッド形状の頂角、高さ、ピッチも、プリズム形状の頂角、高さ、ピッチも、それらの形状を作製するための金型の寸法から得られた値を示している。
表3に示す第2実施例の評価サンプルの面内輝度均一性の評価を、バックライトユニット40を図9及び図10に示すように構成して実施した。尚、図9、図10において、図2に示すバックライトユニット40や、図3に示す光拡散シート43と同じ構成には同じ符号を付す。図2に示すバックライトユニット40では、同じ構造の光拡散シート43を三層積層したが、図9に示すバックライトユニット40では、同じ構造の光拡散シート43を二層積層した。また、図2に示すバックライトユニット40では、図3に示すように、光拡散シート43を第1面43a(凹部105の形成面)が光出射面となるように配置したが、図9に示すバックライトユニット40では、図10に示すように、光拡散シート43を第1面43a(凹部105の形成面)が光入射面となるように配置した。各評価サンプル(光拡散シート43)は、線状構造106の延伸方向が一致する向きに2枚積層した。各サンプルについて2枚積層したときの総厚さを表3に示す。複数の光源42としては、3mmピッチで配列された青色LEDアレイを用い、バックライトユニット40を構成するシート類の浮きを抑えるために、光拡散シート(上用光拡散シート)47の上には透明ガラス板を載せた。
以上のように構成したバックライトユニット40において、第1実施例と同様に、輝度(平均値)、及び面内輝度均一性を算出した。図11及び図12に、第2実施例の評価サンプルの面内輝度均一性、及び輝度(平均値)をそれぞれ評価した結果を示す。
図11に示すように、プリズム頂角が95°以下である場合、ピラミッド頂角を110°以上130°以下に設定することによって、優れた面内輝度均一性が得られることが分かった。尚、実用上の観点等から、プリズム頂角を60°程度以上に設定してもよい。
また、図11に示すように、プリズム頂角が95°以上である場合、ピラミッド頂角を85°以上95°以下に設定することによって、優れた面内輝度均一性が得られることが分かった。
また、図12に示すように、いずれのプリズム頂角の評価サンプルについても、ピラミッド頂角を130°以上150°以下に設定することによって、輝度均一化能力を向上させながら、輝度を増大させることができることが分かった。
<第3実施例>
以下、第3実施例について説明する。光拡散シート43の第3実施例となる評価サンプルとして、第2実施例と同様に、表3に示す各サンプルを用いた。
第3実施例の評価サンプルの面内輝度均一性の評価を、バックライトユニット40を図9に示すように構成して実施した。すなわち、第3実施例でも、第2実施例と同様に、図9に示すバックライトユニット40で、同じ構造の光拡散シート43を二層積層した。尚、第2実施例では、図10に示すように、光拡散シート43を第1面43a(凹部105の形成面)が光入射面となるように配置したが、第3実施例では、第1実施例と同様に、図3に示すように、光拡散シート43を第1面43a(凹部105の形成面)が光出射面となるように配置した。各評価サンプル(光拡散シート43)は、線状構造106の延伸方向が一致する向きに2枚積層した。各サンプルについて2枚積層したときの総厚さを表3に示す。複数の光源42としては、3mmピッチで配列された青色LEDアレイを用い、バックライトユニット40を構成するシート類の浮きを抑えるために、光拡散シート(上用光拡散シート)47の上には透明ガラス板を載せた。
以上のように構成したバックライトユニット40において、第1実施例と同様に、輝度(平均値)、及び面内輝度均一性を算出した。図13及び図14に、第3実施例の評価サンプルの面内輝度均一性、及び輝度(平均値)をそれぞれ評価した結果を示す。
図13に示すように、プリズム頂角が95°以下である場合、ピラミッド頂角を110°以上130°以下に設定することによって、優れた面内輝度均一性が得られることが分かった。尚、実用上の観点等から、プリズム頂角を60°程度以上に設定してもよい。
また、図13に示すように、プリズム頂角が95°以上である場合、ピラミッド頂角を85°以上95°以下に設定することによって、優れた面内輝度均一性が得られることが分かった。
また、図14に示すように、プリズム頂角が110°以下である場合、ピラミッド頂角を150°以上に設定すると、輝度が若干低下する一方、プリズム頂角が110°以上である場合、ピラミッド頂角を130°以上に設定すると、輝度が増大することが分かった。このように、第3実施例の輝度は、図12に示す第2実施例とは異なる傾向を持っていた。
次に、入光側(下側)の光拡散シート43と出光側(上側)の光拡散シート43とでピラミッド頂角やプリズム頂角が異なる構成も含めて、第3実施例の評価サンプルの様々な組合せについて面内輝度均一性及び輝度(平均値)を評価した結果を表4及び表5に示す。尚、表5に示す輝度の単位は、cd/m2である。
表4及び表5に示すように、第3実施例では、出光側の光拡散シート43のピラミッド頂角を、入光側の光拡散シート43のピラミッド頂角よりも小さくした方が、面内輝度均一性及び輝度の両方が全般に向上する傾向があることが分かった。
同様の面内輝度均一性及び輝度(平均値)の評価を、前述の第2実施例の評価サンプルの様々な組合せについて実施した結果を表6及び表7に示す。尚、表7に示す輝度の単位は、cd/m2である。
表6及び表7に示すように、第2実施例では、輝度については表5に示す第3実施例と同様の傾向が見られたものの、面内輝度均一性については表4に示す第3実施例と同様の傾向は見られなかった。
(その他の実施形態)
以上、本開示についての実施形態(実施例を含む。以下同じ。)を説明したが、本開示は前述の実施形態のみに限定されず、開示の範囲内で種々の変更が可能である。すなわち、前述の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
1 TFT基板
2 CF基板
3 液晶層
5 液晶表示パネル
6 第1偏光板
7 第2偏光板
40 バックライトユニット
41 反射シート
42 光源
43 光拡散シート(下用光拡散シート)
43a 第1面
43b 第2面
44 色変換シート
45 第1プリズムシート
46 第2プリズムシート
47 光拡散シート(上用光拡散シート)
50 液晶表示装置
50a 表示画面
101 基材層
102 第1拡散層
103 第2拡散層
105 凹部
106 線状構造

Claims (12)

  1. 液晶表示装置に組み込まれ、複数の光源から発せられた光を表示画面側に導くバックライトユニットであって、
    前記表示画面と前記複数の光源との間に、光出射面となる第1面と、光入射面となる第2面とを有する光拡散シートを備え
    前記第1面及び前記第2面のうちの一方に、略逆四角錐状の複数の凹部が設けられ、
    前記第1面及び前記第2面のうちの他方に、所定の方向に延びる複数の線状構造が設けられ、
    前記複数の凹部の頂角は、100°以上160°以下であり、
    前記光拡散シートは、複数枚積層して前記表示画面と前記複数の光源との間に配置される
    バックライトユニット
  2. 前記複数の線状構造は、プリズム、ヘアライン、レンチキュラー、又は回折格子を構成する
    請求項1に記載のバックライトユニット
  3. 前記複数の線状構造は、頂角が95°以下の三角プリズムを構成し、
    前記複数の凹部の頂角は、110°以上130°以下である
    請求項1に記載のバックライトユニット
  4. 前記複数の線状構造は、プリズムを構成し、
    前記複数の凹部の頂角は、130°以上150°以下である
    請求項1に記載のバックライトユニット
  5. 前記複数の凹部は、二次元マトリクス状に配列され、当該配列方向と前記所定の方向とは交差する
    請求項1に記載のバックライトユニット
  6. 液晶表示装置に組み込まれ、複数の光源から発せられた光を表示画面側に導くバックライトユニットであって、
    前記表示画面と前記複数の光源との間に、光出射面となる第1面と、光入射面となる第2面とを有する光拡散シートを備え
    前記第1面及び前記第2面のうちの一方に、略逆四角錐状の複数の凹部が設けられ、
    前記第1面及び前記第2面のうちの他方に、所定の方向に延びる複数の線状構造が設けられ、
    前記複数の線状構造は、頂角が95°以上の三角プリズムを構成し、
    前記複数の凹部の頂角は、85°以上95°以下であり、
    前記光拡散シートは、複数枚積層して前記表示画面と前記複数の光源との間に配置される
    バックライトユニット
  7. 前記複数の光源は、前記光拡散シートから見て前記表示画面の反対側に設けられた反射シートの上に配置される
    請求項1~6のいずれか1項に記載のバックライトユニット。
  8. 複数枚積層された前記光拡散シートは、第1光拡散シートと、第2光拡散シートとを含み、
    前記第1光拡散シートにおける前記複数の線状構造の延びる方向と、前記第2光拡散シートにおける前記複数の線状構造の延びる方向とは交差する
    請求項1~6のいずれか1項に記載のバックライトユニット。
  9. 前記表示画面と前記光拡散シートとの間に、他の光拡散シートをさらに備え、
    前記他の光拡散シートの一面には、略逆四角錐状の複数の他の凹部が設けられ、
    前記複数の他の凹部の頂角は、前記複数の凹部の頂角よりも小さい
    請求項1~6のいずれか1項に記載のバックライトユニット。
  10. 前記複数の光源と前記光拡散シートとの間の距離は、1mm以下である
    請求項1~6のいずれか1項に記載のバックライトユニット。
  11. 請求項1~6のいずれか1項に記載のバックライトユニットと、
    液晶表示パネルとを備える
    液晶表示装置。
  12. 請求項11に記載の液晶表示装置を備える情報機器。
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