JP7433525B1 - 車両搭載型のドレンセパレータ、及び、車両搭載型の排ガス分析装置 - Google Patents
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Abstract
車両搭載型の排ガス分析装置200に用いられる車両搭載型のドレンセパレータ100であって、排ガスが流れる排ガス流路ELと、排ガスを希釈するために外部から取り込まれた気体が流れており、下流端部に設けられた合流点CPにおいて前記排ガス流路ELと合流する希釈用気体流路ALと、を備え、前記合流点CPよりも少なくとも上流側において前記排ガス流路ELを流れる排ガスと前記希釈用気体流路ALを流れる気体との間で熱交換が生じるように構成した。
Description
本発明は、車両搭載型の排ガス分析装置に用いられるドレンセパレータに関するものである。
従来、実路走行試験(RDE: Real Driving Emission)等を行うために、車両から排出される排ガスの成分濃度を分析する車両搭載型の排ガス分析装置が用いられている。このような排ガス分析装置は、図10に示すように水分が結露しないように100℃以上に保たれた排ガスが導入されて、導入された排ガスを分析する分析計Xと、分析計Xを通過した排ガスから水分を結露させて除去するドレンセパレータ100Aと、ドレンセパレータ100Aの下流側に設けられた排気ポンプPと、を備えている。ドレンセパレータ100Aを通過した排ガスには希釈用の空気が導入されて希釈された排ガスが排気ポンプPから車両の外部へ排出されるように構成されている。
ところで、ドレンセパレータにおいて十分に水分を結露させることができないと、排ガスが流通する配管内で結露が生じ、その結露水が配管内面を覆うことで流路面積が減少して、圧力上昇が発生することがある。車両搭載型の排ガス分析装置では電力が限られているため、排気ポンプの吐出圧が高くないことがあり、配管内における圧力上昇が生じると排ガスの流通や分析に支障が出る可能性がある。
このような問題が生じないようにするには、ドレンセパレータにおける水分を結露させる能力を向上させる必要がある。例えば特許文献1に示されるように工場内のシャーシダイナモ上での試験に用いられる排ガス分析装置では、ドレンセパレータの周囲に工場内の制御弁等を駆動するための計装エアーを流通させて排ガスの放熱を促し、水分除去能力を向上させることが行われている。
しかしながら、車両搭載型の排ガス分析装置においてはそもそも計装エアーを用いることはできない。また、排ガス分析装置の総重量が増加し、RDE試験の負担となる可能性がある場合には、単に排ガスを冷却するためだけに冷却用エアーの供給タンクを車両に別途搭載することは許容されにくい。
本発明は上述したような問題に鑑みてなされたものであり、従来と比較して電力消費量を増大させることなく、排ガスからの水分除去能力を向上させることができる車両搭載型のドレンセパレータ、及び、それを用いた排ガス分析装置を提供することを目的とする。
すなわち、本発明に係る車両搭載型のドレンセパレータは、車両搭載型の排ガス分析装置に用いられる車両搭載型のドレンセパレータであって、排ガスが流れる排ガス流路と、排ガスを希釈するための気体が流れており、下流端部に設けられた合流点において前記排ガス流路と合流する希釈用気体流路と、を備え、前記合流点よりも少なくとも上流側において前記排ガス流路を流れる排ガスと前記希釈用気体流路を流れる気体との間で熱交換が生じるように構成されていることを特徴とする。
このようなものであれば、例えば従来から車両搭載型の排ガス分析装置において用いられていた排ガスを希釈するために排ガス分析装置の筐体内又は排ガス装置側の筐体外から取り込まれた空気を前記希釈用気体流路に流すことで、ドレンセパレータ内において排ガスを十分に放熱させて、排ガス中の水分を十分に結露させつつ、排ガスを希釈することもできる。この結果、ドレンセパレータ以降の下流側で結露が生じて、排ガスの流通や分析に支障が出るのを防ぐことができる。また、従来と比較して排ガス流路と希釈用気体流路の配置を変更するだけでドレンセパレータにおける水分除去能力を向上させられるので、電力消費量を増大させることもない。あるいは、エアーのタンクを車両に搭載する場合でも、希釈用のエアーを前記希釈用気体流路に流すことにより、排ガスの希釈だけでなく、希釈前のエアーを利用して排ガス冷却も行うことができる。つまり、排ガス分析装置の総重量が増加する可能性があっても、排ガスの希釈と冷却の2つの機能を担わせることができるので、重量増加を許容しやすくできる。
前記排ガス流路の下流側において発生する大部分の結露水を貯留し、ドレンセパレータの下流側に水滴が流出しないようにするには、前記排ガス流路が、排ガス導入口から排ガスが導入される第1排ガス放熱流路と、前記第1排ガス放熱流路の下流側に設けられ、前記合流点において前記希釈用気体流路と合流する第2排ガス放熱流路と、を具備し、前記第2排ガス放熱流路に排ガスから結露した水分が貯留される結露水貯留部が設けられたものであればよい。
前記第1排ガス放熱流路を流れる排ガスと前記希釈用気体流路を流れる希釈用の気体との間の熱交換が行われる時間を長くし、排ガスの放熱量を大きくするには、前記第1排ガス放熱流路の流路面積が、前記排ガス導入口の開口面積よりも大きく形成されていればよい。また、このように前記第1排ガス放熱流路において流路面積が拡大するので、当該第1排ガス放熱流路において結露が生じたとしても大きな圧損が生じにくくなり、排ガスの流れや分析を妨げにくくできる。
前記第1排ガス放熱流路における排ガスの放熱により、排ガスと希釈用の気体との間の温度勾配が小さくなった状態でも前記第2排ガス放熱流路において排ガスを十分に放熱させて、前記第2排ガス放熱流路において十分に結露させることができるようにするには、前記第2排ガス放熱流路の流路面積が、前記第1排ガス放熱流路の流路面積よりも大きく形成されていればよい。このようなものであれば、第2排ガス放熱流路における排ガスの流速をさらに低下させて、滞留時間を長くできるので排ガスを十分に放熱させて水分を結露させることができる。
排ガスから水分をさらに結露させやすくするには、前記第1排ガス放熱流路、又は、前記第2排ガス放熱流路において、排ガスの流れ方向を遮るように設けられるとともに、少なくとも1つの排ガス流通孔が形成された吸熱板をさらに備え、前記吸熱板が、排ガスから吸熱した熱を、前記希釈用気体流路を流れる気体に伝熱するように構成されたものであればよい。また、このようなものであれば前記吸熱板の表面に排ガス内の水分を水滴として取り除くことができ、除去された水滴を回収しやすい。
前記希釈用気体流路を流れる気体に前記排ガス流路を流れる排ガスの熱を吸熱させやすくするための具体的な構成としては、前記希釈用気体流路が、流路形成ブロック内の内部流路として形成されており、前記吸熱板が、前記流路形成ブロックと接触させて設けられたものが挙げられる。
前記第1排ガス放熱流路と前記希釈用気体流路との間で吸熱板等を介さずに直接熱交換を行えるようにするには、前記第1排ガス放熱流路が前記希釈用気体流路とともに前記流路形成ブロック内の内部流路として形成されていればよい。
例えば前記第2排ガス放熱流路で結露した結露水を自重で効率よく回収できるようにするには、前記第2排ガス放熱流路の下部に前記結露水貯留部が設けられたものであればよい。
車両内の限られたスペースにおいて、前記排ガス流路と前記希釈用気体流路との間で熱交換が行われる全長を長くし、排ガスから十分に熱が奪われるようにして、さらに水分除去能力を向上させるには、前記第1排ガス放熱流路と前記第2排ガス放熱流路とが、前記希釈用気体流路を挟み込むように配置されたものであればよい。
前記排ガス流路を流れる排ガスと前記希釈用気体流路を流れる気体との間の熱交換が行われる距離をさらに長くしつつ、ドレンセパレータ自体をコンパクトに構成できるようにするには、前記排ガス流路、又は、前記希釈用気体流路が流れ方向が少なくとも1度折り返すように構成されていればよい。
簡単な構成で、前記排ガス流路を流れる排ガスと前記希釈用気体流路を流れる気体との間で熱交換が生じるようにするには、前記排ガス流路と前記希釈用気体流路とが近接させて設けられていればよい。また、前記排ガス流路の上流側において十分に排ガスから水分を結露させられる場合には、当該排ガス流路の上流側のみに前記結露水貯留部を設けても構わない。
本発明に係る車両搭載型のドレンセパレータと、排ガスを分析する分析計と、を備え、前記分析計を通過した排ガスが前記ドレンセパレータに導入されるように構成された車両搭載型の排ガス分析装置であれば、電力消費量を増大させることなく、分析終了後の排ガスから水分を除去できるので、例えばドレンセパレータ以降の下流部分における結露により配管内の圧力上昇が生じて排ガスの流通に不具合が生じるのを防ぐことができる。このため、精度のよい分析を担保することが可能となる。また、配管内での圧力上昇が生じにくいので、例えば吐出圧の低い排気ポンプであっても十分に分析を行う事が可能となる。
前記排ガス流路と前記希釈用気体流路の前記合流点の下流側に希釈用の気体により希釈された排ガスが流れる希釈排ガス流路が設けられており、前記希釈排ガス流路上に排気ポンプが設けられていれば、排ガスと希釈用の気体の両方を1つの排気ポンプで流すことができ、装置全体の構成を簡略にしつつ、コンパクトに構成することができる。
このように本発明に係る車両搭載型のドレンセパレータであれば、従来であれば排ガスを希釈するためだけに使用されていた希釈用の空気を排ガスの放熱に利用して、排ガスに含まれる水分を十分に除去することが可能となる。また、例えば各流路の配置によって、排ガスと空気との間に熱交換を生じさせることができるので、従来と比較して排ガスからの水分除去能力を向上させつつ、新たな電力消費は発生させないようにできる。
以下、本発明の第1実施形態に係る車両搭載型の排ガス分析装置200及びドレンセパレータ100について、図面を参照しながら説明する。
本実施形態の車両搭載型の排ガス分析装置200は、例えば自動車等の車両に搭載されて、当該車両から排出される排ガスの成分濃度を測定するものである。なお、車両搭載型の排ガス分析装置200は、実路走行試験(RDE ;Real Driving Emission)を実施するために用いられる。
この車両搭載型の排ガス分析装置200は、図1に示すように車両のエンジンENに連結された排気管から排出される排ガスの全部又は一部を採取するサンプリング管SPなどの排ガス採取機構で採取された排ガスの成分濃度を測定するものであり、サンプリング管SPにより採取された排ガスは加熱管HHにより所定の温度に加熱又は維持されて車両搭載型の排ガス分析装置200に導入される。例えば所定の温度は排ガス内の水分が結露しないように100℃以上に設定される。
具体的に車両搭載型の排ガス分析装置200は、図2に示すように、加熱管HHを経由した排ガスが導入されて、排ガスの各種成分が分析される分析計Xと、分析計Xを通過した排ガスが導入されて、その水分が分離されるドレンセパレータ100と、ドレンセパレータ100の下流側に設けられた排気ポンプPと、を備えている。すなわち、車両搭載型の排ガス分析装置200における加熱管HHの接続口から、排気ポンプPの下流側の排出口まで一連の流路が形成されており、この流路上には上流側から分析計X、ドレンセパレータ100、排気ポンプPが設けられている。以下に各部について詳述する。
分析計Xは、例えば一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、窒素酸化物(NOX)、メタン(CH4)、全炭化水素(THC)、アンモニア(NH3)、ホルムアルデヒド(HCHO)、粒子状物質(PM)、固体粒子(PN)等の測定対象成分を分析するものである。本実施形態では、分析計Xは、量子カスケードレーザ分光(QCL)法を用いたQCL-IR計であるが、このほかのガス検出法として非分散赤外線吸収(NDIR)法を用いたNDIR計、フーリエ変換型赤外分光(FTIR)法を用いたFTIR計、化学発光(CLD)法(ケミルミネッセンス法)を用いたCLD計、水素炎イオン化(FID)法を用いたFID計であってもよい。また、非分散型紫外吸収(NDUV)法、電気化学セルを用いたO2計測、ジルコニアセンサを用いたNOx、O2、NH3計測、DCSによるPM計測、CPCによるPN計測であっても構わない。
本実施形態のQCL-IR計は、排ガスの流れる流路に対してレーザ光を射出する量子カスケードレーザ(図示しない)と、排ガスを通過したレーザ光を検出する検出器(図示しない)と、を備えている。量子カスケードレーザは、印加される電流(又は電圧)によって、発振波長を変調させることができるものであり、多段量子井戸構造によるサブバンド間遷移を用いた半導体レーザである。例えば量子カスケードレーザには、電流パルスが印加されている間、温度上昇により発振波長が変化することで所定波長範囲のレーザ光が射出される。本実施形態では各対象ガス成分の吸収ピークがこの発振波数内に含まれるように発振中心波数が調整された素子が使用され、例えば約4μm~約20μmの波長範囲においてレーザ光の射出が所定間隔ごとに繰り返される。検出器は、量子型光電素子を用いたものであり、本実施形態ではInAsSbを検出素子としたものである。なお検出素子としてはこれに限らず、例えばHgCdTe、InGaAs、PbSe等を用いてもよい。
なお、これらの分析計Xにより得られた分析データは、図1における情報処理部COMに出力されて、当該情報処理部COMにより、分析データの処理、記録又は表示がされる。また、上記の複数の分析器はそれぞれ別体で設けられたものであってもよい。情報処理部COMは、CPU、内部メモリ、A/D変換器、D/A変換器、各種入出力機器等を有する専用乃至汎用のコンピュータであり、分析計Xの分析データだけでなく、その他のセンサ群からのデータを取得して処理、記録又は表示する。
次にドレンセパレータ100やそれに関連する各機器について、まず、模式図である図2及び図3を参照しながら概略を説明する。
図2及び図3に示すように、本実施形態のドレンセパレータ100は、排ガスの流れる排ガス流路ELだけでなく、排ガスを希釈する前の空気が流れる希釈用気体流路ALも備えている。そして、排ガス流路ELを流れる希釈前の排ガスは、希釈用気体流路ALを流れる空気を利用して冷却されるように構成されている。具体的には、ドレンセパレータ100内においては、排ガス流路ELと希釈用気体流路ALとが近接させて設けられているとともに、それぞれの流路を流れるガス間で熱の移動が生じるように熱伝導構造が設けられている。言い換えると、それぞれの流路を流れる希釈前の排ガスと、排ガスと混合される前の空気との間で熱交換が生じるように本実形態のドレンセパレータ100は構成されている。本実施形態では排ガス分析装置200の外形寸法が350×550×255mmであることから、排ガス流路ELと希釈用気体流路ALは例えば550mm以下の離間距離で近接させて設けられることになる。なお、排ガス流路ELと希釈用気体流路ALは350mm又は255mmで近接させてもよく、各流路をほぼ接触させて設けてもよい。
ドレンセパレータ100における排ガス流路ELは、分析計Xを通過した排ガスが導入される排ガス導入口EPから希釈用気体流路ALとの合流点CPまでの流路となる。
一方、希釈用気体流路ALは、基端側が空気中に開放されており、ドレンセパレータ100又は排ガス分析装置200の外部から空気を取り込めるように構成されている。本実施形態ではドレンセパレータ100を内部に収容する筐体(図示しない)内に希釈用気体流路ALの基端が開口するようにしてある。そして、希釈用気体流路ALの下流端部には排ガス流路ELとの合流点CPが設けられており、この合流点CPにおいて排ガスと空気が混合されることによって、排ガスが希釈される。
また、合流点CPの下流側には空気により希釈された排ガスが流れる希釈排ガス流路DLが接続されており、この希釈排ガス流路DL上に排気ポンプPが設けられている。すなわち、1つの排気ポンプPで排ガス及び空気を吸引し、排ガス流路EL及び希釈用気体流路ALのそれぞれを流れるように構成されている。
本実施形態では排ガス流路ELは、排ガス流路ELの上流側部分を形成する第1排ガス放熱流路EL1と、排ガス流路ELの下流側部分を形成する第2排ガス放熱流路EL2とからなる。
第1排ガス放熱流路EL1は、排ガス導入口EPと接続されており、図3に示すようにドレンセパレータ100において上部側に形成されている。ここで、第1排ガス放熱流路EL1は、希釈用気体流路ALとともに1つの流路形成ブロック1内の内部流路として形成されている。すなわち、第1排ガス放熱流路EL1と希釈空気流路は流路形成ブロック1を形成する熱伝導性を有する金属を介して隣接しており、それぞれの流路を流れる排ガスと空気との間で熱交換が生じる。より具体的には分析計Xに排ガスは導入されるまで例えば100度以上に加熱されていたため、排ガスのほうが外部から取り込まれた例えば気温程度の空気よりも高温である。したがって、排ガスから空気への熱の移動が生じ、第1排ガス放熱流路EL1を流れる排ガスは希釈用気体流路ALを流れる空気へ放熱し続けることになる。
一方、第2排ガス放熱流路EL2は第1排ガス放熱流路EL1の下流側に設けられ、合流点CPにおいて希釈用気体流路ALと合流する。より具体的には第2排ガス放熱流路EL2はドレンセパレータ100において下側に形成されており、筐体2内に蛇行させて形成された流路と、流路形成ブロック1内の一部とからなる。また、図3に示すように第1排ガス放熱流路EL1、及び、第2排ガス放熱流路EL2は、合流点CPよりも上流側において希釈用気体流路ALを上下に挟み込むように配置される。
第2排ガス放熱流路EL2において結露した排ガス中の水分は、第2排ガス放熱流路EL2の下側に設けられた結露水貯留部4に貯留される。ここで、結露水貯留部4はドレンセパレータ100に設けられた空洞であり、ドレンセパレータ100の底面に設けられた栓体を取り外すことで結露水貯留部4に貯留された結露水は排出される。すなわち、試験中は結露水貯留部4に結露水が貯留され続けて、試験終了後のメンテナンス時に栓体を取り外して溜まった結露水の処理が行われる。
さらに、第2排ガス放熱流路EL2には、流路形成ブロック1の下面側と接触させて設けられた伝熱機構3が設けられている。したがって、第2排ガス放熱流路EL2を流れる排ガスの熱は伝熱機構3を介して流路形成ブロック1内の希釈用気体流路ALを流れる空気まで移動することになる。このように排ガス流路ELは希釈用気体流路ALの上下において少なくとも2回熱交換が行われることになる。
次に図4乃至図8を参照しながらドレンセパレータ100の具体的な構造について説明する。
図4に示すようにドレンセパレータ100は、概略直方体状をなすものである。図5に示すようにドレンセパレータ100は、上端面部を構成する流路形成ブロック1と、流路形成ブロック1の下側に溶接される筐体2と、筐体2内に収容されるとともに流路形成ブロック1の下面側に接触して設けられる伝熱機構3とを備えている。流路形成ブロック1内には内部流路として第1排ガス放熱流路EL1と、希釈用気体流路ALとが形成されており、溶接により密閉された筐体2内には伝熱機構3により第2排ガス放熱流路EL2が形成される。
流路形成ブロック1は、概略板状をなすものであり、図6及び図7に示すように内部に厚み方向に対して2層となるように独立した内部流路が形成されている。内部流路については例えばドリル加工等を行った後、不要な部分を封止することで形成される。なお、機械加工ではなく例えば金属3Dプリンタ技術等を用いて流路形成ブロック1を形成してもよい。図6(a)におけるA-A線断面図である図6(b)に示すように、第1排ガス放熱流路EL1は、流路形成ブロック1における上層側においてつづら折り状をなす内部流路として形成されている。図6(b)における右上側にある排ガス導入口EPから分析計Xを通過した排ガスが流路形成ブロック1内に導入される。そして、排ガスは、流路形成ブロック1内を蛇行した後、図6(b)の左下部分に開口し、流路形成ブロック1の厚み方向に延びて、流路形成ブロック1の下面側に開口する第1連通孔CH1を通って筐体2により形成される空間内へと流れ込む。
また、図7(a)におけるB-B線断面図である図7(b)に示すように、希釈用気体流路ALは、流路形成ブロック1における下層側においてつづら折り状をなす内部流路として形成されている。図7(b)における左上側に設けられた空気導入口から外気から取り込まれた空気が流路形成ブロック1内に導入される。そして、空気は流路形成ブロック1内を蛇行した後、図7(b)の左上側にある希釈用気体流路ALの下流端部に到達する。この下流端部には流路形成ブロック1の厚み方向に延びて流路形成ブロック1の下面に開口する第2連通孔CH2が形成されている。この第2連通孔CH2を通って筐体2内の第2排ガス放熱流路EL2から排ガスが希釈用気体流路ALに合流する。すなわち、第2連通孔CH2が形成されている部分が排ガス流路ELと希釈用気体流路ALの合流点CPであり、ここで排ガスと空気が混合されて以降は希釈排ガスとして排気ポンプPへと流れていくことになる。
図8はドレンセパレータ100における概略直方体状をなす筐体2、及び、筐体2内に収容された伝熱機構3を上面側から見た図となる。この筐体2及び伝熱機構3によってドレンセパレータ100の下側部分をつづら折り状に流れる第2排ガス放熱流路EL2が形成されている。伝熱機構3は、図5及び図8に示すように第2排ガス放熱流路EL2の流れ方向であり、筐体2の長手方向に沿って延びる3枚の仕切板31と、仕切板31に対して直交させるとともに、第2排ガス放熱流路EL2の流れ方向を遮るように設けられる4枚の吸熱板32とを備えている。
仕切り板における長手方向の一方の端部中央部には切り欠きCTが形成されており、筐体2との間に隙間が形成される。この隙間により図8における上下方向に排ガスが流通できる。本実施形態では仕切り板の向きがそれぞれ互い違いになっているため、第2排ガス放熱流路EL2がつづら折り状をなす。
吸熱板32は、図5に示すように厚み方向に対して貫通する排ガス流通孔EHが多数設けられている。排ガス流通孔EHの直径は例えば流路形成ブロック1内の内部流路の直径と同程度にされる。吸熱板32は第2排ガス放熱流路EL2の流れ方向を遮るように設けられるので排ガスの一部は吸熱板32の面板部で遮られながら、排ガス流通孔EHを通って図8における左下側から左上側まで蛇行しながら流れていく。吸熱板32と排ガスとの間では熱伝達により、熱が吸熱板32へと移動し、最終的には流路形成ブロック1内の希釈用気体流路AL内の空気まで伝熱される。この結果、第2排ガス放熱流路EL2を排ガスが流れることで排ガスの放熱が行われて、露点温度以下に到達し、吸熱板32の表面に結露した結露水が付着する。吸熱板32の表面に付着した結露水は自重により下方へ伝っていき、最終的には筐体2内における結露水貯留部4に貯留される。
このように構成された第1実施形態の車両搭載型のドレンセパレータ100によれば、排ガス流路EL内を流れる排ガスと、希釈用気体流路ALを流れる空気との間で熱交換を生じさせることができ、従来と比較して電力消費量を増大させることなく、排ガスの冷却能力を高めて、排ガス中の水分を十分に結露させて、除去することが可能となる。
また、ドレンセパレータ100内において排ガス流路EL、及び、希釈用気体流路ALがそれぞれつづら折状に形成されているので、ドレンセパレータ100自体をコンパクトに構成しながら、排ガスと空気との間で熱交換される距離を長くできる。このため、排ガスから空気へと移動する熱量をさらに増加させることができ、排ガスからの水分除去能力を向上させることができる。
また、第2排ガス放熱流路EL2上には、排ガスの流れ方向を遮るように多数の排ガス流通孔EHが形成された吸熱板32が設けられているので、結露水を吸熱板32の表面に付着させて回収し、そのままドレンセパレータ100の下側にある結露水貯留部4へと効率よく回収できる。
加えて、第1排ガス放熱流路EL1の流路面積よりも下流側に設けられている第2排ガス放熱流路EL2の流路面積のほうが大きくなるように構成されているので、結露水貯留部4のある第2排ガス放熱流路EL2を流れる排ガスの流速を低下させ、滞留している時間を長くし、より多くの水分が吸熱板32で回収される確率を高めることができる。
次に本発明の第2実施形態における車両搭載型のドレンセパレータ100について図9を参照しながら説明する。
第2実施形態の車両搭載型のドレンセパレータ100は、第1実施形態と比較して簡略化された構成を有するものである。具体的には希釈用気体流路ALと排ガス流路ELとの合流点CPよりも上流側において、希釈用気体流路ALと排ガス流路ELとがそれぞれ近接させて並行に設けてある。すなわち、排ガス流路EL及び結露水貯留部4を形成する筐体2と、その筐体2に対して希釈用気体流路ALを形成する配管とを接触させて設けられている。なお、第2実施形態では排ガス流路ELには第1実施形態における吸熱板32は設けられておらず、排ガスを流れ方向に対して遮る部材は存在しない。
このような簡易な構成であっても、排ガスを希釈する前の空気により排ガスから熱を奪ってその温度を低下させて水分を排ガス流路EL内において結露させることができる。また、複雑な流路を形成する必要がないので、ドレンセパレータ100の製造性を良くすることもできる。
その他の実施形態について説明する。
排ガス流路を流れる排ガスと、希釈用気体流路を流れる空気との間で熱交換を生じさせる構成は、第1及び第2実施形態において示した物に限られない。例えば排ガス流路を形成する金属製の第1チューブと、希釈用気体流路を形成する金属製の第2チューブとをそれぞれ離隔させて設けておき、各チューブ間を熱伝導部材で接続して排ガスから空気へと熱の移動が生じるようにしてもよい。
第1実施形態では第1排ガス放熱流路には吸熱板は設けられていなかったが、第1排ガス流路に吸熱板を設けても構わない。第1排ガス放熱流路及び希釈用気体流路は流路形成ブロック内の内部流路として形成されたものに限られず、チューブやパイプ等により形成されたものであってもよい。第1排ガス放熱流路を流れる排ガスと希釈用気体流路を流れる空気との間で好ましくは熱伝導により熱の移動が生じるように構成されていればよい。
第1実施形態において各流路はつづら折れ状に形成されていたが、例えば各流路の折れ曲がる回数を増減させたり、まっすぐに形成された流路だけで構成されたりしてもよい。また、第2排ガス放熱流路においては吸熱板を省略して、例えば筐体の内周面において結露を生じさせて排ガスから水分を除去するようにしてもよい。また、希釈用気体流路に対する第1排ガス放熱流路と第2排ガス放熱流路の配置は、第1実施形態に示したように上下方向に挟み込む配置に限られない。例えば第1排ガス放熱流路と第2排ガス放熱流路が希釈用気体流路を水平方向に挟み込むように配置してもよい。また、第1排ガス放熱流路と第2排ガス放熱流路が希釈用気体流路を挟み込むのではなく、一方の流路が希釈用気体流路の上方で並行して流れ、他方の流路が希釈用気体流路の側方において並行して流れるように配置してもよい。すなわち、第1排ガス放熱流路と第2排ガス放熱流路の両方において希釈用気体流路との間で熱交換が生じ得るように配置されていればよい。
分析計の測定対象は各実施形態において例示した各対象ガス成分をすべて含まなくてもよく、その一部だけを対象ガス成分としてもよい。また、対象ガス成分に応じて分析計の測定原理は適宜選択することができる。
希釈用気体流路に流す気体については当該流路の基端から取り込まれた空気に限られるものではない。例えば希釈用気体流路の基端に排ガスを希釈及び冷却するための気体を充填したボンベを接続し、ボンベから希釈用及び冷却用の気体を供給するようにしてもよい。このようなものであっても、ボンベから供給される気体で排ガスを冷却した後で、排ガスを希釈することもできる。このようにボンベを車両に搭載したとしても、そこから供給される気体で排ガスの冷却と希釈の2つの機能を担わせることができるので、排ガス分析装置の総重量が増加するとしても構成として採用しやすくできる。また、希釈用気体流路に流す気体の成分は空気に限られるものではなく、その他排ガスを希釈した後で外部に排出しても環境等に問題が生じない成分であればよい。
第2実施形態では排ガス流路には吸熱板が設けられていなかったが、排ガスから水分をより結露させやすくするために、吸熱板を排ガスの流れ方向を遮るように設けても良い。また、排ガス流通孔の個数やその直径についても適宜設定しても良い。
排ガス流路を流れる排ガスの吸引と、希釈用気体流路を流れる気体の吸引についてはそれぞれ独立した複数の排気ポンプで行っても良い。
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて様々な実施形態の変形や、各実施形態の一部同士の組み合わせを行っても構わない。
従来と比較して電力消費量を増大させることなく、排ガスからの水分除去能力を向上させることができる車両搭載型のドレンセパレータ、及び、それを用いた排ガス分析装置を提供する。
200 :排ガス分析装置
100 :ドレンセパレータ
AL :希釈用気体流路
EP :排ガス導入口
EL :排ガス流路
EL1 :第1排ガス放熱流路
EL2 :第2排ガス放熱流路
CP :合流点
DL :希釈排ガス流路
1 :流路形成ブロック
CH1 :第1連通孔
CH2 :第2連通孔
2 :筐体
3 :伝熱機構
31 :仕切板
CT :切り欠き
32 :吸熱板
EH :排ガス流通孔
SL :スリット
4 :結露水貯留部
COM :情報処理部
P :排気ポンプ
X :分析計
100 :ドレンセパレータ
AL :希釈用気体流路
EP :排ガス導入口
EL :排ガス流路
EL1 :第1排ガス放熱流路
EL2 :第2排ガス放熱流路
CP :合流点
DL :希釈排ガス流路
1 :流路形成ブロック
CH1 :第1連通孔
CH2 :第2連通孔
2 :筐体
3 :伝熱機構
31 :仕切板
CT :切り欠き
32 :吸熱板
EH :排ガス流通孔
SL :スリット
4 :結露水貯留部
COM :情報処理部
P :排気ポンプ
X :分析計
Claims (13)
- 車両搭載型の排ガス分析装置に用いられる車両搭載型のドレンセパレータであって、
排ガスが流れる排ガス流路と、
排ガスを希釈するための気体が流れており、下流端部に設けられた合流点において前記排ガス流路と合流する希釈用気体流路と、を備え、
前記合流点よりも少なくとも上流側において前記排ガス流路を流れる排ガスと前記希釈用気体流路を流れる気体との間で熱交換が生じるように構成されていることを特徴とする車両搭載型のドレンセパレータ。 - 前記排ガス流路が、
排ガス導入口から排ガスが導入される第1排ガス放熱流路と、
前記第1排ガス放熱流路の下流側に設けられ、前記合流点において前記希釈用気体流路と合流する第2排ガス放熱流路と、を具備し、
前記第2排ガス放熱流路に排ガスから結露した水分が貯留される結露水貯留部が設けられた請求項1記載の車両搭載型のドレンセパレータ。 - 前記第1排ガス放熱流路の流路面積が、前記排ガス導入口の開口面積よりも大きく形成されている請求項2記載の車両搭載型のドレンセパレータ。
- 前記第2排ガス放熱流路の流路面積が、前記第1排ガス放熱流路の流路面積よりも大きく形成されている請求項2記載の車両搭載型のドレンセパレータ。
- 前記第1排ガス放熱流路、又は、前記第2排ガス放熱流路において、排ガスの流れ方向を遮るように設けられるとともに、少なくとも1つの排ガス流通孔が形成された吸熱板をさらに備え、
前記吸熱板が、排ガスから吸熱した熱を、前記希釈用気体流路を流れる気体に伝熱するように構成された請求項2記載の車両搭載型のドレンセパレータ。 - 前記希釈用気体流路が、流路形成ブロック内の内部流路として形成されており、
前記吸熱板が、前記流路形成ブロックと接触させて設けられた請求項5記載の車両搭載型のドレンセパレータ。 - 前記第1排ガス放熱流路が前記希釈用気体流路とともに前記流路形成ブロック内の内部流路として形成されている請求項6記載の車両搭載型のドレンセパレータ。
- 前記第2排ガス放熱流路の下部に前記結露水貯留部が設けられた請求項2記載の車両搭載型のドレンセパレータ。
- 前記第1排ガス放熱流路と前記第2排ガス放熱流路とが、前記希釈用気体流路を挟み込むように配置された請求項2記載の車両搭載型のドレンセパレータ。
- 前記排ガス流路の流れ方向、又は、前記希釈用気体流路の流れ方向が少なくとも1度折り返すように構成されている請求項1記載の車両搭載型のドレンセパレータ。
- 前記排ガス流路と前記希釈用気体流路と近接させて設けられている請求項1記載の車両搭載型のドレンセパレータ。
- 請求項1乃至11いずれか一項に記載の車両搭載型のドレンセパレータと、
排ガスを分析する分析計と、を備え、
前記分析計を通過した排ガスが前記ドレンセパレータに導入されるように構成された車両搭載型の排ガス分析装置。 - 前記排ガス流路と前記希釈用気体流路の前記合流点の下流側に気体により希釈された排ガスが流れる希釈排ガス流路が設けられており、
前記希釈排ガス流路上に排気ポンプが設けられている請求項11記載の車両搭載型の排ガス分析装置。
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