JP7430370B2 - 樹脂光学レンズの製造方法 - Google Patents

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本発明は樹脂により形成される樹脂レンズ、樹脂レンズが配列されることで形成される樹脂レンズアレイ及び、樹脂レンズの製造方法に関する。
従来より、レンズを樹脂で形成する技術は公知である。レンズを樹脂で形成する場合には、レンズの半製品を注型成型した後、切削・研磨して製品化することが多かった。この製法では、切削時に成形レンズの相当部分を廃棄することになり、同時に添加された高価な添加剤も廃棄されしまい無駄が多かった。また、レンズを一つ一つ切削・研磨するという機械加工を施す必要があり、製品コストを低減するには限界があった。
この樹脂レンズに関連する技術としては、例えば、基材レンズを第一モールドとし、該第一モールドの片面側又は両面側に第二モールドを略一定の所定隙間を有するように配するとともに、前記第一・第二モールド間の周面隙間をテーピング又はガスケットでシールしてキャビティを構成し、該キャビティに機能性付与剤を含有させた液状樹脂原料を注入し機能性樹脂層を注型成形して、前記基材レンズと前記機能性樹脂層とを一体化する樹脂レンズの製造方法において、前記機能性樹脂層の形成側面に熱可塑性エラストマーの接着剤層を形成した基材レンズを前記第一モールドとする、ことを特徴とする樹脂レンズの製造方法等が公知である(例えば、特許文献1参照)。
この技術によれば、製造した樹脂レンズが、機械加工時におけるばかりでなく、耐温水性・耐熱水性試験における密着性も優れており、高温・高湿度条件下における使用耐久性向上も期待できるが、樹脂成型と機械加工とを必要とする樹脂レンズの製造プロセスを改善するものではなかった。
また、レンズ面を平面上に配列する樹脂レンズアレイについては、樹脂シートの表面をレンズ面が配列されるように成型してレンズアレイシートにする製法が用いられる場合が多い。しかしながら、上記の場合にはレンズ面はシートの片面のみに形成され、レンズとして機能するレンズ前面とレンズ後面の両方を形成することは困難であった。この樹脂レンズアレイに関する技術としては、遮光性材質からなり複数の貫通穴を有する穴付き板と、前記貫通穴側の面に前記貫通穴に対応する複数の樹脂製凸型レンズを有し、他方の面が平面である樹脂製レンズアレイシートからなり、かつ前記穴付き板とレンズアレイシートが、各レンズと各貫通穴の光軸を一致させて固着されたことを特徴とする樹脂製レンズアレイが公知である(特許文献2参照)。
これによれば、透明平面基板と穴付き板とを接着する樹脂層が、穴付き板にあいた貫通穴の開口部に押し出されることで、各レンズが成形されレンズアレイシートとなるので、各レンズと各貫通穴の光軸は完全に一致し、調整の必要がない。しかしながら、この技術においてもレンズ面はシートの片面のみに形成されており、レンズアレイにおいてより高機能のレンズを低コストで形成することは困難であった。
特開2014-156067号公報 特開2004-110069号公報
本発明は、上記のような状況に鑑みて発明されたものであり、その目的は、より低コストで高性能な樹脂レンズまたは樹脂レンズアレイを実現可能な技術を提供することである。
上記の課題を解決するための本発明は、樹脂製の外殻と、
前記外殻の内部に充填された流体とからなり、
前記外殻は、前記流体による張力が作用して形成されたレンズ面を有することを特徴とする樹脂レンズである。
すなわち、本発明では、樹脂製の外殻の内部に流体を充填させ、これにより前記外殻に張力を発生させることでレンズ面を形成する。本発明においては、樹脂製の外殻に上記の張力が作用することで、外殻の表面が滑らかな曲面となり、レンズとしての機能を発揮することが可能となる。
これによれば、樹脂材料を機械加工したり樹脂成型することによって樹脂レンズを形成した場合と比較して、製造コストを低減することができるとともに、光学性能をより高くすることが可能となる。
なお、本発明に係る樹脂レンズは、樹脂製の外殻の内部に流体が充填されることで形成されているため非常に柔軟で変形可能となっている。よって、樹脂レンズ自体に荷重を作用させることで変形させ、焦点距離を変化させることが可能である。また、光軸に垂直な方向にも変形可能であるため、樹脂レンズ自体を変形させることで光軸を変化させることも可能である。さらに、撮影対象物とカメラ等の撮影装置の対物レンズの間にバッファとして、本発明に係る樹脂レンズを介在させることで、対物レンズと撮影対象物の間を所望の屈折率の物質で満たし、ワーキングディスタンスを増大させる等の使い方も可能である。
また、撮影対象物と撮影装置の対物レンズの間に本発明に係る樹脂レンズをバッファとして介在させた場合には、対物レンズを光軸方向に移動させることで樹脂レンズを変形させ、ズーミングやフォーカシングを行うことが可能である。また、対物レンズを光軸に垂直な方向に移動させることでスキャニングを行うことが可能である。
なお、本発明における樹脂製の外殻および流体としては、透明なものを用いてもよいが、対象とする光の波長によっては、有色の樹脂を用いても構わない。また、必ずしも可視光を透過する素材により形成される必要もない。
また、本発明においては、前記張力は、前記外殻の内部に充填された流体の圧力、自重または浮力の少なくとも一つに基づいて生じるものであってもよい。すなわち、外殻に当該外殻の内部の容量と同等以上の流体を充填することにより、その圧力で張力を発生させるものであってもよい。また、例えば空気中で液体を外殻に充填することで、その自重により張力を発生させるようにしてもよい。さらに、例えば、水中で気体を外殻に充填することで、その浮力により張力を発生させるようにしてもよい。これによれば、外殻の表面の一部または全部に対し、より容易に張力を生じさせることが可能となる。
また、本発明において、前記外殻は高伸張性の樹脂からなり、前記高伸張性の樹脂の内部に流体が注入され該樹脂が風船状に膨張することで前記レンズ面が形成されるようにしてもよい。すなわち、この場合には、高伸張性の樹脂の内部に流体が注入されることで、樹脂が風船状に膨張して略球面状となり、その表面にレンズ面が形成される。なお、本発
明において高伸張性とは、樹脂が張力によってどの程度伸張可能かを示す指標であって、本発明においては、例えば200%以上であってもよい。より望ましくは、500%以上であってもよい。本発明において伸張性の上限は特にないが、樹脂レンズの形状安定性を考慮すれば10000%以下であってもよい。より望ましくは、5000%以下であってもよい。
この場合の外殻は、樹脂成型または、樹脂材料を噴射、溶融、冷却する金型無しの製造法により形成され、流体が注入される時点で既に、特定の形状を有し、内部に空洞を有するものであってもよい。この場合の外殻の材料はゴムを主材料とするものであってもよい。あるいは、上記外殻は、半流動体状の樹脂からなり、流体が充填される前には特定の形状を有さず、流体が充填されることで空洞が発生するものであってもよい。この場合の外殻の材料は、酢酸ビニール樹脂をアルコール類の溶剤で溶かしたものであってもよい。
また、本発明は、上記の樹脂レンズを所定のトレー上に配列させることで形成された樹脂レンズアレイであってもよい。
これによれば、単に上記の樹脂レンズをトレー上に配列させるだけで、より簡単な構成の樹脂レンズアレイを得ることが可能である。また、従来の樹脂レンズアレイでは、ベースとなる板状の部材の表面に複数のレンズ面が形成されているので、個々のレンズは、前面か後面のいずれかにレンズとして機能するレンズ面を有するのみであり、得られる光学特性の自由度は低かった。これに対し、本発明の樹脂レンズアレイにおいては、独立した球形のレンズを並べて形成しているため、樹脂レンズアレイの面においてレンズ面の割合をより高くすることができ、また、レンズ前面とレンズ後面の両方の光学特性を有効に使用することが可能となる。その結果、より高い光学性能を有する樹脂レンズアレイを実現することが可能である。
また、本発明においては、径の異なる複数種類の前記樹脂レンズを配列させて樹脂レンズアレイを形成してもよい。
これによれば、複数の焦点距離を有するマルチフォーカスの樹脂レンズアレイをより容易に実現することが可能である。また、径の異なる各樹脂レンズの配列を変化させることで、樹脂レンズアレイにおける焦点分布を自由に変化させることが可能である。
また、本発明は、樹脂製の外殻の内部に流体を注入してレンズ本体を形成するとともに、該流体の圧力、自重または浮力の少なくとも一つに基づいてレンズ面を形成する、樹脂レンズの製造方法であってもよい。また、その場合、前記外殻は高伸張性の樹脂からなり、前記外殻の内部に流体を注入し該樹脂を風船状に膨張させることで、前記レンズ本体及び前記レンズ面を形成させてもよい。
また、本発明は、管状の注入管と結合された前記外殻の内部に流体を注入する注入工程と、
前記樹脂製の外殻を液体中に保持する保持工程と、
前記流体の圧力、自重または浮力の少なくとも一つに基づいて前記外殻にレンズ面を形成するレンズ面形成工程と、
内部に前記流体が注入された状態の前記外殻を、前記液体から引き上げる引き上げ工程と、
結合された前記注入管と前記外殻とを分離する分離工程と、
を有することを特徴とする、上記の樹脂レンズの製造方法であってもよい。
この場合には、外殻が管状の注入管と結合されおり、注入工程において外殻の内部に流
体が注入される。また、保持工程において樹脂製の外殻は液体中に保持される。この注入工程と保持工程の順番は、いずれが先であっても構わない。そして、レンズ面形成工程においては、注入された流体の圧力、自重または浮力の少なくとも一つに基づいて外殻にレンズ面が形成される。
例えば流体及び液体が水の場合には、外殻の内部に水が注入された状態で水中に浸漬されるか、あるいは、外殻が水中に浸漬され保持された状態で外殻に水が注入される。これによれば、外殻に注入された水の圧力や自重と、外殻の周りの水による圧力とをバランスさせることで、樹脂製の外殻の一部に過大な張力が発生してレンズ本体やレンズ面が滑らかな曲面にならないことを防止できる。これにより、外殻によるレンズ本体及びレンズ面の形状を安定させることが可能となる。
そして、本発明では、内部に前記流体が注入された状態の前記外殻を、前記液体から引き上げる引き上げ工程と、結合された前記注入管と前記外殻とを分離する分離工程と、によって、最終的な樹脂レンズが完成される。この引き上げ工程と分離工程の順番は、いずれが先であっても構わない。なお、分離工程においては、注入管と外殻との結合部を外側から押圧し、あるいは捩じることにより、分離後の外殻が内部に流体が充填された状態で密閉されるようにすることが望ましい。これによれば、製造された樹脂レンズの機能がより長く維持されるようにすることができる。
なお、上記した課題を解決する手段は、可能な限り組合せて使用することができる。
本発明によれば、より低コストで高性能な樹脂レンズまたは樹脂レンズアレイを実現することができる。
本発明の実施例1に係る外殻及び樹脂レンズを示す図である。 本発明の実施例1に係る樹脂レンズの製造方法について例示する図である。 本発明の実施例1に係る樹脂レンズの製造方法の第2の態様を示す図である。 本発明の実施例1に係る樹脂レンズの製造方法のプロセスを示すフローチャートである。 本発明の実施例1に係る樹脂レンズの使用態様について例示する図である。 本発明の実施例2に係る樹脂レンズの製造方法について例示する図である。 本発明の実施例3に係る樹脂レンズアレイの第1及び第2の態様を示す図である。 本発明の実施例3に係る樹脂レンズアレイによる結像状態の例を示す図である。 本発明の実施例3に係る樹脂レンズアレイの第3及び第4の態様を示す図である。 本発明の実施例4に係る樹脂レンズアレイを示す図である。
以下、本発明の実施例について図面に基づいて説明する。以下の実施例に記載されている構成要素は、特に記載がない限りは発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
<実施例1>
まず、本発明の実施例1について説明する。図1は、本実施例における樹脂製の外殻1
a及び樹脂レンズ1の概念図である。樹脂レンズ1は、樹脂製の外殻1aの内部に、外部から水を注入して充填することにより形成される。外殻1aは、外部から水が注入されることで膨張する。これは、外殻1aの素材自体が伸張性を有し、水が注入されて外殻1aが伸張することで膨張してもよいし、外殻1aの素材は伸張性を有しておらず、屈曲し皺状に変形した状態から、水が注入されることで原形を復元させる形で膨張するものであってもよい。より具体的には、外殻1aの素材としてはゴム系の樹脂であってもよいし、酢酸ビニール等のビニール系の樹脂であってもよい。あるいは、ポリエチレンやポリプロピレンなどの他の樹脂であってもよい。
図2には、酢酸ビニール樹脂をアルコール類で溶融し軟化させた外殻1aを、円筒状の注入管4の先端に適量付着させておき、注入管4を介して外殻1aに水を注入することで伸張させ、内部に水が充填された涙滴状の樹脂レンズ1を形成する場合を示している。本実施例において樹脂レンズ1はレンズ本体でもある。この場合には、水の自重及び圧力で外殻1aは涙滴状に膨張し、レンズ本体1を形成するが、その際、水の自重及び圧力による張力Tが外殻1aに作用し、光学機能を有する略球面状のレンズ面1bを形成することが可能である。ここで形成された樹脂レンズ1の大きさは、特に制限されない。例えば、φ1mm程度~10cm程度であってもよい。
図3には、酢酸ビニール樹脂をアルコール類で溶融し軟化させた外殻1aに水を注入することで伸張させ、内部に水が充填された涙滴状の樹脂レンズ1を形成する場合の別の態様を示す。図3(a)では、膨張前の外殻1aを水槽3内に満たされた水に浸漬し、水中において外殻1aの内部に水を注入し膨張させる。このことによって、この時点で、外殻1aに水の自重による過度な荷重が作用することを抑制し、主として水を注入すること基づく圧力により、外殻1aを膨張させることができる。従って、外殻1aの一部のみが極端に伸張して変形したり、破れたりすることを防止しつつ外殻1aを円滑に膨張させることができる。
そして、次に、図3(b)に示すように、外殻1aを水中から引き上げる。その際には、外殻1aには水の自重が作用するため、外殻1aは涙滴型に変形するとともに、外殻1aに作用する張力Tが増大するために、外殻1aは周方向に伸張してより滑らかな曲面からなるレンズ面1bを形成する。そして、注入管4と外殻1aとの結合部を外部から押圧するとともに捩じる等して、外殻1aの内部の空気を外部に排除する。
そして、図3(c)に示すように、外殻1aと注入管4の結合部を捩じ切る等の操作により、外殻1aと注入管4とを分離することで樹脂レンズ1が完成する。なお、この場合の外殻1aの中には水のみが充填するようにしても良いし、水と空気が混在するようにしてもよい。図3(c)で製造された樹脂レンズ1は、内部に水が充填された柔軟な形態を有する。外殻1aと注入管4との結合部を捩じ切ることでできる捩じ切り跡1cを支持した場合には、涙滴型の形状を形作るとともに、平面上に載置した場合には、球形を自重で押し潰した形状を形作る。これにより、載置した平面の表面を外部から拡大して視認することを可能とする樹脂レンズ1が完成する。
図4には、本実施例における樹脂レンズの製造方法のフローチャートを示す。本フローが実行されると、まずS101において、注入管4の先端に外殻1aの素材、例えば酢酸ビニール樹脂をアルコール類で溶融し軟化させたものをセットする。より具体的には、注入管4の後端から水を所定の圧力で注入した場合に、外殻1aが破れたり、注入管4から外れたりしないように充分に注入管4の先端に密着させ先端の開口が閉塞されるように塗布する。次に、S102においては、注入管4の先端に外殻1aがセットされた状態で、外殻1aを水槽3に貯留された水に浸漬させる。
次に、S103においては、外殻1aが水に浸漬した状態で、外殻1aの内部に注入管4を介して水を注入する。このことで外殻1aの内部に水が注入され外殻1aが膨張する。なお、この工程では、外殻1aが水に浸漬された状態で水を注入するので、外殻1aの一部に水の自重による過度な荷重が作用することを抑制し、主として水が注入管4に注入される圧力により、外殻1aが水中で膨張することとなる。その結果、水中では外殻1aは涙滴型というよりは略球形の形状となりながら膨張する。そして、この工程では、外殻1aが所望の大きさになるまで水の注入を続けた後、水の注入を停止する。
次に、S104においては、外殻1aとを水槽3中の水から引き上げる。その際には、外殻1aには水の自重が外殻1aの引き上げに伴って徐々に作用するため、外殻1aの形状は徐々に涙滴型に変形するとともに、外殻1aに作用する張力が増大する。その結果、外殻1aの先端部分(すなわち、下側の部分)は厚みと垂直方向に伸張して滑らかなレンズ面1bを形成する。
次に、S105においては、注入管4と外殻1aとの結合部を外側から押圧することで、外殻1aの内部の空気を外部に排除する。そして、さらに、注入管4と外殻1aとの結合部を捩じる等の操作を加えることで、外殻1a内に水を密封する。そして、S106においては、外殻1aと注入管4の結合部を捩じ切る等の操作により、外殻1aと注入管4とを分離することで、樹脂レンズ1が完成する。
以上、説明したように、本実施例では、注入管4の先端にセットされた外殻1aに水を注入することで内部に水が充填された柔軟な樹脂レンズ1を製造し実現することができた。この樹脂レンズ1は、より柔軟に変形することが可能で、載置された面を拡大して視認可能とする。また、特に外殻1aを膨張させる工程では、外殻1aを水中に浸漬した状態で水を注入するので、外殻1aが水の自重で破れたり、注入管1から外れたり、偏った形状となったりすることを抑制でき、より安定した形状の樹脂レンズ1を製造し実現することが可能となった。なお、図4において、S102とS103の順番は逆であっても構わない。また、S104とS105、S106の順番も逆であっても構わない。また、図4において、S102は保持工程に相当する。S103は注入工程に相当する。S104は引き上げ工程及び、レンズ面形成工程に相当する。S106は分離工程に相当する。
図5には、本実施例における樹脂レンズ1の使用法の一例として、カメラ付き顕微鏡等の撮影装置で、撮影対象Oを撮影する際に、樹脂レンズ1をバッファとする使用法について示す。この例においては、撮影装置の対物レンズ鏡筒2と撮影対象Oとの間に本実施例における樹脂レンズ1を介在させ、樹脂レンズ1を介して撮影対象Oを撮影する。
図5(a)は、上記の状態において、対物レンズ鏡筒2を光軸方向の前後に移動させることで、樹脂レンズ1によるズーム効果や焦点合わせ効果を利用して撮影対象Oを撮影する例について図示している。また、図5(b)には、上記の状態において、対物レンズ鏡筒2を光軸と垂直の方向に移動させることで撮影ポイントをスキャンする例について図示している。また、樹脂レンズ1の屈折率を所望の屈折率となるように素材を選ぶことで、対物レンズと撮影対象Oの間を所望の屈折率の媒体で満たすことが可能となり、例えば、ワーキングディスタンスを所望の距離に調整することが可能である。このように、本実施例における樹脂レンズ1をバッファとして使用することで、撮影の自由度を高めることが可能となる。
以上、説明したとおり、本実施例によれば、樹脂製の外殻1aに水を注入(または充填)して膨張させることで樹脂レンズを製造した。しかしながら、本発明の樹脂レンズはこの態様に限定されない。樹脂製の外殻1aに注入する流体は、アルコール類等の有機溶媒など水以外の液体であってもよい。この場合には当然、外殻1aが溶解するような溶媒を
選択することは望ましくない。また、空気や窒素等の気体や、半流動体であってもよい。また、外殻1aに注入する流体は、使用目的に応じた屈折率を有するものとすることで、樹脂レンズ1の光学的性能を特定することができる。また、外殻1aに注入する液体として、所望の色を有するものを用いてもよい。
また、本実施例においては、樹脂製の外殻1aを水中に浸漬した状態で水を注入した。しかしながら、樹脂製の外殻1aを浸漬する液体は、アルコール類等の有機溶媒など水以外の液体であってもよい。この場合も当然、外殻1aが溶解するような溶媒を選択することは望ましくない。また、樹脂製の外殻1aを半流動体に浸漬しても構わない。
なお、本実施例において樹脂製の外殻1aに水を充填させ膨張させることで製造された樹脂レンズ1は、例えば、水中で使用することで、長期間に亘り使用可能となる。一方、空気中で使用する場合には、乾燥によりサイズが変化することが考えられるので、短期使用とするか、何等かの加湿手段を設けても構わない。
<実施例2>
次に、本発明の実施例2について説明する。実施例2においては、外殻1aに水でなく空気を注入して樹脂レンズを実現する例について説明する。
図6は、本実施例における樹脂レンズ5を製造するプロセスについて説明するための図である。本実施例においては、まず、図6(a)に示すように、酢酸ビニール樹脂をアルコール類で溶融し軟化させた外殻5aを注入管4の先端にセットし、注入管4を介して外殻5aの内部に空気を所定圧力で注入する。ここで、外殻5aには注入した空気の圧力の他、厳密には空気の自重が作用するが、大気圧とのバランスにおいて、略球形に膨張する。
次に、図6(b)に示すように、空気が注入されて膨張した状態の外殻5aと注入管4とを、水槽3に貯留された水に浸漬する。その際には、外殻5aには空気が水の上へ移動しようとする力(すなわち浮力)が作用するため、外殻5aは上下逆の涙滴型に変形するとともに、外殻5aの先端部(すなわち、図6(b)における外殻5aの上側の部分)に作用する張力が増大するために、外殻5aは厚みと垂直方向に伸張して滑らかなレンズ面5bが形成される。そして、注入管4と外殻5aとの結合部を外部から押圧するとともに捩じる等して、外殻5aの内部の余分な空気を外部に排除する。
そして、図6(c)に示すように、外殻5aと注入管4の結合部をねじ切る等の操作により、外殻5aと注入管4とを分離する。さらに、分離後の外殻5aを水中から引き上げることで、樹脂レンズ5が完成する。なお、この場合の外殻5aの中には空気のみが充填するようにしても良いが、水が混在するようにしてもよい。
<実施例3>
次に、本発明の実施例3について説明する。本実施例においては、実施例1において説明した樹脂レンズ1をトレー上に配列した樹脂レンズアレイについて説明する。
図7には、本実施例における樹脂レンズアレイ10について説明する。本実施例においては、図7(a)に示すように、樹脂レンズ1を透明なトレー7に並べることで、樹脂レンズアレイ10とした。これによれば、単純に樹脂レンズ1をトレー7上に並べるだけで樹脂レンズアレイ10とすることができ、製造コストを大幅に低減し、製造工程を簡略化することが可能となる。また、球形の樹脂レンズ1を並べるだけであるので、より大きなサイズの樹脂レンズアレイ10を製造することが可能である。このように大きなサイズの樹脂レンズアレイ10を製造することで、より大きなサイズの平面(例えば、イメージセ
ンサの受光面)に一括して結像可能な光学系や、対物レンズの移動が不要なスキャニング機構などを実現することが可能となる。
また、本実施例における樹脂レンズアレイ10については、図7(b)に示すように、トレー7に並べされた樹脂レンズ1を上から透明なプレート8で押圧することで、樹脂レンズ1のフォーカシングまたはズーミングを行うようにしても構わない。これにより、より自由度の高い撮影や測定を行うことが可能となる。なお、図7に示したように側壁を有し液体の収容機能を有するトレー7を用いた場合には、トレー7内に水を満たした状態で使用しても構わない。樹脂レンズ1の内部に水以外の流体が充填されている場合には、トレー7内には、充填された流体と同じ流体を満たした状態としても構わない。図8には、樹脂レンズアレイ10による結像状態の例を示す。図8(a)に示すように、対象物を樹脂レンズ1の個数に応じて多数結像することが可能である。そして、図8(b)に示すように、各々の樹脂レンズ1を上からプレート8で押圧することで焦点距離を変化させ、結像状態を変化させることが可能である。
次に、図9には、図5に示したような側壁付きのトレー7ではなく、各樹脂レンズ1を載置可能なレンズ受け部を有したトレーを用いて樹脂レンズアレイを形成した場合について図示する。
図9(a)には、略半球形の窪みによるレンズ受け部9aを有するトレー9を用いた場合を示す。このようなトレー9を用いて樹脂レンズアレイ20を形成した場合には、レンズ受け部9aの配置を適宜に調整することで、樹脂レンズアレイ20における樹脂レンズ1の配置を容易に変更することが可能である。また、図9(b)には、樹脂レンズ1が嵌まる円形の穴によるレンズ受け部11aを有するトレー11を用いた場合を示す。このようなトレー11を用いて樹脂レンズアレイ30を形成した場合には、樹脂レンズアレイ30の上下両面に直に樹脂レンズ1のレンズ面を配置することができ、より高い光学性能を発揮することが可能となる。
なお、本実施例においては、レンズ受け部の形状として、略半球形の窪みあるいは、円形の穴を例示したが、レンズ受け部の形状は上記に限られない。方形やハニカム形状の窪みや穴であっても構わない。
<実施例4>
次に、本発明の実施例4について説明する。本実施例においては、実施例1において説明した樹脂レンズを用いた樹脂レンズアレイであって、種類の異なる樹脂レンズを混在させる例について説明する。
図10には、本実施例における樹脂レンズアレイ40について説明する。本実施例においては、2種類の径の樹脂レンズ1x、1yを透明なトレー7に並べることで、樹脂レンズアレイ40とした。これによれば、2つの径の樹脂レンズ1をトレー7上に並べるだけで多焦点の樹脂レンズアレイ40とすることができる。その結果、多焦点の樹脂レンズアレイの製造コストを大幅に低減し、製造工程を簡略化することが可能となる。なお、図7においては、二種類の異なる径の樹脂レンズ1x、1yを交互に並べた例について説明したが、異なる径の樹脂レンズ1x、1yを所望の分布を持たせてトレー7上に並べることで、樹脂レンズアレイ40上における焦点距離の分布を自由に変化させることができる。
また、本実施例においては、複数種類の色の樹脂レンズを透明なトレー7に分布させて並べることで樹脂レンズアレイを形成してもよい。このことで、樹脂レンズアレイに複合色のフィルター機能を持たせることも可能である。この場合も、異なる色の樹脂レンズ1を交互に並べても構わないし、所望の分布を持たせて並べても構わない。
1、5・・・樹脂レンズ
1a、5a・・・外殻
3・・・水槽
4・・・注入管
7、9,11・・・トレー
10、20、30、40・・・樹脂レンズアレイ

Claims (2)

  1. 樹脂製の外殻の内部に流体を注入して、閉塞するとともに独立した球形の光学レンズ本体を形成するとともに、該流体の圧力、自重または浮力の少なくとも一つに基づいて外部からの力の作用により変形可能なレンズ面を形成する、樹脂光学レンズの製造方法であって、
    管状の注入管と結合された前記外殻の内部に流体を注入する注入工程と、
    前記流体が内部に保持された状態の前記樹脂製の外殻を液体中に保持する保持工程と、
    前記流体の圧力、自重または浮力の少なくとも一つに基づいて前記外殻にレンズ面を形成するレンズ面形成工程と、
    内部に前記流体が注入された状態の前記外殻を、前記液体から引き上げ、引き上げた後に前記流体が前記外殻の内部に保持された状態を維持する引き上げ工程と、
    結合された前記注入管と前記外殻とを分離する分離工程と、を有することを特徴とする、樹脂光学レンズの製造方法。
  2. 前記外殻は200%以上10000%以下の高伸張性の樹脂からなり、
    前記外殻の内部に流体を注入し該樹脂を風船状に膨張させることで、前記光学レンズ本体及び前記レンズ面を形成させることを特徴とする、請求項1に記載の樹脂光学レンズの製造方法。
JP2018224683A 2018-11-30 2018-11-30 樹脂光学レンズの製造方法 Active JP7430370B2 (ja)

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