JP7430083B2 - 発話制御装置 - Google Patents
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Description
(1)騒音レベルの観測値にインパルス状の上昇が間欠的に現れる変化特性を有するもの。
(2)騒音レベルの観測値が周期的に極大化と極小化を繰り返す変化特定を有するもの。
上記(1)の騒音タイプは、騒音レベルがある瞬間急に大きくなり、次の瞬間は小さくなるといった暗騒音を想定している。また、上記(2)の騒音タイプは、周期的に音が高下するような暗騒音を想定している。
ここで、本実施形態の発話制御装置が取り扱う主題は、特に移動ロボットRBが声掛けを実行する際の暗騒音との関係にある。すなわち、建設現場CSのような環境には、各種の作業音や機械動作音、電子機器音といった多様な暗騒音が存在する。このような環境下で移動ロボットRBが声掛け(発話音声出力)の内容を対象の人物に届かせるには、暗騒音を含む環境に合わせた声掛けの仕組みが必要となる。以下、本実施形態で扱う声掛けの仕組みについて説明する。
図3は、一実施形態の発話制御装置100の構成例を示すブロック図である。なお、図3では一部に移動ロボットRBの構成要素も合わせて示されている。
図4から図6は、騒音タイプ別判定部116による処理の概要を示す図である。騒音タイプ別判定部116は、予め暗騒音のタイプを例えば「スパイクタイプ」、「波タイプ」及び「一定タイプ」に分類している。なお、各騒音タイプの特性については後述する。
「スパイクタイプ」の暗騒音には、例えばハンマー等を用いた打撃作業音が含まれる。すなわち、例えばベースとなる暗騒音があり、その中のある時点で急に大きな打撃音が発生し、次の瞬間急に音が小さくなるといった騒音である。このようなタイプの暗騒音には、図4〔スパイクタイプ判定〕の左側枠内に示すように、騒音レベルの観測値(縦軸の波形)が時間軸上で間欠的にインパルス状(スパイク状)に上昇する変化特性が現れる。このような騒音タイプの判定は、観測値の波形をプロファイルすることで実現可能である(これ以降も同様。)。
「波タイプ」の暗騒音には、例えばドリル等の回転作業機の動作音が一部含まれる。すなわち、騒音レベルが周期的に大きくなったり小さくなったりするような騒音である。このようなタイプの暗騒音には、図5〔波タイプ判定〕の左側枠内に示すように、騒音レベルの観測値が時間軸上で周期的に極大化と極小化を繰り返す変化特性が現れる。
「一定タイプ」の暗騒音には、例えば機関運転音が含まれる。すなわち、発電機等が動力源とする機関の運転中は、音の大きさがほぼ一定レベル(細かい上下はある)であるような騒音である。また、ドリル等の回転音も一部これに含まれる場合がある。このようなタイプの暗騒音には、図6〔一定タイプ判定〕の枠内で左側に示すように、騒音レベルの観測値が時間軸上でほぼ一定レベルを維持する変化特性が現れる。
以上の騒音タイプは、場所や状況によっては複合することがある。すなわち、異なるタイプの暗騒音が各所から発生している場所では、2つ以上の騒音タイプ(例えば、「スパイクタイプ」と「一定タイプ」、「波タイプ」と「スパイクタイプ」、「波タイプ」と「一定タイプ」、3つのタイプ全て等)が複合的に存在することがある。この場合、本実施形態では優先順位を設けることで処理を一本化する。具体的には、「スパイクタイプ」を最優先とし、次に「波タイプ」、「一定タイプ」の順に低く優先順位を設定する。これにより、騒音タイプが複合する場合でも、混乱なく処理を実行することができる。
また、本実施形態の発話制御装置が取り扱う主題は、移動ロボットRBが声掛けを実行する際の人物との距離にも関係する。すなわち、建設現場CSのような環境では、例えばオフィスのワンフロアのような開けた場所で移動ロボットRBが遠くの人物に声掛けする場合もあれば、近接した距離で声掛けする場合もある。このような環境下で移動ロボットRBが声掛けの内容を対象の人物に適切に届かせるには、人物と移動ロボットRBとの距離に合わせた声掛けの仕組みも必要となる。
図7は、対人距離判定部118及び演算部122による処理の概要を示す図である。対人距離判定部118は、IPカメラ112からの入力信号(撮像信号)を用いてAI処理により人物を認識するとともに、人物までの距離(対人距離L)を判定する。そして、演算部122は、対人距離判定部118の判定結果に基づいて、移動ロボットRBからの発話音量を設定(調節)する。
図7中(A):ここでは、例えば移動ロボットRBと声掛け対象の人物との距離を対人距離L(m)とする。なお、対人距離Lには、ある程度の誤差(数cm程度)が許容されるものとしてよい。
図7中(B):先ず、人物と移動ロボットRBとの距離がある程度離れている状況を想定する。この場合、対人距離判定部118は、IPカメラ112から入力された撮像信号からAI処理により、対象の人物を認識する。ここでは、認識された人物が一点鎖線の矩形枠(バウンディングボックス)で示されている(これ以降も同様。)。対人距離Lは、人物認識したときのバウンディングボックスより推論が可能である。この例では、対人距離判定部118は対人距離Lを15mと判定する。
図7中(C): 次に、人物と移動ロボットRBとの距離が中程度である状況を想定する。この例では、対人距離判定部118は対人距離Lを4mと判定する。
図7中(D):次に、人物と移動ロボットRBとの距離が近接している状況を想定する。この例では、対人距離判定部118は対人距離Lを3m以内と判定する。
さらに、本実施形態の発話制御装置が取り扱う主題は、移動ロボットRBが声掛けを実行する際の周囲環境の条件にも関係する。すなわち、建設現場CSでは、移動ロボットRBが人物に声掛けする際に周囲環境が様々に異なる場合がある。このような異なる環境下で移動ロボットRBが声掛けの内容を対象の人物に適切に届かせるには、周囲環境に合わせた声掛けの仕組みも必要となる。
図8は、周囲環境判定部120及び演算部122による処理の概要を示す図である。周囲環境判定部120は、IPカメラ112からの入力信号(撮像信号)を用いてAI処理により周囲環境を認識し、どの環境タイプであるかを判定する。ここでは、AIで認識する環境タイプを3つに予め分類しているものとする。すなわち、「広い空間」、「通路」そして「部屋」の3タイプである。そして、演算部122は、周囲環境判定部120の判定結果に基づいて、移動ロボットRBからの発話音量を設定(調節)する。
図8中(A):周囲環境判定部120は、この例のように周囲に壁がない空間SPであるとAI処理によって認識できる場合は、環境タイプを「広い空間」と判定する。
図8中(B):また、周囲環境判定部120は、この例のように進行方向に空間SPがあり、周囲に壁WLや棚RCがあるとAI処理によって認識できる場合は、環境タイプを「通路」と判定する。
図8中(C):また、周囲環境判定部120は、この例のように移動ロボットRBの正面進行方向の距離は短く(突き当たりDE)、両側に壁WLがあるとAI処理によって認識できる場合は、環境タイプを「部屋」と判定する。
以上の説明で声掛けシステム110による各種処理の概要は明らかとなっているが、以下では、フローチャートを用いて具体的な処理の手順を説明する。
図9は、騒音タイプ別判定部116で実行されるプログラムの一部として騒音タイプ別判定処理の手順例を示すフローチャートである。以下、手順例に沿って説明する。
ステップS108:騒音タイプ別判定部116は、「スパイクタイプ」判定時の声掛けタイミング(発話タイミング)を設定する。先の例(図4)であれば、前後の差分値が閾値以上となる時刻t1,t2を発話タイミングとして設定する。
ステップS112:騒音タイプ別判定部116は、「波タイプ」判定時の声掛けタイミング(発話タイミング)を設定する。先の例(図5)であれば、最大値Nmaxとの差が閾値Th以上となる時刻t3を発話タイミングとして設定する。
ステップS114:騒音タイプ別判定部116は、「一定タイプ」判定時の発話音量を設定する。先の例(図6)であれば、暗騒音レベルを上回る音量に設定する。
図10は、対人距離判定部118で実行されるプログラムの一部として対人距離判定処理の手順例を示すフローチャートである。以下、手順例に沿って説明する。
ステップS202:対人距離判定部118は、人物を検知した場合(Yes)、ステップS204に進む。人物を検知していない場合(No)、ステップS208に進む。
ステップS204:対人距離判定部118は、対人距離判定処理を実行する。この処理もまた、AI処理を用いて実行することができる。先の例(図7)であれば、人物を認識したバウンディングボックスを用いた推論により対人距離Lを判定する。
ステップS206:対人距離判定部118は、判定した対人距離Lの値を処理の結果として演算部122に出力する。
ステップS208:この場合、対人距離判定部118は、「人物検知なし」を演算部122に出力する。
次に、図11は、周囲環境判定部120で実行される周囲環境判定処理の手順例を示すフローチャートである。以下、手順例に沿って説明する。
ステップS306:周囲環境判定部120は、環境タイプを「通路」と判定した場合(Yes)、ステップS308を実行する。それ以外では(No)、ステップS310に進む。
ステップS310:周囲環境判定部120は、環境タイプを「部屋」と判定した場合(Yes)、ステップS312を実行する。それ以外では(No)、ステップS314に進む。
ステップS304:周囲環境判定部120は、発話音量の調整パラメータとして「+5dB」を設定する。
ステップS308:周囲環境判定部120は、発話音量の調整パラメータとして「±0dB」を設定する。
ステップS312:周囲環境判定部120は、発話音量の調整パラメータとして「-5dB」を設定する。
図12は、演算部122で実行される声掛け音声出力処理の手順例を示すフローチャートである。以下、手順例に沿って説明する。
ステップS402:騒音タイプ別判定部116から声掛け(発話)タイミングの設定が入力されてきた場合(Yes)、演算部122は、ステップS404に進む。それ以外であれば(No)、ステップS404をスキップしてステップS406に進む。
ステップS404:演算部122は、騒音タイプ別判定部116により設定された声掛け(発話)タイミングであることを確認すると(Yes)、ステップS406に進む。設定された声掛けタイミングでなければ(No)、ここで本処理を離脱(リターン)してステップS400から繰り返す。
ただし、演算部122は、声掛け(発話)音量の設定に制限を設けている。具体的には、暗騒音レベルを上回る基準値に調整パラメータを足し合わせた上で、発話させる音量の上限は所定の規制値(例えば80dB)の範囲内としている。これにより、移動ロボットRBから出力させる発話音声が別の第三者(建設現場CS外の人物)に対する騒音となるのを防止することができる。
既に述べたように、発話制御装置100を適用する対象は移動ロボットRBに限られず、固定式のロボットであってもよいし、ロボットの形態ではない車両その他のマシン、あるいは据え置き型の機器であってもよい。
110 声掛けシステム
112 IPカメラ
116 騒音タイプ別判定部
118 対人距離判定部
120 周囲環境判定部
122 演算部(音声出力部)
126 出力装置(音声出力部)
128 マイク・スピーカ(音声出力部)
Claims (5)
- 予め複数に分類された騒音タイプ別に異なる騒音レベルの時間的な変化特性を有する暗騒音について、周囲環境中の暗騒音が前記騒音タイプのいずれであるかを騒音レベルの時間的な変化特性に基づいて判定し、当該判定した騒音タイプ別に異なる発話タイミングを設定する騒音タイプ別判定部と、
発話対象となる人物までの対人距離を判定する対人距離判定部と、
発話対象となる人物の周囲環境が予め複数に分類されたいずれの環境タイプであるかを判定する周囲環境判定部と、
前記対人距離判定部及び前記周囲環境判定部の各判定結果に基づいて発話音量を設定し、前記騒音タイプ別判定部により設定された発話タイミングで発話音声を出力させる音声出力部と
を備えた発話制御装置。 - 請求項1に記載の発話制御装置において、
前記騒音タイプ別判定部は、
騒音レベルの観測値にインパルス状の上昇が間欠的に現れる変化特性の騒音タイプであると判定した場合、時間的に前後する観測値間の差分値が所定値以上となったタイミングを発話タイミングとして設定することを特徴とする発話制御装置。 - 請求項1又は2に記載の発話制御装置において、
前記騒音タイプ別判定部は、
騒音レベルの観測値が周期的に極大化と極小化を繰り返す変化特性の騒音タイプであると判定した場合、観測値が極大値から閾値以下に低下したタイミングを発話タイミングとして設定することを特徴とする発話制御装置。 - 請求項1から3のいずれかに記載の発話制御装置において、
前記周囲環境判定部は、
周囲環境が建設現場内の広い空間、通路及び部屋のいずれの環境タイプであるかを判定し、
前記音声出力部は、
前記周囲環境判定部による環境タイプの判定結果が広い空間である場合は発話音量を最大に設定し、通路である場合は発話音量を中間に設定し、部屋である場合は発話音量を最小に設定することを特徴とする発話制御装置。 - 請求項1から4のいずれかに記載の発話制御装置において、
前記音声出力部は、
所定の上限値を超えない範囲内で、発話音量を騒音レベルより大きく設定することを特徴とする発話制御装置。
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