JP7425687B2 - 電力系統安定化システム - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、電力系統で事故が発生した際に電源制限を実施して発電機の同期安定性を維持する電力系統安定化システムに関する。
従来、発電機の脱調現象(発電機が同期外れを起こし不安定な運転状態になること)の発生を未然に防止し、電力系統の同期安定性を維持する系統脱調・事故波及防止リレーシステム(以下、電力系統安定化システム)に関する技術が開示されている(例えば、非特許文献1)。
非特許文献1において開示されているオンライン事前演算形の電力系統安定化システムは、オンラインで入手した系統情報(例えば、電力系統の接続状態や需給状態を含む)を用いて、予め設定した想定事故毎に過渡安定度演算を実施して、想定事故毎の制御内容を決定し、その決定結果に基づいて制御テーブルを設定する。電力系統安定化システムは、実際に事故が発生した際、事故種別と制御テーブルとを照合して制御を実施する。
なお、制御内容とは事故発生時に解列する発電機である。「解列」とは電力系統から切り離すことであり、以下では「遮断」または「電制」と表現する場合がある。また、事故の影響が電力系統全体に波及するのを防止するために一部の発電機を電力系統から強制的に遮断する制御のことを電源制限、または電制と称する。以下の説明において、電源制限の対象として選択された発電機などの制御対象のことを電制対象、電制対象を決定する処理のことを電制対象選択と称する。なお、制御内容には、電源制限に加え、発電機の加速を抑制するタービン高速バルブ制御(EVA;Early Valve Actuation)が含まれてもよい。また、電制対象は、電力系統に同期連系する火力発電機や原子力発電機などの同期発電機(以下、同期機)に限定せず、太陽光パネルで生成された直流電力をPCS(Power Conditioning Subsystem)で交流電力に変換して電力系統へ供給する太陽光発電や、風力発電機で発電した交流電力をコンバーターで直流電力に変換した後に交流電力に再度変換して電力系統へ供給する風力発電などの同期機でない電源(以下、非同期機)が電制対象に含まれてもよい。
図1は、従来のオンライン事前演算形の電力系統安定化システムSSの構成図である。電力系統安定化システムSSは、例えば、中央演算装置9と、中央制御装置10と、事故検出端末装置11と、制御端末装置12とを備える。
なお、中央演算装置9は、「中央演算装置(事前演算部)」と称される場合があり、その際、中央制御装置10は、「中央演算装置(事後制御部)」と称される場合がある。なお、中央演算装置9および中央制御装置10は、それぞれの機能を統合してひとつの装置として構成される場合がある(例えば、特許文献1)。
図2は、電力系統安定化システムSSが設置された電力系統Eの構成図である。電力系統Eは、例えば、上述の電力系統安定化システムSSに加え、さらに、発電機1と、母線2と、送電線または変圧器3と、遮断器(CB)4と、電流計測器(CT)5と、電圧計測器(VT)6と、事故除去リレーシステム7とを備える。
電力系統安定化システムSSの構成要素である中央演算装置9、中央制御装置10、事故検出端末装置11、および制御端末装置12は、通信設備8(例えば、信号線や通信装置など)により接続される。事故検出端末装置11は、例えば、変電所などに設置される。また、制御端末装置12は、例えば、発電所などに設置される。中央制御装置10は、他の装置との通信が可能な個所に設置され、事故検出端末装置11や制御端末装置12と同じ場所に設置されることもある。また、中央制御装置10は、事故検出端末装置11や制御端末装置12の機能を含めて構成されることがある。中央演算装置9は、系統情報をオンラインで入手できるよう中央給電指令所など給電情報網Nと接続可能な個所に設置される。
電力系統安定化システムSSを構成する中央演算装置9と、中央制御装置10と、事故検出端末装置11と、制御端末装置12は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ(ハードウェア)がプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integrated circuit)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置150や記憶装置160にインストールされてもよい。記憶装置150および記憶装置160は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはRAM(Random Access Memory)等により構成される。
中央演算装置9は、例えば、系統情報収集手段101と、系統モデル作成手段102と、解析条件設定手段103と、安定度判定手段104と、電制対象選択手段105と、記憶装置150とを備える。記憶装置150は、例えば、中央演算装置9において実行されるプログラム、系統設備データ151、想定事故データ152、電制候補データ153、および制御テーブル154などを記憶する。
系統情報収集手段101は、給電情報網Nを介して電力系統Eから入力された系統情報(給電用オンラインデータ)を収集する。系統設備データ151には、例えば、電力系統Eを構成する発電機や送電線、変圧器など各種設備のインピーダンスなどの情報が含まれる。系統情報とは、例えば、遮断器(CB)4の入切状態で把握できる電力系統Eの接続状態、電流計測器(CT)5や電圧計測器(VT)6で計測された電気量情報で把握できる電力の需給状態、潮流状態に関する情報である。一定の周期または系統情報の更新周期で、給電情報網Nから提供される系統情報は、系統情報収集手段101により収集される。系統情報収集手段101は、収集した系統情報を系統モデル作成手段102に出力する。
系統モデル作成手段102は、例えば、系統情報収集手段101から入力された系統情報と、系統設備データ151に基づいて、後述する中央演算装置9で所定の周期で繰り返し実施する一連の処理における今回の処理タイミングの系統状態を表す解析用系統モデルを作成する。系統モデル作成手段102は、作成した解析用系統モデルを、解析条件設定手段103に出力する。
解析条件設定手段103は、例えば、系統モデル取得部103aと、解析条件設定部103bとを備える。系統モデル取得部103aは、系統モデル作成手段102により作成された解析用系統モデルを取得する。解析条件設定部103bは、系統モデル取得部103aにより取得された解析用系統モデルと、想定事故に関する定義が格納された想定事故データ152(図5参照)を参照して得られた想定される事故種別のデータとに基づいて、解析条件を設定する。解析条件には、例えば、想定事故に対して当該事故の発生時に制御を行う電制対象の組合せの情報が含まれる。想定事故には、例えば、事故を監視する監視点(例えば、送電線等)と、その事故様相とを示す情報が含まれる。解析条件設定部103bは、設定した解析条件を、安定度判定手段104に出力する。監視点は系統事故の発生を監視する電力系統設備のことであり、事故点と呼ぶ場合もある。
安定度判定手段104は、解析条件設定部103bから出力された解析条件に基づいて、過渡安定度演算を行う。
安定度判定手段104は、例えば、解析条件取得部104aと、過渡安定度演算部104bと、安定度判定部104cとを備える。
解析条件取得部104aは、解析条件設定手段103により設定された解析条件を取得する。過渡安定度演算部104bは、解析条件取得部104aにより取得された解析条件に基づいて、解析条件に設定された想定事故が発生した際の電力系統の振る舞いをシミュレーションする過渡安定度演算を行う。安定度判定部104cは、過渡安定度演算部104bにより得られた過渡安定度演算の結果に基づいて、当該解析条件において電力系統に並列する発電機が脱調現象を生じることなく電力系統を安定に運用できるか否かを判定する。安定度判定部104cは、脱調する発電機がある場合に不安定、すべての発電機が同期運転を保てる場合は安定と判定する。安定度判定部104cは、過渡安定度演算の結果と、同期安定性に関する判定結果を電制対象選択手段105に出力する。図1では、過渡安定度演算の結果と、同期安定性に関する判定結果とを合わせて、「安定度判定結果」として示している。
電制対象選択手段105は、例えば、電制対象選択部105aと、制御テーブル設定部105bとを備える。
電制対象選択部105aは、安定度判定部104cにより出力された同期安定性に関する判定結果が不安定のとき、制御対象とする発電機を選択する。電制対象選択部105aは、制御対象とする発電機を電制候補データ153に設定された発電機の中から選択する。電制対象選択部105aは、例えば、安定度判定部104cにより出力された過渡安定度演算の結果を用いて電制候補データ153に設定された発電機について、当該発電機を電制した場合の安定化効果を表す指標を演算し、その安定化効果指標に基づいて電制対象となる発電機を選択する。制御テーブル設定部105bは、電制対象選択部105aにより選択された各想定事故における電制対象の組合せを制御テーブル154に設定する。また、制御テーブル設定部105bは、設定した制御テーブル154を中央制御装置10へ送信する。
なお、上述した中央演算装置9の一連の処理は、所定の周期で繰り返し行われる。所定の周期とは、例えば、すべての想定事故について制御テーブルの更新が完了する時間(例えば、30秒)である。また、所定の周期は、電力系統Eの規模や想定事故の数、中央演算装置9の処理能力に基づいて電力系統安定化システムSSの管理者により設定されてもよい。
中央制御装置10は、例えば、電制対象決定手段106と、記憶装置160とを備える。記憶装置160は、例えば、中央制御装置10において実行されるプログラムや、制御テーブル161などを記憶する。
電制対象決定手段106は、例えば、制御テーブル取得部106aと、照合処理部106bとを備える。
制御テーブル取得部106aは、中央演算装置9により送信された制御テーブル154を受信して、記憶装置160に制御テーブル161として記憶させる。照合処理部106bは、後述する事故検出端末装置11から電力系統Eの事故種別に関する情報を取得した際、その事故種別に対応付けられた想定事故における電制対象の組合せを、制御テーブル161を照合して取得し、取得した電制対象の組合せを実際の電制対象として決定し、電制対象を制御する制御端末装置12に対して電制指令を送信する。
事故検出端末装置11は、例えば、事故種別検出手段107を備える。事故種別検出手段107は、電力系統Eから系統情報を取得して、電力系統Eにおける系統事故の発生を検出し、さらに系統事故を検出した場合にはその事故種別を判別する。事故検出端末装置11は、系統事故の発生を検出すると、事故種別を判別して中央制御装置10へ送信する。
制御端末装置12は、例えば、制御手段108を備える。制御手段108は、中央制御装置10から受信した電制指令に基づいて、対象の電制対象に対し遮断指令を送信する。
図3は、中央演算装置9による処理の一例を示すフローチャートである。図3に示すフローチャートの処理は、所定の周期で繰り返し実行される。
まず、系統情報収集手段101は、給電情報網Nを介して、電力系統Eの系統情報を収集する(ステップS1)。次に、系統モデル作成手段102は、収集された系統情報と系統設備データ151に基づいて状態推定計算や系統縮約等を行い、電力系統Eの解析用系統モデルを作成する(ステップS2)。
次に、解析条件設定手段103は、ステップS2において作成された解析用系統モデルと想定事故データ152に基づいて解析条件を設定する(ステップS3)。次に、安定度判定手段104は、ステップS3において設定された解析条件の過渡安定度演算を行う(ステップS4)。
次に、安定度判定手段104は、ステップS4の過渡安定度演算の結果に基づき、想定事故が仮に発生した場合、電力系統Eに連系するすべての同期機が脱調することなく安定運転を維持できるか否かを判定する(ステップS5)。ステップS5において安定度判定手段104は、同期機が脱調しない場合に同期安定性は安定、同期機に脱調が生じる場合に同期安定性は不安定と判定する。
図4は、過渡安定度演算結果の一例を示す図である。図4は、時刻tで想定事故が発生し、時刻tで事故除去、時刻tGSで電制を実施した際の電力系統に連系している発電機の出力Pと位相角差δ、および周波数fのシミュレーション波形である。なお、位相角差δは基準発電機と当該発電機の内部位相角の差である。各イベントの発生時刻は、時刻tを起点(0秒)とすれば、時刻tは事故除去リレーシステムと遮断器等の動作時間で決まり、例えば60ミリ秒程度、時刻tGSは電力系統安定化システムと遮断器等の動作時間で決まり、例えば200ミリ秒程度である。この例のように、位相角差δが発散することなく発電機の同期運転が維持される結果のとき、ステップS5において同期安定性が安定であると判定される。
ステップS5で安定と判定しなかった場合、電制対象選択手段105は、その想定事故が発生した際に電制する発電機(同期機)を電制候補データ153の中から選択し、選択した電制対象を追加し、ステップS3へ処理を戻す(ステップS6)。この場合、解析条件設定手段103は、ステップS3において、ステップS6で選択した電制対象を電制する条件を含む解析条件を設定する。
ステップS5で安定と判定した場合、電制対象選択手段105は、すべての想定事故の安定度判定を完了したか否かを判定する(ステップS7)。すべての想定事故の安定度判定を完了していないと判定した場合、電制対象選択手段105は、ステップS3へ処理を戻し、次の想定事故の安定度判定を行う。すべての想定事故の安定度判定を完了したと判定した場合、電制対象選択手段105は、制御テーブル154を設定して(ステップS8)、本フローチャートの処理を終了する。
図5は、想定事故データ152に含まれる内容の一例を示す図である。図中のNは想定事故の数であり、自然数である。想定事故データ152には、例えば、想定事故を識別するための想定事故番号と、監視点と、監視点において検知される事故様相などの情報が含まれる。図中の「3Φ6LG-O」等の情報は事故様相を表すコードである。監視点と事故様相の組合せを事故種別と称す。解析条件設定部103bは、例えば、系統モデル取得部103aにより取得された解析用系統モデルと、想定事故データ152に含まれる想定事故と、電制対象選択手段105で選択した電制対象の組合せとを用いて、解析条件を設定する。
図6は、安定化効果を表す指標に基づいて電制対象を選択する電制対象選択部105aの処理の一例を示すフローチャートである。図6のフローチャートの処理は、図3に示すフローチャートのステップS6に対応する処理である。
まず、電制対象選択部105aは、電力系統安定化システムSSが制御可能な発電機、すなわち制御端末装置12が設置された発電機を記録した電制候補データ153に基づいて電制候補を選択する(ステップS601)。
図7は、電制候補データ153の一例を示す図である。図中のNGAは電制候補発電機の数であり、自然数である。電制候補データ153には、例えば、電制候補の発電機を識別するための電制候補番号と、電源名称と、電源の種別などの情報が含まれる。電制候補データ153は、想定事故の監視点毎に設けられてもよい。
電制対象選択部105aは、電制候補データ153に設定された発電機NGA台の中から、式(1)または式(2)の判定条件を用いて最初に発電機が不安定と判断された時点から、一定時間内に不安定と判定された発電機NGS台を電制候補として選択する。すなわち、電制対象選択部105aは、判定条件を満たさない電制候補の発電機を電制候補から除外する。NGSは自然数であり、NGS≦NGAの関係にある。
{δi(t)-δS(t)}≧δ ・・・(1)
{δi(t)-δS(t)}≧δかつ{ωi(t)-ωS(t)}≧ω・・・(2)
ここで、δi(t)は時刻tにおける電力系統E内の発電機の内部位相角、ωi(t)は時刻tにおける電力系統E内の発電機の角速度、δS(t)は時刻tにおける基準発電機の内部位相角、ωS(t)は時刻tにおける基準発電機の角速度、iは発電機番号(i=1~NGA)、tは過渡安定度演算におけるシミュレーション時間、δおよびωはしきい値である。
ステップS601の処理の後、電制対象選択部105aは、電制候補として選択された発電機NGS台について加速エネルギーを安定化効果指標AEとして演算し(ステップS602)、電力系統Eの運用制約を考慮した重み係数を用いて安定化効果指標AEを補正して(ステップS603)、安定化効果指標AEが最大の発電機を追加する電制対象として選択する(ステップS604)。
図8は、過渡安定度演算結果を用いて電制候補の安定化効果指標AEを演算した結果の一例を示す図である。図示のように、例えば、電制候補の発電機それぞれの内部位相角差、角速度差、安定化効果指標などの情報が含まれる。電制対象選択部105aは、安定化効果指標AEの大きい発電機を電制対象として選択する。
以上が、従来の電力系統安定化システムSSにおける電制対象選択部105aの処理である。制御テーブル設定部105bは、電制対象選択部105aで選択された電制対象を制御テーブルへ設定する。
なお、ステップS6で選択する電制対象は、火力発電機や原子力発電機などの同期機に限定せず、再生可能エネルギー電源(以下、再エネ電源)である太陽光発電や風力発電などの非同期機が含まれてもよい。非同期機を電制対象とする場合、例えば、特許文献2、非特許文献2に記載されている電制対象の選択方法を適用することができる。特許文献2では同期機よりも再エネ電源を優先して電制する電力系統安定化システムが提案されている。非特許文献2では再エネ電源を電制対象とする系統安定化システムにおいて電制する再エネ電源の選択方法に関する検討内容が記載されている。
図9は、制御テーブル154に含まれる内容の一例を示す図である。制御テーブル154には、例えば、想定事故番号と、電制対象選択手段105で選択した電制対象などの情報が含まれる。
図9に示す制御テーブル154には、例えば、想定事故番号が「1」の事故、すなわち図5に示すA変電所のX送電線で3Φ6LG-Oの事故が発生した場合は、図2に示した発電機1のうち発電機SG1およびSG2を電制し、想定事故番号が「2」の事故の場合は発電機SG1を電制することが規定されている。
このように、従来の電力系統安定化システムSSでは、一部の発電機を電制することによって他の発電機の脱調を防止し、電力系統の同期安定性を維持する。電制する発電機は、火力発電や原子力発電などの同期機が主であり、太陽光発電や風力発電などの非同期機を電制対象とする系統安定化システムSSは少ない。
従来の電力系統安定化システムSSで主に同期機を電制対象とする理由として、太陽光発電や風力発電などの非同期機は火力発電や原子力発電などの同期機に比べて1電源あたりの出力が小さいため、同期機の脱調を防止するためには多数の非同期機を電制する必要があること、脱調しない非同期機の再エネ電源を電制するよりも脱調する同期機を電制する方が電制対象に選択した理由が分かり易く理解を得やすいこと、などが考えられる。
今後、太陽光発電や風力発電などの非同期機である再エネ電源の導入が拡大することが想定されている。電力系統に連系する電源に占める非同期機の割合(以下、非同期機率)が大きい電力系統は、非同期機率が小さい電力系統に比べて電力系統に連系している回転機に蓄えられている運動エネルギー(以下、慣性)が小さいため、電力の需要と供給のバランスが崩れた際に周波数が変動する速度、いわゆる周波数変化率(RoCoF,Rate of Change of Frequency)が大きくなる。
非同期機率が大きい電力系統においては、電力系統安定化システムSSで火力発電機などの同期機を電制すると慣性が更に小さくなるため、電制実施後の電力系統において同期機や非同期機の電源が脱落する事故(以下、電源脱落事故)が発生した際に周波数が急速に低下し、発電機の保護装置が動作するレベルまで周波数が低下すると発電機保護装置の動作によって多数の発電機が連鎖的に脱落し、ブラックアウトに至るおそれがある。
特許第5591505号公報 特許第6223833号公報
電気学会技術報告 第801号,「系統脱調・事故波及防止リレー技術」,p74,p75,p88,p89,p91,p92,電気学会,2000年10月 下尾ほか,「再生可能エネルギー電源を電源制限する系統安定化制御方法の検討」,電気学会 電力技術/電力系統技術合同研究会,PE-19-071/PSE-19-083,2019年9月 "Essential Reliability Services Whitepaper on Sufficiency Guidelines",NERC,December.2016,p1~2,https://www.nerc.com/comm/Other/essntlrlbltysrvcstskfrcDL/ERSWG_Sufficiency_Guideline_Report.pdf
本発明が解決しようとする課題は、電制を実施した後の電力系統において電源脱落事故が発生した場合でも、発電機が連鎖脱落しない電制対象を選択する電力系統安定化システムを提供することである。
実施形態の電力系統安定化システムは、中央演算装置と、事故検出端末装置と、中央制御装置と、制御端末装置とを持つ。前記制御端末装置が設置される電源は、火力発電を含む同期機の発電所と、太陽光発電と風力発電とのうち少なくとも一方を含む非同期機の再エネ電源サイトと、を含む。また、前記中央演算装置は、電制対象を選択する際、電制実施後の電力系統において電源脱落事故が発生した場合でも電源の連鎖脱落が発生しないことを現在の系統情報に基づいた過渡安定度演算を実施して確認し、電源の連鎖脱落が発生する場合には前記電制対象に選択された同期機を削減し、代わりに非同期機を前記電制対象に選択する。
他の実施形態の電力系統安定化システムは、中央演算装置と、事故検出端末装置と、中央制御装置と、制御端末装置とを持つ。前記制御端末装置が設置される電源は、火力発電を含む同期機の発電所と、太陽光発電と風力発電とのうち少なくとも一方を含む非同期機の再エネ電源サイトと、を含む。また、前記中央演算装置は、電制対象を選択する際、電力系統の慣性が、オフラインの電力系統解析で予め求めて設定された慣性下限値を下回らないように前記電制対象を選択し、前記慣性が前記慣性下限値を下回る場合には前記電制対象に選択された同期機を削減し、代わりに非同期機を前記電制対象に選択する。
従来のオンライン事前演算形の電力系統安定化システムSSの構成図。 従来の電力系統安定化システムSSが設置された電力系統Eの構成図。 従来の中央演算装置9による処理の一例を示すフローチャート。 過渡安定度演算結果の一例を示す図。 想定事故データ152の一例を示す図。 従来の電制対象選択部105aによる処理の一例を示すフローチャート。 従来の電制候補データ153の一例を示す図。 従来の安定化効果指標の演算内容の一例を示す図。 制御テーブル154の一例を示す図。 第1の実施形態に係る電力系統安定化システムSSAが設置された電力系統Eの構成図。 第1の実施形態に係る電制候補データ153の一例を示す図。 第1の実施形態に係る中央演算装置9による処理の一例を示すフローチャート。 第1の実施形態に係る解析条件の一例を示す図。 第1の実施形態に係る過渡安定度演算結果の一例を示す図。 第1の実施形態に係る周波数のシミュレーション波形の一例を示す図。 第2の実施形態に係る周波数のシミュレーション波形の一例を示す図。 第2の実施形態に係る中央演算装置9による処理の一例を示すフローチャート。 第2の実施形態に係るオフラインの電力系統解析の条件と結果の一例を示す図。 第2の実施形態に係るオフラインの電力系統解析の結果の一例を示す図。
以下、実施形態の電力系統安定化システムを、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態の電力系統安定化システムSSAについて説明する。
第1の実施形態の電力系統安定化システムSSAの中央演算装置9は、電制対象を選択する際に、電制実施後の電力系統において電源脱落事故が発生した場合でも発電機が連鎖脱落しないことを過渡安定度演算で確認する。
以下、中央演算装置9の具体的な処理について、図10と図11と図12と図13と図14と図15を参照して説明する。なお、以下の説明において、背景技術で説明した従来の電力系統安定化システムSSと同様の機能を有する部分については、同様の名称および符号を付するものとし、その機能に関する具体的な説明は省略する。
図10は、第1の実施形態の電力系統安定化システムSSAが設置された電力系統Eの構成図である。電力系統安定化システムSSAは、図2に示す従来の電力系統安定化システムSSと比較すると、制御端末装置12が同期機である発電機1に加えて非同期機である太陽光発電設備21と風力発電設備22とを含む再エネ電源サイトにも設置されている点が異なる。電力系統安定化システムSSAの処理構成は図1に示す従来の電力系統安定化システムSSと比べて、発電機(同期機)に加えて再エネ電源(非同期機)を電制対象とするため電制候補データ153の内容と中央演算装置9の処理が異なる。
従って、以下では同期機に加えて非同期機を電制対象とする電力系統安定化システムSSAの中央演算装置9の処理を中心に説明する。
図11は、電力系統安定化システムSSAが電制可能な電源、すなわち制御端末装置12が設置された非同期機を含む電制候補の電源を記録した電制候補データ153の一例を示す図である。電制候補データ153は、想定事故の監視点毎に設けられてもよい。電力系統安定化システムSSAの電制対象選択部105aは、電制候補データ153に設定された非同期機を含む電制候補の電源NGA台の中から電制対象を選択する。
図12は、中央演算装置9による処理の一例を示すフローチャートである。図12のフローチャートの処理は、図3に示す従来の電力系統安定化システムSSの処理を示すフローチャートと比べて、ステップS101~S108を追加した点が異なる。図12に示すように中央演算装置9は、ステップS1~S6の一連の処理によって当該想定事故の電制対象を選択し、ステップS5で安定と判定した後、解析条件設定手段103は、電源脱落事故を解析条件に追加する(ステップS101)。次に、安定度判定手段104は、ステップS101で設定された解析条件に基づいて過渡安定度演算を行う(ステップS102)。
図13は、ステップS101で設定した解析条件の一例を示す図である。図13は、図5に示した想定事故番号が「1」の事故の例を示しており、時刻tで想定事故(A変電所 X送電線 3Φ6LG)が発生、時刻tで事故除去(A変電所 X送電線 3Φ6LO)、時刻tGSで発電機SG1とSG2の電制を実施、時刻tGDで電源脱落事故が発生する条件が設定されている。電源脱落事故は、例えば、現在の系統状態において想定可能な最も厳しい事故条件を設定する。具体的には、電源脱落事故として、電力系統に連系する発電所のうち最も出力が大きい発電所の全発電機の脱落事故を設定する。電源脱落事故が発生するタイミングtGDは、想定事故および電制によって発生した電力動揺が十分に収束したタイミングに設定し、tを起点(0秒)とすれば、例えば10秒程度とする。タイミングtGDは、ステップS4の過渡安定度演算結果を参照して、電力動揺が一定の範囲内に収束するタイミングを確認して設定してもよい。
図14は、ステップS102で実施した過渡安定度演算の結果の一例を示す図である。時刻tGDで電源脱落事故が発生した後、周波数fが低下している。このときの周波数fが低下する速度のことを周波数変化率(以下、RoCoF)という。
図15は、RoCoFと周波数変動の関係を示す図である。図15に示す不安定ケースのように、慣性が小さい電力系統ではRoCoFが大きく、周波数fが急速に低下する。周波数fが、発電機保護装置が動作するレベルfUFRまで低下すると、多数の発電機が保護装置の動作によって連鎖的に脱落し、周波数fはますます低下、最終的にはブラックアウトに至るおそれがある。
そこで、第1の実施形態に係る中央演算装置9による処理では、安定度判定手段104で、図15に示す安定ケースのように、電源脱落事故が発生しても周波数fが発電機保護装置の動作レベルfUFRまで下がらず、かつ回復することを確認する(ステップS103)。この確認は、所定時間後に周波数fが発電機保護装置の動作レベルfUFRまで下がっていないことを確認することによって行ってもよいし、周波数fが最も低下している状態を確認し、その後に回復していること確認することによって行ってもよい。ステップS103において安定度判定手段104は、周波数fが発電機保護装置の動作レベルfUFRまで下がらないとき周波数異常低下なし、周波数fが発電機保護装置の動作レベルfUFRを下回るとき周波数異常低下あり、と判定する。
ステップS103で周波数異常低下ありと判定した場合、電制対象選択手段105は、最後に選択された同期機を電制対象から除外し(ステップS104)、新たな電制対象として非同期機を選択する(ステップS105)。ステップS105で非同期機を電制対象に選択する処理は、例えば、非特許文献2に記載されている再エネ電源(非同期機)を電制対象とする電力系統安定化システムにおける電制対象の選択方法を適用することができる。
次に解析条件設定手段103は、ステップS105で選択した電制対象を電制する条件を含む解析条件を設定する(ステップS106)。
次に安定度判定手段104は、ステップS106で設定された解析条件に基づいて過渡安定度演算を行い(ステップS107)、ステップS107の過渡安定度演算の結果に基づき、同期安定性を判定する(ステップS108)。ステップS108で安定と判定した場合、安定度判定手段104は、ステップS101へ処理を戻す。
ステップS108で不安定と判定した場合、安定度判定手段104は、ステップS105へ処理を戻す。この場合、電制対象選択手段105は、ステップS105で電制対象に非同期機を追加で選択し、ステップS108において同期安定性の判定が安定になるまで処理を繰り返す。
ステップS103で周波数異常低下なしと判定した場合、電制対象選択手段105は、すべての想定事故の安定度判定を完了したか否かを判定する(ステップS7)。すべての想定事故の安定度判定を完了していないと判定した場合、電制対象選択手段105は、ステップS3へ処理を戻し、次の想定事故の安定度判定を行う。すべての想定事故の安定度判定を完了したと判定した場合、電制対象選択手段105は、制御テーブル154を設定して(ステップS8)、本フローチャートの処理を終了する。
以上説明したように、第1の実施形態の電力系統安定化システムでは、電制実施後の電力系統において電源脱落事故が発生した場合でも電源の連鎖脱落が発生しない電制対象を選択することができる。また、第1の実施形態の電力系統安定化システムでは、オンライン系統情報に基づいた過渡安定度演算を行って電源の連鎖脱落が発生しないことを確認するので、現在の系統状態に応じた電制対象の選択が可能であり、過剰に同期機を残すような制約が生じない。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態の電力系統安定化システムSSBについて説明する。
第2の実施形態の電力系統安定化システムSSBの中央演算装置9は、電制対象を選択する際に、一定の慣性を残すように電制対象を選択する。
以下、中央演算装置9の具体的な処理について、図16と図17と図18と図19を参照して説明する。なお、以下の説明において、従来技術または第1の実施形態で説明した内容と同様の機能を有する部分については、同様の名称および符号を付するものとし、その機能に関する具体的な説明は省略する。
図16は、第2の実施形態に係る周波数のシミュレーション波形の一例を示す図である。図16は、机上(オフライン)で事前に電力系統解析を行って求めた慣性の大きさと周波数変動の関係を示す図である。図16に示す不安定ケースのように、非同期機率が大きい電力系統は慣性が小さいため、電源脱落事故が発生した後のRoCoFが大きく、周波数fが発電機保護の動作レベルfUFRを下回ってブラックアウトに至るおそれがある。一方、図16に示す安定ケースのように、非同期機率が小さい電力系統は慣性が大きいため、RoCoFが小さく周波数異常低下は生じにくい。
非同期機率と周波数変動にはこのような関係があることから、電力系統安定化システムSSBの中央演算装置9は、電制対象を選択する際に慣性(以下、SIRと称する。SIRは、Synchronous Inertial Responseの略である)が所定の慣性(以下、SIR下限値と称する)より小さくならないように電制対象を選択する。
図17は、中央演算装置9の処理の一例を示すフローチャートである。図17のフローチャートの処理は、図3に示す従来の電力系統安定化システムSSの処理を示すフローチャートと比べて、ステップS201とステップS104~S108を追加した点が異なる。図17に示すように中央演算装置9は、ステップS1~S6の一連の処理によって当該想定事故の電制対象を選択し、ステップS5で安定と判定した後、電制対象選択手段105は、式(3)に示す条件式を用いて、SIRがSIR下限値より大きいことを確認する(ステップ201)。SIRは、例えば、式(4)で求める。
SIR > SIR下限値 ・・・(3)
SIR = Σ(H・PMVAi),i=1~N ・・・(4)
ここで、SIRは電力系統に連系している同期機に蓄えられている運動エネルギーの総和[MVA・秒]、Hは同期機iの単位慣性定数[秒]、PMVAは同期機iの設備容量[MVA]、Nは連系している同期機の数である。(4)式に関する説明は、例えば、非特許文献3に述べられている。SIR下限値は、オフラインの電力系統解析で求め、予め中央演算装置9の記憶装置150に設定しておく。
なお、SIR下限値は、例えば、電力系統の特性や、電力系統に連系している同期機の数などによって、電力系統毎に異なる。SIR下限値は、式(3)に示す条件式に対して厳しい値、つまり、ステップS201において式(3)の条件を満たさないと判定される傾向が強くなるような大きめの値を予め設定しておいてもよい。SIR下限値は、例えば、電制を行っていないときのSIRの最大値に対する割合(比率)、言い換えれば、電力系統に連系可能な同期機が全て連系している条件でのSIRに対する割合で設定してもよい。
図18は、SIR下限値を求める際のオフラインの電力系統解析の条件と結果の一例を示す図である。オフラインの電力系統解析では、想定される様々な系統条件の解析用系統モデル、例えば電力需要の大きさや発電機の運転状態(運転している同期機およびその出力や瞬動予備力、非同期機の発電状態)が異なる複数の電力系統の解析用系統モデルを作成し、それぞれの解析用系統モデルについて電源脱落事故を模擬した過渡安定度演算を行う。複数の電力系統の解析用系統モデルには、例えば季節や時間帯などの時間的な要素が異なるものを含んでもよい。図18に示す例では、N個の系統条件(解析用系統モデル)についてSIRと、電源脱落事故時の過渡安定度演算結果に基づいて電源脱落事故後の周波数fが発電機保護の動作レベルfUFRを下回るか否かを式(5)で判定した結果を記録している。周波数fの判定結果は、式(5)の条件が成立するときを「OK」、成立しないときを「NG」としている。
f > fUFR ・・・(5)
図19は、図18に示す周波数fの判定結果から、SIRの値に基づいて解析用系統モデルの数の分布を表した図である。斜線四角は判定結果が「NG」の解析用系統モデル、白色四角は判定結果が「OK」の解析用系統モデルを示す。一般に、SIRが大きい解析用系統モデルである程、判定結果が「OK」となる傾向にある。
式(6)を用いて、判定結果が「NG」の解析用系統モデルのSIRの内、値が最大のものをSIRNG_maxとして求める。
SIRNG_max = max(SIR) ・・・(6)
ここで、iは判定結果が「NG」の解析用系統モデルの番号である。
次に式(7)を用いて、判定結果が「OK」の解析用系統モデルのSIRの内、SIRNG_maxより値が大きく、最小のSIRをSIR下限値として選択する。
SIR下限値 = min(SIR) ・・・(7)
ここで、jは判定結果が「OK」、かつ、式(8)の条件が成り立つ解析用系統モデルの番号である。
SIR> SIRNG_max ・・・(8)
ステップS201で式(3)の条件を満たさないと判定した場合、電制対象選択手段105は、最後に選択された同期機を電制対象から除外し(ステップS104)、新たな電制対象として非同期機を選択する(ステップS105)。
次に解析条件設定手段103は、ステップS105で選択した電制対象を電制する条件を含む解析条件を設定する(ステップS106)。
次に安定度判定手段104は、ステップS106で設定された解析条件に基づいて過渡安定度演算を行い(ステップS107)、ステップS107の過渡安定度演算の結果に基づき、同期安定性を判定する(ステップS108)。ステップS108で安定と判定した場合、安定度判定手段104は、ステップ201へ処理を戻す。
ステップS108で不安定と判定した場合、安定度判定手段104は、ステップS105へ処理を戻す。この場合、電制対象選択手段105は、ステップS105で電制対象に非同期機を追加で選択し、ステップS108において同期安定性の判定が安定になるまで処理を繰り返す。
ステップS201で式(3)の条件を満たすと判定した場合、電制対象選択手段105は、すべての想定事故の安定度判定を完了したか否かを判定する(ステップS7)。すべての想定事故の安定度判定を完了していないと判定した場合、電制対象選択手段105は、ステップS3へ処理を戻し、次の想定事故の安定度判定を行う。すべての想定事故の安定度判定を完了したと判定した場合、電制対象選択手段105は、制御テーブル154を設定して(ステップS8)、本フローチャートの処理を終了する。
以上説明したように、第2の実施形態の電力系統安定化システムでは、電制実施後の電力系統において電源脱落事故が発生した場合でも電源の連鎖脱落が発生しない電制対象を選択することができる。また、第2の実施形態の電力系統安定化システムでは、オフラインの電力系統解析で求めたSIR下限値を電力系統安定化システムに予め設定しておき、SIRがSIR下限値を下回らないように電制対象を選択するので、電力系統安定化システムでは電源脱落事故を追加した過渡安定度演算を行う必要がないので演算負担の増加が少なく、システムのコストを抑制できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
SS・・・電力系統安定化システム、E・・・電力系統、N・・・給電情報網、1・・・発電機(同期機)、2・・・母線、3・・・送電線または変圧器、4・・・遮断器(CB)、5・・・電流計測器(CT)、6・・・電圧計測器(VT)、7・・・事故除去リレーシステム、8・・・通信設備、9・・・中央演算装置、10・・・中央制御装置、11・・・事故検出端末装置、12・・・制御端末装置、21・・・太陽光発電設備、22・・・風力発電設備、101・・・系統情報収集手段、102・・・系統モデル作成手段、103・・・解析条件設定手段、104・・・安定度判定手段、105・・・電制対象選択手段、106・・・電制対象決定手段、107・・・事故種別検出手段、108・・・制御手段

Claims (2)

  1. 現在の系統情報を収集して解析用系統モデルを作成し、複数の想定事故について過渡安定度演算を実施し、電力系統の同期安定性維持に必要な電制対象を選択して制御テーブルに設定し、当該制御テーブルを中央制御装置へ送信することを繰り返し行う中央演算装置と、
    系統事故発生時に事故種別を判定して当該事故種別の情報を前記中央制御装置へ送信する事故検出端末装置と、
    前記事故検出端末装置から受信した前記事故種別の情報と前記中央演算装置から受信した前記制御テーブルとを照合して前記電制対象を決定し、電制指令を送信する前記中央制御装置と、
    前記中央制御装置から受信した前記電制指令に従って、前記電制対象に決定された電源を前記電力系統から解列させる制御端末装置と、を備える電力系統安定化システムであって、
    前記制御端末装置が設置される電源は、火力発電を含む同期機の発電所と、太陽光発電と風力発電とのうち少なくとも一方を含む非同期機の再エネ電源サイトと、を含み、
    前記中央演算装置は、前記電制対象を選択する際、電制実施後の前記電力系統において電源脱落事故が発生した場合でも電源の連鎖脱落が発生しないことを現在の系統情報に基づいた過渡安定度演算を実施して確認し、電源の連鎖脱落が発生する場合には前記電制対象に選択された同期機を削減し、代わりに非同期機を前記電制対象に選択することを特徴とした電力系統安定化システム。
  2. 現在の系統情報を収集して解析用系統モデルを作成し、複数の想定事故について過渡安定度演算を実施し、電力系統の同期安定性維持に必要な電制対象を選択して制御テーブルに設定し、当該制御テーブルを中央制御装置へ送信することを繰り返し行う中央演算装置と、
    系統事故発生時に事故種別を判定して当該事故種別の情報を前記中央制御装置へ送信する事故検出端末装置と、
    前記事故検出端末装置から受信した前記事故種別の情報と前記中央演算装置から受信した前記制御テーブルとを照合して前記電制対象を決定し、電制指令を送信する前記中央制御装置と、
    前記中央制御装置から受信した前記電制指令に従って、前記電制対象に決定された電源を前記電力系統から解列させる制御端末装置と、を備える電力系統安定化システムであって、
    前記制御端末装置が設置される電源は、火力発電を含む同期機の発電所と、太陽光発電と風力発電とのうち少なくとも一方を含む非同期機の再エネ電源サイトと、を含み、
    前記中央演算装置は、前記電制対象を選択する際、前記電力系統の慣性が、オフラインの電力系統解析で予め求めて設定された慣性下限値を下回らないように前記電制対象を選択し、前記慣性が前記慣性下限値を下回る場合には前記電制対象に選択された同期機を削減し、代わりに非同期機を前記電制対象に選択することを特徴とした電力系統安定化システム。
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