以下、パチンコ遊技機に具体化した一実施形態を図1~図10にしたがって説明する。
図1に示すように、島設備(遊技島)では、遊技機の一例であるパチンコ遊技機10と、管理装置の一例であるカードユニット100と、が交互に並ぶように設置される。つまり、パチンコ遊技機10には、カードユニット100が併設される。本実施形態の一例では、1台のパチンコ遊技機10に対して1台のカードユニット100が接続されるが、これに限らず、1台のパチンコ遊技機10に対して複数台のカードユニット100を接続する構成であってもよく、複数台のパチンコ遊技機10に対して1台のカードユニット100を接続する構成であってもよい。
カードユニット100について説明する。
図1に示すように、カードユニット100は、記憶媒体の一例である管理カードを挿入するためのカード挿入部101を備える。管理カードは、遊技を可能とする価値の一例として現金の残額、及び遊技者の有する遊技球の個数(以下、持ち球数と示す)をデータとして少なくとも記憶可能である。管理カードは、遊技者の個人情報をデータとして記憶可能であってもよい。管理カードは、現金の残額に代えて事前に支払いされた残額(プリペイド残額)を記憶する構成であってもよい。
カードユニット100は、現金の一例として紙幣を挿入可能な紙幣挿入部102を備える。カードユニット100では、紙幣が紙幣挿入部102に挿入されると、挿入されている管理カード、又は初期化済みの管理カードに記憶されている残額に加算される。カードユニット100は、現金の一例として硬貨を投入可能な構成であってもよい。
カードユニット100は、操作パネル104を備える。操作パネル104は、玉貸ボタン104a、払出ボタン104b、返却ボタン104c、持球数表示部104d、及び残額表示部104eを備える。玉貸ボタン104aは、管理カードに記憶されている残額に基づいて、パチンコ遊技機10で管理する遊技球数を増加させるに際して操作される。払出ボタン104bは、管理カードに記憶されている持ち球数に基づいて、パチンコ遊技機10で管理する遊技球数を増加させるに際して操作される。返却ボタン104cは、カードユニット100に挿入されている管理カードの返却を受けるに際して操作される。持球数表示部104dには、管理カードに記憶されている持ち球数を特定可能な情報(一例としてアラビア数字)が表示される。残額表示部104eには、管理カードに記憶されている残額を特定可能な情報(一例としてアラビア数字)が表示される。
カードユニット100は、カードユニット制御基板105(以下、CU制御基板と示す)を備える。CU制御基板105は、CPU105aと、ROM105bと、RAM105cと、を備える。CPU105aは、カードユニット制御プログラムを実行することにより、所定の処理を行う。ROM105bは、カードユニット制御プログラムを記憶している。RAM105cは、カードユニット100の動作中に書き換えられる様々な情報を記憶する。例えば、RAM105cが記憶する情報は、フラグ、カウンタ、及びタイマなどである。カードユニット100は、パチンコ遊技機10と双方向に通信可能に接続される通信端子105dを備える。
CU制御基板105は、カード挿入部101と接続されている。CPU105aは、カード挿入部101に挿入されている管理カードの記憶内容を書き換え可能に構成されている。CU制御基板105は、紙幣挿入部102と接続されている。CPU105aは、紙幣挿入部102に紙幣が挿入されたときに出力する紙幣信号を入力可能に構成されている。紙幣信号は、紙幣挿入部102に挿入された紙幣の金額(以下、現金投入額と示す)を特定可能な信号である。
CU制御基板105は、操作パネル104と接続されている。CPU105aは、玉貸ボタン104aが操作されたときに出力する玉貸信号を入力可能に構成されている。CU制御基板105は、払出ボタン104bが操作されたときに出力する払出信号を入力可能に構成されている。CPU105aは、返却ボタン104cが操作されたときに出力する返却信号を入力可能に構成されている。CPU105aは、持球数表示部104dの表示内容を制御可能に構成されている。CPU105aは、残額表示部104eの表示内容を制御可能に構成されている。
CU制御基板105は、通信端子105dを介してパチンコ遊技機10と接続されている。CPU105aは、パチンコ遊技機10が出力する各種の制御信号(制御情報)を入力可能に構成されている。CPU105aは、パチンコ遊技機10に対して各種の制御信号(制御情報)を出力可能に構成されている。カードユニット100は、通信端子105dからパチンコ遊技機10へと接続信号を出力する。なお、接続信号は、CU制御基板105(CPU105a)が生成するコマンドや電文であってもよく、CPU105aとは異なる出力回路(例えば電源回路)が生成する信号であってもよい。
カードユニット100は、外部機器と接続するための外部通信端子(不図示)を備える。一例として、外部機器は、遊技場に設置されたホールコンピューターである。外部機器は、遊技場外のデータセンターに設置されたサーバー設備とネットワークを介して通信可能な管理コンピューターである。この場合、管理コンピューターとカードユニット100とは、相互に通信可能に接続されていることが好ましい。
カードユニット100にて行われる処理について説明する。
CPU105aは、カード挿入部101に管理カードが挿入されると、管理カードに記憶されている残額、及び持ち球数を読み出し、RAM105cに記憶させる。そして、CPU105aは、管理カードが挿入されているとき、以下に説明する処理を行う。
CPU105aは、紙幣挿入部102から紙幣信号を入力すると、紙幣信号から特定可能な現金投入額を残額に加算する。CPU105aは、残額が0ではないとき、玉貸ボタン104aから玉貸信号を入力すると、残額を規定額だけ減算するとともに、当該規定額に対応する個数の遊技球の付与を特定可能な付与情報をパチンコ遊技機10へ出力する。なお、CPU105aは、残額が0であるとき、玉貸信号を入力しても、付与情報を送信しない。
CPU105aは、持ち球数が0以上であるとき、払出ボタン104bから払出信号を入力すると、持ち球数を規定数だけ減算し、当該規定数の遊技球の付与を特定可能な付与情報をパチンコ遊技機10へ出力する。なお、CPU105aは、持ち球数が0であるとき、払出信号を入力しても、付与情報を送信しない。このように、付与情報は、付与球数を特定可能である。CPU105aは、パチンコ遊技機10から計数情報を受信すると、当該計数情報から特定可能な遊技球の個数を持ち球数に加算する。詳しくは後述するが、計数情報は、遊技者がパチンコ遊技機10での遊技を終了するに際して出力される制御情報であって、カードユニット100へ管理を移管する遊技球の個数を特定可能である。
CPU105aは、持球数表示部104dを制御し、その時々の持ち球数を特定可能な情報を表示するように表示内容を更新する。つまり、CPU105aは、持球数表示部104dにて持ち球数をリアルタイムで表示させる。CPU105aは、残額表示部104eを制御し、その時々の残額を特定可能な情報を表示するように表示内容を更新する。つまり、CPU105aは、残額表示部104eにて残額をリアルタイムで表示させる。
CPU105aは、返却ボタン104cから返却信号を入力すると、RAM105cに記憶されている残額及び持ち球数を管理カードに記憶させるとともに、RAM105cに記憶されている残額及び持ち球数を初期化する。CPU105aは、管理カードがカード挿入部101から排出されるように、カード挿入部101を制御する。
パチンコ遊技機10について説明する。
図1に示すように、遊技機の一例であるパチンコ遊技機10は、遊技媒体として規定数の遊技球が機内部に封入されており、規定数の遊技球を機内部にて循環させる封入式の遊技機(所謂、管理遊技機)として構成されている。パチンコ遊技機10に使用される遊技球は、ステンレス鋼などの非磁性体である。パチンコ遊技機10は、遊技球を貯留する部分(上皿及び下皿)を備えない。つまり、パチンコ遊技機10は、遊技者が遊技球に触れることができない構造である。
パチンコ遊技機10は、遊技者に貸し出された遊技球の個数(以下、貸し玉数と示す)、遊技者が獲得した遊技球の個数(以下、獲得球数と示す)、及び遊技者が発射した遊技球の個数(以下、発射球数と示す)に基づいて、遊技者の有する遊技球の個数(以下、遊技球数と示す)を電磁的に管理する。なお、前述の持ち球数は、カードユニット100にて管理される遊技球の個数であり、パチンコ遊技機10にて管理する遊技球数とは異なるデータである。このように、管理遊技機としてのパチンコ遊技機10は、遊技球の個数をデータとして記憶可能であって、データに基づいて遊技を可能に構成されている。
パチンコ遊技機10は、枠体11を備える。枠体11は、機体を島設備に固定するための外枠11aと、各種の遊技部品を搭載するための搭載枠11bと、保護枠11cと、を備える。搭載枠11bは、外枠11aに対して開閉可能に支持されている。保護枠11cは、搭載枠11bに対して開閉可能に支持されている。保護枠11cは、搭載枠11bに搭載された遊技部品を保護する保護ガラス(不図示)を有する。保護枠11cは、所謂前枠、又はガラス枠である。パチンコ遊技機10は、枠11b,11cを施錠する施錠装置(不図示)を備える。パチンコ遊技機10は、施錠装置に適合する鍵を用いて解錠しなければ、外枠11aに対して枠11b,11cを開放できないように構成される。
パチンコ遊技機10は、スピーカを一例とする演出音声装置12を備える。演出音声装置12は、搭載枠11bの前面側に配設されている。演出音声装置12は、所定の音声を出力する演出(以下、音声演出と示す)、及び所定の音声を出力する報知(以下、音声報知と示す)を実行可能である。例えば、所定の音声は、楽曲、及び効果音等である。パチンコ遊技機10は、スピーカを一例とする報知音声装置13を備える。報知音声装置13は、音声報知を実行可能である。本実施形態の一例において、演出音声装置12及び報知音声装置13のそれぞれは、搭載枠11bに配設されている。
パチンコ遊技機10は、演出発光装置14を備える。演出発光装置14は、LEDなどを一例とする発光体(不図示)の点灯、点滅、及び消灯による演出(以下、発光演出と示す)を実行可能である。演出発光装置14は、発光体(不図示)の点灯、点滅、及び消灯による報知(以下、報知発光と示す)を実行可能である。本実施形態の一例において、演出発光装置14は、搭載枠11bに配設されている。これに限らず、演出発光装置14は、後述する遊技盤20に配設されていてもよい。
パチンコ遊技機10は、遊技球を発射させる操作が可能な発射操作手段の一例である発射ハンドル15を備える。発射ハンドル15は、搭載枠11bの前面側に配設されている。詳しくは後述するが、パチンコ遊技機10は、発射ハンドル15の操作に応じた発射強度にて遊技球を打ち出すように発射装置50を駆動するように構成されている。発射装置50は、遊技球を発射する発射機構の一例を構成する。発射ハンドル15は、回動させる操作を可能に支持されたハンドルレバー15aと、タッチセンサD01と、発射停止スイッチD02と、ハンドルボリュームD03と、を備える。
タッチセンサD01は、発射ハンドル15の側面を囲うように配設された通電リング15bに接続されている。タッチセンサD01は、遊技者が発射ハンドル15を把持し、遊技者の手指が通電リング15bに触れるとタッチ信号を出力する。タッチ信号は、遊技者の手指が通電リング15bに触れているときにオン状態となり、触れていないときにオフ状態となる。タッチセンサD01は、遊技者が発射ハンドル15に触れていることを検知する手段の一例である。
発射停止スイッチD02は、発射ハンドル15の側方にむかって突出する発射停止ボタン15cが押し込まれるとストップ信号を出力する。ストップ信号は、発射停止ボタン15cが操作されているとオン状態となり、操作されていないとオフ状態となる。発射停止ボタン15cは、遊技球の発射を停止させる操作が可能な停止操作手段の一例である。ハンドルボリュームD03は、ハンドルレバー15aが回動操作されていると、その回動操作量に応じた電圧のボリューム信号を出力する。パチンコ遊技機10は、遊技者が演出用の操作可能な手段の一例として演出操作装置16を備える。演出操作装置16は、押下操作を可能なボタン型、表示装置を兼用するタッチセンサ型、又はレバー型であるとよい。
パチンコ遊技機10は、内部に管理している遊技球数を特定可能な情報を表示する遊技球数表示装置17を備える。本実施形態の一例において、遊技球数表示装置17は、複数(例えば6個)の7セグを並べた構成とされており、複数(例えば6桁)の数字を表示可能である。遊技球数表示装置17は、所定の文字を表示することで、所定の情報の報知(以下、報知表示と示す)を実行可能である。遊技球数表示装置17は、データとして記憶されている遊技球の個数を報知する個数報知手段、個数表示手段、及び報知手段の一例である。
図1及び図3に示すように、パチンコ遊技機10は、計数スイッチ18を備える。計数スイッチ18は、遊技者がパチンコ遊技機10における遊技を終了するに際して操作される。詳しくは後述するが、計数スイッチ18は、予め定めた計数許容状態であるとき、計数スイッチ18を用いた計数操作が許容される。計数スイッチ18は、押込み操作がされると計数信号を出力する。パチンコ遊技機10は、計数許容状態であるか否かを報知する手段の一例である計数ランプ18aを備える。本実施形態の一例において、演出操作装置16、遊技球数表示装置17、計数スイッチ18、及び計数ランプ18aは、搭載枠11bの前面側において遊技者が操作可能な位置に纏まって配設されている。
図2に示すように、パチンコ遊技機10は、遊技盤20を備える。遊技盤20は、搭載枠11bに組み付けられている。遊技盤20の前面には、正面視で略円形状の遊技領域20aが画成されている。遊技領域20aの略中央には、表示窓口20bが形成されている。遊技領域20aの左方には、発射装置50により発射された遊技球を遊技領域20aへと案内する打出通路20cが形成されている。遊技領域20a及び打出通路20cは、保護枠11cの保護ガラス(不図示)によって覆われている。
遊技盤20は、各種の情報を表示する手段の一例を構成するメイン表示装置群21を備える。詳しくは後述するが、メイン表示装置群21は、主制御基板60によって制御される表示装置である。メイン表示装置群21には、第1特別図柄表示装置21a、第2特別図柄表示装置21b、第1保留表示装置21c、第2保留表示装置21d、普通図柄表示装置21e、及び普通保留表示装置21fが少なくとも含まれる。本実施形態の一例において、メイン表示装置群21を構成する複数の表示装置は、遊技者から視認可能な部分に纏めて配設されているが、これに限らず、一部又は全部が異なる部分に配設されていてもよい。
第1特別図柄表示装置21aは、所定の図柄を変動表示させ、最終的に特別図柄を停止表示させる第1特別図柄変動ゲーム(以下、第1特別ゲームと示す)を実行可能である。第2特別図柄表示装置21bは、所定の図柄を変動表示させ、最終的に特別図柄を停止表示させる第2特別図柄変動ゲーム(以下、第2特別ゲームと示す)を実行可能である。特別図柄は、内部抽選(特別図柄の当り抽選)の結果を報知するための図柄である。以下、第1特別ゲーム、及び第2特別ゲームを纏めて「特別ゲーム」という。特別図柄には、大当り表示結果としての大当り図柄と、はずれ表示結果としてのはずれ図柄と、が少なくともある。パチンコ遊技機10では、特別図柄の当り抽選にて大当りに当選すると、特別ゲームにて大当り図柄が停止表示され、当該大当りの特別ゲームの終了後、大当り遊技が付与される。大当り遊技については後述する。
第1保留表示装置21cは、保留条件が成立したものの、開始条件が未だ成立していないことによって、その実行が保留されている第1特別ゲームの回数(以下、第1保留数と示す)を特定可能な情報を表示する。第2保留表示装置21dは、保留条件が成立したものの、開始条件が未だ成立していないことによって、その実行が保留されている第2特別ゲームの回数(以下、第2保留数と示す)を特定可能な情報を表示する。
普通図柄表示装置21eは、所定の図柄を変動表示させ、最終的に普通図柄を停止表示させる普通ゲームを実行可能である。普通図柄は、内部抽選(普通図柄の当り抽選)の結果を報知するための図柄である。普通図柄には、普通当り図柄と、普通はずれ図柄と、が少なくともある。本実施形態では、普通図柄の当り抽選に当選すると、普通ゲームにおいて普通当り図柄が停止表示され、当該普通ゲームの終了後、普通当り遊技が付与される。普通保留表示装置21fは、保留条件が成立したものの、開始条件が未だ成立していないことによって、その実行が保留されている普通ゲームの回数を特定可能な情報を表示する。メイン表示装置群21には、右打ちを指示する情報を表示する右打ち表示装置や、ラウンド遊技の上限回数を報知するラウンド表示装置が含まれていてもよい。
パチンコ遊技機10は、画像を表示可能な画像表示領域を有する演出表示装置19を備える。演出表示装置19は、表示窓口20bを介して、画像表示領域19aを視認可能となるように、遊技盤20に組み付けられている。例えば、演出表示装置19は、液晶装置である。演出表示装置19は、所定の画像を表示する演出(以下、表示演出と示す)を実行可能である。例えば、所定の画像は、演出図柄、キャラクタ、風景、文字(文字列)、数字、及び記号などの画像である。以下の説明では、これらキャラクタ等について単に「表示する」と示す場合、これらキャラクタ等を画像として表示することを意味する。演出表示装置19は、所定の画像を表示する態様にて報知表示を実行可能である。
演出音声装置12、演出発光装置14、及び演出表示装置19は、何れも所定の演出を実行可能な演出装置であり、複数の演出装置からなる演出装置群ESを構成する。上述のように、演出音声装置12、演出発光装置14、及び演出表示装置19は、何れも所定の報知を実行可能であるから、演出装置群ESは、報知装置群として把握することも可能である。演出装置群ESに含む演出装置(報知装置)は、演出音声装置12、演出発光装置14、及び演出表示装置19であることに限定されず、これらの演出装置の一部を省略した構成であってもよい。演出装置群ESは、これらの演出装置に加えて、または任意に選択できる1つまたは複数に代えて、可動演出を実行する演出可動装置を備えてもよく、振動演出を実行する演出振動装置を備えてもよい。
例えば、演出表示装置19における表示演出には、複数列の演出図柄(飾り図柄)を用いた演出図柄変動ゲーム(以下、演出ゲームと示す)がある。演出ゲームでは、複数列の演出図柄が変動表示され、最終的に演出図柄の組合せ(以下、図柄組合せと示す)が停止表示される。演出図柄(飾り図柄)は、キャラクタや模様等の装飾が施された図柄であって、表示演出を多様化させるための図柄である。例えば、本実施形態の演出ゲームは、左図柄列、中図柄列、及び右図柄列の演出図柄をそれぞれ所定方向に変動表示(スクロール表示)させて行われる。演出ゲームでは、リーチを形成して行うリーチ演出を含む場合がある。
演出ゲームは、特別ゲームとともに開始され、特別ゲームとともに終了される。演出ゲームでは、特別ゲームで停止表示される特別図柄に応じた図柄組合せが停止表示される。特別ゲームにて大当り図柄が停止表示されるとき、演出ゲームでは、大当りの図柄組合せが停止表示される。特別ゲームにてはずれ図柄が停止表示されるとき、演出ゲームでは、はずれの図柄組合せが停止表示される。以下の説明では、特別ゲームと、当該特別ゲームとともに実行される演出ゲームと、を纏めて「変動ゲーム」と示す。
遊技領域20aには、遊技球が入球可能な複数の入賞口(入球口)が形成されている。入賞口には、第1始動口23と、第2始動口24と、大入賞口25と、普通入賞口27と、が少なくともある。第1始動口23は、賞球の付与条件、及び第1特別ゲームの保留条件を成立させるに際して遊技球を入球させる入賞口である。第1始動口23は、演出表示装置19の下方にあり、常時、遊技球を入球させることができるように開口している。遊技盤20は、第1始動口23へ入球した遊技球を検知する第1始動センサD11を備える(図9参照)。
第2始動口24は、賞球の付与条件、及び第2特別ゲームの保留条件を成立させるに際して遊技球を入球させる入賞口である。第2始動口24は、第1始動口23の右方にある。第2始動口24は、扉状であることを一例とする普通開閉片24aを備えており、普通当り遊技が付与されていないとき、遊技球を入球させることができない、又は入球し難いように閉鎖されている。第2始動口24は、普通当り遊技が付与されると、遊技球を入球させることができる、又は入球し易いように開放される。遊技盤20は、第2始動口24を開放させる手段として、普通ソレノイドSL1を備える(図9参照)。また、遊技盤20は、第2始動口24へ入球した遊技球を検知する第2始動センサD12を備える(図9参照)。普通開閉片24aは、所謂「普通電動役物」である。
大入賞口25は、賞球の付与条件を成立させるに際して、遊技球を入球させる入賞口である。大入賞口25は、演出表示装置19の右下方にある。大入賞口25は、扉状であることを一例とする特別開閉片25aを備えており、大当り遊技が付与されていないとき、遊技球を入球させることができない、又は入球し難いように閉鎖されている。大入賞口25は、大当り遊技が付与されると、遊技球を入球させることができる、又は入球し易いように開放される。遊技盤20は、大入賞口25を開放させる手段として、特別ソレノイドSL2を備える(図9参照)。また、遊技盤20は、大入賞口25へ入球した遊技球を検知するカウントセンサD13を備える(図9参照)。
普通入賞口27は、賞球の付与条件を成立させるに際して、遊技球を入球させる入賞口である。普通入賞口27は、演出表示装置19の左下方、及び演出表示装置19の右下方にそれぞれある。普通入賞口27は、常時、遊技球を入球させることができるように開口している。遊技盤20は、普通入賞口27へ入球した遊技球を検知する普通センサD14を備える(図9参照)。
遊技領域20aには、ゲート28が配設されている。ゲート28は、遊技領域20aの右方領域であって、第2始動口24、及び大入賞口25の上方にある。ゲート28には、常時、遊技球を入球させることができるように開放されたゲート口28aを有する。ゲート口28aには、入球し、通過する遊技球を検知するゲートセンサD15が配設されている(図9参照)。ゲート28は、普通ゲームの始動条件を成立させるに際して遊技球を入球させる入球口である。ゲート28は、遊技球が入球しても賞球の付与条件が成立しない。遊技領域20aの最下方には、第1始動口23、第2始動口24、大入賞口25、及び普通入賞口27の何れにも入球しなかった遊技球を遊技領域20aから排出するためのアウト口29が形成されている。アウト口29は、遊技領域20aからの排出口や返却口としても把握できる。
また、搭載枠11bは、異常な電波として所定の強度を超える電波を検知する電波センサD16を備える(図8参照)。電波センサD16は、異常な電波を検知すると電波検知信号を出力する。遊技盤20は、搭載枠11bにある電波センサD16に加えて、電波センサを備え、遊技盤20にて異常な電波を検出できる構成であってもよい。上述のように、パチンコ遊技機10は、磁性体の遊技球を使用せず、非磁性体の遊技球を使用する。このため、搭載枠11bは、異常な磁気として所定の強度を超える磁気を検知する磁気センサを備えない。これに限らず、パチンコ遊技機10は、搭載枠11b及び遊技盤20の一方又は両方に磁気センサを備え、磁石の接近を検知できる構成であってもよい。
搭載枠11bは、当該搭載枠11bに対して保護枠11cが開放されていることを検知する第1扉開放スイッチD17を備える(図8参照)。第1扉開放スイッチD17は、保護枠11cの開放を検知すると第1扉開放信号を出力する。搭載枠11bは、外枠11aに対して搭載枠11bが開放されていることを検知する第2扉開放スイッチD18を備える(図8参照)。第2扉開放スイッチD18は、搭載枠11bの開放を検知すると第2扉開放信号を出力する。
遊技者は、発射ハンドル15の操作により、遊技球の発射強度を調整し、表示窓口20bより左方にある左方領域、及び表示窓口20bより右方にある右方領域に遊技球を打ち分ける。例えば、発射強度を強めに調整して遊技球を発射した場合(以下、右打ちと示す)、遊技球は、右方領域に流下案内され易く、第2始動口24、大入賞口25、普通入賞口27、又はゲート28へ入球する可能性がある。右打ちは、遊技球を右方領域へ到達させるために勢いよく発射させる必要があることから、発射強度を最大強度又は最大強度よりも若干弱い強度に調整して行う。一方、発射強度を弱めに調整して遊技球を発射させた場合(以下、左打ちと示す)、遊技球は、左方領域に流下案内され易く、第1始動口23、又は普通入賞口27へ入球する可能性がある。左打ちは、右打ちのときほど遊技球を勢いよく発射させる必要がないため、発射させた遊技球が右方領域へ到達しない程度の強度に調整して行う。本実施形態では、右打ちした場合、第1始動口23へ遊技球が入球し得ないよう、遊技釘などの遊技部品によって遊技球の流路が形成されている。遊技部品は、右打ちしたときに第1始動口23への入球を規制するように配置されていてもよいし、左打ちしたときに比して、第1始動口23へ入球し難いように配置されていてもよい。
本実施形態における左方領域は、遊技盤20を正面視したときに遊技領域20aを左右に二等分する中心線CLよりも左側に位置する領域である。本実施形態における右方領域は、遊技盤20を正面視したときに中心線CLよりも右側に位置する領域である。発射ハンドル15の操作によって発射された遊技球は、遊技領域20aの左側にある打出通路20cに案内され、遊技領域20aに到達する。このため、左方領域は、打出通路20c寄りの領域でもあり、右方領域は、打出通路20cから離れた領域でもある。左方領域を流下案内される遊技球は、正面視において遊技領域20aの中央に位置する演出表示装置19の左側を通り、遊技領域20aの最下方に位置するアウト口29へ向かう。一方、右方領域を流下案内される遊技球は、正面視において遊技領域20aの中央に位置する演出表示装置19の右側を通り、アウト口29へ向かう。
図4に示すように、パチンコ遊技機10は、遊技領域20aに打ち出されて遊技に使用された後に遊技盤20から排出される遊技球を回収する回収通路30と、メンテナンス装置35を備える揚上機構36と、を有する。また、パチンコ遊技機10は、メンテナンスが実施された遊技球を1球ずつ切り出すように供給する供給装置40と、供給装置40から供給される遊技球を発射する発射装置50と、を有する。揚上機構36は、回収通路30を通じて回収された遊技球を、揚上機構36よりも下流側であって上方に位置する供給装置40へ移送する。メンテナンス装置35は、揚上機構36の一部を構成している。供給装置40は、遊技球を発射機構の一例である発射装置50へ供給する供給機構の一例を構成する。パチンコ遊技機10は、上述した打出通路20cと、ファール球(戻り球)を回収するためのファール通路20fを有する。ファール球は、発射装置50によって発射されたが、遊技領域20aへ到達しなかった遊技球である。本実施形態の一例において、供給装置40、発射装置50及び揚上機構36は、遊技領域20aの下方に配設されている。これに限らず、供給装置40及び発射装置50は遊技領域20aの左上部分に配設されていてもよい。
回収通路30は、第1始動口23、第2始動口24、大入賞口25、及び普通入賞口27へ入賞した遊技球を合流させて回収する入賞通路31と、アウト口29を通過した遊技球を回収する非入賞通路32と、を有する。回収通路30は、入賞通路31と非入賞通路32とが合流する第1合流部33aを有する。回収通路30は、入賞通路31、非入賞通路32、及びファール通路20fが合流する第2合流部33bを有する。回収通路30は、第2合流部33bとメンテナンス装置35を有する揚上機構36とを繋ぐ供給通路34を有する。遊技領域20aに到達した遊技球は、遊技領域20aを流下する。遊技球は、第1始動口23、第2始動口24、大入賞口25、普通入賞口27、及びアウト口29の何れかに入球すると、入賞通路31又は非入賞通路32を流通して第1合流部33aにて合流した後、供給通路34を通ってメンテナンス装置35へと到達する。供給通路34の出口面積は、1球の遊技球が通過可能な大きさである。よって、遊技球は、供給通路34を通過することで一列に整列される。
メンテナンス装置35は、所定のメンテナンスの一例として研磨を行う装置である。メンテナンス装置35は、遊技球と接触するように配設された研磨ベルト(不図示)を備える。遊技球は、メンテナンス装置35を通過するとき、研磨ベルトと接触して研磨される。本実施形態の一例において、メンテナンス装置35は、研磨ベルトと当該研磨ベルトを駆動するための機構とが一体となったユニットとして構成されている。メンテナンス装置35は、研磨ベルトの使用が完了するなどして交換時期が到来したとき、ユニットとして交換可能となるように搭載枠11bに組み付けられている。一例として、メンテナンス装置35は、搭載枠11bを開放したとき、搭載枠11bの裏側からアクセス可能な位置に配設されている。メンテナンス装置35にてメンテナンスが実施された遊技球は、一列に並んだ状態のまま供給装置40に供給される。
パチンコ遊技機10は、供給通路34の途中であって、メンテナンス装置35を有する揚上機構36の上流に、鉄球検知機構37を備える。鉄球検知機構37は、磁石(不図示)を備える。鉄球検知機構37の磁石は、供給通路34に近接した位置に配置されている。磁石には、解除レバー(不図示)が接続されており、解除レバーを近接位置に変位させることにより、磁石が供給通路34に近接する一方、解除位置に変位させることにより、磁石が供給通路34から離間する。解除レバーが近接位置にあり、磁石が供給通路34に近接している場合、仮に供給通路34内に磁性体からなる遊技球(鉄球など)が存在するとき、当該遊技球を磁力により捕捉できる。この場合、捕捉された遊技球の後に続く遊技球は、捕捉された遊技球によって進行が妨げられ、揚上機構36への遊技球の供給が阻止される。つまり、磁性体からなる遊技球は揚上機構36へ供給される前に鉄球検知機構37で捕捉されることにより、供給装置40への供給も阻止される。そして、解除レバーが解除位置に変位されると、磁石が供給通路34から離間し、遊技球の捕捉が解除される。
パチンコ遊技機10は、遊技球の進行方向における鉄球検知機構37(磁石)よりも上流側において、供給通路34を通過する遊技球を検知する球通路球詰り監視センサD27を備える。球通路球詰り監視センサD27は、供給通路34を通過する遊技球を検知すると、球詰り検知信号を出力する。球詰り検知信号は、球通路を通過する遊技球が検知されているときにオン状態となり、検知されていないときにオフ状態となる。球詰り検知信号のオン状態が継続する状態は、鉄球検知機構37の磁石によって磁性体からなる遊技球(鉄球など)が捕捉されている可能性が高い。
供給装置40と、発射装置50とは、所定の方向(一例として前後方向)に並ぶように隣接する。供給装置40、及び発射装置50の詳細については後述する。供給装置40から1球ずつ供給される遊技球は、発射装置50に流入する。打出通路20cは、発射装置50と遊技領域20aとを繋ぐ。打出通路20cは、遊技盤20の前面側において、遊技領域20aの左側縁部に沿って、上下方向に沿って延びるように形成されている。発射装置50によって発射された遊技球は、打出通路20cを通過し、遊技領域20aへと案内される。
ファール通路20fは、打出通路20cの途中の部分と、回収通路30の何れかの部分と、を繋ぐ通路である。打出通路20cからファール通路20fに流入した遊技球は、回収通路30へと還流され、供給通路34から再び供給装置40へ供給される。発射装置50によって発射された遊技球は、打出通路20cに流入するとともに案内され、遊技領域20aへ到達する。ここで、発射装置50による発射強度が不足することによって失速し、遊技領域20aへ到達せずに打出通路20cを逆流(落下)することもある。
パチンコ遊技機10は、ファール通路20fを通過する遊技球(ファール球)を検知するファールセンサD21を備える。ファールセンサD21は、回収通路30の第2合流部33bよりも上流であって、ファール通路20fに隣接して設けられている。ファールセンサD21は、ファール通路20fを通過する遊技球を検知すると、ファール信号を出力する。ファール信号は、ファール通路20fを通過する遊技球が検知されているときにオン状態となり、検知されていないときにオフ状態となる。
パチンコ遊技機10は、入賞通路31を通過する遊技球を検知する入賞通路カウントセンサD25を備える。入賞通路カウントセンサD25は、回収通路30の第1合流部33aよりも上流であって、入賞通路31に隣接して設けられている。入賞通路カウントセンサD25は、入賞通路31を通過する遊技球を検知すると、入賞通路信号を出力する。入賞通路信号は、入賞通路31を通過する遊技球が検知されているときにオン状態となり、検知されていないときにオフ状態となる。
パチンコ遊技機10は、非入賞通路32を通過する遊技球を検知する非入賞通路カウントセンサD26を備える。非入賞通路カウントセンサD26は、回収通路30の第1合流部33aよりも上流であって、非入賞通路32に隣接して設けられている。非入賞通路カウントセンサD26は、非入賞通路32を通過する遊技球を検知すると、非入賞通路信号を出力する。非入賞通路信号は、非入賞通路32を通過する遊技球が検知されているときにオン状態となり、検知されていないときにオフ状態となる。
パチンコ遊技機10は、回収通路30の第1合流部33aを通過する遊技球を検知するアウトセンサD30を備える。アウトセンサD30は、回収通路30の第1合流部33aと第2合流部33bの間であって、回収通路30に隣接して設けられている。アウトセンサD30は、回収通路30を通過する遊技球を検知すると、アウト信号を出力する。アウト信号は、回収通路30を通過する遊技球が検知されているときにオン状態となり、検知されていないときにオフ状態となる。アウトセンサD30で検知される遊技球は、入賞通路31又は非入賞通路32の何れかを通過した遊技球である。以下、アウトセンサD30で検知される遊技球を、アウト球と示す場合もある。
パチンコ遊技機10は、供給通路34を通過して揚上機構36へ到達した遊技球を検知する揚上入口センサD28と、揚上機構36を通過して移送される遊技球を検知する揚上出口センサD29と、を備える。揚上入口センサD28は、揚上機構36においてメンテナンス装置35によるメンテナンス前の遊技球を受け入れる入口に繋がる通路に隣接して設けられている。揚上出口センサD29は、揚上機構36においてメンテナンス装置35によるメンテナンス後の遊技球を排出する出口に繋がる通路に隣接して設けられている。揚上入口センサD28は、遊技球を検知すると、揚上入口信号を出力する。揚上入口信号は、遊技球が検知されているときにオン状態となり、検知されていないときにオフ状態となる。揚上出口センサD29は、遊技球を検知すると、揚上出口信号を出力する。揚上出口信号は、遊技球が検知されているときにオン状態となり、検知されていないときにオフ状態となる。
パチンコ遊技機10は、供給通路34から遊技球を機外に排出するための排出口(不図示)と、当該排出口を開閉する開閉片(不図示)と、当該開閉片を開閉動作する際に操作される開閉レバー(不図示)と、を備える。本実施形態では、開閉レバーを操作して開閉片を変位させることにより排出口を開放し、当該開放口から遊技球を機外に排出することができる。なお、開閉レバーを操作していない状態では、排出口が開閉片によって閉鎖される。
供給装置40について説明する。
図5及び図6に示すように、供給装置40は、メンテナンス装置35から遊技球を受け入れる受入部41と、受入部41にて受け入れた遊技球を1球ずつ切り出すように動作する可動片42と、可動片42を駆動する供給ソレノイド43と、切り出された遊技球を発射装置50へ案内する供給部44と、を有する。供給装置40は、供給入口センサD22と、供給出口センサD23と、を備える。
受入部41には、メンテナンス装置35から流出した遊技球が一列で並んだ状態で進行できる受入通路41aが形成されている。供給部44は、可動片42によって遊技球Kの列から切り出された遊技球を発射装置50へ進行させる供給通路44aが形成されている。可動片42は、受入通路41aと供給通路44aとの境界部分に配設されている。
可動片42は、1球の遊技球Kを保持(収容)可能な保持部42aと、回動軸42bと、を有する。可動片42は、遊技球を係止可能な係止部の一例である。可動片42は、停止位置42P1と、停止位置42P1よりも下方に回動した供給位置42P2と、の間において、回動軸42bを回動中心として変位可能に支持されている。停止位置42P1は、受入通路41aから保持部42aへの遊技球Kの流入を許容し、保持部42aから供給通路44aへの遊技球Kの流出を規制する位置である。供給位置42P2は、受入通路41aから保持部42aへの遊技球Kの流入を規制し、保持部42aから供給通路44aへの遊技球Kの流出を許容する位置である。
可動片42が停止位置42P1から供給位置42P2へ変位すると、受入通路41aにある遊技球Kが可動片42によってせき止められる一方、保持部42aに保持された遊技球Kが供給通路44aへ放出される。可動片42が供給位置42P2から停止位置42P1へ変位すると、受入通路41aにある遊技球Kが保持部42aへ流入する一方、遊技球Kが保持部42aから供給通路44aへ流出しない。供給ソレノイド43は、通電によってオン状態となり、可動片42が停止位置42P1に変位する。可動片42は、供給ソレノイド43がオン状態であることで停止位置42P1に保持される。一方、供給ソレノイド43は、通電の解除によってオフ状態になり、重力によって可動片42が供給位置42P2へと変位する。可動片42は、供給ソレノイド43がオフ状態であることによって供給位置42P2に保持される。供給ソレノイド43は、可動片42による係止を解除して遊技球が発射装置50へと供給されるように駆動する供給アクチュエータの一例である。
供給入口センサD22は、受入通路41aに隣接して設けられており、当該受入通路41aを通過する遊技球Kを検知すると供給入口信号を出力する。供給入口信号は、受入通路41aを通過する遊技球Kが検知されているときにオン状態となり、検知されていないときにオフ状態となる。供給出口センサD23は、供給通路44aに隣接して設けられており、当該供給通路44aを通過する遊技球Kを検知すると供給出口信号を出力する。供給出口信号は、供給通路44aを通過する遊技球Kが検知されているときにオン状態となり、検知されていないときにオフ状態となる。
発射装置50について説明する。
図7に示すように、発射装置50は、正面視において遊技盤20の下方に配設されている。発射装置50は、供給装置40から供給される遊技球Kを受け入れる発射部51と、発射部51にある遊技球Kを打ち出す発射ハンマー52と、発射ハンマー52が遊技球を打撃するように駆動する発射ソレノイド53を有する。発射装置50は、打出通路20cから逆流(落下)してくるファール球(遊技球K)を受け入れる受入部55と、ファール通路20fを形成するファール通路部56と、を有する。
発射部51には、遊技球Kを保持する発射位置51aが形成されている。遊技球Kは、供給通路44aを流下し、発射位置51aに保持される。発射ハンマー52は、基端部にある回動軸52aと、先端部にある打球部52bと、を有する。発射ハンマー52は、打球部52bによって遊技球Kを打球する打球位置52P1と、打球位置52P1より下方に回動した退避位置52P2と、の間において、回動軸52aを回動中心として変位可能に支持されている。発射ハンマー52は、遊技球を打撃する打撃部の一例である。
発射ソレノイド53は、通電によってオン状態となり、発射ハンマー52が打球位置52P1に変位する。矢印Y1に示すように、発射ハンマー52が打球位置52P1に変位すると、発射位置にある遊技球Kに打球部52bが打ち付けられ、遊技球Kが打出通路20cに向かって打ち出される。十分な強度にて発射された遊技球Kは、打出通路20cを通過し、遊技領域20aへ到達する。発射ソレノイド53は、通電が解除されると、重力によって発射ハンマー52が退避位置52P2に変位する。発射ハンマー52は、発射ソレノイド53がオフ状態であることによって退避位置52P2に保持される。発射ソレノイド53は、発射ハンマー52が遊技球を打撃するように駆動する発射アクチュエータの一例である。発射アクチュエータは、モーターであってもよい。
受入部55は、打出通路20cの下方において開口する受入空間55aを形成している。受入部55の下端部は、ファール通路20fを形成する通路部材と繋がっている。つまり、受入空間55aの下端部は、ファール通路20fと繋がっている。矢印Y2,Y3に示すように、ファール球は、打出通路20cから受入空間55aへと流入し、ファール通路20fを通過して供給装置40へと還流される。また、上述のように、ファールセンサD21は、ファール通路20fに隣接して設けられている。
次に、大当り遊技について説明する。
大当り遊技では、最初に、予め定めた時間(以下、オープニング時間と示す)にわたって所定の演出が行われる。例えば、所定の演出は、大当り遊技の開始を認識可能なオープニング演出である。大当り遊技では、オープニング時間の経過後に、大入賞口25を開放するラウンド遊技が予め定めた上限回数を上限として行われる。1回のラウンド遊技は、予め定めた上限個数の遊技球が入球する個数条件、又は予め定めた上限時間が経過する時間条件の成立により終了される。ラウンド遊技において、大入賞口25は、所定の開放態様(開放パターン)にて開放される。各ラウンド遊技では、ラウンド演出が行われる。大当り遊技では、最終回のラウンド遊技が終了すると、予め定めた時間(以下、エンディング時間と示す)にわたって所定の演出が行われる。例えば、所定の演出は、大当り遊技の終了を認識可能なエンディング演出である。大当り遊技は、エンディング時間の経過に伴って終了される。
パチンコ遊技機10は、確率変動機能(以下、確変機能と示す)を搭載している。
確率変動機能は、大当り抽選にて大当りに当選する確率(以下、大当り確率と示す)を変動させるための機能である。即ち、パチンコ遊技機10は、大当り確率が異なり得る状態として、確変機能が作動しない低確率状態と、確変機能が作動する高確率状態と、を備える。高確率状態は、低確率状態に比して大当り確率が高い。高確率状態では、大当り確率が低確率状態に比して高まることから、遊技者にとって極めて有利な状態となる。高確率状態は、所謂「確率変動状態(確変状態)」である。
パチンコ遊技機10は、入球補助機能を搭載している。
入球補助機能は、第2始動口24への入賞を補助することにより、第2始動口24への入球率を変動させるための機能である。即ち、パチンコ遊技機10は、第2始動口24への入球率が異なり得る状態として、入球補助機能が作動しない低入球率状態と、入球補助機能が作動する高入球率状態と、を備える。高入球率状態は、低入球率状態に比して、遊技球が第2始動口24へ入球する確率が高い。高入球率状態では、遊技球が第2始動口24へ入球する確率が高まり、第2始動口24への遊技球の入球が容易になることから、遊技者にとって有利な状態(入球容易状態)となる。高入球率状態は、所謂「電サポ状態」であり、低入球率状態は、所謂「非電サポ状態」である。
例えば、高入球率状態は、次に説明する3つの制御のうち、任意に選択された1の制御を行うことによって、又は複数の制御を組み合わせて行うことによって実現できる。1つめの制御は、普通ゲームの変動時間を、低入球率状態のときよりも短くする普通図柄の変動時間短縮制御である。2つめの制御は、普通当り抽選に当選する確率(普通当り確率)を、低入球率状態のときよりも高確率に変動させる普通図柄の確率変動制御である。3つめの制御は、1回の普通当り遊技における第2始動口24の合計開放時間を、低入球率状態のときよりも長くする開放時間延長制御である。開放時間延長制御は、1回の普通当り遊技における第2始動口24の開放回数を低入球率状態のときよりも多くする制御、及び普通当り遊技における第2始動口24の1回の開放時間を低入球率状態のときよりも長くする制御のうち、少なくとも一方であるとよい。高入球率状態は、次に説明する4つめの制御を組み合わせて実現してもよい。4つめの制御は、特別ゲームの変動時間(例えば平均の変動時間)を、低入球率状態のときよりも短くする特別図柄の変動時間短縮制御である。特別図柄の変動時間短縮制御を行う場合、高入球率状態は、特別図柄の変動時間短縮状態(時短状態)となり、低入球率状態は、特別図柄の非変動時間短縮状態(非時短状態)となる。
パチンコ遊技機10では、確変機能の作動の有無と、入球補助機能の作動の有無と、の組み合わせによって遊技状態が作り出される。以下の説明では、低確率状態、且つ低入球率状態である遊技状態を「低確低入球率状態」と示し、高確率状態、且つ低入球率状態である遊技状態を「高確低入球率状態」と示す。また、低確率状態、且つ高入球率状態である遊技状態を「低確高入球率状態」と示し、高確率状態、且つ高入球率状態である遊技状態を「高確高入球率状態」と示す。
パチンコ遊技機10の電気的構成について説明する。
図8に示すように、パチンコ遊技機10は、主制御基板60、及び演出制御基板(副制御基板)70を機裏側に備える。主制御基板60は、主制御部の一例である。主制御基板60と、演出制御基板70とは、主制御基板60から演出制御基板70へと一方向に制御情報(制御コマンドなど)を出力可能となるように接続されている。主制御基板60は、所定の処理を実行し、演出制御基板70へ制御情報を出力する。演出制御基板70は、主制御基板60から入力した制御情報に基づいて所定の処理を実行する。
パチンコ遊技機10は、枠制御基板80、及び発射制御基板90を機裏側に備える。枠制御基板80及び発射制御基板90は、所定の制御を行う制御手段の一例を構成する。枠制御基板80は、供給装置40を少なくとも制御する供給制御部及び枠制御部の一例となり、発射制御基板90は、発射装置50を制御する発射制御部の一例となる。主制御基板60と、枠制御基板80とは、双方向に制御情報(電文など)を出力可能となるように接続されている。枠制御基板80と、発射制御基板90とは、双方向に制御情報を出力可能となるように接続されている。パチンコ遊技機10の枠制御基板80と、カードユニット100のCU制御基板105とは、パチンコ遊技機10に設けられた接続端子板98を介して、双方向に制御情報(電文など)を出力可能となるように接続されている。
パチンコ遊技機10は、電源ユニット99を機裏側に備える。電源ユニット99は、外部から電力供給を受けるとともに入力電圧を所定電圧に変換し、演出制御基板70及び枠制御基板80に供給する。枠制御基板80に供給された電力は、さらに主制御基板60及び発射制御基板90に対して供給される。電源ユニット99は、供給ソレノイド43、発射ソレノイド53、各種のセンサ、及びスイッチに対して電力を供給する。電源ユニット99は、メインスイッチ99aを備える。パチンコ遊技機10は、メインスイッチ99aをオン状態としたまま電源ユニット99に対して電力供給を開始するか、電力供給をした状態のままメインスイッチ99aをオン状態とすることによって、電源投入が可能に構成されている。
主制御基板60について説明する。
図9に示すように、主制御基板60は、CPU61と、ROM62と、RAM63と、乱数生成回路64と、を備える。CPU61は、主制御プログラムを実行することにより、遊技の進行に関する処理を実行する。ROM62は、主制御プログラム、各種の判定や抽選に用いる判定値、及びテーブルなどを記憶している。ROM62は、複数種類の変動パターンを記憶している。変動パターンは、特別ゲームが開始してから終了するまでの変動時間を特定可能な情報である。変動パターンは、特別ゲームの実行中に行う演出ゲームの変動内容(演出内容)を特定可能な情報である。変動パターンには、大当り変動パターンと、はずれ変動パターンと、がある。大当り変動パターンに基づく演出ゲームは、リーチ演出を経て最終的に大当りの図柄組合せが停止表示される変動内容となる。はずれ変動パターンに基づく演出ゲームは、リーチ演出を経て、又はリーチ演出を経ないで最終的にはずれの図柄組合せが停止表示される変動内容となる。
RAM63は、CPU61の処理結果に応じて書き換えられる様々な情報を記憶する。例えば、RAM63が記憶する情報は、フラグ、カウンタ、及びタイマなどである。RAM63は、情報を記憶可能な記憶手段の一例である。乱数生成回路64は、ハードウェア乱数を生成する。主制御基板60は、CPU61による乱数生成処理によって、ソフトウェア乱数を生成可能に構成されていてもよい。
主制御基板60は、第1始動センサD11、第2始動センサD12、カウントセンサD13、普通センサD14、及びゲートセンサD15と接続されている。CPU61は、各センサD11~D15が遊技球を検知して出力する検知信号を入力可能である。主制御基板60は、各表示装置21a~21fと接続されている。CPU61は、各表示装置21a~21fの表示内容を制御可能である。主制御基板60は、各ソレノイドSL1,SL2と接続されている。CPU61は、各ソレノイドSL1,SL2の動作を制御することにより、第2始動口24、及び大入賞口25の開放態様を制御可能である。
演出制御基板70について説明する。
演出制御基板70は、CPU71と、ROM72と、RAM73と、を備える。CPU71は、副制御プログラムを実行することにより、演出に関する処理を行う。ROM72は、副制御プログラム、及び所定の抽選に用いる判定値などを記憶している。ROM72は、表示演出に用いる表示演出データ、発光演出に用いる発光演出データ、及び音声演出に用いる音声演出データを記憶している。RAM73は、パチンコ遊技機10の動作中に書き換えられる様々な情報を記憶する。例えば、RAM73が記憶する情報は、フラグ、カウンタ、及びタイマなどである。演出制御基板70は、CPU71による乱数生成処理によって、ソフトウェア乱数を生成可能に構成されている。演出制御基板70は、乱数生成回路を備え、ハードウェア乱数を生成可能であってもよい。
演出制御基板70は、演出表示装置19と接続されている。CPU71は、演出表示装置19の画像表示領域19aにおける表示内容を制御可能である。演出制御基板70は、演出音声装置12と接続されている。CPU71は、演出音声装置12の出力内容を制御可能である。演出制御基板70は、演出発光装置14と接続されている。CPU71は、演出発光装置14の発光態様を制御可能である。
枠制御基板80について説明する。
図8に示すように、枠制御基板80は、CPU81、ROM82、RAM83、性能表示モニタ84、球抜きスイッチ85、エラー解除スイッチ86、遊技球クリアスイッチ87、RAMクリアスイッチ88、バックアップ電源89、バックアップ回路89a、及び発射許可回路89bを備える。CPU81は、枠制御プログラムを実行することにより、搭載枠11bの搭載部品の動作に関する処理を行う。ROM82は、枠制御プログラムなどを記憶している。RAM83は、パチンコ遊技機10の動作中に書き換えられる様々な情報を記憶する。例えば、RAM83が記憶する情報は、フラグ、カウンタ、及びタイマなどである。
性能表示モニタ84は、ベース値を表示する。ベース値は、通常遊技時における有効球の総数に対する通常遊技時における賞球の総数の割合(比率)を示す値である。通常遊技は、低確低入球率状態であって、且つ大当り遊技が行われていないときの遊技である。有効球は、発射装置50から発射された遊技球のうち、遊技領域20aへと到達した遊技球である。ベース値は、大当り遊技中ではないことを前提とし、「通常遊技時における獲得賞球総数÷通常遊技時における有効球総数×100」の計算式によって求められる。性能表示モニタ84は、遊技球のベースに関する情報を表示可能なベース表示手段の一例である。
球抜きスイッチ85は、パチンコ遊技機10の機内部に封入された遊技球を機外に排出可能とする球抜き状態を生起するに際して操作されるスイッチである。球抜きスイッチ85は、押込み操作がされると球抜き信号を出力する。球抜き信号は、球抜きスイッチ85が押込み操作されているとオン状態となり、押込み操作がされていないとオフ状態となる。球抜き信号は、CPU81に出力される。
エラー解除スイッチ86は、所定のエラーが発生した場合に、当該エラーの要因解除後にエラー状態を解除するに際に操作されるスイッチである。エラー解除スイッチ86は、押込み操作がされるとエラー解除信号を出力する。エラー解除信号は、エラー解除スイッチ86が押込み操作されているとオン状態となり、押込み操作がされていないとオフ状態となる。エラー解除信号は、CPU81に出力される。
遊技球クリアスイッチ87は、RAM83にデータとして記憶されている遊技球数(以下、遊技球数情報と示す)を0に初期化するに際して操作されるスイッチである。遊技球クリアスイッチ87は、押込み操作がされると遊技球クリア信号を出力する。遊技球クリア信号は、遊技球クリアスイッチ87が押込み操作されているとオン状態となり、押込み操作がされていないとオフ状態となる。遊技球クリア信号は、CPU81に出力される。
RAMクリアスイッチ88は、RAM63に記憶されているメイン情報、及びRAM83に記憶されている情報の初期化(以下、RAMクリアと示す)を行うに際して操作されるスイッチである。RAMクリアスイッチ88は、押込み操作がされるとRAMクリア信号を出力する。RAMクリア信号は、RAMクリアスイッチ88が押込み操作されているとオン状態となり、押込み操作がされていないとオフ状態となる。RAMクリア信号は、CPU81に出力されるとともに、主制御基板60(CPU61)に出力される。
バックアップ電源89は、外部からの電力供給が遮断された状態であっても、RAM83のほか、主制御基板60(RAM63)に対してバックアップ電力を供給する。RAM63,83は、バックアップ電源89からバックアップ電力の供給を受けることにより、電源断時におけるRAM63,83の記憶内容を電源断の後にも保持可能である。つまり、本実施形態のパチンコ遊技機10は、バックアップ機能を搭載している。これに限らず、RAM63,83の一方又は両方は、電力供給が停止されている状態であっても記憶内容を保持可能な不揮発性メモリであることにより、電源断がされた後にも記憶している情報を保持可能であってもよい。
バックアップ電源89は、一例として、外部からの電力供給がされているときに蓄電する蓄電装置であるとよい。バックアップ電源89は、外部からの電力供給が遮断された状態であっても、少なくとも発射制御基板90(発射制御回路91)及び発射ソレノイド53が所定の動作を完了するのに要する所定の時間(以下、供給時間と示す)が経過する迄の間、これらに対してバックアップ電力を供給する。なお、供給時間は、発射制御基板90及び発射ソレノイド53に供給するために蓄電した電力容量に関連し、当該電力の放出に要する時間であってもよく、所定の回路によって規定される時間であってもよい。
発射制御基板90(発射制御回路91)及び発射ソレノイド53は、バックアップ電源89からバックアップ電力の供給を受けることにより、外部からの電力供給が遮断された後にも所定の動作を実行することができる。詳しくは後述するが、発射装置50は、通常の発射動作(発射シーケンス)が行われている期間、及び特別な発射動作(空打ちシーケンス)が行われている期間のうち、少なくとも一方において、外部からの電力供給が遮断された場合であっても、外部からの電力供給が遮断された後に少なくとも1回の発射動作を可能に構成される。
RAM63に記憶可能であり、且つバックアップの対象となる情報には、メイン情報がある。メイン情報は、遊技の進行に関する情報である。一例として、メイン情報には、大当り状態(ラウンド遊技の回数を含む)に関する情報、遊技状態に関する情報、保留数に関する情報、普通図柄及び特別図柄に関する情報、及びエラー状態に関する情報がある。
RAM83に記憶可能であり、且つバックアップの対象となる情報には、遊技球数情報と、遊技情報と、性能情報と、がある。遊技球数情報は、遊技球数を特定可能な情報である。遊技情報は、遊技の進行状況に応じて主制御基板60から通知される情報である。一例として、遊技情報には、始動口入賞の発生、普通入賞の発生、大当り遊技における大入賞口入賞の発生、ゲート通過、特別図柄の確定(変動ゲームの終了)、大当りの発生、及び現在の遊技状態などを特定可能な情報がある。性能情報は、ベース値、及び当該ベース値の演算に係る情報である。ベース値の演算に係る情報には、通常遊技時における獲得賞球総数、及び通常遊技時における有効球総数がある。
バックアップ回路89aは、電源ユニット99から供給される電源電圧が規定電圧よりも低下すると電源断検出信号をCPU81に出力するとともに、主制御基板60のCPU61に出力する。発射許可回路89bは、発射制御基板90に対し、遊技球の発射を許容する発射許可状態にあることを特定可能な信号(以下、発射許可信号と示す)を出力するための回路である。発射許可信号の出力条件については後述する。
枠制御基板80は、計数スイッチ18と接続されている。CPU81は、計数スイッチ18が出力する計数信号を入力可能に構成されている。枠制御基板80は、電波センサD16、第1扉開放スイッチD17、第2扉開放スイッチD18、ファールセンサD21、供給入口センサD22、供給出口センサD23、入賞通路カウントセンサD25、非入賞通路カウントセンサD26、及び球通路球詰り監視センサD27と接続されている。また、枠制御基板80は、揚上入口センサD28、揚上出口センサD29、及びアウトセンサD30と接続されている。CPU81は、これらのセンサやスイッチが出力する電波信号、第1扉開放信号、第2扉開放信号、ファール信号、供給入口信号、供給出口信号、入賞通路信号、非入賞通路信号、球詰り検知信号、揚上入口信号、揚上出口信号、及びアウト信号を入力可能に構成されている。枠制御基板80は、これらの信号のうち、第1扉開放信号及び第2扉開放信号を主制御基板60に出力する。
枠制御基板80は、報知音声装置13と接続されている。CPU81は、報知音声装置13の出力内容を制御可能である。枠制御基板80は、遊技球数表示装置17と接続されている。CPU81は、遊技球数表示装置17の表示内容を制御可能に構成されている。
枠制御基板80は、メンテナンス装置35と接続されている。CPU81は、メンテナンス装置35のメンテナンス動作を制御可能に構成されている。枠制御基板80は、揚上機構36と接続されている。CPU81は、揚上機構36の揚上動作を制御可能に構成されている。枠制御基板80は、供給ソレノイド43と接続されている。CPU81は、供給ソレノイド43に対する通電を制御することにより、可動片42を変位させることができる。つまり、CPU81は、供給装置40による遊技球の供給動作を制御可能に構成されている。
上述のように、枠制御基板80は、カードユニット100と接続されている。CPU81は、CU制御基板105が送信する各種の電文を受信可能に構成されている。なお、カードユニット100が出力する接続信号は、接続端子板98からCPU81を経由せずに発射許可回路89bへと入力される。詳しくは後述するが、発射許可回路89bには、主制御基板60が出力する発射停止信号、及びCPU81が出力するエラー信号も入力される。
発射制御基板90は、発射装置50の動作を制御するための発射制御回路91を備える。発射制御回路91は、枠制御基板80から入力する制御信号、センサやスイッチから入力する信号に基づき、発射ソレノイド53に対して駆動信号を出力する。
発射制御基板90は、タッチセンサD01、発射停止スイッチD02、及びハンドルボリュームD03と接続されている。発射制御回路91は、これらのスイッチやセンサが出力するタッチ信号、ストップ信号、及びボリューム信号を入力可能に構成されている。発射制御基板90は、発射ソレノイド53と接続されている。発射制御回路91が発射ソレノイド53に対して駆動信号を出力することによって、発射ソレノイド53が駆動し、発射ハンマー52が打球位置52P1へ変位する。つまり、発射制御基板90は、発射装置50による遊技球の発射動作を制御可能に構成されている。
発射制御回路91は、動作判定部、パルスクロック生成部、タイミングパルス生成部、保持回路、及びソレノイド駆動部を有する。動作判定部は、枠制御基板80からの発射許可信号がオン状態であり、発射停止スイッチD02からのストップ信号がオフ状態であり、且つタッチセンサD01からのタッチ信号がオン状態であることで動作可能条件が成立している場合、動作信号をタイミングパルス生成部に出力する。動作判定部は、枠制御基板80からの発射許可信号がオン状態であること、発射停止スイッチD02からのストップ信号がオフ状態であること、且つタッチセンサD01からのタッチ信号がオン状態であることの一部又は全部が満たされていないことにより動作可能条件が成立していない場合、動作信号をタイミングパルス生成部に出力しない。
タイミングパルス生成部は、動作信号を入力している場合、当該動作信号と、パルスクロック生成部から入力するパルス信号とを合成し、発射タイミングパルスをソレノイド駆動部に出力する。ソレノイド駆動部は、発射タイミングパルスを入力する毎に、ハンドルボリュームD03から入力するボリューム信号(電圧)に応じた電圧の駆動電流を発射ソレノイド53へ供給(出力)する。これにより、発射ソレノイド53は、ハンドルレバー15aの回動操作量に応じた強度にて駆動し、遊技球が発射されることとなる。発射制御回路91は、所定のタイミングで減算基準信号を枠制御基板80へ出力する。保持回路は、動作可能条件が成立しているときに駆動電流が出力される場合、その時点におけるボリューム信号の電圧(電圧値)を保持する。発射制御回路91(ソレノイド駆動部)は、後述する空打ちシーケンスにおいて、ボリューム信号の電圧値ではなく、保持回路に保持(記憶)された電圧値に応じた電圧の駆動電流を発射ソレノイド53へ供給する。
また、保持回路は、ボリューム信号の電圧(電圧値)が保持される。保持回路は、情報を保持する情報保持手段の一例を構成する。保持回路が保持可能な電圧値は、発射ハンドル15(ハンドルレバー15a)の操作量に応じて生成される操作量情報の一例である。
枠制御基板80(CPU81)が実行する処理について説明する。
枠側電源断処理について説明する。
CPU81は、電源電圧が規定電圧よりも低下したときにバックアップ回路89aが出力する電源断検出信号を入力すると、電源断処理を実行する。電源断処理において、CPU81は、RAM83のチェックサム値を算出するとともに、算出したチェックサム値をRAM83に記憶させる。また、CPU81は、電源断処理が正常に実行されたことを特定可能な情報(以下、バックアップフラグと示す)をRAM83に記憶させる。その後、CPU81は、完全に電源断がされるまで待機する。電源断のときにRAM83に記憶されている各種情報は、前述したバックアップ機能によって電源断後にも保持される。
枠側電源投入処理について説明する。
CPU81は、電源投入に伴って、枠制御基板80への供給電圧がCPU81の動作に必要な電圧に達して起動すると、バックアップされている情報が正常であるか否かを判定する。具体的に、CPU81は、RAM83にバックアップフラグが記憶されているか否かを判定する。また、CPU81は、RAM83のチェックサム値を算出するとともに、算出したチェックサム値と、電源断処理にて算出したチェックサム値とが一致するか否かを判定する。CPU81は、バックアップフラグが記憶されており、且つチェックサム値が一致する場合に正常と判定する一方、そうではない場合に異常と判定する。バックアップされた情報が異常と判定した場合、CPU81は、RAM83に記憶されている遊技球数情報及び遊技情報を初期化する。このとき、CPU81は、性能情報を初期化しない。その後、CPU81は、後述する通信チェック処理へ移行する。
バックアップされた情報を正常と判定した場合、CPU81は、遊技球クリア信号がオン状態であるか否かに基づき、遊技球クリアスイッチ87が操作されているか否かを判定する。CPU81は、遊技球クリアスイッチ87が操作されているとき、RAM83に記憶されている遊技球数情報を初期化する。このとき、CPU81は、遊技情報及び性能情報を初期化しない。CPU81は、遊技球クリアスイッチ87が操作されていないとき、遊技球数情報を初期化しない。
CPU81は、RAMクリア信号がオン状態であるか否かに基づき、RAMクリアスイッチ88が操作されているか否かを判定する。CPU81は、RAMクリアスイッチ88が操作されているとき、RAM83に記憶されている遊技情報を初期化する。このとき、CPU81は、遊技球数情報及び性能情報を初期化しない。CPU81は、RAMクリアスイッチ88が操作されていないとき、遊技情報を初期化しない。本実施形態において、性能情報は、遊技球クリアスイッチ87の操作に応じて遊技球数情報が初期化される状況、及びRAMクリアスイッチ88の操作に応じて遊技情報が初期化される状況の何れであっても初期化されない。その後、CPU81は、通信チェック処理へ移行する。
通信チェック処理において、CPU81は、主制御基板60から起動時情報を受信したか否かを判定する。本実施形態の一例において、起動時情報は、遊技機設置情報である。一例として、遊技機設置情報は、遊技機の種類、CPU61のID番号、及びCPU61の製造者などを特定可能な情報である。CPU81は、起動時情報を正常に受信すると、応答情報を主制御基板60に送信する。その後、CPU81は、通信チェック処理を終了し、初期化又はバックアップされた遊技球数情報、遊技情報、及び性能情報に基づいて復帰し、後述する枠側通常処理を実行する。
CPU81は、電源投入に伴う起動後、所定時間(例えば3分)が経過するまでの間に起動時情報を受信しない場合、遊技機内通信異常エラーの発生を特定可能なフラグをRAM83に記憶させる。つまり、CPU81は、遊技機内通信異常を設定する。その後、CPU81は、起動時情報を受信するまで待機する。CPU81は、遊技機内通信異常を設定中、主制御基板60から起動時情報を正常に受信すると、遊技機内通信異常の設定を解除する。その後、CPU81は、通信チェック処理を終了し、初期化又はバックアップされた遊技球数情報、遊技情報、及び性能情報に基づいて復帰し、後述する枠側通常処理を実行する。これに限らず、CPU81は、起動時情報の受信と応答情報の送信が複数回(例えば3回)にわたって成功しなかったときに遊技機内通信異常を設定してもよい。この場合、複数回にわたって受信する起動時情報は、1回目を遊技機設置情報とし、2回目以降には、遊技機設置情報とは異なる情報(一例として遊技機情報)としてもよい。
枠制御基板80の枠側通常処理について説明する。
枠側通常処理のうち遊技情報記憶処理について説明する。
遊技情報生成処理は、主制御基板60から入力する遊技情報をRAM83に記憶する処理である。CPU81は、遊技状態を特定可能な遊技情報を受信すると、当該遊技情報をRAM83に記憶させる。CPU81は、RAM83に記憶された遊技情報を参照することにより、大当り遊技中であるか否か、高確率状態であるか否か、及び高入球率状態であるか否かを特定可能である。その他、CPU81は、各種の遊技情報を入力すると、入力した遊技情報を特定可能な情報を生成し、RAM83に記憶させる。また、CPU81は、遊技情報を受信すると、当該受信した遊技情報の一部又は全部を外部機器(ホールコンピューター等)に送信する。
枠側通常処理のうち性能情報生成処理について説明する。
性能情報生成処理は、性能情報としてベース値を演算する処理である。CPU81は、遊技状態フラグを参照し、大当り遊技中ではなく、且つ現在の遊技状態が低確低入球率状態であるか否か(つまり通常遊技時であるか否か)を判定する。通常遊技時である場合、CPU81は、始動口入賞の発生を特定可能な遊技情報(以下、始動口入賞情報と示す)、又は普通入賞の発生を特定可能な遊技情報(以下、普通入賞情報と示す)を受信すると、通常遊技時における獲得賞球総数を加算する。獲得賞球総数は、性能情報の1つとしてRAM83に記憶される。CPU81は、入賞通路信号又は非入賞通路信号を入力すると、通常遊技時における有効球総数を加算する。有効球総数は、性能情報の1つとしてRAM83に記憶される。CPU81は、「通常遊技時における獲得賞球総数÷通常遊技時における有効球総数×100」の計算式によって、ベース値を演算する。CPU81は、1分間毎に区切って獲得賞球総数及び有効球総数を計数し、ベース値の演算を1分毎に行ってもよい。CPU81は、有効球総数が規定数になる毎に区切って獲得賞球総数を計数し、ベース値の演算を有効球総数が規定数になる毎に行ってもよい。一例として、規定数は、60000球であってもよく、発射装置50によって1分当りに発射可能な最大個数(例えば100球)であってもよい。CPU81は、演算したベース値を特定可能な情報を表示するように、性能表示モニタ84を制御する。
CPU81は、性能情報として役物比率及び連続役物比率を演算し、性能表示モニタ84にて表示可能な構成であってもよい。役物比率は、全遊技状態を通した獲得賞球総数に占める、電動役物作動による獲得賞球総数の割合である。電動役物作動による獲得賞球総数とは、普通当り遊技(普通電動役物作動)による第2始動口24への入賞に伴う獲得賞球総数、及び大当り遊技(特別電動役物作動)による大入賞口25への入賞に伴う獲得賞球総数の和である。連続役物比率は、全遊技状態を通した獲得賞球総数に占める、連続役物作動による獲得賞球総数の割合である。連続役物作動による獲得賞球総数とは、大当り遊技による大入賞口25への入賞に伴う獲得賞球総数である。
枠側通常処理のうち遊技球数情報生成処理について説明する。
遊技球数情報生成処理は、遊技球数を生成(管理)するための処理である。CPU81は、主制御基板60から獲得賞球数情報を受信すると、当該獲得賞球数情報から特定可能な獲得賞球数を遊技球数に加算する。獲得賞球数情報は、所定の入賞口への入賞に伴い、賞球の付与条件が成立すると主制御基板60が出力する制御情報であって、当該入賞口に設定された賞球数を特定可能に構成されている。CPU81は、カードユニット100から付与情報を受信すると、付与情報に示される付与球数を遊技球数に加算する。CPU81は、供給入口センサD22が出力する供給入口信号に基づいて、1球の遊技球が発射装置50へ供給されたことを検知すると、遊技球数を減算する。一例として、CPU81は、供給入口信号がオフ状態→オン状態→オフ状態のように遷移するとき、オン状態となったときに1球の遊技球が供給されたことを検知する。これにより、電磁的に管理する遊技球数が実態のある遊技球に変換されるともいえる。
これに限らず、CPU81は、発射ソレノイド53の駆動により遊技球数を減算してもよく、打出通路20cにセンサを設け、当該センサにより発射装置50から発射された遊技球を検知したときに遊技球数を減算する構成であってもよい。本実施形態では、発射装置50による発射動作、及び、供給装置40による供給動作のうち少なくとも一方の動作に関連して、データとして記憶している遊技球の個数の一例として遊技球数が減算されるといえる。CPU81は、データとして記憶する遊技球数が所定数未満の個数の一例である「0」になると、遊技球数ゼロ信号を発射許可回路89bへ出力する。
CPU81は、計数可能状態であるとき、計数スイッチ18から計数信号を入力すると、計数球数を特定可能な計数情報をカードユニット100に送信する。CPU81は、計数情報から特定可能な計数球数を遊技球数から減算する。CPU81は、遊技球数を減算してから計数情報を出力してもよく、計数情報を出力してから遊技球数を減算してもよい。一例として、計数可能状態は、必要な電力が供給されており、且つ遊技球数が0ではない状態である。CPU81は、計数可能状態であるとき、計数ランプ18aが点灯するように、計数ランプ18aに内蔵された発光体を制御する。本実施形態の一例では、計数情報をカードユニット100へ送信することによって、遊技球数の管理をカードユニット100へ移す。
そして、CPU81は、加算又は減算した更新後の遊技球数を特定可能な情報を表示するように、遊技球数表示装置17を制御する。本実施形態の一例において、CPU81は、データとして記憶されている遊技球数を加算する手段、データとして記憶されている遊技球数を減算する手段、及びデータとして記憶されている遊技球数を表示させる手段として把握できる。詳しくは後述するが、遊技球数表示装置17は、枠制御基板80にて設定(検知)したエラー状態を特定可能な情報を表示可能な装置として兼用される。
枠側通常処理のうちエラー設定処理及びエラー報知処理について説明する。
図10に示すように、エラー設定処理は、エラー状態の発生を検知し、エラー状態を設定するための処理である。本実施形態の一例において、枠制御基板80(CPU81)が検知可能なエラー状態には、上述した遊技機内通信異常の他に、不正電波検知、供給入口センサ異常、排出球通路異常、循環球数過少、循環球数過多、入賞数異常、鉄球検知、及び扉開放が少なくともある。また、エラー報知処理は、エラー設定処理にてエラー状態を検出した場合に所定の報知態様にてエラーを報知させる処理である。なお、エラーの検出やエラーの報知に関する処理内容は後に詳しく説明する。
次に、主制御基板60(CPU61)が行う各種の処理について説明する。
メイン電源断処理について説明する。
CPU61は、枠制御基板80(バックアップ回路89a)から電源断検出信号を入力すると、電源断処理を実行する。電源断処理において、CPU61は、発射停止信号を枠制御基板80へ出力する。CPU61は、RAM63のチェックサム値を算出するとともに、算出したチェックサム値をRAM63に記憶させる。また、CPU61は、電源断処理が正常に実行されたことを特定可能な情報(以下、バックアップフラグと示す)をRAM63に記憶させる。その後、CPU61は、完全に電源断がされるまで待機する。電源断のときにRAM63に記憶されている各種情報は、前述したバックアップ機能によって電源断後にも保持される。
メイン電源投入処理について説明する。
CPU61は、電源投入に伴って、主制御基板60への供給電圧がCPU61の動作に必要な電圧に達すると、タイマ割り込み処理を禁止する。続けて、CPU61は、起動時情報を枠制御基板80へ送信する。CPU61は、起動時情報を送信してから応答情報を受信することなく所定時間(一例として108ms)が経過すると、起動時情報を枠制御基板80へ送信する。以降、CPU61は、枠制御基板80から応答情報を受信しない場合、所定時間が経過するごとに起動時情報を枠制御基板80へ送信する。なお、複数回にわたって送信する場合の起動時情報は、同じ情報であってもよく、送信回数を特定可能なように異なる情報であってもよい。CPU61は、起動時情報の送信回数が規定回数(一例として10回)に達すると遊技機内通信異常を検知し、遊技機内通信異常の発生を特定可能な情報をRAM63に記憶させる。つまり、CPU61は、遊技機内通信異常に関するエラーを設定する。CPU61は、遊技機内通信異常を設定すると、遊技機内通信異常に関するエラーの発生を特定可能な制御情報(以下、遊技機内通信異常コマンドと示す)を演出制御基板70へ出力する。その後、CPU61は、電源断がされるまで待機する。本実施形態において、枠制御基板80が遊技機内通信異常を検知するのに要する時間(一例として3分)は、主制御基板60が遊技機内通信異常を検知するのに要する時間(一例として1080ms)に比して長い。
CPU61は、起動時情報に対する応答情報を受信すると、通信回線が正常であると判定する。通信回線が正常である場合、CPU61は、バックアップされている情報が正常であるか否かを判定する。具体的に、CPU61は、RAM63にバックアップフラグが記憶されているか否かを判定する。また、CPU61は、RAM63のチェックサム値を算出するとともに、算出したチェックサム値と、電源断処理にて算出したチェックサム値とが一致するか否かを判定する。CPU61は、バックアップフラグが記憶されており、且つチェックサム値が一致する場合に正常と判定する一方、そうではない場合に異常と判定する。
バックアップされた情報が異常と判定した場合、CPU61は、RAM63に記憶されているメイン情報を初期化する。CPU61は、各種の情報が初期化されたことを特定可能な制御コマンド(以下、初期化コマンドと示す)を演出制御基板70へ出力する。その後、CPU61は、メイン電源投入処理を終了する。
バックアップされた情報を正常と判定した場合、CPU61は、枠制御基板80(RAMクリアスイッチ87)からRAMクリア信号を入力しているか否かを判定する。RAMクリア信号を入力している場合、CPU61は、RAM63に記憶されているメイン情報を初期化する。CPU61は、初期化コマンドを演出制御基板70へ出力する。一方、RAMクリア信号を入力していない場合、CPU61は、バックアップされたメイン情報に基づいて復帰することを特定可能な制御コマンド(以下、復電コマンドと示す)を演出制御基板70へ出力する。
そして、CPU61は、メイン電源投入処理を終了すると、タイマ割り込み処理を許可する。つまり、CPU61は、遊技を進行させるための処理(以下、メイン通常処理と示す)を実行可能となる。メイン通常処理は、メイン情報が初期化されておれば、初期化後のメイン情報に基づいて実行される。つまり、CPU61は、第1特別保留数及び第2特別保留数が何れも零であり、第1特別ゲーム及び第2特別ゲームが何れも実行中ではなく、大当り遊技も付与されていない状態に基づいて、メイン通常処理に含まれる各種処理を実行する。メイン通常処理は、メイン情報が初期化されていなければ、バックアップされているメイン情報に基づいて実行される。つまり、CPU61は、第1特別保留数及び第2特別保留数が電源断時の保留数であり、第1特別ゲーム及び第2特別ゲームの何れかが実行されておれば当該特別ゲームを実行させる処理へ復帰し、大当り遊技を付与中であれば、大当り遊技を付与する処理へ復帰する。
CPU61は、所定の制御周期(例えば4ms)毎に行うタイマ割り込み処理として、特別図柄入力処理、及び特別図柄開始処理などを実行する。特別図柄入力処理、及び特別図柄開始処理は、何れもメイン通常処理である。
特別図柄入力処理について説明する。
CPU61は、第1始動センサD11から検知信号を入力したか否かに基づいて、遊技球が第1始動口23へ入球したか否かを判定する。遊技球が第1始動口23へ入球した場合、CPU61は、RAM63に記憶されている第1保留数が上限数(本実施形態では4)未満であるか否かを判定する。第1保留数が上限数未満である場合、CPU61は、第1保留数を1加算して更新する。続けて、CPU61は、更新後の第1保留数を特定可能な情報を表示するように、第1保留表示装置21cを制御する。本実施形態において、第1特別ゲームの保留条件は、第1保留数が上限数未満であるとき、遊技球が第1始動センサD11によって検知されると成立する。
次に、CPU61は、乱数生成回路64が生成する乱数を取得し、当該取得した乱数に基づく乱数情報をRAM63に記憶させる。例えば、乱数は、特別図柄の当り抽選に用いる当り乱数、当り図柄の決定に用いる当り図柄乱数、及び変動パターンの決定に用いる変動パターン乱数などである。CPU61は、第1特別ゲーム用の乱数情報であること、及び乱数情報の記憶順序を特定可能となるように、乱数情報を記憶させる。乱数情報は、取得した乱数そのものであってもよく、乱数を所定の手法により加工した情報であってもよい。パチンコ遊技機10は、第1特別ゲームに用いる乱数情報をRAM63に記憶させておくことで、当該第1特別ゲームの開始条件が成立するまで、その実行を保留することができる。
CPU61は、第1特別ゲーム用の乱数情報をRAM63に記憶させた場合、遊技球が第1始動口23へ入球していない場合、及び第1保留数が上限数未満ではない場合、第2始動センサD12から検知信号を入力したか否かに基づいて、遊技球が第2始動口24へ入球したか否かを判定する。遊技球が第2始動口24へ入球している場合、CPU61は、RAM63に記憶されている第2保留数が上限数(本実施形態では4)未満であるか否かを判定する。第2保留数が上限数未満である場合、CPU61は、第2保留数を1加算して更新する。CPU61は、加算後の第2保留数を特定可能な情報を表示するように、第2保留表示装置21dを制御する。本実施形態において、第2特別ゲームの保留条件は、第2保留数が上限数未満であるとき、遊技球が第2始動センサD12によって検知されると成立する。
次に、CPU61は、主制御基板60内で生成している乱数を取得し、当該取得した乱数に基づく乱数情報をRAM63に記憶させる。CPU61は、第2特別ゲームに用いる乱数情報であること、及び乱数情報の記憶順序を特定可能となるように、乱数情報を記憶させる。パチンコ遊技機10は、第2特別ゲームに用いる乱数情報をRAM63に記憶させておくことで、当該第2特別ゲームの開始条件が成立するまで、その実行を保留することができる。第2特別ゲーム用の乱数情報をRAM63に記憶させた場合、遊技球が第2始動口24へ入球していない場合、及び第2保留数が上限数未満ではない場合、CPU61は、特別図柄入力処理を終了する。
特別図柄開始処理について説明する。
最初に、CPU61は、特別ゲームの開始条件が成立しているか否かを判定する。CPU61は、大当り遊技中ではなく、且つ特別ゲームの実行中ではない場合に肯定判定する一方、大当り遊技中又は特別ゲームの実行中である場合に否定判定する。特別ゲームの開始条件が成立していない場合、CPU61は、特別図柄開始処理を終了する。特別ゲームの開始条件が成立している場合、CPU61は、第2保留数が零よりも大きいか否かを判定する。第2保留数が零である場合、CPU61は、第1保留数が零よりも大きいか否かを判定する。第1保留数が零である場合、CPU61は、特別図柄開始処理を終了する。
第1保留数が零よりも大きい場合、CPU61は、第1特別ゲームを実行させる処理を行う。具体的に、CPU61は、第1保留数を1減算して更新する。CPU61は、減算後の第1保留数を特定可能な情報を表示するように、第1保留表示装置21cを制御する。次に、CPU61は、第1特別ゲーム用の乱数情報のうち、最先に記憶された乱数情報をRAM63から取得する。続けて、CPU61は、取得した乱数情報から特定される当り乱数を用いて、特別図柄の当り抽選として、大当りに当選とするか否かの大当り抽選(大当り判定)を行う。CPU61は、現在の確率状態(確変機能の作動の有無)に応じた大当り確率にて大当り抽選を行う。
大当りに当選した場合、CPU61は、大当り変動処理を行う。大当り変動処理において、CPU61は、乱数情報から特定可能な当り図柄乱数を用いて、大当り図柄抽選を行い、第1特別ゲームにて停止表示させる大当り図柄を決定する。CPU61は、乱数情報から特定可能な変動パターン乱数を用いて変動パターン決定抽選を行い、複数ある大当り変動パターンの中から変動パターンを決定する。その後、CPU61は、特別図柄開始処理を終了する。
大当りに当選しなかった場合、CPU61は、はずれ変動処理を行う。はずれ変動処理において、CPU61は、第1特別ゲームにて停止表示させるはずれ図柄を決定する。CPU61は、乱数情報から特定可能な変動パターン乱数を用いて変動パターン決定抽選を行い、複数のはずれ変動パターンの中から変動パターンを決定する。その後、CPU61は、特別図柄開始処理を終了する。
第2保留数が零よりも大きい場合、CPU61は、第2特別ゲームを実行させるための処理を行う。第2特別ゲームを実行させるための処理は、第1特別ゲームを実行させるための処理について、「第1特別ゲーム」を「第2特別ゲーム」に、「第1保留数」を「第2保留数」に、それぞれ読み替えた処理であるため、その詳細な説明を省略する。つまり、CPU61は、第2保留数の減算、大当り抽選、及び大当り抽選の結果に基づく何れかの変動処理を行った後、特別図柄開始処理を終了する。
CPU61は、大当り変動処理、及びはずれ変動処理において、変動開始コマンド、及び特別図柄コマンドを演出制御基板70へ出力する。変動開始コマンドは、各変動処理にて決定した変動パターンと、変動ゲームの開始と、を特定可能な制御コマンドである。特別図柄コマンドは、各変動処理において決定した特別図柄(大当り図柄又ははずれ図柄)を特定可能な制御コマンドである。なお、変動開始コマンド、及び特別図柄コマンドは、第1特別ゲームの変動処理が実行されたときと、第2特別ゲームの変動処理が実行されたときとで異なる制御コマンドである。
特別図柄開始処理を終了すると、CPU61は、特別図柄開始処理とは別の処理によって、第1特別ゲーム又は第2特別ゲームを実行させる。具体的に、CPU61は、第1特別ゲームを実行させる場合、所定の図柄の変動表示を開始するように、第1特別図柄表示装置21aを制御する。CPU61は、変動パターンに定められた変動時間を計測する。CPU61は、変動パターンに定められた変動時間が経過すると、特別図柄開始処理において決定した特別図柄を停止表示するように、第1特別図柄表示装置21aを制御する。また、CPU61は、変動パターンに定められた変動時間が経過すると、変動ゲームの終了を特定可能な制御コマンド(以下、変動終了コマンドと示す)を演出制御基板70に出力する。
一方、CPU61は、第2特別ゲームを実行させる場合、所定の図柄の変動表示を開始するように、第2特別図柄表示装置21bを制御する。CPU61は、変動パターンに定められた変動時間を計測する。CPU61は、変動パターンに定められた変動時間が経過すると、特別図柄開始処理において決定した特別図柄を停止表示するように、第2特別図柄表示装置21bを制御する。また、CPU61は、変動パターンに定められた変動時間が経過すると、変動終了コマンドを演出制御基板70に出力する。以上のように、パチンコ遊技機10は、CPU61が特別図柄入力処理及び特別図柄開始処理を実行することによって、始動口への遊技球の入球を契機に当り抽選を行い、当該当り抽選の結果に基づき図柄変動ゲームを実行可能に構成されている。
大当り遊技処理について説明する。
大当り遊技処理は、大当り遊技を付与するための処理である。CPU61は、特別ゲームにおいて大当り図柄を停止表示させると、大当りの特別ゲームの終了後に大当り遊技処理を実行する。CPU61は、特別図柄開始処理にて決定した大当り図柄(即ち、大当りの種類)に基づいて、大当り遊技の種類を特定する。CPU61は、特定した種類の大当り遊技を付与する。
最初に、CPU61は、オープニング時間の開始を特定可能な制御コマンド(以下、オープニングコマンドと示す)を演出制御基板70に出力する。CPU61は、オープニング時間が経過すると、ラウンド遊技を実行させるための処理を行う。即ち、CPU61は、特定した大当り遊技用の開放制御データを用いて特別ソレノイドSL2を制御し、大入賞口25を開状態とする。CPU61は、カウントセンサD13による遊技球の検知数が上述の上限個数に達するか、又は上述の上限時間が経過すると、大入賞口25を閉状態とするように特別ソレノイドSL2を制御することで、ラウンド遊技を終了させる。CPU61は、このようなラウンド遊技を実行させるための処理を、大当り遊技に定められた上限回数のラウンド遊技が終了するまで繰り返し行う。CPU61は、ラウンド遊技を開始する毎に、ラウンド遊技の開始を特定可能な制御コマンド(以下、ラウンドコマンドと示す)を演出制御基板70に出力する。CPU61は、最終回のラウンド遊技が終了すると、エンディング時間の開始を特定可能な制御コマンド(以下、エンディング開始コマンドと示す)を演出制御基板70に出力する。CPU61は、エンディング時間が経過すると、大当り遊技を終了する。CPU61は、エンディング時間の経過を特定可能な制御コマンド(以下、エンディング終了コマンド)を演出制御基板70に出力する。
状態移行処理について説明する。
CPU61は、大当り図柄のうち第1大当り図柄に基づく大当り遊技を終了すると、RAM63に高確フラグをセットする。即ち、CPU61は、高確率状態に制御する。なお、CPU61は、第1大当り図柄に基づく大当り遊技の終了後、次回の大当り遊技が付与されるまで、確変フラグを消去しない。一方、CPU61は、第1大当り図柄とは異なる第2大当り図柄に基づく大当り遊技を終了すると、RAM63に高確フラグをセットしない。即ち、CPU61は、低確率状態に制御する。CPU61は、大当り遊技を開始させる場合であって、高確フラグがセットされているとき、当該高確フラグを消去する。即ち、CPU61は、大当り遊技中、低確率状態に制御する。
CPU61は、第1大当り図柄、又は第2大当り図柄に基づく大当り遊技が終了すると、RAM63に作動フラグをセットする。即ち、CPU61は、高入球率状態に制御する。CPU61は、第2大当り図柄に基づく大当り遊技の終了後、特別ゲームを開始させる毎に、RAM63に記憶されている実行カウンタの値を更新することによって、大当り遊技の終了後における特別ゲームの実行回数を計数する。CPU61は、大当り遊技の終了後における特別ゲームの実行回数が作動回数に達した特別ゲームが終了すると、RAM63に記憶されている作動フラグを消去する。即ち、CPU61は、第2大当り図柄に基づく大当り遊技の終了後、作動回数目の特別ゲームが終了すると低入球率状態に制御する。なお、CPU61は、第1大当り図柄に基づく大当り遊技の終了後、次回の大当り遊技が付与されるまで、作動フラグを消去しない。CPU61は、大当り遊技を開始させる場合であって、作動フラグがセットされているとき、当該作動フラグを消去する。即ち、CPU61は、大当り遊技中、低入球率状態に制御する。
演出制御基板70(CPU71)が実行する各種の処理について説明する。
演出復電処理について説明する。
CPU71は、初期化コマンドを入力すると、演出装置群ESを構成する演出装置の一部又は全部を制御し、RAMクリア報知(初期化報知)を実行させる。一例として、RAMクリア報知は、「RAMクリア」の文字列を読み上げる音声など、RAMクリアの実行を特定可能な音声を演出音声装置12から出力する態様にて実行される。一例として、RAMクリア報知は、RAMクリア専用の発光パターンにて演出発光装置14を発光させる態様にて実行される。一例として、RAMクリア報知は、「RAMクリア」の文字列など、RAMクリアの実行を特定可能な画像を演出表示装置19に表示する態様にて実行される。CPU71は、RAMクリア報知を開始してから所定時間が経過すると、RAMクリア報知を終了するように演出装置群ESを制御する。また、CPU71は、初期化コマンドを入力すると、所定の背景画像、及び所定の演出図柄の組合せを表示するように演出表示装置19を制御する。
CPU71は、復電コマンドを入力すると、演出装置群ESを構成する演出装置の一部又は全部を制御し、復電報知を実行させる。一例として、復電報知は、「復電中です」の文字列を読み上げる音声など、RAMクリアの実行を特定可能な音声を演出音声装置12から出力する態様にて実行される。一例として、復電報知は、復電専用の発光パターンにて演出発光装置14を発光させる態様にて実行される。一例として、復電報知は、「復電中です」の文字列など、RAMクリアの実行を特定可能な画像を演出表示装置19に表示する態様にて実行される。CPU71は、復電報知を開始してから所定時間が経過すると、復電報知を終了するように演出装置群ESを制御する。これに限らず、CPU71は、復電報知を実行させない構成であってもよい。また、CPU71は、復電コマンドを入力すると、所定の背景画像、及び所定の演出図柄の組合せとは異なる演出図柄の組合せを表示するように演出表示装置19を制御する。
大当り演出処理について説明する。
大当り演出処理は、大当り遊技中の演出(以下、大当り演出と示す)を実行させるための処理である。CPU71は、オープニングコマンドを受信すると、オープニング演出を実行するように演出装置群ESを制御する。CPU71は、ラウンドコマンドを受信すると、ラウンド演出を実行するように演出装置群ESを制御する。CPU71は、エンディング開始コマンドを受信すると、エンディング演出を実行するように演出装置群ESを制御する。CPU71は、エンディング終了コマンドを受信すると、エンディング演出を終了するように演出装置群ESを制御する。
演出ゲーム処理について説明する。
演出ゲーム処理は、特別ゲームの実行中、当該特別ゲームに関連した表示演出の1つとして、演出ゲームを実行させるための処理である。CPU71は、変動開始コマンド及び特別図柄コマンドを受信すると、演出ゲームを実行するように演出表示装置19を含む演出装置群ESを制御する。具体的に、CPU71は、変動開始コマンドを受信すると、当該コマンドから特定可能な変動パターンに基づいて、演出ゲームの演出パターン(演出内容)を選択する。また、CPU71は、特別図柄コマンドを受信すると、当該コマンドから特定可能な特別図柄に基づいて、演出ゲームにて停止表示させる図柄組合せを決定する。CPU71は、特別図柄コマンドから大当り図柄を特定可能である場合、大当りの図柄組合せを決定する。CPU71は、特別図柄コマンドからはずれ図柄を特定可能である場合、はずれの図柄組合せを決定する。なお、CPU71は、リーチ演出を実行させる場合、リーチを含むはずれの図柄組合せを決定する。
そして、CPU71は、変動開始コマンドの入力を契機として、各図柄列において演出図柄の変動表示を開始するように、演出表示装置19を制御する。即ち、CPU71は、演出ゲームを開始させる。また、CPU71は、演出ゲームに関連して所定の演出を実行させる場合、当該演出を実行するように、演出表示装置19を含む演出装置群ESを制御する。CPU71は、演出ゲームを開始させてから、所定のタイミングが到来すると、図柄組合せを仮で停止表示させるとともに、変動終了コマンドの入力を契機に、図柄組合せを確定で停止表示させる。なお、CPU71は、変動終了コマンドとは関係なく、変動パターンに定めた変動時間の経過を契機に図柄組合せを確定で停止表示させてもよい。この場合、変動終了コマンドは省略してもよい。
次に、枠制御基板80のCPU81が、各種センサやスイッチの信号を入力することによって行う処理を説明する。
CPU81は、供給入口センサD22が出力する供給入口信号に基づき、1球の遊技球が発射装置50へ供給されたことを検知すると、RAM83に記憶されている循環球数を減算する。循環球数は、パチンコ遊技機10に封入された規定数を初期球数とする。一例として、CPU81は、供給入口信号がオン状態→オフ状態→オン状態のように遷移すると、1球の遊技球が供給されたことを検知する。
これに限らず、CPU81は、発射ソレノイド53の駆動により遊技球数を減算してもよく、打出通路20cにセンサを設け、当該センサにより発射装置50から発射された遊技球を検知したときに遊技球数を減算する構成であってもよい。本実施形態では、発射装置50による発射動作、及び、供給装置40による供給動作のうち少なくとも一方の動作に関連して、データとして記憶している遊技球の個数の一例として循環球数が減算されるといえる。
CPU81は、入賞通路カウントセンサD25が出力する入賞通路信号、非入賞通路カウントセンサD26が出力する非入賞通路信号に基づいて、1球の遊技球が供給装置40へ戻ったことを検知すると、RAM83に記憶されている循環球数を加算する。一例として、CPU81は、入賞通路信号又は非入賞通路信号がオン状態→オフ状態→オン状態のように遷移すると、1球の遊技球が戻ったことを検知する。つまり、パチンコ遊技機10は、遊技に使用された遊技球が検知されると、データとして記憶している遊技球の個数が加算される構成である。
CPU81は、ファールセンサD21が出力するファール信号に基づき、1球の遊技球が供給装置40へ戻ったことを検知すると、RAM83に記憶されている循環球数を加算する。一例として、CPU81は、ファール信号がオン状態→オフ状態→オン状態のように遷移すると、1球の遊技球が戻ったことを検知する。つまり、パチンコ遊技機10は、発射装置50による発射動作が行われても遊技領域20aに到達しなかった遊技球(ファール球)が検知されると、データとして記憶している遊技球の個数が加算される構成である。
以下、図10に示すエラー状態について説明する。
不正電波検知のエラー状態は、異常な電波を検知したことをエラー検知条件とする。CPU81は、電波センサD16から電波検知信号を入力すると、不正電波検知のエラー状態の発生を特定可能なフラグをRAM83に記憶させる。不正電波検知のエラー状態は、電波を用いた不正(ゴト行為)が行われている可能性が高い状態である。CPU81は、不正電波検知のエラー状態を設定すると、電源復帰を解除条件として不正電波検知のエラー状態の設定を解除する。なお、電源投入後、不正電波検知のエラー状態が再び検知されれば、電源投入後にも不正電波検知のエラー状態が設定される。不正電波検知のエラー状態が発生しているか否かは、球抜きスイッチ85の操作によってパチンコ遊技機10の機内部に封入された遊技球を機外に排出可能とする球抜き状態中以外を確認区間として検出される。
遊技機内通信異常のエラー状態は、主制御基板60と枠制御基板80との通信が正常に行われないことをエラー検知条件とする。CPU61とCPU81は、遊技機内通信異常のエラー状態を設定すると、通信が正常に行われることを解除条件として遊技機内通信異常のエラー状態の設定を解除する。遊技機内通信異常のエラー状態が発生しているか否かは、電源が投入されてから電源が遮断されるまでを確認区間として常時検出される。
供給入口センサ異常のエラー状態は、前回の発射からセンサの入力信号である供給入口信号が変化することなく次の遊技球が発射されたことをエラー検知条件とする。CPU81は、供給入口センサD22が出力する供給入口信号に基づいて、供給装置40の入口(受入通路41a)に球詰りが発生していることを検知すると、供給入口センサ異常のエラー状態の発生を特定可能なフラグをRAM83に記憶させる。一例として、CPU81は、供給ソレノイド43の駆動に伴い、供給入口信号がオン状態となってからオフ状態とならずに規定時間が経過すると、供給入口センサ異常のエラー状態を設定する。CPU81は、供給入口センサ異常のエラー状態を設定すると、エラー解除スイッチ86が操作されることを解除条件として供給入口センサ異常のエラー状態の設定を解除する。なお、供給入口センサ異常のエラー状態の設定が解除されても、受入通路41aにおける球詰りが解消されていなければ、所定時間の経過後に供給入口センサ異常のエラー状態が再設定される。供給入口センサ異常のエラー状態が発生しているか否かは、球抜き状態中以外を確認区間として検出される。なお、CPU81は、供給出口センサD23からの供給出口信号を入力することにより、遊技球の発射を検知できる。
排出球通路異常のエラー状態は、アウトセンサD30、球通路球詰り監視センサD27、及び揚上入口センサD28のうち、アウトセンサD30のみオン状態を検知する状態が所定時間(例えば5秒)以上続いたことをエラー検知条件とする。このようなエラー検知条件が成立する場合は、アウトセンサD20付近で球詰りが発生している可能性が高いことが想定される。排出球通路異常の対象である排出球通路は、回収通路30が相当する。CPU81は、エラー検知条件が成立すると、排出球通路異常のエラー状態の発生を特定可能なフラグをRAM83に記憶させる。CPU81は、排出球通路異常のエラー状態を設定すると、エラー解除スイッチ86が操作されることを解除条件として排出球通路異常のエラー状態の設定を解除する。なお、排出球通路異常のエラー状態の設定が解除されても、回収通路30における球詰りが解消されていなければ、所定時間の経過後に排出球通路異常のエラー状態が再設定される。排出球通路異常のエラー状態が発生しているか否かは、球抜き状態中以外を確認区間として検出される。
循環球数過少のエラー状態は、遊技していない状態で、アウトセンサD30と球通路球詰り監視センサD27のオフ状態を検知する状態が所定時間(例えば30秒)以上続いたことをエラー検知条件とする。この実施形態のパチンコ遊技機10は、図4に示すように、遊技盤20から排出された遊技球を揚上機構36へ移送する通路(回収通路30と供給通路34)に隣接して、かつ揚上機構36に近い側から順に揚上入口センサD28、球通路球詰り監視センサD27,アウトセンサD30が設けられている。また、パチンコ遊技機10には、予め初期球数分の遊技球が封入されている。このため、遊技していない状態においては、発射装置50から遊技球が発射されていないことにより、回収通路30及び供給通路34にも遊技球が滞留する。このことから、循環球数過少のエラー状態のエラー検知条件が成立する場合は、遊技していない状態において揚上入口センサD28のみが遊技球を検知していることになる。つまり、揚上機構36へ至る通路に滞留している遊技球が少ないことが想定される。この実施形態において遊技していない状態は、タッチセンサD01からのタッチ信号が出力されていないことによって検知可能である。
CPU81は、エラー検知条件が成立すると、循環球数過少のエラー状態の発生を特定可能なフラグをRAM83に記憶させる。CPU81は、循環球数過少のエラー状態を設定すると、遊技している状態が所定時間(例えば20秒)以上続いた、又はアウトセンサD30及び球通路球詰り監視センサD27のうち1つ以上のセンサのオン状態が所定時間(例えば2秒)以上続いたことを解除条件として循環球数過少のエラー状態の設定を解除する。循環球数過少のエラー状態が発生しているか否かは、球抜き状態中以外を確認区間として検知される。
なお、循環球数過少のエラー状態は、循環球数が初期球数よりも少ない第1循環球数未満になることであるとも言える。つまり、CPU81は、循環球数過少のエラー状態の発生を特定可能なフラグをRAM83に記憶することで循環球数過少のエラー状態を設定する。そして、CPU81は、循環球数が第1循環球数以上になると、循環球数過少のエラー状態の設定を解除する。
循環球過多のエラー状態は、アウトセンサD30、球通路球詰り監視センサD27、及び揚上入口センサD28の全てが、オン状態を検知する状態が所定時間(例えば30秒)以上続いたことをエラー検知条件とする。循環球過多のエラー状態は、循環球過少のエラー状態とは反対に、揚上機構36へ至る通路に滞留している遊技球が多いことが想定される。
CPU81は、エラー検知条件が成立すると、循環球数過多のエラー状態の発生を特定可能なフラグをRAM83に記憶させる。CPU81は、循環球数過多のエラー状態を設定すると、アウトセンサD30、球通路球詰り監視センサD27、及び揚上入口センサD28のうち、1つ以上のセンサのオン状態が所定時間(例えば2秒)以上続いたことを解除条件として循環球数過多のエラー状態の設定を解除する。循環球数過多のエラー状態が発生しているか否かは、球抜き状態中以外を確認区間として検知される。
なお、循環球数過多のエラー状態は、循環球数が初期球数よりも多い第2循環球数以上になることであるとも言える。つまり、CPU81は、循環球数過多のエラー状態の発生を特定可能なフラグをRAM83に記憶することで循環球数過多のエラー状態を設定する。そして、CPU81は、循環球数が第2循環球数未満になると、循環球数過多のエラー状態の設定を解除する。
入賞球数異常のエラー状態は、発射球数からファール球とアウト球の数を減算した差数がエラー状態と判断するための数(例えば±100球)を越えたことをエラー検知条件とする。CPU81は、エラー検知条件が成立すると、入賞球数異常のエラー状態の発生を特定可能なフラグをRAM83に記憶させる。CPU81は、入賞球数異常のエラー状態を設定すると、電源復帰を解除条件として入賞球数異常のエラー状態の設定を解除する。入賞球数異常のエラー状態が発生しているか否かは、球抜き状態中以外を確認区間として検知される。
入賞球数異常のエラー状態が発生しているか否かを検知するのに際して、CPU81は、供給出口センサD23が出力する供給出口信号と、ファールセンサD21が出力するファール信号と、アウトセンサD30が出力するアウト信号と、を用いる。具体的に言えば、CPU81は、供給出口センサD23が出力する供給出口信号に基づき、1球の遊技球が発射装置50から発射されたことを検知すると、RAM83に記憶されている発射球数を1加算する。一例として、CPU81は、供給出口信号がオン状態→オフ状態→オン状態のように遷移すると、1球の遊技球が供給されたことを検知する。また、CPU81は、ファールセンサD21が出力するファール信号に基づき、1球の遊技球が遊技領域20aへ打ち出されずにファール通路20fへ戻ったことを検知すると、RAM83に記憶されている発射球数を1減算する。また、CPU81は、アウトセンサD30が出力するアウト信号に基づき、1球の遊技球が遊技領域20aへ打ち出された後、遊技盤20から排出されたことを検知すると、RAM83に記憶されている発射球数を1減算する。一例として、CPU81は、アウト信号がオン状態→オフ状態→オン状態のように遷移すると、1球の遊技球が排出されたことを検知する。遊技盤20から排出された遊技球には、入賞通路31を通過してアウトセンサD30で検知される遊技球と、非入賞通路32を通過してアウトセンサD30で検知される遊技球とがある。これらの遊技球は何れも遊技に使用された遊技球である。一方で、ファール通路20fを通過してファールセンサD21で検知される遊技球は、遊技領域20aへ打ち出されなかった遊技球、つまり遊技に使用されなかった遊技球である。以上を踏まえると、この実施形態においてCPU81は、供給出口信号に基づいて発射球数を加算する一方で、ファール信号に基づいて発射球数を減算することにより、遊技領域20aに打ち出された遊技球を検出する第1検出手段として機能する。また、この実施形態においてCPU81は、アウト信号に基づいて発射球数を減算することにより、遊技に使用された遊技球を検出する第2検出手段として機能する。
CPU81は、供給出口センサD23、ファールセンサD21及びアウトセンサD30から出力される各信号を加減算した結果の差数、つまりRAM83に記憶されている発射球数がエラー状態と判断するための数を越えると、入賞球数異常のエラー状態が発生していることを検出する。つまり、CPU81は、上述した第1検出手段及び第2検出手段として機能することにより、これらの各検出結果を計数条件として所定数である差数を計数する計数手段としても機能する。そして、この実施形態においては、後に説明するが、エラー状態であることが検出されるとその旨を示すエラー報知が実行される。このため、入賞球数異常については、発射球数がエラー状態と判断するための数を超えることがエラー報知条件を満たすことに相当し、そのエラー報知条件には差数がエラー報知条件を満たす態様、つまりエラー状態と判断するための数を超える数で計数されることを含む。
発射装置50から発射された遊技球は、遊技領域20aへ打ち出されると、遊技領域20aを流下案内されつつ、何れかの入賞口へ入球するか、又はアウト口29へ入球することになり、その入球後は入賞通路31又は非入賞通路32を通過してアウトセンサD30で検知される。つまり、アウトセンサD30で検知される遊技球は、遊技に使用された遊技球である。また、発射装置50から発射されたが、遊技領域20aへ打ち出されなかった遊技球は、ファール通路20fを通過してファールセンサD21で検知される。このように発射装置50から発射された遊技球は、発射してから所定の時間が経過すれば、アウトセンサD30又はファールセンサD21の何れかで検知される。このため、仮に1球の遊技球を発射する場合を考えると、供給出口センサD23の供給出口信号に基づき発射球数が1加算されて「1」となり、その後、遊技球が戻ると、アウトセンサD30のアウト信号又はファールセンサD21のファール信号の何れかに基づき発射球数が1減算されて「0」となる。つまり、発射装置50から発射された遊技球は、不定な時間ではあるが、発射されてから所定の時間が経過すれば戻ってくる。
しかし、遊技球が発射されてから戻るまでの経路において何らかの不具合が生じると、遊技球は、パチンコ遊技機10の設計段階において想定される時間を経過しても戻らないことが生じ得る。このため、上述した入賞球数異常であるかの判断は、発射された遊技球が戻ってきているかを判断しているとも言える。特に、この実施形態における入賞球数異常は、遊技領域20aにおいて遊技球が堆積しているかを判断する。遊技領域20aにおいて遊技球が堆積する現象は、遊技領域20aを流下している遊技球が何らかの要因によって盤面に配設されている遊技釘や風車などの遊技部品に引っ掛かり遊技球が動かなくなる現象である。この現象は、遊技部品に引っ掛かっている遊技球に対して遊技領域20aを流下する他の遊技球が衝突したときの衝撃によって自然解消される場合もあるが、多くの場合、その衝撃によっては解消できずに複数の遊技球が重なり合って盤面に堆積することになる。この現象は、複数の遊技球が重なる姿が果物の「ぶどう」に似ていることから「ぶどう」とも呼ばれている。このように遊技領域20aに遊技球が堆積する場合、遊技領域20aに打ち出された遊技球の全部又は一部は遊技球が重なって動かなくなる状態が解消されるまで戻らないことになる。そして、遊技球が堆積した部分、つまり複数の遊技球が重なって動かない部分は、遊技領域20aにおける遊技球の流下経路を阻害する要因となり得る。このため、遊技球が堆積した部分の位置によっては、入賞口へ遊技球を入球させるための補助機能を担うことになり、好ましいとは言えない。このため、パチンコ遊技機10においては、遊技球が堆積している場合、その状態を発見して解消させることが好ましい。この実施形態において入賞球数異常は、パチンコ遊技機10における複数のエラーのうち、遊技領域20aにおいて遊技球が堆積している可能性があることを示す堆積エラーに相当する。
鉄球検知のエラー状態は、球通路球詰り監視センサD27と揚上入口センサD28のうち、球通路球詰り監視センサD27のみオン状態を検知する状態が所定時間(例えば10秒)続いたことをエラー検知条件とする。球通路球詰り監視センサD27による球詰り検知信号のオン状態が継続する状態は、供給通路34に設けた鉄球検知機構37の磁石によって、鉄球のように磁性を有する遊技球が捕捉されている可能性が高い。つまり、鉄球が磁石で捕捉されると、鉄球検知機構37よりも供給通路34の下流に位置する揚上機構36には、遊技球が移送されなくなる。その結果、揚上入口センサD28では遊技球が検知されなくなり、鉄球検知機構37よりも供給通路34の上流に滞留した遊技球が球通路球詰り監視センサD27で検知されることになる。CPU81は、エラー検知条件が成立すると、鉄球検知のエラー状態の発生を特定可能なフラグをRAM83に記憶させる。CPU81は、鉄球検知のエラー状態を設定すると、電源復帰を解除条件として鉄球検知のエラー状態の設定を解除する。鉄球検知のエラー状態が発生しているか否かは、球抜き状態中以外を確認区間として検知される。上述のように、仮に磁性を有する遊技球が補足されている場合、解除レバー(不図示)を解除位置に操作することによって球詰りを解除できる。磁性を有する遊技球は、非磁性を有する遊技球をパチンコ遊技機10で使用されるべき通常球としたとき、当該通常球に該当しない異常球である。つまり、磁性を有する遊技球は、パチンコ遊技機10で通常使用されるべき非磁性を有する遊技球を通常体としたとき、当該通常体に該当しない異常体である。また、この実施形態において鉄球検知は、異常球が使用されている可能性があることを示す異常球エラーに相当する。また、異常球エラーは、異常球が異常体であることから、パチンコ遊技機10において異常体が使用されている可能性があることを示す異常体エラーでもある。そして、この実施形態においてCPU81は、異常体が使用されている可能性があることを検出する第3検出手段として機能する。なお、CPU81は、異常球の検出に特化すれば異常球が使用されている可能性があることを検出することになる。
扉開放のエラー状態は、第1扉開放スイッチD17、又は第2扉開放スイッチD18の何れかのオフ状態を検知したことをエラー検知条件とする。CPU81は、エラー検知条件が成立すると、扉開放のエラー状態の発生を特定可能なフラグをRAM83に記憶させる。CPU81は、扉開放のエラー状態を設定すると、第1扉開放スイッチD17及び第2扉開放スイッチD18の両方のスイッチのオン状態を検知したことを解除条件として扉開放のエラー状態の設定を解除する。扉開放のエラー状態が発生しているか否かは、球抜き状態中以外を確認区間として検知される。
以上に例示したように複数のエラー状態を検出するのに際しては、同じセンサからの信号を用いても、その信号の組み合わせ、つまりエラー検知条件によって別のエラー状態を検出することが可能である。例えば、入賞球数異常のエラー状態は、供給出口センサD23の供給出口信号、ファールセンサD21のファール信号、及びアウトセンサD30のアウト信号の3つの情報を用いて検出される。このうち、供給出口センサD23の供給出口信号は、例えば供給入口センサ異常のエラー状態の発生を検出する際に用いる情報でもある。供給入口センサ異常は、入賞球数異常とは別のエラーである第1エラーに相当する。また、アウトセンサD30のアウト信号は、例えば排出球通路異常、循環球数過少、及び循環球過多の各エラー状態の発生を検出する際に用いる情報でもある。排出球通路異常、循環球数過少、及び循環球過多は、入賞球数異常とは別のエラーである第2エラーに相当する。
次に、エラー状態が発生した場合に、枠制御基板80のCPU81による制御によって実行されるエラー報知について説明する。
枠制御基板80のCPU81は、エラー状態を設定中、当該設定中であるエラー状態を特定可能な情報の一例であるエラーコードを表示するように、遊技球数表示装置17の表示内容を制御する。エラーコードは、エラーごとに固有の情報である。例えば、図10の図中の「エラーコード」の欄に示すように、不正電波検知には[E10]、遊技機内通信異常には[E13]、供給入口センサ異常には[E14]、排出球通路異常には[E17]など、それぞれにエラーコードが設定されている。CPU81は、エラーコードの表示と、遊技球数の表示と、を所定時間毎に交互に切り替える。また、CPU81は、複数通りのエラーを設定している場合、例えば、図10の図中の「優先度」の欄に示すように、複数通りのエラー状態のうち、優先度の高いエラー状態のエラーコード及び遊技球数を所定時間ずつ順に表示させる。例えば、入賞球数異常のエラー状態が発生している場合に鉄球検知のエラー状態が発生した場合、エラー報知の優先度は入賞球数異常のエラー報知が実行される。なお、CPU81は、複数通りのエラー状態を設定している場合、複数通りのエラーコード及び遊技球数を所定時間ずつ順に表示させる構成であってもよい。あるいは、CPU81は、エラーコードを表示させ、遊技球数を表示させない構成であってもよい。CPU81は、設定中のエラー状態が解除されると、解除されたエラーに対応するエラーコードの表示を終了するように、遊技球数表示装置17を制御する。本実施形態の一例において、枠制御基板80で検出できる全てのエラー状態は、遊技球数表示装置17におけるエラーコードの表示対象となっている。遊技球数表示装置17は、エラーを報知する報知実行手段として兼用されている。
CPU81は、設定中であるエラー状態を特定可能とするエラーコードを表示するように、性能表示モニタ84の表示内容を制御する。つまり、エラーコードは、遊技球数表示装置17及び性能表示モニタ84の両方に表示される。CPU81は、エラーコードの表示と、ベース値(性能情報)の表示とを所定時間毎に交互に切り替える。また、CPU81は、複数通りのエラー状態を設定している場合、例えば、図10の図中の「優先度」の欄に示すように、複数通りのエラー状態のうち、最も優先度の高いエラー状態のエラーコード及びベース値を所定時間ずつ順に表示させる。これに限らず、CPU81は、複数通りのエラー状態を設定している場合、複数通りのエラーコード、及びベース値を所定時間ずつ順に表示させる構成であってもよい。あるいは、CPU81は、エラーコードを表示させ、ベース値を表示させない構成であってもよい。さらに、CPU81は、性能表示モニタ84において、ベース値及びエラーコードに加えて、遊技球数を表示させる構成であってもよい。この場合、CPU81は、これら3種類の情報を所定時間毎に切り替えながら順に表示させるとよい。CPU81は、設定中のエラー状態が解除されると、エラーコードの表示を終了するように、性能表示モニタ84を制御する。本実施形態の一例において、枠制御基板80で検出できる全てのエラー状態は、性能表示モニタ84におけるエラーコードの表示対象である。本実施形態の性能表示モニタ84は、エラーを報知する手段として兼用される。CPU81は、性能表示モニタ84におけるエラーコードの表示と、遊技球数表示装置17におけるエラーコードの表示と、を同じ又は略同じタイミングで開始させる。性能表示モニタ84は、エラーを報知する報知実行手段として兼用されている。
CPU81は、設定中であるエラー状態を特定可能とする音声パターンにて報知音声を出力するように、報知音声装置13を制御する。つまり、CPU81は、設定中であるエラー状態を報知する音声報知(以下、エラー音声報知と示す)を実行させる。例えば、本実施形態の一例において、CPU81は、不正電波検知、供給入口センサ異常、排出球通路異常、循環球数過少、循環球数過多、入賞球数異常、及び鉄球検知を報知対象とし、これらのエラー状態を設定中であるときにエラー音声報知を実行させる。CPU81は、遊技機内通信異常、扉開放を報知対象とせず、これらのエラー状態を報知するためのエラー音声報知を実行させない。エラー音声報知の音声パターンは、エラーの種類ごとに異なる内容であり、設定中であるエラー状態の概要を特定可能な内容である。一例として、不正電波検知であれば、「エラーコードE10が発生しました、係員を呼んでください」の文字列を読み上げる音声である。報知音声装置13は、エラーを報知する報知実行手段として兼用されている。
この実施形態のパチンコ遊技機10では、例えばエラーごとに対応するエラーコードによる報知が実行されるなど、エラー報知はエラー状態に対応する所定報知態様で実行される。また、上述したエラー報知は、図10に例示した各エラー状態のエラー解除条件をもとに終了条件が成立することによって終了する。例えば、エラー解除スイッチ86の操作をエラー解除条件とする場合は、エラー解除スイッチ86が所定の態様で操作されることでエラー報知が終了する。また、電源復帰をエラー解除条件とする場合は、パチンコ遊技機10への電源の供給を停止することを含み、電源が復帰した時点では終了する。なお、この実施形態のパチンコ遊技機10は、図10に示すように、球抜き状態中以外を確認区間として検知されるエラーを備える。このようなエラーの場合、球抜き操作部としての球抜きスイッチ85が操作されているときにはエラー状態が検出される状態であっても当該エラー状態に対応するエラー報知は実行されない。つまり、球抜き状態中は、エラー状態に対応する所定報知態様のエラー報知は実行されない。
なお、図10に例示したエラー状態では、次のようなエラー報知が実行可能である。
例えば、入賞球数異常のエラー状態に対応するエラー報知が実行されている場合にそのエラー検知条件を満たした状態でパチンコ遊技機10への電源の供給を停止させてから電源を復帰させると入賞球異常のエラー状態に対応するエラー報知は終了する。そして、電源を復帰させた段階で入賞球数異常のエラー検知条件を満たさない状態にする、つまり遊技球が堆積している状態を解消させる場合は、他のエラー状態に対応するエラー報知が実行可能である。具体的に言えば、遊技球が堆積している場合、パチンコ遊技機10において循環球数が不足している可能性があるから、上述のように電源を復帰させた段階で遊技球が堆積している状態を解消させる場合は、循環球数減少のエラー検知条件を満たす可能性がある。このため、循環球数減少のエラー検知条件を満たした場合は、循環球数減少のエラー状態に対応するエラー報知が実行されることになる。つまり、入賞球数異常のエラー状態に対応するエラー報知とは別の遊技球の個数に関するエラー報知である循環球数減少のエラー状態に対応するエラー報知が実行可能である。
また、仮に堆積した遊技球の中に鉄球(異常球)が混入している場合であってその時点で鉄球の混入が検出されていないとき、つまり鉄球検知のエラー状態が設定されていないときには、先ず、入賞球数異常のエラー状態が検出されていることを前提として入賞球数異常が発生していることを示す堆積エラー報知としてのエラー報知が実行される。その後、入賞球数異常のエラー状態が解除されると、当該エラー状態を示すエラー報知は終了することになるが、堆積した遊技球の中に混入されていた鉄球が検出されると、鉄球検知のエラー状態が設定されて鉄球を検知したことを示す異常体エラー報知としてのエラー報知が実行される。
次に、エラー状態が発生した場合に、主制御基板60のCPU61による制御によって実行されるエラー報知について説明する。
本実施形態の一例において、主制御基板60のCPU61が検知可能なエラー状態には、上述した遊技機内通信異常の他に、扉開放が少なくともある。なお、CPU61が検知可能なエラー状態には、不正電波検知があってもよい。
CPU61は、枠制御基板80から第1扉開放信号や第2扉開放信号を入力すると、扉開放のエラー状態の発生を特定可能なフラグをRAM63に記憶させる。つまり、CPU61は、搭載枠11bや保護枠11cが開放状態にある扉開放のエラー状態を設定する。CPU61は、扉開放のエラー状態を設定すると、扉開放のエラー状態の発生を特定可能な制御情報である扉開放エラー発生コマンドを演出制御基板70へ出力する。CPU61は、第1扉開放信号や第2扉開放信号を入力しなくなると、扉開放のエラー状態の設定を解除する。CPU61は、扉開放のエラー状態の設定を解除すると、扉開放のエラー状態の解消を特定可能な制御情報である扉開放エラー解消コマンドを演出制御基板70へ出力する。
また、CPU61は、複数通りのエラーのうち所定のエラー(一例として扉開放)を設定中、遊技球の発射を規制する制御を行う。CPU61は、扉開放のエラー状態が発生している場合、発射停止信号を枠制御基板80(発射許可回路89b)に対して出力する。つまり、発射停止信号がオン状態になる。発射許可回路89bは、発射停止信号を入力すると、発射制御基板90に対する発射許可信号がオフ状態となり、その出力が停止される。以上のように、発射許可信号の出力条件は、遊技球の発射が許容される発射許容状態であることで成立する。つまり、発射許可信号の出力条件は、発射禁止状態であると成立しない。
発射許容状態は、カードユニット100とパチンコ遊技機10とが正常に接続されており、主制御基板60にて特定のエラー(一例として扉開放)が発生しておらず、且つ、枠制御基板80にて特定のエラー(一例として供給入口センサ異常)が発生していない状態である。発射禁止状態は、カードユニット100とパチンコ遊技機10とが正常に接続されていないこと、主制御基板60にて特定のエラーが発生していること、及び枠制御基板80にて特定のエラーが発生していること、のうち1つ又は複数が生じている状態である。なお、同じ扉開放のエラー状態であっても、第2扉開放信号を入力している場合は、上記特定のエラーに該当せず、その発生によっては発射禁止状態とならないようにしてもよい。
次に、エラー状態が発生した場合に、演出制御基板70のCPU71による制御によって実行されるエラー報知について説明する。
CPU71は、扉開放エラー発生コマンドを入力すると、演出装置群ESを構成する演出装置の一部又は全部を制御し、扉開放エラー報知を実行させる。一例として、扉開放エラー報知は、「扉が開いています」の文字列を読み上げる音声など、扉開放を特定可能な音声を演出音声装置12から出力する態様にて実行される。一例として、扉開放エラー報知は、扉開放エラー専用の発光パターンにて演出発光装置14を発光させる態様にて実行される。一例として、扉開放エラー報知は、「扉が開いています」の文字列など、扉開放を特定可能な画像を演出表示装置19に表示する態様にて実行される。CPU71は、扉開放エラー解消コマンドの入力により、全ての扉開放のエラー状態が解消されたこと(搭載枠11b及び保護枠11cが何れも閉鎖されていること)を特定すると、扉開放エラー報知を終了するように、演出装置群ESを制御する。
CPU71は、遊技機内通信異常コマンドを入力すると、演出装置群ESを構成する演出装置の一部又は全部を制御し、遊技機内通信異常エラー報知を実行させる。一例として、遊技機内通信異常エラー報知は、「通信異常が発生しました」の文字列を読み上げる音声など、遊技機内通信異常エラーの発生を特定可能な音声を演出音声装置12から出力する態様にて実行される。一例として、遊技機内通信異常エラー報知は、遊技機内通信異常エラー専用の発光パターンにて演出発光装置14を発光させる態様にて実行される。一例として、遊技機内通信異常エラー報知は、「通信異常発生!」の文字列など、遊技機内通信異常エラーの発生を特定可能な画像を演出表示装置19に表示する態様にて実行される。なお、主制御基板60における遊技機内通信異常のエラー状態の設定は、電源が遮断された後、電源が復帰されるまで解除されない。つまり、CPU71は、遊技機内通信異常エラーの報知を開始させると、電源が遮断されるまで、遊技機内通信異常エラー報知を継続するように、演出装置群ESを制御する。
なお、図10に例示したエラー状態であって、上述した遊技機内通信異常と扉開放を除くエラー状態のうち、全て又は一部のエラー状態についてもCPU71による制御によってエラー報知が実行されるようにしてもよい。つまり、枠制御基板80のCPU81は、不正電波検知、供給入口センサ異常、排出球通路異常、循環球数過少、循環球数過多、入賞球数異常、及び鉄球検知などのエラー状態を設定すると、これらのエラー状態を特定可能な制御情報であるコマンドを主制御基板60に出力する。また、主制御基板60のCPU61は、入力したエラー状態を特定可能なコマンドを演出制御基板70に出力する。そして、演出制御基板70のCPU71は、入力したエラー状態を特定可能なコマンドに応じて演出装置群ESを構成する演出装置の一部又は全部を制御し、エラー報知を実行させる。一例として、入賞球数異常エラー報知は、「入賞球数異常が発生しました」の文字列を読み上げる音声など、入賞球数異常エラーの発生を特定可能な音声を演出音声装置12から出力する態様にて実行される。一例として、入賞球数異常エラー報知は、入賞球数異常エラー専用の発光パターンにて演出発光装置14を発光させる態様にて実行される。一例として、入賞球数異常エラー報知は、「入賞球数異常発生!」の文字列など、入賞球数異常エラーの発生を特定可能な画像を演出表示装置19に表示する態様にて実行される。
したがって、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)遊技領域20aに打ち出された遊技球の検出結果と遊技に使用された遊技球の検出結果をもとにエラー状態の発生を検出する。これらの検出結果は、パチンコ遊技機10において遊技を進める上で基本的な行為である遊技球の発射に関するものである。このため、これらの検出結果をもとにエラー状態の発生を検出することで、遊技球の発射に関してエラー報知を実行させることができる。したがって、遊技球の発射に関するトラブルの解決に貢献できる。
(2)遊技領域20aに打ち出された遊技球の検出結果は、発射装置50によって発射された遊技球の数からファール球の数を減算した結果である。また、遊技に使用された遊技球の検出結果は、遊技領域20aから排出された遊技球の数である。これら検出結果からは、発射装置50によって発射された遊技球が遊技に使用されるなどして戻ったかを検出することができる。そして、発射装置50によって発射された遊技球が戻っていないことが検出された場合、その遊技球は、遊技領域20aで堆積して遊技領域20aにおける遊技球の流下を阻害している可能性がある。本実施形態によれば、上述したように遊技球が堆積していないかを検出してエラー報知を実行させることができる。したがって、遊技球の発射に関するトラブルの解決に貢献できる。
(3)本実施形態において上述した遊技球の堆積を検出するために必要な情報は、管理遊技機において他の目的にも利用される情報である。このため、遊技球の堆積を検出するのに対して、専用のセンサを設けなくても、センサを他の目的と兼用できる。したがって、パチンコ遊技機10の構成を簡素化しつつ、遊技球の発射に関するトラブルの解決に貢献できる。
(4)電源の復帰後、遊技球の堆積を解消させる場合は、遊技球の堆積に関するエラー状態とは別に遊技球の個数に関するエラー報知が実行可能である。このため、遊技球の発射に関するトラブルの解決に止まらず、遊技者の利益に直結する遊技球の個数についても厳格な管理を行うことができる。
(5)球抜きに関する操作が行われている場合は、遊技球の堆積に関するエラー報知は実行されない。このため、球抜きに関する操作中であることがエラー報知などによって分かり難くなることを回避できる。
(6)遊技球の堆積に関するエラー状態の他に、パチンコ遊技機10で使用されるべき遊技球が使用されているか、つまり使用されるべき遊技球ではない異常球(実施形態では鉄球)が使われているかを検出可能である。したがって、遊技球の発射に関するトラブルの解決に貢献できることに加えて、遊技球の堆積や異常球の使用と言った不正行為に繋がるエラー状態も検出することができる。
(7)堆積されている遊技球の中に異常球が混入されている状況において、遊技球の堆積に関するエラー状態が解除された後に異常球が使用されていることが検出された場合には、異常球に関するエラー報知を実行させることができる。したがって、不正行為に繋がるエラー状態を確実に検出することができる。
(8)遊技球の堆積に関するエラー状態が解除されていない場合に異常球に関するエラー状態が検出された場合には優先順位にしたがってエラー報知が実行される。このため、複数のエラー状態が発生している場合に複数のエラー報知が実行されて何れのエラー状態が発生しているのかが分かり難くなることを回避できる。
(9)特に、本実施形態では、遊技球の堆積に関するエラー状態のエラー報知を異常球に関するエラー状態のエラー報知よりも優先して実行させる。遊技球が堆積していることと異常球が混入していることは何れも不正行為に繋がる虞があるものの、遊技球の堆積は普通に遊技を行っているときに自然に起こり得る現象でもある。このため、異常球が混入している現象は意図的な要素が強いものの、遊技者の利益を考えた場合には自然に起こり得る遊技球の堆積を早期に解消させた方が好ましい。したがって、遊技者の利益に影響が大きいエラー状態を早期に解決することで、遊技球の発射に関するトラブルの早期解決にも貢献できる。
(10)本実施形態によれば、性能表示モニタ84にてエラー報知を行う。よって、エラーを報知する手段を性能表示モニタ84とは別に専用で設ける必要がなく、パチンコ遊技機10の構成を簡単にできる。
(11)本実施形態によれば、機裏側の性能表示モニタ84におけるエラーの報知と、機表側の遊技球数表示装置17におけるエラーの報知とは、開始タイミングが同じ又は略同じである。よって、搭載枠11bが開放状態及び閉鎖状態の何れであっても、同じタイミングにてエラー報知を把握させることができる。
(12)本実施形態によれば、遊技に使用された遊技球、又は遊技に使用できなかった遊技球(所謂、ファール球)の検知に基づいて、データとして記憶されている遊技球の個数(循環球数)が加算される。よって、遊技球の個数に関するデータの信頼性をさらに向上できる。
(13)磁性を有する遊技球は、磁石を用いてその挙動に影響を与えるゴト行為が可能であるものの、発射動作や供給動作が不能とまでは言えない。本実施形態では、磁性を有する遊技球が検知されることをエラーとしつつも、遊技球の発射を可能とし、エラーの検知と遊技者の利益のバランスをとることができる。
(14)本実施形態によれば、遊技球数表示装置17にて遊技球の個数(遊技球数)を報知可能であるとともに、この遊技球数表示装置17は、エラーを報知する手段としても兼用されている。よって、遊技球の個数とエラーとを1つの手段にて簡便に把握させ得る。
(15)本実施形態によれば、遊技球数表示装置17及び性能表示モニタ84においてエラーコードの表示を開始するタイミングは、演出装置群ESにおいてエラーの報知を開始するタイミングとは異なるタイミングである。よって、エラーの報知手段として、それぞれの配設位置及び報知強度に応じて適切なタイミングにてエラーの報知を開始できる。なお、演出装置群ESによる報知は、知覚に対する訴求力が高く、単なるエラーコードの表示に比して報知強度が低いといえる。
上述した実施形態は、以下のように変更して実施することができる。なお、上述した実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・本実施形態において、性能表示モニタ84におけるエラー報知と、遊技球数表示装置17におけるエラー報知とは、開始タイミングが同じであったが、これに限らず、開始タイミングが異なっていてもよい。例えば、遊技球数表示装置17は、性能表示モニタ84に比して、先にエラー報知を開始する構成であってもよい。この構成によれば、機表側にて、遊技者等に対して速やかにエラー状態を把握させることができる。例えば、性能表示モニタ84は、遊技球数表示装置17に比して、先にエラー報知を開始する構成であってもよい。この構成によれば、管理者が搭載枠11bを開放してメンテナンスを実施している場合など、機表側を視認する遊技者等よりも先に管理者にエラー状態を把握させることができる。
・本実施形態において、遊技球数表示装置17及び性能表示モニタ84においてエラーコードの表示を開始するタイミングは、演出装置群ESにおいてエラー報知を開始するタイミングとは異なるタイミングであったが、これに限らず、同じ又は略同じタイミングであってもよい。また、遊技球数表示装置17及び性能表示モニタ84においてエラーコードの表示を開始するタイミングは、演出装置群ESにおいてエラー報知を開始するタイミングよりも先のタイミングであってもよい。
・本実施形態において、遊技球数表示装置17ではエラー報知を実行させる一方で、性能表示モニタ84ではエラー報知を実行させないようにしてもよい。また、遊技球数表示装置17や性能表示モニタ84に代えて又は加えて、エラー報知を実行する専用の手段を設けてもよい。専用の手段は、表示、発光、音声など、その報知の態様は任意である。
・本実施形態において、入賞球数異常の発生を検出するための差数は任意に設定することができる。差数は、遊技球を発射してから当該遊技球が排出されるまでに時間差があること、さらに遊技球を連続的に発射させている前提で所定の遊技球が遊技領域20aに打ち出されたときには先に打ち出されているが排出に至っていない少なくとも1球以上の遊技球が存在していることを考慮して定めるとよい。なお、発射されてから排出されるまでの時間は同じパチンコ遊技機10であっても一義的に定まるものではなく、盤面構成などが異なる他のパチンコ遊技機10と比較しても一義的に定まるものではない。このため、差数は、上述したような様々な要因を加味して定めるとよい。
・本実施形態において、入賞球数異常は、差数がエラー状態と判断するための数を超える状態が所定の経過時間の間、維持されることで発生していると判断してもよい。なお、時間の計測も所定数を計数することに含まれる。
・本実施形態において、入賞球数異常を判断する差数は、発射球数からアウト球のみを減算した数としてもよい。つまり、ファール球を含まずに計数してもよい。遊技球を連続的に発射させている状況においてファール球が発生する可能性は極めて小さい、つまり多数のファール球が短時間で連続的に発生するとは考え難い。このことから、差数を判断するのに際してファール球を考慮してなくてもよい。あるいは、構造的にファール球が発生し得ないパチンコ遊技機(例えば遊技盤20の左上方から遊技球を発射するタイプ)であれば発射球数とアウト球に基づいて差数を判断してもよい。
・本実施形態において、アウト球の数は、入賞通路カウントセンサD25が検知した数と非入賞通路カウントセンサD26が検知した数の合算数としてもよい。この場合、アウトセンサD30は、設けても設けなくてもどちらでもよい。
・本実施形態において、入賞通路カウントセンサD25と非入賞通路カウントセンサD26を設けず、アウトセンサD30のみで排出された遊技球を検知してもよい。
・本実施形態において、アウトセンサD30を設ける場合、そのアウトセンサD30は遊技盤20に設けられていてもよいし、枠に設けられていてもよい。
・本実施形態において、球抜き状態中であってもエラー状態が発生しているかを判定してもよく、エラー状態が発生している場合にはエラー報知を実行させてもよい。この場合のエラー報知は、球抜き状態以外でエラー状態が発生していることを検出したときとは異なる態様で実行させてもよい。例えば、球抜き状態以外でエラー状態が発生している場合にエラー報知を実行する手段とは異なる手段でエラー報知を実行してもよい。また、球抜き状態以外でエラー状態が発生している場合にエラー報知を実行する場合には複数の手段を用いるが、球抜き状態中にエラー状態が発生している場合には前記複数の手段のうちの一部の手段でエラー報知を実行させてもよい。この別例で記載した何れの構成であっても、球抜き状態中は本来のエラー報知である所定報知態様のエラー報知が実行されないことに相当する。
・本実施形態において、複数のエラー状態を設定した場合に優先度にしたがってエラー報知を実行させるとき、最も優先度の高いエラー状態のエラー報知を実行させ、その他のエラー状態のエラー報知を実行させないようにしてもよい。この別例は、複数のエラー状態のうち何れかのエラー状態のみエラー報知を実行させる構成である。
・本実施形態において、複数のエラー状態を設定した場合に優先度にしたがってエラー報知を実行させるとき、エラー報知を行う手段が同一の手段であれば、最も優先度の高いエラー状態のエラー報知を当該手段で実行させ、その他のエラー状態のエラー報知を他の手段で実行させてもよい。また、例えば、エラー報知を行う手段が遊技球数表示装置17のような手段であれば、複数のエラー状態のエラー報知を所定時間単位で切り替えて実行させてもよい。この場合、優先度の高いエラー状態のエラー報知ほど報知の時間を長くしてもよい。
・本実施形態において、確変機能を搭載したパチンコ遊技機10として、次回の大当り遊技まで高確率状態を付与する仕様、転落抽選に当選するまで高確率状態を付与する仕様(所謂、転落機)、又は規定回数の変動ゲームが終了するまで高確率状態を付与する仕様(所謂、ST機)を採用できる。また、確変機能を搭載したパチンコ遊技機10として、遊技球が特定領域を通過することを条件に高確率状態を付与する仕様(所謂、V確変機)を採用できる。パチンコ遊技機10は、転落機の仕様と、V確変機の仕様と、を混合させた仕様であってもよい。
・本実施形態において、特別図柄の当り抽選として、大当り抽選の他、小当り抽選を行うように構成してもよい。当り抽選にて小当りに当選した場合、特別ゲームの終了後に小当り遊技(当り遊技)が付与される。本実施形態において、通常の遊技状態(例えば、低確低入球率状態)に比して、単位時間あたりに小当りに当選する回数(頻度)、又は、単位時間あたりに小当り遊技が付与される回数(頻度)が向上する状態(所謂、小当りRUSH)に制御可能に構成してもよい。
・本実施形態において、パチンコ遊技機10として、「羽根もの」、又は「ヒコーキタイプ」ともいわれる第2種に分類される仕様を採用してもよい。この種のパチンコ遊技機では、始動口への遊技球の入球を契機に入球装置(大入賞口)の開閉羽根(開閉部材)が開き、入球装置へ入球した遊技球が特別入賞口へ入球することによって大当り遊技が生起される。
・本実施形態において、CPU61、ROM62、RAM63、及び乱数生成回路64は、ワンチップに構成されていてもよい。
・本実施形態において、遊技盤20の具体的な構成は任意に変更してもよい。
・本実施形態において、演出制御基板70をサブ統括制御基板とし、演出制御基板70とは別に演出表示装置19を専門に制御する表示制御基板、演出発光装置14を専門に制御する発光制御基板、演出音声装置12を専門に制御する音制御基板を設けてもよい。このようなサブ統括制御基板とその他の演出を制御する基板を含めて副基板としてもよい。また、実施形態において、単一の基板にCPU61、及びCPU71を搭載してもよい。また、表示制御基板、発光制御基板、及び音制御基板を任意に組み合わせて単数又は複数の基板としてもよい。
・本実施形態において、所定量の遊技媒体(一例として遊技球)の全部を循環させる遊技機として構成したが、これに限らず、遊技媒体の一部又は全部について、遊技機の外部にある遊技媒体と交換可能な構成であってもよい。
・循環球数過少のエラー状態のエラー検知条件に含む、遊技していない状態の判断は、別の基準で判断してもよい。例えば、主制御基板のCPU61は、演出制御基板70に対してデモンストレーション演出を指示するコマンドを出力する。当該コマンドは、第1特別ゲーム又は第2特別ゲームの終了後、第1保留数及び第2保留数の何れもが零であるときに出力される。このため、デモンストレーション演出を指示するコマンドを枠制御基板80にも出力すれば、枠制御基板80のCPU81は、当該コマンドと供給出口センサD23からの供給出口信号をもとに遊技していない状態であるかを判断することも可能である。つまり、遊技していない状態は、タッチセンサD01からのタッチ信号以外の信号をもとに判断してもよい。
・パチンコ遊技機10は、搭載枠11b及び遊技盤20の一方又は両方に磁気センサを備えていてもよい。この構成によれば、パチンコ遊技機10において本来あるべきではない磁性を有する異物を検知することができる。また、パチンコ遊技機10において通常使用される通常体に該当しない磁石やワイヤなどのゴト器具が使用されている可能性があることを検出できる。また、磁性を有する遊技球と磁石を用いて、遊技球が堆積した状態を意図的に作るような行為の発見にも寄与できる。
・パチンコ遊技機10は、凹みや傷などによって変形した遊技球を検知する構成を備えていてもよい。例えば、供給通路34にカメラなどのセンサを設置し、取得した画像から凹みや傷などがない正常な遊技球であるかを検出するようにしてもよい。このような凹みや傷などがある遊技球は通常使用されるべきものではなく、異常体に該当する。なお、凹みや傷などがある遊技球は、発射装置50で正確に発射できるか不明であり、仮に発射されたとしても遊技領域20aで凹みや傷などがない遊技球と同じような動きになるかも不明であるから、使用しないことが好ましい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)遊技盤と、前記遊技盤の遊技領域に配置される複数の入球口と、遊技球を発射させる操作が可能な発射操作手段と、遊技球を発射する発射機構と、前記遊技領域に打ち出された遊技球を検出する第1検出手段と、遊技に使用された遊技球を検出する第2検出手段と、前記第1検出手段と前記第2検出手段の各検出結果を計数条件として所定数を計数する計数手段と、所定のエラー報知条件を満たした場合にエラー報知を実行させる報知実行手段と、を備え、前記エラー報知条件には、前記所定数が前記エラー報知条件を満たす態様で計数されることを含む遊技機。
(ロ)前記遊技機のエラーには、前記遊技領域において遊技球が堆積している可能性があることを示す堆積エラーを含み、前記所定数が前記エラー報知条件を満たす態様で計数された場合には前記堆積エラーが発生している可能性があり、前記堆積エラーを報知するエラー報知の終了条件には前記遊技機への電源の供給を停止することを含み、前記堆積エラーの前記エラー報知条件を満たしている状態で前記遊技機への電源を復帰させてから遊技球が堆積している状態を解消させる場合には、前記堆積エラーとは別に遊技球の個数に関するエラー報知が実行可能である前記技術的思想(イ)に記載の遊技機。
(ハ)前記所定数が前記エラー報知条件を満たす態様で計数された場合には所定報知態様のエラー報知が前記報知実行手段で実行され、前記遊技機は、機内部にある遊技球を機外に排出可能となる球抜き状態を生起させる際に操作する球抜き操作部を有し、前記球抜き操作部が操作されている場合には、前記所定数が前記エラー報知条件を満たす態様で計数されたときの前記所定報知態様のエラー報知は実行されない前記技術的思想(イ)又は(ロ)に記載の遊技機。
(ニ)遊技盤と、前記遊技盤の遊技領域に配置される複数の入球口と、遊技球を発射させる操作が可能な発射操作手段と、遊技球を発射する発射機構と、前記遊技領域に打ち出された遊技球を検出する第1検出手段と、遊技に使用された遊技球を検出する第2検出手段と、前記第1検出手段と前記第2検出手段の各検出結果を計数条件として所定数を計数する計数手段と、所定のエラー報知条件を満たした場合にエラー報知を実行させる報知実行手段と、を備え、前記エラー報知条件には、前記所定数が前記エラー報知条件を満たす態様で計数されることを含み、前記第1検出手段が検出結果を得るために用いる情報には前記所定数が前記エラー報知条件を満たす態様で計数されることによって実行されるエラー報知とは別のエラーである第1エラーの発生を検出するための情報を含み、前記第2検出手段が検出結果を得るために用いる情報には前記所定数が前記エラー報知条件を満たす態様で計数されることによって実行されるエラー報知とは別のエラーである第2エラーの発生を検出するための情報を含む遊技機。