JP7418005B2 - 自由水測定装置、自由水測定方法、及びプログラム - Google Patents

自由水測定装置、自由水測定方法、及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、自由水測定装置、自由水測定方法、及びプログラムに関する。
皮膚等の生体組織、細胞、結晶、又は水溶液等に含まれる水は、自由水(バルク水)と水和水(結合水)とに分類される。自由水は、生体組織等の内部を自由に移動することができる。これに対して、水和水は、タンパク質等の構造物に結合し、生命活動等に非常に重要な役割を果たす。いずれの分野においても、自由水の量及び水和水の量は、水を含む物質の状態を詳細に把握するための重要なパラメータの1つになり得る。このような自由水の量又は水和水の量を評価することは水の「質」を評価することを意味し、今後、その重要性がより一層高まると考えられる。
例えば、特許文献1には、全反射減衰分光法により皮膚の表面にテラヘルツ波を照射し、表皮層の複素屈折率と角層の厚みを用いて二界面モデルを適用して吸収係数を求めることにより、皮膚の水分による吸収を評価する手法が開示されている。例えば、非特許文献1には、テラヘルツ波を用いた全反射減衰分光法により皮膚の表面から既定の深さ範囲における複素誘電率を求めてヒトがん細胞における水分の誘電応答を特性評価する手法が開示されている。
例えば、特許文献2には、無極性の液体を媒質とするテラヘルツ波を用いた細胞評価において、細胞内におけるテラヘルツ波電場に対する誘電応答を複素誘電率として数値化して検出し、その検出結果に基づいて、細胞内の状態を評価する手法が開示されている。例えば、特許文献3~特許文献6には、電極の近傍の試料により生じた誘電率の変化を電極の寄生容量の変化に伴う発振周波数の変化として検出することにより、試料に含まれる水分を評価する手法が開示されている。
特開2016-53528号公報 特開2019-60609号公報 特開2017-187463号公報 国際公開第2017/130962号 特開2018-158号公報 特開2017-131230号公報
K.Shiraga et al.,"Characterization of Dielectric Responses of Human Cancer Cells in the Terahertz Region", J Infrared Multi Terahz Waves, 2014年、 35:493-502
しかしながら、特許文献1~特許文献6に開示された手法では、自由水と水和水とを分離して測定することができず、自由水又は水和水の量だけを高精度に測定することができない。また、非特許文献1に開示された手法では、皮膚の表面から所望の深さ範囲における水分の誘電応答を評価することができず、深さ位置に応じた水の状態を評価することができない。
以上のように、従来の手法では、被測定試料に含まれる水(水分)の「質」を高精度に評価することは困難である。
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、被測定試料に含まれる水の「質」を高精度に評価するための新たな技術を提供することにある。
いくつかの実施形態の第1態様は、被測定試料の表面から第1深さ位置までの第1深さ範囲の第1誘電損失と、前記表面から前記第1深さ位置より浅い第2深さ位置までの第2深さ範囲の第2誘電損失とを取得する取得部と、前記第1誘電損失と、前記第2誘電損失と、前記第1深さ範囲における誘電損失に対する前記第2深さ範囲における誘電損失の寄与率とに基づいて、前記第1深さ位置から前記第2深さ位置までの第3深さ範囲の第3誘電損失を算出する算出部と、純水における前記第3深さ範囲の誘電損失を基準に前記第3誘電損失に対応する自由水量を特定する特定部と、を含む自由水測定装置である。
いくつかの実施形態の第2態様では、第1態様において、前記取得部は、純水を前記被測定試料として前記第1誘電損失と前記第2誘電損失とを取得し、前記特定部は、前記第3誘電損失を被除数とし、純水における前記第3深さ範囲の誘電損失を除数とする除算処理を行うことにより前記自由水量を求める。
いくつかの実施形態の第3態様では、第1態様又は第2態様において、前記取得部は、互いに異なる2以上の前記第2深さ範囲について前記第2誘電損失を取得し、前記算出部は、前記取得部により取得された2以上の前記第2誘電損失のそれぞれについて前記第3誘電損失を算出し、前記特定部は、前記算出部により算出された2以上の前記第3誘電損失のそれぞれに対応する自由水量を特定し、前記特定部により特定された2以上の前記自由水量に基づいて深さプロファイルを生成するプロファイル生成部を含む。
いくつかの実施形態の第4態様では、第1態様~第3態様のいずれかにおいて、前記取得部は、テラヘルツ全反射減衰分光測定により得られたスペクトルに基づいて前記第1誘電損失と前記第2誘電損失とを取得する。
いくつかの実施形態の第5態様は、第4態様において、時間領域の電場波形に対してフーリエ変換を施すことにより得られた周波数領域の強度スペクトル及び位相スペクトルと被測定試料がないときの周波数領域の強度スペクトル及び位相スペクトルとを用いて反射率スペクトルと位相差スペクトルとを求める第1スペクトル算出部と、フレネルの式と前記第1スペクトル算出部により求められた前記反射率スペクトルと前記位相差スペクトルとから誘電損失スペクトルを算出する第2スペクトル算出部と、を含み、前記取得部は、前記第2スペクトル算出部により算出された前記誘電損失スペクトルに基づいて前記第1誘電損失と前記第2誘電損失とを取得する。
いくつかの実施形態の第6態様では、第4態様又は第5態様において、周波数νの関数としてエバネッセント光の光強度が1/eに減衰する深さ位置をd(ν)と表し、前記第2深さ位置をzと表し、周波数νの関数として前記第1深さ範囲における前記寄与率をC0z(ν)と表すと、下記の式を満たす。
Figure 0007418005000001
いくつかの実施形態の第7態様では、第4態様~第6態様のいずれかにおいて、前記第1深さ位置をzと表し、前記第2深さ位置をzと表し、周波数νの関数としてエバネッセント光の光強度が1/eに減衰する深さ位置をd(ν)と表し、d(ν)=z、d(ν)=zとし、前記第1誘電損失に対する前記第2誘電損失の寄与率をC0zn(ν)と表し、前記第1誘電損失をε″(ν)と表し、前記第2誘電損失をε″(νn)と表し、前記第3誘電損失をε″znzmと表すと、下記の式を満たす。
Figure 0007418005000002
いくつかの実施形態の第8態様では、第1態様~第7態様のいずれかにおいて、前記取得部は、テラヘルツ全反射減衰分光測定系を含み、前記テラヘルツ全反射減衰分光測定系は、テラヘルツ波を発生するテラヘルツ波発生部と、前記テラヘルツ波が照射される表面に前記被測定試料が接触可能なプリズムと、前記表面からの反射波を検出する検出部と、を含む。
いくつかの実施形態の第9態様では、第1態様~第8態様のいずれかにおいて、前記被測定試料は、第1試料の表面に前記第1試料と電気的性質が異なる物質が塗布された試料である。
いくつかの実施形態の第10態様では、第1態様~第8態様のいずれかにおいて、前記被測定試料は、上皮組織若しくは皮膚、又は表皮組織である。
いくつかの実施形態の第11態様では、第10態様において、前記被測定試料は、化粧品、医薬品、医薬部外品又は外用剤が塗布された上皮組織若しくは皮膚、又は表皮組織である。
いくつかの実施形態の第12態様では、第1態様~第8態様のいずれかにおいて、前記被測定試料は、食品である。
いくつかの実施形態の第13態様は、被測定試料の表面から第1深さ位置までの第1深さ範囲の第1誘電損失と、前記表面から前記第1深さ位置より浅い第2深さ位置までの第2深さ範囲の第2誘電損失とを取得する取得ステップと、前記第1誘電損失と、前記第2誘電損失と、前記第1深さ範囲における誘電損失に対する前記第2深さ範囲における誘電損失の寄与率とに基づいて、前記第1深さ位置から前記第2深さ位置までの第3深さ範囲の第3誘電損失を算出する算出ステップと、純水における前記第3深さ範囲の誘電損失を基準に前記第3誘電損失に対応する自由水量を特定する特定ステップと、を含む自由水測定方法である。
いくつかの実施形態の第14態様では、第13態様において、前記取得ステップは、純水を前記被測定試料として前記第1誘電損失と前記第2誘電損失とを取得し、前記特定ステップは、前記第3誘電損失を被除数とし、純水における前記第3深さ範囲の誘電損失を除数とする除算処理を行うことにより前記自由水量を求める。
いくつかの実施形態の第15態様では、第13態様又は第14態様において、前記取得ステップは、互いに異なる2以上の前記第2深さ範囲について前記第2誘電損失を取得し、前記算出ステップは、前記取得ステップにおいて取得された2以上の前記第2誘電損失のそれぞれについて前記第3誘電損失を算出し、前記特定ステップは、前記算出ステップにおいて算出された2以上の前記第3誘電損失のそれぞれに対応する自由水量を特定し、前記特定ステップにおいて特定された2以上の前記自由水量に基づいて深さプロファイルを生成するプロファイル生成ステップを含む。
いくつかの実施形態の第16態様では、第13態様~第15態様のいずれかにおいて、前記取得ステップは、テラヘルツ全反射減衰分光測定により得られたスペクトルに基づいて前記第1誘電損失と前記第2誘電損失とを取得する。
いくつかの実施形態の第17態様は、第16態様において、時間領域の電場波形に対してフーリエ変換を施すことにより得られた周波数領域の強度スペクトル及び位相スペクトルと被測定試料がないときの周波数領域の強度スペクトル及び位相スペクトルとを用いて反射率スペクトルと位相差スペクトルとを求める第1スペクトル算出ステップと、フレネルの式と前記第1スペクトル算出ステップにおいて求められた前記反射率スペクトルと前記位相差スペクトルとから誘電損失スペクトルを算出する第2スペクトル算出ステップと、を含み、前記取得ステップは、前記第2スペクトル算出ステップにおいて算出された前記誘電損失スペクトルに基づいて前記第1誘電損失と前記第2誘電損失とを取得する。
いくつかの実施形態の第18態様では、第16態様又は第17態様において、周波数νの関数としてエバネッセント光の光強度が1/eに減衰する深さ位置をd(ν)と表し、前記第2深さ位置をzと表し、周波数νの関数として前記第1深さ範囲における前記寄与率をC0z(ν)と表すと、下記の式を満たす。
Figure 0007418005000003
いくつかの実施形態の第19態様では、第16態様~第18態様のいずれかにおいて、前記第1深さ位置をzと表し、前記第2深さ位置をzと表し、周波数νの関数としてエバネッセント光の光強度が1/eに減衰する深さ位置をd(ν)と表し、d(ν)=z、d(ν)=zとし、前記第1誘電損失に対する前記第2誘電損失の寄与率をC0zn(ν)と表し、前記第1誘電損失をε″(ν)と表し、前記第2誘電損失をε″(νn)と表し、前記第3誘電損失をε″znzmと表すと、下記の式を満たす。
Figure 0007418005000004
いくつかの実施形態の第20態様では、第13態様~第19態様のいずれかにおいて、前記被測定試料は、第1試料の表面に前記第1試料と電気的性質が異なる物質が塗布された試料である。
いくつかの実施形態の第21態様では、第13態様~第19態様のいずれかにおいて、前記被測定試料は、上皮組織若しくは皮膚、又は表皮組織である。
いくつかの実施形態の第22態様では、第21態様において、前記被測定試料は、化粧品、医薬品、医薬部外品又は外用剤が塗布された上皮組織若しくは皮膚、又は表皮組織である。
いくつかの実施形態の第23態様では、第13態様~第19態様のいずれかにおいて、前記被測定試料は、食品である。
いくつかの実施形態の第24態様は、コンピュータに、第13態様~第23態様のいずれかの自由水測定方法の各ステップを実行させるプログラムである。
なお、上記した複数の態様に係る構成を任意に組み合わせることが可能である。
本発明によれば、被測定試料に含まれる水を高精度に評価するための新たな技術を提供することが可能になる。
テラヘルツ領域における水の吸収特性の一例を示す概略図である。 実施形態に係る自由水測定装置の構成の一例を示す概略図である。 実施形態に係る自由水測定装置の動作を説明するための説明図である。 実施形態に係る演算処理装置の構成の一例を示す概略図である。 実施形態に係る演算処理装置の構成の一例を示す概略図である。 実施形態に係る演算処理装置の構成の一例を示す概略図である。 実施形態に係る自由水測定装置の動作の一例を示すフロー図である。 実施形態に係る自由水測定装置の動作の一例を示すフロー図である。 実施形態に係る自由水測定装置を用いた評価例を説明するための説明図である。 実施形態に係る自由水測定装置を用いた評価例を説明するための説明図である。 実施形態に係る自由水測定装置を用いた評価例を説明するための説明図である。 実施形態に係る自由水測定装置を用いた評価例を説明するための説明図である。 実施形態に係る自由水測定装置を用いた評価例を説明するための説明図である。 実施形態に係る自由水測定装置を用いた評価例を説明するための説明図である。
この発明に係る自由水測定装置、自由水測定方法、及びプログラムの実施形態の例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この明細書において引用された文献の記載内容や任意の公知技術を、以下の実施形態に援用することが可能である。
以下、本明細書において、特に言及しない限り、「深さ方向」は被測定試料の表面から被測定試料の内部に向かう方向を意味するものとする。すなわち、「深さ方向」は、鉛直下向きに限定されることのなく、鉛直上向き、横向き等の任意の方向であってよい。いくつかの実施形態では、「深さ方向」は、被測定試料の表面の接線に直交する方向又は後述するATRプリズムの表面に直交する方向である。
また、本明細書において、「深さ位置」は、被測定試料の内部における上記の「深さ方向」の位置を意味し、「深さ範囲」は、被測定試料の内部における上記の「深さ方向」の範囲を意味するものとする。従って、例えば、「第1深さ位置より浅い第2深さ位置」は、被測定試料の表面から被測定試料の内部における第2深さ位置までの深さ方向の距離が、被測定試料の表面から被測定試料の内部における第1深さ位置までの深さ方向の距離より短いことを意味する。
テラヘルツ領域の電磁波であるテラヘルツ波(テラヘルツ光)は、0.1~10THzの周波数領域において定義される。テラヘルツ波は、可視光に比べて1000倍以上も光子エネルギーが小さい安全な光として生物等を被測定対象とした応用の開拓が進められている。特に、自由水は、テラヘルツ領域において高い吸収を示すことが知られている。
図1に、被測定試料としての水に測定波を入射したときの水の吸収特性の測定結果の一例を表す。図1では、横軸は周波数を表し、縦軸は吸収の大きさを表す誘電損失を示す。
図1に示すように、0.01GHz以上の周波数領域において、水の誘電損失は大きい。特に、50GHz以上の周波数領域では、自由水の誘電損失が顕著に大きくなる。このようなテラヘルツ領域の電磁波(テラヘルツ波)のもつエネルギーは、自由水のピコ秒揺らぎと一致するため、テラヘルツ帯の分光スペクトルには自由水の動的状態が直接的に反映される。従って、50GHz以上の周波数領域の電磁波(特に、テラヘルツ波)を測定波に用いた分光測定により、自由水を選択的に測定することができる。
テラヘルツ波を用いた分光測定の1つに、テラヘルツ全反射減衰(THz Attenuated Total Reflection:THz ATR)分光測定(spectroscopy)がある。THz ATR分光測定は、被測定試料の表面で全反射するようにテラヘルツ波を入射し、表面からの反射波を測定することにより、被測定試料の表面における吸収スペクトルを取得する手法である。例えば、テラヘルツ領域のCW(Continuous Wave)波を被測定試料の表面に入射させることで、被測定試料の表面における吸収に対応した周波数領域の強度成分を取得することができる。また、近年、テラヘルツ全反射減衰分光測定として、テラヘルツ領域のパルス波を被測定試料の表面に入射することで被測定試料の表面における吸収に対応した周波数領域の強度成分及び位相成分を取得することが可能なテラヘルツ時間領域全反射減衰(THz Time-Domain Attenuated Total Reflection:THz TD-ATR)分光測定が注目されている。
実施形態に係る自由水測定装置は、THz ATR分光測定等の所定の測定により得られた測定結果を用いて、被測定試料における所望の深さ範囲の自由水量を特定し、特定された2以上の深さ範囲の自由水量を用いて深さプロファイルを生成することが可能である。これにより、被測定試料の深さ方向の自由水量の分布又は自由水量の変化を観察することが可能になり、被測定試料に含まれる水の「質」を高精度に評価するができるようになる。
被測定試料に含まれる水の量が既知の場合、水の量から自由水量を差し引くことにより水和水量が求められる。それにより、自由水量を測定(評価)することは、実質的に水和水量を測定(評価)することを意味する。いくつかの実施形態では、被測定試料に含まれる水の量は、静電容量又は導電率を測定する電気的な手法、又は共焦点ラマン分光法等の公知の手法により測定することが可能である。
実施形態に係る自由水測定方法は、実施形態に係る自由水測定装置により実現される。実施形態に係るプログラムは、コンピュータに、実施形態に係る自由水測定方法の各ステップを実行させる。
以下では、被測定試料が皮膚(例えば、マウス又はヒトの皮膚)であり、皮膚における水の状態をTHz TD-ATR分光法で測定する場合について説明する。
いくつかの実施形態では、被測定試料は、上皮組織若しくは皮膚(爪を含む)、又は表皮組織である。いくつかの実施形態では、被測定試料は、粘膜又は毛髪である。いくつかの実施形態では、被測定試料は、上皮組織若しくは皮膚、又は表皮組織(第1試料)と電気的性質(例えば、電気伝導度)が異なる物質が塗布された上皮組織若しくは皮膚、又は表皮組織である。いくつかの実施形態では、被測定試料は、化粧品(化粧水を含む)、医薬品、医薬部外品又は外用剤が塗布された上皮組織若しくは皮膚、又は表皮組織である。いくつかの実施形態では、被測定試料は、食品である。
いくつかの実施形態では、位相スペクトルの測定を行うことなく、強度スペクトルからATR吸収が求められる。実施形態に係る被測定試料に対する測定は、THz TD-ATR分光測定でなく、他の手法を用いた測定であってよい。いくつかの実施形態では、被測定試料に対する測定は、測定波としてCW波を用いるTHz ATR分光測定である。CW波を用いるTHz ATR分光測定では、以下のTHz TD-ATR分光測定における「電場波形」を「スペクトル」に読み替えることで、下記の実施形態を適用することが可能である。THz-ATR測定を行う場合であっても、測定により得られた位相スペクトルを用いることなく、測定により得られた強度スペクトルからATR吸収を求めてもよい。
<構成>
図2に、実施形態に係る自由水測定装置の構成例のブロック図を示す。
自由水測定装置1は、光源としてのフェムト秒レーザー10と、光遅延ユニット20と、測定ユニット30と、プリアンプ40と、ロックインアンプ50と、演算処理装置100とを含む。いくつかの実施形態では、自由水測定装置1は、演算処理装置100を含み、外部に設けられた測定ユニット30により得られた測定結果(電場波形、スペクトル)を取得するように構成される。
(フェムト秒レーザー10)
フェムト秒レーザー10は、100フェムト秒以下のパルス幅(半値全幅)を有するパルス光を出力する。例えば、フェムト秒レーザー10は、中心波長が780nmのフェムト秒ファイバーレーザー(FemtoFErb780、トプティカフォトニクス株式会社)を用いて構成される。
フェムト秒レーザー10から出力されたパルス光は、ビームスプリッタBS1により、ポンプ光とプローブ光とに分割される(例えば、50:50)。ビームスプリッタBS1を透過したポンプ光は、ミラーM1、M2を介して測定ユニット30に導かれる。ビームスプリッタBS1により反射されたプローブ光は、ミラーM3、M4を介して光遅延ユニット20に導かれる。
(光遅延ユニット20)
光遅延ユニット20は、ポンプ光に対してプローブ光を遅延させる。光遅延ユニット20は、プローブ光の光路長を変更し、ポンプ光の光路長とプローブ光の光路長との差を変化させることにより、ポンプ光に対するプローブ光の遅延時間を変化させる。
光遅延ユニット20は、プリズム21と、リトロリフレクタ22とを含む。リトロリフレクタ22は、例えば、ミラーMa、Mbを含む。
光遅延ユニット20に導かれてきたプローブ光は、プリズム21の第1反射面において所定の方向に偏向され、リトロリフレクタ22に導かれる。リトロリフレクタ22は、ミラーMa、Mbにより入射方向と反対の方向にプローブ光を反射するように構成される。リトロリフレクタ22は、図示しない可動ステージに搭載されており、演算処理装置100又は図示しないコントローラの制御の下でプローブ光の入射方向(又はその反対方向)に移動可能である。
リトロリフレクタ22により反射されたプローブ光は、プリズム21の第2反射面において偏向され、ミラーM5を介して測定ユニット30に導かれる。
(測定ユニット30)
測定ユニット30は、ミラーM2を介して入射したポンプ光を用いて光伝導アンテナからテラヘルツ(パルス)波を発生させ、ミラーM5を介して入射したプローブ光を用いて光伝導アンテナによりテラヘルツ波を検出する。
測定ユニット30は、パラボリックミラーPB1~PB6と、光伝導アンテナOA1、OA2と、ATRプリズム31とを含む。なお、測定環境中に含まれる水分に起因した測定結果の影響をなくすために、測定ユニット30の内部は真空排気されたり、測定ユニット30の内部に乾燥ガスを充填させることが望ましい。
ミラーM2を介して入射したポンプ光は、パラボリックミラーPB1の放物面状の反射面において光伝導アンテナOA1の光伝導膜に集光される。光伝導アンテナOA1は、アンテナ間ギャップに集光されたポンプ光により励起された光伝導膜中の自由電子をバイアス電圧で加速させることで、テラヘルツ波を発生させる。光伝導アンテナOA1により発生されたテラヘルツ波は、パラボリックミラーPB2、PB3を介して、ATRプリズム31の入射面に集光される。ATRプリズム31の入射面に入射したテラヘルツ波は、全反射するような入射角でATRプリズム31の反射面(測定面)に入射する。ATRプリズム31の反射面には、皮膚(被測定試料)の表面が接触するように配置されている。
ATRプリズム31の反射面において反射されたテラヘルツ波は、ATRプリズム31の出射面から出射する。このとき、反射面において反射されるテラヘルツ波の一部が皮膚の表面から深さ方向(皮膚の内部の方向)にしみ出す現象が起こる。このしみ出すテラヘルツ波は、エバネッセント波(エバネッセント光)と呼ばれる。
このようなエバネッセント波の電場強度は、ATRプリズム31の反射面(皮膚の表面)からの距離に応じて指数関数的に減少する。光強度が1/e倍に減衰する深さ位置dは、周波数νの関数として、次の式(1)のように表される(例えば、K.Ohta et al.,“Experimental proof of the relation between thickness of the probed surface layer and absorbance in FT-IR/ATR spectroscopy”, Appl.Spectre, Volume 39(3),pp.418-425,(1985))。
Figure 0007418005000005
式(1)において、真空中の光の速度をcと表し、ATRプリズム31の反射面(測定面)に対する入射角をθと表し、ATRプリズム31の誘電率の実部をεと表し、被測定試料の複素誘電率をε[~](ν)=ε′(ν)-iε″(ν)と表している。なお、本明細書中では、複素数であることを示す“~”を文字の上に付することができないため、x[~]のように表記するものとする。
例えば、ATRプリズム31の材質が高抵抗シリコン単結晶(ε=11.7)である場合、周波数ν=1THzのとき、dは、ほぼ25μmとなる。この厚みは、ヒトなどの哺乳類の角層の厚みとほぼ同じである。例えば、ヒトの皮膚の場合は、角層の厚みは、一般的に15~25μm程度である。従って、テラヘルツ波を用いたATR分光測定では、ヒトの表皮の角層だけを選択的に測定することができる。図1に示すように、テラヘルツ波は、自由水に対して非常に敏感であるため、角層における自由水だけを測定することができる。
ATRプリズム31の出射面から出射したテラヘルツ波は、パラボリックミラーPB4、PB5を介して、光伝導アンテナOA2の光伝導膜に集光される。
一方、ミラーM5を介して入射したプローブ光は、パラボリックミラーPB6の放物面状の反射面において光伝導アンテナOA2の光伝導膜に集光される。光伝導アンテナOA2は、アンテナ間ギャップに集光されたATRプリズム31からのテラヘルツ波とプローブ光とが時間的に重なるタイミングで、アンテナ間ギャップにテラヘルツ波の強度に対応した電位差を発生させて電流が流れる。
このような光伝導アンテナOA1、OA2は、ダイポール型光伝導アンテナ(G10620-11、浜松ホトニクス株式会社)を用いて構成することができる。
(プリアンプ40)
プリアンプ40は、光伝導アンテナOA2により検出された電流を含む測定信号を増幅する。
(ロックインアンプ50)
ロックインアンプ50は、プリアンプ40により増幅された測定信号に埋もれた繰り返し成分を増幅する。例えば、ロックインアンプ50は、光遅延ユニット20によるポンプ光に対するプローブ光の遅延時間に対応した周波数の参照信号を測定信号に乗算することにより、当該周波数と等しい周波数成分を抽出して所望の繰り返し信号を増幅する。ロックインアンプ50により増幅された信号成分は、例えば、時間領域における電場波形として演算処理装置100に送られる。
以上のように、光遅延ユニット20によりポンプ光に対するプローブ光の遅延時間をシフトしつつ光伝導アンテナOA2により検出された測定信号の取得を繰り返すことで、電場波形を取得することが可能になる。
(演算処理装置100)
演算処理装置100は、取得された時間領域の電場波形から所望の深さ範囲における誘電損失を求め、求められた誘電損失に対応した自由水量を特定し、2以上の深さ範囲における誘電損失を用いて皮膚の深さ方向の自由水量の変化を表す深さプロファイルを生成することが可能である。
図3に、実施形態に係る演算処理装置100の動作を説明するための概略図を示す。図3では、被測定試料としての皮膚の表面の位置を「0」と表し、皮膚の内部の方向である深さ方向の深さ位置z、z(0<z<z)におけるエバネッセント波が模式的に表されている。
演算処理装置100は、皮膚の表面から深さ位置zまでの第1深さ範囲R1における第1誘電損失と、皮膚の表面から深さ位置zまでの第2深さ位置R2における第2誘電損失とを取得する。
第1例では、演算処理装置100は、上記のように取得された電場波形に対して所定の演算処理を施すことにより第1誘電損失及び第2誘電損失を取得する。第2例では、演算処理装置100は、上記のように、外部に設けられた装置から第1誘電損失及び第2誘電損失を取得する。
以下、第1例について説明する。
演算処理装置100は、第1誘電損失と第2誘電損失と第1深さ範囲R1における誘電損失に対する第2深さ範囲R2における誘電損失の寄与率とに基づいて、深さ位置zから深さ位置zまでの第3深さ範囲R3における第3誘電損失を算出する。いくつかの実施形態では、寄与率は、上記のように取得された電場波形を用いて算出される。いくつかの実施形態では、寄与率は、経験則等によって推定されたり、算出された所定の寄与率を経験則等によって補正することにより得られる。
演算処理装置100は、純水における第3深さ範囲R3における誘電損失を基準に、算出された皮膚の第3誘電損失に対応する自由水量を特定する。これにより、皮膚の所望の深さ範囲における自由水量を特定することができる。
演算処理装置100は、深さ位置z、zを変更しつつ上記の手順を繰り返すことで、互いに異なる2以上の深さ範囲における自由水量を特定し、特定された2以上の自由水量を用いて深さプロファイルを生成することができる。
図4~図6に、演算処理装置100の構成例のブロック図を示す。図4は、演算処理装置100の構成例の機能ブロック図を表す。図5は、図4のスペクトル算出部110の構成例の機能ブロック図を表す。図6は、図4の誘電損失算出部120の構成例の機能ブロック図を表す。
演算処理装置100は、スペクトル算出部110と、誘電損失算出部120と、自由水量特定部130と、深さプロファイル生成部140とを含む。
(スペクトル算出部110)
スペクトル算出部110は、上記のように取得された時間領域の電場波形から誘電損失スペクトルを算出する。スペクトル算出部110は、図5に示すように、第1スペクトル算出部111と、第2スペクトル算出部112とを含む。第1スペクトル算出部111は、フーリエ変換処理部111Aと、反射率スペクトル算出部111Bと、位相差スペクトル算出部111Cとを含む。
第1スペクトル算出部111は、時間領域の電場波形から反射率スペクトルR(ν)と位相差スペクトルφ(ν)とを算出する。
具体的には、フーリエ変換処理部111Aは、時間領域の電場波形に対してフーリエ変換を施し、周波数領域の強度スペクトル及び位相スペクトル(波形)を生成する。実施形態では、フーリエ変換処理部111Aは、ATRプリズム31の反射面に被測定試料としての皮膚が接触された状態で取得された電場波形に対してフーリエ変換を施し、強度スペクトル及び位相スペクトルを生成する。また、フーリエ変換処理部111Aは、ATRプリズム31の反射面に被測定試料がない状態で取得された電場波形に対してフーリエ変換を施し、強度スペクトル及び位相スペクトルを生成する。
反射率スペクトル算出部111Bは、ATRプリズム31の反射面に被測定試料としての皮膚が接触された状態で取得された強度スペクトルと、ATRプリズム31の反射面に被測定試料がない状態で取得された強度スペクトルとを用いて、反射率スペクトルR(ν)を算出する。
位相差スペクトル算出部111Cは、ATRプリズム31の反射面に被測定試料としての皮膚が接触された状態で取得された位相スペクトルと、ATRプリズム31の反射面に被測定試料がない状態で取得された位相スペクトルとを用いて、位相差スペクトルφ(ν)を算出する。
ATRプリズム31の反射面に被測定試料としての皮膚が接触された状態で取得された強度スペクトル及び位相スペクトルをEsam[~](ν)と表し、ATRプリズム31の反射面に被測定試料がない状態で取得された強度スペクトル及び位相スペクトルをEref[~](ν)と表すと、式(2)のように表すことができる。
Figure 0007418005000006
従って、反射率スペクトル算出部111Bは、フーリエ変換処理後のEsam[~](ν)とEref[~](ν)を用いて式(2)に従って演算処理を行い、求められた演算結果の実部から反射率スペクトルR(ν)を算出することができる。同様に、位相差スペクトル算出部111Cは、フーリエ変換処理後のEsam[~](ν)とEref[~](ν)を用いて式(2)に従って演算処理を行い、求められた演算結果から位相差スペクトルφ(ν)を算出することができる。
第2スペクトル算出部112は、フレネル(Fresnel)の式と、第1スペクトル算出部111(反射率スペクトル算出部111B)により求められた反射率スペクトルR(ν)と第1スペクトル算出部111(位相差スペクトル算出部111C)により求められた位相差スペクトルφ(ν)とから誘電損失スペクトルを算出する。
フレネルの式を用いると、p偏光のとき、式(3)のように表すことができる。
Figure 0007418005000007
式(2)と式(3)を連立して解くと、複素誘電率ε[~](ν)(=ε′(ν)-iε″(ν))を求めることができる。誘電損失スペクトルは、複素誘電率ε[~](ν)の虚部ε″(ν)に相当する。
(誘電損失算出部120)
誘電損失算出部120は、第1深さ範囲R1における第1誘電損失と、第2深さ位置R2における第2誘電損失と、第1深さ範囲R1における誘電損失に対する第2深さ範囲R2における誘電損失の寄与率とに基づいて、第3深さ範囲R3の第3誘電損失を算出する(図3参照)。
誘電損失算出部120は、第2スペクトル算出部112により算出された誘電損失スペクトルε″(ν)から第1誘電損失及び第2誘電損失を取得する。また、誘電損失算出部120は、上記の寄与率を算出するための寄与率算出部121を含む。
上記のように、エバネッセント波が局在する深さ位置d(ν)が光の強度が1/e倍になる深さ位置である。従って、皮膚の表面から深さ位置zまでの範囲に局在しているエバネッセント波は、全体の(1-1/e)の割合である。
すなわち、周波数νにおける深さ位置d(ν)=zであるとき、皮膚の表面から深さ位置zまでの第1深さ範囲R1における第1誘電損失は、(1-1/e)×ε″(ν)(≒0.864×ε″(ν))により求められる。従って、誘電損失算出部120は、第2スペクトル算出部112により算出された誘電損失スペクトルε″(ν)から第1誘電損失を取得することが可能である。
同様に、周波数νにおける深さ位置d(ν)=zであるとき、皮膚の表面から深さ位置zまでの第2深さ範囲R2における第2誘電損失は、(1-1/e)×ε″(ν)により求められる。従って、誘電損失算出部120は、第2スペクトル算出部112により算出された誘電損失スペクトルε″(ν)から第2誘電損失を取得することが可能である。
皮膚の表面から深さ位置zまでの範囲における誘電損失が全体の誘電損失(吸収)に占める寄与率をC0zと表すと、式(4)のように表すことができる(K.Ohta et al.,“Experimental proof of the relation between thickness of the probed surface layer and absorbance in FT-IR/ATR spectroscpy”, Appl.Spectre, 39,pp.418-425,(1985))。
Figure 0007418005000008
すなわち、寄与率算出部121は、式(4)に従って寄与率C0z(ν)を算出することができる。なお、全体の誘電損失を皮膚の表面から深さ位置zまでの範囲の誘電損失とし、式(4)における深さ位置zを深さ位置zとすることで、第1深さ範囲R1における誘電損失に対する第2深さ範囲R2における誘電損失の寄与率が求められる。なお、式(4)において、d(ν)は、式(1)から求められる。
ここで、皮膚の表面(ATRプリズム31の反射面)から深さ位置zまでの寄与率をC0zn(ν)と表し、誘電損失をε″0zn(ν)と表し、深さ位置zから深さ位置zまでの第3深さ範囲R3における誘電損失をε″znzm(ν)と表すと、皮膚の表面から深さ位置zまでの第1深さ範囲R1における誘電損失ε″0zm(ν)は、式(5)のように表すことができる。
Figure 0007418005000009
式(5)において、エバネッセント波が局在する深さ位置d(ν)についてd(ν)=z、d(ν)=zを満たす周波数ν、ν(ν>ν)を考慮すると、式(5)は式(6)のように変形することができる。
Figure 0007418005000010
式(6)において、(1-1/e)は、皮膚の表面から深さ位置d(ν)までの範囲に局在しているエバネッセント波に由来する誘電損失の割合に対応する係数である。
第3深さ範囲R3における誘電損失ε″znzmについて式(6)を変形すると、式(7)が得られる。
Figure 0007418005000011
式(7)において、寄与率C0zn(ν)は式(4)より求められる。従って、測定により得られた皮膚の表面から第1深さ位置zまでの第1深さ範囲R1における誘電損失ε″0zmと皮膚の表面から第2深さ位置zまでの第2深さ範囲R2における誘電損失ε″0znを用いて、第1深さ位置zから第2深さ位置zまでの第3深さ範囲R3における誘電損失ε″znzmを算出することができる。
以上のように、誘電損失算出部120は、第3深さ範囲R3の第3誘電損失である誘電損失ε″znzmを算出することができる。
(自由水量特定部130)
自由水量特定部130は、純水における第3深さ範囲R3における誘電損失を基準に、誘電損失算出部120により算出された第3深さ範囲R3における誘電損失ε″znzmに対応する自由水量を特定する。
例えば、自由水量特定部130は、誘電損失算出部120により算出された第3深さ範囲R3における誘電損失ε″znzmを被除数とし、純水における第3深さ範囲R3における誘電損失を除数とする除算処理を行うことにより自由水量を求める。
具体的には、被測定試料としての純水に対してTHz TD-ATR分光測定により得られた電場波形に対して上記のように第3深さ範囲R3における誘電損失ε″waterが求められる。同様に、被測定試料としての皮膚に対してTHz TD-ATR分光測定により得られた電場波形に対して上記のように第3深さ範囲R3における誘電損失ε″znzmが求められる。純水では自由水が100%であるため、自由水量特定部130は、ε″znzm/ε″waterの比を求めることにより第1深さ位置zから第2深さ位置zまでの第3深さ範囲R3における自由水量(誘電損失ε″znzmに対応する自由水量)を算出する。
(深さプロファイル生成部140)
深さプロファイル生成部140は、互いに異なる2以上の第3深さ範囲における誘電損失ε″znzmのそれぞれに対応する2以上の自由水量に基づいて深さプロファイルを生成する。
いくつかの実施形態では、深さプロファイル生成部140は、互いに異なる2以上の第1深さ範囲における誘電損失ε″0zmと、互いに異なる2以上の第2深さ範囲における誘電損失ε″0znを用いて算出された2以上の第3深さ範囲における誘電損失ε″znzmのそれぞれに対応する2以上の自由水量に基づいて深さプロファイルを生成する。
いくつかの実施形態では、深さプロファイル生成部140は、1つの第1深さ範囲における誘電損失ε″0zmと、互いに異なる2以上の第2深さ範囲における誘電損失ε″0znを用いて算出された2以上の第3深さ範囲における誘電損失ε″znzmのそれぞれに対応する2以上の自由水量に基づいて深さプロファイルを生成する。
すなわち、深さプロファイル生成部140は、互いに異なる2以上の第2深さ範囲における誘電損失ε″0znを少なくとも用いて算出された2以上の第3深さ範囲における誘電損失ε″znzmのそれぞれに対応する2以上の自由水量に基づいて深さプロファイルを生成する。
それにより、皮膚の深さ方向について自由水量の変化を容易に評価することが可能になるため、皮膚に含まれる水の「質」をより高精度に評価することができるようになる。
このような演算処理装置100の機能は、1以上のプロセッサにより実現される。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス(例えば、SPLD(Simple Programmable Logic Device)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array))等の回路を含む。プロセッサは、例えば、記憶回路又は記憶装置に格納されているプログラムを読み出し実行することで、実施形態に係る機能を実現する。記憶回路又は記憶装置がプロセッサに含まれていてよい。また、記憶回路又は記憶装置がプロセッサの外部に設けられていてよい。
いくつかの実施形態では、演算処理装置100の機能は、演算処理装置100の各部に対応した複数のプロセッサにより実現される。
フェムト秒レーザー10、ビームスプリッタBS1、光遅延ユニット20、測定ユニット30、及びスペクトル算出部110は、実施形態に係る「取得部」の一例である。誘電損失算出部120は、実施形態に係る「算出部」の一例である。自由水量特定部130は、実施形態に係る「特定部」の一例である。深さプロファイル生成部140は、実施形態に係る「プロファイル生成部」の一例である。フェムト秒レーザー10、ビームスプリッタBS1、光遅延ユニット20、及び測定ユニット30は、実施形態に係る「テラヘルツ全反射減衰分光測定系」の一例である。フェムト秒レーザー10、ビームスプリッタBS1、光伝導アンテナOA1は、実施形態に係る「テラヘルツ発生部」の一例である。ATRプリズム31は、実施形態に係る「プリズム」の一例である。光遅延ユニット20及び光伝導アンテナOA2は、実施形態に係る「検出部」の一例である。
<動作例>
次に、実施形態に係る自由水測定装置1の動作例について説明する。以下では、演算処理装置100が自由水測定装置1の各部を制御するものとして説明するが、実施形態に係る構成はこれに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、以下で説明する動作フローの一部(例えば、ステップS1及びステップS2の少なくとも一方)が手動により実行される。
図7及び図8に、実施形態に係る自由水測定装置1の動作例を示す。図7は、実施形態に係る自由水測定装置1の動作例のフロー図を表す。図8は、図7のステップS3の動作例のフロー図を表す。演算処理装置100の図示しない記憶部には、図7及び図8に示す処理を実現するためのコンピュータプログラムが記憶されている。演算処理装置100は、このコンピュータプログラムに従って動作することにより、図7及び図8に示す処理を実行することが可能である。
(S1:皮膚に対するTHz TD-ATR分光測定)
被測定試料としての皮膚がATRプリズム31の反射面に接触されると、演算処理装置100は、フェムト秒レーザー10、光遅延ユニット20、プリアンプ40、ロックインアンプ50、及び演算処理装置100の一部を制御することにより、皮膚に対するTHz TD-ATR分光測定を実行する。いくつかの実施形態では、演算処理装置100は、必要に応じて測定ユニット30を制御する。
具体的には、演算処理装置100は、フェムト秒レーザー10を制御してパルス光を発生させて、ATRプリズム31の反射面に照射させるテラヘルツ波を発生させる。同時に、演算処理装置100は、ポンプ光に対するプローブ光の遅延時間が連続的に又は段階的にシフトするように光遅延ユニット20を制御し、光伝導アンテナOA2からの検出信号をプリアンプ40、及びロックインアンプ50を介して取得することで、電場波形を取得する。
演算処理装置100は、上記のようにスペクトル算出部110を制御し、取得された電場波形から皮膚の誘電損失スペクトルを求める。
(S2:純水に対するTHz TD-ATR分光測定)
続いて、演算処理装置100は、ステップS1と同様に、被測定試料としての純水に対するTHz TD-ATR分光測定を実行する。
演算処理装置100は、上記のようにスペクトル算出部110を制御し、取得された電場波形から純水の誘電損失スペクトルを求める。
いくつかの実施形態では、ステップS2の後にステップS1が実行される。いくつかの実施形態では、ステップS2が事前に(例えば、別日に)実行されており、ステップS1の後に次のステップS3が実行される。
(S3:自由水量の特定処理)
次に、演算処理装置100は、ステップS1において取得された皮膚の誘電損失スペクトルとステップS2において取得された純水の誘電損失スペクトルとを用いて、皮膚における所望の深さ範囲における自由水量の特定処理を実行する。ステップS3の詳細については、後述する。
(S4:次の深さ範囲?)
次に、演算処理装置100は、次の深さ範囲における自由水量の特定処理を実行するか否かを判定する。
いくつかの実施形態では、演算処理装置100は、既定の深さについてのステップS3の処理があらかじめ決められた回数だけ実行されたか否かを判定することにより、次の深さ範囲における自由水量の特定処理を実行するか否かを判定する。
いくつかの実施形態では、演算処理装置100は、既定の深さについてのステップS3の処理であらかじめ決められた深さ範囲が網羅されたか否かを判定することにより、次の深さ範囲における自由水量の特定処理を実行するか否かを判定する。
ステップS4において、次の深さ範囲における自由水量の特定処理を実行すると判定されたとき(S4:Y)、自由水測定装置1の動作はステップS3に移行する。このとき、2回目以降に実行されるステップS3では、直前に実行された深さ範囲と異なる深さ範囲における自由水量が特定される。
ステップS4において、次の深さ範囲における自由水量の特定処理を実行しないと判定されたとき(S4:N)、自由水測定装置1の動作はステップS5に移行する。
(S5:深さプロファイルを生成)
ステップS4において、次の深さ範囲における自由水量の特定処理を実行しないと判定されたとき(S4:N)、演算処理装置100は、深さプロファイル生成部140を制御し、2回以上ステップS3を実行することにより特定された2以上の自由水量を用いて深さプロファイルを生成する。
以上で、自由水測定装置1の動作は終了である(エンド)。
図7のステップS3では、図8に示すように実行される。
図8では、ステップS1において取得された皮膚の誘電損失スペクトルに対してステップS11~ステップS16が実行された後に、ステップS2において取得された純水の誘電損失スペクトルに対してステップS11~ステップS16が実行される場合について説明する。しかしながら、図8において、ステップS2において取得された皮膚の誘電損失スペクトルに対してステップS11~ステップS16が実行された後に、ステップS1において取得された皮膚の誘電損失スペクトルに対してステップS11~ステップS16が実行されてもよい。
(S11:フーリエ変換処理)
まず、演算処理装置100において、フーリエ変換処理部111Aは、ステップS1において取得された皮膚の電場波形に対してフーリエ変換を施し、周波数領域における強度スペクトル及び位相スペクトルを生成する。
(S12:反射率スペクトルを算出、位相差スペクトルを算出)
続いて、演算処理装置100において、反射率スペクトル算出部111Bは、上記のように、ステップS11において得られた強度スペクトル及び位相スペクトルとあらかじめ取得された被測定試料がないときの強度スペクトル及び位相スペクトルとを用いて式(2)に従って演算処理を実行し、求められた演算結果から反射率スペクトルを算出する。
同様に、位相差スペクトル算出部111Cは、上記のように、ステップS11において得られた強度スペクトル及び位相スペクトルとあらかじめ取得された被測定試料がないときの強度スペクトル及び位相スペクトルとを用いて式(2)に従って演算処理を実行し、求められた演算結果から位相差スペクトルを算出する。
いくつかの実施形態では、ステップS12において、被測定試料がないときの電場波形を取得し、取得された電場波形から被測定試料がないときの強度スペクトル及び位相スペクトルが求められる。
(S13:誘電損失スペクトルを算出)
続いて、演算処理装置100において、第2スペクトル算出部112は、上記のように、フレネル(Fresnel)の式と、ステップS12において求められた反射率スペクトル及び位相差スペクトルから誘電損失スペクトルを算出する。
(S14:z~zの深さ範囲及びz~zの深さ範囲の誘電損失を算出)
次に、演算処理装置100において、誘電損失算出部120は、上記のように、ステップS13において算出された誘電損失スペクトルから深さ位置zから深さ位置zまでの第1深さ範囲における誘電損失を算出する。
深さ位置zの初期値は、被測定試料の表面に相当する深さ位置である。ステップS14が2回目以降に実行されるとき、深さ位置z、zを更新することにより、互いに異なる2以上の第1深さ範囲における誘電損失を算出することができる。
同様に、誘電損失算出部120は、上記のように、ステップS13において算出された誘電損失スペクトルから深さ位置zから深さ位置zまでの第2深さ範囲における誘電損失を算出する。ステップS14が2回目以降に実行されるとき、深さ位置z、zを更新することにより、互いに異なる2以上の第2深さ範囲における誘電損失を算出することができる。
(S15:寄与率を算出)
次に、演算処理装置100において、寄与率算出部121は、上記のように式(4)に従って、第1深さ範囲における誘電損失に対する第2深さ範囲における誘電損失の寄与率を算出する。
(S16:z~zの深さ範囲の誘電損失を算出)
次に、演算処理装置100において、誘電損失算出部120は、上記のように、ステップS14において取得された第1深さ範囲における誘電損失と第2深さ範囲における誘電損失とステップS15において取得された寄与率とを用いて、深さ位置zから深さ位置zまでの第3深さ範囲における誘電損失を算出する。
(S17:次?)
続いて、演算処理装置100は、次の第3深さ範囲における誘電損失を算出するか否かを判定する。ここでは、ステップS11~ステップS16がステップS1において取得された皮膚の誘電損失スペクトルに対して実行されたとき、演算処理装置100は、純水について第3深さ範囲における誘電損失を算出すると判定する。ステップS11~ステップS16がステップS2において取得された純水の誘電損失スペクトルに対して実行されたとき、演算処理装置100は、次の第3深さ範囲における誘電損失を算出しないと判定する。
ステップS17において、次の第3深さ範囲における誘電損失を算出すると判定されたとき(S17:Y)、自由水測定装置1の動作はステップS11に移行する。このとき、例えば、深さ位置zは深さ位置zに更新され、深さ位置zは深さ位置zに更新され、深さ位置zは新たな深さ位置z(0<z<z<z)に更新される。
ステップS17において、次の第3深さ範囲における誘電損失を算出しないと判定されたとき(S17:N)、自由水測定装置1の動作はステップS18に移行する。
(S18:自由水量を特定)
ステップS17において、次の第3深さ範囲における誘電損失を算出すると判定されたとき(S17:Y)、演算処理装置100において、自由水量特定部130は、被測定試料としての皮膚について算出された第3深さ範囲R3における誘電損失を被除数とし、被測定試料としての純水における第3深さ範囲R3における誘電損失を除数とする除算処理を行うことにより自由水量を求める。
以上で、図7のステップS3の処理は終了である(エンド)。
なお、純水についてステップS16の演算結果があらかじめ既知である場合、皮膚についてステップS11~ステップS16の処理を実行した後、ステップS18が実行される。
<評価例>
上記の実施形態によれば、従来では評価すら困難であった以下のような自由水量(又は水和水)の分布又は変化を高精度に評価することができるようになる。それにより、新たに水の「質」を高精度に評価することが可能になる。
以下、実施形態に係る自由水測定装置1を用いた測定により取得された自由水量(又は水和水量)の評価例について説明する。
以下、ヘアレスマウスの腹部の皮膚(20mm×30mm)に対するTHz TD-ATR分光測定により得られた測定結果の評価例について説明する。
測定対象のヘアレスマウスは、顆粒層における表皮側に最も近いSG1層で特異的に発現するSkin Aspartic Protease(SASPase)遺伝子をヘテロで有する。このヘアレスマウスは、電気伝導率測定計(ASA-M3、日本アッシュ株式会社)を用いた予備測定において、SASPase遺伝子をホモで有する野生型と同程度の水分量が角層に含まれていることが確認されている。
(第1評価例)
第1評価例は、皮膚に塗布される化粧水中の水の状態を評価した例である。本評価例では、化粧水として1ミリリットルの薬用雪肌精(登録商標)(株式会社コーセー)がヘアレスマウスの腹部に塗布される。
図9Aに、純水に対するTHz TD-ATR分光測定により得られた電場波形と、化粧水を塗布したヘアレスマウスの腹部の皮膚に対するTHz TD-ATR分光測定により得られた電場波形とを示す。図9Aにおいて、横軸は時間を表し、縦軸は光伝導アンテナOA2により検出された電流レベル(単位:pA)を表す。なお、図9Aでは、バックグランド測定(被測定試料がない場合)により得られた電場波形も図示されている。また、図9Aの右上の挿入図は、ピーク位置付近の拡大図である。
図9Aに示すように、バックグラウンド測定結果と比較すると、純水(波形P1)も化粧水が塗布された腹部の皮膚(波形P2)も、パルスの振幅が減少し、且つ、パルスのピーク位置の遅延が認められる。これは、エバネッセント波が、被測定試料の内部にしみ出し、被測定試料の内部における水と相互作用し、吸収及び位相遅延が発生していることを意味する。
また、吸収に由来する振幅の減少幅は、化粧水が塗布された腹部の皮膚(波形P2)に比べて純水(波形P1)の方が顕著に大きい。これは、化粧水中に様々な基剤が含まれているため、一部の水分子が水和水として基剤に関与し、自由水のみからな純水に比べてテラヘルツ波の吸収が小さくなっていることを意味する。
図9Bに、図9Aの純水の誘電スペクトルとヘアレスマウスの腹部の皮膚に塗布された化粧水の誘電スペクトルの一例を示す。図9Bにおいて、横軸は周波数を表し、縦軸は誘電損失(吸収の大きさ)を表す。
図9Bに示す誘電損失スペクトルは、図9Aに示す電場波形に対してフーリエ変換を施し、得られた複素誘電率の虚部から求められる。
純水(波形P3)及び化粧水(波形P4)のそれぞれの誘電スペクトルは、0.2~3.0THzの周波数領域において単調減少する。これは、THz TD-ATR分光測定の帯域が、20GHzの近傍にピークが位置する自由水の吸収特性の裾野領域(図1参照)に対応することに起因する。
また、純水(波形P3)のスペクトル形状と化粧水(波形P4)のスペクトル形状とは類似している。これは、テラヘルツ領域において、化粧水に含まれる基剤に特有の吸収ピークが現れず、化粧水に含まれる自由水だけが誘電損失スペクトルに寄与していることを表している。すなわち、波形P3に対する波形P4の比は、純水に対する化粧水中の自由水量の比を表し、本測定例では66.1±0.05%であると見積もられる。
この自由水量の比は、赤外領域で見られるH-O-H変角振動ピークから推定される水分量比(89.9%)よりも有意に大きい。これは、水分量比が自由水と水和水とを区別することなく観測されるのに対して、本測定例では、自由水だけを区別して観測できることを意味する。従って、本測定例によれば、推定された水分量比に対する上記の自由水量の差分である23.8(=89.9-66.1)%が水和水量であることを特定することができる。
(第2評価例)
第2評価例は、皮膚における自由水量の分布を評価した例である。テラヘルツ波は、自由水のみで吸収され、水以外の角質構成成分でほとんど吸収されない。従って、ヘアレスマウスの腹部の皮膚を測定対象として得られた誘電損失スペクトルから角質層内の自由水量を定量的に評価することが可能である。
図10Aに、純水を測定対象としたときの誘電損失スペクトルとヘアレスマウスの腹部の皮膚を測定対象としたときの誘電損失スペクトルの一例を示す。図10Aにおいて、横軸は周波数を表し、縦軸は誘電損失を表す。また、図10Aの右上の挿入図は、純水の誘電損失に対するヘアレスマウスの腹部の皮膚の誘電損失の比(吸収比)を表す。
ヘアレスマウスの腹部の皮膚の誘電損失スペクトル(波形P5)の形状は、純水の誘電損失スペクトル(波形P6)の形状に類似し、非常に小さい値を持つ。図10Aの挿入図に示すように、純水の誘電損失に対するヘアレスマウスの腹部の皮膚の誘電損失の比は周波数依存性があり、周波数の増加に伴い自由水量が減少する傾向がある。式(1)に示すように、エバネッセント波が局在する深さ位置d(ν)は、周波数が高くなるほど浅くなる。すなわち、周波数ごとに上記の比が減少することは、ヘアレスマウスの表皮内の深さ方向における自由水量の勾配を反映していると考えられる。
図10Bに、ヘアレスマウスの腹部における自由水量の深さプロファイルの一例を示す。図10Bにおいて、横軸は深さ方向の深さ位置を表し、縦軸は含水量を表す。なお、図10Bにおいて、共焦点ラマン分光測定により得られたヒトの前腕における水分量の深さプロファイル(波形P7)が示されている。
図10Bは、図10Aの測定結果から算出される。図10Bに示す自由水量の深さプロファイル(波形P8)は、ヘアレスマウスの腹部の皮膚の表面から深さ位置10μmから深さ位置15μmまでの範囲で自由水量が急激に増加し、深さ位置50μmまで自由水量がなだらかに増加することを示している。更に深い領域では、自由水量が略一定になる。
図10Bに示す共焦点ラマン分光測定により得られた水分量(波形P7)は、自由水量と水和水量との和である。従って、波形P7と波形P6との差分は、ヘアレスマウスの皮膚の表皮内の水和水量を反映したものである。
(第3評価例)
第3評価例は、ヘアレスマウスの腹部の皮膚に対して純水を塗布したときの自由水量の変化と化粧水を塗布したときの自由水量の変化を評価した例である。本評価例において、化粧水は第1評価例と同様のものである。また、腹部の皮膚に塗布される純水の量及び化粧水の量のそれぞれは、1ミリリットルである。
図11Aに、ヘアレスマウスの腹部の皮膚に純水を塗布したときの自由水量の深さプロファイルの経時変化の一例と、ヘアレスマウスの腹部の皮膚に化粧水を塗布したときの自由水量の深さプロファイルの経時変化の一例とを示す。図11Aの上段は、腹部の皮膚に純水を塗布したときの自由水量の深さプロファイルの経時変化の一例を表す。図11Aの下段は、腹部の皮膚に化粧水を塗布したときの自由水量の深さプロファイルの経時変化の一例を表す。図11Aにおいて、横軸は深さ位置を表し、縦軸は自由水量を表す。
図11Aでは、純水又は化粧水の塗布前の深さプロファイル、純水又は化粧水の塗布後1分経過した時点での深さプロファイルと、純水又は化粧水の塗布後11分経過した時点での深さプロファイルとが示されている。
純水を塗布した後に1分が経過した時点と化粧水を塗布した後に1分が経過した時点では、自由水量が増加し、特に皮膚の表面付近で著しく増加する。しかし、塗布後に11分が経過した時点では、純水を塗布した皮膚の表皮内の自由水量が塗布直前と同程度まで減少している。これに対して、化粧水を塗布した皮膚の表皮内の自由水量は、有意に高いレベルに保たれている。
図11Bに、純水の塗布前の自由水量に対する塗布後の自由水量の比(相対自由水量)の経時変化の一例と、化粧水の塗布前の自由水量に対する塗布後の自由水量の比の経時変化の一例とを示す。図11Bの上段は、純水の塗布前の自由水量に対する塗布後の自由水量の比の経時変化を表す。図11Bの下段は、化粧水の塗布前の自由水量に対する塗布後の自由水量の比の経時変化を表す。図11Bにおいて、横軸は深さ位置を表し、縦軸は塗布前後の自由水量の比を表す。
図11Bでは、純水又は化粧水の塗布前の自由水量に対する塗布後1分経過した時点での自由水量の比の深さプロファイルと、純水又は化粧水の塗布前の自由水量に対する塗布後11分経過した時点での自由水量の比の深さプロファイルとが示されている。
塗布後1分が経過した時点では、純水を塗布したときと化粧水を塗布したときは、相対自由水量の変化は略同じである。このとき、角質層(深さ位置20μm以下)では自由水量が約3倍に増加し、深さ位置が深くなるのに伴い相対自由水量が「1.5」に収束する。特に、50μmより深い領域において、相対自由水量が50%だけ増加することは、皮膚の表面に晒されていた自由水が角質層のバリアをくぐり抜けて急速に深部へ到達していることを示唆している。
一方、塗布後11分が経過した時点では、純水を塗布したときと化粧水を塗布したときは、相対自由水量の変化に有意な差がある。具体的には、純水を塗布したときは、相対自由水量が「1」(すなわち、塗布前の定常状態)に戻る。これは、塗布した水が蒸発によって失われたものである。これに対して、化粧水を塗布したときは、深さ位置にかかわらず、一様に相対自由水量が50%程度増加している。化粧水中の約1/3は、自由水ではない成分(溶質基剤、水和水)で占められているにもかかわらず、純水に比べて化粧水の方が自由水の保湿能力が優れている。
上記の評価例のように化粧品等の外用剤を塗布した皮膚では、塗布物によって電気伝導度が変化してしまうため、従来の手法では、皮膚に含まれる水分量を正確に測定することが困難であった。これに対して、実施形態に係る装置、方法、又はプログラムによれば、誘電損失によって皮膚の水分量を評価するができる。すなわち、実施形態によれば、電気的性質から水分量を測定するものでないため、化粧品等の外用剤を塗布した皮膚の水分量計測も可能である。
(その他の評価例)
また、SASPase遺伝子をヘテロで有するマウス(正常肌マウス)とSASPase遺伝子ノックアウトに由来するマウス(乾燥肌マウス)のそれぞれについて共焦点ラマン分光測定により皮膚の表皮内の水分量を測定すると、両者に有意に差がある(図示せず)。しかしながら、正常肌マウスと乾燥肌マウスのそれぞれについて上記のように自由水量を算出すると、両者に有意な差がない(図示せず)。これは、皮膚の表皮内の水和水量の差があることを意味する。すなわち、皮膚疾患に水和水が重要であることが示唆される。実施形態によれば、自由水量又は水和水量又はその変化をin-vivoで観察することが可能になり、水の「質」を加味した新たな知見を得ることができるようになる。
(変形例)
上記の実施形態では、測定波として光パルスを用いたTHz TD-ATR分光測定により自由水量を特定する場合について説明したが、実施形態に係る測定方法はこれに限定されるものではない。
いくつかの実施形態では、測定波としてCW波を用いたTHz ATR分光測定により自由水量が特定される。この場合、測定ユニット30により得られた測定結果(スペクトル)から複素誘電率の実部だけが得られる。従って、式(5)では、式(4)から算出される寄与率に代えて、経験則等で推定された寄与率が適用される点を除いて、上記の実施形態と同様に自由水量を特定することが可能である。従って、測定波としてCW波を用いたTHz ATR分光測定により、上記の実施形態と同様に深さプロファイルを生成することが可能である。
いくつかの実施形態では、量子カスケードレーザのような単一周波数のテラヘルツ波を発振するレーザを用いた測定や、メタマテリアルやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)のような狭帯域で動作するセンサを用いた測定により、誘電応答が観測される。この場合、電磁波が局在する深さ位置を連続的又は段階的に変更することで、上記の実施形態と同様に自由水量を特定し、上記の実施形態と同様に深さプロファイルを生成することが可能である。
いくつかの実施形態では、誘電損失算出部120は、外部に設けられた装置から誘電損失スペクトルを取得し、取得された誘電損失スペクトルを用いて、上記の実施形態と同様に自由水量を特定し、上記の実施形態と同様に深さプロファイルを生成する。
いくつかの実施形態では、自由水量ではなく、水和水量を特定し、水和水量の深さプロファイルを生成する。
上記の実施形態(又はその変形例)における被測定試料に塗布される化粧品は、被測定試料の保護、着色、賦香、又は保湿成分等の補給を目的とする塗布物を含む。このような化粧品の例として、基礎化粧品、メーキャップ化粧品、ヘアトニック、香水、歯磨き、シャンプー、リンス、石けん、入浴剤などがある。
上記の実施形態(又はその変形例)における被測定試料に塗布される医薬品は、病気の診断、予防、又は治療を目的として被測定試料に塗布する塗布物を含む。上記の実施形態(又はその変形例)における被測定試料に塗布される医薬部外品は、人体に対する作用が緩和な塗布物を含む。医薬部外品の例として、育毛剤、染毛剤、薬用化粧品、栄養剤などがある。
上記の実施形態(又はその変形例)における被測定試料に塗布される外用剤の例として、外用剤の例として、軟膏、クリーム剤、外用液剤、点眼剤、点鼻剤、座剤、貼付剤、吸入剤、舌下剤などがある。
いくつかの実施形態では、被測定試料の表面に貼付物が貼付される。
いくつかの実施形態では、被測定試料の表面又は内部には機器が装着(接触、又は貼付)される。このような機器の例として、病気の診断、予防、又は治療を目的とする医療機器がある。医療機器の例として、コンタクトレンズがある。
いくつかの実施形態では、上記の実施形態に係る自由水測定方法を実現するためのプログラムを、コンピュータによって読み取り可能な任意の非一時的な記録媒体に記憶させることができる。記録媒体は、磁気、光、光磁気、半導体などを利用した電子媒体であってよい。典型的には、記録媒体は、磁気テープ、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ、ソリッドステートドライブなどである。
また、インターネットやLAN等のネットワークを通じてコンピュータプログラムを送受信することも可能である。
[効果]
実施形態に係る自由水測定装置、自由水測定方法、及びプログラムについて説明する。
いくつかの実施形態に係る自由水測定装置は、取得部(フェムト秒レーザー10、ビームスプリッタBS1、光遅延ユニット20、測定ユニット30、及びスペクトル算出部110)と、算出部(誘電損失算出部120)と、特定部(自由水量特定部130)とを含む。取得部は、被測定試料の表面から第1深さ位置(z)までの第1深さ範囲(R1)の第1誘電損失と、表面から第1深さ位置より浅い第2深さ位置(z)までの第2深さ範囲(R2)の第2誘電損失とを取得する。算出部は、第1誘電損失と、第2誘電損失と、第1深さ範囲における誘電損失に対する第2深さ範囲における誘電損失の寄与率とに基づいて、第1深さ位置から第2深さ位置までの第3深さ範囲(R3)の第3誘電損失を算出する。特定部は、純水における第3深さ範囲の誘電損失を基準に第3誘電損失に対応する自由水量を特定する。
このような構成によれば、第1深さ範囲の第1誘電損失と第2深さ範囲の第2誘電損失とを取得して第1深さ位置から第2深さ位置までの第3深さ範囲の第3誘電損失を算出し、算出された第3誘電損失に対応する自由水量を特定するようにしたので、被測定試料の所望の深さ範囲における自由水量を特定することが可能にある。それにより、被測定試料の内部における自由水量の分布を特定することができ、被測定試料に含まれる水の「質」を高精度に評価することが可能になる。
いくつかの実施形態では、取得部は、純水を被測定試料として第1誘電損失と第2誘電損失とを取得し、特定部は、第3誘電損失を被除数とし、純水における第3深さ範囲の誘電損失を除数とする除算処理を行うことにより自由水量を求める。
このような構成によれば、簡素な処理で、被測定試料の所望の深さ範囲における自由水量を求めることができる。
いくつかの実施形態では、取得部は、互いに異なる2以上の第2深さ範囲について第2誘電損失を取得する。算出部は、取得部により取得された2以上の第2誘電損失のそれぞれについて第3誘電損失を算出する。特定部は、算出部により算出された2以上の第3誘電損失のそれぞれに対応する自由水量を特定する。実施形態に係る自由水測定装置は、特定部により特定された2以上の自由水量に基づいて深さプロファイルを生成するプロファイル生成部(深さプロファイル生成部140)を含む。
このような構成によれば、被測定試料の内部に含まれる自由水量について深さ方向の変化を容易に観察することができるようになり、被測定試料に含まれる水の「質」を高精度に評価することが可能になる。
いくつかの実施形態では、取得部は、テラヘルツ全反射減衰分光測定により得られたスペクトルに基づいて第1誘電損失と第2誘電損失とを取得する。
このような構成によれば、テラヘルツ全反射減衰分光測定を行うことにより、被測定試料の所望の深さ範囲における自由水量を特定することが可能な自由水測定装置を提供することができるようになる。
いくつかの実施形態は、時間領域の電場波形に対してフーリエ変換を施すことにより得られた周波数領域の強度スペクトル及び位相スペクトルと被測定試料がないときの周波数領域の強度スペクトル及び位相スペクトルとを用いて反射率スペクトルと位相差スペクトルとを求める第1スペクトル算出部(111B)と、フレネルの式と第1スペクトル算出部により求められた反射率スペクトルと位相差スペクトルとから誘電損失スペクトルを算出する第2スペクトル算出部(112)と、を含み、取得部は、第2スペクトル算出部により算出された誘電損失スペクトルに基づいて第1誘電損失と第2誘電損失とを取得する。
このような構成によれば、簡素な処理で、被測定試料の内部における自由水量の分布を特定し、被測定試料に含まれる水の「質」を高精度に評価することが可能な自由水測定装置を提供することができるようになる。
いくつかの実施形態では、周波数νの関数としてエバネッセント光の光強度が1/eに減衰する深さ位置をd(ν)と表し、第2深さ位置をzと表し、周波数νの関数として第1深さ範囲における寄与率をC0z(ν)と表すと、式(4)を満たす。
このような構成によれば、簡素な処理で、被測定試料の内部における自由水量の分布を特定し、被測定試料に含まれる水の「質」を高精度に評価することが可能になる。
いくつかの実施形態では、第1深さ位置をzと表し、第2深さ位置をzと表し、周波数νの関数としてエバネッセント光の光強度が1/eに減衰する深さ位置をd(ν)と表し、d(ν)=z、d(ν)=zとし、第1誘電損失に対する第2誘電損失の寄与率をC0zn(ν)と表し、第1誘電損失をε″(ν)と表し、第2誘電損失をε″(νn)と表し、第3誘電損失をε″znzmと表すと、式(7)を満たす。
このような構成によれば、簡素な処理で、被測定試料の内部における自由水量の分布を特定し、被測定試料に含まれる水の「質」を高精度に評価することが可能になる。
いくつかの実施形態では、取得部は、テラヘルツ全反射減衰分光測定系(フェムト秒レーザー10、ビームスプリッタBS1、光遅延ユニット20、及び測定ユニット30)を含む。テラヘルツ全反射減衰分光測定系は、テラヘルツ波を発生するテラヘルツ波発生部(フェムト秒レーザー10、ビームスプリッタBS1、光伝導アンテナOA1)と、テラヘルツ波が照射される表面に被測定試料が接触可能なプリズム(ATRプリズム31)と、表面からの反射波を検出する検出部(光遅延ユニット20及び光伝導アンテナOA2)と、を含む。
このような構成によれば、テラヘルツ全反射減衰分光測定を実行することにより、被測定試料の所望の深さ範囲における自由水量を特定することが可能な自由水測定装置を提供することができるようになる。それにより、被測定試料の内部における自由水量の分布を特定し、被測定試料に含まれる水の「質」を高精度に評価することが可能になる。
いくつかの実施形態では、被測定試料は、第1試料(上皮組織若しくは皮膚、又は表皮組織)の表面に第1試料と電気的性質が異なる物質が塗布された試料である。
このような構成によれば、電気的性質が異なる物質が塗布された第1試料の内部における自由水量の分布を特定し、第1試料に含まれる水の「質」を高精度に評価することが可能になる。
いくつかの実施形態では、被測定試料は、上皮組織若しくは皮膚、又は表皮組織である。
このような構成によれば、植物、動物等の生体の内部における自由水量の分布を特定し、生体に含まれる水の「質」をin-vivoで高精度に評価することが可能になる。
いくつかの実施形態では、被測定試料は、化粧品、医薬品、医薬部外品又は外用剤が塗布された上皮組織若しくは皮膚、又は表皮組織である。
このような構成によれば、化粧品、医薬品、医薬部外品又は外用剤が塗布された植物、動物等の生体の内部における自由水量の分布を特定し、化粧品等が塗布された生体に含まれる水の「質」をin-vivoで高精度に評価することが可能になる。
いくつかの実施形態では、被測定試料は、食品である。
このような構成によれば、食品の内部における自由水量の分布を特定し、食品に含まれる水の「質」を高精度に評価することが可能になる。
いくつかの実施形態は、取得ステップと、算出ステップと、特定ステップとを含む。取得ステップは、被測定試料の表面から第1深さ位置(z)までの第1深さ範囲(R1)の第1誘電損失と、表面から第1深さ位置より浅い第2深さ位置(z)までの第2深さ範囲(R2)の第2誘電損失とを取得する。算出ステップは、第1誘電損失と、第2誘電損失と、第1深さ範囲における誘電損失に対する第2深さ範囲における誘電損失の寄与率とに基づいて、第1深さ位置から第2深さ位置までの第3深さ範囲(R3)の第3誘電損失を算出する。特定ステップは、純水における第3深さ範囲の誘電損失を基準に第3誘電損失に対応する自由水量を特定する。
このような方法によれば、第1深さ範囲の第1誘電損失と第2深さ範囲の第2誘電損失とを取得して第1深さ位置から第2深さ位置までの第3深さ範囲の第3誘電損失を算出し、算出された第3誘電損失に対応する自由水量を特定するようにしたので、被測定試料の所望の深さ範囲における自由水量を特定することが可能にある。それにより、被測定試料の内部における自由水量の分布を特定することができ、被測定試料に含まれる水の「質」を高精度に評価することが可能になる。
いくつかの実施形態では、取得ステップは、純水を被測定試料として第1誘電損失と第2誘電損失とを取得し、特定ステップは、第3誘電損失を被除数とし、純水における第3深さ範囲の誘電損失を除数とする除算処理を行うことにより自由水量を求める。
このような方法によれば、簡素な処理で、被測定試料の所望の深さ範囲における自由水量を求めることができる。
いくつかの実施形態では、取得ステップは、互いに異なる2以上の第2深さ範囲について第2誘電損失を取得する。算出ステップは、取得ステップにおいて取得された2以上の第2誘電損失のそれぞれについて第3誘電損失を算出する。特定ステップは、算出ステップにおいて算出された2以上の第3誘電損失のそれぞれに対応する自由水量を特定する。実施形態に係る自由水測定方法は、特定ステップにおいて特定された2以上の自由水量に基づいて深さプロファイルを生成するプロファイル生成ステップを含む。
このような方法によれば、被測定試料の内部に含まれる自由水量について深さ方向の変化を容易に観察することができるようになり、被測定試料に含まれる水の「質」を高精度に評価することが可能になる。
いくつかの実施形態では、取得ステップは、テラヘルツ全反射減衰分光測定により得られたスペクトルに基づいて第1誘電損失と第2誘電損失とを取得する。
このような方法によれば、テラヘルツ全反射減衰分光測定を行うことにより、被測定試料の所望の深さ範囲における自由水量を特定することが可能な自由水測定方法を提供することができるようになる。
いくつかの実施形態は、時間領域の電場波形に対してフーリエ変換を施すことにより得られた周波数領域の強度スペクトル及び位相スペクトルと被測定試料がないときの周波数領域の強度スペクトル及び位相スペクトルとを用いて反射率スペクトルと位相差スペクトルとを求める第1スペクトル算出ステップと、フレネルの式と第1スペクトル算出ステップにおいて求められた反射率スペクトルと位相差スペクトルとから誘電損失スペクトルを算出する第2スペクトル算出ステップと、を含み、取得ステップは、第2スペクトル算出ステップにおいて算出された誘電損失スペクトルに基づいて第1誘電損失と第2誘電損失とを取得する。
このような方法によれば、簡素な処理で、被測定試料の内部における自由水量の分布を特定し、被測定試料に含まれる水の「質」を高精度に評価することが可能な自由水測定方法を提供することができるようになる。
いくつかの実施形態では、周波数νの関数としてエバネッセント光の光強度が1/eに減衰する深さ位置をd(ν)と表し、第2深さ位置をzと表し、周波数νの関数として第1深さ範囲における寄与率をC0z(ν)と表すと、式(4)を満たす。
このような方法によれば、簡素な処理で、被測定試料の内部における自由水量の分布を特定し、被測定試料に含まれる水の「質」を高精度に評価することが可能になる。
いくつかの実施形態では、第1深さ位置をzと表し、第2深さ位置をzと表し、周波数νの関数としてエバネッセント光の光強度が1/eに減衰する深さ位置をd(ν)と表し、d(ν)=z、d(ν)=zとし、第1誘電損失に対する第2誘電損失の寄与率をC0zn(ν)と表し、第1誘電損失をε″(ν)と表し、第2誘電損失をε″(νn)と表し、第3誘電損失をε″znzmと表すと、式(7)を満たす。
このような方法によれば、簡素な処理で、被測定試料の内部における自由水量の分布を特定し、被測定試料に含まれる水の「質」を高精度に評価することが可能になる。
いくつかの実施形態では、被測定試料は、第1試料(上皮組織若しくは皮膚、又は表皮組織)の表面に第1試料と電気的性質が異なる物質が塗布された試料である。
このような方法によれば、電気的性質が異なる物質が塗布された第1試料の内部における自由水量の分布を特定し、第1試料に含まれる水の「質」を高精度に評価することが可能になる。
いくつかの実施形態では、被測定試料は、上皮組織若しくは皮膚、又は表皮組織である。
このような方法によれば、植物、動物等の生体の内部における自由水量の分布を特定し、生体に含まれる水の「質」をin-vivoで高精度に評価することが可能になる。
いくつかの実施形態では、被測定試料は、化粧品、医薬品、医薬部外品又は外用剤が塗布された上皮組織若しくは皮膚、又は表皮組織である。
このような方法によれば、化粧品、医薬品、医薬部外品又は外用剤が塗布された植物、動物等の生体の内部における自由水量の分布を特定し、化粧品等が塗布された生体に含まれる水の「質」をin-vivoで高精度に評価することが可能になる。
いくつかの実施形態では、被測定試料は、食品である。
このような方法によれば、食品の内部における自由水量の分布を特定し、食品に含まれる水の「質」を高精度に評価することが可能になる。
いくつかの実施形態は、コンピュータに、上記のいずれかに記載の自由水測定方法の各ステップを実行させるプログラムである。
このようなプログラムによれば、第1深さ範囲の第1誘電損失と第2深さ範囲の第2誘電損失とを取得して第1深さ位置から第2深さ位置までの第3深さ範囲の第3誘電損失を算出し、算出された第3誘電損失に対応する自由水量を特定するようにしたので、被測定試料の所望の深さ範囲における自由水量を特定することが可能にある。それにより、被測定試料の内部における自由水量の分布を特定することができ、被測定試料に含まれる水の「質」を高精度に評価することが可能になる。
<その他>
以上に示された実施形態は、この発明を実施するための一例に過ぎない。この発明を実施しようとする者は、この発明の要旨の範囲内において任意の変形、省略、追加等を施すことが可能である。
1 自由水測定装置
10 フェムト秒レーザー
20 光遅延ユニット
30 測定ユニット
31 ATRプリズム
40 プリアンプ
50 ロックインアンプ
100 演算処理装置
110 スペクトル算出部
111 第1スペクトル算出部
111A フーリエ変換処理部
111B 反射率スペクトル算出部
111C 位相差スペクトル算出部
112 第2スペクトル算出部
120 誘電損失算出部
121 寄与率算出部
130 自由水量特定部
140 深さプロファイル生成部

Claims (23)

  1. テラヘルツ全反射減衰分光測定により得られたスペクトルに基づいて、被測定試料の表面から第1深さ位置までの第1深さ範囲の第1誘電損失と、前記表面から前記第1深さ位置より浅い第2深さ位置までの第2深さ範囲の第2誘電損失とを取得する取得部と、
    前記第1誘電損失と、前記第2誘電損失と、前記第1深さ範囲における誘電損失に対する前記第2深さ範囲における誘電損失の寄与率とに基づいて、前記第1深さ位置から前記第2深さ位置までの第3深さ範囲の第3誘電損失を算出する算出部と、
    純水における前記第3深さ範囲の誘電損失を基準に前記第3誘電損失に対応する自由水量を特定する特定部と、
    を含む自由水測定装置。
  2. 前記取得部は、純水を前記被測定試料として前記第1誘電損失と前記第2誘電損失とを取得し、
    前記特定部は、前記第3誘電損失を被除数とし、純水における前記第3深さ範囲の誘電損失を除数とする除算処理を行うことにより前記自由水量を求める
    ことを特徴とする請求項1に記載の自由水測定装置。
  3. 前記取得部は、互いに異なる2以上の前記第2深さ範囲について前記第2誘電損失を取得し、
    前記算出部は、前記取得部により取得された2以上の前記第2誘電損失のそれぞれについて前記第3誘電損失を算出し、
    前記特定部は、前記算出部により算出された2以上の前記第3誘電損失のそれぞれに対応する自由水量を特定し、
    前記特定部により特定された2以上の前記自由水量に基づいて深さプロファイルを生成するプロファイル生成部を含む
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自由水測定装置。
  4. 時間領域の電場波形に対してフーリエ変換を施すことにより得られた周波数領域の強度スペクトル及び位相スペクトルと被測定試料がないときの周波数領域の強度スペクトル及び位相スペクトルとを用いて反射率スペクトルと位相差スペクトルとを求める第1スペクトル算出部と、
    フレネルの式と前記第1スペクトル算出部により求められた前記反射率スペクトルと前記位相差スペクトルとから誘電損失スペクトルを算出する第2スペクトル算出部と、
    を含み、
    前記取得部は、前記第2スペクトル算出部により算出された前記誘電損失スペクトルに基づいて前記第1誘電損失と前記第2誘電損失とを取得する
    ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の自由水測定装置。
  5. 周波数νの関数としてエバネッセント光の光強度が1/eに減衰する深さ位置をd(ν)と表し、前記第2深さ位置をzと表し、周波数νの関数として前記第1深さ範囲における前記寄与率をC0z(ν)と表すと、下記の式を満たす
    ことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の自由水測定装置。
    Figure 0007418005000012
  6. 前記第1深さ位置をzと表し、前記第2深さ位置をzと表し、周波数νの関数としてエバネッセント光の光強度が1/eに減衰する深さ位置をd(ν)と表し、d(ν)=z、d(ν)=zとし、前記第1誘電損失に対する前記第2誘電損失の寄与率をC0zn(ν)と表し、前記第1誘電損失をε″(ν)と表し、前記第2誘電損失をε″(νn)と表し、前記第3誘電損失をε″znzmと表すと、下記の式を満たす
    ことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の自由水測定装置。
    Figure 0007418005000013
  7. 前記取得部は、テラヘルツ全反射減衰分光測定系を含み、
    前記テラヘルツ全反射減衰分光測定系は、
    テラヘルツ波を発生するテラヘルツ波発生部と、
    前記テラヘルツ波が照射される表面に前記被測定試料が接触可能なプリズムと、
    前記表面からの反射波を検出する検出部と、
    を含む
    ことを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の自由水測定装置。
  8. テラヘルツ全反射減衰分光測定系を含み、被測定試料の表面から第1深さ位置までの第1深さ範囲の第1誘電損失と、前記表面から前記第1深さ位置より浅い第2深さ位置までの第2深さ範囲の第2誘電損失とを取得する取得部と、
    前記第1誘電損失と、前記第2誘電損失と、前記第1深さ範囲における誘電損失に対する前記第2深さ範囲における誘電損失の寄与率とに基づいて、前記第1深さ位置から前記第2深さ位置までの第3深さ範囲の第3誘電損失を算出する算出部と、
    純水における前記第3深さ範囲の誘電損失を基準に前記第3誘電損失に対応する自由水量を特定する特定部と、
    を含み、
    前記テラヘルツ全反射減衰分光測定系は、
    テラヘルツ波を発生するテラヘルツ波発生部と、
    前記テラヘルツ波が照射される表面に前記被測定試料が接触可能なプリズムと、
    前記表面からの反射波を検出する検出部と、
    を含む自由水測定装置。
  9. 前記被測定試料は、第1試料の表面に前記第1試料と電気的性質が異なる物質が塗布された試料である
    ことを特徴とする請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の自由水測定装置。
  10. 前記被測定試料は、上皮組織若しくは皮膚、又は表皮組織である
    ことを特徴とする請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の自由水測定装置。
  11. 前記被測定試料は、化粧品、医薬品、医薬部外品又は外用剤が塗布された上皮組織若しくは皮膚、又は表皮組織である
    ことを特徴とする請求項10に記載の自由水測定装置。
  12. 前記被測定試料は、食品である
    ことを特徴とする請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の自由水測定装置。
  13. テラヘルツ全反射減衰分光測定により得られたスペクトルに基づいて、被測定試料の表面から第1深さ位置までの第1深さ範囲の第1誘電損失と、前記表面から前記第1深さ位置より浅い第2深さ位置までの第2深さ範囲の第2誘電損失とを取得する取得ステップと、
    前記第1誘電損失と、前記第2誘電損失と、前記第1深さ範囲における誘電損失に対する前記第2深さ範囲における誘電損失の寄与率とに基づいて、前記第1深さ位置から前記第2深さ位置までの第3深さ範囲の第3誘電損失を算出する算出ステップと、
    純水における前記第3深さ範囲の誘電損失を基準に前記第3誘電損失に対応する自由水量を特定する特定ステップと、
    を含む自由水測定方法。
  14. 前記取得ステップは、純水を前記被測定試料として前記第1誘電損失と前記第2誘電損失とを取得し、
    前記特定ステップは、前記第3誘電損失を被除数とし、純水における前記第3深さ範囲の誘電損失を除数とする除算処理を行うことにより前記自由水量を求める
    ことを特徴とする請求項13に記載の自由水測定方法。
  15. 前記取得ステップは、互いに異なる2以上の前記第2深さ範囲について前記第2誘電損失を取得し、
    前記算出ステップは、前記取得ステップにおいて取得された2以上の前記第2誘電損失のそれぞれについて前記第3誘電損失を算出し、
    前記特定ステップは、前記算出ステップにおいて算出された2以上の前記第3誘電損失のそれぞれに対応する自由水量を特定し、
    前記特定ステップにおいて特定された2以上の前記自由水量に基づいて深さプロファイルを生成するプロファイル生成ステップを含む
    ことを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の自由水測定方法。
  16. 時間領域の電場波形に対してフーリエ変換を施すことにより得られた周波数領域の強度スペクトル及び位相スペクトルと被測定試料がないときの周波数領域の強度スペクトル及び位相スペクトルとを用いて反射率スペクトルと位相差スペクトルとを求める第1スペクトル算出ステップと、
    フレネルの式と前記第1スペクトル算出ステップにおいて求められた前記反射率スペクトルと前記位相差スペクトルとから誘電損失スペクトルを算出する第2スペクトル算出ステップと、
    を含み、
    前記取得ステップは、前記第2スペクトル算出ステップにおいて算出された前記誘電損失スペクトルに基づいて前記第1誘電損失と前記第2誘電損失とを取得する
    ことを特徴とする請求項13~請求項15のいずれか一項に記載の自由水測定方法。
  17. 周波数νの関数としてエバネッセント光の光強度が1/eに減衰する深さ位置をd(ν)と表し、前記第2深さ位置をzと表し、周波数νの関数として前記第1深さ範囲における前記寄与率をC0z(ν)と表すと、下記の式を満たす
    ことを特徴とする請求項13~請求項16のいずれか一項に記載の自由水測定方法。
    Figure 0007418005000014
  18. 前記第1深さ位置をzと表し、前記第2深さ位置をzと表し、周波数νの関数としてエバネッセント光の光強度が1/eに減衰する深さ位置をd(ν)と表し、d(ν)=z、d(ν)=zとし、前記第1誘電損失に対する前記第2誘電損失の寄与率をC0zn(ν)と表し、前記第1誘電損失をε″(ν)と表し、前記第2誘電損失をε″(νn)と表し、前記第3誘電損失をε″znzmと表すと、下記の式を満たす
    ことを特徴とする請求項13~請求項17のいずれか一項に記載の自由水測定方法。
    Figure 0007418005000015
  19. 前記被測定試料は、第1試料の表面に前記第1試料と電気的性質が異なる物質が塗布された試料である
    ことを特徴とする請求項13~請求項18のいずれか一項に記載の自由水測定方法。
  20. 前記被測定試料は、上皮組織若しくは皮膚、又は表皮組織である
    ことを特徴とする請求項13~請求項18のいずれか一項に記載の自由水測定方法。
  21. 前記被測定試料は、化粧品、医薬品、医薬部外品又は外用剤が塗布された上皮組織若しくは皮膚、又は表皮組織である
    ことを特徴とする請求項20に記載の自由水測定方法。
  22. 前記被測定試料は、食品である
    ことを特徴とする請求項13~請求項18のいずれか一項に記載の自由水測定方法。
  23. コンピュータに、請求項13~請求項22のいずれか一項に記載の自由水測定方法の各ステップを実行させることを特徴とするプログラム。
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