本発明の上述及び他の側面、特徴及び利点は、次図面と一緒に提示された次のより具体的なその記述から明らかになる。
図1は、適応ピクセルを形成する光束の異なる構成を示す。
図2は、バージェンスピクセルを形成する光束の構成を示し、解像度の減少の代償として適合的眼球離反運動の不一致を解決する。
図3は、高解像度でバージェンスピクセルを形成する光束の構成を示すが、適合的眼球離反運動の不一致を解決しない。
図4は、一つの単一の中心光線405として表現された光線404の光束を示す。
図5は、光束を捕捉する目の部分を示す。
図6は、ディスプレイに対向するマイクロレンズアレイを示す。この構成に由来する光束が、空間において適応ピクセルに交差する。
図7は、可変解像度及び対応の可変インターレースで3Dピクセルを持つ幾つかの平面を生成する実施形態を示す。
図8は、赤(R)、青(B)、白(W)及び緑(G)サブピクセルを持つディスプレイを示す。各ピクセルは、サブピクセルのRBWGセットである。
図9は、レンズアレイの異なるレンズが、光束のウエスト面で適応ピクセルを形成する従来技術の実施形態を示す。
図10は、レンズアレイの異なるレンズが、ウエスト面でインターレースされた画像を生成し、知覚解像度が高められる実施形態を示す。
図11は、ターンオンされたサブピクセルの異なるセットを有する図10と同一の実施形態を示す。
図12は、図10に示したものと同様の実施形態を示すが、レンズアレイの幾つかのレンズをここで示す。
図13は、各レンズの開口が異なるチャンネルに分割されることを示す実施形態を示す。
図14は、RGBデルタ構成のディスプレイを示す。
図15は、マイクロレンズの異なるファミリー:A,B,Cを有するレンズアレイを示す。
図16は、伝統的なペンタイル(pentile)構成で正方形状の小型レンズのマトリクス構成をディスプレイに係数2でインターレースし、達成可能な解像度が半分になることを示す。
図17は、ペンタイルRGBG構成のディスプレイを示す。
図18は、小型レンズの4ファミリーの一つのクラスターに対応する異なるo-ピクセル構成を示す。
図19は、小型レンズの4ファミリーの一つのクラスターに対応する異なるo-ピクセル構成を示す。
図20は、小型レンズの4ファミリーの一つのクラスターに対応する異なるo-ピクセル構成を示す。
図21は、緑a-ピクセルの虚像におけるa-ピクセル分布である。
図22は、赤a-ピクセルの虚像におけるa-ピクセル分布である。
図23は、RGBWディスプレイ及び正方形状の小型レンズアレイのための別のo-ピクセル構成を示す。
図24は、RGBWディスプレイ及び正方形状の小型レンズアレイのための別のo-ピクセル構成を示す。
図25は、RGBWディスプレイ及び正方形状の小型レンズアレイのための別のo-ピクセル構成を示す。
図26は、RGBWディスプレイ及び正方形状の小型レンズアレイのための別のo-ピクセル構成を示す。
図27は、全色について完全に充填されたa-ピクセル分布である。
図28は、ウエスト面においてウエストを有する光束を形成するマイクロレンズを示す。
図29は、マイクロレンズの回転によってウエスト面に沿って光束のウエストがどのように変位するかを示す。
図30は、3Dピクセルにおいて光束のウエストがオーバーラップした幾つかのマイクロレンズを示す。
図31は、マイクロレンズアレイの回転によって3Dピクセルが光束のウエストの広がり分散(spreading)に分かれることを示す。
図32は、遠軸回りのマイクロレンズアレイの回転によって3Dピクセルが広がり分散及び移動した光束ウエストに分かれることを示す。
図33は、マイクロレンズアレイの回転が定位置における回転と変位にどのように分解されるかを示す。
図34は、従来技術の実施形態を示し、マイクロレンズアレイがウエスト面において一連の適応ピクセルを形成する。(言わば、赤サブピクセルにより形成された)そのa-ピクセルらは、ウエスト面を完全に充填しない。
図35は、レンズアレイの回転によってどのようにa-ピクセルが分かれて、ウエスト面を完全に充填し、知覚解像度が高められることを示す。
図36は、図30と同様の実施形態を示すが、目の瞳孔に適合するより多数のマイクロレンズを有する。
図37は、サブピクセルのインターレースによって(線形)解像度の3倍の増加を示す。
図38は、別々のチャンネルを有する適応レンズを示す。
図39は、マイクロレンズアレイに結合した収束/発散レンズを示す。
図40は、アイ・トラッキングなく用いられるマイクロレンズアレイの光学系(小型レンズ)を示す。目の瞳孔は、所定の瞳孔域内を動き得る。
図41は、アイ・トラッキングで用いられるべきマイクロレンズアレイの光学系(小型レンズ)を示す。ディスプレイ上のクラスターは、その動きにおいて目の瞳孔を追随するように(ソフトウェアを介して)動かなければならない。
図42は、光軸に対する角度の関数として図41に示された模範例の光学系のRMSスポットサイズ4201を示す。
図43は、異なるファミリーについて適応ピクセル面とa-ピクセル中心を示す。
図44は、異なる焦点距離を有するレンズについて目の瞳孔の交差最大移動距離を示す。
図45は、幾つかの光束、及び図面の複雑さを低減するべくたった二つの光線としてのその図式表現を示す。
図46は、ディスプレイに対向するレンズアレイを備える光学系を示す。本光学系は、広幅の瞳孔域を有する。
図47は、焦点距離(及び光学系解像度)の増加によって瞳孔域がどのように減少するかを示す。
図48は、小さい瞳孔域の光学系(system)が動作のためにどのようにアイ・トラッキングを必要とするかを示す。
図49は、繰り返し情報でディスプレイピクセルをターンオフすることがどのようにして瞳孔域を増加させるクロストーク制約を低減するかを示す。
図50は、図49の装置によって、瞳孔域の低減によって焦点距離及び解像度がどのようにして増加できるかを示す。
図51は、図50と同一の構成を示すが、アレイにおける一つのレンズのエッジ光束をここで示し、これらが目の瞳孔にどのように交差するかを示す。
図52は、図50と同様の構成を示し、動作するためにアイ・トラッキングが必要であることを図示する。
図53は、図51と同一の構成を示すが、アイ・トラッキングの過程において生じる異なる瞳孔位置に関する。
図54は、図50におけるものと同様の構成の焦点距離が、偏光を用いる時にどのようにして増加し得るかを示す。
図55は、マイクロレンズの2つのファミリーに分割されたレンズアレイを示し、各ファミリーが本質的に全体の虚像を形成している。
図56は、図55の構成のおけるクロストーク条件を示す。
図57は、図50及び図55の構成を比較する。
図58は、図57におけるものと同様の構成を示すが、虚像が無限距離にある特定の場合におけるものである。
図59は、アレイにおけるマイクロレンズの異なるファミリーについて図58に示された構成のクロストーク状態を示す。
図60は、マイクロレンズのエッジ光線の4つのセットを示し、それらは、(クロストーク状態で)そのクラスター(点灯エリア)と隣接の暗エリアのエッジから到来する。
図61は、異なるマイクロレンズの代表の光線を示し、各マイクロレンズにより生成された虚像がどのようにして結合して単一の連続の虚像を形成するかを示す。
図62は、異なるファミリーの隣接したマイクロレンズの異なるエッジ光線がどのようにお互いに関連するかを示す。
図63は、異なるファミリーの隣接したマイクロレンズの写像を持つ図を示す。この図は、また、図62のエッジ光線を代表する点を包含する。
図64は、図62の実施形態の異なる構成を示し、目の瞳孔が動くときに生じ、またシステムがアイ・トラッキングを実行する。
図65は、図63と同一の図を示すが、異なる瞳孔位置に関する。
図66は、アレイにおける2つのレンズの写像の知識がどのようにしてアレイにおける次のレンズの写像に制約を課すかを示す。
図67は、(図62に示したような)エッジ光線の異なる構成を示す。幾つかの変更が可能であり、他のものの変更が許容できない。
図68は、ビームプリントの一部がどのようにして目の瞳孔の外に入射するかを示す。そのような場合、そのビームのパワーは、ソフトウェアを介した調整を必要とする。
図69は、図68と同様の構成を示すが、三次元の幾何形状にある。
図70は、アクチュエータにより動かされるマイクロレンズアレイ7001と組み合わされたディスプレイ7002を示す。
図71は、透視(see-through)を許容する構成を示す。
図72は、ディスプレイとマイクロレンズの4つの異なるファミリーのクラスターを示す。
図73は、図72におけるものと同様の図を示すが、異なる目の位置に関する。クラスターは、ソフトウェアを介してアイ・トラッキングを実行して目の瞳孔の動きに追跡する。
図74は、図形のマトリクスを示す。各図形は、レンズアレイにおける異なるマイクロレンズに対応する。各図形は、クラスターのエッジからの光束がどのようにして目の瞳孔外に部分的に入射し得るかを示し、この場合、そのピクセルの明るさがソフトウェアによる調整を必要とする。
図75は、適応レンズ写像関数の計算に関する適応レンズの断面図を示す。
図76は、SMS(Simultaneous Multiple surface)技術で設計された2面レンズを示す。
図77は、SMS法で為された幾つかの設計例を示す。
図78は、p,y面における適応レンズ写像を示す。
図79は、デジタルディスプレイのクラスターからのエッジ光線の軌跡を示し、目に向かって、対応の小型レンズの第1及び第2マイクロレンズを透過し、適応レンズを透過する。
図80は、クロストーク照明がない目の瞳孔の最大サイズを示す。
図81は、写像関数が等間隔の直線である場合である。
図82は、瞳孔及び一つの小型レンズのエッジを通過するエッジ光線の光線追跡を示す。
図83は、一つの小型レンズの中心、また瞳孔域の中心及びエッジを通過する光線追跡を示す。
図84は、物理ディスプレイを左に示し、表面又は仮想スクリーンを右に示す。
図85は、光軸に対する角度の関数としてVRピクセル解像度を示す。
図86は、対角断面及び模範的な設計を示す。
図87は、両面ミニレンズアレイを示す。
図88は、異なる小型レンズのための空間周波数の関数として変調を示す。
図89は、異なる小型レンズのための空間周波数の関数として変調を示す。
図90は、極角の関数としてのラジアル焦点距離の値を一例として示す。
図91は、一設計の対角レンズの分析を一例として示す。
図92は、マスクを有する包括的なマイクロレンズアレイを示す。
図93は、目の近く自由曲面の開口を制限するマスクである。
図94は、2つの異なる適応面で適応し得る適応ピクセルにより形成されたバージェンスピクセルを生成する多焦点光学系を示し、従って、適合的眼球離反運動の不一致の低減を可能にする。
図95は、v-ピクセルに一致するa-ピクセルにより形成されたバージェンスピクセルを生成する光学系を示し、従って、適合的眼球離反運動の不一致を除去する。
図96は、レンズアレイの構成要素を上部に、また同様の構成要素を下部に示すが、光学系とディスプレイの間に追加の複屈折材料ブロックがあり、これが偏光の変化を介してウエスト面位置をシフトさせるために用いられ得る。この光学系は、その偏光状態に依存して異なるウエスト面を有する光束を生成し、又は、我々が偏光を検討しないならば多焦点光束を生成する。
図97は、光学系とディスプレイの間に異なる複屈折ブロックを有する小型レンズ(レンズアレイの構成要素)を示し、液晶パネルと一緒に用いられる場合、偏光が、異なる位置にウエスト面をシフトさせるために用いられ、選択可能なウエスト面を有する多焦点光束を創出する。
図98は、係数2のインターレース及びアンダーフィル戦略を伴う表示装置の要素を示す。
図99は、アンダーフィル戦略を伴うが、小型レンズ9801についてはインターレース係数を伴う代替の実施形態を示す。
図100は、アンダーフィル戦略を伴う実施形態を示し、インターレース係数81/2であり、小型レンズのファミリーが8つである。
本発明の特徴及び利点は、本発明の原理が用いられた例示の実施形態を説示する本発明の次の詳細な説明及び添付図面を参照することでより良く理解される。
本発明の実施形態は、複数の物体ピクセル(若しくは、略してo(オー)ピクセル)を含むリアルイメージを生成するように動作可能である、単眼当たりに一つ又は複数のディスプレイ;及び各々一つが、ある瞬間に関連付けられた物体ピクセルのクラスターを有する複数の小型レンズを含む光学系を備える表示装置にある。各小型レンズは、その対応のクラスターの物体ピクセルからの光束を生成する。光束(ray pencil)(又は単に光束(pencil))を直線のセットと呼び、これは、目を照らす光線軌跡に一致するセグメントを含み、これらの光線が任意の瞬間に同一情報を搬送)する。同一情報は、同一(又は同等)の輝度、色、及び光を変調し、かつヒトの目により検知可能である任意の他の変数を意味する。一般的に、光束の光線の色は、時間とともに一定であり、輝度が時間とともに変化する。この輝度及び色は、光束の一特性である。光束は、瞳孔がとり得る位置の幾つかで視認可能であるように瞳孔域に交差しなければならない。光束の光が、目の瞳孔に入射するただ一つである時、注視されるならば、かつ、ウエストが目から十分に離れているならば、目は、光束のウエストの場所の近傍の点で適応する。光束の光線は、一般的に、位相空間の単純な連結領域により表現される。光束を形成する直線のセットは、通常、そのウエストで小さい角度分散及び小さい空間分散を持つ。ウエストでの光束の位相空間表現の中心領域の点により規定される直線が、通常、光束の代表として選択される。この直線は、光束の中心光線と呼ばれる。光束のウエストは、実質的に1mm2よりも小さく、また、その最大角度分散は、±10mrad未満であり、これらの組み合わせが、回折限界の近くにあり得る。光束は、上手く設計されたシステムにおいて瞳孔域内の目の球面に交差する。単一のo-ピクセルの光は、一般的に異なる小型レンズの幾つかの光束を発するが、これらの光束のたった一つしか又はいずれも目の網膜に到達せず、さもなくば、小型レンズ間の望まないクロストークが生ずる。小型レンズ・クラスターへのo-ピクセルの割り当ては、動的であり得、なぜなら、それが目の瞳孔位置に依存し得るためである。
光束のウエストは、光束の全光線に交差する面の最小のRMS領域である。この平坦な領域は、光束の中心線に概して垂直である。幾つかの実施形態では、光束の幾つか又は全てのウエストが、ある表面へのその近接度で分類可能である。これらの表面は、ウエスト面と呼ばれる。時々、これらの面は、平面によって近似される。これらの平面は、好適には、正面方向に垂直である。
図4は、物体面(o平面)407の虚像(ウエスト面)406を形成する屈折レンズ401を示す。特には、レンズ401及びoピクセル402は、ウエスト403を有する光束404を生成する。この光束は、光束405の中心光線が要素403及び401の中心を通るように図式的に表されている。先に述べたように、面106は、平面(plane)ではなく、例えば、レンズ401が像面湾曲で設計されるならば、湾曲し得る。
光学系401は、小型レンズアレイの一部である。このアレイの各要素は、偏向面の組み合わせであり得、図示401は、正の屈折力を有するレンズの単なる一例であるにすぎない。例としては、レンズの連続(トレイン)又はLa Russa US3,443,858に説示された「パンケーキ(pancake)」光学構成が含まれ得る。特には、トレインは、等しい又は異なる材料の2つ又は3つのレンズを含み、少なくとも一つが正の屈折力を有し、少なくとも別のものが負の屈折力を有し、組み合わせによって像面湾曲としての色収差補正及び/又は他の幾何収差補正を提供する。代替的に、2つの材料を使用することができ、一つが他方よりも高分散である。従って、レンズ面は、凸又は凹であり、又は平坦で、ピーナッツタイプの形態であるように屈曲点を示す。
目408及びその瞳孔409も図4に図示される。目が回転する(即ち、観察者が異なる方向を注視する)時、目の瞳孔は、光束404の異なる部分に交差し得、これが、そのウエスト403の明るさの知覚変化に帰結する。この効果は、同様の情報及び同様のウエストを持つ別の光束が目の瞳孔に入射するならば低減され、その明るさ変化が補償される。アイ・トラッキングを実行する時、光束に対する目の瞳孔の位置及びサイズを知ることができ、光束の明るさが(ソフトウェアを介して)調整され、光束の高い部分が目の瞳孔に入射しない(光束がケラレる)ために明るさが高められる。
図5は、ウエスト503及びレンズ504により規定された光束の一部を取得する瞳孔502を有する目501を示す。この光は、oピクセル505から到来する。
光束の光は、目位置に向けて投射され、各小型レンズの光束は、その対応のクラスター上にリアルイメージから部分的な虚像を生成するように構成される。部分的な虚像は、目位置に置かれた通常のヒトの目により見ることができる。異なる小型レンズの部分的な虚像が結合して一つの虚像を形成して目により視覚化される。この結合は、排他的ではないが、部分的な画像間の重畳、モザイク配置、インターレースを含み得る。
適応ピクセル(又はa-ピクセル)をイメージ空間における小領域と呼び、ここでは、十分な距離で、その領域を注視する時に単一の人間の目が適応する。この状況において、その目の中心窩領域が、同一情報(同一の輝度及び色)を搬送する光束のセットによって(完全に又は部分的に)照明される。1つ又は複数の光束から成り得るこの光束のセットは、a-ピクセルを形成すると言える。その輝度及び色は、ある瞬間にa-ピクセルの特性になる。光束群は、それらの主光線がa-ピクセルの近くで合流するものであり、これは、それらの光束の結合のウエスト場所の近傍にあり又は一致する。それにも関わらず、このウエストは、必ずしもa-ピクセルを形成する異なる光束の個々のウエストの近傍にない。ある光束は、ある期間(典型的にはフレーム期間)においてただ単一のa-ピクセルの一部であるが、異なる期間に異なるa-ピクセルの部分であり得る。光束のセットが常に同一のa-ピクセルを形成しているならば、そのa-ピクセルは、静止と言える。この場合、そのa-ピクセルの全光束が、常に同一の輝度及び色を搬送する。さもなくば、a-ピクセルは、動的と言える。目は、その輝度が十分に高く、かつ目から十分な距離にある時、そのa-ピクセルを放射領域として知覚する。幾つかの実施形態では、適応ピクセルは、ある表面へのその近接度によって分類可能である。これらの面は、適応面(又はa-表面)と命名される。時々、これらは、球面、或いは平面によっても近似され、適応球面又は適応面と呼ぶ。
1.インターレース
図6は、等間隔のo-ピクセル603を含むディスプレイ602に対向した小型レンズ601のセットの図例を示す。多くの光束(可能性として、oピクセルの数に小型レンズ又はチャンネルの数を乗じた数)が生成され、その中心光線604で図式的に表される。これらの光束は、605又は606のような異なる平面で交差し、従って、これらは607のようなa-ピクセルを有する適応面の候補である。この簡略化した例では、光束の中心光線の軌跡が、それらの対応のo-ピクセル603を通過し、これは、この発明においては一般的に発生しない。
図7は、図6の光束の交差をより詳細に見たものを示す。図7は、マイクロレンズアレイ702、o-ピクセル面(o-平面とも呼ばれる)703、及び直線704として示された多くの光束を含む実施形態701を示す。706、710、705、708及び709といった幾つかの平面があり、光束の集合が交差し、従って、それらは潜在的に適応面である。適応面の小部分のa-ピクセル密度を、例えば、点707から測定されるステラジアン当たりのその面におけるa-ピクセルの数と定義しよう。面部分は、密度が局所的特性になるように十分に小さいが、幾つかのa-ピクセルを含むのに十分に大きいべきである。そのような密度の平方根は、その適応面が用いられる時の虚像のその部分の解像度であり、通常、ラジアン当たりのピクセルの代わりに角度当たりのピクセルで表現される。706、708及び709の平面は、最小のa-ピクセル密度を持つものである。なぜなら、a-ピクセルのそれぞれ一つが、アレイ702の全ての小型レンズからの光束により照明されるためである。平面705は、平面706と比較して4倍のa-ピクセルの密度を持つ(即ち、解像度が2倍)。両方の平面を通過する光束の数が等しいため、平面705のa-ピクセルは、(本断面において半分として図示されている)アレイ702の小型レンズの四分の一からの光束により照明されるだけである。その平面705は、インターレース係数2を持つと言える。インターレース係数が2である他の平面が図7にあり、また、710の如くより高いインターレース係数の他の平面もある。
正方形のマトリクス構成の小型レンズは、好適には、正方形のo-ピクセルを用いる。例えば、高開口比のRGBWの正方形のOLEDマイクロディスプレイは、各色について、25%以下の充填率を持つ、即ち、表示面積の25%が所定の色を放射し得る。従って、インターレース係数k=2の小型レンズアレイは、各色について虚像の充填率を100%にするべく都合良く設計され得る。虚像における結果として得られる全色のa-ピクセルは、重畳した4つのRGBW色を持ち得る。
図8は、赤(R)、青(B)、白(W)及び緑(G)o-ピクセルを有するディスプレイを示す。801のような各全色ピクセルは、o-ピクセルのRBWGセットである。
図9は、縮尺ではない別の実施形態を示す。図8に示したものと同様のディスプレイに結合したレンズアレイの断面である。この断面は、図8のディスプレイの802の如き一つのライン(又は行)に沿って取られたものである。レンズ901は、模式的に902から903まで延びるディスプレイ(そのクラスター)の一部に関連付けられる。レンズ904は、模式的に903から905まで延びるディスプレイ(そのクラスター)の一部に関連付けられる。ディスプレイの部分802は、例えば、赤(R)及び青(B)の代替色のo-ピクセルを持つ。赤(R)o-ピクセルがオンであり、青(B)o-ピクセルがオフであると仮定する。レンズ901及び904は、重畳した虚像906を形成する。例えば、a-ピクセル907Aは、レンズ901を介したo-ピクセル908とレンズ904を介したo-ピクセル909の虚像の重ね合わせである。ディスプレイ・ドライバは、o-ピクセル908及び909に、a-ピクセル907Aのものと同一の情報(同一の輝度及び色)を持たせることができる。赤o-ピクセル907により形成される赤虚像は、910で間隔を空けられたその対応のa-ピクセルを持つ。各o-ピクセルは、その対応のレンズと共に、光束を規定し、そのウエストが、好適には、a-ピクセル場所にある。
もし赤(R)o-ピクセルがオフであり、青(B)o-ピクセルがオンならば、青o-ピクセル911により青虚像が形成され、910により間隔を空けられたその対応のa-ピクセルを持つ。一つの青及び一つの赤o-ピクセルから形成されたピクセルは、サイズ910を持ち、システムの解像度を規定する。
図10は、図9に図示した実施形態に基づく縮尺ではない別の実施形態の断面を示す。ここでもまた、赤(R)o-ピクセルだけがオンし、青(B)o-ピクセルがオフすると仮定する。レンズ904は、図9におけるものと同一であり、同一の虚像を形成する。しかしながら、ここではレンズ901が小距離1002だけ変位してレンズ1001になっている。レンズ1001の変位によって、その虚像も、また変位する。特には、変位量1002は、レンズ1001により形成されるa-ピクセル1003が、レンズ904により形成されるa-ピクセル1004の間でインターリーブされるように選択され得る。これは、赤a-ピクセルが1005により間隔を空けられた虚像に帰結し、図9の実施形態における間隔910の半分であり、解像度が二倍である。これは、また、図9に戻って、その赤a-ピクセル907が青a-ピクセル911の「上」に移動するようにレンズ901を移動させるとも解釈され得る。
適応ピクセル1004は、レンズ904を介して視覚可能であり、適応ピクセル1003は、レンズ1001を介して視覚可能である。目の瞳孔1006は、両方のレンズ1001及び904からの光を取得して両方の画像が網膜上で重畳するのに十分に広くなければならない。
図11は、図10の実施形態と同一のものを示すが、ここでは、赤(R)o-ピクセルがオフであり、青(B)o-ピクセルがオンである。青虚像が形成され、そのa-ピクセルが1005により間隔を空けられる。
赤(R)及び青(B)o-ピクセルの両方がオンの時、赤及び青虚像が重畳する。その結果、図9に示した断面の方向に沿う解像度が二倍の画像になる。
幾何三次元で為される時、レンズの変位量1002は、図8の水平方向に為され、次に、垂直方向に為される。これによりディスプレイの2つの方向において解像度が二倍の画像となり、即ち、従来のものよりもピクセル数が4倍になる。目の瞳孔は、ここでは、各々が、水平及び垂直方向において変位した画像を生成する4つのレンズからの光を取得する。例えば、図8の赤o-ピクセルを挙げる。目の瞳孔が、正方形を形成する4つの隣接したレンズA、B、C、Dからの光を取得するのに十分に大きいと仮定する。レンズAが定位置に保たれる。それらの赤o-ピクセルらが図8に示された位置において見られる。レンズBが変位され、それらの青o-ピクセルらが、レンズAの赤o-ピクセルの位置に重畳して見られる。レンズCが変位され、今、それらの白o-ピクセルがレンズAの赤a-ピクセルの位置に重畳する。レンズDが変位され、今、それらの緑o-ピクセルがレンズAの赤o-ピクセルの位置に重畳する。レンズA、B、C、Dのこのセットがあるパターンで繰り返し、レンズの4つのファミリー:ファミリーA、ファミリーB、ファミリーC及びファミリーDを形成し、また、4色の画像は、瞳孔が4ファミリーのレンズからの光を同時に取得するのに十分に大きい時、元の解像度の4倍の解像度で重畳して見られる。
図12は、(赤(R)o-ピクセルがオンであり、青(B)o-ピクセルがオフである時の)図10に示したものと同様の実施形態を示すが、より多くのレンズについて検討している。図12は、1001のような一つのレンズと904のような一つのレンズのパターンを繰り返すレンズアレイを示す。目の瞳孔1005がその中心回りで回転するに応じて、(矢印1201により示されるように)レンズアレイを横切って移動し、幾つかのレンズからの光が瞳孔に入射して視界に入り、他方、他のレンズからの光が瞳孔を退出して視界外に出る。この視界へのレンズの進入及び退出は、「シンチレーション(scintillations)」と呼ぶ知覚画像の明るさの振幅を生成する。
図10に戻り、目がその中心回りに回転し、瞳孔1006がレンズアレイを横切って及びレンズ1001上で上方移動する状況について検討する。レンズ1001により放出された光は、依然として視覚可能であるが、レンズ904により放出された光の一部は、瞳孔の範囲外に入射し始める。これにより、a-ピクセル1003が視覚可能であり、他方、幾つかのa-ピクセル1004が視覚不能になる。これは、知覚画像のa-ピクセルにおけるシンチレーションを生成し得る。
図13は、シンチレーションが低減された実施形態を示す。レンズ1301は、同一のクラスター1301Cを共有する2つのチャンネル1301A及び1301Bに分割される。同様、レンズ1302は、同一のクラスター1302Cを共有する2つのチャンネル1302A及び1302Bに分割される。他のレンズも同様に分割される。ここで、目の瞳孔が、例えば、下方に動くに応じて、レンズの部分(例えば、1303A)が瞳孔から退出するならば、レンズの他の部分(1303B)が残存し、シンチレーションが低減される。
レンズ1301は、結合した開口サイズ1301A+1301Bを有する。この場合、この結合開口を通じた光束の位相空間表現は、トポロジーの観点から単純に結合していない可能性がある。これらの開口は、コヒーレントにされ得る。この目的のために必要な全てのことは、それらの開口が、同一のクラスターをイメージングする単一の連続の元のレンズの部分であることである。次に、レンズの回折限界は、結合した開口により決定され、結合した開口は、そのどの部分よりも広い面積を持つため、回折限界は、異なる部分が非コヒーレントに放射する状況よりも限定的ではない。もちろん、結合した開口は、両方の開口の光が瞳孔を透過する場合にだけレンズの回折限界を決定する。さもなければ、瞳孔ケラレが、追加の効果をもたらす。
回折は、光束を生成する小型レンズの最小の開口に制約を課す。小型レンズ開口の直径をDとし、小型レンズによりイメージングされるクラスターの画像の(角度当たりのピクセル)解像度を(θR)-1とする。レイリー基準に従うと、その画像の光束のウエストは、D>1.22λ/sin(2θR)ならば、解像可能であり、ここで、λが光の波長である。λ=550nm及び(θR)-1=52ppdについて、Dは、上記基準に従うと解像可能であるために1mmよりも大きくなければならない。
他方、小さい小型レンズ開口は、中心窩でイメージングされる方向に、また、異なる小型レンズから網膜画像に重畳可能なように目の瞳孔に光を送る幾つかの光束を有するように要求される。加えて、中心窩に同一のa-ピクセルを供給して「シンチレーション」を低減する幾つかの小型レンズを必要とする。ヒトの瞳孔の標準状態は、その直径が少なくとも4mmであると考えることができる。次に、小型レンズの直径についてトレードオフがあることは明らかであり、一方、回折効果を減じるに十分に大きい開口を必要とし、他方、ヒトの瞳孔を介して異なる小型レンズからの画像を中心窩に送ることが出来る小さい小型レンズ開口を必要としている。図13に示した戦略は、同一のクラスターの結合した開口がコヒーレントな部分から成るならば、このトレードオフを克服するために使用可能である。この戦略においては、小型レンズ開口は、異なるコヒーレント部分に分割され、これらが、他の小型レンズの部分とインターリーブされてシンチレーションが減じられる。
ディスプレイピクセル構成、アレイ幾何学及びインターレース係数
先述のセクションでは、インターレース係数2で、小型レンズが4つのファミリーに分類された、RGBW正方形o-ピクセル・ディスプレイのインターレース設計に関して詳細に開示した。留意すべきは、ユーザーにより知覚される解像度に影響することなく青o-ピクセル解像度を低下することができ、その現在の密度は、その寿命を増加するためには他の色よりも低いことが好ましく、代替の実施形態では、白o-ピクセルを除去してその領域を青o-ピクセルに占有させ、これは、通常、RGB-πピクセル・ディスプレイ設計と呼ばれる。充填率が低い、例えば、o-ピクセル側が全色ピクセル側の1/3であるRGBW-正方形o-ピクセル・ディスプレイの場合を考える。このディスプレイは、インターレース係数3で、小型レンズが9つのファミリーに分類される正方形状の小型レンズアレイ設計に完全に適合する。このインターレース係数は、o-ピクセル側が全色ピクセル側の1/2であるRGBWの場合にも適用可能であるが、o-ピクセルの虚像上にて幾らかの重畳がある。
図14は、赤(R)、緑(G)及び青(B)o-ピクセルが連続的な三角配列において配置されたRGBデルタ構成を有するディスプレイ1401を示す。このディスプレイ設計は、インターレース係数31/2で、アレイにおける小型レンズが3つのファミリーに分類される六角形型の小型レンズアレイと共に用いる場合に適合する。図15は、小型レンズのファミリーがA、B、Cと異なるレンズアレイ1501を示す。このアレイは、図14に示したディスプレイ構成と組み合わせて用いられ得、解像度が増加したインターレース構成に帰結する。デルタ構成におけるo-ピクセルの充填率が小さくなると、インターレース係数が、例えば、71/2に増加し、アレイにおける小型レンズが7つのファミリーに分類される。
o-ピクセルが高いアスペクト比の矩形である結末においては、RGB・ストライプ・ピクセル設計において起きるように、インターレースは、ストライプに垂直な方向のみにおいて、好適には、垂直方向において高い指向性倍率で行われる。この場合に、直交方向が、異なる虚像解像度に帰結するならば、ヘッドセットは、左目が垂直に設定された高解像度方向を有し、右目が水平の高解像度方向を持つように構成することができ、ユーザーは、両方において高解像度をほぼ知覚する。サブピクセルレンダリング適用も、特には、RGBGRGB型の設計において適用され得る。
ディスプレイの緑o-ピクセルの数が赤及び青のものよりも大きいならば、更なる解像度の増加を達成可能である。直視型ディスプレイにおいては、これは、図17に図示のもののように、所謂、ペンタイルRGBG構成において用いられており、特には、高解像度の輝度情報について、ヒトの目の解像度が、青色について低く(赤解像度も同じく低いものの)、緑に最も敏感であるという事実を利用する。Dは、その場所が暗いことを意味する。正方形型の小型レンズマトリクス構成について係数2でインターレースを、その伝統的なペンタイル構成を持つディスプレイに適用する時、赤及び青色について適切に働かない。図16は、1601、虚像における青(B)及び赤(R)a-ピクセルの分布を示し、これは、間に4つのダーク(D)空間を有する4つのグループにクラスター化されて見え、その解像度は、達成可能なものの半分である。
各々が、小型レンズの4つのファミリーの一つのクラスターに対応する、図17、図18、図19及び図20に開示されたo-ピクセル構成は、直前に述べたインターレース係数2でのペンタイルディスプレイの課題を首尾良く解決する。段落0136のインターレースの説明とは反対に、このo-ピクセル設計は、小型レンズをシフトさせることを必要とせず、a-ピクセルの生成時に適切なインターレースを形成するようにo-ピクセルが配置される。提示の構成は、明らかに同一機能をもたらす特定のo-ピクセルのシフト又は対称性の付与で同様の構成が可能であるという意味において唯一のものではない。R,G及びBのo-ピクセルの数は、4つのクラスター型の元のペンタイルの1:2:1の比率のままであり、緑a-ピクセルについて図21に図示のように、及び、赤a-ピクセルについて図22に図示のように(青a-ピクセル分布は、赤のものと同様であり、図22においてDの正方形がRであり、BがDである)、虚像におけるそのa-ピクセル分布も、1:2:1の比率にて現れる。注意すべきは、このo-ピクセル設計は、従って、青及び赤の二倍の数の緑光束を持つ光束構造を創出することであり、加えて、二つの特性を有する:一つ目は、適応面における緑a-ピクセルの密度は、赤及び青a-ピクセルのものの2倍である;及び、二つ目は、どの色の光束も同一のインターレース係数2を有する。第1の特性は、直視型ペンタイルディスプレイにおいて、虚像において赤及び青よりも緑ピクセルに二倍の解像度を提供する;他方、第2の特性は、3つの色について同様のシンチレーションを許容する。
図23、図24、図25及び図26は、RGBWディスプレイ及び正方形型の小型レンズアレイのための別のo-ピクセル構成を示し、全色の充填率が合計して約75%であることが要求される場合に有用である(例えば、25%の空間がTFTトランジスターのために割り当てられる)。係数2でのインターレースは、図21で示したように、白及び緑a-ピクセルが完全に適応面を充填することに帰結し、他方、図22でも示したように、赤及び青a-ピクセルの数が半分である。
加えて、段落0432で開示のように、隣接するクラスター間のクロストークを回避するために偏光が用いられる正方形型の小型レンズアレイを有する幾つかの実施形態は、好適には、21/2又は81/2のインターレース係数を要求する。前者は、小型レンズアレイに対して45度回転させられたRGBW正方形o-ピクセル・ディスプレイにおいて達成可能であり、他方、後者は、図27に図示のものの如くディスプレイRGBW o-ピクセル配列2701を好適に用い、緑のもの2702のように全色について完全に充填されたa-ピクセル分布に帰結する。
回転によるインターレース
段落0136におけるインターレースの説明にて小型レンズがシフトされ、及び、段落0143の幾つかの実施形態においてディスプレイにおいて適切にo-ピクセルが位置付けられてインターレースが達成された。このセクションでは、ディスプレイに対してアレイを回転することから成るインターレースの発生を第3オプションとして開示する。これは、製造された装置の調整のための、或いは、アクチュエータを用いてインターレース係数を動的に変更する実用的な関心を持つ。
図28は、ターンオフされたo-ピクセル2803が配置されたディスプレイ2802に対向した小型レンズ2801を示す。小型レンズ2801がo-平面の虚像を(ウエスト面2807に)形成する。特には、それは、ターンオンされたo-ピクセル2805の画像からウエスト2804を有する光束を生成する。レンズ開口2801は、ウエスト2804と一緒に、その幾つかの光線により表された光束2806を規定する。
次に説明のように、ディスプレイに対してディスプレイを回転させることは、インターレース係数1を持つ適応面を1よりも大きいインターレース係数の適応面に変換する方法である。インターレースのために必要な回転角は、唯一のものではない。最小回転角αは、次式のo-ピクセルピッチに関連する:α=a/kMとkM=int(pL/pP)、ここで、int(x)は、xの整数部であり、pLがレンズピッチであり、pPが、ディスプレイのo-ピクセルピッチであり、aは、インターレース係数の逆数である。
図29は、図28の構成の変形を示す。ここでは、レンズ2801が、(その角部でレンズに垂直な)軸z回りに角度2901だけ位置2902に回転させられている。ここで、o-面2802、及び、特には、o-ピクセル2805が静止を維持する。これは、ウエスト面2807における新しい位置2904へのウエスト2804の移動2903に帰結し、新しい位置2904までoピクセル2805回りに光束が「枢動」する。
図30は、小型レンズアレイ3001を示す。各小型レンズは、ディスプレイ面3002の一つのo-ピクセルの虚像を形成する。これらの全ての虚像は、ウエスト面3003で重畳し、そこに適応ピクセル3004を形成する。
図31は、図29におけるものと同様の角度2901だけ回転した図30の小型レンズアレイを示す。ここでも、o面3101が静止したままである。a-ピクセル3004を形成する虚像(光束のウエスト)は、図29に示したものと同様の動きにおいて広がって分かれ、ウエスト面3102において別々の虚像に帰結する。
図32は、その外側の軸z回りに角度3202だけ回転した別の小型レンズアレイ3201を示す。図31におけるものと同様のプロセスにおいてウエスト面3204に形成された光束のウエスト3203が広がって分かれ、小型レンズアレイの中心を通過する垂線3206に対して変位3205だけ移動する。
図33は、図32の小型レンズアレイ3201の回転を示すが、ここでは、上面図である。小型レンズアレイは、位置3201Aで開始し、位置3201Cまで軸z回りに回転する。この回転は、定位置での回転と並進(translation)に分解可能であり得る。続いて、3201Aがはじめにその中心回りに位置3201Bまで角度3202だけ定位置で回転すると考えることができる。これにより、図31に示したものと同様のプロセスで、その虚像の広がり分散に帰結する。回転させられたアレイ3201Bは、ここで、並進3301によって、その最終位置3201Cまで動く。これは、図32に示したように虚像の変位3205に帰結する。
図34は、先行技術の実施形態を示す。小型レンズ3401、3402、3403及び3404は、ディスプレイ3405に対向し、そのo-ピクセルが、ライン3406及び3407に沿うクラスターに分割される。小型レンズ当たり一つのクラスターがある。適応面3408は、3409といったa-ピクセルを包含する。これらの上記のa-ピクセルそれぞれ一つが、対応の小型レンズを通過した異なる光束(クラスター当たり一つの光束)の幾つかの(この図表現においては4つの)ウエストの重ね合わせである。a-ピクセル3409は、それらの中心光線3411、3412、3413及び3414により表された4つの光束の交差により形成され、対応のレンズを介したoピクセル3421、3422、3423及び3424の虚像の重ね合わせである。この光束構成を結合した構成と呼び、また、図7において参照する1に等しいインターレース係数に対応する(面3408が406に相当する)。
a-ピクセル3409を形成する全o-ピクセル点灯は、同一情報を持つべきである。これは、ディスプレイ3405における繰り返し情報に帰結する。
図35は、小型レンズアレイに関するディスプレイの相対的回転が、どのようにしてインターレースを生成することを許容し、インターレース係数=1(即ち、インターレースされていない)のa-面をインターレース係数>1のa-面に変換するかを示す。一般的に、sqrt(2)、1、2、sqrt(3)等は、アレイ幾何形状及び回転角に依存してインターレース係数が取り得る値である。図35は、図34の従来技術の小型レンズアレイの回転により解像度が高められ、ディスプレイ3405における繰り返し情報が低減するというこの結論を示している。この実施形態においては、小型レンズアレイ3501は、垂直軸回りに小さい角度3502で回転させられる。これは、いまや虚像3504で個々に分割された3Dピクセル3409を形成する光束及び虚像のねじれ3503に帰結し、このインターレースプロセスによって解像度が高まる。
この高められた解像度を評価するために、観察者の目の瞳孔3505は、(この例では)4つの小型レンズからの光を取得するのに十分に大きくなければならない。
図34及び図35に示した各o-ピクセルは、単一のサブピクセル(R、G、B、又はW)を含む。同一色のo-ピクセルの間に空間があり、図35に示したインターレースプロセスで充填されるならば、解像度の増加が可能である。
図8に示すディスプレイについて検討する。図34及び図35において、全o-ピクセルがオフであり、ただ赤(R)のものだけがオンであると更に検討する。図34及び図35は、ここで、赤サブoピクセルのそれぞれが結合し、インターレースされた構成を表す。
インターレースプロセスにおいて、レンズアレイ3501が回転してインターレースが展開すると、3Dピクセル3409に重畳した赤虚像が、お互いに引き離され、オフ状態の隣接する青、白、及び緑のo-ピクセルの「上」を移動する。これは、全て赤に見える、即ち、赤o-ピクセルの間に隙間がない虚像に帰結する。
青(B)、白(W)及び緑(G)o-ピクセルについて同じことを行うこともでき、各々、全て青、白、及び緑に見える虚像に帰結する。全てのo-ピクセルがオンの時、図35のインターレースされた構成における画像が図34におけるものの4倍の解像度を持つ結果になる。インターレースされた構成のインターレースされた各a-ピクセル3505は、いまや、一つの赤、一つの青、一つの白及び一つの緑サブa-ピクセルの重ね合わせである。インターレースされたa-ピクセル3505の異なる色(RGBW)は、レンズアレイ3501の異なる小型レンズを透過する。このインターレース構成の解像度の増加は、結合構成(インターレース係数=1)と比較してa-ピクセル(インターレース係数=2)を通過する光束の数を減じることの代償で得られる。
図36は、9つのエレメントから成る小型レンズアレイ3602の部分が、結合構成において位置3604に3Dピクセルを生成するディスプレイ(o平面)3603とペアにされた実施形態の構成3601を示す。レンズアレイが、小さい角度3611で回転させられ、インターレース構成3612の画像に帰結した構成3610も示される。小型レンズのエレメント3602に交差する光束が、目の瞳孔3612により収集される。
図37は、a-ピクセル3702が展開され、及びその光束の虚像3703がそれらの周囲の配置にインターレースされた虚像3701を示す。充填率が低いOLED又は開口比が低いLCDといったものと用いられる時、上述の虚像3703は、(ディスプレイ配線のために必要な空間から生じ得た)a-ピクセル3702の周囲の空いた空間上に、又は、異なる色の隣接したa-ピクセル上に「動く」。これは、低い開口比のディスプレイの使用を許容し、ここでは、非発光領域が、エレクトロニクス・ピクセルの配置のために使用される。そのようなアプローチは、所定の技術のインチ当たりの有効ピクセル(PPI)を増加させ、また、VRスクリーンドア効果(VR screen door effect)を低減する。図37におけるインターレース構成は、(各方向において)3倍の解像度の虚像に帰結する。他の解像度の増加も、同様の方法で可能である。
2.指向性倍率機能及び等焦点小型レンズアレイ
各々が、目の球面の中心を中心とする半径R∞のウエスト球面の部分上でデジタルディスプレイの一部をほぼイメージングする小型レンズのアレイを考える。R∞は、眼の球面の半径よりもかなり大きい。r=(x,y)がデジタルディスプレイの点であり、(θ,φ)が、その球面上のその点(視野点(θ,φ)、又は略して視野(θ,φ)と呼ぶ)の2つの球面座標であるとすると、(x,y)から発出した光線が、チャンネル(i,j)により虚像イメージングされ、即ち、これらの光線は、目に交差する時、球面の視野点(θ,φ)から仮想的に到来する。θを極角と呼び、φを方位角と呼ぶ。θ=0が頭蓋骨の正面方向であるとする。すると、r=(x,y)は、次の写像関数を介して、θ、φ、i、jに依存する。
であるように上述の球面の点が((θ,φ)から(θ+Δθ,φ+Δφ)に差分移動する時のrの変化であるとする時、Δrをrの変化とする。αを方向角と呼ぶ。小型レンズ(i,j)の指向性倍率(指向性倍率)mは、次式により与えられる(θ,φ,α,i,j)の関数であると定義する。
ここで、下付文字θ,φが、偏導関数を示す。この関数は、視野点(θ,φ)での方向αに沿う指向性倍率と呼ばれる。この倍率定義は、実際のもの、即ち、ディスプレイから目へ軌跡が反転した光線軌跡に対応することに気付かれたく、なぜなら、倍率が、ディスプレイ表面上の点の間の距離と、ウエスト面上の視野点の間の距離の比に対応するためである。この反転操作は、ヘッドマウント・ディスプレイ(HMD)の光学設計において通常のものであり、この倍率mは、Zemax又はCodeVとして商業的なソフトウェアにおいて汎用されており、他方、m-1は、双眼鏡又は顕微鏡のような拡大機器において通常用いられている。R∞が無限になり易い限られた場合において、f=mR∞のように定義された指向性焦点距離を用いることが好適であり、それは、視野点(θ,φ)での方向αに沿う指向性焦点距離と呼ばれる。指向性倍率は、指向性焦点距離と同様、各々、α=0及びα=π/2の時、ラジアル及びサジタル倍率/焦点距離と呼ばれる。
この発明の好適な実施形態は、次の形態の写像関数により提供される小型レンズi,jとは独立した指向性倍率関数のレンズアレイを持つ(我々は、これを等焦点レンズアレイと呼ぶ)。
全ての小型レンズが(並進を除いて)同一ならば、小型レンズi,jとは独立して指向性倍率関数が平凡に(trivially)遂行される。しかしながら、広視野の設計で用いられる光束は、異なる小型レンズについて非常に異なる。この場合、利用可能な数の表面で設計された実用的な同一の小型レンズは、良いイメージ品質と、アレイを透過する全光束について小型レンズ間の低いクロストークを提供することができない。視野が大きい時、視野の中心に近い小型レンズは、その中心光線が正面方向に緩慢な角度を成す光束に作用し、他方、周辺に近い小型レンズは、典型的には、その中心光線が正面方向に関して大きく傾斜した光束に作用する。各々が、瞳孔域を照明するために必要な光束のために最適化された異なるレンズを設計することがより効率的であり、回転対称面が、斜め動作について望まない制約を課すため、これらの小型レンズが自由曲面を含む時に最適な結果が得られる。この点は、アレイの中心から遠い小型レンズに特に当てはまる。
目が主に中心窩に投射された情報に基づいて適応するため、段落[0176]の条件は、視野点(θ,φ)から仮想的に到来する中心窩光線を送出するこれらの小型レンズのためにだけ必要である。中心窩光線は、目の瞳孔の幾つかの位置について中心窩上に焦点が合わされる光線である。その延長直線が2及び4mmの間の値よりも小さい距離で球面中心から離れるように瞳孔域内で眼球球面に到達するものとしてもそれらを特徴付けることができる。従って、視野の注視領域の各視野点について、その視野点の中心窩光線が交差するものとして、その対応の中心窩小型レンズを定義することができる。
小型レンズi,jとは独立の指向性倍率関数の条件(方程式[0173]及び[0176])は、異なる小型レンズによりイメージングされる時、(ディスプレイ上のoピクセルの画像行及び列に対応し得る)x-xc=一定及びy-yc=一定のラインが球面R∞上で一致することを保証する。これにより、対応の部分的な虚像の重畳又はインターレースを適切に行うことが確保される。この条件がないと、ウエスト面上の異なる小型レンズアレイのo-ピクセル画像格子の異なるピッチ及び配向により、ぼやけ(blurring)及び解像度ロスが生じてしまう。そのような不規則的な間隔は、虚像の視覚化においてモアレ型(Moiretype)の効果を生じさえし得る。特に視野の注視領域の視野点について3%未満の逸脱が望ましいものの、その対応の中心窩小型レンズのうちの視野点の指向性倍率関数と同等のものからの上限10%までの逸脱は、依然として許容範囲である。
特定の場合として、指向性倍率関数が回転対称である小型レンズに関心を持つと、それは、方位角φに依存しない。これらの小型レンズの写像関数は、次式により与えられる:
その指向性倍率関数は、次式により与えられる:
α=0に対応するラジアル倍率は、従って、Gθ/R∞により与えられ、他方、α=π/2に対応するサジタル倍率は、G/sinθ/R∞.により与えられる。なお、両方の倍率は、θ=0で一致する。
小型レンズが歪のない直線的写像の理想的な光学系である時、関数Gは、G(θ)=f0tanθである。この場合、ラジアル倍率は、Gθ/R∞=1/(R∞cos2θ)により与えられ、これは、θ=0の時に最小になる。この発明においては、我々は、θの大きい値について倍率の低下の代償として、視野の中心において高い倍率を持つこと、従って、直線的写像のものとは反対の挙動に関心がある。この目的のため、極角のコサインの二乗で乗算したラジアル方向における関連の指向性倍率が、極角比率の減少関数であるように関数G(θ)を選択することが好ましい。
小型レンズは、[0176]又は[0181]のような所定の写像関数を生成するように本明細書に記述のように設計可能である。しかしながら、あるディスプレイについて視野を増加する視野レンズとして働くことができるため、デジタルディスプレイから瞳孔域を照明する全光線の光路に交差する追加の適応レンズを用いることに特に利益がある。また、それにより、薄い小型レンズアレイ及びマイクロレンズからマイクロレンズへの無段差が許容される。適応レンズは、小型レンズアレイとは異なり、各一つが、単一チャンネルのために単独で作動する個々の部分に分割することができない。適応レンズは、目と光学系の残部の間に配置され、又は小型レンズアレイの間に配置され、又は、デジタルディスプレイと光学系の残部の間にさえも配置可能である。適応レンズは、フレネルレンズのようにその厚みを減じるか、又は、図38に示すように、単眼当たり2以上のディスプレイの使用に適応するために、勾配の非連続性を有する少なくとも一つの表面を有し得る。
図39は、適応レンズ3902が平坦なマイクロレンズアレイ3903に対向した実施形態3901を示す。この組み合わせは、3904のように、中心クラスターで単位角度当たりのo-ピクセルを拡大し、3905のように、エッジで低減させる。これにより、かなり平坦なアレイの設計が、視野の中心でより高い倍率値(従って、角度当たりのピクセルにおいて、より高い虚像ピクセル密度)を提示し、より大きい極角においてより低いラジアル倍率値を提示することを促進でき、これは、G(θ)が、極角比率θの減少関数であることに対応する。これは、注視方向の近くだけで非常に高く、大抵、正面方向から±20度の範囲内で注視するため、ヒトの目の解像度のニーズに合致する。この戦略自体により、典型的には、直線的写像関数に関して、1.5倍又はこれ以上、視野の中心で虚像解像度を高めることができる。
適応レンズは、屈折面だけに限定されず、また反射又は回折面も含むことができる。特には、La Russa US3,443,858に説示された「パンケーキ(pancake)」アーキテクチャーを適応レンズとして用いることもでき、本明細書の実施形態の設計を非常に広視野及び相対的に小さいディスプレイとすることを許す。
加えて、指向性倍率関数間の一様性は、中心窩光線にだけ必要であるため、非中心窩光線、即ち、ヒトの目の解像度がかなり低い周辺網膜に衝突する光線だけを持つ光束に関して各小型レンズのイメージ品質又は倍率(又は両方)を低く設定することができる。従って、小型レンズ開口中心で集束し、その延長直線が眼球球面の中心を通過する光線により規定されたその中心注視場で小型レンズの指向性倍率を全方向角αに関して最大にすることで、虚像解像度を更に高めることができる。この戦略自体により、典型的には、直線的写像関数に関して、1.2倍又はこれ以上、視野の中心で虚像解像度を高めることができる。
図40は、図面においてその選択的な注視方向が水平方向に平行であり、その視野点において最大指向性倍率を持つように設計された屈折小型レンズ4001の光学系を示す。幾つかの光学素子4002、4003、4004から成り、クラスター4005のために設計されている。この光学系では、極角に依存して、ラジアル倍率が低下し、光学イメージ品質が低下する。(指向性倍率と光学解像度の結合から帰結する)虚像解像度は、目の中心窩に最終的に到達する光線についてより高く、また、網膜のより周辺の領域に到達する光線について漸減する。
図41は、要素4102及び4103から成り、クラスター4104のために設計された別の小型レンズ光学系4101を示す。クラスター4104は、光学系の放射が目に追随することを許容するように動き、アイ・トラッキングを実行する。このクラスターの動きは、4104に置かれたディスプレイ上でピクセルの異なるセットをアドレス制御(addressing)するソフトウェアを介して実施され得る。その設計は、指向性倍率及び光学イメージ品質が、中心注視場で最大になることも含み得る。更には、これらの光学系は、それらに対するディスプレイの異なる距離に関するこのパフォーマンス特徴を提供するように設計され得、典型的には、上限+2ジオプトリー~-8ジオプトリーの範囲内の遠視又は近視を持つユーザーによって用いられることを許す。
図42は、光軸に対する角度の関数として図41に示した模範的な光学系の目から逆に光線がトレースされる時のディスプレイ上のRMSスポット径サイズ4201を示す。この光学系は、眼球の真正面に置かれるように設計されており、視野角ゼロがその中心注視場に一致し、従って、スポット径は、好適にも最小である。より大きい視野角については、眼球が回転し、目の注視ベクトルと視野(周辺角と呼ばれる)の間の角度が(典型的には、視野角の二倍近くまで)増加し、また、ヒトの目の解像度がより大きい周辺角についてかなり低いため、ユーザーがそれに気付くことなくスポット径が大きくなることが設計により許される。
図40及び図41におけるレンズは、回転対称面のプロファイルとして断面において図示されており、これらは、z軸近くの小型レンズに関して十分であるが、斜め入射については、以下の[0413]で記述のように自由曲面の光学素子が設計されなければならない。
指向性倍率関数を規定して直線的写像から異ならせることは、小型レンズが歪みを提示することを意味し、これは、仮想現実光学系において通常のように行われているように、ソフトウェアにより訂正して虚像が歪んでいないように見せなければならない。
任意のG(θ)関係について回転によるインターレース
[0151]において回転によってどのようにインターレースするかを説明した。線形写像関数に対応する簡素化された状況を想定して計算を行う。しかしながら、これは、次に示すようにどの等焦点小型レンズアレイにも完全に適用可能である。ある設計における特定の小型レンズのための[0181]の写像関数は次式のものである:
小型レンズの指標i,jを省略している。これらの変数は、異なる意味で本明細書で再使用されるためである。ディスプレイのoピクセルが、x及びy軸に平行で、ピッチpoの正方形のデカルト格子であると仮定する。従って、指標(i,j)のピクセルは、xy座標を持つ:
ここで、指標(0,0)がディスプレイの中心ピクセルに対応すると設定している。従って、方程式[0197]を逆転すると、中心(xc,yc)のある小型レンズについてo-ピクセル(i,j)に関連したa-ピクセルが、次のように位置付けられると分かる:
非インターレスのa-ピクセルに関する条件は、中心が(xc,yc)及び(x’c,y’c)の任意の2つの小型レンズについて、同一のa-ピクセルを持つことを意味し、これは、各(i,j)について、次のように(i’,j’)があることを意味する:
方程式[0197]及び[0203]の方程式から、インターレースされていないことの条件は、次式と同等と推定されることに留意されたい:
従って、小型レンズの中心は、次式を満足しなければならない:
ここで、i”及びj”は、整数である。従って、小型レンズ中心の間のx及びy距離は、o-ピクセルピッチpoの倍数でなければならない。アレイの中心レンズ(xc,yc)=(0,0)であるため、従って、次のようにすることによりインターレース無しの小型レンズアレイを製造することができる:
従って、この選択について、方程式[0197]を次のように書き直すことができる:
ここで、g(θ)=G(θ)/po。我々が、アレイを次のように設計するならば:
ここで、D=Npo及びN、ic及びjcが整数であり、隣接する小型レンズが、ic及びjcにおいて1だけ異なる。従って、この場合:
o-ピクセルの格子の中心のものとは異なる中間位置におけるo-面(xint,yint)の放射点(emitting point)を検討する。この位置は、次のように方程式[0215]を通じてその放射方向(θint,φint)に関連付けられる:
ここで、iint=xint/po及びjint=yint/poは、非整数値である。今、ディスプレイを角度αだけ回転させることについて検討すると、o-ピクセル(xα,yα)の中心の新しい座標が、元の(非回転の)もの(x,y)に次のように関連付けられる:
poで除算することにより、回転したoピクセルの指標値を次式で規定することができる:
ここで、i及びjが整数であり、iα=xα/po及びjα=yα/poは、一般的に、非整数である。[0216]の方程式を(iα,jα)及びその対応の方向(θα,φα)に適用して、[0220]において小型レンズについて中心(ic,jc)で置換すると、次式が得られる:
ここで、
αが小さい時、この方程式は、次式により近似可能である:
従って、[0222]及び[0225]によると、中心(ic,jc)の小型レンズの写像は、ディスプレイが回転させられる時、次式により与えられる:
この方程式は、ディスプレイがαだけ回転する時のoピクセル(i、j)及び小型レンズ(ic,jc)を介したその対応のa-ピクセルの方向(θα,φα)の関係として与えられる。[0227]の反転式は、次式である:
oピクセル(i’、j’)は、別の小型レンズ(i’c、j’c)を介して次式で表されるように投影される:
設計が「完全結合される」ような(α=0の他の)角度αがあるか、即ち、小型レンズ(ic,jc)を介して投影されるどのo-ピクセル(i、j)についても、θ’α=θα及びφ’α=φαのように小型レンズ(i’c,j’c)を介して投影されるo-ピクセル(i’、j’)があるか探索する。方程式[0227]及び[0231]を減算することにより、次式が得られる:
条件は、Nαが整数であり、最小のαが次式により与えられるということは[0233]から明らかである:
インターレース係数2を得るためには次式を選択するだけである:
[0233]から、j’c-Jc及びi’c-icを有する小型レンズのファミリーが完全結合されると分かり、4つのファミリーは、次式のように表せる:
完全にインターレースされてa-ピクセル密度を複製しているか見るため、異なるファミリーのa-ピクセル間の距離を計算することができる。この計算を簡素にするため、あるファミリーのa-ピクセルが、別のファミリーにより生成されるべきディスプレイ上から到来する必要があるとして計算する。即ち、ファミリーAの小型レンズ(ic,jc)(従ってic及びjcは、偶数)及びo-ピクセル(iA,jA)により生成されたa-ピクセル(θα,φα)(従ってiA,jAは、整数)を検討する。Nα=0.5で[0229]から:
ファミリーB、C及びDについて、このa-ピクセル(θ,φ)に対応するo-面の点は次式になる:
これらの方程式を減算することにより次式が得られる:
(iαA,jαA)が整数であり、iα及びjαの整数値だけがディスプレイの真のピクセルに対応するためである。方程式[0247]は、Bファミリーのa-ピクセルが同一のiα=一定のラインに沿うが、Aファミリーのjα=一定のラインの間になることを示す。同様、Cファミリーのa-ピクセルが同一のjα=一定のラインに沿うが、Aファミリーのiα=一定のラインの間になり、Dファミリーのa-ピクセルは、両次元においてAファミリーの中間になる。図43は、適応ピクセル面、及びファミリーAのa-ピクセルの中心4301、ファミリーBのa-ピクセルの中心4302、ファミリーCのa-ピクセルの中心4303、及びファミリーDのa-ピクセルの中心4304を示す。
3.瞳孔追跡及びアンダーフィル戦略
図44は、瞳孔4403を有する目4402が、焦点距離4405を有し、ディスプレイ4409におけるサイズ4406のクラスターに対面している光学要素4404を見るセットアップ4401を示す。目は、光学要素4404により形成される虚像4407を見る。目の瞳孔4403は、角度4408(及びその反時計回りに対称)により規定された瞳孔域内で回転するかもしれないが、虚像4407は、その瞳孔域内で依然として視認可能である。
図44は、また、瞳孔4413を有する目4412が、焦点距離4415を有し、ディスプレイ4419におけるサイズ4416のクラスターに対面している光学要素4414を見るセットアップ4411を示す。目は、光学要素4414により形成された虚像4417を見る。クラスターサイズ4416は、4406と同一であるが、焦点距離4415が4405よりも大きく、瞳孔域4408が減じられている。光学要素4404の焦点距離が増加すると、セットアップ4411で図示のように、やがて瞳孔域4408が目の瞳孔の寸法に到達する。より長い焦点距離を持つことにより、構成4411は、より高い解像度で目に向けて画像を投影する。なぜなら、クラスターにおける同一のピクセル数が、より小さい角度スパンで目に送られるためである。しかしながら、目が動いて瞳孔域を退出すると、もはや画像を視認できず、解像度と瞳孔域の間のトレードオフがある。より狭い瞳孔域を克服するため、注視追跡(gaze tracking)と、動く画像が動きにおいて目を追跡するようにディスプレイ4419に亘ってクラスター4416をスライドさせることを実施し得る。
図45は、4501においてレンズアレイを示す。このアレイにおけるレンズのそれぞれは、物体面4502の一部を虚像面4503にイメージングする。特には、それらのレンズの一つは、物体面上の画像点4505を虚像面における点4506にイメージングする光線4504の光束を生成する。この光線の束は、多数の光線を含むが、図面の簡潔さのため、これが、実際の光線4507及び対応の虚像光線4508により表されている。従って、別の光線束4509は、実際の光線4510及び対応の虚像光線4511により模式的に表されている。
図46は、物体面4603の虚像4602を生成するレンズアレイ4601を示す。レンズアレイ4601及び物体面4603は、お互いに距離4604にある。虚像4602は、点4606から点4067まで延びる瞳孔域内に留まる限りにおいて、目の瞳孔4605により視覚可能である。レンズアレイにおける各レンズについて、図44のセットアップ4401と同様の構成である。
図47は、物体面4703の虚像4702を生成するレンズアレイ4701を示す。レンズアレイ4701及び物体面(ディスプレイ)4703は、ここでは、図46の場合の4604よりもお互いに大きい距離4704にある。ディスプレイ4703のサイズは、虚像4702のサイズを維持するように増加しなければならない。そのレンズアレイの瞳孔域は、今やより小さく、瞳孔4705のサイズに一致する。レンズアレイとディスプレイの間のより大きい距離4704は、アレイにおけるレンズのより大きい焦点距離に対応する。これは、より高い解像度の画像4702に帰結する。レンズアレイにおける各レンズについて、図44のセットアップ4411と同様の構成である。
図48は、図47と同一の構成を示すが、ここでは、目の瞳孔が異なる位置4805にある。レンズアレイ4801は、ディスプレイ4803の虚像4802を生成する。瞳孔が図47の位置4705から図48の位置4805に動き、各レンズのクラスターが、目の動きに追随してディスプレイにおいて動く。この構成は、従って、瞳孔トラッキングを必要とする。ディスプレイ4801におけるクラスターの動きは、ソフトウェアにより制御される。
図49は、ディスプレイ4903に図示された情報から虚像4902を生成するレンズアレイ4901を示す。これは、図47に示されたものと同様の構成である。しかしながら、ここでは、繰り返し情報を有するディスプレイ4903の全ピクセルが、ターンオフされる。そのような一つの可能性は、目の瞳孔4916に入射する時、その末端の放出方向(extreme emission directions)が、光線4905及び4906の方向の間に制約されたレンズ4904のそれらのピクセル4909Aだけを残すことである。従って、レンズ4907のピクセル4909Bだけがオンに残され、これらの末端の放出方向は、(目の瞳孔4916に入射する時)光線4906及び4908の方向の間に制約されている。同一の工程が、アレイにおける他の全てのレンズについて適用され得る。この工程において、ディスプレイのエリア4909A、4909B、4909Cだけがオンのままである。他の全てのエリアがオフであり、光を放出しない。この候補の構成において、アレイの異なるレンズにより放出された光束のエッジ光線は、目の瞳孔4911の中心で点4910に交差する。しかしながら、他の実施形態においては、上述の交差点4910は、他の位置に配置され得る。
レンズ4904の点灯エリア(クラスター)4909Aからの全ての光は、レンズ4907により偏向される時、エッジ光線4912の下に放射され、点4913の下で瞳孔4915の面に交差する。同様、別のレンズが、その上のレンズの点灯エリアから点4913の下方に光を放出し、瞳孔に入射しない。なぜなら、クラスター4909Aがレンズ4907に対応せず、レンズ4904に対応するためである。また、各レンズは、その対応のものの下方のクラスターから4913(不図示)の対称点の上に光を放出する。点4913は、目の瞳孔4911の下側エッジ4914の下に配置される。4913に対称の点(不図示)は、目の瞳孔の上側エッジ4916の上側に配置される。
図50は、図49の構成の変更を示し、レンズアレイ5002及びディスプレイ5003の間の距離5001が増加し、点4913が瞳孔4915のエッジ4914に接触する状態になり、また、両方が(4914と同じく)位置5004に合致する。次に、図50の構成は、図49の4704と比較する時、より大きい値の距離5001を持つ。虚像5005のサイズを維持するためのディスプレイ5003のサイズも増加する。レンズアレイ5002及びディスプレイ5003間のより長い距離5001は、アレイにおけるレンズのより長い焦点距離に一致し、より高い解像度の虚像5005を生成する。
図51は、図50と同一の構成を示すが、アレイの一つのレンズのエッジ光束を強調している。レンズアレイ5101は、ディスプレイ5103に示された情報から虚像5102を生成する。特には、レンズ5104は、目の瞳孔5108に入射するエッジ光束5106及び5107により光束が境界付けられたそのクラスター5105の虚像を生成する。
図52は、図50と同様の構成を示すが、ここでは、異なる瞳孔位置5201に関する。瞳孔が動くと、ディスプレイ5203における点灯エリア5202も瞳孔の動きに追随して動く。システムは、瞳孔追跡を実行する。
図53は、図51と同一の状況を示すが、図52のような瞳孔位置5201に関する。レンズ5301は、目の瞳孔5201に入射するエッジ光束5303及び5304により光束が境界付けられたそのクラスター5302の虚像を生成する。
図54は、図50と同様の構成を示すが、レンズアレイ5402及びディスプレイ5403間の距離5401が増加している。レンズアレイ5402及びディスプレイ5403の間のより大きい距離5401は、アレイにおけるレンズのより長い焦点距離に一致し、より高い解像度の虚像5412が生成される。レンズ5404、5405、5406及び5407は、各々、その点灯エリア(クラスター)5408、5409、5410及び5411を有する。もしレンズ5405が5408から放射された光を透過するならば、この例では、瞳孔5413に入射する。この場合、2つのレンズ5404及び5405が、点灯エリア5408から瞳孔5413に光を送り、競合する情報を持ち、従って、クロストークが生じる。これを回避するため、レンズ5405は、点灯エリア5408から放射された光を伝送してはならない。この場合、これは、直交偏光フィルターを用いることにより達成され得、これは、時分割多重制御と組み合わせて用いられ得る。レンズ5405は、それ自体のクラスター5409及びクラスター5411のような奇数クラスターからの光を伝送するが、5408又は5410のような偶数クラスターからの光を伝送しない。従って、レンズ5406は、そのクラスター5410及び5408といった他の偶数クラスターからの光を伝送するが、奇数クラスター5409又は5411からの光を伝送しない。同様の伝送特性が、全ての他の点灯エリアからの光を伝送する他の全てのレンズに当てはまる。レンズ5406を介したクロストーク状態は、ここで、点灯エリア5408の最下点により規定され、また光線5414により境界付けられる。従って、レンズ5407を介したクロストーク状態は、ここで、点灯エリア5409の最下点により規定され、また光線5415により境界付けられる。この構成においては、全てのクロストーク光が瞳孔外に入射するため、クロストークがない。瞳孔面での全クロストーク光は、点5416の下にあり、従って、明らかに瞳孔外にある。
図55は、レンズアレイ5501が、ディスプレイ5503に示された情報から虚像5502を生成する構成を示す。一つおきのレンズ5504のセットは、クラスターら5505に示された情報から全虚像5502を実質的に生成する。別の一つおきのレンズ5506の別のセットは、クラスター5507に示された情報から全虚像5502を実質的に生成する。各々、クラスター5505及び5507から到来してレンズ5504及び5506を透過する光は、目の瞳孔5508に入射して見ることができる。レンズ5504及び5506の両方のセットが、重畳する虚像5502を生成するため、このレンズのセットがインターレースされると虚像5502の知覚解像度が高められる。インターレースされることは、ここでは、レンズ5504を介して見られる時のユーザーの目の網膜上でディスプレイ5503の緑ピクセルの画像が、レンズ5506を介して見られる緑o-ピクセルの画像に一致せず、僅かにシフトされ、2つの画像のいずれか一つのものよりも2つの画像を足した解像度(角度当たりのピクセル)が大きくなることを意味する。このシフトは、緑o-ピクセル直径と同等である。他の色についても同様である。
図56は、図55と同一の構成を示す。クラスター5505から放出されたレンズ5506を介した光束5601は、瞳孔5508を外れ、従って、見ることができない。従って、また、図55も参照すると、クラスター5507から放射されレンズ5504を介した光束(不図示)も瞳孔を外れ、従って、見ることができない。これは、レンズ間にクロストークがない状態である。
図57は、図50と同一の構成5701と、図55と同一の構成5702の比較を示す。構成5702がレンズ5704よりも小さいレンズ5703を有すると見て分かる。従って、より多くのレンズが同一の視野をカバーするために必要になる。構成5702は、レンズ5704とディスプレイ5708の間のより大きい距離5706と比較する時、レンズ5703とディスプレイ5707の間のより短い距離5705を有する。構成5702は、より短い焦点距離のレンズを有し、従って、5701よりもよりコンパクトな構成である。短い焦点距離のレンズ5703は、より低い解像度の虚像5709を生成し、他方、長い焦点距離のレンズ5704は、より高い解像度の虚像5710を生成する。しかしながら、構成5702におけるレンズの異なるセットがインターレースされると、複合虚像5709の知覚解像度が高められる。
図58は、図57におけるものと同様の構成を示すが、ここでは、光学系の全体サイズと比較して、虚像5710及び5709が非常に大きい距離(限定された場合、無限距離)にある特定の場合に関する。非常に大きい距離にあるその虚像面は、図58では示されていない。光線は、妨害されない態様で目の瞳孔5812に交差して示される。これは、単なる説明の目的及び異なる束を分離するためだけのものである。実際には、その光は、目によりその網膜でイメージングされる。
構成5801は、ディスプレイ5804のクラスター5803の無限距離で虚像を形成するレンズ5802を含む。その虚像を形成する光は、目の瞳孔5812に入射し、光束5805及び5806の方向の間に含まれる。構成5801は、ディスプレイ5804の部分5808の無限距離で虚像を形成するレンズ5807も含む。その虚像を形成する光は、光束5809及び5810の方向の間に含まれる。光束5806及び5809が同一の方向を持つため、2つのレンズ5802及び5807のセットが、光束5805及び5810の方向の間に含まれる虚像を形成する。アレイ5811により多くのレンズを追加することで虚像の部分が連結され、その角度サイズが大きくなる。一般的に、各レンズにより形成される虚像のいくらかの重畳が許容される。レンズ5802又は5807のサイズは、本質的に、瞳孔5812のサイズの半分である。構成5801は焦点距離5813を有する。
図58には、同一構成の二つの図5820及び5840も示される。構成5820を参照すると、レンズ5821は、ディスプレイ5823のクラスター5822から光を取り入れ、無限距離に部分的な虚像を形成する。この虚像を形成する光が目の瞳孔5812に入射し、光束5824及び5825の方向の間に含まれる。レンズ5826は、ディスプレイ5823のクラスター5827の部分的な虚像を無限距離に形成する。その虚像を形成する光は、目の瞳孔5812に入射し、光束5828及び5829の方向の間に含まれる。光束5828の方向は、光束5825のものと平行である。レンズ5830は、ディスプレイ5823のクラスター5831の虚像を無限距離に形成する。その虚像を形成する光は、目の瞳孔5812に入射し、光束5832及び5833の方向の間に含まれる。光束5832の方向は、光束5829のものと平行である。構成5801において生じるものと同様、ここでも、レンズ5821、5826及び5830が、異なるレンズにより形成される異なる部分的な虚像を連結することにより連続的な虚像を形成する。目の瞳孔5812のサイズは、本質的にレンズアレイ5811のレンズのサイズの2倍である。
構成5840を参照すると、レンズ5841は、ディスプレイ5823のクラスター5842から光を取り入れ、無限距離に部分的な虚像を形成する。この虚像を形成する光が目の瞳孔5812に入射し、光束5844及び5845の方向の間に含まれる。レンズ5846は、ディスプレイ5823のクラスター5847から光を取り入れ、無限距離に部分的な虚像を形成する。この虚像を形成する光が目の瞳孔5812に入射し、光束5848及び5849の方向の間に含まれる。レンズ5850は、ディスプレイ5823のクラスター5851から光を取り入れ、無限距離に部分的な虚像を形成する。この虚像を形成する光が目の瞳孔5812に入射し、光束5852及び5853の方向の間に含まれる。構成5801において生じるものと同様、ここでも、レンズ5841、5846及び5850が、異なるレンズにより形成される異なる部分的な虚像を連結することにより連続的な虚像を形成する。目の瞳孔5812のサイズは、本質的にレンズアレイ5851のレンズのサイズの3倍である。
構成5801に戻って説明すると、長い焦点距離5813を持つと分かり、高解像度の虚像に帰結する。
構成5820及び5840におけるレンズアレイは、レンズの2つのファミリーから成る:5821、5826、5830及び5841、5846、5850。これらのファミリーのそれぞれ一つは、全虚像を形成する。構成5820及び5840における装置は、構成5801の装置よりも短い焦点距離5815を有する。これによって、よりコンパクトな装置になるが、レンズの2つのファミリーにより形成される虚像が、それに対応してより低い解像度を持つ。しかしながら、そのレンズファミリーがインターレースされるならば、装置の解像度が増加する。
図59は、図58における構成5801と同一の構成5901を示す。クラスター5803及び5814からレンズ5807を介して放射した光は、目の瞳孔5812外に入射する。これがクロストーク状態と呼ばれ、クラスター5803及び5814のエッジから放射する光線の束5902及び5903として図示される。ディスプレイのエリア5904がオフであり、何ら光を放出しない。図58の構成5801から図59の5901まで、レンズ5807を介して目の瞳孔に到達するディスプレイの光だけが、クラスター5808から到来していると分かる。アレイ5811における他のレンズについても同様に結論付けられ得る。
図59には構成5921も示されており、図58の構成5820及び5840と同一である。クラスター5822及び5827からレンズ5846を介して放射した光は、目の瞳孔5812外に入射する。このクロストーク状態は、クラスター5822及び5827のエッジから放射する光線の束5922及び5923により図示される。ディスプレイのエリア5924がオフであり、何ら光を放出しない。図58の構成5820及び5840と図59の5921から、レンズ5846を介して目の瞳孔に到達するディスプレイ光だけが、クラスター5847から到来していると分かる。アレイ5851における他のレンズについても同様に結論付けられ得る。
図60は、レンズ6005に交差する4セットのエッジ光線6001、6002、6003、6004を示す。光束6002及び6003がクラスター6006のエッジから到来し、他方、光線6001及び6004が、各々、暗エリア6007及び6008のエッジから到来する。これらの光束から、光束毎に一つ、4つの代表の光線を取る。光束6001、6002、6003、6004について、各々、光線6005A、6005B、6005C及び6005Dがある。レンズ6005を介する光線6005A、6005B、6005C及び6005DをA型、B型、C型及びD型と命名する。
図61は、ディスプレイ6122に対向したレンズアレイ6121を示す。クラスター6117にエッジを起点としてレンズ6107のエッジに交差する光線6107B及び6107Cも示される。このレンズ6107は、視野を生成し、その方向は、目の瞳孔6123に交差する時、光線6107B及び6107Cのものの間に含まれる。クラスター6115のエッジを起点とする光線6105B及び6105Cは、レンズ6105のエッジに交差する。このレンズ6105は、視野を生成し、その方向は、目の瞳孔6123に交差する時、光線6105B及び6105Cのものの間に含まれる。光線6107C及び6105Bが平行であり、レンズ6107及び6105を介した視野の方向は、目の瞳孔6123に交差する時、光線6107B及び6105Cのものの間の全方向を満たす。従って、レンズ6103は、視野を生成し、その方向は、目の瞳孔6123に交差する時、光線6103B及び6103Cのものの間に含まれる。また、レンズ6101は、視野を生成し、その方向は、目の瞳孔6123に交差する時、光線6101B及び6101Cのものの間に含まれる。光線6105C及び6103Bが平行であり、光線6103C及び6101Bも同様である。レンズ6101、6103、6105及び6107のファミリーは、光線6101C及び6107Bのものの間の全方向において視野を生成する。レンズ6102、6104、6106の他のファミリーは、同様の方法で作用し、また、部分的な虚像のセットも生成し、これらが、瞳孔6123を通じて見ることができる連続の全虚像を一緒に形成する。その2つのレンズ・ファミリーの2つの全虚像が重畳する。上記2つの全虚像がインターレースされると、実施形態の知覚解像度が高められる。
図62は、高さρでディスプレイ6202から離れ、レンズアレイ6203を透過し、目で見られるように水平方向に角度θを成す方向にそこから放出する光線6201を示す。レンズ6207は、続いて、各視野方向θについてディスプレイ放射ρ座標を規定する写像ρ(θ)により特徴付けられる。
そのクラスター6216及びクラスター6216の下部からレンズ6206の下部を介する光線6206Cを有するレンズ6206も示されている。そのクラスター6215、クラスター6216の下部からレンズ6205の上部を介する光線6205A、及びクラスター6214の上部からレンズ6205の下部を介する光線6205Dを有するレンズ6205も示されている。そのクラスター6214及びクラスター6214の上部からレンズ6204の上部を介する光線6204Bを有するレンズ6204も示されている。光線6205A及び6206Cは、同一のρ値を有する。光線6206C及び6204Bは、同一のθ値を有する。
図62と図61を比較すると、レンズ6204及び6206が同一のレンズ・ファミリーに属し、他方、レンズ6205が異なるレンズ・ファミリーに属すると分かる。
図63は、図62の個別のレンズ6204、6205、6206の写像を表す曲線6304、6305、6306を示す。点6305A、6305D、6304B及び6306Cは、各々、図62の光線6205A、6205D、6204B及び6206Cを表す。図63の表現から、光線6304B及び6306Cが同一のθ値を有し、従って、図62に図示のように平行であると分かる。光線6305D及び6304Bは、同一のρ値を有し、図62に図示の光線6306C及び6305Aも同様である。
図64は、図62における実施形態の異なる構成を示す。目の瞳孔6208が位置6401に動く時、(ソフトウェアを介して)ディスプレイ6403においてクラスター6214、6215及び6216が位置6434、6435、6436まで動く。光線6205A、6204B、6206C及び6205Dは、いまや、軌跡6415A、6414B、6416C及び6415Dを持つ。繰り返すが、光線6415A及び6416Cは、ディスプレイにおいて同一のρ値を有し、光線6414B及び6415Dも同様である。光線6414B及び6416Cは、同一のθ値を有する。目の瞳孔6208が位置6402に動く時、(ソフトウェアを介して)ディスプレイにおいてクラスター6214、6215及び6216が位置6444、6445、6446まで動く。光線6205A、6204B、6206C及び6205Dは、いま、軌跡6425A、6424B、6426C及び6425Dを持つ。繰り返すが、光線6425A及び6426Cは、ディスプレイにおいて同一のρ値を有し、光線6424B及び6425Dも同様である。光線6424B及び6426Cは、同一のθ値を有する。
図65は、図63と同様の図を示すが、光線6415A、6414B、6416C及び6415Dを表す追加点6515A、6514B、6516C及び6515Dを有し;及び光線6425A、6424B、6426C及び6425Dを表す追加点6525A、6524B、6526C及び6525Dを有する。従って、図65において3つの破線が3つの異なる瞳孔位置を表す。
図66は、図63におけるものと同様の別の図を示す。ここで、図64に戻って参照すると、レンズ6204及び6205の写像が既知であると仮定する。次に、レンズ6205を介して瞳孔6402のエッジから光線6425Dを光線追跡し、光線6425Dについて(θ,ρB)座標を決定する。これは、レンズ6205の写像曲線6605における点6605Dに対応する。また、レンズ6205を介して瞳孔6402のエッジから光線6425Aを光線追跡し、光線6425Aについて(θ,ρA)座標を決定する。これは、レンズ6205の写像曲線6605における点6605Aに対応する。ここで、レンズ6204を介してディスプレイ座標ρBから光線6424Bを追跡する。光線6424Bの方向は、レンズ6204を透過した後、瞳孔6402を透過する時、方向θBを規定する。光線6426Cは、瞳孔に交差する時、光線6424Bと同一の方向θBを有しなければならない。また、光線6426Cは、座標ρAでディスプレイに到達するべきであり、これは、座標(θB,ρA)を有するべき点6606Cを規定する。レンズ6206の写像曲線6606は、次に、交点6606Cにある。この工程によって、写像曲線6604及び6605に対する写像曲線6606の位置が規定される。
図67は、図66のものと同様の図を示す。まず、図66におけるライン6605D-6604B-6606C-6605Aと同様のライン6704を参照する。写像6701を有するレンズは、角度6707よりも下の方向で光を放出し、他方の写像6703を有するレンズは、角度6707よりも上の方向で光を放出する。従って、写像6701及び6703のレンズにより形成される画像の間にはギャップがない。また、重複もない。
ここでライン6705を参照する。写像6701を有するレンズは、角度6708よりも下の方向で光を放出し、他方の写像6703を有するレンズは、角度6709よりも上の方向で光を放出する。従って、写像6701及び6703のレンズにより形成される画像の間にギャップがある。虚像におけるこのギャップは、角度6708から角度6709の間の方向に亘る。角度範囲が虚像における暗エリアに対応するため、これは許容できない。
ここでライン6706を参照する。写像6701を有するレンズは、角度6709よりも下の方向で光を放出し、他方、写像6703を有するレンズは、角度6708よりも上の方向で光を放出する。従って、写像6701及び6703のレンズにより形成される画像の間に重複がある。虚像におけるこの重複は、角度6708から角度6709の間の方向に亘る。これは望まれないかもしれないが許容できる。
瞳孔が回転する時、6704、6705及び6706といったラインが、図65に図示したように写像曲線6701、6702及び6703を上下に動かす。自由曲面の設計では、全瞳孔位置について、6704及び6706といったラインだけが存在し、どの瞳孔位置についても6705といったラインがないことが設計により確保されなければならない。一般的には、6704といったラインが可能である瞳孔位置は一つだけである。それは、図66に図示した方法を用いて6604及び6605の写像に基づいて6606の写像を決定するために用いられる瞳孔位置である。
図68は、レンズアレイ6802の一部であるレンズ6801をハイライトする。このレンズは、6803から6804に延びる部分的な虚像面を形成する。6803から6804の場の光線は、レンズ6801を透過して瞳孔面6805に入射して瞳孔面に光束プリントを生成する光束6806及び6807を構成する。この例では、瞳孔面上の光束6806の全光束プリントが6809であるが、この光束のたった一部6808だけが瞳孔6810内に入る。また、瞳孔面上のビーム6807の全光束プリントが6811であるが、この光束のたった一部6812だけが瞳孔6810内に入る。光束の光線により運ばれる光量は、ディスプレイ6813の対応のo-ピクセルの電力を調整することによってソフトウェアにより調整され得る。そのようにすることで、瞳孔に入射する光量が、瞳孔によりインターセプトされる光束プリントの部分からある程度まで無関係になる。
図69は、ある瞳孔径6901について、最高解像度が見込める正方形状の小型レンズアレイのアンダーフィル設計を示す。3次元において、瞳孔面上の全内側光束プリントのこの集合(即ち、その対応の小型レンズを介して目を照明するクラスターに属するo-ピクセルにより生成されたそれらの光束)は、瞳孔内の正方形6902をほぼ占有し、他方、外側照明光束(即ち、その対応のものとは異なる小型レンズを介して目を照明するクラスターに属するo-ピクセルにより生成されたもの)は、6903のように、瞳孔外のエリアを占有する。この設計は、6902及び6903が両方とも瞳孔に接しているため最高の解像度のものであり、より低い解像度の設計は、正方形の面積を低減し、クロストークを生成することなく瞳孔の直径の変動を許す。この最高解像度設計におけるクラスター側から半暗コリドー付きクラスターの比率は、0.55であり、これは、(瞳孔を完全に照明することができる)2D計算により取得される値0.66よりも低い。
図70は、ディスプレイ7002とペアにされたマイクロレンズアレイ7001を示す。好適には、圧電式のアクチュエータ7003及び7004も示され、レンズアレイを垂直及び水平方向に動かすことができる。これらの動きは、表示内容と同期が取られ、目が動き、幾つかの光束が目の瞳孔から退出し、他の光束が目の瞳孔に進入するように異なる光束に交差する時の知覚画像明るさのシンチレーションを低減するために用いることができる。この構成は、ディスプレイ7002上でリアルイメージを時分割多重することで生成される異なる部分的な虚像をインターレースするためにも用いることができ、これらの部分像をレンズアレイ位置に同期させることで知覚解像度がより高い像になる。
光を僅かに偏向する同期ビームステアリング素子(synchronized beam steering element)を光路に導入することによって同様の効果を得ることができる。LC材料を用いる文献に記載されているように、回折又は回折物を使用することができ、又は、複屈折テーパープレートを使用することができ、テーパー角が、異なる偏光のo-ピクセルを僅かに異なる方向に放射させるために通常光線及び異常光線の異なる屈折率のために設計可能であり、適切な画像インターレースが生じる。
図71は、透過型ディスプレイ7102に対向したマイクロレンズアレイ7101を示す。マイクロレンズの間にギャップ7103があり、7104といった到来光が透過させ、ディスプレイが少なくともギャップの後方のエリアで透明(及びピクセル無し)であると仮定して複合現実用途のために透視構成を提供する。レンズ7105は、ディスプレイ7102の個々のクラスターをイメージングして虚像を形成する。この組み合わせにより虚像が現実の視界上に重ね合わされる。
図72は、異なるレンズファミリーのクラスターを示す好適な実施形態のディスプレイ7201を示す。異なる線種で識別された4つのファミリーがある。ディスプレイの外側に入射する各クラスターの部分が見えない。この模範構成では、クラスターは、90°対称性を有し、目は、前方を見るものと仮定されている。図72の図は、図61のディスプレイ6122の三次元幾何形状及びそのクラスターへの拡張に対応する。
ディスプレイ7201とレンズアレイがペアである。図示の各クラスター上に一つのレンズだけがある。
図73は、図72のものと同様の図を示す。ディスプレイ7301上の異なるレンズファミリーのクラスターを示す。ディスプレイの外側に入射する各クラスターの部分が見えない。この模範的な構成では、クラスターは、アイ・トラッキングを有する構成において目の動きに追随して動いている。図73の図は、目の瞳孔が動き、システムがアイ・トラッキングを実行するため、図64のディスプレイ6403の三次元幾何形状への拡張に対応する。
図74は、幾つかの図のマトリクスを示す。(7401においてより詳細に図示された)一つの図は、図68のレンズ6801により生成された瞳孔6805の面上に入射する光束プリントの三次元幾何形状への拡張に対応する。異なる図は、図68のアレイ6802における異なるレンズにより生成された瞳孔面6805上に入射する光束プリントの三次元幾何形状への拡張に対応する。図74の図のセットは、全て、図72に示すように、ディスプレイ・クラスターの対応のファミリーとペアにされた同一のレンズファミリーに属する。
目の瞳孔は、図68の瞳孔サイズ6810に対応する外周7402を有する。各光束は、図68に図示のように瞳孔6805の面上の光束6806又は6807の光束プリントに対応する光束(又はビーム)プリント7403を有する。クラスタービームプリント7404は、全光束プリントの凸の輪郭(convex hull)(全光束ビームプリントの集合の外側境界)であり、又は、瞳孔の面上の全体のクラスターのビームプリントである。
7403といった幾つかの光束プリントは、瞳孔7402内に完全に入射するように見えるかもしれない。しかしながら、7405といった他の光束プリントは、瞳孔7402の外に部分的に入射する。これが発生する時、その光束を放射する対応のディスプレイのo-ピクセルの明るさは、瞳孔に入射しない光量損失を補償するために増加しなければならない。このo-ピクセルの明るさのソフトウェア調整は、瞳孔サイズ及び瞳孔位置の関数である。
4.G(θ)=sin(θ)の場合
このセクションは、関数G(θ)=sin(θ)([0169]から開始するセクション参照)の関数により与えられる中心窩可変倍率を有するアンダーフィル戦略を用い、また、k=2のインターレース戦略も用いるシステムの設計例を開示する。光学系は、各一つが単一のチャンネルに対応する全てのチャンネル及び小型レンズのアレイに共通の(適応レンズと呼ばれる)連続レンズを含む。小型レンズアレイは、マイクロレンズの2つのアレイから成る。いつもどおり、各小型レンズは、対応するクラスターを有する。このクラスターと、これに関連する全ての光学系(その小型レンズ及び適応レンズ)がチャンネルを形成する。説明の簡潔さのため、虚像面が無限位置にあるものと仮定し、2D幾何形状の問題にのみ言及する。次数k=2のインターレースは、2つのチャンネルファミリーがあることを意味し、これらの各々は、そのクラスターを全視野にイメージングする。3D幾何形状への拡張も率直である。
適応レンズ計算
適応レンズ写像関数の計算から始める。図75は、適応レンズの断面を示す。このレンズは、曲面レンズ7501と、2つの平坦な誘電体スラブ7502及び7503から形成される。眼球7505及びその瞳孔7506が左手側に示される。平坦スラブの役目は、後で説明する。
角度θ=arcsin(p)で目の瞳孔上の点xに到達する光線についてy(x,p)及びq(x,p)をデジタルディスプレイ7504での空間座標及びその方向余弦とする。y(x,p)=(p+P0(x))Fとなる適応レンズを探索し、ここで、Fは定数であり、P0(x)は、xの任意の関数である。エテンデュの保存は、dxdp=dydqを意味し、従って、
。
これは、関数q(x,p)における一階偏微分方程式であり、その解は、ラグランジュ-シャルピット関連方程式(Lagrange-Charpit related equations)を解くことによる特性曲線法によって得ることができる。解はq(x,p)=-x/F+Q0(y(x,p))で与えられ、ここで、Q0(y)はyの任意の関数である。この方程式は、y(x,p)の式と共に、空間x,pから空間y,qに2つの写像関数を与える。これらの方程式は、p=y/F-P0(x)及びq=-x/F+Q0(y)と記述することもできる。
この結果により、このレンズのハミルトン特性関数l(x、y)を計算でき、即ち、l(x、y)は、両方の点を結ぶ光線に沿って、入射点xから出射点yまでの光路長である。次に、lx(x,y)=-p及びly(x,y)=qである。pとqの最後の式を使用すると、lx(x,y)=P0(x)-y/F及びly(x,y)=-x/F+Q0(y)が得られ、この積分によりこのレンズのハミルトン特性関数が得られる:l(x,y)=P0(x)+Q0(y)-xy/F、ここで、P0(x)及びQ0(y)は、各々、x及びyの任意の関数であり、それらの導関数がP0(x)及びQ0(y)である。
適応レンズの例
P0(x)=x/G1及びQ0(y)=y/G2を選択してみる。すると、写像関数p=y/F-P0(x)及びq=-x/F+Q0(y)は、p=y/F-x/G1及びq=-x/F+y/G2となり、
と書くことができ、従って、
。
ハミルトン特性関数は、l(x,y)=x2/(2G1)+y2/(2G2)-xy/F+l0であり、ここで、l0は任意の定数である。
少なくともx=0の近傍(x=x0での点7607およびx=-x0での点7608)において、[0307]で説明した写像を実行する2面レンズ7601は、SMS技術(図76参照)で光路長に関する[0309]のレンズ特性関数l(x,y)を用いて設計することができる。2つの誘電体スラブ7602と7603の厚さと位置、定数G1、G2、F、および屈折率が規定されていると仮定する。図77にSMS法で行った幾つかの設計例を示す。これらの例では、スラブの誘電体の厚さは0である。瞳孔の中心は座標原点7701である。レンズの2つの面は7702と7703であり、ディスプレイ面は7704にある。レンズの屈折率は1.5である。
レンズが設計されると、適合レンズ系の関数z(x,p)は、方向余弦q(x,p)で光線に沿って点y(x,p)から逆トレースすることによって計算できる。屈折率がnの場合、スラブの総厚はTであり、Dは軸zから軸yまでの距離であり(図75を参照)、
ここで、右端の式は、qの値が小さい場合にのみ有効な近似である。スラブは平坦であるため、z軸での光線の方向余弦rは、y軸のでの方向余弦と同じであり、即ち、r=qと観察できる。次に、これらの式及び[0308]の式を用いると、(x,p)の関数として(z,r)が得られる。これらの2つの関数z(x,p),及びr(x,p)は、前述の近似が有効な場合、つまりqが小さい場合に線形になる。
この近似の場合、
ここで、
である。
全域写像関数
図75の平坦な誘電体スラブ7502および7503それぞれを、同様の厚さのマイクロレンズアレイに置き換えてみる。平坦スラブの目的は、小型レンズアレイの動作を巨視的にエミュレートすることである。この小型レンズアレイは、幾つかのマイクロレンズアレイ(我々の例では2つ)で構成されている。各スラブの厚さは、エミュレートされているマイクロレンズアレイの平均厚に一致する。マイクロレンズアレイのセットが対応のレンズを有するため、それらすべて一緒に小型レンズのアレイを構築し、ここでは、小型レンズの各一つが、全マイクロレンズアレイ上の一つのマイクロレンズを有する。明らかに、スラブがマイクロレンズアレイで置換されたときに達成される写像は、そのような置換なしで達成された写像とは異なる。前者は全域写像と呼ばれ、後者は適応レンズ写像と呼ばれる。小型レンズアレイの目的は、適応レンズ写像の「ローカルチューニング」にある。その結果、小型レンズアレイに大きな不連続性はない。さもなくば、少なくとも1つのマイクロレンズアレイが、1つのマイクロレンズから隣接するマイクロレンズまでのレンズプロファイルに鋭い不連続性があるフレネルレンズのように見える。適応レンズ構成の2つの平坦スラブが小型レンズアレイに置き換えられた場合、全域写像関数yi(x,p)、qi(x,p)は、到着点及び方向余弦x,pの関数として、光線の出発点yとディスプレイからの出発点でのその方向余弦qを与える。「i」は、小型レンズの指標である。小型レンズの2つのファミリーをiの値に応じて奇数及び偶数小型レンズに区別する。これらのファミリーは、k=2のインターレース戦略で必要なチャネルの2つのファミリーに対応する。ファミリーの各一つは、そのクラスターを全FOVにイメージングし、単一の目が両方のファミリーのチャンネルを同時に見る時、異なるファミリーにより形成された画像が網膜において重畳する。インターレース戦略では、一つのファミリーのo-ピクセルが、他方のファミリーのクラスターの暗領域(又は他の色のo-ピクセル)に重畳するように重畳が生じ、逆も然りであり、従って、網膜上にイメージングされるo-ピクセルの密度が(k=2の時)二倍になる。3D幾何形状では、k=2により、網膜上にイメージングされるo-ピクセルの密度が4倍になる。
全域写像(つまり、小型レンズアレイが初期の適応レンズ構成の平坦スラブを置き換える時に光学系によって生成される写像)の目的は、この写像関数
を得ることであり、ここでは、f及びcoが定数であり、iが小型レンズ番号である。
繰り返すが、エテンデュの保存は、dxdp=dydqを意味し、従って、
この方程式は、
として表現可能である全域写像を与える他の関数の条件を与え、ここで、A(p)は、pの任意の関数である。
適応レンズ写像(即ち、小型レンズアレイの代わりに平坦スラブを備えた光学系全体)は、[0304]における方程式により与えられ、その一つが、
であることに留意されたい。図78は、x=xsについてp,y面でのこの関数7801を示す。幾つかの全域写像関数yi(p)7802も示される。これらの全域写像関数の各一つは、pd,iからpu,iまでそれ自体の角度範囲を有する。これは、小型レンズによってクラスターから瞳孔に伝送される光の角度範囲である。片側の奇数小型レンズまたは反対側の偶数小型レンズに対応する異なるセグメントを結合することにより、各レンズファミリーのための全域写像関数を構築できる。実線7803は、(奇数又は偶数)小型レンズの一つのファミリーの全域写像関数であり、点線7804は、他のファミリーの写像である。この種類の図は、図63、図65、図66,及び図67に示したものと同様である。
ディスプレイの全クラスター7805が同一サイズである通常のクラスター構造と暗コリドー7806を分析してみる:ccはクラスターの幅であり、cdは、クラスター間の暗コリドーの一つであり、ピッチは、ce=cc+cd(図78参照)である。[0350]において異なるクラスターサイズの解決方法を議論する。通常の解決策に関しては、
及び
である。ce>ccであるため、F>2fである。
暗領域i+(1/2)(これは、クラスターi及びクラスターi+1の間の暗領域である)のエッジのy座標yu,i及びyd,i+1は、
の時、
及び
である。
各クラスターのエッジが、小型レンズのスパンの2つの角度境界を規定する。暗領域i+(1/2)の上側エッジは、クラスターi+1の最小放射角(pd,i+1)及びクロストークなしでクラスターiの最大放射角(πu,i)を規定する。次に、
及び
([0315]の写像を参照)。暗領域i+(1/2)の下側エッジは、クラスターiの最大放射角(pu,i)及びクロストークなしでクラスターi+1の最小放射角
を規定する。次に、
である。
これらの結果を要約し、これらの全てをクラスターiについて参照すると、
及び
が得られる。
pd,i+2=pu,iであるため、同一のファミリーのクラスター(奇数又は偶数)がFOVを完全に敷設(tile)すると観察できる。小型レンズの放射角度スパンは、小型レンズの位置で変化するが、両方のエッジで座標pの差として表現されるならば一定であり、即ち、
であり、両側の暗領域も含まれる時には、
である。両方の角度スパンについて中点は、coi/(F-f)である。
小型レンズアレイの出射面上の座標をzと呼ぶ。図79は、デジタルディスプレイ7901のクラスターiから放射され、小型レンズiの第1のマイクロレンズ7903及び第2のマイクロレンズ7902を透過し、適応レンズ7901を後で透過して、目7905、より正確には目の瞳孔7906に向けられる、これらのエッジ光線の軌跡を示す。
目の瞳孔サイズ
上記の結果は、クロストーク照明のない目の瞳孔の最大サイズを決定する。角度p=πd,i+1及びπu,i(図80参照)を持って瞳孔に到達するように座標zi+1/2のz軸の点から発出する2つの光線を考える。[0312]の方程式を用いると、次の式は、
が得られる(瞳孔が-xP<x<xPに延びる)。
πd,i+1-πu,iが、iに依存しないことが分かる。なぜなら、
であり、目の瞳孔位置(-xP<x<xP)も依存しない。
と
を置換すると、次式が得られる。
同様の方法で、
のように小型レンズの出射開口サイズを計算することができる。適応レンズ写像(x=0)([0308]及び[0312]の式に応じて、このzi+1/2に対応のyi+1/2が、暗領域i+1/2中点、即ち、
である。
瞳孔上における小型レンズのスポットサイズ
瞳孔面上の小型レンズiのスポットのエッジは、座標xpu及びxpd(図79参照)により与えられる。これらは、小型レンズ出射開口エッジ(zi±1/2)から発出してp=pd,i、p=pd,i+1でx面に到達した光線の交差点である。
これらの座標は、次のようにzからx面へ写像関数で計算可能である。
xpuは、z=zi+(1/2)に関して[0312]、[0321]及び[0326]の式を用いて計算可能である。取得値は、
であり、これは、iとは無関係である。
xpdは、また、z=zi-(1/2)以外について[0312]、[0321]及び[0326]の式を用いて計算可能である。結果の値は、
である。
その対応のクラスターからの任意の小型レンズにより放出された全ての光を瞳孔内で取得(caputure)するため、このスポットが、瞳孔サイズよりも小さいことを必要とし、即ち、xpu<xPであり、これは、F/f>3を意味し、或いは、
と同じである。
別の興味深い点は、各々、p=pu,i及びp=pd,iの方向でz=zk±(1/2)から発出した光線のx軸(xcu及びxcd)との交差である(図79参照)。これらの計算は、xpu及びxpdの計算と同一の方程式を用いる。結果は、
である。
次に、交差直径(2xcu)は、スポット径(2xpu)の1/3であり、そのサイズ及び位置は、スポットを形成する特定の小型レンズiとは無関係である。
中心から外れた目の瞳孔
固定の設計パラメーター、即ち、(瞳孔域内で)目の瞳孔位置に依存しないパラメーターを思いだそう。これらは:zi+(1/2)、F、f、co、及び結果的に([0318]における式)cc、ceである。逆に、暗領域i+1/2のエッジのy座標(これはクラスターiとクラスターi+1の間の暗領域である)、yu,i及びyd,i+1は、P0(xs)の値に依存するため、瞳孔位置に応じてスライドする。[0304]の式に示すように、瞳孔の中心x=xsがP0(xs)を決定する。[0306]の適応レンズの例では、P0(xs)=xs/G1であり、[0313]の例では、xs=0、すなわち、瞳孔は中心に位置付けられていた。このセクションでは、瞳孔が中心にない、つまりxs≠0の場合の前のセクションの設計のパフォーマンスを分析する。
光学系が動いていないので、全域写像関数([0315]、[0316]の式)は、中心に置かれた目の瞳孔の場合と同じである。それにもかかわらず、アイ・トラッキング制御が瞳孔位置に関する情報を提供し、それに応じてディスプレイに表示されるべき内容が変更されるため、クラスターのエッジが変化する。これは、図78に示す直線yi(p)7802が同じままであることを意味する。クラスターエッジと暗コリドーを決定するy座標は、-F・P0(xs)の一定量だけシフトされる。その結果及び全域写像関数の線形関係により、どの余弦方向境界も-F・P0(xs)/fだけシフトされる。以降、P0(xs)=xs/G1である例について説明を続ける。
先の結果を要約し、それら全てをクラスターiについて参照すると、次式が得られる。
pd,i+2=pu,iであるため、同じファミリーのクラスターがFOVを完全に敷設していることを、今一度、観察する。
p=πd,i+1及びp=πu,iの角度で瞳孔に到達するように、小型レンズzi+(1/2)の間の角部から発出される光線に写像関数を適用すると、それらが瞳孔に到達する点の座標xPu及びxPdを計算できる。
瞳孔のサイズは、繰り返すがxPu-xPd=2xPであり、小型レンズ番号iから独立しており、また、余弦方向シフトから独立している。瞳孔中点xPm=(xPu+xPd)/2もiとは独立である(図80参照)。
小型レンズスポットはxpu及びxpdの間に入射し、瞳孔エッジxPu及びxPdの間のはずである。xpu及びxpdの計算:[0312]の第1のものをz=zi±(1/2)([0327]の式を使用)及びp=pd,i又はp=pu,k([0342]の式を使用)に適用し、xについて解く。結果のxpu及びxpdは、iから独立である。
その対応するクラスターから小型レンズによって送られる全ての光を瞳孔内で取得するため、このスポットを瞳孔サイズ、即ち、F/f>3よりも小さくする必要がある。
非正規クラスター
クラスター及びコリドーサイズの不規則性は、写像関数の不規則性によって生じる可能性がある(例えば、式[0315]のcoがiに依存する時)。この場合は、ここでは検討しない。クラスター(及び暗コリドー)のサイズが同じではないが、写像関数([0315]の式)が依然として等間隔の直線ライン(図81の例のライン8102)である場合を検討する。重畳することなくチャネルのファミリーの1つの完全なFOV敷設を行うため、クラスターi-1(pu,i-1)の大きな放射角は、クラスターi+1(pd,i+1)の小さな放射角と一致する必要がある。小型レンズチャネルは、クラスター、及びこれを介してクラスターが放射する全光学系を備える。図81の例では、(写像関数が点線8104であるチャンネル・ファミリーの)遷移角pd,i+1=pu,i-1は、図78に示す規則的な配置に対して右にシフトされている。このシフトにより、幅がcc,i+1である(点線の)クラスターi+1(8105)と、暗コリドーi-(1/2)(8105)のもの(幅cd,i-1/2)及び(点線の)クラスターi-1の幅cc,i-1の拡張と暗コリドーi+(1/2)のものcd,i+1/2が狭くなる。クロストーク無しのクラスターiの最小放射角(πd,i)、同じく、クロストーク無しのクラスターiの最大放射角(πu,i)も右にシフトされる。これらの2つのシフトだけが、(その写像関数が実線8104である)チャンネルの他のファミリーに影響する変化である。残りのクリスター及びコリドーは同一のままである。
任意のiについて次の条件が満足されると仮定すると、境界y座標のどのセット{yu,i、yd,i}も実現可能である:
及び
第1条件は、クラスター又はコリドーが正の長さを持たなければならないことを定め、第2条件は、2つのチャンネル・ファミリーのいずれによってもFOVが完全に敷設されることを確証する。図81の直線yi(p)が均等に間隔で置かれない非正規(即ち、i・coとは異なる)定数項を持つ写像関数([315]の式)で小型レンズを設計することにより、この第2条件を達成する余地を増やすことができる。
クラスター境界のセット{yu,i、yd,i}を自由に選択することで、図78の規則的な配置を修正して図80において瞳孔のエッジを微調整することができる。
5.所定の適応レンズのための好適なG(θ)
適応レンズの形状及び厚さに制限を課す幾何学的制約が存在し得、[0300]に記載されているようなその設計が常に十分ではないものとする。この理由から、無段差の小型レンズアレイを取得することを許容するある回転対称な適応レンズについて関数G(θ)を推定することに関心がある。上記の計算を説明するために、アンダーフィル戦略及びインターレース係数2でアイ・トラッキングを使用することを検討するが、これらの条件に手順が限定されない。設計は、正面を見る時(サブインデックス0で参照する)および瞳孔域のエッジを見る時(サブインデックス20で参照する)、目の瞳孔を照明しなければならないものと考える。ラジアル方向(α=0)において、写像関数は、次のように記述できる:
ここで、G(θ)は関数であり、ckは定数であり、両方とも決定される。適応レンズを通過する前に小型レンズkの開口部の中心から到来して瞳孔域の中心に到達する光線軌道上で定義される、図82に示す角度8202をθkと呼ぶ。(図82の例では2つの)レンズアレイの意図された厚さを持つ適応レンズとダミーフラット(z=一定の屈折面)を通る光線を追跡すると、ディスプレイ8205上で交点の高さ
を見つけることができる(なぜなら、Pとして知られている適応レンズは、従って、既知の関数であるため)。アレイが平坦であるというその条件は、次の式を課すことによって上手く近似することができる。
[0359]の方程式からckが分かり、従って、写像は、次のように記述可能である:
ここで、
(一定)である場合について検討すると、全ての小型レンズは、同一の角度開口Δを有する。[0249]に既に示したように、視野の中央部の小型レンズについて(即ち、k≦ktについて、遷移値ktがまた不明)、制限するa-面の敷設は、正面を見ている瞳孔の位置に対応し、他方、k>ktについては、瞳孔が、制限する瞳孔域の縁に位置する。従って、k≦ktについて、まず、隣接するクラスターとのクロストーク無しの条件を持ち、次のとおりである:
及び
は、瞳孔のエッジからの光線角度8201及び8203、及び図82の隣接する小型レンズのクラスターの縁の高さ8204及び8206である。これらの値は、適応レンズを介した光線追跡により見出すことができる。第2に、小型レンズk+1及びk-1における光線敷設条件は、次により与えられる:
ここで、
は、敷設が生成される角度である。[0363]から[0364]を、[0366]から[0367]を減算すると:
再び、[0369]及び[0370]を減算すると、次式が得られる:
が、
と
の中間値であることを考えると、[0372]は、次のように近似できる:
であるため、
k≦ktについて
が得られる。
従って、k≦ktについて、G’は、P’に比例する。同じく、k>ktについて、次のものが得られる:
αkは、図83における角度8301、
と
の中間値である。L、R、θ20を、各々、8309、8304及び8302と命名すると、これらの値は次式によりリンクされる:
従って、我々は、次を推定できる:
k>ktについて、
を仮定すると、[0376]の方程式から次式を書くことができる:
従って、[0378]及び[0384]を結合すると:
次式を規定すると:
続いて、
から、探索している関数Gの推定が得られる。
k
tは、
として推定可能であり、ここで、
は、[0388]における括弧内の2つの式が等しい角度である。
6.写像の実施及びディスプレイ画像のセグメント化
写像関数は、(θ、φ)のようなa-ピクセル面又はウエスト面上の座標の関数としてディスプレイ座標r=(x,y)を与える([0169]で始まるセクションを参照)。このセクションでは、(θ,φ)の代わりに一般的な座標(H,V)を使用し、仮想スクリーンを画像空間の面と呼ぶ。図84は、物理ディスプレイ8401(左)及び(H,V)面又は仮想スクリーン8402(右)を示している。観察者から十分に離れたある距離Lにある平面(x,y)を観察者が直視し、座標(H,V)が水平及び垂直角である時、写像は、直線的であり、即ち、
一定のとおりである。しかしながら、従来の仮想現実(VR)光学系は、多少の歪みを持ってVRスクリーン上にディスプレイをイメージングし、従って、ディスプレイとVRスクリーン間の写像は、H/x=V/y=一定と近似される。このインターレース・アンダーフィル戦略は、僅かにより複雑な写像を確立し、これについてここで説明する。この戦略については幾つかのオプションである。説明の簡潔さのため、「非重畳」として参照されるものについて次に紹介する。
アンダーフィル戦略では、実像又は虚像に関係なく、ディスプレイ上の幾つかのo-ピクセルがオフになる。特には、図84の左の8401の黒いコリドーのo-ピクセル。四角ばった白い領域8403のo-ピクセルは、点灯され得るものである。これらの白い「島」の各一つがクラスターに対応し、これは、整数i,jの結合により特徴付けられる。各小型レンズは、それ自体のクラスターを有する。小型レンズも同一のi,jにより特徴付けられる。これらの白い領域の左側の境界は、h(x,y)=一定の曲線8404にあり、その定数は、整数の番号iである。右側の境界も、h(x,y)=一定の曲線にあるが、ここでは、定数=i+mであり、0<m<1である。一般的に、mは、hの関数であり得る。同様にして、白い領域の下境界及び上境界は、各々、0<n<1で、v(x,y)=j及びv(x,y)=j+n曲線8405にある。一般的に、nは、vの関数であり得る。インデックス
を仮定することにする。関数h(x,y)及びv(x,y)は、目の瞳孔位置に依存し、これは、pにより、明確にはh(x,y,p)及びv(x,y,p)と示される。従って、特定のクラスターに属するo-ピクセルのセットは、pに依存する。o-ピクセルは、瞳孔のある位置pについて黒コリドーに依存し得、また、別の瞳孔位置についてクラスターに依存し得る。
各小型レンズは、x,y及びH,V座標の間に連続の写像を課す。この写像は、関数(H,V)=(Aij(x,y)、Bij(x,y))により与えられる。(H,V)=(Hij(h,v)、Vij(h,v))のように、関数h及びvに関しても同一の写像が表現可能である。Hij(h,v)及びVij(h,v)がクラスターi,jのためだけに規定されると観察でき、即ち、
及び
の時である。また、Aij(x,y)、Bij(x,y)が瞳孔位置pに依存していないが、一般的にはHij(h,v)、Vij(h,v)が依存すると観察できる。
インターレース戦略では、小型レンズ(及びそれらのクラスター)をk2ファミリーに分類でき、ここで、kはインターレース度である。例えば、k=2、及び、小型レンズの正方形の構成がある時、4つのファミリーは、(00)i,j奇数;(10)i奇数、j偶数;(01)i偶数、j奇数;及び(11)i,j偶数になる。ファミリーのいずれの写像、例えば、(01)は、(H,V)=(α01(x,y)、β01(x,y))として記載でき、ここで、(x,y)がクラスターijに属し、かつこのクラスターがファミリー01に属するならば、関数α01(x,y)=Aij(x,y)及びβ01(x,y)=Bij(x,y)である。α01(x,y)及びβ01(x,y)は、小型レンズ・ファミリーMF=01の写像関数と呼ばれる。どの関数αMF(x,y)及びβMF(x,y)のイメージ空間も全体の仮想スクリーンであり、他方、その物体空間が、ファミリーMFのクラスターに属する点(x,y)により形成される。関数αMF(x,y)及びβMF(x,y)は、pが既知の時、h及びvの関数として記述することもできるαMF(x,y)=AMF(h(x,y,p),v(x,y,p))及びBMF(x,y)=BMF(h(x,y,p),v(x,y,p))。
ある小型レンズ設計について、関数h(x,y,p)、v(x,y,p)、m(h)、n(v)、及びαMF(x,y)、βMF(x,y)が既知である。次に、レンダリング・エンジン・ソフトウェアにおける写像の実施について、(x,y,p)として、これらの5つの工程においてH,Vの値を取得するべく計算する。
1.h=h(x,y,p)及びv=v(x,y,p)を計算する。
2.
及び
となるような組み合わせi,jがあるか。ないならば、x,yのピクセルをオフにする。
3.クラスターi,jに関連した小型レンズを含む小型レンズ・ファミリーMFを探す。
4.(H,V)=(αMF(x,y),βMF(x,y))を計算する。
5.(H,V)に対応する明るさを探し、その明るさでピクセル(x,y)をターンオンする。
仮想スクリーンにおける部分的な虚像の連続性及び重畳
共通の虚像への各小型レンズの部分的な虚像の正しい敷設のため、小型レンズ写像関数AMF(h,v)及びBMF(h,v)は、AMF(i+m,v)=AMF(i+k,v)、BMF(i+m,v)=BMF(i+k,v)及びAMF(h,j+n)=AMF(h,j+k)、BMF(h,j+n)=BMF(h,j+k)を全うしなければならない。kがインターレース度であることを思い返されたい。これらの最後の方程式は、ファミリーMFの異なる小型レンズのVRスクリーンの画像領域の敷設の条件を画定する。この敷設は、ファミリーMFのクラスターのセットからVRスクリーン上に連続の画像を与えなければならない。これらの画像領域の位置に関する多少の公差を許容するため、部分的な虚像の多少の重畳を許すことを勧める。ディスプレイ・クラスターの輪郭が円滑に減光され、また、その近隣の虚像に僅かに重畳するように僅かに拡張される。この重畳は、好適には限定され、従って、中心窩光線を含む光束のウエストの少なくとも80%にして、クラスターに属する物体ピクセルに関連するものが、目の瞳孔の中心から角度的に重畳しない。変数h又はvにおける重畳領域の幅を2Δとする。Δ<<1と仮定する。H,Vの新たな計算工程は、
1.h=h(x,y,p)及びv=v(x,y,p)を計算する。
2.
及び
となるような組み合わせi,jがあるか。解がないならば、x,yのピクセルをオフにする。
3.小型レンズi,jを含む小型レンズ・ファミリーMFを探す。
4.(H,V)=(αMF(x,y),βMF(x,y))を計算する。関数Hij(h,v)及びVij(h,v)は、ここでは、部分的な虚像の重畳がない時、先行の場合よりも僅かに大きいクラスターi,jのために規定されている。ここでは、これらは、
及びj-Δ≦v≦j+n+Δのために規定される。
5.(H,V)に対応の明るさを探し、重み付け関数w(h,v)が乗算したその明るさでピクセル(x,y)をターンオンする。この重み付け関数w(h,v)は、w(h,v)=c(h)・d(v)であり、ここで、c(h)及びd(v)は、次のルーチンで算出可能である:もしi+Δ≦h≦i+m-Δならば、c(h)=1をセット。i-Δ≦h≦i+Δならば、c(h)=(1-(h-i)/Δ)/2をセット。i+m-Δ≦h≦i+m+Δならば、c(h)=(1-(h-i-m)/Δ)/2をセット。他の場合、c(h)=0をセット。j-Δ≦v≦j+n+Δならば、d(v)=1をセット。j-Δ≦v≦j+Δならば、d(v)=(1-(v-j)/Δ)/2。j+n-Δ≦v≦j+n+Δならば、d(v)=(1-(v-j-n)/Δ)/2。他の場合、d(v)=0をセット。
この戦略は、クラスターの輪郭を円滑に減光する。この戦略が正しくあるために、写像関数AMF(h,v)及びBMF(h,v)は、コリドーi+m-Δ≦h≦i+m+Δ,i+k-Δ≦h≦i+k+Δにおいて任意のh,vの組み合わせについてAMF(h+m,v)=AMF(h+k,v)、BMF(h+m,v)=BMF(h+k,v)を全うする必要があり、また、コリドーj+n-Δ≦v≦j+n+Δ,j+k-Δ≦v≦j+k+Δについて、AMF(h,v+n)=AMF(h,v+k)、BMF(h,v+n)=BMF(h,v+k)を全うする必要がある。この条件は、重み付け関数が、重畳領域の任意の点で合計1になることを確保する。写像関数のこの条件は、敷設のために公差が許容されない時の条件よりもより制限的であり、同一の方程式を画定するが、上述のコリドーの中間にある曲線h=i+m,h=i+k及びv=j+n,v=j+kのためだけに画定する。
重複の場合のより実際的な条件は、次のことを要求する:
1.曲線h=i+m、h=i+kについてだけ、AMF(h+m,v)=AMF(h+k,v)、BMF(h+m,v)=BMF(h+k,v)及びAMFh(h+m,v)=AMFh(h+k,v)、BMFh(h+m,v)=BMFh(h+k,v)、ここで、サブインデックスhは、hに関する偏導関数を意味し、即ち、
である。
2.曲線v=j+n、v=j+kについてだけ、AMF(h,v+n)=AMF(h,v+k)、BMF(h,v+n)=BMF(h,v+k)及びAMFv(h,v+n)=AMFv(h,v+k)、BMFv(h,v+n)=BMFv(h,v+k)、ここで、サブインデックスvは、vに関する偏導関数を意味し、即ち、
である。
この近似は、関数AMF及びBMFが、コリドーの点についてその線膨張により近似可能であると仮定する。近似は、十分に小さいΔについて有効である。
7.小型レンズの設計
小型レンズの光学設計を実行するために必要な自由曲面の数は、FOV、インターレース係数、虚像解像度、ディスプレイのo-ピクセルサイズ、極角θに対する虚像解像度等に向けられた特定の設計パラメーターによって異なる。模範的な設計を次に示し、その対角線断面を図86に示す。回転対称の適応非球面レンズ8601と、3つのミニレンズアレイにして、自由曲面の屈折面を両側に有する8602、及び自由曲面の屈折面を片側だけに有する8603及び8604を含むアレイの4つの光学素子が含まれる。図86は、異なる瞳孔位置に対応するその断面に含まれる光線の軌跡も示し、各一つが、適応レンズを介して一つのミニレンズを注視している。
この設計は、インターレース係数2、アイ・トラッキング、およびアンダーフィル戦略を実行する。この例で選択された材料は、目に近い2つのアレイについてPOG01であり、ディスプレイに近い要素についてPOG12であり、どちらもSussMicroTecで使用されているUV硬化樹脂である。
この設計は、約3.2kx3.2kの解像度を持つ(従って、全色ピクセルは約10ミクロンである)1.78インチの対角OLEDRGBW正方形oピクセルマイクロディスプレイのために為された。15mmのアイレリーフ(eye relief)と9mm未満の厚さ、16mmのアイボックス(これには±25度の目の回転と±2mmの目のシフトを含む)、単眼当たりに4グラムだけの(光学系の)重み付でFOV-H=FOV-V=80度を実現する。
レンズの設計は、所望の可変指向性倍率、目の回転、及びヒト視覚の角度鋭敏さ関数(human vision angular acuity function)を考慮して行われる。小型レンズは、結果として得られるVRピクセルのラジアル解像度(G(θ)に比例)が全ての小型レンズについて図85に示す曲線と高精度で一致するように、G(θ)関数で特別に設計されている。図が示すように、FOVの中心での解像度は1度あたり25ピクセル(ppd)以上に達し、86%の衝動性眼球運動が存在する(Bahill1975)中心に位置付けられた30度の全角円錐内でほぼ一定のままである。これは、ラジアルVR解像度が1/cos2θとして増加する標準の無歪の光学系とは大きく異なり、従って、この設計のラジアル解像度とcos2θの積は減少関数である。
瞳孔域内の任意の位置にある目のために異なるチャネル間のクロストークを回避する必要があることを考慮して設計が行われる。加えて、1つのレンズ面とその隣接のものの間の固片状(piece-wise)の連続の交差曲線が空の開口に含まれるように表面形状が制約されており、表面間に段差を設けることなく簡単に製造できる。図87は、例として、両面ミニレンズアレイの画像を示しており、その自由曲面の面が凸状である目8701に最も近い側とその自由曲面の面が凹状である反対側8702で、隣接の自由曲面の面の間の交差が見られる。
自由曲面の設計は、CodeVまたはZemaxなどの市販の設計ソフトウェアを使用して、適切な制約を伴うマルチパラメータ最適化によって行うことができる。この例のアレイの対称性は別として、1つのオクタント(octant)の大半のレンズは他のレンズとは異なる。各レンズは、正面軸(z軸)を含む平面に対して面対称に設計される。設計アルゴリズムの効率的な実施には、対角線(インデックス(i、i)、i≧0)に沿って小型レンズのみを設計し、(z軸から異なるラジアル距離にある)残りを対角小型レンズパラメータの補間(interpolation)によって取得する可能性を組み込み得る。最適化は、自由曲面の面に対して次の式を用いて実行され得る。
ここで、
及びceiling(x)は、x以上の最小の整数を与える。度数dの多項式について、最大単項インデックス(maximum monomial index)Nは
で与えられる。次の表は、インデックス(0,0)、(3,3)、および(6,6)の対角線に沿った模範の小型レンズの結果パラメーターを示す。表に示されていないパラメーターは0である。
表2.小型レンズ(3,3)のデータ
表3.小型レンズ(6,6)のデータ
図88および図89は、小型レンズの出射開口の中心を通過する光線軌道に関連付けられた場であり、その延長直線が眼球球面の中心を通過するそれらの対応の中心注視場のための3つの選択された小型レンズの多色DMTF分析を示す。この状況は最も過酷なものであり、なぜなら、ヒトの鋭敏さが最大である中心窩に視野点が集束するためである。その状態において、解像度はVRディスプレイピクセルのナイキスト周波数によって制限され、インターレース係数2のため、そのような空間周波数が、ディスプレイの元々のナイキスト周波数の2倍に変換され、100サイクル/mmになる(つまり、5ミクロンのo-ピクセルピッチ)。目がある視野を注視していない時、即ち、視野と注視方向の間の角度がゼロではない時、ヒトの目の視力ははるかに低くなり、光学系が解像する必要のある角周波数も低くなる。
図90は、例として、静止瞳孔域から到来する視野点について、3つの選択された小型レンズの(方位角0又はπについて)極角の関数としてのラジアル焦点距離の値を示す(((0,0)について曲線9001、(3,3)について9002、(6,6)について9003))。視野。見てわかるように、上述の曲線の部分9005、9006及び9007であり、各部分が、その対応の中心注視場の中心に位置付けられている中心窩光線について良好な精度で(±3%より良い)関数G’(θ)の規定値9004に従うことが分かる。
前述のように、我々の設計は、利用可能な自由度を最大限に活用し、幾つかの場合に必要以上に機能するレンズを持たず、他の場合に特性において妥協するべく、目の回転とヒト視覚の角度鋭敏さの関数を考慮する。図91は、例として、先の設計の(4,4)レンズの分析を示す。横軸は、小型レンズの対称面に沿った異なる瞳孔位置について、目レンズの光軸と視野点の間の角度(つまり、「周辺角度」)を示す。縦軸9101は、平均的なヒトの目の解像度曲線を用いて計算され、また小型レンズ指向性倍率関数でディスプレイ面に並進されたヒトの目が検出できる閾値9102と比較した、スポット径のラジアル成分のRMSの値9103をmmにおいて示す。ポイント9103は9102のものより下にあり、ヒトの目は全状況で鮮明であるかのように画像を見えることを意味する。類似して、9104は、ヒトの目が検出できる閾値9105と比較してスポット径のサジタル成分のRMSの値9106を示し、ここでも9106ポイントが9105のものよりも下にある。
レンズの製造は、ダイヤモンド旋削(diamondturning)での金型製造を用いたUV硬化プロセスによるガラス基板上での複製によって行うことができる。PMMA、ZeonexE48R.PC及びEP-5000は、この設計のために使用可能である候補材料でもあり、熱エンボス工程によっても適合可能である。前記マイクロレンズのエッジが完全ではなく、特定の無視できない領域(特に目に最も近い面)を占める場合、望ましくない散乱を生成する。そのような影響を避けるために、前記エッジはマスクで覆われ得る。図92は、マスク9203を備えたディスプレイ9202に対向する包括的なマイクロレンズアレイ9201を示す。この例では説明されていないオーバーフィル戦略では、このマスクによってシーンの輝度の不均一な分布が生じ、かなり周期的な構造がマスク外の画像から生成される。この場合、ディスプレイの明るさを瞳孔位置の関数としてリアルタイムで調整して、その分布を補償することができ、ユーザーはそのような構造のないシーンを見ることになる。
製造の観点とは別に、これらの設計のイメージング特性は、通常はパフォーマンスが最低の部分であるミニレンズの準菱形開口部の角部からの光がマスクにより遮断されるならば、改善され得る。目に近い自由曲面の面の開口を制限するそのようなマスクの例が図93に示される。このマスクは、方形なFOV設計のためのものであり、レンズが、例えば、PMMAシートをホットエンボス加工により形成されるならば、第1及び第2の間で第1アレイの正面に配置可能である。代替的に、マスクは、ウエハー・プラス・ポリマー・キャスティング(wafer plus polymer casting)技法で製造されるならば、第1アレイのガラス基板の面上に配置可能である。
7.偏光基準の増強
偏光の使用によってこの発明が更に増強され、次に開示する。
ウエスト面の数の増加
原理として、ウエスト面の数が多いほど、候補となる適応面の数が多くなり、VACの低減に役立つ。2つ利用可能である時、一方を他方よりも目の近くに設定し、2つ以上が使用される時、好ましくは正面方向に沿って2~5ジオプターの間の距離を空けて配置される。図94は、この戦略を示しており、ステレオスコープシステム9400を示し、瞳孔9403および9404を有する目9401および9402が、ディスプレイ9407および9408に対向するマイクロレンズアレイ9405および9406を見ている。両方のマイクロレンズアレイは多焦点であり、即ち、9409又は9410から選択可能なウエスト面を有する光束を形成でき、これらは、好適には、2つの適応面に一致するように設計される(図ではインターレースが適用されていないが、インターレースも含まれ得る)。ここで、vピクセル9415を表示したいと考える。平面9409に最も近いので、vピクセル9415と交差し、9409にウエストを持つ光束をターンオンする。この構成でもVACを表示し、なぜなら、vピクセルが位置9415にあり、目9401がaピクセル9417に適応し、目9402がaピクセル9418に適応し、いずれも、9417及び9418の適応面でもあるウエスト面9409にあるためである。しかしながら、vピクセル9415の近くの適応面9409を選択することにより、単一の適応面309がある図3の状況に関してVACが低減される。両目は、虚像9409の全解像度を見る。ここで、vピクセル9416を表示したいと考える。ウエスト面9410に最も近いので、vピクセル9416を指し、9410にウエストを持つ光束、即ち、aピクセル9419を形成する光束9413、及びaピクセル9420を形成する光束9414をターンオンする。この場合、ウエスト面が適応面に一致すると観察できる。これは、唯一の可能性ではない:LFDで通常通りに行われており、また図95に示すように、aピクセルがvピクセルと一致するが、光束のウエストとは一致しないように光束を選択することもできる。
図95は、ステレオスコピックシステム9500を示しており、瞳孔9503および9504を有する目9501および9502が、ディスプレイ9507および9508に対向しているマイクロレンズアレイ9505および9506を見ている。両方のマイクロレンズアレイは多焦点であり、即ち、位置9509と9510から選択可能なウエスト面を有する光束を形成でき、これらは、好適には、2つの適応面と一致するように設計される(図では、インターレース係数1であるが、別の係数も使用可能である)。光束9511と9512をターンオンにすることで、vピクセル9513を形成でき、これは、2つのaピクセルの軌跡でもある。次に、目も位置9513に適応し、従って、VACではなくなる。しかしながら、vpixel9513の見かけサイズは、それらのウエストよりも大きい断面で幾つかの光束が交差することから帰結するため、vpixel9415のものよりも大きくなり得る。光束9511及び9512は、知覚解像度の損失を低減するために3Dピクセル9513に最も近いウエスト面9509でそれらのウエストを持つ。従って、光束9514及び9515をターンオンにすると、vピクセル9516を形成できる。光束9514及び9515は、同じく9516に配置されている2つのaピクセルによって形成されるvピクセル9516に最も近いウエスト面9510にそれらのウエストを持つ。
図96は、光学素子9601がディスプレイ9603の仮想画像9602を形成する構成9600を示している。また、透明ブロック9611が追加された構成9610も示される。光がそのブロックの内外に屈折し、ディスプレイ9614に対してある量9613だけ変位された面9612から到来するように見える。虚像は、元の位置9616から新しい位置9617にある量9615だけシフトしているように見える。虚像のシフトの量9615は、ブロック9611の屈折率に依存する。
一実施形態では、ブロック9611は、延伸ポリエステルフィルムから作製され得るもののように、例えば、カルサイト、石英および異方性ポリマーなどの複屈折材料から形成される。ディスプレイ9614によって放射された非偏光は、光が要素9611を透過する時に2つの異なる屈折率を経験して2つの偏光(通常光線と異常光線)に分割される。結果として、2つのウエスト面が2つの異なる距離で形成される。この光学配置によって生成される光束は、二焦点、つまり2つのウエスト、1つが9616に、他方が9617に持つ。
代替的に、ディスプレイ及び/又は光学アレイの一部の要素は、アクチュエータを使用して2つの位置の間で移動でき、ディスプレイは、それらの動きと時分割多重で同期され、フレームの第1半期では、ウエストは1つの平面にあり、第2半期では第2の面にある。この方法は効率が低く、より高速なディスプレイを必要とする。別のオプションでは、小型レンズアレイを2つ以上のグループに分割し、それぞれが異なるウエスト位置を持つ光束を提供するように設計する。これにより、虚像の潜在的なx-y解像度が低下する。なぜなら、これらのグループは、単一のウエスト面におけるインターレースをするために用いられ得るためである。最後に、ウエスト面でのMTF品質が、単一のウエスト光束におけるものよりも低いものの、多焦点眼内レンズのように、2つ以上のウエストを有する光束を提供する小型レンズも確かに役立つ可能性がある。
別の実施形態では、ディスプレイ9614は直線偏光を放射し、電圧が印加されると光の偏光を90度回転させる能力を有する液晶パネル9618(偏光フィルターなし)で覆われる。パネルの異なる部分(つまり、液晶パネルのピクセル)は、各個別のピクセルのために偏光を設定できるというレベルにまで、異なる偏光回転を生成し得、ディスプレイ自体が、その能力を有することもある(従って、9618が必要ない)。上記の異なる偏光は、光が要素9611を透過する時に異なる屈折率を経験し、上述のように、異なる距離に虚像面を生成する。次に、この実施形態は、虚像面の異なる領域を異なる距離に配置することを可能にし、適合的眼球離反運動の不一致を低減する。この光学配置では、その相対的な明るさの重み付けが液晶ピクセルに印加される電圧で制御される2つのウエスト(1つは9616、もう1つは9617)を持つ二焦点光束があり、9616の単一のウエスト光束から9617の単一のウエスト光束まで、液晶ピクセルに印加される電圧に依存する2つのウエストが可変明るさを持つ二焦点光束により通過される。相対的な明るさが可変なこのアナログ挙動は、2つのウエスト間で二焦点光束の適応位置認識を微調整し、従って、このタイプの光束から成るa-ピクセルを微調整するために用いることができる。
図97は、光学系9701、複屈折素子9702、液晶パネル9703、複屈折素子9704、液晶パネル9705、及び偏光を放出するディスプレイ9706から構成される実施形態9700を示す。液晶パネル9703は、マイクロレンズアレイと同一又はそれよりも小さいピクセルピッチを持ち得る。前記システムは、液晶パネル9703および9705が特定の状態にあるとき、虚像9707を生成し得る。
液晶パネル9705は、それを透過する光の偏光を回転させる能力を持つ。前記光は、複屈折要素9704を透過する時、光の偏光状態に応じて、屈折率n2A又はn2Bを経験する。次に、前記光は、ここでも前記光の偏光を回転させる能力を有する液晶パネル9703を透過する。再び、前記光が複屈折要素9702を透過するとき、光の偏光状態に応じて、屈折率n1Aまたはn1Bを経験する。従って、このシステムは、素子9704で屈折率n2A又はn2Bを経験し、及び素子9702で屈折率n1A又はn1Bを経験する光に対応する要素9705又は9703によって導入される偏光回転に応じた4つの状態を取り得る。要素9704の透過は、要素9702の透過と同様に、虚像9707を変位させる。従って、この実施形態は、虚像9707をディスプレイ9706から4つの異なる距離に配置する能力を有する。
また、パネル9705又は9703の異なる領域は、別々にアドレス指定され、異なるように光の偏光を回転させる。これは、異なる距離に配置された画像面の異なる部分に分割された画像に帰結し、即ち、光束のウエストは、4つのLCDの十分なアドレス指定によってこれらの4つの距離に配置される。ディスプレイ9706の近くのオブジェクトは、9706に近い画像面に表示され、他方、ディスプレイ9706から遠いオブジェクトは、9706から遠い画像面に表示され得る。これは、適合的眼球離反運動の不一致を低減するために用いられ得る。代替的に、液晶9703がスイッチングされ、高速軸9702を9704の高速軸に対して45度に配置できる。結果として、9702によって、光束が2つのウエストを持ち、それらのウエストのペアが、9705のアドレス指定に応じて一緒にシフトされる。
加えて、図96について説明した明るさの相対的な重みと同様のアナログ制御を図97の構成に適用可能であり、その中心光線に沿う光束の適応位置の微調整の可能性を開ける。
ウエスト面は、既に述べたように、好ましくは適合面に一致するように設計される。代替的に、ウエスト面は、選択されたものの2つの連続する適合面の間に配置されるように設計され、両方の適合面の間でより均一な解像度を提供し得る。2つのウエスト面の典型的な位置は、目に最も近いものについて、0.25~1mの間であり、最も遠いものについて、0.75~5mであり得る。
直交偏光の隣接クラスターの使用
図98は、インターレース係数2とアンダーフィル戦略を有する表示装置の要素を示す。9801は、ファミリーA、B、C、およびDの小型レンズの開口である。9802はディスプレイであり、9705の液晶パネルで生成可能である直交、例えば、垂直(V)と水平(H)の偏光を放射する2つのグループのクラスターを有する。従って、小型レンズA及びDは、H偏光(それらの対応のクラスターから放射されたもの)を透過し、(隣接するクラスターから到来する)V偏光を吸収する偏光子を持ち、同様に、C及びD小型レンズは、V偏光を透過してH偏光を吸収する偏光子を持つ。9803と9804の比率が0.66の場合、設計は、アンダーフィルするができる限り多くフィルして瞳孔9805を照明することにより、可能な限り最大の解像度を取得する:正方形9806(瞳孔面上での、全ての内側を照らす光束プリントの集合)は瞳孔9805に接しており、9807のクロストーク正方形も(外側から)それに接している。この最高解像度の設計は、[0288]に記載されている非偏光基準と比較した場合、1.2倍高い解像度(0.65/0.55の比率で与えられる)に帰結する。実用的な設計は、瞳孔径の変動と瞳孔トラッカーのエラーを許すべく、僅かに低い解像度を要求する。
図99は、同一の小型レンズ9801に関するが、インターレース係数21/2を使用したアンダーフィル戦略での代替の実施形態を示す。(従って、チェスボード(chessboard)構成の小型レンズのファミリーA及びBは2つだけである。)この場合、ディスプレイ9901のクラスターは、小型レンズに関して45度回転され、9902と9903の比率が0.473ならば、設計は、その最大解像度に到達し、この場合、瞳孔面上の光束プリントの集合の9904及び9905の八角形の領域が瞳孔9908に接する。八角形の寸法は、9907対9906の比が1.06であることをほぼ満たしており、[0288]に記載されている非偏光基準と比較しても、1.2倍高い解像度に帰結する。
図100は、最後の実施形態を示し、またもアンダーフィル戦略を有し、インターレース係数81/2であり、従って、小型レンズ10001の8つのファミリー(A~H)を有する。この場合、ディスプレイ10002のクラスターも小型レンズに対して45度回転し、10003と10004の比率が0.634ならば、設計は、その最大解像度に到達し、この場合、瞳孔面上の光束プリントの集合の10006及び10005の八角形の領域が瞳孔10007に接する。八角形の寸法は、10009と10008の比も1.06であることをほぼ満たし、[0288]に記載されている非偏光基準と比較して1.65倍の劇的な解像度の増加に帰結する。
図98および図99の実施形態は、クラスター間にかなりの暗いギャップを有するため、9705の液晶パネルは、ディスプレイ自体と比較して低解像度である可能性があることに留意されたい。しかしながら、図100の場合の重畳は、9705の液晶パネルがディスプレイの解像度と同様の解像度を有すること、又はそのピクセルの偏光が選択可能である特別なタイプのものであるディスプレイに融合されることを強制する。