第5世代移動通信システム(5G)では、例えば、「超高速」、「超多接続」や「超低遅延」といった新たなサービスの提供が期待されている。また、5Gは、有線区間と無線区間とが一体となってエンドトゥエンドでサービスを実現することが求められるため、有線区間の通信機器に対しても様々な要件が課されることになる。その中でも「超低遅延」は、従来に無い指標であり、無線区間と接続する有線区間内の通信機器に課される要求も大きくなる。
超低遅延が要求される理由の一つとして、例えば、無線レイヤの再送制御(HARQ:Hybrid Automatic Repeat Request)がある。HARQは、例えば、スマートフォン(UE:User Equipment)と基地局との間のMACレイヤで動作するプロトコルであり、データ送信から4m秒以内にACK応答を返すことが求められている。HARQは、従来、無線エリア内に閉じた要件であった。しかしながら、基地局をベースバンド機能(CU:Central Unit,DU:Distributed Unit)とアンテナ(RU:Remote Unit)とに分離したC-RAN(Centralized Radio Access Network)の普及に伴い、RUと基地局との間の新たな有線区間も、その対象範囲に含まれるようになった。これに伴い、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.1CMやIEEE1914.1等のMFH系標準では、100us以内の遅延要件が規定されている。
一方、5GのMFH(Mobile Front Haul)は、CPRI(Common Public Radio Interface)からeCPRIへの置き換えが進み、今後はイーサパケットがMFHの主流トラヒックになると考えられる。その結果、他のアクセス網との共用も可能となるため、MFHではIoTや有線インターネット系トラヒックが混在する状況になると予想される。すなわち、5GにおけるMFHでは、スマートフォンの高優先パケットに対する低遅延性を担保しながら、有線インターネット等の低優先パケットの伝送効率の向上を図ることが求められている。そこで、本要件を満たすことの出来る低遅延標準であるIEEE802.1Qbv(Time Aware Shaper:TAS)が注目されている。
TASとは、パケット衝突遅延を低減できる技術である。衝突遅延とは、二つのパケットがスイッチにほぼ同時に到着した際、後着パケットがたとえ高優先パケットであっても、先着パケットの送出完了まで待たされることで生じる遅延である。TASは、キューの出口に高優先パケットを出力するゲート及び低優先パケットを出力するゲートを配置する。そして、TASは、高優先パケットが来るタイミングで低優先パケットを出力するゲートをクローズすることで、高優先パケットと低優先パケットとの間の衝突の回避を図る考え方である。
そこで、本出願人は、複数の格納部と、開閉部と、収集部と、解析部と、制御部とを有するパケット処理装置を提案している。格納部は、受信パケットの種別、例えば、高優先パケット及び低優先パケット毎に受信パケットを格納する。開閉部は、各格納部の出力を開閉する。収集部は、受信パケットのタイムスロット毎のパケットの流量を収集する。解析部は、受信パケットのタイムスロット毎のパケットの流量に基づき、受信パケットの周期性パターンを特定する。制御部は、特定された受信パケットの周期性パターンに基づき、高優先パケットを優先的に出力するタイムスロット区間を特定し、特定されたタイムスロット区間の各開閉部の開閉を制御する。その結果、高優先パケットの出力遅延を抑制できる。
また、5Gでは、無線区間にTDD(Time Division Duplex:時分割双方向伝送)方式の採用が見込まれている。図18Aは、無線区間及び有線区間の上りリンク及び下りリンクのサブフレーム単位の信号伝送方法の一例を示す説明図である。図18Aに示すUEとRUとの間を無線通信で接続する無線区間では、上りリンク(Uplink)と下りリンク(Downlink)とで同じ周波数を使用し、サブフレーム(TTI:Transmission Time Interval)単位で上りリンク/下りリンクのいずれかを割当てるものである。現状TDDは、TTI×10(10ms)を周期とした7つの割当パターンが規定されており、どの割当パターンを用いるかは予め決定される。図18Aに示すRUと基地局との間を有線通信で接続する有線区間では、上り回線及び下り回線の全二重通信であるため、使用パターンに依らず、任意の時間において上りリンクの上り回線/下りリンクの下り回線いずれかのトラヒックしか流れない状態となる。
図18Bは、TDD方式のインデックス値毎の上りリンク及び下りリンクの割当パターンの一例を示す説明図である。5Gでは、TDD方式の割当パターン(インデックス値“0”~“6”)が動的に切り替わるダイナミックTDDという方式がある。割当パターンは、TDD周期内のサブフレーム毎に割当てるリンク方向(上り・下り)のパターンである。尚、図18Bに示す“D”は下りリンク方向を示し、“U”は上りリンク方向を示し、“S”は特別リンク方向を示す。例えば、インデックス値“0”の割当パターンは、サブフレーム番号“0”及び“5”のタイミングで“D”、サブフレーム番号“1”及び“6”のタイミングで“S”、サブフレーム番号“2”~“4”及び“7”~“9”のタイミングで“U”を割当てる。また、インデックス値“6”の割当パターンは、サブフレーム番号“0”、“5”及び“9”のタイミングで“D”、サブフレーム番号“1”及び“6”のタイミングで“S”、サブフレーム番号“2”~“4”、“7”及び“8”のタイミングで“U”を割当てる。尚、説明の便宜上、“S”は上りリンク方向に割当てるものとする。ダイナミックTDDは、上りリンク/下りリンクのトラヒックのリンク比率が変化した場合、最適な上りリンク/下りリンクのリンク比率に適したインデックス値の割当パターンを切替える方法である。
以下、図面に基づいて、本願の開示するパケット処理装置及びパケット処理方法の実施例を詳細に説明する。尚、各実施例により、開示技術が限定されるものではない。また、以下に示す各実施例は、矛盾を起こさない範囲で適宜組み合わせても良い。
図19は、インデックス値(割当パターン)の動的変化で生じる課題の一例を示す説明図である。パケット処理装置では、高優先パケットの周期性パターンに応じたサブフレームのゲート状態を、高優先パケットを優先的に出力する優先状態に設定する。パケット処理装置は、例えば、インデックス値“1”の割当パターンで動作している場合、上り回線のサブフレーム番号“1”~“3”及び、“6”~“8”のタイミングでゲート状態を優先状態に設定する。更に、パケット処理装置は、上り回線のサブフレーム番号“0”、“4”、“5”及び“9”のタイミングでゲート状態を高優先パケット及び低優先パケットを択一的に出力する通常状態に設定する。
また、パケット処理装置では、下り回線のサブフレーム番号“0”、“4”、“5”及び“9”のタイミングでゲート状態を優先状態に設定する。更に、パケット処理装置は、下り回線サブフレーム番号“1”~“3”及び、“6”~“8”のタイミングでゲート状態を通常状態に設定する。
しかしながら、パケット処理装置は、インデックス値“1”からインデックス値“2”に切り替わった場合、サブフレーム番号“3”及び“8”のタイミングのリンク方向が上りリンクから下りリンクに変化する。そして、インデックス値“2”で本来保護されるべき、下り回線のサブフレーム番号“3”及び“8”のゲート状態が優先状態に設定されていない状態となる。その結果、下り回線でのサブフレーム番号“3”及び“8”のタイミングでは高優先パケットが優先的に出力できなくなる。つまり、TDD方式のインデックス値の動的変化によって高優先パケットの出力遅延が抑制できない状態が発生することになる。
そこで、このような事態に対処すべく、実施例1のパケット処理装置を提案する。
図1は、実施例1の通信システム1の一例を示す説明図である。図1に示す通信システム1は、UE(User Equipment)2と、RU(Remote Unit)3と、基地局4と、パケット処理装置5とを有する5Gの通信システムである。UE2は、例えば、5Gのスマートフォン等の端末装置である。RU3は、複数のUE2とダイナミックTDD方式の無線通信で接続する、例えば、5Gのアンテナ等の分散局である。基地局4は、複数のRU3と全二重通信方式の有線通信で接続する、例えば、DU(Distributed Unit)及びCU(Central Unit)の集中局である。パケット処理装置5は、RU3との間を全二重通信方式の有線通信で接続すると共に、基地局4との間を全二重通信方式の有線通信で接続するパケットスイッチである。UE2とRU3との間は、ダイナミックTDD方式の無線通信で接続する、MFH(Mobile Front Haul)の無線区間6Aである。RU3と基地局4との間は、パケット処理装置5を経由して全二重通信方式の有線通信で接続する有線区間6Bである。パケット処理装置5は、有線区間6Bを高優先パケット及び低優先パケットを伝送する。高優先パケットはMFHパケットであるのに対し、低優先パケットは、例えば、MBHパケット等の非MFHパケットである。
図2は、パケット処理装置5のハードウェア構成の一例を示す説明図である。図2に示すパケット処理装置5は、入出力IF(Interface)11と、複数のパケット処理部12と、SW(Switch)13と、メモリ14と、CPU(Central Processing Unit)15とを有する。入出力IF11は、バックボーン回線等の各種回線と接続し、パケットを入出力するIFである。入出力IF11は、例えば、バックボーン回線に接続するRU3、基地局4や、他のパケット処理装置5と接続するインタフェースである。パケット処理部12は、TAS方式を適用したパケット処理を実行する。SW13は、パケット処理部12の入出力を切替えるスイッチである。メモリ14は、各種情報を記憶する領域である。CPU15は、パケット処理装置5全体を制御する。
図3は、実施例1のパケット処理部12の一例を示す説明図である。図3に示すパケット処理部12は、第1のキュー21Aと、第2のキュー21Bと、第1のゲート22Aと、第2のゲート22Bと、セレクタ23とを有する。パケット処理部12は、収集部24と、予測部25と、割当パターンテーブル26と、学習部27と、リストテーブル28と、制御部29とを有する。第1のキュー21Aは、到来する受信パケットの内、MFHパケットをキューイングする格納部である。第1のキュー21Aは、受信パケット内のVLANタグのPビットを識別し、その識別結果に基づき、受信パケットがMFHパケットの場合、MFHパケットをキューイングする。第2のキュー21Bは、到来する受信パケットの内、例えば、MBHパケット等の非MFHパケットをキューイングする格納部である。第2のキュー21Bは、受信パケット内のVLANタグのPビットを識別し、その識別結果に基づき、受信パケットが非MFHパケットの場合、非MFHパケットをキューイングする。その結果、MFHパケットを優先的に出力することで、非MFHパケットとの間の競合を回避してMFHパケットの出力遅延を抑制できる。
第1のゲート22Aは、第1のキュー21A内のMFHパケットの出力を開閉する。第2のゲート22Bは、第2のキュー21B内の非MFHパケットの出力を開閉する。セレクタ23は、第1のゲート22A又は第2のゲート22Bの出力を選択出力する。第1のゲート22A及び第2のゲート22Bのゲート状態が優先状態の場合、セレクタ23は、MFHパケットを優先的に出力する。また、第1のゲート22A及び第2のゲート22Bのゲート状態が通常状態の場合、セレクタ23は、MFHパケット及び非MFHパケットを択一的に出力する。例えば、そのセレクタ23は、予め実装されたランドロビンなどのハードウェアロジックに従い、自律的に択一的な選択を実行する手法がある。
収集部24は、時間帯毎の受信パケットの流量を収集する。尚、パケットの流量は、例えば、サブフレーム内のタイムスロット(TS)毎のパケット数やバイト数や、その値を加算したサブフレーム単位又はフレーム単位でのパケット数やバイト数の総数である。予測部25は、上りリンクの受信パケットの流量と、下りリンクの受信パケットの流量を監視し、一方のリンクの流量が多く、他方のリンクの流量が少ない場合を予測する。また、予測部25は、そのような予測からリンク比率の変化があると判断する。予測部25は、リンク比率の変化に応じて割当パターンテーブル26から次の割当パターンに対応するインデックス値を予測する。ダイナミックTDD方式のインデックス値は、例えば、“0”~“6”の7種類のインデックス値で構成する。
図4Aは、無線区間6AのサブフレームのTDD周期の一例を示す説明図である。UE2とRU3との間の無線区間6Aは、TDD周期のサブフレームの無線通信で接続する。図4Bは、割当パターンテーブル26の一例を示す説明図である。割当パターンテーブル26は、例えば、1回のTDD周期を所定期間の10個のサブフレーム(TTI)で構成し、サブフレーム番号26A毎に割当てる上りリンク及び下りリンクのリンク方向で構成する割当パターンをインデックス値26B毎に管理するテーブルである。サブフレーム番号26Aは、TDD周期内のサブフレーム(TTI)を識別する番号であって、図4Bに示すように“0”から“9”の10個である。リンク方向は、下りリンク方向を示す“D”と、上りリンク方向を示す“U”と、特別リンク方向を示す“S”とを有する。尚、説明の便宜上、“S”は、例えば、上りリンク方向に含めるものとする。インデックス値“1”の割当パターンは、例えば、サブフレーム番号“0”、“4”、“5”及び“9”のタイミングに下りリンク方向、サブフレーム番号“1”~“3”、“6”~“8”のタイミングに上りリンク方向を割当てる。インデックス値“2”の割当パターンは、例えば、サブフレーム番号“0”、“3”~“5”、“8”及び“9”のタイミングに下りリンク方向、サブフレーム番号“1”、“2”、“6”及び“7”のタイミングに上りリンク方向を割当てる。また、インデックス値“6”の割当パターンは、例えば、サブフレーム番号“0”、“5”及び“9”のタイミングに下りリンク方向、サブフレーム番号“1”~“4”、“6”~“8”のタイミングに上りリンク方向を割当てる。
学習部27は、上りリンクのサブフレーム内のTS毎のMFHパケットの流量を解析し、上りリンクのMFHパケットの周期性パターンを学習する。また、学習部27は、下りリンクのサブフレーム内のTS毎のMFHパケットの流量を解析し、下りリンクのMFHパケットの周期性パターンを学習する。学習部27は、学習部27の学習結果に基づき、リストテーブル28のテーブル内容を更新する。
図5は、リストテーブル28の一例を示す説明図である。図5に示すリストテーブル28は、TS番号28Aと、第1のゲート22Aのゲート状態28Bと、第2のゲート22Bのゲート状態28Cと、滞留時間28Dとを対応付けて管理する。TS番号28Aは、受信パケットのTSを識別する番号である。第1のゲート22Aのゲート状態28Bは、第1のゲート22Aのオープン(O)/クローズ(C)状態を示すゲート開閉情報である。第2のゲート22Bのゲート状態28Cは、第2のゲート22Bのオープン/クローズ状態を示すゲート開閉情報である。滞留時間28Dは、TS番号28Aの割当時間である。TS番号28Aは、1~Xまでの範囲で適宜変更可能である。第1のゲート22Aのゲート状態28B及び第2のゲート22Bのゲート状態28Cも、TS番号28A毎に適宜変更可能である。滞留時間28Dも、TS番号28A毎に適宜変更可能である。
制御部29は、リストテーブル28を参照し、TS番号“1”のタイミングでTS番号“1”のゲート状態を第1のゲート22A及び第2のゲート22Bに設定する。次に、制御部29は、TS番号“2”のタイミングでTS番号“2”のゲート状態を第1のゲート22A及び第2のゲート22Bに設定する。更に、制御部29は、TS番号“3”からTS番号“N”までの各タイミングの各ゲート状態を第1のゲート22A及び第2のゲート22Bに順次設定する。そして、制御部29は、TS番号“N”のゲート状態を設定後、再度、TS番号“1”に戻り、TS番号“1”のゲート状態を設定し、TS番号“2”からTS番号“N”までの各タイミングのゲート状態を順次設定することになる。つまり、制御部29は、リストテーブル28を参照し、TS番号“1”からTS番号“X”までの各タイミングのゲート状態を第1のゲート22A及び第2のゲート22Bに周期的に繰り返し順次設定することになる。
制御部29は、学習部27の解析結果に基づき、リストテーブル28のテーブル内容を更新する。制御部29は、受信パケットの周期性パターンに基づき、リストテーブル28内のTS番号及びTS番号毎の滞留時間をリンク方向毎に更新する。更に、制御部29は、周期性パターンに基づき、リストテーブル28内の第1のゲート22A及び第2のゲート22BのTS番号毎のゲート状態を更新する。制御部29は、受信パケット内のMFHパケットの流量に基づき、高優先パケットであるMFHパケットの到着タイミングを予測する。尚、ゲート状態は、第1のゲート22A及び第2のゲート22Bの開閉状態、例えば、オープン及びクローズである。尚、制御部29は、MFHパケットが高優先パケット、非MFHパケットが低優先パケットであるため、第1のゲート22Aを常時オープンとし、第2のゲート22BをTS単位でオープン又はクローズとする。第1のゲート22Aは、オープンの場合、第1のキュー21Aに保持中のMFHパケットを出力することになる。第2のゲート22Bは、オープンの場合、第2のキュー21Bに保持中の非MFHパケットを出力すると共に、クローズの場合、第2のキュー21Bに保持中の非MFHパケットの出力停止しながら、第1のキュー21Aに保持中のMFHパケットを出力する。
制御部29は、上り回線において第1のゲート22A及び第2のゲート22Bのゲート状態が優先状態の場合、第1のゲート22Aをオープン、第2のゲート22Bをクローズに設定する。セレクタ23は、第1のキュー21Aに保持中のMFHパケットを優先的に上り回線へ出力することになる。また、制御部29は、上り回線において第1のゲート22A及び第2のゲート22Bのゲート状態が通常状態の場合、第1のゲート22A及び第2のゲート22Bをオープンに設定する。セレクタ23は、MFHパケット又は非MFHパケットを択一的に上り回線へ出力する。
また、制御部29は、下り回線において第1のゲート22A及び第2のゲート22Bのゲート状態が優先状態の場合、第1のゲート22Aをオープン、第2のゲート22Bをクローズに設定することで第1のキュー21Aに保持中のMFHパケットを優先的に下り回線へ出力する。また、制御部29は、下り回線において第1のゲート22A及び第2のゲート22Bのゲート状態が通常状態の場合、第1のゲート22A及び第2のゲート22Bをオープンに設定することでMFHパケット又は非MFHパケットを択一的に下り回線へ出力する。
図6は、無線区間6A及び有線区間6Bでの割当パターンの一例を示す説明図である。無線区間6Aは、UE2とRU3との間でダイナミックTDD周期の割当パターンで無線信号を伝送する区間である。有線区間6Bは、RU3と基地局4との間で全二重通信の上りリンクの上り回線及び下りリンクの下り回線の有線通信でパケットを伝送する区間である。図6に示すRU3は、サブフレーム番号“0”、“4”、“5”及び“9”のタイミングで下りリンクの無線信号をUE2に送信すると共に、サブフレーム番号“1”~“3”、“6”~“8”のタイミングで上りリンクの無線信号をUE2から受信する。RU3は、サブフレーム番号“1”~“3”、“6”~“8”のタイミングでパケットをパケット処理装置5経由の上り回線で基地局4に送信する。また、RU3は、サブフレーム番号“0”、“4”、“5”及び“9”のタイミングでパケットをパケット処理装置5経由の下り回線で基地局4から受信する。尚、パケット処理装置5は、サブフレーム番号“1”~“3”、“6”~“8”のタイミングでRU3からのパケットを上り回線で受信する。また、パケット処理装置5は、サブフレーム番号“0”、“4”、“5”及び“9”のタイミングで基地局4からのパケットを下り回線でRU3に送信する。同様に、パケット処理装置5は、サブフレーム番号“1”~“3”、“6”~“8”のタイミングでRU3からのパケットを上り回線で基地局4に送信する。また、パケット処理装置5は、サブフレーム番号“0”、“4”、“5”及び“9”のタイミングで基地局4からのパケットを下り回線で受信する。
図7は、実施例1の第1の優先設定処理の一例を示す説明図である。尚、パケット処理装置5は、インデックス値“1”の割当パターンからインデックス値“2”の割当パターンに切替える際の上り回線及び下り回線のゲート設定時の処理動作について説明する。インデックス値“1”の割当パターンは、サブフレーム番号“0”、“4”、“5”及び“9”のタイミングで下りリンク方向、サブフレーム番号“1”~“3”及び“6”~“8”のタイミングで上りリンク方向に割当てた状態である。また、インデックス値“2”の割当パターンは、サブフレーム番号“0”、“3”、“4”、“5”、“8”及び“9”のタイミングで下りリンク方向、サブフレーム番号“1”、“2”、“6”及び“7”のタイミングで上りリンク方向に割当てた状態である。
パケット処理装置5は、下り回線のサブフレーム番号“0”、“4”、“5”及び“9”のタイミングの下りリンクの所定TSのゲート状態を優先状態に設定すると共に、残りのTSのゲート状態を通常状態に設定する。更に、パケット処理装置5は、下り回線のサブフレーム番号“1”~“3”及び“6”~“8”のタイミングの各TSのゲート状態を通常状態に設定する。尚、優先状態は、第1のゲート22Aをオープン及び第2のゲート22Bをクローズ状態とする。通常状態は、第1のゲート22A及び第2のゲート22Bをオープン状態とする。
パケット処理装置5は、上り回線のサブフレーム番号“1”~“3”及び“6”~“8”のタイミングの上りリンクの所定TSのゲート状態を優先状態に設定すると共に、残りのTSのゲート状態を通常状態に設定する。更に、パケット処理装置5は、上り回線のサブフレーム番号“0”、“4”、“5”及び“9”のタイミングの各TSのゲート状態を通常状態に設定する。
予測部25は、インデックス値“1”の割当パターンからインデックス値“2”の割当パターンへの変化を予測したとする。制御部29は、インデックス値“2”の割当パターンへの変化を予測した場合、予測直前の割当パターン(インデックス値“1”)と予測結果の割当パターン(インデックス値“2”)との間で同一サブフレーム(サブフレーム番号“3”及び“8”)内に上りリンクから下りリンクへのリンク方向(U→D)の変化があると判定する。
制御部29は、同一サブフレーム(サブフレーム番号“3”及び“8”)内に上りリンクから下りリンクへのリンク方向の変化がある場合、該変化があるリンク方向(下りリンク方向)の周期性パターンを特定する。制御部29は、特定された周期性パターンに対応する当該リンク方向(下りリンク方向)のサブフレーム(サブフレーム番号“3”及び“8”)内の所定TS(TS2~TS6)のゲート状態を優先状態に設定する。更に、制御部29は、残りTS、例えば、TS0、TS1、TS7~TS9のゲート状態を通常状態に設定する。尚、所定TSは、下りリンク方向のMFHパケットの周期性パターンに対応したMFHパケット到来予定のTSである。
つまり、前述のように下り回線での動作が上り回線にも適用でき、結果、上り回線でもサブフレーム番号“3”及び“8”のタイミングでも、所定TS(TS2~TS6)のゲート状態が優先状態、所定TS以外のTS(TS0、TS1、TS7~TS9)のゲート状態が通常状態に設定されたことになる。従って、サブフレーム番号“3”及び“8”のタイミングの所定TSでは、上り回線及び下り回線でもMFHパケットの出力遅延を抑制できる。
予測直前の割当パターンと予測結果の割当パターンとの間で同一サブフレーム内にリンク方向の変化が予測された場合、リンク方向が変化したサブフレーム内の所定TSのゲート状態を優先状態に設定、所定TS以外のTSのゲート状態を通常状態に設定する。その結果、無線区間6AのダイナミックTDD方式のインデックス値への動的変化が予測された場合でも、動的変化が予測されたインデックス値を反映した状態で非MFHパケットの出力遅延を抑制できる。
しかも、サブフレームのゲート状態を優先状態に設定する場合でも、サブフレーム内の全TSのゲート状態を優先状態に設定するのではなく、MFHパケットの周期性パターンに対応する所定TSのゲート状態のみを優先状態に設定する。そして、所定TS以外のTSのゲート状態は通常状態に設定する。その結果、MFHパケットの優先出力による非MFHパケットの出力機会の減少を抑制することでパケット出力のトータルスループットの向上を図ることができる。
制御部29は、予測結果の割当パターンと現在の割当パターンとの間で同一サブフレーム(サブフレーム番号“3”及び“8”)内にリンク方向の変化がある状態(U→D)から変化がなくなる状態(D→U)に移行したとする。この場合、制御部29は、当該変化がなくなる状態に移行した所定TSのゲート状態を優先状態から通常状態に切り替える。つまり、サブフレーム番号“3”及び“8”のタイミングでは、上り回線において所定TS(TS2~TS6)のゲート状態が優先状態、所定TS以外のTS(TS0、TS1、TS7~TS9)のゲート状態が通常状態に設定される。更に、サブフレーム番号“3”及び“8”のタイミングでは、下り回線においてTS0~TS9のゲート状態が通常状態に設定されたことになる。その結果、インデックス値の確定に伴って、上り回線及び下り回線の同一サブフレーム(サブフレーム番号“3”及び“8”)に設定した優先状態を解消することで、MFHパケットの優先出力による非MFHパケットの出力機会の減少を抑制できる。
図8は、学習処理に関わるパケット処理部12の処理動作の一例を示すフローチャートである。図8においてパケット処理部12の収集部24は、上りリンクのMFHパケットの流量及び下りリンクのMFHパケットの流量を観測周期毎に収集する(ステップS11)。尚、収集部24は、上り回線から上りリンクのMFHパケットの流量及び下り回線から下りリンクのMFHパケットの流量を収集する。学習部27は、上りリンクのMFHパケットの流量から上りリンクのMFHパケットの周期性パターンを特定すると共に、下りリンクのMFHパケットの流量から下りリンクのMFHパケットの周期性パターンを特定する(ステップS12)。学習部27は、上りリンクのMFHパケットの周期性パターン及び下りリンクのMFHパケットの周期性パターンに応じたTS番号毎の第1のゲート22A及び第2のゲート22Bのゲート状態をリストテーブル28内に登録する(ステップS13)。そして、学習部27は、図8に示す処理動作を終了する。つまり、学習部27は、上りリンクのMFHパケットの周期性パターンに応じて上り回線のサブフレーム内のTS番号毎の第1のゲート22A及び第2のゲート22Bのゲート状態をリストテーブル28内に登録する。尚、ゲート状態は、周期性パターンに対応する所定TSのゲート状態を優先状態、所定TS以外のTSのゲート状態を通常状態に設定する。更に、学習部27は、下りリンクのMFHパケットの周期性パターンに応じて下り回線のサブフレーム内のTS番号毎の第1のゲート22A及び第2のゲート22Bのゲート状態をリストテーブル28内に登録する。
パケット処理部12は、上りリンクのMFHパケットの周期性パターン及び下りリンクのMFHパケットの周期性パターンを特定し、上り回線のTS番号毎のゲート状態及び下り回線のTS番号のゲート状態を登録できる。その結果、上り回線及び下り回線毎のMFHパケットの出力遅延を抑制できるゲート状態を確保できる。
図9は、設定処理に関わるパケット処理部12の処理動作の一例を示すフローチャートである。図9においてパケット処理部12の制御部29は、無線区間6Aの現在のインデックス値に応じた割当パターンを設定する(ステップS21)。制御部29は、無線区間6A内の上りリンクの受信パケットの流量と、無線区間6A内の下りリンクの受信パケットの流量とのリンク比率に応じたインデックス値を特定する。制御部29は、設定中の割当パターンの上り回線のサブフレーム内のTS毎に、上りリンクのMFHパケットの周期性パターンに応じた第1のゲート22A及び第2のゲート22Bのゲート状態を設定する(ステップS22)。尚、制御部29は、上りリンクのMFHパケットの周期性パターンに対応する所定TSのゲート状態を優先状態、所定TS以外のTSのゲート状態を通常状態に設定する。更に、制御部29は、設定中の割当パターンの下り回線のサブフレーム内のTS毎に、下りリンクのMFHパケットの周期性パターンに応じた第1のゲート22A及び第2のゲート22Bのゲート状態を設定し(ステップS23)、図9に示す処理動作を終了する。尚、制御部29は、下りリンクのMFHパケットの周期性パターンに対応する所定TSのゲート状態を優先状態、所定TS以外のTSのゲート状態を通常状態に設定する。
パケット処理部12は、上り回線のTS毎に上りリンクのMFHパケットの周期性パターンに応じた第1のゲート22A及び第2のゲート22Bのゲート状態を設定する。パケット処理部12は、下りリンクのサブフレーム内のTS毎に下りリンクのMFHパケットの周期性パターンに応じた第1のゲート22A及び第2のゲート22Bのゲート状態を設定する。その結果、パケット処理部12は、上りリンク又は下りリンクのTS毎にゲート状態を設定できる。
図10は、第1の優先設定処理に関わるパケット処理部12の処理動作の一例を示すフローチャートである。図10において収集部24は、上りリンクの受信パケットの流量及び下りリンクの受信パケットの流量を測定する(ステップS31)。予測部25は、上りリンクの受信パケットの流量と下りリンクの受信パケットの流量とのリンク比率を算出する(ステップS32)。リンク比率は、上りリンクの受信パケットの流量と下りリンクの受信パケットの流量との割合である。
予測部25は、割当パターンテーブル26を参照し、リンク比率に応じた次の割当パターンを予測する(ステップS33)。制御部29は、予測直前の割当パターンと予測結果の割当パターンとを比較し(ステップS34)、比較結果から予測結果の割当パターンと予測直前の割当パターンとの間の同一サブフレームのリンク方向に変化があるか否かを判定する(ステップS35)。同一サブフレームのリンク方向の変化とは、例えば、図7に示すサブフレーム番号“3”及び“8”のタイミングでの上りリンク“U”から下りリンク“D”への変化に相当する。
制御部29は、同一サブフレームのリンク方向に変化がある場合(ステップS35:Yes)、リンク方向に変化ありのサブフレーム内の所定TSのゲート状態を優先状態に設定し(ステップS36)、図10に示す処理動作を終了する。尚、所定TSは、上りリンク“U”から下りリンク“D”への変化があるサブフレーム番号“3”及び“8”のタイミング内の下り回線の所定TS(TS2~TS6)である。サブフレーム番号“3”及び“8”のタイミング内の所定TS2~TS6以外のTS(TS0、TS1、TS7~TS9)のゲート状態は通常状態に設定する。制御部29は、同一サブフレームのリンク方向に変化がない場合(ステップS35:No)、図10に示す処理動作を終了する。
パケット処理部12は、予測直前の割当パターン(インデックス値“1”)と予測結果の割当パターン(インデックス値“2”)とを比較する。パケット処理部12は、予測直前の割当パターンと予測結果の割当パターンとの間で同一サブフレーム(サブフレーム番号“3”及び“8”)内に上りリンクから下りリンクへのリンク方向の変化があると判定する。パケット処理部12は、上りリンクから下りリンクへのリンク方向の変化がある場合、該変化があるリンク方向(下りリンク)の周期性パターンに対応する下り回線のサブフレーム内の所定TS(TS2~TS6)のゲート状態を優先状態に設定する。その結果、無線区間6AのダイナミックTDD方式のインデックス値が動的に変化した場合でも、動的に変化されたインデックス値を反映した状態でMFHパケットの出力遅延を抑制できる。
しかも、サブフレームのゲート状態を優先状態に設定する場合でも、サブフレーム内の全TSのゲート状態を優先状態に設定するのではなく、MFHパケットの周期性パターンに対応する所定TSのゲート状態のみを優先状態に設定する。そして、所定TS以外のTSのゲート状態は通常状態に設定する。その結果、MFHパケットの優先出力による非MFHパケットの出力機会の減少を抑制することでパケット出力のトータルスループットの向上を図ることができる。
尚、実施例1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。図11は、実施例2のパケット処理部12の構成の一例を示す説明図である。図11に示す制御部29は、判定部29Aを有する。判定部29Aは、予測直前の割当パターンと予測結果の割当パターンとの間で同一サブフレーム内にリンク方向の変化がある場合に、当該リンク方向の変化があるサブフレーム内の所定TS内の先頭TSを特定する。更に、判定部29Aは、先頭TSのゲート状態を優先状態に設定する。判定部29Aは、先頭TSにMFHパケットが到来したか否かを判定する。
制御部29は、先頭TSにMFHパケットが到来した場合に、当該変化があるリンク方向の周期性パターンに対応する当該リンク方向のサブフレーム内の所定TSのゲート状態を優先状態に設定する。制御部29は、先頭TSにMFHパケットが到来しなかった場合に、当該変化があるリンク方向の周期性パターンに対応する当該リンク方向のサブフレーム内の先頭TS以外の所定TSのゲート状態を通常状態に設定する。
図12は、実施例2の第2の優先設定処理の一例を示す説明図である。尚、パケット処理装置5は、例えば、インデックス値“1”の割当パターンからインデックス値“2”の割当パターンに切替える際の上り回線及び下り回線のゲート設定時の処理動作について説明する。
予測部25は、インデックス値“1”の割当パターンからインデックス値“2”の割当パターンへの変化を予測したとする。制御部29は、インデックス値“2”の割当パターンへの変化を予測できた場合、すなわち予測直前の割当パターン(インデックス値“1”)と予測結果の割当パターン(インデックス値“2”)とを比較する。制御部29は、予測直前の割当パターンと予測結果の割当パターンとの間で同一サブフレーム(サブフレーム番号“3”及び“8”)内に上りリンクから下りリンクへのリンク方向の変化があると判定する。
制御部29は、上りリンクから下りリンクへのリンク方向の変化がある場合、該変化があるリンク方向(下り回線)の周期性パターンに対応する当該リンク方向のサブフレーム内の所定TS(TS2~TS6)内の先頭TS(TS2)を特定する。制御部29は、先頭TSのゲート状態を優先状態に設定する。制御部29は、先頭TS内にMFHパケットが到来したか否かを判定する。制御部29は、先頭TS内にMFHパケットが到来した場合、所定TS(TS2~TS6)のゲート状態を優先状態に設定する。つまり、前述のように下り回線での動作が上り回線にも適用でき、結果、上り回線でもサブフレーム番号“3”及び“8”のタイミングでは、上り回線も下り回線も、所定TS(TS2~TS6)のゲート状態を優先状態に設定、所定TS以外のTS(TS0、TS1、TS7~TS9)のゲート状態を通常状態に設定する。従って、サブフレーム番号“3”及び“8”のタイミングの所定TSでは、上り回線及び下り回線でもMFHパケットの出力遅延を抑制できる。
制御部29は、先頭TS内にMFHパケットが到来しなかった場合、残りの所定TS(TS3~TS6)のゲート状態を通常状態に設定する。尚、所定TS以外のTS(TS7~TS9)のゲート状態も通常状態に設定する。
予測直前の割当パターンと予測結果の割当パターンとの間で同一サブフレーム内にリンク方向の変化が予測された場合でも、所定TSの先頭TSのゲート状態を優先状態に設定する。先頭TSにMFHパケットが到来した場合、リンク方向が変化したサブフレーム内の所定TSのゲート状態を優先状態に設定する。その結果、先ずは、必要最小限、例えば、先頭TSのゲート状態のみを優先状態に設定し、先頭TS以外の残りの所定TSをMFHパケット到来に応じて、ゲートを優先状態か通常状態に設定できるので、非MFHパケットの出力機会の減少を抑制できる。更に、無線区間6AのダイナミックTDD方式のインデックス値への変化が予測された場合でも、変化が予測されたインデックス値を反映した状態でMFHパケットの出力遅延を抑制できる。
しかも、サブフレームのゲート状態を優先状態に設定する場合でも、サブフレーム内の全TSのゲート状態を優先状態に設定するのではなく、MFHパケットの周期性パターンに対応する所定TSのゲート状態のみを優先状態に設定する。そして、所定TS以外のTSのゲート状態を通常状態に設定する。その結果、MFHパケットの優先出力による非MFHパケットの出力機会の減少を抑制することでパケット出力のトータルスループットの向上を図ることができる。
図13は、第2の優先設定処理に関わるパケット処理部12の処理動作の一例を示すフローチャートである。図13においてパケット処理部12は、ステップS35にて同一サブフレーム内のリンク方向に変化がある場合(ステップS35:Yes)、リンク方向に変化があるサブフレーム内のMFHパケットの所定TSの先頭TSを特定する(ステップS41)。尚、MFHパケットの所定TSがTS2~TS6の場合、先頭TSはTS2とする。
制御部29は、所定TSの先頭TSを特定した後、先頭TSのゲート状態を優先状態に設定する(ステップS42)。判定部29Aは、先頭TSのゲート状態を優先状態に設定した後、先頭TSにMFHパケットが到来したか否かを判定する(ステップS43)。判定部29Aは、先頭TSにMFHパケットが到来した場合(ステップS43:Yes)、変化ありのサブフレーム内の所定TSのゲート状態を優先状態に設定し(ステップS44)、図13に示す処理動作を終了する。
制御部29は、先頭TSにMFHパケットが到来しなかった場合(ステップS43:No)、図13に示す処理動作を終了する。つまり、残りの所定TS(例えば、TS3~TS6)のゲート状態を通常状態に設定する。
パケット処理部12は、予測直前の割当パターン(インデックス値“1”)と予測結果の割当パターン(インデックス値“2”)とを比較する。パケット処理部12は、予測直前の割当パターンと予測結果の割当パターンとの間で同一サブフレーム(サブフレーム番号“3”及び“8”)内に上りリンクから下りリンクへのリンク方向の変化があると判定する。パケット処理部12は、上りリンクから下りリンクへのリンク方向の変化がある場合、該変化があるリンク方向(下りリンク)の周期性パターンに対応する下り回線のサブフレーム内の所定TS(TS2~TS6)から先頭TSを特定する。パケット処理部12は、先頭TSのゲート状態を優先状態に設定する。パケット処理部12は、先頭TSにMFHトラヒックが到来したか否かを判定する。パケット処理部12は、先頭TSにMFHトラヒックが到来した場合、残りの所定TSのゲート状態を優先状態に設定する。その結果、先ずは、必要最小限、例えば、先頭TSのゲート状態のみを優先状態に設定するため、非MFHパケットの出力機会の減少を抑制できる。更に、無線区間6AのダイナミックTDD方式のインデックス値が動的に変化した場合でも、動的に変化されたインデックス値を反映した状態でMFHパケットの出力遅延を抑制できる。
パケット処理部12は、先頭TSにMFHトラヒックが到来しなかった場合、残りの所定TSのゲート状態を通常設定する。その結果、必要最小限、例えば、先頭TSのゲート状態のみを優先設定するため、非MFHパケットの出力機会の減少を抑制できる。
しかも、サブフレームのゲート状態を優先状態に設定する場合でも、サブフレーム内の全TSのゲート状態を優先設定するのではなく、MFHパケットの周期性パターンに対応する所定TSのゲート状態を優先状態に設定する。そして、所定TS以外のTSのゲート状態を通常状態に設定する。その結果、MFHパケットの優先出力による非MFHパケットの出力機会の減少を抑制することでパケット出力のトータルスループットの向上を図ることができる。
尚、実施例1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。図14は、実施例3のパケット処理部12の構成の一例を示す説明図である。図14に示すパケット処理部12は、制御部29の代わりに制御部29Bを有する。制御部29Bは、予測部25にて次の割当パターンが複数予測された場合に、予測結果の割当パターン毎に予測直前の割当パターンを比較する。尚、予測部25が複数の割当パターンを予測する場合とは、リンク比率から次の割当パターンを特定できず、複数の割当パターンが予測された場合である。制御部29Bは、予測直前の割当パターンと予測結果の割当パターンとの間で同一サブフレーム内のリンク方向の変化がある場合に当該変化のあるリンク方向の周期性パターンに対応する所定TSのゲート状態を優先状態に設定する。
図15は、複数の割当パターンが予測された場合の割当パターンテーブル26の一例を示す説明図である。予測部25は、割当パターンテーブル26を参照し、上りリンクの受信パケットの流量と下りリンクの受信パケットの流量を監視して、その監視によるリンク比率の変化から次の割当パターンを予測する。予測部25は、例えば、インデックス値“1”からインデックス値“2”及びインデックス値“4”の割当パターンを予測するものとする。
制御部29Bは、予測直前の割当パターン(インデックス値“1”)と予測直後の割当パターン(インデックス値“2”)との間の同一サブフレーム(サブフレーム番号“3”及び“8”)内に上りリンクから下りリンクへのリンク方向の変化があると判定する。
制御部29Bは、予測直前の割当パターン(インデックス値“1”)と予測直後の割当パターン(インデックス値“4”)との間の同一サブフレーム(サブフレーム番号“6”~“8”)内に上りリンクから下りリンクへのリンク方向の変化があると判定する。
そして、制御部29Bは、同一サブフレーム(サブフレーム番号“3”、“6”~“8”)内に上りリンクから下りリンクへのリンク方向の変化があると判定する。制御部29Bは、上りリンクから下りリンクへのリンク方向の変化がある場合、該変化があるリンク方向(下り回線)の周期性パターンに対応する当該リンク方向のサブフレーム内の所定TS(TS2~TS6)のゲート状態を優先状態に設定する。その結果、無線区間6AのダイナミックTDD方式のインデックス値の変化が複数予測された場合でも、動的変換が予測された複数のインデックス値を反映した状態でMFHパケットの出力遅延を抑制できる。
しかも、サブフレームのゲート状態を優先状態に設定する場合でも、サブフレーム全体のゲート状態を優先状態に設定するのではなく、MFHパケットの周期性パターンに対応する所定TSのゲート状態のみを優先状態に設定する。そして、所定TS以外のTSのゲート状態は通常状態に設定する。その結果、MFHパケットの優先出力による非MFHパケットの出力機会の減少を抑制することでパケット出力のトータルスループットの向上を図ることができる。
図16は、実施例3の第3の優先設定処理の動作の一例を示す説明図である。尚、パケット処理装置5は、例えば、インデックス値“1”の割当パターンからインデックス値“2”又は“4”の割当パターンに切替える際の上り回線及び下り回線のゲート設定時の処理動作について説明する。
パケット処理装置5は、インデックス値が“1”の場合、下り回線のサブフレーム番号“0”、“4”、“5”及び“9”のタイミングの所定TSのゲート状態を優先状態に設定し、所定TS以外のTSのゲート状態を通常状態に設定する。更に、パケット処理装置5は、下り回線のサブフレーム番号“1”~“3”及び“6”~“8”のタイミングでゲート状態を通常状態に設定する。また、パケット処理装置5は、インデックス値が“1”の場合、上り回線のサブフレーム番号“1”~“3”及び“6”~“8”のタイミングの所定TSのゲート状態を優先状態に設定し、所定TS以外のTSのゲート状態を通常状態に設定する。更に、パケット処理装置5は、上り回線のサブフレーム番号“0”、“4”、“5”及び“9”のタイミングでゲート状態を通常状態に設定する。
予測部25は、インデックス値“1”の割当パターンからインデックス値“2”の割当パターンへの変化及びインデックス値“4”の割当パターンへの変化を予測したとする。制御部29Bは、インデックス値“2”の割当パターンへの変化を予測した場合、予測直前の割当パターン(インデックス値“1”)と予測結果の割当パターン(インデックス値“2”)との間で同一サブフレーム(サブフレーム番号“3”及び“8”)内に上りリンクから下りリンクへのリンク方向の変化があると判定する。
制御部29Bは、インデックス値“4”の割当パターンへの変化を予測した場合、予測直前の割当パターン(インデックス値“1”)と予測結果の割当パターン(インデックス値“4”)との間で同一サブフレーム(サブフレーム番号“6”~“8”)内に上りリンクから下りリンクへのリンク方向の変化があると判定する。
制御部29Bは、同一サブフレーム(サブフレーム番号“3”及び“6”~“8”)内に上りリンクから下りリンクへのリンク方向の変化があると判定する。制御部29Bは、リンク方向の変化がある場合、該変化があるリンク方向(下りリンク)の周期性パターンに対応するリンク方向(下りリンク)のサブフレーム(サブフレーム番号“3”及び“6”~“8”)内の所定TS(TS2~TS6)のゲート状態を優先状態に設定する。尚、所定TS以外のTSのゲート状態は通常状態に設定する。つまり、前述のように下り回線での動作が上り回線にも適用でき、結果、上り回線でもサブフレーム番号“3”及び“6”~“8”のタイミングでも、所定TS(TS2~TS6)のゲート状態を優先状態に設定、所定TS以外のTS(TS0、TS1、TS7~TS9)のゲート状態を通常状態に設定する。って、サブフレーム番号“3”及び“6”~“8”のタイミングの所定TSでは、上り回線及び下り回線でもMFHパケットの出力遅延を抑制できる。
予測直前の割当パターンと予測結果の割当パターンとの間で同一サブフレーム(サブフレーム番号“3”及び“6”~“8”)内にリンク方向の変化が予測された場合でも、リンク方向が変化したサブフレームの所定TSのゲート状態を優先状態に設定する。更に、所定TS以外のTSのゲート状態を通常状態に設定する。その結果、無線区間6AのダイナミックTDD方式の複数のインデックス値への変化が予測された場合でも、変化が予測されたインデックス値を反映した状態でMFHパケットの出力遅延を抑制できる。
しかも、サブフレームのゲート状態を優先状態に設定する場合でも、サブフレーム内の全TSのゲート状態を優先状態に設定するのではなく、MFHパケットの周期性パターンに対応する所定TSのゲート状態のみを優先状態に設定する。そして、所定TS以外のTSのゲート状態を通常状態に設定する。その結果、MFHパケットの優先出力による非MFHパケットの出力機会の減少を抑制することでパケット出力のトータルスループットの向上を図ることができる。
図17は、第3の優先設定処理に関わるパケット処理部12の処理動作の一例を示すフローチャートである。図17において制御部29Bは、ステップS33にてリンク比率から次の割当パターンを予測した後、1以上の割当パターンを予測したか否かを判定する(ステップS51)。制御部29Bは、1以上の割当パターンを予測した場合(ステップS51:Yes)、予測結果の割当パターン毎に予測直前の割当パターンと比較する(ステップS52)。
制御部29Bは、予測結果の割当パターン毎に予測直前の割当パターン内のサブフレームのリンク方向に変化があるか否かを判定する(ステップS53)。制御部29Bは、予測直前の割当パターン内のサブフレームのリンク方向に変化がある場合(ステップS53:Yes)、変化ありの全てのサブフレーム内の所定TSのゲート状態を優先状態に設定し(ステップS54)、図17に示す処理動作を終了する。尚、所定TS以外のTSのゲート状態は通常状態に設定する。
制御部29Bは、予測直前の割当パターン内のサブフレームのリンク方向に変化がない場合(ステップS53:No)、図17に示す処理動作を終了する。制御部29Bは、1以上の割当パターンを予測しなかった場合(ステップS51:No)、図17に示す処理動作を終了する。
パケット処理部12は、リンク比率に基づき、複数の割当パターンが予測された場合、予測直後の割当パターン毎に予測直前の割当パターンと比較する。パケット処理部12は、予測直前の割当パターン(インデックス値“1”)と予測結果の割当パターン(インデックス値“2”)との間で同一サブフレーム(サブフレーム番号“3”及び“8”)内に上りリンクから下りリンクへのリンク方向の変化があると判定する。パケット処理部12は、予測直前の割当パターン(インデックス値“1”)と予測結果の割当パターン(インデックス値“4”)との間で同一サブフレーム(サブフレーム番号“6”~“8”)内に上りリンクから下りリンクへのリンク方向の変化があると判定する。パケット処理部12は、同一サブフレーム(サブフレーム番号“3”、“6”~“8”)内に上りリンクから下りリンクへのリンク方向の変化があると判定する。パケット処理部12は、リンク方向の変化がある場合、該変化がある下りリンクの周期性パターンに対応する当該下りリンクのサブフレーム(サブフレーム番号“3”、“6”~“8”)内の所定TS(TS2~TS6)のゲート状態を優先状態に設定する。その結果、無線区間6AのダイナミックTDD方式のインデックス値の変化が複数予測された場合でも、予測された複数のインデックス値を反映した状態でMFHパケットの出力遅延を抑制できる。
しかも、サブフレームのゲート状態を優先状態に設定する場合でも、サブフレーム内の全TSのゲート状態を優先状態に設定するのではなく、MFHパケットの周期性パターンに対応する所定TSのゲート状態のみを優先状態に設定する。更に、所定TS以外の他のTSのゲート状態は通常状態に設定する。その結果、MFHパケットの優先出力による非MFHパケットの出力機会の減少を抑制することでパケット出力のトータルスループットの向上を図ることができる。
上記実施例では、MFHパケットを高優先パケット及び非MFHパケットの低優先パケットの2種類としたが、2種類に限定されるものではなく、適宜変更可能である。例えば、優先度を3種類のパケットとした場合、3個のゲートを配置し、リストテーブル28内の各ゲートの設定状態を格納するものとする。
上記実施例では、例えば、5Gの無線信号に対応するサブフレームの時間幅は1m秒としたが、これに限定されるものではなく、適宜変更可能である。
上記実施例では、予測部25、割当パターンテーブル26、学習部27、リストテーブル28及び制御部29をパケット処理部12に配置した。しかしながら、例えば、予測部25、割当パターンテーブル26、学習部27、リストテーブル28及び制御部29をCPU15内部に配置しても良く、適宜変更可能である。
上記実施例では、サブフレームの1周期をN=10個のTSとしたが、周期性を保持できれば良く、サブフレームの1周期をNの倍数に設定しても良く、適宜変更可能である。
上記実施例では、MFH内のパケット処理装置5を例示したが、無線通信のモバイルに限定されるものではなく、例えば、モバイル以外の分野として工場内のイーサネット(登録商標)に接続するパケット処理装置としてTASを用いた低遅延処理にも適用可能である。分散局と無線通信で接続する端末装置だけでなく、有線通信で接続しても良く、適宜変更可能である。
また、図示した各部の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
更に、各装置で行われる各種処理機能は、CPU(Central Processing Unit)(又はMPU(Micro Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)等のマイクロ・コンピュータ)上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしても良い。また、各種処理機能は、CPU(又はMPU、MCU等のマイクロ・コンピュータ)で解析実行するプログラム上、又はワイヤードロジックによるハードウェア上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしても良いことは言うまでもない。