JP7404549B2 - 坑井の坑底に侵入する層状水を防ぐ方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ガス生産工業に関し、特に、ガス井、ガス-コンデンセート井、又はガス-ハイドレート井の坑底への地層水(formation water)の侵入を防ぐ手段に関する。
層状水(stratal water)は、ほとんどのフィールドにおいて、炭化水素鉱床を伴う。最も頻繁には、層状水は、ガス層、ガス-コンデンセート層、又はガス-ハイドレート層の低層に位置する。しかしながら、いくつかのケースにおいて、層状水は地層生産部のセクションにて発見され得、そして別個の含水層を形成し得る。
一般に、層状水は、以下3つのタイプ:不動水、底層水、及び際水(edge water):に分類される。不動水は、鉱床が形成されるときから地層に残留している水である。底層水及び際水は、生産地層(productive formation)の下及びその周囲の貯留層の隙間(空隙)を満たす水である。
相互接続された地層(formation)の含水部分と生産部分は、鉱床が発達するとき、バランスが影響を受ける単一の流体力学的システムを形成する。地層システムのバランスが崩れるとき、多孔媒体中で地層流体の濾過が始まり、温度と圧力の変化によって地層に再分配される。
ガス層、ガス-コンデンセート層、又はガス-ハイドレート層を掘削して坑井を製造する作業は、坑底に大きな圧力差を生じさせ、底又は際の層状水の引き込みと侵入を容易にする。これらの現象は、坑井への完全な水の侵入による操業停止にいたるまでの生産井の作業効率の低下、及び操業を継続する経済的な実行可能性の欠如につながる。
ガス層、ガス-コンデンセート層、又はガス-ハイドレート層の開発効率は、岩石の不均一性の程度に大きく依存する、埋蔵産出物の程度によって決定される。地層岩石のマクロ及びミクロの不均一性は、地層のガス飽和部分へ地層水が移動するスピードに大きく影響を与える。その一方で、取り込まれたガスは地層の浸水部分に残り、このガス量は貯留層の特性と地層水の浸水の状態に依存する。
ガス-ハイドレートフィールドの開発は、一般的な原則に基づく-ガスは形成条件での結合ハイドレート状態から、フリー状態に変換され、続いて生産井から回収される。ハイドレート状態からフリー状態にガスを変換する既存の方法は、ハイドレート分解圧力より低いレベルに地層圧力を下げることに基づく。
水置換プロセスの3つの期間、すなわち、水なし期間、複合期間、圧力が初期値から最終値まで低下する期間は、水押しガス及びガス-コンデンセートフィールドの開発の間に選択され得る。また、ガス回収係数は、炭酸塩岩よりも砂岩の方が高い。ガス回収係数は、水面張力の増加とともに減少する。
A.I.Shirkovsky(シルコフスキー)は、一定圧力の水によってガスが置換される場合のガス回収係数を決定するために下記式を導き出した。
Figure 0007404549000001
式中、
β-初期/回収ガス埋蔵比率、単位分数;
ρ-初期ガス飽和率、単位分数;
-地層の絶対間隙率(絶対孔隙率)因子、単位分数;
σ-ガス-水界面での現在の圧力での表面張力σと初期圧力での表面張力σpiの比率
μ-現在の圧力pとガス-水界面と初期圧力piにおける、水粘度μとガス粘度μの比率
Figure 0007404549000002
残留ガス飽和係数αは、モデルの出力(output)断面への水の侵入時にガスが占める孔隙体積と該モデルの孔隙体積との比率である:
Figure 0007404549000003
ガス回収係数における多くの環境の影響については未だ十分に研究されていない。
弾性水押しガスとガス-コンデンセートフィールドの開発は、地層のガス部分と浸水(water-flooded)ゾーンにおける圧力低下がつきものである。捕捉されたガスは膨張し、部分的に濾過されて地層のガス飽和部分となる。地層の浸水ゾーンにおいて生じている物理プロセスもまた十分に研究されていない。
上記は、炭化水素鉱床の浸水の程度と、ガス回収係数の間に依存関係が存在することを証明する。
これに関連して、ガス埋蔵量(reserve)の開発効率を高めるというタスクを解決するために、ガス層、ガス-コンデンセート層、又はガス-ハイドレート層に掘削された生産井の坑底へ、層状水の侵入を防ぐ方法を実行することが必要となる。
ロシア連邦特許第2569941号明細書(IPC E21B33/13、E21B43/32、C09K8/42、E21B43/27、2015年2月10日公開)は、石油・ガスフィールドの開発に係る石油・ガス生産工業において、底層水単離法が適用可能であることを開示している。該方法は、水侵入層ゾーンにおけるフローストリングの穿孔、坑底ゾーンから水を除去するための炭化水素流体の注入、浸透性を高めるための坑底ゾーンの塩酸処理、遮水スクリーン設置目的での遮水化合物の地層へのフラッシング、硫酸セルロース(sulphacell)のMICRODUR RU溶液によるスクリーンのさらなる強化、水侵入ゾーンへのセメントプラグの設置、その強度と気密性(密封性)のテスト、坑井の洗浄、並びに、地層の開発を含む。下記組成物が、水単離組成物として使用され得る:重合調整剤(113-53又は113-85)+ケイ酸エチル(ETS-40又はETS-16)+疎水性有機シリコーン液;ケイ酸エチル(ETS-40又はETS-16)+人工ラセミ酸+二酸化カルシウム(CaCl)。本方法の主たる不利点は以下のとおりである:ブロッキング効果の不可逆的な性質、多数の実行段階、フローストリングの穿孔と地層坑底ゾーンの塩酸処理を実施する必要性のために、石油・ガス生産のフィールド条件におけるこの方法の複雑な実行、水単離スクリーンのさらなる強化の必要
性、追加の工数。
米国特許第6,165,948号明細書(IPC C09K8/035、E21B43/32、E21B21/06、E21B43/16、2000年12月26日公開)は、天然ガス井及びガス貯蔵井の取水半径(intake radius)における不動の地層水を含む岩石を乾燥させる方法を開示する。本法に従い、水含有岩石は、以下の成分を含む分散液の使用により、疎水性にされる:A)撥水性活性化合物、B)親水性水分散媒体、及び所望によりC)分散剤。特に、疎水性無機物質又は高分子有機ケイ素化合物が、撥水性化合物(A)として使用され得る。前記疎水性無機物質の例として、特には、ケイ素/アルミニウム混合酸化物である。本方法の不利点は以下の通りである:多成分の化学組成及び組成物中の反応時間が予測できないポリマー成分の存在による方法の実施の複雑性;商業スケールでの組成物を調製し、そしてそれらの濾過を伴う地層への注入の必要性による複雑性、これにより坑井への地層水の侵入を効率的に防ぐことができない;撥水性化合物として使用されるポリマーシステムのレオロジーパラメータの調整が不可能;及び、ブロッキング効果の不可逆的な性質。この方法にて提案されるように、多成分の化学組成は、水分散媒体の鉱化(石化)と化学組成に敏感である。
米国特許第4,276,935号明細書(IPC C09K8/502、C09K/8/82、E21B43/32、1981年7月7日公開)は、地下ガス含有地層からの水生成を減少させるための処理方法を開示している。生産ガス井からの過度の水生成は、ポリアクリルアミドなどの増粘ポリマーを含む炭化水素希釈油中水型エマルションを注入し、注入される乳化ポリマーがガス生産地層下の遺留水と接触すると膨張して、生産ガス井への水の移動を制限することにより、大幅に減少する。本方法の不利点は以下の通りである:プロセス及び地層水の鉱化(石化)作用及び化学組成に対して感度が高いことを特徴とするポリマー化合物の使用、及び、坑井への注入及び地層への濾過のプロセスにおける予測不可能なレオロジーに起因する、坑井の操作効率の低下;及び不可逆的なブロッキング効果。
ロシア連邦特許第2534373号明細書(IPC E21B43/32、2014年11月27日公開)は、コイルチュービング技術によるガス井及びガス-コンセントレート井の層状水流入を遮断する方法を開示する。この方法は、ガス飽和地層の厚さを維持しながら、坑井を台無しにすることなく、地層水のフローを分離させる可能性を保証する。本発明の本質は以下の通りである:本方法は、ガス井のリフトカラムの内部空洞内にフレキシブルパイプを降ろし、坑底まで降下させ、坑底を液体から機械的不純物まで一掃し、坑井をガスコンデンセートで満たし、ついで、フレキシブルパイプをカラムシューまで持ち上げ、フレキシブルパイプとリフトカラムの間の環状空間を通して、地層厚さ1メートルあたり1-2mの量のガスコンデンセート中、10%の濃度でケイ酸エチルETS-40を含む疎水性化合物のファーストパックを穿孔(perforated)ゾーンに注入し;そしてその後、地層内にそれをフラッシュし、生産地層で遮水スクリーンを形成し、それにより、層状水を坑底から地層深さまで放射状に押し出す。次に、ケイ酸エチルETS-40を100%濃度で含む疎水性化合物のセカンドパックを、有効地層厚さ1mあたり0.4-0.6mの量で注入し、リフトカラムと坑井の内部空間-リフトカラムシュー下のフローストリング-の容積にて、ガスコンデンセートとともに地層にフラッシュさせる。その後、フレキシブルパイプを再びガス-水接触ゾーンに降下し、GKZh-11N疎水性有機珪素液を、フレキシブルパイプを通して、地層水含有厚さ1mあたり0.10-0.15mの量で注入し、逆圧で2サイクルの量で坑井をフラッシュバックさせる。フレキシブルパイプを坑井から除去し、後者を圧力下で反応するように放置する。本方法の不利点は以下の通りである:坑井に化合物を注入するプロセスを実施する技術的な複雑性、地層深さへの浸透が小さく、不可逆的で制御不能なブロッキング効果をもたらす化学組成物の使用による、生産井に地層水が侵入するのを制限する効率の低下。
ロシア連邦特許第2136877号明細書(IPC E21B43/32、E21B33/13、1999年9月10日公開)は、ガス井及びガス-コンデンセート井の底層水を分離する方法を開示する。本方法は、一定期間の間に坑井操作を停止させ再度開始した後、液状炭化水素を生産ストリングに注入することを含み、ここで計算された量の液状炭化水素が一定期間の間にバッチで注入され、そして、坑底ゾーンの貯留岩の疎水化を促進する界面活性剤を添加した廃油製品が、前記液状炭化水素として使用される。さらに、層状水の痕跡がガス井の生産物にみられるとき、前記液状炭化水素が、注入される。この方法の不利点は、濾過チャネル表面の疎水化のみを目的とした低粘度組成物の使用による、ガス井とガスコンデンセート井の操作時に生じる坑底の圧力差の条件で、生産井への層状水の侵入を防ぐ効果が低いことである。
ロシア連邦特許第2438009号明細書(IPC E21B43/16、2011年12月27日公開)は、ガス-ハイドレート鉱床の開発方法を開示する。提案された方法は、ガスハイドレート地層底部の下に位置するゾーンの水飽和を低減することにより、ガス回収の増加及びハイドレートフリー井の操作期間の増加を確実にし、その結果、ハイドレートの自己保存の実現性を低減する。この方法は、生産地層とその下の孤立した水含有層に坑井を掘削することからなる。次に、沈められたポンプユニットを有する生産ストリングが坑井に降ろされ、ガス-液体混合物が、生産地層のガス-水界面から回収される。同時に、ガス液体混合物が、坑井で分離される。ガスは環状空間を通して回収され、溶解したガスを含む液体が生産ストリングを通して回収され、液体は前記沈められたポンプユニットにより、前記水含有層に汲み上げられる。本方法の不利点は、水ガス混合物の多相濾過の条件にて、ハイドレート形成プロセスを調整することが不可能である点である。この方法は、ガス含有地層の坑井の坑底ゾーンに水密シールドを設定するのではなく、むしろ、下層の水含有地層をさらに共同作業で掘削することを目的とし、すなわち、本方法は、生産井へ地層水の侵入を防ぐものではなく、そのため、効果的でない。
ガス、ガス-コンデンセート、又はガス-ハイドレートフィールドの開発における上記問題を解決するために、地層の坑井の坑底ゾーン(FBZ)に二酸化ケイ素ナノ粒子を含む乳化-懸濁液システムの注入をベースとする、生産井の坑底へ層状水が侵入するのを防ぐ方法が提案されている。本明細書では、ガス、ガス-コンデンセート、ガス-ハイドレート井を、生産井として言及する。
本発明の本質は、この方法がFBZへのシールド(遮蔽)剤の注入を含むことである;二酸化ケイ素のナノ粒子を含む乳化(エマルション)-懸濁液(サスペンション)システム(ESS)が前記シールド剤として使用され、前記システムが(%volにて):ディーゼル燃料又はオイル処理及びポンピングステーションからのプロセスオイル-5~12、乳化剤-2~3、二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子-1.0~1.5、塩化カルシウム又は塩化カリウムの水溶液-残部:を含み;下記を含む組成物(%volにて):高級不飽和脂肪酸及び樹脂酸のエステル-40~42、アミンオキシド-0.7~1、高分子有機熱安定剤-0.5~1、ディーゼル燃料-残部:が、乳化剤として使用され;下記を含む組成物(%volにて):プロピレングリコールモノメチルエーテル-67~68-中、二酸化ケイ素-31~32.5、水-残部;又はイソプロパノール-67~68及びメチルアルコール-残部-中、二酸化ケイ素-30~31;又はエチレングリコール-残部-中、二酸化ケイ素-29~31:が、二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子として使用される。
本発明の技術的効果は、坑井生産物のウォータカットを低減し、シールド剤のブロッキ
ング効果が可逆性であることによる環境への悪影響を低減し、一段階プロセスにより方法の実施を簡素化し、シールド剤のレオロジーパラメータ調整を実現し、労働投入量を削減し、そしてガス井、ガス-コンデンセート井、又はガス-ハイドレート井の運用上の技術的効率を改善する。
本発明は、以下の図面資料で説明される。
図1は、ESSを準備し生産井にポンピングするためのツール(tool)と装置(equipment)が記載された表を示す。 図2は、ESSの密度(水成分の密度は1200kg/m)の測定結果を示す表である。 図3は、140℃でのESSの熱安定性の測定結果を示す表である。 図4は、ESSの動的粘度の測定結果を示す表である。 図5は、温度20.0℃及びせん断速度450.0s-1における、ESSの有効粘度の試験時間(動的安定性)依存性を示す表である。
この方法は、計算されたESSボリュームを、生産地層(producing formation)と含水層の界面に放射状に配置することに基づき、これにより、層状水が生産地層(productive formation)の坑井に隣接するゾーンに浸透するのを防ぐシールドを形成できる。ESS独自の物理的特性は、異常な温度の地層に本方法を効率的に適用することを可能とするのと同時に、成分の体積比率を変更することにより、地層条件及び坑井操作条件に応じて、シールド剤のブロッキング特性を調整可能にする。
ESSの主たる独自の物理的特性は:高い熱安定性(140℃)及び濾過安定性、岩石表面湿潤性を調整する機能、注入プロセス及び地層への濾過の間の自己調節された粘度である。
せん断勾配値と動的粘度は、ESSの安定性と表面活性とともに広い範囲に調整可能であるため、含水ゾーンの確実なブロッキングを保証し、坑井への炭化水素のフローを容易にする。計算されたESSボリュームのターゲット注入の結果、含水層と生産地層の界面に放射状のシールドが形成され、その寸法は、生産井ネットワークの密度と坑井の操作条件によって決まる。
ESSを岩石多孔質媒体で濾過する場合、システムの有効粘度は体積含水量とろ過速度によって決まり、体積含水量の増加と濾過速度の低下とともに増加する。
この事実は、地層の奥深くでのESS濾過の粘度特性、速度及び方向の自己調節を説明可能にする。
対象物に対する坑井の選択と必要条件
下記坑井が、本方法の実施のために選択され得る:
-ガス;
-ガス-コンデンセート;
-ガス-ハイドレート。
下記の主要な要件が上記坑井に適用される:
-穿孔ゾーンとウェルサンプ(坑井水溜)は、穿孔ゾーンへの液体濾過(浸透)を妨げる大規模な堆積物、鉱床、及び外来物(異物)があってはならない;
-ケーシングストリングに漏れ防止でなければならない;
-地層温度は限定されないが、作業を開始する前に決定しなければならない;
-坑井の取水容量は、120atmを超えない取水口圧力で、少なくとも150m/日でなくてはならず、前記取水容量が不十分な場合、坑井の取水容量を増加させる標準的な方法の一つによりFBZを処理する。
注入するESSのボリュームは、Orkin K.G.とKuchinsky P.K.による「石油生産の技術とプロセスにおける計算法」(Gostoptekhizdat、1959年)研究において示された周知の方法に従い算出される。坑井から特定半径にある岩盤空隙空間を満たすのに必要なESSのボリュームを計算するために、以下の式を使用できる:
Figure 0007404549000004
式中、
V-計算されたボリューム、m
out-エマルションシステムフリンジの外部半径、m;
-坑井半径、m;
h-地層の厚さ、m;
m-貯留層(リザーバー)多孔因子、単位分数;
SWL-遺留水飽和率、単位分数;
SOWCR-残留ガス飽和率、単位分数:
この方法は、影響範囲の幾何学的寸法と貯留層の特性が考慮される。計算における遺留水飽和率と残留ガス飽和率の使用は、濾過プロセスに関与しない多孔質空間の体積を考慮に入れることができる。
ESS調製の手順
ESSは、少なくとも90rpmの回転速度を有するブレードミキサーが中に配置されたプロセスタンクと、ESS成分を循環させるための外部遠心ポンプからなる、エマルションシステム調製ユニット(ESPU)にて調製され得る。ESSを調製して生産井に注入するために必要なプロセス装置を図1に示す。
ESPUを用いるESS調製手順は段階的であり、以下の工程を含む:
-計算されたボリューム(5-12vol%)のディーゼル燃料又はオイル処理及びポンピングステーションからのプロセスオイルを、ESPUプロセスタンクに加える工程;
-循環用のブレードミキサーと遠心ポンプを始動させる工程;
-計算されたボリュームの乳化剤(2-3vol%)をESPUプロセスタンクに加える工程;
-計算されたボリューム(1.0-1.5vol%)の二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子をESPUタンクに加える工程;
-計算されたボリューム(残部)の塩化カルシウム又は塩化カリウムの水溶液をESPUプロセスタンクに加える工程。
成分は、真空ホースを使用したジェットポンプにより、炭化水素ベースに導入される。該成分の添加速度は、ジェットポンプの吸い込み(intake)能力により制限される。
前記プロセスタンクには、反応物が全体積に亘り一定且つ均一な分配を確実とするよう、ブレードミキサーが備え付けられる。システムに必要な安定性を提供し維持するために、可逆回転のブレードミキサーの使用が推奨される。
システムの調製品質と安定性の特性は、混合によるESPUプロセスタンク体積の完全適用範囲、プロセスタンクの清浄度、成分の導入速度、及び分散期間により決定される。“曲がった”角(円筒形に近い形状)を有するタンクの使用が推奨される。
ESS調製の品質管理は、システムの沈降安定性を確認することにより実施される。ESSのサンプル200mLを室温で2時間保持した後、分離されるESSの水成分体積が2%未満である場合、本試験は陽性とみなされる。
坑井で作業を実施するための特殊なツールや装置の数と種類を図1に示す。これらは、ESSがESPUを使用して調製される条件で計画されている。提示された特殊なツールと装置のリストは基本的なものであり、作業の実施条件、溶液混合プラントの場所、プロセスパラメータ、及び、坑井の構造的特徴に応じて、追加のアイテムが含まれ得る。
坑井における準備作業
ESSを坑井に注入する作業を開始する前に、下記準備作業を坑井において実施する:-坑井を遮断して減圧し、坑口装置のストップバルブの操作性をチェックする;
-坑井の循環をチェックし、プロセス流体の注入ヴァリアントを決定する;
-地層圧力の現在値を特定する;
-ESS注入用の装置とツールを承認された配置に従って配置する;
-機器を接続し、安全要件を遵守しながら、予想される操作圧力の1.5倍の圧力で注入ラインを試験する;
-注入ラインはチェックバルブを設ける。
注入手順
連続注入を維持するために、操作を実施するのに必要なボリュームの流体を運搬する十分な数のタンクローリーが坑井パッド上にある必要がある。
本方法は、主要な注入パラメータを連続的にチェックしながら、計算されたボリュームのESSを生産井に連続注入することにより実施される。ESSは、ディーゼル燃料又はオイル処理及びポンピングステーションからのプロセスオイル、乳化剤、二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子、塩化カルシウム又は塩化カリウムの水溶液を含む。
ESSは(vol%にて):ディーゼル燃料又はオイル処理及びポンピングステーションからのプロセスオイル-5~12、乳化剤-2~3、二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子-1.0~1.5、塩化カルシウム又は塩化カリウム水溶液-残部:を含み得る。前記乳化剤は(vol%にて):高級不飽和脂肪酸と樹脂酸のエステル-40~42、アミンオキシド-0.7~1、高分子有機熱安定剤-0.5~1、ディーゼル燃料-残部:を含み得る。
二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子は(vol%にて):
-プロピレングリコールモノメチルエーテル-67~68-中、二酸化ケイ素-31~32.5、水-残部中、又は
-イソプロパノール-67~68及びメチルアルコール-残部-中、二酸化ケイ素-30~31、又は、
-エチレングリコール-残部-中、二酸化ケイ素-29~31、:を含み得る。
システムと塩水溶液の主要な物理的パラメータは、計算された成分のボリュームと密度に基づき調整される。
坑井へのプロセス流体注入の2つのバリアントを適用できる:ダイレクト又はリバース
。伝統的に、プロセス流体は、坑井のチューブスペースに注入される(ダイレクト注入)。ただし、ESSの場合、好ましいバリアントは、坑井の穴環(ホールアニュラス)を介したリバース注入である。
プロセス流体は、フローティングガス(浮遊)によるプロセス流体の密度低下を防ぐ速度で、連続的に注入する必要がある。
プロセス流体注入速度は、地層圧力値により決定され、坑井内の圧力が許容限界(ストリング圧力試験の結果による)を超えないという条件で、坑井容量よりも多く、最大にする必要がある。
プロセス流体の必要な密度は、プロセス流体のカラムが、安全因子により現在の地層圧力よりも高い圧力を生成するという条件での計算に基づき、決定される。
特定の密度を有する水溶液の必要量を調製するために必要となる乾燥塩化カリウム又は塩化カルシウムの量は、下記式に従って算出される:
Figure 0007404549000005
式中、
-試薬量、kg;
-試薬の比重、g/cm
kl-プロセスキリング流体の比重、g/cm
-プロセス流体の調製に使用したプロセスウォーターの比重、g/cm
-水溶液の必要ボリューム、m
最終作業として、下記の作業が坑井にて実施される必要がある:
1.制御装置のすべてのバルブが閉鎖されていることを確認する。
2.注入ラインの圧力を開放し、過度の圧力がないことを確認する。
3.プロセス流体がこぼれないよう、注入ラインを取り外す(環境に配慮したパン(受け皿)の使用が推奨される)。
4.坑井から計測ユニットグループへのパイプラインの圧力を大気圧に解放する。
ESS物理特性の実験的研究
ESSの物理特性を研究するために、成分の体積含量が異なるサンプルを調製した。
実験において下記システムパラメータを特定した。
-密度;
-熱安定性;
-動的粘度;
-動的安定性。
システムサンプルの調製後、実験の開始前に、これらを室温で少なくとも2時間保持した。
ESS密度測定
ESSサンプル密度を、ピクノメーター法により測定した(水成分の密度は1,200kg/m)。結果を図2に示す。
ESS熱安定性測定
熱安定性を、温度が140℃に設定されたオーブン中、密封された目盛り付きシリンダ内でESSサンプルを8時間保持することにより、測定した。オーブンに8時間保持した後、ESS水相の総体積から、2vol%より多くない水が分離した場合に、本試験は陽性とみなした。すべてのサンプルが安定であることが実験的に判定された。
ESSのレオロジー特性の評価
ESSサンプルの動的粘度と動的安定性測定の結果を図4及び5に示す。測定は、回転粘度計PEOTECT RV 2.1を用い、20℃で実施した(温度測定の誤差は±0.1℃であった)。
下記パラメータを特定した:
-フォワード(順方向)及びリバース(逆方向)測定による、有効(見かけ)粘度(mPa・s);
-フォワード及びリバース測定による、せん断応力(Pa);
-動的安定性。
ESSの物理的特性に関する複雑な実験的研究の結果より、開発されたシステムの基本的特性が決定され、それらの高い熱的安定性と制御されたレオロジーが確認された。
本方法の実施例
例1
準備作業を坑井で実施した:前記坑井を閉鎖し、減圧した;坑口装置のストップバルブの操作性を確認した;現在の地層(formation)圧力値を特定した;承認された設計(レイアウト)に従い、装置とツールを配置した;装置の接続をなし、予想される動作圧力の1.5倍の圧力で、注入ラインを試験した;注入ラインにチェックバルブを備え付けた。
準備作業の完了後、生産井へのESS注入操作を開始した。
下記組成(vol%)のESSを、426mの量にてガス井に注入した:ディーゼル燃料-5、乳化剤-2、二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子-1.0、密度1,120kg/mの塩化カリウム水溶液-92.0。前記乳化剤は、vol%にて:高級不飽和脂肪酸(リノール酸)及び樹脂酸のエステル-40、アミンオキシド-0.7、高分子有機熱安定剤(ディーゼル燃料懸濁液中の石灰)-0.5、ディーゼル燃料-58.8:を含む。前記二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子は、vol%にて:プロピレングリコールモノメチルエーテル-67.0中、二酸化ケイ素-31.0、水-2.0:を含む。
前記坑井を開発し、47%のウォーターカット(含水率)の削減にて稼働した。
例2
この例及びさらなる例において、例1に記載された手順に従い、準備作業を実施した。
下記組成(vol%)のESSを、302mの量にてガス井に注入した:ディーゼル燃料-7、乳化剤-2.5、二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子-1.25、密度1,170kg/mの塩化カリウム水溶液-89.25。前記乳化剤は、vol%にて:高級不飽和脂肪酸(リノール酸)及び樹脂酸のエステル-41、アミンオキシド-0.8、高分子有機熱安定剤(ディーゼル燃料懸濁液中の石灰)-0.7、ディーゼル燃料-57.5:を含む。前記二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子は、vol%にて:プロピレングリコールモノメチルエーテル-67.0中、二酸化ケイ素-32.0、水-1.0:を含む。
前記坑井を開発し、53%のウォーターカット(含水率)の削減にて稼働した。
例3
下記組成(vol%)のESSを、414mの量にてガス井に注入した:ディーゼル燃料-10、乳化剤-3、二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子-1.5、密度1,170kg/mの塩化カリウム水溶液-85.5。前記乳化剤は、vol%にて:高級不飽和脂肪酸(リノール酸)及び樹脂酸のエステル-42、アミンオキシド-1.0、高分子有機熱安定剤(ディーゼル燃料懸濁液中の石灰)-1.0、ディーゼル燃料-56.0:を含む。前記二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子は、vol%にて:プロピレングリコールモノメチルエーテル-67.0中、二酸化ケイ素-32.5、水-0.5:を含む。
前記坑井を開発し、39%のウォーターカット(含水率)の削減にて稼働した。
例4
下記組成(vol%)のESSを、422mの量にてガス井に注入した:ディーゼル燃料-12、乳化剤-3、二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子-1.5、密度1,230kg/mの塩化カリウム水溶液-83.5。前記乳化剤は、vol%にて:高級不飽和脂肪酸(リノール酸)及び樹脂酸のエステル-42、アミンオキシド-1.0、高分子有機熱安定剤(ディーゼル燃料懸濁液中の石灰)-1.0、ディーゼル燃料-56.0:を含む。前記二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子は、vol%にて:プロピレングリコールモノメチルエーテル-68.0中、二酸化ケイ素-31.0、水-1.0:を含む。
前記坑井を開発し、62%のウォーターカット(含水率)の削減にて稼働した。
例5
下記組成(vol%)のESSを、433mの量にてガス井に注入した:ディーゼル燃料-12、乳化剤-3、二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子-1.5、密度1,200kg/mの塩化カリウム水溶液-83.5。前記乳化剤は、vol%にて:高級不飽和脂肪酸(リノール酸)及び樹脂酸のエステル-42、アミンオキシド-0.8、高分子有機熱安定剤(ディーゼル燃料懸濁液中のベントナイト)-0.9、ディーゼル燃料-56.3:を含む。前記二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子は、vol%にて:イソプロパノール-68.0中、二酸化ケイ素-30.0、水-2.0:を含む。
前記坑井を開発し、24%のウォーターカット(含水率)の削減にて稼働した。
例6
下記組成(vol%)のESSを、378mの量にてガス井に注入した:ディーゼル燃料-11、乳化剤-2.8、二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子-1.3、密度1,200kg/mの塩化カリウム水溶液-84.9。前記乳化剤は、vol%にて:高級不飽和脂肪酸(オレイン酸)及び樹脂酸のエステル-40、アミンオキシド-0.7、高分子有機熱安定剤(ディーゼル燃料懸濁液中のベントナイト)-0.5、ディーゼル燃料-58.8:を含む。前記二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子は、vol%にて:イソプロパノール-67.5及びメチルアルコール-2.0中、二酸化ケイ素-30.5:を含む。
前記坑井を開発し、31%のウォーターカット(含水率)の削減にて稼働した。
例7
下記組成(vol%)のESSを、399mの量にてガス井に注入した:ディーゼル燃料-9、乳化剤-2.5、二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子-1.0、密度1,225kg/mの塩化カルシウム水溶液-87.5。前記乳化剤は、vol%にて:高級不飽和脂肪酸(オレイン酸)及び樹脂酸のエステル-41、アミンオキシド-1.0、高分子有機熱安定剤(ディーゼル燃料懸濁液中のベントナイト)-1.0、ディーゼル燃料-57.0:を含む。前記二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子は、vol%にて:イソプロパノール-68及びメチルアルコール-1.0中、二酸化ケイ素-31.0:を含む。
前記坑井を開発し、51%のウォーターカット(含水率)の削減にて稼働した。
例8
下記組成(vol%)のESSを、415mの量にてガス井に注入した:ディーゼル燃料-7、乳化剤-2.0、二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子-1.4、密度1,225kg/mの塩化カルシウム水溶液-89.6。前記乳化剤は、vol%にて:高級不飽和脂肪酸(オレイン酸)及び樹脂酸のエステル-40.5、アミンオキシド-0.8、高分子有機熱安定剤(ディーゼル燃料懸濁液中のベントナイト)-0.6、ディーゼル燃料-58.1:を含む。前記二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子は、vol%にて:エチレングリコール-69.0中、二酸化ケイ素-31.0:を含む。
前記坑井を開発し、26%のウォーターカット(含水率)の削減にて稼働した。
例9
下記組成(vol%)のESSを、415mの量にてガス-コンデンセート井に注入した:オイル処理及びポンピングステーションからのプロセスオイル-7、乳化剤-2.0、二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子-1.4、密度1,225kg/mの塩化カルシウム水溶液-89.6。前記乳化剤は、vol%にて:高級不飽和脂肪酸(オレイン酸)及び樹脂酸のエステル-40.5、アミンオキシド-0.8、高分子有機熱安定剤(ディーゼル燃料懸濁液中のベントナイト)-0.6、ディーゼル燃料-58.1:を含む。前記二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子は、vol%にて:イソプロパノール-67及びメチルアルコール-2.0中、二酸化ケイ素-31.0:を含む。
前記坑井を開発し、25%のウォーターカット(含水率)の削減にて稼働した。
例10
下記組成(vol%)のESSを、504mの量にてガス-コンデンセート井に注入した:オイル処理及びポンピングステーションからのプロセスオイル-9、乳化剤-2.5、二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子-1.5、密度1,210kg/mの塩化カルシウム水溶液-87.0。前記乳化剤は、vol%にて:高級不飽和脂肪酸(オレイン酸)及び樹脂酸のエステル-42.0、アミンオキシド-0.7、高分子有機熱安定剤(ディーゼル燃料懸濁液中のベントナイト)-1.0、ディーゼル燃料-56.3:を含む。前記二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子は、vol%にて:イソプロパノール-67及びメチルアルコール-2.0中、二酸化ケイ素-31.0:を含む。
前記坑井を開発し、28%のウォーターカット(含水率)の削減にて稼働した。
例11
下記組成(vol%)のESSを、508mの量にてガス-コンデンセート井に注入した:オイル処理及びポンピングステーションからのプロセスオイル-10、乳化剤-3.0、二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子-1.2、密度1,210kg/mの塩化カルシウム水溶液-85.8。前記乳化剤は、vol%にて:高級不飽和脂肪酸(オレイン酸)及び樹脂酸のエステル-40.0、アミンオキシド-0.7、高分子有機熱安定剤(ディーゼル燃料懸濁液中のベントナイト)-1.0、ディーゼル燃料-58.3:を含む。前記二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子は、vol%にて:エチレングリコール-71.0中、二酸化ケイ素-29.0:を含む。
前記坑井を開発し、43%のウォーターカット(含水率)の削減にて稼働した。
例12
下記組成(vol%)のESSを、325mの量にてガス-コンデンセート井に注入した:オイル処理及びポンピングステーションからのプロセスオイル-12、乳化剤-3.0、二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子-1.0、密度1,220kg/mの塩化カルシウム水溶液-84.0。前記乳化剤は、vol%にて:高級不飽和脂肪酸(リノール酸)及び樹脂酸のエステル-41.0、アミンオキシド-0.9、高分子有機熱安定剤(ディーゼル燃料懸濁液中のベントナイト)-0.8、ディーゼル燃料-57.3:を含む
。前記二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子は、vol%にて:エチレングリコール-70.0中、二酸化ケイ素-30.0:を含む。
前記坑井を開発し、48%のウォーターカット(含水率)の削減にて稼働した。
例13
下記組成(vol%)のESSを、376mの量にてガス-コンデンセート井に注入した:オイル処理及びポンピングステーションからのプロセスオイル-12、乳化剤-3.0、二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子-1.5、密度1,220kg/mの塩化カリウム水溶液-83.5。前記乳化剤は、vol%にて:高級不飽和脂肪酸(リノール酸)及び樹脂酸のエステル-41.0、アミンオキシド-0.9、高分子有機熱安定剤(ディーゼル燃料懸濁液中のベントナイト)-0.8、ディーゼル燃料-57.3:を含む。前記二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子は、vol%にて:エチレングリコール-69.0中、二酸化ケイ素-31.0:を含む。
前記坑井を開発し、55%のウォーターカット(含水率)の削減にて稼働した。
例14
下記組成(vol%)のESSを、361mの量にてガス-コンデンセート井に注入した:オイル処理及びポンピングステーションからのプロセスオイル-5、乳化剤-2.0、二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子-1.0、密度1,220kg/mの塩化カリウム水溶液-92.0。前記乳化剤は、vol%にて:高級不飽和脂肪酸(リノール酸)及び樹脂酸のエステル-42.0、アミンオキシド-1.0、高分子有機熱安定剤(ディーゼル燃料懸濁液中のベントナイト)-1.0、ディーゼル燃料-56.0:を含む。前記二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子は、vol%にて:エチレングリコール-69.0中、二酸化ケイ素-31.0:を含む。
前記坑井を開発し、31%のウォーターカット(含水率)の削減にて稼働した。
例15
下記組成(vol%)のESSを、452mの量にてガス-コンデンセート井に注入した:オイル処理及びポンピングステーションからのプロセスオイル-6、乳化剤-3.0、二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子-1.4、密度1,220kg/mの塩化カリウム水溶液-89.6。前記乳化剤は、vol%にて:高級不飽和脂肪酸(リノール酸)及び樹脂酸のエステル-42.0、アミンオキシド-1.0、高分子有機熱安定剤(ディーゼル燃料懸濁液中のベントナイト)-1.0、ディーゼル燃料-56.0:を含む。前記二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子は、vol%にて:エチレングリコール-69.0中、二酸化ケイ素-31.0:を含む。
前記坑井を開発し、47%のウォーターカット(含水率)の削減にて稼働した。
例16
下記組成(vol%)のESSを、445mの量にてガス-コンデンセート井に注入した:オイル処理及びポンピングステーションからのプロセスオイル-5、乳化剤-3.0、二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子-1.5、密度1,210kg/mの塩化カリウム水溶液-90.5。前記乳化剤は、vol%にて:高級不飽和脂肪酸(オレイン酸)及び樹脂酸のエステル-42.0、アミンオキシド-1.0、高分子有機熱安定剤(ディーゼル燃料懸濁液中のベントナイト)-1.0、ディーゼル燃料-56.0:を含む。前記二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子は、vol%にて:プロピレングリコールモノメチルエーテル-67.0中、二酸化ケイ素-31.0、水-2.0:を含む。
前記坑井を開発し、34%のウォーターカット(含水率)の削減にて稼働した。
例17
下記組成(vol%)のESSを、380mの量にてガス-コンデンセート井に注入
した:オイル処理及びポンピングステーションからのプロセスオイル-12、乳化剤-2.0、二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子-1.2、密度1,210kg/mの塩化カリウム水溶液-84.8。前記乳化剤は、vol%にて:高級不飽和脂肪酸(オレイン酸)及び樹脂酸のエステル-42.0、アミンオキシド-1.0、高分子有機熱安定剤(ディーゼル燃料懸濁液中のベントナイト)-1.0、ディーゼル燃料-56.0:を含む。前記二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子は、vol%にて:プロピレングリコールモノメチルエーテル-67.0中、二酸化ケイ素-32.0、水-1.0:を含む。
前記坑井を開発し、52%のウォーターカット(含水率)の削減にて稼働した。
例18
下記組成(vol%)のESSを、1,080mの量にてガス-ハイドレート井に注入した:オイル処理及びポンピングステーションからのプロセスオイル-9.0、乳化剤-2.5、二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子-1.5、密度1,205kg/mの塩化カリウム水溶液-87.0。前記乳化剤は、vol%にて:高級不飽和脂肪酸(オレイン酸)及び樹脂酸のエステル-41.0、アミンオキシド-0.7、高分子有機熱安定剤(ディーゼル燃料懸濁液中のベントナイト)-0.5、ディーゼル燃料-57.8:を含む。前記二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子は、vol%にて:プロピレングリコールモノメチルエーテル-67.0中、二酸化ケイ素-32.5、水-0.5:を含む。
前記坑井を開発し、27%のウォーターカット(含水率)の削減にて稼働した。
例19
下記組成(vol%)のESSを、905mの量にてガス-ハイドレート井に注入した:オイル処理及びポンピングステーションからのプロセスオイル-5.0、乳化剤-3.0、二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子-1.5、密度1,190kg/mの塩化カリウム水溶液-90.5。前記乳化剤は、vol%にて:高級不飽和脂肪酸(オレイン酸)及び樹脂酸のエステル-41.0、アミンオキシド-0.7、高分子有機熱安定剤(ディーゼル燃料懸濁液中のベントナイト)-0.5、ディーゼル燃料-57.8:を含む。前記二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子は、vol%にて:イソプロパノール-68及びメチルアルコール-2.0中、二酸化ケイ素-30.0:を含む。
前記坑井を開発し、44%のウォーターカット(含水率)の削減にて稼働した。
例20
下記組成(vol%)のESSを、982mの量にてガス-ハイドレート井に注入した:オイル処理及びポンピングステーションからのプロセスオイル-8.0、乳化剤-3.0、二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子-1.3、密度1,190kg/mの塩化カルシウム水溶液-87.7。前記乳化剤は、vol%にて:高級不飽和脂肪酸(オレイン酸)及び樹脂酸のエステル-41.5、アミンオキシド-0.9、高分子有機熱安定剤(ディーゼル燃料懸濁液中の石灰)-1.0、ディーゼル燃料-56.6:を含む。前記二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子は、vol%にて:イソプロパノール-67.5及びメチルアルコール-2.0中、二酸化ケイ素-30.5:を含む。
前記坑井を開発し、40%のウォーターカット(含水率)の削減にて稼働した。
例21
下記組成(vol%)のESSを、1,095mの量にてガス-ハイドレート井に注入した:オイル処理及びポンピングステーションからのプロセスオイル-10.0、乳化剤-2.5、二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子-1.2、密度1,175kg/mの塩化カルシウム水溶液-86.3。前記乳化剤は、vol%にて:高級不飽和脂肪酸(オレイン酸)及び樹脂酸のエステル-42.0、アミンオキシド-1.0、高分子有機熱安定剤(ディーゼル燃料懸濁液中の石灰)-0.7、ディーゼル燃料-56.3:を含む。前記二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子は、vol%にて:イソプロパノール-68及び
メチルアルコール-1.0中、二酸化ケイ素-31.0:を含む。
前記坑井を開発し、38%のウォーターカット(含水率)の削減にて稼働した。
このように、本発明は、生産地層(productive formation)坑底ゾーンの処理プロセスを最適化し、坑井生成物のウォーターカットを低減し、シールド剤のブロッキング効果の可逆的性質による環境への悪影響を低減し、一段階プロセスにより方法の実施を簡素化し、
シールド剤のレオロジーパラメータを調整し、労働投入量を削減し、そしてガス井、ガスコンデンセート井、またはガスハイドレート井の運用上の技術的効率を改善する。
ロシア連邦特許第2569941号明細書 米国特許第6,165,948号明細書 米国特許第4,276,935号明細書 ロシア連邦特許第2534373号明細書 ロシア連邦特許第2136877号明細書 ロシア連邦特許第2438009号明細書

Claims (4)

  1. 層状水がガス井、ガス-コンデンセート井、又はガス-ハイドレート井の坑底に侵入することを防ぐ方法であって、本方法は、二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子を含む乳化-懸濁液システム(ESS)を使用する、坑底地層ゾーンにシールド剤を注入することを含み、
    前記システムは、vol%にて以下を含み:
    -ディーゼル燃料5~12、
    -乳化剤-2~3、
    -二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子-1.0~1.5、
    -塩化カルシウム又は塩化カリウムの水溶液-残余、
    前記乳化剤として、vol%にて以下を含む組成物を使用し:
    -高級不飽和脂肪酸と樹脂酸のエステル-40~42、
    -アミンオキシド-0.7~1、
    -高分子量有機熱安定剤-0.5~1、
    -ディーゼル燃料-残余、
    そして、前記二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子として、vol%にて以下を含む組成物を使用する:
    -プロピレングリコールモノメチルエーテル-67~68-中、二酸化ケイ素-31~32.5、水-残余、又は
    -イソプロパノール-67~68及びメチルアルコール-残余-中、二酸化ケイ素-30~31、又は
    -エチレングリコール-残余-中、二酸化ケイ素-29-31、
    方法。
  2. 前記高級不飽和脂肪酸のエステルがリノール酸又はオレイン酸のエステルから選択され、前記高分子量有機熱安定剤がディーゼル燃料懸濁液中の石灰又はベントナイトから選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 層状水がガス井、ガス-コンデンセート井、又はガス-ハイドレート井の坑底に侵入することを防ぐための、二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子が使用されることを含む、乳化-懸濁液システム(ESS)であって、
    前記システムは、vol%にて以下を含み:
    -ディーゼル燃料-5~12、
    -乳化剤-2~3、
    -二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子-1.0~1.5、
    -塩化カルシウム又は塩化カリウムの水溶液-残余、
    前記乳化剤として、vol%にて以下を含む組成物を使用し:
    -高級不飽和脂肪酸と樹脂酸のエステル-40~42、
    -アミンオキシド-0.7~1、
    -高分子量有機熱安定剤-0.5~1、
    -ディーゼル燃料-残余、
    そして、前記二酸化ケイ素のコロイド状ナノ粒子として、vol%にて以下を含む組成物を使用する:
    -プロピレングリコールモノメチルエーテル-67~68-中、二酸化ケイ素-31~32.5、水-残余、又は
    -イソプロパノール-67~68及びメチルアルコール-残余-中、二酸化ケイ素-30~31、又は
    -エチレングリコール-残余-中、二酸化ケイ素-29-31、
    システム。
  4. 前記高級不飽和脂肪酸のエステルがリノール酸又はオレイン酸のエステルから選択され、前記高分子有機熱安定剤がディーゼル燃料懸濁液中の石灰又はベントナイトから選択される、請求項3に記載の乳化-懸濁液システム。
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