本発明に係る遊技機の実施形態について、遊技機の一種である弾球遊技機の一例としてのパチンコ機100を説明し、その後に変形例や他の種類の遊技機を説明する。まず、パチンコ機100の実施形態について、構造的な構成、電気的な構成、各種の制御処理を順に説明する。
<構造的な構成>
まず、図1から図9を主に参照して、パチンコ機100の構造部分の構成について説明する。図1~図4は、パチンコ機100の各種状態を示す斜視図であり、図1はパチンコ機100の閉鎖状態を示し、図2は外枠101に対して前ブロック102及び中間ブロック103が一体的に開放されている状態を示し、図3は中間ブロック103に対して前ブロック102が開放されている状態を示し、図4は中間ブロック103に対して後ブロック104が開放されている状態を示している。また、図5は、パチンコ機100の正面図であり、図6は、図5の状態からパチンコ機100の前ブロック102を取り外した状態を示している。なお、各図において各種の配線は省略されており、また、図3及び図6において遊技盤400の構成の一部は省略されている。
パチンコ機100は、例えば、図1~図4に示すように、外枠101と、前ブロック102と、中間ブロック103と、後ブロック104とを備え、これら各部位を所定の操作により相対的に変位可能に構成されている。外枠101、前ブロック102、中間ブロック103、および後ブロック104は、後述する遊技盤400を着脱可能に取り付けるための枠体を構成する。以下においては、パチンコ機100における外枠101、前ブロック102、中間ブロック103、および後ブロック104の組み合わせを総称して「枠体」と称することがある。
外枠101は、パチンコ機100の本体部分を支持する本体支持手段としての機能を有している。外枠101は、例えば、図2に示すように、天板部111、底板部112、左側板部113及び右側板部114が組み付けられた略四辺形状の枠部材であり、パチンコ機100を設置する遊技場に設けられた遊技機設置設備(島設備)に嵌め込まれると共に固定具(図示せず)によって強固に固定される。なお、パチンコ機100において外枠101は必須の構成ではなく、外枠101又は外枠101と同一の内形形状を有し、外枠101を除いたパチンコ機100の構成に相当する本体部分を支持する支持機構や、その本体部分を施錠する施錠機構の一部が島設備に備え付けられた構成としても良い。
外枠101における左右方向の一方側(左側板部113側)には、中間ブロック支持機構121,122が設けられている。この中間ブロック支持機構121,122によって外枠101と中間ブロック103とが接続(連結)され、パチンコ機100の本体部分が、パチンコ機100の正面視における左右方向の一端側(左側)を回動基端側とし、他端側(右側)を回動先端側として前方へ回動可能に構成されている。
中間ブロック支持機構121,122は、例えば、図1に示すように、外枠101の上端部と下端部とに離間して設けられている。中間ブロック支持機構121,122の各々は、例えば、外枠101に設けられる軸支持部によって、中間ブロック103に設けられる軸部が下側より支持され、軸支持部に設けられる軸孔に軸部が差し込まれた状態とされることにより、回動可能に構成されている。なお、中間ブロック103を含むパチンコ機100の本体部分を回動可能とする構成は、上記構成に限らず、中間ブロック103側に軸孔を設け、外枠101側に軸部を形成するなど、他の構成としても良い。
中間ブロック支持機構121,122には、所定の取り外し操作によって外枠101と中間ブロック103との接続状態を解除する機能が設けられ、中間ブロック103を含むパチンコ機100の本体部分が外枠101に対して取り外し可能に取り付けられている。例えば、外枠101に対して中間ブロック103を一定量以上開放し、且つ、上方側へ一定量移動させるという所定の取り外し操作をすることにより、外枠101に対する中間ブロック103の接続状態が解除される。これにより、外枠101に対してパチンコ機100の本体部分が取り外し可能とされている。
中間ブロック103に対して前側には、前ブロック102が重なるようにして配置され、正面視左側に設けられる前ブロック支持機構131,132によって中間ブロック103と前ブロック102とが接続されている。前ブロック支持機構131,132は、中間ブロック支持機構121,122と同様の構成とされ、中間ブロック103に対して前ブロック102を前方へ回動可能に支持し、且つ、所定の取り外し操作により取り外し可能に構成されている。
中間ブロック103に対して後側には、後ブロック104が重なるようにして配置され、正面視左側に設けられる後ブロック支持機構136,137(図8参照)によって中間ブロック103と後ブロック104とが接続されている。後ブロック支持機構136,137には、中間ブロック支持機構121,122及び前ブロック支持機構131,132と同様の構成とされ、中間ブロック103に対して後ブロック104を後方へ回動可能に支持し、且つ、所定の取り外し操作により取り外し可能に支持する構成とされている。
また、パチンコ機100には、外枠101に対する中間ブロック103の開閉を規制する中間ブロック施錠機構と、中間ブロック103に対する前ブロック102の開閉を規制する前ブロック施錠機構と、中間ブロック施錠機構及び前ブロック施錠機構の解錠や施錠を行うために操作される錠操作機構とが設けられている。また、図3に示すように、中間ブロック103には、前ブロック102の開口を通してパチンコ機100の前面側に露出する錠操作機構としてのキーシリンダ141が設けられている。
キーシリンダ141に対する所定の操作として、操作キー(図示せず)による右回転操作をした場合には、中間ブロック103に設けられた中間ブロック施錠機構の可動部143が作動する。これにより、中間ブロック施錠機構の一部として外枠101に設けられた被係合部142と可動部143との係合が解除されて、中間ブロック103は外枠101に対して開閉許容状態となる。
一方、キーシリンダ141に対する所定の操作キーによる左回転操作に応じて、中間ブロック103に設けられた前ブロック施錠機構の可動部144が作動する。これにより、前ブロック施錠機構の一部として前ブロック102に設けられた被係合部145と可動部144との係合が解除されて、前ブロック102は中間ブロック103に対して開閉許容状態となる。
また、パチンコ機100には、中間ブロック103に対する後ブロック104の開閉を規制する後ブロック開閉規制機構が設けられている。この後ブロック開閉規制機構により、中間ブロック103に対して後ブロック104は、開閉が禁止された状態(開閉禁止状態)と開閉が許容された状態(開閉許容状態)とを所定の操作によって切り替え可能とされている。
後ブロック開閉規制機構は、例えば、図4に示すように、中間ブロック103に設けられる2つの開閉規制部150A,150Bと、後ブロック104に設けられる1つの開閉規制部150Cとによって構成されている。これら3つの開閉規制部150A~150Cには、回転操作が可能な回動片151A~151Cが設けられている。回動片151A~151Cは、回転操作により、後ブロック104の閉鎖状態において前後に重なるように配置される開口部分との係合状態が変化し、これにより、開閉禁止状態に対応した開閉禁止姿勢と、開閉許容状態に対応した開閉許容姿勢とを切り替え操作可能とされている。全ての回動片151A~151Cを開閉許容姿勢にすると各回動片151A~151Cが開口を通過可能となって、後ブロック104が中間ブロック103に対して開閉許容状態となる。なお、開閉禁止姿勢及び開閉許容姿勢としては、開閉禁止状態と開閉許容状態が回動片151A~151Cの位置及び向きの少なくともいずれかの変化により切り替えられれば良く、一定位置で回転のみする構成としても良いし、一定方向に移動する構成としても良いし、移動と回転との組合せにより動作する構成としても良い。以下、各装置における構成部材が複数の姿勢の間を移行する場合における姿勢の変化についても同様とする。
3つの回動片151A~151Cのうち、それらの一部に相当する2つの回動片151A,151Bは、図2に示すように、後ブロック104の開閉禁止状態において後ブロック104に形成された開口を通してパチンコ機100の背面側に露出し、残り部分に相当する1つの回動片151Cは、図6に示すように、中間ブロック103の前側に露出している。このため、パチンコ機100の背面側、又は中間ブロック103の前面側といった一方側からの操作だけでは、全ての回動片151A~151Cを開閉許容姿勢に切り替えることはできず、これにより、防犯性が高められている。
また、パチンコ機100には、中間ブロック103から前ブロック102への遊技球の移動を規制する遊技球移動規制機構が設けられている。遊技球移動規制機構は、例えば、図3及び図6に示すように、中間ブロック103に設けられた流下規制片161と、前ブロック102に設けられた規制変更部162との組合せにより構成され、前ブロック102が位置する前方側へ流下規制片161がコイルバネ(図示せず)により付勢される構成とされている。
中間ブロック103に対して前ブロック102が閉鎖された状態(前ブロック102の閉鎖状態)においては、流下規制片161は、遊技球の流下を許容する移動許容状態とされ、具体的には、規制変更部162により中間ブロック103の後方側へ押圧されて押し込まれる。流下規制片161は、移動許容状態において中間ブロック103から前ブロック102に遊技球を誘導するための誘導通路(図示せず)に対して後側にずれて配置される。これにより、前ブロック102の閉鎖状態においては、中間ブロック103から前ブロック102への遊技球の移動が許容される。
一方、中間ブロック103に対して前ブロック102が開放された状態(前ブロック102の開放状態)においては、規制変更部162による流下規制片161の押圧が解除され、前ブロック102の閉鎖状態に比べて流下規制片161が前ブロック102側へ突出する移動禁止状態とされる。流下規制片161は、移動禁止状態において誘導通路内に突出し、下流側への遊技球の流下を阻止する。これにより、中間ブロック103から前ブロック102への遊技球の移動が禁止される。
また、パチンコ機100には、図2に示すように、例えば中間ブロック103の後側であって回動先端側(背面視左側)における下端部に、外枠101に対して中間ブロック103が閉鎖されているか否かを検出する開閉検出スイッチ108が設けられ、また、図3に示すように、例えば中間ブロック103の前側であって回動先端側(正面視右側)における下端部に、中間ブロック103に対して前ブロック102が閉鎖されているか否かを検出する開閉検出スイッチ109が設けられている。
次に、前ブロック102、中間ブロック103及び後ブロック104の各構成について順に説明する。
前ブロック102は、図1及び図3に示すように、パチンコ機100の前面の略全体を形成し、前後方向に厚みを有する略長方形状の部材であり、パチンコ機100の前側表面部分を装飾する前面装飾手段としての機能を有している。前ブロック102は、合成樹脂製の基枠201を主体に構成され、基枠201の前後に複数の機能部品を取り付けて構成されている。基枠201の前面側には、パチンコ機100の前面を形成する前面装飾体210が、前ブロック102の正面視中央部分を含んで形成される開口210Aの外縁に沿って開口210Aを囲った状態にして取り付けられている。前ブロック102を構成する基枠201と前面装飾体210とを組み合わせた状態においては、前面装飾体210が取り付けられた外周部を除いた広範囲にわたって開口210Aが前後方向に貫通形成される。この開口210Aを通じて、前ブロック102の後側に位置する遊技盤400を含む中間ブロック103が遊技者から視認可能に構成されている。
また、前ブロック102には、図1及び図3に示すように、開口210Aを塞ぐように基枠201の背面側に設けられた中央パネル220と、遊技球を貯留する主貯留機構230と、遊技球を貯留する補助貯留機構240と、主貯留機構230に貯留されている遊技球を発射するために遊技者によって操作される発射操作装置250とを備えている。
また、前ブロック102には、図1及び図5に示すように、前面装飾体210の一部として、開口210Aの周縁を囲う開口周縁部211と、開口210Aに対して下側において前方に突出する上側突出部217と、上側突出部217に対して下側に位置して前方に突出する下側突出部218と、下側突出部218の右側であって上側突出部217及び下側突出部218より奥側に位置する概ね平坦な領域で構成されて発射操作装置250が配置される平坦部219とが形成されている。上側突出部217には、主貯留機構230が配置され、下側突出部218には、補助貯留機構240が配置される。
中央パネル220は、基枠201と前面装飾体210とを組み合わせた状態において前後方向に貫通形成される開口210Aを塞ぎつつ後方側を視認可能とするカバー体としての機能を有している。中央パネル220は、例えば、図1及び図3に示すように、基枠201の後方側から取着されるパネル枠221(図3参照)と、パネル枠221の前側に嵌め込まれた光透過性の前方板222(図1参照)と、パネル枠221の後側に前方板222と所定の間隙を隔てて略平行に嵌め込まれた光透過性の後方板223(図3参照)とを備えている。
主貯留機構230は、遊技進行に応じて獲得した遊技球や、遊技場から貸し出された遊技球を貯留する機能を有している。主貯留機構230は、例えば、図1に示すように、貯留部231と、球抜き機構(図示せず)と、その球抜き機構を作動させる球抜き操作部材232とを備えている。貯留部231には、パチンコ機100の内部から貯留部231へ遊技球を流入させる流入口231Aと、貯留部231からパチンコ機100の内部へ遊技球を流出させる流出口(図示せず)と、流出口より上流側に形成される放出口(図示せず)とが設けられている。この放出口の開放により貯留部231から遊技球がパチンコ機100の内部に取り込まれることなく遊技者側に放出される。球抜き機構は、遊技球の放出先を、流出口と放出口との間で切り換える機能を有している。
遊技進行に応じて獲得した遊技球や、後述する貸出操作装置292に対する貸出操作に応じて貸し出された遊技球は、主に流入口231Aを通して貯留部231に流入する。また、貯留部231は、上方側に開口形成されており、この開口部分を通じて、遊技者が所有する遊技球が手操作により投入されたり、遊技場において貸し出される遊技球が供給されたりする。
貯留部231に流入した遊技球は一列に整列させられながら流出口及び放出口の形成されている側(図1の右上側)へ順次に案内される。球抜き操作部材232に対する球抜き操作(例えば、押下操作)が行われていない場合には遊技球は流出口を通して後述する発射装置330(図3参照)に誘導される。一方、球抜き操作部材232に対する球抜き操作が行われている場合には、遊技球は放出口を通して補助貯留機構240(図1参照)に誘導される。
補助貯留機構240は、図1及び図5に示すように、遊技球の流入口241A,241C(図5参照)及び放出口241B(図1参照)を有する貯留部241と、放出口241Bを開閉させる球抜き機構243と、その球抜き機構243を作動させる球抜き操作部材242とを備えている。遊技進行に応じて獲得した遊技球等は主に主貯留機構230に流入するが貯留部231が満杯であれば流入口241Aを通して貯留部241に流入する。また、球抜き操作部材232に対する球抜き操作に応じても、遊技球は流入口241Cを通して貯留部231から貯留部241に流入する。
貯留部241の底面は放出口241Bに向けて下降傾斜している。球抜き操作部材242に対する球抜き操作(例えば、押圧操作)によって放出口241Bを開放すると、貯留部241に貯留されている全ての遊技球を順次にパチンコ機100の外部に放出できる。なお、球抜き操作部材242に対する球抜き操作によって放出口241Bが完全に開放された場合には、球抜き操作部材242に対する復帰操作(例えば、再度の押圧操作)がなされるまで、その開放状態に維持される。流入口241Aの奥方には貯留部241に過剰に遊技球が貯留されているか否かを検出する球溢れスイッチ249(図10参照)が設けられている。
発射操作装置250は、図1及び図5に示すように、前面装飾体210の平坦部219から前方に突出する台座251と、台座251の周囲に設けられた回動自在な発射ハンドル252と、発射ハンドル252の回転操作量を検出する可変抵抗器253(図10参照)と、発射ハンドル252に遊技者が接触していることを検出する接触センサ254(図10参照)と、発射ハンドル252の回転操作に伴う遊技球の射出を遊技者の操作によって無効化する発射停止スイッチ255(図5参照)とを含んでいる。遊技者によって発射ハンドル252が回転操作されると、その回転操作量に対応する強度で発射装置330(図3参照)から遊技球が遊技盤400(図3参照)に向けて射出される。なお、接触センサ254によって発射ハンドル252と遊技者との接触が検出されていない場合や、発射停止スイッチ255の操作によって発射操作が無効化されている場合には、発射ハンドル252が回転操作されていても発射装置330から遊技球は射出されない。
また、前ブロック102における前面装飾体210の奥方には、枠発光装置271~275(図10参照)が設けられている。枠発光装置271~275は、前面装飾体210の開口周縁部211に対して奥側に重なるようにして配置され、基枠201に取り付けられている。開口周縁部211は、図5に示すように、上側中央縁部211Aと、上側中央縁部211Aに対して左右両側に位置する左上側縁部211B及び右上側縁部211Cと、左上側縁部211Bに対して下側に位置する左側縁部211Dと、右上側縁部211Cに対して下側に位置する右側縁部211Eとを発光部として有し、それぞれの発光部に対応して枠発光装置271~275が設置されている。
枠発光装置271~275は、上側中央縁部211Aに対応する上中央枠発光装置271と、左上側縁部211Bに対応する左上枠発光装置272と、右上側縁部211Cに対応する右上枠発光装置273と、左側縁部211Dに対応する左側枠発光装置274と、右側縁部211Eに対応する右側枠発光装置275(図10参照)とにより構成されている。枠発光装置271~275の各々は、1又は複数の発光手段としての発光ダイオード(LED)と、LEDを制御するための抵抗等の電子部品と、これら電子部品を一体化して電気的に接続するプリント基板とを有している。
また、前ブロック102には、図5に示すように、例えばその開口周縁部211の上部に、左上音響出力口211Fと、右上音響出力口211Gとが設けられ、また、それら左上音響出力口211F及び右上音響出力口211Gのそれぞれに対応して左上音響装置281及び右上音響装置282(図3及び図10参照)が設けられている。左上音響装置281及び右上音響装置282は、前面装飾体210の開口周縁部211の奥方(後方)に位置するようにして基枠201に取り付けられている。
また、前ブロック102には、図1に示すように、例えば上側突出部217の上面右側部分に、遊技球貸出装置290が設けられている。遊技球貸出装置290は、パチンコ機100に並んで配置されるカードユニット(図示せず)に投入された紙幣やカード等の残額に応じた数値を表示する度数表示装置291と、遊技球の貸し出しを受ける際に遊技者によって操作される貸出操作装置292と、カードユニットに投入された紙幣やカード等を返却させる際に遊技者によって操作される返却操作装置293とを含んでいる。カードユニットに紙幣やカード等を投入して、それらの金額に対応する数値が度数表示装置291に表示されている有効状態において、貸出操作装置292に対して貸出操作が行われると、貸出操作に応じて所定の個数の遊技球が後ブロック104の払出装置540(図8参照)から貸し出され、遊技球の貸し出しに伴って度数表示装置291の表示が更新される。一方、有効状態において返却操作装置293に対して返却操作が行われると、返却操作に応じて残額に対応する紙幣の等価物や残額を記録したカードがカードユニットから返却される。
また、前ブロック102には、図1に示すように、遊技者によって発射操作とは別の入力操作が可能な入力操作装置260が設けられている。入力操作装置260は、例えば、押込操作が可能な押圧操作装置261と、回転操作が可能な回転操作装置262と、上下左右の方向操作が可能な選択操作装置263とを備えている。これら操作装置261~263により、パチンコ機100において実行される演出を選択する演出選択操作や、パチンコ機100の演出を実行する各装置の音量や光量を設定する装置設定操作、或いは、遊技者に関する情報を入力して前回以前の遊技に応じたパチンコ機100の演出を実行可能とする演出設定操作等が実行可能とされ、これら操作を必要に応じて遊技者や遊技場の管理者が実行可能とされている。なお、入力操作装置260において遊技者が接触する入力操作部(例えば、回転操作装置262における円環状の回転操作部)は、モータやソレノイド等の入力操作部駆動手段によって回転、上下動、又は、振動等の動作がパチンコ機100の制御(例えば、副制御基板940(図10参照)の制御)により実行可能に構成されることが好ましく、入力操作の前後、又は、入力操作中のいずれか又は複数のタイミングで入力部分を動作させることにより、入力操作を積極的に促すなど入力操作を伴う演出を多様にすることができる。
次に、中間ブロック103について説明する。中間ブロック103は、前ブロック102と略同一サイズの略長方形状をした部材であり、前ブロック102と後ブロック104とが取り付けられることにより、パチンコ機100の本体部分を一体化した状態にする機能を有している。中間ブロック103は、基枠301に対して遊技盤400を含む複数の機能部品を取り付けて構成されている。
中間ブロック103は、図3及び図4に示すように、開口を有する基枠301と、基枠301の開口を覆いつつ前面側より取着される遊技盤400(図3参照)と、基枠301に対して遊技盤400を回動自在及び着脱自在に支持する遊技盤支持機構と、基枠301に対して遊技盤400の位置を固定する遊技盤固定機構と、遊技盤400に遊技球を射出する発射装置330(図3参照)と、遊技盤400の背面側に装着されて遊技進行を統括的に制御する主制御装置370(図4参照)と、主制御装置370からの命令に基づいて遊技演出や状態報知を制御する副制御装置390(図4参照)とを備えている。
基枠301には、図3に示すように、後述する払出装置540(図8参照)から放出された遊技球を前ブロック102に誘導する誘導通路が内部に形成される誘導通路部301Aと、複数の配線(図示せず)や信号中継装置311が位置する開孔301Bとが設けられている。開孔301Bは、遊技盤400より下側において前後方向に貫通する形状をなし、開孔301Bに挿通される複数の配線は、前ブロック102に設けられる種々の装置(例えば、枠発光装置271~275、左上音響装置281及び右上音響装置282)と、中間ブロック103の背面側や後ブロック104に設けられる装置(例えば、主制御装置370や副制御装置390)とを電気的に接続するための配線を含み、信号中継装置311は、その配線の一部を中継する中継基板としての機能を有している。
遊技盤400は、図3に示すように、排出口401A等の遊技球が前後に通過可能な貫通孔を有する平板状の基体401と、基体401の左下から右上に亘り滑らかに湾曲する外レール402と、基体401の右下から左上に亘り滑らかに湾曲する内レール403と、内レール403の左上側の先端に取着された戻り球防止機構404と、外レール402の右上側の先端に取着される反跳防止部材405とを備えている。外レール402は、後述する発射装置330から発射された遊技球を遊技領域409内へ誘導するものである。戻り球防止機構404は、外レール402及び内レール403が平行に対向する間部分で形成される発射通路401Bから遊技領域409内へ一旦放出された遊技球が発射通路401Bに戻ることを防止する。反跳防止部材405は、遊技盤400の上部中央を越えて右側に向かった遊技球が再び上部中央を経由して左側に戻るような遊技球の大幅な反跳を防止する衝撃吸収性を有し、例えば、制振ゴム等の材料により形成されている。
前ブロック102の背面側下部には、図3に示すように、戻り球通路部163が形成されている。発射装置330から発射通路401Bの方向へ遊技球を誘導する誘導部材335と外レール402との間には間隙があり、発射装置330から発射されたが戻り球防止機構404を超えるに至らず発射通路401Bを逆戻りする遊技球は、この間隙の下方に配置される戻り球通路部163を介して流入口241A(図5参照)から補助貯留機構240(図5参照)に返却される。
戻り球防止機構404を超えて進行した遊技球は、遊技領域409に到達し、遊技領域409内を自重により落下しながら移動(流下)する。遊技領域409は、略円形状の外周形状をなし、遊技球の直径より僅かに大きな前後幅を有する領域を大部分とする形状に区画されている。遊技領域409は、概ね、外レール402と内レール403とで外周部分が区画され、前側が中央パネル220の後方板223によって略平面状に区画され、後側が遊技盤400の基体401によって略平面状に区画されている。なお、遊技領域409に設けられる各種の構造物については後述する。
発射装置330は、図3に示すように、主貯留機構230に貯留されている遊技球を順次に発射位置に送り出す球送り機構331と、球送り機構331を駆動する球送りソレノイド332(図10参照)と、発射位置に配置された遊技球を射出する発射機構333と、発射機構333を駆動する発射ソレノイド334(図10参照)と、発射機構333から発射された遊技球を遊技盤400の発射通路401Bに誘導する誘導部材335とを備えている。発射装置330は、上述のように発射操作装置250に対する発射操作に応じて作動し、発射操作装置250に対する発射操作に応じて発射ソレノイド334の駆動制御が変化して発射力が調整される。
主制御装置370は、図4に示すように、主制御基板920(図10参照)と、主制御基板920を収容する2つ割り構造の基板ケース371とを備えている。主制御基板920は、痕跡を残さずには開封できないように封止された透光性を有する基板ケース371の内部に収容されている。
また、主制御装置370は、遊技盤400の背面側に回動自在に取り付けられている。具体的には、遊技盤400の基体401に対して背面側に取り付け部372が回動可能に連結固定され、その取り付け部372に主制御装置370が取り付けられている。これにより、主制御装置370の背面側(表面側)だけでなく、取り付け部372を回動操作することで主制御装置370の前面側(裏面側)も、遊技盤400に主制御装置370を取り付けたままで容易に確認可能とされている。取り付け部372に対して主制御装置370は、痕跡を残さずには取り外しできないように連結しても良く、主制御装置370の取り外し状況を管理し易くしても良い。
副制御装置390は、副制御基板940(図10参照)と、副制御基板940を収容する2つ割り構造の基板ケース391とを備えている。副制御基板940は、例えば、主制御基板920と同様に痕跡を残さずには開封できないように封止された透光性を有する基板ケース391の内部に収容されている。副制御装置390は、遊技盤400の背面側に取り付けられている。
本実施形態のパチンコ機100においては、中間ブロック103は、主制御基板920にバックアップ用の電力を供給するバックアップ電源601(図10参照)を備えている。バックアップ電源601は、コンデンサや充電可能な電池等によって構成されてバックアップ用の電力を蓄えることが可能な電源部と、電源部へ充電用電圧を供給したり、電源部に加えられた電力(電荷)を放電する等の制御を行うための電気回路とを組み合わせて構成されている。バックアップ電源601は、電源部901(図10参照)から供給された充電用電圧の電力を、例えば、コンデンサに充電し、充電によって当該コンデンサに蓄えられた電力をバックアップ用の電力として主制御基板920(図10参照)に供給する。バックアップ電源601は、遊技盤400の背面側に取り付けられている。なお、バックアップ電源601の電力を蓄えたり、放電をしたりするための電気回路は、必ずしもバックアップ電源601の電源部と一体的に設ける(例えば、1つのプリント基板上に設ける)必要はなく、他の箇所に設けてもよく、枠体側に設けられる電源・発射制御基板900の一部として設けてもよいし、主制御基板920の一部として設けてもよい。
ここで、遊技盤400において、遊技領域409に配置される各種の構造物について、図7を主に参照して説明する。図7は、遊技盤400の正面図である。
遊技盤400は、図7に示すように、基体401と、遊技球の流下方向や流下速度に変化を与える釘411や風車412等の流下変化部材と、基体401の概ね中央に配置された中央構造体420と、中央構造体420に対して下側に配置された第1特別図柄に係る始動装置(具体的には、上側中始動入賞装置431A及び下側中始動入賞装置431B)と、中央構造体420に対して右下側に配置された第2特別図柄に係る始動装置(具体的には、右始動入賞装置432)と、右始動入賞装置432の下方に配置された大入賞装置433,434(具体的には、下大入賞装置433及び上大入賞装置434)と、右始動入賞装置432の上側(上流側)に配置された普通図柄に係る始動装置436と、遊技盤400の右上側であって上下の大入賞装置433,434に対して上方(上流側)に配置された役連作動装置435と、下側中始動入賞装置431Bの左右両側に配置された一般入賞装置439A,439Bとを備えている。
また、遊技盤400には、上記した上側中始動入賞装置431A等に対応して遊技球の通過を検出する検出手段としてのスイッチが複数設けられており(図10参照)、各スイッチに対応した所定領域への遊技球の進入が検出可能とされている。例えば、上側中始動入賞装置431Aに進入した遊技球を検出する中始動入賞スイッチ(上側中始動入賞スイッチ441A)、下側中始動入賞装置431Bに進入した遊技球を検出する中始動入賞スイッチ(下側中始動入賞スイッチ441B)、右始動入賞装置432に進入した遊技球を検出する右始動入賞スイッチ442、下大入賞装置433に進入した遊技球を検出する下大入賞スイッチ443、上大入賞装置434に進入した遊技球を検出する上大入賞スイッチ444、役連作動装置435に進入した遊技球を検出する役連作動スイッチ445、始動装置436に進入した遊技球を検出する始動スイッチ446、上大入賞装置434の内部に形成された非特定通路に進入した遊技球を検出する非特定通路スイッチ447、下大入賞装置433の内部に形成された特定通路(特典領域409V)に進入した遊技球を検出する特定通路スイッチ448、一般入賞装置439A,439Bに進入した遊技球を各々検出する一般入賞スイッチ449A,449B等が遊技盤400に設置されている。
また、遊技盤400には、不正防止のために各種センサが設けられており(図10参照)、パチンコ機100に発生した異常を検出可能とされている。例えば、磁気センサ491、振動センサ492、電波センサ493等が遊技盤400に設置されている。
中央構造体420及び始動装置436の遊技球の入口部分は入球口を構成し、各入球口に進入した遊技球は遊技領域409に放出される。各入賞装置、具体的には、上側中始動入賞装置431A、下側中始動入賞装置431B、右始動入賞装置432、下大入賞装置433、上大入賞装置434及び一般入賞装置439A,439Bの遊技球の入口部分は入賞口を構成し、各入賞口に進入した遊技球は基体401に形成された貫通孔を通して基体401の背面側に形成された回収排出通路(図示せず)に案内される。また、各入賞装置に進入しなかった遊技球は、遊技領域409の最下流側部分に設けられる排出口401Aを通して回収排出通路へ案内される。回収排出通路に案内された遊技球は、パチンコ機100から遊技場に設けられた遊技球循環装置(図示せず)に排出される。いずれかの入賞装置に遊技球が進入した場合には、入賞装置の種類に応じた所定の個数の遊技球が払出装置540(図8及び図9参照)から払い出される。
なお、各入賞装置は、他の入賞装置と別々に構成されても良いし、2以上の入賞装置(例えば、上側中始動入賞装置431A及び下側中始動入賞装置431B)が一体化された装置によって入賞装置が構成されても良く、また、上側中始動入賞装置431A等の始動装置については必ずしも遊技球が進入した場合に所定の個数の遊技球が払い出される入賞口とする必要はなく、遊技球が払い出されることなく遊技領域409に再び放出される入球口としても良い。
第1特別図柄に係る上側中始動入賞装置431A及び下側中始動入賞装置431B、並びに、一般入賞装置439A及び一般入賞装置439Bの各々は、それらへの遊技球の進入確率を変化させず、進入した遊技球を基体401の背面側へ誘導する。また、第2特別図柄に係る右始動入賞装置432は、その内部への遊技球の進入確率を変化させる機構を有している。なお、遊技球の進入確率を変化させる機構は、第2特別図柄に係る始動装置のみに設ける必要はなく、それに代えて、又は、それに加えて、第1特別図柄に係る始動装置、一般入賞装置439A,439Bのいずれか又は複数に設けても良い。また、遊技球の進入確率を変化させる機構は、電気的に駆動されるソレノイド等の駆動手段により構成しても良いし、所定領域へ入球した遊技球の自重により動作する機構に代表される機械的に動作する機構により構成しても良い。
第2特別図柄に係る右始動入賞装置432は、進入許容姿勢と進入禁止姿勢との間の移行によって、その内部への遊技球の進入確率を変化させる右進入規制機構452と、右進入規制機構452を駆動する右進入規制ソレノイド462(図10参照)とを備えている。右進入規制機構452は、右進入規制ソレノイド462によって駆動される2つの可動片を備えており、右進入規制機構452が進入禁止姿勢である場合には、2つの可動片が進入口(入賞口)を狭窄する(又は閉鎖する)配置をとることによって遊技球は右始動入賞装置432に進入できないが、右進入規制機構452が進入許容姿勢である場合には、2つの可動片がそれらの先端部の間隔が拡大するような配置をとることによって遊技球は右始動入賞装置432に進入できるようになる。右進入規制機構452は、普通図柄に係る始動装置436へ進入した遊技球が始動スイッチ446で検出されることに基づく抽選(以下において「普通図柄抽選」とも称す)で当選した場合に、右進入規制ソレノイド462による駆動に応じて所定の回数及び所定の時間だけ進入許容姿勢に移行する。
下大入賞装置433には、図7に示すように、進入許容姿勢と進入禁止姿勢との間の移行によって、その内部への遊技球の進入を規制する下進入規制機構453と、下進入規制機構453の姿勢を変化させる下進入規制ソレノイド463(図10参照)とが設けられている。下大入賞装置433の下進入規制機構453が進入禁止姿勢である場合には、下進入規制機構453が進入口(入賞口)を閉鎖することによって遊技球は下大入賞装置433に進入できないが、下進入規制機構453が進入許容姿勢である場合には、下進入規制機構453が進入口を開放することによって遊技球は下大入賞装置433に進入できるようになる。
上大入賞装置434には、図7に示すように、進入許容姿勢と進入禁止姿勢との間の移行によって、その内部への遊技球の進入を規制する上進入規制機構454と、上進入規制機構454の姿勢を変化させる上進入規制ソレノイド464(図10参照)と、非誘導姿勢と誘導姿勢との間の移行によって、上大入賞装置434に進入した遊技球を非特定通路又は特定通路に振り分ける振分機構437と、振分機構437の姿勢を変化させて遊技球の誘導先を切り換える切換ソレノイド465(図10参照)とが設けられている。上進入規制機構454が進入禁止姿勢である場合には、上進入規制機構454が進入口(入賞口)を閉鎖することによって遊技球は上大入賞装置434に進入できないが、上進入規制機構454が進入許容姿勢である場合には、上進入規制機構454が進入口を開放することによって遊技球は上大入賞装置434に進入できるようになる。また、上大入賞装置434に進入した遊技球は、振分機構437が前方に突出する非誘導姿勢である場合には非特定通路に案内され、振分機構437が後方に没入する誘導姿勢である場合には特定通路に誘導される。特定通路や非特定通路は、遊技状態の移行を多様にするために設けられ、特定通路へ遊技球が進入した場合には、遊技者に特典として有利な遊技状態が付与される。
なお、右進入規制機構452等の内部への遊技球の進入確率を変化させる機構としての進入許容姿勢及び進入禁止姿勢としては、各機構を構成して各装置の入賞口(又は入球口)に遊技球が進入可能な特別状態と、遊技球が進入不能な通常状態とを切り替える動作部材の姿勢変化に対応し、各姿勢に応じて動作部材の位置及び向きの少なくともいずれかが異なるものであれば良い。また、右進入規制機構452等の遊技球の進入確率を変化させる機構として、遊技球が進入不能な状態を通常状態とする必要は必ずしもなく、通常状態においても遊技球の進入を許容し、特別状態においては通常状態より遊技球が進入し易い状態に動作部材の姿勢が変化する構成としても良い。
下大入賞装置433及び上大入賞装置434には、大当りの抽選に当選した場合に遊技球が進入可能となる。具体的には、第1特別図柄に係る上側中始動入賞装置431A若しくは下側中始動入賞装置431Bへ進入した遊技球が上側中始動入賞スイッチ441A若しくは下側中始動入賞スイッチ441Bで検出されることに基づく抽選(以下において「第1特別図柄抽選」とも称す)に当選した場合、又は、第2特別図柄に係る右始動入賞装置432へ進入した遊技球が右始動入賞スイッチ442で検出されることに基づく抽選(以下において「第2特別図柄抽選」とも称す)に当選した場合には、下進入規制ソレノイド463又は上進入規制ソレノイド464の少なくとも一方が作動する。この作動によって所定の回数に亘り所定の時間だけ下進入規制機構453又は上進入規制機構454の少なくとも一方が進入許容姿勢をとる。また、振分機構437は、上進入規制機構454の進入許容姿勢への移行から所定の時間後に切換ソレノイド465の作動に応じて誘導姿勢に移行し、更に誘導姿勢への移行から所定の時間後に切換ソレノイド465の停止に応じて非誘導姿勢に戻る。
役連作動装置435は、下大入賞装置433及び上大入賞装置434が作動を開始するために必要な条件を設定するための装置である。大当りの抽選に当選した後には、役連作動装置435の遊技球の通過を条件として、下大入賞装置433又は上大入賞装置434のいずれかが作動を開始する。このため、遊技者は、大当りに当選した場合、自らの意図するタイミングで特別遊技状態を開始させることができる。なお、必ずしも役連作動装置435の遊技球の通過を条件として、下大入賞装置433又は上大入賞装置434のいずれかが作動を開始する構成とする必要はなく、それに代えて、又は、それに加えて、予め定めた時間の経過により下大入賞装置433又は上大入賞装置434のいずれかが作動を開始する構成としても良い。
また、遊技盤400には、図7に示すように、図柄の変動表示や抽選結果を表示する表示装置471~473と、遊技の保留回数を表示する表示装置476~478とが一体化された複数の発光部を有する表示器が、遊技盤400の一部に相当する左下部分に設けられている。複数の発光部は、各装置に対応する発光領域に予め区画され、各装置の状態が発光状態によって表示される。
具体的には、遊技盤400には、第1特別図柄抽選に伴って、第1特別図柄を変動表示したり、第1特別図柄を抽選結果に応じた停止図柄で確定表示したりする第1特別図柄に係る特別図柄表示装置471と、第2特別図柄抽選に伴って、第2特別図柄を変動表示したり、第2特別図柄を抽選結果に応じた停止図柄で確定表示したりする第2特別図柄に係る特別図柄表示装置472と、第1特別図柄に係る単位遊技の保留回数を表示する特別図柄保留表示装置476と、第2特別図柄に係る単位遊技の保留回数を表示する特別図柄保留表示装置477とが設けられている。第1特別図柄に係る単位遊技の権利及び第2特別図柄に係る単位遊技の権利はそれぞれ最大4回まで保留される。ここで、単位遊技とは、1回の始動入賞に基づいて実行される1回分の遊技であり、1回の始動入賞に基づいて実行される抽選の当否判定と、その当否判定に基づいた抽選結果を表示するまでの変動表示の開始から終了までを含む一連の遊技をいう。
第1特別図柄に係る単位遊技の権利が最大回数まで保留されている場合には、始動入賞装置431に進入した遊技球が上側中始動入賞スイッチ441A(図10参照)又は下側中始動入賞スイッチ441B(図10参照)によって検出されたとしても第1特別図柄に係る単位遊技の権利は追加されない。同様に、第2特別図柄に係る単位遊技の権利が最大回数まで保留されている場合に、右始動入賞装置432に進入した遊技球が右始動入賞スイッチ442(図10参照)によって検出されたとしても第2特別図柄に係る単位遊技の権利は追加されない。
第1特別図柄に係る特別図柄表示装置471及び第2特別図柄に係る特別図柄表示装置472の各々は、複数の発光部で構成されており、主制御基板920(図10参照)によって制御される。第1特別図柄の表示及び第2特別図柄の表示の各々は、複数の発光部の発光パターン(発光色を含む発光状態(消灯、点灯、点滅)の組合せ)によって表現される。第1特別図柄に係る特別図柄保留表示装置476及び第2特別図柄に係る特別図柄保留表示装置477は、2個の単色の発光部の発光状態(消灯、点灯、点滅)の組合せによって保留回数を表示する。
また、遊技盤400には、普通図柄抽選に伴って、普通図柄を変動表示したり、普通図柄を抽選結果に応じた停止図柄で確定表示したりする普通図柄表示装置473と、普通図柄に係る単位遊技の権利の保留回数を表示する普通図柄保留表示装置478とが設けられている。普通図柄に係る単位遊技の権利は最大4回まで保留される。普通図柄に係る単位遊技の権利が最大回数まで保留されている場合には、始動装置436に進入した遊技球が始動スイッチ446によって検出されたとしても普通図柄に係る単位遊技の権利は追加されない。
普通図柄表示装置473は、複数の発光部で構成されており、主制御基板920(図10参照)によって制御される。普通図柄は、複数の発光部の発光パターンによって表現される。また、普通図柄保留表示装置478は、2個の単色の発光部の発光状態(消灯、点灯、点滅)の組合せによって保留回数を表示する。
また、遊技盤400には、中央構造体420の後方に重なるようにして、第1特別図柄及び第2特別図柄に係る単位遊技において、装飾図柄を変動表示したり、装飾図柄を確定表示したりする装飾図柄表示装置479が設けられている。装飾図柄の変動表示及び確定表示は、副制御基板940により制御され、主制御基板920による第1特別図柄や第2特別図柄の変動表示及び確定表示と同期している。装飾図柄の変動表示においては、第1特別図柄や第2特別図柄の変動表示よりも複雑かつ多様な演出が実行される。なお、第1特別図柄や第2特別図柄の変動表示及び確定表示と装飾図柄の変動表示及び確定表示とは、必ずしも完全に一致するタイミングで変動開始したり、確定表示として停止表示をしたりする必要はなく、各タイミングに僅かな時間差を設けつつ略同じタイミングで変動を開始し、略同じタイミングで確定表示が行われる設定としても良い。
また、遊技盤400は、各種の構造物の裏側に設けられた盤面発光装置490(図10参照)を備えており、盤面発光装置490は、副制御基板940による制御に基づいて遊技進行に伴う各種の発光演出や発光による状態報知を実行する。
また、遊技盤400には、バックアップ電源601の残量(電気量、電荷の量)に対応する情報を表示する残量表示部611(図10参照)が、遊技盤400の一部に相当する右下部分の前方側から視認可能な位置(例えば、中央構造体420の一部であって装飾図柄表示装置479の隣)に設けられている。なお、図7においては、残量表示部611の図示を省略している。
本実施形態のパチンコ機100においては、残量表示部611は、1の発光部から構成され、バックアップ電源601の残量に応じて発光部の点灯態様が変化される。例えば、バックアップ電源601の残量がゼロである場合、発光部は連続的に消灯され、充電によって当該残量が増加して最大容量に至るまでの間、発光部は点滅し(間欠的に点灯し)、当該残量が最大容量に達すると、発光部は連続的に点灯する。
なお、残量表示部611を複数の発光部から構成し、バックアップ電源601の残量に応じて点灯する発光部の数が増える構成であってもよく、残量表示部611を7セグメントLEDや液晶表示装置などの表示部によって構成し、バックアップ電源601の残量を数字によるパーセント表示で表示する構成であってもよい。また、1または複数の発光部から構成される残量表示部611において、発光部の点灯態様や点灯する発光部の数の変化に代えて、また、当該変化に加えて、バックアップ電源601の残量に応じて発光部の色が変化する構成であってもよい。
ここで、各種の遊技状態及び遊技状態間の移行について説明する。通常時の遊技状態(以下において「通常遊技状態」とも略記する)は、第1特別図柄、第2特別図柄及び普通図柄の変動表示時間が長い状態(以下において「非時短状態」とも称す)に対応する。
第1特別図柄抽選又は第2特別図柄抽選において大当りに当選した場合には、その当選に基づいて移行する特別遊技状態中に遊技球が特定通路(上大入賞装置434の内部通路)へ進入するか否かに対応して、特別遊技状態後に移行する遊技状態が異なる。特別遊技状態中に遊技球が特定通路へ進入しなかった場合には、第1特別図柄抽選、第2特別図柄及び普通図柄の変動表示時間が非時短状態よりも短い状態(以下において「時短状態」とも称す)であって、かつ、第1特別図柄抽選及び第2特別図柄抽選における大当りの当選確率が通常遊技状態と同一の状態(以下において「低確率状態」とも称す)である遊技状態(以下において「時短遊技状態」とも称す)へ移行する。一方、特別遊技状態中に遊技球が特定通路へ進入した場合には、時短状態であって、かつ、第1特別図柄抽選及び第2特別図柄抽選における大当りの当選確率が通常遊技状態より高い状態(以下において「高確率状態」とも称す)である遊技状態(以下において「確変遊技状態」とも称す)へ移行する。
時短遊技状態は、第1特別図柄及び第2特別図柄に係る単位遊技の総数が所定の回数(例えば、50回)となるまで維持されるが、その後は通常遊技状態に戻る。また、確変遊技状態は、第1特別図柄及び第2特別図柄に係る単位遊技の総数が所定の回数(例えば、100回)となるまで維持されるが、その後は通常遊技状態に戻る。
なお、遊技状態及び遊技状態間の移行について、必ずしも上述した構成とする必要はなく、例えば、高確率状態が次回の大当りの当選まで継続する構成としても良いし、他の内容によって上記遊技状態の少なくとも1つを構成しても良いし、上述した各遊技状態とは別の遊技状態を更に含む構成としても良いし、上述した条件とは異なる条件によって遊技状態間が移行する構成としても良い。
なお、本実施形態のパチンコ機100においては、遊技球の出球率(機械割、ペイアウト率)の設定を変更できる設定変更機能を備える構成とされている。詳細は後述するが、本実施形態のパチンコ機100は、初当り確率と確変継続率との組み合わせが異なる複数種類(例えば、9種類)の遊技態様の中から1の遊技態様を設定可能であるとともに、設定する遊技態様を必要に応じて変更可能に構成され、遊技態様の設定を変更することによって(設定変更することによって)、パチンコ機100の出玉率の設定を変更できるよう構成される。なお、設定された遊技態様に対応する情報(以下において、「設定対応情報」とも称す)は、主制御基板920のRAM922の所定領域に記憶されるよう構成される。
次に、遊技盤400の主要な装置の動作について概ね時系列に沿って説明する。主制御基板920においては、特別図柄(第1特別図柄及び第2特別図柄で共通)に係る当選乱数、大当り図柄乱数、停止パターン乱数、各種の変動パターン乱数が生成されており、各種の遊技状態において第1特別図柄に係る始動入賞装置431A,431Bのいずれかに進入した遊技球が中始動入賞スイッチ441A,441B(図10参照)のいずれかによって検出された場合に第1特別図柄の始動入賞となる。第1特別図柄の始動入賞時に、第1特別図柄に係る単位遊技の権利が最大回数まで保留されていない場合には、特別図柄に係る当選乱数、大当り図柄乱数及び停止パターン乱数が取得されて、主制御基板920のRAM922(図10参照)の所定の領域に格納される。
第1特別図柄の始動入賞に基づいて取得された乱数による単位遊技は、特別遊技状態中でなく、第1特別図柄又は第2特別図柄に係る単位遊技中でもなく、第1特別図柄に係る単位遊技の権利が保留されていない場合には、それらの乱数の格納の直後に開始される。また、特別遊技状態中でない場合であっても、第1特別図柄又は第2特別図柄に係る単位遊技中や第1特別図柄又は第2特別図柄に係る単位遊技の権利が保留されている場合には、今回の入賞より前に保留されていた全ての特別図柄(第1特別図柄及び第2特別図柄)に係る単位遊技の終了後に、今回の始動入賞に基づく単位遊技が開始される。特別遊技状態中に第1特別図柄の始動入賞に基づいて各乱数が取得された場合には、その乱数による単位遊技は、特別遊技状態後において今回の始動入賞より前に保留されていた全ての特別図柄に係る単位遊技の後に開始される。
また、第1特別図柄の始動入賞に基づいて取得された乱数による単位遊技は、第2特別図柄に係る全ての単位遊技の終了後に開始される。すなわち、今回の始動入賞の後に第2特別図柄の始動入賞に基づいて各乱数が取得された場合には、その第2特別図柄の始動入賞に基づく単位遊技が優先して実行される。なお、必ずしも第2特別図柄の始動入賞に基づく単位遊技が第1特別図柄に係る単位遊技に優先して実行される構成とする必要はなく、始動入賞の順に第1特別図柄と第2特別図柄に係る単位遊技優位制御が実行される構成であっても良いし、2つの特別図柄が択一的でなく同時に変動可能な構成であっても良い。
第1特別図柄の始動入賞に基づく第1特別図柄抽選において大当りに当選している場合には、更に、取得された大当り図柄乱数に基づいて第1特別図柄抽選の大当り当選に対応する停止図柄(大当り図柄)の種類が決定される。この停止図柄の種類と大当りの種類とが対応し、例えば、下進入規制機構453又は上進入規制機構454が進入許容姿勢をとる回数に相当するラウンド数(例えば、6ラウンドと16ラウンド)や、特別遊技状態後に移行する遊技状態(確変遊技状態へ移行させるか否か)といった遊技状態の種類に対応して大当りの種類が複数種類設定され、その種類毎に大当り図柄が設定されている。第1特別図柄抽選において大当りに当選しなかった場合には、大当り図柄とは別のハズレ図柄が停止図柄として設定される。
第1特別図柄抽選の後に、現在の遊技状態、抽選結果、停止パターン乱数の値、各種の変動パターン乱数の値、第1特別図柄に係る単位遊技の権利の保留回数に基づいて、第1特別図柄の変動表示時間が決定されると共に、装飾図柄の変動パターンが選択される。その後、第1特別図柄に係る特別図柄表示装置471における第1特別図柄の変動表示及び装飾図柄表示装置479における装飾図柄の変動表示(変動演出)が開始され、第1特別図柄にあっては変動表示時間に亘って一定のパターンによる変動表示が継続され、装飾図柄にあっては変動表示時間に亘って変動パターンに従った変動表示が継続される。その後、変動表示時間の経過に伴って、第1特別図柄に係る停止図柄が確定表示され、また、装飾図柄として第1特別図柄の停止図柄に対応する図柄が確定表示される。第1特別図柄及び装飾図柄の確定表示は少なくとも所定の一定時間に亘って継続される。
第1特別図柄に係る停止図柄が大当り図柄である場合には、第1特別図柄の確定表示後に、遊技状態は特別遊技状態に移行する。特別遊技状態においては、下大入賞装置433の下進入規制機構453及び上大入賞装置434の上進入規制機構454が、大当りの種類に応じた所定の順序で所定の回数だけ進入許容姿勢となる。下進入規制機構453及び上進入規制機構454における各回の進入許容姿勢中において、所定の個数(例えば、8個)の遊技球が大入賞スイッチ443,444によって検出された場合、又は、所定の最大進入許容時間(例えば、29.5秒)が経過した場合には、下進入規制機構453又は上進入規制機構454は進入禁止姿勢に移行する。その後、所定の進入禁止時間の経過後に、再度、下進入規制機構453又は上進入規制機構454のいずれかが進入許容姿勢に復帰する。この進入規制動作が大当りの種類に対応した所定の順序で所定の回数だけ繰り返される。
下進入規制機構453及び上進入規制機構454は、特別遊技状態中においていずれか一方のみが進入許容姿勢をとる構成とされ、特別遊技状態の開始から所定の待機時間が経過した後(オープニング期間後)に初回の進入許容姿勢に一方が移行する。また、最終回の進入禁止姿勢への復帰から所定の進入禁止時間が経過し、更にその後に所定の待機時間が経過した後(エンディング期間後)に特別遊技状態は終了する。特別遊技状態の終了後には、上述のように、時短遊技状態又は確変遊技状態に移行する。
各種の遊技状態において、第2特別図柄に係る右始動入賞装置432に進入した遊技球が右始動入賞スイッチ442によって検出された場合に第2特別図柄の始動入賞となる。第2特別図柄の始動入賞に基づく単位遊技の制御は、上述した第1特別図柄に係る制御と同様に実行される。すなわち、第2特別図柄の始動入賞時に第2特別図柄に係る単位遊技の権利が最大回数まで保留されていなければ、特別図柄に係る各乱数が取得されて、この始動入賞に基づく単位遊技が実行される。また、第2特別図柄抽選に応じた停止図柄の決定、装飾図柄の変動パターンの選択、変動表示の実行、及び、遊技状態の移行制御等についても、第1特別図柄に係る制御と同様に実行される。
各種の遊技状態において、始動装置436に進入した遊技球が始動スイッチ446によって検出された場合、普通図柄に係る単位遊技の権利が最大回数まで保留されていなければ、普通図柄に係る当選乱数が取得されて、主制御基板920のRAM922の所定の領域に格納される。このとき、普通図柄に係る単位遊技中でなければ、その格納の直後に、その取得された普通図柄に係る単位遊技が開始される。一方、普通図柄に係る単位遊技中であれば、既得の普通図柄に係る単位遊技の権利に基づく単位遊技の終了後に、その取得された普通図柄に係る単位遊技が開始される。
普通図柄に係る単位遊技においては、当選乱数の値に基づいて当選したか否かが判定され、当選した場合には、停止図柄として所定の当り図柄が設定される。一方、普通図柄抽選において当選しなかった場合には、停止図柄として所定のハズレ図柄が設定される。普通図柄抽選後に、普通図柄表示装置473において普通図柄の変動表示が開始され、非時短状態にあっては所定の変動表示時間に亘って一定のパターンによる変動表示が継続され、時短状態にあっては非時短状態よりも短い所定の変動表示時間に亘って一定のパターンによる変動表示が継続される。遊技状態に応じた所定の時間の経過に伴って、普通図柄に係る停止図柄が一定時間に亘って確定表示される。
普通図柄に係る停止図柄が当り図柄である場合には、普通図柄の確定表示後に、右始動入賞装置432の右進入規制機構452が少なくとも1回は進入許容姿勢に移行する。具体的には、非時短状態(通常遊技状態及び特別遊技状態)において当選した場合には、右始動入賞装置432が所定の最大進入許容時間(例えば、略0.1秒)に亘って進入許容状態へ移行し、時短状態(時短遊技状態及び確変遊技状態)における当選の場合には、右始動入賞装置432が非時短状態の場合より長い所定の最大進入許容時間(例えば、略4.8秒)に亘って間欠的に(例えば、3回に分けて)進入許容姿勢に移行する。但し、所定の個数(例えば、10個)の遊技球が右始動入賞スイッチ442によって検出された場合には、右進入規制機構452は最大進入許容時間の経過を待たずに進入禁止姿勢に移行し、また、進入許容姿勢への移行回数が所定の回数に到達していなくても、今回の普通図柄に係る単位遊技における右始動入賞装置432の動作が終了する。
次に、本実施形態のパチンコ機100の遊技性について説明する。第2特別図柄抽選を受けるためには、まず、普通図柄抽選において当選しなければならず、更に、その当選に基づく右始動入賞装置432の進入許容状態において遊技球が右始動入賞装置432へ進入しなければならない。通常遊技状態における普通図柄に係る当りの当選確率は時短遊技状態における当選確率と同一であるが、通常遊技状態における当りの当選に基づく右始動入賞装置432の進入許容状態の滞在時間(例えば、略0.1秒)が時短状態における滞在時間(例えば、略4.8秒)に比べて極めて短く設定されているために、通常遊技状態において、第2特別図柄抽選を受けられる単位時間当りの機会は、第1特別図柄抽選を受けられる単位時間当りの機会よりも大幅に小さい。逆に、時短遊技状態や確変遊技状態等の時短状態においては、第2特別図柄抽選を受けられる単位時間当りの機会は、第1特別図柄抽選を受けられる単位時間当りの機会よりも大幅に大きい。
したがって、遊技者は、第1特別図柄抽選において大当りに当選し、その後の特別遊技状態において遊技球を特定通路へ進入させることによる確変遊技状態への移行を目指して遊技する。一方、時短遊技状態及び確変遊技状態においては、各遊技状態が終了する前に第2特別図柄抽選において大当りに当選することを目指して遊技する。
具体的には、遊技盤400には、遊技球が流下する遊技領域409の中央部に中央構造体420が設けられ、主に中央構造体420の左側から遊技球を流下させる遊技手法(左打ち遊技手法)と、主に中央構造体420の右側から遊技球を流下させる遊技手法(右打ち遊技手法)とが選択的に行える構成となっている。遊技者は、通常遊技状態においては、左打ち遊技手法によって遊技を行い、時短遊技状態及び確変遊技状態においては、右打ち遊技手法によって遊技を行う。また、下大入賞装置433及び上大入賞装置434が中央構造体420に対して右側に配置されているので、特別遊技状態においても右打ち遊技手法によって遊技を行う。
次に、後ブロック104について説明する。図8及び図9は、それぞれ、パチンコ機100を示す背面側斜視図及び背面図である。なお、図8においては、理解の容易のために、外枠101を省略して示している。
後ブロック104は、図8及び図9に示すように、基体501に他の部材や装置が取着されて構成されている。この基体501と中間ブロック103とが後ブロック支持機構136,137によって接続されることにより、後ブロック104が中間ブロック103に対して開閉可能に支持されている。
後ブロック104は、遊技球を貯留する球貯留部としての遊技球タンク510と、遊技球タンク510の下流側に連続して遊技球を(例えば、1列に)整流させると共に1段に整列させる球整列部としてのタンクレール520と、タンクレール520の下流側においてタンクレール520から流入した遊技球を誘導する球誘導部としてのケースレール530と、ケースレール530の下流側において遊技球の払い出しや遊技球の貸し出しを実行する払出装置540と、払出装置540の下流側において払出装置540から流出した遊技球を基体501に形成された誘導通路(図示せず)に誘導する球誘導部としての誘導部材550と、払出装置540による遊技球の払い出しや遊技球の貸し出しを制御する払出制御装置560と、外部電力を各種の装置等で必要とする所定の電圧の電力に変換して出力する電力供給手段としての機能と発射操作装置250に対する発射操作に基づく遊技球の射出を主制御基板920と協同して制御する発射制御手段としての機能とを有する電源・発射制御装置570と、払出制御装置560及び遊技球貸出装置290(図1参照)とパチンコ機100の側方に配置されるカードユニット(図示せず)との間の信号を中継する中継装置950とを備えている。
基体501は、樹脂(例えば、ABS樹脂)により一体成型されており、前側部分に対応するベース部502と、ベース部502よりも後方に位置した保護カバー部503とを含んでいる。ベース部502は、その上側部分が後ブロック104の外形に沿って略枠状に形成されると共に、下側部分が前後方向に厚みを有する略平坦状に形成されており、他の装置が取り付けられる被取付部としての機能を有している。
保護カバー部503は、前後方向に厚みを有する略板状に形成されている。また、保護カバー部503は、中間ブロック103の背面全域を覆う形状でなく、主制御装置370の一部といった頻繁に検査や確認が必要な中間ブロック103の背面における一部をパチンコ機100の背面に露出するための窓部を形成する大きさに設定されている。保護カバー部503の背面には、主制御装置370及び副制御装置390における発熱の放熱性を向上させる機能を有する多数の通気孔503Aが形成されている。
遊技球タンク510は、上方に開口した横長の箱型容器であり、その長手方向の一端側に、島設備の球循環装置(図示せず)から供給される遊技球が逐次補給される。遊技球タンク510における遊技球の供給される側と異なる長手方向の一端側には開口(図示せず)が形成されている。遊技球タンク510の底面は長手方向に緩やかに傾斜し、遊技球タンク510に供給された遊技球は開口側に自重によって移動する。また、遊技球タンク510の底面は、長手方向に比して、長手方向と直交する方向(前後方向)にも傾斜し、開口が設けられる側(例えば、前側)に優位に遊技球を誘導する。また、遊技球タンク510の底面には、その上に重なるようにして金属製の帯電防止板(図示せず)が取着され、帯電防止板が接地電位に接続されて遊技球タンク510内及びその下流側の遊技球の静電気が除去される。
タンクレール520は、遊技球タンク510の開口が形成される側に取り付けられ、遊技球タンク510の開口を通して遊技球が流入する。タンクレール520は、遊技球が1列に並んで通過する幅を有する略樋状の遊技球の通路を形成する通路形成部材521と、通路形成部材521により形成される通路の上面として次第に高さが低くなる天面部を有してその通路を流下する遊技球を上下に重なった高さから次第に1段の高さに整流する整流部材522とを備えている。タンクレール520により形成される通路は、下流側に向けて緩やかに傾斜しており、遊技球タンク510とは反対側へ遊技球を誘導する。
ケースレール530は、タンクレール520の下側に連続するように縦長に形成されており、タンクレール520からの遊技球が流入する。ケースレール530には、遊技球が勢いよく流れないように左右に湾曲しつつ下方に連続している。また、ケースレール530における球通路の途中部分には、球切れを検出するための球切れ検出部539が設けられている。球切れ検出部539には、貯留球スイッチ591(図10参照)が内蔵され、貯留球スイッチ591によって、ケースレール530又はその上流側で球詰り等が発生してケースレール530内に遊技球が正常に補給されていない球切れ状態を検出する。
払出装置540は、遊技球を送り出す送出機構と、送出機構を駆動する駆動手段としての払出モータ542(図10参照)と、払出計数スイッチ592(図10参照)とを備えている。払出制御装置560による制御に基づく払出モータ542の作動に応じて、球通路に貯留されている遊技球が下流側へ放出される。放出された遊技球の球通路の通過は、払出計数スイッチ592に検出され、これにより、払出制御装置560(払出制御基板930)が遊技球の払い出し数を計数する。
払出制御装置560及び電源・発射制御装置570は、図8及び図9に示すように、後ブロック104の背面側下部に位置するように基体501のベース部502における下部背面に重なるようにして取り付けられている。これら払出制御装置560及び電源・発射制御装置570を含む後ブロック104は、機種変更等において遊技盤400を別の遊技盤に交換した場合にも、継続利用可能とされている。
払出制御装置560は、払出制御基板930(図10参照)と、払出制御基板930を収容する基板ケースとを備え、払出制御基板930は、主制御基板920と同様に、開封の痕跡を残さずに開封できないように封止された基板ケースの内部に収容されている。
電源・発射制御装置570は、電源・発射制御基板900(図10参照)と、電源・発射制御基板900を収容する基板ケースとを備え、電源・発射制御基板900は、主制御基板920と同様に、封止された基板ケースの内部に収容されている。
また、図9に示すように、パチンコ機100の背面側には、背面設定スイッチ905が設けられている。背面設定スイッチ905は、本パチンコ機100の出球率を予め定めた複数段階(例えば、6段階や9段階など)のいずれか1段階に設定するための設定操作を有効化するための設定有効化装置である。
背面設定スイッチ905に所定のキー(図示せず)を挿入して所定位置(本実施形態では、初期位置から時計回りに略90°回転させた位置)まで回転させることで出球率の設定変更を有効化(許容)することができる。出球率の設定変更がこのように有効化された状態で所定の設定操作(本実施形態においては、初期化スイッチ907の押下)を行うことで出球率の設定変更が有効に行われる。
出球率の設定変更が有効に行われた場合、設定された各段階に応じて所定の遊技態様が変更される。つまり、背面設定スイッチ905および初期化スイッチ907の操作による出球率の設定変更は、遊技態様の設定変更であるともいえる。
本実施形態のパチンコ機100においては、出球率の設定変更(すなわち、遊技態様の設定変更)により設定された各段階に応じて、初当り確率(本実施形態においては、第1特別図柄抽選の当選確率)と、確変継続率(本実施形態においては、確変遊技状態において第2特別図柄抽選を経由して特別遊技状態へ移行した場合に当該特別遊技状態後に確変遊技状態に移行する確率)との組み合わせが異なる9種類の遊技態様のいずれかを選択することができる。よって、出球率の設定変更(遊技態様の設定変更)が有効に行われた場合には、設定された段階に応じた初当り確率および継続確率となるよう第1特別図柄抽選および第2特別図柄抽選の各当選確率を変化させる(すなわち、各当選確率に応じた確率抽選データを使用する)ことで出球率の調整が行われる。
具体的に、本実施形態のパチンコ機100においては、初当り確率が大幅に低いが確変継続率が大幅に高いトップタイプと、初当り確率が中程度であり確変継続率も中程度であるミドルタイプと、初当り確率が大幅に低いが確変継続率が大幅に高いボトムタイプとを選択できる。さらに、これらの各タイプにおいて、各タイプの初当り確率が、各タイプ間の初当り確率の幅よりも小幅に細分化された3段階の確率状態(以下、確率設定状態ともいう)、すなわち、3段階の中で初当り確率が最も低い第1段確率と、2番目に低い初当り確率である第2段確率と、初当り確率が最も高い第3段確率とを選択できる。
トップタイプにおいて、中始動入賞装置431および右始動入賞装置432への入賞に伴う賞球数は他のタイプよりも少ないが、上大入賞装置434及び下大入賞装置433への入賞に伴う賞球数は他のタイプよりも多くなっている。一方、ボトムタイプにおいて、中始動入賞装置431および右始動入賞装置432への入賞に伴う賞球数は他のタイプよりも多いが、上大入賞装置434及び下大入賞装置433への入賞に伴う賞球数は他のタイプよりも少なくなっている。
ここで、トップタイプ、ミドルタイプ、およびボトムタイプのいずれも賞球数は同一の数に設定してもよい。これにより、トップタイプ、ミドルタイプ、およびボトムタイプのいずれの設定であるのか遊技者が賞球数から判定することを不能とし、いずれのタイプであるかの設定を推測する遊技性を長時間にわたって付加することができる。
また、トップタイプ、ミドルタイプ、およびボトムタイプのいずれも確率設定状態の段階に応じて遊技者にとっての利益率は変化するが、いずれのタイプであっても確率設定状態の段階が同一であれば遊技者にとっての利益率は実質的に同一に設定されている。このため、タイプの変更によって確率の設定を変更しても、遊技場側が獲得する一定期間(例えば、1日)当たりの利益は予測しやすく、遊技場の管理をし易くすることができる。
なお、出球率の設定変更によって変更する遊技態様としては、上述したような、初当り確率と確変突入率との組合せであることに必ずしも限定される必要はなく、例えば、初当り確率または確変突入率のいずれかであってもよい。また、初当り確率および確変突入率以外の抽選確率、例えば、第1特別図柄抽選または第2特別図柄抽選の当選確率、普通図柄抽選の当選確率や、第1特別図柄抽選または第2特別図柄抽選において小当たりが選択される確率や、確変突入率(本実施形態においては、第2特別図柄抽選での当選を経由する確変遊技状態への突入率)や、特別遊技状態後に移行した確変遊技状態が終了する確率(例えば、確変遊技状態中に図柄の変動表示が実行される毎に行われる転落抽選において確変遊技状態の終了が選択される確率)などであってもよく、これらの各遊技態様の2つ以上の組合せであってもよい。
背面設定スイッチ905より上方には、設定表示装置906が設けられている。背面設定スイッチ905の操作によって出球率の設定変更(遊技態様の設定変更)が有効に行われた場合、現在設定されている遊技態様に対応する設定表示情報が設定表示装置906に表示される。設定表示情報は、タイプを表す英字と確率設定状態を表す数字との組み合わせから構成される。本実施形態のパチンコ機100においては、トップタイプ、ミドルタイプ、およびボトムタイプの各タイプを、それぞれ、「T」、「M」および「B」の英字で表す。また、各タイプの確率設定状態は、第1段確率を「1」で表し、第2段確率を「2」で表し、第3段確率を「3」で表す。
よって、例えば、トップタイプの第1段確率の遊技態様である場合に設定表示装置906に表示される設定表示情報は「T1」であり、ミドルタイプの第3段確率の遊技態様である場合に設定表示装置906に表示される設定表示情報は「M3」であり、ボトムタイプの第2段確率の遊技態様である場合に設定表示装置906に表示される設定表示情報は「B2」である。
<電気的な構成>
次に、パチンコ機100の電気的構成について説明する。図10は、パチンコ機100の電気的構成を示すブロック図である。パチンコ機100は、図10に示すように、電源・発射制御基板900、電源監視基板910、主制御基板920、払出制御基板930、副制御基板940等の制御回路装置を備えている。なお、図10においては、各種の信号を中継するだけの中継回路装置については省略している。
また、図10においては、理解を容易にする目的で、閉じた一点鎖線Xを図示することによって、遊技盤400を構成する部品と、前ブロック102や中間ブロック103(例えば、基枠301)や後ブロック104(例えば、基体501)などの遊技盤400とは異なる枠体を構成する部品とを区別可能に図示している。具体的に、遊技盤400の構成部品(例えば、主制御基板920や副制御基板940など)を一点鎖線Xの内側に図示し、基体501に取り付けられて枠体を構成する部品(例えば、電源・発射制御基板900や電源監視基板910や払出制御基板930など)を一点鎖線Xの外側に図示している。
なお、本実施形態のパチンコ機100においては、図10に示すように、電源監視基板910が枠体を構成する部品の一つである構成(すなわち、電源監視基板910が一点鎖線Xの外側に図示される構成)を例示したが、電源監視基板910が遊技盤400の構成部品の一つである構成であってもよい。以下に、これらの主要な制御回路装置を個別に詳細に説明する。
電源・発射制御基板900は、パチンコ機100の各部に電源供給路(図中の破線)を介して所定の電圧の電力を供給する電源部901と、発射操作装置250の操作に応じて発射装置330の駆動を制御する発射制御部902と、初期化スイッチ907からの初期化信号や球溢れスイッチ249からの球溢れ信号を中継する信号中継部903とを備えている。
電源部901は、外部より供給される外部電力(例えば、交流24ボルト)を取り込んで内部電力(例えば、直流24ボルト)に変換すると共に、その内部電力から各種の電力を生成する。電源部901により生成される電力は、各種のソレノイドや各種のモータ等の機器を駆動するための駆動用電圧(例えば、直流12ボルト)の電力、各種のスイッチを駆動したり制御処理を実行したりするための制御用電圧(例えば、直流5ボルト)の電力、主制御基板920のRAM922の内容を保持させるためのバックアップ用電圧の電力等を含んでいる。
なお、電源部901は、外部電力から変換された内部電力をコンデンサ(図示せず)に充電するとともに、充電によって当該コンデンサに蓄えられた電力をバックアップ用電圧の電力として供給する機能(以下において「バックアップ電源機能」とも称す)を備えている。つまり、電源部901は、バックアップ電源機能によってバックアップ用電圧の電力を生成する。
電源部901は、内部電力から生成した各種の電力を、電源監視基板910、主制御基板920、払出制御基板930、副制御基板940等に供給する。具体的には、電源監視基板910に対しては、内部電力、駆動用電圧、制御用電圧及びバックアップ用電圧の電力が供給される。主制御基板920に対しては、駆動用電圧、制御用電圧及びバックアップ用電圧の電力が、電源監視基板910の電源監視部911を介して供給される。払出制御基板930に対しては、駆動用電圧及び制御用電圧の電力が供給される。副制御基板940に対しては、駆動用電圧及び制御用電圧の電力が供給される。発射制御部902及び信号中継部903に対しては、駆動用電圧及び制御用電圧の電力が供給される。
また、本実施形態のパチンコ機100においては、電源部901は、バックアップ電源601を充電するための充電用電圧(例えば、直流12ボルト)の電力を内部電力から生成し、バックアップ電源601に対し、充電用電圧を供給する。
電源部901には、オン状態とオフ状態を切り替えるための電源スイッチ909が接続されている。電源スイッチ909が操作されてオン状態に切り替えられると、外部電力の取り込みが開始され、電源スイッチ909が操作されてオフ状態に切り替えられると、外部電力の取り込みが停止される。なお、電源スイッチ909をオフ状態にしたり、電源スイッチ909を介して電源部901に接続される電源プラグ(図示せず)を外部電力の供給コンセント(図示せず)から抜脱したりすることによってパチンコ機100の内部への電力の供給が停止している状態や、外部電力自体の供給が停止している状態を「停電状態」と総称する。
詳細は後述するが、本実施形態のパチンコ機100においては、停電状態が発生した場合、主制御基板920に対して、電源部901またはバックアップ電源601のいずれか一方からバックアップ用電圧の電力が供給されている場合に、主制御基板920のRAM922の内容が保持される。
電源部901は、停電状態への移行後においても所定の期間にわたり制御用電圧の電力を正常に出力するように構成されている。これによって、主制御基板920は、現在の制御状態に復帰できるように状態を保存して制御を終了させることができる。
発射制御部902は、主制御基板920と協同して、発射装置330の球送りソレノイド332及び発射ソレノイド334の駆動を制御する。なお、球送りソレノイド332及び発射ソレノイド334は、所定条件が整っている場合に作動が許可される。具体的には、遊技者が発射ハンドル252(図1参照)に触れていることが接触センサ254からの接触センサ信号に基づいて検知されていること、発射を停止させるための発射停止スイッチ255が操作されていないことを条件に、発射制御部902はオン状態の発射許可信号を主制御基板920に出力する。また、発射許可信号と発射異常信号とに基づいて主制御基板920は発射ソレノイド制御信号及び球送りソレノイド制御信号を発射制御部902に出力する。発射制御部902は、オン状態の球送り制御信号に基づいて球送りソレノイド332を作動させ、オン状態の発射ソレノイド制御信号の受信と可変抵抗器253の抵抗値とに基づいて発射ソレノイド334を作動させる。これによって、発射装置330から可変抵抗器253の抵抗値(発射ハンドル252の回転操作量)に応じた強さで遊技球が順次に発射される。
信号中継部903は、初期化スイッチ907が押下された場合に、主制御基板920へオン状態の初期化信号を出力する。主制御基板920においては、オン状態の初期化信号の受信に応じて主制御基板920のRAM922に保存された保存情報を初期化する。なお、初期化スイッチ907は、必ずしも信号中継部903を介して主制御基板920に信号を出力する構成とする必要はなく、例えば、初期化スイッチ907を主制御基板920に直接搭載する等して基板ケース371内に初期化スイッチ907が収容される構成としても良く、これにより信号が伝送される区間を狙った不正な信号入力を抑止することができる。
また、信号中継部903は、初期化スイッチ907が押下された場合に、バックアップ電源601へオン状態の信号を出力する。バックアップ電源601には、バックアップ用のコンデンサの充電と放電とを、初期化スイッチ907の押下有無によって切り替える回路が備えられている。バックアップ電源601は、信号中継部903から出力されたオン状態の信号の受信に応じて、電源部901から供給された充電用電圧の電力の充電を開始する。
また、信号中継部903は、球溢れスイッチ249が遊技球を検出した場合に、主制御基板920へオン状態の球溢れ信号を出力する。主制御基板920においては、オン状態の球溢れ信号の検知に基づいて払出制御基板930に低速払出信号を出力し、低速払出信号を受信した払出制御基板930は、払出モータ542の回転速度(払出装置540からの遊技球の払出速度)を低速化させる。また、主制御基板920は、オフ状態の球溢れ信号の検知に基づいて払出制御基板930に高速払出信号を出力し、高速払出信号を受信した払出制御基板930は、払出モータ542の回転速度を高速化させる。
また、図10に示すように、信号中継部903には、背面設定スイッチ905および設定表示装置906が接続されている。信号中継部903は、背面設定スイッチ905が所定のキー(図示せず)により時計回りに略90°回転された場合に主制御基板920へ出力されるオン状態の設定信号を中継する。主制御基板920においては、背面設定スイッチ905からオン状態の設定信号を受信したことに応じて遊技態様の変更を許容する。また、信号中継部903は主制御基板920から設定表示装置906へ出力された設定表示信号を中継する。設定表示装置906は、受信した設定表示信号に対応する設定表示情報を表示する。
電源監視基板910は、電源・発射制御基板900からの電力供給状態を監視する電源監視部911と、電源・発射制御基板900と主制御基板920との間の電力供給及び各種の信号の伝達を中継する信号中継部912とを含んでいる。電源監視部911は、停電状態への移行に応じて主制御基板920へ停電信号を出力するものでもあり、電源部901から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満である状態が所定の時間だけ継続した場合に停電状態であると判断して、オン状態の停電信号を主制御基板920へ出力する。主制御基板920は、オン状態の停電信号の受信によって停電状態への移行を認識する。
主制御基板920は、パチンコ機100の動作を統括的に制御する。主制御基板920には、1チップマイコンとしてのMPU(図示せず)が搭載されている。MPUは、演算処理装置としてのCPU(図示せず)と、CPUにより実行される各種の制御プログラムや固定データを記憶したROM(図示せず)と、制御プログラムの実行に際して一時的に各種のデータ等を記憶するRAM922とを含んでいる。主制御基板920には、その他、タイマ回路(図示せず)、カウンタ回路(図示せず)、クロック発生回路(図示せず)、信号送受信回路(図示せず)等の各種回路が搭載されている。
主制御基板920のRAM922は、停電状態への移行後においても電源・発射制御基板900の電源部901またはバックアップ電源601から供給されたバックアップ用電圧の電力によって内部データを維持(バックアップ)できる構成となっている。具体的に、初期化スイッチ907が押下された状態で電源スイッチ909がオフ状態にされたことで発生した停電状態においては、主制御基板920に対し、電源部901とバックアップ電源601とからバックアップ用の電力が供給され、それ以外の停電状態においては、主制御基板920に対し、電源部901のみからバックアップ用の電力が供給される。
バックアップ電源601は、電源スイッチ909がオン状態である状況(すなわち、電源部901に外部電力が供給されている状況)において信号中継部903からオン状態の信号を受信した場合に、電源部901から供給された充電用電圧の電力の充電を開始する。つまり、電源部901に外部電力が供給されている状況で初期化スイッチ907を押下することによって、バックアップ電源601への電力(充電用電圧の電力)の充電を開始することができる。
バックアップ電源601は、当該バックアップ電源601への電力の充電が上記のように開始された後、電源スイッチ909がオン状態からオフ状態に切り替えられた場合に、充電によって当該バックアップ電源601に蓄えられた電力をバックアップ用電圧の電力として供給する。
つまり、初期化スイッチ907を押下したまま電源スイッチ909をオフ状態に切り替える(すなわち、電源部901への外部電力の供給が停止する)ことによって、充電によってバックアップ電源601に蓄えられた電力をバックアップ用電圧の電力として供給することができる。これにより、バックアップ電源601からバックアップ用電圧の電力を主制御基板920に供給することができる。
なお、バックアップ電源601の電気容量は、枠体(すなわち、外枠101、前ブロック102、中間ブロック103、および後ブロック104)から取り外した(より詳細には、中間ブロック103の基枠301から取り外した)遊技盤400、あるいは、遊技盤400を取り外した状態の枠体に対する検査や点検などを行うのに十分とされる期間(例えば、約1時間)に亘ってバックアップ用電圧の電力を出力可能な容量とされることが好ましい。また、バックアップ電源601の電気容量は、主制御基板920に対する不正防止等の観点から、大きすぎないようにすることが好ましく、例えば、6時間などの1日よりも短時間で、主制御基板920のRAM922が正常にはバックアップできなくなるようにすることが好ましい。
また、バックアップ電源601の回路は、電源スイッチ909がオン状態である場合には、当該電源部901とバックアップ電源601との間の電源供給路が接地されるよう構成される。このため、電源スイッチ909がオン状態となっている間は、バックアップ電源601に残存する電力は当該接地によって消費(放電)される。よって、パチンコ機100の停電状態が解消された場合(すなわち、パチンコ機100の内部への電力の供給が開始された場合)、バックアップ電源601の残量は、放電によりゼロとなる。
払出制御基板930は、主制御基板920からの指示に応じた払出装置540による遊技球の払い出し動作や遊技球貸出装置290の操作に応じた払出装置540による遊技球の貸し出し動作を制御する。払出制御基板930は、主制御基板920と同様に、CPU(図示せず)、ROM(図示せず)及びRAM(図示せず)を含む1チップマイコンとしてのMPU(図示せず)、タイマ回路(図示せず)、カウンタ回路(図示せず)、クロック発生回路(図示せず)、信号送受信回路(図示せず)等の各種回路が搭載されている。
払出制御基板930は、他の装置と情報通信可能に接続する接続手段としての入出力ポートが搭載されており、例えば、主制御基板920及び中継装置950とは双方向の情報入出力通信が可能に接続され、開閉検出スイッチ108,109、貯留球スイッチ591、及び、払出計数スイッチ592とは、一方向のみの情報入力通信のみが可能に接続され、払出モータ542とは、一方向のみの情報出力通信のみが可能に接続されている。なお、払出制御基板930のRAMは、主制御基板920のRAM922と同様に、停電状態において一定の期間にわたって内部データを維持可能とするバックアップ機能を有する構成としても良いし、主制御基板920のRAM922とは異なり、停電状態において内部データを維持しない構成としても良い。
副制御基板940は、主制御基板920からの指示に基づいて、各種の演出装置や各種の発光装置や各種の音響装置等の動作を制御する。副制御基板940は、他の装置と情報通信可能に接続する接続手段としての入出力ポートが搭載されており、例えば、主制御基板920とは一方向のみの情報入力通信のみが可能に接続され、入力操作装置260とは双方向に情報通信可能に接続され、装飾図柄表示装置479等とは一方向の情報出力通信のみが可能に接続されている。
遊技盤400に取り付けられる各部品(以下において、便宜上「遊技盤側部品」とも称す)と、前ブロック102や中間ブロック103や後ブロック104などの遊技盤400とは異なる部材に取り付けられる各部品(以下において、便宜上「他部材側部品」とも称す)との間には、遊技盤側部品と他部材側部品との間を電気的に接続したり、情報通信を可能に接続するためのコネクタ(例えば、コネクタC1~C3)が設けられている。
例えば、図10に示すように、主制御基板920またはバックアップ電源601と、電源監視基板910または電源・発射制御基板900(より詳細には、電源部901および信号中継部903)との間には、コネクタC1が設けられている。
なお、本実施形態のパチンコ機100においては、電源監視基板910が枠体を構成する部品の一つである構成としたが、電源監視基板910が遊技盤400の構成部品の一つである構成であってもよく、かかる構成においては、コネクタC1が、主制御基板920と電源監視基板910との間でなく、電源監視基板910と電源・発射制御基板900との間に設けられる構成であってもよい。
また、副制御基板940と、音響装置281,282、枠発光装置271~275、および入力操作装置260との間には、コネクタC2が設けられている。主制御基板920と払出制御基板930との間には、コネクタC3が設けられている。なお、各コネクタC1~C3は、必ずしも、1のコネクタから構成される必要はなく、コネクタC1~C3のうち少なくとも1のコネクタが、複数に分割されたコネクタによって構成されていてもよい。
コネクタ(図10に示す例では、コネクタC1~C3)は、メスコネクタ(図示せず)と、当該メスコネクタに対して着脱可能なオスコネクタ(図示せず)とにより構成される。本実施形態のパチンコ機100においては、遊技盤側部品にメスコネクタが接続され、他部材側部品にオスコネクタが接続される。
メスコネクタに対しオスコネクタを装着した状態においては、遊技盤側部品と他部材側部品とが電気的に接続されるとともに情報通信可能に接続される。一方、メスコネクタからオスコネクタを取り外した状態においては、遊技盤側部品と他部材側部品との間の電気的な接続および情報通信可能な接続が解除される。
なお、遊技盤400が中間ブロック103の基枠301(図3参照)から取り外される場合には、基本的に、オスコネクタがメスコネクタから取り外され、それによって、コネクタC1~C3などのコネクタによる遊技盤側部品と他部材側部品との間の接続(電気的な接続および情報通信可能な接続)が解除される。
<各種の制御処理>
次に、主制御基板920によって実行される各種の制御処理について説明する。主制御基板920における制御処理は、大別すると、停電状態からの復帰に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本形態では2ms(ミリ秒)周期で)メイン処理に割込みをかけて実行されるタイマ割込み処理とで構成されている。
まず、図11を参照して、主制御基板920によって実行されるメイン処理について説明する。図11は、主制御基板920のメイン処理(図11においては「主制御メイン処理」と略記)を示すフローチャートである。
主制御基板920のメイン処理において、まず、主制御基板920の立ち上げや各種の情報を初期設定するための一連の制御開始処理(プログラム開始処理S1001~乱数初期設定処理S1019)が一度だけ実行され、その後は、割込みを禁止する割込み禁止処理S1020と、特別図柄に係る当選乱数初期値カウンタ(RAM922の一部の領域)及び大当り図柄乱数初期値カウンタ(RAM922の一部の領域)並びに普通図柄に係る当選乱数初期値カウンタ(RAM922の一部の領域)の値を更新する乱数初期値更新処理S1021と、変動時間や変動パターン等を決定するための第1の変動種別カウンタ~第4の変動種別カウンタ(RAM922の一部の領域)の値を更新する変動用カウンタ更新処理S1022と、割込みを許可する割込み許可処理S1023とが繰り返し実行される。なお、割込み許可処理S1023の前にタイマ割込みの要求が発生した場合には、割込み許可処理S1023の直後にタイマ割込み処理が実行される。
一連の制御開始処理において、プログラムの実行を制御するスタックポインタ(RAM922の一部の領域)に初期値を設定するプログラム開始処理S1001と、割込みモードを設定する割込みモード設定処理S1002と、払出制御基板930及び副制御基板940等が立ち上がるまで所定の時間だけ待機する立上待機処理S1003とが実行される。
立上待機処理S1003の後に、電源・発射制御基板900の背面設定スイッチ905からの設定信号の出力状態の判定処理S2001が行われる。判定処理S2001において、背面設定スイッチ905からの設定信号がオフ状態であると判定された場合には(S2001:N)、電源・発射制御基板900の初期化スイッチ907からの初期化信号の出力状態の判定処理S1004、停電情報(RAM922の一部の領域)の値の判定処理S1005、保存情報の記憶状態の判定処理S1007が行われ、これらの判定結果に基づいてRAM922の保存情報を消去するか否かが判定される。ここで、保存情報とは、停電前の遊技の状態に復帰させるために必要な情報であって、停電前に遊技の進行に応じて更新されていたRAM922の一部の領域に対応し、実行中の単位遊技に関するカウンタの値や、始動入賞によって格納されたカウンタの値等が例示される。
保存情報の記憶状態は、次のように判定される。まず、RAM922の所定の範囲の記憶領域に対するチェックサム値を算出して(チェックサム算出処理S1006)、その現在のチェックサム値と前回の停電状態への移行に伴い停電監視処理S1202(図12参照)において算出されたチェックサム値の2の補数であるRAM判定値との排他的論理和が「0」であるか否か(判定処理S1007)が判定され、これにより、現在のチェックサム値と停電状態への移行時のチェックサム値とが同一であるか否かが判定される。
初期化信号がオン状態である場合(S1004:Y)、停電情報が停電状態への移行時に保存情報を保存して終了したことを示す所定の停電値でない場合(S1005:N)、又は、保存情報が正常に保持されていない場合(S1007:N)には、RAM922の保存情報を消去するRAMクリア処理S1008が実行される。保存情報が正常に保持されていると判断された後(S1007:Y)、又は、RAMクリア処理S1008が実行された後には、主制御基板920に接続されている各種の装置を初期化するハードウェア初期化処理S1009が実行される。
ハードウェア初期化処理S1009の後には、停電情報が停電値であるか否かの判定処理S1010が実行される。停電情報が停電値である場合(S1010:N)には、保持情報の復帰を含め各種の情報を初期設定するRAM復帰設定処理S1011と、その設定完了を示す復帰コマンドが設定される(復帰コマンド出力処理S1012)。RAM復帰設定処理S1011における保持情報の復帰によって、前回の停電状態への移行直前の制御状態に主制御基板920の制御状態が復帰する。
一方、停電情報が停電値でない場合(S1010:Y)には、保持情報の復帰は行わずに各種の情報が初期設定され(RAM初期設定処理S1013)、その設定完了を示す初期化コマンドが出力される(初期化コマンド出力処理S1014)。
なお、RAM復帰設定処理S1011及びRAM初期設定処理S1013において、停電情報は停電値と異なる所定の通電値に設定され、また、前回の停電状態への移行直前において不正検知エラー等の各種のエラー状態が発生していてもそれらのエラー状態は全て解除される。また、主制御基板920から払出制御基板930及び副制御基板940の双方に復帰コマンドか初期化コマンドのいずれかが出力され、復帰コマンド又は初期化コマンドを受信した払出制御基板930及び副制御基板940の各々においても所定の初期化処理が実行される。
立上時の状況に応じたRAM922の初期設定(判定処理S1004~初期化コマンド出力処理S1014)の後に、前回の停電状態への移行時に条件装置が作動していた場合には、特別遊技状態に復帰させるための準備が行われる(特別遊技状態復帰準備処理S1015)。具体的には、特別遊技状態復帰準備処理S1015においては、条件装置と役物連続作動装置の作動状態が判定され、停電状態時における遊技の状況に対応した処理が、副制御基板940において実行される。
特別遊技状態復帰準備処理S1015の後には、時短状態フラグが設定されているか否かを判定することにより時短状態であるか非時短状態であるかが判定され(判定処理S1016)、時短状態である場合(S1016:Y)には、時短コマンドが出力される(時短コマンド出力処理S1017)。一方、非時短状態である場合(S1016:N)には、非時短コマンドが出力される(非時短コマンド出力処理S1018)。その後、特別図柄に係る当選乱数カウンタ(RAM922の一部の領域)の値が初期化される(乱数初期設定処理S1019)。
一方、判定処理S2001において、背面設定スイッチ905からの設定信号が、背面設定スイッチ905が所定のキーにより操作されていることを示すオン状態であると判定された場合(S2001:Y)、RAM922の実質的に全領域の情報を消去するRAMクリア処理S2002が実行される。具体的には、RAMクリア処理S2002においては、RAM922に格納されている設定対応情報を除く実質的にすべての領域の情報が消去される。
なお、設定対応情報は、予め定めた複数段階(本実施形態においては、9種類)の遊技態様の各々に対応する情報であり、設定中の遊技態様に対応する設定態様情報がRAM922に格納されている。よって、RAMクリア処理S2002により、主制御基板920のRAM922における設定対応情報の記憶領域を除く実質的にすべての領域の情報が消去され、設定変更を許可する状態となる。
設定変更を許可する状態となると、RAM922に格納されている設定対応情報に対応する遊技態様を識別する設定表示信号が設定表示装置906に出力される。設定表示装置906は、主制御基板920から受信した設定表示信号に対応する設定表示情報を表示する。つまり、設定表示装置906には、RAM922に格納されている設定対応情報に対応する設定表示情報が表示される。
次いで、背面設定スイッチ905からの設定信号がオフ状態となるまで遊技態様の設定を変更する設定変更処理S2003が実行される。なお、背面設定スイッチ905からの設定信号は、背面設定スイッチ905が所定のキーにより操作されていない状態においてオフ状態となる。
遊技態様の設定変更は、背面設定スイッチ905が所定のキーにより操作された状態において初期化スイッチ907を押下することによって行われる。具体的に、当該状態において、主制御基板920が初期化スイッチ907の押下に基づく初期化信号を受信する毎に、設定対応情報が順次変更される。具体的には、予め定められた9種類の遊技態様を循環的に選択する順序(例えば、・・・→T1→T2→T3→M1→M2→M3→B1→B2→B3→T1→T2→・・・)が予め決められており、選択される遊技態様は、初期化スイッチ907が押下される毎に当該順序に従って順次変更される。
当該変更が行われる毎に選択中の遊技態様に対応する値が設定対応情報としてRAM922に格納される。RAM922に格納される設定対応情報が変更される毎に、当該設定対応情報に対応する設定表示信号が設定表示装置906に出力され、変更後の設定対応情報に対応する設定表示情報が設定表示装置906に表示される。
よって、遊技場の管理者等の設定変更者は、背面設定スイッチ905が所定のキーにより操作された状態において、本パチンコ機100に対して設定したい遊技態様を選択されるまで初期化スイッチ907の押下を繰り返した後、中始動入賞装置431に遊技球を入賞させることで、遊技態様の選択を完了させることができる。よって、設定変更処理S2003は、初期化スイッチ907の押下による遊技態様の選択後に、中始動入賞装置431に遊技球が入賞されたことで終了する。
背面設定スイッチ905からの設定信号がオフ状態となった場合(S2004:Y)、遊技態様の設定に係る情報(すなわち、設定対応情報)を除く各種の情報を新たにRAM922に初期設定するRAM変更設定処理S2005が実行される。これにより、実質的に主制御基板920の立ち上げが終了し、RAM922に格納された設定対応情報に対応する遊技態様で遊技が進行することが確定する。
RAM変更設定処理S2005の後、RAM922の設定完了を示す設定済コマンドを払出制御基板930に出力する設定済コマンド出力処理S2006が実行される。払出制御基板930は、主制御基板920が出力した設定済コマンドを受信したことにより、主制御基板920が通常の遊技処理に移行することを認識できると共に、いずれの遊技態様で動作するかを認識できる。設定済コマンド出力処理S2006の後は、特別遊技状態復帰準備処理S1015以降の処理が実行される。
次に、図12を参照して、主制御基板920によって実行されるタイマ割込み処理について説明する。図12は、主制御基板920によって実行されるタイマ割込み処理(図中では「主制御割込み処理」と略記)を示したフローチャートである。
主制御基板920のタイマ割込み処理では、まず、タイマ割込みを開始させるための割込み開始処理S1201が実行される。具体的には、割込み制御レジスタに所定の値が設定される。これにより、本タイマ割込み以外の割込みが禁止される。その後に、パチンコ機100の遊技の進行制御や各種センサの監視等といった実質的な制御に係る停電監視処理S1202~外部情報出力処理S1221が順次に実行される。但し、各種の不正の検知に基づいて遊技進行が停止されている場合(S1207:Y)には、制御信号出力処理S1208~外部情報出力処理S1221は実行されない。最後に、次回のタイマ割込みを許可する割込み許可処理S1222が実行されて、今回のタイマ割込み処理が終了する。以下において、各種の主要な処理について個別に説明する。
停電監視処理S1202においては、電源監視基板910の電源監視部911から出力されている停電信号の出力状態に基づいて停電情報(RAM922の一部の領域)の値が更新される。具体的には停電信号の出力状態が3度に亘り確認され、3度ともオン状態が検出された場合に停電状態であると判定される。この判定において停電状態であると判定されなかった場合には、停電情報は通電値に維持される。
一方、停電監視処理S1202において停電状態であると判定された場合には、以下の処理が実行される。まず、停電情報の値がRAM復帰設定処理S1011又はRAM初期設定処理S1013(図11参照)において設定された通電値から所定の停電値に変更される。また、RAM922の所定の範囲の記憶領域に対するチェックサム値を算出し、そのチェックサム値の2の補数をRAM判定値として設定する。これにより、パチンコ機100は、遊技の進行や各種センサの監視等といった実質的な制御を行わない無限ループに入り、RAM判定値が設定された後のRAM922の状態がバックアップ電力に基づいて保持される。なお、停電信号の出力状態が3度に亘り確認されるために、停電信号の受信を初めて検知してから、タイマ割込みの各処理は2回に亘り実行される。
乱数更新処理S1203においては、特別図柄に係る当選乱数カウンタ、大当り図柄乱数カウンタ、停止パターン選択カウンタ及び普通図柄に係る当選乱数カウンタが更新される。具体的には、特別図柄に係る当選乱数カウンタの値が、規定最大値(例えば、「576」)と異なる値である場合には、現在値より「1」だけ大きい値に変更され、特別図柄に係る当選乱数カウンタの値が規定最大値である場合には、規定最小値(「0」)に変更される。但し、変更後の値が特別図柄に係る当選乱数カウンタに対する循環初期値と同一の値となる場合には、特別図柄に係る当選乱数カウンタの値が、特別図柄に係る当選乱数初期値カウンタと同一の値に設定され、また、循環初期値も当選乱数初期値カウンタと同一の値に設定される。
大当り図柄乱数カウンタ、停止パターン選択カウンタ及び普通図柄に係る当選乱数カウンタについても、特別図柄に係る当選乱数カウンタの場合と同様にして更新される。ただし、各カウンタの規定最大値と規定最小値とにより定められる更新範囲としては各カウンタに固有の値が設定され、複数のカウンタが非同期で更新される構成とされ、各カウンタの循環初期値には各カウンタに固有の初期値カウンタが参照される。例えば、特別図柄に係る当選乱数カウンタと特別図柄に係る当選乱数初期値カウンタとは値の範囲が同一であり、大当り図柄乱数カウンタと大当り図柄乱数初期値カウンタとは値の範囲が同一であり、普通図柄に係る当選乱数カウンタと普通図柄に係る当選乱数初期値カウンタとは値の範囲が同一である。
乱数初期値更新処理S1204においては、特別図柄に係る当選乱数初期値カウンタ、大当り図柄乱数初期値カウンタ及び普通図柄に係る当選乱数初期値カウンタが更新される。具体的には、特別図柄に係る当選乱数初期値カウンタの値が規定最大値(例えば、「576」)と異なる値である場合には、現在値より「1」だけ大きい値に変更され、特別図柄に係る当選乱数初期値カウンタの値が規定最大値である場合には、規定最小値(「0」)に変更される。特別図柄に係る図柄乱数初期値カウンタ及び普通図柄に係る当選乱数初期値カウンタについても、規定最大値や規定最小値がそれらのカウンタに固有の値であること以外は、特別図柄に係る当選乱数初期値カウンタの場合と同様にして更新される。
変動用カウンタ更新処理S1205においては、変動時間や変動パターン等を決定するための第1の変動種別カウンタ~第4の変動種別カウンタの値が更新される。具体的には、第1の変動種別カウンタの値が規定最大値(例えば、「187」)と異なる値である場合には、現在値より「1」だけ大きい値に変更され、第1の変動種別カウンタの値が規定最大値である場合には、規定最小値(「0」)に変更される。第2の変動種別カウンタ~第4の変動種別カウンタについても、規定最大値や規定最小値がそれらのカウンタに固有の値であること以外は、第1の変動種別カウンタの場合と同様にして更新される。
なお、特別図柄及び普通図柄に係る各当選乱数カウンタ、大当り図柄乱数カウンタ、停止パターン選択カウンタ並びに各変動種別カウンタは、必ずしも上記構成とする必要はなく、上記カウンタの少なくとも一部を他の構成としても良く、例えば、初期値カウンタを利用しないで一定の初期値から更新する構成としても良いし、プログラムを利用しないで乱数生成用ICにより構成して必要に応じて値を参照する構成としても良い。
遊技停止判定処理S1206においては、不正検知情報が不正検知値である場合には、遊技停止値に更新されると共に、遊技進行を停止させるための各種の情報が設定される。一方、不正検知情報が不正検知値でない場合や既に遊技停止値である場合には、遊技進行を停止させるための各処理は実行されずに遊技停止判定処理S1206は終了する。なお、不正検知情報は、不正検知処理S1211において各種の不正の発生が検知された場合に不正検知値に設定される。また、判定処理S1207においては、不正検知情報が遊技停止値であるか否かによって遊技停止中であるか否かが判定される。
制御信号出力処理S1208においては、出力バッファに格納された制御データに基づいて、第1の特別図柄に係る特別図柄表示装置471、第2の特別図柄に係る特別図柄表示装置472及び普通図柄に係る普通図柄表示装置473等の各種の報知装置を制御する信号が出力される。また、出力バッファに格納された制御データに基づいて、球送りソレノイド332、発射ソレノイド334、右進入規制ソレノイド462、下進入規制ソレノイド463、上進入規制ソレノイド464、切換ソレノイド465等の各種のアクチュエータを制御する信号が出力される。
スイッチ読込処理S1209においては、中始動入賞スイッチ441A,441B、右始動入賞スイッチ442、下大入賞スイッチ443、上大入賞スイッチ444、役連作動スイッチ445、始動スイッチ446、非特定通路スイッチ447、特定通路スイッチ448、及び、一般入賞スイッチ449A,449Bの各々からの信号状態が読み込まれて、各種のスイッチによる遊技球の検出状態の変化が検知される。
具体的には、スイッチ読込処理S1209において、各種のスイッチからの信号状態が所定の時間間隔を隔てて2度に亘り入力バッファ(RAM922の一部の領域)に読み込まれ、各種のスイッチからの信号ごとに、1回目に読み込まれた信号状態(以下において「第1の信号状態」と略記する)と、2回目に読み込まれた信号状態(以下において「第2の信号状態」と略記する)と、前回のタイマ割込みで検知された検出状態(以下において「前回の検出状態」と略記する)とに基づいて、各種のスイッチの検出状態の変化が検知される。そして、各スイッチに対して、前回の検出状態がオフ状態である場合において、第1の信号状態がオン状態であり、第2の信号状態がオン状態である場合には、オン状態移行と判断されて、スイッチの種類に応じた検出フラグ(RAM922の一部の領域)が設定される。なお、停電監視処理S1202で説明したように、電源供給が停止したとしても、タイマ割込みの各処理が2回に亘り実行されるために、電源供給が停止した直後に各種のスイッチのオン状態が開始された場合であっても各種のスイッチの検出フラグを正確に設定することができる。
タイマ更新処理S1210においては、特別図柄及び普通図柄の変動表示、各遊技状態の制御、及び、不正監視等に使用される各種のタイマ(RAM922の所定の領域)が更新される。
不正検知処理S1211においては、各種の入賞装置に強制的に遊技球を進入させたり、各種の入賞装置を強制的に作動させたりするような不正行為が検知される。具体的には、右始動入賞装置432、下大入賞装置433及び上大入賞装置434の強制的な進入許容姿勢への移動、加振による下大入賞装置433の特定通路への遊技球の誘導、電波による右始動入賞装置432、下大入賞装置433及び上大入賞装置434の強制的な誤作動の誘発、磁気吸着による各種の入賞装置への遊技球の誘導、上側中始動入賞装置431A、下側中始動入賞装置431B、右始動入賞装置432、下大入賞装置433及び上大入賞装置434への異常なタイミングでの遊技球の誘導等の不正行為が行われた可能性の高い状況の発生を検知する。
入賞検知応答処理S1212においては、遊技盤400に設けられた各種のスイッチによる遊技球の検出に基づく制御が実行される。具体的には、上側中始動入賞スイッチ441A(図10参照)及び下側中始動入賞スイッチ441B(図10参照)による遊技球の検出に基づいて、中始動入賞スイッチ検出フラグが設定されている場合には、中始動入賞カウンタ(RAM922の所定の領域)及び第1払出カウンタ(RAM922の所定の領域)が更新される。また、右始動入賞スイッチ442(図10参照)による遊技球の検出に基づいて右始動入賞スイッチ検出フラグが設定されている場合には、第1払出カウンタが更新される。また、下大入賞スイッチ443(図10参照)による遊技球の検出に基づいて下大入賞スイッチ検出フラグが設定されている場合や、上大入賞スイッチ444(図10参照)による遊技球の検出に基づいて上大入賞スイッチ検出フラグが設定されている場合には、大入賞カウンタ(RAM922の所定の領域)及び第2払出カウンタ(RAM922の所定の領域)が更新される。
発射制御処理S1213においては、発射装置330による遊技球の発射を制御するための発射関連情報が更新される。具体的には、球送り機構331を駆動する球送りソレノイド332の作動フラグ及び発射機構333を駆動する発射ソレノイド334の作動フラグが更新される。
入力信号監視処理S1214においては、払出制御基板930を介した開閉検出スイッチ108(図10参照)からの信号の出力状態に基づいて、外枠101(図1及び図2参照)に対して中間ブロック103(図1及び図2参照)が閉鎖されているか否かが検知される。また、払出制御基板930(図10参照)を介した開閉検出スイッチ109からの信号の出力状態に基づいて、中間ブロック103(図2及び図3参照)に対して前ブロック102(図2及び図3参照)が閉鎖されているか否かが検知される。
払出状態監視処理S1215においては、払出制御基板930から出力される払出制御状態を示す情報が監視され、必要に応じて、払出制御状態に応じた各種の払出状態コマンドが設定される。なお、払出状態コマンドを受信した副制御基板940は、払出状態コマンドの種類に応じた報知を装飾図柄表示装置479、左上音響装置281及び右上音響装置282等に実行させる。
払出信号出力処理S1216においては、必要に応じて、第1払出カウンタ及び第2払出カウンタの値に基づいて各種の賞球コマンドを設定し、払出制御基板930に出力する。なお、第1払出カウンタ及び第2払出カウンタは、賞球コマンドの設定に応じて更新される。例えば、第1払出カウンタは、1回の入賞に相当する遊技球が検出される毎に1ずつ加算され、その入賞に基づく賞球コマンドが設定される毎に1ずつ減算される。払出制御基板930では、その入賞に対応する数(例えば、3個)の遊技球を払い出す制御を実行する毎に(詳細には、払い出しが完了する少し前に)、主制御基板920に賞球コマンドを要求し、賞球の払い出しが継続している状況においては、主制御基板920から更なる賞球コマンドが出力される。第2払出カウンタは、第1払出カウンタとは賞球数が異なる入賞(例えば、13個)に対応して更新されるカウンタであり、第2払出カウンタの値に基づく賞球コマンドを払出制御基板930が受信した場合には、払出制御基板930は、その賞球コマンドに対応した数分の遊技球を払い出す制御を実行する。
特別図柄関連処理S1217においては、第1特別図柄に係る単位遊技の権利の保留制御及び第1特別図柄に係る単位遊技の制御が実行される。具体的には、第1特別図柄に係る単位遊技の権利の保留制御において、第1特別図柄に係る特別図柄保留表示装置476の動作制御が実行される。また、第1特別図柄に係る単位遊技の制御において、第1特別図柄に係る特別図柄表示装置471の動作制御が実行され、第1特別図柄抽選において大当りに当選した場合には、下大入賞装置433及び上大入賞装置434の動作制御が更に実行される。
また、特別図柄関連処理S1217においては、第2特別図柄に係る単位遊技の権利の保留制御及び第2特別図柄に係る単位遊技の制御が実行される。具体的には、第2特別図柄に係る単位遊技の権利の保留制御において、第2特別図柄に係る特別図柄保留表示装置477の動作制御が実行される。また、第2特別図柄に係る単位遊技の制御において、第2特別図柄に係る特別図柄表示装置472の動作制御が実行され、第2特別図柄抽選において大当りに当選した場合には、下大入賞装置433及び上大入賞装置434の動作制御が更に実行される。
普通図柄関連処理S1218においては、普通図柄に係る単位遊技の権利の保留制御並びに普通図柄に係る単位遊技の制御が実行される。具体的には、普通図柄に係る単位遊技の権利の保留制御において、普通図柄保留表示装置478の動作制御が実行される。また、普通図柄に係る単位遊技の制御において、普通図柄に係る普通図柄表示装置473の動作制御が実行され、普通図柄抽選に当選した場合には更に右始動入賞装置432の動作制御が実行される。
表示制御処理S1219においては、特別図柄関連処理S1217における第1特別図柄に係る特別図柄表示装置471、第2特別図柄に係る特別図柄表示装置472、第1特別図柄に係る特別図柄保留表示装置476及び第2特別図柄に係る特別図柄保留表示装置477等の動作を制御するために更新される各種の情報に基づいて、それらの装置を具体的に作動させるための出力データが合成される。合成された出力データは、次回のタイマ割込みに基づく制御信号出力処理S1208において各装置に出力される。
モータ制御処理S1220においては、各種のモータの動作制御が実行される。外部情報出力処理S1221においては、パチンコ機100に電気的に接続されるデータ表示装置(図示せず)や管理装置(図示せず)等の外部装置に出力する出力データが設定される。
<複数の可動部材による演出>
次に、特典領域409V(図7参照)へ遊技球を進入させることが可能な場合に実行される複数の可動部材による演出について、図13を参照して説明する。図13は、左可動部材10と右可動部材20との動作を示す遊技盤400の正面図である。
特典領域409Vへ遊技球を進入させることが可能な場合には、左可動部材10と右可動部材20との2つ(複数)の可動部材を用いた演出が実行される。左可動部材10と右可動部材20とは、それらが離間して配置された姿勢(離間姿勢:図13中の破線)から、離間姿勢に比べて近接した姿勢(近接姿勢:図13中の実線)に変化する動作を行う構成としている。また、左可動部材10と右可動部材20とは、それらを近接姿勢とした場合に、遊技領域409へ遊技球が流下する入口部分409Eから特典領域409Vへ向かう方向側へ連続する配置(特典領域指示配置)をとる構成としている。これにより、別箇所に配置された左可動部材10や右可動部材20の姿勢を変化させることによって、この演出の発生を遊技者に気づかせ易くできる。また、連続して配置された左可動部材10と右可動部材20との全体によって、入口部分409Eから特典領域409Vへ向かう方向側に、遊技者の注意を引くことが可能になる。
遊技盤400には、その左方側において、左可動部材10が、破線で示す離間姿勢と実線で示す近接姿勢との間で姿勢を変化させる移動が可能に設けられる。また、左可動部材10より右側において、右可動部材20が、離間姿勢と近接姿勢との間で姿勢を変化させる移動が可能に設けられる。なお、左可動部材10や右可動部材20は、遊技盤400に設けられる構成に限らず、遊技盤400が取り付けられる中間ブロック103(図1及び図3参照)に設けられる構成や、中間ブロック103の前側に配置される前ブロック102(図1及び図3参照)に設けられる構成としてもよい。
具体的には、左可動部材10と右可動部材20とは、左可動部材10の入口部分409Eとは反対側の端部と、右可動部材20における特典領域409Vとは反対側の端部とが近接し、全体として入口部分409Eの近傍から特典領域409Vの近傍へ向けて連続する形状をなすように配置される。このため、入口部分409Eから特典領域409Vへ向かう方向側であって連続した形状が指す方向側に位置する特典領域409Vや、その特典領域409Vの形成された上大入賞装置434に、遊技者の注意を引くことが可能になる。なお、左可動部材10と右可動部材20とは、近接姿勢において、それらが一体物として遊技者に認識させ得る程度に接近しているが僅かに離間した状態となる構成としてもよいし、当接した状態となる構成としてもよい。また、特典領域409Vへ遊技球を進入させることが可能な場合に実行される演出において、左可動部材10と右可動部材20との2つの可動部材を用いる構成に限らず、3つ以上の可動部材を用い、各可動部材を他の少なくとも1つの可動部材と近接させる構成としてもよい。
また、左可動部材10は、遊技盤400の中央側から、中央構造体420の左側を通して遊技球を流下させる左流下領域409L(所定の第1領域)における入口部分409Eの近傍の領域の背後に亘る範囲に配置される。右可動部材20は、遊技盤400の中央側から、中央構造体420の右側を通して遊技球を流下させる右流下領域409R(所定の第2領域)における特典領域409Vの近傍の領域の背後に亘る範囲に配置される。この配置において、左可動部材10と右可動部材20とは、全体として、遊技盤400の中央側における遊技球の流下できない領域を跨いで、遊技球が流下可能な2つの領域を繋ぐように位置する。このため、左可動部材10と右可動部材20との大部分が遊技球の流下できない領域に配置されていても、それらの全体が遊技球の流下に関すること、例えば、入口部分409Eから遊技領域409に進入させる遊技球を特典領域409Vに進入させるべきであることや、特典領域409Vの設けられた左流下領域409Lに流下させるべきことを遊技者に想起させ易くすることが可能になる。なお、左可動部材10は、左流下領域409Lの背後まで延びるが入口部分409Eの背後までは至らない構成としたが、この構成に限らず、入口部分409Eの背後に至る構成としてもよいし、左流下領域409Lの背後まで至らない構成としてもよい。同様に、右可動部材20は、右流下領域409Rまで延びるが特典領域409Vの背後までは至らない構成としたが、この構成に限らず、特典領域409Vの背後に至る構成としてもよいし、右流下領域409Rの背後まで至らない構成としてもよい。
また、左可動部材10は、外形が概ね細長い長方形(例えば、長辺が短辺よりも2倍以上長い長方形)の形状(以下、単に、長方形状と称す)に形成され、その長手方向を入口部分409Eの近傍に向けて配置される。詳細には、左可動部材10は、その上側の長辺に対する入口部分409E側への延長線と、その下側の長辺に対する入口部分409E側への延長線との間に、入口部分409Eが位置するように配置される。このため、この左可動部材10の長手方向の先にある入口部分409Eを遊技者に意識させ易くすることが可能になる。また、左可動部材10は、その上側の長辺に対する特典領域409V側への延長線と、その下側の長辺に対する特典領域409V側への延長線との間に、特典領域409Vの少なくとも一部(例えば、特典領域409Vの入口)が位置するように配置される。このため、この左可動部材10は、単独でも、その長手方向の先に位置する特典領域409Vや、特典領域409Vを内部に設けた上大入賞装置434に、遊技者の注意を引くことが可能になる。なお、左可動部材10は、その外形が長方形状である構成に限らず、遊技領域409の中央側や入口部分409Eに向けて先細る台形状や三角形状である構成としてもよい。
また、右可動部材20は、長方形状の左可動部材10と同様に、外形が概ね細長い長方形の形状に形成され、その長手方向を特典領域409Vの近傍に向けて配置されている。詳細には、右可動部材20は、その上側の長辺に対する特典領域409V側への延長線とその下側の長辺に対する特典領域409V側への延長線との間に、特典領域409Vの形成された上大入賞装置434の一部(例えば、上大入賞装置434の入口に設けられる上進入規制機構454)が位置するように配置される。このため、この右可動部材20の長手方向の先にある上大入賞装置434やその内部に形成された特典領域409Vを遊技者に意識させ易くすることが可能になる。なお、右可動部材20は、その外形が長方形状である構成に限らず、その短手方向の幅が遊技領域409の中央側や特典領域409Vに向けて先細る台形状や三角形状である構成としてもよい。
また、長方形状の左可動部材10と長方形状の右可動部材20とは、それらの長手方向が入口部分409Eの近傍から特典領域409Vの近傍に向かう方向と同一の方向を向くように配置される。このため、左可動部材10と右可動部材20とが連続する方向側が、それらの長手方向の指す一方向であると、遊技者に認識させ易くすることができ、特典領域409Vやそれが形成された上大入賞装置434に、遊技者の注意を引き易くすることが可能になる。
また、長方形状の左可動部材10と長方形状の右可動部材20とは、折れ線形状をなすように配置されている。詳細には、左可動部材10と右可動部材20とは、全体として、左可動部材10の下側の長辺に対する延長線と、右可動部材20の上側の長辺に対する延長線との間に、入口部分409Eのと、特典領域409Vの形成された上大入賞装置434の概ね全体が位置するように配置される。このため、左可動部材10と右可動部材20とが連続する方向側において、それらの各幅(短手方向の長さ)よりも広い範囲に、遊技者の注意を引くことが可能になる。よって、特典領域409Vのみならず、特典領域409Vが形成された上大入賞装置434の動作(上進入規制機構454の開閉動作)や上大入賞装置434に進入する又は進入した遊技球の挙動にも、遊技者に注目させ易くすることが可能になる。なお、左可動部材10と右可動部材20とは、全体として折れ線形状をなす構成に限らず、例えば、全体として直線形状をなす構成や、全体として入口部分409E又は特典領域409Vの形成側に向かって先細る形状をなす構成や、全体として遊技盤400の中央側から入口部分409E及び特典領域409Vの形成側に向かって先細る構成や、入口部分409Eの形成側及び特典領域409Vの形成側から遊技盤400の中央側に向かって先細る構成としてもよい。
特典領域409Vは、遊技球が流下可能な遊技領域409のうち通常遊技状態において遊技球を流下させる左流下領域409L(所定の第1領域)とは別に設けられる右流下領域409R(所定の第2領域)に形成され、特典領域409Vには、右流下領域409Rに遊技球を流下させることによって遊技球を入球させることが可能な構成とする。また、遊技盤400において、入口部分409Eは、内レール403の上側の先端において戻り球防止機構404が設けられた左上側に形成される。
具体的には、遊技盤400には、遊技領域409として左流下領域409Lと右流下領域409Rとが設けられ、特典領域409Vは、右流下領域409Rに形成される。左流下領域409Lと右流下領域409Rとのいずれに遊技球を流下させるかは、遊技者による遊技球の発射操作、例えば、遊技球の発射強度の調整によって切り替え可能である。遊技者は、通常遊技状態においては、左流下領域409Lに遊技球を流下させ、通常遊技状態において後述する所定の条件を満たし、特典領域409Vへ遊技球を進入させることが可能な場合には、右流下領域409Rに遊技球を流下させる。詳細には、上大入賞装置434に遊技球が進入可能であり、かつ、振分機構437が誘導姿勢をとる特典入球可能状態では、右流下領域409Rに遊技球を流下させる。なお、特典領域409Vを右流下領域409Rに設け、通常遊技状態において左流下領域409Lに、特典入球可能状態において、右流下領域409Rに遊技球を流下させる構成に限らず、特典領域409Vを左流下領域409Lに設け、通常遊技状態において右流下領域409Rに、特典入球可能状態において左流下領域409Lに遊技球を流下させる構成としてもよい。また、遊技領域409を左右側に分けて、遊技者による遊技球の発射操作によって打ち分けが可能な2つの流下領域(左流下領域409L及び右流下領域409R)を設ける構成に限らず、打ち分けが可能な2つの流下領域を、例えば、遊技領域409の上側と下側とに分けて設けたり、遊技領域409の左上側と右下側に分けて設けたりする構成としてもよい。また、遊技領域409を遊技者による遊技球の発射操作によって打ち分けが可能な2つの流下領域に分ける構成に限らず、3つ以上の流下領域に分ける構成としてもよい。
また、特典領域409Vは、遊技盤400の左上側に形成される入口部分409Eに対して、遊技盤400の中央側を挟んで対角側に位置する遊技領域409の右下側に設けられる。なお、特典領域409Vは、遊技盤400の右下側に設けられる構成に限らず、入口部分409Eの水平方向の右側(遊技盤400の右上側)等の他の箇所に設けられる構成としてもよい。
長方形状の左可動部材10は、離間姿勢において、その長辺方向が左流下領域409Lの上側部分に沿って上下方向に向くように配置され、長方形状の右可動部材20は、離間姿勢において、その長辺方向が右流下領域409Rの上側部分に沿って上下方向を向くように配置される。なお、左可動部材10と右可動部材20とは、離間姿勢において、それらの長手方向が上下方向に向くように配置される構成に限らず、例えば、それらの長手方向が左右方向に向くように配置される構成や、それらの一方の長手方向が上下方向に向き、他方の長手方向が左右方向に向くように配置される構成としてもよい。更に、左可動部材10と右可動部材20とは、それらの長手方向が斜め方向に向くように配置される構成としてもよい。
長方形状の左可動部材10は、遊技盤400の左方側であって入口部分409Eの近傍を中心として、回転による移動が可能に支持される。このため、左可動部材10を離間姿勢から近接姿勢へ変化させる際に、回転中心から離れた一端側の部分(以下において、可動側端部とも称す)を右可動部材20に近づけるように右上側に移動させることができる。また、長方形状の右可動部材20は、遊技盤400の右方側であって特典領域409Vの近傍を中心として、回転による移動が可能に支持される。このため、右可動部材20を離間姿勢から近接姿勢へ変化させる際に、可動側端部を左可動部材10に近づけるように左下側に移動させることができる。なお、左可動部材10や右可動部材20は、回転によって、離間姿勢をとる配置と近接姿勢をとる配置との間の移動が可能に支持された構成に限らず、回転移動に代えて又は加えてスライド移動(傾きを変化させない直線的や曲線的な移動)により移動が可能な構成としてもよい。
長方形状の左可動部材10は、上側部分が入口部分409Eの近傍の背後に重なって配置され、下側部分が上側中始動入賞装置431Aの近傍に遊技球を誘導する中央構造体420に形成されたワープ通路421よりも下側に位置するように配置される。上側中始動入賞装置431Aの上方側には、遊技球を転動させつつ、一部の遊技球を上側中始動入賞装置431Aに進入させることが可能な上ステージ426が設けられ、ワープ通路421は、中央構造体420の左側に設けられる入口から上ステージ426に遊技球を案内する通路によって構成される。
また、長方形状の左可動部材10は、入口部分409Eの近傍の背後から、下側中始動入賞装置431Bの近傍に遊技球を誘導する誘導通路422の背後に亘って配置される。この誘導通路422は、左流下領域409Lの一部であって中央構造体420の左下側を経由して、下側中始動入賞装置431Bに向かう遊技球の通路部分によって構成される。
ここで、上側中始動入賞装置431Aや下側中始動入賞装置431Bは、遊技球の入球によって識別情報の変動表示の契機を与える装置であり、通常遊技状態において、遊技者は、この上側中始動入賞装置431Aや下側中始動入賞装置431Bへ遊技球を入球させることを目指して、左流下領域409Lに遊技球を流下させる。左可動部材10がワープ通路421や誘導通路422の背後まで至る長さに設定した場合、左可動部材10の可動側端部を、ワープ通路421や誘導通路422を横断するように、また、上側中始動入賞装置431Aや下側中始動入賞装置431Bの近傍を通過するように移動させることが可能になる。これにより、遊技者は、通常遊技状態において主たる演出を実行する装飾図柄表示装置479ではなく、上側中始動入賞装置431Aや下側中始動入賞装置431Bに向かって流下する遊技球の挙動に注目していたとしても、左可動部材10の離間姿勢から近接姿勢への移動に気付き易くなる。
左可動部材10と右可動部材20とは、装飾図柄表示装置479(表示手段)によって大当りに対応する装飾図柄の組み合わせ(所定の表示結果)が確定表示された場合に動作する構成とする。また、この場合に、左流下領域409L(第1領域)とは別に設けられる右流下領域409R(第2領域)に遊技球を流下させることによって特典領域409V(所定の特典領域)に遊技球を入球させることが可能な構成とする。すなわち、左可動部材10と右可動部材20とは、特典入球可能状態となる場合に動作する構成とする。なお、左可動部材10と右可動部材20とは、同時に動作を開始する構成としても、開始時期や終了時期をずらして動作を開始する構成としてもよい。
具体的には、遊技盤400には、左可動部材10や右可動部材20を動作させる動作手段が設けられる。遊技盤400には、図示しないが、動作手段として、左可動部材10を移動可能とする駆動機構と、この駆動機構に動力を供給する動力源とが設けられる。また、遊技盤400には、図示しないが、動作手段として、右可動部材20を移動可能とする駆動機構と、この駆動機構に動力を供給する動力源とが設けられる。なお、これらの駆動源としては、例えば、回転力を発生させるモータや、一直線方向への動力を発生させるソレノイドが利用できる。
また、駆動源は、副制御基板940に電気的に接続され、副制御基板940によって制御される。このため、左可動部材10と右可動部材20との動作は、副制御基板940による駆動源の制御によって、駆動機構を介して制御される。なお、左可動部材10や右可動部材20は、その動作を副制御基板940によって制御される構成に限らず、例えば、主制御基板920によって制御される構成としてもよい。
装飾図柄表示装置479は、遊技盤400の中央部分に配置され、装飾図柄(識別情報)の変動表示を行うと共に、変動表示の後に、装飾図柄の組み合わせを確定表示する構成とする。この装飾図柄表示装置479(表示手段)によって表示される表示内容は、副制御基板940によって制御される。
具体的には、装飾図柄の変動は、通常遊技状態において左流下領域409Lを流下させた遊技球が、上側中始動入賞装置431Aや下側中始動入賞装置431Bに進入することを契機として行われる。また、確定表示される装飾図柄の組み合わせは、その進入を契機とする抽選(第1特別図柄抽選)の結果に応じて決定される。詳細には、上側中始動入賞装置431Aや下側中始動入賞装置431Bへの遊技球の進入の検知や、その進入を契機とする抽選は、主制御基板920で実行されるが、副制御基板940は、主制御基板920からその検知に関するコマンドや抽選の結果に関するコマンドを受信可能に接続されており、それらのコマンドに基づいて、装飾図柄の変動表示や確定表示を制御する。なお、特典入球可能状態となる契機であって、左可動部材10と右可動部材20とが動作する契機は、装飾図柄の大当りに対応する組み合わせの確定表示に限らず、例えば、装飾図柄の小当りに対応する組み合わせの確定表示としてもよい。また、その契機は、装飾図柄表示装置479による表示結果とする構成に限らず、その表示結果に代えて又は加えて、装飾図柄表示装置479とは別の表示装置、例えば、第1特別図柄を変動表示したり確定表示したりする第1の特別図柄表示装置471や、第2特別図柄を変動表示したり確定表示したりする第2の特別図柄表示装置472による表示結果とする構成としてもよい。
また、特典領域409Vは、装飾図柄表示装置479によって大当りに対応する装飾図柄の組み合わせが確定表示された場合に動作する上大入賞装置434の内部に形成される。このため、上大入賞装置434が動作し、上大入賞装置434が進入許容状態となる場合、詳細には、上大入賞装置434の入口に設けられた上進入規制機構454が進入許容姿勢をとる場合に、特典領域409Vに遊技球が入球可能になる。
なお、特典領域409Vは、上大入賞装置434の内部に形成される構成に限らず、例えば、下大入賞装置433などの他の装置に形成される構成としてもよい。また、特典領域409Vは、上大入賞装置434の内部などの遊技球の流下が常には許容さない位置に形成された振分機構437によって特典領域409Vへの入球が規制される構成に限らず、遊技球の流下が常に可能な位置に形成された振分機構437によって規制される構成としてもよい。例えば、振分機構437を上進入規制機構454とする上大入賞装置を設ける構成や、特典領域409Vや振分機構437を大入賞装置434とは別体で右流下領域409Rに設ける構成としてもよい。
また、左可動部材10と右可動部材20とは、大当りに対応する装飾図柄の組み合わせが確定表示された後であって、上大入賞装置434の動作開始前(上進入規制機構454が進入禁止姿勢から進入許容姿勢への変化を開始する前)に、離間姿勢から近接姿勢への動作を開始する。このため、遊技者は、左可動部材10と右可動部材20とが近接姿勢となったことを見届けた後であって、上大入賞装置434が動作を開始する前に、遊技球の流下先を左流下領域409Lから右流下領域409Rに変更することが可能になる。なお、左可動部材10と右可動部材20とは、大当りに対応する装飾図柄の組み合わせが確定表示された後に動作する構成に限らず、確定表示と同時に動作する構成としてもよい。また、左可動部材10と右可動部材20とは、上大入賞装置434の動作開始前に限らず、上大入賞装置434の動作開始後に動作する構成、例えば、上大入賞装置434が進入許容状態となってから所定の期間に亘り特典領域409Vに遊技球が入球しない場合に動作する構成としてもよい。
また、左可動部材10と右可動部材20とは、特典領域409Vへ遊技球が入球した場合に、近接姿勢から離間姿勢への動作を開始する。このため、特典領域409Vへ遊技球が入球したことを、実際に遊技球が入球する挙動を見落としたとしても、左可動部材10と右可動部材20との動作によって知ることが可能になる。なお、左可動部材10と右可動部材20とは、それらの近接姿勢から離間姿勢への動作が特典領域409Vへ遊技球が入球した場合に実行される構成に限らず、上大入賞装置434が初回の進入許容状態である期間が終了した場合に実行される構成や、上大入賞装置434が動作開始から所定の時間(初回の進入許容状態の期間より短い又は長い時間)が経過した場合に実行される構成としてもよい。
特典領域409Vに遊技球が入球した場合には、特典領域409Vに遊技球が入球しない場合に比べて遊技者にとって有利な遊技状態へ遷移する構成としている。
具体的には、遊技盤400には、特典領域409Vに進入した遊技球を検出する特定通路スイッチ448が設けられる。また、この特定通路スイッチ448は、主制御基板920に電気的に接続され、特定通路スイッチ448による検出は、主制御基板920で検知される。主制御基板920において、この特定通路スイッチ448による検出に基づいて、特典領域409Vに遊技球が入球しない場合の遊技状態の制御と、特典領域409Vに遊技球が入球した場合の遊技状態の制御とを切り替える。
また、主制御基板920は、特典領域409Vに1球の遊技球が入球した場合に、その入球がない場合よりも有利な遊技状態へ遷移させる。なお、主制御基板920は、特典領域409Vに1球の遊技球を入球させることで有利な遊技状態へ遷移させる制御を行う構成に限らず、1以上の規定数の遊技球を入球させることで有利な遊技状態へ遷移させる制御を行う構成であってもよい。この構成の場合、左可動部材10と右可動部材20とは、規定数の遊技球が入球するまで近接姿勢を維持する構成としてもよいし、遊技球が入球するごとに、例えば、近接姿勢から離間姿勢に戻す又は離間姿勢までは戻さないまでもそれらを所定の間隔だけ離間させた姿勢とすることで近接姿勢を解除した後、再度近接姿勢とする構成としてもよい。
また、主制御基板920は、特典領域409Vに遊技球が入球しなかった場合に、特別遊技状態の終了後に時短遊技状態へ遷移させ、特典領域409Vに遊技球が入球した場合には、特別遊技状態の終了後に時短遊技状態より早期の大当たりを期待でき、賞球の獲得に関して有利な確変遊技状態に遷移させる。このため、遊技者は、確変遊技状態へ遷移させるために、特典入球可能状態において特典領域409Vに遊技球を入球させる必要があり、その特典入球可能状態となる場合に実行される左可動部材10と右可動部材20との動作によって確変遊技状態への遷移を確保し易くなる。なお、主制御基板920は、特典領域409Vへの入球の有無によって特別遊技状態後に確変遊技状態又は時短遊技状態に遷移させる構成に限らず、例えば、特別遊技状態における継続回数(ラウンド数)を異ならせるなどによって、特典領域409Vに遊技球が入球した場合には、賞球の獲得に関して特典領域409Vに遊技球が入球しなかった場合よりも有利な特別遊技状態に遷移させる構成としてもよい。また、主制御基板920は、特典領域409Vに遊技球が入球した場合に、賞球の獲得に関して有利遊技状態に遷移させる構成に限らず、例えば、プレミアム画像や映像の発生させる頻度を異ならせるなど、賞球の獲得に関する利益以外の利益を与える遊技状態に遷移させる構成としてもよい。更に、この遊技状態の遷移は、主制御基板920によらず、副制御基板940による制御によって実行される構成としてもよい。
上記のパチンコ機100において、左可動部材10と右可動部材20とは、左流下領域409Lに遊技球を流下させる通常遊技状態で装飾図柄表示装置479によって大当りに対応する装飾図柄の組み合わせが確定表示され、右流下領域409Rへの遊技球を流下させることで特典領域409Vへ遊技球を入球させることが可能な場合に動作し、互いに離間した離間姿勢をとる配置から、離間姿勢と比べて近接した近接姿勢をとる配置であって、遊技領域409へ遊技球が流下する入口部分409Eから特典領域409Vへ向かう方向側へ連続する特典領域指示配置に変化させる構成としている。この構成であれば、特典領域指示配置をとる左可動部材10と右可動部材20とによって、それらが連続する方向側に遊技者の注意を引き易くすることを可能にするばかりでなく、それらを離間した異なる箇所から移動させることによって、それらの少なくとも一方の動作を遊技者に気付かせ易くすることも可能にすることができる。これにより、左可動部材10と右可動部材20とが連続する方向側に設けた特典領域409Vに遊技球を入球させるべきこと、また、そのために遊技球の流下先を左流下領域409Lから右流下領域409Rに切り替えることを遊技者に知らせ、特典領域409Vへ遊技球を入球させることで得られる利益が損なわれてしまうことを抑制できる。したがって、特典領域409Vへ遊技球を進入させることが可能な場合に、左可動部材10と右可動部材20との動作により、好適な演出を実行できる。
更に、左可動部材10と右可動部材20とは、近接姿勢において、それらが連続する形状(例えば、上記の折れ線形状)や、それらの個別の形状(例えば、上記の細長い長方形状)によって、特典領域409Vの近傍(特典領域409Vそのものや特典領域409Vへの遊技球の進入に関与する上大入賞装置434)を指し示すことも可能になり、遊技者の意識を向かわせたりすることも可能になる。これにより、左可動部材10と右可動部材20とは、それらが連続する方向によって遊技球を右流下領域409Rに流下させるべきことを遊技者に気づかせたり、左可動部材10と右可動部材20との長手方向が指し示す特典領域409Vそのものや特典領域409Vが形成された上大入賞装置434に遊技者の意識を向かわせたりすることが可能になる。
ここで、左可動部材10と右可動部材20とによる好適な演出に関する他の特徴的な構成について説明する。
左可動部材10と右可動部材20には、それらの近接姿勢において、入口部分409Eから特典領域409Vへ向かう方向側へ並び、その方向側に沿って順次に発光する発光手段が設けられる。
具体的には、発光手段として、左可動部材10には、その長手方向に沿って一列に配置した複数の発光素子19が設けられ、また、右可動部材20にも、同様に複数の発光素子29が設けられる。左可動部材10と右可動部材20とが近接姿勢の配置となった場合に、左可動部材10の複数の発光素子19を左上側から右下側に向けて順次に発光させ、複数の発光素子19の発光に引き続き、右可動部材20の複数の発光素子29を左上側から右下側に向けて順次に発光させる。このため、単に左可動部材10と右可動部材20とを近接姿勢の配置とする場合に比べて、左可動部材10と右可動部材20との一体感を高め、入口部分409Eから特典領域409Vへ向かう方向側に遊技者の意識を更に好適に向かわせることが可能になる。特に、右可動部材20より右下側であって複数の発光素子29による順次の発光により示される方向に配置された特典領域409Vや上大入賞装置434に遊技者の意識を向かわせることが可能になる。
なお、複数の発光素子19や複数の発光素子29は、左可動部材10や右可動部材20の長手方向に沿って一列に配置した構成に限らず、その長手方向とは異なる方向に沿って一列に配置する構成としてもよい。また、複数の発光素子19の配列方向と複数の発光素子29の配列方向とは、左可動部材10と右可動部材20とが近接姿勢の配置である場合に同一方向となる構成に限らず、それらの配列方向が異なる方向となる構成としてもよい。また、左可動部材10や右可動部材20には、一列に配列した複数の発光素子19や複数の発光素子29を設ける構成に限らず、複数列を形成するように発光素子を設ける構成としてもよい。また、直線的に配列した複数の発光素子19及び複数の発光素子29を順次に発光させることにより、特定の方向を直線的に指示する構成に限らず、特定方向を折れ線又は曲線に沿う順次に発光させることにより指示することが可能に、複数の発光素子19及び複数の発光素子29を配列する構成としてもよい。
左可動部材10には、複数の発光素子19とは別に左可動部材10を全体的に発光させる多数の発光素子(図示せず)を設けられる。また、通常遊技状態のように遊技球を左流下領域409Lで流下させるべき場合には、離間姿勢である左可動部材10をその多数の発光素子により発光させる。このため、離間姿勢において左流下領域409Lにおける遊技球の流下方向に沿うように配置された左可動部材10の全体的な発光によって、遊技球を左流下領域409Lに流下させて遊技を行うように遊技者に注意喚起を行うことが可能になる。
同様に、右可動部材20には、複数の発光素子29とは別に右可動部材20を全体的に発光させる多数の発光素子(図示せず)を設け、特別遊技状態のように遊技球を右流下領域409Rで流下させるべき場合には、離間姿勢である右可動部材20をその多数の発光素子により発光させる。このため、離間姿勢において右流下領域409Rにおける遊技球の流下方向に沿うように配置された右可動部材20の全体的な発光によって、遊技球を右流下領域409Rに流下させて遊技を行うように遊技者に注意喚起を行うことが可能になる。
<同一の光源による複数の装飾部への光照射の形態>
次に、光源30から一の装飾部に向けて出力された光の一部を他の装飾部に向けて方向転換させることで同一の光源30からの光に基づく光を他の装飾部に照射し、また、他の装飾部に向けて方向転換された光の一部を一の装飾部に向けて更に方向転換させ、少なくとも一の装飾部に対して他の装飾部に向けて方向転換される前の光と共にその後に進行する光を照射することで、複数の装飾部による好適な演出を実行する構成について、図14~図16を参照して説明する。図14は、遊技盤400の斜視図である。図15は、図7のXM-XM線を含む切断面による複数の装飾部の近傍を示す斜視図及び断面図である。図16は、図7のXD-XD線を含む切断面による複数の装飾部の近傍を示す斜視図及び断面図である。なお、図15(A)及び図16(A)の斜視図においては、複数の装飾部のうち前方側に配置される装飾部(前方側装飾部50)の一部を除去した状態が図示されている。また、図15(B)、図15(C)、図16(B)及び図16(C)の断面図には、要部のみを簡素化し、第1の装飾部や第2の装飾部に照射される光の経路を例示している。また、後に参照する図17(A)~(C)についても同様である。
図14に示すように、複数の装飾部として、遊技盤400の左側であって上下方向の中央部分に、前方側装飾部50(第1の装飾部)と、左可動部材10の一部で構成され、前方側装飾部50よりも後方側(遊技盤400の前後方向の後方側)に位置する後方側装飾部11(第2の装飾部)とが設けられる。前方側装飾部50は、遊技盤400の基体401の裏側に一部が重なるようにして設けられるものの、基体401が透明な樹脂で構成されることにより、基体401の背面側に重なる前方側装飾部50の一部分も遊技者から視認可能となっている。
前方側装飾部50と後方側装飾部11とによる演出は、前方側装飾部50より後方側であるが後方側装飾部11よりも前方側に配置された光源30(図15も参照)から出力された光を用い、前方側装飾部50や後方側装飾部11を発光した状態となるようにして実行される。このとき、前方側装飾部50は、光源30から出力された光が後方側から照射されることで発光した状態となり、一方、後方側装飾部11は、前方側装飾部50の裏面50B(後方側出力手段)で反射された光が前方側から照射されることで発光した状態となる。また、前方側装飾部50は、前方部材41の背後に取り付けられる後方部材42の一部で構成され、前方側装飾部50と後方側装飾部11との間に位置する後方窓61(別方向反射手段)における反射により方向転換された光が照射されることでも発光した状態となる。これにより、前方側装飾部50と後方側装飾部11とによる演出において、光源30の個数を減らして製造コストを低減しつつも、その限られた数の光源30を用いて前方側装飾部50と後方側装飾部11との双方を発光した状態とすることができる。
前方側装飾部50は、光源30のLED素子32L,32Rから出力された光を遊技者が位置する前方側へ通過可能であって、遊技者が位置する表面側から視認した場合に発光した状態をとることが可能な構成とする。
具体的には、前方側装飾部50は、光源30より前方側に位置し、前方部材41の一部として構成される平板状の前方窓51と、前方窓51の背面に当接して設けられ、絵柄(遊技のモチーフとなるキャラクタ等)が描かれた装飾板52とで構成される。前方窓51を構成する前方部材41は無色透明の材料で形成され、また、装飾板52は、光透過性の材料で形成される。このため、光源30から出力された光であって前方側装飾部50で反射する前の光(以下、1次光とも称す)を裏面50B側から照射することで、装飾板52を発光した状態にでき、その発光を前方窓51を通して遊技者が位置する表面側から視認することができる。また、前方窓51を無色透明の材料で形成することで、前方窓51による光の吸収を抑制して効率的な照射を可能にしている。なお、前方窓51は、無色透明に形成される構成に限らず、有色透明に形成される構成としてもよい。前方側装飾部50を有色透明に形成する場合には、その色は、均一な単色である構成や、同一の色でグラデーションをつける構成や、部位によって配色を異ならせる構成としてもよい。また、前方窓51や装飾板52は、その厚みが略均一な板状の構成に限らず、その厚みが均一でない構成としてもよい。
光源30は、電子部品が搭載される発光基板31と、発光基板31の一面側に設けられ、斜め前側(所定の方向側)に向けて光を出力する向きに配置された複数のLED素子32L,32R(発光手段)とを備える構成とする。
具体的には、光源30は、発光基板31の一面(以下、素子面)に、上下方向に所定の間隔で並ぶ7つのLED素子32L(図14においては6つのみが示されている)と、7つのLED素子32Lよりも遊技盤400の中央側において上下方向に所定の間隔で並ぶ7つのLED素子32Rとを備えている。各LED素子32L,32Rは、発光基板31の素子面に垂直な方向を最も輝度の高い方向(以下、主方向とも称す:図15(B)等における破線)とし、所定の角度範囲(例えば、15度)で広がる光を出力する。なお、発光基板31に設けられるLED素子32L,32Rの個数や配置は、上記の構成に限らず、適宜に設計できる。
図15(A)や図15(B)等に示すように、発光基板31は、遊技盤400の上下方向の上方から見て(以下、上方視)、その素子面が遊技盤400の前後方向に対して所定の角度をなす方向を向くように配置され、各LED素子32L,32Rからの1次光は、その主方向が前方窓51や装飾板52の背面に対して90度とは異なる所定の角度で前方側装飾部50に照射される。このため、後方側に出力される光の量を、90度をなす方向に配置する場合に比べて大きくできる。この所定の角度は、後方側装飾部11の位置や、前方側装飾部50の前方側に出力すべき光の量とその後方側に出力すべき光の量との分配を考慮して設定されている。
なお、光源30と前方側装飾部50との間には、後方部材42の一部を構成する無色透明の平板状の光進入窓62が設けられるが、光進入窓62は、上方から見て、各LED素子32L,32Rに基づく1次光の主方向に対して90度で交差するように配置し、光進入窓62での反射による光の量の減少が最小となるようにしている。また、光進入窓62の厚みを略均一とし、光進入窓62を通過する前後で光の進行方向を変化させない構成としているが、光進入窓62における前方側装飾部50側の面が光源30側の面に対して所定の角度で傾斜する板状の形状とし、光進入窓62を通過する前後で屈折により光の進行方向を一律に変化させる構成としてもよい。また、光進入窓62は、各LED素子32L,32Rに基づく1次光が内部を光進入窓62を形成する後方部材42の内部を通過する構成としているが、この構成に限らず、光進入窓62に開口や切り欠きを設け、1次光が後方部材42の内部ではなく開口や切り欠きを通して通過する構成としてもよい。更に、光進入窓62を設けず、各LED素子32L,32Rからの1次光を直接に前方側装飾部50に照射する構成としてもよい。
前方側装飾部50は、その裏面50B側にて、光源30の複数のLED素子32L,32Rから出力される前方側とは逆の後方側へ光を出力する裏面50B(後方側光出力手段)を備える構成とする。
具体的には、前方側装飾部50は、その裏面50Bが平坦で滑らかな平面とされる。このため、各LED素子32L,32Rに基づく1次光の一部を前方側装飾部50を通過させ、また、その一部を前方側装飾部50で反射させ、後方側へ光(以下において、2次光とも称す)を出力することができる。この2次光は、前方側装飾部50を構成する装飾板52の背面で反射したり、装飾板52と前方窓51との境界面で反射したりすることで、前方側装飾部50の裏面50B側に出力される。なお、装飾板52や前方窓51は、その背面が平坦で滑らかな平面とする構成に限らず、その背面が滑らかな円弧形状や湾曲形状等の曲面に形成する構成としてもよい。この構成の場合、平面で反射させる場合に比べて、2次光の広がりを曲面の形状により大きくしたり、小さくしたりすることも可能になる。また、前方側装飾部50は、装飾板52が前方窓51に当接する構成に限らず、離間させる構成としてもよい。また、前方側装飾部50は、装飾板52を前方窓51の背面側に配置する構成に限らず、装飾板52を前方窓51の前面側に配置する構成としてもよい。装飾板52を前方窓51の前面側に配置する場合、装飾板52により光が吸収される前に2次光を出力でき、装飾板52を前方窓51の背面側に配置する場合に比べて、2次光の強度を相対的に大きくすることも可能になる。更に、前方側装飾部50によりその後方側へ光を出力可能な構成に限らず、例えば、装飾板52の裏面側に前方窓51や装飾板52とは別体の反射部(図示せず)を設ける構成としてもよい。この構成の場合、反射部によって、前方窓51や装飾板52の配置や形状に依らず2次光を所定の方向に出力することや、別体の反射部の裏面を凹面として2次光を所定の方向に集まるように又はその裏面を凸面として2次光を広がるように出力させたりすることも可能になる。
後方側装飾部11は、前方側装飾部50の裏面(後方側光出力手段)から出力された光が照射される部位に、前方側装飾部50(第1の装飾部)とは別に設けられ、光源30を構成する発光基板31より後方側に設けられる構成とする。
具体的には、後方側装飾部11は、左可動部材10の一部として設けられ、左可動部材10が離間姿勢である場合に、前方側装飾部50と離間し、1次光は照射されないが2次光は照射される部位に位置する。詳細には、後方側装飾部11は、その上側の部分が前方側装飾部50と前後に重ならず、その中央側の部分が前方側装飾部50と部分的に前後に重なり、その下側の部分が前方側装飾部50と前後に重なるように配置され、着席した遊技者の視点で、その中央側の部分が左右方向の全体に亘り視認可能に、また、その下側の部分が、左右方向の少なくとも一部を視認可能に配置されている。このため、遊技者は、後方側装飾部11と前方側装飾部50との隙間を通して、2次光が照射された後方側装飾部11を視認することができる。また、1次光の前方側装飾部50への照射を阻害することなく、2次光を後方側装飾部11に照射することができる。以下において、後方側装飾部11は、左可動部材10が離間姿勢をとる場合の位置に配置されているとして説明する。なお、後方側装飾部11は、左可動部材10の一部として移動可能に設けられる構成に限らず、移動不能に設けられる構成としてもよい。更に、前方側装飾部50についても、移動不能に設けられる構成としても、移動可能に設けられる構成としてもよく、前方側装飾部50と後方側装飾部11とが特定の位置に配置されている状態において、光源30からの1次光によって前方側装飾部50が照明され、その2次光によって後方側装飾部11が照明できる構成であればよい。
また、後方側装飾部11は、その一部が前後方向に(正面視で)前方側装飾部50と重なる位置に設けられ、少なくともその重なる部分が2次光によって照明される。このため、その重なる部分であって外光(例えば、パチンコ機100を設置する空間に設けられた照明機器からの光)によって照明されない又は照明され難い部分を、光源30からの光によって照明でき、この光による照明がない場合に比べて、後方側装飾部11の全体に対する照明の均一性を向上させることが可能になる。なお、後方側装飾部11は、その一部が前後方向に前方側装飾部50と重なる位置に設けられる構成に限らず、その全体が前後方向に前方側装飾部50と重なる位置に設けられる構成や、前方側装飾部50とは前後方向に重ならない位置に設けられる構成としてもよい。
また、光源30が遊技盤400の左端近傍に設けられ、前方側装飾部50が光源よりも右側に設けられ、後方側装飾部11は、光源30や前方側装飾部50よりも遊技盤400の中央側に設けられる。このため、遊技盤400の中央側の前側(遊技者の視線)から見て、2次光が照射された後方側装飾部11を、後方側装飾部11と前方側装飾部50との隙間を通して視認し易くすることが可能になる。なお、光源30と、前方側装飾部50と、後方側装飾部11とをこの順で左端近傍から中央側に向けてずらして配置する構成に限らず、それらを右端近傍や上端近傍や下端近傍から中央側にずらして配置する構成としてもよい。
前方側装飾部50(後方側光出力手段)によって後方側へ出力された光を後方側装飾部11(第2の装飾部)とは別の方向側へ反射可能な後方窓61(別方向反射手段)を備える構成とする。
具体的には、図15(B)及び図16(B)等に示すように、前方側装飾部50と後方側装飾部11との間に、前方窓51より後方に位置する後方窓61を設け、後方窓61における前面61F(前方側装飾部側の面)において、前方側装飾部50から後方側装飾部11へ向かう2次光の一部を通過させ、その2次光の一部を前面61Fで反射させる構成とする。後方窓61を構成する後方部材42は、無色の光透過性の材料(例えば、透明樹脂)で形成される。このため、前方側装飾部50によって後方側へ出力された光の一部を通過させ、また、その光の一部を反射させることができる。なお、後方窓61は、無色の光透過性の材料で形成される構成としているが、この構成に限らず、有色の光透過性の材料で形成される構成であってもよい。
また、後方窓61は、概ね平板形状に形成され、上方視で前方側装飾部50に対して、前方側装飾部50との間隔が光源30から遠ざかるにつれて狭くなるように傾斜させて配置する。また、後方窓61は、後方窓61の前面61Fに垂直な方向がLED素子32L,32Rに基づく2次光の主方向に対して垂直とは異なる所定の角度(例えば、30度の角度範囲)で傾斜させて配置する。このため、後方窓61を通して2次光の一部を通過させつつ、前方側装飾部50から後方窓61に向かって来た経路を逆戻りし、前方側装飾部50において1次光で照射される箇所と、後方窓61で反射した光(以下、3次光とも称す)で照射される箇所が同一となることを抑制できる。
ここで、具体例に基づいて説明する。図15(B)に示すように、LED素子32Lから出力される光であって経路ML1(実線)で進行する光は、前方側装飾部50の裏面50Bの反射点P1で、その一部が前方側装飾部50を通過し、その一部が後方側装飾部11に向けて進行する。後方窓61の前面61Fに到達した光は、その一部が後方窓61を通過して後方側装飾部11に照射され、また、その一部は後方窓61の前面61Fで反射して、後方側装飾部11に向けて進行する。また、LED素子32Lから出力される光であって経路ML2(一点鎖線)も同様であるが、経路ML1の光は、反射点P1よりも左側の反射点P2に向かい更に反射や通過を繰り返し、経路ML2の光は、反射点P1よりも右側の反射点P3に向かい更に反射や通過を繰り返す。これにより、LED素子32Lから出力された光によって、1次光で照射される箇所と3次光で照射される箇所とを異ならせることができ、更に、1次光で照射される箇所に対して左右の両側を照射することもできる。これは、図15(C)に示すLED素子32Rから出力される光についても同様であり、前方側装飾部50における反射点P4で反射した光は、その一部が反射点P4より左側の反射点P5に照射され、反射点P6で反射した光は、その一部が反射点P6よりも右側に照射される。これにより、前方側装飾部50を左右方向の全体に亘って1次光を照射できなくても、1次光と3次光とによって、前方側装飾部50の全体に光を照射することが可能になる。また、3次光は、1次光よりも長い経路を辿った後に、前方側装飾部50に照射されるので、その照射範囲が大きくなり、前方側装飾部50の全体に照射され易くなる。
後方窓61は、上方視の断面において、その前面61Fが僅かに凹むように湾曲し、3次光を、前方側装飾部50におけるLED素子32Rに基づく1次光の照射位置よりも左側に向けて出力し、LED素子32Rに基づく3次光を、前方側装飾部50におけるLED素子32Lに基づく1次光による照射位置よりも右側に向けて出力しやすい形状としている。
また、図16(A)~(C)に示すように、前方側装飾部50が後方側装飾部11を前後方向に覆う範囲が図16(A)~(C)に示す場合より大きい場合には、前方側装飾部50の右側への突出量に応じて、後方窓の傾斜が小さくなる構成としている。このため、図16(B)及び図16(C)に示すように、前方側装飾部50の背面と後方窓61の前面61Fとで繰り返しの反射により、前方側装飾部50の左端側に光(経路DL1)を進行させ易くできたり、また、右端側に光(経路DL2,経路DR)を進行させ易くできたりする。したがって、前方側装飾部50の左右方向の長さが大きくなったとしても、その全体に、各LED素子32L,32Rからの光を照射することが可能になる。
また、後方窓61は、前方側装飾部50の前方窓51を形成する前方部材41とは別の後方部材42で形成される。このため、前方側装飾部50の装飾板52を前方窓51の背面に固定した後に、前方窓51を構成する前方部材41と後方窓61を形成する後方部材42とを組み付けることで、装飾板52を後方窓61と前方窓51との間に簡単に配置することができる。なお、後方窓61は、前方側装飾部50を形成する部材と同一の部材に形成される構成としてもよい。
上記で説明したように、パチンコ機100において、所定の方向側に向けて光を出力するLED素子32LやLED素子32Rからの光を遊技者が位置する前方側へ通過可能な前方側装飾部50と、前方側装飾部50の背面にて、遊技者が位置する前方側とは逆の後方側へLED素子32LやLED素子32Rから発光された光を出力する前方側装飾部50の裏面50Bと、その裏面50Bから出力された光の一部が照射される部位に前方側装飾部50とは別に設けられる後方側装飾部11とを備える構成としている。これにより、LED素子32LやLED素子32Rから出力された光によって前方側装飾部50を発光させると共に、同一のLED素子32L,32Rに基づく光であって前方側装飾部50の裏面50Bから出力された光によって後方側装飾部11を発光させることができ、装飾部ごとに専用の光源を設ける場合に比べて部品数を減らし製造コストを抑えることができる。
また、パチンコ機100において、後方側装飾部11は、光源30の発光基板31より後方側に設ける構成としている。これにより、LED素子32L,32Rからの光が直接には照射されない場所に配置された後方側装飾部11に対して、前方側装飾部50をその裏面50B側に照射される光によって発光させるのとは異なり、表面側から照射される光によって発光させることで、同一のLED素子32L,32Rに基づく光によって発光させたとしても、前方側装飾部50と後方側装飾部11とで発光の仕方を異ならせることができる。
また、前方側装飾部50の背面によって後方側へ出力された光を後方側装飾部11とは別の方向側へ反射可能な構成としている。これにより、前方側装飾部50の背面で反射した後の光を、例えば、前方側装飾部50の背面での反射を介さずに前方側装飾部50や後方側装飾部11に照射される光とは異なる照射位置や照射角度で照射するなど、各LED素子32L,32Rから所定の方向側に向けて出力した光を多様な形態で前方側装飾部50や後方側装飾部11に照射することで、前方側装飾部50と後方側装飾部11との発光の見栄えを向上させることが可能になる。
したがって、前方側装飾部50や後方側装飾部11による演出において、限られた数のLED素子32L,32Rを用いたとしても、遊技者に対して、あたかも、実際に用いたLED素子32L,32Rの個数(14個)よりも多数のLED素子からの光が前方側装飾部50や後方側装飾部11に照射されているかのように見せることができ、前方側装飾部50や後方側装飾部11による好適な演出を実行することができる。
以下において、前方側装飾部50及び後方側装飾部11への光の照射に関する更なる特徴的な構成について、図17を参照して説明する。図17は、図7のXU-XU線を含む切断面による複数の装飾部の近傍を示す斜視図及び断面図である。
図17(A)~(C)に示すように、光進入窓62は、その前面62F(前方側装飾部50が位置する側の面)が、後方窓61の前面61Fから出力された3次光が照射される部位であって前方側装飾部50と光源30のLED素子32L,32Rとの間に設けられ、3次光の少なくとも一部を前方側装飾部50が設けられる側に反射可能な構成とする。また、前方部材41と後方部材42とを組み付けることにより、前方側装飾部50の裏面50Bと後方窓61の前面61Fと光進入窓62の前面62Fとで周辺部分が囲まれる空間であって、光源30から所定の方向に出力された光を、それらの3面で繰り返し反射させることが可能な空間(以下において、発光空間40とも称す)を形成する構成とする。例えば、図17(B)や図17(C)に示すように、発光空間40は、その内側において、光源30から出力された1次光が、前方側装飾部50の裏面と後方窓61の前面61Fとで反射した後、光進入窓62の裏面62B(光源30が位置する側の面)で更に反射して、前方側装飾部50に再度照射される進行経路UL1,UR1を辿ることを可能にする構成とする。これにより、後方窓61の裏面50Bで前方側装飾部50に向かうように反射されなかった光であっても、光進入窓62の前面62Fでの反射によって前方側装飾部50に再度向かわせることも可能になり、光進入窓62を設けない又は光進入窓62の前面62Fが反射性を有さない構成とする場合に比べて、光進入窓62を通して発光空間40に進入した光を前方側装飾部50や後方側装飾部11に効率よく照射することが可能になる。
具体的には、発光空間40は、後方窓61の左端と光進入窓62の右端が連続し、また、光進入窓62の左端と前方側装飾部50の左端とが左接続部63を介して連続し、また、前方側装飾部50の右端と後方窓61の右端とが右接続部64を介して連続し、断面視で周辺部分の全体が囲まれる閉鎖した空間に形成する。前方側装飾部50と後方窓61との間を接続する左接続部63や前方側装飾部50と光進入窓62との間を接続する右接続部64を設けることで、それらの接続部を設けない場合に比べて、前方側装飾部50と後方窓61や光進入窓62との間から発光空間40の外部に放出され前方側装飾部50や後方側装飾部11の発光に寄与しない光を抑制できる。なお、前方側装飾部50と後方窓61とは、それらが右接続部64を介して連続する構成に限らず、それらが右接続部64を介さずに連続する構成としてもよい。同様に、前方側装飾部50と光進入窓62とは、それらが左接続部63を介して連続する構成に限らず、それらが左接続部63を介さずに連続する構成としてもよい。
発光空間40は、前方側装飾部50や後方側装飾部を効率よく発光させる観点からは断面視で閉鎖された空間に形成される構成であることが好ましいが、これに限らず、右接続部64を設けずに前方側装飾部50と後方窓61との間に隙間を形成したり、左接続部63を設けずに前方側装飾部50と光進入窓62との間に隙間を形成したりするなど、断面視で完全には閉鎖されていない空間を形成する構成であってもよい。また、光進入窓62を通して発光空間40の外部に放出される光は、前方側装飾部50や後方側装飾部11の発光には寄与しないために、光進入窓62は、その前面62F又は裏面62Bに光源30からの光が通過する範囲を除き反射シートを設けるなどして光進入窓62における発光空間40側への反射率を高める構成としてもよい。
また、発光空間40は、その内側において、光源30から出力された1次光が、前方側装飾部50の裏面50Bと後方窓61の前面61Fとで反射した後、左接続部63の右面63Lで更に反射して、前方側装飾部50に再度照射される進行経路UL2,UR2を辿ることを可能にする構成とする。これにより、光進入窓62の前面62Fを反射可能に構成した場合と同様の理由により、光進入窓62を通して発光空間40に進入した光を前方側装飾部50や後方側装飾部11に効率よく照射することが可能になる。また、右接続部64についても、左接続部63と同様である。
なお、発光空間40は、その周辺部分を囲う窓であって前方側装飾部50とは異なる装飾部(後方側装飾部11)を発光させる光が通過する窓を、遊技者が視認可能でない向きに配置された後方窓61を備え、後方窓61を通過した光を後方側装飾部11の前面側から照射可能な構成としている。しかし、この構成に限らず、後方窓61や後方側装飾部11に代えて又は加えて、前方側装飾部50とは異なる装飾部を発光させる光が通過する窓を、遊技者が視認可能な向きに配置し、当該遊技者が視認可能な向きに配置された視認可能窓に重なるように、装飾板52と同様の他の装飾板などの装飾部品を設け、当該装飾板を背面側からの光照射により発光した状態とする構成としてもよい。この構成において、他の装飾板は、視認可能窓の表面側に当接して又は離間させて配置する構成としてもよいし、視認可能窓の裏面側に当接して又は離間させて配置する構成としてもよい。
なお、本発明は、上記実施形態に限られることはなく、例えば、以下に記載するように変形して実施しても良い。この場合に、以下に記載する各構成を上記実施形態に対して適用しても良く、以下に記載する複数の構成を組み合わせて上記実施形態に対して適用しても良い。
上記実施形態においては、特典領域409Vの近傍(特典領域409Vそのものや特典領域409Vへの遊技球の進入に関与する上大入賞装置434)を指し示すことを可能としたり、遊技者の意識を向かわせたりすることが可能な構成として、複数の可動部材10,20の動作の組み合わせと、それら可動部材10,20に設けられる発光素子19を発光させる発光演出との両方を実施する構成について説明したが、必ずしも動作の組み合わせと発光演出との両方を実施する必要はなく、いずれか一方のみを実施するように構成してもよく、例えば、1つの可動部材に設けられる発光素子19を用いて特定の方向を指示(示唆)するようにしてもよい。
本発明を上記実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当りすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当り状態が発生するまで、大当り期待値が高められるようなパチンコ機として実施しても良い。また、大当り図柄が表示された後に、所定の領域に球が入賞することを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施しても良い。また、球が循環する封入式のパチンコ機に実施しても良い。さらに、パチンコ機以外にも、アレンジボール型パチンコ、雀球等の各種遊技機として実施するようにしても良い。また、パチンコ機に限定されることはなく、スロットマシンに適用しても良く、パチンコ機とスロットマシンとを融合した形式のパロット等の遊技機に適用しても良い。
<上記実施形態から抽出される発明>
以下、上記した実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて課題及び効果等を示しつつ説明する。なお、以下においては、理解の容易のため、上記各実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。また、各特徴に記載した用語の意味や例示等は、同一の文言にて記載した他の特徴に記載した用語の意味や例示として適用しても良い。
<特徴10>
識別情報の変動表示を行う表示手段(例えば、装飾図柄表示装置479)と、該表示手段によって表示される表示内容を制御する制御手段(例えば、副制御基板940)とを備え、遊技球が流下可能な遊技領域(遊技領域409)のうち通常遊技状態において所定の第1領域(例えば、左流下領域409L)に遊技球を流下させて遊技を行い、前記表示手段によって所定の表示結果(例えば、大当りに対応する装飾図柄の組み合わせ)が表示された場合には前記第1領域とは別に設けられる第2領域(例えば、右流下領域409R)に遊技球を流下させることによって所定の特典領域(例えば、特典領域409V)に遊技球を入球させることが可能であり、該特典領域に遊技球が入球した場合には当該特典領域に遊技球が入球しない場合(例えば、時短遊技状態)に比べて遊技者にとって有利な遊技状態(例えば、確変遊技状態)へ遷移可能に構成された遊技機において、
前記通常遊技状態において複数箇所に離間して配置された離間姿勢をとる複数の可動部材を備え、
前記所定の表示結果が表示された場合に前記複数の可動部材が動作し、当該複数の可動部材の一部が前記離間姿勢と比べて近接又は当接した状態をとり、前記遊技領域へ遊技球が流下する入口部分から前記特典領域へ向かう方向側へ前記複数の可動部材が連続する特典領域指示配置をとるように構成されていることを特徴とする遊技機。
遊技機の代表例としてパチンコ機がある。従来の典型的なパチンコ機においては、例えば、通常の遊技状態においては遊技球の発射強度の小さい左打ちにより遊技球を所定の左側の流下領域に遊技球を流下させ、通常の遊技状態よりも遊技者にとって有利な遊技状態においては遊技球の発射強度が左打ちの場合より大きい右打ちにより遊技球を右側の流下領域を流下させて遊技を行う等、遊技の進行に伴って遊技球の打ち出しの仕方を変化させる構成とされる。このような遊技機において、通常の遊技状態から有利な遊技状態への遊技状態の切り替わりに際して、右側の流下領域を流下する遊技球が進入可能な特定の装置や領域(以下、これらを特典領域と称す)に遊技球を進入させることを条件とする構成が知られている(例えば、特開2011-45422号公報)。この構成において、特典領域へ遊技球を進入させることが可能となる機会を得た場合に、右打ちで遊技球を打ち出すように、液晶表示装置における文字や図形による表示等によって報知し、遊技者が不利益を被ることを抑制している。
しかしながら、特典領域へ遊技球を進入させることが可能な場合に、好適な演出を実行する構成について、未だ改良の余地がある可能性がある。
これに対し、特徴10に記載の遊技機であれば、特典領域へ遊技球を進入させることが可能な場合に、好適な演出を実行可能な遊技機を提供することができる。すなわち、表示手段によって所定の表示結果が表示され、特典領域へ遊技球を入球させることが可能な場合に、複数の可動部材を、それらが別箇所に配置された離間姿勢から、その姿勢と比べて近接又は当接した状態であって、遊技領域へ遊技球が流下する入口部分から特典領域へ向かう方向側へ複数の可動部材が連続する特典領域指示配置に移動させる構成とする。このため、複数の可動部材の動作によって、複数の可動部材が連続して配置される方向側に設けられる特典領域やその近傍に遊技者の注意を引くことや、複数の可動部材を別箇所に配置された状態から移動させることでその動作を遊技者に気づかせ易くすることが可能になる。したがって、この複数の可動部材を動作させる演出によって、遊技者に対して、特典領域に遊技球を入球させるべきことを示唆したり、特典領域の近傍を流下する遊技球の挙動に注目させたり、特典領域に遊技球を進入させるために遊技球を流下させる領域を第1領域から第2領域に変更すべきことを注意喚起したりすることが可能になり、遊技者にとって有利な遊技状態への遷移させる機会を逃してしまうことを抑制することが可能になる。
<特徴11>
識別情報の変動表示を行う表示手段(例えば、装飾図柄表示装置479)と、該表示手段によって表示される表示内容を制御する制御手段(例えば、副制御基板940)とを備え、遊技球が流下可能な遊技領域(遊技領域409)のうち通常遊技状態において所定の第1領域(例えば、左流下領域409L)に遊技球を流下させて遊技を行い、前記表示手段によって所定の表示結果(例えば、大当りに対応する装飾図柄の組み合わせ)が表示された場合には前記第1領域とは別に設けられる第2領域(例えば、右流下領域409R)に遊技球を流下させることによって所定の特典領域(例えば、特典領域409V)に遊技球を入球させることが可能であり、該特典領域に遊技球が入球した場合には当該特典領域に遊技球が入球しない場合(例えば、時短遊技状態)に比べて遊技者にとって有利な遊技状態(例えば、確変遊技状態)へ遷移可能に構成された遊技機において、
前記通常遊技状態において複数箇所に離間して配置された離間姿勢をとる複数の可動部材(左可動部材10及び右可動部材20)を備え、
前記所定の表示結果が表示された場合に前記表示手段の前側に重なる位置に配置された可動部材に設けられる発光部分が発光し、前記遊技領域へ遊技球が流下する入口部分から前記特典領域へ向かう方向側へ前記発光部分が順に発光する発光演出が行われるように構成されていることを特徴とする遊技機。
特徴11に記載の遊技機であれば、特典領域へ遊技球を進入させることが可能な場合に、好適な演出を実行可能な遊技機を提供することができる。すなわち、表示手段によって所定の表示結果が表示され、特典領域へ遊技球を入球させることが可能な場合に、表示手段の前側に重なる位置に配置された可動部材に設けられる発光部分が発光し、遊技領域へ遊技球が流下する入口部分から特典領域へ向かう方向側へ発光部分が順に発光する発光演出が行われる。このため、可動部材に設けられる発光部分の発光によって、発光部分が順に発光した方向側に設けられる特典領域やその近傍の遊技球の挙動に対して、遊技者の注意を引いたり遊技者に気づかせ易くすることが可能になる。したがって、この発光演出によって、遊技者に対して、特典領域に遊技球を入球させるべきことを示唆したり、特典領域の近傍を流下する遊技球の挙動に注目させたり、特典領域に遊技球を進入させるために遊技球を流下させる領域を第1領域から第2領域に変更すべきことを注意喚起したりすることが可能になり、遊技者にとって有利な遊技状態への遷移させる機会を逃してしまうことを抑制することが可能になる。
<特徴20>
電子部品が搭載される発光基板(例えば、発光基板31)と、
該発光基板の一面側に設けられ、所定の方向側に向けて光を出力する向きに配置された発光手段(例えば、LED素子32L,32R)と、
該発光手段から出力された光を遊技者が位置する前方側へ通過可能であって、遊技者が位置する表面側から視認した場合に発光した状態をとることが可能な第1の装飾部(例えば、前方側装飾部50)と、
該第1の装飾部の裏面側にて、前記前方側とは逆の後方側へ前記発光手段から発光された光を出力する後方側光出力手段(例えば、前方側装飾部50の裏面50B)と、
該後方側光出力手段から出力された光の一部が照射される部位であって、前記第1の装飾部とは別に設けられる第2の装飾部(例えば、後方側装飾部11)とを備え、
前記後方側光出力手段によって後方側へ出力された光によって前記第2の装飾部が発光可能に構成されていることを特徴とする遊技機。
<特徴21>
電子部品が搭載される発光基板(例えば、発光基板31)と、
該発光基板の一面側に設けられ、所定の方向側に向けて光を出力する向きに配置された発光手段(例えば、LED素子32L,32R)と、
該発光手段から出力された光を遊技者が位置する前方側へ通過可能であって、遊技者が位置する表面側から視認した場合に発光した状態をとることが可能な第1の装飾部(例えば、前方側装飾部50)と、
該第1の装飾部の裏面側にて、前記前方側とは逆の後方側へ前記発光手段から発光された光を出力する後方側光出力手段(例えば、前方側装飾部50の裏面50B)と、
該後方側光出力手段から出力された光の一部が照射される部位であって、前記発光基板より後方側に設けられ、前記第1の装飾部とは別に設けられる第2の装飾部(例えば、後方側装飾部11)と、
前記後方側光出力手段によって後方側へ出力された光を前記第2の装飾部とは別の方向側へ反射可能な別方向反射手段(例えば、後方窓61)とを備えていることを特徴とする遊技機。
遊技機の代表例としてパチンコ機がある。従来の典型的なパチンコ機においては、遊技性に係るモチーフ等を表示したり、遊技進行に伴う演出を実行したりする多数の装飾部を様々な箇所に設け、遊技演出の多様化を図る構成とされる(例えば、特許文献1)。多数の装飾部には、常時又は遊技進行に応じて適宜に光が照射される装飾部を含み、この光の照射によって装飾部よる演出の効果を向上させている。しかしながら、装飾部による好適な演出を実行可能な構成について、未だ改良の余地がある可能性がある。
これに対し、特徴20又は特徴21に記載の遊技機において、所定の方向側に向けて光を出力する発光手段からの光を遊技者が位置する前方側へ通過可能な第1の装飾部と、第1の装飾部の裏面側にて、遊技者が位置する前方側とは逆の後方側へ発光手段から発光された光を出力する後方側光出力手段と、後方側光出力手段から出力された光の一部が照射される部位に第1の装飾部とは別に設けられる第2の装飾部とを備える構成としている。これにより、発光手段から出力された光によって第1の装飾部を発光させると共に、同一の発光手段から出力された光であって後方側光出力手段から出力された光によって第2の装飾部を発光させることができ、装飾部ごとに発光手段を設ける場合に比べて部品数を減らし製造コストを抑えることができる。
また、特徴21に記載の遊技機において、第2の装飾部を発光基板より後方側に設ける構成としている。これにより、第2の装飾部を発光手段からの光が直接には照射されない場所に配置し、第1の装飾部をその裏面側に照射される光によって発光させるのとは異なり、第2の装飾部を表面側から照射される光によって発光させることができ、同一の発光手段からの光によって発光させたとしても、第1の装飾部の発光と第2の装飾部の発光との見映えを異ならせ、それらの装飾部による演出の効果を高めることができる。
また、特徴21に記載の遊技機において、後方側光出力手段によって後方側へ出力された光を第1の装飾部とは別の方向側へ反射可能な別方向反射手段を備える構成としている。これにより、別方向反射手段で反射した後の光を、例えば、別方向反射手段での反射を介さずに第1の装飾部や第2の装飾部に照射される光とは異なる照射位置や照射角度で照射するなど、限られた個数の発光手段によって複雑な形態で第1の装飾部や第2の装飾部に照射することも可能にし、それらの装飾部による演出の効果を高めることができる。
また、特徴20又は特徴21に記載の遊技機において、第2の装飾部は、後方側光出力手段から出力された光が照射される部位に設ける構成としている。これにより、一旦、発光手段から出力された光を、一旦第2の装飾部とは異なる方向に進行させた後に、後方側出力手段で光の進行方向を変化させて第2の装飾部に向かわせることができる。したがって、後方側光出力手段を介さず直接に第2の装飾部に光を照射する発光手段を用いる場合に比べ、発光手段と第2の装飾部との間隔を狭くして、発光手段及び第2の装飾部を構成する構造体の大型化を抑制しつつ、第2の装飾部に到達するまでに光が進行する経路を長くし、限られた個数の発光手段を用いて第2の装飾部における照射範囲を大きく確保することも可能になる。
また、特徴20又は特徴21に記載の遊技機において、第1の装飾部は、発光手段から出力された光を遊技者が位置する前方側へ通過可能な構成としている。これにより、第2の装飾部を第1の装飾部に前後方向で重なるように配置し、第2の装飾部の発光を第1の装飾部を通して透かして見えるようにすることも可能になる。
このように、限られた個数の発光手段を用いたとしても、第1の装飾部や第2の装飾部による演出の効果を高め、それらの装飾部による演出を好適なものとすることができる。
なお、特徴20又は特徴21に記載の遊技機において、第1の装飾部には、別方向反射手段から出力された光を照射可能な構成としてもよい。これにより、一旦、発光手段から出力された光を、後方側出力手段と別方向反射手段との双方で光の進行方向を変化させて第1の装飾部に向かわせることができ、別方向反射手段を介さない光のみを第1の装飾部に照射する場合に比べ、限られた個数の発光手段によっても、第1の装飾部の全体に光を照射し易くすること可能になる。
<特徴30>
電子部品が搭載される発光基板(例えば、発光基板31)と、
該発光基板の一面側に設けられ、所定の方向側に向けて光を出力する向きに配置された発光手段(例えば、LED素子32L,32R)と、
該発光手段から出力された光の一部を遊技者が位置する前方側へ通過可能であって、遊技者が位置する表面側から視認した場合に発光した状態をとることが可能な第1の装飾部と(例えば、前方側装飾部50)、
該第1の装飾部の裏面側にて、前記前方側とは逆の後方側へ前記発光手段から発光された光を反射可能な第1反射手段(例えば、前方側装飾部50の裏面50B)と、
該第1反射手段から出力された光が照射される部位に設けられて、当該光の少なくとも一部を前記発光手段が設けられる側に反射可能な第2反射手段(例えば、後方窓61の前面61F)と、
その第2反射手段から出力された光が照射される部位であって前記第1の装飾部と前記発光手段との間に設けられ、当該光の少なくとも一部を前記第1の装飾部が設けられる側に反射可能な第3反射手段(例えば、光進入窓62の前面62F)とを備え、
前記第1反射手段と前記第2反射手段と前記第3反射手段とによって周辺部分が囲われる発光空間が形成され、
前記発光空間内において前記発光手段に向けて進行する光が前記第3反射手段によって前記発光空間内へ反射可能に構成されていることを特徴とする遊技機。
<特徴31>
電子部品が搭載される発光基板(例えば、発光基板31)と、
該発光基板の一面側に設けられ、所定の方向側に向けて光を出力する向きに配置された発光手段(例えば、LED素子32L,32R)と、
該発光手段から出力された光の一部を遊技者が位置する前方側へ通過可能であって、遊技者が位置する表面側から視認した場合に発光した状態をとることが可能な第1の装飾部(例えば、前方側装飾部50)と、
該第1の装飾部の裏面側にて、前記前方側とは逆の後方側へ前記発光手段から発光された光を反射可能な第1反射手段(例えば、前方側装飾部50の裏面50B)と、
該第1反射手段から出力された光が照射される部位に設けられて、当該光の少なくとも一部を前記発光手段が設けられる側に反射可能な第2反射手段(例えば、後方窓61の前面61F)と、
その第2反射手段から出力された光が照射される部位であって前記第1の装飾部と前記発光手段との間に設けられ、当該光の少なくとも一部を前記第1の装飾部が設けられる側に反射可能な第3反射手段(例えば、光進入窓62の前面62F)とを備え、
前記第1反射手段と前記第2反射手段と前記第3反射手段とによって周辺部分が囲われる発光空間(例えば、発光空間40)が形成され、
前記第1の装飾部とは別に設けられる第2の装飾部(例えば、後方側装飾部11)が、前記第1反射手段によって反射した光により発光可能に構成されていることを特徴とする遊技機。
なお、特徴30及び31として記載の第2の装飾部は、第2反射手段を構成する透明な板状部分(後方窓61)から通過した光が照射される装飾部(後方側装飾部11)によって構成してもよいし、これに代えて、又はこれに加えて、第2反射手段を構成する透明な板状部分(後方窓61)を遊技者が視認可能な向きに配置して当該板状部分に重なるようにキャラクタの画像等を印刷するなどした板状の装飾部品を設けて構成してもよい。
遊技機の代表例としてパチンコ機がある。従来の典型的なパチンコ機においては、遊技機の代表例としてパチンコ機がある。従来の典型的なパチンコ機においては、遊技性に係るモチーフ等を表示したり、遊技進行に伴う演出を実行したりする装飾部を複数設け、それらの装飾部による演出に際して常時又は遊技進行に応じて光を照射し、その演出の効果を高めている(例えば、特開2012-245273号参照)。しかしながら、装飾部による好適な演出を実行可能な構成について、未だ改良の余地がある可能性がある。
これに対し、特徴30又は特徴31に記載の遊技機であれば、特徴30又は特徴31に記載の遊技機であれば、第2の装飾部を、第1の装飾部を発光させる発光手段を用い、その発光手段から所定の方向側に向けて出力された光であって第1反射手段で反射した後の光によって発光させる構成としている。これにより、発光手段から出力された光によって第1の装飾部を発光させると共に、同一の発光手段から出力された光であって後方側光出力手段から出力された光によって第2の装飾部を発光させることができ、装飾部ごとに発光手段を設ける場合に比べて部品数を減らし製造コストを抑えることができる。
また、特徴30又は特徴31に記載の遊技機であれば、第1反射手段、第2反射手段及び第3反射手段との間で周辺部分が囲われた発光空間を形成し、第1の装飾部を発光手段から所定の方向側に向けて光を出力された光であって第2反射手段及び第3反射手段による反射を介さずに照射される光に加えて、第1反射手段と第2反射手段と第3反射手段とで順次に反射した後の光によって発光させることが可能な構成としている。これにより、第1反射手段で反射した後の光を、例えば、第1反射手段での反射を介さずに第1の装飾部に照射される光とは異なる照射位置や照射角度で照射するなど、限られた個数の発光手段によっても複雑な形態で第1の装飾部に照射することも可能になり、第1の装飾部による演出の効果を高めることができる。また、発光空間において第1反射手段と第2反射手段と第3反射手段とによる順次の反射を繰り返した後の光で、第1の装飾部や第2の装飾部を発光させることも可能になり、第1の装飾部や第2の装飾部による演出の効果を更に高めることもできる。更に、発光空間に進入した光を、第1反射手段と第2反射手段と第3反射手段とで繰り返しながら、第1反射手段に照射できるために、第1反射手段に向かう光で発光する第1の装飾部や、第1反射手段で反射した光で発光する第2装飾部を照射でき、効率よく第1の装飾部と第2の装飾部とを発光させることも可能になる。
なお、特徴10~31に記載の少なくとも1つの特徴を他のいずれか又は複数の特徴に組み合わせて適用しても良い。以下には、上記した各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
パチンコ機:遊技者が操作する発射操作手段と、その発射操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く通路部と、遊技領域内に配置された各遊技部品とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
スロットマシン等の回胴式遊技機:始動操作手段の操作に基づき周回体の回転を開始させ、停止操作手段の操作に基づき周回体の回転を停止させ、その停止後の絵柄に応じて遊技者に特典を付与する遊技機。