JP7396949B2 - ターゲット装置及び放射性核種の製造装置 - Google Patents

ターゲット装置及び放射性核種の製造装置 Download PDF

Info

Publication number
JP7396949B2
JP7396949B2 JP2020061434A JP2020061434A JP7396949B2 JP 7396949 B2 JP7396949 B2 JP 7396949B2 JP 2020061434 A JP2020061434 A JP 2020061434A JP 2020061434 A JP2020061434 A JP 2020061434A JP 7396949 B2 JP7396949 B2 JP 7396949B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
seal member
liquid
ring
target
annular groove
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020061434A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021162356A (ja
Inventor
禎弘 伊藤
剛士 増田
恵二郎 和田
大輝 関
拓也 栗山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nihon Medi Physics Co Ltd
Original Assignee
Nihon Medi Physics Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nihon Medi Physics Co Ltd filed Critical Nihon Medi Physics Co Ltd
Priority to JP2020061434A priority Critical patent/JP7396949B2/ja
Publication of JP2021162356A publication Critical patent/JP2021162356A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7396949B2 publication Critical patent/JP7396949B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Gasket Seals (AREA)

Description

本発明は、ターゲット装置及び放射性核種の製造装置に関する。
放射性核種製造装置は、ターゲットが保持されるターゲット装置と、ターゲットに高速の荷電粒子のビームを照射する加速器とによって構成される。放射性核種製造装置では、ターゲット装置の内部に収容されているターゲットに対して加速器から高エネルギーのビームを照射し、核反応により放射性核種を生成する。
非特許文献1には、不活性で熱特性に優れたニオブ(Nb)をグリッド付きのターゲットに用い、銀製のターゲットを用いた場合よりも放射性薬剤の収率を向上させたことが記載されている。また、非特許文献2には、ターゲットが液体である場合、荷電粒子のビームの照射によって液体ターゲット中にカチオン、あるいはアニオンといった不純物が混入することについての考察が記載されている。
また、特許文献1には、ターゲット装置において収容空間を塞ぐためのフォイルとボディ部材との間にОリングを設けることにより、収容空間に収容されたターゲット水が荷電粒子線通路に漏れないようにすることが記載されている。
特開2013-238515号公報
J. A. Nye, D. W. Dick, and R. J. Nickles,Pushing the Limits of an O-18 Water Target , international conference on the application of accelerators in research and industry; Denton, TX (United States); 12-16 Nov 2002 Impurities in the ["O]Water Target and their Effect on the Yield of an Aromatic Displacement Reaction with [18F]Fluoride, DAVID J. SCHLYER MAHMOUD L. FIROUZBAKHT and ALFRED P. WOLF, Appl. Radiar. ISOI. Vol. 44, No. 12, pp. 1459-1465, 1993, Rintcd in Great Britain. All rights reserved
しかしながら、ターゲット装置の入射膜に設けられる環状のシール部材は、金属の枠体同士を組み付ける強い圧力に対抗できずに変形する、あるいは破損することが懸念される。このような懸念がある条件で用いられるシール部材としては、金属製のシール部材が考えられる。
本発明者らは、シール部材を金属製にすることにより、液体のターゲットにシール部材に由来する金属イオンが混入することを見出した。ターゲットに混入した金属イオンは、ターゲットと放射性核種との分離やターゲットの再利用において問題となる。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、液体のターゲットに混入する金属イオン量を低減することができるターゲット装置及び放射性核種の製造装置を提供することに係る。
本発明のターゲット装置は、放射性核種の製造に使用される液体ターゲットを収容する収容空間が形成されている収容ボディと、前記収容空間を塞ぐ入射膜と、前記収容ボディにおいて、前記収容空間の周囲に形成された環状溝と、前記環状溝に嵌入されて、前記収容ボディと前記入射膜との間をシールし、少なくとも表面が金属を含むリング状シール部材と、前記リング状シール部材よりも前記収容空間の側に設けられ、前記リング状シール部材に前記液体ターゲットが接触することを防ぐ液密性を有する液密シール部材と、を備える。
本発明の放射性核種製造装置は、放射性核種の製造に使用される液体ターゲットを収容する収容空間が形成されている収容ボディと、前記収容空間を塞ぐ入射膜と、前記収容ボディにおいて、前記収容空間の周囲に形成された少なくとも表面が金属製の環状溝と、前記環状溝に嵌入されて、前記収容ボディと前記入射膜との間をシールし、少なくとも表面が金属を含むリング状シール部材と、前記リング状シール部材よりも前記収容空間の側に設けられ、前記リング状シール部材に前記液体ターゲットが接触することを防ぐ液密性を有する液密シール部材と、を備えるターゲット装置と、前記ターゲット装置の前記液体ターゲットに向けて加速粒子を照射する照射装置と、を含む。
本発明の放射性核種の製造方法は、放射性核種の製造に使用されるターゲット装置の収容ボディにおいて液体ターゲットを収容する収容空間の周囲に形成された環状溝に対し、リング状シール部材及び液密シール部材を配置する工程と、前記収容空間内に前記液体ターゲットが収容された状態で、前記収容空間を入射膜で覆う工程と、前記入射膜上から前記液体ターゲットに向けて加速粒子を照射する工程と、を含み、前記リング状シール部材は少なくとも表面が金属を含み、前記液密シール部材は前記リング状シール部材よりも前記収容空間の側に設けられ、前記リング状シール部材に前記液体ターゲットが接触することを防ぐ。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、液体のターゲットに混入する金属イオン量を低減することができるターゲット装置及び放射性核種の製造装置を提供することができる。
本発明の概要を説明するための図である。 (a)は本実施形態の放射性核種製造装置を説明するための模式的な側面図である。(b)は(a)のターゲット装置の背面図である。 図2に示したターゲット装置を上方から見た斜視図である。 図3に示すターゲット装置の上面図である。 図3、図4に示すターゲット装置の加速器に対する取り付け状態を説明するための模式的な断面図である。 図5に示すターゲット装置の要部を拡大して示す図である。
以下、本発明の一実施形態を説明する。本実施形態において、図面に示す同一の部材は同一の符号を付し、その説明を一部略すものとする。また、図面は、本発明の構成、機能、配置及び技術的思想を説明するためのものであって、本発明のターゲット装置及び放射性核種製造装置の具体的な形状、寸法及び寸法の縦横比を限定するものではない。
[概要]
先ず、本発明の実施形態の説明に先立って、概要について説明する。
図1は、本発明の概要を説明するための図であって、ターゲット装置5を備える液体ターゲットTwの収容空間のシール部分を示している。図1は、液体ターゲットTwに対する加速粒子ビーム照射中の状態を示している。ターゲット装置5は、放射性核種の製造に使用される液体ターゲットTwを収容する収容空間59が形成されている収容ボディ51と、収容空間59を塞ぐ入射膜55と、収容ボディ51において、収容空間の周囲に形成された環状溝52と、環状溝52に嵌入されて、収容ボディ51と入射膜55との間をシールする少なくとも表面が金属製のリング状シール部材53と、を備えている。さらに、本発明のターゲット装置5は、リング状シール部材53よりも収容空間59の側に設けられ、リング状シール部材53に液体ターゲットTwが接触することを防ぐ液密性を有する液密シール部材54を備えている。
図1に示した構成では、環状溝52内にリング状シール部材53が装着されると共に、環状溝52内のリング状シール部材53よりも収容空間59に近い側に液密シール部材54が取り付けられている。また、収容空間59内に液体ターゲットTwが収容され、収容空間59は入射膜55によって覆われている。このとき、入射膜55は収容空間59と共に収容空間59の周囲を覆っている。収容空間59は壁部591によって形成されていて、壁部591の上面591a及びリング状シール部材53の外周に位置する凸条524の上面524aが収容空間59の周囲として入射膜55に覆われる。さらに、収容空間59の周囲の入射膜55は、収容ボディ51と挟持枠体7とによって挟み込まれ、挟持枠体7を収容ボディ51に組み付けることによって入射膜55が固定される。なお、この時点では加速粒子ビームPbは照射されておらず、入射膜55は平坦な状態にある。
このような状態で、図2に示す加速器3から加速粒子ビームPbが入射膜55に向けて打ち込まれることにより、収容空間59内の液体ターゲットTwが加熱されて沸騰し、収容空間59の内部の圧力(以下、「内圧」と記す)が高まる。収容空間59の内圧が高まると入射膜55が圧力に押されると共に僅かながら伸張して図1のように膨らむ。このとき、液状または気化した液体ターゲットTwは、入射膜55と、上面591a及び上面524aとの間に入り込み得るようになる。リング状シール部材53は、少なくともその表面が金属製であるから、液体ターゲットTwと接触することによって表面の金属材料から金属イオンが溶出する可能性が生じる。
本発明によれば、収容空間59とリング状シール部材53との間に液密シール部材54を設けたため、液体ターゲットTwが環状溝52の内部でリング状シール部材53に接触することを防ぐことができる。なお、このような液密シール部材54としては、液体ターゲットTwが環状溝52に浸入することを防ぐ高い液密性を有する樹脂材料を用いることが好ましい。なお、本実施形態でいう液密性は、液体の流入方向に向かう圧力(以下、「流入圧」とも記す)が加わった環境下において、液体が通過することを防ぐ性質をいう。液密シール部材54の液密性は、液密シール部材54の弾力性、剛性及び粘性といった材料に係る性質と共に、その配置位置や寸法形状の設計条件、さらには収容ボディ51と挟持枠体7とを圧諦した際に両者にかかる圧力(以下、「組付圧」とも記す)によって変化し得る。
以下、本発明の具体的な実施形態を説明する。
[放射性核種製造装置]
図2(a)は、本実施形態の放射性核種製造装置1を説明するための模式的な側面図である。図2(b)は、図2(a)に示す放射性核種製造装置1のターゲット装置5を図中のx方向に見た図である。なお、本実施形態では、ターゲット装置5において、加速粒子ビームPbが入射される側を「前」とし、図2(b)に示す面をターゲット装置5の後方または背面とする。
図示した放射性核種製造装置1は、加速粒子ビームPbを生成する加速器3と、加速器3によって生成された加速粒子ビームPbの照射を受けて放射性同位元素(以下、「RI」と記す)を製造するターゲット装置5と、を含んでいる。加速器3とターゲット装置5とは、後に図示するコリメータ8を介して接続され、加速粒子ビームPbが加速器3からターゲット装置5に入るように構成されている。本実施形態では、図2(b)に示す収容ボディ51とコリメータ8及び後述する挟持枠体7がターゲット装置5を構成するものとする。
このような放射性核種製造装置1は、外部への放射線漏れを防ぐために図示しない自己シールドを備えている。
加速器3は、入射粒子を加速して加速粒子ビームPbを生成する構成である。ターゲット物質に核反応を発生させる入射粒子には種々のものが用いられ、陽子、重陽子、α粒子、イオン、電子または光子を例示することができる。加速器3としては、静電加速器、サイクロトロンやシンクロトロン等の円形加速器、線形加速器、または円形加速器と線形加速器とを組み合わせたマイクロトロン等を用いることができ、加速粒子の種類とエネルギーに応じて選択される。
コリメータ8は、加速器で生成された高エネルギーの加速粒子ビームPbのビーム束同士を互いに平行にしてターゲット装置5の内部に導く装置である。加速器3で加速された加速粒子ビームPbは、コリメータ8を介してターゲット装置5に入射する。ターゲット装置5は、収容ボディ51を備えている。図1に示すように、収容ボディ51には壁部591が形成され、壁部591の内部は液体ターゲットTwの収容空間59になっている。
本実施形態の放射性核種製造装置1では、図2(a)に示すように、1つの加速器3に複数のターゲット装置5が取付けられている。図2(a)に示した例では、加速器3の図中の左右に例えばそれぞれ4つのターゲット装置5を紙面に向かう方向(図中にz軸で示す方向)に一列に設けている。
加速器3は、加速粒子ビームPbとして例えば陽子線を生成する。生成された陽子線は、一例として、18MeV、50μAから100μAもしくはそれ以上の照射電流値でターゲット装置5に照射される。
本実施形態のターゲット装置5は、例えば、H2 18Oを液体ターゲットTwとして保持するものとする。このような場合、液体ターゲットTwに加速粒子ビームPbが照射されることにより、ターゲット装置5において液体ターゲットTwと陽子との間に18O(p,n)18Fで表される核反応が起こり、放射性核種として18Fが生成される。ただし、本実施形態の加速粒子ビームPbの条件は、このような条件に限られるものではない。また、液体ターゲットTwはH2 18Oに限定されるものではなく、例えば、液体ターゲットTwにH2Oを用い、16O(p,α)13Nの核反応によって13Nを生成することもできる。
生成された18Fは、液体ターゲットTw中に存在したまま、または、液体ターゲットTwと分離した後に、放射性薬剤の製造等に使用される。
次に、以上の構成を順に詳述する。
[ターゲット装置]
(収容ボディ)
図3は、本実施形態のターゲット装置5の収容ボディ51を上方から見た斜視図であり、図4は、図3に示す収容ボディ51の上面図である。図5は、収容ボディ51、収容ボディ51の収容空間59を覆う入射膜55、入射膜55を抑える挟持枠体7及びコリメータ8で構成されるターゲット装置5を説明するための模式的な断面図であり、この断面図では、断面のハッチングが略されている。図5の断面は、図2(b)中の一点鎖線でターゲット装置5を切断した切断面を矢線V,Vの方向から見たものである。図6は、図5に示すターゲット装置5の要部を拡大して示す図である。
放射性核種製造装置1が備える複数のターゲット装置5は、いずれも同様の構成を有している。このため、本実施形態は、1つのターゲット装置5を説明して他のターゲット装置5の説明に代えるものとする。図3から図6に示すx,y,z座標は、図2(a)、図2(b)に示した座標系と一致している。
ターゲット装置5は、前述のように、加速粒子ビームPbを液体ターゲットTwに照射して放射性核種を生成させる液体ターゲットTwを保持する構成である。ターゲット装置5において収容空間59が形成される収容ボディ51は、ニオブ(Nb)やタンタル(Ta)等の耐食性に優れた金属材料で作られる。
図3、図5に示すように、ターゲット装置5の収容ボディ51は、加速粒子ビームPbの入射方向から見た面(以降「上面」と記す)が円形であり、上面50には複数の凹溝と凸条とが形成されている。上面50の最外周面となる上面526は図5に示す挟持枠体7に取り付けられる取付面である。上面50における最小径の凸条は壁部591を形成する。壁部591内部の収容空間59は、上面50において最も深さの深い円形の開口部となる。
また、図4に示すように、上面50には、壁部591の外周に環状溝52が形成されている。環状溝52の内周面のうち、大径の壁面を壁面52a、底面を底面52b(図6)とする。
さらに、上面50は、環状溝52の外周に凸条524、凹溝525及び上面526を備えている。凹溝525には不図示のシール部材が嵌合、装着されていてもよい。上面526には、ターゲット装置5を挟持枠体7に取り付けるボルト71が挿入されるボルト孔56が形成されている。ターゲット装置5の収容ボディ51は、ボルト孔56に挿入されたボルト71によって挟持枠体7と圧諦される。
(コリメータ)
コリメータは、金属製のボディを有し、内部に挟持枠体7と係り合う凹部81が形成されていて、凹部81内に7収容された挟持枠体7と収容ボディ51とがボルト71によって圧諦される。また、コリメータ8の内部にはボディを冷却するためのガス状のヘリウムの供給孔85と、供給孔85から分岐され、ボディの内部にヘリウムを通す分岐孔88とが形成されている。さらに、コリメータ8の内部には、加速粒子ビームPbが通過する入射路86が形成されている。
(挟持枠体)
挟持枠体7には加速粒子ビームPbを通す入射口76が設けられている。挟持枠体7と収容ボディ51との境界には、加速粒子ビームPbを通して空気や水等を通さない好適な厚さの入射膜55が設けられる。入射膜55には、例えば、HAVAR(登録商標)、チタン、ステンレス等が用いられる。挟持枠体7と収容ボディ51との間に配置される入射膜55の高さを、図5中に一点鎖線で示す。収容ボディ51は、フランジ82、83を介してボルト84によりコリメータ8に取り付けられる。このとき、挟持枠体7の凸部72が凸条524と係り合って固定される。そして、挟持枠体7は、環状溝52内のリング状シール部材53及び液密シール部材54に圧接し、入射膜55を押さえている。
入射膜55は、上面視において収容空間59よりも大径の円形形状を有している。入射膜55の外周は、収容空間59の内圧に耐えるため、上面524aの内周よりも外側にあることが好ましい。また、入射膜55の外周は、ターゲット装置5と挟持枠体7との締結に影響を及ぼすことを防ぐため、上面526のボルト孔56の形成位置よりも内側にあることが好ましい。
上面50と挟持枠体7との間に入射膜55を挟持するため、上面50に形成される上面591a、凸条524の上面524a及び上面526は、一定の高さに設計されている。
(シール部材)
次に、収容ボディ51の上面50の環状溝52に取り付けられるシール部材について説明する。
図4に示すように、リング状シール部材53及び液密シール部材54は、上面視において環形状を有している。液密シール部材54は、リング状シール部材53の内周に沿って配置される環であり、リング状シール部材53よりも小径の環形状を有している。
また、図6に示すように、リング状シール部材53及び液密シール部材54は、環状溝52の底面52bに取り付けられる。このとき、リング状シール部材53は壁面52aの側に取り付けられて、液密シール部材54は壁部591の側に配置される。なお、図4において、環状溝52はリング状シール部材53及び液密シール部材54の下に位置しているため視認できない。
前述のように、リング状シール部材53及び液密シール部材54は、上面視において円環形状を有している。リング状シール部材53及び液密シール部材54は、全周に亘って一定の幅及び高さを有している。なお、ここでいう高さは、リング状シール部材53、液密シール部材54の厚みを指す。さらに、高さは、換言すると環状溝52の深さ方向の長さである。リング状シール部材53及び液密シール部材54の高さが全周に亘って一定であるのは、環状溝52に取り付けられて収容ボディ51と挟持枠体7とが圧諦される以前であり、圧諦後はこの限りでない。
液密シール部材54は、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素ゴム、ウレタンエラストマーの少なくとも一つを含む樹脂を材料とすることが好ましい。このような樹脂材料は、挟持枠体7とターゲット装置5との組圧諦によって加わる組付圧及び収容空間59の内圧によって加わる圧力に耐える液密シール部材54を形成することができる。また、このような材料は、収容空間59内の液体ターゲットTwの温度が上昇しても劣化や変形が生じ難い液密シール部材54を実現することができる。ただし、液密シール部材54は、上記の樹脂を材料にすることに限定されず、耐熱性、耐薬品性及び耐放射線性等を考慮して選定される。
リング状シール部材53は、少なくとも表面が銀、アルミニウム、ニッケル、コバルト、クロムの少なくとも一つを含む材料で形成されている。リング状シール部材53は、例えば、ステンレス鋼等の比較的ヤング率が高い金属を材料とする円環状の金属Oリングであって、ステンレス鋼等の表面に、アルミニウム、ニッケル、コバルト、クロムの少なくとも一つ、あるいはこのような金属の合金が厚さ数十μmに形成されているものであってもよい。ただし、本実施形態は、金属のOリングを金属膜で被覆したものに限定されず、Oリングに要求される耐圧や耐熱性によっては樹脂製のOリングに金属膜を被覆するものも考えられる。
アルミニウム、ニッケル、コバルト、クロム、銀といった金属は、比較的柔らかい上に化学的に安定しているため、環状溝52の内部で潰れて環状溝52の内面と密着し、リング状シール部材53のシール機能を高めることができる。その一方で、このような金属は、浸食により金属の陽イオンを放出する。本実施形態は、液密シール部材54を設けることによってリング状シール部材53が液体ターゲットTwに接触することを防いでいる。このような構成によれば、内圧が高まった場合にも液体ターゲットTwによるリング状シール部材53の浸食が起こり難くなる。
上記のことにより、本実施形態は、液密シール部材54にシール機能に好適な金属を用いながら、この金属が液体ターゲットTwに混入することを抑止することができる。
ただし、リング状シール部材53は、上記の構成に限定されるものではない。リング状シール部材53は、少なくとも表面が金属を含むものであればよく、中実、中空のいずれのものであってもよい。また、中空のリング状シール部材53は、単一部材で構成されるものであってもよいし、内皮及び外皮の二重の構成を有するものであってもよく、さらに内皮中にコイル状のバネを挿通させてもよい。また、リング状シール部材53は、環状のものであってもよいし、C環形状のものであってもよい。リング状シール部材53をC環形状で中空の構成にする場合にもC環の内部にバネを挿通させて径方向の弾力を付与するようにしてもよい。
液密シール部材54は、壁部591とリング状シール部材53との間にあって、組付圧により環状溝52の深さ方向に押しつぶされて環状溝52内に圧入される。圧入された液密シール部材54は、リング状シール部材53及び壁部591と密着し、液体ターゲットTwの流入圧に対抗して入射膜55と上面591aとの間に向かう液体ターゲットTwの通過を防いでいる。このため、液密シール部材54は、液体ターゲットTwとリング状シール部材53との接触を阻止することができる。
ここで、液密シール部材54は、リング状シール部材53の少なくとも一部において液体ターゲットTwとの接触を阻止するのではなく、リング状シール部材53の全周に亘って液体ターゲットTwとの接触を阻止することが好ましい。
図6に示すように、本実施形態は、液密シール部材54の液密性を高めるため、液密シール部材54の環状溝52の深さ方向の長さd2を、環状溝52の深さd1より長くするようにしてもよい。ここでいう環状溝52の深さd1は、底面52bと凸条524の上面524aとの差分をいう。長さd2は、環状溝52に取り付けられて、ターゲット装置5と挟持枠体7とを圧諦した後の液密シール部材54の環状溝52の深さ方向の長さである。すなわち、圧力が加わる以前の液密シール部材54における環状溝52の深さ方向の長さは、長さd2よりもさらに長くなっている。
液密シール部材54は、収容ボディ51と挟持枠体7との圧諦時の組付圧によって環状溝52の深さ方向に押しつぶされ、高さ方向に撓みながら環状溝52内に圧入される。このような液密シール部材54は、ターゲット装置5と挟持枠体7の組付圧に耐える剛性を有している。
リング状シール部材53は、液密シール部材54と同様に、組付圧によって環状溝52の深さ方向に押しつぶされる。このとき、リング状シール部材53は、底面52b上で押しつぶされながら環状溝52内で広がり、環状溝52内で変形する。このことにより、リング状シール部材53は、環状溝52と挟持枠体7との間の気密性を高めることができる。また、本実施形態は、環状溝52の内部に液密シール部材54を配置して液密シール部材54の液密性をいっそう高めることができる。
リング状シール部材53及び液密シール部材54は、組付圧及び内圧がかかる方向により環状溝52及び互いと密着し、シール性を確保する。高いシール性を得るためには、リング状シール部材53及び液密シール部材54が適正に変形し、環状溝52との間にシール性を得ることに好適な隙間が生じることが好ましい。一方、リング状シール部材53または液密シール部材54の組付圧や内圧に対する耐性が不十分である場合、例えばサポートリングをさらに設けるようにしてもよい。
なお、液密シール部材54の形状は、上記のように径方向に切断した横断面(長手方向と直交する面で切断した断面)が矩形であることに限定されるものではない。液密シール部材54は、例えば、少なくとも一部がリング状シール部材53の表面形状に沿う形状を有するものであってもよいし、リング状シール部材53の少なくとも一部をカバーするものであってもよい。
また、液密シール部材54は、一つでなくてもよく、径寸法の異なるシール部材を組み合わせて構成されるものであってもよい。また、複数の部材によって液密シール部材54を構成する場合、各部材が異なる材料で形成されるものであってもよい。異なる材料は、異種の樹脂であってもよいし、樹脂と金属とを含むものであってもよい。液密シール部材54を構成する複数の部材は、各々別体として環状溝52内に配置されるものであってもよいし、一体化して環状溝52内に配置されるものであってもよい。
また、以上説明したターゲット装置5を含む放射性核種製造装置1は、ターゲット装置5の収容ボディ51において液体ターゲットTwを収容する収容空間59の周囲に形成された環状溝52に対し、リング状シール部材53及び液密シール部材54を配置する工程と、収容空間59内に液体ターゲットTwが収容された状態で、収容空間59を入射膜55で覆う工程と、入射膜55上から液体ターゲットTwに向けて加速粒子ビームPbを照射する工程と、を含む放射性核種の製造方法により放射性核種を製造する。このとき、ターゲット装置5においては、リング状シール部材53が少なくとも表面が金属を含み、液密シール部材54はリング状シール部材53よりも収容空間の側に設けられ、リング状シール部材53に液体ターゲットTwが接触することを防いでいる。
以上説明したように、本実施形態は、環状溝52に嵌入されて収容ボディと入射膜との間をシールし、少なくとも表面が金属を含むリング状シール部材53を備えるターゲット装置5において、リング状シール部材53よりも液体ターゲットTwの収容空間59の側にリング状シール部材53と液体ターゲットTwとが接触することを防ぐ液密シール部材54を設けている。
このような構成により、本実施形態は、リング状シール部材53が液体ターゲットTwに接触して腐食することを緩和し、リング状シール部材53から金属イオンが液体ターゲットTwに溶出することを押さえることができる。したがって、本実施形態は、液体ターゲットTwに混入されるシール部材由来の金属イオン量を低減することができる。
上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)放射性核種の製造に使用される液体ターゲットを収容する収容空間が形成されている収容ボディと、前記収容空間を塞ぐ入射膜と、前記収容ボディにおいて、前記収容空間の周囲に形成された環状溝と、前記環状溝に嵌入されて、前記収容ボディと前記入射膜との間をシールする少なくとも表面が金属製のリング状シール部材と、前記リング状シール部材よりも前記収容空間の側に設けられ、前記リング状シール部材に前記液体ターゲットが接触することを防ぐ液密性を有する液密シール部材と、を備える、ターゲット装置。
(2)前記液密シール部材の前記環状溝の深さ方向の長さは、前記環状溝の深さ方向の長さより長い、(1)のターゲット装置。
(3)前記液密シール部材は、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素ゴム、ウレタンエラストマーの少なくとも一つを含む樹脂を材料とする、(1)または(2)のターゲット装置。
(4)前記リング状シール部材は、少なくとも表面が銀、アルミニウム、ニッケル、コバルト、クロムの少なくとも一つを含む材料で形成されている、(1)から(3)のいずれか一つのターゲット装置。
(5)放射性核種の製造に使用される液体ターゲットを収容する収容空間が形成されている収容ボディと、前記収容空間を塞ぐ入射膜と、前記収容ボディにおいて、前記収容空間の周囲に形成された環状溝と、前記環状溝に嵌入されて、前記収容ボディと前記入射膜との間をシールするリング状シール部材と、前記リング状シール部材よりも前記収容空間の側に設けられ、前記リング状シール部材に前記液体ターゲットが接触することを防ぐ液密性を有する液密シール部材と、を備えるターゲット装置と、
前記ターゲット装置の前記液体ターゲットに向けて加速粒子を照射する照射装置と、を含む、放射性核種の製造装置。
(6)放射性核種の製造に使用されるターゲット装置の収容ボディにおいて液体ターゲットを収容する収容空間の周囲に形成された環状溝に対し、リング状シール部材及び液密シール部材を配置する工程と、前記収容空間内に前記液体ターゲットが収容された状態で、前記収容空間を入射膜で覆う工程と、前記入射膜上から前記液体ターゲットに向けて加速粒子を照射する工程と、を含み、前記リング状シール部材は少なくとも表面が金属を含み、前記液密シール部材は前記リング状シール部材よりも前記収容空間の側に設けられ、前記リング状シール部材に前記液体ターゲットが接触することを防ぐ、放射性核種の製造方法。
1・・・放射性核種製造装置
3・・・加速器
5・・・ターゲット装置
7・・・挟持枠体
8・・・コリメータ
50、524a、526、591a・・・上面
51・・・収容ボディ
52・・・環状溝
52a・・・壁面
52b・・・底面
53・・・リング状シール部材
54・・・液密シール部材
55・・・入射膜
56・・・ボルト孔
59・・・収容空間
71、84・・・ボルト
76・・・入射口
81・・・凹部
82、83・・・フランジ
85・・・供給孔
86・・・入射路
88・・・分岐孔
524・・・凸条
525・・・凹溝
591・・・壁部
Pb・・・加速粒子ビーム
Tw・・・液体ターゲット
d1・・・深さ
d2・・・長さ

Claims (6)

  1. 放射性核種の製造に使用される液体ターゲットを収容する収容空間が形成されている収容ボディと、
    前記収容空間を塞ぐ入射膜と、
    前記収容ボディにおいて、前記収容空間の周囲に形成された環状溝と、
    前記環状溝に嵌入されて、前記収容ボディと前記入射膜との間をシールし、少なくとも表面が金属を含むリング状シール部材と、
    前記リング状シール部材よりも前記収容空間の側に設けられ、前記リング状シール部材に前記液体ターゲットが接触することを防ぐ液密性を有する液密シール部材と、を備える、ターゲット装置。
  2. 前記液密シール部材の前記環状溝の深さ方向の長さは、前記環状溝の深さ方向の長さより長い、請求項1に記載のターゲット装置。
  3. 前記液密シール部材は、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素ゴム、ウレタンエラストマーの少なくとも一つを含む樹脂を材料とする、請求項1または2に記載のターゲット装置。
  4. 前記リング状シール部材は、少なくとも表面が銀、アルミニウム、ニッケル、コバルト、クロムの少なくとも一つを含む材料で形成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のターゲット装置。
  5. 放射性核種の製造に使用される液体ターゲットを収容する収容空間が形成されている収容ボディと、前記収容空間を塞ぐ入射膜と、前記収容ボディにおいて、前記収容空間の周囲に形成された環状溝と、前記環状溝に嵌入されて、前記収容ボディと前記入射膜との間をシールし、少なくとも表面が金属を含むリング状シール部材と、前記リング状シール部材よりも前記収容空間の側に設けられ、前記リング状シール部材に前記液体ターゲットが接触することを防ぐ液密性を有する液密シール部材と、を備えるターゲット装置と、
    前記ターゲット装置の前記液体ターゲットに向けて加速粒子を照射する照射装置と、を含む、放射性核種の製造装置。
  6. 放射性核種の製造に使用されるターゲット装置の収容ボディにおいて液体ターゲットを収容する収容空間の周囲に形成された環状溝に対し、リング状シール部材及び液密シール部材を配置する工程と、
    前記収容空間内に前記液体ターゲットが収容された状態で、前記収容空間を入射膜で覆う工程と、
    前記入射膜上から前記液体ターゲットに向けて加速粒子を照射する工程と、を含み、
    前記リング状シール部材は少なくとも表面が金属を含み、前記液密シール部材は前記リング状シール部材よりも前記収容空間の側に設けられ、前記リング状シール部材に前記液体ターゲットが接触することを防ぐ、放射性核種の製造方法。
JP2020061434A 2020-03-30 2020-03-30 ターゲット装置及び放射性核種の製造装置 Active JP7396949B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020061434A JP7396949B2 (ja) 2020-03-30 2020-03-30 ターゲット装置及び放射性核種の製造装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020061434A JP7396949B2 (ja) 2020-03-30 2020-03-30 ターゲット装置及び放射性核種の製造装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021162356A JP2021162356A (ja) 2021-10-11
JP7396949B2 true JP7396949B2 (ja) 2023-12-12

Family

ID=78003074

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020061434A Active JP7396949B2 (ja) 2020-03-30 2020-03-30 ターゲット装置及び放射性核種の製造装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7396949B2 (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005344556A (ja) 2004-06-01 2005-12-15 Toyota Industries Corp 流体流通装置およびそのシール構造
JP2006348998A (ja) 2005-06-14 2006-12-28 Gomuno Inaki Kk シール部材の接合構造
WO2008149600A1 (ja) 2007-06-08 2008-12-11 Sumitomo Heavy Industries, Ltd. 放射性同位元素製造装置及び放射性同位元素の製造方法
WO2012039036A1 (ja) 2010-09-22 2012-03-29 独立行政法人放射線医学総合研究所 加速器による放射性核種の製造方法及び装置
US20130266105A1 (en) 2010-10-27 2013-10-10 Bernard Lambert Device For Producing Radioisotopes

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005344556A (ja) 2004-06-01 2005-12-15 Toyota Industries Corp 流体流通装置およびそのシール構造
JP2006348998A (ja) 2005-06-14 2006-12-28 Gomuno Inaki Kk シール部材の接合構造
WO2008149600A1 (ja) 2007-06-08 2008-12-11 Sumitomo Heavy Industries, Ltd. 放射性同位元素製造装置及び放射性同位元素の製造方法
WO2012039036A1 (ja) 2010-09-22 2012-03-29 独立行政法人放射線医学総合研究所 加速器による放射性核種の製造方法及び装置
US20130266105A1 (en) 2010-10-27 2013-10-10 Bernard Lambert Device For Producing Radioisotopes

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021162356A (ja) 2021-10-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6352897B2 (ja) ターゲットウィンドウ、ターゲットシステム及びアイソトープ製造システム
KR101835659B1 (ko) 동위원소 생성 시스템을 위한 자체-차폐형 타겟
RU2769259C2 (ru) Сборка мишени и система производства нуклидов
US10595392B2 (en) Target assembly and isotope production system having a grid section
KR20060129392A (ko) 방사성 동위 원소 생성용 타겟 장치
US10854349B2 (en) Container, method for obtaining same and target assembly for the production of radioisotopes using such a container
JP7396949B2 (ja) ターゲット装置及び放射性核種の製造装置
US8111801B2 (en) Radioisotope production gas target having fin structure
US8073095B2 (en) Liquid target having internal support for radioisotope production at cyclotron
US20180130567A1 (en) Target assembly and isotope production system
US11476076B2 (en) Exit window for electron beam in isotope production
US20220377872A1 (en) Beamline isolation window for a particle accelerator

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230224

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20231025

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20231107

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20231130

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7396949

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150