JP7387079B1 - ワイヤ放電加工機 - Google Patents

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Abstract

ワイヤ放電加工機(100)は、加工液(13)を温度制御し、加工中に検出した加工液(13)の温度に基づき加工結果を測定するときの温度である第1の温度と加工時の温度である第2の温度との温度差分を取得する加工液制御部(31)と、取得した温度差分、被加工物(W)の熱膨張係数、およびX軸リニアスケール(2b)およびY軸リニアスケール(3b)の熱膨張係数に基づいて、目標寸法で加工した被加工物(W)を第1の温度で測定した場合の寸法と目標寸法との加工誤差を算出し、算出した加工誤差によって目標寸法を加工中にリアルタイムに補正し、補正後の目標寸法に基づく軸指令値によってX軸駆動部(2a)を有するX軸ステージ(2)およびY軸駆動部(3a)を有するY軸ステージ(3)を駆動する第1の制御部と、補正後の目標寸法による加工の良否判定を行い、否の場合に軸指令値を変更する第2の制御部と、を備える。

Description

本開示は、ワイヤ放電加工機に関する。
ワイヤ放電加工機は、ワイヤ電極と被加工物との間にアーク放電を発生させることにより被加工物を加工する装置である。ワイヤ放電加工機では、極間に高電圧を印加するか、あるいは極間の距離を短くして電界強度を上げると、絶縁破壊により放電が発生し、被加工物が除去加工される。ワイヤ放電加工は、加工液と呼ばれる液体の中で行われることが一般的である。被加工物を加工液中に浸漬させることで温度変化を抑制し、熱膨張、熱収縮による加工精度不良を低減させる。
ワイヤ放電加工機に限らず、工作機械では一般的に20°Cの温度環境下で良好な加工結果が得られるように調整される。しかし、空調費用の関係などで加工する環境が20°Cではなく、加工結果を測定する環境のみ20°Cとしている場合も多い。そういった環境で加工を行うと、加工時の温度と加工結果を測定する時の温度との差分によって被加工物が熱膨張、熱収縮するため、加工結果が所望の寸法公差に入らないという問題が発生し得る。
かかる問題を解決するために、特許文献1では、加工機の各軸移動量を検出する各軸スケールの温度および被加工物の温度を検出し、それらの熱膨張係数の差による基準温度からの伸縮量の差を軸移動量補正値として誤差を補正することが提案されている。
特許第4803491号公報
特許文献1では、軸移動量補正の良否を確認するために実機上で被加工物の温度および寸法を測定する必要があると記載されている。このため、加工機においては、主軸を温度プローブまたは寸法測定プローブに付け替える必要があり、加工時間とは別の測定作業の時間が必要となる。また、補正の良否判定の結果が許容範囲になかった場合は、再度の加工が必要とされており、生産性が悪化する問題がある。
本開示は、上記に鑑みてなされたものであり、加工の際にリアルタイムに温度補正および補正の良否判定を行い、生産性を向上させることができるワイヤ放電加工機を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示におけるワイヤ放電加工機は、加工槽内の加工液に浸漬させた被加工物とワイヤ電極との間に電圧を印加して放電を発生させ、ワイヤ電極と被加工物とを相対移動させる移動軸の位置を位置検出器で検出し、検出した移動軸の位置を目標寸法に対応する目標値にフィードバックして、被加工物を加工するとともに、位置検出器の温度を加工液の温度と同調させる。ワイヤ放電加工機は、加工液を温度制御し、加工中に検出した加工液の温度に基づき加工結果を測定するときの温度である第1の温度と加工時の温度である第2の温度との温度差分を取得する加工液制御部と、取得した温度差分、被加工物の熱膨張係数、および位置検出器の熱膨張係数に基づいて、目標寸法で加工した被加工物を第1の温度で測定した場合の寸法と目標寸法との加工誤差を算出し、算出した加工誤差によって目標寸法を加工中にリアルタイムに補正し、補正後の目標寸法に基づく軸指令値によって移動軸を駆動する第1の制御部と、補正後の目標寸法による加工の良否判定を行い、否の場合に軸指令値を変更する第2の制御部と、を備えることを特徴とする。
本開示のワイヤ放電加工機によれば、加工の際にリアルタイムに温度補正および補正の良否判定を行い、生産性を向上させることができる、という効果を奏する。
実施の形態にかかるワイヤ放電加工機の構成例を示す概念図 実施の形態にかかるワイヤ放電加工機において、加工誤差を説明するための図 実施の形態にかかるワイヤ放電加工機において、温度差分の算出方法を説明するための図 実施の形態にかかるワイヤ放電加工機の制御系の構成例を示すブロック図 実施の形態にかかるワイヤ放電加工機において、被加工物とワイヤとの間の極間距離を導出する方法を説明するための図 実施の形態にかかるワイヤ放電加工機において、被加工物の寸法を導出するための構成を示すブロック図 実施の形態にかかるワイヤ放電加工機において、被加工物の寸法の良否判定を行うための構成を示すブロック図 実施の形態にかかるワイヤ放電加工機の制御系のハードウェア構成を示すブロック図
以下、実施の形態にかかるワイヤ放電加工機を図面に基づいて詳細に説明する。
実施の形態.
図1は、実施の形態にかかるワイヤ放電加工機100の構成例を示す概念図である。ワイヤ放電加工機100は、下部アーム14と上部アーム15との間で支持されたワイヤ電極としてのワイヤ1と、被加工物Wとの間に発生させた放電によって被加工物Wを加工する。ワイヤ放電加工機100は、支持台21を有しており、支持台21上に、コラム20を備えている。コラム20の下部側には、水平方向に延びる下部アーム14が設けられ、コラム20の上部側には、水平方向に延びる上部アーム15が設けられている。
下部アーム14の先端部には、下部ガイド24が設けられ、上部アーム15の先端部には、上部ガイド25が設けられている。下部ガイド24と上部ガイド25とによって、ワイヤ1が上下に保持される。ワイヤ1は、図示しないワイヤ送り機構によって送給され、図示しないワイヤ巻き取り機構によって巻き取られる。
加工槽10内には、加工液13が溜められている。被加工物Wは、ワーク載置台11に載置されており、被加工物Wの周囲は加工液13が満たされている。ワーク載置台11は、ワーク移動機構4によって水平方向に移動される。ワーク移動機構4は、被加工物WをX方向に移動するX軸駆動部2aを有するX軸ステージ2と、被加工物WをY方向に移動するY軸駆動部3aを有するY軸ステージ3とを有する。X軸ステージ2には、X軸ステージ2のX方向の位置を検出するX軸位置検出器としてのX軸リニアスケール2bが設けられている。Y軸ステージ3には、Y軸ステージ3のY方向の位置を検出するY軸位置検出器としてのY軸リニアスケール3bが設けられている。なお、X軸ステージ2およびY軸ステージ3の位置を、例えばボールねじの回転数を検出する検出器などの他の位置検出器で検出してもよい。
加工液制御部31は、加工槽10内の加工液13の温度を制御する。ワイヤ1および被加工物Wには、電源部32によって電圧が印加される。ワイヤ1と被加工物Wとの間で放電を発生させることによって被加工物Wが除去加工される。
なお、上記構成では、被加工物WをXY方向に移動するように構成したが、ワイヤ1をXY方向に移動するよう構成してもよい。すなわち、ワイヤ1が被加工物Wに対しXY方向に相対移動することで、被加工物Wが所望の形状に加工される。
制御部30は、加工液制御部31、電源部32、X軸駆動部2a、およびY軸駆動部3aを駆動制御する。
X軸リニアスケール2bの検出値およびY軸リニアスケール3bの検出値は、制御部30にフィードバックされている。ワイヤ放電加工機100においては、ワイヤ1と被加工物Wとを相対移動させる移動軸の位置を位置検出器であるX軸リニアスケール2bおよびY軸リニアスケール3bで検出し、検出した移動軸の位置を制御部30が指令する目標値である目標寸法にフィードバックして、被加工物Wへの加工が行われる。ワイヤ1と被加工物Wとを相対移動させる移動軸は、この場合は、X軸ステージ2およびY軸ステージ3に対応するが、ワイヤ1をXY方向に移動する構成の場合は、ワイヤ1をXY方向に移動する機構が移動軸に対応する。
図2は、実施の形態にかかるワイヤ放電加工機100において、加工誤差を説明するための図である。図2において、□は、正方形の寸法を表している。図2において、実線の正方形は、被加工物Wの目標寸法Saを表し、実線の外側の破線の正方形は(20+ΔTa)°Cの環境で加工される加工後の被加工物Wの寸法Sbを表し、実線の内側の破線の正方形は、20°Cで測定される加工後の被加工物Wの寸法Scを表している。
ワイヤ放電加工機100によって加工を行う際、Saを加工の目標寸法とすると、加工結果を測定するときの温度Ta1と加工時の温度Ta2とが一致している場合は補正を行う必要はなく、目標寸法Saをそのまま目標値として出力すればよい。ワイヤ放電加工機100において、加工時の温度Ta2とは、被加工物Wが加工液13の中に入っているので、加工液13の温度に対応する。加工結果を測定するときの温度Ta1が第1の温度に対応し、加工時の温度Ta2が第2の温度に対応する。しかし、加工結果を測定するときの温度Ta1が一般的な20°Cであり、加工時の温度Ta2と温度Ta1(=20°C)との間に温度差分ΔTaがあった場合は、XY方向の軸移動の基準となるX軸リニアスケール2bおよびY軸リニアスケール3bがそれぞれの熱膨張係数Eaに従って膨張するため、目標寸法Saに対応する目標値を指令した場合の加工後の被加工物Wの寸法Sbは、下式(1)のようになる。
Sb=Sa+ΔTa×Ea ・・・(1)
この加工後の被加工物Wを、温度Ta1(=20°C)の環境で測定した場合の寸法Scは、被加工物Wの熱膨張係数Ebに従って収縮するため、下式(2)のようになる。
Sc=Sb-ΔTa×Eb ・・・(2)
したがって、目標寸法Saと、加工後の被加工物Wを20°Cの環境で測定した場合の寸法Scとの加工誤差Haは、下式(3)のようになる。
Ha=Sa-Sc=ΔTa×(Eb-Ea) ・・・(3)
すなわち、温度差分ΔTaと、X軸リニアスケール2bおよびY軸リニアスケール3bの熱膨張係数Eaと、被加工物Wの熱膨張係数Ebと、を加工中にリアルタイムに検出して、式(3)に代入することで、加工誤差Haをリアルタイムに算出することができる。そして、下式(4)のように、加工の目標寸法Saに加工誤差Haを加算する補正を行って、補正後の目標寸法Sa´を求めて、リアルタイムに指令することで、リアルタイムに誤差なく加工することが可能となる。
Sa´=Sa+Ha ・・・(4)
図3は、実施の形態にかかるワイヤ放電加工機100において、温度差分ΔTaの算出方法を説明するための図である。加工液制御部31は、加工槽10から戻る加工液13を温度制御して加工液13を供給することで、加工液13を一定温度に制御する。また、加工液制御部31は、加工中に検出した加工液13の温度に基づき温度差分ΔTaを導出する。図3に示すように、制御部30は、加工液制御部31に温度指令値20°C+Tbを出力している。加工液制御部31は、温度指令値20°C+Tbに基づき加工槽10に供給する加工液13の温度を制御する。これにより、加工液制御部31から加工槽10に供給される加工液13は、20°C+Tcに制御される。加工槽10内の加工液13は、供給された加工液13によって冷却、加熱された後、加工液制御部31に戻される。加工槽10から加工液制御部31に戻される加工液13の温度は、20°C+Tdとなる。
ワイヤ放電加工機100において、被加工物Wは、加工液制御部31によって温度管理されている加工液13に浸漬されており、被加工物Wの温度は加工液13の温度と同調している。加工時の加工液13の温度は、加工槽10から加工液制御部31に戻される加工液13の温度20°C+Tdと、同調している。そのため、上述した温度差分ΔTaは、加工槽10から加工液制御部31に戻される加工液13の温度20°C+Tdから20°Cを減算した温度Tdと同一であると考えられる。そのため、温度差分ΔTaは、加工槽10から加工液制御部31に戻される加工液13の温度20°C+Tdを検出し、検出した温度から20°Cを減算することで、加工液制御部31で導出することができる。このように、加工液制御部31は、加工中に加工槽10から戻る加工液13の温度を検出し、検出した温度に基づき、加工結果を測定するときの温度である第1の温度Ta1と加工時の温度である第2の温度Ta2との温度差分ΔTaをリアルタイムに取得する。
制御部30から加工液制御部31に出力される温度指令値20°C+Tbは、例えば外気温Teと同一とする。温度指令値20°C+Tbとしては、外気温Teから一定の温度だけ変化させた温度を採用してもよい。
ワイヤ放電加工機100においては、X軸リニアスケール2bおよびY軸リニアスケール3bの温度を加工液13の温度と同調させている。すなわち、ワイヤ放電加工機100においては、加工液13の温度と、被加工物Wの温度と、X軸リニアスケール2bおよびY軸リニアスケール3bの温度とは、同調されている。例えば、X軸リニアスケール2bおよびY軸リニアスケール3bが取り付けられているブロックに加工液13を通水させることで、X軸リニアスケール2bおよびY軸リニアスケール3bの温度を加工液13の温度指令値20°C+Tbと同調させている。なお、制御部30から加工液制御部31に出力される温度指令値20°C+Tbを外気温Teと同一としている場合は、X軸リニアスケール2bおよびY軸リニアスケール3bの温度が、外気温Teと同じと想定して、X軸リニアスケール2bおよびY軸リニアスケール3bの温度を加工液13の温度と同調させてもよい。
また、ワイヤ放電加工機100において、加工をおこなう際には被加工物Wの材質によって電源部32から被加工物Wおよびワイヤ1に供給される電圧Vaと、被加工物Wとワイヤ1との間で放電を発生させることができる放電距離Shとを変える必要があるため、被加工物Wの材質によって電圧Va、および放電距離Shを含む材質別制御パラメータを決定する。したがって、材質別制御パラメータの中に、材質別の被加工物Wの熱膨張係数Ebの値を追加することで、加工する際に被加工物Wの熱膨張係数Ebを取得することができる。
また、X軸リニアスケール2bおよびY軸リニアスケール3bの熱膨張係数Eaは、被加工物Wの材質によらず一定であるため、材質に無関係の制御パラメータとして設定してあれば、加工する際に熱膨張係数Ebを取得することができる。
図4は、実施の形態にかかるワイヤ放電加工機100の制御系の構成例を示すブロック図である。ワイヤ放電加工機100の制御系は、制御部30と、加工液制御部31と、制御パラメータ記憶部33と、材質別制御パラメータ決定部34と、加工誤差検出部35と、目標寸法出力部36と、軸指令値制御部37と、を備える。制御部30、制御パラメータ記憶部33、材質別制御パラメータ決定部34、加工誤差検出部35、目標寸法出力部36、および軸指令値制御部37が、第1の制御部に対応する。図4においては、X軸駆動部2aおよびY軸駆動部3aを駆動部2a,3aと一部省略して図示している。
制御部30は、NCプログラムに基づき、ワイヤ放電加工機100の構成要素を制御する。NCプログラムは、被加工物Wの加工の目標寸法Sa、被加工物Wの材質を含む。
制御パラメータ記憶部33には、材質に無関係の制御パラメータが記憶されている。制御パラメータ記憶部33に記憶される制御パラメータには、X軸リニアスケール2bおよびY軸リニアスケール3bの熱膨張係数Eaが含まれている。
材質別制御パラメータ決定部34には、被加工物Wの材質毎に、被加工物Wに供給する電圧Va、放電距離Sh、被加工物Wの熱膨張係数Ebを含む材質別制御パラメータが記憶されている。
加工が開始されると、制御部30は、制御パラメータ記憶部33に制御パラメータ出力指令を出力し、材質別制御パラメータ決定部34に被加工物Wの材質情報を出力し、加工液制御部31に目標温度指令Tbを出力する。また、制御部30は、目標寸法出力部36に被加工物Wの目標寸法Saを出力する。
制御パラメータ記憶部33は、X軸リニアスケール2bおよびY軸リニアスケール3bの熱膨張係数Eaを加工誤差検出部35に出力する。材質別制御パラメータ決定部34は、入力された材質情報に含まれる材質に対応する被加工物Wの熱膨張係数Ebを加工誤差検出部35に出力する。また、材質別制御パラメータ決定部34は、入力された材質情報に含まれる材質に対応する放電距離Shを軸指令値制御部37に出力する。また、材質別制御パラメータ決定部34は、入力された材質情報に含まれる材質に対応する電圧Vaを電源部32に出力する。加工液制御部31は、入力された目標温度指令Tbにしたがって、加工槽10に供給する加工液13の温度が20°C+Tbとなるように制御する。また、加工液制御部31は、図3で説明したように、加工槽10から加工液制御部31に戻される加工液13の温度20°C+Tdを検出し、検出した温度20°C+Tdから20°Cを減算した温度Tdを求め、温度Tdを前述した温度差分ΔTaとして、加工誤差検出部35に出力する。
加工誤差検出部35は、入力された熱膨張係数Ea,Eb、および温度差分ΔTaと、前述した式(3)とを用いて、加工誤差Haを算出する。加工誤差検出部35は、算出された加工誤差Haを目標寸法出力部36に出力する。目標寸法出力部36は、入力された目標寸法Saおよび加工誤差Haと、前述した式(4)とを用いて、補正後の目標寸法Sa´を算出する。
目標寸法出力部36は、算出された補正後の目標寸法Sa´を軸指令値制御部37に出力する。軸指令値制御部37は、目標寸法Sa´と放電距離Shに基づいて目標寸法Sa´を加工するために必要な軸指令値Sgを決定する。目標寸法出力部36は、軸指令値SgをX軸駆動部2aおよびY軸駆動部3aに出力し、X軸ステージ2およびY軸ステージ3を駆動制御する。
このように、ワイヤ放電加工機100においては、熱膨張係数Ea,Eb、および温度差分ΔTaに基づき、加工誤差Haを算出し、加工誤差Haを打ち消すように補正された目標寸法Sa´を決定し、目標寸法Sa´および放電距離Shから決定された軸指令値SgによってX軸ステージ2およびY軸ステージ3を駆動することで、加工結果を測定する温度Ta1において誤差のない加工結果が得られるようにしている。
つぎに、目標寸法の補正による加工結果の良否判定を行うための構成について説明する。図5は、実施の形態にかかるワイヤ放電加工機100において、被加工物Wとワイヤ1との間の放電距離である極間距離Hcを導出する方法を説明するための図である。図6は、実施の形態にかかるワイヤ放電加工機100において、被加工物Wの寸法Seを導出するための構成を示すブロック図である。図7は、実施の形態にかかるワイヤ放電加工機100において、被加工物Wの寸法の良否判定を行うための構成を示すブロック図である。図6、図7では、X軸ステージ2およびY軸ステージ3をステージ2,3と一部省略して図示し、X軸リニアスケール2bおよびY軸リニアスケール3bを、スケール2b,3bと一部省略して図示している。また、図7では、X軸ステージ2およびY軸ステージ3をステージ2,3と、一部省略して図示し、X軸駆動部2a,Y軸駆動部3aを駆動部2a,3aと、一部省略して図示している。図7に示す被加工物寸法算出部41、目標寸法温度換算部42、寸法比較部43、および軸指令値制御部37が、第2の制御部に対応する。
図5に示すように、被加工物Wの寸法Seを求めるために、被加工物Wとワイヤ1との間で発生する放電電圧の波形から被加工物Wとワイヤ1との間の極間距離Hcを検出する。すなわち、距離算出部40は、放電が発生したときの放電電流による降下電圧Vと、放電電流値Aとを用いて、下式(5)のように、被加工物Wとワイヤ1との間の電気抵抗Rを算出する。
R=V/A ・・・(5)
また、被加工物Wとワイヤ1との間は電気抵抗率ρが既知である加工液13によって満たされているため、極間距離Hcを下式(6)によって求めることができる。
Hc=R/ρ ・・・(6)
図5では、降下電圧Vのときには、極間距離Hcが求められ、より低い降下電圧V´のときには、より近い極間離Hc´が求められることが示されている。
図6に示すように、被加工物寸法算出部41は、距離算出部40で求めた極間距離Hcと、X軸リニアスケール2bおよびY軸リニアスケール3bによって測定した現在の軸位置Sdとに基づいて、下式(7)のように、現在の軸位置Sdから極間距離Hcを減算することで、被加工物Wの寸法Seを算出する。
Se=Sd-Hc ・・・(7)
また、図7に示すように、目標寸法温度換算部42は、目標寸法出力部36で算出した補正後の目標寸法Sa´と、制御パラメータ記憶部33に記憶されたX軸リニアスケール2bおよびY軸リニアスケール3bの熱膨張係数Eaと、加工液制御部31で求められた温度差分ΔTaと、に基づいて、下式(8)のように、補正後の目標寸法Sa´を加工時の温度Ta2に換算した換算後の目標寸法Sb´を取得する。
Sb´=Sa´+ΔTa×Ea ・・・(8)
また、図7の被加工物寸法算出部41においては、図6で説明したようにして、距離算出部40で求めた極間距離Hcと、X軸リニアスケール2bおよびY軸リニアスケール3bによって測定した現在の軸位置Sdとに基づいて、被加工物Wの寸法Seを算出する。
寸法比較部43は、被加工物寸法算出部41で算出された被加工物Wの寸法Seと、目標寸法温度換算部42で算出された温度補正後の目標寸法Sb´とを比較して、目標寸法の補正による加工結果の良否判定を行う。寸法比較部43は、被加工物Wの寸法Seと、温度補正後の目標寸法Sb´との差分が、許容範囲内に入っているか否かを判定し、その判定結果を軸指令値制御部37に出力する。
軸指令値制御部37は、判定結果が許容範囲内に入っている場合は、式(3)で求められた加工誤差Haは良であると判定し、これで補正を終了する。しかし、判定結果が許容範囲内に入っていない場合、軸指令値制御部37は、現在の軸指令値Sgを変更することで軸位置Sdを変化させ、被加工物Wの寸法Seと温度補正後の目標寸法Sb´との差分が許容範囲内に入るように制御をする。すなわち、被加工物の寸法Seが目標寸法Sb´よりも大きかった場合は軸指令値をSg´に変更することで軸位置をより被加工物Wと近い軸位置Sd´とし、被加工物Wの寸法がより小さい寸法Se´になるように制御をする。被加工物Wの寸法Seが目標寸法Sb´よりも小さかった場合は軸指令値をSg´´に変更することで軸位置をより被加工物Wから遠い軸位置Sd´´とし、被加工物Wの寸法がより大きい寸法Se´´になるように制御をする。このような制御を判定結果が許容範囲に収まるまで繰り返すことで加工誤差のない加工をおこなうことができる。
以上説明したように、実施の形態によれば、加工液制御部31によって加工中の加工液13の温度に基づき温度差分ΔTaを導出し、熱膨張係数Ea,Eb、および温度差分ΔTaに基づき、加工誤差Haを算出し、加工誤差Haを打ち消すように補正後の目標寸法Sa´を決定し、決定された目標寸法Sa´に基づく軸指令値SgによってX軸ステージ2およびY軸ステージ3を駆動しているので、加工結果を測定する温度Ta1において誤差のない加工結果をリアルタイムに得ることができる。したがって、加工の際にリアルタイムに温度補正が行われ、加工の生産性を向上させることができる。また、被加工物寸法算出部41で算出された被加工物Wの寸法Seと、目標寸法温度換算部42で算出された温度補正後の目標寸法Sb´とを比較して、目標寸法の補正による加工結果の良否判定を行うので、軸移動の温度補正が正しく行われているか否かをリアルタイムで把握することができる。このため、加工の際にリアルタイムに温度補正および補正の良否判定を行うことができ、生産性を向上させることができる。また、良否判定が否であった場合は、現在の軸位置Sdを変更しているので、加工誤差のない加工後の被加工物を効率よく生産することができる。
ここで、図4に示した制御部30、制御パラメータ記憶部33、材質別制御パラメータ決定部34、加工誤差検出部35、目標寸法出力部36、および軸指令値制御部37と、図7に示した距離算出部40、被加工物寸法算出部41、目標寸法温度換算部42、および寸法比較部43と、を含む制御系のハードウェア構成について説明する。図8は、実施の形態にかかるワイヤ放電加工機100の制御系のハードウェア構成を示すブロック図である。
ワイヤ放電加工機100の制御系は、図8に示した演算装置404および記憶装置405を含むハードウェア構成406によって実現することができる。演算装置404は、例えば、CPU(Central Processing Unit)マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)である。記憶装置405は、例えば、RAM(Random Access Memory)またはROM(Read Only Memory)である。
以上の実施の形態に示した構成は、本開示の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本開示の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
1 ワイヤ、2 X軸ステージ、2a X軸駆動部、2b X軸リニアスケール、3 Y軸ステージ、3a Y軸駆動部、3b Y軸リニアスケール、4 ワーク移動機構、10 加工槽、11 ワーク載置台、13 加工液、14 下部アーム、15 上部アーム、20 コラム、21 支持台、24 下部ガイド、25 上部ガイド、30 制御部、31 加工液制御部、32 電源部、33 制御パラメータ記憶部、34 材質別制御パラメータ決定部、35 加工誤差検出部、36 目標寸法出力部、37 軸指令値制御部、40 距離算出部、41 被加工物寸法算出部、42 目標寸法温度換算部、43 寸法比較部、100 ワイヤ放電加工機、404 演算装置、405 記憶装置、406 ハードウェア構成。

Claims (6)

  1. 加工槽内の加工液に浸漬させた被加工物とワイヤ電極との間に電圧を印加して放電を発生させ、前記ワイヤ電極と前記被加工物とを相対移動させる移動軸の位置を位置検出器で検出し、検出した移動軸の位置を目標寸法に対応する目標値にフィードバックして、前記被加工物を加工するとともに、前記位置検出器の温度を前記加工液の温度と同調させるワイヤ放電加工機であって、
    前記加工液を温度制御し、加工中に検出した前記加工液の温度に基づき加工結果を測定するときの温度である第1の温度と加工時の温度である第2の温度との温度差分を取得する加工液制御部と、
    前記取得した前記温度差分、前記被加工物の熱膨張係数、および前記位置検出器の熱膨張係数に基づいて、前記目標寸法で加工した前記被加工物を前記第1の温度で測定した場合の寸法と前記目標寸法との加工誤差を算出し、算出した前記加工誤差によって前記目標寸法を加工中にリアルタイムに補正し、補正後の前記目標寸法に基づく軸指令値によって前記移動軸を駆動する第1の制御部と、
    前記補正後の前記目標寸法による加工の良否判定を行い、否の場合に前記軸指令値を変更する第2の制御部と、
    を備えることを特徴とするワイヤ放電加工機。
  2. 前記軸指令値は、補正後の前記目標寸法および前記被加工物に対応して設定された放電距離に基づいて決定される
    ことを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電加工機。
  3. 前記加工液制御部は、温度制御した前記加工液を加工槽に供給し、加工中に前記加工槽から戻る前記加工液の温度を検出し、検出した前記温度に基づき、前記温度差分を取得する
    ことを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電加工機。
  4. 前記位置検出器が取り付けられているブロックに前記加工液が通水されている
    ことを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電加工機。
  5. 前記第2の制御部は、
    前記被加工物と前記ワイヤ電極との距離である極間距離を求める距離算出部と、
    前記位置検出器によって検出した現在の前記移動軸の位置と、前記極間距離とに基づき、前記第2の温度における加工後の前記被加工物の寸法を算出する被加工物寸法算出部と、
    前記温度差分、および前記位置検出器の熱膨張係数を用いて、補正後の前記目標寸法を前記第2の温度に換算した換算後の前記目標寸法を算出する目標寸法温度換算部と、
    前記被加工物寸法算出部で算出された前記被加工物の寸法と前記換算後の前記目標寸法との寸法差分を求め、前記寸法差分が許容範囲に入ってない場合、前記寸法差分が許容範囲になるまで前記軸指令値を変更する寸法比較部と、
    を備えることを特徴とする請求項1から4の何れか一つに記載のワイヤ放電加工機。
  6. 前記極間距離は、前記被加工物および前記ワイヤ電極に印加される電圧の放電時の降下電圧に基づき求められる
    ことを特徴とする請求項5に記載のワイヤ放電加工機。
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