JP7383196B2 - ロープ検査装置及びロープ検査方法 - Google Patents

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Description

本開示は、ロープ検査装置及びロープ検査方法に関する。本開示は特に、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)を含むロープの欠陥を検出する非破壊検査に関する。
CFRP製のロープの検査装置としては、磁場を印加したときにCFRPで発生する渦電流に基づいてCFRP中の欠陥を検出するものが知られている(例えば特許文献1)。
米国特許出願公開第2019/0202666号明細書(段落0094~0095、第9図)
特許文献1の検査装置には、炭素繊維内の縦割れを検出できないという問題があった。
本開示は、炭素繊維内の縦割れを含む種々の欠陥を検出可能なロープ検査装置及びロープ検査方法を得ることを目的としている。
本開示の一つの態様のロープ検査装置は、
ベルト状のCFRPと、前記CFRPを覆う被覆とを含むベルト状のロープを検査するロープ検査装置であって、
前記CFRPに交流磁場を印加し、前記交流磁場によって発生する渦電流を検知する検出器と、
前記CFRPの長さ方向の互いに異なる複数の位置にそれぞれ一方の端部がある複数の単位領域の各々内における前記検知の結果に基づいて、渦電流の強度を表す検出信号及び渦電流の強度の分布を表す繊維画像を生成し、前記検出信号と閾値との比較の結果と、前記繊維画像に対する画像認識の結果とに基づいて、当該単位領域内における欠陥の有無を判定する信号処理装置とを有し、
前記信号処理装置は、
第1のモードにおいて、前記CFRPの長さ方向の互いに異なる複数の位置で検知された渦電流の強度から参照画像を生成し、
第2のモードにおいて、
前記複数の単位領域の各々内での検知の結果に基づいて生成された前記検出信号及び前記繊維画像に基づく欠陥の有無の判定を行い、
欠陥があるとの判定をしたときは、前記参照画像のうちの、欠陥があるとの判定に用いられた繊維画像又は欠陥があるとの判定に用いられた検出信号と同じ単位領域での検知の結果から生成された繊維画像に合致する部分を特定し、前記合致する部分の位置を示す情報を、欠陥の位置を示す情報として出力する。
本開示の他の態様のロープ検査装置は、
ベルト状のCFRPと、前記CFRPを覆う被覆とを含むベルト状のロープを検査するロープ検査装置であって、
前記CFRPに交流磁場を印加し、前記交流磁場によって発生する渦電流を検知する検出器と、
前記CFRPの長さ方向の互いに異なる複数の位置にそれぞれ一方の端部がある複数の単位領域の各々内における前記検知の結果に基づいて、渦電流の強度を表す検出信号及び渦電流の強度の分布を表す繊維画像を生成し、前記検出信号と閾値との比較の結果と、前記繊維画像に対する画像認識の結果とに基づいて、当該単位領域内における欠陥の有無を判定する信号処理装置とを有し、
前記検出器は、前記交流磁場として複数の周波数のうちの選択された周波数の交流磁場を印加することができ、
第1のモードにおいて、前記信号処理装置は、
前記複数の周波数の各々についての参照画像を生成し、
各周波数についての参照画像を、当該周波数が選択されているときに前記CFRPの長さ方向の互いに異なる複数の位置で検知された渦電流の強度から生成し、
第2のモードにおいて、
前記ロープ検査装置は、前記複数の周波数の各々を用いた検査を行い、
各周波数を用いた検査において、
前記検出器は、当該周波数の交流磁場が印加されたときの渦電流を検知し、
前記信号処理装置は、
前記検出器で検知された渦電流から前記検出信号及び前記繊維画像を生成し、
前記検出信号及び前記繊維画像に基づく欠陥の有無の判定を行い、
欠陥があると判定した場合には、当該周波数についての参照画像のうちの、当該繊維画像又は当該検出信号と同じ単位領域での検知の結果から生成された繊維画像に合致する部分を特定し、
前記合致する部分の位置を示す情報を、欠陥の位置を示す情報として出力する。
本開示のさらに他の態様のロープ検査装置は、
ベルト状のCFRPと、前記CFRPを覆う被覆とを含むベルト状のロープを検査するロープ検査装置であって、
前記CFRPに交流磁場を印加し、前記交流磁場によって発生する渦電流を検知する検出器と、
前記CFRPの長さ方向の互いに異なる複数の位置にそれぞれ一方の端部がある複数の単位領域の各々内における前記検知の結果に基づいて、渦電流の強度を表す検出信号及び渦電流の強度の分布を表す繊維画像を生成し、前記検出信号と閾値との比較の結果と、前記繊維画像に対する画像認識の結果とに基づいて、当該単位領域内における欠陥の有無を判定する信号処理装置とを有し、
前記検出器は、少なくとも一つの検出素子を有し、
前記少なくとも一つの検出素子は複数のサブ素子を有し、
前記複数のサブ素子は、前記検出器が前記ロープに対向するように設置されたときに、前記CFRPに対向し、前記CFRPからの距離が互いに異なるように配置され、各々選択されたときに、前記CFRPの対向する位置で渦電流を検知し、
第1のモードにおいて、前記信号処理装置は、
前記複数のサブ素子の各々についての参照画像を生成し、
各サブ素子についての参照画像を、当該サブ素子が選択されているときに前記CFRPの長さ方向の互いに異なる複数の位置で検知された渦電流の強度から生成し、
第2のモードにおいて、
前記複数のサブ素子のうちの一つのサブ素子が選択され、
前記信号処理装置は、
選択されたサブ素子での渦電流の検知の結果に基づいて前記検出信号及び前記繊維画像の生成を行い、
前記複数の参照画像のうちの、生成された繊維画像に合致する部分を、比較用画像として取得し、
前記検出信号と閾値との比較の結果と、前記繊維画像に対する画像認識の結果と、前記繊維画像と前記比較用画像との比較の結果とに基づいて、欠陥の有無を判定する。
本開示のさらに他の態様のロープ検査装置は、
ベルト状のCFRPと、前記CFRPを覆う被覆とを含むベルト状のロープを検査するロープ検査装置であって、
前記CFRPに交流磁場を印加し、前記交流磁場によって発生する渦電流を検知する検出器と、
前記CFRPの長さ方向の互いに異なる複数の位置にそれぞれ一方の端部がある複数の単位領域の各々内における前記検知の結果に基づいて、渦電流の強度を表す検出信号及び渦電流の強度の分布を表す繊維画像を生成し、前記検出信号と閾値との比較の結果と、前記繊維画像に対する画像認識の結果とに基づいて、当該単位領域内における欠陥の有無を判定する信号処理装置とを有し、
前記検出器は、前記交流磁場として複数の周波数のうちの選択された周波数の交流磁場を印加することができ、
前記検出器は、少なくとも一つの検出素子を有し、
前記少なくとも一つの検出素子は、複数のサブ素子を有し、
前記複数のサブ素子は、前記検出器が前記ロープに対向するように設置されたときに、前記CFRPに対向し、前記CFRPからの距離が互いに異なるように配置され、各々選択されたときに、前記CFRPの対向する位置で渦電流を検知し、
第1のモードにおいて、前記信号処理装置は、
前記複数のサブ素子と複数の周波数との複数の組合せの各々についての参照画像を生成し、
各組合せについての参照画像を、当該組合せを構成する周波数及びサブ素子が選択されているときに前記CFRPの長さ方向の互いに異なる複数の位置で検知された渦電流の強度から生成し、
第2のモードにおいて、
前記複数のサブ素子のうちの一つのサブ素子が選択され、前記複数の周波数が順次選択され、
前記信号処理装置は、
各周波数が選択されているときに、選択されたサブ素子での渦電流の検知の結果に基づいて前記検出信号及び前記繊維画像の生成を行い、
生成された繊維画像と同じ周波数を用いて生成された前記複数の参照画像のうちの、生成された繊維画像に合致する部分を、比較用画像として取得し、
前記検出信号と閾値との比較の結果と、前記繊維画像に対する画像認識の結果と、前記繊維画像と前記比較用画像との比較の結果とに基づいて、欠陥の有無を判定する。
本開示によれば、渦電流の強度の分布を表す繊維画像を生成し、該繊維画像に基づいて、欠陥の有無を判定するので、炭素繊維中の縦割れを含む種々の欠陥を検出することができる。
(a)はCFRPを含むロープの一例を示す斜視図、(b)は、(a)のCFRPの一部を拡大して示す図である。 実施の形態1のロープ検査装置を示すブロック図である。 (a)~(c)は、検出器の異なる構成例を示す概略図である。 検出器の検出素子の一例を示すブロック図である。 (a)~(e)は、実施の形態1における検査方法を示す図である。 実施の形態1のロープ検査装置における処理の手順を示すフローチャートである。 検出器の検出素子の他の例を示すブロック図である。 (a)~(d)は、繊維画像の画質改善のための処理を示す図、(e)は、画質改善の結果得られる画像の例を示す図である。 図3(c)の検出器を用いた場合の検査方法を示す図である。 実施の形態2のロープ検査装置を示すブロック図である。 (a)は、実施の形態2において生成される参照画像の一部の一例を示す図、(b)は、繊維画像の一例を示す図である。 実施の形態2のロープ検査装置における、参照画像取得の処理の手順を示すフローチャートである。 実施の形態2のロープ検査装置における、検査実行の処理の手順を示すフローチャートである。 実施の形態3のロープ検査装置を示すブロック図である。 (a)は、表皮効果を説明するための図、(b)は、励磁周波数と表皮深さとの関係を示す図、(c)は、励磁周波数と生成される繊維画像との関係を示す図である。 実施の形態3のロープ検査装置における処理の手順を示すフローチャートである。 実施の形態4のロープ検査装置を示すブロック図である。 実施の形態4のロープ検査装置における、参照画像取得の処理の手順を示すフローチャートである。 実施の形態4のロープ検査装置における、検査実行の処理の手順を示すフローチャートである。 実施の形態5のロープ検査装置を示すブロック図である。 実施の形態5で用いられる検出素子を示す図である。 励磁周波数と、ギャップと、生成される繊維画像との関係を示す図である。 実施の形態5のロープ検査装置における、参照画像取得の処理の手順を示すフローチャートである。 実施の形態5のロープ検査装置における、検査実行の処理の手順を示すフローチャートである。
実施の形態1.
以下、実施の形態1のロープ検査装置及びロープ検査方法について説明する。
図1(a)は実施の形態1のロープ検査装置及びロープ検査方法の検査対象となるベルト状のロープ100の一例を示す。図1(a)において、Lはロープ100の長さ方向、Wはロープ100の幅方向、Tはロープ100の厚さ方向に対応している。図示のように、ロープ100は、横断面が矩形状であり、該矩形の一方(W方向)の辺が、他方(T方向)の辺よりも長い。以下では、ロープ100のL方向及びW方向に延在する面101を主表面と言う。
ロープ100はCFRP(炭素繊維強化プラスチック)110とそれを覆う非金属の被膜120とを含む。CFRP110は炭素繊維114と樹脂材115とで構成される。CFRP110の横断面は、ロープ100の横断面と同じく、矩形状であり、該矩形の一方(W方向)の辺が、他方(T方向)の辺よりも長い。従って、CFRP110もベルト状である。CFRP110の長さ方向(L方向)、幅方向(W方向)、及び厚さ方向(T方向)は、ロープ100のL方向、W方向及びT方向と一致する。
炭素繊維114はL方向に延在しており、図1(b)に示すように、樹脂材115中に分布している。分布は均一とは限らず、図示の如く不均一となる場合もある。
実施の形態1のロープ検査装置及びロープ検査方法で検査対象となるロープ100は、例えば、エレベータ用のロープ、橋梁用のロープ、建築部材用のロープである。エレベータ用のロープは、例えばカゴを吊るすためのものである。
検査は、例えば、ロープの製造過程、ロープを用いるエレベータの設置段階、橋梁の建設段階、建築部材を用いた建築物の建築段階、エレベータの運用中若しくは保守段階に行われる。
検査がエレベータの運用中に行われる場合には、例えばカゴの動きに伴い、ロープが動いている時に行われても良い。
以下では主にエレベータの運用中に行われる場合を想定して説明する。
図2は実施の形態1に係るロープ検査装置1を示す。
図示のロープ検査装置1は、検出器200と、信号源280と、信号処理装置300とを有し、信号処理装置300は出力装置400に接続されている。
検査の際、検出器200は、ロープ100に対向するように、従ってCFRP110に対向するよう設置され、CFRP110に交流磁場を印加し、交流磁場によって発生する渦電流の強度を検知する。検知の結果は渦電流信号Aとして出力される。渦電流の検知は、ロープ100のL方向の互いに異なる複数の位置、従ってCFRP110のL方向の互いに異なる複数の位置で順次行われる。
以下では、検出器200がロープ100の主表面101に対向するように設置されるものとする。
検出器200は、例えば図3(a)に示すように、複数の検出素子210を含む。複数の検出素子210は、一次元アレイ202を形成するように配置され、検査の際は、図3(a)に示すように、一次元アレイ202の長さ方向、即ち検出素子210の整列方向がW方向に一致するように設置される。
その結果、複数の検出素子210は、CFRP110のW方向の互いに異なる複数の位置に対向するように配置され、各々対向する位置における渦電流を検知して渦電流信号Aを出力する。
上記のように一次元アレイ202の長さ方向がW方向に一致するように設置されるので、一次元アレイ202によってCFRP110のW方向に延びる線状の部分についての渦電流が一斉に検知される。上記の線状の部分を測定ライン或いは単にラインと言い、各検出素子210により渦電流が検知される部分を検知点と言う。
検出素子の一次元アレイ202から成る検出器200を、ロープ100に対して相対的にL方向に移動させることで、CFRP110のうち、検出器200に対向する部分を変化させ、複数の測定ラインについての渦電流を順次検知する。複数の測定ラインは、それぞれCFRP110のL方向の互いに異なる複数の位置にある。測定ライン相互間の間隔は一定であるのが望ましい。
検知された渦電流を表す渦電流信号Aは信号処理装置300に入力される。
検出器200をロープ100に対して相対的に移動させるには、検出器200を移動させても良く、ロープ100を移動させても良い。エレベータの運用中に検査を行う場合には、カゴの移動に伴ってロープ100が移動するので、その移動を検査に利用しても良い。即ち、検出器200を固定し、ロープ100の移動に伴って、ロープ100のうちの検出器200に対向する部分が変化するようにしても良い。以下の説明で「ロープ100に対して検出器200を移動させる」とは相対的移動を意味する。
検出素子210の各々は、例えば、図4に示すように、励磁コイル220と、検知器230とを有する。励磁コイル220は、信号源280から供給される高周波数の励磁信号Hに応じて励磁電流を流して、交流磁場を生成し、CFRP110に印加する。CFRP110内の励磁コイル220に対向している部分(検知点)には、交流磁場によって渦電流が流れ、この渦電流によって二次磁場が形成される。検知器230は、この二次磁場を検知することで、渦電流を検知する。
励磁信号Hの周波数は、ロープ100と検出器200との相対速度、及び検出すべき欠陥の大きさによって定まる。
一例として、ロープ検査装置1がエレベータの運用中に検査を行うものであって、0.1mmの破断を検出することが求められる場合を想定する。その場合、50m/minで移動する中速のエレベータでは、励磁信号Hの周波数は、10kHz以上である必要があり、1000m/minで移動する超高速のエレベータでは、励磁信号Hの周波数は、200kHz以上である必要がある。
検知器230としては、検知コイル、ホールセンサ、磁気抵抗素子、フラックスゲート磁気センサ、超伝導量子干渉計(SQUID:Superconducting QUantum Interference Device)など、交流磁場の大きさを電気信号に変換する素子が使用される。
検出素子210は、例えばプリント基板上に実装されている。プリント基板上に実装すれば、多数の検出素子を高い密度で並べることが可能である。
信号処理装置300は、検出器200で検知された渦電流に基づいてCFRP110の欠陥の検出を行い、欠陥があると判定したときは、欠陥判定結果を示す欠陥情報Dを出力する。
出力装置400は、信号処理装置300から出力された欠陥情報Dを利用者又は外部の機器に知らせる。
出力装置400は、表示器、点滅表示装置、表示部を備えた通信端末など、利用者に検査結果を表示する機器であっても良く、外部の機器に検査結果を伝達する機器であっても良い。ここで言う利用者は、検査を行う者又は検査結果を利用する者である。外部の機器は、図示しない他の機器である。
信号処理装置300は、例えば、図2に示されるように、渦電流信号評価部302と、画像処理部304と、欠陥判定部306とを有する。
検出器200から出力された渦電流信号Aは渦電流信号評価部302に入力される。
渦電流信号Aは、CFRP110の異なる測定ラインでの渦電流検知が行われる度に入力される。
測定ラインの例が図5(a)に符号L(j)、L(j+1)で示されている。
これらの測定ラインは、L方向の互いに異なる位置にあり、CFRP110のW方向の一方の縁から他方の縁まで延びている。
各測定ライン上の、W方向の互いに異なる複数の位置(検知点)において、一次元アレイ202を構成する複数の検出素子210によって同時に渦電流が検知される。
渦電流信号評価部302は、渦電流信号Aを取得し、渦電流信号Aに対して処理を行い、検出信号Bを生成して出力する。例えば、渦電流信号評価部302は渦電流信号Aに対する増幅調整、レベルシフト、フィルタリング等を行って、検出信号Bを生成しても良い。また、渦電流信号評価部302は、CFRP110のW方向の端部での検知の結果得られる渦電流信号A(検出器200の出力)に対する補正値を予め保有し、渦電流信号Aに基づいて検出信号Bを生成する際に、上記の補正値を用いて強度の補正を行っても良い。これにより、渦電流のエッジ効果による、W方向の渦電流信号Aの強度のばらつきによる欠陥の誤検出を防ぐことができる。
渦電流信号評価部302から出力される検出信号Bの例が図5(b)及び(c)に示されている。図5(b)及び(c)はそれぞれ測定ラインL(j)、L(j+1)での検知で得られた渦電流信号Aから生成された検出信号Bを示す。
以上のように検出信号Bは、渦電流信号Aに対して補正などの処理を加えることで生成されるものであるが、渦電流信号Aと同じく渦電流の強度を表すものであると言える。
画像処理部304は、渦電流信号評価部302から出力された検出信号Bを取得し、内部に蓄積し、画像Cを生成する。
この画像Cは、CFRP110の炭素繊維の状態を表すものであるので、本書では繊維画像と呼ばれる。
例えば、画像処理部304は、検出信号Bを、L方向の互いに異なる、予め定められた数のライン、即ちNfラインに亘り蓄積し、蓄積したNfラインの検出信号Bで1フレームの繊維画像Cを生成する。
Nfラインの検出信号Bで1フレームの繊維画像Cが生成されるので、Nfラインの検出信号Bを1フレーム分の検出信号Bと言う。
図5(a)で、符号Lhは、互いに隣合うNfラインで構成される領域のL方向の寸法を示す。本書では、互いに隣合うNfラインで構成される領域を単位領域と言う。単位領域は、1フレーム分の検出信号B及び1フレームの繊維画像Cの生成のための渦電流の検知が行われる領域である。単位領域の一方の端部は、1フレーム分の検出信号B及び1フレームの繊維画像Cの生成のための渦電流の検知が開始される位置にある。
各測定ラインは、W方向の互いに異なる複数の位置にある検知点を含むので、Nfラインで構成される単位領域は、W方向及びL方向に整列した複数の検知点、即ちマトリックス状に配列された複数の検知点を含む。
Nfラインの検出信号Bからの繊維画像Cの生成は繰り返し行われる。
図5(a)に示される例では、隣り合う単位領域(そのL方向寸法がLhで示される領域)が、互いに重ならず、かつ相互間に隙間がない。
その場合、1フレームの繊維画像Cの生成のための渦電流の検知が開始されてから、次のフレームの繊維画像Cの生成のための渦電流の検知が開始されるまでに、検出器200がロープ100に対して移動する距離は、上記の単位領域のL方向寸法Lhに等しい。
ロープ100に対する検出器200の移動の速さが一定であり、渦電流の検知(渦電流信号Aの生成)の周期が一定であれば、上記の単位領域のL方向寸法Lhは一定となる。
画像処理部304は、各単位領域での検知で得られた渦電流信号Aから得られた検出信号Bの強度を仮想的な二次元平面にマッピングすることで、当該検出信号Bの強度の分布を表す繊維画像Cを生成する。
上記のように検出信号Bは渦電流の強度を表すものであるので、各繊維画像Cは、各単位領域内での検知で得られた、渦電流の強度の分布を表すものであると言える。但し、より正確には、各繊維画像Cは、渦電流信号評価部302による補正等が加えられた渦電流の強度を表すものである。
マッピングにおいて、二次元平面内の、上記の検知点に対応する位置の各々に画素が定義される。ここでいう検知点は、CFRP110のうちの、各検出素子210により渦電流が検知された部分である。マッピングで生成される繊維画像Cの、上記の検知点に対応する位置に定義される画素は、当該検知点で検知された渦電流の強度(当該検知点での検知で得られた渦電流信号から生成された検出信号Bの強度)を表すものとなる。検出信号Bの強度は各画素の色で表現される。ここでいう色の成分には、明度、色相、及び彩度が含まれる。
以下では、各画素の明度即ち濃淡で渦電流の強度が表されるものとする。
繊維画像のW方向の分解能は、一次元アレイ202の検出素子210の配置の密度で決まり、繊維画像のW方向の画素の数は、一次元アレイ202の検出素子210の数に等しい。
繊維画像のW方向に並んだ複数の画素により一つの列が構成される。各列は、CFRP110の各測定ラインでの検知の結果に基づいて生成された検出信号Bに対応する。
繊維画像のL方向の分解能は、上記の測定ライン間の間隔で決まり、該間隔は、ロープ100に対する検出器200のL方向の移動の速度と、渦電流の検知(渦電流信号Aの生成)の周期とで決まる。
欠陥判定部306は、各単位領域内での渦電流の検知の結果から生成された検出信号B及び繊維画像Cに基づいて、当該単位領域内に欠陥があるか否かの判定を行なう。
ここでいう欠陥には、破断、剥離、縦割れが含まれる。
例えば、欠陥判定部306は、検出信号Bに対して閾値判定を行うとともに、繊維画像Cに対する画像認識を行い、閾値判定の結果及び画像認識の結果に基づいて欠陥の有無を判定する。
閾値判定においては、検出信号Bと閾値との比較を行い、検出信号Bが閾値よりも大きければ、欠陥があるとの判定をする。
画像認識においては、例えば予め定められたパターンに類似のパターンが現れれば、欠陥があるとの判定をする。
図5(d)は、CFRP110のW方向のある位置において、L方向に延びた線状の部分W(i)内の、L方向の位置と検出信号Bとの関係の一例を示す。
図5(d)に示される例では、L方向のある位置で検出信号Bが閾値よりも大きくなっている。これは欠陥によるものと推定される。渦電流は破断、剥離の端部に集中する傾向があるためである。
検出信号Bに対する閾値判定を行うことで上記した検出信号Bの上昇を検出することができ、それにより欠陥を検出することができる。
なお、図5(d)は、L方向に延在する線状の部分に沿っての検出信号Bの変化を示しているが、必ずしも図5(d)に示される信号が生成されることを意味しない。図5(b)及び(c)に例示される各測定ラインの検出信号Bの閾値判定をすべての測定ラインについて行えば、図5(d)に示される閾値を超える部分の検出は行える。
図5(e)は、繊維画像Cの一例を示す。
炭素繊維の密度が均一で、欠陥等がなければ、検出信号Bは一定である。実際のCFRP110はロープの製造中の、諸過程、例えば、CFRPシートの作製過程、成型過程、長尺化過程のいずれかおいて炭素繊維のよれが発生し、炭素繊維の密度が不均一となり、このため、検出信号BがW方向の位置によって異なるものとなることがある。
例えば、炭素繊維が密な場合は渦電流が多く流れるため、検出信号Bは大きくなり、繊維画像Cの対応する部分は明るくなる。一方、炭素繊維の密度が低い場合及び縦割れが生じている場合に、渦電流が流れにくくなり、このため、検出信号Bは小さくなり、繊維画像Cの対応する部分は暗くなる。
以上のように、繊維画像Cは、各部分における炭素繊維の密度、及び縦割れを反映する。
例えば、繊維画像C中に、L方向に延びた、暗い筋状の部分があれば、縦割れが存在すると推定することができる。
以上、欠陥があると判定される場合の一例を示したが、上記の例以外でも予め定められたパターンに類似のパターンが現れれば、欠陥があると判定しても良い。
1フレーム分の検出信号Bに対する閾値判定及び繊維画像Cに対する画像認識は、処理の途中で欠陥が見つかった場合には、そこで処理を終了しても良い。即ち、1フレームの処理の途中で欠陥が見つかった場合には、それ以降の部分については処理を行わなくても良い。
欠陥判定部306は、判定の結果を欠陥情報Dとして出力装置400に通知する。この通知を受けて、出力装置400は、欠陥情報Dを利用者又は外部の機器に知らせる。
以上の処理がロープ100の全長に亘って順次行われ、その結果、ロープ100の全体についての検査が行われる。
即ち、ロープ100に対する検出器200の移動に伴い、CFRP110のL方向の互いに異なる複数の位置にそれぞれ一方の端部がある複数の単位領域の各々について検査が行われる。
各単位領域についての検査においては、当該単位領域内で検知された渦電流から生成された検出信号Bと繊維画像Cとに基づいて当該領域内に欠陥があるか否かの判定が行われる。
図6は実施の形態1のロープ検査装置1における処理の手順を示す。
以下では、検出器200が固定され、ロープ100が移動しており、ロープ100の移動に伴い、CFRP110のL方向の互いに異なる複数の位置で(当該位置にある測定ラインで)渦電流の検知が行われるものとする。
例えばロープ100の全長に亘り検査を行う場合、ロープ100の一端に検出器200が対向している状態で、図6の処理が開始される。ロープ100の全長のうちの一部のみを検査する場合、該検査すべき部分の始端に検出器200が対向している状態で、図6の処理が開始される。
まず、ステップST101において、検出器200がロープ100のL方向のある位置、従って、CFRP110のL方向のある位置(測定ライン)に対向している状態で励磁信号Hを供給し、1ライン分の渦電流信号Aを出力させ、渦電流信号評価部302が、1ライン分の渦電流信号Aに基づいて1ライン分の検出信号Bを生成する。
画像処理部304は、生成された検出信号Bを取得し、内部に蓄積する。
ステップST102において、1フレーム分の検出信号Bが得られたか否かが判定される。ステップST102でNOであれば、ステップST104に進み、ステップST102でYESであれば、ステップST111に進む。
ステップST111において、画像処理部304が、蓄積された1フレーム分の検出信号Bから1フレームの繊維画像Cを生成する。
ステップST112において、欠陥判定部306が、検出信号Bの閾値判定と繊維画像Cの画像認識とから欠陥の有無を判定する。
ステップST113において、欠陥の有無の判定結果に基づいて、欠陥がない場合はステップST103に進み、欠陥がある場合には、ステップST114に進む。
ステップST114において、欠陥判定部306は、欠陥情報Dを出力装置400に通知する。
ステップST114の次にステップST103に進む。
ステップST103において、処理を続けるべきか否かの判定を行う。続けるべきであれば、ステップST104に進む。
ステップST104では、ロープ100に対して検出器200が1ライン分移動するのを待って、ステップST101に戻る。
ステップST103で、続けるべきでなければ、処理を終了する。例えばロープ100の全長について検査を行う場合であって、ロープ100の一端で処理が開始された場合、ロープ100の他端に達したら、処理が終了される。
また、ロープ100の全長のうちの一部のみを検査する場合、該検査すべき部分の終端に達したら、処理が終了される。
なお、ステップST111~ST114の処理は別のルーチンで行うことも可能である。即ち、ステップST102でYESである場合、画像処理部304及び欠陥判定部306がステップST111~ST114の処理を行い、これと並行して検出器200及び渦電流信号評価部302が、ステップST104の処理に進むこととしても良い。
以上のように検出器200が渦電流信号Aを出力し、信号処理装置300が検出信号Bに対する閾値判定と繊維画像Cに対する画像認識とを行うことで、破断、剥離、縦割れ等の欠陥を検出することができる。
上記の例では、隣り合う単位領域(長さLhの範囲)が互いに重ならずかつ相互間に隙間がない場合を想定している。代わりに、上記の単位領域が互いに部分的に重なるようにしても良い。
そのようにする場合には、1フレームの繊維画像Cの生成のための渦電流の検知の開始から、次のフレームの繊維画像Cの生成のための渦電流の検知の開始までに、ロープ100に対して検出器200が移動する距離を、上記の長さLhよりも短くすれば良い。
要するに、CFRP110のL方向の互いに異なる複数の位置にそれぞれ一方の端部がある複数の単位領域の各々内における渦電流の検知の結果に基づいて、渦電流の強度を表す検出信号B及び渦電流の強度の分布を表す繊維画像Cを生成し、生成された検出信号Bに対する閾値判定の結果と、当該繊維画像Cに対する画像認識の結果とに基づいて、当該単位領域内における欠陥の有無を判定することとすれば良い。
変形例1.
図2に示されるロープ検査装置では、複数の検出素子210に対して共通の信号源280が設けられている。代わりに、検出素子210の各々が信号源を有する構成であっても良い。例えば、検出素子210の各々が図7に示すように構成されていても良い。
図7に示される検出素子210は、励磁コイル220及び検知器230に加えて、信号源240を有する。励磁コイル220は、信号源240から供給される高周波数の電流を流して、交流磁場を生成する。交流磁場によって、渦電流が誘起され、渦電流によって二次磁場が形成される。検知器230は、二次磁場を検知することで渦電流を検知する。
検出素子210の各々が図7に示されるように構成されている場合には、図2に示される、共通の信号源280は不要である。
変形例2.
上記の例では、検出信号Bの強度をマッピングすることで得られた繊維画像Cに対する画像認識を行うことで、欠陥の有無を判定している。
代わりに、繊維画像Cに対し、FFT(高速フーリエ変換)を行い、高周波数成分を除去するフィルタリングを行い、IFFT(逆高速フーリエ変換)を行うことで得られる画像に対する画像認識を行うこととしても良い。
このような処理を行えば、繊維画像C中のノイズを除去することができ、検出しようとしている欠陥による信号の変化を観察し易くなる。また、データ量の削減の効果もある。
以下、具体的な画像の例につき、上記の点をより詳しく説明する。図8(a)~(d)は、CRFP110(の検査対象部分)に欠陥がない場合を示す。
図8(a)は、検出信号Bの強度をマッピングすることで得られる繊維画像Cの一例(符号C-1で表す)を示す。図8(a)及び後述の図8(d)及び図8(e)において、画像の明るい部分は、渦電流が多く流れた部分である。図8(a)において、L方向に延びた筋が見られ、炭素繊維に対応した画像が得られていることが分かる。しかし、画像は全体的にコントラストが低く、炭素繊維の状態が不明瞭である。
図8(b)は図8(a)の画像に対し、FFTを行うことで得られた画像である。図8(b)で「水平周波数」はL方向の空間周波数を表し、「垂直周波数」はW方向の空間周波数を表す。図8(b)では、縦方向及び横方向の中心が空間周波数ゼロの位置である。
図8(b)の画像において、縦方向に明るい色の筋が延びている。この筋のうちの、画像の中心から離れた部分は、高周波数のノイズ成分に対応する。
図8(c)は、図8(b)の画像に対してBPF(バンドパスフィルターリング)を行うことで得られる画像である。BPFを行うことで、不要なノイズ成分(高周波数成分)が除去されている。
図8(d)は図8(c)の画像に対し、IFFTを行うことで得られた画像C-1bである。図8(d)の画像C-1bは図8(a)の画像に比べてコントラストが高く、炭素繊維に対応する筋がより明瞭に確認できる。
このように、画像処理部304でFFT、BPF及びIFFTを行うことでノイズの除去、それに伴う繊維画像Cの鮮明化及びデータ量の削減が可能となる。
図8(e)に一例として、疲労試験後に縦割れが確認されたCFRP110に対して検出信号Bの生成、繊維画像Cの生成、及び信号処理(FFT、BPF、及びIFFT処理)を実施することで得られた繊維画像C-2を示す。
図8(e)では、中央付近に横方向に延びた黒い帯が確認される。これは渦電流が流れていない部分、つまり縦割れに対応している。
図8(e)の中央上部には2つの黒い点がみられる。これらは疲労試験時に生じた内部の欠陥と考えられる。なお、これらの欠陥は、目視では確認されなかったものである。このように、画質改善の結果を利用することで、目視では確認できない欠陥の検出を行うことができる。
なお、上記のようにFFT、BPF及びIFFTを行うことで得られた画像も、各単位領域内での渦電流の強度の分布を表す繊維画像であると言える。
変形例3.
図2のロープ検査装置1では、図3(a)に示される検出器200が用いられている。図3(a)に示される検出器200の代わりに、図3(b)に示される検出器200bを用いることも可能である。図3(b)は、検出器200bを、検査対象であるロープ100とともに示す。
図3(b)に示される検出器200bは、単一の検出素子210とアクチュエータ215とを有する。
検出素子210は、検出器200bがロープ100に、従ってCFRP110に対向するように設置されたとき、CFRP110に対向するように設けられ、CFRP110の対向する位置(当該位置にある検知点)における渦電流を検知して渦電流信号Aを出力する。
アクチュエータ215は、渦電流検知の際、検出素子210をW方向に移動させることで、検出素子210をCFRP110のW方向の互いに異なる複数の位置で、CFRP110に順次対向させることができる。
検出器200bは各測定ラインで、検出素子210をW方向に移動させながら、W方向の互いに異なる複数の位置で検出素子210をCFRP110に対向させ、CFRP110の対向する位置で渦電流の検知を行って、渦電流信号Aを出力する。
渦電流信号評価部302は、検出器200bから順次出力される渦電流信号Aを受けて、検出信号Bを出力する。
画像処理部304は、渦電流信号評価部302から順次出力されるそれぞれの測定ラインの検出信号Bを蓄積し、Nfラインの検出信号Bに基づいて繊維画像Cを生成する。
以上のように、各測定ラインに沿う、複数の検知点で渦電流を検知する処理を、L方向の互いに異なる位置にある複数の測定ラインで順次行う(即ち、ロープ100に対して検出器200bを移動させながら行う)ことで1フレームの繊維画像Cを構成するための、W方向及びL方向の互いに異なる複数の位置での(即ち各単位領域の全体での)渦電流の検知の結果を得ることできる。
上記以外の処理は、実施の形態1で説明したのと同様である。
変形例4.
上記の検出器200及び200bの代わりに図3(c)に示される検出器200cを用いることも可能である。図3(c)は、検出器200cを、検査対象であるロープ100とともに示す。
図3(c)に示される検出器200cは、複数の検出素子210から成る二次元アレイ204を備える。
二次元アレイ204を構成する検出素子210は、互いに直交する方向、即ちU方向及びV方向の互いに異なる複数の位置に、かつU方向及びV方向に整列するように配置されている。
渦電流検知の際には検出器200cは、U方向がL方向に一致し、V方向がW方向に一致するように設置される。即ち、検出器200cは、二次元アレイ204を構成する複数の検出素子210が、CFRP110のL方向及びW方向の互いに異なる複数の位置において、CFRP110に対向するように設置され、その状態で、検出素子210は、各々CFRP110の対向する位置における渦電流を検知して渦電流信号Aを出力する。この場合、二次元アレイ204を構成する複数の検出素子210によって渦電流の検知が行われるそれぞれの検知点の集合によって1つの単位領域が構成される。
図3(c)の検出器200cを用いれば各単位領域の全体で一斉に渦電流の検知を行い、1フレーム分の渦電流信号Aを生成することができ、渦電流信号評価部302は、検出器200cから出力される1フレーム分の渦電流信号Aに基づいて1フレーム分の検出信号Bを生成し、画像処理部304は、渦電流信号評価部302から出力される1フレーム分の検出信号Bに基づいて繊維画像Cを生成する。
繊維画像Cの各画素は、それぞれ検出素子210に対応する。各画素の色は、対応する検出素子210で検知された渦電流の強度(即ち、対応する検出素子210から出力された渦電流信号Aから生成された検出信号Bの強度)に対応する。
繊維画像CのW方向及びL方向の分解能は、それぞれ検出素子210のV方向及びU方向の配置の間隔で決まる。
1フレームの繊維画像Cの生成のための渦電流信号Aの生成が終わったら、ロープ100に対する検出器200cの対向位置を1フレーム分移動させて、上記と同様に渦電流の検知及び画像の生成を行う。
ここで1フレーム分の移動とは、1フレームに対応する範囲の長さLhだけ移動することを意味する。
即ち、図9に示すようにある単位領域で、1フレームの繊維画像C(n)の生成のための渦電流信号Aを生成したら、ロープ100に対して検出器200cを長さLhだけ移動させ、次のフレームの繊維画像C(n+1)の生成のための渦電流信号Aを生成する。以下同様の処理を繰り返す。
ここでは、図5(a)を参照して説明したように、隣り合う単位領域が互いに重ならずかつ相互間に隙間がない場合を想定している。代わりに、上記の単位領域が互いに部分的に重なるようにしても良い。そのようにする場合には、1フレームの繊維画像Cの生成のために渦電流の検知を行う位置から、次のフレームの繊維画像Cの生成のために渦電流の検知を行なう位置までの距離を、上記の長さLhよりも短くすれば良い。
検出素子の二次元アレイを用いることで、検査をより高速に行うことができる。
また、欠陥の検出の精度の向上が可能となる。
変形例5.
図3(a)に示される検出器200及び図3(c)に示される検出器200cは、複数の検出素子210を有し、各検出素子210が1個の励磁コイル220と1個の検知器230とを有する。
検出器200を構成する複数の検出素子210の各々が1個の励磁コイル220を有するとともに、互いに隣接し或いは連続して配置された2以上の励磁コイル220に対して1個の検知器230が共通に設けられている構成であっても良い。例えば、検出器200を構成する複数の検出素子210を、それぞれ隣接し或いは連続して配置されている2以上の検出素子から成る複数の群に分け、各群に属する2以上の検出素子210は、それぞれ励磁コイル220を有するとともに、共通の1個の検知器230を有する構成であってもよい。例えば、検知器230のサイズ(特にロープ100に対向したときのL方向及びW方向のサイズ)を励磁コイル220と同程度に小さくすることができない場合に、このように構成を採用するのが良い場合がある。
このような構成の場合には、各群に属する2以上の検出素子210は時分割的に動作する。即ち、各群に属する2以上の検出素子210の励磁コイル220には順に励磁電流が流され、それぞれの励磁コイル220に流れる励磁電流に起因する渦電流が共通の検知器230によって順に検出される。各励磁コイル220に励磁電流が流れているときの共通の検知器230での検知の結果得られる渦電流信号A及び検出信号Bは、各検知点における渦電流の強度を表す信号として用いることができる。このような構成の場合、2以上の励磁コイル220とそれらに共通の1個の検知器230とで、励磁コイルと同数の検出素子210が構成されていると見ることができる。
なお、上記の構成では、各群に属する2以上の検出素子相互間では、若干異なるタイミングで渦電流を検知していることになる。それでも、一次元アレイ202或いは二次元アレイ204を構成する各検出素子210で一度ずつ渦電流の検知を行うことによって一次元アレイ202或いは二次元アレイ204の全体で渦電流の検知の結果を得ることができる。即ち、一次元アレイ202の場合には、一次元アレイ202を構成する各検出素子210で一度ずつ渦電流の検知を行うことによって一次元アレイ202が対向する測定ラインの全体について渦電流の検知の結果を得ることができ、二次元アレイ204の場合には、二次元アレイ204を構成する各検出素子210で一度ずつ渦電流の検知を行うことによって二次元アレイ204が対向する単位領域の全体について渦電流の検知の結果を得ることができる。
実施の形態2.
図10は、実施の形態2のロープ検査装置1bを示す。実施の形態2のロープ検査装置1bの全体的構成は、図2に示されるロープ検査装置1と同じである。実施の形態2のロープ検査装置1bは、図2の信号処理装置300の代わりに信号処理装置300bを備えている。
信号処理装置300bは、図2に示される信号処理装置300と概して同じであるが、画像処理部304及び欠陥判定部306の代わりに、画像処理部304b及び欠陥判定部306bが設けられ、参照画像記録部312及び位置特定部314が付加されている。
画像処理部304b及び欠陥判定部306bは、図2の画像処理部304及び欠陥判定部306と同様のものであるが、以下の説明から明らかとなる違いがある。
実施の形態2のロープ検査装置1bは、第1のモード、即ち参照画像取得モード又は第2のモード、即ち検査実行モードで動作する。
第1のモードでは、CFRP110のL方向の互いに異なる複数の位置で、検出器200が渦電流を検知し、信号処理装置300bが、CFRP110のL方向の互いに異なる複数の位置で検知された渦電流から参照画像Eを生成する。
例えば、CFRP110のL方向の互いに異なる複数の位置にそれぞれ一方の端部がある単位領域の各々における検出器200による渦電流信号Aの出力、渦電流信号評価部302による検出信号Bの生成、及び画像処理部304bによる1フレームの繊維画像Cの生成が行われ、複数の単位領域での検知の結果に基づいて生成された複数フレームの繊維画像Cを参照画像記録部312で互いに連結することで参照画像Eを生成する。生成された参照画像Eは参照画像記録部312に記録される。
以上の処理が行われるときの信号及び画像データの流れが図10に矢印付きの点線で示されている。
例えば、上記の処理は、ロープ100の全長に亘って行われ、ロープ100の全長に亘り連続した参照画像Eが生成される。
参照画像記録部312には、参照画像Eの各部分の生成に用いられた繊維画像Cの生成のために渦電流の検知が行われた位置(当該繊維画像Cの生成のために用いられた渦電流信号Aが取得された位置)を示す情報Faが、上記の各部分の位置を示す情報として、参照画像Eとともに、記録される。ここでいう「位置」は、ロープ100のL方向の位置、従ってCFRP110のL方向の位置を意味する。例えば、ロープ100に対して検出器200を移動させながら、ロープ100の一端、或いはロープの特定の範囲の一端(一定の長さの部分の一端)から順に渦電流信号Aの取得を行うこととして、移動距離を測ることで、上記の位置を示す情報Faを得ることができる。
第2のモード、即ち検査実行モードでは、CFRP110のL方向の互いに異なる複数の位置にそれぞれ一方の端部がある複数の単位領域について順次検査を行う。即ち、実施の形態1と同様に、検出器200が各単位領域内で渦電流の検知を行って渦電流信号Aを出力し、信号処理装置300cが、渦電流信号Aに基づく欠陥検出を行う。
第2のモードでの処理が行われるときの信号及び画像データの流れが、図10に矢印付きの実線で示されている。
各単位領域についての検査においては、実施の形態1と同様に、検出器200による当該領域内での検知の結果に基づく渦電流信号Aの出力、渦電流信号評価部302による渦電流信号Aの取得及び検出信号Bの生成、及び画像処理部304bによる検出信号Bの取得及び繊維画像Cの生成、欠陥判定部306bによる欠陥有無の判定が行われる。
欠陥判定部306bは、各単位領域での検知の結果から生成された検出信号B及び繊維画像Cに基づいて当該単位領域内に欠陥があるか否かの判定を行う。
欠陥判定部306bは、欠陥があるとの判定をしたときは、欠陥情報Dを位置特定部314に通知する。
位置特定部314は、欠陥の位置を示す欠陥位置情報Fbを取得して出力する。ここでも「位置」は、ロープ100のL方向における位置、従って、CFRP110のL方向における位置を意味する。欠陥位置情報Fbの取得は、以下のように行われる。
即ち、位置特定部314は、欠陥位置の繊維画像Cを、参照画像記録部312に記録されている参照画像Eと比較し、参照画像Eのうちの、欠陥位置の繊維画像Cに合致する部分を特定する。例えば、類似度が閾値以上であれば、合致するとの判定をする。
ここで欠陥位置の繊維画像Cとは、欠陥があるとの判定に用いられた繊維画像C又は欠陥があるとの判定に用いられた検出信号Bに対応する繊維画像Cを意味する。
欠陥があるとの判定に用いられた検出信号Bに対応する繊維画像Cとは、当該検出信号Bから生成された繊維画像C、従って、当該検出信号Bと同じ単位領域での検知の結果から生成された繊維画像Cを意味する。
図11(a)は、参照画像記録部312に記録されている参照画像Eの一部の一例E-1を示し、図11(b)は、1フレームの繊維画像Cの一例C-3を示す。
参照画像のW方向の画素の数は、一次元アレイ202の検出素子210の数に等しい。参照画像のL方向の画素の数は、ロープ100の全長、従ってCFRP110の全長に亘る測定ラインの数に等しい。参照画像のW方向に並んだ複数の画素により一つの列が構成される。各列は、CFRP110の各測定ラインで検知された渦電流の強度(各測定ラインでの検知で生成された検出信号B)に対応する。
位置特定部314は、参照画像Eから、繊維画像Cと同じサイズの部分(その一例を図11(a)に点線の枠Eeで示す)を抽出して、比較を行う。抽出される部分の位置をずらしながら、繊維画像Cと合致する部分を探す。例えば1列ずつずらしながら、合致する部分を探す。合致するか否かは、対応する位置にある画素同士の類似度、炭素繊維に対応する筋の形状の類似度、コントラストの類似度等に基づいて判定される。
位置特定部314は、合致すると特定した部分の位置を示す情報Faを、欠陥位置情報Fbとして取得し、欠陥位置情報Fbを欠陥判定部306bに伝える。
欠陥判定部306bは、欠陥情報D及び欠陥位置情報Fbを出力装置400に通知する。この通知を受けて、出力装置400は、欠陥情報D及び欠陥位置情報Fbを利用者又は外部の機器に知らせる。
図12及び図13は、実施の形態2のロープ検査装置1bにおける処理の手順を示す。以下では、第1のモードでの処理、即ち参照画像の取得が先に行われ、その後で、第2のモードでの処理、即ち検査が行われるものとする。
図12は、第1のモードでの処理を示す。
ここではロープ100の全長に亘り連続した参照画像Eを生成する場合を想定している。この場合、ロープ100の一端に検出器200が対向している状態で、図12の処理が開始される。
図12において、ステップST101、ST102、ST111、ST103、及びST104の処理は、図6のステップST101、ST102、ST111、ST103、及びST104と同じである。
ステップST211において、画像処理部304bは、1フレームの繊維画像Cを参照画像記録部312に供給する。供給された繊維画像Cは参照画像Eの一部として記録される。
参照画像記録部312に最初の1フレームの繊維画像Cが供給されたときは、供給された繊維画像Cのみで参照画像Eが形成される。すでに参照画像Eが形成されている状態で、新たに繊維画像Cが供給されると、すでに形成されている参照画像Eの末尾に、新たに供給された繊維画像Cが連結され、参照画像Eが拡張されてより長いものとなる。
ステップST211の次にステップST103に進む。
ステップST103において、処理を続けるべきか否かを判定する。続けるべきであれば、ステップST104に進み、続けるべきでなければ処理を終了する。
ここではロープ100の全長に亘る参照画像Eを生成する場合を想定しているので、処理を続けるか否は、検出器200がロープ100の他端に対向する状態になったか否かで判断される。
図13は、第2のモードでの処理を示す。
図13で、ステップST101、ST102、ST111、ST112、ST113、ST103、及びST104は、図6のステップST101、ST102、ST111、ST112、ST113、ST103、及びST104と同じである。
ステップST121において、位置特定部314は、参照画像Eのうちの、欠陥位置の繊維画像Cに合致する部分を特定する。
ステップST122において、位置特定部314は、合致した部分についての位置情報Faを欠陥位置情報Fbとして取得し、欠陥位置情報Fbを欠陥判定部306bに通知する。
ステップST122の次にステップST114bに進む。
ステップST114bにおいて、欠陥判定部306bは、欠陥情報Dと欠陥位置情報Fbとを出力装置400に通知する。
以上のように、実施の形態2では、参照画像記録部312と位置特定部314とを備え、第1のモードで参照画像Eを生成して保存し、第2のモードで参照画像Eのうち、生成された繊維画像Cに合致する部分を特定する。従って、欠陥位置情報Fbを得ることができる。また、欠陥位置を高い精度で表す欠陥位置情報Fbを得ることができる。
欠陥の位置を特定することができるので、ロープ100に予めマーカを付けておくことも、別途位置検出器を用いることも不要である。
上記の例では画像処理部304bで1フレームの繊維画像Cを生成し、1フレームの繊維画像Cが生成される毎に、参照画像記録部312に供給して、参照画像Eに連結している。
代わりに、渦電流信号評価部302で1ラインの検出信号Bが生成される毎に、該1ラインの検出信号Bを参照画像記録部312に供給し、順次供給されるそれぞれのラインの検出信号Bを蓄積することで、参照画像Eを生成することしても良い。即ち、第1のモードでは、画像処理部304bで1フレームの繊維画像Cを生成せず、渦電流信号評価部302で生成される各ラインの検出信号Bを参照画像記録部312に供給し、順次供給されれる複数ラインの検出信号Bで参照画像Eを生成することとしても良い。この場合、最初の1ラインの検出信号Bが供給されたときは、供給された検出信号Bのみで参照画像Eを形成し、すでに参照画像Eが形成されている状態で新たに検出信号Bが供給されたら、すでに形成されている参照画像Eの末尾に、新たに供給された1ラインの検出信号Bを連結することとしても良い。
欠陥判定部306bで用いられる閾値は、参照画像Eの生成のために用いられた検出信号Bの大きさに基づいて調整することとしても良い。例えば、参照画像Eの生成のために用いられた検出信号Bが大きいほど、上記の閾値を大きくしても良い。そうすれば、ロープ100と検出器200との距離(ギャップ)、従って、CFRP110と検出器200との距離(ギャップ)が変動した場合も欠陥の検出の精度を維持することができる。
実施の形態3.
図14は、実施の形態3に係るロープ検査装置1cを示す。図14に示されるロープ検査装置1cの全体的構成は、図2に示されるロープ検査装置1と同じである。但し、図2の検出器200、信号源280、信号処理装置300の代わりに検出器200c、信号源280c、及び信号処理装置300cが設けられている。
信号処理装置300cは、図2の信号処理装置300と同様の構成を有する。但し、渦電流信号評価部302、画像処理部304及び欠陥判定部306の代わりに、渦電流信号評価部302c、画像処理部304c及び欠陥判定部306cを備えている。
渦電流信号評価部302c、画像処理部304c及び欠陥判定部306cは、図2の渦電流信号評価部302、画像処理部304及び欠陥判定部306と同様のものであるが、以下の説明から明らかとなる違いがある。
検出器200cとしては、図3(c)を参照して説明したもの、即ち検出素子の二次元アレイ204を備えたものが用いられる。従って、検出器200cは、各単位領域の全体で一斉に渦電流の検知を行うことができ、検出器200cからは、検知された渦電流の強度を表す1フレーム分の渦電流信号Aを得ることができる。
検出器200cが、実施の形態1の変形例5で記載した構成のものである場合にも、、二次元アレイ204を構成する複数の検出素子210で一度ずつ渦電流の検知を行うことで、各単位領域の全体で渦電流の検知を行うことができ、検出器200cからは、検知された渦電流の強度を表す1フレーム分の渦電流信号Aを得ることができる。
信号源280cは、図2の信号源280と同様に高周波数の励磁信号を出力する。但し、信号源280cは、出力する励磁信号の周波数を変えることができる点で異なる。
信号源280cとしては、周波数可変の電流源又は電圧源、或いはファンクションジェネレーターを用いることができる。
例えば、信号源280cは、互いに異なる複数の周波数、例えば、第1乃至第M(Mは2以上の整数)の周波数f1~fMの励磁信号H1~HMを順に選択して出力する。以下では、Mが4であるものとする。
信号源280cから周波数fm(mは1、2、3又は4)の励磁信号Hmが供給されると、検出器200cは、当該周波数fmの交流磁場をCFRP110に印加し、当該交流磁場が印加されたときの渦電流を検知する。
信号源280cが、複数の周波数のうちの選択された周波数の励磁信号Hmを供給することができるので、検出器200cは、複数の周波数のうちの選択された周波数の交流磁場を印加することができると言える。
信号源280cは、各時点で選択している周波数の参照信号Im(1、2、3又は4)を渦電流信号評価部302cに供給する。
例えば、検出器200cが一つの単位領域においてCFRP110に対向している状態で、信号源280cが、周波数f1~f4を順次選択し、選択している周波数fmの励磁信号Hmを出力する。
各周波数fmの励磁信号Hmが出力されている間に、検出器200cが対向している単位領域内で渦電流の検知を行い、1フレーム分の渦電流信号Amを出力する。
信号処理装置300cは、検出器200cから出力された1フレーム分の渦電流信号Amに基づいて、1フレーム分の検出信号Bm及び1フレームの繊維画像Cmを生成する。
1つの周波数が選択されている間に上記の一連の処理が終わったら、次の周波数が選択されて、上記と同様の一連の処理が行われる。
全ての周波数について、上記の一連の処理が終わったら、ロープ100に対して検出器200cを1フレーム分移動させる。
一つの周波数fmが選択されているときの信号処理装置300cの動作を以下に、より詳しく説明する。
信号源280cからは、選択した周波数fmの励磁信号Hmが検出器200cに供給されるとともに、該周波数fmの参照信号Imが渦電流信号評価部302cに送られる。検出器200cから出力された1フレーム分の渦電流信号Amは渦電流信号評価部302cに送られる。
渦電流信号評価部302cは、渦電流信号Amを受け、参照信号Imと一致する周波数成分を抽出し、抽出した周波数成分に基づいて検出信号Bmを生成する。渦電流信号評価部302cで生成された検出信号Bmは、画像処理部304c及び欠陥判定部306cに送られる。
画像処理部304cは、1フレーム分の検出信号Bmから繊維画像Cmを生成し、繊維画像Cmを欠陥判定部306cに送る。
以上の処理は、第1乃至第4の周波数f1~f4の各々について行われる。その結果、画像処理部304cは第1乃至第4の周波数f1~f4にそれぞれ対応する画像C1~C4を生成する。
欠陥判定部306cは、検出信号B1~B4に対する閾値判定、及び繊維画像C1~C4に対する画像認識を行い、上記の閾値判定の結果及び画像認識の結果に基づき、欠陥の有無を判定する。例えば、検出信号B1~B4のいずれかが閾値よりも大きくなれば、欠陥があると判定することとしても良い。また、繊維画像C1~C4のいずれかについての画像認識で予め定められたパターンに類似のパターンが見つかったら欠陥があると判定しても良い。
各単位領域についての上記の閾値判定及び画像認識は、その途中で欠陥が見つかったら、その時点で処理を終了しても良い。
例えば、複数の周波数について順に閾値判定及び画像認識を行い、いずれかの周波数についての閾値判定又は画像認識の結果欠陥があると判定されたら、その時点で、当該単位領域についての処理を終了し、他の周波数については処理を行わないこととしても良い。
欠陥判定部306cは、欠陥有無の判定の結果を欠陥情報Dとして出力装置400に通知する。この通知を受けて、出力装置400は、欠陥情報Dを利用者又は外部の機器に知らせる。
以下、上記のように、励磁信号の周波数を変えることの意義を説明する。
導体に交流電流を流す場合、交流電流の周波数の増加とともに、電流が流れる範囲は表面により近い範囲に限定されるようなる。これは表皮効果による。電流の大部分が流れる範囲の深さDsは、表皮深さと呼ばれる。
図15(a)はCFRP110における表皮深さDsを示す。表皮深さDsは式(1)で表される。
Ds=1/√(π・f・μ・μ・σ) (1)
式(1)で、fは電流の周波数、μはCFRP110の比透磁率、μは真空の透磁率、σはCFRP110の導電率である。
図15(b)はμ=1、μは=1.257×10-6H/m、CFRP110のT方向とW方向の導電率σを同じ100S/mとして算出した表皮深さDsと周波数fの関係である。
表皮深さDsが小さいほど、渦電流により検査できる深さ方向範囲が狭くなるが、これとともに、検査できる範囲ではより精密な検査結果を得ることができる。また、検査対象が薄いものであるほど、より高い周波数を用いる必要がある。
例えば、CFRP110の厚さが1mmである場合、一方の面から0.5mmまで、他方の面から0.5mmまでが渦電流の流れる範囲(表皮深さ)とするには、励磁信号の周波数を10GHzとすれば良い。表面部分に限ってより精密な検査結果を得るには、10GHzよりも高い周波数の励磁信号を用いれば良い。
図15(c)は励磁信号の周波数(励磁周波数)と繊維画像Cとの関係を示す図である。
励磁周波数fが低いと、T方向の全体にわたって渦電流が流れるため、CFRP110の、より深い部分までの状態を反映した繊維画像Cが得られる。
一方、励磁周波数fが高いほど、CFRP110の、より浅い部分のみの状態を反映した画像が得られる。この画像は、浅い部分については、励磁周波数fがより低い場合に比べてよりコントラストが高いものとなる。逆に言えば、励磁周波数fが低い場合は、より深い部分までの状態を反映した画像が得られるが、コントラストが比較的低く、浅い部分に欠陥があっても、より深い部分の影響を受けて、該欠陥の検出ができない場合がある。
励磁周波数fが高いほど、評価の対象となる領域はより浅い部分、即ち、表面により近い部分に限定され、励磁周波数fが低いほど、評価の対象となる領域はより深い部分までに拡がる。図15(c)で「表面部」は表面に近い部分を意味し、「全体」はより広い範囲が含まれることを意味する。
以上のように、CFRP110の表面111から特定の深さに欠陥がある場合、励磁周波数fを調整することで、他の深さの信号の重畳を防ぐことができ、欠陥の検出の精度が向上する。即ち、検出器200cで異なる周波数の励磁信号を用いて渦電流を検知することで、異なる深さに対応したCFRP110の繊維画像Cmを生成でき、欠陥が存在する深さの如何を問わず、精密な欠陥有無の判定が可能となる。
図16は実施の形態3のロープ検査装置1cにおける処理の手順を示す。
例えばロープ100の全長に亘り検査を行う場合、ロープ100の一端に検出器200cが対向している状態で、図16の処理が開始される。ロープ100の全長のうちの一部のみを検査する場合、該検査すべき部分の始端に検出器200cが対向している状態で、図16の処理が開始される。
ステップST301において、複数の周波数、即ち第1乃至第Mの周波数f1、f2、…fMを設定する。ここでは、f1<f2<…fMの関係があるとする。また、Mが4である場合を想定している。
ステップST302において、信号源280cは、複数の周波数のうちの、1つの周波数fmを選択する。例えば、複数の周波数が低い順に選択されるものとする。その場合最初は第1の周波数f1が選択される。
信号源280cは、選択した周波数fmの励磁信号Hmを検出器200cに供給するとともに、選択した周波数fmの参照信号Imを出力する。
ステップST303において、一つの単位領域で、選択されている周波数fmの励磁信号Hmを用い、1フレーム分の検出信号Bmの取得及び繊維画像Cmの生成を行う。
即ち、検出器200cが1フレーム分の渦電流信号Amを出力し、渦電流信号評価部302cが1フレーム分の渦電流信号Amの取得及び1フレーム分の検出信号Bmの生成を行い、画像処理部304cが1フレーム分の検出信号Bmの取得及び繊維画像Cmの生成を行う。
ステップST304において、欠陥判定部306cは、検出信号Bmに対する閾値判定と繊維画像Cmに対する画像認識とを行い、これらの結果から、欠陥の有無を判定する。
ステップST305において、ステップST304での判定結果がNOであればステップST306に進み、YESであればステップST308に進む。
ステップST306において、全ての周波数が選択されたか否かの判定が行われる。NOであれば、ステップST302に戻る。YESであればステップST309に進む。
ステップST306でNOであるためにステップST302に戻った場合には、次の周波数が選択される。次の周波数とは、直前にステップST302の処理が行われたときに選択された周波数の次の周波数である。
ステップST308において、欠陥判定部306cは、欠陥情報Dを出力装置400に通知する。
ステップST309において、処理を続けるか否かの判定が行われる。続けるべきでなければ、処理を終了する。
例えばロープ100の全長について検査を行う場合であって、ロープ100の一端で処理が開始された場合、ロープ100の他端に達したら、処理が終了される。また、ロープ100の全長のうちの一部のみを検査する場合、該検査すべき部分の終端に達したら、処理が終了される。
ステップST309で、続けるべきであれば、ステップST310に進む。
ステップST310で、ロープ100に対して検出器200cが1フレーム分移動するのを待って、ステップST302に戻る。ステップST310を経てステップST302に戻った場合には、最初の周波数f1が選択される。
実施の形態3でも実施の形態1と同様の効果が得られる。加えて実施の形態3では以下のような付加的な効果がある。
即ち、信号源280cで異なる周波数を設定し、周波数を切替えることで異なる深さの部分についての欠陥に関するより精細な情報を得ることができ、欠陥の検出の精度が向上する。
実施の形態3では、図3(c)に示される、検出素子の二次元アレイ204を備えた検出器200cが用いられている。代わりに、図3(a)に示される検出素子の一次元アレイ202を備えた検出器200を用いても良く、図3(b)に示される単一の検出素子とアクチュエータとを備えた検出器200bを用いても良い。
図3(a)に示される検出器200が用いられる場合、周波数の順次選択は、一次元アレイ202が一つの測定ラインに対向している間に行われても良い。
その場合の動作は例えば以下のようになる。
即ち、一次元アレイ202が一つの測定ラインに対向している間に、複数の周波数f1~fMを順次選択することで、複数の周波数f1~fMにそれぞれ対応する1ライン分の渦電流信号A1~AM及び検出信号B1~BMを生成する。
ロープ100に対する検出器200のL方向での対向位置を変化させながら、それぞれの測定ラインについて上記の処理、即ち渦電流信号A1~AM及び検出信号B1~BMの生成をNf回繰り返す。これにより、それぞれ1フレーム分の渦電流信号A1~AM及び検出信号B1~BMが順次生成される。生成された1フレーム分の検出信号B1~BMからそれぞれ1フレームの繊維画像C1~CMを生成する。
代わりに、1つの周波数fm(mは1からMのいずれか)が選択されている状態で、ロープ100に対する検出器200のL方向での対向位置を変えることで、当該周波数についての1フレーム分の渦電流信号Am及び検出信号Bmを生成し、生成された1フレーム分の検出信号Bmから1フレームの繊維画像Cmを生成する処理を、第1乃至第Mの周波数についてそれぞれ行うこととしても良い。
その場合の動作は例えば、以下のようになる。
即ち、1つの周波数fmが選択されている状態で、ロープ100に対する検出器200のL方向での対向位置を変化させながら、1ライン分の渦電流信号Am及び検出信号Bmの生成をNf回繰り返す。これにより、1フレーム分の渦電流信号Am及び検出信号Bmが生成される。生成された1フレーム分の検出信号Bmから1フレームの繊維画像Cmを生成する。その後、ロープ100に対する検出器200のL方向での対向位置を元の位置に戻す。以上の処理をM回繰り返す(それによりM個の繊維画像C1~CMを得る)。
図3(b)に示される検出器200bが用いられる場合、周波数の順次選択を、検出素子210が一つの検知点に対向している間に行っても良い。
その場合の動作は例えば以下のようになる。
即ち、検出素子210が一つの検知点に対向している間に、複数の周波数f1~fMを順次選択することで、複数の周波数f1~fMにそれぞれ対応する1検知点についての渦電流信号A1~AM及び検出信号B1~BMを生成する。
ロープ100に対する検出素子210のW方向及びL方向での対向位置を変えながら、1フレームを構成する全ての検知点について上記の処理、即ち渦電流信号A1~AM及び検出信号B1~BMの生成を行う。これにより、それぞれ1フレーム分の渦電流信号A1~AM及び1フレーム分の検出信号B1~BMが生成される。そして生成された1フレーム分の検出信号B1~BMからそれぞれ1フレームの繊維画像C1~CMを生成する。
代わりに、1つの周波数fmが選択されている状態で、ロープ100に対する検出素子210のW方向及びL方向での対向位置を変えることで、当該周波数についての1フレーム分の渦電流信号Am及び検出信号Bmの生成を行い、生成された1フレーム分の検出信号Bmから1フレームの繊維画像Cmを生成する処理を、第1乃至第Mの周波数についてそれぞれ行うこととしても良い。
その場合の動作は例えば以下のようになる。
即ち、1つの周波数fmが選択されている状態で、ロープ100に対する検出素子210のW方向及びL方向での対向位置(検知点)を変えながら、各検知点の渦電流信号Am及び検出信号Bmの生成及び取得を、1フレームを構成する全ての検知点について行う。これにより、1フレーム分の渦電流信号Am及び1フレーム分の検出信号Bmが生成される。生成された1フレーム分の検出信号Bmから1フレームの繊維画像Cmを生成する。その後、ロープ100に対する検出素子210のW方向及びL方向での対向位置を元の位置に戻す。以上の処理をM回繰り返す(それによりM個の繊維画像C1~CMを得る)。
以上のように、検出器としては、図3(a)~(c)に示される検出器200、200b、200cのいずれを用いても良い。要するに、信号源280cが、複数の互いに異なる周波数f1~fMを順次選択し、選択した周波数fm(mは1からMのいずれか)を用いて検査を行うこととし、各周波数fmを用いた検査では、当該周波数fmの励磁信号Hmを検出器200c(又は200a又は200b)に供給し、検出器200c(又は200a又は200b)は、当該周波数fmの交流磁場をCFRP110に印加することで、渦電流信号Amを出力し、信号処理装置300cが、検出器200c(又は200a又は200b)が出力した渦電流信号Amから検出信号Bm及び繊維画像Cmを生成し、生成した検出信号Bm及び繊維画像Cmを用いて欠陥の有無の判定を行う構成であれば良い。
実施の形態4.
図17は、実施の形態4のロープ検査装置1dを示す。実施の形態4のロープ検査装置1dの全体的構成は、図14に示されるロープ検査装置1cと同じである。実施の形態4のロープ検査装置1dは、図14の信号処理装置300cの代わりに信号処理装置300dを備えている。
信号処理装置300dは、図14に示される信号処理装置300cと概して同じであるが、画像処理部304c及び欠陥判定部306cの代わりに、画像処理部304d及び欠陥判定部306dが設けられ、参照画像記録部312d及び位置特定部314dが付加されている。
画像処理部304d及び欠陥判定部306dは、図14の画像処理部304c及び欠陥判定部306cと同様のものであるが、以下の説明から明らかとなる違いがある。
参照画像記録部312d及び位置特定部314dは図10の参照画像記録部312及び位置特定部314と同様のものであるが、以下の説明から明らかとなる違いがある。
信号源280cは、実施の形態3で説明したように、励磁信号Hの周波数を変更することが可能なものである。以下では、周波数f1~f4の励磁信号H1~H4を順次出力するものとする。
実施の形態4のロープ検査装置1dは、実施の形態2のロープ検査装置1bと同様に、第1のモード、即ち参照画像取得モード又は第2のモード、即ち検査実行モードで動作する。
第1のモードでの処理が行われるときの信号及びデータの流れが図17に矢印付きの点線で示されている。
第1のモードでは、複数の周波数f1~f4についての参照画像E1~E4を生成する。例えば、複数の周波数f1~f4を順に選択し、各周波数fmについての参照画像Emの生成を行なう。各周波数fmについての参照画像Emは、当該周波数fmが選択されているときにCFRP110のL方向の互いに異なる複数の位置で検知された渦電流の強度から生成される。
例えば、検出器200cが一つの単位領域においてCFRP110に対向している状態で、信号源280cが、周波数f1~f4を順次選択し、選択している周波数fmの励磁信号Hmを出力する。
各周波数fmの励磁信号Hmが出力されている間に、検出器200cが対向している単位領域内で渦電流の検知を行って1フレーム分の渦電流信号Amを出力し、渦電流信号評価部302cが1フレーム分の渦電流信号Amの取得及び検出信号Bmの生成を行い、画像処理部304dが1フレーム分の検出信号Bmの取得及び繊維画像Cmの生成を行う。
1つの周波数が選択されている間に上記の一連の処理が終わったら、次の周波数が選択されて、上記と同様の一連の処理が行われる。
全ての周波数について、上記の一連の処理が終わったら、ロープ100に対して検出器200cを1フレーム分移動させる。
上記の処理を複数の単位領域で順次行うことで、複数の周波数f1~f4の各々fmについての複数フレームの繊維画像Cmを生成し、生成された複数フレームの繊維画像Cmを参照画像記録部312dにおいて互いに連結することで参照画像Emを生成する。上記の処理は複数の周波数f1~f4について行われ、複数の周波数f1~f4についての参照画像E1~E4が生成される。生成された参照画像E1~E4は参照画像記録部312dに記録される。
例えば、上記の処理は、ロープ100の全長に亘って行われ、ロープ100の全長に亘り連続した参照画像Emが生成される。
参照画像記録部312dには、各参照画像Emの各部分の生成に用いられた繊維画像Cの生成のために渦電流の検知が行われた位置(当該繊維画像Cmの生成のために用いられた渦電流信号Amが取得された位置)を示す情報Faが、上記の各部分の位置を示す情報として、当該参照画像Emとともに記録される。
第2のモードでの処理が行われるときの信号及びデータの流れが図17に矢印付きの実線で示されている。
第2のモードでは、複数の周波数の各々を用いた検査が行われる。
各周波数を用いた検査において、信号源280cは、当該周波数の励磁信号Hmを検出器200cに供給し、検出器200cは、当該周波数の交流磁場を印加することで、渦電流信号Amを出力し、信号処理装置300dは、検出器200cが出力した渦電流信号Amから検出信号Bm及び繊維画像Cmを生成する。
第2のモードにおける渦電流信号評価部302c、画像処理部304d及び欠陥判定部306dの動作は、図14の渦電流信号評価部302c、画像処理部304c及び欠陥判定部306cの動作と同様である。
但し、欠陥判定部306dは欠陥情報Dを位置特定部314dに送る。欠陥判定部306dはまた、位置特定部314dから欠陥位置情報Fbを受けて、欠陥情報Dとともに欠陥位置情報Fbを出力する。
位置特定部314dは、欠陥の位置を示す欠陥位置情報Fbを取得して、出力する。欠陥位置情報Fbは以下のように取得される。
即ち、位置特定部314dは、参照画像記録部312dに記録されている参照画像E1~E4のうちの、欠陥があるとの判定に用いられた繊維画像Cm又は欠陥があるとの判定に用いられた検出信号Bmと同じ周波数fmを用いて生成された参照画像Emを選択し、選択された参照画像Emのうち、欠陥位置の繊維画像Cmに合致する部分を特定する。例えば、類似度が閾値以上であれば、合致するとの判定をする。
ここで欠陥位置の繊維画像Cmとは、欠陥があるとの判定に用いられた繊維画像Cm又は欠陥があるとの判定に用いられた検出信号Bmに対応する繊維画像Cmを意味する。
欠陥があるとの判定に用いられた検出信号Bmに対応する繊維画像Cmとは、当該検出信号Bmから生成された繊維画像Cm、従って、当該検出信号Bmと同じ単位領域での検知の結果から生成された繊維画像Cmを意味する。
欠陥があるとの判定に用いられた繊維画像Cm又は欠陥があるとの判定に用いられた検出信号Bmと同じ周波数fmを用いて生成された参照画像Emとは、当該繊維画像Cm又は当該検出信号Bmの生成に用いられた渦電流信号Amを取得する際に選択されていた周波数と同じ周波数が選択されているときに取得された渦電流信号Amから生成された参照画像Emを意味する。
合致する部分を特定する処理は、実施の形態2で図11(a)及び(b)を参照して説明したのと同様に行われる。
位置特定部314dは、合致すると特定した部分の位置を示す情報Faを、欠陥位置情報Fbとして取得し、欠陥位置情報Fbを欠陥判定部306dに伝える。
欠陥判定部306dは、欠陥情報D及び欠陥位置情報Fbを出力装置400に通知する。この通知を受けて、出力装置400は、欠陥情報D及び欠陥位置情報Fbを利用者又は外部の機器に知らせる。
図18及び図19は、実施の形態4のロープ検査装置1dにおける処理の手順を示す。以下では、第1のモードでの処理、即ち参照画像の取得が先に行われ、その後で、第2のモードでの処理、即ち検査の実行が行われるものとする。
図18は、第1のモードでの処理を示す。
ここではロープ100の全長に亘り連続した参照画像を生成する場合を想定している。この場合、ロープ100の一端に検出器200cが対向している状態で、図18の処理が開始される。
図18で、ステップST301、ST302、ST303、ST306、ST309、及びST310は、図16のステップST301、ST302、ST303、ST306、ST309、及びST310と同じである。
ステップST211dにおいて、画像処理部304dは、1フレームの繊維画像Cmを参照画像記録部312dに供給する。供給された繊維画像Cmは参照画像Emの一部として記録される。
参照画像記録部312dに、各周波数fmに関し、最初の1フレームの繊維画像Cmが供給されたときは、供給された繊維画像Cmのみで参照画像Emが形成される。すでに参照画像Emが形成されている状態で、新たに繊維画像Cmが供給されると、すでに形成されている参照画像Emの末尾に、新たに供給された繊維画像Cmが連結され、参照画像Emが拡張されてより長いものとなる。
ステップST211dの次にステップST306に進む。
図19は、第2のモードでの処理を示す。
図19で、ステップST301、ST302、ST303、ST304、ST305、ST306、ST309、及びST310は、図16のステップST301、ST302、ST303、ST304、ST305、ST306、ST309、及びST310と同じである。
ステップST121dにおいて、位置特定部314dは、参照画像Emのうちの、欠陥位置の繊維画像Cmに合致する部分を特定する。
ステップST122dにおいて、位置特定部314dは、合致した部分についての位置情報Faを欠陥位置情報Fbとして取得し、欠陥位置情報Fbを欠陥判定部306dに通知する。
ステップST122dの次にステップST308dに進む。
ステップST308dにおいて、欠陥判定部306dは、欠陥情報Dと欠陥位置情報Fbとを出力装置400に通知する。
実施の形態4には、実施の形態2と同様の効果に加えて、さらに以下の効果がある。
即ち、第1のモードで互いに異なる複数の周波数f1~f4を用いて複数の参照画像E1~E4を生成して保存し、第2のモードで、欠陥があるとの判定がされた場合に、当該判定に用いられた繊維画像Cm又は検出信号Bmと同じ周波数fmを用いて生成された参照画像Emのうちの、当該繊維画像Cmに合致する部分を特定して、欠陥位置情報Fbを取得するので、欠陥位置情報Fbの精度を向上できる。
実施の形態3と同様、実施の形態4でも、図3(c)に示される、検出素子の二次元アレイ204を備えた検出器が用いられている。代わりに、図3(a)に示される検出器200を用いても良く、図3(b)に示される検出器200bを用いても良い。図3(a)に示される検出器200が用いられる場合及び図3(b)に示される検出器200bが用いられる場合の、渦電流信号、検出信号及び繊維画像の生成の動作は、実施の形態3の変形例で説明したのと同様に行われても良い。
実施の形態2で述べたのと同様、実施の形態4でも、欠陥判定部306dで用いられる閾値は、参照画像Emの生成のために用いられた検出信号Bmの大きさに基づいて調整することとしても良い。そうすれば、ロープ100と検出器200cとの距離(ギャップ)、従ってCFRP110と検出器200cとの距離(ギャップ)が変動した場合も欠陥の検出の精度を維持することができる。
実施の形態5.
図20は、実施の形態5に係るロープ検査装置1eを示す。実施の形態5のロープ検査装置1eの全体的構成は、図17に示されるロープ検査装置1dと同じである。しかし、以下の点で異なる。
まず、検出器200c、信号源280c及び信号処理装置300cの代わりに、検出器200e、信号源280e及び信号処理装置300eが設けられている。
検出器200eは、検出器200cと同様に、検出素子210eの二次元アレイを備える。但し、検出素子210eの各々は、例えば、図21に示されるように、複数の、例えば第1乃至第3のサブ素子212a、212b、212cを有する。
各サブ素子は、検出器200eがロープ100に、従ってCFRP110に対向するように設置されたときに、CFRP110に対向するように設けられており、CFRP110の対向する位置における渦電流を検知する。
各サブ素子は、各々励磁コイルと検知器とを有する。即ち、サブ素子212aは励磁コイル220aと検知器230aとを有し、サブ素子212bは励磁コイル220bと検知器230bとを有し、サブ素子212cは励磁コイル220cと検知器230cとを有する。
複数のサブ素子212a~212cは、検出器200eがロープ100に対向するように設置されたときに、ロープ100からの距離が互いに異なるように配置されている。図21には、第1乃至第3のサブ素子212a~212cとロープ100との距離(ギャップ)ga、gb、gcが互いに異なることが示されている。ロープ100とのギャップga、gb、gcが、互いに異なるので、CFRP110とのギャップも互いに異なる。
サブ素子212a~212cは、プリント基板の互いに異なる層250a、250b、250cに形成されている。各検出素子内のサブ素子212a、212b、212cは、T方向に整列している。この場合、サブ素子212a~212cは互いに積層されていると言える。
サブ素子212a、212b、212cは、ロープ100に近い側から順に配置されている。例えば、サブ素子212aがロープ100に最も近い位置に配置され、サブ素子212bがその次に近い位置に配置され、サブ素子212cが最も遠い位置に配置されている。
励磁コイル220a、220b、220cは、互いに別個の配線を介して信号源280eに接続され、検知器230a、230b、230cは、互いに別個の配線を介してに信号処理装置300eに接続されている。
信号源280eは、実施の形態3の信号源280cと同様に、複数の周波数、例えば、第1乃至第Mの周波数f1~fMの励磁信号H1~HMを切替えながら、順に出力する。以下では、Mが4であるものとする。信号源280eはまた、複数のサブ素子212a~212cを選択し、選択したサブ素子に励磁信号Hmを供給することができる。
信号処理装置300eは、渦電流信号評価部302e、画像処理部304e、欠陥判定部306e、参照画像記録部312e、及び位置特定部314eを有する。これらはそれぞれ、図17の渦電流信号評価部302c、画像処理部304d、欠陥判定部306d、参照画像記録部312d、及び位置特定部314dと同様のものであるが、以下の説明から明らかとなる違いがある。
実施の形態5のロープ検査装置1eも第1のモード、即ち参照画像取得モード、又は第2のモード、即ち検査実行モードで動作する。
第1のモードでの処理が行われるときの信号及びデータの流れが図20に矢印付きの点線で示されている。
第1のモードでは、複数の周波数f1~f4と複数のサブ素子212a~212cの組合せの各々についての参照画像E(m,q)を生成する。
第1のモードでは、第1乃至第3のサブ素子212a、212b、212cが全て用いられ、順に選択される。以下では、ロープ100に近い順に、即ち、サブ素子212a、212b、212cの順に選択されるものとする。
信号源280eは、第1乃至第4の周波数f1~f4を順次選択し、選択した周波数fmの励磁信号Hm(m=1、2、3又は4)を、選択されているサブ素子212qに供給する。
例えば、検出器200eが一つの単位領域においてCFRP110に対向している状態で、信号源280eが、周波数f1~f4を順次選択し、各周波数が選択されている間に複数のサブ素子212a、212b、212cが順次選択され、信号源280eは、選択されているサブ素子212q(qはa、b又はc)に選択されている周波数fmの励磁信号Hmを供給する。
信号源280eはまた、選択している周波数の参照信号Im(mは1、2、3、又は4)を渦電流信号評価部302eに供給する。
各周波数fmの励磁信号Hmが供給されているとき、検出器200eが対向している単位領域内で、選択されているサブ素子212qにより渦電流の検知を行い、1フレーム分の渦電流信号Aを出力する。
周波数fm(mは1、2、3又は4)の励磁信号Hmがサブ素子212q(qはa、b又はc)に供給されているときに得られる渦電流信号AをA(m,q)で表す。
検出信号B、繊維画像C、参照画像Eについても同様である。
各周波数fmが選択されている間に複数のサブ素子が順次選択される結果、検出素子210eからは、サブ素子212a、212b、212cによる渦電流信号A(m,a)、A(m,b)、A(m,c)が順次出力される。
複数の周波数f1~f4が順次選択される結果、検出素子210eからは、サブ素子212aによる渦電流信号A(1,a)、A(2,a)、A(3,a)、A(4,a)、サブ素子212bによる渦電流信号A(1,b)、A(2,b)、A(3,b)、A(4,b)、サブ素子212cによる渦電流信号A(1,c)、A(2,c)、A(3,c)、A(4,c)が順次出力される。
渦電流信号評価部302eは、各周波数fmが選択され、各サブ素子212qが選択されているときに当該サブ素子212qから出力された1フレーム分の渦電流信号A(m,q)に基づいて、1フレーム分の検出信号B(m,q)を出力する。
周波数fmが選択されているときは、周波数fmの参照信号Imが供給されているので、渦電流信号評価部302eは、参照信号Imに基づいて、渦電流信号A(m,q)のうちの、周波数fmの成分を抽出して、検出信号B(m,q)を生成する。
上記の処理が複数の周波数f1~f4と複数のサブ素子212a~212cの組合せの各々について行われる。
画像処理部304eは、複数の周波数f1~f4と複数のサブ素子212a~212cとの組合せの各々について、1フレーム分の検出信号B(m,q)に基づいて繊維画像C(m,q)を生成する。
即ち、第mの周波数fmが選択されているときにサブ素子212qから出力された渦電流信号A(m,q)に対応する検出信号B(m,q)に基づいて繊維画像C(m,q)を生成する。
選択される周波数と選択されるサブ素子の組合せは12個であるので、12個の繊維画像C(1,a)~C(4,c)が生成される。
周波数とサブ素子との12個の組合せの全てについて、上記の一連の処理が終わったら、ロープ100に対して検出器200eを1フレーム分移動させる。
上記の処理を複数の単位領域で順次行うことで、周波数とサブ素子との12個の組合せの各々についての複数フレームの繊維画像C(1,a)~C(4,c)が生成される。
参照画像記録部312eは、参照画像E(1,a)~E(4,c)を記録する。
画像処理部304eで各単位領域について12個の繊維画像C(1,a)~C(4,c)が生成されることに対応して、参照画像記録部312eでは12個の参照画像E(1,a)~E(4,c)が記憶される。
画像処理部304eで生成された繊維画像C(1,a)~C(4,c)は、それぞれ参照画像記録部312eに、参照画像E(1,a)~E(4,c)の一部として、参照画像E(1,a)~E(4,c)の末尾に連結される。
繊維画像C(1,a)~E(4,c)の各々C(m,q)が、最初に生成されたときは、該繊維画像が参照画像E(m,q)として記録される。
以上のように、第1のモードにおいては、複数のサブ素子212a~212cと複数の周波数f1~f4との複数の組合せの各々についての参照画像E(m,q)が生成される。各組合せについての参照画像E(m,q)は、当該組合せを構成する周波数fm及びサブ素子212qが選択されているときにCFRP110のL方向の互いに異なる複数の位置で取得された渦電流信号A(m,q)から生成される。
例えば、上記の処理は、ロープ100の全長に亘って行われ、各々ロープ100の全長に亘って連続した12個の参照画像E(1,a)~E(4,c)が生成される。
第2のモードでの処理が行われるときの信号及びデータの流れが図20に矢印付きの実線で示されている。
第2のモードでは、第1乃至第3のサブ素子212a、212b、212cのうちのいずれか一つ、例えば第1のサブ素子212aのみが用いられる。
信号源280eは、第1乃至第4の周波数f1~f4を順次選択し、選択した周波数fmの励磁信号Hm(m=1、2、3又は4)を、上記の一つのサブ素子212aに供給する。
信号源280eはまた、選択している周波数の参照信号Im(mは1、2、3、又は4)を渦電流信号評価部302eに供給する。
各周波数fmの励磁信号Hmが供給されているとき、サブ素子212aは、励磁信号Hmに起因する渦電流を検知し、渦電流信号A(m,a)を出力する。
複数の周波数f1~f4が順次選択される結果、検出素子210eからは、サブ素子212aによる渦電流信号A(1,a)、A(2,a)、A(3,a)、A(4,a)が順次出力される。
渦電流信号評価部302eは、各周波数fmが選択されているときに、各単位領域での渦電流の検知の結果から得られた1フレーム分の渦電流信号A(m,a)に基づいて1フレーム分の検出信号B(m,a)を出力する。
周波数fmが選択されているときは、周波数fmの参照信号Imが供給されているので、渦電流信号評価部302eは、参照信号Imに基づいて、渦電流信号A(m,a)のうちの、周波数fmの成分を抽出して、検出信号B(m,a)を生成する。
上記の処理が複数の周波数f1~f4の各々について行われる。
画像処理部304eは、複数の周波数f1~f4の各々fmについて1フレーム分の検出信号B(m,a)に基づいて繊維画像C(m,a)を生成する。
即ち、第mの周波数fmが選択されているときにサブ素子212aから出力された渦電流信号A(m,a)に対応する検出信号B(m,a)に基づいて繊維画像C(m,a)を生成する。
選択される周波数fmは4個であるので、4個の繊維画像C(1,a)~C(4,a)が生成される。
位置特定部314eは、繊維画像C(1,a)~C(4,a)の各々C(m,a)(mは1、2、3又は4)について、当該繊維画像C(m,a)と同じ周波数fmを用いて生成された参照画像E(m,a)、E(m,b)、E(m,c)のうちの、当該繊維画像C(m,a)合致する部分J(m,p)を特定する。
例えば、参照画像E(m,a)のうちで、繊維画像C(m,a)に対する類似度が最も高い部分J(m,a)を抽出し、参照画像E(m,b)のうちで、繊維画像C(m,a)に対する類似度が最も高い部分J(m,b)を抽出し、参照画像E(m,c)のうちで、繊維画像C(m,a)に対する類似度が最も高い部分J(m,c)を抽出し、抽出された部分J(m,a)、J(m,b)、J(m,c)のうちで最も類似度が高いものを、合致する部分J(m,p)として抽出しても良い。
これらの処理において、類似度が閾値以上であることを付加条件としても良い。
位置特定部314eは、合致する部分J(m,p)を比較用画像として取得する。
位置特定部314eはさらに、合致すると判定された部分J(m,p)についての位置情報Faを、比較用画像についての位置情報として取得する。
取得された比較用画像J(m,p)と位置情報Faとは欠陥判定部306eに送られる。
欠陥判定部306eは、検出信号B(m,a)に対する閾値判定の結果と、繊維画像C(m,a)に対する画像認識の結果と、繊維画像C(m,a)と比較用画像J(m,p)との比較の結果とに基づいて欠陥の有無を判定し、判定結果を欠陥情報Dとして出力する。
欠陥判定部306eは、検出信号B(m,a)に対する閾値判定と、繊維画像C(m,a)に対する画像認識と、繊維画像C(m,a)と比較用画像J(m,p)との比較の結果とのいずれかにおいて、欠陥があると判定されたら、欠陥があるとの総合判定をしても良い。
繊維画像C(m,a)と比較用画像J(m,p)との比較においては、対応する画素値の比較を行っても良く、それぞれの画像認識の結果の比較を行っても良い。
欠陥判定部306eは、欠陥があるとの判定をしたときは、欠陥判定に用いられた比較用画像J(m,p)についての位置情報Faを、欠陥位置情報Fbとして取得し、欠陥位置情報Fbを出力する。
ここで言う欠陥判定に用いられた比較用画像J(m,p)は、欠陥があるとの判定に用いられた繊維画像C(m,a)又は欠陥があるとの判定に用いられた検出信号B(m,a)に対応する繊維画像C(m,a)に合致するとして取得された比較用画像である。
各単位領域についての上記の閾値判定及び画像認識は、その途中で欠陥が見つかったら、その時点で処理を終了しても良い。
例えば、複数の周波数及び複数のサブ素子について順に閾値判定及び画像認識を行い、いずれかの周波数又はいずれかのサブ素子についての閾値判定又は画像認識の結果欠陥があると判定されたら、その時点で、当該単位領域についての処理を終了しても良い。
以上のように、第2のモードにおいては、信号源280eは、複数の周波数f1~f4を順次選択して選択した周波数fmの励磁信号Hmを、複数のサブ素子212a~212cのうちの一つのサブ素子212aに供給する。
各周波数fmが選択されているときに、信号処理装置300eは、検出信号B(m,a)及び繊維画像C(m,a)の生成を行う。信号処理装置300eは、生成された繊維画像C(m,a)と同じ周波数を用いて生成された複数の参照画像E(m,a)~E(m,c)のうちの、生成された繊維画像C(m,a)に合致する部分を、比較用画像J(m,p)として取得し、検出信号B(m,a)に対する閾値判定の結果と、繊維画像C(m,a)に対する画像認識の結果と、繊維画像C(m,a)と比較用画像J(m,p)との比較の結果とに基づいて、欠陥の有無を判定する。
欠陥判定部306eは、欠陥有無の判定の結果を示す欠陥情報Dと欠陥位置情報Fbとを出力装置400に通知する。この通知を受けて、出力装置400は、欠陥情報D及び欠陥位置情報Fbを利用者又は外部の機器に知らせる。
以下、上記のように、ロープ100からの距離が互いに異なるように配置された複数のサブ素子を備えた検出素子を用いることの意義を説明する。
検出器200eを固定し、ロープ100を移動させて検査を行う場合、ロープ100が振動してロープ100と検出器200eとの距離、即ちギャップgが変動することがある。ギャップgが変化すると、渦電流信号Aが変化し、渦電流信号Aに由来する繊維画像Cが変化する。また、励磁信号の周波数が変化すると、繊維画像Cが変化する。
図22は、ギャップgの変化及び励磁信号の周波数(励磁周波数)の変化による繊維画像Cの変化を概念的に示す。
図22で縦軸はギャップgを表し、横軸は励磁周波数を表す。
図15(c)を参照して説明したように、励磁周波数が高いほど、繊維画像CはCFRP110の、表面111により近い部分の状態を反映したものとなる。
また、ギャップgがより大きくなると、渦電流信号Aがより小さくなり、繊維画像Cにおける炭素繊維に対応する帯状部分の形状が変化し、コントラストが低下する。
各繊維画像Cとの比較に用いられる場合、複数の参照画像Eのうちの当該繊維画像Cに対応する部分(CFRP110の同じ部分から得られた画像部分)のうちの、当該繊維画像Cの生成に用いられて渦電流の検知の際のギャップgにより近いギャップ(ga、gb、又はgc)のサブ素子での検知の結果得られた渦電流信号Aに由来する参照画像ほど、類似度が高い。
そこで、本実施の形態では、互いに異なるギャップの参照画像E(m,a)、E(m,b)、E(m,c)を全て、繊維画像C(m,a)との比較に用い、その中で、最も類似度が高い画像部分を、繊維画像C(m,a)に合致する画像部分と特定することとし、
また、最も類似度が高い画像部分との比較の結果を欠陥の有無の判定にも用いている。このようにすることで、検査時のギャップの変動に対してロバストな欠陥検出を実現できる。
図23及び図24は、実施の形態5のロープ検査装置1eにおける処理の手順を示す。以下では、第1のモードでの処理、即ち参照画像の取得が先に行われ、その後で、第2のモードでの処理、即ち検査の実行が行われるものとする。
図23は、第1のモードでの処理を示す。
ここではロープ100の全長に亘り連続した参照画像を生成する場合を想定している。この場合、ロープ100の一端に検出器200eが対向している状態で、図23の処理が開始される。
図23で、ステップST301、ST302、ST306、ST309、及びST310は、図18のST301、ST302、ST306、ST309、及びST310と同一又は類似である。
ステップST501において、複数のサブ素子のうちのいずれか212q(qはa、b又はc)を選択する。ステップST302の処理の次にステップST501の処理が行われる場合には、最初のサブ素子、即ちロープ100に最も近いサブ素子212aを選択する。
ステップST303eにおいて、一つの単位領域で、選択されている周波数fmの励磁信号Hm及び選択されているサブ素子212qを用い、1フレーム分の検出信号B(m,q)の取得及び繊維画像C(m,q)の生成を行う。
即ち、検出器200eが、1フレーム分の渦電流信号A(m,q)を出力し、渦電流信号評価部302eは1フレーム分の渦電流信号A(m,q)の取得及び1フレーム分の検出信号B(m,q)の生成を行い、画像処理部304eは1フレーム分の検出信号B(m,q)の取得及び繊維画像C(m,q)の生成を行う。
ステップST211eにおいて、画像処理部304eは、1フレームの繊維画像C(m,q)を参照画像記録部312eに供給する。供給された繊維画像C(m,q)は参照画像E(m,q)の一部として記録される。
参照画像記録部312eに、複数の周波数f1~f4と複数のサブ素子212a~212cとの組合せの各々について、最初の1フレームの繊維画像C(m,q)が供給されたときは、供給された繊維画像C(m,q)のみで参照画像E(m,q)が形成される。すでに参照画像E(m,q)が形成されている状態で、新たに繊維画像C(m,q)が供給されると、すでに形成されている参照画像E(m,q)の末尾に、新たに供給された繊維画像C(m,q)が連結され、参照画像E(m,q)が拡張されてより長いものとなる。
ステップST211eの次にステップST502に進む。
ステップST502において、全てのサブ素子が選択されたか否かを判定する。
NOであれば、ステップST501に戻る。
ステップST502でNOであるためにステップST501に戻った場合には、次のサブ素子が選択される。
ステップST502でYESであれば、ステップST306に進む。
ステップST306は、全ての周波数が選択されたか否かの判定を行う。NOであればステップST302に戻り、YESであればステップST309に進む。
ステップST306でNOであるためにステップST302に戻った場合には、次の周波数が選択される。
図24は第2のモードでの処理を示す。
図24で、ステップST301、ST302、ST305、ST306、ST309、及びST310は、図19のステップST301、ST302、ST305、ST306、ST309、及びST310と同じである。
また、図24のステップST303fは、図23のステップST303eに類似である。
ステップST303fにおいて、一つの単位領域で、選択されている周波数fmの励磁信号Hm及び選択されているサブ素子212aを用い、1フレーム分の検出信号B(m,a)の取得及び繊維画像C(m,q)の生成を行う。
即ち、検出器200eが1フレーム分の渦電流信号A(m,a)を出力し、渦電流信号評価部302eが1フレーム分の渦電流信号A(m,a)の取得及び1フレーム分の検出信号B(m,a)の生成を行い、画像処理部304eが1フレーム分の検出信号B(m,a)の取得及び繊維画像C(m,a)の生成を行う。
ステップST511において、位置特定部314eは、繊維画像C(m,a)について、当該繊維画像C(m,a)と同じ周波数fmを用いて生成された参照画像E(m,a)、E(m,b)、E(m,c)のうちの、当該繊維画像C(m,a)に合致する部分J(m,p)を特定する。
ステップST512において、位置特定部314eは、ステップST511で合致すると判定された部分J(m,p)を比較用画像として出力する。位置特定部314eはさらに、合致すると判定された部分J(m,p)についての位置情報Faを、比較用画像J(m,p)についての位置情報として取得して出力する。
ステップST304fにおいて、欠陥判定部306eは、検出信号B(m,a)に対する閾値判定の結果と、繊維画像C(m,a)に対する画像認識の結果と、繊維画像C(m,a)と比較用画像J(m,p)との比較の結果とから、欠陥の有無を判定する。
ステップST305において、ステップST304fでの判定結果がNOであればステップST306に進み、YESであればステップST308eに進む。
ステップST308eにおいて、欠陥判定部306eは、欠陥情報Dと欠陥位置情報Fbとを出力装置400に通知する。
実施の形態5には、実施の形態4と同様の効果に加えて、さらに以下の効果がある。
即ち、検出素子210がロープ100からの距離が互いに異なるように配置された複数のサブ素子212a~212cを有し、複数の異なるギャップga、gb、gcに対応する複数の参照画像を記録することで、検査時のギャップの変動に対してロバストな欠陥検出を実現できる。
上記の実施の形態5では、検出信号Bに対する閾値判定に用いられる閾値を、当該検出信号Bの生成に用いられた渦電流信号Aが取得されたときのギャップの推定値に基づいて調整しても良い。
例えば、各参照画像E(m,q)の生成に用いられた検出信号B(m,q)の大きさに基づいて、閾値を決定し、決定した閾値を、当該検出信号B(m,q)から生成された当該参照画像E(m,q)に関連付けて、記録しておく。
検査の実行時には、繊維画像C(m,a)に合致すると判定された画像部分J(m,p)を含む参照画像E(m,p)を特定し、特定された参照画像E(m,p)に関連付けて記録されている閾値を、当該繊維画像C(m,a)の生成に用いられた検出信号B(m,a)との比較のための閾値として用いることとしても良い。
言い換えると、検出信号B(m,a)と閾値との比較に当たり、複数の参照画像E(m,a)、E(m,b)、E(m,c)のうちの、上記検出信号B(m,a)と同じ単位領域での検知の結果に基づいて生成された繊維画像C(m,a)、即ち上記検出信号B(m,a)と同じ単位領域での検知の結果に基づいて生成された繊維画像C(m,a)に合致する部分を含む参照画像E(m,p)に関連付けて記録されている閾値を用いることとしても良い。
各参照画像はいずれかのサブ素子に対応し、各サブ素子は、特定のギャップを有するので、ある参照画像に関連付けて記録されている閾値を用いれば、当該参照画像に対応するサブ素子についてのギャップに適した閾値を用いることになる。
以上の処理を行うことにより、検査実行中のギャップの変動による検出信号Bの変動にともなう欠陥の誤検出を防ぐことができる。
以上、ロープ100と検出器200e或いはサブ素子との距離(ギャップ)と、繊維画像或いは検出信号に対する閾値との関係について説明したが、同様の説明が、CFRP110と、検出器200e或いはサブ素子との距離(ギャップ)と、繊維画像或いは検出信号に対する閾値との関係についても当てはまる。
上記の実施の形態5では、複数の周波数の各々が選択されている間に複数のサブ素子が順次選択される。代わりに、複数のサブ素子の各々が選択されている間に複数の周波数が順次選択される構成としても良い。
上記の実施の形態5では、図3(c)に示される、検出素子の二次元アレイ204を備えた検出器200eが用いられている。代わりに、図3(a)に示される検出器200と同様、検出素子の一次元アレイを備え、各検出素子が図21に示される検出素子210eと同様に複数のサブ素子を含む検出器(符号200eaで表す)を用いても良く、図3(b)に示される検出器200bと同様に単一の検出素子とアクチュエータとを備え、該単一の検出素子が、図21に示される検出素子210eと同様に複数のサブ素子を含む検出器(符号200ebで表す)を用いても良い。
図3(a)に示される検出器200と同様に検出素子の一元アレイを備えた検出器200eaが用いられる場合、第1のモードでの渦電流信号、検出信号及び繊維画像の生成は以下のように行われても良い。以下では、周波数の数が4、サブ素子の数が3である場合を想定して説明する。
即ち、周波数の順次選択及びサブ素子の順次選択は、一次元アレイ202が一つの測定ラインに対向している間に行われても良い。
その場合の動作は例えば以下のようになる。
即ち、一次元アレイ202が一つの測定ラインに対向している間に、複数の周波数f1~f4を順次選択し、かつサブ素子212a~212cを順次選択することで、複数の周波数f1~f4と複数のサブ素子212a~212cとの組合せにそれぞれ対応する1ライン分の渦電流信号A(1,a)~A(4,c)及び検出信号B(1,a)~B(4,c)を生成する。ロープ100に対する検出器200eaのL方向での対向位置を変化させながら、それぞれの測定ラインについて上記の処理、即ち、渦電流信号A(1,a)~A(4,c)及び検出信号B(1,a)~B(4,c)の生成をNf回繰り返す。これにより、それぞれ1フレーム分の渦電流信号A(1,a)~A(4,c)及びそれぞれ1フレーム分の検出信号B(1,a)~B(4,c)が順次生成される。そして生成された1フレーム分の検出信号B(1,a)~B(4,c)からそれぞれ1フレームの繊維画像C(1,a)~C(4,c)を生成する。
代わりに、1つの周波数fmが選択され、1つのサブ素子212q(qはa、b又はc)が選択されている状態で、ロープ100に対する検出器200eaのL方向での対向位置を変えることで、1フレーム分の渦電流信号A(m,q)及び検出信号B(m,q)を生成し、生成した1フレーム分の検出信号B(m,q)から1フレームの繊維画像C(m,q)を生成する処理を、上記した複数の組合せについてそれぞれ行うこととしても良い。
その場合の動作は例えば以下のようになる。
即ち、1つの周波数fmが選択され、1つのサブ素子212q(qはa、b又はc)が選択されている状態で、ロープ100に対する検出器200eaのL方向での対向位置を変化させながら、1ライン分の渦電流信号A(m,q)及び検出信号B(m,q)を生成する処理をNf回繰り返す。これにより、1フレーム分の渦電流信号A(m,q)及び検出信号B(m,q)が順次生成される。生成された1フレーム分の検出信号B(m,q)から1フレームの繊維画像C(m,q)を生成する。その後、ロープ100に対する検出器200eaのL方向での対向位置を元の位置に戻す。以上の処理を12回繰り返す(それにより、12個の繊維画像C(1,a)~C(4,c)を得る)。
図3(b)に示される検出器200bと同様に単一の検出素子とアクチュエータとを備えた検出器200ebが用いられる場合、第1のモードでの渦電流信号、検出信号及び繊維画像の生成の動作は以下のように行われても良い。
即ち、周波数の順次選択及びサブ素子の順次選択は、検出素子210が一つの検知点に対向している間に行っても良い。
代わりに、1つの周波数fmが選択され、1つのサブ素子212q(qはa、b又はc)が選択されている状態で、ロープ100に対する検出素子210ebのW方向及びL方向での対向位置を変えることで、1フレーム分の渦電流信号A(m,q)及び検出信号B(m,q)を生成する処理を繰り返すこととしても良い。
実施の形態5のロープ検査装置1eで、図3(a)に示される検出器200と同様に検出素子の一次元アレイを備えた検出器200eaが用いられる場合及び図3(b)に示される検出器200bと同様に単一の検出素子とアクチュエータとを備えた検出器200ebが用いられる場合の、第2のモードでの、渦電流信号、検出信号及び繊維画像の生成の動作は、実施の形態3の変形例で説明したのと同様に行い得る。
実施の形態5では、複数のサブ素子を備えた検出素子を用いるとともに、励磁信号の周波数を切替えることとしている。複数のサブ素子を備えた検出素子を用い、励磁信号の周波数の切替を行わない構成としても良い。
その場合の動作の概略は以下の通りである。以下では、上記と同じく各検出素子に含まれるサブ素子の数が3であるものとする。
即ち、第1のモードにおいて、複数のサブ素子212a~212cの各々についての参照画像E(a)~E(c)を生成する。各サブ素子212q(qはa、b又はc)についての参照画像E(q)は、当該サブ素子212qが選択されているときにCFRP110のL方向の互いに異なる複数の位置で取得された渦電流信号A(q)から生成される。
第2のモードにおいて、複数のサブ素子212a~212cのうちの一つのサブ素子、例えばサブ素子212aが選択され、信号処理装置300eは、検出信号B(a)及び繊維画像C(a)の生成を行い、複数の参照画像E(a)~E(c)のうちの、生成された繊維画像C(a)に合致する部分を、比較用画像Jとして取得し、検出信号B(a)に対する閾値判定の結果と、繊維画像C(a)に対する画像認識の結果と、繊維画像C(a)と比較用画像Jとの比較の結果とに基づいて、欠陥の有無を判定する。
上記した、複数のサブ素子を備えた検出素子を用い、励磁信号の周波数の切替を行わない構成でも、検査時のギャップの変動に対してロバストな欠陥検出を実現できると言う効果が得られる。
上記の実施の形態1~5に対しては、上記した以外に種々の変形が可能である。
例えば、実施の形態1に対して説明した変形は、実施の形態2~5にも適用可能である。例えば、実施の形態1で、繊維画像Cに対し、FFT、BPF、及びIFFTを行うことで得られる画像に対する画像認識を行うこととしても良い旨述べた。実施の形態2~5についても同様の変形が可能である。
また、実施の形態1に関し、渦電流信号評価部302が、渦電流信号Aに対する増幅調整、レベルシフト、フィルタリング等を行って、検出信号Bを生成しても良く、またCFRP110のW方向の端部での検知の結果得られる渦電流信号Aに対する補正を行って検出信号Bを生成しても良い旨述べた。実施の形態2~5についても同様の変形が可能である。
実施の形態2、4及び5では、第1のモードでの参照画像Eの生成と、第2のモードでの検査の実行とが別個に行われるとして説明したが、第1のモードでの参照画像Eの生成と、第2のモードでの検査の実行とを並行して行っても良い。参照画像Eの生成と検査の実行とを並行に行えば、初期欠陥の把握、参照画像Eの更新による欠陥の誤検出防止等に有効である。
実施の形態5では、参照画像から抽出された比較用画像をも欠陥の有無の判定に用いているが、実施の形態2及び実施の形態4でも同様に、参照画像を欠陥の有無の判定に用いても良い。即ち、1又は2以上の参照画像のうちの、繊維画像と合致する部分と、当該繊維画像との比較の結果に基づいて、欠陥の有無を判定することとしても良い。
実施の形態2、4及び5の第1のモードで、ロープの全長に亘る参照画像を生成する場合を想定した。代わりに、ロープの一部、即ち特定の範囲についてのみ参照画像を生成することとしても良い。例えば、ロープの一定の間隔毎に設定される指定位置を中心とする一定の長さの部分について、それぞれ参照画像を生成することしても良い。
その場合、図12、図18、及び図23の処理は、上記一定の長さの部分の一端に検出器が対向しているときに開始され、上記一定の長さの部分の他端に検出器が対向する状態となったら、処理が終了される。
実施の形態1~5の信号処理装置は、処理回路により実現される。処理回路は、専用のハードウェアであっても、メモリ及びメモリに格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit、中央演算装置)を備える制御回路であっても良い。メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリなどの、不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスクなどであっても良い。
以上ロープ検査装置について説明した。上記のロープ検査装置を用いることでロープ検査方法を実施することができる。
1,1b,1c、1d,1e ロープ検査装置、 100 ロープ、 110 CFRP、 114 炭素繊維、 115 樹脂材、 120 被膜、 200,200c,200e 検出器、 202 一次元アレイ、 204 二次元アレイ、 210 検出素子、 212a、212b、212c サブ素子、 215 アクチュエータ、 220,220a,220b,220c 励磁コイル、 230,230a,230b,230c 検知器、 240 信号源、 250a,250b,250c 層、 280,280c,280e 信号源、 300,300b,300c,300d,300e 信号処理装置、 302,302c,302e 渦電流信号評価部、 304,304b,304c,304d,304e 画像処理部、 306,306b,306c,306d,306e 欠陥判定部、 312,312d,312e 参照画像記録部、 314,314d,314e 位置特定部、 400 出力装置。

Claims (15)

  1. ベルト状のCFRPと、前記CFRPを覆う被覆とを含むベルト状のロープを検査するロープ検査装置であって、
    前記CFRPに交流磁場を印加し、前記交流磁場によって発生する渦電流を検知する検出器と、
    前記CFRPの長さ方向の互いに異なる複数の位置にそれぞれ一方の端部がある複数の単位領域の各々内における前記検知の結果に基づいて、渦電流の強度を表す検出信号及び渦電流の強度の分布を表す繊維画像を生成し、前記検出信号と閾値との比較の結果と、前記繊維画像に対する画像認識の結果とに基づいて、当該単位領域内における欠陥の有無を判定する信号処理装置とを有し、
    前記信号処理装置は、
    第1のモードにおいて、前記CFRPの長さ方向の互いに異なる複数の位置で検知された渦電流の強度から参照画像を生成し、
    第2のモードにおいて、
    前記複数の単位領域の各々内での検知の結果に基づいて生成された前記検出信号及び前記繊維画像に基づく欠陥の有無の判定を行い、
    欠陥があるとの判定をしたときは、前記参照画像のうちの、欠陥があるとの判定に用いられた繊維画像又は欠陥があるとの判定に用いられた検出信号と同じ単位領域での検知の結果から生成された繊維画像に合致する部分を特定し、前記合致する部分の位置を示す情報を、欠陥の位置を示す情報として出力する
    ロープ検査装置。
  2. ベルト状のCFRPと、前記CFRPを覆う被覆とを含むベルト状のロープを検査するロープ検査装置であって、
    前記CFRPに交流磁場を印加し、前記交流磁場によって発生する渦電流を検知する検出器と、
    前記CFRPの長さ方向の互いに異なる複数の位置にそれぞれ一方の端部がある複数の単位領域の各々内における前記検知の結果に基づいて、渦電流の強度を表す検出信号及び渦電流の強度の分布を表す繊維画像を生成し、前記検出信号と閾値との比較の結果と、前記繊維画像に対する画像認識の結果とに基づいて、当該単位領域内における欠陥の有無を判定する信号処理装置とを有し、
    前記検出器は、前記交流磁場として複数の周波数のうちの選択された周波数の交流磁場を印加することができ、
    1のモードにおいて、前記信号処理装置は、
    前記複数の周波数の各々についての参照画像を生成し、
    周波数についての参照画像を、当該周波数が選択されているときに前記CFRPの長さ方向の互いに異なる複数の位置で検知された渦電流の強度から生成し、
    第2のモードにおいて、
    前記ロープ検査装置は、前記複数の周波数の各々を用いた検査を行い、
    各周波数を用いた検査において、
    前記検出器は、当該周波数の交流磁場が印加されたときの渦電流を検知し、
    前記信号処理装置は、
    前記検出器で検知された渦電流から前記検出信号及び前記繊維画像を生成し、
    前記検出信号及び前記繊維画像に基づく欠陥の有無の判定を行い、
    欠陥があると判定した場合には、当該周波数についての参照画像のうちの、当該繊維画像又は当該検出信号と同じ単位領域での検知の結果から生成された繊維画像に合致する部分を特定し、
    前記合致する部分の位置を示す情報を、欠陥の位置を示す情報として出力す
    ープ検査装置。
  3. ベルト状のCFRPと、前記CFRPを覆う被覆とを含むベルト状のロープを検査するロープ検査装置であって、
    前記CFRPに交流磁場を印加し、前記交流磁場によって発生する渦電流を検知する検出器と、
    前記CFRPの長さ方向の互いに異なる複数の位置にそれぞれ一方の端部がある複数の単位領域の各々内における前記検知の結果に基づいて、渦電流の強度を表す検出信号及び渦電流の強度の分布を表す繊維画像を生成し、前記検出信号と閾値との比較の結果と、前記繊維画像に対する画像認識の結果とに基づいて、当該単位領域内における欠陥の有無を判定する信号処理装置とを有し、
    前記検出器は、少なくとも一つの検出素子を有し、
    前記少なくとも一つの検出素子は複数のサブ素子を有し、
    前記複数のサブ素子は、前記検出器が前記ロープに対向するように設置されたときに、前記CFRPに対向し、前記CFRPからの距離が互いに異なるように配置され、各々選択されたときに、前記CFRPの対向する位置で渦電流を検知し、
    第1のモードにおいて、前記信号処理装置は、
    前記複数のサブ素子の各々についての参照画像を生成し、
    サブ素子についての参照画像を、当該サブ素子が選択されているときに前記CFRPの長さ方向の互いに異なる複数の位置で検知された渦電流の強度から生成し、
    第2のモードにおいて、
    前記複数のサブ素子のうちの一つのサブ素子が選択され、
    前記信号処理装置は、
    選択されたサブ素子での渦電流の検知の結果に基づいて前記検出信号及び前記繊維画像の生成を行い、
    前記複数の参照画像のうちの、生成された繊維画像に合致する部分を、比較用画像として取得し、
    前記検出信号と閾値との比較の結果と、前記繊維画像に対する画像認識の結果と、前記繊維画像と前記比較用画像との比較の結果とに基づいて、欠陥の有無を判定す
    ープ検査装置。
  4. ベルト状のCFRPと、前記CFRPを覆う被覆とを含むベルト状のロープを検査するロープ検査装置であって、
    前記CFRPに交流磁場を印加し、前記交流磁場によって発生する渦電流を検知する検出器と、
    前記CFRPの長さ方向の互いに異なる複数の位置にそれぞれ一方の端部がある複数の単位領域の各々内における前記検知の結果に基づいて、渦電流の強度を表す検出信号及び渦電流の強度の分布を表す繊維画像を生成し、前記検出信号と閾値との比較の結果と、前記繊維画像に対する画像認識の結果とに基づいて、当該単位領域内における欠陥の有無を判定する信号処理装置とを有し、
    前記検出器は、前記交流磁場として複数の周波数のうちの選択された周波数の交流磁場を印加することができ、
    前記検出器は、少なくとも一つの検出素子を有し、
    前記少なくとも一つの検出素子は、複数のサブ素子を有し、
    前記複数のサブ素子は、前記検出器が前記ロープに対向するように設置されたときに、前記CFRPに対向し、前記CFRPからの距離が互いに異なるように配置され、各々選択されたときに、前記CFRPの対向する位置で渦電流を検知し、
    第1のモードにおいて、前記信号処理装置は、
    前記複数のサブ素子と複数の周波数との複数の組合せの各々についての参照画像を生成し、
    組合せについての参照画像を、当該組合せを構成する周波数及びサブ素子が選択されているときに前記CFRPの長さ方向の互いに異なる複数の位置で検知された渦電流の強度から生成し、
    第2のモードにおいて、
    前記複数のサブ素子のうちの一つのサブ素子が選択され、前記複数の周波数が順次選択され、
    前記信号処理装置は、
    各周波数が選択されているときに、選択されたサブ素子での渦電流の検知の結果に基づいて前記検出信号及び前記繊維画像の生成を行い、
    生成された繊維画像と同じ周波数を用いて生成された前記複数の参照画像のうちの、生成された繊維画像に合致する部分を、比較用画像として取得し、
    前記検出信号と閾値との比較の結果と、前記繊維画像に対する画像認識の結果と、前記繊維画像と前記比較用画像との比較の結果とに基づいて、欠陥の有無を判定す
    ープ検査装置。
  5. 前記第1のモードにおいて、前記信号処理装置は、前記複数の単位領域の各々において検知された渦電流の強度を表す繊維画像を生成する処理を繰り返すことで、複数フレームの繊維画像を順次生成し、生成した前記複数フレームの繊維画像を互いに連結することで、前記参照画像を生成する
    請求項1から4のいずれか1項に記載のロープ検査装置。
  6. 前記第2のモードにおいて、前記信号処理装置は、
    前記検出信号と閾値との比較の結果と、前記繊維画像に対する画像認識の結果と、前記繊維画像と前記比較用画像との比較の結果とに基づいて、欠陥の有無を判定した結果、欠陥があると判定した場合には、前記比較用画像についての位置を示す情報を、欠陥の位置を示す情報として出力する
    請求項3又は4に記載のロープ検査装置。
  7. 前記信号処理装置は、前記第2のモードで前記検出信号との比較に用いられる閾値を、前記サブ素子と前記CFRPとの距離の推定値に基づいて調整する
    請求項3、4又は6に記載のロープ検査装置。
  8. 前記信号処理装置は、
    前記第1のモードにおいて、前記複数の参照画像の各々の生成のために用いられた前記渦電流の強度に基づいて閾値を決定し、決定した閾値を、当該渦電流の強度に基づいて生成された参照画像に関連付けて記録し、
    前記第2のモードにおいて、前記検出信号と閾値との比較において、前記複数の参照画像のうちの、前記検出信号を用いて生成された繊維画像に合致する部分を含む参照画像に関連付けて記録されている閾値を用いる
    請求項3、4又は6に記載のロープ検査装置。
  9. 前記検出器に前記選択された周波数の交流磁場を発生させるための励磁信号を供給する信号源をさらに備え、
    前記信号源は、前記検出器に供給している励磁信号と同じ周波数の参照信号を前記信号処理装置に供給し、
    前記信号処理装置は、前記参照信号に用いて、前記検出器の出力のうち、前記参照信号と同じ周波数の成分を抽出して、前記検出信号を生成する
    請求項2又は4に記載のロープ検査装置。
  10. 前記信号処理装置は、前記第1のモードにおいて、
    前記ロープの長さ方向の全体又は特定の範囲内において前記CFRPで検知された渦電流の強度から前記参照画像を生成する
    請求項1から5のいずれか1項に記載のロープ検査装置。
  11. 前記検出器は、前記ロープの長さ方向及び幅方向に延在する面に対向するように設置され、
    前記信号処理装置は、前記CFRPの幅方向の端部での検知の結果を示す前記検出器の出力に対して補正を行って前記検出信号を生成する
    請求項1から10のいずれか1項に記載のロープ検査装置。
  12. 前記検出器は、少なくとも1つの検出素子を有し、
    前記少なくとも1つの検出素子の各々は、
    前記CFRPに対して前記交流磁場を印加する励磁コイルと、
    前記CFRPで生じた渦電流による二次磁場を検知することで、前記二次磁場を生じさせた渦電流を検知する検知器とを有する
    請求項1又は2に記載のロープ検査装置。
  13. 前記複数の単位領域の各々内での検知の結果に基づいて生成される繊維画像は、当該単位領域内においてマトリックス状に配列された検知点で検知された渦電流の強度を表す画素で構成されている
    請求項1から12のいずれか1項に記載のロープ検査装置。
  14. 前記渦電流の検知が、それぞれ前記CFRPの長さ方向の互いに異なる複数の位置において、前記CFRPの幅方向に延在する測定ラインの各々に沿う複数の検知点で行われ、前記単位領域の各々が予め定められた数の測定ラインによって構成される
    請求項1から13のいずれか1項に記載のロープ検査装置。
  15. ベルト状のCFRPと、前記CFRPを覆う被覆とを含むベルト状のロープを検査するロープ検査方法であって、
    前記CFRPに交流磁場を印加し、前記交流磁場によって発生する渦電流を検知し、
    前記CFRPの長さ方向の互いに異なる複数の位置にそれぞれ一方の端部がある複数の単位領域の各々内における前記検知の結果に基づいて、渦電流の強度を表す検出信号及び渦電流の強度の分布を表す繊維画像を生成し、前記検出信号と閾値との比較の結果と、前記繊維画像に対する画像認識の結果とに基づいて、当該単位領域内における欠陥の有無を判定し、
    第1のモードにおいて、
    前記CFRPの長さ方向の互いに異なる複数の位置で検知された渦電流の強度から参照画像を生成し、
    第2のモードにおいて、
    前記複数の単位領域の各々内での検知の結果に基づいて生成された前記検出信号及び前記繊維画像に基づく欠陥の有無の判定を行い、
    欠陥があるとの判定をしたときは、前記参照画像のうちの、欠陥があるとの判定に用いられた繊維画像又は欠陥があるとの判定に用いられた検出信号と同じ単位領域での検知の結果から生成された繊維画像に合致する部分を特定し、前記合致する部分の位置を示す情報を、欠陥の位置を示す情報として出力する
    ロープ検査方法。
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