JP7381191B2 - 圧縮比制御装置及びエンジンシステム - Google Patents

圧縮比制御装置及びエンジンシステム Download PDF

Info

Publication number
JP7381191B2
JP7381191B2 JP2018002527A JP2018002527A JP7381191B2 JP 7381191 B2 JP7381191 B2 JP 7381191B2 JP 2018002527 A JP2018002527 A JP 2018002527A JP 2018002527 A JP2018002527 A JP 2018002527A JP 7381191 B2 JP7381191 B2 JP 7381191B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compression ratio
self
ignition timing
combustion
combustion chamber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018002527A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019120237A (ja
Inventor
裕 増田
孝行 廣瀬
敬之 山田
勇人 中島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
E&s Du
Original Assignee
E&s Du
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by E&s Du filed Critical E&s Du
Priority to JP2018002527A priority Critical patent/JP7381191B2/ja
Publication of JP2019120237A publication Critical patent/JP2019120237A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7381191B2 publication Critical patent/JP7381191B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、圧縮比制御装置及びエンジンシステムに関するものである。
例えば、特許文献1には、クロスヘッドを有する大型往復ピストン燃焼エンジンが開示されている。特許文献1の大型往復ピストン燃焼エンジンは、重油などの液体燃料と天然ガス等の気体燃料との両方での稼働が可能とされるデュアルフュエルエンジンである。特許文献1の大型往復ピストン燃焼エンジンは、液体燃料による稼働に適する圧縮比と気体燃料による稼働に適する圧縮比との双方に対応するため、油圧によりピストンロッドを移動させることで圧縮比を変更させる調整機構をクロスヘッド部分に設けている。
特開2014-20375号公報
上述のような圧縮比を変更する圧縮調整装置を有するエンジンシステムには、液体燃料または気体燃料の供給が可能とされている。しかしながら、液体燃料または気体燃料は、産地や生成方法などによって組成が大きく異なっており、着火温度等の性質が大きく異なっている。したがって、全ての液体燃料または気体燃料について同一の圧縮比を適用すると、異常燃焼を引き起こす可能性がある。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、液体燃料または気体燃料の組成成分の違いに基づく異常燃焼を抑制することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するための第1の手段として、昇圧された作動流体により燃焼室の圧縮比を高める可変圧縮装置の上記作動流体の供給量を制御する圧縮比制御装置であって、上記燃焼室における異常燃焼に関する情報に基づいて、上記燃焼室の圧縮比を決定する圧縮比設定手段と、上記圧縮比設定手段により決定された圧縮比に基づいて、上記作動流体の供給量を制御する可変圧縮装置調整手段とを有する、という構成を採用する。
第2の手段として、上記第1の手段において、異常燃焼を検出するセンサからの入力に基づいて、上記燃焼室における異常燃焼を判定する異常燃焼判定手段を有し、上記圧縮比設定手段は、異常燃焼判定手段による判定結果に基づいて、上記燃焼室の圧縮比を決定する、という構成を採用する。
第3の手段として、上記第1または2の手段において、上記圧縮比設定手段は、上記燃焼室に供給される燃料の組成を含む情報に基づいて、上記燃焼室の圧縮比を決定する、という構成を採用する。
第4の手段として、上記第1~3のいずれかの手段において、上記燃料の組成を含む情報に基づいて、上記燃料が自着火するタイミングを示す自着火タイミングから異常燃焼が発生する否かを判定する異常燃焼推定手段を有し、上記圧縮比設定手段は、上記異常燃焼推定手段の判定結果に基づいて上記燃焼室の圧縮比を決定する、という構成を採用する。
第5の手段として、エンジンシステムは、燃焼室を有する気筒と、昇圧された作動流体が供給されることでピストンロッドが上記燃焼室の圧縮比を高める方向に移動される流体室を有する可変圧縮装置と、第1~4のいずれかの手段の圧縮比制御装置とを有する、という構成を採用する。
第6の手段として、エンジンシステムは、上記燃焼室に供給される燃料の組成を含む情報を取得する組成取得装置を有する、という構成を採用する。
本発明によれば、圧縮比設定手段が異常燃焼に関する情報に基づいて、異常燃焼が発生しない圧縮比となるように燃焼室の圧縮比を決定する。これにより、圧縮比を変更することにより、液体燃料または気体燃料を供給した際に発生する組成成分の違いに基づく異常燃焼を抑制することができる。
本発明の一実施形態におけるエンジンシステムの断面図である。 本発明の一実施形態におけるエンジンシステムの一部を示す模式断面図である。 本発明の一実施形態におけるエンジンシステムの制御部のブロック図である。 本発明の一実施形態における制御部の異常燃焼抑制制御のフローチャートである。
以下、図面を参照して、本発明におけるエンジンシステム100の一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
[第1実施形態]
本実施形態のエンジンシステム100は、例えば大型タンカなど船舶に搭載され、図1に示すように、エンジン1と、過給機200と、制御部300(圧縮比制御装置)と、筒内圧センサ400と、ガスクロマトグラフィ500(組成取得装置)とを有している。なお、本実施形態においては、過給機200を補機として捉え、エンジン1(主機)と別体として説明する。但し、過給機200をエンジン1の一部として構成することも可能である。
エンジン1は、多気筒のユニフロー掃気ディーゼルエンジンとされ、天然ガス等の気体燃料を重油などの液体燃料と共に燃焼させるガス運転モードと、重油などの液体燃料を燃焼させるディーゼル運転モードとを有している。なお、ガス運転モードでは、気体燃料のみを燃焼させても良い。このようなエンジン1は、架構2と、シリンダ部3と、ピストン4と、排気弁ユニット5と、ピストンロッド6と、クロスヘッド7と、油圧部8(昇圧機構)と、連接棒9と、クランク角センサ10と、クランク軸11と、掃気溜12と、排気溜13と、空気冷却器14とを有している。また、シリンダ部3、ピストン4、排気弁ユニット5及びピストンロッド6により、気筒が構成されている。
架構2は、エンジン1の全体を支持する強度部材であり、クロスヘッド7、油圧部8及び連接棒9が収容されている。また、架構2は、内部において、クロスヘッド7の後述するクロスヘッドピン7aが往復動可能とされている。
シリンダ部3は、円筒状のシリンダライナ3aと、シリンダヘッド3bとシリンダジャケット3cとを有している。シリンダライナ3aは、円筒状の部材であり、ピストン4との摺動面が内側に形成されている。このようなシリンダライナ3aの内周面とピストン4とにより囲まれた空間が燃焼室R1とされている。また、シリンダライナ3aの下部には、複数の掃気ポートSが形成されている。掃気ポートSは、シリンダライナ3aの周面に沿って配列された開口であり、シリンダジャケット3c内部の掃気室R2とシリンダライナ3aの内側とを連通している。シリンダヘッド3bは、シリンダライナ3aの上端部に設けられた蓋部材である。シリンダヘッド3bは、平面視において中央部に排気ポートHが形成され、排気溜13と接続されている。また、シリンダヘッド3bには、不図示の燃料噴射弁が設けられている。さらに、シリンダヘッド3bの燃料噴射弁の近傍には、不図示の筒内圧センサが設けられている。筒内圧センサは、燃焼室R1内の圧力を検出し、制御部300へと送信している。シリンダジャケット3cは、架構2とシリンダライナ3aとの間に設けられ、シリンダライナ3aの下端部が挿入された円筒状の部材であり、内部に掃気室R2が形成されている。また、シリンダジャケット3cの掃気室R2は、掃気溜12と接続されている。
ピストン4は、略円柱状とされ、後述するピストンロッド6と接続されてシリンダライナ3aの内側に配置されている。また、ピストン4の外周面には不図示のピストンリングが設けられ、ピストンリングにより、ピストン4とシリンダライナ3aとの間隙を封止している。ピストン4は、燃焼室R1における圧力の変動により、ピストンロッド6を伴ってシリンダライナ3a内を摺動する。
排気弁ユニット5は、排気弁5aと、排気弁筐5bと、排気弁駆動部5cとを有している。排気弁5aは、シリンダヘッド3bの内側に設けられ、排気弁駆動部5cにより、シリンダ部3内の排気ポートHを閉塞する。排気弁筐5bは、排気弁5aの端部を収容する円筒形の筐体である。排気弁駆動部5cは、排気弁5aをピストン4のストローク方向に沿う方向に移動させるアクチュエータである。
ピストンロッド6は、一端がピストン4と接続され、他端がクロスヘッドピン7aと連結された長尺状部材である。ピストンロッド6の端部は、クロスヘッドピン7aに挿入され、連接棒9が回転可能となるように連結されている。また、ピストンロッド6は、クロスヘッドピン7a側端部の一部の径が太く形成された太径部を有している。
クロスヘッド7は、クロスヘッドピン7aと、ガイドシュー7bと、蓋部材7cとを有している。クロスヘッドピン7aは、ピストンロッド6と連接棒9とを移動可能に連結する円柱状部材であり、ピストンロッド6の端部が挿入される挿入空間に、作動油(作動流体)の供給及び排出が行われる油圧室R3(流体室)が形成される。クロスヘッドピン7aには、中心よりも下側に、クロスヘッドピン7aの軸方向に沿って貫通する出口孔Oが形成されている。出口孔Oは、ピストンロッド6の不図示の冷却流路を通過した冷却油が排出される開口である。内部また、クロスヘッドピン7aには、油圧室R3と後述するプランジャポンプ8cとを接続する供給流路R4と、油圧室R3と後述するリリーフ弁8fとを接続するリリーフ流路R5とが設けられている。
ガイドシュー7bは、クロスヘッドピン7aを回動可能に支持する部材であり、クロスヘッドピン7aに伴ってピストン4のストローク方向に沿って不図示のガイドレール上を移動する。ガイドシュー7bがガイドレールに沿って移動することにより、クロスヘッドピン7aは、回転運動と、ピストン4のストローク方向に沿う直線方向以外への移動が規制される。蓋部材7cは、クロスヘッドピン7aの上部に固定され、ピストンロッド6の端部が挿入される環状部材である。このようなクロスヘッド7は、ピストン4の直線運動を連接棒9へと伝達している。
図2に示すように、油圧部8は、供給ポンプ8aと、揺動管8bと、プランジャポンプ8cと、プランジャポンプ8cが有する第1逆止弁8d及び第2逆止弁8eと、リリーフ弁8fとを有している。また、ピストンロッド6、クロスヘッド7、油圧部8及び制御部300は、本発明における可変圧縮装置として機能する。
供給ポンプ8aは、制御部300からの指示に基づいて、不図示の作動油タンクから供給される作動油を昇圧してプランジャポンプ8cへと供給するポンプである。供給ポンプ8aは、船舶のバッテリの電力により駆動され、燃焼室R1に液体燃料が供給されるよりも前に稼働することが可能である。揺動管8bは、供給ポンプ8aと各気筒のプランジャポンプ8cとを接続する配管であり、クロスヘッドピン7aに伴って移動するプランジャポンプ8cと、固定された供給ポンプ8aとの間において、揺動可能とされている。
プランジャポンプ8cは、クロスヘッドピン7aに固定されており、棒状のプランジャ8c1と、プランジャ8c1を摺動可能に収容する筒状のシリンダ8c2と、プランジャ駆動部8c3とを有している。プランジャポンプ8cは、プランジャ8c1が不図示の駆動部と接続されることで、シリンダ8c2内を摺動し、作動油を昇圧して油圧室R3へと供給する。また、シリンダ8c2には、端部に設けられた作動油の吐出側の開口に第1逆止弁8dが設けられ、側周面に設けられた吸入側の開口に第2逆止弁8eが設けられている。プランジャ駆動部8c3は、プランジャ8c1に接続され、制御部300からの指示に基づいてプランジャ8c1を往復動させる。
第1逆止弁8dは、シリンダ8c2の内側に向けて弁体が付勢されることで閉弁する構造とされ、油圧室R3に供給された作動油がシリンダ8c2へと逆流することを防止している。また、第1逆止弁8dは、シリンダ8c2内の作動油の圧力が第1逆止弁8dの付勢部材の付勢力(開弁圧力)以上となると、弁体が作動油に押されることにより開弁する。第2逆止弁8eは、シリンダ8c2の外側に向けて付勢されており、シリンダ8c2に供給された作動油が供給ポンプ8aへと逆流することを防止している。また、第2逆止弁8eは、供給ポンプ8aから供給される作動油の圧力が第2逆止弁8eの付勢部材の付勢力(開弁圧力)以上となると、弁体が作動油に押されることにより開弁する。なお、第1逆止弁8dは、開弁圧力が第2逆止弁8eの開弁圧力よりも高く、予め設定された圧縮比で運転される定常運転時においては、供給ポンプ8aから供給される作動油の圧力により開弁することはない。
リリーフ弁8fは、クロスヘッドピン7aに設けられ、本体部8f1と、リリーフ弁駆動部8f2とを有している。本体部8f1は、油圧室R3及び不図示の作動油タンクに接続される弁である。リリーフ弁駆動部8f2は、本体部8f1の弁体に接続され、制御部300からの指示に基づいて本体部8f1を開閉弁する。リリーフ弁8fがリリーフ弁駆動部8f2により開弁することで、油圧室R3に貯留された作動油が作動油タンクに戻される。
図1に示すように、連接棒9は、クロスヘッドピン7aと連結されると共にクランク軸11と連結されている長尺状部材である。連接棒9は、クロスヘッドピン7aに伝えられたピストン4の直線運動を回転運動に変換している。クランク角センサ10は、クランク軸11のクランク角を計測するためのセンサであり、制御部300へとクランク角を算出するためのクランクパルス信号を送信している。
クランク軸11は、気筒に設けられる連接棒9に接続された長尺状の部材であり、それぞれの連接棒9により伝えられる回転運動により回転されることで、例えばスクリュー等に動力を伝える。掃気溜12は、シリンダジャケット3cと過給機200との間に設けられ、過給機200により加圧された空気が流入する。また、掃気溜12には、空気冷却器14が内部に設けられている。排気溜13は、各気筒の排気ポートHと接続されると共に過給機200と接続される管状部材である。排気ポートHより排出されるガスは、排気溜13に一時的に貯留されることにより、脈動を抑制した状態で過給機200へと供給される。空気冷却器14は、掃気溜12内部の空気を冷却する装置である。
過給機200は、排気ポートHより排出されたガスにより回転されるタービンにより、不図示の吸気ポートから吸入した空気を加圧して燃焼室R1に供給する装置である。
制御部300は、船舶の操縦者による操作等に基づいて、燃料の供給量等を制御するコンピュータである。また、制御部300は、油圧部8を制御することにより、燃焼室R1における圧縮比を変更する。
具体的には、制御部300は、図3に示すように、異常燃焼判定部301(異常燃焼判定手段)と、自着火タイミング算出部302と、異常燃焼推定部303(異常燃焼推定手段)と、圧縮比設定部304(圧縮比設定手段)と、油圧調整部305(可変圧縮装置調整手段)とを有している。異常燃焼判定部301は、筒内圧センサ400から取得した筒内圧の情報から通常の燃焼と異なる圧力変動を検出し、異常燃焼であるかを判定する。
自着火タイミング算出部302は、例えば、ガスクロマトグラフィ500より取得した気体燃料の組成と、ガス噴射量から算出する気体燃料の濃度と、バンカリング時(給油時)の組成から判断された液体燃料の組成と、不図示の筒内圧センサからの情報と、筒内圧力と掃気温度から算出された筒内温度との少なくともいずれか一つに基づいて、予め記憶された自着火タイミングマップより、自着火タイミング(異常燃焼に関する情報)を算出する。自着火タイミングマップには、液体燃料または気体燃料の各成分の含有比率の組み合わせの複数のパターンや、燃焼室R1内の温度、気体燃料の濃度及び燃焼室R1内の圧力と燃料噴射開始から自着火するまでの時間との相関が記憶されている。自着火タイミング算出部302は、自着火タイミングマップを参照して、検出された燃料組成と最も近い液体燃料または気体燃料の各成分の含有比率の組み合わせのパターンにおける燃料噴射開始から自着火するまでの時間から、自着火タイミングを算出する。なお、本実施形態では気体燃料の組成をガスクロマトグラフィより取得しているが、ガスクロマトグラフィを用いずに、バンカリング時の組成から判断してもよい。筒内温度および気体燃料の濃度については、例えば、圧縮比、掃気温度、掃気圧力、排気弁閉タイミング、ガス燃料噴射量の計測値に基づき算出される値を用いてもよい。
異常燃焼推定部303は、液体燃料または気体燃料の噴射量と、筒内圧に基づいて、液体燃料または気体燃料の燃焼ガスの燃焼室R1における分布を算出し、燃焼室R1に燃焼ガスが行き渡るタイミング(燃焼完了タイミング)を算出する。そして、異常燃焼推定部303は、燃焼完了タイミングと自着火タイミングとを比較して、自着火タイミングの方が早いかを判定する。
圧縮比設定部304は、外部からの入力に基づいて、燃料の種類により最適な圧縮比を算出する。また、圧縮比設定部304は、異常燃焼判定部301の判定に基づいて、最適な圧縮比を算出する。さらに、圧縮比設定部304は、自着火タイミング算出部302により算出された自着火タイミングにおける液体燃料または気体燃料の圧力(自着火圧力)を算出し、算出された自着火圧力に基づいて、圧縮端において液体燃料または気体燃料が自着火するように、可変圧縮装置の圧縮比の調整量を設定する。
油圧調整部305は、圧縮比設定部304から取得した圧縮比に基づいて、油圧部8のプランジャポンプ8cとリリーフ弁8fとを制御することにより、作動油の油圧室R3への供給量を調整する。
筒内圧センサ400は、燃焼室R1内の圧力を計測するセンサであり、燃焼室R1の内壁に設けられている。ガスクロマトグラフィ500は、気体燃料が供給される際に、供給される気体燃料を取得して、気体燃料の組成ごとの分布を検出する。ガスクロマトグラフィ500は、気体燃料の組成分布の検出を、例えば1日に1度または1時間に1度程度の頻度で行う。
このようなエンジンシステム100は、不図示の燃料噴射弁より燃焼室R1に噴射された燃料を着火、爆発させることによりピストン4をシリンダライナ3a内で摺動させ、クランク軸11を回転させる装置である。詳述すると、燃焼室R1に供給された燃料は、掃気ポートSより流入した空気と混合された後、ピストン4が上死点方向に向けて移動することにより圧縮されて温度が上昇し、自然着火する。また、液体燃料の場合には、燃焼室R1において温度上昇することにより気化し、自然着火する。
そして、燃焼室R1内の燃料が自然着火することで急激に膨張し、ピストン4には下死点方向に向けた圧力がかかる。これにより、ピストン4が下死点方向に移動し、ピストン4に伴ってピストンロッド6が移動され、連接棒9を介してクランク軸11が回転される。さらに、ピストン4が下死点に移動されることで、掃気ポートSより燃焼室R1へと加圧空気が流入する。排気弁ユニット5が駆動することで排気ポートHが開き、燃焼室R1内の排気ガスが、加圧空気により排気溜13へと押し出される。
液体燃料または気体燃料を用いるために圧縮比を大きくする場合には、制御部300の圧縮比設定部304により最適な圧縮比が算出され、油圧調整部305により供給ポンプ8aが駆動され、プランジャポンプ8cに作動油が供給される。そして、制御部300の油圧調整部305は、プランジャポンプ8cを駆動して作動油を、ピストンロッド6を持ち上げることが可能な圧力となるまで加圧し、油圧室R3へと作動油を供給する。油圧室R3の作動油の圧力により、ピストンロッド6の端部が持ち上がり、これに伴ってピストン4の上死点位置が上方(排気ポートH側)に移動される。
液体燃料を用いるために圧縮比を小さくする場合には、制御部300の圧縮比設定部304により最適な圧縮比が算出され、油圧調整部305によりリリーフ弁8fが駆動され、油圧室R3と不図示の作動油タンクとが連通状態となる。そして、ピストンロッド6の荷重が油圧室R3の作動油にかかり、油圧室R3内の作動油がリリーフ弁8fを介して作動油タンクへと押し出される。これにより、油圧室R3の作動油が減少し、ピストンロッド6が下方(クランク軸11側)に移動され、これに伴ってピストン4の上死点位置が下方に移動される。
また、異常燃焼防止のための制御について、図4を参照して説明する。
まず、液体燃料または気体燃料が供給される際に、制御部300は、自着火タイミング算出部302により、液体燃料についてはバンカリング時の組成に基づき、気体燃料についてはガスクロマトグラフィ500からの情報に基づき、供給される液体燃料または気体燃料の組成を取得し(ステップS1)、自着火タイミングマップより、自着火タイミングを算出する(ステップS2)。
そして、制御部300は、異常燃焼推定部303により、液体燃料または気体燃料の噴射量及び燃焼速度に基づいて、燃焼完了タイミングが算出する(ステップS3)。次に、制御部300は、異常燃焼推定部303により、算出された燃焼完了タイミングよりも自着火タイミングが早いか否かを判定する(ステップS4)。
ステップS4の判定がYESの場合、すなわち、燃焼完了タイミングよりも自着火タイミングの方が早い場合には、燃焼ガスが燃焼室R1に行き渡るよりも早く混合気が自着火し、異常燃焼が発生する可能性が高い。したがって、制御部300は、圧縮比設定部304により、現在の燃焼室R1の圧縮比よりも圧縮比を下げるように圧縮比を算出する(ステップS5)。そして、制御部300は、圧縮比を下げるため、油圧調整部305により、油圧室R3における作動油の供給量を減少させる(ステップS6)。
ステップS4の判定がNOの場合、すなわち、燃焼完了タイミングよりも自着火タイミングの方が遅いまたは同時の場合には、異常燃焼が発生する可能性が低いため、制御部300は、圧縮比設定部304により、現在の燃焼室R1の圧縮比よりも圧縮比を上げるように圧縮比を算出する(ステップS7)。そして、制御部300は、圧縮比を上げるため、油圧調整部305により、油圧室R3における作動油の供給量を増加させる(ステップS8)。
さらに、制御部300は、ステップS5またはステップS7における処理が完了すると、燃焼室R1における爆発行程が完了した後に、異常燃焼判定部301により、異常燃焼が発生したか否かを判定する(ステップS9)。
ステップS9の判定がYESの場合、すなわち、異常燃焼が発生した場合には、制御部300は、圧縮比設定部304により、現在の燃焼室R1の圧縮比よりも圧縮比を下げるように圧縮比を算出する(ステップS10)。そして、制御部300は、圧縮比を下げるため、油圧調整部305により、油圧室R3における作動油の供給量を減少させる(ステップS11)。
ステップS8の判定がNOの場合、すなわち、異常燃焼が発生していない場合には、制御部300は、圧縮比設定部304により、現在の燃焼室R1の圧縮比よりも圧縮比を上げるように圧縮比を算出する(ステップS12)。そして、制御部300は、圧縮比を上げるため、油圧調整部305により、油圧室R3における作動油の供給量を増加させる(ステップS13)。
このような本実施形態によれば、圧縮比設定部304が異常燃焼に関する情報に基づいて、異常燃焼が発生しない圧縮比となるように燃焼室R1の圧縮比を決定する。これにより、液体燃料または気体燃料を供給した際に発生する組成成分の違いに基づく異常燃焼を抑制することができる。
また、本実施形態によれば、筒内圧センサ400からの入力に基づいて異常燃焼判定部301が異常燃焼を判定する。これにより、直接異常燃焼を検出した際に、異常燃焼が発生しない圧縮比となるように燃焼室R1の圧縮比を決定することができる。したがって、確実に異常燃焼を抑制することができる。
また、本実施形態によれば、自着火タイミング算出部302により燃料の組成に基づいて自着火タイミングを算出し、圧縮比設定部304がこの自着火タイミングに基づいて異常燃焼が発生しない圧縮比となるように燃焼室R1の圧縮比を決定することができる。したがって、異常燃焼が発生する前に異常燃焼を予測し、防止することができる。さらに、燃料の組成から自着火タイミングを算出することにより、燃焼完了タイミングとの比較を行うことができ、より簡便に異常燃焼の予測が可能となる。
また、本実施形態によれば、エンジンシステム100は、ガスクロマトグラフィ500を有している。これにより、実際に供給される気体燃料の組成の分析を船上で実施することができ、異常燃焼を正確に予測することができる。
また、本実施形態によれば、自着火タイミング算出部302及び異常燃焼推定部303による異常燃焼の予測に基づいて圧縮比を調整し、爆発行程の完了後に、実際に異常燃焼が発生したかを異常燃焼判定部301により判定し、圧縮比を再度調整している。これにより、異常燃焼の予測に基づく圧縮比の調整により異常燃焼が防止できなかった場合に、再び圧縮比を調整でき、異常燃焼を確実に防止できる。
また、本実施形態によれば、異常燃焼が発生していない場合及び異常燃焼が発生しないと予測された場合に、圧縮比を上昇させている。このようなフローを繰り返すことにより、異常燃焼が発生しない範囲において最高の圧縮比とすることができ、燃焼の効率を高めることができる。
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
上記実施形態においては、筒内圧センサ400からの入力に基づいて異常燃焼を判定するものとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、燃焼室R1に振動センサを設け、振動センサからの入力に基づいて異常燃焼を判定してもよい。
また、上記実施形態においては、制御部300は、異常燃焼判定部301と、自着火タイミング算出部302及び異常燃焼推定部303との双方を有するものとしたが、本発明はこれに限定されない。異常燃焼判定部301のみを有する構成、または、自着火タイミング算出部302及び異常燃焼推定部303のみを有する構成とすることも可能である。
また、上記実施形態においては、エンジンシステム100は、ガスクロマトグラフィ500を有する構成としたが、本発明はこれに限定されない。気体燃料の組成が予め判明している場合には、ガスクロマトグラフィ500を有さなくともよい。また、組成取得装置は、ガスクロマトグラフィ500以外の構成としてもよい。
なお、上記実施形態においては、自着火タイミングマップには、液体燃料または気体燃料の各成分の含有比率の組み合わせの複数のパターン、燃焼室R1内の温度、気体燃料の濃度及び燃焼室R1内の圧力と、燃料噴射開始から自着火するまでの時間との相関が記憶されているものとしたが、本発明はこれに限定されない。自着火タイミングマップには、液体燃料または気体燃料の各成分の含有比率の組み合わせの複数のパターンと、燃料噴射開始から自着火するまでの時間との相関のみが記憶されるものとしてもよい。
1 エンジン
2 架構
3 シリンダ部
3a シリンダライナ
3b シリンダヘッド
3c シリンダジャケット
4 ピストン
5 排気弁ユニット
5a 排気弁
5b 排気弁筐
5c 排気弁駆動部
6 ピストンロッド
7 クロスヘッド
7a クロスヘッドピン
7b ガイドシュー
7c 蓋部材
8 油圧部
8a 供給ポンプ
8b 揺動管
8c プランジャポンプ
8c1 プランジャ
8c2 シリンダ
8c3 プランジャ駆動部
8d 第1逆止弁
8e 第2逆止弁
8f リリーフ弁
8f1 本体部
8f2 リリーフ弁駆動部
9 連接棒
10 クランク角センサ
11 クランク軸
12 掃気溜
13 排気溜
14 空気冷却器
100 エンジンシステム
200 過給機
300 制御部
301 異常燃焼判定部
302 自着火タイミング算出部
303 異常燃焼推定部
304 圧縮比設定部
305 油圧調整部
400 筒内圧センサ
500 ガスクロマトグラフィ
H 排気ポート
O 出口孔
R1 燃焼室
R2 掃気室
R3 油圧室
R4 供給流路
R5 リリーフ流路
S 掃気ポート

Claims (2)

  1. 昇圧された作動流体により燃焼室の圧縮比を高める可変圧縮装置の前記作動流体の供給量を制御する圧縮比制御装置であって、
    前記燃焼室における自着火タイミングに基づく異常燃焼に関する情報に基づいて、前記燃焼室の圧縮比を決定する圧縮比設定手段と、
    前記圧縮比設定手段により決定された圧縮比に基づいて、前記作動流体の供給量を制御する可変圧縮装置調整手段と、
    気体燃料のガス組成を測定するガスクロマトグラフィと、
    前記ガス組成に基づいて前記気体燃料の自着火タイミングを算出する自着火タイミング算出部と、
    前記自着火タイミングから前記異常燃焼が発生する否かを判定する異常燃焼判定手段とを有し、
    前記自着火タイミング算出部は、燃料噴射開始から自着火するまでの時間との相関が予め記憶されている自着火タイミングマップを参照して、前記ガスクロマトグラフィで測定された前記ガス組成における前記自着火タイミングを算出し、
    前記異常燃焼判定手段は、燃焼完了タイミングと前記自着火タイミングとを比較して、前記自着火タイミングの方が早いかを判定し、
    前記圧縮比設定手段は、前記燃焼完了タイミングよりも前記自着火タイミングが早いと判定された場合には、前記可変圧縮装置調整手段により油圧室における前記作動流体の供給量を減少させて前記圧縮比を下げる、
    ことを特徴とする圧縮比制御装置。
  2. 燃焼室を有する気筒と、
    昇圧された作動流体が供給されることでピストンロッドが前記燃焼室の圧縮比を高める方向に移動される油圧室を有する可変圧縮装置と
    請求項1に記載の圧縮比制御装置と
    を有することを特徴とするエンジンシステム。
JP2018002527A 2018-01-11 2018-01-11 圧縮比制御装置及びエンジンシステム Active JP7381191B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018002527A JP7381191B2 (ja) 2018-01-11 2018-01-11 圧縮比制御装置及びエンジンシステム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018002527A JP7381191B2 (ja) 2018-01-11 2018-01-11 圧縮比制御装置及びエンジンシステム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019120237A JP2019120237A (ja) 2019-07-22
JP7381191B2 true JP7381191B2 (ja) 2023-11-15

Family

ID=67306989

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018002527A Active JP7381191B2 (ja) 2018-01-11 2018-01-11 圧縮比制御装置及びエンジンシステム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7381191B2 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3164538B2 (ja) 1996-09-16 2001-05-08 エルジー電子株式会社 洗濯機のダンパーアセンブリ用のスナッバ・ベース
WO2015108178A1 (ja) 2014-01-20 2015-07-23 株式会社Ihi クロスヘッド型エンジン
US20160215706A1 (en) 2015-01-23 2016-07-28 Ford Global Technologies, Llc Method and system for pre-ignition control

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0621576B2 (ja) * 1985-05-10 1994-03-23 トヨタ自動車株式会社 圧縮比可変機構を備えた内燃機関の制御方法
JPH03164538A (ja) * 1989-11-21 1991-07-16 Nissan Motor Co Ltd 内燃機関の圧縮比制御装置
JP5151876B2 (ja) * 2008-09-30 2013-02-27 マツダ株式会社 エンジンの制御方法および制御装置

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3164538B2 (ja) 1996-09-16 2001-05-08 エルジー電子株式会社 洗濯機のダンパーアセンブリ用のスナッバ・ベース
WO2015108178A1 (ja) 2014-01-20 2015-07-23 株式会社Ihi クロスヘッド型エンジン
US20160215706A1 (en) 2015-01-23 2016-07-28 Ford Global Technologies, Llc Method and system for pre-ignition control

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019120237A (ja) 2019-07-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2012057310A1 (ja) 2ストロークエンジン
KR102522655B1 (ko) 선박용 엔진 및 선박용 엔진 제어방법
JP6870499B2 (ja) 可変圧縮装置及びエンジンシステム
KR102371032B1 (ko) 압축단 압력 제어 장치 및 엔진 시스템
JP7381191B2 (ja) 圧縮比制御装置及びエンジンシステム
EP3674529B1 (en) Variable compression device, engine system, and piston-rod position adjustment method
EP3719273B1 (en) Variable compression device, and engine system
KR102259352B1 (ko) 가변 압축 장치 및 엔진 시스템
JP7309109B2 (ja) エンジンシステム
KR102274364B1 (ko) 가변 압축 장치 및 엔진 시스템
JP7421854B2 (ja) エンジン
JP7309110B2 (ja) エンジンシステム
KR102259354B1 (ko) 가변 압축 장치 및 엔진 시스템
JP2020037923A (ja) 制御方法、制御装置及びエンジンシステム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200910

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210728

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210824

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211022

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20220322

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220621

C60 Trial request (containing other claim documents, opposition documents)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C60

Effective date: 20220621

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20220630

C21 Notice of transfer of a case for reconsideration by examiners before appeal proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C21

Effective date: 20220705

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20220729

C211 Notice of termination of reconsideration by examiners before appeal proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C211

Effective date: 20220802

C22 Notice of designation (change) of administrative judge

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C22

Effective date: 20221122

C13 Notice of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C13

Effective date: 20230117

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230316

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20230607

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230721

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20231102

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7381191

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150