JP7380361B2 - 雑音推定装置、雑音推定プログラム、雑音推定方法、及び収音装置 - Google Patents

雑音推定装置、雑音推定プログラム、雑音推定方法、及び収音装置 Download PDF

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Description

本発明は、雑音推定装置、雑音推定プログラム、雑音推定方法、及び収音装置、並びに、音声処理装置に関し、例えば、入力信号に含まれる雑音成分の推定結果を用いて、入力信号に重畳された雑音成分を抑圧する装置に適用し得る。
自然環境において雑音はいたる所に存在するため、一般に実世界で観測される音声は種々の発信元からの雑音を含む。雑音を含んで観測された入力信号から音声だけを強調させるために、様々な雑音抑圧方法が開発されている。これらのうちのほとんどは、抑圧すべき雑音を推定する方法と、雑音を抑圧するフィルタを計算する方法とを有する。従来の入力信号から雑音を抑圧する音声処理装置では、周波数領域で雑音のパワーを推定するものがある。
従来、最も単純な雑音推定方法の例として、入力スペクトルを音声が存在しない区間で平均する方法がある。しかし、このような従来の雑音推定方法は、事前に音声が存在しない区間を推定しなければならない。そのため、音声が存在する区間を推定する音声区間検出(Voice Activity Detection:VAD)という技術も盛んに開発されているが、完全なVADは未だ達成されていない。雑音推定処理において、音声区間の推定を誤ると、推定雑音が目的音声を含んでしまうため、強調音声や残留雑音を歪ませるという問題が生じる。また、上述のような雑音推定方法では、雑音区間でしか雑音を推定しないため、長い音声区間があると雑音の変化に追従できないという欠点もある。
このような背景から、従来、音声区間でも雑音の推定を継続する雑音推定方法として、非特許文献1、非特許文献2、及び特許文献1の記載技術がある。いずれの文献も雑音抑圧方法(音声強調方法とも言う)に関する。
非特許文献1に記載の従来の雑音推定方法は、入力パワーの時間方向のピークが目的音声の存在を表す一方で、谷が平滑化した雑音パワーの推定に使えるという発見に基づいている。具体的には、現在から所定時間過去までの入力パワーの最小値を、第1の推定雑音パワーとする。しかし、第1の推定雑音パワーはバイアスを有しており、真の雑音パワーよりも小さくなる性質を持つ。このバイアスは、第1の推定雑音パワーの期待値から推定され、得られたバイアス推定値を用いて第1の推定雑音パワーを補正して、第2の推定雑音パワー(最終的な推定値)を得る。
特許文献1に記載の従来の雑音推定方法は、入力パワーに適切な重み係数を乗じて、得られた加重入力パワーを所定時間分だけ記憶しておき、記憶した加重入力パワーの平均値を推定雑音パワーとする。適切な重み係数は、現在の入力パワーを直前の推定雑音パワーで除した事後SNR(SNRはSignal-to-Noise Ratio)の値(以下、「事後SNR値」とも呼ぶ)に基づいて算出される。具体的には、事後SNRが所定の値G1以下では重み係数を1.0とし、事後SNRがG1以上では事後SNRに反比例するように重み係数を設定し、事後SNRが所定の値G2以上では重み係数を0.0とする。また、重み係数が0.0の場合には、加重入力パワーは記憶しない。
非特許文献2に記載の従来の雑音推定方法は、目的音声と雑音の複素スペクトルの分布がいずれも平均ゼロの複素正規分布に従うという仮説に基づいて、雑音の複素スペクトルの分散の最尤推定値を推定雑音パワーとする。この仮説に基づくと、入力音声の複素スペクトルの分布は、音声の複素スペクトルの分散と雑音の複素スペクトルの分散の和を分散とする平均ゼロの複素正規分布となる。ここに現在の入力が劣化音声と雑音のどちらであるかに関する隠れ変数を導入して、忘却係数を伴ったオンラインEM(Expectation Maximization)アルゴリズムを適用することで、雑音の複素スペクトルの最尤推定値を算出する。
特開2002-204175号公報
R.Martin、"Spectral Subtraction Based on Minimum Statistics"、in Proceedings of 7th European Signal Processing Conference、1994、pp.1182-1185 非特許文献2:M.Souden、M.Delcroix、K.Kinsoshita、T.Yoshioka、and T.Nakatani、"Noise Power Spectral Density Tracking:A Maximum Likelihood Perspective"、IEEE Signal Processing Letters、Vol.19、No.8、2012、pp.495-498
しかしながら、従来の雑音推定方法には以下に述べるような問題点が存在する。
非特許文献1の方法は、雑音が急に大きくなった場合に、推定雑音パワーが遅れて急激に大きくなるという課題を有している。具体的には、雑音が大きくなってから所定時間の間は、推定雑音パワーは小さいままである。そして、雑音が大きくなってから所定時間後に、推定雑音パワーは急激に増大する。
特許文献1の方法は、音声伝送におけるパケット損失やエコー対策のためのボイススイッチなどによって入力音声が一時的に小さくなる現象が起きると、入力音声が元に戻っても推定雑音パワーはしばらく小さいままとなる課題を有している。すなわち、小さい入力音声は事後SNRがG1より小さくなるので雑音パワーの推定に使われ続け、推定雑音パワーが小さくなる。そして、その状態で入力音声が大きくなると、事後SNRがG2より大きくなるので雑音パワーの推定に使われなくなり、推定雑音パワーは更新されなくなる。
非特許文献2の方法は、この雑音推定方法で用いられているオンラインEMアルゴリズムには、忘却係数を大きくすると安定性が増して追従が遅くなり、忘却係数を小さくすると追従が速くなって安定性が下がるという、追従の速さと最尤推定の安定性とのトレードオフがあるという課題を有している。該忘却係数は観測環境の雑音レベルに合わせて設定する必要があるため、実用性に乏しい。
以上のように、従来の雑音推定方法は、入力音声が急に大きくなると推定雑音パワーが不適切なタイミングで急激に大きくなったり、入力音声が一時的に小さくなると推定雑音パワーが小さいままとなったり、推定パラメータを環境に合わせて調整が必要になったりする課題があった。
以上のような問題に鑑みて、推定パラメータの調整なしに、入力音声の急な変化や変化に左右されずに雑音パワーを推定できる雑音推定方法、並びに、信号処理方法が望まれている。
第1の本発明は、音声と雑音が混合された入力信号中に含まれる雑音成分を推定して推定雑音パワーを得る雑音推定装置において、(1)前記入力信号の入力パワーについて、所定の遅延サンプル数の分過去の推定雑音パワーである遅延推定雑音パワーで除した事後SNR値に基づいて前記入力パワーの定常確率を算出する定常確率算出手段と、(2)前記定常確率算出手段が直近に算出した所定のバッファサンプル数の定常確率の和である定常確率和と現在の前記入力パワーの定常確率とを重み係数として、過去の前記入力パワーの重み付き和である入力パワー加重和と現在の前記入力パワーの加重平均をとることで第1の推定雑音パワーを算出する第1の推定雑音パワー算出手段と、(3)前記第1の推定雑音パワーと、前記遅延推定雑音パワーと前記バッファサンプル数とを利用して、前記第1の推定雑音パワーの定常信頼度を算出する定常信頼度算出手段と、(4)前記定常信頼度を重み係数として前記第1の推定雑音パワーと前記遅延推定雑音パワーとの加重平均をとることで第2の推定雑音パワーを算出して出力する第2の推定雑音パワー算出手段とを有することを特徴とする。
第2の本発明の雑音推定プログラムは、音声と雑音が混合された入力信号中に含まれる雑音成分を推定して推定雑音パワーを得る雑音推定装置に搭載されたコンピュータを、(1)前記入力信号の入力パワーについて、所定の遅延サンプル数の分過去の推定雑音パワーである遅延推定雑音パワーで除した事後SNR値に基づいて前記入力パワーの定常確率を算出する定常確率算出手段と、(2)前記定常確率算出手段が直近に算出した所定のバッファサンプル数の定常確率の和である定常確率和と現在の前記入力パワーの定常確率とを重み係数として、過去の前記入力パワーの重み付き和である入力パワー加重和と現在の前記入力パワーの加重平均をとることで第1の推定雑音パワーを算出する第1の推定雑音パワー算出手段と、(3)前記第1の推定雑音パワーと、前記遅延推定雑音パワーと前記バッファサンプル数とを利用して、前記第1の推定雑音パワーの定常信頼度を算出する定常信頼度算出手段と、(4)前記定常信頼度を重み係数として前記第1の推定雑音パワーと前記遅延推定雑音パワーとの加重平均をとることで第2の推定雑音パワーを算出して出力する第2の推定雑音パワー算出手段として機能させることを特徴とする。
第3の本発明は、音声と雑音が混合された入力信号中に含まれる雑音成分を推定して推定雑音パワーを得る雑音推定装置が行う雑音推定方法において、(1)前記雑音推定装置は、定常確率算出手段、第1の推定雑音パワー算出手段、定常信頼度算出手段、及び第2の推定雑音パワー算出手段を有し、(2)前記定常確率算出手段は、前記入力信号の入力パワーについて、所定の遅延サンプル数の分過去の推定雑音パワーである遅延推定雑音パワーで除した事後SNR値に基づいて前記入力パワーの定常確率を算出し、(3)前記第1の推定雑音パワー算出手段は、前記定常確率算出手段が直近に算出した所定のバッファサンプル数の定常確率の和である定常確率和と現在の前記入力パワーの定常確率とを重み係数として、過去の前記入力パワーの重み付き和である入力パワー加重和と現在の前記入力パワーの加重平均をとることで第1の推定雑音パワーを算出し、(4)前記定常信頼度算出手段は、前記第1の推定雑音パワーと、前記遅延推定雑音パワーと前記バッファサンプル数とを利用して、前記第1の推定雑音パワーの定常信頼度を算出し、(5)前記第2の推定雑音パワー算出手段は、前記定常信頼度を重み係数として前記第1の推定雑音パワーと前記遅延推定雑音パワーとの加重平均をとることで第2の推定雑音パワーを算出して出力させることを特徴とする。
第4の本発明は、音声と雑音が混合された入力信号から前記音声を収音する収音装置において、前記入力信号に含まれる雑音成分を推定する雑音推定部と、前記雑音推定部の推定結果を用いて、前記入力信号から前記音声信号を抽出して収音する収音部とを備え、前記雑音推定部として、第1の本発明の雑音推定装置を適用したことを特徴とする。
本発明によれば、推定パラメータの調整なしに、入力音声の急な変化や変化に左右されずに雑音パワーを推定する雑音推定方法、並びに、信号処理方法を提供することができる。
実施形態に係る雑音推定手段(雑音推定装置)の機能的構成について示したブロック図である。 実施形態に係る収音装置の機能的構成について示したブロック図である。 実施形態に係る収音装置のハードウェア構成について示したブロック図である。 実施形態に係る雑音推定部(雑音推定装置)の機能的構成について示したブロック図である。
(A)主たる実施形態
以下、本発明による雑音推定装置、雑音推定プログラム、雑音推定方法、及び収音装置の一実施形態を、図面を参照しながら詳述する。この実施形態では、本発明の雑音推定装置、雑音推定プログラム、及び雑音推定方法を、収音装置に搭載する雑音推定手段に適用した例について説明する。
(A-1)本発明の雑音推定装置における処理の概要
まず、本発明に係る雑音推定装置(雑音推定プログラム)が行う雑音推定処理(雑音推定方法)の概要について説明する。
まず、時刻tにおいて雑音推定装置に入力される入力信号x(t)は、平均ゼロの定常な信号であるとする。また、異なる時刻t1≠t2において,x(t1)とx(t2)は独立であると仮定する。そうすると、時刻tにおける離散フーリエ変換は(1)式のように示すことができる。
Figure 0007380361000001
ここで、ωは角周波数、Lは解析窓長、w(k)は窓関数である。(1)式による計算は、虚数単位√-1(-1の平方根)を除けば、離散フーリエ変換w(k)cos(2πkω/L)やw(k)sin(2πkω/L)を重み係数とするx(t)の重み付き和に過ぎない。
x(t)の絶対値の3次モーメントが収束するなら、角周波数ωごとに時刻tに対して、X(ω)の実部と虚部は近似的に正規分布することが、Berry-Essenの定理より言える。
平均ゼロの複素正規分布に従う確率変数の絶対値の2乗が指数分布に従うことはよく知られている。ここでは、証明と導出は省略するが,複素スペクトルX(ω)の実部と虚部がそれぞれ平均ゼロ、分散σ^2_ω(σωの二乗)の正規分布に従うとき、(2)式及び(3)式に示すように、パワースペクトルPX(ω)は、平均θω=2σ^2_ωの指数分布に従う。
さらに、指数分布に従うT個の確率変数の和は、(4)式、(5)式に示すように、ガンマ分布に従うことが知られている。なお、「T」は所定のサンプル数であり、以下「バッファサンプル数」、「平均長」とも呼ぶものとする。
Figure 0007380361000002
ここで、Γ(大文字のガンマ)はΓ関数である。
定常雑音と目的音(非定常)が混在する入力信号において、定常雑音のパワースペクトルを推定することを考える。単一の周波数帯域(ω)で瞬時的な雑音を推定するのは困難なので、角周波数ω毎にパワースペクトルの時間平均値を推定する。もし「音声(非定常)である確率」が得られれば、統計学的検定により帰無仮説「入力は音声(非定常)である」が棄却されたフレームのみを推定に用いれば良いが、十人十色の音声の確率分布を決定するのは難しい。そこで、本明細書では、定常雑音(定常信号)のパワースペクトルの確率分布はわかっていることから、仮説「入力は定常である」の有意確率を算出し、これを「定常である確率」、すなわち「定常確率」と定義する。
目的は定常雑音のパワースペクトルを推定することなので、平均値の検定に関する有意確率を用いればよい。検定には片側検定と両側検定とがあるが、雑音推定には真値からの乖離を検定する両側検定が適している。定常雑音のパワースペクトルの確率密度関数は(3)式で表されるので、分布関数は、(6)式となり、有意確率すなわち定常確率SP(ω)は(7)式となる。
Figure 0007380361000003
定常雑音の瞬時的な推定値(暫定推定値)PNT(ω)は、もっとも直接的な方法としては、(8)式のように、定常確率SP(ω)を重み係数として、パワースペクトルPX(ω)の加重移動平均によって計算することができる。
Figure 0007380361000004
(8)式によれば、上述した論理に即した瞬時的な推定値(暫定推定値)PNT(ω)を得ることができるが、例えばDSP(デジタル・シグナル・プロセッサー)等に実装する場合、過去のPX(ω)とSP(ω)を、それぞれ周波数ごとにT個ずつメモリ上に保持しなければならず、効率が悪い。また、T(平均長;サンプル数)を途中で変更することも難しい。
そこで、T個の加重移動平均を、現在の値と(T-1)個の過去の値に分け、過去の値は指数移動平均で近似することで、より簡便に実装できるようにする。すなわち、指数移動平均の平滑化係数をa=2/Tと定義して、(過去の)指数移動平均を(9)式と(10)式で計算し、(11)式によって(8)式と同様に現在の値を重みづけた平均値を得る。本明細書では、使用可能な文字の都合上、(9)式において「WPX」の上に「-」(バー)が付された部分を「 ̄WPX(ω)」と記載するものとする。また、(10)式において「SP」の上に「-」(バー)が付された部分を「 ̄SP(ω)」と記載するものとする。
なお、単純に ̄WPX(ω)を ̄SP(ω)で除することでPNT(ω)を算出しても良いが、現在の値に対する重みが(8)式とは異なるため、(11)式を用いるほうがより好適である。
Figure 0007380361000005
瞬時的な推定値(暫定推定値)PNT(ω)も、定常雑音の一つの推定値となっているが、わずか1サンプルの情報のみに基づいて定常か否かを推測して計算しているため、推定精度に不安がある。そこで、移動平均値についても定常確率(定常信頼度)を計算し、その多寡に応じて雑音推定値の更新速度を調整する。
移動平均値PN(ω)の密度関数は(5)式で表されるので、分布関数は、(12)式となる。ここで、γ(小文字のガンマ)は第1種不完全ガンマ関数である。このとき、平均値の両側検定に関する有意確率すなわち定常信頼度SCt(ω)は、(13)式となる。
Figure 0007380361000006
ここで、γ-1は逆第1種不完全ガンマ関数である。
定常雑音の最終的な推定値PN(ω)は、(14)式のように、定常信頼度SC(ω)を重み係数として、瞬時的な推定値(暫定推定値)PNT(ω)と過去の推定値PND(ω)との加重平均によって計算する。
Figure 0007380361000007
(14)式では、定常信頼度SCt(ω)が高ければ、瞬時的な推定値(暫定推定値)PNTt(ω)の精度が高いと考えて大きな重みを与えて更新し、低ければ更新速度を遅らせるようになっている。
以上により、本発明の雑音推定装置(雑音推定プログラム;雑音推定方法)は、(E101)音声と雑音が混合された入力信号中のある帯域のパワー(入力パワー)から、該入力パワーに含まれる雑音成分を推定して推定雑音パワーを得る雑音推定処理を行うものであり、(E102)上記入力パワーと過去の推定雑音パワーとに基づいて上記入力パワーの定常確率を算出する定常確率算出手段と、(E103)後述する加重和算出手段で算出した過去の上記定常確率の和である定常確率和と現在の定常確率を重み係数として、後述する加重和算出手段で算出した過去の上記入力パワーの重み付き和である入力パワー加重和と現在の入力パワーの加重平均をとることで暫定推定雑音パワーを算出する第1の加重平均手段と、(E104)上記入力パワーの重み付き和である上記入力パワー加重和と、上記定常確率の和である上記定常確率和を更新する、上記加重和算出手段と、(E105)上記暫定推定雑音パワーと上記過去の推定雑音パワーとに基づいて上記暫定推定雑音パワーの定常信頼度を算出する定常信頼度算出手段と、(E106)上記定常信頼度を重み係数として上記暫定推定雑音パワーと上記過去の推定雑音パワーとの加重平均をとることで推定雑音パワーを算出する第2の加重平均手段とを備え、(E107)上記定常確率算出手段は、上記入力パワーを上記過去の推定雑音パワーで除した値Gに関する(15)式の関数によって定常確率SPを算出し、(E108)上記定常信頼度算出手段は、上記暫定推定雑音パワーを上記過去の推定雑音パワーで除した値Rと上記所定のサンプル数Tに関する(16)式の関数(Γ(大文字のガンマ)はΓ関数であり、γ(小文字のガンマ)は第1種不完全ガンマ関数であり、γ^-1は逆1種不完全ガンマ関数である)によって算出される。
Figure 0007380361000008
言い換えると、本発明の雑音推定装置(雑音推定プログラム;雑音推定方法)は、(E201)音声と雑音が混合された入力信号中に含まれる雑音成分を推定して推定雑音パワーを得る雑音推定処理を行うものであり、(E202)前記入力信号の入力パワーについて、所定の遅延サンプル数の分過去の推定雑音パワーである遅延推定雑音パワーで除した事後SNR値に基づいて前記入力パワーの定常確率を算出する定常確率算出手段と、(E203)前記定常確率算出手段が直近に算出した所定のバッファサンプル数の定常確率の和である定常確率和と現在の前記入力パワーの定常確率とを重み係数として、過去の前記入力パワーの重み付き和である入力パワー加重和と現在の前記入力パワーの加重平均をとることで第1の推定雑音パワーを算出する第1の推定雑音パワー算出手段と、(E204)前記第1の推定雑音パワーと、前記遅延推定雑音パワーと前記バッファサンプル数とを利用して、前記第1の推定雑音パワーの定常信頼度を算出する定常信頼度算出手段と、(E205)前記定常信頼度を重み係数として前記第1の推定雑音パワーと前記遅延推定雑音パワーとの加重平均をとることで第2の推定雑音パワーを算出して出力する第2の推定雑音パワー算出手段とを備える。
そして、本発明の雑音推定装置(雑音推定プログラム;雑音推定方法)は、上記のE101~E108、又はE201~E205の要素を備えることにより、以下のような効果を奏することができる。
本発明の雑音推定装置(雑音推定プログラム;雑音推定方法)では、雑音が急に大きくなった場合にも、定常確率を重み係数とする加重平均を用いるので、確率的に変化する雑音パワーのうち低頻度で出現する小さい雑音パワーを使って少しずつ追従するので、急激に大きくなることがない。
また、本発明の雑音推定装置(雑音推定プログラム;雑音推定方法)では、入力音声が急に小さくなった場合は非定常とみなすので、一時的に小さくなった入力音声に過剰追従することがなく、推定雑音パワーが小さいままとなる課題は生じない。
さらに、本発明の雑音推定装置(雑音推定プログラム;雑音推定方法)では、入力音声に含まれる定常な雑音成分のみを推定することを目的としているため、環境に合わせて推定パラメータを調整する必要がない。
さらにまた、本発明の雑音推定装置(雑音推定プログラム;雑音推定方法)では、定常確率を重み係数とした加重平均による推定値(暫定推定雑音パワー)が定常となっているかを評価して定常信頼度を算出し、定常信頼度による暫定推定雑音パワーと過去の推定雑音パワーとの加重平均を取ることで推定雑音パワーの更新速度を調整するので、より安定的に雑音パワーを推定できる。
以上から、本発明の雑音推定装置(雑音推定プログラム;雑音推定方法)では、推定パラメータの調整なしに、入力音声の急な変化や変化に左右されずに雑音パワーを推定できる。
(A-2)実施形態の構成
次に、この実施形態に係る収音装置(本発明の雑音推定装置を備える収音装置)の構成について説明する。
図2は、この実施形態の収音装置1の機能的構成について示したブロック図である。
収音装置1は、マイクロホンMにより捕捉される音響信号から、目的音を収音する収音処理を行う装置である。
この実施形態の例では、マイクロホンMは図示しない電話端末の受話器に搭載されているものとする。この場合、マイクロホンMにより捕捉される音響信号には、例えば、目的音としての音声(例えば、近端話者の音声)と非目的音としての雑音(例えば、背景雑音等)が含まれる。そして、この実施形態の例では、収音装置1は図示しない電話端末に搭載され、マイクロホンMにより捕捉される音響信号から、非目的音(例えば、背景雑音等の雑音)を除去して目的音(例えば、近端話者の音声)を収音する処理を行う。
次に、収音装置1の内部構成について説明する。
この実施形態において、収音装置1は、信号入力部10、雑音抑圧部20、信号出力部30、及び雑音推定部40を備える。
収音装置1は、全てハードウェア(例えば、専用チップ等)により構成するようにしてもよいし一部又は全部についてソフトウェア(プログラム)として構成するようにしてもよい。収音装置1は、例えば、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータにプログラム(実施形態の雑音推定プログラムを含む収音プログラム)をインストールすることにより構成するようにしてもよい。
信号入力部10は、マイクロホンMから供給されるアナログの音響信号をデジタル信号に変換してコンピュータ200に供給する機能を担っている。以下では、マイクロホンMにより捕捉され、信号入力部10によりデジタル変換された音響信号を入力信号xと呼ぶものとする。
雑音推定部40は、入力信号xに含まれる雑音(非目的音)を推定する機能を担っている。以下では、雑音推定部40が推定した雑音(推定した雑音の信号)を「推定雑音」と呼ぶものとする。
雑音抑圧部20は、雑音推定部40が推定した推定雑音を用いて、入力信号xに含まれる雑音成分を抑圧(目的音を強調)した信号(以下、「雑音抑圧済信号」又は「目的音強調信号」と呼ぶ)を出力する機能を担っている。
信号出力部30は、当該収音装置1の収音結果(この実施形態では、雑音抑圧部20が出力する雑音抑圧済信号を出力する機能を担っている。
図3は、収音装置1のハードウェア構成の例について示したブロック図である。
図3では、収音装置1をソフトウェア(コンピュータ)を用いて構成する際のハードウェア構成について示している。
図3に示す収音装置1は、ハードウェア的な構成要素として、少なくとも信号入力部10と、プログラム(実施形態の雑音推定プログラムを含む収音プログラム)がインストールされたコンピュータ200を有している。
信号入力部10は、例えば、D/Aコンバータを用いて構成することができる。なお、コンピュータ200自体にD/Aコンバータが搭載されていれば、信号入力部10を別途設ける必要はない。
コンピュータ200は、信号入力部10から供給される音響信号(デジタル音響信号)に所定の処理を施して出力する処理を行う。この実施形態では、コンピュータ200には、少なくとも雑音抑圧部20、信号出力部30、及び雑音推定部40に相当するプログラム(この実施形態の収音プログラム)がインストールされているものとする。なお、この実施形態の収音プログラムには、雑音推定部40に相当する雑音推定プログラムが含まれている。
なお、コンピュータ200は、収音プログラム専用のコンピュータとしてもよいし、他の機能(例えば、電話端末が受信した遠端信号(受話信号)を図示しないスピーカから出力する機能)のプログラムと共用される構成としてもよい。
図3に示すコンピュータ200は、プロセッサ201、一次記憶部202、及び二次記憶部203を有している。一次記憶部202は、プロセッサ201の作業用メモリ(ワークメモリ)として機能する記憶手段であり、例えば、DRAM等の高速動作するメモリが適用される。二次記憶部203は、OS(Operating System)やプログラムデータ(実施形態に係る収音プログラムのデータを含む)等の種々のデータを記録する記憶手段であり、例えば、FLASHメモリやHDD等の不揮発性メモリが適用される。この実施形態のコンピュータ200では、プロセッサ201が起動する際、二次記憶部203に記録されたOSやプログラム(実施形態に係る収音プログラムを含む)を読み込み、一次記憶部202上に展開して実行する。
なお、コンピュータ200の具体的な構成は図3の構成に限定されないものであり、種々の構成を適用することができる。例えば、一次記憶部202が不揮発メモリ(例えば、FLASHメモリ等)であれば、二次メモリについては除外した構成としてもよい。
次に、雑音推定部40の内部構成について図4を用いて説明する。
図4は、雑音推定部40の機能的構成について示したブロック図である。
雑音推定部40は、帯域分割手段41と、K個のパワー算出手段42(42-1~42-K)と、K個の雑音推定手段43(43-1~43-K)とを有している。
そして、図1は、それぞれの雑音推定手段43(43-1~43-K)の内部構成について示した説明図である。この実施形態では、雑音推定手段43-1~43-Kの内部は全て図1を用いて示すことができる構成となっているものとする。
図1に示すように、それぞれの雑音推定手段43は、定常確率算出手段101、第1の加重平均手段102、加重和算出手段103、定常信頼度算出手段104、第2の加重平均手段105、及び記憶手段106を有している。
雑音推定部40を構成する各要素(雑音推定手段43を構成する各要素を含む)の詳細な機能(動作)については後述する。
(A-3)実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する収音装置1(雑音推定部40)の動作を説明する。
以下では、収音装置1のうち、本発明の特徴に係る雑音推定部40の動作を中心に説明する。
帯域分割手段41は、入力信号xを周波数解析して周波数スペクトル(以下、「入力スペクトル」とも呼ぶ)を算出する。そして、帯域分割手段41は、得られた入力スペクトルをK個に分割(K個の周波数帯域に分割)して、分割した入力スペクトル(以下、「周波数帯域信号」と呼ぶ)を、各パワー算出手段42(42-1~42-K)に与える。
帯域分割手段41が行う周波数解析処理の手法は限定されないものであるが、例えば、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform:FFT)やウェーブレット変換やフィルタバンクなどを適用することができる。なお、この実施形態の帯域分割手段41では、FFTを適用することが好適である。
パワー算出手段42(42-1~42-K)は、入力された周波数帯域信号に基づく入力パワーを算出し、対応する雑音推定手段43(43-1~43-K)に与える。パワー算出手段42-1~42-Kは、それぞれ算出した入力パワーを、雑音推定手段43-1~43-Kに与える。
各パワー算出手段42では、パワーの算出方法として、種々の算出方法を適用することができる。パワー算出手段42は、例えば、入力された周波数帯域信号を構成する各周波数の値(複素数)の絶対値を取得して入力パワーとするようにしても良いし、「取得した絶対値の2乗」を入力パワーとして算出するようにしても良い。以下では、各パワー算出手段42(42-1~42-K)が出力するパワー(以下、「入力パワー」とも呼ぶ)をPX(PX_1~PX_K)と表すものとする。
各雑音推定手段43(43-1~43-K)は、それぞれパワー算出手段42(42-1~42-K)から供給される入力パワーPX(PX_1~PX_K)に含まれる雑音成分のパワーを推定し、その結果(以下、「推定雑音パワー」とも呼ぶ)を出力する。以下では、各雑音推定手段43(43-1~43-K)が出力する推定雑音パワーを、PN(PN_1~PN_K)と表すものとする。
雑音推定パワーPN_1~PN_Kは、推定雑音の各成分のパワーを表しているため、雑音推定パワーPN_1~PN_Kの集合体は、推定雑音の信号を表しているといえる。そして、この実施形態では、各雑音推定手段43(43-1~43-K)が出力するPN(PN_1~PN_K)は、それぞれ雑音抑圧部20に供給される。なお、それぞれの雑音推定手段43(43-1~43-K)が、推定雑音パワーPN(PN_1~PN_K)を出力する際の方式(例えば、信号形式やデータ形式)については限定されないものである。
次に、各雑音推定手段43(43-1~43-K)内部の動作について説明する。
雑音推定手段43-1~43-Kでは処理する入力パワーPXの周波数帯が異なるだけで処理自体は同様であるため、以下では、雑音推定手段43-1~43-Kを総称した雑音推定手段43の内部の動作を説明する。
雑音推定手段43は、与えられた入力パワーPXを、定常確率算出手段101と第1の加重平均手段102に与える。
定常確率算出手段101は、入力パワーPXと後述する遅延サンプル数Dの分過去の推定雑音パワーPNDとに基づいて定常確率SPを算出し、得られた定常確率SPを第1の加重平均手段102に与える。遅延サンプル数Dの具体的な数値については後述する。
定常確率SPは、事後SNR値Gに基づいて算出される。事後SNR値Gは、(17)式で算出することができる。定常確率SPは、後述する定常確率算出関数によって算出する。
Figure 0007380361000009
定常確率算出関数は、事後SNR値Gに対する定常確率SPの関数であり、上述(課題を解決するための手段)したとおり、理論的に(7)式で与えられる。事後SNR値Gを用いて書き直すと、定常確率算出関数は(15)式で与えられる。
第1の加重平均手段102は、加重和算出手段103より与えられる入力加重和 ̄WPXと確率加重和 ̄SPに基づいて暫定推定雑音パワーPNTを算出し、得られた暫定推定雑音パワーPNTを加重和算出手段103、定常信頼度算出手段104、および第2の加重平均手段105に与える。
第1の加重平均手段102は、確率加重和 ̄SPと定常確率SPを重み係数として、入力加重和 ̄WPXと入力パワーPXの加重平均を計算することで、暫定推定雑音パワーPNTを(18)式を用いて算出する。バッファサンプル数Tは平均長を意味しており、200ミリ秒~1秒に相当する長さとするのが好適である。
Figure 0007380361000010
加重和算出手段103は、入力パワーPXと定常確率SPに基づいて入力加重和 ̄WPXと確率加重和 ̄SPを更新し、得られた入力加重和 ̄WPXと確率加重和 ̄SPを第1の加重平均手段102に与える。
入力加重和 ̄WPXは、定常確率SPと入力パワーPXとの乗算結果を(T-1)サンプル過去から1サンプル過去まで平均した加重平均値を指数移動平均で近似したものであり、(19)式で更新する。確率加重和 ̄SPは、定常確率SPを(T-1)サンプル過去から1サンプル過去まで平均した平均値を指数移動平均で近似したものであり、(20)式で更新する。(19)式および(20)式の係数aは、a=2/Tとするのが最も好適であるが、他の値としても良く、例えばa=1/(T-1)とするのが次に好適である。
Figure 0007380361000011
加重平均によって暫定推定雑音パワーPNTを算出する方法には、以下のようなメリットがある。すなわち、定常確率SPが高い入力パワーPXには大きな重みがかけられるので、暫定推定雑音パワーPNTの算出に大きな影響力を持つ。一方、定常確率SPが低い入力パワーPXには小さな重みがかけられるので、暫定推定雑音パワーPNTの算出への影響力は小さく、ほとんど無視される。ここで、定常確率SPが小さい入力パワーPXを完全に無視してしまうと(例えば、特許文献1は、事後SNR値が所定の値より大きいと無視する)、パケットロスやボイススイッチによって入力信号が一時的に小さくなった後で戻った際に追従できない問題が生じる。そこで、定常確率SPが小さい入力パワーPXを小さな影響力で考慮することで、安定した推定を継続することが可能となる。
定常信頼度算出手段104は、暫定推定雑音パワーPNTと後述するDサンプル過去の推定雑音パワーPNDとに基づいて定常信頼度SCを算出し、得られた定常信頼度SCを第2の加重平均手段に与える。Dの具体的な数値については後述する。
定常信頼度SCは、推定更新比Rに基づいて算出される。推定更新比Rは、(21)式で算出する。定常信頼度SCは、後述する定常信頼度算出関数によって算出する。
Figure 0007380361000012
定常信頼度算出関数は、推定更新比Rに対する定常信頼度SCの関数であり、上述(課題を解決するための手段)したとおり、理論的に(13)式で与えられる。推定更新比Rを用いて書き直すと、定常信頼度算出関数は(16)式で与えられる。
第2の加重平均手段105は、暫定推定雑音パワーPNTと過去の推定雑音パワーPNDに基づいて推定雑音パワーPNを算出し、得られた推定雑音パワーPNを記憶手段106と雑音推定手段43の出力に与える。
第2の加重平均手段105は、(22)式のように、定常信頼度SCを重み係数として、暫定推定雑音パワーPNTと過去の推定雑音パワーPNDの加重平均を推定雑音パワーPNとして算出する。
Figure 0007380361000013
定常信頼度SCを重み係数として暫定推定雑音パワーPNTと過去の推定雑音パワーPNDの加重平均を算出する方法には、以下のようなメリットがある。すなわち、定常か否かの判断は本来一定の長さ以上の観測が必要となるが、第1の加重平均手段102で用いる定常確率SPは瞬間的な観測に基づいて算出されおり、信頼性が低い。そのため、暫定推定雑音パワーPNTをそのまま推定雑音パワーとすることは、信頼性の低い推定値を用いることに相当する。そこで、バッファ長Tの観測によって得られた暫定推定雑音パワーPNTが定常か否かを判断して定常信頼度SCとし、定常信頼度SCに基づいて推定雑音パワーを見直すことで、さらに安定した推定を継続することが可能となる。
記憶手段106は、推定雑音パワーPNをDサンプルの期間だけ保持し、Dサンプル前(Dサンプルの分過去)の推定雑音パワーPNDを定常確率算出手段101に与える。
遅延サンプル数Dは、D=1とするのが好適であるが、D>1としても良い。
(A-4)実施形態の効果
この実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
この実施形態の雑音推定手段43では、雑音推定に必要となる推定パラメータはバッファサンプル数(バッファ長)Tと遅延サンプル数Dだけなので、推定パラメータの調整が不要な推定雑音方法を提供することができる。
また、この実施形態の雑音推定手段43では、定常確率を重み係数とする加重平均を用いて雑音パワーを推定するので、雑音が急激に変化しても、推定雑音パワーは急激に変化せず、さらに推定雑音パワーが小さいままや大きいままとどまることなく、安定して推定可能な雑音推定方法を提供することができる。
さらに、この実施形態の雑音推定手段43では、定常信頼度に基づいて推定雑音パワーの再推定を行うので、さらに安定化した雑音推定方法を提供することができる。
(B)他の実施形態
本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
(B-1)上記の実施形態では、説明を簡易とするため設置するマイクロホンは1つであるものとして説明するが、複数のマイクロホンを配置する構成としてもよいし、複数のマイクロホンMを用いたマイクロホンアレイを配置する構成としても良い。その場合、雑音推定部40は、複数のマイクロホンからの各入力信号について雑音推定の処理を行うことになる。
(B-2)上記の実施形態では、雑音推定部40を収音装置1に搭載する例について説明したが、雑音推定部40が搭載される装置は限定されないものである。また、雑音推定部40を単独の装置として構成するようにしてもよい。
したがって、上記の各実施形態において、雑音推定部40が取得した推定雑音パワーPN(PN_1~PN_K)の出力先や出力方式(例えば、データ形式や出力インタフェース)については限定されないものであり、雑音推定部40の用途に応じた出力方式で、雑音推定部40の用途に応じた出力先に出力するようにしてもよい。例えば、雑音推定部40は、コンピュータ200が備えるインタフェース(例えば、回路上の信号線やシリアルインタフェース等)を用いて出力するようにしてもよいし、有線又は無線による通信インタフェース(例えば、有線/無線LANインタフェースや、種々のシリアルインタフェース等)を用いて出力するようにしてもよい。
(B-3)収音装置1、信号入力部10、雑音抑圧部20、及び雑音推定部40において、雑音抑圧部20の処理を周波数領域で行う場合には帯域分割手段を雑音抑圧部20の内部に有する必要があるが、雑音推定部40における帯域分割手段41の構成または帯域分割手段41の出力を共有するようにしても良い。例えば、信号入力部10の内部に帯域分割手段を含め、当該帯域分割手段の出力を信号入力部10の出力として雑音抑圧部20および雑音推定部40に供給するようにしても良い。
(B-4)本発明では、本発明に係る処理を雑音推定処理に用いる例について説明したが、音響以外の時系列的な数列(離散的な数列)で表される波形(例えば、電波や光等)から目的波形(例えば、電波に含まれる無線信号や、光に含まれる光信号等)以外の非目的波形(例えば、電波に含まれる無線信号以外のノイズや、光に含まれる光信号以外のノイズ等)を推定する処理(以下、「非目的波形推定処理」と呼ぶ)を行う装置(以下、「非目的波形推定装置」と呼ぶ)に適用するようにしてもよい。
1…収音装置、M…マイクロホン、10…信号入力部、20…雑音抑圧処理部、30…信号出力部、40…雑音推定部、41…帯域分割手段、42、42-1~42-K…パワー算出手段、43、43-1~43-K…雑音推定手段、101…定常確率算出手段、102…バッファ更新手段、103…第1の加重平均手段、104…定常信頼度算出手段、105…第2の加重平均手段、記憶手段106、200…コンピュータ、201…プロセッサ、202…一次記憶部、203…二次記憶部。

Claims (6)

  1. 音声と雑音が混合された入力信号中に含まれる雑音成分を推定して推定雑音パワーを得る雑音推定装置において、
    前記入力信号の入力パワーについて、所定の遅延サンプル数の分過去の推定雑音パワーである遅延推定雑音パワーで除した事後SNR値に基づいて前記入力パワーの定常確率を算出する定常確率算出手段と、
    前記定常確率算出手段が直近に算出した所定のバッファサンプル数の定常確率の和である定常確率和と現在の前記入力パワーの定常確率とを重み係数として、過去の前記入力パワーの重み付き和である入力パワー加重和と現在の前記入力パワーの加重平均をとることで第1の推定雑音パワーを算出する第1の推定雑音パワー算出手段と、
    前記第1の推定雑音パワーと、前記遅延推定雑音パワーと前記バッファサンプル数とを利用して、前記第1の推定雑音パワーの定常信頼度を算出する定常信頼度算出手段と、
    前記定常信頼度を重み係数として前記第1の推定雑音パワーと前記遅延推定雑音パワーとの加重平均をとることで第2の推定雑音パワーを算出して出力する第2の推定雑音パワー算出手段と
    を有することを特徴とする雑音推定装置。
  2. 前記定常確率算出手段は、以下の(A)式の関数によって前記定常確率を算出することを特徴とする請求項1に記載の雑音推定装置。
    Figure 0007380361000014
    ここで、SPは前記定常確率であり、Gは前記事後SNR値である。
  3. 前記定常信頼度算出手段は、以下の(B)式の関数によって前記定常信頼度を算出することを特徴とする請求項2に記載の雑音推定装置。
    Figure 0007380361000015
    ここで、SCは前記定常信頼度であり、Tは前記バッファサンプル数であり、Rは前記第1の推定雑音パワーを前記遅延推定雑音パワーで除した値であり、ΓはΓ関数であり、γは第1種不完全ガンマ関数であり、γ-1は逆第1種不完全ガンマ関数である。
  4. 音声と雑音が混合された入力信号中に含まれる雑音成分を推定して推定雑音パワーを得る雑音推定装置に搭載されたコンピュータを、
    前記入力信号の入力パワーについて、所定の遅延サンプル数の分過去の推定雑音パワーである遅延推定雑音パワーで除した事後SNR値に基づいて前記入力パワーの定常確率を算出する定常確率算出手段と、
    前記定常確率算出手段が直近に算出した所定のバッファサンプル数の定常確率の和である定常確率和と現在の前記入力パワーの定常確率とを重み係数として、過去の前記入力パワーの重み付き和である入力パワー加重和と現在の前記入力パワーの加重平均をとることで第1の推定雑音パワーを算出する第1の推定雑音パワー算出手段と、
    前記第1の推定雑音パワーと、前記遅延推定雑音パワーと前記バッファサンプル数とを利用して、前記第1の推定雑音パワーの定常信頼度を算出する定常信頼度算出手段と、
    前記定常信頼度を重み係数として前記第1の推定雑音パワーと前記遅延推定雑音パワーとの加重平均をとることで第2の推定雑音パワーを算出して出力する第2の推定雑音パワー算出手段と
    して機能させることを特徴とする雑音推定プログラム。
  5. 音声と雑音が混合された入力信号中に含まれる雑音成分を推定して推定雑音パワーを得る雑音推定装置が行う雑音推定方法において、
    前記雑音推定装置は、定常確率算出手段、第1の推定雑音パワー算出手段、定常信頼度算出手段、及び第2の推定雑音パワー算出手段を有し、
    前記定常確率算出手段は、前記入力信号の入力パワーについて、所定の遅延サンプル数の分過去の推定雑音パワーである遅延推定雑音パワーで除した事後SNR値に基づいて前記入力パワーの定常確率を算出し、
    前記第1の推定雑音パワー算出手段は、前記定常確率算出手段が直近に算出した所定のバッファサンプル数の定常確率の和である定常確率和と現在の前記入力パワーの定常確率とを重み係数として、過去の前記入力パワーの重み付き和である入力パワー加重和と現在の前記入力パワーの加重平均をとることで第1の推定雑音パワーを算出し、
    前記定常信頼度算出手段は、前記第1の推定雑音パワーと、前記遅延推定雑音パワーと前記バッファサンプル数とを利用して、前記第1の推定雑音パワーの定常信頼度を算出し、
    前記第2の推定雑音パワー算出手段は、前記定常信頼度を重み係数として前記第1の推定雑音パワーと前記遅延推定雑音パワーとの加重平均をとることで第2の推定雑音パワーを算出して出力する
    して機能させることを特徴とする雑音推定方法。
  6. 音声と雑音が混合された入力信号から前記音声を収音する収音装置において、
    前記入力信号に含まれる雑音成分を推定する雑音推定部と、
    前記雑音推定部の推定結果を用いて、前記入力信号から前記音声信号を抽出して収音する収音部とを備え、
    前記雑音推定部として、請求項1~3のいずれかに記載の雑音推定装置を適用したこと
    を特徴とする収音装置。
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