JP7375364B2 - 接着剤組成物、積層体、およびリチウムイオン電池用包装材料 - Google Patents

接着剤組成物、積層体、およびリチウムイオン電池用包装材料 Download PDF

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Description

本発明は、接着剤組成物、積層体およびリチウムイオン電池用包装材料に関する。
近年、パソコン、携帯電話等の携帯端末装置、ビデオカメラ、衛星などに用いられる電池として、超薄型化、小型化の可能なリチウムイオン電池(以下LiB)が盛んに開発されている。このLiBの包装材料は、従来用いられていた金属製缶とは異なり、軽量で電池の形状を自由に選択できるという利点から、基材層/バリア層/シーラント層のような構成の積層体が用いられるようになってきた。
LiBは、電池内容物として正極材及び負極材と共に、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチルなどの非プロトン性溶媒にリチウム塩を溶解した電解液若しくはその電解液を含浸させたポリマーゲルからなる電解質層を含んでいる。このような強浸透性の溶媒がシーラント層を通過すると、バリア層とシーラント層間のラミネート強度を低下させてデラミネーションを生じさせ、最終的には電解液が漏れ出すといった問題が生じる。また、電池の電解質であるリチウム塩としてはLiPF、LiBF等の物質が用いられているが、これらの塩は水分との加水分解反応によりフッ酸を発生させ、フッ酸がバリア層を腐食することによりラミネート強度を低下させる。電池用包装材料は、このように電解質に対する耐性を有していることが必要である。
また、LiBはさまざまな環境下で使用されることを想定して、より過酷な耐性を備えている必要がある。例えば、モバイル機器に使用される場合には、車内等の60~70℃という高温環境での耐漏液性が要求される。また、携帯電話に使用され誤って水中に落としたことを想定し、水分が浸入しないよう耐水性も必要とされる。
このような状況のもと、耐電解液性を向上させたリチウム電池用包装材料が種々提案されている(例えば、特許文献1~2参照)。特許文献1は変性オレフィン重合体とポリイソシアネート硬化剤を含有する接着剤について記載している。特許文献2は2種類の変性ポリオレフィン樹脂、粘着付与剤および硬化剤し、硬化剤がエポキシ硬化剤である接着剤組成物につい記載しており、変性ポリオレフィン樹脂と硬化剤のみならず、さらに粘着付与剤を含有することで85℃における耐電解液性を達成している。また、特許文献3は変性ポリオレフィン系樹脂、粘着付与剤および架橋剤を含有する接着剤組成物について記載しており、変性ポリオレフィン樹脂と硬化剤のみならず、さらに粘着付与剤を含有することで70℃における良好な接着性を達成している。
国際公開2014/123183号パンフレット 国際公開2017/187904号パンフレット 特開2017-101145号公報
しかしながら、前記提案されている接着剤組成物は、耐熱性および耐久性の点でいまだ不十分であった。
具体的には、車載用途においては、一般的な小型のLiB用途よりも、さらに過酷な環境下での使用が想定される。そのため、前記提案されている接着剤組成物は、高温環境下における硬化後の接着剤の接着性が貧弱となったり、長期に及ぶ電解液浸漬後の接着強度が低下してしまったりと、耐熱性および耐久性の面でいまだ不十分なものであった。
本発明は、ポリオレフィン樹脂基材と金属基材との良好な接着性および耐電解液性(耐久性)を示し、かつ優れた耐熱性発揮する接着剤組成物を提供するものである。さらにその接着剤組成物からなる接着剤層を含む積層体および前記積層体を構成部材とするリチウムイオン電池用包装材料を提供するものである。
上記課題を達成するため、本発明者らは鋭意検討し、酸変性ポリオレフィン、ポリフェニレンエーテルおよびイソシアネート硬化剤の配合が有効であることを見出し、以下の発明を提案するに至った。すなわち本発明は、以下の構成からなる。
[1] 酸変性ポリオレフィン(A)、ポリフェニレンエーテル(B)およびイソシアネート硬化剤(C)を含有する接着剤組成物。
[2] 前記ポリフェニレンエーテル(B)の数平均分子量が20000以下である[1]の接着剤組成物。
[3] 前記ポリフェニレンエーテル(B)が主鎖の末端が官能基化されている[1]または[2]の接着剤組成物。
[4] 前記酸変性ポリオレフィン(A)100質量部に対して、前記ポリフェニレンエーテル(B)が0.1~20質量部である[1]~[3]の接着剤組成物。
[5] 前記酸変性ポリオレフィン(A)の酸価が1~40mgKOH/gである[1]~[4]いずれかの接着剤組成物。
[6] ポリオレフィン樹脂基材と金属基材との接着に用いられる[1]~[5]いずれかの接着剤組成物。
[7] [1]~[6]のいずれかの接着剤組成物によって接着されたポリオレフィン樹脂基材と金属基材の積層体。
[8] [7]に記載の積層体を構成部材として含有するリチウムイオン電池用包装材料。
本発明の接着剤組成物は、酸変性ポリオレフィン、ポリフェニレンエーテルおよびイソシアネート硬化剤を含むため、ポリオレフィン樹脂基材と金属基材との良好な接着性および耐電解液性(耐久性)を発現することができ、かつ硬化後は優れた耐熱性を示す。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<酸変性ポリオレフィン(A)>
本発明で用いる酸変性ポリオレフィン(A)は限定的ではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン及びプロピレン・α-オレフィン共重合体の少なくとも1種に、α,β-不飽和カルボン酸及びその酸無水物の少なくとも1種をグラフトすることにより得られるものが好ましい。
プロピレン・α-オレフィン共重合体は、プロピレンを主体としてこれにα-オレフィンを共重合したものである。α-オレフィンとしては、例えば、エチレン、1-ブテン、1-ヘプテン、1-オクテン、4-メチル-1-ペンテン、酢酸ビニルなどを1種又は数種用いることができる。これらのα-オレフィンの中では、エチレン、1-ブテンが好ましく、1-ブテンが最も好ましい。
α,β-不飽和カルボン酸及びその酸無水物の少なくとも1種としては、例えば、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸及びこれらの酸無水物が挙げられる。これらの中でも酸無水物が好ましく、無水マレイン酸がより好ましい。具体的には、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性プロピレン・エチレン共重合体、無水マレイン酸変性プロピレン・1-ブテン共重合体、無水マレイン酸変性プロピレン・エチレン・1-ブテン共重合体等が挙げられ、これら酸変性ポリオレフィンを1種類又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。なかでも無水マレイン酸変性プロピレン・1-ブテン共重合体が好ましい。
酸変性ポリオレフィン(A)の酸価は、ポリオレフィン樹脂基材との接着性、ポリフェニレンエーテル(B)との相溶性、イソシアネート硬化剤(C)との架橋密度の観点から、1~40mgKOH/gの範囲であることが好ましい。より好ましくは3~40mgKOH/g、さらに好ましくは4~30mgKOH/g、特に好ましくは5~20mgKOH/gの範囲である。前記の値未満であると、架橋密度が低くなるため接着性が劣る場合がある。一方、前記の値を超えると、ポットライフ性に問題が生じる場合がある。
酸変性ポリオレフィン(A)の融点(Tm)は、50℃~95℃の範囲であることが好ましい。より好ましくは60℃~93℃の範囲、特に好ましくは65℃~92℃の範囲、それ以上に好ましくは75℃~90℃の範囲であり、最も好ましくは78℃~85℃の範囲である。前記の値未満であると、結晶由来の凝集力が弱くなり、接着性や耐薬品性が劣る場合がある。一方、前記の値を超えると、ポットライフ性、流動性が低く接着する際の操作性に問題が生じる場合がある。
酸変性ポリオレフィン(A)は、オレフィン成分としてプロピレンおよび1-ブテンを有することが好ましい。また、プロピレンと1-ブテンのモル比の好ましい範囲としてはプロピレン/1-ブテン=98~60/2~40であり、より好ましくは90~70/10~30である。プロピレンのモル比が60%以上であることで、ポリオレフィン基材との優れた接着性を発現できる。また、1-ブテンのモル比が2%以上であれば有機溶剤への溶解性が増し、接着剤としての塗工性が向上する。
オレフィン成分として、プロピレンと1-ブテン成分の合計量は62モル%以上であることが好ましい。より好ましくは80モル%以上であり、さらに好ましくは90モル%以上であり、特に好ましくは95モル%以上であり、100モル%であっても差し支えない。前記値未満であると、接着性および耐薬品性が低下することがある。
酸変性ポリオレフィン(A)の重量平均分子量(Mw)は、10,000~200,000の範囲であることが好ましい。より好ましくは20,000~180,000の範囲であり、さらに好ましくは30,000~160,000の範囲であり、特に好ましくは40,000~140,000の範囲であり、最も好ましくは、50,000~110,000の範囲である。前記の値未満であると、凝集力が弱くなり接着性が劣る場合がある。一方、前記の値を超えると、流動性が低く接着する際の操作性に問題が生じる場合があり、またポリフェニレンエーテル(B)との相溶性にも劣る場合がある。
酸変性ポリオレフィン(A)の製造方法としては、特に限定されず、例えばラジカルグラフト反応(すなわち主鎖となるポリマーに対してラジカル種を生成し、そのラジカル種を重合開始点として不飽和カルボン酸および酸無水物をグラフト重合させる反応)、などが挙げられる。
ラジカル発生剤としては、特に限定されないが、有機過酸化物を使用することが好ましい。有機過酸化物としては、特に限定されないが、ジ-tert-ブチルパーオキシフタレート、tert-ブチルヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-ブチルパーオキシピバレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソプロピオニトリル等のアゾニトリル類等が挙げられる。
これらの酸変性ポリオレフィン(A)は、単独で用いてもよく、また2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
<ポリフェニレンエーテル(B)>
本発明で用いるポリフェニレンエーテル(B)は限定的ではないが、好ましくは下記一般式(1)で表される構造単位を有する化合物を用いることができる。

一般式(1)中、R1,R2,R3,R4は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアルキニル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基または置換されていてもよいアルコキシ基であることが好ましい。置換されていてもよいアルキル基の「アルキル基」は、例えば、炭素数が1以上6以下、好ましくは炭素数が1以上3以下の、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基である。より具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、メチル基またはエチル基であることがより好ましい。置換されていてもよいアルケニル基の「アルケニル基」としては、例えば、エテニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、3-ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等が挙げられ、エテニル基または1-プロペニル基であることがより好ましい。置換されていてもよいアルキニル基の「アルキニル基」としては、例えば、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル(プロパルギル)基、3-ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基等が挙げられ、エチニル基であることがより好ましい。置換されていてもよいアリール基の「アリール基」としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、フェニル基であることがより好ましい。置換されていてもよいアラルキル基の「アラルキル基」としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、2-メチルベンジル基、4-メチルベンジル基、α-メチルベンジル基、2-ビニルフェネチル基、4-ビニルフェネチル基等が挙げられ、ベンジル基であることがより好ましい。置換されていてもよいアルコキシ基の「アルコキシ基」は、例えば炭素数が1以上6以下、好ましくは炭素数が1以上3以下の、直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基である。例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等が挙げられ、メトキシ基またはエトキシ基であることがより好ましい。上記のアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、及びアルコキシ基が置換されている場合、置換基を1または2以上有していてよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、炭素数1~6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基)、アルケニル基(例えば、エテニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基)、アルキニル基(例えば、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基)、アラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基)等が挙げられる。なかでも(i)R1およびR4がメチル基であり、R2およびR3が水素であることまたは(ii)R1およびR4が水素であり、R2およびR3がメチル基であることが好ましい。
ポリフェニレンエーテル(B)は、一部又は全部を、ビニルベンジル基等のエチレン性不飽和基、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシル基、及びシリル基等で官能基化された変性ポリフェニレンエーテルとしてもよい。ポリフェニレンエーテル(B)は、主鎖の末端が前記官能基で官能基化されていることが好ましい。より好ましくは主鎖の末端がエポキシ基、またはエチレン性不飽和基を有する。エチレン性不飽和基としては、エテニル基、アリル基、メタアクリル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基等のアルケニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基、スチレン基、ビニルベンジル基、ビニルナフチル基等のアルケニルアリール基が挙げられる。また、主鎖の両末端は、同一の官能基であってもよいし、異なる官能基であってもよい。酸変性ポリオレフィン(A)との相溶性の観点から、中でも主鎖の末端がスチレン基であることが好ましく、主鎖の両末端のいずれもがスチレン基であることがより好ましい。相溶性が良好であることで、ポットライフ性が良好となる傾向がある。また、スチレン基はビニル基をオルト位やパラ位に有することが好ましく、パラ位に有することが特に好ましい。
一般式(1)で表される構造単位を有する化合物は、一般式(2)の構造を有することが最も好ましい。

一般式(2)において、nは2以上であることが好ましく、より好ましくは4以上であり、165以下であることが好ましく、より好ましくは60以下であり、さらに好ましくは23以下であり、特に好ましくは20以下であり、最も好ましくは18以下である。
ポリフェニレンエーテル(B)の数平均分子量は、20000以下であることが好ましい。10000以下がより好ましく、2500以下がさらに好ましい。2000以下であることがそれ以上に好ましく、1800以下であることが特に好ましく、1500以下であることが最も好ましい。ポリフェニレンエーテル(B)の数平均分子量は500以上であることが好ましく、700以上であることがより好ましい。ポリフェニレンエーテル(B)の数平均分子量を下限値以上とすることにより、得られる接着剤層の可撓性を良好にできる。一方、ポリフェニレンエーテル(B)の数平均分子量を上限値以下とすることにより、有機溶剤に対する溶解性を良好にできる。
これらのポリフェニレンエーテルは、単独で用いてもよく、また2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の接着剤組成物のポリフェニレンエーテル(B)の含有量は、酸変性ポリオレフィン(A)100質量部に対して、0.1~20質量部の範囲が好ましく、より好ましくは0.2~10質量部であり、さらに好ましくは0.3~7質量部であり、最も好ましくは0.5~5質量部の範囲である。0.1質量部以上では、硬化後の接着剤の耐熱性が良好である傾向がある。また、20質量部以下では、酸変性ポリオレフィン(A)の凝集力が良く発揮されし、耐薬品性がより良好となる傾向がある。
<イソシアネート硬化剤(C)>
本発明に用いるイソシアネート硬化剤は特に限定されず、ジイソシアネート、トリイソシアネートおよびこれらから誘導された化合物を好ましく用いることができる。イソシアネート硬化剤としては芳香族系硬化剤、脂肪族系硬化剤や、脂環族系硬化剤があげられ、例えば、芳香族系硬化剤としては2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、脂肪族系硬化剤としてはヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、脂環族系硬化剤としてはイソホロンジイソシアネート、、ビス(4-イソシアネートシクロヘキシル)メタン、または水添化ジフェニルメタンジイソシアネート等のジイソシアネートが挙げられる。さらに前記ジイソシアネートから誘導された化合物、即ち、前記ジイソシアネートのイソシアヌレート体、アダクト体、ビウレット型、ウレトジオン体、アロファネート体、イソシアネート残基を有するプレポリマー(ジイソシアネートとポリオールから得られる低重合体)、トリグリシジルイソシアヌレート、またはこれらの複合体等が挙げられる。これらを単独で使用しても良いし、2種以上を任意に組み合わせて使用しても良い。本発明に用いるイソシアネート硬化剤としては、脂肪族系硬化剤が好ましい。
本発明で使用されるイソシアネート硬化剤(C)として、中でも耐電解液性が優れるという理由から、前記ジイソシアネート化合物のイソシアヌレート体を有するものが好ましい。
本発明の接着剤組成物のイソシアネート硬化剤(C)の配合量は、酸変性ポリオレフィン(A)100質量部に対して、1~30質量部の範囲が好ましく、より好ましくは2~25質量部であり、さらに好ましくは3~20質量部であり、特に好ましくは5~15質量部の範囲である。1質量部以上であると、十分な硬化効果が得られ、接着性および耐薬品性がより良好となる。30質量部以内では、ポットライフ性や接着性が良好となり、また追従性の向上により成形時のピンホールの発生が生じにくくなる。さらにコスト面の観点からより好ましくなる。
<有機溶剤(D)>
本発明の接着剤組成物は、さらに有機溶剤(D)を含有することもできる。本発明で用いる有機溶剤(D)としては、酸変性ポリオレフィン(A)、ポリフェニレンエーテル(B)、およびイソシアネート硬化剤(C)を溶解させるものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族系炭化水素、シクロヘキサン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロへキサン等の脂環族炭化水素、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、プロパンジオール、フェノール等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、ペンタノン、ヘキサノン、シクロヘキサノン、イソホロン、アセトフェノン等のケトン系溶剤、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等のセルソルブ類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、プロピオン酸メチル、ギ酸ブチル等のエステル系溶剤、エチレングリコールモノn -ブチルエーテル、エチレングリコールモノi s o -ブチルエーテル、エチレングリコールモノt e r t - ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノn -ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノi s o -ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノn -ブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノn -ブチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤等を使用することができ、これら1種または2種以上を併用することができる。特に作業環境性、乾燥性から、メチルシクロへキサンやトルエンが好ましい。
有機溶剤(D)は、酸変性ポリオレフィン(A)100質量部に対して、80質量部以上であることが好ましく、90質量部以上であることがより好ましく、100質量部以上であることがさらに好ましく、110質量部以上であることが特に好ましい。また、2000質量部以下であることが好ましく、1500質量部以下であることがより好ましく、1000質量部以下であることがさらに好ましく、900質量部以下であることがそれ以上に好ましく、800質量部以下であることが特に好ましく、700質量部以下であることが最も好ましい。80質量部以上とすることで、溶液状態およびポットライフ性が良好となり、2000質量部以下とすることで製造コスト、輸送コストの面で有利となる傾向がある。
有機溶剤(D)としては、接着剤組成物の溶液状態およびポットライフ性の観点から、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、および脂環族炭化水素からなる群より選択された1種以上の溶剤(D1)、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤およびグリコールエーテル系溶剤からなる群より選択された1種以上の溶剤(D2)の混合液が好ましい。混合比としては、溶剤(D1)/溶剤(D2)=50~97/50~3(質量比)であることが好ましく、55~95/45~5(質量比)であることがより好ましく、60~80/40~20(質量比)であることがさらに好ましく、60~70/40~30(質量比)であることが特に好ましい。上記範囲を外れると接着剤組成物の溶液状態およびポットライフ性が低下することがある。また、溶剤(D1)が芳香族炭化水素または脂環族炭化水素であり、溶剤(D2)がケトン系溶剤またはエステル系溶剤であることが特に好ましい。さらに好ましくは溶剤(D1)がメチルシクロヘキサンであり、溶剤(D2)が酢酸エチルである。
本発明にかかる接着剤組成物は、本発明の性能を損なわない範囲で、前記酸変性ポリオレフィン(A)、ポリフェニレンエーテル(B)およびイソシアネート硬化剤(C)の他に各種の粘着付与剤、可塑剤、応力緩和剤、硬化促進剤、難燃剤、顔料、ブロッキング防止剤等の添加剤を配合して使用することができる。
<積層体>
本発明の積層体は、ポリオレフィン樹脂基材と金属基材を本発明にかかる接着剤組成物で積層したものである。
積層する方法としては、従来公知のラミネート製造技術を利用することができる。例えば、特に限定されないが、金属基材の表面に接着剤組成物をロールコータやバーコータ等の適当な塗布手段を用いて塗布し、乾燥させる。乾燥後、金属基材表面に形成された接着剤組成物の層(接着剤層)が溶融状態にある間に、その塗布面にポリオレフィン樹脂基材を積層接着(ラミ接着)して積層体を得ることができる。
前記接着剤組成物により形成される接着剤層の厚みは、特に限定されないが、0.5~10μmにすることが好ましく、0.8~9.5μmにすることがより好ましく、1~9μmにすることがさらに好ましい。
<ポリオレフィン樹脂基材>
ポリオレフィン樹脂基材としては、従来から公知のポリオレフィン樹脂の中から適宜選択すればよい。例えば、特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体などを用いることができる。中でも、ポリプロピレンの無延伸フィルム(以下、CPPともいう。)の使用が好ましい。その厚さは、特に限定されないが、20~100μmであることが好ましく、25~95μmであることがより好ましく、30~90μmであることがさらに好ましい。なお、ポリオレフィン樹脂基材には必要に応じて顔料や種々の添加物を配合してもよいし、表面処理を施してもよい。
<金属基材>
金属基材としては、特に限定されないが、例えばアルミニウム、銅、鉄鋼、クロム、亜鉛、ジュラルミン、ダイカストなどの各種金属およびその合金を使用することができる。また、その形状としては、金属箔、圧延鋼板、パネル、パイプ、カン、キャップなど任意の形状を取り得ることができる。一般的には、加工性等の観点からアルミ二ウム箔が好ましい。また、使用目的によっても異なるが、一般的には0.01~10mm、好ましくは0.02~5mmの厚みのシートの形で使用される。
また、これら金属基材の表面を予め表面処理を施しておいてもよいし、未処理のままでもよい。いずれも場合であっても同等の効果を発揮することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
<酸変性ポリオレフィン(A)の製造例>
製造例1
1Lオートクレーブに、プロピレン-ブテン共重合体(Tm:80℃、プロピレン/ブテン=80/20 モル比)100質量部、トルエン233質量部及び無水マレイン酸20質量部、ジ-tert-ブチルパーオキサイド5質量部を加え、140℃まで昇温した後、更に1時間撹拌した(ここで、1時間「反応」したという)。その後、得られた反応液を100℃まで冷却後、予め40℃に加温したトルエン717質量部とメチルエチルケトン950質量部が入った容器に攪拌しながら注ぎ、40℃まで冷却し、更に30分間攪拌し、更に25℃まで冷却することで樹脂を析出させた(ここで、反応液をメチルエチルケトンなどの溶剤に攪拌しながら注ぎ込み、冷却することで樹脂を析出させる操作を「再沈」という)。その後、当該樹脂を含有するスラリー液を遠心分離することで無水マレイン酸がグラフト重合した酸変性プロピレン-ブテン共重合体と(ポリ)無水マレイン酸および低分子量物とを分離した。
更に、遠心分離して取り出した酸変性プロピレン-ブテン共重合体を、予め25℃に保温した新たな2000質量部のメチルエチルケトンが入った容器に攪拌しながら投入し、1時間攪拌を続けた。その後、スラリー液を遠心分離することで、更に酸変性プロピレン-ブテン共重合体と(ポリ)無水マレイン酸および低分子量物とを分離した。当該操作を2回繰り返すことで、精製した(ここで、遠心分離して取り出した酸変性プロピレン-ブテン共重合体をメチルエチルケトンに攪拌しながら投入し、再度遠心分離することで、精製を強化する操作を「リスラリー」とする)。
精製後、減圧下70℃で5時間乾燥させることにより、酸変性ポリオレフィンである無水マレイン酸変性プロピレン-ブテン共重合体(PO-1、酸価25mgKOH/g、重量平均分子量60,000、Tm80℃)を得た。
製造例2
無水マレイン酸の仕込み量を3質量部、ジ-tert-ブチルパーオキサイドの仕込み量を1質量部に変更し、リスラリー回数を1回、リスラリーの際に投入するメチルエチルケトンの量を1000質量部に変更した以外は製造例1と同様にすることにより、酸変性ポリオレフィンである無水マレイン酸変性プロピレン-ブテン共重合体(PO-2、酸価5mgKOH/g、重量平均分子量90,000、Tm80℃)を得た。
製造例3
製造例1で用いたプロピレン-ブテン共重合体(Tm:80℃)をプロピレン-ブテン共重合体(Tm:90℃、プロピレン/ブテン=85/15 モル比)に変更し、無水マレイン酸の仕込み量を3質量部、ジ-tert-ブチルパーオキサイドの仕込み量を1質量部、リスラリー回数を1回、リスラリーの際に投入するメチルエチルケトンの量を1000質量部に変更した以外は製造例1と同様にすることにより、酸変性ポリオレフィンである無水マレイン酸変性プロピレン-ブテン共重合体(PO-3、酸価5mgKOH/g、重量平均分子量90,000、Tm90℃)を得た。
製造例4
製造例1で用いたプロピレン-ブテン共重合体(Tm:80℃)をプロピレン-ブテン共重合体(Tm:70℃、プロピレン/ブテン=75/25 モル比)に変更し、無水マレイン酸の仕込み量を3質量部、ジ-tert-ブチルパーオキサイドの仕込み量を1質量部、リスラリー回数を1回、リスラリーの際に投入するメチルエチルケトンの量を1000質量部に変更した以外は製造例1と同様にすることにより、酸変性ポリオレフィンである無水マレイン酸変性プロピレン-ブテン共重合体(PO-4、酸価5mgKOH/g、重量平均分子量90,000、Tm70℃)を得た。
(主剤1の作製)
水冷還流凝縮器と撹拌機を備えた500mlの四つ口フラスコに、製造例1で得られた無水マレイン酸変性プロピレン-ブテン共重合体(PO-1)を100質量部、ポリフェニレンエーテル(B-1)を3質量部、メチルシクロヘキサンを280質量部および酢酸エチルを120質量部仕込み、撹拌しながら80℃まで昇温し、撹拌を1時間続けた後、冷却することで主剤1を得た。
(主剤2~13の作製)
酸変性ポリオレフィン、ポリフェニレンエーテル、有機溶剤を表1に示すとおりに変更し、主剤1と同様な方法で主剤2~13を作製した。配合量を表1に示す。
表1で用いたポリフェニレンエーテル(B)は以下のものである。
B-1: 三菱ガス化学社製 OPE(登録商標)2St-2200 (数平均分子量 2200、一般式(2)の構造を有する化合物)
B-2: 三菱ガス化学社製 OPE(登録商標)2St-1200 (数平均分子量 1200、一般式(2)の構造を有する化合物)
B-3: Sabic社製 NORYL(登録商標) SA-90 (数平均分子量 1800、一般式(1)の構造を有し、主鎖の末端にヒドロキシ基を有する化合物)
B-4:Sabic社製 PPOレジンパウダー (数平均分子量 20000、一般式(1)の構造を有し、主鎖の末端にヒドロキシ基を有する化合物)
実施例1
主剤1を500質量部、イソシアネート化合物(C-1)を10質量部配合し、接着剤組成物を得た。この接着剤組成物を用いて、下記の方法で積層体を作成した。
金属基材とポリオレフィン樹脂基材との積層体の作製
金属基材にはアルミニウム箔(住軽アルミ箔社製、8079-0、厚さ40μm)を使用し、ポリオレフィン樹脂基材には無延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡社製パイレン(登録商標)フィルムCT、厚さ40μm)(以下、CPPともいう。)を使用した。
得られた接着剤組成物を金属基材にバーコータを用いて乾燥後の接着剤層の膜厚が3μmになるように調整して塗布した。塗布面を温風乾燥機を用いて100℃雰囲気で5分間乾燥させ、膜厚3μmの接着剤層が積層された金属基材を得た。前記接着剤層表面にポリオレフィン樹脂基材を重ね合わせ、テスター産業社製の小型卓上テストラミネーター(SA-1010-S)を用いて、ラミネート温度100℃で、0.3MPa、1m/分にて貼り合わせ、40℃、50%RHにて5日間養生することで積層体を得た。
得られた積層体に対して、接着性を初期接着性により、耐熱性を貯蔵弾性率により、耐久性を耐電解液性により、貯蔵安定性をポットライフ性により、それぞれ評価した。結果を表2に示す。
実施例2~15および比較例1~4
主剤および硬化剤を表2に示すとおりに変更して接着剤組成物を作成し、実施例1と同様な方法で積層体を作製し、各評価を実施した。
表2で用いた硬化剤(C)は以下のものである。
C-1: スミジュール(登録商標)N3300(コベストロ社製) (HDI型イソシアヌレート)
C-2: エピクロン(登録商標)HP-7200(DIC社製)(ジシクロペンタジエン骨格含有エポキシ樹脂)
C-3: デュラネート(登録商標)24A-100(旭化成社製) (HDI型ビウレット)
上記のようにして得られた各酸変性ポリオレフィン、主剤および接着剤組成物に対して下記方法に基づいて分析測定および評価を行った。
<酸価の測定>
本発明における酸価(mgKOH/g)は、1gの酸変性ポリオレフィン(A)を中和するのに必要とするKOH量のことであり、JIS K0070(1992)の試験方法に準じて、測定した。具体的には、100℃に温度調整したキシレン100gに、酸変性ポリオレフィン1gを溶解させた後、同温度でフェノールフタレインを指示薬として、0.1mol/L水酸化カリウムエタノール溶液[商品名「0.1mol/Lエタノール性水酸化カリウム溶液」、和光純薬(株)製]で滴定を行った。この際、滴定に要した水酸化カリウム量をmgに換算して酸価(mgKOH/g)を算出した。
<数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)の測定>
本発明における数平均分子量及び重量平均分子量は日本ウォーターズ社製ゲルパーミエーションクロマトグラフAlliance e2695(以下、GPC、標準物質:ポリスチレン樹脂、移動相:テトラヒドロフラン、カラム:Shodex KF-806 + KF-803、カラム温度:40℃、流速:1.0ml/分、検出器:フォトダイオードアレイ検出器(波長254nm = 紫外線))によって測定した値である。
<融点の測定>
本発明における融点は示差走査熱量計(以下、DSC、ティー・エー・インスツルメント・ジャパン製、Q-2000)を用いて、10℃/分の速度で昇温融解、冷却樹脂化して、再度昇温融解した際の融解ピークのトップ温度から測定した値である。
<ポットライフ性の評価>
ポットライフ性とは、酸変性ポリオレフィンに架橋剤または硬化剤を配合し、その配合直後または配合後一定時間経過後の該溶液の安定性を指す。ポットライフ性が良好な場合は、溶液の粘度上昇が少なく長期間保存が可能であることを指し、ポットライフ性が不良な場合は、溶液の粘度が上昇(増粘)し、ひどい場合にはゲル化現象を起こし、基材への塗布が困難となり、長期間保存が不可能であることを指す。
接着剤組成物のポットライフ性を、25℃雰囲気で静置状態にて24時間貯蔵した後に、B型粘度計を用いて25℃の溶液粘度を測定することで評価した。
評価結果を表2に示す。
(評価基準)
☆(実用上特に優れる):300mPa・s未満
◎(実用上優れる):300mPa・s以上500mPa・s未満
○(実用可能):500mPa・s以上1000mPa・s未満
×(実用不可能):1000mPa・s以上またはゲル化により粘度測定不可
上記のようにして得られた積層体に対して、下記方法にて評価を行った。
<初期接着性の評価>
積層体を100mm×15mm大きさに切断し、T型剥離試験により接着性を以下の基準により評価した。
T型剥離試験はASTM-D1876-61の試験法に準拠し、オリエンテックコーポレーション社製のテンシロンRTM-100を用いて、25℃環境下で、引張速度50mm/分における剥離強度を測定した。金属基材/ポリオレフィン樹脂基材間の剥離強度(N/cm)は5回の試験値の平均値とした。
(評価基準)
☆(実用上特に優れる): 8.0N/cm以上
◎(実用上優れる): 7.5N/cm以上8.0N/cm未満
○(実用可能): 7.0N/cm以上7.5N/cm未満
×(実用不可能): 7.0N/cm未満
<85℃耐電解液性の評価>
リチウムイオン電池の包装材料としての利用性を検討するため耐電解液性の評価を行った。積層体を、100mm×15mmの大きさに切断し、電解液[エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/ジメチルカーボネート=1/1/1(容積比)100gに6フッ化リン酸リチウムを13g添加したもの]に85℃で1日間浸漬させた。その後、積層体を取り出しイオン交換水で洗浄、ペーパーワイパーで水を拭き取り、十分に水分を乾燥させ、100mm×15mm大きさに切断し、T型剥離試験により耐電解液性を以下の基準により評価した。
☆(実用上特に優れる): 8.0N/cm以上
◎(実用上優れる): 7.5N/cm以上8.0N/cm未満
○(実用可能): 7.0N/cm以上7.5N/cm未満
×(実用不可能): 7.0N/cm未満
貯蔵弾性率の測定
本発明における貯蔵弾性率(E)は、JIS K7244-4(1999)の試験法に準拠して測定した。具体的には、アイティー計測制御社製、動的粘弾性測定装置DVA-200を用いて、周波数10Hzにて、-50℃から5℃/分の速度で昇温しながら測定した値である。貯蔵弾性率は230℃環境下で測定した。試験片は、実施例1~15および比較例1~4で得られた接着剤組成物をテフロン(登録商標)シートにアプリケータを用いて乾燥後の接着剤層の膜厚が40μmになるように調整して塗布した。塗布面を温風乾燥機を用いて100℃雰囲気で5分間乾燥させた後、40℃、50%RHにて5日間養生することで試験片を得た。
☆(実用上極めて優れる): 1.0×10Pa以上
◎(実用上特に優れる): 1.0×10Pa以上1.0×10Pa未満
○(実用上優れる): 5.0×10Pa以上1.0×10Pa未満
△(実用可能): 1.0×10Pa以上5.0×10Pa未満
×(実用不可能): 1.0×10Pa未満
本発明にかかる接着剤組成物は、酸変性ポリオレフィン、ポリフェニレンエーテルおよびイソシアネート硬化剤を含むため、ポリオレフィン樹脂基材と金属基材との良好な接着性および耐薬品性を発現することができ、かつ硬化後は優れた耐熱性を有する。そのため、本発明の接着剤組成物から形成されるポリオレフィン樹脂基材と金属基材との積層体は、家電外板、家具用素材、建築内装用部材や、パソコン、携帯電話、ビデオカメラのみならず、車載用途などより高い耐熱性を求められるリチウムイオン電池の包装材料(パウチ形態)としても幅広く利用し得るものである。

Claims (8)

  1. 酸変性ポリオレフィン(A)、ポリフェニレンエーテル(B)およびイソシアネート硬化剤(C)を含有する接着剤組成物。
  2. 前記ポリフェニレンエーテル(B)の数平均分子量が20000以下である請求項1に記載の接着剤組成物。
  3. 前記ポリフェニレンエーテル(B)の主鎖の末端が官能基化されている請求項1または2に記載の接着剤組成物。
  4. 前記酸変性ポリオレフィン(A)100質量部に対して、前記ポリフェニレンエーテル(B)を0.1~20質量部含有する請求項1~3のいずれかに記載の接着剤組成物。
  5. 前記酸変性ポリオレフィン(A)の酸価が1~40mgKOH/gである請求項1~4のいずれかに記載の接着剤組成物。
  6. ポリオレフィン樹脂基材と金属基材との接着に用いられる請求項1~5のいずれかに記載の接着剤組成物。
  7. 請求項1~6のいずれかに記載の接着剤組成物によって接着されたポリオレフィン樹脂基材と金属基材の積層体。
  8. 請求項7に記載の積層体を構成部材として含むリチウムイオン電池用包装材料。
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