JP7372166B2 - 水素供給システムおよび統合型熱コントロールシステム - Google Patents

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Description

この発明は、水電解装置での水素製造及び製造した水素を水素出荷設備や水素利用設備に供給する水素供給システムおよび前記水素供給システムの熱コントロールを行う統合型熱コントロールシステムに関する。
従来、水電解装置などの水素発生装置で製造した水素を供給する際に、水素貯蔵装置に水素を一旦貯蔵して、水素出荷設備や水素利用設備に供給している。水素出荷設備としては、水素ガスキャニスター、水素ガスシリンダー、水素ガスカードル、水素ガストレーラー、パイプライン及び二次的な出荷設備としての水素ステーションなどが挙げられる。水素利用設備としては、ボイラー、燃料電池、産業用プロセス利用、二次的な出荷設備を介した燃料電池自動車、水素動力船、水素動力航空機、建設機械などが挙げられる。
従来この種の装置では、エネルギー効率を向上させるための工夫がされている。例えば、特許文献1では、水素発生装置、水素貯蔵装置、燃料電池発電装置、貯湯タンクから構成された電力供給システムが提案されており、燃料電池発電装置で発生した排熱を貯湯タンクに供給し、その熱を水素貯蔵装置からの水素放出に利用している。また、貯湯タンクの温度制御に低温熱負荷や高温熱負荷、ヒートポンプなどを使用している。
また、特許文献2では、水電解装置と、この水電解装置により生じる熱を貯蔵する貯蔵装置と、この貯蔵装置に接続された、 熱源を必要とする機器とを具備する熱利用システムで、貯蔵装置で貯蔵した熱を前記機器で使用することを可能としている。
特許第5976950号明細書 特開2004-99985号公報
提案されている特許文献1、2では、水電解装置もしくは燃料電池の排熱を有効に利用することでエネルギー効率を高めているが、水素供給システムの中核をなす水素発生装置に効率的に熱を供給し、最終的にはシステム全体のエネルギー効率を高めることは意図されていない。水を電気分解することにより水素を発生する水電解装置が必要とするエネルギーは、電気エネルギーと熱エネルギーの複合によるものであることが知られており、従来の水電解装置は、スタック内部で発生する各種の電気抵抗による発熱を熱源として利用する。したがって、変動する電力を利用する場合や間欠運転を行う場合、低電力運転を継続する場合、もしくは発熱の少ない高性能電解槽を使用する場合には発熱量が減少するため、水素発生システムの効率が低下している。
従来のシステムはこの水電解による排熱を利用し、水電解装置以外の周辺機器の効率を高めようとするものであり、水電解装置自体の高効率化には触れていない。また、外部から熱を供給するシステムを提案することは可能であるが、追加となる費用及びエネルギー消費に課題がある。
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、水素供給システムおよび、水電解装置、水素貯蔵装置、出荷装置及びその関連機器等から生じる熱及び熱を用いた水素の圧力までも統合的にコントロールし、さらに水電解装置の水電解スタックの高効率な運転に必要な熱を熱効率の高いヒートポンプをシステム内部の熱を利用することで最適に運用し、水素供給システムの効率を最大化する統合型熱コントロールシステムを提供することを目的とする。
すなわち、本発明の水素供給システムのうち第1の形態は、
水素を、水素出荷/利用設備に供給する水素供給システムであって、
水素を製造するための水電解装置と、
水素を貯蔵・放出するための水素貯蔵装置と、
水素貯蔵装置から放出された水素を払出するための出荷装置と、
熱媒を貯蔵する温熱槽と、
冷媒を貯蔵する冷熱槽と、
温熱槽の加温と冷熱槽の冷却に用いられるヒートポンプと、
前記熱媒と前記冷媒を、前記温熱槽および前記冷熱槽と各装置との間で移動させる媒体移動部と、
前記水素供給システムを制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、少なくとも、前記水電解装置が動作時に所定の温度になるようにし、さらに、前記水素貯蔵装置における水素の吸収、放出に対応するように、前記熱媒および前記冷媒の移動を制御することを特徴とする。
第2の形態の水素供給システムは、前記形態の発明において、前記出荷装置が、圧縮装置、メタネーション装置およびアンモニア生成装置のいずれか1つまたは2つ以上であることを特徴とする。
第3の形態の水素供給システムは、前記形態の発明において、前記水電解装置が、固体高分子形水電解装置である。
第4の形態の水素供給システムは、前記形態の発明において、前記温熱槽の熱媒は、少なくとも、前記水電解装置の高温状態を保存する。
第5の形態の水素供給システムは、前記形態の発明において、前記温熱槽の熱媒は、前記水電解装置のスタックを加熱する。
第6の形態の水素供給システムは、前記形態の発明において、前記温熱槽の温度が所定の温度に維持されることを特徴とする。
第7の形態の水素供給システムは、前記形態の発明において、前記ヒートポンプは、水素供給システムに必要な温熱、冷熱を同時に製造できるダブルバンドルヒートポンプであり、該ダブルバンドルヒートポンプは、前記温熱槽を加熱し、前記冷熱槽を冷却する。
第8の形態の水素供給システムは、前記形態の発明において、前記水電解装置に供給される電力に対する整流を行う整流器を有し、
前記整流器の排熱を利用して、前記冷熱槽の加熱を可能にする。
第9の形態の水素供給システムは、前記形態の発明において、前記水電解装置が純水の給水及びろ過のための循環水経路を有し、前記循環水経路は、前記水電解装置による自己加熱が可能である。
第10の形態の水素供給システムは、前記形態の発明において、前記水電解装置で発生した水素の除湿を行う水素除湿塔を有し、
前記水素除湿塔の再生工程に使用する水素を回収する水素再生圧縮機を有する。
第11の形態の水素供給システムは、前記形態の発明において、前記水素再生圧縮機は、吸着式の除湿塔が飽和した際に行う除湿塔の再生工程に利用する乾燥水素を回収し、再度、水電解装置側に環流することを特徴とする。
第12の形態の水素供給システムは、前記形態の発明において、前記制御部は、前記熱媒によって前記水電解装置が動作時の上限温度を超えないように前記水電解装置に対する前記熱媒および前記冷媒の移動を制御することを特徴とする。
第13の形態の水素供給システムは、前記形態の発明において、前記媒体移動部では、比較的低温の熱媒を前記温熱槽の下部側に戻し、水電解装置の状態に応じて温度が異なる熱媒を前記温熱槽の中間部に戻し、比較的高温の熱媒を前記温熱槽の上部側に戻すことを特徴とする。
第14の形態の水素供給システムは、前記形態の発明において、前記制御部は、前記水素貯蔵装置における水素放出に際し、予め定めた所定の温度で前記水素貯蔵装置を熱駆動することを特徴とする。
第15の形態の水素供給システムは、前記形態の発明において、前記温度は、前記出荷装置として圧縮装置を備える場合、前記圧縮装置の圧縮能力に対応して前記水素貯蔵装置に収納されている水素吸蔵合金で定められる平衡水素圧で使用される温度よりも高い温度に設定されている。
第16の形態の水素供給システムは、前記形態の発明において、前記制御部は、前記水素貯蔵装置に貯蔵されている水素残量が所定の範囲内となるように水素の吸蔵と、放出とを行うことを特徴とする。
第17の形態の水素供給システムは、前記形態の発明において、前記制御部は、前記水素貯蔵装置に貯蔵されている水素残量を基に、少なくとも、水電解装置の動作と、水素貯蔵装置の動作と、前記出荷装置として備える圧縮装置の動作と、を制御することを特徴とする。
第18の形態の水素供給システムは、前記形態の発明において、水電解装置と水素貯蔵装置との間に設けられた第1水素経路と、前記出荷装置として備える圧縮装置を介して前記水素貯蔵装置と水素出荷/利用設備との間に設けられた第2水素経路と、前記水素貯蔵装置を迂回して、前記第1水素経路と前記圧縮装置の上流側に位置している前記第2水素経路とを連結するバイパス経路と、を有することを特徴とする。
第19の形態の水素供給システムは、前記形態の発明において、前記制御部は、前記水電解装置の稼働状態と前記出荷装置/利用設備の稼働状態と前記水素貯蔵装置の水素残量とに基づいて、前記バイパス経路を介して前記水電解装置で発生する水素のみを前記出荷装置に供給する第1供給工程と、前記バイパス経路を介して前記水電解装置で発生する水素と前記水素貯蔵装置で放出される水素とを前記出荷装置に供給する第2供給工程と、前記水電解装置における水素発生を停止して、前記水素貯蔵装置で放出される水素のみを前記出荷装置に供給する第3供給工程と、を実行させることを特徴とする。
第20の形態の水素供給システムは、前記形態の発明において、前記制御部は、前記第3供給工程の後工程として、前記出荷装置の稼働を停止して、所定の水素貯蔵量になるまで水電解装置で生成した水素を前記水素貯蔵装置に貯蔵させることを特徴とする。
第21の形態の水素供給システムは、前記形態の発明において、前記水電解装置は、再生可能エネルギーによる電力を用いて稼働するものである。
第22の形態の水素供給システムは、前記形態の発明において、前記出荷装置として備える圧縮装置によって生じる排熱を回収した温水が前記温熱槽に送り込まれることを特徴とする。
本発明の統合型熱コントロールシステムのうち、第1の形態は、前記各形態のいずれかの水素供給システムを構成する水電解装置、水素貯蔵装置、出荷装置の全て、または水電解装置を含めて2つ以上の装置が必要とする温熱と冷熱の供給を制御して供給する。
他の形態の統合型熱コントロールシステムの発明は、前記形態において、前記水素供給システムで水素供給の制御を行う水素供給システム制御部とは独立して、前記温熱と冷熱の供給を制御する統合型熱コントロールシステム制御部を有する。
本発明によれば、熱媒、冷媒を利用して、少なくとも、水電解装置の稼働効率が向上し、水素供給システムの電力から水素へのエネルギー変換効率を向上させることができる。
本発明の一実施形態である水素供給システムの概略図である、 同じく、熱媒および冷媒の流れを示す全体図である。 同じく、水電解装置、水素再生圧縮機及び整流器に対する熱媒および冷媒の流れを示す図である。 同じく、水素貯蔵装置に対する熱媒および冷媒の流れを示す図である。 同じく、圧縮装置に対する熱媒および冷媒の流れを示す図である。 同じく、水電解装置に対する熱媒および冷媒の流れの詳細を示す図である。 同じく、定常運転、最大運転、最小運転における水素の流れを示す図である。 水電解装置、水素貯蔵装置、圧縮装置をそれぞれ独立で冷却、加熱した場合の必要熱量と累積熱量の推定関係を示す図である。 本実施形態において、水電解装置、水素貯蔵装置、圧縮装置を組み合わせて冷却、加熱した場合の必要熱量と累積熱量の推定関係を示す図である。 同じく、水素残量と水素製造量および水素払出量の関係を示す図である。 同じく、水素吸蔵合金のPCT線図を示す図である。 所定の範囲で水素吸放出を実施した際の水素吸蔵合金のサイクル特性を示す図である。 出荷装置としてメタネーション装置を用いた実施形態の変更例を示すものである。
以下に、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態である水素供給システム1の概略を示している。
水素供給システム1には、水電解装置60を有しており、水電解装置60には、電力供給路91を介して、電力系90Aが接続された整流器10が接続されている。整流器10は、水電解装置60に供給される電力に対し、整流を行う。また、整流器10は、水素供給システム制御部100Aの制御により出力側である水電解装置60に任意の電力を供給するよう制御する。
電力系90Aには、外部の電力系統が接続されていてもよく、また、太陽光、風車などの再生可能エネルギー発電設備から出力される電力が供給されるものであってもよい。この実施形態では、太陽光発電や風力発電など自然エネルギー発電装置から発生される電力もしくは電力系統の不安定化に起因する電力を用いるものとする。
この水素供給システム1では、システム外に電力設備を有するものとして説明しているが、再生可能エネルギー発電設備などが水素供給システム1に組み込まれているものであってもよい。また、電力系90Aには、外部の電力系統と、再生可能エネルギー発電設備の両方から電力が供給可能とされるものであってもよい。
この実施形態では、水電解装置60として、固体高分子形電解装置が好適に用いられるが純水を閉鎖系において用いる水電解すなわち、閉鎖系の内圧が高圧ガスにならない循環水の温度である約180℃以下で動作する水電解装置に適用することができる。
水素供給システム1には、水素貯蔵装置70を有しており、内部に収容された水素吸蔵合金によって水素の貯蔵、放出を行うことができる。この実施形態では、水素貯蔵装置70は、熱駆動によって動作する。水素吸蔵合金には適宜の材料を用いることができるが、水電解装置60における熱媒温度と水素吸蔵合金における熱媒温度、水素吸蔵合金の平衡水素圧と、後述する、この実施形態では、出荷装置として圧縮装置80を有しており、水素を圧縮する圧縮装置80の1次圧力などを考慮して、水素吸蔵合金の材料を選定することができる。
水電解装置60と水素貯蔵装置70の間には、水素を移送する水素移送路92が接続されている。この実施形態では、水素移送路92は、本発明の第1水素経路に相当する。水素移送路92には、開閉弁92Aが設けられており、開閉弁92Aによって水素移送路92における水素移動が制御される。
水素貯蔵装置70には、水素貯蔵合金の温度を測定する温度計75、水素貯蔵装置70内の圧力を測定する圧力計76、水素貯蔵装置70内の水素残量を測定する水素残量計77が設けられており、それぞれの測定結果は、後述する制御部100の統合型熱交換コントロールシステム制御部100Bに送信される。
水素貯蔵装置70の水素送出側には、水素移送路93が接続されており、水素移送路93の他端側が圧縮装置80に接続されている。この実施形態では、水素移送路93は、本発明の第2水素経路に相当する。水素移送路93には、開閉弁93Aが設けられており、開閉弁93Aによって水素移送路93における水素移動が制御される。
圧縮装置80には、コンプレッサが用いられ、導入される水素が圧縮されて、水素移送路95を介して水素出荷設備または水素利用設備に払い出される。水素移送路95には開閉弁95Aが設けられており、水素移送路95を流れる水素の移動を調整する。
また、水電解装置60と、圧縮装置80との間には、水素貯蔵装置70をバイパスするバイパス移送路94が接続されている。バイパス移送路94は、開閉弁93Aの水素貯蔵装置70側において水素移送路93と接続されており、開閉弁93Aによって水電解装置60と水素貯蔵装置70の水素圧力を調整し圧縮装置80に移送する。
なお、この実施形態では、出荷装置として圧縮装置80を用いているが、出荷装置がこれに限定されるものではなく、メタネーション装置やメタン発生装置などを出荷装置として備えるものであってもよく、複数の装置を直列または並列に接続しても良く、また、複数の出荷装置を設け、これらの1つまたは2つ以上を選択して稼働させるものとしてもよい。
また、水素供給システム1には、熱媒として温水を貯蔵する温熱槽40と、冷媒として冷水を貯蔵する冷熱槽50とを有している。この実施形態では、熱媒、冷媒には、水が用いられている。ただし、本発明としては水以外の物質により熱媒、冷媒を構成するものであってもよい。
整流器10では、整流の動作により熱が発生し、排熱を回収するので、冷熱槽50に対する経路(63、64)を有している。
水電解装置60は、起動時は加温、定常時は加熱・冷却する必要があるので、以下に説明するように、それぞれの槽への経路(61~64)を有している。
水素貯蔵装置70は、水素の吸収時は冷却、水素の放出時は加熱する必要があるので、それぞれの槽への経路(71~74)を有している。
圧縮装置80は、発生する排熱を冷熱槽および温熱槽に送るとともに、定常時は冷却する必要があるので、それぞれの槽への経路(82~84)を有している。
以下、詳細に説明する。
温熱槽40には、ヒートポンプ20が、温熱槽ヒートポンプ往きライン41と、温熱槽ヒートポンプ還りライン42により接続されており、温熱槽40から送られる水をヒートポンプ20により加温する。ヒートポンプ20は、加熱部に相当する。
温熱槽ヒートポンプ往きライン41には、開閉弁41Aが設けられており、温熱槽40とヒートポンプ20間の水の移動が制御される。温熱槽ヒートポンプ往きライン41は、温熱槽40の下部側に接続され、温熱槽ヒートポンプ還りライン42は、温熱槽40の上部側に接続されている。これにより温熱槽40下部側であって比較的温度が低くなっている温水を取り出してヒートポンプ20によって効果的に加温することができ、これを温熱槽40の上部側に戻すことで、温熱槽40の上部側の温度を所定温度などの比較的高い温度に維持することができる。ヒートポンプ20は、ダブルバンドルにより冷熱槽50の水を冷却することができるが、その詳細は、図2に基づいて後述する。
また、想定外の高熱の除去を目的としたクーリングタワー30が、冷熱槽クーリングタワー往きライン51と、冷熱槽クーリングタワー還りライン52により接続されており、冷熱槽50から送られる水をクーリングタワー30により冷却する。
冷熱槽クーリングタワー往きライン51には、開閉弁51Aが設けられており、冷熱槽50とクーリングタワー30間の水の移動が制御される。冷熱槽クーリングタワー往きライン51は、冷熱槽50の上部側に接続され、冷熱槽クーリングタワー還りライン52は、冷熱槽50の下部側に接続されている。これにより冷熱槽50上部側であって比較的温度が高くなっている冷水を取り出してクーリングタワー30によって効果的に冷却することができ、これを冷熱槽50の下部側に戻すことで、冷熱槽50の下部側をより低温に維持することができる。
温熱槽40の上部側には、温熱槽水電解装置往きライン61が接続されており、温熱槽水電解装置往きライン61の他端側は、水電解装置60に接続されている。温熱槽水電解装置往きライン61には、開閉弁61Aが設けられており、温熱槽水電解装置往きライン61内の温水の移動が開閉弁61Aで制御される。
水電解装置60内では、温熱槽水電解装置往きライン61で送られた温水が熱交換され、水電解装置60の温度が低い状態(稼働開始時など)では温水の熱が伝熱されて水電解装置60が加温される。水電解装置60には、温熱槽水電解装置還りライン62が接続されており、水電解装置60内で熱交換された温水が移動する。温熱槽水電解装置還りライン62の他端側は、温熱槽40の中央高さ近傍、すなわち中間部に接続されている。
水電解装置60への供給温水を高温で安定した温水を供給するように構成することで、水電解装置60を高効率に運転できる効果がある。
温熱槽水電解装置還りライン62には開閉弁62Aが設けられており、温熱槽水電解装置還りライン62を流れる温水の流れが制御される。温熱槽40に対する上記ラインの接続によって、比較的高い温度の温水が温熱槽40の上部側にあり、比較的低い温度の温水が温熱槽40の中央高さ付近にあって、温熱槽40内の温水の温度低下を抑制する。
温熱槽水電解装置往きライン61、開閉弁61A、温熱槽水電解装置還りライン62、開閉弁62Aは、本発明の媒体移動部の一部を構成する。これらのラインには、図示しないポンプを有している。
さらに温熱槽40の比較的上部側には、温熱槽水素貯蔵装置往きライン71が接続されており、温熱槽水素貯蔵装置往きライン71の他端側は、水素貯蔵装置70に接続されている。温熱槽水素貯蔵装置往きライン71には、下流側に開閉弁71Aが設けられており、温熱槽水素貯蔵装置往きライン71内の温水の移動が開閉弁71Aで制御される。
温熱槽水素貯蔵装置往きライン71で送られた温水は、水素貯蔵装置70内で熱交換されて水素吸蔵合金を加熱し、水素が貯蔵されている水素吸蔵合金からの水素放出を促す。水素貯蔵装置70には、温熱槽水素貯蔵装置還りライン72が接続されており、水素貯蔵装置70内で熱交換された温水が移動する。温熱槽水素貯蔵装置還りライン72の他端側は、温熱槽40の比較的下部側に接続されている。温熱槽水素貯蔵装置還りライン72の下流側には開閉弁72Aが接続されている。温熱槽水素貯蔵装置還りライン72内の温水の移動が開閉弁72Aで制御される。
温熱槽40に対するラインの接続によって、比較的高い温度の温水が温熱槽40の上部側にあり、比較的低い温度の温水が温熱槽40の下部側にあって、温熱槽40内の温水の温度低下を抑制する。
温熱槽水素貯蔵装置往きライン71、開閉弁71A、温熱槽水素貯蔵装置還りライン72、開閉弁72A、本発明の媒体移動部の一部を構成する。これらのラインには、図示しないポンプを有している。
次に、冷熱槽50では、冷熱槽50の下部側に、冷熱槽水電解装置往きライン63が接続されており、冷熱槽水電解装置往きライン63の他端側は、水電解装置60に接続されている。冷熱槽水電解装置往きライン63には、開閉弁63Aが設けられており、冷熱槽水電解装置往きライン63内の冷水の移動が開閉弁63Aで制御される。
また、冷熱槽水電解装置往きライン63は、開閉弁63Aの下流側で分岐して整流器10に接続されている。
水電解装置60内では、冷熱槽水電解装置往きライン63で送られた冷水が熱交換され、水電解装置60の温度を冷却する必要がある場合は冷水によって水電解装置60が冷却され、水電解装置60が上限温度を超えないように制御される。水電解装置60には、冷熱槽水電解装置還りライン64が接続されており、水電解装置60内で熱交換された冷水が移動する。冷熱槽水電解装置還りライン64の他端側は、冷熱槽50の比較的上部側に接続されている。
また、整流器10では、開閉弁64Aの下流側で冷熱槽水電解装置還りライン64が分岐して、開閉弁64Bを介して整流器10に接続されている。
整流器10では、開閉弁64Bを開くと、冷熱槽水電解装置往きライン63の冷水が流れ込み、動作時に発生した排熱を回収し、冷熱槽水電解装置還りライン64を通して排熱を回収した冷水が冷熱槽50に送られる。整流器10は、コンパクトにパッケージするために、水冷式を採用するのは一般的であるが、本実施形態においては、後述するダブルハンドルの高効率ヒートポンプにより安定的に熱供給するために必要な冷熱槽50の安定的な熱源として整流器10を利用することとしている。
冷熱槽水電解装置還りライン64には開閉弁64A、開閉弁64Bが設けられており、冷熱槽水電解装置還りライン64を流れる冷水の移動が制御される。
冷熱槽50に対するラインの接続によって、比較的高い温度の冷水が冷熱槽50の上部側にあり、比較的低い温度の冷水が冷熱槽50の下部側にあって、冷熱槽50内の冷水の温度上昇を抑制する。
冷熱槽水電解装置往きライン63、開閉弁63A、冷熱槽水電解装置還りライン64、開閉弁64A、64Bは、本発明の媒体移動部の一部を構成する。これらのラインには、図示しないポンプを有している。
さらに冷熱槽50の下部側には、冷熱槽水素貯蔵装置往きライン73が接続されており、冷熱槽水素貯蔵装置往きライン73の他端側は、水素貯蔵装置70に接続されている。冷熱槽水素貯蔵装置往きライン73には、開閉弁73Aが設けられており、冷熱槽水素貯蔵装置往きライン73内の冷水の移動が開閉弁73Aで制御される。
冷熱槽水素貯蔵装置往きライン73で送られた冷水は、水素貯蔵装置70内で熱交換されて、水素吸収を促すために水素吸蔵合金を冷却する。水素貯蔵装置70には、冷熱槽水素貯蔵装置還りライン74が接続されており、水素貯蔵装置70内で熱交換された冷水が移動する。冷熱槽水素貯蔵装置還りライン74の他端側は、冷熱槽50の比較的上部側に接続されている。冷熱槽水素貯蔵装置還りライン74には開閉弁74Aが設けられており、冷熱槽水素貯蔵装置還りライン74を流れる冷水の移動を制御する。
冷熱槽50に対するラインの接続によって、比較的高い温度の冷水が冷熱槽50の上部側にあり、比較的低い温度の冷水が冷熱槽50の下部側にあって、冷熱槽50内の冷水の温度上昇を抑制する。
冷熱槽水素貯蔵装置往きライン73、開閉弁73A、冷熱槽水素貯蔵装置還りライン74、開閉弁74Aは、本発明の媒体移動部の一部を構成する。これらのラインには、図示しないポンプを有している。
さらに、冷熱槽50には、下部側に冷熱槽圧縮装置往きライン82が接続されており、冷熱槽圧縮装置往きライン82の他端側は、圧縮装置80に接続されている。冷熱槽圧縮装置往きライン82には、開閉弁82Aが設けられており、冷熱槽圧縮装置往きライン82内の冷水の移動が開閉弁82Aで制御される。
冷熱槽圧縮装置往きライン82で送られた冷水は、圧縮装置80で熱交換されて圧縮装置80を冷却する。圧縮装置80には、冷熱槽圧縮装置還りライン83が接続されており、圧縮装置80内で熱交換された冷水が移動する。冷熱槽圧縮装置還りライン83の他端側は、冷熱槽50の上部側に接続されている。冷熱槽圧縮装置還りライン83には開閉弁83Aが設けられており、冷熱槽圧縮装置還りライン83を流れる冷水の移動を制御する。
冷熱槽50に対するラインの接続によって、比較的低い温度の冷水が冷熱槽50の下部側にあって、冷熱槽50内の冷水の温度上昇を抑制する。
冷熱槽圧縮装置往きライン82、開閉弁82A、冷熱槽圧縮装置還りライン83、開閉弁83Aは、本発明の媒体移動部の一部を構成する。これらのラインには、図示しないポンプを有している。
また、圧縮装置80には、圧縮装置温熱槽往きライン84が接続されており、その他端側は、温熱槽40の上部側に接続されている。圧縮装置温熱槽往きライン84には、開閉弁84Aが接続されており、圧縮装置温熱槽往きライン84を流れる温水の移動を制御する。
圧縮装置80では、圧縮装置80によって水素が断熱圧縮されることによる温度上昇とピストン等による機械的な発熱が生じている。このうち前者は、圧縮装置-温熱槽往きライン84によって排熱を回収した温水を温熱槽40に送り込む。後者は、冷熱槽圧縮装置往きライン82と冷熱槽圧縮装置還りライン83を流れる冷水によって冷却される。これにより、圧縮装置80の排熱を効率よく回収することができる。
水素供給システムにおける水素の出荷方法として、本件には圧縮機の断熱圧縮熱を温熱槽の熱源、冷却水を冷熱槽の熱源として利用しているが、水素の出荷方法として、メタネーションもしくはアンモニア製造など廃熱が生じる出荷方法でも同様に施設することができる。
さらに、水素供給システム1は、システム全体を制御する制御部100を有している。
制御部100は、CPUとCPU上で動作するプログラム、プログラムや動作パラメータを格納する記憶部などを有している。制御部100は、各装置などと制御可能に接続されており、有線、無線による接続の他、ネットワークを介して各装置などと接続されるものであってもよい。
制御部100には、水素供給システム制御部100Aと統合型熱コントロールシステム制御部100Bとを有している。
制御部100の水素供給システム制御部100Aは、水電解装置60に制御可能に接続されており、水素供給システム制御部100Aは、オンオフを含めて水電解装置60の動作を制御する。また、水素供給システム制御部100Aは、整流器10に制御可能に接続されており、整流器10の動作を制御する。
水素供給システム制御部100Aは、圧縮装置80に制御可能に接続されており、圧縮装置のオンオフを含めて動作を制御する。
制御部100の統合型熱コントロールシステム制御部100Bは、水素貯蔵装置70、ヒートポンプ20、クーリングタワー30、温熱槽40、冷熱槽50に制御可能に接続されており、さらに、各開閉弁61A、62A、63A、64A、64B、71A、71B、73A、74A、82A、83A、84Aに制御可能に接続されている。
また、温熱槽40、冷熱槽50では、図示しない温度計で温水または冷水の温度を測定し、測定結果を統合型熱コントロールシステム制御部100Bに送信することができ、さらに各槽の貯水量をフロートスイッチなどで測定して、統合型熱コントロールシステム制御部100Bに送信することができる。
また、統合型熱交換コントロールシステム制御部100Bは、水素貯蔵装置70における温度計75、圧力計76、水素残量計77の測定結果を取得する。
統合型熱コントロールシステム制御部100Bは、水素貯蔵装置70、ヒートポンプ20、クーリングタワー30のオンオフや各開閉弁の開閉動作、温熱槽40、冷熱槽50を含めて温水、冷水を制御し、各装置間での温水、冷水の移動を制御して効率的な熱管理を行う。
統合型熱コントロールシステム制御部100Bは、水素貯蔵装置70、ヒートポンプ20、クーリングタワー30、各開閉弁、温熱槽40、冷熱槽50、整流器10、水電解装置60、圧縮装置80に温熱と冷熱の供給を制御して供給する統合型熱コントロールシステムを構成している。
上記水素供給システム1では、水電解装置60は外部からの電力が入力されて、水素を発生する。水素貯蔵装置70では水素を吸収し、水素を放出する。圧縮装置80では水素を吸入し、必要に応じて水素を吐出、払出する。なお、それぞれの装置は、制御部100で計測、監視および運転・停止で制御が行われている。
上記した水電解装置60、水素貯蔵装置70、圧縮装置80は、これらを統合して動作させ、熱媒、冷媒を移動させることができ、システムのコンパクト化が可能になる。
すなわち、水電解装置やその他装置から発生する排熱を温熱槽40に戻し、制御部100により温熱槽40の温度と水素貯蔵装置70内の水素吸蔵合金の圧力を基に温水を水素貯蔵装置70に供給するようにしている。
なお、この実施形態では、統合型熱コントロールシステム制御部100Bは、水素供給システム制御部100Aとは独立したものとしており、水素供給システム制御部100Aが上位にあって統合型熱コントロールシステム制御部100Bが下位にある関係を有しているが、これらが並立動作するものでよく、さらに、これらを分離せず、制御部100において一体的に動作するものであってもよい。
以下に、上記動作を図2~図5に基づいて詳細に説明する。
なお、以下の図では、各ラインの開閉弁は省略し、ラインにポンプを図示して温水、冷水の流れを説明する。図中の数値は一例を示すものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
図2は、全体の温水、冷水の流れを説明する図であり、統合型熱コントロールが行われている。
温熱槽40は、開放式もしくは密閉式の構造を有し、予め定めた所定の温度以上の温水を貯蔵することを意図している。温熱槽40の下方側から取り出された温水は、温熱槽ヒートポンプ往きライン41でヒートポンプ用ポンプ(H)42Pによりヒートポンプ20に送られ、ヒートポンプ20で予め定めた所定の温度以上に調整され、温熱槽ヒートポンプ還りライン42を介してヒートポンプ用ポンプ(H)42Pで水電解装置の規模に応じた送り量で温熱槽40に戻される。ヒートポンプ20、ヒートポンプ用ポンプ(H)42Pは、必要時期に稼働される。
冷熱槽50には、ヒートポンプ20が、温熱槽40とダブルバンドルにて接続されており、ヒートポンプ20は、冷却部に相当する。冷熱槽50では、冷水を30℃以下に維持することが意図されており、また、ヒートポンプ20を利用する際に必要となる低温側の熱源として機能するため、温熱槽40に十分な熱量を供給し、各装置の低温の廃熱を活用するために機能する。ヒートポンプ20により冷熱槽50を冷却する際には、ヒートポンプ用ポンプ(C)42P2により冷熱槽50に冷水が送られる。
なお、大量の熱が冷熱槽50に供給された場合の機能として、冷熱槽50の上部側から冷却塔用ポンプ51Pで冷水が冷熱槽クーリングタワー往きライン51に導入される。
また、温熱槽40の下方側に連結されたオーバーフロー管40Fでは、オーバーフローした、比較的温度の低い温水が、冷熱槽50の上部側に導入可能となっている。
また、冷熱槽50では、冷水の温度が低くなりすぎないように、冷水を加熱する冷熱槽ヒーター50Aが設けられており、冷水の温度に応じて冷熱槽ヒーター50Aが稼働される。
水電解装置60における温水、冷水の利用について説明する。
水電解装置60に対する温水、冷水の導入状態は、図3に表示されている。
温熱槽40では、温度調整された温水が、1号ポンプ61Pの動作によって温熱槽水電解装置往きライン61を介して水電解装置60の分岐点Aより水電解装置60内に導入される。温熱槽水電解装置往きライン61は、温熱槽40の上部側に接続されているため、上限温度を有している。1号ポンプ61Pでは、往き温度と還り温度の温度差によってその流量を変更し適量の温水が送られる。水電解装置60は、固体高分子形の水電解装置からなり、スタック60Sを有している。スタック60Sは、高温に保つことで高効率となるが、材料の耐性を超えて高温になると故障すたるため、温水、冷水の導入により適正温度に維持される。
温水は、水電解装置60の熱交換1で熱交換されてスタック60Sの温度を調整する。スタック60Sの温度が低い場合は、温水により加温され、スタック60Sの温度が高い場合は、温水によって除熱状態でスタック60Sの温度が低下する。水電解装置60に導入された温水は熱交換されて、分岐点Bより温熱槽水電解装置還りライン62を介して温熱槽60の中間高さ位置に戻される。
また、水電解装置60では、冷熱槽水電解装置往きライン63が接続されており、30℃以下に温度調整された冷水が、4号ポンプ63Pによって分岐点Cに導入することができる。導入された冷水は、分岐点Dから冷熱槽水電解装置還りライン64によって、冷熱槽50の上部側に戻される。
水電解装置60では、スタック60Sが上限温度を超える状態に移りつつある場合に、熱交換2によって冷水による冷却がなされ、適正温度範囲を維持する。
水電解装置60は、運転設定温度より温度が下の時、温熱槽40から受熱し、水素発生を高効率化し、運転設定温度より温度が上の時温熱槽40へ配熱し、温度低下時の加熱用熱源として保存する。
また、水電解装置60では、純水の給水及びろ過のための循環水経路下において運用される純水タンク60Wを有し、スタック60Sとの間で純水循環させている。この際に、純水の冷却が必要である場合は、水電解装置60に導入された前記冷水により熱交換器3を介して冷却を行う。また、循環している純水を加熱する必要がある場合は、スタック60Sの温度を利用して熱交換4により純水を自己加熱することができる。
この実施形態では、上述したように水電解装置60は、固体高分子形水電解装置からなり、スタック60Sにおいて圧力を生じることができる。この圧力を利用することで高圧水素の出荷による損失を低減し、効率の向上を図ることができる。
純水の循環では、温熱槽、冷熱槽の熱はほとんど使用せず、循環ループの起点と終点において、自己加熱、冷却を行う。
水電解装置60で発生した水素は、水素除湿塔60Dで除湿されて、水素再生圧縮機65で圧縮される。
水素除湿塔60Dでは、図示しない気液分離装置を有し、乾燥した再生用の水素をパージする。
水素再生圧縮機65は、吸着式の水素除湿塔60Dが飽和した際に行う水素除湿塔60Dの再生工程に利用する乾燥水素を回収し、再度、水電解装置60側に環流する。水素再生圧縮機65は、除湿塔再生用のパージ水素を気液分離装置の圧力に加圧することで、水素供給システム効率を向上させる。
また、冷熱槽水電解装置往きライン63の冷水は、分岐点Gを介して水素再生圧縮機65の冷却に用いることができる。ポンプ冷却器65Cを介して水素再生圧縮機65を冷却する。冷却に用いられた冷水は、分岐点Hより冷熱槽水電解装置60還りライン64を介して冷熱槽50に戻すことができる。水素再生圧縮機65の排熱は、ダブルバンドルのヒートポンプ20の低温側熱源として、冷熱槽50に配熱することができる。
また、冷熱槽水電解装置往きライン63の冷水は、図3に示すように、電力系91において用いられる整流器10において、分岐点Mにより整流器冷却器10RCを介して整流器10を冷却することができる。冷却に用いられた冷水は、分岐点Nにより冷熱槽水電解装置60還りライン64を介して冷熱槽50に戻すことができる。
なお、上記の例では、水素再生圧縮機65、整流器10の冷却に際し、冷熱槽水電解装置往きライン62、冷熱槽水電解装置60還りライン64を用いるものとしたが、それぞれ独立したラインを設けるものとしてもよい。
次に、水素貯蔵装置70における温水、冷水の利用について説明する。
水素貯蔵装置70に対する温水、冷水の導入状態は、図4において示されている。
水素貯蔵装置70で吸蔵されている水素を放出する際には、温熱槽40で温度調整された温水が、2号ポンプ71Pの動作によって温熱槽水素貯蔵装置往きライン71を通じて水素貯蔵装置70の分岐点Iより水素貯蔵装置70内に導入される。温熱槽水素貯蔵装置往きライン71は、温熱槽40の上部側に接続されているため、比較的高い温度を有し、2号ポンプ71Pにより、温水が送られる。水素貯蔵装置70では、導入された温水により収容されている水素吸蔵合金が加熱されて水素の放出がなされる。加熱に用いられた温水は、水素貯蔵装置70の分岐点Jより、温熱槽水素貯蔵装置70還りライン72を通じて温熱槽40の下部側に、戻される。なお、温水流量は容器内圧力あるいは容器入口と出口の温度差を見て流量を制御することもできる。
一方、水素貯蔵装置70で水素を貯蔵する際には、冷熱槽50で予め定めた所定の温度以下に調整された冷水が、3号ポンプ73Pの動作によって冷熱槽水素貯蔵装置往きライン73を通じて水素貯蔵装置70の分岐点Kより水素貯蔵装置70内に導入される。この際には、規模に応じた流量によって、予め定めた所定の温度以下で水素吸蔵合金が冷却され、水素再生圧縮機65で送られる水素を吸蔵する。冷却に用いられた冷水は、水素貯蔵装置70の分岐点Lより、冷熱槽水素貯蔵装置還りライン74を通じて冷熱槽50の上部側に戻る。なお、冷水流量は容器内圧力あるいは容器入口と出口の温度差を見て流量を制御することもできる。
水電解装置やその他装置から発生する排熱を冷熱槽に戻し、統合型熱コントロールシステム制御部により冷熱槽の温度と水素貯蔵装置内の水素吸蔵合金の温度を基に温水を水素貯蔵装置に供給するように構成しており、水素供給システムの総合熱効率を上げることができる。
すなわち、水素貯蔵装置70では、
(水素吸収時)
ダブルバンドルのヒートポンプの低温側熱源として、冷温槽に配熱する。
(水素放出時)
温熱槽の熱が飽和している場合には、温熱槽の除熱に利用し、例えば水素の圧力を0.6MPaGに昇圧することで大気圧と比較して圧縮比を1/6に低減し、水素圧縮装置の動力の消費電力を低減する。
温熱槽の熱が不足している場合には、水素供給システム制御部と協調し、水素を圧縮させないことでエネルギー効率を改善する。
(吸収と放出が輪番時)
ダブルバンドルヒートポンプにて、吸収もしくは放出のいずれかに必要な熱を生産する際に、逆方向動作時に必要な熱を生産し、温熱槽もしくは冷熱槽に保存することで水素の吸収・放出に関するエネルギー投入量を低減する。
次に、圧縮装置80における温水、冷水の利用について説明する。
圧縮装置80に対する温水、冷水の導入状態は、図5において示されている。
冷熱槽50で温度調整された冷水は、5号ポンプ82Pの動作によって冷熱槽圧縮装置往きライン82を通じて圧縮装置80の分岐点Qより圧縮装置80内に導入される。冷熱槽圧縮装置往きライン82は、冷熱槽50の下部側に接続されているため、比較的低い温度を有し、5号ポンプ82Pにより、冷水が送られる。圧縮装置80では、導入された冷水により動作によって昇温している圧縮装置80が冷却されて昇温による効率低下が防止される。冷却に用いられた冷水は、圧縮装置80の分岐点Pより、冷熱槽圧縮装置還りライン83に送られて冷熱槽50の上部側に、戻される。
また、圧縮装置80は、図示しない数段の圧縮シリンダーにより構成されるため、水素ガス圧縮の際の断熱圧縮熱は150℃にもなる。この熱を使って冷却水の排熱一部を特別に加温し、温熱槽上部の温度より高温となる状態で、温熱槽圧縮装置往きライン84を通じて温熱槽40の上部高さ位置に、戻される。
すなわち、圧縮装置80では、温熱槽40の上限を超える温度に断熱圧縮熱を利用し媒体を加温し、温熱槽に配熱することができる。
次に、水電解装置における動作を図6に基づいて説明する。制御上の温度の設定例を温熱槽70℃、スタック最適運転温度80℃とした場合の例を示す。
水電解装置60を起動して温度上昇させる状態および手順について説明する。
1.水電解装置60の起動時、前日の熱を持ち越し、スタックを加温するに十分な温度を維持している。
2.水電解装置60(電解起動)の動作手順に則り温水の循環開始
3.温熱槽40の温度がスタックの顕熱分低下し70℃を下回る。
4.温熱槽40の温度を保つため、ヒートポンプを起動
5.ヒートポンプ動作のために必要な冷熱槽50の熱として水電解装置60と同時に起動する整流器10の廃熱を供給
6.上記ヒートポンプの動作のために必要な冷熱槽50の熱は、水電解装置60の起動と同じくして水素を出荷する際には圧縮装置80の廃熱も供給
7.上記ヒートポンプの動作のために必要な冷熱槽50の熱は、水電解装置60の起動時に圧縮装置80にて水素を出荷しない際には、水素貯蔵装置70内部の水素吸蔵合金の水素吸収による廃熱も供給
8.水電解装置60のスタックの排熱との温度差にて温熱槽40は徐々に昇温
9.水電解装置60のスタックが設定温度以上の排熱開始し、ヒートポンプ停止
10.熱交換1は循環温度の上昇に伴い、吸熱から除熱に受動的に切り替わる。
11.水電解装置60のスタックが高負荷運転を継続すると最終的には設定上限値まで上昇し、熱交換1の除熱効果は失われていくので、熱交換2に切り替える。
12.純水の給水及びろ過のための循環水経路の純水の循環は熱交換4で自己除熱・加温
13.熱交換3で純水系の温度を調整
次に、定常運転状態の動作について説明する。
1.起動後は、水電解装置用の水素供給システム制御部100Aから任意の指令値により整流器10から水電解装置60のスタックに電力が供給される。
2.水電解装置60を用いて、再生可能エネルギー由来の電力を吸収する場合は、送電線において最大能力で吸収する方式と再生可能エネルギーの近傍や配電線において中間能力にて電力を吸収しつつ電力を増減させることにより変動にも対応する方式が知られている。
3.スタックへの熱の積極的な供給が必要となる上記後者の方式にて説明する。
4.出荷が始まると、1,500kWの規模を想定した場合、平均電力750kWつまり180Nm/hくらいの水素をスタックが供給しつつ、水素貯蔵装置から200Nm/hくらい加算して出荷設備の圧縮装置に送る。
5.温熱槽40の温度が70℃を下回るときには、ヒートポンプを高効率に運転することとなるが、水素貯蔵装置70内部の水素吸蔵合金の廃熱を冷熱槽50に供給し、温熱槽40の加温と冷熱槽50の冷却を同時進行させる。これにより、発熱と吸熱が輪番する水素吸蔵合金の基本条件に対し、発熱吸熱のいずれかへの対応が、次に発生する逆方向の動作に必要な熱を作り出すこととなる。
6.温熱槽40の温度が70℃を上回るときには、スタックの発熱を温熱槽40に保存し、将来の自己加温用の熱として備える。
7.圧縮装置80の運転が連続する場合には、水素ガスの断熱圧縮に伴い生じる発熱にてスタック温度より高い温度の供給が可能となる。
8.この熱を温熱槽40に供給することで、水素発生システムにおいて高い温度の熱媒が必要な機器に供給することで高効率化する。
9.統合型熱コントロールシステム制御部100Bは、出荷装置に供給する水素の圧力を最低0.6MPaGに保つため、温熱槽40に蓄えられた熱を利用し制御するが、水素供給システム制御部は、温熱槽40の温度により水素の出荷計画を修正することで高効率化を図る。
10.統合型熱コントロールシステム制御部100Bは、熱媒体、冷熱媒体の行と還りの温度差を絶えず監視して、必要に応じた流量にすることで、各ポンプ動力の低減を図る。
次に、上記各状態に応じた水素の移動パターンについて、図7に基づいて説明する。
定常運転、例えば水電解出力1,500kWとした場合に中央値の750kWで平均的に運転する場合は、図7上段にあるように、出荷設備(以下で、圧縮装置とする。)で370Nm/hの需要があるとして、水電解で185Nm/hの発生量があり、これを、バイパス経路を通じて圧縮装置に送るとともに、水素貯蔵装置より、185Nm/hで放出して、圧縮装置に送ることで、圧縮装置の需要に応える。
なお、水電解装置60では、水素圧力として0.8MPaGが得られており、圧力制御弁により0.8MPaGを超える圧力に達した場合はライン94に水素を供給できる。水素貯蔵装置から放出される水素と、水電解で発生した水素とが合わさって、圧力調整弁93Aにて0.6MPaGに調整し圧縮装置に送られる。圧縮装置では、この圧力を一次圧力として水素を圧縮し、二次圧力である19.6MPaGで水素を払い出して水素出荷設備または水素利用設備に水素が供給される。
水素貯蔵装置では、水素残量が下限量になるまで圧縮装置に水素を補充する。水素貯蔵装置では、温度計75、圧力計76、水素残量計77による測定が行われ、これらの測定結果を受ける制御部100で水素貯蔵装置やその他の装置が制御される。すなわち、水素貯蔵装置の温度、圧力に加え、水素残量を基に各機器を運転・停止させるようにしていという特徴を有している。
上記工程は、本発明の第1供給工程に相当する。
水電解を最大運転する場合、図7の2段目に示すように、この例では、水電解出力1500kWにし、水電解で370Nm/hの水素を発生する。この際の水素圧力は、0.8MPaGとなる。水電解で発生された水素は、水素貯蔵装置をライン94にて迂回し、圧縮装置に0.6MPaGの圧力で水素を供給する。圧縮装置では、水素を圧縮して19.6MPaGの圧力で370Nm/hの水素が水素出荷設備または水素利用設備に供給される。
この際に、水素貯蔵装置は水素の移動が通過されており、水素の貯蔵はなされていない。
上記工程は、本発明の第2供給工程に相当する。
最小運転では、図7の3段目に示すように、水電解の出力は0kWとされて水素の発生量は0Nm/hとなる。水素貯蔵装置では、370Nm/hで水素が放出され、0.6MPaGの一次圧力で水素が圧縮装置に導入される。水素圧縮装置では水素を圧縮して払い出し、19.6MPaGの圧力、370Nm/hの水素量で水素出荷設備または水素利用設備に水素が供給される。
上記工程は、本発明の第3供給工程に相当する。
最小運転の後では、図7の4段目に示すように、出荷装置である圧縮装置80の稼働を止め、水電解装置60を出力0~1500kWの範囲で、0~370Nm/hの水素発生量で水素を発生させ、水素彫像装置70で所定の上限量になるまで水素を貯蔵する。
次に、本実施形態の必要燃料を評価するため、従来方法として、水電解装置、水素貯蔵装置、圧縮装置を独立で、冷却、加熱した場合の必要熱量と1週間の累積熱量を推定した。この結果を図8に示す。
次に本実施形態において、水電解装置、水素貯蔵装置、圧縮装置を組み合わせて冷却、加熱した場合の必要熱量と1週間の累積熱量を推定した。この結果を図9に示す。
図8、9から明らかなように、この実施形態では、従来方法による図8の結果に比べて冷却に関する必要熱量および加熱に関する必要熱量は大幅に減らすことができる。
具体的には、図8、9は、水電解装置の水素生成速度および水素貯蔵装置の水素吸放出速度を370Nm/hとして1週間運用した場合のシミュレーション結果を示したものである。図8の例では、1週間当たりの水電解装置の冷却熱量は約5,400kWh、水素貯蔵装置から水素を放出させるために必要な加熱熱量が約2,400kWh、圧縮装置の冷却熱量は約540kWhとなる。これらを、本実施形態の方法を用いて熱交換すると、図9のように冷却熱量が約4,200kWh、加熱熱量が約1,700kWhとなり、それぞれを独立で処理する場合より約30%少ない熱量とすることが可能となる。
図10は、水素貯蔵装置の残量(センサ検知)を基に、各装置の運転、停止をしたときの水素貯蔵装置の水素残量、水素製造量および水素払い出し量を示すものである。
水素の払い出し量は、土日を除いて一定量とされており、水素製造量(破線部)は、水素貯蔵装置からの供給量と合わせて、払い出し量を上限として、実施される。水素貯蔵装置の水素残量は、各日で定められた範囲付近で水素残量を調整する。但し、土日は水素の払い出しがないため、水素残量を可能な範囲で増量する。水素残量に基づいて各装置の運転、停止を行うため、効率的な運転を行うことができる。
制御部でa) 水電解装置への入力電力量を予想、b)各装置の運転状態と水素貯蔵装置の残量を計測し、これらを基に各機器を運転/停止させるように構成しているので、各機器の消費電力を低減し、システムの総合効率を上げることができる。
水素貯蔵装置の水素吸蔵量を温度センサと圧力センサで算出する場合、装置からの水素の吸放出を停止させた状態で計測する必要があるため、手順が煩雑になったり、吸蔵量の誤差が大きくなったり、場合によっては貯蔵容器のガス欠を引き起こす可能性がある。残量センサでは、in-situでの測定が可能であり、また、温度センサと圧力センサを用いた場合より正確に残量が測定できるため、水電解装置による水素製造、コンプレッサによる水素払出を効率的に実施できる。
図11は、水素吸蔵合金の圧力-組成等温線図(PCT線図)を示す。一般的に水素吸蔵合金は水素の吸放出サイクルの繰り返しにより、水素吸蔵量が低下していく。この要因は合金自体の金属組織構造の変化に起因する内的劣化と水素ガス中の不純物による表面状態の変化に基づく外的劣化に大別されるが、前者については、水素を吸放出させる幅により低下量が大きく変わってくる。図12に、図11記載の3条件での吸放出サイクル数と初期に対する水素吸蔵量の比をプロットしたものを示す。条件2(0~50%の吸放出幅)と条件3(50~100%の幅)は、条件1(0~100%の幅)と比較して吸放出サイクルによる吸蔵量の低下率が小さく、本発明のように水素貯蔵装置を水素残量値のある一定幅(主に30%~60%)となるように、水素吸収・放出を行えば、水素貯蔵装置の吸放出サイクルによる吸蔵量の低下を低減させることができる。
圧縮装置(コンプレッサ)の消費電力Pは式1で算出でき、水素貯蔵装置からの放出圧力(=コンプレッサの吸入圧力)が上がると補機動力は低減する。本実施形態では、水電解装置の排熱を使用し、水素貯蔵装置からの放出圧力を0.5~0.7MPaGに上げることにより、コンプレッサの消費電力を約10%の低減させることができる。
P = K×(P_d/P_S )^((θ-1)/(i×θ))……(式1)
Ps:吸入圧力、Pd:吐出圧力、θ:比熱比、i:圧縮段数
制御部(EMS)により、a)水電解装置への入力電力量を予想、b)各機器の運転状態と水素貯蔵装置の水素残量を計測することで、消費電力が最も大きい(水電解装置が停止状態で、水素貯蔵装置から水素を放出、コンプレッサで水素を昇圧、払出)運転をできるだけ減らし、消費電力が小さい(水電解装置が最大運転で水素貯蔵装置を経由し、コンプレッサで水素を昇圧、払出)運転を増やし、システムのエネルギー効率を上昇させることができる。
なお、水素貯蔵装置からの水素放出圧力を平衡圧力よりも高く上げ、圧縮装置の吸入圧力を上げるようにすることでさらに効率を向上させることができる。
本実施形態では、水電解装置やその他装置から発生する排熱も再利用することでシステムの総合熱効率を向上することを目的としている。
併せて、
2.水素貯蔵装置の水素残量を基に、水電解装置やその他機器を運転・停止させることにより、余分なエネルギー消費を低減し、システムの総合熱効率を向上させる。
3.水素貯蔵装置からの水素吸収・放出を水素残量値のある一定幅で行うことにより、水素吸蔵合金の吸放出によるサイクル劣化量を低減させる。
4.水素貯蔵装置からの水素放出圧力を上げ、コンプレッサの吸入圧力も上げることにより、コンプレッサの消費電力を低減させ、システムの総合効率を向上させる。
5.外部からの投入エネルギー量を抑えつつ、水素の払出量を最大にする運用方法
6.冷熱槽から供給される温水温度を高温で一定に保持することにより、システムの総合効率を向上させる。
上記実施形態では、出荷装置として圧縮装置を用いた例について説明した。出荷装置が圧縮装置に限定されないことは前述したとおりであるが、出荷装置としてメタネーション装置110を用いた例を図13に示す。
メタネーション装置110では、装置稼働によって定まる温度によって排熱を回収することができ、冷熱槽圧縮装置往きライン82に代えて冷熱槽メタネーション装置往きライン182、冷熱槽圧縮装置還りライン83に代えて冷熱槽メタネーション装置還りライン183、圧縮装置-温熱槽往きライン84に代えてメタネーション装置-温熱槽往きライン184のように同等のラインを用いて前記実施形態と同様の動作を行うことができる。
なお、出荷装置が圧縮装置またはメタネーション装置に限定されないことは前述したとおりである。
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明の技術的範囲は上記説明の内容に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りは上記実施形態に対する適宜の変更が可能である。
1 水素供給システム
10 整流器
20 ヒートポンプ
30 クーリングタワー
40 温熱槽
41 温熱槽ヒートポンプ往きライン
42 温熱槽ヒートポンプ還りライン
50 冷熱槽
51 冷熱槽クーリングタワー往きライン
52 冷熱槽クーリングタワー還りライン
60 水電解装置
60S スタック
61 温熱槽水電解装置往きライン
62 温熱槽水電解装置還りライン
63 冷熱槽水電解装置往きライン
64 冷熱槽水電解装置還りライン
70 水素貯蔵装置
71 温熱槽水素貯蔵装置往きライン
72 温熱槽水素貯蔵装置還りライン
73 冷熱槽水素貯蔵装置往きライン
74 冷熱槽水素貯蔵装置還りライン
75 温度計
76 圧力計
77 水素残量計
80 圧縮装置
82 冷熱槽圧縮装置往きライン
83 冷熱槽圧縮装置還りライン
84 圧縮装置温熱槽往きライン
91 電力系
92 水素移送路
93 水素移送路
94 バイパス移送路
100 制御部
100A 水素供給システム制御部
100B 統合型熱コントロールシステム制御部

Claims (24)

  1. 水素を、水素出荷/利用設備に供給する水素供給システムであって、
    水素を製造するための水電解装置と、
    水素を貯蔵・放出するための水素貯蔵装置と、
    水素貯蔵装置から放出された水素を払出するための出荷装置と、
    熱媒を貯蔵する温熱槽と、
    冷媒を貯蔵する冷熱槽と、
    温熱槽の加温と冷熱槽の冷却に用いられるヒートポンプと、
    前記熱媒と前記冷媒を、前記温熱槽および前記冷熱槽と各装置との間で移動させる媒体移動部と、
    前記水素供給システムを制御する制御部と、を有し、
    前記制御部は、少なくとも、前記水電解装置が動作時に所定の温度になるようにし、さらに、前記水素貯蔵装置における水素の吸収、放出に対応するように、前記熱媒および前記冷媒の移動を制御することを特徴とする水素供給システム。
  2. 前記出荷装置が、圧縮装置、メタネーション装置およびアンモニア生成装置のいずれか1つまたは2つ以上であることを特徴とする請求項1記載の水素供給システム。
  3. 前記水電解装置が、固体高分子形水電解装置である請求項1または2に記載の水素供給システム。
  4. 前記温熱槽の熱媒は、少なくとも、前記水電解装置の高温状態を保存する請求項1~3のいずれか1項に記載の水素供給システム。
  5. 前記温熱槽の熱媒は、前記水電解装置のスタックを加熱する請求項4記載の水素供給システム。
  6. 前記温熱槽の温度が所定の温度に維持されることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の水素供給システム。
  7. 前記ヒートポンプは、水素供給システムに必要な温熱、冷熱を同時に製造できるダブルバンドルヒートポンプであり、該ダブルバンドルヒートポンプは、前記温熱槽を加熱し、前記冷熱槽を冷却する請求項1~6のいずれか1項に記載の水素供給システム。
  8. 前記水電解装置に供給される電力に対する整流を行う整流器を有し、
    前記整流器の排熱を利用して、前記冷熱槽の加熱を可能にする請求項1~7のいずれか1項に記載の水素供給システム。
  9. 前記水電解装置が純水の給水及びろ過のための循環水経路を有し、前記循環水経路は、前記水電解装置による自己加熱が可能である請求項1~8のいずれか1項に記載の水素供給システム。
  10. 前記水電解装置で発生した水素の除湿を行う水素除湿塔を有し、
    前記水素除湿塔の再生工程に使用する水素を回収する水素再生圧縮機を有する請求項1~9のいずれか1項に記載の水素供給システム。
  11. 前記水素再生圧縮機は、吸着式の除湿塔が飽和した際に行う除湿塔の再生工程に利用する乾燥水素を回収し、再度、水電解装置側に環流することを特徴とする請求項10記載の水素供給システム。
  12. 前記制御部は、前記熱媒によって前記水電解装置が動作時の上限温度を超えないように前記水電解装置に対する前記熱媒および前記冷媒の移動を制御することを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の水素供給システム。
  13. 前記媒体移動部では、比較的低温の熱媒を前記温熱槽の下部側に戻し、水電解装置の状態に応じて温度が異なる熱媒を前記温熱槽の中間部に戻し、比較的高温の熱媒を前記温熱槽の上部側に戻すことを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の水素供給システム。
  14. 前記制御部は、前記水素貯蔵装置における水素放出に際し、予め定めた所定の温度で前記水素貯蔵装置を熱駆動することを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載の水素供給システム。
  15. 前記温度は、前記出荷装置として圧縮装置を備える場合、前記圧縮装置の圧縮能力に対応して前記水素貯蔵装置に収納されている水素吸蔵合金で定められる平衡水素圧で使用される温度よりも高い温度に設定されている請求項14に記載の水素供給システム。
  16. 前記制御部は、前記水素貯蔵装置に貯蔵されている水素残量が所定の範囲内となるように水素の吸蔵と、放出とを行うことを特徴とする請求項1~15のいずれか1項に記載の水素供給システム。
  17. 前記制御部は、前記水素貯蔵装置に貯蔵されている水素残量を基に、少なくとも、水電解装置の動作と、水素貯蔵装置の動作と、前記出荷装置として備える圧縮装置の動作と、を制御することを特徴とする請求項1~16のいずれか1項に記載の水素供給システム。
  18. 水電解装置と水素貯蔵装置との間に設けられた第1水素経路と、前記出荷装置として備える圧縮装置を介して前記水素貯蔵装置と水素出荷/利用設備との間に設けられた第2水素経路と、前記水素貯蔵装置を迂回して、前記第1水素経路と前記圧縮装置の上流側に位置している前記第2水素経路とを連結するバイパス経路と、を有することを特徴とする請求項1~17のいずれか1項に記載の水素供給システム。
  19. 前記制御部は、前記水電解装置の稼働状態と前記出荷装置/利用設備の稼働状態と前記水素貯蔵装置の水素残量とに基づいて、前記バイパス経路を介して前記水電解装置で発生する水素のみを前記出荷装置に供給する第1供給工程と、前記バイパス経路を介して前記水電解装置で発生する水素と前記水素貯蔵装置で放出される水素とを前記出荷装置に供給する第2供給工程と、前記水電解装置における水素発生を停止して、前記水素貯蔵装置で放出される水素のみを前記出荷装置に供給する第3供給工程と、を実行させることを特徴とする請求項18記載の水素供給システム。
  20. 前記制御部は、前記第3供給工程の後工程として、前記出荷装置の稼働を停止して、所定の水素貯蔵量になるまで水電解装置で生成した水素を前記水素貯蔵装置に貯蔵させることを特徴とする請求項19記載の水素供給システム。
  21. 前記水電解装置は、再生可能エネルギーによる電力を用いて稼働するものである請求項1~19のいずれか1項に記載の水素供給システム。
  22. 前記出荷装置として備える圧縮装置によって生じる排熱を回収した温水が前記温熱槽に送り込まれることを特徴とする請求項1~20のいずれか1項に記載の水素供給システム。
  23. 請求項1~21のいずれか1項に記載された水素供給システムを構成する水電解装置、水素貯蔵装置、出荷装置の全て、または水電解装置を含めて2つ以上の装置が必要とする温熱と冷熱の供給を制御して供給する統合型熱コントロールシステム。
  24. 前記水素供給システムで水素供給の制御を行う水素供給システム制御部とは独立して、前記温熱と冷熱の供給を制御する統合型熱コントロールシステム制御部を有する請求項23記載の統合型熱コントロールシステム。
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