JP7371408B2 - ケーブルモジュールおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ケーブルモジュールおよびその製造技術に関し、例えば、複数のケーブルのそれぞれの一部分を纏めて固定するケーブルモジュールおよびその製造技術に適用して有効な技術に関する。
特開2012-190570号公報(特許文献1)には、互いに並行配置された複数本の丸絶縁電線を連結固定部で固定する技術が記載されている。
特開2012-190570号公報
複数のケーブルをプリント基板やコネクタ部品に接続する場合、ケーブルを個別にプリント基板やコネクタ部品に接続することは煩雑である。このことから、複数のケーブルを纏めて固定することによりケーブルモジュールを構成し、このケーブルモジュールを構成するそれぞれのケーブルに対して、一括でプリント基板やコネクタ部品に接続することが検討されている。この点に関し、例えば、複数のケーブルを纏めて固定する固定部は、上金型と下金型で挟み込まれた空間に樹脂を注入する、いわゆるモールド成形技術によって成形されることがある。ところが、本発明者は、長手方向と直交する断面形状が長円形状である複数のケーブルを纏めて固定する固定部をモールド成形技術で成形する場合、樹脂の流し込みに関して工夫を施す必要があることを新規に見出した。つまり、モールド成形技術を使用して、長円形状の複数のケーブルを纏めて固定する固定部を成形する際、樹脂の充填不良に起因する固定部の成形不良を抑制するためには工夫が望まれている。
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
実施の形態におけるケーブルモジュールの製造方法は、上金型と下金型とを準備する工程と、第1空間に複数のケーブルのそれぞれの一部分を配置し、かつ、第1空間と長手方向に連通する第2空間が形成されるように、上金型と下金型で複数のケーブルを挟み込む工程とを含む。そして、実施の形態におけるケーブルモジュールの製造方法は、第2空間から第1空間に樹脂を注入する工程と、樹脂を硬化させる工程と、上金型と下金型を取り外すことにより、第1空間に流し込まれた樹脂からなる第1構造体と、第2空間に流し込まれた樹脂からなり、かつ、第1構造体と一体的に形成された第2構造体とを形成する工程とを含む。さらに、実施の形態におけるケーブルモジュールの製造方法は、第1構造体と一体的に形成されている第2構造体を取り除くことにより、第1構造体からなる固定部を形成する工程を含む。
また、実施の形態におけるケーブルモジュールは、長手方向と直交する断面形状が長円形状である複数のケーブルと、複数のケーブルのそれぞれの一部分を纏めて固定する固定部とを備える。このとき、固定部は、本体部と樹脂注入部とを含む一体構成物から樹脂注入部を取り除いた状態の本体部から構成される。そして、複数のケーブルのそれぞれは、複数の導体線と、複数の導体線を覆う絶縁層と、絶縁層を覆うシールド層と、シールド層を覆うシースとを有する。ここで、固定部は、複数のケーブルが貫通する一側面を含み、一側面には、本体部から樹脂注入部を取り除くことによって形成された分離面が存在する。
一実施の形態によれば、長円形状の複数のケーブルを纏めて固定する固定部をモールド成形技術で成形する際、樹脂の充填不良に起因する固定部の成形不良を抑制できる。
差動信号伝送用ケーブルとして機能する多芯ケーブルを示す図である。 多芯ケーブルの端部の構成を説明する図である。 予備半田技術を使用して、多芯ケーブルの導体線露出領域に露出している導体線の表面と、多芯ケーブルのシールド層露出領域に露出しているシールド層の表面とに半田層が形成されている様子を模式的に示す図である。 関連技術におけるケーブルモジュールの構成を示す図である。 互いに並行するように配置された複数の多芯ケーブルの一部分を上金型と下金型で挟み込むことによって生じる空間を模式的に示す図である。 図5のA-A線で切断した断面図である。 実施の形態における固定部を形成するモールド成形工程の流れを説明するためのフローチャートである。 上金型と下金型で複数の多芯ケーブルを纏めて挟み込むことにより、第1空間と第2空間とが形成されている状態を模式的に示す図である。 図8のA-A線で切断した断面図である。 図8のB-B線で切断した断面図である。 上金型と下金型とを組み合わせることにより規定される第1空間と第2空間の内部に樹脂を充填して、この樹脂を硬化させた後、上金型と下金型を取り外した状態を示す模式図である。 実施の形態におけるケーブルモジュールの構成を示す図である。 複数の同軸ケーブルからなるケーブルモジュールの構成を示す図である。 互いに並行するように配置された複数の同軸ケーブルの一部分を上金型と下金型で挟み込むことによって生じる空間を模式的に示す図である。 図14のA-A線で切断した断面図である。 撚線を模式的に示す図である。 撚線を纏める固定部をモールド成形技術で成形する際に顕在化する技術的困難性を説明するための図である。
実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
<同軸ケーブルを使用したケーブルモジュール>
図13は、複数の同軸ケーブルからなるケーブルモジュールの構成を示す図である。
図13に示すように、ケーブルモジュール100は、複数の同軸ケーブル1を有する。同軸ケーブル1は、簡単に述べると、芯線(内部導体)と、芯線を覆う絶縁層と、この絶縁層の表面を覆う外部導体と、外部導体を覆う保護被膜から構成されている。そして、複数の同軸ケーブル1は、固定部10によって纏めて固定されている。このとき、固定部10の上面には、切断部位10aが存在する。なぜなら、固定部10は、樹脂から構成され、上金型と下金型で挟み込まれた空間に樹脂を注入する、いわゆるモールド成形技術によって成形されるからであり、モールド成形技術によって成形された樹脂を切断加工することによって、固定部10が形成されるからである。つまり、図13に示す固定部10の上面に存在する切断部位10aは、固定部10を形成する際に生じる痕跡である。
以下では、モールド成形技術を使用して固定部10を成形する工程について説明する。
図14は、例えば、互いに並行するように配置された複数の同軸ケーブルの一部分を上金型と下金型で挟み込むことによって生じる空間を模式的に示す図である。
図14において、空間SPに樹脂を注入することよって固定部が形成される。
具体的に、図15は、図14のA-A線で切断した断面図である。ただし、図15には、図14に示されていない上金型200と下金型300も図示されている。
図15に示すように、上金型200を下金型300上に配置することにより、上金型200と下金型300により挟まれる空間SPが規定される。そして、この空間SPの内部に複数の同軸ケーブル1のそれぞれの一部分が配置される。そして、上金型200の上部には、樹脂の注入口であるゲート200aが設けられており、このゲート200aから上金型200と下金型300とに挟まれた空間SPの内部に樹脂が注入される。図15では、矢印によって、ゲート200aから空間SPに注入される樹脂の注入状態が示されている。
ここで、図15に示すように、同軸ケーブル1においては、長手方向(y方向)と直交する断面形状が円形状であるため、同軸ケーブル1と下金型300とに挟まれた狭小隙間領域11のx方向の幅が短くなる。この結果、ゲート200aから空間SPに注入された樹脂は、x方向の幅が短い狭小隙間領域11をスムーズに通り抜けることができる。したがって、複数の同軸ケーブル1のそれぞれの一部分を固定する固定部をモールド成形技術で成形する場合、上金型200と下金型300により挟まれる空間SPに問題なく樹脂を充填することができる。これにより、複数の同軸ケーブル1を固定部で纏めたケーブルモジュールにおいては、固定部をモールド成形技術で成形することができる。
ただし、図13に示すケーブルモジュール100を差動伝送に使用する場合には、差動信号の伝送特性の低下が顕在化する。なぜなら、図13に示すケーブルモジュール100は、複数の同軸ケーブル1から構成されており、複数の同軸ケーブル1を差動信号伝送用ケーブルとして使用すると、差動信号伝送用ケーブルを構成する一対の同軸ケーブル1の間でケーブル長が容易に異なる結果、差動信号におけるスキュー(位相差)が増大して、差動信号の伝送特性が低下してしまうからである。つまり、複数の同軸ケーブル1からなるケーブルモジュール100は、差動信号を伝送する差動信号伝送用ケーブルとしては適していない。
<撚線を使用したケーブルモジュール>
そこで、差動信号を伝送する差動信号伝送用ケーブルとして、一対の信号線を撚った撚線である「ツインナックスケーブル」が使用されることが多い。
図16は、撚線を模式的に示す図である。
図16において、撚線2は、導体線20aと導体線20aを覆う絶縁層からなる電線2aと、導体線20bと導体線20bを覆う絶縁層からなる電線2bとを有し、これらの電線2aと電線2bとが互いに撚られている。このように構成されている撚線2では、互いに撚られている電線2aと電線2bの長さがほぼ等しい。このことから、差動信号を伝送する差動信号伝送用ケーブルとして撚線2を使用する場合、差動信号におけるスキューを抑制できる結果、差動信号の伝送特性の低下を抑制することができる。
そして、差動信号伝送用ケーブルとして有用な複数の撚線2を纏めて固定することによりケーブルモジュールを構成し、このケーブルモジュールを構成するそれぞれの撚線2に対して、一括でプリント基板やコネクタ部品に接続することが検討されている。この点に関し、例えば、複数の撚線2を纏めて固定する固定部は、上金型と下金型で挟み込まれた空間に樹脂を注入する、いわゆるモールド成形技術によって成形することが考えられる。すなわち、撚線2についても、同軸ケーブル1と同様に、撚線2を纏める固定部をモールド成形技術で成形することが考えられる。ところが、撚線2は、同軸ケーブル1とは異なり、一対の電線(電線2aと電線2b)が互いに撚られている。このため、撚線2のケーブル構造が同軸ケーブル1のケーブル構造と相違することに起因して、撚線2を纏める固定部をモールド成形技術で成形するためには、同軸ケーブルを纏める固定部をモールド成形技術で成形する場合には問題とならなかった技術的困難性が顕在化する。
以下に、この点について説明する。
図17は、撚線を纏める固定部をモールド成形技術で成形する際に顕在化する技術的困難性を説明するための図である。
図17において、複数の撚線2がx方向に並んで配置されているとともに、複数の撚線2のそれぞれは、長手方向であるy方向に延在している。この結果、例えば、撚線2を纏める固定部をモールド成形技術で成形する際、図17の固定領域400で複数の撚線2は、上金型と下金型で挟み込まれるが、複数の撚線2のそれぞれの撚りピッチが長手方向で微妙に不規則に変動する。これにより、固定領域400で撚線2を支持するための金型(上金型と下金型)の支持構造を設計することが困難となる。この点に関し、整合しない金型で無理に撚線2を挟み込むと、撚線2が潰れてしまう状態が生じるおそれがあるとともに、金型からの樹脂漏れも生じるおそれがある。
このように、撚線2を纏める固定部をモールド成形技術で成形する場合には、撚線2自体の撚りピッチが不規則に変動することに起因して、金型の設計が困難となる。つまり、図17に示すように、複数の撚線2は、固定領域400で金型に支持されるが、撚りピッチの微小で不規則な変動によって、金型の設計が困難となる。
したがって、撚線2は、差動信号を伝送する差動信号伝送用ケーブルとして有用であるが、複数の撚線2を纏めて固定することによりケーブルモジュールを構成することに関して、撚線2を纏める固定部をモールド成形技術で成形することが困難となることから、複数の撚線2からなるケーブルモジュールを実現するためには工夫が必要とされる。
この点に関し、例えば、複数の撚線2のそれぞれの一部分を纏める固定部によってケーブルモジュールを製造するのではなく、複数の撚線2全体をラミネートすることによりケーブルモジュールを製造することも考えられる。ところが、複数の撚線2全体をラミネートすることにより形成されたケーブルモジュールは、ケーブルモジュール自体が剛直となり、曲げ自由度が低下する。特に、例えば、ケーブルモジュールの両端に取り付けられるコネクタの取り付け角度が異なる場合には、ケーブルモジュールを折り曲げる必要もあり、複数の撚線2全体をラミネートすることにより形成されたケーブルモジュールでは対応が困難となる。このことから、ケーブルモジュールの曲げ特性(曲げ自由度)を確保するためには、複数の撚線2のそれぞれの一部分を纏める固定部によってケーブルモジュールを製造することが望ましいのである。ただし、上述したように、複数の撚線2のそれぞれの一部分を纏める固定部によってケーブルモジュールを製造する場合、撚線2を纏める固定部をモールド成形技術で成形するためには技術的困難性が存在する。つまり、差動信号伝送用ケーブルとして有用な複数の撚線2を纏めて固定することによりケーブルモジュールを構成し、かつ、ケーブルモジュールの曲げ特性を確保することは困難である。
<多芯ケーブルの採用>
以上のことから、複数の同軸ケーブルのそれぞれの一部分を纏めて固定するケーブルモジュールでは、複数の同軸ケーブルを纏める固定部を成形する際にモールド成形技術を使用できる点で有用であるが、複数の同軸ケーブルからなるケーブルモジュールは、差動信号を伝送する差動信号伝送用ケーブルとして使用することには適していない。
一方、同軸ケーブルとは異なり、撚線は、差動信号を伝送する差動信号伝送用ケーブルとして有用であるが、複数の撚線のそれぞれの一部分を纏めて固定するケーブルモジュールを製造する場合において、複数の撚線を纏める固定部を成形する際にモールド成形技術を使用することが困難となる。したがって、同軸ケーブルと撚線は、それぞれ一長一短があり、差動信号を伝送する差動信号伝送用ケーブルとしての有用性と、モールド成形技術で固定部を成形することができる有用性とを兼ね備えるケーブルとしては最適なケーブルとは言えない。
そこで、本発明者は、同軸ケーブルと撚線とは別のケーブルを採用することを検討している。すなわち、本発明者は、差動信号を伝送する差動信号伝送用ケーブルとしての有用性と、モールド成形技術で固定部を成形することができる有用性とを兼ね備えるケーブルとして、多芯ケーブルを検討している。
以下では、まず、この多芯ケーブルの構成について説明する。
<多芯ケーブルの構成>
図1は、差動信号伝送用ケーブルとして機能する多芯ケーブル3の構成を示す図である。
図1において、多芯ケーブル3は、差動信号が伝搬する信号線として機能する一対の導体線30aおよび導体線30bと、導体線30aおよび導体線30bの周囲を覆う絶縁層31と、絶縁層31の周囲を覆うシールド層32と、シールド層32の周囲を覆う保護層33とを有している。
導体線30aおよび導体線30bのそれぞれは、例えば、銅線や銅合金線から構成されている。一方、絶縁層31は、例えば、ポリエチレン樹脂やフッ素樹脂などから構成されている。また、シールド層32は、例えば、銅からなるめっき層から構成されている。
これに対し、保護層33は、例えば、絶縁性のテープがシールド層32の外周に螺旋状に巻き付けられた構成からなる。このとき、テープは、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の可撓性を有する絶縁性の樹脂層と、接着剤を含む接着層とが積層された構造をしている。そして、このテープは、接着層が内側で、樹脂層が外側となるように、シールド層32の外周に螺旋状に巻き付けられている。なお、保護層33は、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂がシールド層32の外周に押し出されたり塗布されたりすることによって形成されてもよい。
シールド層32は、金属箔テープ(銅テープ)を絶縁層31の外周に縦添え巻きすることにより構成してもよいが、近年では、導体線30aおよび導体線30bを伝搬する信号の伝送特性を向上する観点から、金属箔テープに替えて、めっき層からシールド層32を構成することが検討されている。
以下では、まず、シールド層32をめっき層から構成すると、導体線30aおよび導体線30bを伝搬する信号の伝送特性が向上する理由について説明する。
例えば、シールド層32を金属箔テープから構成する場合、金属箔テープは、絶縁層31と固着していないことから、金属箔テープに緩みが生じやすい。そして、金属箔テープに緩みが生じると、絶縁層31とシールド層32との間に空隙が生じることがある。
この点に関し、絶縁層31とシールド層32との間に空隙が存在すると、導体線30aを伝搬する信号と導体線30bを伝搬する信号との間で位相差が生じる。この現象は、対内スキューと呼ばれ、対内スキューが発生すると、多芯ケーブル3を伝搬する差動信号の伝送特性が低下することになる。したがって、多芯ケーブル3の伝送性能を向上するためには、絶縁層31とシールド層32との間に空隙が形成されないように、シールド層32を絶縁層31に固着することが検討されている。具体的には、シールド層32を金属箔テープから構成するのではなく、めっき層から形成することが検討されている。例えば、無電解めっき法を使用することにより、絶縁層31の表面にめっき層を形成することができる。このとき、めっき層は、絶縁層31に固着するように形成されることから、シールド層32をめっき層から形成する構成によれば、絶縁層31とシールド層32との間に空隙が生じることを抑制できる。この結果、シールド層32をめっき層から形成する多芯ケーブル3によれば、空隙に起因する信号の位相ずれを抑制できることから、多芯ケーブル3を伝搬する差動信号の伝送特性を向上することができる。以上の理由から、金属箔テープに替えて、めっき層からシールド層32を構成することにより、導体線30aおよび導体線30bを伝搬する信号の伝送特性を向上できることがわかる。
さらに、シールド層32をめっき層から構成する場合、シールド層32を金属箔テープから構成する場合に比べて、シールド層32の膜厚を薄くできる。このことから、シールド層32をめっき層から構成する多芯ケーブル3によれば、多芯ケーブル3の細径化および軽量化を図ることができるという利点も得られる。
<ケーブルの端部の構成>
上述した多芯ケーブル3は、両端部において、導体線30aおよび導体線30bとシールド層32のそれぞれがプリント基板やコネクタに接続される。このため、多芯ケーブル3の端部は、導体線30aおよび導体線30bとシールド層32のそれぞれがプリント基板やコネクタに接続できるように加工されている。
以下では、プリント基板やコネクタに接続できるように加工された多芯ケーブル3の端部の構成について、図面を参照しながら説明する。
図2は、多芯ケーブル3の端部の構成を説明する図である。
図2において、多芯ケーブル3の端部には、多芯ケーブル3をプリント基板やコネクタに接続するための接続領域500が設けられている。この接続領域500は、導体線30aおよび導体線30bが露出した導体線露出領域501と、シールド層32が露出したシールド層露出領域502から構成されている。そして、多芯ケーブル3は、導体線露出領域501とシールド層露出領域502のそれぞれをプリント基板やコネクタに接続することによって、プリント基板やコネクタと電気的に接続される。具体的に、多芯ケーブル3は、導体線露出領域501とシールド層露出領域502のそれぞれをプリント基板やコネクタに半田接続することによって、プリント基板やコネクタと電気的に接続される。
ここで、例えば、図3は、多芯ケーブル3の導体線露出領域501に露出している導体線30aおよび導体線30bの表面と、多芯ケーブル3のシールド層露出領域502に露出しているシールド層32の表面とに半田層が形成されている様子を模式的に示す図である。特に、図3においては、ドットを用いて描いた領域は、半田層が形成されていることを示している。このように、多芯ケーブル3の導体線露出領域501に露出している導体線30aおよび導体線30bの表面と、多芯ケーブル3のシールド層露出領域502に露出しているシールド層32の表面には半田層が形成されている。
<多芯ケーブルに対する工夫の必要性>
例えば、図1に示すように、一本の多芯ケーブル3の内部には、導体線30aと導体線30bとが含まれており、導体線30aの長さと導体線30bの長さは、ほぼ等しい。したがって、一本の多芯ケーブル3に含まれる導体線30aと導体線30bとを使用して、差動信号を伝送することにより、差動信号におけるスキュー(位相差)を抑制できる結果、差動信号の信号伝送特性を向上することができる、つまり、多芯ケーブル3は、差動信号を伝送する差動信号伝送用ケーブルとして適している。
一方、多芯ケーブル3は、撚線2とは異なり、撚られていない。このため、複数の多芯ケーブル3を纏めてケーブルモジュールを構成する場合においても、複数の多芯ケーブル3を纏める固定部を成形する際にモールド成形技術を使用できると考えられる。
このことから、多芯ケーブル3は、差動信号を伝送する差動信号伝送用ケーブルとしての有用性と、モールド成形技術で固定部を成形することができる有用性とを兼ね備えていると考えられる。ところが、多芯ケーブル3は、例えば、図1に示すように、長手方向(y方向)と直交する断面形状が長円形状をしている。そして、本発明者は、長手方向と直交する断面形状が長円形状である複数の多芯ケーブル3を纏めて固定する固定部をモールド成形技術で成形する場合、樹脂の流し込みに関して工夫を施す必要があることを新規に見出した。つまり、モールド成形技術を使用して、長円形状の複数の多芯ケーブル3を纏めて固定する固定部を成形する際、樹脂の充填不良に起因する固定部の成形不良を抑制するためには工夫が望まれている。
そこで、以下では、まず、モールド成形技術を使用することにより成形される固定部によって、複数の多芯ケーブル3を纏めたケーブルモジュールに関する関連技術について説明した後、この関連技術に存在する改善の余地について説明する。そして、この改善の余地に対する工夫を施した実施の形態における技術的思想について説明する。
なお、本明細書でいう「長円形状」とは、短径と長径とを有する閉曲線をいい、例えば、楕円形状だけでなく、略楕円形状や複合楕円形状なども含む広い概念で使用している。特に、本明細書でいう「長円形状」には、対向する平行な2本の直線と、その2本の直線の端部同士を接続する2つの円弧とからなる閉曲線も含まれる。
<関連技術に存在する改善の余地>
本明細書でいう「関連技術」は、新規に発明者が見出した課題を有する技術であって、公知である従来技術ではないが、新規な技術的思想の前提技術(未公知技術)を意図して記載された技術である。
図4は、関連技術におけるケーブルモジュールの構成を示す図である。
図4に示すように、ケーブルモジュール600は、複数の多芯ケーブル3を有する。そして、複数の多芯ケーブル3は、固定部40によって纏めて固定されている。このとき、固定部40の上面には、切断部位40aが存在する。なぜなら、固定部40は、樹脂から構成され、上金型と下金型で挟み込まれた空間に樹脂を注入する、いわゆるモールド成形技術によって成形されるからであり、モールド成形技術によって成形された樹脂を切断加工することによって、固定部40が成形されるからである。つまり、図4に示す固定部40の上面に存在する切断部位40aは、固定部40を成形する際に生じる痕跡である。
以下では、モールド成形技術を使用して固定部40を成形する工程について説明する。
図5は、例えば、互いに並行するように配置された複数の多芯ケーブルの一部分を上金型と下金型で挟み込むことによって生じる空間を模式的に示す図である。
図5において、空間SP2に樹脂を注入することよって固定部が形成される。
具体的に、図6は、図5のA-A線で切断した断面図である。ただし、図6には、図5に示されていない上金型50と下金型60も図示されている。
図6に示すように、上金型50を下金型60上に配置することにより、上金型50と下金型60により挟まれる空間SP2が規定される。そして、この空間SP2の内部に複数の多芯ケーブル3のそれぞれの一部分が配置される。そして、上金型50の上部には、樹脂の注入口であるゲート50aが設けられており、このゲート50aから上金型50と下金型60とに挟まれた空間SP2の内部に樹脂が注入される。図6では、矢印によって、ゲート50aから空間SP2に注入される樹脂の注入状態が示されている。
ここで、図6に示すように、多芯ケーブル3においては、長手方向(y方向)と直交する断面形状が長円形状であるため、多芯ケーブル3と下金型60とに挟まれた狭小隙間領域41のx方向の幅が長くなる。この結果、ゲート50aから空間SP2に注入された樹脂は、x方向の幅が長い狭小隙間領域41をスムーズに通り抜けることができなくなる。したがって、関連技術では、複数の多芯ケーブル3のそれぞれの一部分を固定する固定部をモールド成形技術で成形する場合、上金型50と下金型60により挟まれる空間SP2に樹脂を充填することが困難となる。すなわち、関連技術においては、多芯ケーブル3の断面形状が長円形状であるという多芯ケーブル3の特殊性に起因して、多芯ケーブル3と下金型300とに挟まれた狭小隙間領域41のx方向の幅が長くなる。この結果、例えば、図6に示すように、上金型50の上部に設けられたゲート50aから空間SP2に樹脂を注入する構成を採用すると、狭小隙間領域41に隙間なく樹脂を充填することが困難となるのである。つまり、関連技術には、狭小隙間領域41に隙間なく樹脂を充填する観点から改善の余地が存在する。さらには、モールド成形技術で成形される固定部の厚さ(z方向の高さ)は、できるだけ薄いことが望ましい。したがって、固定部の厚さを薄くすることを考えると、多芯ケーブル3と上金型50とに挟まれた隙間領域42も狭くなり、この隙間領域42も樹脂がスムーズに通り抜けることができなくなる。すなわち、モールド成形技術で成形される固定部の厚さ(z方向の高さ)をできるだけ薄くしようとすると、多芯ケーブル3と下金型60とに挟まれた狭小隙間領域41だけでなく、多芯ケーブル3と上金型50とに挟まれた隙間領域42も狭くなる。そして、隙間領域42においても、多芯ケーブル3の断面形状が長円形状となることに起因する隙間領域42のx方向の幅の増大によって、樹脂の充填不良が顕在化すると考えられる。
このことから、複数の多芯ケーブル3のそれぞれの一部分を固定する固定部をモールド成形技術で成形する場合、関連技術においては、多芯ケーブル3の断面形状が長円形状となることに起因する狭小隙間領域41および隙間領域42のそれぞれのx方向の幅の増大によって、樹脂の充填不良が生じる。したがって、関連技術では、樹脂の充填不良に起因する固定部の形成不良を抑制するための工夫が必要とされる。
そこで、本実施の形態では、上述した関連技術に存在する改善の余地に対する工夫を施している。以下では、本実施の形態における技術的思想について説明する。
<実施の形態におけるモールド成形工程>
本実施の形態におけるケーブルモジュールは、長手方向と直交する断面形状が長円形状である複数の多芯ケーブルと、複数の多芯ケーブルのそれぞれの一部分を纏めて固定する固定部とを備える。そして、このように構成されている本実施の形態におけるケーブルモジュールは、複数のケーブルを準備する工程と、固定部を形成する工程とを備えるケーブルモジュールの製造方法によって製造される。このとき、本実施の形態における固定部を成形する工程では、モールド成形技術が使用される。
以下では、本実施の形態における固定部を成形するモールド成形工程について説明する。
図7は、本実施の形態における固定部を成形するモールド成形工程の流れを説明するためのフローチャートである。なお、図7においてモールド成形工程の流れを説明する際、後述する図8、図9および図11も参照しながら説明する。
図7に示すように、まず、上金型(図9の上金型70)と下金型(図9の下金型80)とを準備する(S101)。そして、上金型(図9の上金型70)と下金型(図9の下金型80)で複数の多芯ケーブル(図8の多芯ケーブル3)を纏めて挟み込む(S102)。具体的には、第1空間(図8の第1空間SP3)に複数の多芯ケーブル(図8の多芯ケーブル3)のそれぞれの一部分を配置し、かつ、第1空間(図8の第1空間SP3)と長手方向に連通する第2空間(図8の第2空間SP4)が形成されるように、上金型(図9の上金型70)と下金型(図9の下金型80)で複数の多芯ケーブル(図8の多芯ケーブル3)を挟み込む。
続いて、第2空間(図8の第2空間SP4)と連通しているゲート(図8のゲート70a)から第2空間(図8の第2空間SP4)に樹脂を注入する。このとき、第2空間(図8の第2空間SP4)は、第1空間(図8の第1空間SP3)と連通しているため、第2空間(図8の第2空間SP4)を経由して第1空間(図8の第1空間SP3)にも樹脂が注入される。これにより、上金型(図9の上金型70)と下金型(図9の下金型80)で挟み込まれた第1空間(図8の第1空間SP3)と第2空間(図8の第2空間SP4)には、樹脂が注入される(S103)。
ここで、樹脂は、例えば、熱可塑性樹脂であるポリアミド(PA)から構成される。ただし、樹脂は、これに限らず、例えば、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)であってもよく、さらには、熱硬化性樹脂であってもよい。
そして、例えば、樹脂が熱可塑性樹脂の場合、上金型(図9の上金型70)と下金型(図9の下金型80)で挟み込まれた第1空間(図8の第1空間SP3)と第2空間(図8の第2空間SP4)に溶融された樹脂を注入した後、第1空間(図8の第1空間SP3)および第2空間(図8の第2空間SP4)に注入された樹脂を冷やすことにより、この樹脂を硬化させる(S104)。一方、例えば、樹脂が熱硬化性樹脂の場合、第1空間(図8の第1空間SP3)および第2空間(図8の第2空間SP4)に注入された樹脂を加熱することにより、この樹脂を硬化させる(S104)。
次に、上金型(図9の上金型70)と下金型(図9の下金型80)とを取り外す(S105)。これにより、第1空間(図8の第1空間SP3)に流し込まれた樹脂からなる第1構造体(図11の第1構造体95a)と、第2空間(図8の第2空間SP4)に流し込まれた樹脂からなり、かつ、第1構造体(図11の第1構造体95a)と一体的に形成された第2構造体(図11の第2構造体95b)とが形成される。その後、第1構造体(図11の第1構造体95a)と一体的に形成されている第2構造体(図11の第2構造体95b)を取り除くことにより、第1構造体(図11の第1構造体95a)からなる固定部(図11の固定部96)を形成する(S106)。具体的には、第1構造体(図11の第1構造体95a)と一体的に形成されている第2構造体(図11の第2構造体95b)を切断することにより、第1構造体(図11の第1構造体95a)からなる固定部(図11の固定部96)を形成することができる。以上のようして、本実施の形態におけるケーブルモジュールの構成要素である固定部(図11の固定部96)をモールド成形技術で製造することができる。
ここで、上金型と下金型で複数の多芯ケーブルを纏めて挟み込む工程について説明する。
図8は、上金型と下金型で複数の多芯ケーブルを纏めて挟み込むことにより、第1空間SP3と第2空間SP4とが形成されている状態を模式的に示す図である。
図8においては、第1空間SP3および第2空間SP4をわかりやすく表すため、上金型および下金型自体は、図示されておらず、上金型と下金型とを組み合わせることにより形成される第1空間SP3および第2空間SP4のみが模式的に示されている。図8に示すように、本実施の形態では、上金型と下金型とを組み合わせることにより、多芯ケーブル3の長手方向(y方向)に第1空間SP3と連通する第2空間SP4が形成され、第1空間SP3および第2空間SP4に複数の多芯ケーブル3のそれぞれの一部分が配置されるように、上金型と下金型で複数の多芯ケーブル3が挟み込まれる。
続いて、図8に示す第2空間SP4と連通するゲート70aから第2空間SP4に樹脂を注入して第2空間SP4を樹脂で充填するとともに、さらに、第2空間SP4と連通する第1空間SP3にも第2空間SP4から樹脂を注入して、第1空間SP3を樹脂で充填する工程について説明する。
図9は、図8のA-A線で切断した断面図である。ただし、図9には、図8に示されていない上金型70と下金型80も図示されている。
図9において、複数の多芯ケーブル3が上金型70と下金型80とによって挟み込まれていることがわかる。このとき、第2空間SP4を規定する上金型70の内面71は、複数の多芯ケーブル3の上面から離間し、かつ、第2空間SP4を規定する下金型80の内面81は、複数の多芯ケーブル3のそれぞれの下面と接触している。
このようにして規定されている第2空間SP4には、上金型70と連通するゲート70aから樹脂が注入される。具体的には、図9に示すように、「-z方向」に沿って、ゲート70aから第2空間SP4に樹脂が流れ込む。そして、「-z方向」に沿って、ゲート70aから第2空間SP4に流れ込んだ樹脂は、「+x方向」と「-x方向」に分散して第2空間SP4の内部の隅々まで充填される。ここで、複数の多芯ケーブル3において、互いに隣接する多芯ケーブル3は、樹脂が流れやすいように所定間隔で配置されている。
さらに、図9に示すように、第2空間SP4に流れ込んだ樹脂は、互いに隣接する多芯ケーブル3の間の隙間領域91を「-y方向」に沿って、第2空間SP4と連通する第1空間に流れ込む。ここで、隙間領域91に示されている記号は、隙間領域91において樹脂の流れ方向「-y方向」を表している。
図10は、図8のB-B線で切断した断面図である。ただし、図10には、図8に示されていない上金型70と下金型80も図示されている。
図10においても、複数の多芯ケーブル3が上金型70と下金型80とによって挟み込まれていることがわかる。このとき、第1空間SP3を規定する上金型70の内面71は、複数の多芯ケーブル3から離間し、かつ、第1空間SP3を規定する下金型80の内面81も、複数の多芯ケーブル3から離間している。
このようにして規定されている第1空間SP3には、長手方向(y方向)に第1空間SP3と連通している第2空間SP4から樹脂が注入される。具体的には、図10に示すように、互いに隣接する多芯ケーブル3の間の複数の隙間領域91を通って、第2空間SP4から第1空間SP3に向う「-y方向」に沿って樹脂が流れ込む。そして、第1空間SP3に流れ込んだ樹脂は、複数の隙間領域91のそれぞれから、「+x方向」と「-x方向」に分散して、第1空間SP3の狭小隙間領域92および狭小隙間領域93に流れ込む。このようにして、本実施の形態によれば、狭小隙間領域92および狭小隙間領域93を含む第1空間SP3の隅々まで樹脂で充填することができる。
なお、図9および図10に示すように、第1空間SP3では、第2空間SP4に比べて、上金型70の内面71と複数の多芯ケーブル3の上面との距離が近い。言い換えれば、第1空間SP3では、第2空間SP4に比べて、上金型70の内面71と複数の多芯ケーブル3の上面との間の空間が狭い。一方、図9および図10に示すように、第1空間SP3では、第2空間SP4に比べて、下金型80の内面81と複数の多芯ケーブル3の上面との距離が遠い。言い換えれば、第1空間SP3では、第2空間SP4に比べて、下金型80の内面81と複数の多芯ケーブル3の上面との間の空間が広い。
次に、硬化した樹脂を切断加工することにより、本実施の形態における固定部を形成する工程について説明する。
図11は、例えば、上金型と下金型とを組み合わせることにより規定される第1空間と第2空間の内部に樹脂を充填して、この樹脂を硬化させた後、上金型と下金型を取り外した状態を示す模式図である。
図11において、上金型と下金型を取り外すことにより、第1空間に流し込まれた樹脂からなる第1構造体95aと、第2空間に流し込まれた樹脂からなり、かつ、第1構造体95aと一体的に形成された第2構造体95bとが形成されている。そして、例えば、図11において、第1構造体95aと一体的に形成されている第2構造体95bを切断して、第1構造体95aから分離する。ここで、第2構造体95bを第1構造体95aから切断する手法としては、例えば、カッタやニッパやナイフなどの刃を使用してもよいし、レーザによって切断するようにしてもよい。これにより、第1構造体95aからなる固定部96を形成することができる。つまり、本実施の形態における固定部96は、第1構造体95aの側面で、第1構造体95aと一体成形されている第2構造体95bを切断分離することにより形成される。以上のようにして、モールド成形技術を使用することにより、本実施の形態における固定部96を成形することができる。
なお、第2空間に位置する多芯ケーブル3の表面に剥離剤を塗布した後、上述した本実施の形態におけるモールド成形工程を実施することもできる。この場合、第1構造体95aから第2構造体95bを切断分離する際、第2構造体95bを多芯ケーブル3から剥がれやすくすることができる利点が得られる。
<実施の形態における製法上の特徴>
続いて、本実施の形態における製法上の特徴点について説明する。
本実施の形態における製法上の特徴点は、例えば、図8~図10に示すように、第1空間SP3に複数の多芯ケーブル3のそれぞれの一部分を配置し、かつ、第1空間SP3と長手方向に連通する第2空間SP4が形成されるように、上金型70と下金型80で複数の多芯ケーブル3を挟み込んだ後、第2空間SP4から第1空間SP3に樹脂を注入する点にある。これにより、例えば、図10に示すように、互いに隣接する多芯ケーブル3の間の複数の隙間領域91を通って、第2空間SP4から第1空間SP3に向う「-y方向」に沿って樹脂を流れ込ませることができる。そして、本実施の形態における製法上の特徴点によれば、第1空間SP3に流れ込んだ樹脂は、複数の隙間領域91のそれぞれから、「+x方向」と「-x方向」に分散して、第1空間SP3の狭小隙間領域92および狭小隙間領域93に流れ込むようにすることができる。
これにより、本実施の形態によれば、長手方向と直交する断面形状が長円形状である多芯ケーブル3を固定する固定部をモールド成形技術で成形する場合であっても、長円形状で生じる狭小隙間領域92および狭小隙間領域93のそれぞれのx方向の幅の増大に起因する樹脂の充填不良を効果的に抑制することができる。したがって、本実施の形態によれば、樹脂の充填不良に起因する固定部の形成不良を抑制できる。
すなわち、本実施の形態における製法上の特徴点では、例えば、図10に示すように、互いに隣接する多芯ケーブル3の間の複数の隙間領域91を通って、第2空間SP4から第1空間SP3に向う「-y方向」に沿って樹脂を流れ込ませている。このことは、複数の隙間領域91が、樹脂を第1空間SP3に注入する際のゲートとして機能していることを意味する。すなわち、例えば、図6に示す関連技術では、ただ1つのゲート50aから樹脂を注入するのに対し、図10に示す本実施の形態では、場所の異なる複数の隙間領域91をゲートとして機能させている。この結果、本実施の形態によれば、関連技術よりも、第1空間SP3の隅々まで樹脂を充填しやすくなることになる(第1利点)。
さらに、本実施の形態における製法上の特徴点では、例えば、複数の隙間領域91のそれぞれから、「+x方向」と「-x方向」に分散して、第1空間SP3の狭小隙間領域92および狭小隙間領域93に樹脂を注入することができる。例えば、図6に示す関連技術では、ゲート50aの右側領域に配置されている狭小隙間領域41には「+x方向」の一方向からしか樹脂を注入することができない。同様に、図6に示す関連技術では、ゲート50aの左側領域に配置されている狭小隙間領域41には「-x方向」の一方向からしか樹脂を注入することができない。これに対し、本実施の形態における第1特徴点によれば、図10に示すように、すべての狭小隙間領域92および狭小隙間領域93において、「+x方向」と「-x方向」の両方向から樹脂を流し込ませることができる。この結果、本実施の形態によれば、関連技術よりも、狭小隙間領域92および狭小隙間領域93での樹脂の充填不良を効果的に抑制することができる(第2利点)。
以上のことから、本実施の形態における製法上の特徴点によれば、上述した第1利点と第2利点との相乗効果によって、たとえ、複数の長円形状の多芯ケーブル3を纏めて固定する固定部96をモールド成形技術で成形する場合であっても、固定部96の形成不良を効果的に抑制できるという顕著な効果を得ることができる。
<実施の形態におけるケーブルモジュールの構成>
図12は、本実施の形態におけるケーブルモジュールの構成を示す図である。
図12において、本実施の形態におけるケーブルモジュール700は、複数の多芯ケーブル3を有する。そして、複数の多芯ケーブル3は、固定部96によって纏めて固定されている。このとき、固定部96の側面には、切断部位97が存在する。なぜなら、固定部96は、樹脂から構成されており、本実施の形態におけるモールド成形技術によって成形されているからであり、本実施の形態におけるモールド成形技術によって成形された樹脂を切断加工することによって、固定部96が成形されるからである。つまり、図12に示す固定部96の側面に存在する切断部位97は、固定部96を形成する際に生じる痕跡である。この切断部位97は、その他の固定部96の表面部位と区別することができる。なぜなら、例えば、鋭利な切断治具で切断される切断部位97の表面平坦性は、放電加工で形成された金型に樹脂を充填させることにより形成されるその他の固定部96の表面部位の平坦性よりも高いからである。例えば、顕微鏡などを使用することにより、切断部位97の平坦性とその他の固定部96の表面部位の平坦性の相違を確認できる。
<実施の形態における構造上の特徴>
次に、本実施の形態における構造上の特徴点について説明する。
本実施の形態における構造上の特徴点は、例えば、図12に示すように、複数の多芯ケーブル3を纏めて固定する固定部96の一側面に切断部位97が形成されている点にある。これにより、本実施の形態におけるケーブルモジュール700によれば、固定部96のz方向の厚さを薄くすることができる。
例えば、図4に示す関連技術におけるケーブルモジュール600では、固定部40の上面に切断部位40aが形成されている。このため、関連技術においては、切断部位40aの厚さの分だけ、固定部40のz方向の厚さが厚くなる。
これに対し、本実施の形態におけるケーブルモジュール700では、図12に示すように、固定部96の上面ではなく一側面に切断部位97が形成されている。このため、本実施の形態におけるケーブルモジュール700では、固定部96のz方向の厚さが切断部位97の分だけ厚くなることはない。このことから、本実施の形態によれば、関連技術に比べて、固定部96のz方向の厚さを薄くすることができる。
さらに、本実施の形態によれば、固定部96の一側面に切断部位97が形成されていることに起因して、以下に示す利点も得ることができる。すなわち、例えば、ケーブルモジュール700は、モールド成形された固定部96の位置を基準にして、プリント基板やコネクタに接続される。したがって、固定部96は、ケーブルモジュール700をプリント基板やコネクタに接続する際の位置基準となることから、固定部96の位置精度を向上させることが重要である。この点に関し、モールド成形された第1構造体(本体部)と第2構造体(樹脂注入部)の一体成形物から第2構造体を切断して、第1構造体からなる固定部96が形成されるため、固定部96の一側面に第2構造体を切断分離した痕跡である切断部位(分離部位)97が形成される。このとき、切断部位97を形成する際、この切断部位97の位置がケーブルモジュール700をプリント基板やコネクタに接続する際の基準位置となるようにすれば、切断部位97の位置を基準として、ケーブルモジュール700をプリント基板やコネクタに実装することが容易となる。つまり、固定部96の一側面に切断部位97が形成されているという本実施の形態における構造上の特徴点によれば、固定部96に形成されている切断部位97をケーブルモジュール700の実装する際の基準位置として使用することができる。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
1 同軸ケーブル
2 撚線
2a 電線
2b 電線
3 多芯ケーブル
10 固定部
10a 切断部位
20a 導体線
20b 導体線
30a 導体線
30b 導体線
31 絶縁層
32 シールド層
33 保護層
40 固定部
40a 切断部位
41 狭小隙間領域
42 隙間領域
50 上金型
50a ゲート
60 下金型
70 上金型
71 内面
70a ゲート
80 下金型
81 内面
91 隙間領域
92 狭小隙間領域
93 狭小隙間領域
95a 第1構造体
95b 第2構造体
96 固定部
97 切断部位
100 ケーブルモジュール
200 上金型
200a ゲート
300 下金型
400 固定領域
500 接続領域
501 導体線露出領域
502 シールド層露出領域
600 ケーブルモジュール

Claims (1)

  1. 長手方向と直交する断面形状が長円形状である複数のケーブルと、
    前記複数のケーブルのそれぞれの一部分を纏めて固定する固定部と、
    を備える、ケーブルモジュールの製造方法であって、
    (a)上金型と下金型とを準備する工程、
    (b)第1空間と前記長手方向に連通する第2空間が形成され、前記第1空間および前記第2空間に前記複数のケーブルのそれぞれの一部分が配置されるように、前記上金型と前記下金型で前記複数のケーブルを挟み込む工程、
    (c)前記第2空間を経由して前記第1空間に樹脂を注入する工程、
    (d)前記樹脂を硬化させる工程、
    (e)前記上金型と前記下金型を取り外すことにより、
    前記第1空間に流し込まれた前記樹脂からなる第1構造体と、
    前記第2空間に流し込まれた前記樹脂からなり、かつ、前記第1構造体と一体的に形成された第2構造体と、
    を形成する工程、
    (f)前記第1構造体と一体的に形成されている前記第2構造体を取り除くことにより、前記第1構造体からなる前記固定部を形成する工程、
    を含み、
    前記第1空間を規定する前記上金型の内面は、前記複数のケーブルから離間し、
    前記第1空間を規定する前記下金型の内面は、前記複数のケーブルから離間し、
    前記第2空間を規定する前記上金型の内面は、前記複数のケーブルから離間し、
    前記第2空間を規定する前記下金型の内面は、前記複数のケーブルと接触する、
    ケーブルモジュールの製造方法。
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