以下、図面を参照しつつ、本開示に係る技術思想の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
図1は、本実施の形態に従う設備管理システムの構成の一例を示す図である。図1に示す設備管理システム10は、設備管理装置100と、計測データベース101と、1または複数のデータ中継装置102と、1または複数の計測センサー103と、ネットワーク110とを含む。
これ以降、複数のデータ中継装置102の各々を表わす場合には、各々をデータ中継装置102A,102B,102Cのように表す。また、複数の計測センサー103の各々を表わす場合には、各々を計測センサー103A,103B,103Cのように表す。設備管理システム10の一部または全ては、変電所等の施設内に設置される。施設内の個々の設備は、設備104A,104B,104Cのように表わされる。これらの設備を総称するときは、設備104と表す。
なお、図1に示す設備管理システム10および設備は一例であり、設備管理システム10および設備の構成例はこれに限られない。ある局面において、設備管理システム10は、任意の数のデータ中継装置102と、計測センサー103とを含んでいてもよい。また、設備管理装置100は、複数の情報処理装置からなるクラスターであってもよく、仮想マシンであってもよい。
設備管理装置100および計測データベース101は、例えば、管理施設120に設置され得る。ある局面において、管理施設120は、変電所の変電所制御室等であってもよい。他の局面において、設備管理装置100および/または計測データベース101は、ネットワークを介して、外部に設置されてもよいし、クラウド環境に仮想的に構成されてもよい。また、他の局面において、クラウド環境やサーバー上に設けられた計測データベース101は、各施設に設置された設備管理装置100の各々と通信可能であってもよい。
計測センサー103は、施設内の設備104に取り付けられ、または、設備104の近傍に配置され、計測データをデータ中継装置102に送信する。ある局面において、1台の設備104は、複数の計測センサー103を備えていてもよい。その場合、各計測センサー103は、例えば、設備104に含まれる個々の部品等の状態を示す計測データをデータ中継装置102に送信し得る。
ある局面において、計測センサー103は、カメラ、外線カメラ、ガスセンサー、振動センサー、圧力センサー、温度センサー、湿度センサー、赤外線センサー、気圧センサー、加速度センサー、ジャイロセンサー、スイッチ、その他任意のセンサー、または、これらの組み合わせであってもよい。また、計測センサー103は、その用途に合わせて、設備104の各部品に取り付けられるか、各部品の近傍に配置される。
設備104の部品は、例えば、変圧器であれば、巻線、タップコイル、鉄心、絶縁媒体(絶縁紙、絶縁油)、タンク、主回路通電部、冷却装置、タップ切替装置、計器、継電器、ガス絶縁開閉装置(GIS)、開閉器(ガス遮断器、真空遮断器、油遮断器、空気遮断器)、遮断部(主接触子、ピストン、ノズル、極間コンデンサ、投入抵抗、極間絶縁物)、操作部(タンク、フィルタ、ポンプ、アキュムレータ、シリンダ、電磁弁)、絶縁支持部、電気制御部、操作箱、グリース、変流器およびブッシング等を含み得る。
計測センサー103の計測対象の一例として、油入機器における油面、油温、油中ガス、油中水分、ガス入り機器ではガス圧、ガス密度等がある。これらの計測対象は、急激に変化することはない。そのため、計測センサー103は、これらの計測対象について、秒または分オーダーで計測してもよい。また、他の例として、計測センサー103は、開閉器動作時の制御電源の電流値等について、閉器動作期間の数サイクルのみ、ミリ秒オーダーで計測してもよい。
また、計測センサー103がカメラである場合、計測センサー103は、設備104の発錆や漏油等の外観での異常を検知するために、当該設備104の外観の静止画や動画を撮影し得る。ある局面において、計測センサー103は、固定型のカメラ、レール上を走行する移動式のカメラ、ドローンに搭載されたカメラ、その他の任意の形状のロボットに搭載されたカメラを含み得る。また、計測センサー103が赤外線カメラである場合、計測センサー103は、例えば、設備104の外部の過熱部分を検出するために、設備104の外観の静止画を撮影し得る。計測センサー103による画像または映像の撮影周期は、例えば、数時間から日オーダーであってもよい。
データ中継装置102は、1または複数の計測センサー103に接続され、当該1または複数の計測センサー103の各々から計測データを取得する。データ中継装置102は、当該1または複数の計測センサー103から取得した計測データの各々に対して異常判定を行う。また、データ中継装置102は、計測データの組み合わせに対して異常判定を行なう。データ中継装置102は、計測データの種類に応じて、異常判定の方法およびそのパラメータを適宜選択し得る。データ中継装置102は、異常があると判定した計測データまたは計測データの組み合わせに対してタグ(異常判定情報)を付与する。
異常判定の方法は、一例として、閾値を用いた異常判定、画像解析による異常検出等を含み得る。計測データが数値データを含む場合、データ中継装置102は、計測データの異常判定の前に、当該計測データに対して、移動平均、欠損データ補完、フーリエ解析による周波数成分の抽出、および、回帰分析によるパラメータ抽出等の統計処理を実行し得る。また、データ中継装置102は、1つの計測データに対して複数の判定処理を実行してもよい。
さらに、データ中継装置102は、計測センサー103から取得した1または複数の計測データと、当該計測データに関連付けたタグ(異常判定情報)とを含むフレームを設備管理装置100に送信する。データ中継装置102は、フレームを個別に設備管理装置100に送信してもよいし、複数のフレームをまとめて設備管理装置100に送信してもよい。ある局面において、データ中継装置102は、一部または全ての計測データに対して異常判定を行なわなくてもよい。例えば、データ中継装置102は、第1の計測データと、第2の計測データとを取得したときに、第1の計測データに対してのみ異常判定を実行してもよい。その場合、データ中継装置102は、例えば、第1の計測データと、第1の計測データに付与された異常判定情報と、第2の計測データとを含むフレームを設備管理装置100に送信する。
ある局面において、データ中継装置102は、PC(Personal Computer)、タブレット、スマートフォン、ワークステーション、組み込みコンピューターを含む専用装置、または、これらの組み合わせであってもよい。また、他の局面において、データ中継装置102は、1または複数の計測センサー103と一体型であってもよい。
設備管理装置100は、1または複数のデータ中継装置102からフレームを受信し、当該フレームを計測データベース101に格納する。ある局面において、データ中継装置102は、フレームを計測データベース101に直接格納してもよい。
設備管理装置100は、当該1または複数のデータ中継装置102から取得したフレームの各々に対して異常判定を行う。より具体的には、設備管理装置100は、フレームに含まれる一部または全ての計測データに対して異常判定を行う。また、設備管理装置100は、計測データの組み合わせに対して異常判定を行い得る。その際、データ中継装置102は、計測データの種類に応じて、異常判定の方法およびそのパラメータを適宜選択し得る。設備管理装置100は、異常があると判定した計測データまたは計測データの組み合わせに対してタグ(異常判定情報)を付与する。設備管理装置100が行なう異常判定は、一例として、画像解析を含み得る。他の例として、設備管理装置100は、複数のデータ中継装置102から取得したフレームに含まれる計測データの組み合わせに対する異常判定等、データ中継装置102では実行し得ない異常判定を行なってもよい。
設備管理装置100は、PC、タブレット、スマートフォン、ワークステーション、クラスター、クラウド環境上で構築された仮想マシン、組み込みコンピューター等を含む専用装置、または、これらの組み合わせであってもよい。
計測データベース101は、計測データと、当該計測データと関連付けられたタグ(異常判定情報)とを格納する。計測データは、保守員による検索を容易にするために、設備毎の障害種別、メーカー、機種の型式・製造年、機器の稼働開始年度・経年、および、設置条件(機器が設置される変電所、海辺等の環境条件等)等の任意の情報を含んでいてもよい。障害種別は、設備104が変圧器であれば、例えば、絶縁破壊に結びつく障害事象(部分放電、分解ガス発生、巻線過熱、漏油)、ガス絶縁開閉装置(GIS(Gas Insulated Switchgear))の障害事象(ガス遮断器、真空遮断器、油遮断器、空気遮断器)、短絡・地絡に結びつく障害事象(部分放電、異物発生、ノズル消耗・損傷)、および、開閉不能に結びつく障害事象(タンク亀裂、フィルタ目詰まり、漏油・油量低下、油圧・空気圧低下)等を含み得る。
ある局面において、計測データベース101は、リレーショナルデータベースとして表現されてもよいし、キーバリュー型またはドキュメント型等のNoSQL(Not only Structured Query Language)の形式で表現されてもよい。また、他の局面において、計測データベース101は、JSON(JavaScript(登録商標) Object Notation)等の他の任意のデータ形式で表現されてもよい。
ネットワーク110は、設備管理装置100と、計測データベース101と、データ中継装置102と、計測センサー103とを相互に接続し、各機器間でのデータの送受信を可能にする。ある局面において、ネットワーク110は、イーサーネット(登録商標)等を含むローカルエリアネットワークであってもよい。その場合、ネットワーク110に接続された各機器は、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)、UDP(User Datagram Protocol)等の通信プロトコルを用いてデータを送受信し得る。
上記のように、設備管理システム10は、計測データに対して、データ中継装置102および設備管理装置100の両方において、異常判定を行なう。また、設備管理システムは、計測データと、当該計測データに関連付けられたタグ(異常判定情報)とを計測データベース101に保存する。施設の保守員は、これらのタグ(異常判定情報)を検索キーとして用いることで、設備104の異常に関係がある計測データを容易に検索することができる。
図2は、本実施の形態に従う設備管理システムの構成の他の例を示す図である。図2に示す設備管理システムにおいて、設備管理装置100および計測データベース101は、施設200の外部に設置されている。ある局面において、設備管理装置100および計測データベース101は、サーバーまたはクラウド環境上で構築された仮想マシンであってもよく、広域ネットワーク230を介して、施設200のゲートウェイ装置220と接続され得る。
データ中継装置102は、設備管理装置100ではなく、フレームをゲートウェイ装置220に送信する。ゲートウェイ装置220は、受信したフレームを施設200の外部にある設備管理装置100または計測データベース101に送信する。
設備管理装置100および計測データベース101は、広域ネットワーク230を介して、複数の施設と接続されていてもよい。この場合、例えば、設備管理装置100および計測データベース101は、各施設のゲートウェイ装置220から、フレームを収集し得る。
図3は、本実施の形態に従う設備管理システム10における各機器の機能構成の一例を示す図である。図3に示す機能構成の一部または全てはハードウェア、ソフトウェア、または、これらの組み合わせにより実現されてもよい。
データ中継装置102は、1または複数のデータ収集部301と、計測データベース302と、異常検知部303と、異常判定ルールベース304と、アラーム送信部305とを含む。設備管理装置100は、データ収集部306と、計測データベース307と、異常判定ルール更新部308と、異常判定ルールの更新のためのルールベース309と、異常判定ルール送信部310とを備える。
データ収集部301は、計測センサー103から計測データを受信する。計測データは、アナログデータ、デジタルデータ、画像データ、映像データ、音データ、またはこれらの組み合わせであってもよい。ある局面において、データ収集部301は、計測センサー103から、計測データに加えて、計測センサー103を識別する識別子を取得してもよい。他の局面において、計測センサー103は、受信した計測データに、計測センサー103を識別する識別子を付与してもよい。データ中継装置102は、複数のデータ収集部301を備える場合、各データ収集部301に接続される計測センサー103の識別子をメモリー(図示せず)に格納していてもよい。
計測データベース302は、データ収集部301が受信した計測データを格納する。異常検知部303は、データ収集部301または計測データベース302から、計測データを取得する。また、異常検知部303は、異常判定ルールベース304から、計測データの種類ごとの異常判定ルールを取得する。異常検知部303は、当該異常判定ルールに基づいて、計測データに対する異常判定を実行する。異常検知部303は、計測データに異常があると判定した場合、当該計測データにタグ(異常判定情報)を付与する。異常検知部303は、1つの計測データに対する異常判定と、複数の計測データの組み合わせに対する異常判定とを実行し得る。
アラーム送信部305は、計測データおよびタグ(異常判定情報)をフレームに含めて、当該フレームを設備管理装置100に送信する。ある局面において、アラーム送信部305は、タグ(異常判定情報)が付与された計測データのみを設備管理装置100に送信してもよい。他の局面において、アラーム送信部305は、タグ(異常判定情報)が付与されていない計測データを設備管理装置100に送信してもよい。また、他の局面において、アラーム送信部305は、正常を示すタグが付与された計測データを設備管理装置100に送信してもよい。
データ収集部306は、データ中継装置102から、フレームを受信する。計測データベース307は、データ収集部306が受信したフレームに含まれる計測データおよびタグ(異常判定情報)を格納する。ある局面において、計測データベース307は、タグ(異常判定情報)が付与された計測データ(異常データ)のみを格納してもよい。他の局面において、計測データベース307は、タグ(異常判定情報)が付与されていない計測データ(正常データ)、または、正常を示すタグが付与された計測データを格納してもよい。設備管理装置100は、例えば、正常データを異常データとの比較のために使用し得る。
異常判定ルール更新部308は、例えば、設備管理装置100が計測データに付与されたタグ(異常判定情報)を変更する操作等を受け付けたことに基づいて、異常判定ルールを更新し得る。その際、異常判定ルール更新部308は、異常判定ルールの更新のためのルールベース309を参照し得る。異常判定ルールの更新のためのルールベース309は、例えば、受け付けた操作の回数または/および操作の種類等によって、異常判定ルールをどのように更新するのか等のルールを含み得る。異常判定ルール更新部308が更新するルールは、データ中継装置102が使用する異常判定ルールと、設備管理装置100が使用する異常判定ルールとを含む。
異常判定ルール送信部310は、データ中継装置102に、データ中継装置102が使用する異常判定ルールの更新情報を送信する。データ中継装置102は、当該更新情報を受信したことにも基づいて、異常判定ルールベース304を更新する。なお、設備管理装置100が使用する異常判定ルールの更新情報は、設備管理装置100内部で異常判定ルールの更新のために使用される。
図4は、データ中継装置102の計測データの処理手順の一例を示す図である。図4を参照して、計測センサー103A,103B,103Cに接続されたデータ中継装置102における計測データの処理手順について説明する。データ中継装置102は、計測センサー103A,103B,103Cの各々から、計測データ(1),(2),(3)を受信したとする。
フロー400Aは、計測データ(1)に関連する処理である。フロー400Bは、計測データ(2)に関連する処理である。フロー400Cは、計測データ(3)に関連する処理である。データ中継装置102は、これらのフロー400A,400B,400Cを並列的に実行してもよいし、逐次実行してもよい。
ステップS410において、データ中継装置102は、計測センサー103から受信した計測データに対して、異常判定を実行する。データ中継装置102は、計測データに異常があると判定した場合(ステップS410にてYES)、計測データに異常判定情報のフラグを付与して、制御をステップS420に移す。そうでない場合(ステップS410にてNO)、データ中継装置102は、計測データに異常判定情報のフラグを付与せずに、制御をステップS420に移す。
ステップS420において、データ中継装置102は、計測センサー103から受信した計測データの任意の組み合わせに対して、異常判定を実行する。一例として、データ中継装置102は、フロー400AのステップS420において、計測データ(1),(2),(3)の組み合わせについて異常判定を実行してもよい。また、他の例として、データ中継装置102は、フロー400BのステップS420において、計測データ(2),(3)の組み合わせについて異常判定を実行してもよい。
データ中継装置102は、例えば、ガス圧の計測データおよび温度の計測データの組み合わせに対して異常判定処理を行なってもよい。このように、データ中継装置102は、計測データの任意の組み合わせに対する異常判定を行なうことで、1つの計測データのみでは判別できない設備104の異常を検出し得る。ある局面において、データ中継装置102は、計測データの組み合わせの処理が不要である場合、ステップS420の処理を実行しなくてもよい。
データ中継装置102は、計測データの組み合わせに異常があると判定した場合(ステップS420にてYES)、計測データの組み合わせに異常判定情報のフラグを付与して、制御をステップS430に移す。そうでない場合(ステップS420にてNO)、データ中継装置102は、計測データの組み合わせに異常判定情報のフラグを付与せずに、制御をステップS430に移す。
ステップS430において、データ中継装置102は、ステップS410,S420にて計測データに付与されたフラグに対応するタグ(異常判定情報)を計測データに付与する。ある局面において、ステップS430の処理は、ステップS410,S420の処理に含まれていてもよい。
ステップS440において、データ中継装置102は、1または複数の計測データ、計測データおよび/または計測データの組み合わせに対して付与されたタグ(異常判定情報)を含むフレームを生成し、当該フレームを設備管理装置100に送信する。ある局面において、データ中継装置102は、画像および/または映像等の一部の計測データに関して異常判定を行なわずに、これらの計測データを設備管理装置100に送信してもよい。
図5は、データ中継装置102が生成するフレーム500の構成の一例を示す図である。フレーム500は、計測データ501と、データ中継装置ID(Identifier)502と、計測センサーID503と、タイムスタンプ504と、異常判定情報505と、異常判定情報506とを含む。
計測データ501は、データ中継装置102が計測センサー103から受信した1または複数の計測データを含む。データ中継装置ID502は、フレーム500を生成したデータ中継装置102を一意に識別する。計測センサーID503は、フレーム500に含まれる計測データ501を出力した計測センサー103を一意に識別する。ある局面において、計測データ501が複数の計測データを含む場合、計測センサーID503は、各計測データを出力した計測センサー103の各々のIDを含み得る。
タイムスタンプ504は、フレーム500が生成されたタイミングまたは送信されるタイミングのタイムスタンプを含み得る。異常判定情報505は、単一の計測データに関連付けられたタグ(異常判定情報)である。異常判定情報505は、ステップS410の異常判定処理に関連する情報である。ある局面において、異常判定情報505は、1または複数のタグを含んでいてもよい。異常判定情報506は、複数の計測データの組み合わせに関連付けられたタグ(異常判定情報)である。異常判定情報506は、ステップS420の異常判定処理に関連する情報である。ある局面において、異常判定情報506は、1または複数のタグを含んでいてもよい。
図6は、設備管理装置100のフレームの処理手順の一例を示す図である。図6を参照して、設備管理装置100におけるフレームの処理手順について説明する。設備管理装置100は、1または複数のデータ中継装置102から、フレーム(1),(2),(3)を受信したとする。
フロー600Aは、フレーム(1)に関連する処理である。フロー600Bは、フレーム(2)に関連する処理である。フロー600Cは、フレーム(3)に関連する処理である。設備管理装置100は、これらのフロー600A,600B,600Cを並列に実行してもよいし、逐次実行してもよい。
ステップS610において、設備管理装置100は、計測センサー103から受信したフレームに含まれる計測データまたは複数の計測データの組み合わせに対して、異常判定を実行する。設備管理装置100は、計測データまたは複数の計測データの組み合わせに異常があると判定した場合は(ステップS610にてYES)、計測データまたは複数の計測データの組み合わせにタグ(異常判定情報)を付与して、制御をステップS620に移す。そうでない場合(ステップS610にてNO)、設備管理装置100は、計測データにタグ(異常判定情報)を付与せずに、制御をステップS620に移す。
一例として、設備管理装置100は、1つのフレーム、例えばフレーム(1)、に含まれる計測データの組み合わせについて異常判定を実行してもよい。また、他の例として、設備管理装置100は、複数のフレーム、例えばフレーム(1)および(2)、に含まれる計測データの組み合わせについて異常判定を実行してもよい。
一例として、設備管理装置100は、ある設備104を異なる角度から撮像した画像データを組み合わせて異常判定することにより、より正確に設備104の異常を検出し得る。また、他の例として、設備管理装置100は、センサーによる数値データと、画像データとを組み合わせて異常判定することにより、より正確に設備104の異常を検出し得る。
ステップS620において、設備管理装置100は、計測データベース101から画像解析等における学習モデルを取得して、当該学習モデルを用いて、計測センサー103から受信したフレームに含まれる計測データまたは複数の計測データの組み合わせに対して、異常判定を実行する。
設備管理装置100は、計測データまたは複数の計測データの組み合わせに異常があると判定した場合は(ステップS620にてYES)、計測データまたは複数の計測データの組み合わせにタグ(異常判定情報)を付与して、制御をステップS630に移す。そうでない場合(ステップS620にてNO)、設備管理装置100は、計測データにタグ(異常判定情報)を付与せずに、制御をステップS630に移す。ある局面において、設備管理装置100は、ステップS610の処理またはステップS620の処理のいずれかのみを実行してもよい。
設備管理装置100は、ステップS620の最後に、計測データと、当該計測データに関連付けられたタグ(異常判定情報)とを計測データベース101に格納する。また、設備管理装置100は、複数の計測データの組み合わせと、当該複数の計測データの組み合わせに関連付けられたタグとを計測データベース101に格納する。
ステップS630において、設備管理装置100は、タグ(異常判定情報)の検索または修正処理の入力を受け付ける。施設の保守員は、データ中継装置102にて計測データに付与されたタグ(異常判定情報)と、設備管理装置100にて計測データに付与されたタグ(異常判定情報)とを検索キーとして、設備104の異常に関連するデータを容易に検索することができる。
設備管理装置100は、タグ(異常判定情報)の検索または修正処理の入力を受け付けたことに基づいて、データ中継装置102および/または設備管理装置100において使用される異常判定ルール、または学習モデルを更新し得る。ある局面において、設備管理装置100は、ある計測データのタグ(異常判定情報)の削除または修正の処理を受け付けたことに基づいて、当該計測データに関連する異常判定ルールを更新してもよい。当該更新処理により、設備管理装置100は、熟練の施設の保守員の判断基準を学習して、当該判断基準を異常判定ルールに反映し得る。
ステップS640において、設備管理装置100は、設備保存アクションを実行する。設備保存アクションは、各設備の動作設定を変更すること等を含む。ある局面において、設備管理装置100は、設備保存アクションの実行命令の入力を受け付けたことに基づいて、設備保存アクションを実行してもよい。他の局面において、設備管理装置100は、計測データベース101に蓄積されたタグ(異常判定情報)に基づいて、設備保存アクションを実行してもよい。
次に、図4および図6を参照して、設備104の1つであるガス遮断器を例に、データ中継装置102および設備管理装置100の各々における、計測データの異常判定の一連の流れについて説明する。ガス遮断器は、内部に封入されているSF6ガス(六フッ化硫黄)を密封するためのシールを備える。当該シールが劣化することにより、ガス遮断器の内部ガス圧は低下する。
まず、データ中継装置102における計測データの異常判定について説明する。データ中継装置102(1)は、ガス遮断器に取り付けられたガス圧力センサーと、温度センサーとに接続されているとする。データ中継装置102(2)は、ガス遮断器の外観監視のための監視カメラに接続されているとする。ガス圧力センサー、温度センサー、および、監視カメラはいずれも計測センサー103に相当する。
データ中継装置102(1)は、ガス圧力センサーから、計測データとして、ガス遮断器のガス圧を受信する。また、データ中継装置102(1)は、温度センサーから、ガス遮断器のタンク温度を受信する。
データ中継装置102(1)は、受信したガス圧およびタンク温度の各々に対する異常判定に加えて、ガス圧およびタンク温度の組み合わせに対しても異常判定を行なう。データ中継装置102(1)は、受信したガス圧およびタンク温度から、補正ガス圧を算出する。データ中継装置102(1)は、補正ガス圧力が、予め定められた閾値以下であると判定した場合、計測データ(ガス圧及びタンク温度の組み合わせ)に、ガス圧異常のタグ(異常判定情報)を付与する。
ある局面において、タグ(異常判定情報)は,設備104の各状態を示す数値または記号(正常は0,ガス圧異常は1,部分放電異常は2等)を含んでいてもよい。データ中継装置102(1)は、計測データ(ガス圧及びタンク温度の組み合わせ)および当該計測データに関連付けられたタグ(ガス圧異常のタグ)をフレームに含めて、当該フレームを設備管理装置100に送信する。
ガス遮断器のガス圧の正常値の範囲はタンク温度によって異なることがある。そのため、データ中継装置102は、上記のように、ガス圧およびタンク温度から補正ガス圧を算出し、当該補正ガス圧(複数の計測データの組み合わせ)に対して、異常判定を実行することにより、より正確にガス遮断器のガス圧の状態を判定することができる。
データ中継装置102(2)は、監視カメラから、予め定められた間隔で画像データを受信する。ある局面において、データ中継装置102(2)は、監視カメラから、映像データ、または、画像データと映像データの組み合わせを受信してもよい。データ中継装置102(2)は、画像解析等により、受信した画像データの異常判定を実行する。データ中継装置102(2)は、画像データに異常があると判定したことに基づいて、画像データにタグ(外観異常のタグ)を付与する。ある局面において、設備管理装置100が画像データの異常判定を実行してもよい。
データ中継装置102(2)は、計測データ(画像データ)および当該計測データに関連付けられたタグ(外観異常のタグ)をフレームに含めて、当該フレームを設備管理装置100に送信する。
設備管理装置100は、第1のフレームとして、データ中継装置102(1)から計測データの組み合わせ(ガス圧及びタンク温度)に、ガス圧異常のタグ(異常判定情報)を受信する。設備管理装置100は、第2のフレームとして、データ中継装置102(2)から計測データ(画像データ)および当該計測データに関連付けられたタグ(外観異常のタグ)を受信する。
設備管理装置100は、これら第1のフレームおよび第2のフレームの各々に含まれる計測データの組み合わせに対して、異常判定を実行する。例えば、ガス遮断器の補正ガス圧に応じて、画像データの外観異常判定の適切な閾値は変化する場合がある。そのため、設備管理装置100は、複数のフレームに含まれる計測データの組み合わせに対して、異常判定処理を実行する。例えば、設備管理装置100は、計測データの組み合わせに異常があると判定したことに基づいて、計測データ(ガス圧、タンク温度および画像データの組み合わせ)に、タグ(ガス圧異常)を付与し、当該計測データおよびタグ(異常判定情報)を計測データベース101に格納する。
施設の保守員は,各計測データに付与されたタグ(異常判定情報)に基づいて、計測データベース101を検索することができる。ある局面において、保守員は、設備管理装置100に備え付けられた入力装置を介して当該検索を実行してもよい。その場合、保守員は、設備管理装置100に備え付けられたディスプレイに表示される検索結果を確認し得る。他の局面において、保守員は、他の機器から検索クエリーを計測データベースに送信してもよい。その場合、保守員は、他の機器に備え付けられたディスプレイに表示される検索結果を確認し得る。
検索の一例として、保守員は、外観異常タグを検索キーとして、画像データ等を検索し得る。保守員は、検索にヒットした画像データ等を目視し、当該画像データに付与されているタグが正しくないと判断した場合は、当該タグを削除し、または修正(外観異常タグを正常タグに変更する等)し得る。
検索の他の例として、保守員は、破損タグを検索キーとして、画像データ等を検索し得る。保守員は、検索にヒットした画像データ等を目視し、当該画像データに付与されているタグが正しくないと判断した場合は、当該タグを削除し、または修正(破損タグを正常タグに変更する等)し得る。
その他にも、保守員は、ある設備について複数のタグ(ガス圧異常、漏油)が関連付けられている場合、これら複数のタグおよび画像データを確認することで、容易に設備の異常の原因を究明することができる。
他の例として、データ中継装置102(1)にガス圧センサーが接続されており、データ中継装置102(2)に温度センサーが接続されていてもよい。この場合、設備管理装置100が、データ中継装置102(1)およびデータ中継装置102(2)の各々からフレームを受信し、ガス圧および温度計測データの組み合わせに対する異常判定を実行し得る。
設備管理装置100は、保守員によるタグの修正の入力等に基づいて、データ中継装置102および/または設備管理装置100における異常判定のルールを更新し、異常判定の精度を向上し得る。
図7は、計測データベース101に格納されるデータ構造700の形式の一例を示す図である。図7に例示するデータ構造700は、リレーショナルデータベースのテーブルであるが、データ構造700の実現方法はこれに限られるものではない。ある局面において、データ構造700は、キーバリュー型またはドキュメント型等のNoSQLのデータベースに格納されるデータ形式であってもよい。また、他の局面において、データ構造700は、JSON等の他の任意のデータ形式で表現されてもよい。
データ構造700は、ID701と、取得日702と、取得日時703と、計測データ704と、計測センサーID705と、データ中継装置ID706と、タグ707~709とを含む。
ID701は、データ構造700に含まれるレコードを一意に識別する。取得日702は、レコードが計測データベース101に格納された日付である。取得日時703は、レコードが計測データベース101に格納されたタイミングのタイムスタンプである。
計測データ704は、計測センサー103が出力した計測データである。計測センサーID705は、計測データを出力した計測センサー103を一意に識別する。データ中継装置ID706は、計測データを中継したデータ中継装置102を一意に識別する。
タグ707~709は、データ中継装置102または設備管理装置100にて計測データに付与されたタグ(異常判定情報)である。タグの数は、計測データの異常判定の回数等により増減し得る。そのため、タグの数は、1または複数の任意の数であってもよい。
ある局面において、計測データ704は、計測データの組み合わせを含んでいてもよい。その場合、計測センサーID705、データ中継装置ID706、および/またはタグ707~709の各々も、複数の要素を含んでいてもよい。
図8は、設備管理装置100および/またはデータ中継装置102として使用され得る情報処理装置800の構成の一例を示す図である。情報処理装置800は、CPU(Central Processing Unit)801と、1次記憶装置802と、2次記憶装置803と、外部機器インターフェイス804と、入力インターフェイス805と、出力インターフェイス806と、通信インターフェイス807とを含む。
CPU801は、情報処理装置800の各種機能を実現するためのプログラムを実行し得る。CPU801は、例えば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、例えば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらの組み合わせ等によって構成されてもよい。
1次記憶装置802は、CPU801によって実行されるプログラムと、CPU801によって参照されるデータとを格納する。ある局面において、1次記憶装置802は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)またはSRAM(Static Random Access Memory)等によって実現されてもよい。
2次記憶装置803は、不揮発性メモリーであり、CPU801によって実行されるプログラムおよびCPU801によって参照されるデータを格納してもよい。その場合、CPU801は、2次記憶装置803から1次記憶装置802に読み出されたプログラムを実行し、2次記憶装置803から1次記憶装置802に読み出されたデータを参照する。ある局面において、2次記憶装置803は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)またはフラッシュメモリー等によって実現されてもよい。
外部機器インターフェイス804は、プリンター、スキャナーおよび外付けHDD等の任意の外部機器による接続を受け付け得る。ある局面において、外部機器インターフェイス804は、USB(Universal Serial Bus)端子等によって実現されてもよい。
入力インターフェイス805は、キーボード、マウス、タッチパッドまたはゲームパッド等の任意の入力装置に接続され得る。ある局面において、入力インターフェイス805は、USB端子、PS/2端子およびBluetooth(登録商標)モジュール等によって実現されてもよい。
出力インターフェイス806は、ブラウン管ディスプレイ、液晶ディスプレイまたは有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等の任意の出力装置に接続され得る。ある局面において、出力インターフェイス806は、USB端子、D-sub端子、DVI(Digital Visual Interface)端子およびHDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)端子等によって実現されてもよい。
通信インターフェイス807は、有線または無線のネットワーク機器と接続される。ある局面において、通信インターフェイス807は、有線LAN(Local Area Network)ポートおよびWi-Fi(登録商標)(Wireless Fidelity)モジュール等によって実現されてもよい。他の局面において、通信インターフェイス807は、TCP/IP、UDP等の通信プロトコルを用いてデータを送受信してもよい。
上記のように、本実施の形態に従う設備管理システム10は、データ中継装置102および設備管理装置100の各々において、適宜、計測データおよび計測データの組み合わせに対して異常判定を行なう。当該異常判定処理により、計測データベース101は、様々な角度から検証された計測データと、当該計測データに関連付けられたタグとを格納し得る。保守員は、当該タグを検索キーとして使用することで、設備の故障を容易に発見することができる。
また、設備管理システム10は、保守員からタグの修正の命令の入力を受け付けたことに基づいて、異常判定のルール(閾値)を更新し、当該異常判定のルールをデータ中継装置102および設備管理装置100にて使用する。当該異常判定のルールの更新処理により、設備管理システム10は、計測データの異常判定の精度を向上し得る。
さらに、データ中継装置102は、計測データまたは計測データの組み合わせに対して異常判定を行ない、異常のある計測データのみを設備管理装置100に送信し得る。当該処理により、設備管理システム10は、データ中継装置102および設備管理装置100間の通信トラフィックを抑制し得る。
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内で全ての変更が含まれることが意図される。また、実施の形態および各変形例において説明された開示内容は、可能な限り、単独でも、組合わせても、実施することが意図される。