JP7366675B2 - スラスト軸受装置 - Google Patents
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Description
軸受装置は、発電機と水車の回転体の重量と、回転電機の運転にともなって生じる水スラ
ストを支持している。近年の回転電機の高速大容量化に伴って、運転中の水スラストが回
転体重量の3倍に達する場合もある。
ストカラー2が取り付けられ、その下部には回転板3が設けられている。静止板4の上部
には、静止板4と比較して剛性の低い摺動部材5が取り付けられており、回転板3との摺
動面を形成している。油槽8内には潤滑油が満たされており、上記摺動面を潤滑している
。静止板4は、コイルスプリング6を介して支持板7の上に設けられている。油槽8には
、スラストカラー2の周囲を囲う形でガイド軸受9が支持部材18を介して固定されてい
る。図16は静止板4の配置を示す平面図であり、扇型をした複数の静止板4が、回転軸
1のまわりに放射状に配置されている。
摺動部材5との隙間に潤滑油が巻き込まれて油膜10が形成される。前記隙間は数10~
数100μm程度の狭小隙間であり、そこに回転板3に付着した潤滑油が数10m/sの
高速度で流入するため、油膜10には圧力が発生し、回転軸の重量や運転中の水スラスト
が支持される。静止板4を支持するコイルスプリング6の機能としては以下の2点がある
。
が生じても適切な油膜形状と油膜圧力を維持する。
加わる荷重を均等に維持する。
度を、回転上流側に向かうほど粗くすることがある。図18はその例であり、A列とB列
のコイルスプリング6の個数を図17よりも削減している。このような構成にすると、静
止板の支持剛性が回転上流側に向かうほど低くなり、図18の下図に示すように、回転上
流側から下流側に向かうほど油膜が薄くなるよう静止板4が傾きやすくなる。その結果、
くさび膜効果で油膜圧力発生が促進され、スラスト軸受の負荷容量を向上することができ
る。
のためにはスラスト軸受装置の小型化が有効であるが、小型化のためコイルスプリングの
個数を減らすと、コイルスプリング1個当たりに加わる荷重が大きくなる。しかしながら
、コイルスプリングは構造上、部材の一部に応力集中が起きることがあり、特に運転中に
大きな水スラストが作用すると、材料の強度限界に達して前記(機能1)が損なわれるリ
スクがある。
の平板形状をした板状弾性体により静止板を支持するスラスト軸受装置が提案されている
。板状弾性体は、その構造上応力集中が起きにくく、大きな荷重が加わっても前記(機能
1)を維持できることが特長である。
自由度を持たせるものであり、線材が弾性変形するコイルスプリングと比較して変形量が
小さい。したがって、前記(機能2)の「組み立て誤差を吸収し、運転中に各静止板に加
わる荷重を均等に維持する機能」については、コイルスプリングよりも不利であり、組み
立て誤差の管理をより厳しく行う必要がある。
に耐えうるという従来技術の長所を維持しつつ、組み立て誤差を吸収しにくいという従来
技術の短所を解決することである。
面と凹部の底面との接触部分以外は接触しない程度に凸部がたわみ、立軸型回転電機が運転され、回転板から受ける荷重が増加する過程で、静止板の面と板状弾性体の面のうち、対向する面同士が全面で接触する程度に凸部がたわむような弾性力を凸部が有するスラスト軸受装置を提供する。
できなかった課題、すなわち、回転板から大きな荷重が加わった場合でも静止板を弾性支
持することと、組み立て誤差を吸収することを同時に解決することができる。
(構成)
図1は、第1実施形態のスラスト軸受装置である。本実施形態は従来技術のスラスト軸受
装置(図17)におけるコイルスプリングを、板状弾性体に置き換えた軸受装置を前提と
している。図1において、回転板3と対向する静止板4は、板状弾性体11で支持されて
いる。板状弾性体11の材料としては、金属よりも弾性変形しやすいゴムや樹脂などが考
えられる。板状弾性体11の上面に凸部12を設け、静止板4の下面のうち凸部12と対
向する位置に凹部13を設ける。各凸部12の高さはそれと対向する凹部13の深さより
も大きくし、各凸部12の頂面と、対向する凹部13の底面が接触するように、静止板4
を板状弾性体11の上に置く。
その板状弾性体11に凸部12を加工することで実現できる。
と凹部13との接触部分以外は接触しない程度に凸部12がたわむような弾性力を凸部1
2が有し、立軸型回転電機が運転され、回転板3から受ける荷重が増加する過程で、図2
に示すように静止板4と板状弾性体11とが全面で接触する程度に凸部12がたわむよう
な弾性力を凸部12が有している。
図1は、回転電機の組み立て時であって回転電機の静止状態では、静止板4が回転板3か
ら受ける荷重が比較的小さい状態を想定している。各凸部12の高さはそれと対向する凹
部13の深さよりも大きいため、静止板4と板状弾性体11とは全面接触せず、凸部12
の頂面と凹部13の底面だけで接触する。このように狭い面積で部材が接触するため、板
状弾性体の凸部12は容易に変形し得る。
、静止板4が回転板3から受ける荷重が比較的大きい状態を想定している。荷重増加に伴
って凸部12の変形が進行すると、同図のように静止板4と板状弾性体11が全面で接触
する。
回転電機の組み立て時には、スラスト軸受装置に回転体の重量のみ作用する。これは、図
1のように静止板4が回転板3から受ける荷重が比較的小さい状態であり、板状弾性体の
凸部12が容易に変形し得るため、組み立て誤差を吸収することができる。
用することがある。これは、図2のように静止板4が回転板3から受ける荷重が比較的大
きい状態であり、静止板4と板状弾性体11は全面で接触するため、従来技術の板状弾性
体と同等の弾性が得られる。
かつ組み立て誤差も吸収できるような板状弾性体が得られる。
。よって、多数のコイルバネを配置する従来技術のスラスト軸受装置(図17、図18)
と比較して、組み立て作業が容易となる。
(構成)
図3は、静止板単体を水平面内にスライドさせて分解組立を行う構造のスラスト軸受装置
において、スライド方向の一例を示す図である。スラスト軸受装置の保守点検では、回転
軸1を油圧ジャッキ等で浮かせて、静止板4単体を水平面内にスライドさせて分解組立す
ることがある。その場合、静止板4同士の干渉を防止するために、スライド方向16を各
静止板4の外径方向とすれば良い。
いて、静止板4の下面に設ける凹部13、および板状弾性体11の上面に設ける凸部12
を、前記スライド方向16と平行に連続的に伸びる形状とする。
静止板4をスライドさせて分解組立する際、板状弾性体11に加工された凸部12がガイ
ドとなる。
前記ガイドにより、静止板4の分解組立作業が容易となる。
図4aのように、スライド方向16と平行に凸部12が複数不連続的に設けられるように
しても同様の作用と効果が得られる。
(構成)
図5は、第3実施形態のスラスト軸受装置である。本実施形態は従来技術のスラスト軸受
装置(図17)におけるコイルスプリングを、弾性体セグメントに置き換えた軸受装置を
前提としている。図5において、回転板3と対向する静止板4は、複数の弾性体セグメン
ト14で支持されている。各弾性体セグメント14は、上ふた15とその下部の板状弾性
体11から構成され、板状弾性体11の上面に凸部12を設け、上ふた15の下面のうち
凸部12と対向する位置に凹部13を設ける。各凸部12の高さはそれと対向する凹部1
3の深さよりも大きくし、各凸部12の頂面と、対向する凹部13の底面が接触するよう
に、上ふた15を板状弾性体11の上に置く。
13との接触部分以外は接触しない程度に凸部12がたわむような弾性力を凸部12は有
し、立軸型回転電機が運転され、回転板3から受ける荷重が増加する過程で、図6に示す
ように、上ふた15と板状弾性体11とが全面で接触する程度に凸部12がたわむような
弾性力を凸部12が有する。
図5は、静止板4が回転板3から受ける荷重が比較的小さい状態を想定している。各凸部
12の高さはそれと対向する凹部13の深さよりも大きいため、上ふた15と板状弾性体
11とは全面接触せず、凸部12の頂面と凹部13の底面だけで接触する。このように狭
い面積で部材が接触するため、板状弾性体の凸部12は容易に変形し得る。
加に伴って凸部12の変形が進行すると、同図のように上ふた4と板状弾性体11が全面
で接触する。
第1実施形態と同様に、回転板から大きな荷重が加わった場合でも静止板を弾性支持する
ことができ、かつ組み立て誤差も吸収できるような板状弾性体が得られる。
装置(図17、図18)と同等であるが、弾性体セグメントを任意の位置に配置できるの
で、第1実施形態と比較して設計の自由度は大きくなる。
(構成)
図7は、第4実施形態のスラスト軸受装置である。本実施形態は第3実施形態のスラスト
軸受装置を前提としており、弾性セグメント14の設置密度を、回転上流側に向かうほど
粗くする。例えば図7では、図5の第3実施形態のスラスト軸受装置と比較して、A列の
弾性セグメントを撤去し、B列の弾性セグメントの個数を削減している。
静止板4の支持剛性が回転上流側に向かうほど低くなり、図8の下図に示すように、回転
上流側から下流側に向かうほど油膜が薄くなるよう静止板4が傾きやすくなる。その結果
、くさび膜効果で油膜圧力発生が促進される。
油膜圧力発生が促進されると、回転板3と摺動部材5とが接触するリスクが低下し、スラ
スト軸受の負荷容量を向上することができる。
(構成)
図9は、第5実施形態のスラスト軸受装置である。第1実施形態のスラスト軸受装置に対
して、ある凸部12と凹部13の接触面積を、それより下流側に位置する凸部12と凹部
13の接触面積よりも小さくする。例えば図9では、A列<B列<C列<D列の順で、凸
部12と凹部13の接触面積を小さくしている。
凸部12と凹部13の接触面積を小さくすると、凸部12に荷重が加わったときの変形量
は大きくなる。よって本実施形態では、静止板4の支持剛性が回転上流側に向かうほど低
くなり、図8の第4実施形態と同様に、回転上流側から下流側に向かうほど油膜が薄くな
るよう静止板4が傾きやすくなる。その結果、くさび膜効果で油膜圧力発生が促進される
。
油膜圧力発生が促進されると、回転板3と摺動部材5とが接触するリスクが低下し、スラ
スト軸受の負荷容量を向上することができる。
10はその例であり、得られる作用と効果は上記と同様である。
(構成)
図11は、第6実施形態のスラスト軸受装置である。第1実施形態のスラスト軸受装置に
対して、ある凸部12の高さを、それより下流側に位置する凸部12よりも高くする。例
えば図11では、A列>B列>C列>D列の順で、凸部12を高くしている。
凸部12を高くすると、凸部12に荷重が加わったときの変形量は大きくなる。よって本
実施形態では、静止板4の支持剛性が回転上流側に向かうほど低くなり、図8の第4実施
形態と同様に、回転上流側から下流側に向かうほど油膜が薄くなるよう静止板4が傾きや
すくなる。その結果、くさび膜効果で油膜圧力発生が促進される。
油膜圧力発生が促進されると、回転板3と摺動部材5とが接触するリスクが低下し、スラ
スト軸受の負荷容量を向上することができる。
12はその例であり、得られる作用と効果は上記と同様である。
(構成)
図13は、第7実施形態のスラスト軸受装置である。第1実施形態のスラスト軸受装置に
対して、一部の凸部12の表面に切れ目を加工し、ある凸部12に加工した切れ目の本数
を、それより回転下流側に位置する凸部12よりも多くする。例えば図13では、D列以
外の凸部12に切れ目を加工し、A列>B列>C列の順で、凸部12の切れ目の本数を多
くしている。
凸部12の切れ目の本数を多くすると、凸部12に荷重が加わったときの変形量は大きく
なる。よって本実施形態では、静止板4の支持剛性が回転上流側に向かうほど低くなり、
図8の第4実施形態と同様に、回転上流側から下流側に向かうほど油膜が薄くなるよう静
止板4が傾きやすくなる。その結果、くさび膜効果で油膜圧力発生が促進される。
油膜圧力発生が促進されると、回転板3と摺動部材5とが接触するリスクが低下し、スラ
スト軸受の負荷容量を向上することができる。
14はその例であり、得られる作用と効果は上記と同様である。
2…スラストカラー
3…回転板
4…静止板
5…摺動部材
6…コイルスプリング
7…支持板
8…油槽
9…ガイド軸受
10…油膜
11…板状弾性体
12…凸部
13…凹部
14…弾性体セグメント
15…上ふた
16…静止板の分解組立方向
17…切れ目
18…支持部材
Claims (8)
- 立軸型回転電機に用いられるスラスト軸受装置であり、回転板と対向する静止板が、板状
弾性体で支持された構造のスラスト軸受装置において、
前記静止板に設けられ、底面を有する凹部と、
前記板状弾性体に設けられ、前記凹部に対向し、前記凹部の深さより大きい高さを有し、
前記底面と接触する頂面を有する凸部とを備え、
前記立軸型回転電機が静止した状態では、前記静止板と前記板状弾性体とが、前記凸部の
頂面と前記凹部の底面との接触部分以外は接触しない程度に前記凸部がたわみ、
前記立軸型回転電機が運転され、前記回転板から受ける荷重が増加する過程で、前記静止
板の面と前記板状弾性体の面のうち、対向する面同士が全面で接触する程度に前記凸部がたわむような弾性力を前記凸部が有するスラスト軸受装置。 - 請求項1に記載のスラスト軸受装置において、各静止板を支持する板状弾性体の数を1個
ずつとしたスラスト軸受装置。 - 請求項1に記載のスラスト軸受装置であり、静止板単体を水平面内にスライドさせて分解
組立を行う構造のスラスト軸受装置において、静止板下面に設ける凹部を、前記スライド
方向と平行に連続的に伸びる形状とし、板状弾性体上面に設ける凸部を、前記スライド方
向と平行に連続的に伸びる形状、または前記スライド方向と平行に複数設けられるスラス
ト軸受装置。 - 立軸型回転電機に用いられるスラスト軸受装置において、
回転板と対向する静止板と、
前記静止板を支持し、前記静止板の下面に設けられる上ふたと、前記上ふたの下部の板状
弾性体とから構成され、前記板状弾性体に設けられ頂面を有する凸部と、前記凸部に対向
し、前記上ふたに設けられ前記頂面と接触する底面を有する凹部とを有し、前記凸部の高
さは前記凹部の深さよりも大きくした弾性体セグメントとを備え、
前記立軸型回転電機が静止した状態では、前記上ふたと前記板状弾性体とが、前記凸部の
頂面と前記凹部の底面との接触部分以外は接触しない程度に前記凸部がたわみ、
前記立軸型回転電機が運転され、前記回転板から受ける荷重が増加する過程で、前記上ふ
たの面と前記板状弾性体の面のうち、対向する面同士が全面で接触する程度に前記凸部が
たわむような弾性力を前記凸部が有するスラスト軸受装置。 - 請求項4に記載のスラスト軸受装置において、各静止板を支持する弾性体セグメントの設
置密度を、回転上流側に向かうほど粗くしたスラスト軸受装置。 - 請求項1または請求項4に記載のスラスト軸受装置において、ある凸部と凹部の接触面積
を、それより回転下流側に位置する凸部と凹部の接触面積よりも小さくしたスラスト軸受
装置。 - 請求項1または請求項4に記載のスラスト軸受装置において、ある凸部の高さを、それよ
り回転下流側に位置する凸部よりも高くしたスラスト軸受装置。 - 請求項1または請求項4に記載のスラスト軸受装置において、一部の凸部の表面に切れ目
を加工し、ある凸部に加工した切れ目の本数を、それより回転下流側に位置する凸部より
も多くしたスラスト軸受装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019176178A JP7366675B2 (ja) | 2019-09-26 | 2019-09-26 | スラスト軸受装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019176178A JP7366675B2 (ja) | 2019-09-26 | 2019-09-26 | スラスト軸受装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021055677A JP2021055677A (ja) | 2021-04-08 |
JP7366675B2 true JP7366675B2 (ja) | 2023-10-23 |
Family
ID=75270254
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019176178A Active JP7366675B2 (ja) | 2019-09-26 | 2019-09-26 | スラスト軸受装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7366675B2 (ja) |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS58157020U (ja) * | 1982-04-16 | 1983-10-20 | 株式会社東芝 | 水中スラスト軸受装置 |
JP2000046042A (ja) * | 1998-07-29 | 2000-02-15 | Toshiba Corp | スラスト軸受装置 |
-
2019
- 2019-09-26 JP JP2019176178A patent/JP7366675B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2021055677A (ja) | 2021-04-08 |
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