本明細書には、セレンテラジンを高い収率および良好な純度で製造する合成方法が開示される。また、セレンテラジンおよびセレンテラジン誘導体を含む物品も開示される。代表的な吸収性物品は使い捨て可能なおむつおよび成人用失禁製品を含む。
化学発光は、光を発生し、したがって微光の下および/または光の不在下で、衣服を通して見ることができる湿気の明るい表示を提供する化学反応に起因する。また、化学発光は、フォトルミネッセンス(例えば、蛍光)インジケーターで必要とされるような外部励起光を必要としない。したがって、水性系(例えば、尿)との接触の際に光を発生することにより、開示された実施形態は、暗い条件(例えば、夜間)での浸入の発生を示す吸収性物品の能力を大いに高める。また、衣服を通して見ることができる光を発生することにより、介護者はかかる吸収性物品の幼児または成人の着用者を、例えば睡眠中、動かしたり起こしたりしなければならないことなく、浸入の発生を確かめることができる。
本明細書で提供される物品は夜間衣服を通しての浸入表示の独特な利点を提供し得、介護者が浸入を試験するために(例えば、衣服を引き下ろしたりおよび/または光を当てたりすることにより)吸収性物品を着用するものの睡眠を乱す必要性を低減し、または除外さえし得る。さらに、光(例えば、可視光)は本明細書に開示される化学発光系により発生されるので、浸入が起こったか否か決定するために吸収性物品および/または着用者をUV光に曝露する必要がなく、UV放射線に関連する健康上の懸念が避けられる。化学発光物質を含む物品の例は、例えば米国出願第14/516,255号に記載され、その開示は全体として本明細書に組み込まれる。
本開示の物品は浸入が検出されることができる改良された容易さを提供し、これは必要とされる中断が低下させられるため介護者が浸入をより頻繁にチェックすることが可能になる。より頻繁なチェックは浸入がより早く検出されることを可能にし得、吸収性物品が浸入後早く変化し、これにより浸入が着用者の皮膚に接触する時間の量を低減させ、また着用者の皮膚に接触する流体の多数の浸入の可能性を低下させる。着用者の皮膚の健康および全般的な快適さは流体が皮膚と接触する時間の長さが低減させられるとき改良される。一部の実施形態において、成分量/割合は、ピークを見、次いで一連の浸入の各々の後消失を見る代わりに、一旦吸収性物品中に充分な水が存在したら、発光がある期間(例えば、約24時間、約12時間、約6時間、約3時間、約2時間、約1時間、約30分、約15分、24時間、12時間、6時間、3時間、2時間、1時間、30分、または15分)にわたって比較的不変の強度に(例えば、発光は約30%未満、約20%未満、約10%未満、30%未満、20%未満、または10%未満変化することができる)維持されることができるように較正されることができる。本明細書で使用されるとき、量に関して「約」という単語は述べられた参照数の上下わずかな変動の範囲内の数を示す。例えば、「約」は示された参照数の上下10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%の範囲内の数を意味することができる。一部の実施形態において、「約」は示された参照数の上下5%の範囲内の数を意味する。一部の実施形態において、「約」は示された参照数の上下10%の範囲内の数を意味する。一部の実施形態において、「約」は示された参照数の上下1%の範囲内の数を意味する。
セレンテラジンの合成
一態様において、本開示は、セレンテラジンを製造する方法であって、セレンテラミンまたはその塩を保護された1,1-ジエトキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン-2-オンとカップリングさせる工程;またはセレンテラミンまたはその塩を1,1-ジエトキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン-2-オン(14)とカップリングさせてセレンテラジンまたはその塩を提供する工程を含む、方法を特徴とする。
別の態様において、本開示は、セレンテラジンを製造する方法であって、セレンテラミンまたはその塩を保護された1,1-ジメトキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン-2-オン(例えば、シリルで保護された1,1-ジメトキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン-2-オン)とカップリングさせてセレンテラジンまたはその塩を提供する工程を含む、方法を特徴とする。
別の態様において、本開示は、セレンテラジンを製造する方法であって、4-(5-アミノ-6-ベンジルピラジン-2-イル)フェノール(セレンテラミン)を3-(4-(ベンジルオキシ)フェニル)-2-オキソプロパナールとカップリングさせて8-ベンジル-2-(4-(ベンジルオキシ)ベンジル)-6-(4-ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2-α]ピラジン-3(7H)-オンを提供する工程と;8-ベンジル-2-(4-(ベンジルオキシ)ベンジル)-6-(4-ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2-α]ピラジン-3(7H)-オンを脱保護して8-ベンジル-2-(4-ヒドロキシベンジル)-6-(4-ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2-α]ピラジン-3(7H)-オン(セレンテラジン)を提供する工程を含む、方法を特徴とする。
セレンテラミンは以下に概要が述べられるようにいろいろな経路によって製造されることができる。方法は良好な収率で、かつ良好な純度でセレンテラジンを提供することができる。
セレンテラミン合成
一部の実施形態において、セレンテラミンは、最初に(a1)3-ベンジルピラジン-2-アミン(25)をN-ブロモスクシンイミドと反応させて3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)またはその塩を提供する工程により;または(a2)3,5-ジブロモピラジン-2-アミンおよび(ブロモメチル)ベンゼンを亜鉛、ヨウ素、およびパラジウム触媒の存在下で反応させて3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)またはその塩を提供する工程により製造される。工程(b)において、3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)が次いで2つの逐次ステップで反応させられて4-(5-アミノ-6-ベンジルピラジン-2-イル)フェノール(7)(セレンテラミン)を提供する。
(a1)3-ベンジルピラジン-2-アミン(25)とN-ブロモスクシンイミドの反応はCHCl3(クロロホルム)のような有機溶媒中、室温(例えば、約22℃~23℃、22℃~23℃、または22℃)、大気圧(すなわち、約1atm、または1atm)で行なわれることができる。反応が完了したら、反応混合物は水で洗浄されることができ、3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)は有機溶媒を減圧下で除去することにより単離されることができる。一部の実施形態において、(a1)は3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)を3-ベンジルピラジン-2-アミン(25)に対して約60%~約85%(例えば、60%~85%)の収率および少なくとも約85%の純度(例えば、約85%~約95%の純度、約85%~約100%の純度、85%~95%の純度、または85%~100%の純度)で提供する。本明細書で使用されるとき、%収率はモル%収率を意味すると理解される。本明細書で使用されるとき、所与の化合物の純度(所与の化合物の%収率に伴われるとき)はモル%収率に基づいて計算された純粋な化合物の質量に対する重量パーセント純度を意味する。
一部の実施形態において、(a2)のパラジウム触媒は二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)である。パラジウム触媒は3,5-ジブロモピラジン-2-アミンに対して約5~約10モルパーセント(例えば、5~10モルパーセント)の量で存在することができる。一部の実施形態において、(a2)は約1:2~約1:3モル当量(例えば、1:2~1:3モル当量)の3,5-ジブロモピラジン-2-アミン対(ブロモメチル)ベンゼンを含む。(a2)は3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)を3,5-ジブロモピラジン-2-アミンに対して約55%~約75%(例えば、55%~75%)の収率、約80%~約95%(80%~95%)の純度で提供することができる。一部の実施形態において、(a2)は3,5-ジブロモピラジン-2-アミンと(ブロモメチル)ベンゼンを約18時間~約30時間(例えば、18時間~30時間)の間、反応させることを含む。3,5-ジブロモピラジン-2-アミンと(ブロモメチル)ベンゼンの反応は約25~約40℃(例えば、25~40℃)の温度、約1atm(例えば、1atm)の圧力で起こり得る。
一部の実施形態において、工程(b)は3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)を4-メトキシフェニルボロン酸(4)とパラジウム触媒の存在下で反応させて3-ベンジル-5-(4-メトキシフェニル)ピラジン-2-アミン(5)またはその塩を提供する、第1のステップを含む。パラジウム触媒はパラジウム(0)触媒、例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)であることができる。パラジウム触媒は3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)に対して約5~約10重量パーセント(例えば、5~10重量パーセント)の量で存在することができる。(b)の第1のステップは約1:1~約1:1.3モル当量の3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)対4-メトキシフェニルボロン酸(4)を含むことができる。一部の実施形態において、3-ベンジル5-ブロモピラジン-2-アミン(2)および4-メトキシフェニルボロン酸(4)は約120分~約300分(例えば、120分~300分)の間、一緒に反応させられる。3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)および4-メトキシフェニルボロン酸(4)は約60℃~約90℃(例えば、60℃~90℃)の温度および大気圧(すなわち、約1atm、または1atmの圧力)で一緒に反応させられることができる。(b)の第1のステップは3-ベンジル-5-(4-メトキシフェニル)ピラジン-2-アミン(5)またはその塩を3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)に対して約60%~約85%(例えば、60%~85%)の生成物の収率、約80~約95%(すなわち、80%-95%純粋な生成物の60%~85%の収率)の純度で提供することができる。本明細書で使用されるとき、所与の純度範囲での収率は記載される純度範囲を有する生成物の収率を意味する。
或いは、一部の実施形態において、(b)は3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)を(4-メトキシフェニル)ボロン酸とパラジウム触媒(例えば、パラジウム(II)触媒、例えば二塩化ビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II))の存在下で反応させて3-ベンジル-5-(4-メトキシフェニル)ピラジン-2-アミン(5)またはその塩を提供する、第1のステップを含む。パラジウム(II)触媒は3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)に対して約5~約10(例えば、5~10)モルパーセントの量で存在することができる。反応混合物はさらに1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタンを、例えば3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)に対して約5~約10(例えば、5~10)モルパーセントの量で含むことができる。一部の実施形態において、反応混合物はさらにトルエン、水性炭酸ナトリウム、およびエタノールを含む。3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)は(4-メトキシフェニル)ボロン酸と約200分~約350分(例えば、200~350分)の間、および/または約80~約110℃(例えば、80~100℃)の温度および約1atm(例えば、1atm)の圧力で反応させられることができる。パラジウム(II)触媒が使用されるとき、3-ベンジル-5-(4-メトキシフェニル)ピラジン-2-アミン(5)は3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)に対して約65%~約85%(例えば、65%~85%)の収率で提供されることができる。3-ベンジル-5-(4-メトキシフェニル)ピラジン-2-アミン(5)は、反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出することにより単離されることができる。酢酸エチル抽出物は抽出物から減圧下で除去されて3-ベンジル-5-(4-メトキシフェニル)ピラジン-2-アミン(5)を提供することができる。
3-ベンジル-5-(4-メトキシフェニル)ピラジン-2-アミン(5)またはその塩は、パラジウム(0)またはパラジウム(II)触媒で得られたかどうかにかかわりなく、3-ベンジル-5-(4-メトキシフェニル)ピラジン-2-アミン(5)を塩酸塩として沈殿させることにより単離されることができる。沈殿は、面倒で、費用がかかり、かつ時間がかかる可能性があるカラムクロマトグラフィーを除外することができるので有利であり;および/またはカラムクロマトグラフィーと比べて収率を増大することもできる。一部の実施形態において、3-ベンジル-5-(4-メトキシフェニル)ピラジン-2-アミン(5)の単離はクロマトグラフィー(例えば、液体クロマトグラフィー)を含まず、再結晶を含まず、またはクロマトグラフィーおよび再結晶を含まない。一部の実施形態において、3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)と(4-メトキシフェニル)ボロン酸の反応からの反応混合物は塩化ナトリウム水溶液(例えば、重量で約20%(例えば、20%)の塩化ナトリウム溶液)で希釈され、酢酸エチルで抽出される。酢酸エチル抽出物は次いでHCl水溶液(例えば、約3N(例えば、3N)HCl(aq)溶液)で処理されることができ、3-ベンジル-5-(4-メトキシフェニル)ピラジン-2-アミン塩酸塩生成物(5)はろ過により約75%~約95%(例えば、75%~95%)の純度で単離されることができる。
一部の実施形態において、(b)はさらに3-ベンジル-5-(4-メトキシフェニル)ピラジン-2-アミン(5)またはその塩を脱保護して4-(5-アミノ-6-ベンジルピラジン-2-イル)フェノール(7)(セレンテラミン)を提供する、第2のステップを含む。脱保護は3-ベンジル-5-(4-メトキシフェニル)ピラジン-2-アミン(5)を塩化ピリジニウムにさらすことを含むことができる。塩化ピリジニウムでの処理は約180~約220℃(例えば、180~220℃、または200℃)の昇温、大気圧で進行することができる。一部の実施形態において、昇温は反応混合物からの蒸発により塩化ピリジニウムを反応混合物から分離させることができる。或いは、ある特定の実施形態において、脱保護は3-ベンジル-5-(4-メトキシフェニル)ピラジン-2-アミン(5)をN,N’-ジメチル-ホルムアミド(DMF)中の水素化ナトリウムおよびエタンチオールにさらすことを含むことができる。水素化ナトリウムおよびエタンチオールによりDMF中で処理されるとき、反応混合物は約90℃~約120℃(例えば、約100℃~110℃、90℃~120℃、または100℃~110℃)の温度で、および/または約15分~約5時間(例えば、約30分~約2時間、約30分~約1時間、30分~2時間、30分~1時間、または30分)の期間であることができる。反応が完了したら、混合物は約30℃~約50℃(例えば、約35℃~約45℃、約40℃、35℃~45℃、または40℃)に冷却され、水および有機溶媒(例えば、酢酸エチル)で抽出されることができる。次いで有機層は分離され、還流され、次いで約5℃~20℃(例えば、約10℃~15℃、5℃~20℃、または10℃~15℃)に冷却されることができ、4-(5-アミノ-6-ベンジルピラジン-2-イル)フェノール(7)(セレンテラミン)はろ過により単離されることができる。両方の脱保護方法において、セレンテラミンは任意に、水性の水酸化ナトリウム/ジオキサン溶液で洗浄し、活性炭/シリカと共に撹拌し、ろ過に続いてろ液の酸性化により沈殿させ、沈殿させられた生成物のろ過による単離によって精製されることができる。脱保護は、4-(5-アミノ-6-ベンジルピラジン-2-イル)フェノール(7)(セレンテラミン)を、3-ベンジル-5-(4-メトキシフェニル)ピラジン-2-アミン(5)に対して約90%~約100%(例えば、90%~100%、少なくとも約95%、少なくとも95%、少なくとも約98%、少なくとも98%、少なくとも約99%、または少なくとも99%)の収率、約85%~約100%(例えば、85%~100%、約90%、または90%)の純度で提供することができる。
一部の実施形態において、セレンテラミンの合成が、(a)3,5-ジブロモピラジン-2-アミンと(ブロモメチル)ベンゼンを亜鉛、ヨウ素、および第1のパラジウム触媒の存在下で反応させて3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)を提供する工程と;(b)3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)を4-メトキシフェニルボロン酸(4)とパラジウム触媒の存在下第1のステップで反応させて3-ベンジル-5-(4-メトキシフェニル)ピラジン-2-アミン(5)の塩酸塩を提供し、3-ベンジル-5-(4-メトキシフェニル)ピラジン-2-アミン(5)の塩酸塩を第2のステップで脱保護して4-(5-アミノ-6-ベンジルピラジン-2-イル)フェノール(7)(セレンテラミン)を提供する工程とによって行われる。
一部の実施形態において、セレンテラミンの合成が、ピラジン-2-アミンを塩化ベンジルと反応させて3-ベンジルピラジン-2-アミンを提供する工程と;3-ベンジルピラジン-2-アミン(25)をN-ブロモスクシンイミドと反応させて3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)を提供する工程と;3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)を2つの逐次ステップで反応させて4-(5-アミノ-6-ベンジルピラジン-2-イル)フェノール(7)(セレンテラミン)を提供する工程とによって行われる。3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)からセレンテラミンを提供する2つの逐次ステップは、3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)をシリルで保護された4-ブロモフェノールとマグネシウムおよびパラジウム触媒の存在下で反応させてシリルで保護された4-(5-アミノ-6-ベンジルピラジン-2-イル)フェノールを提供する、第1のステップを含むことができる。一部の実施形態において、パラジウム触媒はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)であり、これは3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)に対して重量で1パーセント以上(例えば、2パーセント以上、3パーセント以上、4パーセント以上、5パーセント以上、6パーセント以上、7パーセント以上、8パーセント以上、または9パーセント以上)および/または10パーセント以下(例えば、9パーセント以下、8パーセント以下、7パーセント以下、6パーセント以下、5パーセント以下、4パーセント以下、3パーセント以下、または2パーセント以下)の量で存在することができる。例えば、100グラムの3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)毎に、1~10グラム(例えば、1グラム、2グラム、3グラム、または5グラム)のパラジウム触媒が使用されることができる。一例として、100グラムの3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)毎に、1グラムのパラジウム触媒が使用されることができる。2つの逐次ステップは、例えばシリルで保護された4-(5-アミノ-6-ベンジルピラジン-2-イル)フェノールを水性HClにさらすことにより、シリルで保護された4-(5-アミノ-6-ベンジルピラジン-2-イル)フェノールを脱保護して4-(5-アミノ-6-ベンジルピラジン-2-イル)フェノール(7)を提供する、第2のステップを含むことができる。この合成手順は、合成の第1の工程において、トルエン中のn-ブチルリチウム反応を塩化ベンジルおよびTHF(テトラヒドロフラン)で置き替えることにより、n-ブチルリチウムの使用を低減または除外する。こうして、この合成は反応化学をスケールアップする能力を提示し、合成のコストを低減することができる。さらに、変化は非常に反応性の材料をより安定な材料に置き替えることにより化学の全体の安全性を改良することができる。合成におけるボロン酸化合物の省略は反応における高価なパラジウム触媒の量を大いに低下させることができる。
一部の実施形態において、セレンテラミンの合成は、(例えば、Grignard条件下、最初にマグネシウム、ヨウ素、および臭化エチルの溶媒中溶液を準備した後ピラジン-2-アミン(24)を塩化ベンジルと反応させて3-ベンジルピラジン-2-アミン(25)を提供することにより、ピラジン-2-アミン(24)を塩化ベンジルと反応させて3-ベンジルピラジン-2-アミン(25)を提供する工程と;3-ベンジルピラジン-2-アミン(25)をN-ブロモスクシンイミドと反応させて3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)を提供する工程と;3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)を4-メトキシフェニルボロン酸(4)とパラジウム触媒の存在下第1のステップで反応させて3-ベンジル-5-(4-メトキシフェニル)ピラジン-2-アミン(5)の塩酸塩を提供し、3-ベンジル-5-(4-メトキシフェニル)ピラジン-2-アミン(5)の塩酸塩を第2のステップで脱保護して4-(5-アミノ-6-ベンジルピラジン-2-イル)フェノール(7)(セレンテラミン)を提供する工程とによって行われる。一部の実施形態において、3-ベンジル-5-(4-メトキシフェニル)ピラジン-2-アミン(5)の脱保護は3-ベンジル-5-(4-メトキシフェニル)ピラジン-2-アミン(5)を酸性環境、例えば酢酸中HBrに曝露して4-(5-アミノ-6-ベンジルピラジン-2-イル)フェノール(7)(セレンテラミン)を提供することを含む。
3-ベンジルピラジン-2-アミン(25)とN-ブロモスクシンイミドの反応はCHCl3(クロロホルム)のような有機溶媒中、室温(例えば、約22℃~23℃、22℃~23℃、または22℃)、大気圧(すなわち、約1atm、または1atm)で行なわれることができる。反応が完了したら、反応混合物は水、および/または水性酸(例えば、HCl(aq))で洗浄されることができ、3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)は有機溶媒を減圧下で除去することにより単離されることができる。一部の実施形態において、3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)は3-ベンジルピラジン-2-アミン(25)に対して約60%~約85%(例えば、70-75%)の収率および少なくとも約85%の純度(例えば、約85%~約95%の純度、約85%~約100%の純度、85%~95%の純度、90~95%の純度、または85%~100%の純度)で提供される。
一部の実施形態において、3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)が4-メトキシフェニルボロン酸(4)とパラジウム触媒の存在下で反応させられて3-ベンジル-5-(4-メトキシフェニル)ピラジン-2-アミン(5)またはその塩を提供する。パラジウム触媒はパラジウム(0)触媒、例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、またはパラジウム(II)触媒、例えば二塩化ビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)であることができる。パラジウム(II)触媒が使用されるとき、反応混合物はさらに1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタンを、例えば3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)に対して約5~約10(例えば、5~10)モルパーセントの量で含むことができる。パラジウム触媒は3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)に対して約5~約10重量パーセント(例えば、5~10重量パーセント)の量で存在することができる。(b)の第1の工程は約1:1~約1:1.3モル当量の3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)対4-メトキシフェニルボロン酸(4)を含むことができる。一部の実施形態において、3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)と4-メトキシフェニルボロン酸(4)は約120分~約300分(例えば、120分~300分)の間、一緒に反応させられる。反応溶媒は1,4-ジオキサンおよび/または水を含むことができる。一部の実施形態において、反応混合物はさらに炭酸カリウムを3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)に対して約75~約85モルパーセントの量で含む。3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)と4-メトキシフェニルボロン酸(4)は約12~約36時間(例えば、約20~24時間、約12~約24時間、または約15~24時間)の間、および/または約80~約110℃(例えば、80~100℃、または80~85℃)の温度、および/または大気圧(すなわち、約1atm、または1atmの圧力)で一緒に反応させられることができる。3-ベンジル-5-(4-メトキシフェニル)ピラジン-2-アミン(5)またはその塩は、3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)に対して約65%~約95%(例えば、85%~90%、80%~95%、または85%~90%)の収率で、例えば90%~95%(例えば、92%~95%)の純度で提供されることができる。3-ベンジル-5-(4-メトキシフェニル)ピラジン-2-アミン(5)は、反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出することにより単離されることができる。酢酸エチル抽出物は抽出物から減圧下で除去されて3-ベンジル-5-(4-メトキシフェニル)ピラジン-2-アミン(5)を提供することができる。
3-ベンジル-5-(4-メトキシフェニル)ピラジン-2-アミン(5)またはその塩は、パラジウム(0)またはパラジウム(II)触媒で得られたかどうかにかかわりなく、3-ベンジル-5-(4-メトキシフェニル)ピラジン-2-アミン(5)を塩酸塩として沈殿させることにより単離されることができる。沈殿は、面倒で費用がかかり時間がかかる可能性があるカラムクロマトグラフィーを排除することができ;および/またはカラムクロマトグラフィーと比べて収率を増大することもできるので有利である。一部の実施形態において、3-ベンジル-5-(4-メトキシフェニル)ピラジン-2-アミン(5)を単離することはクロマトグラフィー(例えば、液体クロマトグラフィー)を含まず、再結晶を含まず、またはクロマトグラフィーおよび再結晶を含まない。一部の実施形態において、3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)と(4-メトキシフェニル)ボロン酸の反応からの反応混合物は塩化ナトリウム水溶液(例えば、重量で約20%(例えば、20%)の塩化ナトリウム溶液)で希釈され、酢酸エチルで抽出される。酢酸エチル抽出物はその後HCl水溶液(例えば、約3N(例えば、3N)HCl(aq)溶液)で処理されることができ、3-ベンジル-5-(4-メトキシフェニル)ピラジン-2-アミン塩酸塩生成物(5)はろ過により約75%~約95%(例えば、75%~95%)の純度で単離されることができる。
3-ベンジル-5-(4-メトキシフェニル)ピラジン-2-アミン(5)またはその塩は次いで脱保護されて4-(5-アミノ-6-ベンジルピラジン-2-イル)フェノール(7)(セレンテラミン)を提供することができる。一部の実施形態において、脱保護は3-ベンジル-5-(4-メトキシフェニル)ピラジン-2-アミン(5)またはその塩を酸(例えばHBrおよび酢酸)に曝露することを含む。例えば、HBrは水中48%のHBr濃度を有することができ、水性HBrは酢酸と約1:2(例えば、約1:1.5、約1:1.25)~約1:1(例えば、約1:1.25、または約1:1.5)の比で混合されることができる。脱保護は約100℃(例えば、約105℃、約110℃、約115℃)~約120℃(例えば、約115℃、約110℃、約105℃)の温度で約5時間(例えば、約8時間、約10時間、約12時間、または約14時間)~約18時間(例えば、約14時間、約12時間、約10時間、または8時間)、例えば、8~10時間の間、大気圧で起こり得る。脱保護反応後、反応混合物は冷却され、有機溶媒(例えば酢酸エチル)で抽出されることができ、有機溶媒は減圧下で除去されることができる。残留物は次いで炭化水素(例えばシクロヘキサン)と共に還流され、ろ過され、単離され、乾燥されて4-(5-アミノ-6-ベンジルピラジン-2-イル)フェノール(7)(セレンテラミン)を提供することができる。4-(5-アミノ-6-ベンジルピラジン-2-イル)フェノール(7)(セレンテラミン)は、3-ベンジル-5-(4-メトキシフェニル)ピラジン-2-アミン(5)に対して、約70%(例えば、約75%、約80%、または85%)~約90%(例えば、約85%、約80%、または約75%)、例えば、75%~80%の収率で、約85%(例えば、約87%、約90%、または約92%)~約95%(例えば、約92%(例えば、約90%、または約87%)の純度、例えば約90%の純度で得られることができる。
保護された1,1-ジエトキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン-2-オン合成
一部の実施形態において、シリル保護された1,1-ジエトキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン-2-オンは、3-(4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)フェニル)-1,1-ジエトキシプロパン-2-オン(23)である。3-(4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)フェニル)-1,1-ジエトキシプロパン-2-オン(23)の合成は、i)4-ヒドロキシベンズアルデヒド(8)を塩化tert-ブチルジメチルシリルと反応させて4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ベンズアルデヒド(20a)を提供する工程と;ii)4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ベンズアルデヒドを水素化ホウ素ナトリウムと反応させて(4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)フェニル)メタノール(20b)を提供する工程と;iii)(4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)フェニル)メタノールを塩化メタンスルホニルと塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下で反応させてtert-ブチル(4-(クロロメチル)フェノキシ)ジメチルシラン(21)を提供する工程と;iv)tert-ブチル(4-(クロロメチル)フェノキシ)ジメチルシランをマグネシウムと反応させて(4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ベンジル)マグネシウムクロリド(22)を提供する工程と;v)(4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ベンジル)マグネシウムクロリドを2,2-ジエトキシ酢酸エチルと反応させて3-(4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)フェニル)-1,1-ジエトキシプロパン-2-オン(23)を提供する工程とにより行うことができる。
一部の実施形態において、tert-ブチルジメチルシリル保護された1,1-ジエトキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン-2-オンは酸性条件で劣化する可能性があり、塩基性環境では安定化されることができる。したがって、塩基が反応混合物に、および/または精製中添加されることができる。例えば、tert-ブチル(4-(クロロメチル)フェノキシ)ジメチルシラン(21)はトリエチルアミンを含む溶離剤を用いるクロマトグラフィーにより精製されることができる。一部の実施形態において、3-(4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)フェニル)-1,1-ジエトキシプロパン-2-オン(23)はトリエチルアミンを含む溶離剤を用いたクロマトグラフィーによりさらに精製される。
3-(4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)フェニル)-1,1-ジエトキシプロパン-2-オン(23)はtert-ブチル(4-(クロロメチル)フェノキシ)ジメチルシラン(21)に対して約20%~約40%(例えば、20%~40%、約20%~25%、または20%~25%)の収率で、約85%~約95%(例えば、85%~95%、約90%、または90%)の純度で提供されることができる。
1,1-ジエトキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン-2-オン(14)
1,1-ジエトキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン-2-オン(14)は、例えば、下記反応スキームに従って製造されることができる。
3-(4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)フェニル)-1,1-ジメトキシプロパン-2-オン)の合成
一部の実施形態において、4-(tert-ブチルジメチルシロキシ)ベンジルクロリドは上記のように合成されることができ、Grignard反応で2,2-ジメトキシ酢酸メチルと反応させられて3-(4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)フェニル)-1,1-ジメトキシプロパン-2-オン)を提供することができる。例えば、4-(tert-ブチルジメチルシロキシ)ベンジルクロリドは2,2-ジメトキシ酢酸メチルとMg、ならびにGrignard開始剤としてのI2およびジブロモエタンを用いるGrignard反応で反応させられて3-(4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)フェニル)-1,1-ジメトキシプロパン-2-オン)を提供することができる。
3-(4-(ベンジルオキシ)フェニル)-2-オキソプロパナールの合成
一部の実施形態において、本開示は、3-(4-(ベンジルオキシ)フェニル)-2-オキソプロパナールを製造する方法であって、1-(ベンジルオキシ)-4-(クロロメチル)ベンゼンを用意する工程と、1-(ベンジルオキシ)-4-(クロロメチル)ベンゼンを2つのステップで反応させて3-(4-(ベンジルオキシ)フェニル)-2-オキソプロパナールを提供する工程とを含む、方法を特徴とする。3-(4-(ベンジルオキシ)フェニル)-2-オキソプロパナールを製造する方法は4-ヒドロキシベンズアルデヒドの最初の出発原料から、1より多くのパラジウム触媒反応を含まない。
方法は、1-(ベンジルオキシ)-4-(クロロメチル)ベンゼンを2,2-ジメトキシ酢酸メチルとGrignard条件(例えば、臭化エチル、マグネシウム、および触媒量のヨウ素)下で反応させて3-(4-(ベンジルオキシ)フェニル)-1,1-ジメトキシプロパン-2-オンを提供する、第1のステップを含むことができる。3-(4-(ベンジルオキシ)フェニル)-1,1-ジメトキシプロパン-2-オンはシリカカラムクロマトグラフィーにより精製されることができる。
方法は、3-(4-(ベンジルオキシ)フェニル)-1,1-ジメトキシプロパン-2-オンを酸(例えば、水性酸、例えば10%水性HCl))と反応させて3-(4-(ベンジルオキシ)フェニル)-2-オキソプロパナールを提供する、第2のステップを含むことができる。3-(4-(ベンジルオキシ)フェニル)-2-オキソプロパナールは1-(ベンジルオキシ)-4-(クロロメチル)ベンゼンに対して60~75%(例えば、65%~70%)の収率、85~95%(例えば、90%)の純度で単離されることができる。
一部の実施形態において、中間体1-(ベンジルオキシ)-4-(クロロメチル)ベンゼンは、例えば、以下の手順により製造されることができる。N,N-ジメチルホルムアミド中の4-ヒドロキシベンズアルデヒド(8)、塩化ベンジル、および無水炭酸カリウムの混合物が形成され、約40-80℃の温度に、例えば5時間~3日の間、大気圧下で加熱されることができる。反応完了後、混合物は室温に冷却され、水を加えられ、遠心分離されるかまたはろ過されて得られた4-(ベンジルオキシ)ベンズアルデヒドを単離することができる。
4-(ベンジルオキシ)ベンズアルデヒドは次いで水素化ホウ素ナトリウムで還元されて(4-(ベンジルオキシ)フェニル)メタノールを提供することができる。簡潔に言うと、水素化ホウ素ナトリウムが約45~50℃の温度で4-(ベンジルオキシ)ベンズアルデヒドのメタノール中溶液に滴下して加えられることができる。反応混合物は次いで冷却され(例えば、約15℃に)、酸性化され(例えば、酢酸で)、水と共に撹拌されることができ、生成物はろ過により単離されることができる。得られる生成物は有機溶媒(例えば、n-ヘキサン)と共に加熱され、ろ過され、乾燥されて(4-(ベンジルオキシ)フェニル)メタノールを提供することができる。
(4-(ベンジルオキシ)フェニル)メタノールは次いで塩化チオニルと反応させられて1-(ベンジルオキシ)-4-(クロロメチル)ベンゼン(11)を提供することができる。例えば、ジクロロメタン中(4-(ベンジルオキシ)フェニル)メタノールおよびN,N’-ジメチルホルムアミドの混合物が形成されることができ、これに塩化チオニルが約30~約35℃の温度でゆっくり加えられることができる。反応を約30分~約2時間の間、撹拌した後、溶媒が除去されることができ、残留物が水および酢酸エチルのような有機溶媒で抽出されることができる。有機層を分離した後、層のpHが水性塩基、例えばソーダ灰水溶液で約8~9に調節されることができ、次いで有機層が再び分離され、塩化ナトリウム水溶液で洗浄されることができ、次いで有機層は分離され、減圧下で濃縮される。次いで残留物が有機溶媒、例えばn-ヘキサンで洗浄されることができ、生成物はろ過により単離され、乾燥されて中間体1-(ベンジルオキシ)-4-(クロロメチル)ベンゼンを得ることができる。
セレンテラジン
一部の実施形態において、セレンテラジンは、4-(5-アミノ-6-ベンジルピラジン-2-イル)フェノール(7)をシリルで保護された1,1-ジエトキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン-2-オンまたはシリルで保護された1,1-ジメトキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン-2-オンとカップリングさせてセレンテラジンまたはその塩を得られる。或いは、一部の実施形態において、セレンテラジンは、4-(5-アミノ-6-ベンジルピラジン-2-イル)フェノール(7)を1,1-ジエトキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン-2-オン(14)とカップリングさせてセレンテラジンまたはその塩を提供することにより得られる。カップリングさせる工程は、シリルで保護された1,1-ジエトキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン-2-オン、シリルで保護された1,1-ジメトキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン-2-オンでも、または1,1-ジエトキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン-2-オン(14)でも、ジオキサン、水、およびHCl(例えば、約90:5:5のジオキサン対水対HClの比;または35%~38%濃度(すなわち、濃縮されたHCl)のHCl対水の比約10:約1(例えば、10:1)~約1:約1(例えば、1:1)、ここでジオキサン:(HCl+H2O)の比は約9:1)の存在下で行なわれることができ;および/または約60~約90℃(例えば、60~90℃)の温度および約1atm(例えば、1atm)の圧力で行なわれることができ;および/または約16時間~約28時間(例えば、16~28時間)の間、進行することができる。
一部の実施形態において、4-(5-アミノ-6-ベンジルピラジン-2-イル)フェノール(7)がシリルで保護された1,1-ジエトキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン-2-オン、シリルで保護された1,1-ジメトキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン-2-オン、または1,1-ジエトキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン-2-オン(14)のいずれとカップリングされるにしても、カップリング反応はジオキサン、メタノール、およびイソプロピルアルコールの溶媒混合物中で行なわれることができる。メタノールおよびイソプロピルアルコールは各々独立して溶媒混合物中に容量で3%以上(例えば、5%以上、7%以上、または9%以上および/または10%以下(例えば、9%以下、7%以下、または5%以下)の濃度であることができる。ある特定の実施形態において、メタノールおよびイソプロピルアルコールは各々独立して溶媒混合物中に容量で約5%(例えば、5%)の濃度である。一部の実施形態において、4-(5-アミノ-6-ベンジルピラジン-2-イル)フェノール(7)はジオキサン、メタノール、およびイソプロピルアルコールの溶媒混合物中で3-(4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)フェニル)-1,1-ジエトキシプロパン-2-オン(23)のようなシリルで保護された1,1-ジエトキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン-2-オンと反応させられる。理論に縛られることは望まないが、メタノールは、4-(5-アミノ-6-ベンジルピラジン-2-イル)フェノール(7)の溶媒混合物に対する溶解度を増大することによりシリルで保護された1,1-ジエトキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン-2-オン、シリルで保護された1,1-ジメトキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン-2-オン、または1,1-ジエトキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン-2-オン(14)との反応に対するその利用可能性を増大することによって反応速度論および収率に有利であることができると考えられる。一部の実施形態において、カップリング反応は約60~約90℃(例えば、約70℃~85℃、約80℃、または80℃)の温度および約1atm(例えば、1atm)の圧力で行なわれることができ;および/または約24時間~約36時間(例えば、24~36時間、または36時間)の間、進行することができる。
一部の実施形態において、4-(5-アミノ-6-ベンジルピラジン-2-イル)フェノール(7)はシリルで保護された1,1-ジエトキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン-2-オン(例えば、3-(4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)フェニル)-1,1-ジエトキシプロパン-2-オン(23))、シリルで保護された1,1-ジメトキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン-2-オン、または1,1-ジエトキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン-2-オン(14)と約1:1.3~約1:2のモル比でカップリングされる。ある特定の実施形態において、4-(5-アミノ-6-ベンジルピラジン-2-イル)フェノール(7)はシリルで保護された1,1-ジエトキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン-2-オン(例えば、3-(4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)フェニル)-1,1-ジエトキシプロパン-2-オン(23))と約1:1.3~約1.2(例えば、約1:1.3、または1:1.3)のモル比でカップリングされる。
ある特定の実施形態において、4-(5-アミノ-6-ベンジルピラジン-2-イル)フェノール(7)がシリルで保護された1,1-ジエトキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン-2-オン、シリルで保護された1,1-ジメトキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン-2-オン、または1,1-ジエトキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン-2-オン(14)のいずれとカップリングされるとして、カップリング反応は、逆相HPLCでモニターされ、4-(5-アミノ-6-ベンジルピラジン-2-イル)フェノール(7)が消耗するのを停止するとき、またはセレンテラジンが分解し始めるときに停止される。理論に縛られることは望まないが、セレンテラミンが消耗するのを停止した後セレンテラジンは分解または劣化し始めることができるので逆相HPLCモニターは重要であり得ると考えられる。
一部の実施形態において、反応混合物を停止することは反応混合物を(例えば、室温、約23℃、または23℃に)冷却すること、および任意に反応混合物を活性炭およびシリカと共に撹拌することを含む。次いでセレンテラジンまたはその塩は反応混合物をろ過することにより(活性炭およびシリカが使用される場合)、溶媒の除去(例えば、減圧下)、酢酸エチルによる研和、続いて固体セレンテラジンを得るためのろ過により単離されることができる。一部の実施形態において、セレンテラジンは塩酸塩のような塩として単離される。
一部の実施形態において、シリルで保護された1,1-ジエトキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン-2-オンまたはシリルで保護された1,1-ジメトキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン-2-オンがカップリング反応において出発原料の1つとして使用されるとき、セレンテラジンまたはその塩は4-(5-アミノ-6-ベンジルピラジン-2-イル)フェノール(7)に対して約50%~約70%(例えば、50%~70%)の収率で、約55%~約70%(例えば55%~70%)の純度で得られる。
一部の実施形態において、1,1-ジエトキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン-2-オン(14)がカップリング反応の出発原料の1つとして使用されるとき、セレンテラジンまたはその塩は4-(5-アミノ-6-ベンジルピラジン-2-イル)フェノール(7)に対して約60%~約70%(例えば、60%~70%)の収率で、約60%~約75%(例えば、60%~75%)の純度で得られる。一部の実施形態において、セレンテラジン(またはその塩)は、単離された組成物中に60%~65%の純度で得られる。理論に縛られることは望まないが、単離されたセレンテラジンまたはその塩はある量の4-(5-アミノ-6-ベンジルピラジン-2-イル)フェノール(7)(セレンテラミン)の存在により安定化される(例えば、劣化から保護される)と考えられる。こうして、単離された組成物は重量で60%~65%の量のセレンテラジン(またはその塩)および4-(5-アミノ-6-ベンジルピラジン-2-イル)フェノール(7)(セレンテラミン)を含むことができる。一部の実施形態において、単離された組成物は重量で60%~65%の量のセレンテラジン(またはその塩)および4-(5-アミノ-6-ベンジルピラジン-2-イル)フェノール(7)(セレンテラミン)から本質的になり、その結果組成物中に存在する不純物はセレンテラジンまたはその塩の発光に実質的には(例えば、10%より多くは、5%より多くは、または1%より多くは)寄与しない。
単離された組成物中の4-(5-アミノ-6-ベンジルピラジン-2-イル)フェノール(7)(セレンテラミン)に対するセレンテラジン(またはその塩)の相対量は、液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)により評価され得る。例えば、単離されたセレンテラジン組成物の1mg/mlのメタノール溶液は、各々0.05%ギ酸が補充された70:30の試薬水:アセトニトリル(v/v)からなる注射溶媒中10倍に希釈され得る。単離されたセレンテラジン組成物を含む希釈された溶液は勾配溶出を用いてLCによりC-18逆相カラムで分離される。一部の実施形態において、分離は約1.7minでセレンテラジン(またはその塩)に対する応答および約2.5minでセレンテラミン(7)に対する応答を提供する。タンデムMSは各々の化合物の(M+H)+親イオンをモニターするように構成され、これはその後特有の娘イオンにフラグメント化される。娘イオン強度は各々の化合物に対するクロマトグラフ信号を作り出し、これは次いで積分されて信号に対する面積を生じる。セレンテラジンの親イオンは424.1Daで、娘イオンは302.2Daである。セレンテラミンの親イオンは278.1Daで、その娘は132.0Daである。一部の実施形態において、単離された組成物中のセレンテラジン(またはその塩)対セレンテラミンの比率は約20:1以上(例えば、約24:1以上、約30:1以上、約40:1以上、約50:1以上、約60:1以上、約70:1以上、約80:1以上、または約90:1以上)および/または約100:1以下(例えば、約90:1以下、約80:1以下、約70:1以下、約60:1以下、約50:1以下、約40:1以下、約30:1以下、または約24:1以下)である。ある特定の実施形態において、単離された組成物中のセレンテラジン(またはその塩)対セレンテラミンの比率は24:1以上および/または80:1以下である。単離された組成物は以下に記載されるように吸収性物品のような物品に組み込まれることができる。
一部の実施形態において、セレンテラジンは、4-(5-アミノ-6-ベンジルピラジン-2-イル)フェノール(セレンテラミン)を3-(4-(ベンジルオキシ)フェニル)-2-オキソプロパナールとカップリングさせて8-ベンジル-2-(4-(ベンジルオキシ)ベンジル)-6-(4-ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2-α]ピラジン-3(7H)-オンを提供する工程と;8-ベンジル-2-(4-(ベンジルオキシ)ベンジル)-6-(4-ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2-α]ピラジン-3(7H)-オンを脱保護して8-ベンジル-2-(4-ヒドロキシベンジル)-6-(4-ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2-α]ピラジン-3(7H)-オン(セレンテラジン)を提供する工程とにより得られる。
4-(5-アミノ-6-ベンジルピラジン-2-イル)フェノール(セレンテラミン)と3-(4-(ベンジルオキシ)フェニル)-2-オキソプロパナールのカップリングはジオキサン、水、およびHCl(例えば、濃HCl、36% HCl)を含む溶媒混合物中で起こり得る。カップリング反応は不活性雰囲気下75℃~90℃(例えば、80℃~85℃)の温度で12~36時間(例えば、24時間)行なわれることができる。
一部の実施形態において、8-ベンジル-2-(4-(ベンジルオキシ)ベンジル)-6-(4-ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2-α]ピラジン-3(7H)-オンの脱保護は8-ベンジル-2-(4-(ベンジルオキシ)ベンジル)-6-(4-ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2-α]ピラジン-3(7H)-オンをHCl(例えば、濃HCl、36% HCl)のような酸に曝露する第1の脱保護ステップを含む。反応混合物はジオキサンのような有機溶媒を含むことができる。酸は先行するカップリング工程の溶媒混合物の容量と等しいかまたはそれを超える量で存在することができる。中間体の脱保護された生成物は、例えば、反応混合物をろ過し、固体残留物を集め、固体残留物を乾燥させた後、次の工程に進むことにより得られることができる。第1の脱保護ステップは25℃~40℃(例えば、30~35℃)の温度で、30分(例えば、1時間から)~2時間(例えば、1.5時間まで)の間、行なわれることができる。中間体の脱保護された生成物(すなわち、固体残留物)は有機溶媒(例えば、トルエン)で洗浄された後ろ過し乾燥させることができる。
8-ベンジル-2-(4-(ベンジルオキシ)ベンジル)-6-(4-ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2-α]ピラジン-3(7H)-オンの脱保護は乾燥された中間体の脱保護された生成物をHCl(例えば、濃HCl、36% HCl)のような酸に曝露する第2の脱保護ステップを含むことができる。反応混合物はジオキサンのような有機溶媒を含むことができる。第2の脱保護ステップは中間体の脱保護された生成物をHClおよび有機溶媒中で約50℃~75℃(例えば、60℃~70℃、55℃~65℃、60℃~62℃)の第1の温度に6~24時間の間、次いで第2のより高い(例えば、第1の温度より5℃~15℃、5℃~10℃、10℃~15℃高い)温度に加熱してセレンテラジンを提供することを含むことができる。セレンテラジンを単離するために、HClおよび有機溶媒が減圧下で除去されて残留物を提供することができ、残留物は有機溶媒、例えば酢酸エチルで、次いでジクロロメタン、およびヘキサンで洗浄され得る。残留物は減圧下室温または約50℃まで(例えば、40~45℃)の温度で乾燥されて最終のセレンテラジンを提供することができる。セレンテラジンは4-(5-アミノ-6-ベンジルピラジン-2-イル)フェノールに対して70%以上(例えば、70%~95%、70%~85%、80%~95%、80%~85%、または80%)の収率で、55%~70%(例えば、55%~65%、または60%~65%)の純度で得られることができる。
セレンテラジンを提供するためにカップリング反応で使用される3-(4-(ベンジルオキシ)フェニル)-2-オキソプロパナールおよびセレンテラミンは上記方法により製造されることができる。
代表的な合成
一部の実施形態において、本開示のセレンテラジンは下記スキームA、B、およびCに従って製造されることができる。スキームAはセレンテラミン(中間体I)の合成を例示し、スキームBはシリルで保護された1,1-ジエトキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン-2-オン(中間体II)の合成を例示し、スキームCはセレンテラジンを生成するセレンテラミンとシリルで保護された1,1-ジエトキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン-2-オンのカップリングを例示する。
一部の実施形態において、本開示のセレンテラジンは下記スキームD、E、およびFに従って製造されることができる。スキームDはセレンテラミンの合成を例示し、スキームEは1,1-ジエトキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン-2-オン(14)の合成を例示し、スキームFはセレンテラジン(16)を生成するセレンテラミンと1,1-ジエトキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン-2-オン(14)のカップリングを例示する。
一部の実施形態において、本開示のセレンテラジンは下記スキームG、H、およびIに従って製造されることができる。スキームGはセレンテラミンの合成を例示し、スキームHは3-(4-(ベンジルオキシ)フェニル)-2-オキソプロパナールの合成を例示し、スキームFは8-ベンジル-2-(4-ヒドロキシベンジル)-6-(4-ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン、セレンテラジン(16)を生成するセレンテラミンと3-(4-(ベンジルオキシ)フェニル)-2-オキソプロパナールのカップリング、およびその後の中間体生成物8-ベンジル-2-(4-(ベンジルオキシ)ベンジル)-6-(4-ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オンの脱保護を例示する。
吸収性物品
本開示の方法に従って製造されるセレンテラジンまたはその塩は吸収性物品に組み込まれることができる。
一部の実施形態において、本開示は本開示の方法により合成されたセレンテラジンまたはその塩を含む、吸収性物品を特徴とする。
化学発光系の1以上の成分を含む吸収性物品の材料および構造要素は、例えば、2018年6月29日に出願された“Chemiluminescent Wetness Indicator for Absorbent Products”と題される米国仮出願第62/692,502号;2018年10月30日に出願された“Chemiluminescent Wetness Indicator for Absorbent Products”と題される米国仮出願第62/753,024号;および2019年6月28日に出願された“Chemiluminescent Wetness Indicator for Absorbent Products”と題される米国出願第16/457732号に記載され;その各々の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
化学発光系
化学発光系は水性系と接触した際に光を発生するように構成される。水性系は光を発生するために化学発光反応を開始する。本明細書で使用されるとき、用語「水性系」とは水または水を含有する組成物を指す。本開示との関連で、かかる水を含有する組成物は一般に尿、月経、糞便、などのような体液の形態である。体液(または流体自体)の放出の存在は本明細書では「浸入」、または「液体浸入」または「流体浸入」といわれる。したがって、本開示の化学発光系は系が組み込まれる物品の浸入の際に光を発生する。
水性系との接触の際に光を発生するように構成される際、化学発光系は水性系と接触させられたときに発光する少なくとも1種の化合物または材料を含む。一実施形態において、水は化学発光を開始する。
一実施形態において、化学発光系は水性系と接触したときに発光する2種以上の材料を含む。この実施形態において、水性系の存在なしには一緒に発光しない2種以上の材料がある。
2種以上の材料を含む代表的な化学発光系はルシフェリンおよびルシフェラーゼを含む系のような生物発光系を含む。
生物発光は、ある種のタイプの生物の体内または分泌物内で起こる化学反応により生成される光である。生物発光は2種類の物質ルシフェリンおよびルシフェラーゼの組合せを発光反応に含む。ルシフェリンは実際に光を発生する化合物であり、例えば、ルシフェリンはセレンテラジンであることができる。ルシフェラーゼは反応を触媒する酵素である。いくつかの場合にはルシフェラーゼは発光タンパク質として公知のタンパク質であり、光を作成するプロセスは反応を活性化するために荷電イオン(例えば、カルシウムのようなカチオン)を必要とする。発光タンパク質は、光の放出に必要とされる要因(ルシフェリンおよび酸素を含む)が1つの単位として一緒に結合したルシフェラーゼの変異体である。多くの場合、生物発光プロセスは酸化反応を開始するために酸素またはアデノシン三リン酸(ATP)のような物質の存在を必要とする。ルシフェリンの反応速度はルシフェラーゼまたは発光タンパク質によって制御される。ルシフェリン-ルシフェラーゼ反応はまた不活性なオキシルシフェリンおよび水のような生成物を作り出すこともできる。
ルシフェリンおよびルシフェラーゼは特定物質ではなく一般名称である。例えば、ルシフェリンセレンテラジン(自然型)は海洋生物発光で普遍的であるが、変異体は化学的に合成されることができ、これらの様々な形態はまとめてルシフェリンと総称される。別の例において、光合成を通して食物を得る渦鞭毛藻類(dinoflagellate)(海洋性プランクトン)はクロロフィル構造に似ているルシフェリンを使用する。
化学反応による光生産のメカニズムは生物発光を蛍光またはリン光のような他の光学現象から区別する。
例えば、蛍光性分子はそれ自身の光を放出しない。それらは電子をより高いエネルギー状態に励起するために外部の光子源を必要とする。高いエネルギー状態からその自然の基底状態への緩和の際、それらはその獲得されたエネルギーを光源として、しかし通常はより長い波長で放出する。励起と緩和は同時に起こるので蛍光灯は点灯された(励起された)ときにのみ見られる。
用語リン光は技術的に、励起された状態から基底状態への緩和が蛍光とは違って即時ではなく、光子放出が最初の励起後数秒~数分持続する光学的に励起された光放出の特別な場合を指す。
生物発光と蛍光との技術的な差異は実際的な状況においてぼやけていることがあるが、技術的には2つの異なる現象である。殆どの場合、生物発光は自家蛍光であることができるが、蛍光に対して逆は真ではなく;後者は光を放出するために励起のための光子を必要とする。いくつかの場合には生物発光性刺胞動物または甲殻類または魚類は緑色蛍光タンパク質(GFP)のような蛍光性タンパク質を含有することができ、生物発光から放出された光は光子として作用してGFPを励起するであろう。次にGFP自体が緩和された状態で、光子として受け取った生物発光の光の波長と異なる波長(ほとんどの場合、より高い波長)の光を放出するであろう。この例において、GFPは生物発光により放出された青色光(波長約470nm、または470nm)により励起され得るが、次にその緩和された状態で緑色光(波長約510nm~約520nm、または510nm~520nm)を放出するであろう。
生物発光系は所望の化学発光を生成するようにしてフラッフパルプ組成物、繊維マトリックス、または吸収性物品に組み込まれることができる。
一実施形態において、フラッフパルプ組成物または吸収製品はセレンテラジン、渦鞭毛藻ルシフェリン、細菌性ルシフェリン、菌類ルシフェリン、ホタルルシフェリン、およびヴァルグリン(vargulin)からなる群から選択されるルシフェリンを含む。セレンテラジンに関して多くの変異体があり、そのいずれもフラッフパルプ組成物に使用されることができる。
本開示と一致したセレンテラジンのある特定の実施形態は、天然のセレンテラジン、メチルセレンテラジン、セレンテラジン400a(2-2’(4-デヒドロキシ))セレンテラジン、セレンテラジンe、セレンテラジンf、セレンテラジンh、セレンテラジンi、セレンテラジンn、セレンテラジンcp、セレンテラジンip、セレンテラジンfcp、およびセレンテラジンhepの1以上を含む。さらなる例として、セレンテラジンは天然のセレンテラジン、セレンテラジン400a、メチルセレンテラジン、セレンテラジンf、セレンテラジンcp、セレンテラジンfcp、およびセレンテラジンhepの1以上であり得る。なおさらなる例として、セレンテラジンはセレンテラジン400a、メチルセレンテラジンおよびセレンテラジンfcpの1以上であり得る。またさらなる例として、セレンテラジンはセレンテラジン400a、メチルセレンテラジン、およびセレンテラジンhepの1以上であり得る。さらに別の例において、セレンテラジンはセレンテラジン400aおよびセレンテラジンhepの1以上であり得る。
一実施形態において、ルシフェリンは重量でフラッフパルプの0.0005%~0.002%の濃度を有する。一実施形態において、ルシフェリンは重量でフラッフパルプの0.0005%~0.0015%の濃度を有する。一実施形態において、ルシフェリンは重量でフラッフパルプの0.0005%~0.001%の濃度を有する。
一部の実施形態において、ルシフェリンは吸収性物品のいずれかの構成要素に組み込まれることができる。例えば、ルシフェリン(例えば、本開示のセレンテラジンまたはセレンテラジン塩)は吸収性物品に約0.01~約100mg(例えば、約0.01~約75mg、約0.01~約50mg、約0.01~約25mg、約0.01~約10mg、または約0.01~約5mg)、または0.01~100mg(例えば、0.01~75mg、0.01~50mg、0.01~25mg、0.01~10mg、または0.01~5mg)の量で組み込まれることができる。
一実施形態において、フラッフパルプ組成物または吸収製品はガウシア(Gaussia)ルシフェラーゼ(Gluc)、レニラ(Renilla)ルシフェラーゼ(RLuc)、渦鞭毛藻ルシフェラーゼ、ホタルルシフェラーゼ、菌類ルシフェラーゼ、細菌性ルシフェラーゼ、およびウミホタルルシフェラーゼからなる群から選択されるルシフェラーゼを含む。本開示に一致したルシフェラーゼのある特定の実施形態は、ガウシアルシフェラーゼ、レニラルシフェラーゼ、渦鞭毛藻ルシフェラーゼ、およびホタルルシフェラーゼの1以上を含む。さらなる例として、ルシフェラーゼはガウシアルシフェラーゼ、レニラルシフェラーゼ、渦鞭毛藻ルシフェラーゼ、およびホタルルシフェラーゼの1以上であり得る。なおさらなる例において、ルシフェラーゼはガウシアルシフェラーゼおよびレニラルシフェラーゼの1以上であり得る。
一実施形態において、ルシフェラーゼは重量でフラッフパルプの約0.005%~約0.04%(例えば、0.005%~0.04%)の濃度を有する。一実施形態において、ルシフェラーゼは重量でフラッフパルプの約0.005%~約0.02%(例えば、0.005%~0.02%)の濃度を有する。一実施形態において、ルシフェラーゼは重量でフラッフパルプの約0.005%~約0.01%(例えば、0.005%~0.01%)の濃度を有する。
一部の実施形態において、ルシフェラーゼは吸収性物品のいずれかの構成要素に組み込まれることができる。例えば、ルシフェラーゼ(例えば、GLuc)は吸収性物品に約0.2mg~約40mg(例えば、約0.2mg~約30mg、約0.2mg~約20mg、約0.2mg~約15mg、約0.2mg~約10mg、約0.2mg~約5mg、または約0.2~約2mg);または0.2mg~40mg(例えば、0.2mg~30mg、0.2mg~20mg、0.2mg~15mg、0.2mg~10mg、0.2mg~5mg、または0.2~2mg)の量で組み込まれることができる。
一実施形態において、化学発光系はルシフェリンとしてのセレンテラジンおよびガウシアまたはレニラルシフェラーゼを含む。
代表的なルシフェリンはセレンテラジンファミリーのものを含む。その天然型のセレンテラジンならびにそのアナログはその構造部分の変動に起因して異なる発光特性を有する。セレンテラジンファミリー内の構造変動を考えると、いくつかはある種のルシフェラーゼに対する良好な基質であるが、いくつかはそうではない。以下に天然のセレンテラジンおよび代表的なアナログを簡単に記載する。
セレンテラジン(天然型)はレニラ(Renilla)(レニフォルミス(reniformis))ルシフェラーゼ(Rluc)に対する発光性の酵素基質である。レニラルシフェラーゼ/セレンテラジンはまた生物発光共鳴移動(BRET)研究における生物発光供与体としても使用される。
セレンテラジン400aはセレンテラジンの誘導体であり、レニラルシフェラーゼに対する良好な基質であるが、ガウシアルシフェラーゼ(Gluc)で十分に酸化しない。約400nm(例えば、400nm)のその発光極大がGFP放出との最少の干渉を有するので、BRET(生物発光共鳴エネルギー移動)に対する好ましい基質である。
蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、BRET、共鳴エネルギー移動(RET)、および電子エネルギー移動(EET)は2つの感光性分子(発色団)間のエネルギー移動を説明するメカニズムであり、発光性化学物質ともう1つ別の発光性化学物質のエネルギー移動の干渉を定義することができる。最初その電子励起状態にある供与体発色団は無放射の双極子-双極子カップリングによって受容体発色団にエネルギーを移動し得る。このエネルギー移動の効率は供与体と受容体間の距離の六乗に反比例し、FRETを距離の小さい変化に対して極めて感受性にする。FRET効率の測定は2つのフルオロフォアが互いにある特定の距離内にあるかどうかを決定するのに使用されることができる。
かかる測定は生物学および化学を含む分野における研究ツールとして使用される。
セレンテラジン-エクオリン複合体中のセレンテラジンcpはセレンテラジン(天然型)より約15倍(例えば、15倍)高い発光強度を生じる。
セレンテラジンfは天然型のセレンテラジンより約20倍(例えば、20倍)高い発光強度(セレンテラジン-アポエクオリン複合体)を有し、その発光極大は天然型より約8nm(例えば、8nm)長い。
セレンテラジンfcpは、セレンテラジンf構造のセレンテラジン部分のa-ベンゼン構造が環状ペンタンで置き換えられた(セレンテラジンcpと同様な)アナログである。セレンテラジンfcpはセレンテラジン(天然型)より約135倍(例えば、135倍)大きい発光強度を有する。
セレンテラジンfcpはエクオリンと複合体化してセレンテラジンfcp-アポエクオリン複合体を形成し、エクオリンに対する基質として、天然のセレンテラジンの約135倍(例えば、135倍)の相対発光強度を有する。しかし、セレンテラジンfcpはレニラルシフェラーゼに対して乏しい基質である。
レニラルシフェラーゼ酵素に対する基質として、セレンテラジンのその他の代表的なアナログはセレンテラジンe、hおよびnである。これら3つのアナログはレニラルシフェラーゼに対して良好~優れた基質であるが、アポエクオリンに対しては乏しい基質である。
セレンテラジンアナログの発光特性は変化する。例えば、いくつかのアナログはより少ない光を放出する(ルーメンとして測定して)がより高い発光強度である(ルーメン/ステラジアン)。表Aはレニラルシフェラーゼに対するセレンテラジン(天然型)およびそのアナログの発光特性を示す。発光強度は%初期強度として報告される。例えば、900%の初期強度を有するアナログは、初期強度約45%(例えば、45%)の天然のセレンテラジンと比較されて約20倍(例えば、20倍)強い。
光は化学発光系により発生される。光は介護者により暗闇で、また衣服を通して視覚的に検出可能であり、そのため光は必要な指標を提供するのに充分な波長、強度、および持続時間を有する。化学発光系のこれらのスペクトル特性は1種以上の化学発光化合物に基づいて調整されることができる。例えば、生物発光系において、ルシフェリンおよびルシフェラーゼは所望の光特性を生じるように選択されることができる。使用される生物発光系に応じて、異なるスペクトル特性が生じることができる。また、スーパーオキシドアニオンおよび/またはペルオキシニトリル化合物の存在下で、セレンテラジンは酵素(ルシフェラーゼ)酸化と独立して光を放出することができ、これは自己発光として公知のプロセスである。
化学発光系は特定の色の光を生じるように調整されることができる。上の表Aに示したように、セレンテラジンファミリーの中でさえ、放出波長は約400nm(バイオレット、例えば、400nm)から約475nm(緑色がかった青色、例えば、475nm)の範囲であることができる。
持続時間に関して、放出される光の持続時間は天然型対そのアナログのセレンテラジン(ルシフェリン)、および酵素(ルシフェラーゼ)、例えば、ガウシア対レニラの選択により制御され得る。使用されるルシフェリンおよびルシフェラーゼの比率および濃度も光放出の持続時間を変更し得る。実例として非限定例を挙げると、ルシフェリンアナログのセレンテラジンeは天然のセレンテラジンの130%の総光量および900%の初期強度を有する。セレンテラジンeおよびレニラルシフェラーゼの濃度を賢明に選択することにより、放出される光の持続時間は約8~約10時間(例えば、8~10時間)もの長さで存続することができる。
一実施形態において、光は約0.5~約6時間(例えば、0.5~6時間)の持続時間を有する。別の実施形態において、光は約1~約4時間(例えば、1~4時間)の持続時間を有する。もう1つ別の実施形態において、光は約2~約3時間(例えば、2~3時間)の持続時間を有する。
強度に関して、化学発光の量子効率は放出の色の強度、濃さ、および色相に寄与する。
量子効率(QE)は発光化学物質を励起してより高いエネルギー状態に高めるのに使用される光子束の割合である。量子効率は検出器の質を評価するのに使用される最も重要なパラメーターの1つであり、その波長依存性を反映するために「スペクトル応答」と呼ばれることが多い。これは入射光子当たり作り出される信号電子の数として定義される。いくつかの場合にはそれは100%を越えることができる(すなわち入射光子1個当たり1個より多くの電子が作り出されるとき)。スペクトル応答が100%を越えた場合、放出される色の強度および濃さは鮮明であるが、一次電子の励起された状態の状況に応じて放出の持続時間が決定される(すなわち、励起された状態が高くなればなるほど、基底(標準)状態に戻る時間がより多くかかる)。
スペクトル応答性は同様な測定であるが、異なる単位を有し;測定基準はアンペアまたはワットである(すなわち、所与のエネルギーおよび波長の入ってくる光子当たりいかに多くの電流が装置から出て来るかどうか)。
量子効率およびスペクトル応答性はいずれも光子の波長の関数である。例えば、ルシフェリンセレンテラジンの場合、天然型とそのアナログの1つセレンテラジンeとで、後者は高い光強度を有するばかりでなく、前者より30%多くの光エネルギーを放出する。というのは、後者は入射光子の所与の量子(hν)による励起の際に2つの電子を生成し、波長475の一次電子は天然のセレンテラジンと同じ放出強度を天然の生成物より約20倍(例えば、20倍)大きいルーメン強度で有するからである。したがって、励起されたセレンテラジンアナログにより放出される光は天然型の約130%(例えば、130%)の総光量エネルギーでそれより20倍輝くであろうが天然型より長く続く。
波長は放出される光の色を決定する。
一実施形態において、フラッフパルプ組成物はルシフェリンおよびルシフェラーゼを含む。かかるフラッフパルプは水性系との接触の際に発光するのに必要とされる化学発光系の両方の要素を有する。しかし、別の実施形態において、フラッフパルプ組成物はルシフェリンおよびルシフェラーゼから選択される少なくとも1つの成分を含む。かかる実施形態において、フラッフパルプ組成物はルシフェリンおよびルシフェラーゼの1つだけを含み得る。かかるフラッフパルプ組成物は、ルシフェリンおよびルシフェラーゼの他の1つがトップシートまたは吸収性物品の他の層に配置され得て、2つの成分が液体浸入(例えば、トップシートを通過してフラッフパルプ組成物に入る水性系からの水)により実行されるときにのみ混合されるように吸収性物品中に組み込まれ得る。一実施形態において、フラッフパルプ組成物はルシフェリンを含むがルシフェラーゼを含まない。一実施形態において、フラッフパルプ組成物はルシフェラーゼを含むがルシフェリンを含まない。
フラッフパルプ
フラッフパルプ組成物のフラッフパルプはあらゆるパルプから形成され得る。一実施形態において、フラッフパルプはリグノセルロース繊維から誘導される。一実施形態において、フラッフパルプは木材に由来するリグノセルロース繊維から誘導される。一実施形態において、フラッフパルプは木材に由来するリグノセルロース繊維から化学的、機械的、化学機械的、または熱機械的な手段により誘導される。一実施形態において、フラッフパルプは木材に由来するセルロース繊維から化学パルプ化により誘導される。一実施形態において、フラッフパルプは木材の化学パルプ化に由来するセルロース繊維からアルコールパルプ化、オルガノソルブパルプ化、酸性亜硫酸塩パルプ化、アルカリ性亜硫酸塩パルプ化、中性亜硫酸塩パルプ化、アルカリ性過酸化物パルプ化、Kraftパルプ化、Kraft-AQパルプ化、多硫化物パルプ化、または多硫化物-AQパルプ化により誘導される。
一実施形態において、フラッフパルプは木材の化学パルプ化に由来するセルロース繊維から、吸収性物品(フラッフパルプ)の調製のためにアルコールパルプ化、オルガノソルブパルプ化、酸性亜硫酸塩パルプ化、アルカリ性亜硫酸塩パルプ化、中性亜硫酸塩パルプ化、アルカリ性過酸化物パルプ化、Kraftパルプ化、Kraft-AQパルプ化、多硫化物パルプ化、または多硫化物-AQパルプ化により前記パルプからリグニンをさらに除去することにより誘導される。一実施形態において、フラッフパルプはKraftパルプ化に由来するセルロースフラッフパルプから誘導される。一実施形態において、フラッフパルプはKraftパルプ化に由来するセルロース漂白フラッフパルプから誘導される。一実施形態において、フラッフパルプは針葉樹のKraftパルプ化に由来するセルロース漂白フラッフパルプから誘導される。一実施形態において、フラッフパルプは南部(Southern)針葉樹のKraftパルプ化に由来するセルロース漂白フラッフパルプから誘導される。一実施形態において、フラッフパルプはサザンパインのKraftパルプ化に由来するセルロース漂白フラッフパルプから誘導される。一実施形態において、フラッフパルプは南部針葉樹に由来する。一実施形態において、フラッフパルプはサザンパインに由来する。
フラッフパルプ組成物は、あらゆる形態のパルプ、例えば約6%~約11%(例えば、6%~11%)の範囲の含水率を達成するように乾燥された湿式シートから生成されることができる。
別の態様において、フラッフパルプ組成物を調製する方法が提供される。フラッフパルプ組成物は化学発光系の少なくとも1つの成分をフラッフパルプに組み込むことにより調製される。
これは、フラッフパルプが化学発光系の1種以上の成分で処理されるような様々な方法を用いて達成されることができる。フラッフパルプの化学的処理における1つの課題は、意図された化学発光反応が時期尚早に、例えば、処理されたフラッフパルプが後に液体浸入にさらされる吸収性物品に組み込まれる前に、始動させられない状態に化学物質を維持することである。ウェットエンド適用の場合、化学物質は通例水と混合され一緒に適用されることができない。したがって、説明のための実例において、ルシフェラーゼまたはルシフェリンのいずれかはマイクロカプセル化され、ウェットレイプロセス中に導入され得、カプセル化されない成分は吸収性物品製造中エアレイド操作の前にコーティング、ディッピング、スプレー、またはプリンティング(またはこれらの組合せ)のような標準的な方法により非水性環境でシートに適用される。別の実例において、1つはルシフェラーゼを含有し、他の1つはルシフェリンを含有する2つのシート系は吸収性物品製造中エアレイド操作の前に作製され、さらに加工処理され得る。さらに他の例において、一方の化学物質がウェットレイプロセス中に添加され得、他方がパルプのその後の加工処理中に添加され得;または、2つの成分がエアレイドプロセス中またはその前に、例えばフラッフ化された形態のパルプを一方または両方のそれぞれの成分の非水溶液で濯ぐかおよび/またはスプレーすることによりパルプに添加され得る。
吸収性物品
一実施形態において、フラッフパルプ組成物;セレンテラジン、またはその塩を含む単離された組成物;および/またはセレンテラジン、またはその塩は吸収性物品に組み込まれることができる。代表的な吸収性物品は幼児用おむつ、成人用おむつ、成人用失禁製品、婦人用衛生用品、吸収パッド(absorbent underpads)、および創傷ケア包帯用品を含む。例えば、フラッフパルプ組成物および/またはセレンテラジン、またはその塩は吸収性物品の1以上の吸収層または部分に組み込まれることができる。
別の態様において、吸収性物品が提供される。一実施形態において、吸収性物品は液体透過性のトップシート、液体不透過性のバックシート、トップシートとバックシートとの間に配置されたフラッフパルプおよび/またはトップシートとバックシートとの間に配置されたフラッフのないまたはほぼフラッフのない不織布マトリックス、ならびに水性系との接触の際に光を発生するように構成された化学発光系を含む。
吸収性物品の化学発光系(例えば、ルシフェリン、例えば本開示のセレンテラジン、またはその塩、およびルシフェラーゼ)は本明細書に記載される通りである。しかしながら、化学発光系は全部または一部がフラッフパルプ内に配置される必要はない。上述した通り、構造および流体分配機能は、いくつかの構成において、合成繊維により提供され得、フラッフパルプ繊維および合成繊維の両方を含有する吸収性コア、およびさらにはフラッフパルプ繊維を含有しない「フラッフのない」吸収性コアの開発に至る。一部の実施形態において、化学発光系、または化学発光系の一部は、液体透過性のトップシート、液体不透過性のバックシート、SAP、または吸収性物品内の別の構造に独立して一体化されることができる。
一実施形態において、化学発光系はルシフェリンおよびルシフェラーゼを含む。一実施形態においてルシフェリンおよびルシフェラーゼは両方がフラッフパルプ内に配置される。別の実施形態において、ルシフェリンおよびルシフェラーゼの一方がフラッフパルプ内に配置され、他方が吸収製品の異なる層(例えば、トップシートまたはADL)に配置され、その結果として2つの成分は2つの成分の少なくとも1つが(例えば、トップシートまたはADLを通過してフラッフパルプ組成物中に入る)液体浸入により担持されるときにのみ混合されるようになる。一実施形態において、フラッフパルプはルシフェリンを含むがルシフェラーゼを含まない。一実施形態において、フラッフパルプはルシフェラーゼを含むがルシフェリンを含まない。
さらにもう1つ別の実施形態において、化学発光系の少なくとも1つの成分がバックシートの内面上に配置される(例えば、印刷される)。
一実施形態において、ルシフェリンおよびルシフェラーゼの一方がフラッフパルプ内に配置され、他方はトップシートまたは物品内の別の構造体に結合され、液体浸入への曝露の際にフラッフパルプ内に移動するように構成される。
一実施形態において、吸収性物品はさらに本明細書に開示されるpH緩衝剤を含む。一実施形態において、pH緩衝剤はフラッフパルプ内に配置される。上述した通り、構造および流体分配機能がいくつかの構成において、合成繊維により提供され得、フラッフパルプ繊維および合成繊維の両方を含有する吸収性コア、およびさらにはフラッフパルプ繊維を含有しない「フラッフのない」吸収性コアの開発に至る。一部の実施形態において、化学発光系、または化学発光系の一部は、液体透過性のトップシート、液体不透過性のバックシート、SAP、または吸収性物品内の別の構造体に独立して一体化されることができる。
一実施形態において、吸収性物品はさらに本明細書に開示されるフォトルミネッセンス化合物を含む。一実施形態において、フォトルミネッセンス化合物はフラッフパルプ内に配置される。
一実施形態において、吸収性物品はさらに、本明細書に開示されるフォトルミネッセンス化合物およびpH緩衝剤を含む。一実施形態において、フォトルミネッセンス化合物およびpH緩衝剤はフラッフパルプ内に配置される。
一実施形態において、pH緩衝剤、フォトルミネッセンス化合物、ルシフェリン、およびルシフェラーゼはフラッフパルプ内に配置される。
一実施形態において、pH緩衝剤、フォトルミネッセンス化合物、ルシフェリン、およびルシフェラーゼの少なくとも1つはフラッフパルプ内に配置されない。一部の実施形態において、pH緩衝剤、フォトルミネッセンス化合物、ルシフェリン、およびルシフェラーゼの少なくとも1つは合成繊維、フラッフパルプ繊維を含有しない「フラッフのない」吸収性コア、液体透過性のトップシート、液体不透過性のバックシート、および/または吸収性物品のSAP内に独立して組み込まれることができる。一部の実施形態において、pH緩衝剤、フォトルミネッセンス化合物、ルシフェリン、および/またはルシフェラーゼは物品の異なる構造体から吸収性コアに移行することができる。一部の実施形態において、pH緩衝剤、フォトルミネッセンス化合物、ルシフェリン、および/またはルシフェラーゼは吸収性コアから物品の異なる構造体に移行することができる。
一実施形態において、吸収性物品はさらに例えば吸収性コアに組み込まれたような超吸収性ポリマー(SAP)を含む。かかる実施形態において、化学発光系の少なくとも1つの成分がSAP内に配置され得て、化学発光は吸収性コアに進む浸入から流体に接した際に生じるようにする。
一実施形態において、化学発光系は全体が吸収性物品の吸収性コア内に含有される。吸収性コアは殆ど常に多成分系であるので、化学発光系を吸収性コア中に組み込むには1より多くのアプローチが存在する。例えばフラッフパルプ繊維は化学発光系の担体であることができよう。或いは、化学発光系は吸収性物品中に組み込まれた超吸収性粒子内に含有されることができよう。一部の実施形態において、吸収性コアはセルロース繊維、セルロース繊維誘導体(レーヨン、リヨセル、等)、不織セルロース繊維および/またはセルロース繊維誘導体、非セルロース繊維、またはこれらの任意の組合せを含むことができる。
さらに、SAP粒子または繊維の一部分のみが化学発光系化学に含有されるならば、所望のパターン、例えば見て美しいパターンが達成されることができる。
化学発光系は吸収性物品製造時に、または全体が最終の製品組立から分離された上流プロセス中にフラッフパルプ繊維に添加されることができる。上述したように、例えば、化学発光系はハンマーミリングの前にフラッフパルプシートにスプレーまたはその他で組み込まれてもよい。
別の態様において、吸収性物品を製造する方法も提供される。
吸収性物品は、本明細書に開示されるやり方で吸収性物品中に組み込まれる化学発光系の組み込みを可能にする当業者に公知の一般的な技術に従って製造される。
以下の実施例は限定することのない実例となることが意図される。実施例1はセレンテラジンの1Kg規模での合成を記載する。実施例2はセレンテラジンの25グラム規模での合成を記載する。実施例3はセレンテラジンの100グラム規模での合成を記載する。実施例4はセレンテラジンの数キログラム規模での合成を記載する。
実施例1
セレンテラジンの合成(1キログラム)
3-ベンジルピラジン-2-アミン(25)の合成
100Lの丸底フラスコに10Lのトルエンを入れ、続いて10Lのテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)を入れた。混合物を氷水で0~5℃に冷却した。この撹拌された混合物に20Lのn-ブチルリチウム(n-ヘキサン中2.5M)溶液を0℃~8℃で滴下して1~1と1/2hrsかけて窒素下で加えた。添加完了した後、反応混合物を放置して室温(22℃)にした。室温で20分後、混合物を60℃までゆっくり加熱した。(この時間中ブタンガスが放出された)。反応混合物を60℃±1℃に30分維持し、次いで室温に放冷した。
一方別の30Lフラスコにテトラヒドロフラン(THF)(15L)およびピラジン-2-アミン(24)(2-アミノピラジン(24)ともいう)(1Kg)を入れた。混合物を25~35℃で20分撹拌した。この溶液を、添加フラスコを用いて1~1.5hrsかけて上のベンジルリチウム溶液に加えた。混合物を室温で1hr撹拌した。水(16L)を反応混合物に20℃で滴下して加え、その間温度を20~25℃に維持した。混合物を室温で30min撹拌し、次いで有機層を分離し、過剰の溶媒を蒸留除去した。残留物をトルエン(8L)および水(3L)で処理し、10分撹拌した。有機層を分離し、溶媒を減圧で蒸留除去して所望の3-ベンジルピラジン-2-アミン(25)を60%~65%の収率で得た。純度94%~95%。
3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)の合成
20Lの丸底フラスコにクロロホルム(6L)および3-ベンジルピラジン-2-アミン(25)(2-アミノ-3-ベンジルピラジンともいう、(25))(1Kg)を入れ、混合物を室温(22℃)で撹拌した。N-ブロモスクシンイミド(NBS)(800グラム)をゆっくり1~1.5hrsかけて加えた。添加が完了した後、混合物を30分撹拌した。水(2L)を加え、10分撹拌した。有機層を分離し、水(2×1L)で洗浄した。クロロホルム層を減圧下で濃縮し、油状残留物を真空中で乾燥した。収率77%~85%。純度93%~95%。
3-ベンジル-5-(4-メトキシフェニル)ピラジン-2-アミン(5)の合成
50Lのフラスコに1,4-ジオキサン(30L)および3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)(1Kg)を室温で入れた。炭酸カリウム(1.6Kg)を加え、続いて水(5L)を加えた。反応混合物を10分撹拌した。4-メトキシフェニルボロン酸(4)(600グラム)を加え、続いてパラジウム触媒(300グラム)を加えた。反応混合物をゆっくり82℃まで加熱し、80~82℃で5hrs撹拌した。混合物を室温に冷却し、100Lの丸底フラスコに移し、室温で酢酸エチル(15L)および水(15L)を入れ、20分撹拌した。有機層を分離し、減圧下で濃縮して所望の生成物を得た。収率85%~90%。純度92%~95%。
4-(5-アミノ-6-ベンジルピラジン-2-イル)フェノール(7)の合成
30Lの丸底フラスコに3-ベンジル-5-(4-メトキシフェニル)ピラジン-2-アミン(5)(1Kg)、およびピリジン塩酸塩(6)(6.5Kg)を入れた。反応混合物を油浴中でゆっくり200℃に加熱した。反応温度を200~210℃に30min維持した。混合物を40℃に冷却し、水(13L)および酢酸エチル(15L)を35~40℃で入れた。反応混合物を20分撹拌した。酢酸エチル層を分離し、水性層を酢酸エチル(3L×2)で再抽出した。合わせた酢酸エチル抽出物を減圧下で濃縮した。残留物を2Lの酢酸エチルで吸収させ、還流した。溶液をゆっくり10~15℃に冷却し、生成した固体をろ過して所望の生成物を得た。収率90%~95%。純度90%。
或いは、塩化ピリジニウムを使用する代わりに、30Lの丸底フラスコに3-ベンジル-5-(4-メトキシフェニル)ピラジン-2-アミン(1Kg)、NaH(1Kg)、DMF(20L)およびエタンチオール(2Kg)を入れた。反応混合物を油浴中でゆっくり100℃に加熱した。反応温度を100~110℃に30min維持した。混合物を40℃に冷却し、35~40℃で水(13L)および酢酸エチル(15L)を入れた。反応混合物を20分撹拌した。酢酸エチル層を分離し、水性層を酢酸エチル(3L×2)で再抽出した。合わせた酢酸エチル抽出物を減圧下で濃縮した。残留物を2Lの酢酸エチルで吸収させ、還流した。溶液をゆっくり10~15℃に冷却し、生成した固体をろ過して所望の生成物を得た。収率90%~95%。純度90%。
いずれの場合も、生成物は、1Kgの生成物および5Lの1,4-ジオキサンを室温で10Lの丸底フラスコに入れ、水酸化ナトリウム溶液(1Lの水中250gの水酸化ナトリウム)を溶液に加え、フラスコに100gの木炭および100gのシリカゲルを室温で入れ、混合物を室温で20min撹拌し、ろ過し、固体を250mlの1,4-ジオキサンで洗浄することにより任意に精製することができる。次いでろ液を別の20.0Lの丸底フラスコに移し、200mlのHClを反応混合物にゆっくり加えて室温でpHを7~7.5に調節したところ、その間に固体の沈殿が観察された。次いで反応混合物を室温で30min撹拌し、ろ過し、200mlの1,4-ジオキサンで洗浄した。単離した固体生成物を真空中で、そして50~55℃のオーブン内で4hrs乾燥した。収率90%~95%。純度90%。
4-(tert-ブチルジメチルシロキシ)ベンジルアルコール(20b)の合成
20Lの丸底フラスコにジクロロメタン(10L)、4-ヒドロキシベンズアルデヒド(8)(1Kg)、N,N’-ジメチルアミノピリジン(50グラム)およびイミダゾール(1.33Kg)を入れた。反応混合物を20℃に冷却し、撹拌した。この撹拌された混合物に塩化tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS-Cl、500グラム×3)を少しずつ加えた。1時間後、反応混合物をろ過し、減圧下で濃縮して油状生成物(20a)を得た。
上の生成物(20a)を10Lの丸底フラスコに入れ、メタノール(6L)に溶かした。反応混合物を10~15℃に冷却し、撹拌しながら水素化ホウ素ナトリウム(100グラム)を加えた。30分後反応のpHを酢酸で7.0に調節した。20分撹拌した後、メタノールを蒸留除去して所望の4-(tert-ブチルジメチルシロキシ)ベンジルアルコール(20b)を得た。収率85%~90%、純度80%~85%。
4-(tert-ブチルジメチルシロキシ)ベンジルクロリド(21)の合成
10Lの丸底フラスコに4-(tert-ブチルジメチルシロキシ)ベンジルアルコール(20b)(1Kg)およびジクロロメタン(6L)を入れ、続いてトリエチルアミン(1.4L)を入れた。反応混合物を30分室温で撹拌した。塩化メタンスルホニル(600mL)を30~35℃でゆっくり約1~1.5時間で加えた。反応完了後、30%重炭酸ナトリウム水溶液(400ml)を加え、20分撹拌した。ジクロロメタン層を分離し、塩化ナトリウム水溶液(2×500ml)で洗浄した。ジクロロメタンを減圧下で除去した。残留物をさらに精製することなく次の工程に使用した。
3-(4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)フェニル)-1,1-ジエトキシプロパン-2-オン(23)の合成
50Lの丸底フラスコにマグネシウム削り状(1Kg)および無水テトラヒドロフラン(3L)、続いてヨウ素(10グラム)およびジブロモエタン(50ml)を入れた。tert-ブチル(4-(クロロメチル)フェノキシ)ジメチルシラン(21)(1.6Kg)の無水テトラヒドロフラン(12L)中溶液を40~45℃で4時間の期間にわたって滴下して加えた。反応混合物を35℃に冷却した。別の50Lの丸底フラスコに2,2-ジエトキシ酢酸エチル(12)(2Kg)および無水テトラヒドロフラン(10L)を入れ、-35℃に冷却した。上で調製したGrignard反応混合物をこの溶液に-35℃で1~1.5時間の期間にわたって加えた。反応の完了後、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(水7L中1.2Kg)でクエンチした。有機層を分離し、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、溶媒を減圧下で除去した。油状残留物を、トリエチルアミンを含む溶離剤を用いたシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製して3-(4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)フェニル)-1,1-ジエトキシプロパン-2-オン(23)(0.48Kg)を得た。収率20%~25%。純度90%。
セレンテラジン、8-ベンジル-2-(4-ヒドロキシベンジル)-6-(4-ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オンの合成
30Lの丸底フラスコに4-(5-アミノ-6-ベンジル-ピラジン-2-イル)フェノール(7)(0.9Kg)および3-(4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)フェニル)-1,1-ジエトキシプロパン-2-オン(23)(1.4Kg)、続いて1,4-ジオキサン(14L)を入れた。反応混合物を室温で30分撹拌した。濃塩酸(0.75L)および水(0.75L)を加え、反応混合物を80~85℃に15時間加熱した。反応混合物を40℃に冷却し、次いで活性炭(100g)および活性シリカゲル(100g)を加え、ろ過する。溶媒を減圧下で除去し、残留物を脱気した酢酸エチル(2L)と共に撹拌することにより沈殿させた。収率60%~65%、純度60%~63%。
実施例2
セレンテラジン(16)の合成
3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)
Zn粉および30-メッシュの粒状亜鉛(1:1、16.05/16.05g、491.2mmol、3.5当量)およびI2(6.23g、Znの5% mol)を乾いた1Lの2ツ首丸底フラスコにアルゴン雰囲気下で加えた。N,N-ジメチルアセトアミド(125mL、CaH2上で新たに蒸留した)を加えた。混合物をI2の褐色が消失するまで室温で撹拌した。臭化ベンジル(61.04g、356.9mmol、2.5当量)を滴下して加え、混合物を80℃で4h撹拌した。混合物を室温に冷却し、3,5-ジブロモ-2-アミノピラジン(1)(36.0g、140.3mmol、1当量)およびPdCl2(PPh3)2(5.04g、0.712mmol、ピラジンの5%)のN,N-ジメチルアセトアミド(150mL)中懸濁液を加えた。混合物をアルゴン雰囲気下で1日連続的に撹拌した。薄層クロマトグラフィー(TLC)(30%酢酸エチル/ヘキサン)により、反応が完了したことが示された。反応混合物をセライトの短い床に通してろ過した。ろ液をゆっくり氷冷水(1L)に注ぎ、EtOAc(3×200mL)で抽出した。合わせた有機層を水(200mL)、ブライン(200mL)で洗浄し、無水MgSO4上で乾燥した。有機層をろ過し、減圧下ロータリーエバポレーターで濃縮した。2:1のヘキサン/EtOAcで溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーでの褐色残留物の精製により、3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)を褐色の粘稠な油として28.0gを74%収率得た。1H NMR (CDCl3): δ 8.05 (s, 1 H), 7.22-7.35 (m, 5 H), 4.41(s, 2 H), 4.11 (s, 2 H), 4.08 (s, 2H).
p-メトキシフェニルボロン酸(4)の3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)とのパラジウムカップリング反応
1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(2.71g、6.34mmol)をビス(ベンゾニトリル)ジクロロパラジウム(II)(2.03g、5.29mmol)のトルエン(210mL)中懸濁液にアルゴン雰囲気下室温で加え、30分撹拌した。この混合物に、3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)(28.0g、106.0mmol)のトルエン(180mL)中溶液を加え、続いて4-メトキシフェニルボロン酸(20.94g、137.8mmol)、エタノール(42mL)、および1.0Mのaq.Na2CO3(108mL)を室温で撹拌しながら連続して加えた。得られた混合物を4h加熱還流した後室温に放冷した。混合物を20% aq.NaCl溶液(400mL)で希釈し、酢酸エチル(EtOAc、3×300mL)で抽出した。合わせた有機層を水(200mL)、ブライン(200mL)で洗浄し、無水MgSO4上で乾燥した。有機層をろ過し、酢酸エチル溶液を2N HCl(200mL)で処理して生成物をその塩酸塩として沈殿させた。黄色の沈殿が直ちに生成された。沈殿した固体をろ過により単離し、真空中で乾燥した。乾燥した固体を酢酸エチル(2×100mL)で洗浄して非極性の不純物を除去し、続いて真空中で乾燥して3-ベンジル-5-(4-メトキシフェニル)ピラジン-2-アミン塩酸塩(5)24gを78%収率で得た。1H NMR (CDCl3): δ 8.05 (s, 1 H), 7.22-7.35 (m, 5 H), 4.41(s, 2 H), 4.11 (s, 2 H), 4.08 (s, 2H).LCMS分析により、生成物がおよそ99%純粋であったことが示された。
ピリジニウム塩酸塩を用いたメチルエーテル塩酸塩のフェノールへの脱メトキシ化
3-ベンジル-5-(4-メトキシフェニル)ピラジン-2-アミン塩酸塩(5)(20.0g、61.0mmol)およびピリジニウム塩酸塩(6)(70.5g、0.61mol)の混合物をアルゴン雰囲気下200℃で2h加熱した。暗褐色混合物を室温に冷却し、飽和重炭酸ナトリウム溶液(750ml)を固体にゆっくり加え、続いて酢酸エチル(750ml)を加えた。有機層を分離し、水性層をEtOAc(3×200mL)で抽出した。合わせた酢酸エチル抽出物を水(2×300mL)で洗浄し、無水MgSO4上で乾燥した。溶液をろ過し、減圧下ロータリーエバポレーターで濃縮した。ヘキサン-EtOAc(3:7)で溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーでの褐色残留物の精製により、4-(5-アミノ-6-ベンジル-ピラジン-2-イル)フェノール(7)を14g、82%の収率で淡黄色の固体として得た。固体を酢酸エチル/1%メタノールから再結晶して明るい茶色の粉末を得た。1H NMR (DMSO-D6) δ 9.36 (s,1 H), 8.17 (s, 1H), 7.60 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.13-7.22 (m, 5H), 6.68 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 6.09 (s, 2H), 3.94 (s, 2H).生成物のLCMS分析により、およそ99%純粋であったことが示された。
4-ベンジルオキシベンズアルデヒド(9)
4-ヒドロキシベンズアルデヒド(8)(122.1g、1.0mol)、塩化ベンジル(132.9g、1.05mol)、および無水炭酸カリウム(165.6g、1.2mol)のN,N-ジメチルホルムアミド(DMF、1L)中の混合物を激しく撹拌しながら70~80℃で3日加熱した。反応の進行はTLC(20%酢酸エチル/ヘキサン)によりモニターした。混合物を氷冷水(4L)に注ぎ入れた。得られた固体をろ過により集め、水(2×500ml)で洗浄、乾燥して所望の生成物を白色の固体として得た。Wt=210g、収率96.3%。
4-ベンジルオキシベンジルアルコール(10)
水素化ホウ素ナトリウム(40.0g、1.08mol)を酢酸エチル/メタノール(1:1、1L)の混合物中の4-(ベンジルオキシ)ベンズアルデヒド(9)(218.0g、1.02mmol)の溶液に0~5℃で1hの期間にわたって少しずつゆっくり加えた。水素化ホウ素ナトリウムの添加が完了した後、反応混合物をゆっくり室温に温め、2h撹拌した。反応の進行はTLC(20%酢酸エチル/ヘキサン)によりモニターした。混合物を減圧下で濃縮し、残留物を酢酸エチル(750ml)と水(500ml)に分配した。有機層を分離した。水性層を酢酸エチル(2×200ml)で抽出した。合わせたエチル抽出物を水(500ml)で洗浄し、無水MgSO4上で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物を20%酢酸エチル/ヘキサンで再結晶して所望の生成物を得た。Wt=180.5g、収率82.7%。
4-ベンジルオキシベンジルクロリド(11)
a)塩化チオニルを使用する。
塩化チオニル(101.2g、0.86mol)を、酢酸エチル(600ml)中(4-(ベンジルオキシ)フェニル)メタノール(10)(167.0g、0.78mol)の0℃に冷却された溶液に1hかけて滴下して加えた。添加後反応混合物を室温に温め、撹拌した。反応の進行をTLCによりモニターしたところ、4h後反応が完了した。反応混合物を減圧下(<50℃)で濃縮した。得られた残留物を二回ヘキサンで再結晶して所望の生成物を白色の固体として得た。Wt=180g、収率77%。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 4.57 (s, 2 H), 5.08 (s, 2 H), 6.96(d, J = 8.7 Hz, 2 H), 7.32 (d, J = 8.7 Hz, 2 H), 7.43-7.37 (m, 5 H).
b)塩化シアヌルを使用する:
塩化シアヌル(1.0g)をアルゴン雰囲気下室温で無水N,N’-ジメチルホルムアミド(5ml)に加え、30分撹拌した。白色の懸濁液が生成された。(4-(ベンジルオキシ)フェニル)メタノール(1.0g)のジクロロメタン(30ml)中溶液を加え、一晩撹拌した。沈殿した固体をろ過により除去した。ろ液をヘキサン(50ml)で希釈し、水、ブライン溶液(各々20ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶媒を減圧下で除去した。生成物を5%酢酸エチル/ヘキサンで溶離するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによりさらに精製して生成物を得た。Wt650mg、収率=59.5%
c)塩化メタンスルホニルを使用する:
塩化メタンスルホニル(13.74g;0.12mol)を(4-(ベンジルオキシ)フェニル)メタノール(21.8g;0.10mol)およびトリエチルアミン(15.15g;0.15mol)のジクロロメタン(250ml)中溶液に0℃で滴下して加えた。添加後反応混合物を室温に温め、12h撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。残留物を酢酸エチル(200ml)と水(100ml)に分配した。酢酸エチル層を分離し、水、ブライン溶液(各々75ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶媒の除去後に得られた粗生成物をヘキサンから再結晶して18グラムの生成物を得た。Wt=18グラム(収率70%)。
3-[4-(ベンジルオキシ)フェニル]-1,1-ジエトキシプロパン-2-オン(13)
Mg削り状(10.57g、0.435モル、1.5当量)をアルゴンでフラッシュした500mLの二ツ首丸底フラスコ中で乾留THF(100mL)に懸濁させた。(11)(68.14g、0.29モル)のTHF(600ml)溶液を調製し、25mlの溶液を一度に加え、フラスコを絶えず撹拌しながらGrignard反応が始まるまで40~50℃に温めた。開始後残りの溶液を、反応混合物が反応熱のため触ると暖かいような速度でゆっくり加えた。添加後混合物を室温で30min撹拌し、次いで1時間還流して反応を完了させた。淡黄色のGrignard試薬を室温に放冷した後氷浴中に保った。ジエトキシ酢酸エチル(12)(51g、0.29モル)のTHF(200mL)溶液をアルゴン雰囲気下別の1リットルの丸底フラスコ中で-78℃に冷却した。Grignard試薬を滴下漏斗に移し、冷却したフラスコに45minかけて滴下して加えた。次いで混合物を6h-78℃で撹拌し、-20℃に温め、2h撹拌した。反応を飽和塩化アンモニウム溶液(200mL)でクエンチした。反応混合物を酢酸エチル(500mL)で抽出した。酢酸エチル層をH2O(3×200mL)で、続いて飽和ブライン溶液(2×200mL)で洗浄した。有機層を(無水硫酸マグネシウム)で乾燥し、溶媒を回転蒸発により減圧下で除去した。生成物を減圧下で150℃に加熱して不純物および未反応出発原料を除去した。生成物のNMRは、次の反応を行なうのに充分に純粋であることを示した。Wt=66.58g、収率(70%)
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 1.25 (t, J = 7.3 Hz, 6 H), 3.57 (m,2 H), 3.69 (m, 2 H), 3.84 (s, 2 H), 4.64 (s, 1 H), 5.05 (s, 2 H), 6.94(d, J = 8.4 Hz, 2 H), 7.14 (d, J = 8.4 Hz, 2 H), 7.43-7.35 (m, 5 H).
1,1-ジエトキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロパン-2-オン)(14)
耐圧反応器なしで木炭上パラジウム10%を用いて水素雰囲気下で脱ベンジル化するという最初の試みはうまくいかなかった。
化合物(13)(66g、20.4モル)のエタノール(400mL)溶液をParr水素化フラスコに入れ、10% Pd/C(7g)を加えた。混合物を60Psiの水素雰囲気下で24時間水素化した。黒色の懸濁液をろ過し、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去した。生成物をシリカゲルの小さいパッドに通して通過させることにより精製して50%酢酸エチル/ヘキサンで溶離する懸濁炭素粒子を除去した。所望の生成物を30%酢酸エチル/ヘキサンで溶離するシリカゲルカラムで単離して無色の油21.7gを得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 1.25 (t, J = 7.0 Hz, 6 H), 3.55 (m,2 H), 3.71 (m, 2 H), 3.82 (s, 2 H), 4.64 (s, 1 H), 5.11 (br s, 1 H), 6.77(d, J = 8.6 Hz, 2 H), 7.07 (d, J = 8.6 Hz, 2 H).
セレンテラジン
[8-ベンジル-6-(4-ヒドロキシフェニル)-2-[(4-ヒドロキシフェニル)メチル]イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン(16)
セレンテラジンの最終の縮合、再配列、および環化反応に対する乾燥塩酸、有機酸、対水性塩酸の効果を評価した。以下の実験をエタノールまたは1,4-ジオキサン中で行なった。結果を要約して次の表1に示す。
上の実験の結果(表1)は、セレンテラジンの最終の縮合、再配列、および環化反応が水性塩酸を必要とし、所望の溶媒がエタノールより良好であることが判明した1,4-ジオキサンであることを示していた。
適切な溶媒および酸が判明した後、変化する量の出発原料(14)を用いて実験を行なった。出発原料(15)を1当量で一定に保ち、出発原料(14)の量を増大させた。試薬(出発原料14)の未反応の過剰分は有機溶媒で洗浄することにより除去することができた。また、酸性の反応条件下でピラジンアミン出発原料(15)由来の生成物のみが塩を形成するが、アセタール(14)は形成しない。最適な反応条件に必要とされる試薬の正確な量への洞察を得るために、以下の実験を行なった。結果を以下の表2に要約する。
セレンテラジン[8-ベンジル-6-(4-ヒドロキシフェニル)-2-[(4-ヒドロキシフェニル)メチル]イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン(16)
25mlの丸底フラスコに入れた1,4-ジオキサン(2.3mL)、水(225μL)、および濃HCl(225μL)を脱気し、アルゴンを充填した。この混合物に4-(5-アミノ-6-ベンジル-ピラジン-2-イル)フェノール((7)、441mg、1.59mmol)を加えた。この混合物に1,1-ジエトキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロパン-2-オン)((14)、493mg、2.06mmol、1.3eq)の1,4-ジオキサン(2mL)溶液を加えた。得られた混合物を脱気し、アルゴン雰囲気下78~82℃で14hr撹拌した。暗褐色の溶液を室温に冷却し、アリコートを逆相HPLCにより分析した。HPLC分析は反応混合物が出発原料を殆どもたないことを示した。反応を脱気し、加熱をさらに6h(合計20h)続けた。反応混合物を室温に冷却し、減圧下で濃縮した。暗褐色の残留物を高真空中で一晩乾燥した。酢酸エチル(40mL)を残留物に加え、すりつぶした。固体を沈ませ、デカントし、真空中で乾燥して褐色の乾燥粉末を得た。1%メタノールを含有する脱気した酢酸エチル(40mL)を褐色の固体に加え、65℃ですりつぶした。固体を沈ませ、デカントし、ポンプで乾燥して褐色の乾燥粉末を720mgの定量的な収率で得た。プロトンNMRデータは報告された値と同じである。逆相HPLCでは標品と同時に溶離した。固体を、1%メタノールを含有する40mlの脱気した酢酸エチルに再び懸濁させ、15min撹拌し、デカントした。この標品をポンプで乾燥して褐色の固体を得た。
セレンテラジン、[8-ベンジル-6-(4-ヒドロキシフェニル)-2-[(4-ヒドロキシフェニル)メチル]イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン(16):25g規模の合成
300mlの丸底フラスコに入れた1,4-ジオキサン(80.0mL)、水(9.1mL)、および濃HCl(9.1mL)を脱気し、アルゴンを充填した。この混合物に4-(5-アミノ-6-ベンジル-ピラジン-2-イル)フェノール(7、15.94g、59.93mmol)を加え、撹拌した。この懸濁液に1,1-ジエトキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロパン-2-オン)(14、16.4g、68.82mmol、1.2eq)の脱気した1,4-ジオキサン(71mL)溶液を加えた。得られた混合物を脱気し、アルゴン雰囲気下78~84℃で34h撹拌した(反応の進行は逆相HPLCによりモニターした)。反応を室温に冷却し、減圧下で濃縮した。暗褐色の残留物を高真空中で一晩乾燥した。この褐色の残留物に脱気した酢酸エチル(250mL)を加え、すりつぶした。固体を沈ませ、デカントした。このプロセスを再度繰り返し、固体をポンプで24h乾燥して褐色の乾燥粉末を25.8g、定量的な収率で得た。
実施例3
セレンテラジンHCl塩の合成、100g規模
出発原料合成:
出発原料の4-(5-アミノ-6-ベンジル-ピラジン-2-イル)フェノール(7)(53.0g)、および1,1-ジエトキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン-2-オン(14)(57.0g)は、既に実施例2に記載した手順に従って合成された。
8-ベンジル-6-(4-ヒドロキシフェニル)-2-[(4-ヒドロキシフェニル)メチル]-7H-イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン(3)
スターラーバーを備えた1Lの丸底フラスコに4-(5-アミノ-6-ベンジル-ピラジン-2-イル)フェノール(7)(53.0g、191.25mmol)、続いて1,4-ジオキサン(275mL)を入れた。得られた混合物を脱気し、アルゴンを充填した。この撹拌された混合物に脱気した1:1水/濃HCl(62.0mL)を加えた。得られた混合物を再び脱気し、アルゴンを充填し、室温で15min撹拌した。この撹拌された懸濁液に1,1-ジエトキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロパン-2-オン(14)(57.0g、239.21mmol、1.25eq)の脱気した1,4-ジオキサン(244mL)溶液を加えた。得られた混合物を脱気し、アルゴン雰囲気下80~85℃で38h撹拌した(反応の進行は逆相HPLCによりモニターした)。
反応を室温に冷却し、減圧下で濃縮した。得られた暗褐色の残留物を高真空中で一晩乾燥した。これに脱気した酢酸エチル(250mL)を加え。すりつぶした。固体を沈ませ、デカントした。このプロセスをもう一回繰り返した。次いで1%メタノールを含有する脱気した酢酸エチル(200mL)を褐色の固体に加え、すりつぶした。固体を沈ませ、デカントした。残余の暗褐色の固体を高真空中40℃で36h乾燥し、アルゴン雰囲気下収率101.8gで保存した。これは逆相HPLCで標品と同時に溶離した。プロトンNMRスペクトルデータは報告された値と一致した。
実施例4
セレンテラジンの合成(数キログラム)
3-ベンジルピラジン-2-アミン(25)の合成
100Lの丸底フラスコに7.5LのTHF、2.5kgの金属マグネシウム、10gのヨウ素、および200mlの臭化エチルを入れた。反応塊が始まった。開始後、塩化ベンジルのTHF中溶液(45LのTHFに溶かした10Lの塩化ベンジル)を20~25℃で4~4.5時間の期間にわたってゆっくり加え、その後1時間30~35℃に維持した。次いで、2-アミノピラジン溶液(25LのTHFに30~35℃で1~1.5時間溶かした2.5kgの2-アミノピラジン)をゆっくり加え、反応塊を5~6時間、30~35℃に維持した。TLC検査を行い、コンプライアンス後10Lの水をゆっくり加え、反応塊を20分撹拌した。次いで反応塊を30分放置して沈ませた。THF層を分離し、真空下70℃未満で完全に蒸留除去した。蒸留完了後、反応塊を室温に冷却し、20Lのトルエンおよび5Lの水を入れ、10分撹拌した。次いで反応塊を20分放置して沈ませ、トルエン層を分離した。次いでトルエン層に3LのHClを加え、10分放置して沈ませた。次いでトルエン層を分離し、別にしておいた。次いで酸性のHCl層を3kgのソーダ灰で約8~9のpHに調節し、30分維持した。次いで有機層を分離して所望のモノアルキル化された生成物を40%~45%の収率、純度94%~95%で得た。
本変更形態は実施例1の合成の第1の工程におけるn-ブチルリチウムの使用を低減または排除する。ここではトルエン中n-ブチルリチウム反応が塩化ベンジルおよびTHF(テトラヒドロフラン)との反応により置き換えられた。こうして、本実施例は反応化学をスケールアップする能力を改良し、合成のコストを低減する。加えて、変更は非常に反応性の材料をより安定な材料と取り替えることにより化学の全体的安全性を改良する。
3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)の合成
3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミンの合成は実施例1に記載した通りである。具体的には、20Lの丸底フラスコにクロロホルム(6L)および3-ベンジルピラジン-2-アミン(25)(2-アミノ-3-ベンジルピラジン(25)ともいわれる)(1Kg)を入れ、混合物を室温(22℃)で撹拌した。N-ブロモスクシンイミド(NBS)(800グラム)を1~1.5hrsかけてゆっくり加えた。添加完了後、混合物を30分撹拌した。水(2L)を加え、10分撹拌した。有機層を分離し、水(2×1L)で洗浄した。クロロホルム層を減圧下で濃縮し、油状の残留物を真空中で乾燥した。収率77%~85%。純度93%~95%。
4-(5-アミノ-6-ベンジルピラジン-2-イル)フェノール(7)の合成
2kgの3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(2)を10LのTHFおよび20gのパラジウム触媒(実施例1から顕著に低減し、実施例1の300gのパラジウム触媒の1/15に)に溶かし、室温で30分撹拌した。この溶液を、パラブロモフェノール3kg、4kgのTBDMSクロリド(塩化t-ブチルジメチルシリル)、および2.5kgの金属Mgを用いて調製したGrignard試薬に加えた。反応混合物を24時間50℃に加熱した。(26)を提供する反応の完了後、金属Mgをろ過し、希釈した。HCl 3Lを反応混合物に加え、8時間70℃に加熱した。この(26)を含有する反応混合物に2Lの水を加え、生成物を酢酸エチル2Lで抽出し、これを三回繰り返した。合わせた酢酸エチル層を水1.5Lで二回洗浄した。酢酸エチルを蒸留して生成物(7)を重量約2.5kgの濃い液体として得た。収率70%~75%、純度84%~88%。
このように、本実施例は合成におけるボロン酸化合物の使用を省略し、反応における高価なパラジウム触媒の量を大幅に低減する。
4-((tert-ブチル(4-(クロロメチル)フェノキシ)ジメチルシランの合成
20Lの丸底フラスコにジクロロメタン(10L)、4-ヒドロキシベンズアルデヒド(8)(1Kg)、N,N’-ジメチルアミノピリジン(50グラム)およびイミダゾール(1.33Kg)を入れた。反応混合物を20℃に冷却し、撹拌した。この撹拌された混合物に塩化tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS-Cl、500グラム×3)を少しずつ加えた。1時間後、反応混合物をろ過し、減圧下で濃縮して油状の生成物(4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ベンズアルデヒド(20a))を得た。
上記生成物(20a)を10Lの丸底フラスコに入れ、メタノール(6L)に溶かした。反応混合物を10~15℃に冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(100グラム)を撹拌しながら加えた。30分後反応pHを酢酸で7.0に調節した。20分撹拌した後、メタノールを蒸留除去して所望の生成物(20b)を得た。収率85%~90%、純度80%~85%。
10Lの丸底フラスコに4-(tert-ブチルジメチルシロキシ)ベンジルアルコール(20b)(1Kg)およびジクロロメタン(6L)を、続いてトリエチルアミン(1.4L)を入れた。反応混合物を室温で30分撹拌した。塩化メタンスルホニル(600mL)を30~35℃で約1~1.5時間かけてゆっくり加えた。反応完了後30%重炭酸ナトリウム水溶液(400ml)を加え、20分撹拌した。ジクロロメタン層を分離し、塩化ナトリウム水溶液(2×500ml)で洗浄した。ジクロロメタンを減圧下で除去した。tert-ブチル(4-(クロロメチル)フェノキシ)ジメチルシラン(21)を含有する残留物をさらに精製することなく次の工程に使用した。
3-(4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)フェニル)-1,1-ジメトキシプロパン-2-オン)(27)の合成
50Lの丸底フラスコにマグネシウム削り状(1Kg)および無水テトラヒドロフラン(3L)を、続いてヨウ素(10g)およびジブロモエタン(50mL)を入れた。tert-ブチル(4-(クロロメチル)フェノキシ)ジメチルシラン(21)(1.6kg)の無水テトラヒドロフラン(12L)溶液を40~45℃で4時間の期間にわたって滴下して加えた。反応混合物を35℃に冷却した。別の50L丸底フラスコに2,2-ジメトキシ酢酸メチル(1.2kg)および無水テトラヒドロフラン(10L)を入れ、30~35℃に冷却した。この溶液に上で調製したGrignard反応混合物を-10℃で1~1.5時間の期間にわたって加えた。反応の完了後、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(水7L中1.2Kg)でクエンチした。有機層を分離し、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、減圧下で溶媒を除去した。油状の残留物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製して3-(4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)フェニル)-1,1-ジメトキシプロパン-2-オン(27)(0.48Kg)を収率40%~45%で得た。純度90%。
セレンテラジン、8-ベンジル-2-(4-ヒドロキシベンジル)-6-(4-ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン(16)の合成
30Lの丸底フラスコに4-(5-アミノ-6-ベンジル-ピラジン-2-イル)フェノール(7)(0.9Kg)および3-(4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)フェニル)-1,1-ジメトキシプロパン-2-オン(27)(1.4Kg)を、続いて1,4-ジオキサン(14L)を入れた。反応混合物を室温で30分撹拌した。濃塩酸(0.75L)および水(0.75L)を加え、反応混合物を80~85℃に15時間加熱した。反応混合物を40℃に冷却し、次いで活性炭(100g)および活性シリカゲル(100g)を加え、ろ過した。溶媒を減圧下で除去し、残留物(16)を脱気した酢酸エチル(2L)と共に撹拌することにより沈殿させた。収率60%~65%。純度60%~63%。
実施例5
単離されたセレンテラジン組成物のLC-MS特性決定
実施例1~3におけるセレンテラジンを形成するための最終のカップリング反応からの最終の単離された組成物中の4-(5-アミノ-6-ベンジルピラジン-2-イル)フェノール(7)(セレンテラミン)に対するセレンテラジンの相対量は、液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)により評価することができる。
例えば上記実施例1に記載された4-(5-アミノ-6-ベンジル-ピラジン-2-イル)フェノール(7)と3-(4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)フェニル)-1,1-ジエトキシプロパン-2-オン(23)のカップリング反応で得られた単離されたセレンテラジン組成物の1mg/mlメタノール溶液を、各々0.05%ギ酸を補充した70:30の試薬水:アセトニトリル(v/v)からなる注射溶媒中10倍に希釈した。単離されたセレンテラジン組成物を含む希釈された溶液を、勾配溶出を用いるC-18逆相カラムのLCにより分離した。分離により、セレンテラジンに対する応答が約1.7minに、セレンテラミン(7)に対する応答が約2.5minに得られた。タンデムMSは各々の化合物の(M+H)+親イオンをモニターするように構成されており、親イオンは続いてその特徴的な娘イオンにフラグメント化された。娘イオン強度は各々の化合物に対するクロマトグラフ信号を作り出し、これは次いで積分されてその信号に対する面積を生じた。セレンテラジンに対する親イオンは424.1Da、娘イオンは302.2Daである。セレンテラミンに対する親イオンは278.1Da、その娘は132.0Daであった。下記表4で、単離された組成物中のセレンテラジン対セレンテラミンの比は約24:1~80:1であった。
実施例6
4-(5-アミノ-6-ベンジルピラジン-2-イル)フェノールおよび3-(4-(ベンジルオキシ)フェニル)-2-オキソプロパナールを用いたセレンテラジンの合成
4-(5-アミノ-6-ベンジル-ピラジン-2-イル)フェノール(セレンテラミン)
3-ベンジルピラジン-2-アミン
100Lの丸底フラスコに7.5Lのテトラヒドロフラン(THF)、2.5kgの金属マグネシウム、10gのヨウ素、および200mlの臭化エチルを入れた。反応塊が始まり、塩化ベンジルおよびTHF溶液(45LのTHFに溶かした10Lの塩化ベンジル)を10~20℃で4~4.5時間の期間にわたってゆっくり加え、その後1時間30~35℃に維持した。次いで2-アミノピラジン溶液(25LのTHFに30~35℃で1~1.5hrs溶かした2.5kgの2-アミノピラジン)をゆっくり加え、反応塊を5~6時間30~35℃に維持した。薄層クロマトグラフィー(TLC)検査を行い、コンプライアンス後10Lの水をゆっくり加え、反応塊を20分撹拌した。
次いで反応塊を30min放置して沈ませた。THF層を分離し、70℃未満の真空下で完全に蒸留除去した。蒸留が完了した後、反応塊を室温に冷却し、20Lのトルエンおよび5Lの水を入れ、10分撹拌した。次いで反応塊を20分放置して沈ませ、トルエン層を分離した。次いでトルエン層に3LのHClを入れ、10分放置して沈ませた。次いでトルエン層を分離し、別にしておいた。次いで酸性のHCl層を3kgのソーダ灰でpH約8~9に調節し、30分維持した。次いで有機層を分離して所望のモノアルキル化された生成物を45~50%の収率、純度90~95%で得た。
3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン
20Lの丸底フラスコにクロロホルム(6L)および2-アミノ-3-ベンジルピラジン(1Kg)を入れ、混合物を室温(22℃)で撹拌した。N-ブロモスクシンイミド(800グラム)を1~1.5hかけてゆっくり加えた。添加完了後、混合物を30分撹拌した。水(2L)を加え、10分撹拌し、続いてクロロホルム層を分離した。HCl(500ml)をクロロホルム層に加え、混合物を約20分撹拌した。生成物をNutscheフィルターに通してろ過し、クロロホルム(1L)で洗浄した。生成物を35~40℃で6~7hrs乾燥した。収率70~75%。純度90~95%。
3-ベンジル-5-(4-メトキシフェニル)ピラジン-2-アミン
50Lのフラスコに1,4-ジオキサン(30L)および3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(1kg)を室温で入れた。炭酸カリウム(1.6kg)を加え、続いて水(5L)を加えた。反応混合物を10分撹拌した、4-メトキシフェニルボロン酸(600グラム)を加え、続いてパラジウム触媒(40グラム)を加えた。反応混合物をゆっくり82℃まで加熱し、窒素下80~82℃で20~24h撹拌した。混合物を40℃に冷却し、100Lの丸底フラスコに移し、酢酸エチル(15L)および水(15L)を室温で入れ、20分撹拌した。有機層を分離し、減圧下で濃縮して所望の生成物を得た。収率85~90%。純度92~95%。
4-(5-アミノ-6-ベンジル-ピラジン-2-イル)フェノール
30Lの丸底フラスコに3-ベンジル-5-(4-メトキシフェニル)ピラジン-2-アミン(1Kg)、4Lの48% HBrおよび7Lの酢酸を入れた。反応混合物を油浴でゆっくり110℃に加熱した。反応温度を8~10時間、108~110℃に維持した。混合物を40℃に冷却し、水(15L)および酢酸エチル(15L)を35~40℃で入れた。反応混合物を20分撹拌した。混合物のpHを、ソーダ灰を用いて4~4.5に調節し、混合物を10分撹拌した。
酢酸エチル層を分離し、水性層を酢酸エチル(3L×2)で再抽出した。合わせた酢酸エチル抽出物をソーダ灰でpH7~7.5に調節し、減圧下で濃縮した。残留物をまず40℃に冷却し、次いで4Lのシクロヘキサンで吸収させ、還流した。化合物をNutscheフィルターに通してろ過し、40~45℃で5~6hrs乾燥した。収率:75~80%、純度:90%。
3-(4-(ベンジルオキシ)フェニル)-2-オキソプロパナール
4-(ベンジルオキシ)ベンズアルデヒド
50Lの丸底フラスコにジメチルホルムアミド(15L)、4-ヒドロキシベンズアルデヒド(2.5Kg)を入れ、混合物を20分撹拌した。この混合物に、炭酸カリウム(4Kg)を加え、反応塊を10分撹拌した後塩化ベンジル(2.5L)をゆっくりおよそ15分加えた。混合物を20分撹拌し、ゆっくり40℃に加熱し、続いて45~45℃で6~7hrs撹拌した。混合物を30℃に冷却し、水(25L)を加えた。混合物をさらに20℃に冷却し、30分撹拌した。得られた生成物を遠心分離し、生成物が中性のpHになるまで水で洗浄した。次いで生成物を30~35℃で5~6hrs乾燥した。収率:70~75%、純度:85~90%。
(4-(ベンジルオキシ)フェニル)メタノール
50Lの丸底フラスコに4-(ベンジルオキシ)ベンズアルデヒド(4Kg)およびメタノール(15L)を入れた。この混合物に、水素化ホウ素ナトリウム(0.5Kg)を45~50℃で1~1と1/2hrsにわたって滴下して加えた。添加が完了した後、混合物を30分撹拌した。反応混合物を15℃に冷却し、ゆっくり水性酢酸(500mLの水中500mLの酢酸)を入れ、続いて水(25L)をゆっくり加えた。次いでこの混合物を30分、15~20℃で撹拌した。生成物を遠心分離し、40~45℃で12~14hrsにわたって乾燥した。得られた生成物にn-ヘキサン(10L)を加え、反応混合物をゆっくり50℃に加熱した。混合物を50℃で1hr撹拌した後40℃に冷却した。生成物の(4-ベンジルオキシ)フェニル)メタノールをNutscheフィルターに通してろ過し、次いで40~45℃で12hrsにわたって乾燥した。収率:85~90%、純度:90~95%。
1-(ベンジルオキシ)-4-(クロロメチル)ベンゼン
50Lの丸底フラスコにジクロロメタン(20L)および(4-(ベンジルオキシ)フェニル)メタノール(3.8Kg)を室温で入れた。混合物を20分撹拌し、ジメチルホルムアミド(500mL)を加え、続いてさらに10分撹拌した。この混合物に、塩化チオニル(2L)を30~35℃で1~1と1/2hrsにわたってゆっくり加えた。混合物を室温で1~1と1/2hrs撹拌した。ジクロロメタンの50%は普通に蒸留し、残りの50%は減圧下の蒸留により除去した。残留物に水(5L)および酢酸エチル(20L)を加え、この混合物を10分撹拌した。
酢酸エチル層を分離し、この層をソーダ灰溶液(4Lの水中1Kgのソーダ灰)で洗浄して層のpHを8~9に調節した。混合物を10分撹拌した。酢酸エチル層を再び分離し、食塩の溶液(3Lの水中1KgのNaCl)で洗浄した。混合物を10分撹拌した。酢酸エチル層をもう一度分離し、減圧下で濃縮した。残留物をn-ヘキサン(10L)で吸収させ、還流した。次いで生成物を10℃に冷却し、30分撹拌した。得られた生成物をNutscheフィルターに通してろ過し、n-ヘキサン(1L)で洗浄した。生成物の1-(ベンジルオキシ)-4-(クロロメチル)ベンゼンを40~42℃で5~6hrsにわたって乾燥した。収率:75~80%、純度:90%。
3-(4-(ベンジルオキシ)フェニル)-2-オキソプロパナール
50Lの丸底フラスコに無水テトラヒドロフラン(7.5L)およびマグネシウム削り状(2.5Kg)を入れ、続いてヨウ素(2グラム)および臭化エチル(10mL)を加えた。この混合物に、1-(ベンジルオキシ)-4-(クロロメチル)ベンゼン(3.2Kg)の無水テトラヒドロフラン(40L)中溶液を40~45℃で滴下して加えた。混合物を1h撹拌した後20℃に冷却した。この冷却された混合物に、2,2-ジメトキシ酢酸メチル(2.5Kg)の無水テトラヒドロフラン(2.5L)中溶液を20~38℃で加えた。混合物を30分、40~42℃で撹拌した。Grignard反応塊に、塩化アンモニウム溶液(10Lの水中2.5Kgの塩化アンモニウム)を加え、この混合物を20分撹拌した。テトラヒドロフラン層を分離し、減圧下で濃縮した。得られた生成物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製した。精製された生成物を10Lの10% HClと共に3時間、60℃に加熱して3-(4-(ベンジルオキシ)フェニル)-2-オキソプロパナールを得る。収率:65~70%、純度:90%。
8-ベンジル-2-(4-ヒドロキシベンジル)-6-(4-ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2-α]ピラジン-3(7H)-オン(セレンテラジン)
50Lの丸底フラスコに4-(5-アミノ-6-ベンジルピラジン-2-イル)フェノール(0.8Kg)および3-(4-(ベンジルオキシ)フェニル)-2-オキソプロパナール(1.4Kg)を、続いて1,4-ジオキサン(10L)を入れた。反応混合物を室温で30分撹拌した。濃塩酸(1L)および水(1L)を加え、その間窒素ガスを通し、反応混合物を窒素雰囲気下で80~85℃に24時間加熱した。反応の完了後、反応混合物を40℃に冷却し、次いで活性炭(200g)および活性シリカゲル(100g)を加え、ろ過する。
一方、別の50L丸底フラスコにHCl(15L)を入れた。上の反応混合物をHClに30~35℃で1~1と1/2hrsにわたってゆっくり加える。混合物を30分、30~35℃で撹拌した。得られた生成物をNutscheフィルターに通してろ過し、トルエン(1.5L)で洗浄した。生成物を40~45℃で8~10hrs乾燥した。
上の生成物(1.5Kg)にジオキサン-HCl(15L)を室温で加えた。この混合物を20分撹拌し、次いでゆっくり60℃に加熱した。反応混合物を60~62℃で12hrs撹拌し、次いで3hrs、70~72℃で撹拌した。ジオキサン-HClを減圧下で完全に除去し、残留物を40℃に冷却した。次いで残留物に酢酸エチル(5L)を加え、混合物を15分撹拌した。酢酸エチル層をデカントした。残留物にジクロロメタン(5L)を加え、この混合物を35~40分撹拌した。化合物をNutscheフィルターに通してろ過する。ろ液のジクロロメタン(2.5L)に加え、この混合物を25~30分撹拌した。化合物をもう一度ろ過し、ろ液物質にn-ヘキサン(4L)を加えた。混合物を20~25分撹拌した。化合物8-ベンジル-2-(4-ヒドロキシベンジル)-6-(4-ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オンをもう一度ろ過し、n-ヘキサン(1L)で洗浄した。生成物の8-ベンジル-2-(4-ヒドロキシベンジル)-6-(4-ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オンを減圧下40~45℃で7~8時間にわたって乾燥した。収率:80%、純度:60~65%。
実例となる実施形態が例示され記載されて来たが、開示の思想および範囲から逸脱することなく様々な変更がなされ得ることが了解されよう。
排他的な所有権または特権が請求される本開示の実施形態は、特許請求の範囲に定義される。