JP7361937B2 - 設計支援装置および設計支援方法 - Google Patents
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Description
本発明は、設計支援装置及び設計支援方法に関し、特に車両駆動部品における振動や熱などのように形状情報が性能に大きく影響する設計指標について反復検討を行う場合に好適な設計支援装置及び設計支援方法に関する。
車両システムは数多くの部品の組合せからなる複雑システムである。近年車両に求められる機能は低燃費化や安全性能の強化などますます高度化かつ複雑化している。しかも、市場要求は年々変化するため、開発期間を短縮して顧客ニーズにできるだけ早く対応することが求められる。
上記課題を実現するための一手法として車両統合シミュレータの利用が進められている。これは、車両全体の挙動をコンピュータなどを用いてシミュレートできるように数式化、あるいはプログラム化しておき、実車によらず計算で車両の性能を見積もることを目的とするものである。以降、数式やプログラムなど、計算可能なモジュールとして実現されたものを「モデル」と称す。
上記モデルには、一般的に加速性能やエネルギー変換効率などを対象とした1Dモデルと、振動や熱など形状に特性が左右される対象を扱う3Dモデルが存在する。1Dモデルは例えばある入力に対する設計対象の出力を記述する数式や、コンピュータで実行可能なプログラムによって実現される。また、3Dモデルは例えば有限要素法や、FDTD法などの空間分割手法によって実現される。1Dモデルに基づくシミュレーションは車両設計の初期段階から広く用いられている一方、3Dモデルの適用は部品形状の設計やレイアウト検討などでは必須技術となっているが、車両設計の初期段階で広く用いられるに至っていない。その理由としては、計算負荷が高いために設計初期段階で必要となる多数の設計案を反復計算させるには長い計算時間を必要とすることが一因としてある。
振動や熱など、3Dモデルに依らなければ正確な評価のできない検討事項に対して、比較的計算負荷を低くする方法として、例えば特許文献1による方法がある。これは、3Dモデルに対応する1Dモデルをあらかじめ作成しておき、その対応関係をシミュレータ内に有することによって、必要に応じて1Dモデルを用いて計算することを特徴としている。
本発明は、特に車両用部品を対象として、振動や熱といった形状に依存する特性をふるまいモデルによって評価する設計支援装置および設計支援方法を提供する。なお、ここでふるまいモデルとは入力に対する出力の挙動を表すモデルのことをいう。1Dモデルはふるまいモデルであり、3Dモデルを加工してある特定形状における入力(振動が検討対象の場合、例えば加振力)に対する出力(振動が検討対象である場合、例えば変位)を記述するモデルに変換したものもふるまいモデルと称する。ふるまいモデルは計算負荷が軽く、繰り返し計算に好適であるという特徴を有する。
形状に依存する特性を取り扱う場合、以下のような課題がある。
まず、形状に依存する特性の場合、多数の計算条件の反復計算を行う場合には形状変更の都度形状情報を変更する必要がある。形状を表現するために必要な情報は1Dモデルと比較して指数関数的に増加するため、形状変更→3Dモデルに反映→計算のサイクルを行う場合、非常に長い計算時間を必要とする。
また、単純な重ね合わせの原理が適用できないことが課題となる。一般的に車両用部品は複数の部品から構成され、またそれぞれの部品の特性も複雑であることから、モデル化のための担当者はそれぞれの専門家が任されることが多い。例として2つの部品が組み合わされているときを考える。例えば効率を計算する場合には重ね合わせの原理が適用できて、総合効率は各部品の効率の積となる。しかし、2つの部品が組み合わされた際の振動特性は2つの部品の振動特性の単純な積和で表すことができず、組み合わせた形状での3Dモデル作成を必要とする。
本発明の目的は、上記の課題を解決し、計算負荷が軽く、また部品分割を考慮した設計支援装置または設計支援方法を提供することにある。
本発明に係る設計支援装置は、設計対象の形状情報から当該形状情報の情報量を低減した形状数値情報と、前記設計対象の境界条件情報から当該境界条件情報の情報量を低減した境界数値情報と、に基づいて、前記設計対象の形状に印加される外部入力から前記設計対象の挙動を計算するふるまいモデルを出力するふるまいモデル生成部を備えたことを特徴とする。
計算負荷が軽く、また部品分割を考慮した設計支援装置または設計支援方法を提供することができる。
以下、図面を参照し、本発明に係る設計支援装置の一例として、電動車両用ドライブトレインを対象とした設計支援装置について記載する。電動車両用ドライブトレインは、インバータ、モータ、ギアを一体化したコンポーネントを指す。また、電動車両用ドライブトレインを対象とした設計支援装置として、特に振動評価を行う設計支援装置について記載する。本発明による設計支援装置では、振動のような形状に依存する特性を評価するために、形状情報からふるまいモデルを自動生成する。ここでふるまいモデルとは、形状に印加される外部入力から設計対象の挙動を計算することのできるモデルを指す。例えば入力に対する出力を記述する数式、状態量を考慮する状態方程式、コンピュータ上で手続きに従い情報処理を行うコンピュータプログラム、制御系CADにおけるブロック図による表現などがふるまいモデルに相当する。
図1は、本実施形態に係る設計支援装置10の構成図を示す。設計支援装置10は、各部品の形状を表す情報を入力として、これらを合成して全体形状を表す情報を作成する形状合成部11を備える。本図では、形状合成部11には、基準位置情報12、ローカル形状情報13、各部品間のつながりを記載する締結情報14が入力される。
ここで、基準位置情報12は、部品の形状を記述するための基準となるローカル座標からコンポーネント全体形状を記述するための基準となる全体座標に変換するための情報である。具体的には並進、回転、拡大縮小などの座標変換によって記述される。ローカル形状情報13は、ローカル座標系で表された部品の形状情報である。締結情報14は、各部品同士が締結される位置を表す情報である。
基準位置情報12及びローカル形状情報13には、添字i,m,gを付番している。添字iはインバータを、添字mはモータを、添字gはギアを、それぞれ表す。締結情報14には、添字im,mg,giを付番している。14imはインバータ=モータ締結情報、14mgはモータ=ギア締結情報、14giはギア=インバータ締結情報である。
形状合成部11は、合成された全体形状情報15を出力し、全体形状情報15は縮退部16に入力される。全体形状情報15の作成方法については後述する。
縮退部16は、変換情報17および合成形状数値情報18を出力する。縮退部16においては、情報量の多い全体形状情報15の情報量を削減して、計算の容易な合成形状数値情報18を作成する演算が行われる。全体形状情報15から合成形状数値情報18に変換するために用いる情報が変換情報17である。情報量を削減することを以降「縮退」と記す。
計算精度の大幅な劣化を伴うことなく縮退する手法としては様々な手法が提案されており、それらを適用することによって縮退部16を実現できる。変換情報17は縮退に用いる変換情報である。合成形状数値情報18は、変換情報17を用いて全体形状情報15から生成される。
縮退部16の出力である変換情報17と、形状を直接記述するローカル形状情報13、直接的に形状を表現はしないが、加振力や拘束といった形状に関係する境界条件を記載する形状関係情報21は情報変換部22に入力される。情報変換部22において、形状そのものの情報(ローカル形状情報13)と境界条件に関する情報(形状関係情報21)とが合成される。形状関係情報21を合成するときに全体座標系への変換および縮退方法に関する情報が必要となるため、変換情報17を使用する。
なお、形状関係情報21、情報変換部22につけられている付番は、基準位置情報12、ローカル形状情報13と同様、mがモータ、gがギアをそれぞれ表す。なお、本図では簡単のためインバータを表す付番iを省略している。これは、インバータを直接拘束するマウントが存在せず、インバータ自体の加振力が全体の振動に影響しないというモデル化を施したのと等価となる。
情報変換部22によって、形状関係情報21を縮退した境界数値情報23を生成する。なお境界数値情報23につけた付番は、mがモータ、gがギアをそれぞれ表す。インバータに関する形状関係情報21iを本図では省略しているため、インバータに関する境界数値情報23iも省略される。合成形状数値情報18、境界数値情報23をふるまいモデル生成部24によって合成して、ふるまいモデル25を生成する。
図2は、本実施例における電動車両用ドライブトレインについて、形状合成部11の概要を示した図である。ドライブトレイン30は、インバータ31、モータ32、ギア33を一体化したコンポーネントである。符号41は、コンポーネント全体位置関係を表すための全体座標系である。各部品のローカル形状情報13は、それぞれの部品に設定されたローカル座標系42によって記述される。一般にローカル形状情報13は、有限要素法に代表されるメッシュや、差分法で用いる等間隔グリッドなどによって記述される。なお、本図では煩雑になるためメッシュやグリッドは表記せず、大まかな外形のみの図示にとどめている。また、ここでも付番i,m,gはそれぞれインバータ、モータ、ギアを表している。
全体座標系41とローカル座標系42とを別々に設定したのは、各部品ごとに好適な原点位置と軸方向とが存在するためである。形状合成部11は、ローカル座標系42で記述されたローカル形状情報13に対して座標変換を行い、全体座標系41による記述に変換する。ローカル座標系42における位置に付番l、全体座標系41上におけるローカル座標系42の原点位置に付番0を施すと、座標変換は回転行列をRとして数式1のように表せる。位置関係については座標変換後の位置情報を羅列することで全体形状を記載することができる。
図3は、締結位置について示す図である。複数部品の締結には焼き嵌め、圧接、ボルト締めなど様々な方法があるが、ここではボルト締結の例を示している。簡単のためインバータの図示は省略し、モータとギアの締結部の一つをモータ=ギア締結部43mgとして示した。ここで付番mgは締結情報14と同様、モータ=ギア間の関係を表す。44mはモータ締結面であり、44gはギア締結面である。モータ締結面44mとギア締結面44gとは接触して剛体結合される。
図4は形状合成部11内での締結情報14の取り扱いについて示す図である。説明の簡単化のため次のように仮定する。(1)ボルト、ナットの振動への影響を無視する。(2)実際には締結面全体でモータとギアは接触するが、締結面外周部のみ接触すると仮定する。
締結面外周部におけるモータローカル形状情報13mとギアローカル形状情報13gを全体座標系41で表したとき、モータ締結面44mとギア締結面44gが完全に一致する場合には容易に結合が可能であるが、一般にメッシュ分割の細かさや位置などは各部品担当者にゆだねられるため、必ずしも一致するとは限らない。仮想締結中継面45は、両者の位置誤差を補正するために設けたものである。図4ではモータ締結面44mとギア締結面44gに微小幅εのギャップが存在すると仮定し、モータ締結面44mとギア締結面44gの中間位置に仮想締結中継面45を設ける。モータ=ギア締結情報14mgに仮想締結中継面45の分割情報と微小幅εを持つことにより、モータ締結面44m、仮想締結中継面45、ギア締結面44gの情報からメッシュを生成でき、モータ=ギア締結部43mgにおける結合状態を表現できる。このようにして作られたメッシュに適当な剛性情報や減衰情報を含めることにより、接触特性も反映させることができる。また、同様の手法を適用することにより、ボルトやリベットなどによる接合も表現することが可能となる。
図5は、モータが発生する加振力の一例を示す図である。ドライブトレインが発生する加振力としてはギアのかみ合いノイズも存在するが、説明の簡単化のためここではモータのみについて着目する。モータ32は、3相8極48スロット永久磁石モータである。51はステータ断面、52はロータ断面を表している。複数の丸で示されている符号53は、モータ32における加振力印加位置である。振動要因であるモータの加振力はステータとロータ間の電磁力によって発生するため、加振力印加位置53は、ステータ51とロータ52間のギャップに配置する。また本図では、加振力印加位置53はスロットのティース部分と、スロット部分に交互に配置したため、図5において加振力印加位置53は24個存在する。これは、モータの形状を再現するのに必要な情報量と比較すると非常に少ないことがわかる。
図6は、ドライブトレイン30における拘束位置の一例を示す図である。ドライブトレインにおいては、車両にマウントするためのマウント可能位置54があらかじめ決まっている。マウント可能位置54の数も加振力印加位置53と同様に、形状そのものを再現するために必要な情報量と比較すると、その個数は非常に少ない。また、製品ラインナップがそろっている場合には、形状そのものを連続的に変えるといった状況は例外的であり、たいていの場合、形状はいくつかの候補から選定することになる。一方、加振力や拘束位置は候補点としては少ないものの、その位置、値、力の方向はレイアウトや使われ方によって大幅に変わりうる。本発明では変化しにくい形状そのものの情報と変化しやすい加振力や拘束位置など形状に付加される属性をあらわす形状関係情報21(図1参照)とを分離して取り扱う。これにより、設計者は本発明に依らなければ膨大な設計候補の探索が必要となるのに対し、本発明では形状の選択、拘束位置の探索、加振力の選定といった限られた操作のみで設計解の探索を実施することが可能となる。
次に、本発明による縮退部16、情報変換部22、ふるまいモデル生成部24の動作概略についてモード法を例として説明する。モード法は振動のふるまいモデルを作成する際に一般的によく用いられる方法であり、モード法自体の詳細については説明を省略する。
振動を取り扱う際、対象全体の質量マトリクスを[M]、合成マトリクスを[K]、減衰マトリクスを[C]、接点変位ベクトルを{u}、外力ベクトルを{f}とすると、振動現象は数式2のように表せる。
モード法では接点変位ベクトル{u}を剛体モード変位{ηr}と不拘束モード変位{ηfr}とに分けて考える。適当なマトリクス[Φr](剛体モードマトリクス)と[Φfr]を用いて接点変位ベクトル{u}を変形すると、数式3のようになる。
[Rall](=[Φr Φfr])は形状全体の情報を含む巨大行列であるが、設計段階における振動評価にあたっては、振動への寄与の少ない情報を省略する。そのための手法として、マトリクス[Rall]の固有値のうち大きい方から数個を選び、それを用いて振動の方程式の情報量を削減する。選定した固有値に対応する固有ベクトルを並べて作った変換マトリクスをTとすると、[Rall]の情報量が削減できて、数式3は数式4のように縮退される。このとき接点変位ベクトル{u}は数式5のようになる。
本実施例による縮退部16は、全体形状の情報を記述する行列を[Rshape]とすると、[Rshape]に対して上記のような固有値を用いた縮退を行う。縮退部16によって、全体形状の情報を記述する行列[Rshape]から情報量が削減された合成形状数値情報18と縮退を行うために必要な変換マトリクス[T]に相当する変換情報17を得る。
本実施例による情報変換部22は、まず全体座標とローカル座標の関係を記述するローカル形状情報13を利用して、ローカルで記述された形状関係情報21を全体座標系に対応付ける。その後、変換情報17(変換マトリクスT)を施すことによって、合成形状数値情報18と対応付けられた境界数値情報23を生成する。図7に縮退部16と情報変換部22で処理される情報の流れについてその模式図を示す。なお、図中右下添字、motはモータに関する情報、gearはギアに関する情報、shapeは形状情報、constは形状関係情報を示す。また右上添字redは縮退済情報を示す。
本実施例によるふるまいモデル生成部24は、合成形状数値情報18と境界数値情報23を用いてふるまいモデルを作成する。ここでは外力ベクトル{f}に対するあらかじめ設定した点における変位速度ベクトル{v}の関係を導出する。新たな内部状態変数{qr},{qfr},{pr}を数式6、数式7のように定義すると、モード法の知見を用いれば求めるふるまいモデルは数式8、数式9のように表せる。なお、式中Ωfrは固有角周波数マトリクス、ζはモード減衰係数、Iは単位マトリクスである。
数式8と数式9の組み合わせは外力ベクトル{f}に対する変位速度ベクトル{v}の関係として導出される状態方程式となっている。この関係を一般の制御系シミュレータや、Runge-Kutta法などに移行すれば容易に数値計算を行うことが可能である。
本発明による方法は、振動に限らず他の物理量に対してもその趣旨を変えずに適用できる。振動では外力ベクトル{f}として加振力、変位速度ベクトル{v}としてコンポーネント特定点における表面速度を選択するが、例えば熱を評価する場合には、モード法の代わりに熱回路網モデリング、外力ベクトル{f}として発生熱量、変位速度ベクトル{v}として表面温度の関係式を利用することができる。また、振動の評価では表面速度の代わりにコンポーネントの変位を選択してもよい。すなわち、ふるまいモデル生成部24では、設計対象に印加される加振力を入力とし、設計対象のあらかじめ設定された位置における変位または変位速度の情報を出力とするモデルや、設計対象の発生熱量を入力とし、設計対象のあらかじめ設定された位置における温度情報を出力とするモデルなどを、ふるまいモデルとして生成し出力することができる。
図8は、本発明による設計支援装置の一運用例である。
ドライブトレイン30は、主にインバータ31、モータ32、ギア33から構成され、車両70内に固定される。インバータ31はインバータ担当者71iが、モータ32はモータ担当者71mが、ギア33はギア担当者71gがモデル化を担当する。また、全体担当者71xは車両70とドライブトレイン30との位置関係や拘束位置、各部品の締結関係などを担当する。
インバータ担当者71iは、ドライブトレイン30の制御モデル72、インバータ31の出力電圧など形状に依らない部分の挙動を記述するインバータプラントモデル73i、インバータローカル形状情報13iを記述する。モータ担当者71mは、モータ32に印加される電圧に対する電流や発生トルクの関係を記述するモータプラントモデル73m、モータローカル形状情報13m、モータ形状関係情報21mを記述する。ギア担当者71gは、ギア33に印加されるトルクに対する出力トルクの関係を記述するギアプラントモデル73g、ギアローカル形状情報13g、ギア形状関係情報21gを記述する。
なお、簡単のためインバータ31からは振動に影響する出力は出ないとして、インバータ形状関係情報21iを省略している。また、インバータ31に関してのみ制御モデル72が割り当てられているが、これはモータ32、ギア33はインバータ31の動作によって動作が自動的に決定されるためである。
全体担当者71xは、車両70からドライブトレイン30に伝わる加振力を計算する車両加振力プラントモデル73x、インバータ基準位置情報12i、モータ基準位置情報12m、ギア基準位置情報12g、インバータ=モータ締結情報14im、モータ=ギア締結情報14mg、ギア=インバータ締結情報14giを記述する。
インバータ基準位置情報12i、モータ基準位置情報12m、ギア基準位置情報12g、インバータローカル形状情報13i、モータローカル形状情報13m、ギアローカル形状情報13g、インバータ=モータ締結情報14im、モータ=ギア締結情報14mg、ギア=インバータ締結情報14gi、モータ形状関係情報21m、ギア形状関係情報21gを設計支援装置10に送ることで、振動に関するふるまいモデル(図示せず)を自動生成できる。作成されたふるまいモデルと制御モデル72、インバータプラントモデル73i、モータプラントモデル73m、ギアプラントモデル73g、車両加振力プラントモデル73xを制御系CAD内で組み合わせれば、振動を考慮したドライブトレイン30のシミュレーションが可能となる。
以上説明した本実施例に係る設計支援装置10によれば、ふるまいモデル生成の過程において、形状そのものと、形状に加わる条件とを分離して管理することが可能となる。一般的な工業製品では部品を標準化してラインナップ化するため、形状そのものを新規開発することは少ない。そのため、形状数値情報は一度作成すれば変更される頻度は少ない。これに対し、形状に加わる条件、例えば製品に組み込むためのマウント位置や、使用環境からの外力は用途によってさまざまに変わりうるので、変更頻度が高い。本発明により変更頻度の高い部分を分けて、ふるまいモデルを自動生成することにより、設計者が変更に要する工数を削減できる。
また、縮退部16は情報量が多い形状情報を次元圧縮、モデル同定などの手段を用いて情報量を削減(縮退)することにより、計算量を減らし、設計にかける時間を低減できる。縮退部16が形状そのものを対象とするのに対し、情報変換部22は、形状に依存する情報のうち、外力や拘束条件といった形状に加わる条件に関する情報を対象とする。情報変換部22は縮退部16で用いた変換情報17を用いてモデル作成の材料となる情報(境界数値情報23)を作成する。
さらに、複数の構成要素からなる設計対象について、複数の構成要素の形状情報を合成して全体形状情報15を作成する形状合成部11を有し、全体形状情報15が縮退部16に入力される。このことにより、複数の部品担当者が並行して各部品の形状を記述できるようになるため、全体形状記述のための時間を削減できる。
本発明は特に振動や熱などのように形状情報が性能に大きく影響する設計指標について反復検討を行う場合に好適である。応用例としては,車両シミュレータと組み合わせて実際の走行条件を模擬し、その際の挙動をシミュレーションにより求めて各部品の設計仕様に反映させたり、試作する前に仕様未達を抽出するといった用途などに用いることができる。
図9は、本発明の別の実施例である。図1に記載の実施例では、形状合成部11が全体形状情報15を合成した後に、縮退部16が縮退を実行する構成であるが、図9では、まず各部品ごとに形状情報を縮退部16で縮退し、各部品の形状数値情報61と各部品の変換情報62を得る。ここで添字i,m,gはそれぞれインバータ、モータ、ギアを表す。各部品の形状数値情報61と各部品の変換情報62は、記憶部63に一旦格納され、その後形状合成部11において、変換情報17と合成形状数値情報18を生成する。このような構成にすることで、一度縮退をかけた部品の情報を再利用することが可能になる。この構成は部品のラインナップが十分そろっていれば、何度も縮退計算を行う必要がなくなるため、ふるまいモデル生成時間短縮の観点から有効である。
図10は、図9の構成を採用した設計支援装置の一運用例である。本実施例においては、縮退部16が設計支援装置10とは別の実現手段によって実施されているが、本構成であっても縮退部16を設計支援装置10内部に設けることも可能である。
本実施例の設計支援装置によれば、いったん作成した設計対象の形状情報はデータベース化され、必要に応じて利用可能となる。このため、設計対象の形状が変化せず、その境界条件のみが変わる場合に形状の再記述の手間を省くことになり、省力化、設計時間の低減を図れる。また、部品ごとに作成された形状数値情報61は記憶部63に格納され、部品の組み合わせに応じて設計支援装置内で全体形状が生成できる。これにより部品ごとのデータ管理が容易となる。
上述した実施例においては、電動車両用ドライブトレインを対象とした設計支援装置についての例を説明したが、設計対象としては当然これらに限られるものでは無い。
本発明によれば、形状情報と、情報量が比較的少なく変更頻度が多い境界条件情報とを別々に管理する。一般的に形状情報は情報量が多いが変更頻度が少ない。これは、部品供給メーカー(サプライヤ)は製品をラインナップとしてそろえるため、形状情報自体を変更するのは新製品開発あるいはオーダーメイドでの対応が必要な場合である。そのため、たいていの設計事例においては一度作成した形状情報を使いまわす運用となる。一方で拘束や外力などをまとめた境界条件情報は、レイアウトや使用状況によってさまざまに変化し、設計初期段階において多くのケースについて反復検討する必要がある。しかしながら、拘束位置や外力の加わる位置などは取りうる候補点が限られており、情報量が比較的少ない。以上のことからふるまいモデルの作成にあたっては情報量の少ない境界条件情報のみの再計算で対応できるため、ふるまいモデル作成のためにかかる計算時間が短縮される。したがって、多数の設計案を反復検討することができるようになり、より良い設計案を選択することが可能となる。
また、本発明によれば、各部品ごとに形状情報と境界条件情報を分離して管理することができる。この特徴は、多数のサプライヤが自分の担当部品に関して他部品との関係とは独立して形状情報や境界条件情報を作成することができるため、例えば自動車のように多数のサプライヤが関与する設計対象に対して好適である。本発明によれば、各部品の有する情報の独立性が高まるため、擦り合わせによる各部品間の影響を考慮する工数が削減できるため、開発効率の向上が期待できる。
上記のように計算時間の短縮、開発効率の向上といった特徴は、とりまとめとサプライヤ間での意思伝達頻度が上がるため、設計仕様に関しての認識違いや仕様変更に対しても柔軟に対処できるため、手戻りが必要な場合であっても設計初期段階で対応可能となり、開発費用の低減につながる。
10:設計支援装置
11:形状合成部
12:基準位置情報
13:ローカル形状情報
14:各部品間のつながりを記載する締結情報
15:全体形状情報
16:縮退部
17:変換情報
18:合成形状数値情報
21:形状関係情報
22:情報変換部
23:境界数値情報
24:ふるまいモデル生成部
25:ふるまいモデル
30:ドライブトレイン
31:インバータ
32:モータ
33:ギア
41:全体座標系
42:ローカル座標系
61:各部品の形状数値情報
62:各部品の変換情報
63:記憶部
70:車両
11:形状合成部
12:基準位置情報
13:ローカル形状情報
14:各部品間のつながりを記載する締結情報
15:全体形状情報
16:縮退部
17:変換情報
18:合成形状数値情報
21:形状関係情報
22:情報変換部
23:境界数値情報
24:ふるまいモデル生成部
25:ふるまいモデル
30:ドライブトレイン
31:インバータ
32:モータ
33:ギア
41:全体座標系
42:ローカル座標系
61:各部品の形状数値情報
62:各部品の変換情報
63:記憶部
70:車両
Claims (12)
- 設計対象の形状情報から当該形状情報の情報量を低減した形状数値情報と、前記設計対象の境界条件情報から当該境界条件情報の情報量を低減した境界数値情報と、に基づいて、前記設計対象の形状に印加される外部入力から前記設計対象の挙動を計算するふるまいモデルを出力するふるまいモデル生成部を備えた設計支援装置。
- 請求項1に記載の設計支援装置であって、
前記境界条件情報と、前記形状情報から前記形状数値情報に変換するための変換情報と、に基づいて、前記境界数値情報を出力する情報変換部をさらに備え、
前記ふるまいモデル生成部は、前記情報変換部が出力する前記境界数値情報に基づいて、前記ふるまいモデルを出力する設計支援装置。 - 請求項2に記載の設計支援装置であって、
前記形状情報に基づいて、前記形状数値情報を出力する縮退部をさらに備え、
前記ふるまいモデル生成部は、前記縮退部が出力する前記形状数値情報に基づいて、前記ふるまいモデルを出力する設計支援装置。 - 請求項3に記載の設計支援装置であって、
前記設計対象が複数の構成要素を含む場合に、前記複数の構成要素の形状情報を合成し、前記設計対象の全体形状情報を生成する形状合成部をさらに備え、
前記縮退部は、前記全体形状情報に基づいて、前記形状数値情報を出力する設計支援装置。 - 請求項2に記載の設計支援装置であって、
予め算出された前記形状数値情報および前記変換情報が格納される記憶部をさらに備え、
前記情報変換部は、前記記憶部に格納された前記変換情報に基づいて、前記境界数値情報を出力し、
前記ふるまいモデル生成部は、前記記憶部に格納された前記形状数値情報と、前記情報変換部が出力する前記境界数値情報と、に基づいて、前記ふるまいモデルを出力する設計支援装置。 - 請求項5に記載の設計支援装置であって、
前記設計対象が複数の構成要素を含む場合に、前記記憶部には、前記複数の構成要素の形状数値情報が格納され、
前記記憶部に格納された複数の前記形状数値情報と前記変換情報とを合成し、前記設計対象の全体形状数値情報を生成する形状合成部をさらに備え、
前記ふるまいモデル生成部は、前記全体形状数値情報と、前記情報変換部が出力する前記境界数値情報と、に基づいて、前記ふるまいモデルを出力する設計支援装置。 - 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の設計支援装置であって、
前記ふるまいモデルは、前記設計対象に印加される加振力を入力とし、前記設計対象のあらかじめ設定された位置における変位または変位速度の情報を出力とするモデルである設計支援装置。 - 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の設計支援装置であって、
前記ふるまいモデルは、前記設計対象の発生熱量を入力とし、前記設計対象のあらかじめ設定された位置における温度情報を出力とするモデルである設計支援装置。 - 計算機が実行する設計支援方法であって、
設計対象の形状情報から当該形状情報の情報量を低減した形状数値情報と、前記設計対象の境界条件情報から当該境界条件情報の情報量を低減した境界数値情報と、に基づいて、前記設計対象の形状に印加される外部入力から前記設計対象の挙動を計算するふるまいモデルを出力するふるまいモデル生成処理を実行する設計支援方法。 - 請求項9に記載の設計支援方法であって、
前記境界条件情報と、前記形状情報から前記形状数値情報に変換するための変換情報と、に基づいて、前記境界数値情報を出力する情報変換処理をさらに実行し、
前記ふるまいモデル生成処理において、前記情報変換処理で出力される前記境界数値情報に基づいて、前記ふるまいモデルを出力する設計支援方法。 - 請求項10に記載の設計支援方法であって、
前記形状情報に基づいて、前記形状数値情報を出力する縮退処理をさらに実行し、
前記ふるまいモデル生成処理において、前記縮退処理で出力される前記形状数値情報に基づいて、前記ふるまいモデルを出力する設計支援方法。 - 請求項10に記載の設計支援方法であって、
前記形状数値情報および前記変換情報を予め算出して記憶部に格納し、
前記情報変換処理において、前記記憶部に格納された前記変換情報に基づいて、前記境界数値情報を出力し、
前記ふるまいモデル生成処理において、前記記憶部に格納された前記形状数値情報と、前記情報変換処理で出力される前記境界数値情報と、に基づいて、前記ふるまいモデルを出力する設計支援方法。
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來村徳信 ほか,オントロジー工学に基づく機能的知識体系化の枠組み,人工知能学会論文誌,日本,一般社団法人人工知能学会,2002年04月04日,第17巻, 第1号,pages 61-72,<DOI: https://doi.org/10.1527/tjsai.17.61> |
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