JP7361861B1 - 清掃用リング、及び、反応装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】清掃される対象物をより清浄な状態にするのが容易な清掃用リングを提供し、反応装置を良好に清掃すること。【解決手段】 部材に対して流体を吹き付けて当該部材を清掃するために用いられる清掃用リングであって、前記流体の流路となる空間部を内部に備えた中空リング状の本体部を備え、該本体部の径方向内側には、前記空間部に連通し、前記空間部に供給された前記流体を吹き出すための貫通孔が設けられており、前記本体部の中心軸が延びる方向である第1方向を有し、前記本体部には、前記第1方向が垂直方向となるように配した時に前記流体の吹き出し方向が斜め上方向となる複数の前記貫通孔が備えられ、該複数の貫通孔には、第1貫通孔と、孔の大きさ、流体を吹き出す角度、及び、前記第1方向における形成位置の内の少なくとも1つが前記第1貫通孔とは異なる第2貫通孔と、を含む複数種類の前記貫通孔が含まれている清掃用リングを提供する。【選択図】 図2

Description

本発明は清掃用リングと反応装置とに関し、より詳しくは、部材に対して流体を吹き付けて清掃するために用いられる清掃用リングとそのような清掃用リングを備えた反応装置とに関する。
従来、配管どうしの接続部に配管と同程度の内径を有する清掃用リングを介在させ、配管内を液体や粉末が通過した後に清掃用リングから配管の内壁に固体(粉体)や液体の洗浄材やエアなどを吹き付けて配管を清掃することが行われている。なかでも液体の洗浄材(洗浄液)を用いた清掃が広く行われている(下記特許文献1、2参照)。このような清掃用リングは、内周面にエアや洗浄液を吹き出すための貫通孔を有し、配管だけでなく、タンクの除き窓の清掃などにも用いられている。また、このような清掃用リングは、リング状であるために内側に棒状体を挿通して該棒状体の外表面を清掃する目的でも用いられる。例えば、反応槽などでは槽の天井部に開口部を設けて該開口部を通じて上下に延びる回転軸を配置し、該回転軸の下端部に攪拌翼を設けて反応物を攪拌するようなことが行われているが、清掃用リングは、この開口部に配置して回転軸や攪拌翼を清掃するためにも用いることができる。
特許第6542561号公報 独国特許出願公開第102009049296号明細書
清掃用リングや清掃用リングによって清掃される配管などを有する清掃機能付装置では、清掃の対象となる部材がより清浄な状態となるように清掃されることが求められている。そのため、清掃用リングは、対象となる部材を清掃することが容易であることが望ましい。しかしながら、清掃対象となる種々の物品に適切に流体を吹き付けることは難しく、これまでそのような要望が満たされる状況にはなっていない。そのため反応装置などでは十分良好な清掃を行うことが困難になったりしている。そこで本発明は、清掃される対象物をより清浄容易な清掃用リングを提供し、反応装置での清掃を良好に実施することを課題としている。
上記課題を解決するために本発明は、
部材に対して流体を吹き付けて当該部材を清掃するために用いられる清掃用リングであって、
前記流体の流路となる空間部を内部に備えた中空リング状の本体部を備え、
該本体部の径方向内側には、前記空間部に連通し、前記空間部に供給された前記流体を吹き出すための貫通孔が設けられており、
前記本体部の中心軸が延びる方向である第1方向を有し、
前記本体部には、
前記第1方向が垂直方向となるように配した時に前記流体の吹き出し方向が斜め上方向となる複数の前記貫通孔が備えられ、
該複数の貫通孔には、
第1貫通孔と、
孔の大きさ、流体を吹き出す角度、及び、前記第1方向における形成位置の内の少なくとも1つが前記第1貫通孔とは異なる第2貫通孔と、を含む複数種類の前記貫通孔が含まれている清掃用リング、を提供する。
上記課題を解決するために本発明は、
底壁部と、該底壁部の外周縁より筒状になって上方に延びる周側壁部と、前記底壁部と上下方向に対向して前記周側壁部の上端部を塞ぐように配される天井壁部とを備え、該底壁部、該周側壁部、及び、該天井壁部で囲われた収容空間を備えた反応槽を有し、
該反応槽には、開口が設けられており、
部材に対して流体を吹き付けて当該部材を清掃するために用いられる清掃用リングを更に有する反応装置であって、
前記清掃用リングが、前記流体の流路となる空間部を内部に備えた中空リング状の本体部を備え、
前記本体部が、前記反応槽の前記開口に装着されており、
該本体部の径方向内側には、前記空間部に連通し、前記空間部に供給された前記流体を吹き出すための貫通孔が設けられており、
前記清掃用リングは、
前記本体部の中心軸が延びる方向である第1方向を有し、
前記本体部には、
前記第1方向が垂直方向となるように配した時に前記流体の吹き出し方向が斜め上方向となる複数の前記貫通孔が備えられ、
該複数の貫通孔には、
第1貫通孔と、
孔の大きさ、流体を吹き出す角度、及び、前記第1方向における形成位置の内の少なくとも1つが前記第1貫通孔とは異なる第2貫通孔と、を含む複数種類の前記貫通孔が含まれている反応装置、を提供する。
本発明によれば清掃用リングが流体を吹き出すための貫通孔を複数種類有しているため、清掃対象となる部材の形状に対して適した形で流体を吹き出させ易く、反応装置などにおいて良好な清掃が実現され得る。
図1は、清掃機能付装置である反応装置を示した概略正面図である。 図2は、清掃用リングの概略斜視図である。 図3は、清掃用リングの断面形状を示した概略断面図(図2のIII-III線矢視断面図)である。 図4は、清掃用の流体が吹き出す様子を示した概略正面図である。 図5Aは、清掃用の流体が吹き出す様子を示した概略平面図である(図4でのブロック矢印V方向に本体部の様子を観察した概略図)。 図5Bは、リング本体の中心軸と第1貫通孔の貫通方向とに平行な平面で第1貫通孔の形成箇所を切断した際の断面形状を表した概略断面図(図5AでのB-B線矢視断面図)である。 図5Cは、リング本体の中心軸と第2貫通孔の貫通方向とに平行な平面で第2貫通孔の形成箇所を切断した際の断面形状を表した概略断面図(図5AでのC-C線矢視断面図)である。 図6は、清掃用リングのリング本体の構成を示した概略斜視図である。 図7Aは、テーパー面の配置について示した概略図である。 図7Bは、テーパー面の別の配置について示した概略図である。 図7Cは、テーパー面の別の配置について示した概略図である。 図7Dは、傾斜姿勢でのテーパー面の状態を示した概略図である。 図8は、図1とは異なる使用形態で清掃用リングを用いた反応装置を示す概略正面図である。 図9は、清掃用リングと仮想面とを示した概略斜視図である。 図10は、図9での仮想面に洗浄液が到達する様子を示した模式図である。 図11は、図10とは異なる貫通孔を有する場合の模式図である。
以下に、図を参照しつつ本発明の一つの実施の形態について説明する。本実施形態では、清掃用リングを設ける装置が反応装置であり、グラスライニングが施された反応槽を有する装置である場合を例示するが本実施形態の清掃用リングはグラスライニング製品以外にも使用でき、反応装置以外にも、例えば、濾過装置や乾燥装置といったその他の装置などにも使用可能なものである。
図1は、本実施形態における清掃機能付装置である反応装置1を示したもので、反応装置1は、反応槽10を備え、該反応槽10に接続される配管を通じて原材料が供給されるように構成されている。反応装置1は、反応装置1に外部から原材料を供給するための配管(以下、「装置外配管PX」という)を接続可能な配管(以下、「装置配管11a」ともいう)を有している。本実施形態の装置配管11aは、前記反応槽10から短く延びるように設けられている。本実施形態の反応装置1は、前記装置配管11aの端部に着脱自在に装着される清掃用リング20をさらに備えている。即ち、前記清掃用リング20は、装置外配管PXの接続時に当該装置外配管PXと前記装置配管11aとの間に介装されるように備えられている。
本実施形態の清掃用リング20は、上記の通り2つの部材の間に介装させて用いられる。本実施形態では、2つの部材の内の一部材が他部材よりも上方に位置し、清掃用リング20が、2つの部材で上下方向から挟まれるようにして用いられる。本実施形態では、2つの部材の内の上方に位置する前記一部材が装置外配管PXであり、下方に位置する他部材が装置配管11aである場合を例示するが、清掃用リング20を間に介装させる2つの部材は、このような特定の部材に限定されない。
本実施形態の前記反応槽10は、反応を行う原材料を収容する収容空間10cを有している。本実施形態の前記反応槽10は、この収容空間10cに対して露出する箇所に対してグラスライニングが施されて耐食性が付与されている。本実施形態の前記反応槽10は、平面視円形の底壁部12と、該底壁部12の外周縁より円筒状になって上方に延びる周側壁部13と、前記底壁部12と上下方向に対向して前記周側壁部13の上端部を塞ぐように配される平面視円形の天井壁部14とを備えた槽本体110を有している。本実施形態の前記反応槽10では、該槽本体110の内側の壁面によって前記収容空間10cが画定されている。
本実施形態の反応槽10は、収容空間10cと連通する開口部が前記天井壁部14の4箇所に設けられている。4つの開口部の内の一つは、ガラス板で構成された覗き窓を備えた蓋体の装着されたマンホール(図示せず)である。残り3つの開口部の内の一つは、前記装置外配管PXを通じて原材料の供給される材料供給口14aである。残る2つは、攪拌装置30とバッフル40とをそれぞれ取り付けるための攪拌装置取付口14bとバッフル取付口14cである。
前記攪拌装置取付口14bは、前記天井壁部14の概ね中央部において開口している。前記材料供給口14aと、前記バッフル取付口14cとは前記攪拌装置取付口14bを間に挟んで前記天井壁部14の左右に分かれて配されている。反応槽10は、槽本体110の前記材料供給口14a、前記攪拌装置取付口14b、及び、前記バッフル取付口14cのそれぞれからは上方に向けて短く延びる筒状部を更に備える。各筒状部の端縁における開口は、反応槽10の上端部における開口となっており、上方に向けて開口している。該開口は、前記収容空間10cと反応槽外の空間(外部空間)とを連通させるのに利用可能である。前記材料供給口14aから延びる第1の筒状部は、装置外配管PXに接続される装置配管11aである。前記攪拌装置取付口14bから延びる第2の筒状部11bは、前記攪拌装置30の回転軸31を挿通させるために利用されている。前記バッフル取付口14cから延びる第3の筒状部11cは前記バッフル40を挿通させるために利用されている。装置配管11aが装置外配管PXと連通しているのに対して第2の筒状部11bと第3の筒状部11cとは蓋体によって閉じられた状態になっている。
第1の筒状部である装置配管11aには装置外配管PXが接続されている一方で、第2の筒状部11bと第3の筒状部11cとのそれぞれには、図示されていない前記マンホールと同様に蓋体15が装着されている。該蓋体15は、それぞれの筒状部の上端縁における開口を塞ぐように筒状部の上方に装着されている。前記回転軸31は、第2の筒状部11bの中央部を通って上下方向に延び、該第2の筒状部11bの上方に装着されている前記蓋体15を貫通して蓋体15よりも上方まで延びている。第3の筒状部11cでは、上端部が前記蓋体15に固定されたバッフル40が、当該第3の筒状部11cの中央部を通って下方に延びている。
装置配管11aと装置外配管PXとの間には、前記の通り清掃用リング20が介装されている。装置配管11aと装置外配管PXとは、概ね内径が一致している。清掃用リング20は、図2に示すように円環状の本体部210を有し、該本体部210の内径が装置配管11aと装置外配管PXの内径と共通している。前記清掃用リング20は、反応槽10の上部開口を画定している装置配管11a(第1の筒状部)の上端縁の上方に前記本体部210を装着させて反応装置1に備えられている。リング状の本体部210は、前記開口の一部又は全部を包囲するように装置配管11aよりも上方に装着されている。より詳しくは、前記清掃用リング20は、前記装置配管11aの中心軸11acと前記本体部210の中心軸210cとが一致するように前記装置配管11aの上端部に装着されており、前記本体部210の中心軸方向での厚さ分だけ該装置配管11aの流路を延設するように配されている。装置外配管PXは、中心軸が前記清掃用リング20や前記装置配管11aの中心軸と一致するように配されている。即ち、本実施形態での装置配管11a、装置外配管PX、及び、本体部210は、内側の周面が面一となっていて3つの周面が一つの円筒を構成するように接続されている。
本実施形態の本体部210の外径は、装置配管11a、及び、装置外配管PXの外径以下である。即ち、径方向における本体部210の寸法は、該本体部210が装着される配管の肉厚と同じかそれよりも小さい。該配管の内径をφpi、外径をφpoとし、前記本体部の内径φri、外径をφroとしたときに、上記のように内径については「φpi=φri」となっていて外径については「φpo≧φro」となっている。本体部210の内径(φri)は配管の内径(φpi)よりも僅かに径大(φri>φpi)であってもよい。本体部210の外径(φro)は配管の内径(φpo)よりも僅かに径小(φro<φpo)であってもよい。即ち、本体部210は、中心軸の方向に沿って見た時に該本体部210が装着される配管の断面形状内に収まる形状を有していてもよい。本体部210を介して接続される装置配管11aと装置外配管PXとのそれぞれの端部にフランジ部が設けられており、該フランジ部を利用したクランプなどでの締結が行われる場合、本体部210の外径(φro)は配管の外径よりも僅かに径大で該本体部210が装着されるフランジ部の外径以下となるようにしてもよい。フランジ部どうしがボルト・ナットで締結される場合、本体部210の外径は、ボルトの位置よりも内側に収まる大きさとされる。
上記のように本実施形態の清掃用リング20は、被収容物が収容される収容空間10cと、該収容空間10cと外部空間とを連通させる開口部とを備え、被収容物の反応が行われる反応装置1に用いられている。本実施形態の清掃用リング20は、1つ若しくは複数の化学物質及び/又は1つ若しくは複数の化合物を含む被処理物の化学反応を伴った処理に用いられる装置の機器及び/又はその付帯設備として用いられ得る。本実施形態の清掃用リング20は、被処理物に含まれる化学物質や化合物を何らかの形で変化させる化学プロセスに用いられる機器及び/又はその付帯設備として用いられ得る。化学物質や化合物を変化させるために装置に供給するのは、変化させる化学物質や化合物と反応可能な別の化学物質や化合物だけでなく、例えば、熱エネルギー、光エネルギー、電気的エネルギー、磁気エネルギー、及び、運動エネルギーの内の少なくとも1つであってもよい。装置には、別の化学物質や化合物の供給とこれらのエネルギーの供給とが併用されてもよい。本実施形態の清掃用リング20を化学プロセスに用いられる機器及び/又はその付帯設備として用いる場合、被収容物は、化学物質や化合物のみを含むものであってもよく、化学物質や化合物を溶解可能な溶媒や分散媒を含んでいてもよい。被収容物は、変化させる化学物質や化合物を一つの成分として含む飲食品などであってもよく、化学物質や化合物を一成分として含む有機組成物(プラスチック組成物、ゴム組成物、薬剤など)や無機組成物(ガラス組成物、金属組成物、セラミック組成物など)などであってもよい。本実施形態の清掃用リング20は、例えば、医薬品製造、食品製造、半導体製造分野などでの機器及び/又はその付帯設備に用いられる。清掃用リング20は、被処理物に化学的な反応が施される反応装置だけでなく、化学反応以外の処理を行う装置に用いられてもよい。清掃用リング20は、混合、攪拌、ろ過、乾燥といった物理的な処理が施される処理装置(混合装置、攪拌装置、ろ過装置、乾燥装置など)であってもよい。これらの装置は、化学的な反応と物理的処理との両方が行われるものであっても物理的処理のみが行われるものであってもよい。本実施形態の清掃用リング20は、被収容物を貯留する貯留装置などにも好適に用いられ得る。清掃用リング20は、処理の施された被収容物が収容空間から排出された後に、次に処理が行われる被処理物が収容空間に導入される回分式処理装置などでのバッチ間の清掃に好適に用いられ得る。清掃用リング20は、前記開口部が機器類の取り付け口、覗き窓、被収容物の流路として用いられる回分式装置で用いられ得る。清掃用リング20は、被収容物の一部が入れ替えられる半回分式装置や連続式装置においても利用可能である。
本実施形態の本体部210は、中心軸方向視における形状が上記のようになっていることで装置配管11aと装置外配管PXとに挟み込まれた状態でボルト・ナットやクランプで固定された際に全体的に圧力が作用し、一部にのみ強い圧力が加わることが防止される。一方でそのようにすると本体部210の大きさが制約されることになる。さらに、本体部210は、後述するように中空であり、壁の厚さなどが制約されることになる。本実施形態では当該本体部210を金属製とすることで小型でありながらも高い強度を有している。
装置配管11a、装置外配管PX、及び、本体部210は、Oリングなどを挟んでそれらどうしが直接的に接するように接続されてもよく、ガスケットを挟んで接続されてもよい。
本実施形態での清掃用リング20は、内周側より洗浄液を吹き出して前記装置外配管PXや前記装置配管11aの内壁面に付着している原材料を洗い流して両配管を清掃するために用いられる。洗浄液は、水や有機溶媒などの溶媒に溶質が溶けた溶液であってもよく、浮遊固形物を含む分散液であってもよい。洗浄液は、溶質や浮遊固形物に加えて更にマイクロバブルのような気泡を含んでいてもよい。尚、本実施形態においては清掃用リング20から洗浄液を吹き出すようにしているが、配管を清掃するために清掃用リング20から吹き出す流体は液体に限らず粒子状の固体であってもよい。流体には、液体や固体などの洗浄材(液材、粒状材)以外にも気体などを採用してもよい。即ち、本実施形態では、前記流体として窒素ガスや二酸化炭素ガスを採用し、該気体による気流で清掃を行う清掃用リング20を採用してもよい。前記流体は、気流中に洗浄材の粒子を含んだものであってもよい。即ち、前記清掃用リング20で洗浄材を吹き出す具体的な態様としては、液体粒子を含んだ気流(ミストスプレー)や固体粒子を含んだ気流(パウダースプレー)であってもよい。前記清掃用リング20で洗浄材を吹き出す具体的な態様としては、固体粒子を含んだ液体(スラリー)や気泡を含んだ液体(気液混合流体)であってもよい。
本実施形態での清掃用リング20の本体部210は、中実構造にはなっておらず、図3に示すように中空リング状である。即ち、本体部210は、内部に空間部210aを有する。該空間部210aは、前記洗浄液の流路として利用されるようになっている。本実施形態の空間部210aは、周方向Rに連続しており、本体部210の内部を通って当該本体部210の中心軸210cの周りを一周するように設けられている。即ち、本実施形態の本体部210は、前記洗浄液が流通される環状流路を有している。
本実施形態での清掃用リング20は、前記本体部210の中心軸210cに沿った方向である第1方向D1を有する。該第1方向D1が垂直方向(鉛直方向)となるように配置した前記本体部210は、周方向Rに直交する平面での断面形状が図5Bに示すように縦長な長方形となっている。即ち、当該断面形状は、前記第1方向D1における寸法が径方向D2における寸法よりも僅かに大きな矩形である。
断面形状が長方形である本体部210は、その外形を画定する外側面210sが4つの面で構成されている。前記外側面210sは、円筒状の内周面210s1と、該内周面210s1よりも径が大きな外周面210s2と、上面210s3と、下面210s4との4つの面を有し、上面210s3、及び、下面210s4は、前記第1方向D1に沿った第1方向視における形状が何れも円環状(ドーナツ板状)である。上面210s3、及び、下面210s4は、内径及び外径が内周面210s1と外周面210s2との径に対応した円環状である。
前記空間部210aの断面形状は、図5Bに示すように台形となっている。従って、前記空間部210aを画定する本体部210の内面210iも4つの面で構成されている。該内面210iは、前記空間部210aの内周縁を画定する内周面210i1と、前記空間部の外周縁を画定する外周面210i2と、前記空間部210aの上縁を画定する天井面210i3と、前記空間部210aの下縁を画定する底面210i4とを含む。
本体部210の内面210iにおける内周面210i1は、外側面210sでの内周面210s1よりも径が大きく、これらの径の差が内周側での本体部210の壁厚さとなっている。本体部210の内面210iにおける外周面210i2は、外側面210sでの外周面210s2よりも径が小さく、これらの径の差が外周側での本体部210の壁厚さとなっている。
本体部210の壁厚さは、当該本体部210の最も薄い部分でも0.5mm以上であることが好ましい。本体部210の壁の最小厚さは、1.0mm以上であってもよく、1.5mm以上であってもよく、2.0mm以上であってもよい。本体部210の壁の最小厚さは、通常、8mm以下とされる。本体部210の壁の厚さをこのような厚さとすることで放電加工により後述する貫通孔を精度よく加工することができる。
前記天井面210i3は、外側面210sでの上面210s3と同様に板面が水平面となる円環状である。一方、前記底面210i4は、第1方向視における形状が円環状ではあるものの径方向内向きに先下がりとなるテーパー面となっている。即ち、前記天井面210i3から前記底面210i4までの距離は、外周面210i2から内周面210i1に向けて近付くにつれて大きくなっている。言い換えると、本実施形態での前記空間部210aは、径方向内側に向かうに従って第1方向D1での寸法が大きくなっており、内側に向けて軸方向に広幅になっている。
本実施形態の本体部210の径方向D2内側には、図4、図5A~Cに示すように、前記空間部210aに連通し、前記空間部210aに供給された洗浄液を吹き出すための貫通孔210hが設けられている。該貫通孔210hは、内面210iにおける内周面210i1から外側面210sの内周面210s1に延び、該内周面210s1において開口している。本実施形態では後段において詳述するように複数の貫通孔210hが備えられており、該貫通孔210hが内周面210s1において周方向に等間隔に並んでいる。
本実施形態での清掃用リング20は、本体部210の外周部より径方向D2外向きに延びる配管部220を更に有する。配管部220は、その内部空間が前記本体部210の空間部210aに連通し、前記空間部210aへの洗浄液の供給経路として利用される。本実施形態の配管部220は、一旦、径方向D2に延びた後で前記第1方向D1と平行するように曲がっている。配管部220は、空間部210aの外周側において開口しており、より詳しくは、外周面210i2において開口している。
前記の通り本実施形態での前記空間部210aは、配管部220の接続されている径方向D2外側に比べ、複数の貫通孔210hの形成されている径方向D2内側の方が軸方向に広幅になっている。そのため、本実施形態では、配管部220より供給される流体の圧力が周方向に伝搬され易くなっており、配管部220に近い貫通孔210hだけから勢いよく流体が吹き出して反対側では流体の勢いが弱まるといった問題を生じることが抑制されている。本実施形態では、高い圧力で本体部210に洗浄液が供給されて装置外配管PXの内壁面の清掃が行われるため、周方向に圧力勾配が生じ難い上記のような本体部210は好適であるといえる。
前記本体部210を水平姿勢とし、前記第1方向が垂直方向となるように本体部210を配した時に前記底面210i4(テーパー面)が水平面HPに対して傾斜する角度θ1(径方向外向きでの仰角(径方向内向きでの俯角))は、例えば、15度以上とすることができる。前記角度θ1は、20度以上であってもよく、25度以上であってもよく、30度以上であってもよい。前記角度θ1は、例えば、50度以下とすることができる。前記角度θ1は、45度以下であってもよく、40度以下であってもよい。
本実施形態での清掃用リング20は、前記本体部210とは反対側となる前記配管部220の端部から外向きに延びるフランジ部230をさらに備える。本実施形態の清掃用リング20は、該清掃用リング20に洗浄液を供給するための装置外配管PYと前記フランジ部230を利用して接続できるように構成されている。
本実施形態の清掃用リング20は、前記本体部210、前記配管部220、及び、前記フランジ部230が全て金属製であり、それぞれを構成する部材が溶接によって接続されている。即ち、本実施形態では空間部210aを画定する壁面を構成する全ての部材が金属製であり、該空間部210aと連通する空間の内壁面を画定する前記配管部220も金属製である。
清掃用リング20を構成する金属は、例えば、ニッケル基合金、鉄基合金、銅基合金、などとすることができる。前記金属は、例えば、ハステロイなどのニッケル基合金やステンレスなどの鉄基合金などといった耐食金属であってもよい。清掃用リング20は、前記本体部210やその他の部位にめっきが施されていてもよい。また、清掃用リング20は、異種金属が積層されたクラッド材で構成されてもよい。本実施形態では清掃用リング20として本体部210などが金属製であるものを例示しているが、清掃用リング20は、金属製でなくてもよく、樹脂製であってもよく、セラミックス製であってもよい。また、清掃用リング20は、金属、樹脂、セラミックスなど複数の素材で構成されてもよい。
本実施形態での清掃用リング20は、本体部210の径方向D2内側に周方向Rに所定の間隔を設けて複数の貫通孔210hが備えられている。複数の貫通孔210hは、前記空間部210aと本体部210の径方向D2内側の壁面よりも内側の空間(外部空間)とを連通するように設けられている。即ち、本実施形態の本体部210は、洗浄液の流路(環状流路)を構成している単一の空間部に洗浄液を供給することで複数の貫通孔210hから同時に洗浄液を吹き出すことができるように構成されている。
本実施形態での複数の貫通孔210hには、前記第1方向D1に沿う第1方向視での洗浄液の吹き出し方向が前記中心軸210cに向けた方向となる第1貫通孔210h1と、洗浄液の吹き出し方向が前記中心軸210cに向けた方向に対して傾斜する方向(Dx)となる第2貫通孔210h2とが含まれている。本実施形態においては、複数の第2貫通孔210h2を有する。
本実施形態での複数の貫通孔210hは、洗浄液の吹き出し方向が前記中心軸210cに向けた方向に対して時計回りの方向に傾斜しているか反時計回りの方向に傾斜しているかが共通する複数の第2貫通孔210h2を含む。本実施形態での複数の貫通孔210hは、洗浄液の吹き出し方向が前記中心軸210cに向けた方向に対して時計回りの方向に傾斜しているか反時計回りの方向に傾斜しているかが共通するとともに傾斜する角度も共通する複数の第2貫通孔210h2を含む。該複数の第2貫通孔210h2は、周囲方向に一定の間隔を保って本体部210の内周側に配されている。
本実施形態での清掃用リング20の第1貫通孔210h1と、第2貫通孔210h2とのそれぞれは、前記第1方向D1が垂直となるように配置した時に洗浄液の吹き出し方向が斜め上向きになるように設けられている。即ち、前記第1貫通孔210h1及び前記第2貫通孔210h2は、前記装置外配管PXの内壁面に対して斜め下から洗浄液を吹き付けるように配されている。
このとき前記第2貫通孔210h2からは、中心軸210cに向けた方向に対して傾斜する方向に洗浄液が吹き出されるので、装置外配管PXの内壁面には法線方向に対して斜めになって洗浄液が当り、その結果、壁面に当たった洗浄液が内壁面に沿って螺旋状に移動する。本実施形態では、傾斜する方向が共通する複数の第2貫通孔210h2を有するため、この複数の第2貫通孔210h2から吹き出した洗浄液は、勢いを互いに強め合いながら螺旋状に流れることになる。
複数の貫通孔より洗浄液を吹き出させる際には互いに干渉しないようにすることが好ましい。即ち、第2貫通孔の孔の向き(下記θd及びθh)は1つの第2貫通孔から吹き出される流体が別の貫通孔(隣り合う第1貫通孔又は第2貫通孔)から吹き出される流体の進行の妨げとならない方向とすることが好ましい。より具体的には第2貫通孔210h2から吹き出された流体が吹出方向に隣接する貫通孔から吹き出される流体よりも上方向に向けて流体を吹き出させることが好ましい。このように配置することによって第2貫通孔から吹き出された流体の勢いを弱めることなく螺旋状の流れを形成することができる。
本実施形態では、前記第2貫通孔210h2の少なくとも1つが、前記流体の吹き出す方向に当該第2貫通孔から延ばした直線が、他の前記第2貫通孔から同様に延ばした直線とも交点を持たず、前記第1貫通孔210h1から延ばした直線とも交点を持たないように設けられている。本実施形態の本体部210では、複数の前記第2貫通孔210h2のそれぞれより流体の吹き出し方向延ばした前記直線は、互いに交点を持たず、且つ、全ての前記第1貫通孔210h1より延ばした前記直線とも交点を持たない。尚、流体の吹き出す方向に延ばした前記直線とは、それぞれの貫通孔の中心を通る直線の延長線を意味する。
第2貫通孔210h2が本体部210の壁を貫通する方向が第1方向視において径方向D2に為す角度θdは、例えば、10度以上とすることができる。該角度θdは、例えば、20度以上とすることができる。該角度θdは、30度以上であってもよい。該角度θdは、例えば、60度以下とすることができる。角度θdは、50度以下であってもよく、45度以下であってもよい。尚、前記の角度θdは、第1方向視において中心軸210cと第2貫通孔210h2とを通る仮想線と、第2貫通孔210h2の貫通方向Dxに描いた仮想線との為す角度を測定して求めることができる。
前記本体部210を水平姿勢とし、前記第1方向が垂直方向となるように本体部210を配した時に、第1貫通孔210h1や第2貫通孔210h2が本体部210の壁を貫通する方向と、水平面HPとが為す角度(仰角)θhは、例えば、0度以上であってもよく、例えば25度以上とすることができる。該角度θhは、35度以上であってもよい。該角度θhは、例えば、70度以下とすることができる。角度θhは、60度以下であってもよい。
上記の通り本実施形態の清掃用リング20は、前記第1方向D1が垂直方向となるように前記本体部210を水平姿勢にした時に前記流体の吹き出し方向が斜め上向きとなるように前記貫通孔210hが設けられており、前記本体部210よりも上方に配される部材(装置外配管PX)の清掃に用いられる。
本実施形態では複数の第1貫通孔210h1と複数の第2貫通孔210h2とが本体部210に設けられ、該複数の第1貫通孔210h1と複数の第2貫通孔210h2とが周方向Rに交互に配されている。本実施形態で複数の第1貫通孔210h1が周方向Rに等間隔に配されているとともに複数の第2貫通孔210h2が周方向Rに等間隔に配されている。本実施形態では、周方向Rにおいて隣り合う第1貫通孔210h1と第2貫通孔210h2との間隔も一定である。
複数の第1貫通孔210h1が設けられている位置は、水平姿勢での前記本体部210の下面210s4からの高さが共通している。複数の第2貫通孔210h2が設けられている位置も、水平姿勢での前記本体部210の下面210s4からの高さが共通している。そして、第1貫通孔210h1が設けられている高さと第2貫通孔210h2が設けられている高さも共通している。本実施形態の第1貫通孔210h1と第2貫通孔210h2とは高さ(第1方向D1における形成位置)が共通しており、本体部210の寸法の約半分の高さに位置している。即ち、前記第1貫通孔210h1と前記第2貫通孔210h2とは内側リング211の高さ方向中央部において当該内側リング211を貫通するように設けられている。
前記第1貫通孔210h1の貫通方向(流体吹き出し方向)が水平面HPに対して為す角度と前記第2貫通孔210h2の貫通方向(流体吹き出し方向)が水平面HPに対して為す角度は同じでもよく、異なる角度としてもよい。複数の第1貫通孔210h1の仰角は互いに共通していてもよく共通していなくてもよい。本実施形態では前記複数の第1貫通孔210h1の前記仰角(図5Bのθh1)は、互いに共通している。複数の第2貫通孔210h2の仰角も互いに共通していてもよく共通していなくてもよい。本実施形態では前記複数の第2貫通孔210h2の前記仰角(図5Cのθh2)も、互いに共通している。本実施形態では第1貫通孔210h1の前記仰角(θh1)と第2貫通孔210h2の前記仰角(θh2)とが共通している。
図5Aに示されているように第1貫通孔210h1から吹き出した流体と第2貫通孔210h2から吹き出した流体とが第1方向視において交差する地点XPまでの第1貫通孔210h1からの距離(L1)は、第2貫通孔210h2からの距離(L2)に比べて短い。そのため、第1貫通孔210h1の仰角(θh1)と第2貫通孔210h2の仰角(θh2)とを共通させると交差する地点XPまでに両者から吹き出された洗浄液に高低差が生じ、これらが衝突することを回避することができる。
前記第1貫通孔210h1から吹き出した洗浄液は法線方向に向けて装置外配管PXの内壁面に衝突するため、強い打力で内壁面を洗浄する。このように付着物の除去能力に優れた第1貫通孔210h1と広範囲の洗浄が可能な第2貫通孔210h2を有する本実施形態の清掃用リング20は、清掃対象となる部材を短時間で清浄な状態にすることができる。また、本実施形態では、本体部210が金属製であるため、空間部10aに高い圧力の洗浄液を供給することもできる。
第1貫通孔及び第2貫通孔を形成する孔は図3記載のように入口から出口にかけて同じ径となるように形成されてもよいがこれに限定されず、入口から出口にかけて径が大きくなるように形成されても良い。このようにすることで洗浄液や洗浄ガスの供給圧力を高めた際に洗浄範囲を広げることも可能となり、供給圧力を変化させることで洗浄範囲を可変とすることができる。
また、第1貫通孔及び第2貫通孔は同一の高さに形成されている。同一高さとすることによって空間部210aの底部に傾斜を設けた場合であってもそれぞれの貫通孔にかかる圧力を略均一とすることができ洗浄の偏りを押さえることができる。
本実施形態では、圧力や温度を異ならせて洗浄液の吹き付けを複数回実施してもよい。また、本実施形態では、種類を異ならせて洗浄液の吹き付けを複数回実施してもよい。さらには、本実施形態では、液体の吹き付けと、気体の吹き付けとを行ってもよい。液体による洗浄後に気体を吹き付けるようにすると装置外配管PXの内壁面に付着した洗浄液を気流で吹き飛ばして内壁面を乾燥させることができる。装置外配管PXの内壁面から本来除去すべき物質が洗浄液に溶け込んでいたりすると、壁面に付着した液滴が乾燥する過程で当該物質が濃縮されてしまうことになるが、液滴を気流で吹き飛ばすとそのような問題も生じない。そのような場合、本体部210に供給する気体の圧力を、洗浄液の供給圧力よりも高く設定してもよい。
上記のように本実施形態の清掃機能付装置(反応装置1)は、内部の清掃のために前記清掃用リング20から吹き出す前記流体の圧力条件や温度条件を切替可能であってもよく、前記流体の種類を切替可能であってもよい。清掃機能付装置は内部の清掃のために前記清掃用リング20から吹き出す前記流体を液体と気体とに切替可能であってもよい。
流体としては、気体のみを用いてもよい。気体を用いる場合、反応槽10に収容されている収容物(原材料を単に混合しただけの混合物や原材料に反応させた反応物など)がそのまま反応槽10に残された状態でも収容物に影響を与えずに清掃し易いという利点を有する。即ち、気体は、反応槽10の運転中、運転休止中に関わらず清掃のための流体として利用しやすい。該気体としては、例えば、窒素ガス、酸素ガス、空気、水蒸気、炭酸ガス、水素ガス、アルゴンガスなどの無機ガスやメタンガス、プロパンガスなどの有機ガスが挙げられる。一方で、流体を液体とする場合は、反応槽10の運転期間中に装置外配管PXの清掃などに用いと液体を収容物に混入させることになり得る。そのため、収容物が反応槽10に残された状態では、液体の使用を少量に留めることが望ましく、液体(洗浄液)は、当該反応槽10に収容物が収容されていない運転休止中に使用されることが望ましい。
洗浄液や気体などの清掃のために本体部210に供給する流体の圧力(ゲージ圧)は、例えば、50kPa以上900kPa以下とすることができる。圧力は、100kPa以上300kPa以下であることがより好ましい。また、本体部210に供給する流体の温度は、例えば-90℃以上260℃以下とすることができる。
前記の通り本実施形態の清掃用リング20は、前記本体部210が金属製である。また、前記本体部210は、図6に示すように、前記貫通孔210hの設けられた内側リング211と、該内側リング211に径方向外側から当接されている外側リング212とを備え、該外側リング212と前記内側リング211とが溶接によって一体化されることによって構成されている。前記内側リング211は、第1方向D1(中心軸210cの方向)が垂直となるように本体部210を配置した時に、当該本体部210の内周面210s1を構成するように配されている。前記外側リング212は、本体部210の上面210s3、下面210s4、及び、外周面210s2の3面を構成するように配されている。
本体部210の上面210s3は、前記装置外配管PXの下端面に対向する面であり、前記中心軸210cが上下方向に延在する状態となる水平姿勢において当該本体部210の最上面となる面である。本体部210の下面210s4は、前記装置配管11aの上端面に対向する面であり、前記中心軸210cが上下方向に延在する状態となる水平姿勢において当該本体部210の最下面となる面である。
前記本体部210は、洗浄液の流路となる空間部210aを内部に備えた中空リング状であり、前記空間部210aに連通し、前記空間部210aに供給された前記洗浄液を吹き出すための貫通孔210hが径方向内側に設けられている。前記本体部210は、内側部分を構成する筒状の内側リング211や該内側リング211よりも径方向外側に設けられた外側リング212などの複数の構成部材を備える。本実施形態では、前記外側リング212には径方向外向きに凹入した凹部が設けられている。前記本体部210での前記空間部210aは、該外側リング212の凹部を内側から塞ぐように前記内側リング211が前記外側リング212の内側に接合されて形成されている。そして、前記内側リング211には前記貫通孔210hが設けられ、前記外側リング212には前記空間部210aに前記洗浄液を供給するための流体供給孔210bが設けられている。
外側リング212の凹部は、当該外側リング212の内周側において周方向に延びる溝212dを形成するように設けられている。本実施形態での溝212dは、外側リング212の内周側の全周に亘って設けられている。本実施形態では、本体部210の内面210iの内の前記底面210i4は、径方向D2内向きに下り傾斜となるテーパー面である。言い換えると、前記底面210i4は、径方向D2外向きに上り傾斜となっている。従って、溝212dは、凹入方向(径方向D2外向き)に向かって溝幅が狭くなるように形成されている。
前記内側リング211は、筒状であり、本体部210の中心軸210cに共通する中心軸を有して第1方向D1に短く延びる円筒状である。前記の通り本実施形態の清掃用リング20は、内側リング211と外側リング212とを別々の部材によって構成させることができるので、それぞれを適切な形状に加工し易い。例えば、外側リング212を溶接する前の内側リング211に第1貫通孔210h1や第2貫通孔210h2を形成する方が、それらを正確な大きさや角度で形成し易くなる。このように本実施形態の清掃用リング20は、清掃される対象物に適した形状に容易に調製され得る。
前記外側リング212は、前記本体部210の外周面を構成する外周壁部212aと、前記本体部210の上面を構成する第1鍔部212bと、前記本体部210の下面を構成する第2鍔部212cとを有する。前記流体供給孔210bは、この外側リング212の外周壁部212aを貫通するように設けられている。外周壁部212a、第1鍔部212b、及び、第2鍔部212cは、周方向Rに直交する平面での断面形状がコの字状となって外側リング212に備えられている。前記外側リング212は、内周側が全周に亘って開口しており、該開口より径方向外向きに凹入した形状を有することで断面形状がコの字状となっている。本実施形態では、内側リング211と外側リング212とを別々の部材によって構成させることができるので、この外側リング212の凹部の凹入形状などについても精度よく加工することができる。
前記外周壁部212aは、前記内側リング211よりも径大な筒状であり、前記内側リング211を囲繞するように配されている。前記第1鍔部212bは、前記外周壁部212aの軸方向(第1方向D1)での一方の端部から径方向D2内向きに延びている。前記第2鍔部212cは、前記外周壁部212aの軸方向(第1方向D1)での他方の端部から径方向D2内向きに延びている。前記第1鍔部212bと前記第2鍔部212cとのそれぞれは、径方向D2内側の端縁部がそれぞれ前記内側リング211に溶接されている。
第1方向D1における内側リング211の長さ(H1)は外側リング212の長さ(H2)以下である(H1≦H2)。本実施形態での内側リング211は、長さ(H1)が外側リング212よりも僅かに短く、外側リング212の長さ(H2)未満である(H1<H2)。本実施形態の本体部210は、中心軸210cからの径方向外向きに見た時に第1方向D1での内側リング211の両端縁の内の一方の端縁よりも外側に第1鍔部212bの径方向内側の端面の一部がはみ出すとともに内側リング211の他方の端縁よりも外側に第2鍔部212cの端面の一部がはみ出した状態になるように構成されている。内側リング211の一方の端縁では全周において内側リング211と第1鍔部212bとが溶接されている。内側リング211の他方の端縁では全周において内側リング211と第2鍔部212cとが溶接されている。
本実施形態では、洗浄液などを高い圧力で吹き出すようにするため、前記第1鍔部212bと前記内側リング211との間や前記第2鍔部212cと前記内側リング211との間に隙間が形成されているとその部分に洗浄液が入り込んでしまうおそれがある。そのため、前記第1鍔部と前記内側リングとの前記溶接、及び、前記第2鍔部と前記内側リングとの前記溶接が何れも裏波溶接であることが好ましい。即ち、前記空間部210aに面する箇所において第1鍔部212bと内側リング211との境界線や第2鍔部と内側リング211との境界線が明確に現れないようにそれぞれが溶け合った裏波を形成させることで空間部210aに高い圧力で洗浄液を供給しても当該洗浄液が本体部210の内部に残留するおそれを低減することができる。
本実施形態の本体部210は、一部材(装置外配管PX)と他部材(装置配管11a)との間に介装され、上面210s3と下面210s4とのそれぞれがそれらの部材に直接又はガスケットなどを介して当接される形で用いられる。そのため、上面210s3と下面210s4とのそれぞれは、シール性を発揮させ易いという点で、平坦且つ平滑であることが望ましい。
本実施形態の本体部210は、構成部材として内側リング211と外側リング212とを備える。本実施形態のように本体部210が複数の構成部材の接合体である場合、内側リング211と外側リング212とは、前記上面210s3及び前記下面210s4にそれらの境界線が形成されないように接合されることが好ましい。そのことにより、前記上面210s3や前記下面210s4は、内側リング211と外側リング212との接合後(溶接後)に表面加工を施さなくても良好なシール性が発揮され得る。即ち、本実施形態の本体部210は、前記中心軸210cを上下方向に延在させた際に前記上面210s3が最上面となり、前記下面210s4が最下面となるように構成され、該本体部210を挟み込む2つの部材の内の一方に前記最上面が対向し、前記2つの部材の内の他方に前記最下面が対向するよう構成され、該本体部210が複数の構成部材の接合体で、該複数の構成部材は、部材間の境界が前記最上面と前記最下面との何れにも位置しないように接合されている。そのため、部材間に介装された状態において本実施形態の本体部210には良好なシール性が発揮され得る。
前記のように本体部210に洗浄液を供給して貫通孔210hより洗浄液を吹き出して洗浄を行った後で本体部210に気体を供給し、該気体で装置外配管PXの内壁面に付着した洗浄液の液滴を除去することは、前記本体部210の内部に残留する洗浄液を排出するのにも有効となる。また、洗浄液を供給した後の本体部への気体の供給は、清掃対象物に付着した液滴の除去を目的としたものでなく本体部210からの洗浄液の排出を目的としたものであってもよい。この後者の場合、本体部210への気体の供給圧力は洗浄液の供給圧力よりも低いものであってもよい。
本体部210での洗浄液の残留を防止する観点からは、前記本体部210に第3貫通孔となるドレン孔210h3を設けるようにしてもよい。前記第1貫通孔210h1や前記第2貫通孔210h2が装置外配管PXの側(上側)に洗浄液を吹き出すように開口していたのに対して、当該ドレン孔210h3は、前記第1貫通孔210h1や前記第2貫通孔210h2とは反対側(装置配管11a側(下側))又は水平方向に向けて洗浄液が吹き出すように開口されていてもよい。
ドレン孔210h3は、本体部210を水平姿勢とした際の下面210s4からの高さが第1貫通孔210h1や第2貫通孔210h2よりも低くなるように設けられている。本実施形態でのドレン孔210h3は、複数の貫通孔210hの内、最も低い位置に設けられている。本実施形態の清掃用リング20は、本実施形態での清掃機能付装置である反応装置1において傾斜姿勢で配置されるのにおいて前記複数の貫通孔の内で前記ドレン孔210h3が最も低い位置となるように配置されている。
前記第1貫通孔210h1と前記第2貫通孔210h2とは、前述のように内側リング211の高さ方向中央部に設けられている。より詳しくは、前記第1貫通孔210h1と前記第2貫通孔210h2とは、本体部210を水平姿勢とした際に、空間部210aの上端から下端までの高さ方向における中間点となる位置において開口している。前記第1貫通孔210h1と前記第2貫通孔210h2とは、空間部210aの下端から上端まで充満された洗浄液の内、上端から中間点までの洗浄液を排出できるように設けられている。一方でドレン孔210h3は、中間点よりも下部の洗浄液の少なくとも一部を排出できるように設けられている。空間部210aの中間部よりも下部の洗浄液がドレン孔210h3より排出される本実施形態の清掃用リング20は、洗浄後に本体部210に残留する洗浄液の量を低減することができる。ドレン孔210h3は、残留する洗浄液の下端からの高さが水平姿勢において中間点までの1/2以下となるように設けられることが好ましく、1/3以下となるように設けられることがより好ましい。
前記ドレン孔210h3は、前記第1方向D1が垂直方向となるように前記本体部210を配した時に前記空間部210aの下縁を画定する前記底面210i4と、前記空間部210aの内周縁を画定する前記内周面210i1とが交わる角部に設けられることが好ましい。本実施形態では、前記底面210i4が径方向D2内向きに下り傾斜となっているため、前記ドレン孔210h3から洗浄液が排出され易く洗浄液の残留を抑制できるようになっている。このことにより本実施形態では、空間部210aの下端まで実質的に全ての洗浄液を排出させることができる。
上記に例示の実施形態では、図7Aに示すように、前記底面210i4の全面がテーパー面TPLとなっているが、上記のような効果を得る上でテーパー面TPLは、前記底面210i4の一部であってもよい。より詳しくは、前記底面210i4は、図7B、図7Cに示すように、テーパー面TPLと水平面HPLとで構成されていてもよい。尚、図7Bのようにドレン孔210h3に隣り合う領域がテーパー面TPLでなく水平面HPLになっていると図7Dのように傾斜姿勢とした際に、水平面HPLがドレン孔210h3に向けて先上りした状態になり、テーパー面TPLと水平面HPLとの境界部がくぼんで洗浄液が僅かに溜まってしまうことにもなり得る。そのため、テーパー面TPLは、図7A、図7Cに示すように、内側リング211に到達するように設けられていることが好ましく、内周面210i1の下端部に達するように設けられていることが好ましい。即ち、テーパー面TPLは、径方向D2での内側の縁部がドレン孔210h3の開口位置に達していることが好ましい。
ドレン孔210h3は、前記本体部210の径方向内向き方向での前記テーパー面TPLの端部に配され、該テーパー面TPLの端部に開口した状態となるように配されてもよい。その場合、ドレン孔210h3は、テーパー面TPLの径方向内側において水平面HPLが設けられたり、逆に径方向内側に向けて先上りとなる逆テーパー面が設けられたりしても空間部210aの下端に配されることになる。例えば、図7Bに示す本体部210では、径方向内側でのテーパー面TPLの端部は、テーパー面TPLと水平面HPLとの境界部となる。その場合、図7Bに示すような位置にドレン孔210h3を設けるのに代えてこの境界部にドレン孔210h3を配置するようにしてもよい。また、そのような位置に設けられたドレン孔210h3は、図7Dに記載されているような傾斜配置においても空間部210aの下端に位置することになり、洗浄液をより多く排出させる上で有効に機能する。
前記空間部210aは、前記本体部210を水平姿勢とし、当該空間部210aを水平面で切断した際の断面積を想定した場合、上記のようなテーパー面TPLを設けることによって、ドレン孔210h3の設けられている下方に向かって当該断面積が減少する。言い換えると、中心軸11acを含む垂直面(周方向Rに直交する平面)で前記本体部210を切断した際の前記空間部210aの断面形状は、該空間部210aの下端部に向けて先細りしている。そして、本実施形態では下端部に向けて先細りしている断面形状が最も細くなっている部位に前記ドレン孔が設けられている。本実施形態の空間部210aは、下端から同じ高さまでの容積を比較すると、断面積が減少せずに一定している場合に比べ前記容積が小さい。そのため、テーパー面TPLを設けることで、空間部210aに残留する洗浄液は、液面の低下に伴って体積が大きく減少し、より多くドレン孔210h3より排出されることになる。
本実施形態では、前記本体部210が装着される装置配管11aは、その中心軸11acが垂直方向に対して傾きを有して上下に延びるように配されている。従って、本体部210も中心軸210cが垂直方向に対して傾いた状態で装置配管11aの端部に装着されている。装置配管11aの端部に装着するのに際しては本体部210の一端側を他端側よりも持ち上げて本体部210を傾斜姿勢とすることになるが、この姿勢での前記一端側は、水平姿勢よりも持ち上げられた状態になるので前記底面210i4の先下がり角度がより大きくなる。一方で前記他端側では逆に底面210i4の先下がり角度が浅くなる。そのため前記底面210i4が水平面HPに対して傾斜している第1の角度θ1は、前記傾斜姿勢において中心軸210cが垂直方向に対して傾いている第2の角度θ2を超えていることが好ましい。このことにより、底面210i4は、前記空間部210aの最下点となる箇所においても先下がりとなる状態を維持することができる。そして、前記ドレン孔210h3は、この最下点となる位置に設けられることが好ましい。即ち、前記清掃用リング20は、本体部210が傾斜姿勢となるように利用されるに際して空間部210aの最下点において前記ドレン孔210h3が開口している状態で用いられることが好ましい。
前記ドレン孔210h3は、前記第1貫通孔210h1や前記第2貫通孔210h2と共通する径を有していてもよく、それらよりも径小であってもよく、径大であってもよい。前記ドレン孔210h3は、単一で設けられる必要は無く、複数設けられてもよい。前記ドレン孔210h3は、装置配管11aの洗浄に利用されてもよい。即ち、本実施形態の清掃用リング20は、前記本体部210を水平に配した時に斜め下向きに洗浄液を排出するように前記ドレン孔210h3を設け、該ドレン孔210h3から排出される洗浄液を装置配管11aの壁面に当てて装置外配管PXだけでなく装置配管11aに対しても優れた清浄化作用を発揮させるようにしてもよい。この時のドレン孔210h3からの洗浄液の吹き出す方向は、前記第1貫通孔210h1と同様に第1方向視において径方向内向きとなる方向であってもよく、前記第2貫通孔210h2と同様に径方向に対して傾きをもった方向であってもよい。
前記第1貫通孔210h1、前記第2貫通孔210h2、及び、前記ドレン孔210h3のそれぞれが貫通する方向に見た状態での孔径は、例えば、直径0.5mm以上とすることができる。該直径は、1mm以上であってもよい。該直径は、5mm以下とすることができる。該直径は4mm以下であってもよい。
本実施形態では、複数の前記第1貫通孔210h1や複数の前記第2貫通孔210h2について、それぞれ孔径を共通させる必要は無く、異なっていてもよい。また、本実施形態での例示はあくまでも限定的なものであり、本発明は上記例示に何等限定されるものではない。本実施形態においては、前記内側リング211と外側リング212とを溶接しているが、本実施形態の清掃用リング20では前記内側リング211と外側リング212とが溶接されていなくてもよく、ネジ止めなどで両者が固定されていてもよい。例えば、前記内側リング211の外周面に螺子山を設けるとともに外側リング212の第1鍔部212bと第2鍔部212cとの先端面にも螺子山を設けるようにして前記内側リング211を外側リング212に螺合して両者を固定するようにしてもよい。
内側リング211と外側リング212とを上記のように螺合させると外側リング212に対して内側リング211が回動自在となり、洗浄のための流体が清掃対象物に当たる位置を微調整できるようになる。また、内側リング211が外側リング212に着脱自在であれば、清掃対象物に応じて内側リング211を貫通孔の大きさや数の異なる別の内側リングに取り換えることも可能になる。
本実施形態では配管の内壁面を清掃対象にしているが、例えば、前記本体部210を、第2の筒状部11bの端部に装着して回転軸31の清掃に用いたり、第3の筒状部11cの端部に装着してバッフル40の清掃に用いたりすることも可能である。
本実施形態では、本体部210の上部に覗き窓(サイトグラス)を設置して装置外部から装置内部を視認できるようにし、清掃用リング20を当該覗き窓の清掃に用いることも可能である。また、清掃用リング20は、本体部210の上方に圧力計等の計器を設置した場合には当該計器の清掃に用いることも可能である。本実施形態では清掃用リング20が第一方向視において流体の吹き出し方向が中心軸に向けた第1貫通孔210h1と、中心軸に向けた方向に対して傾斜する方向となる第2貫通孔210h2とを有するため、第2貫通孔210h2から吹き出す流体によって配管側面や、他部材との接合部(ガスケット部分など)を清掃しつつ、中心部に設けられた計器や覗き窓を効果的に清掃することもできる。
本実施形態の清掃用リング20は、図8に示すように、第2の筒状部11bと第3の筒状部11cとのそれぞれに装着されてもよい。清掃用リング20は、第1の筒状部である装置配管11aに対して装置外配管PXではなく蓋体15が装着される場合に蓋体15と装置配管11aとの間に介装されてもよい。図8に例示の態様では、装置配管11aに対して清掃用リング20(本体部210)を介して装着された第1蓋体15aと、第2の筒状部11bに対して清掃用リング20(本体部210)を介して装着された第2蓋体15bと、第3の筒状部11cに対して清掃用リング20(本体部210)を介して装着された第3蓋体15cとが備えられている。
第1蓋体15aは、当該蓋体15を介して反応槽10の内部を視認するための開口部を有する円環板状の蓋本体151と、該蓋本体151の開口部を塞ぐガラス板を備えた覗き窓152とを備える。前記蓋本体151は、少なくとも収容空間10cに向けた面にグラスライニングが施された金属板によって構成されてもよい。前記覗き窓152が設けられる開口部は、その形状や位置が特に限定されない。本実施形態では前記開口部が円形で蓋本体151の中央部に設けられている。前記覗き窓152でのガラス板は、蓋本体151の外側から開口部を覆うように設けられている。従って、収容空間10cの側から前記第1蓋体15aを見た場合、ガラス板は、蓋本体151の内面より凹入した凹部を形成するように蓋本体151に装着されている。
本実施形態では、清掃用リング20の前記本体部210に前記第1貫通孔210h1と、前記第2貫通孔210h2とを含む複数種類の前記貫通孔が含まれている。図9、図10に示すように、前記第1方向D1が垂直方向となるように本体部210を水平姿勢で配置し、前記本体部210の径方向内側の面と、該面を上方に延長した面とを含む筒状の面を仮想面VPとし、前記第1貫通孔210h1から前記流体の吹き出し方向に延長した仮想線を第1仮想線VL1とし、前記第2貫通孔210h2から前記流体の吹き出し方向に延長した仮想線を第2仮想線VL2とした際に、本実施形態では、前記第1仮想線VL1と前記第2仮想線VL2とで前記仮想面VPへの到達位置や入射方向が異なる。
本実施形態では、前記仮想面VPは、装置外配管PXの内面や本体部210の径方向内側の面と面一である。図10は、仮想面VPに対して周方向Rの一点を通る垂線で縦に切目を入れ、円筒状の仮想面VPを平坦になるように展開した様子を示した図であり、各貫通孔、第1仮想線VL1と仮想面VPとの交点(以下「第1交点XP1」という)、第2仮想線VL2と仮想面VPとの交点(以下「第2交点XP2」という)、仮想面VP(装置外配管PXなど)に到達した洗浄液の流動方向などを模式的に示したものである。
本実施形態では、中心軸210cの方向に洗浄液を吹き出す第1貫通孔210h1が周方向Rに等間隔で4つ設けられているため、第1貫通孔210h1から吹き出した洗浄液は、中心軸210cを介して反対側に位置する第1貫通孔210h1の上方に位置する第1交点XP1に到達し、洗浄液の勢いによって装置外配管PXの内壁面を伝って上方に移動する。この洗浄液は上方に移動しつつ横広がりとなり、重力の作用によって上方への移動の勢いが衰え、最終的には第1交点XP1よりも周方向Rに幅広な流れを形成して装置外配管PXの内壁面を伝って落下する。
第2貫通孔210h2も複数の貫通孔が周方向Rに等間隔で設けられている点では第1貫通孔210h1と同じであるが第2貫通孔210h2は、中心軸210cの方向に対して傾きをもって洗浄液を放出するようにも設けられている。即ち、前記本体部210には、前記第1方向D1に沿う第1方向視において前記第2仮想線VL2が前記仮想面VPと斜めに交わるように前記第2貫通孔210h2が設けられている。そして、本実施形態において第2貫通孔210h2から放出された洗浄液は、図10に示すように、第2交点XP2に到達すると装置外配管PXの内壁面を伝って移動する。この時、洗浄液は、上方にも移動はするものの専ら周方向Rに大きく移動する。複数の第2貫通孔210h2からそれぞれ放出された洗浄液は、装置外配管PXの内壁面を周方向に移動する一つの旋回流を形成する。
本実施形態では、前記第1仮想線VL1と前記仮想面VPとの交点である第1交点XP1が前記第2仮想線VL2と前記仮想面VPとの交点である第2交点XP2よりも高い位置に形成されるように前記第1貫通孔210h1と前記第2貫通孔210h2とが前記本体部210に備えられている。そのため、本実施形態では、清掃範囲を広範囲とすることができる。第1方向D1における第1交点XP1の位置と第2交点XP2との位置の差(Dxp(mm))は、例えば、5mm以上とすることができる。該差は、10mm以上であってもよく、15mm以上であってもよい。該差は、例えば、100mm以下とすることができる。該差は、80mm以下であってもよく、70mm以下であってもよく、60mm以下であってもよく、50mm以下であってもよい。
前記本体部210と装置外配管PXとの間や前記本体部210と蓋体15との間の部分は、清掃が行き届き難く、清掃により取り除かれるべきものが蓄積されやすいため、第1交点XP1又は第2交点XP2が前記本体部210の上端部に位置するように前記第1貫通孔や第2貫通孔210h2が配されることが好ましく、第2交点XP2が前記本体部210の上端部に位置するように前記第2貫通孔が配されることがより好ましい。
本実施形態においては、第1貫通孔210h1についても前記第1方向D1に沿う第1方向視において前記第1仮想線VL1が前記仮想面VPと斜めに交わるようにして第2貫通孔210h2から吹き出す洗浄液による旋回流の上方に第1貫通孔210h1から吹き出す洗浄液で旋回流を形成するようにしてもよい。そのようにすることで広範囲な清掃が実施可能になるだけでなく、旋回流が強め合う結果となって高い清掃効果が得られる。
第1貫通孔210h1から放出された洗浄液で旋回流を形成する場合、第1交点XP1を通る平面に第1仮想線VL1を投影すると垂直方向と水平方向との何れに対しても傾いた斜線となる。該斜線を垂直方向(第1方向D1)へのベクトルと水平方向へのベクトルに分解した際の垂直方向のベクトルの大きさは、洗浄液が壁面を伝って上昇する運動エネルギーの大きさを表すことになる。一方で水平方向へのベクトルの大きさは、洗浄液が周方向Rに移動する運動エネルギーの大きさを表すことになる。良好な旋回流を形成させる上で前記斜線の仰角は、例えば、10度以上とすることができる。該仰角は15度以上であってもよく、20度以上であってもよく、25度以上であってもよい。該仰角は、例えば、60度以下とすることができる。該仰角は50度以下であってもよく、45度以下であってもよく、40度以下であってもよい。
上記のような好ましい仰角については、第2交点XP2を通る平面に第2仮想線VL2を投影した斜線についても同じである。
前記のような覗き窓152を有する第1蓋体15aを、洗浄液を吹き付ける相手部材とする場合、例えば、第1貫通孔210h1から吹き出す洗浄液を覗き窓152に当ててガラス板を洗浄し、第2貫通孔210h2から吹き出す洗浄液を蓋本体151に当ててグラスライニングが施された金属板を洗浄することもできる。
この時、必要に応じて、第1貫通孔210h1の大きさ(流通方向に直交する断面の面積)を第2貫通孔210h2よりも大きくして、ガラス板の洗浄のために単位時間あたりに供給される洗浄液の量を増やすようにしてもよい。また、逆に、第1貫通孔210h1の大きさを第2貫通孔210h2よりも小さくして第1貫通孔210h1より吹き出す洗浄液の流速を高め、ガラス板に対する打力を向上させるようにしてもよい。
本実施形態においては、第1貫通孔210h1や第2貫通孔210h2の開口形状を調整するなどして、洗浄液が上下方向よりも横方向に広がって吹き出すようにし、覗き窓152や蓋本体151に対して洗浄液が広幅な流れを形成するようにしてもよい。また、逆に、第1貫通孔210h1や第2貫通孔210h2の開口形状を調整するなどして、洗浄液が上下方向よりも縦方向に広がって吹き出すようにし、覗き窓152や蓋本体151の特定箇所に対して洗浄液が集中的に供給されるようにしてもよい。
洗浄液が横広がりとなることは、前記第1方向D1が垂直方向となるように前記本体部210を水平姿勢で配置し、それぞれの貫通孔より水を吹き出させた場合に、吹き出した該水の空中での形状が上下方向よりも左右方向に大きいことで確認することができる。洗浄液が縦広がりとなることは、前記第1方向D1が垂直方向となるように前記本体部210を水平姿勢で配置し、それぞれの貫通孔より水を吹き出させた場合に、吹き出した該水の空中での形状が左右方向よりも上下方向に大きいことで確認することができる。より詳しくは、洗浄液が横広がりや縦広がりになっていることは、貫通孔から吹き出した後、所定の時間を経過した時点での洗浄液の断面形状を観察することで確認することができ、例えば、レーザー光などを用いた非接触式の形状測定装置を用いて洗浄液の形状を測定し、貫通孔から洗浄液の吹き出し方向に所定距離(例えば、20mm)離れた地点で吹き出し方向に直交する平面での断面形状を観察することで確認することができる。
本実施形態では、第1貫通孔210h1と第2貫通孔210h2との複数種類の貫通孔が備えられているため清掃対象に応じた適切な清掃が可能になる点では、第1蓋体15aの設けられた第1の筒状部(装置配管11a)だけでなく第2の筒状部11bや第3の筒状部11cにおいても同じである。
第2の筒状部11bでは、その上方に清掃用リング20の本体部210が装着されているとともに当該本体部210のさらに上方には攪拌装置30の回転軸31を挿通可能な開口部を有する円環板状の蓋本体を有する第2蓋体15bが装着されている。第2の筒状部11bに装着された本体部210では、例えば、第1貫通孔210h1から吹き出す洗浄材を回転軸31に当てて主として回転軸31を洗浄させるようにし、第2貫通孔210h2から吹き出す洗浄液を第2蓋体15bの下面に当てて主として第2蓋体15bを洗浄させるようにしてもよい。その場合、第2貫通孔210h2は、前記回転軸31の周りを周回するような旋回流が第2蓋体15bの下面に形成されるように設けられていてもよい。第2貫通孔210h2は、吹き出した洗浄液が第2蓋体15bの下面において旋回流を形成した後に回転軸31に達し、当該回転軸31を伝って下方に流れ落ちるように設けられていてもよい。その場合、回転軸31の反応槽内における上端部(第2蓋体15bの下面に相当する位置)にまで第1貫通孔210h1から吹き出す洗浄液を到達させる必要性を低減させることができる。
第1貫通孔210h1は、より確実に回転軸31に当たるように洗浄液が上下方向よりも左右方向に大きく広がる形状を有していてもよい。その場合、第1貫通孔210h1は、吹き出した洗浄液の一部が回転軸31に当たり、残りの洗浄液が第2蓋体15bに当たるように設けられてもよい。また、第1貫通孔210h1は、回転軸31の洗浄により多くの洗浄液が有効活用されるように洗浄材が左右方向よりも上下方向に大きく広がる形状を有していてもよい。
回転軸31の洗浄は、回転軸31を回転させながら実施してもよい。その場合、回転軸31の回転方向は、第2蓋体15bの下面に形成される旋回流と同方向であってもよい。回転軸31の回転方向は、第2蓋体15bの下面に形成される旋回流と逆方向であってもよい。
第3の筒状部11cでは、その上方に清掃用リング20の本体部210が装着されているとともに当該本体部210のさらに上方にはバッフル40を吊下げ支持する第3蓋体15cが装着されている。
第3の筒状部11cに装着された本体部210では、例えば、第1貫通孔210h1から吹き出す洗浄材をバッフル40に当てて主としてバッフル40を洗浄させるようにし、第2貫通孔210h2から吹き出す洗浄液を第3蓋体15cの下面に当てて主として第3蓋体15cを洗浄させるようにしてもよい。その場合、第2貫通孔210h2は、前記バッフル40の周りを周回するような旋回流が第3蓋体15cの下面に形成されるように設けられていてもよい。第2貫通孔210h2は、吹き出した洗浄液が第3蓋体15cの下面において旋回流を形成した後にバッフル40に達し、当該バッフル40を伝って下方に流れ落ちるように設けられていてもよい。その場合、バッフル40の上端部にまで第1貫通孔210h1から吹き出す洗浄液を到達させる必要性を低減させることができる。
上記のように本実施形態では複数種類の貫通孔を有することで各種のものを清掃するのに容易に対応可能である。上記例示の第1貫通孔210h1と第2貫通孔210h2とは、流体を吹き出す角度が異なっているが、図11に示すように第1貫通孔210h1と第2貫通孔210h2とは流体を吹き出す角度が共通で孔の大きさだけが異なるものであってもよい。
第1貫通孔210h1と第2貫通孔210h2との孔の大きさの比較は、それぞれの貫通孔の流路と直交する平面での断面積を求めて行うことができる。小さい方の貫通孔の大きさ(断面積:SS(mm2))に対する大きい方の貫通孔の大きさ(断面積:SL(mm2))の比率(SL/SS)は、例えば、1.1倍以上とすることができる。該比率は、1.5倍以上であってもよく、2倍以上であってもよく、3倍以上であってもよい。該比率は、例えば、16倍以下とすることができる。該比率は、12倍以下であってもよく、8倍以下であってもよい。
本実施形態では第1貫通孔210h1と第2貫通孔210h2の形成位置は、水平姿勢での本体部210の下面210s4からの高さが共通する位置となっているが、第1貫通孔210h1と第2貫通孔210h2の形成位置が異なるように配置してもよい。第1貫通孔210h1と第2貫通孔210h2とは前記第1方向D1における形成位置の比較は、本体部210の内周面210s1における開口の中心位置を求めて行うことができる。第1方向D1において低い側となる貫通孔の中心位置と高い側となる貫通孔の中心位置との差(Dh(mm))は、例えば、1mm以上とすることができる。該差は、2mm以上であってもよく、3mm以上であってもよい。該差は、例えば、50mm以下とすることができる。該差は、40mm以下であってもよく、30mm以下であってもよい。
以上のように上記においては以下の開示を含む。
(1)
部材に対して流体を吹き付けて当該部材を清掃するために用いられる清掃用リングであって、
前記流体の流路となる空間部を内部に備えた中空リング状の本体部を備え、
該本体部の径方向内側には、前記空間部に連通し、前記空間部に供給された前記流体を吹き出すための貫通孔が設けられており、
前記本体部の中心軸が延びる方向である第1方向を有し、
前記本体部には、
前記第1方向が垂直方向となるように配した時に前記流体の吹き出し方向が斜め上方向となる複数の前記貫通孔が備えられ、
該複数の貫通孔には、
第1貫通孔と、
孔の大きさ、流体を吹き出す角度、及び、前記第1方向における形成位置の内の少なくとも1つが前記第1貫通孔とは異なる第2貫通孔と、を含む複数種類の前記貫通孔が含まれている清掃用リング。
(2)
前記第1方向が垂直方向となるように配し、
前記本体部の径方向内側の面と、該面を上方に延長した面とを含む筒状の面を仮想面とし、
前記第1貫通孔から前記流体の吹き出し方向に延長した仮想線を第1仮想線とし、
前記第2貫通孔から前記流体の吹き出し方向に延長した仮想線を第2仮想線とした際に、
前記本体部には、前記第1仮想線と前記仮想面との交点が前記第2仮想線と前記仮想面との交点よりも高い位置に形成されるように前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とが備えられている(1)記載の清掃用リング。
(3)
前記本体部には、前記第2仮想線と前記仮想面との交点が前記本体部の上端部に位置するように前記第2貫通孔が設けられている(2)記載の清掃用リング。
(4)
前記本体部には、前記第1方向に沿う第1方向視において前記第2仮想線が前記仮想面と斜めに交わるように前記第2貫通孔が設けられている(2)又は(3)記載の清掃用リング。
(5)
前記本体部には、前記第1方向に沿う第1方向視において前記第1仮想線が前記仮想面と斜めに交わるように前記第1貫通孔が設けられている(2)~(4)の何れか1項に記載の清掃用リング。
(6)
前記第1貫通孔と前記第2貫通孔との少なくとも一方は、前記第1方向が垂直方向となるように前記本体部を配置し、前記流体として液体を用いた場合に、該液体が横広がりに吹き出されるように構成されている(1)乃至(5)の何れか1項に記載の清掃用リング。
(7)
前記第1貫通孔と前記第2貫通孔との少なくとも一方は、前記第1方向が垂直方向となるように前記本体部を配置し、前記流体として液体を用いた場合に、該液体が縦広がりに吹き出されるように構成されている(1)乃至(5)の何れかに記載の清掃用リング。
(8)
底壁部と、該底壁部の外周縁より筒状になって上方に延びる周側壁部と、前記底壁部と上下方向に対向して前記周側壁部の上端部を塞ぐように配される天井壁部とを備え、該底壁部、該周側壁部、及び、該天井壁部で囲われた収容空間を備えた反応槽を有し、
該反応槽には、開口が設けられており、
部材に対して流体を吹き付けて当該部材を清掃するために用いられる清掃用リングを更に有する反応装置であって、
前記清掃用リングが、前記流体の流路となる空間部を内部に備えた中空リング状の本体部を備え、
前記本体部が、前記反応槽の前記開口に装着されており、
該本体部の径方向内側には、前記空間部に連通し、前記空間部に供給された前記流体を吹き出すための貫通孔が設けられており、
前記清掃用リングは、
前記本体部の中心軸が延びる方向である第1方向を有し、
前記本体部には、
前記第1方向が垂直方向となるように配した時に前記流体の吹き出し方向が斜め上方向となる複数の前記貫通孔が備えられ、
該複数の貫通孔には、
第1貫通孔と、
孔の大きさ、流体を吹き出す角度、及び、前記第1方向における形成位置の内の少なくとも1つが前記第1貫通孔とは異なる第2貫通孔と、を含む複数種類の前記貫通孔が含まれている反応装置。
尚、本明細書においては、詳細な説明をこれ以上繰り返すことはしないが、上記はあくまでも例示であり、本発明の清掃用リングや反応装置は、本発明の効果が著しく損なわれない範囲において従来公知の技術事項を適宜採用することが可能である。即ち、本発明は上記例示に何等限定されない。
1:反応装置:10:反応槽、110:槽本体、
15:蓋体、
20:清掃用リング、210:本体部、
210a:空間部、210c:中心軸、
210h1:第1貫通孔、210h2:第2貫通孔、210h3:ドレン孔、
210i:内面、210i1:内周面、210i2:外周面、210i3:天井面、210i4:底面、
210s:外側面、
211:内側リング、212:外側リング、
D1:第1方向、D2:径方向、
HP:水平面、
R:周方向、
TPL:テーパー面

Claims (7)

  1. 部材に対して流体を吹き付けて当該部材を清掃するために用いられる清掃用リングであって、
    前記流体の流路となる空間部を内部に備えた中空リング状の本体部を備え、
    該本体部の径方向内側には、前記空間部に連通し、前記空間部に供給された前記流体を吹き出すための貫通孔が設けられており、
    前記本体部の中心軸が延びる方向である第1方向を有し、
    前記本体部には、
    前記第1方向が垂直方向となるように配した時に前記流体の吹き出し方向が斜め上方向となる複数の前記貫通孔が備えられ、
    該複数の貫通孔には、
    第1貫通孔と、
    孔の大きさ、流体を吹き出す角度、及び、前記第1方向における形成位置の内の少なくとも1つが前記第1貫通孔とは異なる第2貫通孔と、を含む複数種類の前記貫通孔が含まれており、
    前記第1方向が垂直方向となるように配し、
    前記本体部の径方向内側の面と、該面を上方に延長した面とを含む筒状の面を仮想面とし、
    前記第1貫通孔から前記流体の吹き出し方向に延長した仮想線を第1仮想線とし、
    前記第2貫通孔から前記流体の吹き出し方向に延長した仮想線を第2仮想線とした際に、
    前記本体部には、前記第1仮想線と前記仮想面との交点が前記第2仮想線と前記仮想面との交点よりも高い位置に形成されるように前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とが備えられている清掃用リング。
  2. 前記本体部には、前記第2仮想線と前記仮想面との交点が前記本体部の上端部に位置するように前記第2貫通孔が設けられている請求項記載の清掃用リング。
  3. 前記本体部には、前記第1方向に沿う第1方向視において前記第2仮想線が前記仮想面と斜めに交わるように前記第2貫通孔が設けられている請求項又は記載の清掃用リング。
  4. 前記本体部には、前記第1方向に沿う第1方向視において前記第1仮想線が前記仮想面と斜めに交わるように前記第1貫通孔が設けられている請求項1又は2記載の清掃用リング。
  5. 前記第1貫通孔と前記第2貫通孔との少なくとも一方は、前記第1方向が垂直方向となるように前記本体部を配置し、前記流体として液体を用いた場合に、該液体が横広がりに吹き出されるように構成されている請求項1又は2記載の清掃用リング。
  6. 前記第1貫通孔と前記第2貫通孔との少なくとも一方は、前記第1方向が垂直方向となるように前記本体部を配置し、前記流体として液体を用いた場合に、該液体が縦広がりに吹き出されるように構成されている請求項1又は2記載の清掃用リング。
  7. 底壁部と、該底壁部の外周縁より筒状になって上方に延びる周側壁部と、前記底壁部と上下方向に対向して前記周側壁部の上端部を塞ぐように配される天井壁部とを備え、該底壁部、該周側壁部、及び、該天井壁部で囲われた収容空間を備えた反応槽を有し、
    該反応槽には、開口が設けられており、
    部材に対して流体を吹き付けて当該部材を清掃するために用いられる清掃用リングを更に有する反応装置であって、
    前記清掃用リングが、前記流体の流路となる空間部を内部に備えた中空リング状の本体部を備え、
    前記本体部が、前記反応槽の前記開口に装着されており、
    該本体部の径方向内側には、前記空間部に連通し、前記空間部に供給された前記流体を吹き出すための貫通孔が設けられており、
    前記清掃用リングは、
    前記本体部の中心軸が延びる方向である第1方向を有し、
    前記本体部には、
    前記第1方向が垂直方向となるように配した時に前記流体の吹き出し方向が斜め上方向となる複数の前記貫通孔が備えられ、
    該複数の貫通孔には、
    第1貫通孔と、
    孔の大きさ、流体を吹き出す角度、及び、前記第1方向における形成位置の内の少なくとも1つが前記第1貫通孔とは異なる第2貫通孔と、を含む複数種類の前記貫通孔が含まれており、
    前記第1方向が垂直方向となるように該清掃用リングを配し、
    前記本体部の径方向内側の面と、該面を上方に延長した面とを含む筒状の面を仮想面とし、
    前記第1貫通孔から前記流体の吹き出し方向に延長した仮想線を第1仮想線とし、
    前記第2貫通孔から前記流体の吹き出し方向に延長した仮想線を第2仮想線とした際に、
    前記本体部には、前記第1仮想線と前記仮想面との交点が前記第2仮想線と前記仮想面との交点よりも高い位置に形成されるように前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とが備えられている反応装置。
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