JP7360142B2 - アミロイドーシス治療薬の新規スクリーニング方法 - Google Patents
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Description
[1]アミロイド線維形成を抑制する物質をスクリーニングする方法であって、
(a)凝集していない状態のトランスサイレチンのフラグメントであって、
(i) トランスサイレチンの81番目から127番目の配列(配列番号2に記載のアミノ酸配列)、
(ii) 配列番号2に記載のアミノ酸配列において、1~10個(好ましくは1~5個、さらに好ましくは1又は数個)のアミノ酸が置換、欠失、及び/又は付加されたアミノ配列、及び
(iii) 配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して85%(好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上)の同一性を有するアミノ酸配列、
からなる群より選ばれるいずれか一つ配列からなるフラグメント及び試験物質を中性の緩衝液に溶解する工程、
(b)形成されたアミロイド線維を検出する工程、及び
(c)試験物質を添加しなかった対照に比べてアミロイド線維形成が抑制された場合に、前記試験物質を、アミロイド形成を抑制する物質として選択する工程、
を含むスクリーニング方法。
[2]前記工程(b)におけるアミロイド線維の検出は、チオフラビン蛍光法、Congo Redを用いた染色、FSB(1-Fluoro-2,5-bis(3-carboxy-4-hydroxystyryl)benzene)を用いた染色、及びアミロイド線維を認識する抗体を用いたELISAからなる群のいずれか一つにより行われる上記[1]に記載のスクリーニング方法。
[3]前記 フラグメントが、フラグメントのC末端に付加された、GFP、EGFP、rsGFP、YFP、CFP、BFP及びウミシイタケ由来のGFPからなる群から選択されるいずれか一つの標識物質で標識されており、前記工程(b)におけるアミロイド線維の検出は該標識の蛍光強度を検出することにより行われる上記[1]に記載のスクリーニング方法。
[4]細胞ベースのアミロイド線維形成を抑制する物質をスクリーニングする方法であって、
(i)培地中で細胞を培養する工程、
(ii)凝集していない状態のトランスサイレチンのフラグメントであって、
(i) トランスサイレチンの81番目から127番目の配列(配列番号2に記載のアミノ酸配列)、
(ii) 配列番号2に記載のアミノ酸配列において、1~10個(好ましくは1~5個、さらに好ましくは1又は数個)のアミノ酸が置換、欠失、及び/又は付加されたアミノ配列、及び
(iii) 配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して85%(好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上)の同一性を有するアミノ酸配列、
からなる群より選ばれるいずれか一つ配列からなるフラグメント及び試験物質を培地に添加し溶解して、前記細胞に接触させる工程、
(iii)前記培養細胞表面で形成されたアミロイド線維を検出する工程、及び
(iv)試験物質を添加しなかった対照に比べてアミロイド線維形成が抑制された場合に、前記試験物質を、アミロイド形成を抑制する物質として選択する工程、
を含むスクリーニング方法。
[5]前記工程(iii)におけるアミロイド線維の検出は、チオフラビン蛍光法、Congo Redを用いた染色、及びFSBを用いた染色からなる群から選ばれるいずれか一つの方法により行われる上記[4]に記載のスクリーニング方法。
[6]前記フラグメントが、フラグメントのC末端に付加された、GFP、EGFP、rsGFP、YFP、CFP、BFP及びウミシイタケ由来のGFPからなる群から選択されるいずれか一つの標識物質で標識されており、前記工程(iii)におけるアミロイド線維の検出は該標識の蛍光強度を検出することにより行われる上記[4]に記載のスクリーニング方法。
[7]前記工程(iii)におけるアミロイド線維の検出は、アミロイド線維を認識する抗体を用いた細胞ベースELISAにより行なわれる上記[4]に記載のスクリーニング方法。
[8]前記細胞が、グロメテル細胞、線維芽細胞、及び SH-SY5Y細胞からなる群より選ばれる細胞である上記[4]~[7]のいずれか一つに記載のスクリーニング方法。
[9] ハイスループットスクリーニング分析法の一部である、上記[1]~[8]のいずれか一つに記載の方法。
[11]ピルビニウムパモ酸塩を有効成分として含む上記[10]に記載の医薬組成物。
[12]アポモルフィン塩酸塩を有効成分として含む上記[10]に記載の医薬組成物。
[13]アミロイドーシスを罹患した患者に、治療有効量のピルビニウム、アポモルフィン、及びそれらの薬理学的に許容される塩からなる群より選ばれるいずれか一つの化合物を投与することを特徴とするアミロイドーシスの治療方法。
[14]前記化合物がピルビニウムパモ酸塩である上記[13]に記載の治療方法。
[15]前記化合物がアポモルフィン塩酸塩である上記[13]に記載の治療方法。
(i) トランスサイレチンの81番目から127番目の配列である配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるフラグメント、
(ii) 配列番号2に記載のアミノ酸配列において、1~10個、好ましくは1~5個、さらに好ましくは1又は数個のアミノ酸が置換、欠失、及び/又は付加されたアミノ配列からなるフラグメント、又は
(iii) 配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して85%、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるフラグメント、
である。
以下、上記フラグメント(i)を例に、本発明のスクリーニング方法を説明するが、上記フラグメント(ii)又は(iii)にも同様に適用できる。
本発明のスクリーニング方法の一つの態様は、アミロイド線維形成を抑制する物質をスクリーニングする方法であって、以下の工程(a)~(c)を含む方法である。
工程(a):
工程(a)は、トランスサイレチンの81番目から127番目の配列(配列番号2で表されるアミノ酸配列)からなるフラグメント(以下、TTR81-127(p.101-147)フラグメントという場合がある)を中性の緩衝液に溶解する工程である。この際、アミロイド線維形成に影響を及ぼす物質を探索又は検討したい場合は、かかる物質(以下、試験物質という)を TTR81-127(p.101-147)フラグメントとともに緩衝液に添加する。試験物質と TTR81-127(p.101-147)フラグメントの添加は、2つを同時に添加火しても、あるいは一方を先に加えて他方を後に添加してもよく、実験系及び試験目的に応じて、適宜選択できる。
用いる TTR81-127(p.101-147)フラグメントは、凝集していない状態で保存されているものを用いる。例えば、これに限定されないが、凍結乾燥された状態、PBSの緩衝液に溶解して凍結された状態、又は、凝集を起こさない溶媒中、例えば、低濃度のアンモニア溶液中に溶解して凍結された状態で保存されているものを用いる。TTR81-127(p.101-147)フラグメントは、工程(a)において緩衝液に添加し、37 ℃にて静置すると時間経過とともに凝集が始まる。
工程(b)は、緩衝液中で形成されたアミロイド線維を検出するステップである。アミロイド線維を検出できる方法であれば特に制限なく用いることができる。例えば、抗体を用いた検出、アミロイド線維を特異的に標識する試薬を用いた検出、フラグメントに結合した標識物質の検出をあげることができる。
抗体は、例えば、TTRのアミロイド線維を認識する抗体を用いることができる。アミロイド線維を認識する抗体については、多くの報告があり、また市販もされている。これらを適宜選択して用いることができる。抗体は、抗血清としてポリクローナル抗体を用いてもよく、また、モノクローナル抗体を用いてもよい。抗体を用い、例えば、ELISAによりアミロイド線維の形成を検出できる。
アミロイド線維を特異的に標識する試薬を用いた検出法としては、これに限定されないが、例えば、チオフラビン蛍光法、Congo Redを用いた染色、FSB(1-Fluoro-2,5-bis(3-carboxy-4-hydroxystyryl)benzene)を用いた染色をあげることができる。アミロイドを標識できる染色用試薬や蛍光試薬が種々市販されているので、これらを適宜選択して用いることができる。
フラグメントに結合した標識物質の検出における標識物質は、これに限定されないが、例えば、放射性標識物質、蛍光標識物質を用いることができ、好ましくは蛍光標識物質である。蛍光標識物質としては、これに限定されないが、例えば、GFP、EGFP、rsGFP、YFP、CFP、BFP及びウミシイタケ由来のGFPをあげることができ、これらの蛍光標識物質を、例えば、TTR81-127(p.101-147)フラグメントのC末端に結合して用いることができる。標識物質のシグナルを検出することにより、アミロイド線維の形成を検出できる。
上記の検出法は、ハイスループットスクリーニング法や自動化スクリーニング法に容易に組み込むことが可能である。
工程(c)は、工程(b)において検出したアミロイド線維形成が、対照(試験物質を添加していない場合に検出されるアミロイド線維形成)と比較した場合に、線維形成が抑制された場合は、試験物質はアミロイド線維形成を抑制する物質であると判断する工程である。
上記工程(a)~工程(c)を含むスクリーンニング方法により、アミロイド線維形成を抑制する物質を効率良くスクリーニングすることができる。
本発明のスクリーニング方法の別の一つの態様は、アミロイド線維形成を抑制する物質をスクリーニングするための細胞ベースのスクリーニング方法であって、以下の工程(i)~(iv)を含む方法である。
工程(i):
工程(i)は、培地中で細胞を培養する工程である。細胞は、本発明で用いる TTR81-127(p.101-147)フラグメントから形成されるアミロイド線維が細胞表面で沈着する細胞であればいずれの細胞を用いることができるが、例えば、グロメテル細胞、線維芽細胞、SH-SY 5Y細胞をあげることができ、好ましくはグロメテル細胞である。アミロイド線維は、主として細胞の表面に沈着するが、一部が細胞内に沈着してもよい。
工程(i)で用いる培地は、本発明で用いる細胞の培養に用いることができる培地であれば制限なく用いることができ、一般に用いられている動物細胞培養用の培地を用いることができる。例えば、これに制限されないが、Opti-MEM培地、DMEM培地、DMEM/F-12培地、及びこれらの混合培地等をあげることができる。
工程(i)における培養は、細胞培養プレートを用いて行うことができる。ハイスループットスクリーニングを行う場合は、これに制限されないが、96ウェルプレート、384ウェルプレート、1536ウェルプレートを用いるのが好ましい。
工程(ii)は、TTR81-127(p.101-147)フラグメントを細胞が入った培地に添加する工程である。この際、アミロイド線維形成に影響を及ぼす物質を探索又は検討したい場合は、試験物質を TTR81-127(p.101-147)フラグメントとともに培地に添加する。試験物質と TTR81-127(p.101-147)フラグメントの添加は、2つを同時に添加しても、あるいは、一方を先に加えて他方を後に添加してもよく、実験系及び試験目的に応じて、適宜選択できる。
用いる TTR81-127(p.101-147)フラグメントは、凝集していない状態で保存されているものを用いる。例えば、これに限定されないが、凍結乾燥された状態、又は、凝集を起こさない溶媒中、例えば、低濃度のアンモニア溶液中に溶解された状態で保存されているものを用いる。TTR81-127(p.101-147)フラグメントは、工程(ii)において培地に添加して細胞とともにインキュベートすると、時間経過とともに細胞表面で凝集が始まる。
工程(iii)は、細胞表面に沈着したアミロイド線維を検出する工程である。アミロイド線維を検出できる方法であれば特に制限なく用いることができる。例えば、抗体を用いた検出、アミロイド線維を特異的に標識する試薬を用いた検出、フラグメントに結合した標識物質の検出をあげることができる。
抗体は、例えば、TTRのアミロイド線維を認識する抗体を用いることができる。アミロイド線維を認識する抗体については、多くの報告があり、また市販もされている。これらを適宜選択して用いることができる。抗体は、抗血清としてポリクローナル抗体を用いてもよく、また、モノクローナル抗体を用いてもよい。抗体を用い、例えば、細胞ベースELISAによりアミロイド線維の形成を検出できる。
アミロイド線維を特異的に標識する試薬を用いた検出法としては、これに限定しないが、例えば、チオフラビン蛍光法、Congo Redを用いた染色、FSB(1-Fluoro-2,5-bis(3-carboxy-4-hydroxystyryl)benzene)を用いた染色をあげることができる。アミロイドを標識できる染色用試薬や蛍光試薬が種々市販されているので、これらを適宜選択して用いることができる。
フラグメントに結合した標識物質の検出における標識物質は、これに限定されないが、例えば、放射性標識物質、蛍光標識物質を用いることができ、好ましくは蛍光標識物質である。蛍光標識物質としては、これに限定されないが、例えば、GFP、EGFP、rsGFP、YFP、CFP、BFP及びウミシイタケ由来のGFPをあげることができ、これらの蛍光標識物質を、例えば、TTR81-127(p.101-147)フラグメントのC末端に結合して用いることができる。標識物質のシグナルを検出することにより、アミロイド線維の形成を検出できる。
上記の検出法は、細胞ベースのハイスループットスクリーニング法や自動化スクリーニング法に容易に組み込むことが可能である。
工程(iv)は、工程(iii)において検出した細胞表面のアミロイド線維が、対照(試験物質を添加していない場合に検出されるアミロイド線維)と比較した場合に、アミロイド線維の細胞内沈着が抑制された場合は、試験物質はアミロイド線維形成を抑制する物質であると判断する工程である。
上記工程(i)~工程(iv)を含む細胞ベーススクリーニング方法により、アミロイド線維形成を抑制する物質を効率良くスクリーニングすることができる。また、本発明の細胞ベーススクリーニング方法は、ハイスループットスクリーニング法に適している。
本発明の一態様によれば、スクリーニングを実施するために、ImageXpress(登録商標) Micro ConXLSシステムを用いることができる。
以下、本発明で用いる TTR81-127(p.101-147)フラグメントの調製方法の一例を記載するが、本発明で用いる TTR81-127(p.101-147)フラグメントの調製は以下に限定されるものではない。
TTR81-127(p.101-147)フラグメントは、全長の TTRのC末端に TTR81-127(p.101-147)フラグメントを連結した融合タンパク質を作成し、その融合タンパク質を、全長の TTRのC末端と TTR81-127(p.101-147)フラグメントの間で切断することで作成できる。融合タンパク質におけるTTRのC末端と TTR81-127(p.101-147)フラグメントは、直接結合させてもよいし、間に任意の数のアミノ酸を有する形で結合させてもよく、これに限定されないが、例えば、1~50、好ましくは2~30、さらに好ましくは3~20、最も好ましくは3~10のアミノ酸を介在させて結合させることができる。介在するアミノ酸配列は特に制限はないが、全長の TTRと TTR81-127(p.101-147)フラグメントの間を特異的に切断できる特定のアミノ酸配列である。例えば、これに限定されないが、Glu-Asn-Leu-Tyr-Phe-Gln-Gly(配列番号3)又はGlu-Asn-Leu-Tyr-Phe-Gln-Ser(配列番号4) をあげることができ、この配列は、Gln-Gl又は Gln-Serの間で、TEVプロテアーゼで特異的に切断できる。特定のアミノ酸配列及びその配列を認識して特異的に切断するプロテアーゼは種々報告されており、それらの配列及びプロテアーゼの組合せは、 TTR81-127(p.101-147)フラグメントの調製において適宜使用することができる。
本発明の一態様は、ピルビニウム又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含む、アミロイドーシスを治療するための医薬組成物である。
本発明の他の一態様は、アミロイドーシスに罹患した患者に、治療上有効量のピルビニウム又はその薬理学的に許容される塩を投与するアミロイドーシスを治療する方法である。
ピルビニウムは、以下の構造式で表される。
ピルビニウムパモ酸塩は、以下の構造式で表される。
本発明の他の一態様は、アミロイドーシスに罹患した患者に、治療上有効量のアポモルフィン又はその薬理学的に許容される塩を投与するアミロイドーシスを治療する方法である。
アポモルフィンは、以下の構造式で表される。
また、アポモルフィン又はその塩は、それらの化合物又は塩から形成される溶媒和物及び水和物を含む。
本明細書の医薬組成物を投与する対象は、哺乳動物、好ましくは霊長類、特に好ましくはヒトである。
(1-1)組換えTTRの発現と精製
ヒト野生型TTR及びその変異体(TTR Val30Met(p.Val50Met))は、水口らの報告(Mizuguchi M, et al. (2008) Unfolding and aggregation of transthyretin by the truncation of 50 N-terminal amino acids. Proteins 72:261-269)に記載されたようにして得た。
TTRフラグメントは以下のようにして得た。TTR1-48 及び TTR1-80 フラグメントのDNA配列をNdeI/BamHIで消化したpOPTHベクターに挿入した。N末端His6タグを有する TTR1-48 及び TTR1-80 フラグメントを大腸菌C41(DE3)RIPL細胞中で発現させ、そして Ni-アフィニティークロマトグラフィーで精製した。
TTR49-127 及び TTR81-127(p.101-147) フラグメントは、大腸菌M15細胞中でN末端His6タグ付き全長野生型 TTRとの融合タンパク質として発現させ、Ni-アフィニティークロマトグラフィーで精製した。His6タグ及び TTRタグは第Xa因子又はタバコエッチウイルスプロテアーゼ(TEVプロテアーゼ)によって切断し、TTRフラグメントは逆相高速液体クロマトグラフィーによって精製した。目的のフラグメントを含むフラクションを集めて凍結乾燥した後、得られたサンプルを -30 ℃で保存した。得られたフラグメントの分子量を質量分析(MALDI-TOF-MS)で測定し、アミノ酸配列から推定される計算値に一致していることを確認した。得られたフラグメントはまた、0.02 % NH3 溶液に溶解し -80 ℃で保存し、その後使用した。全長 TTRと TTR81-127(p.101-147)を連結した融合タンパク質のアミノ酸配列(配列番号5)を図1に、DNA配列(配列番号6)を図2に示す。
全長 TTRの酸誘導性非晶質凝集体は、100 mM KClを含有する50 mM 酢酸ナトリウム緩衝液中で 50 μMの組換え全長 TTRをpH4.0 でインキュベートして作製した。
ヒト血管平滑筋細胞系グロモテル、ヒト神経芽細胞腫細胞系 SH-SY5Y、ヒト膠芽細胞腫細胞系 U87MG、ヒト肝細胞癌細胞系 HepG2、及びヒト網膜色素上皮細胞系 ARPE-19を含むいくつかの細胞系を用いた。これらの細胞はATCCから購入し、ギブコDMEM、10 %FCS、1%ペニシリン-ストレプトマイシン溶液を含む培地で、37 ℃、5% CO2 中で維持した。細胞培養液は2~3日ごとに交換した。
培養細胞における TTR断片化のメカニズムを調べるために、12ウェル培養プレートに細胞を播種した。細胞は、未処理の全長 TTR 又は全長 TTRの酸誘導凝集体で処理し、10 μM トリプシンインヒビターの存在下又は非存在下で48時間インキュベートした。細胞を氷冷PBS中で1回洗浄し、次いで Laemmliサンプル緩衝液を加え溶解した。続いて、SDS-PAGE分析を行った。ゲルはCBBで染色した。
まず、培養神経細胞及びグリア細胞において、全長 TTRがフラグメントに切断されるか否かを組換え TTR Val30Met(p.Val50Met)を用いて検討した。未処理(凝集していない)及び酸誘導凝集体の全長 TTR Val30Met(p.Val50Met)(50 μM)で培養SH-SY 5Y神経細胞を24時間処理した後、細胞の溶解物を用いてSDS-PAGE分析を行った。結果を図3Aに示す。全長 TTR Val30Met(p.Val50Met)の酸誘導凝集体で24時間処理した培養SH-SY 5Y細胞では、5-kDa及び10-kDaのバンドが確認され、これらは全長 TTR Val30Met(p.Val50Met)の15-kDaバンドよりも小さかった。よって、それらのバンドは TTR断片であると推測した。対照的に、未処理の全長 TTR Val30Met(p.Val50Met)で処理した細胞では、15-kDaのバンドよりも小さなバンドは見いだされなかった。ヒト U87MGグリア細胞を用いて同様の検討を行った。その結果、グリア細胞でも同様に、全長の TTR Val30Met(p.Val50Met)の酸誘導凝集体はより短いフラグメントに切断された。結果を図3Bに示す。
試験管内にて、組換え全長 TTR Val30Met(p.Val50Met)の酸誘導凝集体をトリプシンと共に37℃で24時間インキュベートした。トリプシンは、酸誘導凝集体を、培養細胞に見られる TTR断片に類似した5-kDa及び10-kDaのC末端フラグメントを含むいくつかの小さいフラグメントに直接切断した。加えて、その他少数のC末端及びN末端フラグメントを生じた。対照的に、トリプシンは未処理(凝集していない)全長 TTR Val30Met(p.Val50Met)をほとんど切断しなかった。結果を図6に示す。
TTRのC末端フラグメント TTR81-127(p.101-147)に対する抗体を用いた免疫ブロット法により、TTR Val30Met(p.Val50Met)変異を有する2人のATTRmアミロイドーシス患者からの硝子体 TTRアミロイド線維の成分を分析した。図7Aに示すように、1人の患者(Pt2)の硝子体 TTRアミロイド線維中に10-kDa及び5-kDaの TTRフラグメントが見つかった。図7Bに示すように、もう一人の患者(Pt1)の硝子体 TTRアミロイド線維をトリプシン処理したところ、5-kDa及び10-kDaフラグメントに切断された。
(4-1)中性条件でのTTRフラグメントによるアミロイド形成
中性pH、37℃にて、PBS中で、組換えタンパク質の全長 TTR及びフラグメント化したTTRを用い、インビトロでのアミロイド形成能を調べた。インビトロにて、中性pHでアミロイド線維形成を誘導するために、25 μM又は 50 μMの全長野生型 TTR、全長 TTR Val30Met(p.Val50Met)、TTR1-80(p.21-100)フラグメント、TTR49-127(p.69-147)フラグメント、及び TTR81-127(p.101-147)フラグメントをそれぞれ PBS中、37℃で24時間インキュベートした。その後、電子顕微鏡(HT7700;日立ハイテクノロジーズ、日本)を用いて加速電圧100 kVでアミロイド線維又は TTR の非晶質凝集体の形態を調べた。簡単に説明すると、1μL のサンプルをカーボン/コロジオンコートしたグリッド上に置き、その後サンプルを1μL の0.2 %酢酸ウラニルで1分間染色した後、電子顕微鏡で検査した。
グロモテル細胞を用い、細胞を培養している培地に全長 TTR及び各 TTRフラグメントを直接添加してアミロイド沈着物の形成を確認した。培養細胞においてアミロイド形成を誘導するために、細胞をハーフエリア96ウェル培養プレート又は Lab-Tek チャンバースライドに播種した。細胞を、5 % CO2 中、37 ℃で、Opti-MEM(Thermo Fisher Scientific)中にて、種々のTTRで処理した。培養細胞中のアミロイド沈着は、Congo Red(CR)で染色することにより検出した。既報と同様に、アルカリ性CR染色を行い偏光下でCR反応性を確認した。
その結果、TTR81-127(p.101-147)フラグメントのみが培養細胞表面にアミロイド沈着物を形成した。Congo Redによる染色の結果を図9に示す。全長 TTR及び他の TTRフラグメントはアミロイド沈着物を形成しなかった。
アミロイド線維を形成した TTR81-127(p.101-147)に対してチオフラビンT(ThT)蛍光アッセイを行った。TTRをインビトロインキュベーションし、442 nmおよび489 nmの励起波長及び発光波長下で分光蛍光光度計(F-2700; 日立ハイテクノロジーズ)を用いてThT蛍光を分析した。3 μL のサンプルを、50 mMグリシン- NaOH 緩衝液(pH 9.5)中、600 μL の 5μM ThTと混合し、測定に使用した。1サンプルにつき3回の分析を行い測定は室温で行った。
上記の電子顕微鏡分析においてアミロイド線維を形成した TTR81-127(p.101-147)のThT強度の変化を確認したところ、中性pHの PBS中で経時的に増加し、24時間後にアミロイド線維形成の典型的な動態を示した。対照的に、電子顕微鏡分析において非晶質凝集体を形成した TTR49-127(p.69-147)のThT強度は、中性pHの PBS中でのインキュベーション直後に増加した。全長 WT TTR、全長 TTR Val30Met(p.Val50Met)、及び TTR1-80(p.21-100)を含む他の TTRのThT強度は、PBS中では増加しなかった。結果を図10に示す。
全長 TTRと同様に TTR81-127(p.101-147)フラグメントが四量体を形成したかどうかを確認するために、TTRフラグメントを化学的に架橋してSDS-PAGE分析を行った。具体的には以下のようにして行った。TTR81-127 の四量体及びオリゴマーを評価するために、既報(Sekijima Y, Dendle MA, Kelly JW (2006) Orally administered diflunisal stabilizes transthyretin against dissociation required for amyloidogenesis. Amyloid 13:236-249)に従い、グルタルアルデヒドとの化学的架橋を利用した。25 μL の25 %グルタルアルデヒドを、50 μM TTRを含む PBS 25 μLに室温で4分間かけて添加し、続いて7 % NaBH4 を含む2.5 μL の0.1 M NaOHを添加することによりクエンチした。架橋サンプルをSDS-PAGEによって分析し、CBB染色を用いて可視化した。図11Aに示すように、全長 TTRは四量体を形成したが、TTR81-127(p.101-147)は単量体として存在し、四量体を形成しなかった。TTR81-127(p.101-147)は、図11Bに示されるように、中性pH、37℃で、PBS中で徐々に重合し、オリゴマーを形成した。
(5-1)細胞毒性の確認
異なる TTRが培養細胞に対し細胞傷害作用を及ぼすか否かを調べるために、組換え TTRを培地に添加して培養した。細胞傷害性は、製造元の指示に従って、MultiTox-Fluor Multiplex Cytotoxicity Assay(Promega)を使用して分析した。カスパーゼ3/7活性は、製造業者の指示に従って、Apo-ONE Homogeneous Caspase-3/7 Assay(Promega)を用いて決定した。カスパーゼ8及びカスパーゼ9活性は、それぞれ、Caspase-Glo 8 Assay(Promega)及びCaspase -Glo 9 Assay(Promega)システムを用いて分析した。FilterMax F5マイクロプレートリーダー(Molecular Devices、CA)を用いて蛍光及び発光を測定した。アネキシンV染色は、Biozero BZ-8000蛍光顕微鏡(Keyence、日本)を用い、 Apoptotic, Necrotic and Healthy Cells Quantitation Kit Plus(Biotium、CA)を用いて行った。
TTRのC末端フラグメントである TTR81-127(p.101-147)及び TTR49-127(p.69-147)は細胞毒性効果を示したが、組換え TTR81-127(p.101-147)は培養細胞においてカスパーゼ3活性及びアネキシンVの結合を増加させた。また、TTR81-127(p.101-147)はカスパーゼ8及び9の活性を増加させた
培養グロモテル細胞を Opti-MEM中の 25 μM TTR81-127(p.101-147)で6時間処理し、Proteome Profiler Human Apoptosis Array Kit(R&D Systems, MN)を用いてアポトーシス関連タンパク質の発現を製造元の指示に従って分析した。反応をLAS-4000 Mini(GE Healthcare)を用いて可視化した。TTR81-127(p.101-147)で処理した培養細胞のシグナル強度は、未処理細胞と比較して相対比で決定した。タンパク質アレイ分析の結果、TTR81-127(p.101-147)で処理したグロモテル細胞ではFas 及び BAXが増加し、Bcl-2は減少した。よって、TTR81-127(p.101-147)フラグメントのアミロイド沈着物は、Fas 媒介アポトーシスを誘導したことが判った。
TTR81-127(p.101-147)アミロイド形成に対する細胞応答を調べるために、TTR81-127(p.101-147)で24時間処理したグロモテル細胞においてRNA-Seqによるトランスクリプトーム分析を行った。製造業者の手順書に従い、TRIzol RNA単離試薬を用いて、Opti-MEM中で 25 μMの高アミロイド形成性 TTR81-127(p.101-147)で処理した又は処理していない培養グロモテル細胞から全RNAを抽出し、得られたRNAを分析した。
細胞性 TTR81-127(p.101-147)アミロイド形成は、グロモテル細胞における炎症関連遺伝子の発現を増強した。定量的リアルタイムPCR分析により、TTR81-127(p.101-147)アミロイド沈着物は、グロモテル細胞中、ICAM1、VCAM1、RELB、IL32、CXCL1、CCL2、C3、及びSOD2を含むこれらの分子のmRNAレベルを増加させ、KIT mRNAレベルを低下させることを確認した。RNA-Seq分析による定量的リアルタイムPCR分析では、LRWD1 mRNAレベルの上昇は見られなかった。ヒト神経芽細胞腫由来のSH-SY 5Y細胞では、TTR81-127(p.101-147)処理で、3つの遺伝子、すなわちSH-SY 5Y細胞では検出されなかったCXCL1 と C3、及び処理したSH-SY 5Y細胞では変化しなかったSOD2を除いて、上記のmRNAレベルに同様の変化が見られた。これらの分子の遺伝子発現は、炎症性サイトカイン遺伝子 TNF及び IL6に加え、TTR81-127(p.101-147)で処理されたグロモテル細胞において有意に増加した。FAS mRNAレベルはまた、TTR81-127(p.101-147)で処理されたグロモテル細胞において有意に増加し、これは上記のタンパク質アレイ分析の結果と一致した。 Fasリガンド依存性経路の選択的阻害剤であるRKTS-33は、TTR81-127(p.101-147)で処理したグロモテル細胞において、ICAM1、VCAM1、IL32、CCL2、及びTNFを含むこれらの炎症性遺伝子のmRNAの増加を抑制した。よって、TTR81-127(p.101-147)フラグメントのアミロイド沈着物は、Fas 媒介アポトーシス及び炎症性遺伝子発現を誘導したことが判った。
高いアミロイド形成性を有する組換え TTR81-127(p.101-147)を用い、培養細胞で TTRアミロイド形成を評価するために、ハーフエリア96ウェル培養プレートを用いた細胞ベースの HTS法を検討、開発した。細胞ベースのFSB分析及び細胞ベースのELISA分析の概略を図12に示す。蛍光アミロイド特異的プローブである1-フルオロ-2,5-ビス[(E)-3-カルボキシ-4-ヒドロキシスチリル]ベンゼン(1-Fluoro-2,5-bis(3-carboxy-4-hydroxystyryl)benzene:FSB)を用いて細胞ベースのFSBアッセイを開発し、TTR81-127(p.101-147)で処理した培養細胞中の沈着物中のアミロイド量を決定した。また、TTR81-127(p.101-147)に対するウサギポリクローナル抗血清を用いた細胞ベースの酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)を用いて、培養細胞表面の沈着物中の TTR81-127(p.101-147)の量を分析した。
細胞ベースのFSBアッセイにおいては、ハーフエリア96ウェル培養プレートにグロモテル細胞を播種した。24時間後、TTR81-127(p.101-147)フラグメントを細胞培養液に添加し、37℃で24時間インキュベートした。培養細胞を10 %ホルムアルデヒド中性緩衝液で30分間固定した。固定細胞をPBSで洗浄した後、50 % EtOH中の0.0001 % FSBで30分間培養細胞を染色した。FSB染色した細胞を50 % EtOHで1回洗浄した後、PBSで3回洗浄した。In Cell Analyzer 2200(GE Healthcare)を用いて、沈着物中のアミロイドの量を分析した。
本発明の新規なHTS法を用い、ドラッグリポジショニング候補をスクリーニングした。1,280の特許外医薬化合物のスクリーニングライブラリ(Drug Discovery Initiative、東京大学、日本)を使用しスクリーニングを行った。参照化合物として EGCG及びジフルニサルを用いた。最初のスクリーニングにおいて、細胞ベースELISAを用い、TTRアミロイド沈着を阻害する候補化合物を選択した。単一のアッセイで各化合物を分析し、化合物を使用しなかった対照に対する相対値を計算し、相対値<88 %を示す化合物を選択した結果、75の候補化合物をスクリーニングした。2番目のステップでは、選択した75種類の化合物を使用し、細胞ベースELISA(3回の試験)に加えて、FSBアッセイ(3回の試験)を行った。細胞ベースのFSBアッセイで相対値が85%未満の化合物を選択した結果、28種類の候補化合物をスクリーニングした。
予め形成された TTR81-127(p.101-147)のアミロイド線維を用い、本発明の方法でスクリーニングしたピルビニウムパモ酸塩及び塩酸アポモルヒネのアミロイド線維の破壊活性を以下のようにして測定した。チューブ内で、中性pHで PBS中にて、0.2 μMの予め形成したTTR81-127(p.101-147)アミロイド線維に 50 μMの化合物を添加し、24時間、37℃でインキュベートした。活性は、ジフルニサルと比較した。電子顕微鏡分析によると、図18上段に示すように、ピルビニウムパモ酸塩及び塩酸アポモルヒネは、予め形成された TTR81-127(p.101-147)のアミロイド線維をインビトロで破壊したが、一方、ジフルニサルは TTR81-127(p.101-147)のアミロイド線維を破壊しなかった。そこで、ATTR Val30Met(p.Val50Met)Metアミロイドーシス患者からのアミロイド含有剖検心臓サンプルから単離された心臓アミロイド線維を用いて選択した2つの薬物の効果を調べた。
2つの候補化合物、ピルビニウムパモ酸塩及び塩酸アポモルヒネが、アミロイド破壊作用に加えて全長 TTRの四量体構造を安定化するかどうかを以下のようにして確認した。尿素変性に対する TTR四量体の安定性に対する化合物の効果を評価するために、全長 TTR Val30Met(p.Val50Met)、又はATTR Val30Met(p.Val50Met)アミロイドーシスに罹患した未治療の74歳男性から得た血漿試料を用いた。全長 TTR Val30Met(p.Val50Met)血漿試料を、試験管中で 2 ~ 50 μM の化合物と共に25℃で30分間インキュベートし、続いて4.5 M の尿素にて、TTRを25℃で24時間変性させた。その後SDS-PAGEを行い、TTRは、ProteoSilver Silver Stain Kit(Sigma-Aldrich)を用いた銀染色、又はポリクローナルウサギ抗TTR抗体(Agilent Technologies)を用いたイムノブロッティングによって検出した。バンド強度は、NIH ImageJプログラム(http://rsbweb.nih.gov/ij/)を用いて定量した。結果を図18に示す。上段は、全長 TTR Val30Met(p.Val50Met)を用いた結果、下段は、患者血漿中の TTRを用いた結果である。組換え全長 TTR Val30Met(p.Val50Met)を用いたインビトロ試験では、ピルビニウムパモ酸塩が TTR四量体に対して安定化効果を有し、それはジフルニサルとほぼ同じであることが確認できた。また、ピルビニウムパモ酸塩は、ATTR Val30Met(p.Val50Met)アミロイドーシスを有する患者の血漿中で、全長 TTRの四量体構造を有意に安定化したが、血漿 TTRの四量体構造の安定化効果はジフルニサルよりも弱かった。
スクリーニングされたピルビニウムパモ酸塩及び塩酸アポモルヒネについて、他のアミロイドであるAβ42 及びAβ40 について、アミロイド線維形成阻害効果を確認した。チューブ内で、25 μMのAβ42 又はAβ40を、2 ~50 μMの化合物とともに,PBS中、37℃で24時間インキュベートした。その後、形成されたアミロイド線維をThTアッセイにより測定した。結果を図21に示す。ピルビニウムパモ酸塩及び塩酸アポモルヒネともに、Aβ42 、Aβ40 のアミロイド線維形成を、用量依存的に顕著に阻害した。
本発明の方法においては、より小さなC末端の TTR81-127(p.101-147)フラグメントを用い、中性で、変性プロセスなしに、非常に容易にアミロイド線維を形成することができる。加えて、アミロイド線維は、PBS中及び細胞培養培地中で形成できる。一方、C末端のTTR49-127(p.69-147)フラグメント、N末端の TTR1-80(p.21-100)フラグメント、全長の野生型及び変異型 TTRなどの他の形態の TTRでは、中性pHでアミロイド線維を形成できない。
そして、この仮説に拘束される訳ではないが、本発明者らは、全長 TTRの自然の四量体構造からの TTRアミロイド線維形成の仮説モデルにたどり着いた。TTRテトラマーの解離、それに続く TTRの高度にアミロイド形成性のC末端領域の重合の後に、TTRのC末端領域が分子の外側に露出されると考えられる。このようにして生じた変性 TTRは、トリプシン又はトリプシン様酵素によって断片に切断され得る。仮説モデルを図20に示す。
Claims (9)
- アミロイド線維形成を抑制する物質をスクリーニングする方法であって、
(a)凝集していない状態のトランスサイレチンのフラグメントであって、トランスサイレチンの81番目から127番目の配列である配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるフラグメント、及び試験物質を中性の緩衝液に溶解する工程、
(b)形成されたアミロイド線維を検出する工程、及び
(c)試験物質を添加しなかった対照に比べてアミロイド線維形成が抑制された場合に、前記試験物質を、アミロイド形成を抑制する物質として選択する工程、
を含むスクリーニング方法。 - 前記工程(b)におけるアミロイド線維の検出は、チオフラビン蛍光法、Congo Redを用いた染色、FSBを用いた染色、及びアミロイド線維を認識する抗体を用いたELISAからなる群のいずれか一つにより行われる請求項1に記載のスクリーニング方法。
- 前記フラグメントが、フラグメントのC末端に付加された、GFP、EGFP、rsGFP、YFP、CFP、BFP及びウミシイタケ由来のGFPからなる群から選択されるいずれか一つの標識物質で標識されており、前記工程(b)におけるアミロイド線維の検出は該標識の蛍光強度を検出することにより行われる請求項1に記載のスクリーニング方法。
- 細胞ベースのアミロイド線維形成を抑制する物質をスクリーニングする方法であって、
(i)培地中で細胞を培養する工程、
(ii)凝集していない状態のトランスサイレチンのフラグメントであって、トランスサイレチンの81番目から127番目の配列である配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるフラグメント、及び試験物質を培地に添加し溶解して、前記細胞に接触させる工程、
(iii)前記培養細胞内で形成されたアミロイド線維を検出する工程、及び
(iv)試験物質を添加しなかった対照に比べてアミロイド線維形成が抑制された場合に、前記試験物質を、アミロイド形成を抑制する物質として選択する工程、
を含むスクリーニング方法。 - 前記工程(iii)におけるアミロイド線維の検出は、チオフラビン蛍光法、Congo Redを用いた染色、及びFSBを用いた染色からなる群のいずれか一つにチオフラビン蛍光法により行われる請求項4に記載のスクリーニング方法。
- 前記フラグメントが、フラグメントのC末端に付加された、GFP、EGFP、rsGFP、YFP、CFP、BFP及びウミシイタケ由来のGFPからなる群から選択されるいずれか一つの標識物質で標識されており、前記工程(iii)におけるアミロイド線維の検出は該標識の蛍光強度を検出することにより行われる請求項4に記載のスクリーニング方法。
- 前記工程(iii)におけるアミロイド線維の検出は、アミロイド線維を認識する抗体を用いた細胞ベースELISAにより行なわれる請求項4に記載のスクリーニング方法。
- 前記細胞がグロモテル細胞である請求項4~7のいずれか一つに記載のスクリーニング方法。
- ハイスループットスクリーニング分析法の一部である、請求項1~8のいずれか一つに記載の方法。
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