JP7353579B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、自動車等の車両用の空気入りタイヤに関する。
車両に装着された空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」ともいう)は、走行に伴って地面と接するトレッド部が摩耗していき、トレッド溝が徐々に浅くなってくる。そして、このトレッド溝の深さが摩耗限度を超えて浅くなると、走行中にスリップが発生するなどして、事故の発生を招く危険性が増す。このため、従来より、トレッド部の摩耗量が摩耗限度を超えないように管理し、摩耗限度に達した場合には早期にタイヤを交換して、走行時の安全性を確保することが定められている。
具体的にトレッド部の摩耗状態をチェックする方法として、一般的には、トレッド部に例えばスリップサイン等の目印を設けておき、この目印が現れると摩耗量が摩耗限度に達したと判断している。しかし、一般のユーザーに対して、この目印の確実なチェックについて過大には期待できないため、このようなユーザーによる目視確認に替えて、タイヤの摩耗状態を技術的に把握してユーザーが交換時期が来たことを正確に認識できる技術が提案されている。
例えば、摩耗が摩耗限度となる箇所に光反射部材を埋設しておき、光照射装置から照射された光が光反射部材において反射されたことを受光装置で検知することにより、タイヤが摩耗限度まで摩耗したことを検出するタイヤ摩耗限度検出装置(例えば特許文献1)、スリップサインに掛かる加速度を加速度検知センサで検知することにより、タイヤの摩耗の検知を行う摩耗検知システム(例えば特許文献2)、トレッド内に埋設されたICタグの通信アンテナ側に電波遮断部材を配してICタグとの通信を検知することにより摩耗を検知する摩耗検知装置(例えば特許文献3)、摩耗が摩耗限度となる箇所に磁性材料からなる被検出体を埋設しておき、磁気センサなどを検知手段として用いて、摩耗により露出した被検出体を検知することでタイヤが摩耗限度まで摩耗したことを検出するタイヤ摩耗限度検出装置(例えば特許文献4)が提案されている。
しかしながら、これらの技術にはそれぞれ欠点がある。
具体的には、特許文献1の技術では光反射部材に泥などが付着していると摩耗を検知することができない。そして、特許文献1~4の技術では摩耗が摩耗限度(閾値)に達した後でないと摩耗を検知することができない。このため、長い距離を連続して走行するトラックやバスの場合、走行中に摩耗が摩耗限度を超えてしまい、タイヤの交換が間に合わないという事態を生じる恐れがある。
そこで、トレッドの溝部やタイヤ内部に埋設された磁性体がトレッド部の摩耗に合わせて形状変化することに伴う磁場の強さの変化を、磁気センサなどの検知手段を用いて検知することによってタイヤの摩耗状態を測定するタイヤの摩耗測定方法(例えば特許文献5)が提案されている。
特開平11-170819号公報 特許第4812624号公報 特許第5151573号公報 実開昭62-83704号公報 特許第4054196号公報
しかしながら、上記した特許文献5の技術では、硬質の磁性体がトレッド部に埋設されていると、この磁性体はスパイクタイヤにおけるスパイクと同じように、積雪がない通常の路面を走行する際の乗り心地を悪化させる。そこで、磁性体をゴムマグネットなどのゴムシートに変更して貼り付けた場合には、ゴムシートを貼り付けた部分と他の部分との間に摩耗の偏りが生じ、タイヤの摩耗の度合いを正確に測定することができない。また、平板状の永久磁石を複数層状に配置するように変更した場合には、磁場の変化が段階的になり、間欠的な測定しかできない。
そこで本発明は、車の乗り心地の悪化を招くことがなく、摩耗により変化する磁場の強さを常時、安定して正確に測定することにより、タイヤの摩耗状態を常時正確に把握することができる空気入りタイヤを提供することを課題とする。
本発明者は、上記の課題を解決するため鋭意検討を行った結果、以下に記載する発明により上記の課題が解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
請求項1に記載の発明は、
凸部および凹溝によってパターンが形成されたトレッド部において、前記凸部の1つ以上に、接地面側から径方向内方に向けて形成された所定形状の凹部に磁性体が内包されており、
前記磁性体により形成される磁場の磁束密度を検知する磁気センサが、前記磁性体に対向した径方向内方の位置に配置され、
前記磁性体は、硬磁性材料の粉粒体が30~70質量%、高分子材料中に分散されて形成されると共に一方向に着磁されて成り、着磁方向とタイヤ半径方向とが一致するように前記凹部に内包されており、
前記凹部の内周面と前記磁性体の外周面とが、互いに螺合または嵌合されて固定されていることを特徴とする空気入りタイヤである。
請求項2に記載の発明は、
前記磁気センサが配置されている位置が、ブレーカーを挟んで前記磁性体と対向する内腔部表面であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤである。
請求項3に記載の発明は、
前記凹部の深さが、前記凸部の厚みの80~130%であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤである。
請求項4に記載の発明は、
前記硬磁性材料が、アルニコ系磁石、フェライト系磁石、サマリウム系磁石、ネオジム系磁石作製用の磁性粉から選択された1種または2種以上の磁性粉であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤである。
請求項5に記載の発明は、
前記凹部の位置に対向する内腔部の表面に、前記磁性体により形成される磁場の磁束密度を検出する磁気センサ、電源、および送受信装置が、センサモジュールに収納されて配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤである。
本発明によれば、車の乗り心地の悪化を招くことがなく、摩耗により変化する磁場の強さを常時、安定して正確に測定することにより、タイヤの摩耗状態を常時正確に把握することができる空気入りタイヤを提供することができる。
本発明の一実施の形態に係る空気入りタイヤにおける磁性体の配置を説明する模式的断面図である。 本発明の他の一実施の形態に係る空気入りタイヤにおける磁性体の配置を説明する模式的断面図である。
以下、本発明を実施の形態に基づき、図面を用いて説明する。
[1]本実施の形態に係る空気入りタイヤ
1.本実施の形態に係る空気入りタイヤの概要
はじめに、本実施の形態に係る空気入りタイヤの概要について説明する。本実施の形態に係る空気入りタイヤは、凸部および凹溝によってパターンが形成されたトレッド部において、前記凸部の1つ以上に、接地面側から径方向内方に向けて形成された所定形状の凹部に磁性体が内包されており、前記磁性体により形成される磁場の磁束密度を検知する磁気センサが、前記磁性体に対向した径方向内方の位置に配置され、磁性体は、硬磁性材料の粉粒体が30~70質量%、高分子材料中に分散されて形成されると共に一方向に着磁されて成り、着磁方向とタイヤ半径方向とが一致するように前記凹部に内包されており、前記凹部の内周面と前記磁性体の外周面とが、互いに螺合または嵌合されて固定されていることを特徴としている。
凹部に埋め込まれて内包されている磁性体は、硬磁性材料の粉粒体が高分子材料中に分散されて形成されており、車両の走行に伴うトレッド部の摩耗に合わせて摩耗して、磁束密度が連続的に変化していく。このとき、磁束密度を検知する磁気センサがタイヤ内部の磁性体に対向した径方向内方の位置、即ちタイヤ自体に配置されているため、磁気センサによって磁性体の磁束密度の連続的変化を測定することができ、車両に装着されたタイヤの摩耗状態を経時的に把握することができる。また、タイヤが、車体の傾斜、走行中の路面の性状、タイヤの空気圧などの影響を受けた場合でも、磁気センサと磁性体との間の位置関係を一定に維持することができるため、磁束密度の変化を安定して正確に測定することができ、タイヤの摩耗状態を高い精度で把握することができる。
また、このように硬磁性材料の粉粒体が高分子材料中に分散されて形成される磁性体が、一方向に着磁されており、着磁方向とタイヤ半径方向とが一致するように凹部に埋め込まれているので、磁性体に対向した径方向内方の位置に配置されている磁気センサによって、タイヤの摩耗状態を高い精度で把握することができる。
また、硬質の磁石ではなく、硬磁性材料の粉粒体が高分子材料中に分散されて形成された磁性体が用いられているため、通常の硬質の磁石より硬度が低く、トレッドの凸部と同程度に摩耗し偏摩耗が生じにくい。また、硬質の磁石が埋め込まれている場合と異なり、走行中に硬質の磁石と路面との接触に起因する振動などを感じることがない。このため、車の乗り心地の悪化を招くことを十分に抑制することができる。
そして、磁性体は、凹部の内周面と磁性体の外周面とが、互いに螺合または嵌合されて固定されているため、磁性体を容易に適切に凹部に埋め込み固定することができ、また、固定された磁性体が容易にトレッド部から脱落することがない。
2.本実施の形態に係る空気入りタイヤの特徴部
上記したように、本実施の形態に係る空気入りタイヤは、硬磁性材料の粉粒体が高分子材料中に分散されて形成された磁性体と磁気センサとが、同じタイヤの径方向の内と外のそれぞれに対向して配置され、磁性体が一方向に着磁されており、着磁方向とタイヤ半径方向とが一致するように凹部に埋め込まれて内包されて、凹部の内周面と磁性体の外周面とが、互いに螺合または嵌合されて固定されていることを特徴としている。そこで、以下においては、はじめに、この磁性体と磁気センサとの位置関係について説明し、その後、磁性体と磁気センサのそれぞれについて説明する。
(1)磁性体と磁気センサとの位置関係
、図1、図2は本実施の形態に係る空気入りタイヤにおける磁性体と磁気センサとの位置関係を説明する模式的断面図である。図1、図2において、1はトレッド部であり、凸部(陸部)2および凹溝(海部)によってトレッドパターンが形成されており、接地面8で地面と接している。そして、3は凹部、4は磁性体、5はブレーカー、6はブレーカーコード、7は内腔部表面、9は磁気センサ、10はセンサモジュールである。
本実施の形態においては、図1、図2に示すように、磁性体4はトレッド部1における凸部2に設けられた凹部3に螺合または嵌合されて固定されており、タイヤ半径方向に沿って延びるように設けられている。より具体的には、磁性体4は、そのタイヤ半径方向の外方側の端部が凸部2における接地面8を形成するようにタイヤの外部に露出し、タイヤ半径方向の内方側の端部が、そのタイヤについて国の法令等で定められている摩耗限度の位置(例えば、乗用車タイヤ、ライトトラック用タイヤおよびトラックバス用タイヤでは、主溝の底面からの高さが1.6mmの位置)よりもタイヤ半径方向の内方側に位置するようにトレッド部1の凹部3に埋設されている。センサモジュール10は、磁性体4によって形成される磁場の磁束密度を検知する磁気センサ9を有して構成されており、磁気センサ9が磁性体4の埋設位置に対向した径方向内方の位置に配置されるように、内腔部表面7に設置されている。
このように、1つのタイヤの径方向の内と外のそれぞれに対向して磁気センサ9と磁性体4とが配置されていることにより、両者の間隔が常に一定に維持され、車体の傾斜、走行中の路面の性状、タイヤの空気圧などの影響を受けることなく、磁性体4における磁束密度の変化を磁気センサ9によって検知することができるため、タイヤの摩耗状態を高い精度で常時把握することができる。
なお、磁性体の態様については、磁気センサと磁性体とが上記のような位置関係になるよう嵌合または螺合で固定でき、磁気センサで磁性体の変化する磁束密度を測定できる限り、特には限定されない。例えば、磁性体は、そのタイヤ半径方向の外方側の端部がタイヤの外部に露出せずトレッド部1の内部に位置するように凹部3に埋設される態様であってもよく、そのタイヤ半径方向の内方側の端部が摩耗限度の位置に略一致、或いは摩耗限度の位置よりもタイヤ半径方向の外方側に位置するように埋設される態様であってもよい。
磁性体および磁気センサの対は、トレッド部1に形成される1つの凸部にのみ設けられる態様であってもよく、複数の凸部に設けられる態様であってもよい。さらに、磁性体および磁気センサの対は、トレッド部1に形成される1つの凸部において、タイヤの周方向に1つのみ設けられる態様であってもよく、例えば等間隔に、複数設けられる態様であってもよい。尚、磁性体および磁気センサの対としては、1つの磁性体に対して、1つの磁気センサが磁性体の埋設位置に対向したタイヤ内腔部表面に設置される態様であってもよく、複数の磁気センサが磁性体の埋設位置に対向したタイヤ内腔部表面に設置される態様であってもよい。
(2)磁性体
上記したように、本実施の形態に係る空気入りタイヤは、トレッド部の凸部の1つ以上に、接地面側から径方向内方に向けて形成された所定形状の凹部に磁性体が内包されていることを特徴としている。
本実施の形態において、磁性体4としては、硬磁性材料の粉粒体(磁性粉)が高分子材料中に分散されて、凹部3の形状に合わせて成形されている。このような硬磁性材料の粉粒体を用いて磁性体を形成した場合、この磁性体は着磁によって永久磁石となるため、その周囲に所定の磁束密度で磁場を形成させることができる一方、着磁後は容易に減磁することがない。
磁性粉としては、着磁後の保磁力が大きく容易に減磁することがないという観点から、アルミニウム、ニッケル、コバルト、鉄を主成分とするアルニコ系磁石、酸化鉄を主成分とするフェライト系磁石、サマリウム、鉄を主成分とするサマリウム系磁石、ネオジム、鉄、ホウ素を主成分とするネオジム系磁石作製用の磁性粉を好ましく挙げることができる。
そして、具体的なアルニコ系磁石としては、Al-Ni-Co-Fe-Cuなどが、フェライト系磁石としては、Fe-SrOなどが、サマリウム系磁石としては、Sm-Co-Fe-Cu、Sm-Fe-Nなどが、ネオジム系磁石としては、Nd-Fe-B-Dy、Nd-Fe-Nb-B、Nd-Pr-Fe-Nb-Bなどが挙げられる。
また、上記した各磁性粉は2種以上を選択して用いてもよく、例えば、フェライト系の磁性粉とサマリウム系の磁性粉との混合、サマリウム系の磁性粉とネオジム系の磁性粉との混合により、それぞれ、サマリウム・フェライト系の磁性体、サマリウム・ネオジム系の磁性体を形成させることができる。
また、磁性体に偏摩耗が生じないように、また車両の乗り心地性能に悪影響を及ぼさないように硬磁性材料には十分に粒径が小さい磁性紛が用いられ、具体的には、磁性粉の粒径としては、磁性体の形成に際しての高分子材料への分散性と、金属粒子であることに伴う摩耗性を考慮すると、400μm以下であることが好ましく、250μm以下であるとより好ましい。
また、高分子材料としては、タイヤとしての特性を十分に発揮させるという観点から、硬化した状態において弾性を発揮することができる樹脂材料またはゴム材料が好ましく、また、磁性粉を分散させて成る磁性体がトレッドゴムと同じように摩耗して安定した乗り心地を提供するという観点から、硬化後はトレッドゴム組成物と同等の摩耗特性を発揮することができる樹脂材料またはゴム材料が好ましい。
上記した高分子材料の内でも、磁性体が設けられる箇所がトレッド部であることを考慮すると、トレッド部に用いられるトレッドゴム組成物と同じ配合のゴム材料が好ましい。すなわち、磁性体は、トレッドゴム組成物と同じ配合のゴム材料に磁性粉を分散させて形成されるのが好ましく、例えば、トレッドゴム組成物の配合における一部の充填材を磁性粉に置換する形で配合してもよい。磁性体中に占める磁性粉の配合量としては、10~70質量%が好ましく、より好ましくは30~70質量%であり、さらに好ましくは40~70質量%である。
磁性体への着磁は、公知の着磁装置、例えば、コンデンサー式着磁電源装置、着磁コイル、着磁ヨークなどを用いて行うことができる。なお、着磁を行うタイミングとしては、トレッド部に埋設される前に実施してもよく、トレッド部に埋設した後に実施してもよい。そして、着磁に際しては、磁性体が形成する磁束密度を磁気センサによって十分に検知するという観点から、磁気センサへ向けた方向、即ち、タイヤ半径方向と一致するように着磁させて、磁気センサに向けて密な磁力線を形成させることが好ましい。
そして、本実施の形態において、磁性体4を凹部3へ埋め込む手段としては、図1に示す螺合や図2に示す嵌合が用いられる。具体的には、図1に示すように、凹部3の内壁部に雌ネジ部を形成する一方、磁性体4の側面に雄ネジ部を設けてねじ状とし、両者を螺合することにより、磁性体4を凹部3へ埋め込み固定することができる。また、図2に示すように、凹部3を楔形に形成して、対応する形状に形成された磁性体4、例えば逆テーパ状とした磁性体を打ち込むことによっても、磁性体4を凹部3へ適切に埋め込み固定することができる。
そして、本実施の形態において、凹部3は、交換すべきと定められたトレッド部1の厚みよりも内方に入り込んで形成されていることが好ましく、具体的な凹部3の深さ、即ち、磁性体4の長さとしては、凸部2の厚みの80~130%であることが好ましい。これにより、トレッド部1が摩耗限界に達するまで磁束密度の変化量を検出して、摩耗状態を経時的に把握することができる。
磁性体としては、地磁気に影響されず確実に磁性体の磁束密度の測定ができるという観点から磁気センサが配置されている測定位置で0.05mT以上の磁束密度を有するように構成されていることが好ましく、タイヤ内部に設けられているスチールコードによる帯磁や減衰の影響下でも確実に磁性体の磁束密度の測定ができるという観点から前記測定位置で0.5mT以上の磁束密度を有するように構成されていることがより好ましい。このような観点を考慮して、磁性体は、磁性体表面で1mT以上の磁束密度を有するように構成されていることが好ましい。
一方、磁性体の磁力によって車載される他の電子機器などに悪影響を与えないようにするという観点から、磁性体の表面磁束密度は600mT以下であることが好ましく、道路走行時に路面に落ちている釘などの金属片を吸着しないようにするという観点から、磁性体の表面磁束密度は60mT以下であるとより好ましい。なお、磁性体の表面磁束密度は、着磁された磁性体の表面にテスラメーターを直接接触させることにより測定される値である。
(3)磁気センサ
磁気センサは、トレッド部の摩耗に合わせて磁性体が摩耗されることにより変化する磁性体の磁束密度を測定するために設けられている。本実施の形態においては、図1、図2に示すように、磁気センサ9はタイヤの内腔部表面7の磁性体4に対向した径方向内方の位置に配置されている。
このように、1本のタイヤ内の対向する位置に、磁気センサ9が収納されたセンサモジュール10と、磁性体4とを配置して、磁気センサ9に向けて一方向に密に形成された磁力線を磁気センサ9において検知することにより、磁性体の摩耗により連続的に変化する磁束密度を、常時、安定して正確に測定することができる。そして、磁気センサ9と磁性体4との間隔が常に一定に維持されるため、車体の傾斜、走行中の路面の性状、タイヤの空気圧などの影響を受けることなく、磁性体4における磁束密度の変化量を磁気センサにおいて、常時、安定して正確に検知して、測定することができ、タイヤの摩耗状態を高い精度で常時把握することができる。
具体的な磁気センサとしては、タイヤの内腔部表面に取り付け可能な小さなサイズで、回転するタイヤの振動や変形などにも十分に耐え得るという観点から、ホール素子、磁気抵抗素子(MR)、磁気インピーダンス(MI)素子などを好ましく挙げることができ、これらの内でも、精度の観点から磁気抵抗素子がより好ましい。
センサモジュール10は、この磁気センサ9と共に、検知されたデータを受信する受信部、受信したデータを車両本体に設けられた摩耗状態判定装置に向けて有線または無線で送信する送信部、それに伴うアンテナ、電源などが筐体内に収納されて構成されている。
また、このセンサモジュール10には、磁気センサ9以外に、タイヤの内圧を検知する圧力センサ、温度を計測する温度センサ、加速度を検知する加速度センサなどが併せて収納されていてもよく、これらの複数のセンサを用いることにより、磁束密度に加えて、タイヤの内圧、タイヤの温度、加速度データなどをリアルタイムで取得することができる。そして、これらの複数のセンサで取得された各データを利用して総合的に分析することにより、タイヤの状態をより詳細に把握することができ、今後期待されている車両の自動運転制御に有効に利用することができる。
センサモジュール10としては、上記のような構成に限らず、後述する摩耗量と磁束密度との関係を示す照合用のデータを記憶する記憶部、および、記憶部に記憶される照合用のデータを用い、磁気センサ9によって検知された磁束密度に基づいてトレッド部の摩耗状態を測定する測定部を備え、測定部によって測定された摩耗状態のデータを送信部によって車両本体に設けられた装置へ送信するように構成されても良い。
タイヤへのセンサモジュール10の取付方法としては、例えば、タイヤ内腔部表面に設けられたソケットに装着する方法、タイヤ内腔部表面に直接接着する方法、タイヤに埋め込む方法などを適宜採用することができ、この内でも、タイヤ内腔部表面に設けられたソケットへのセンサモジュールの装着は、取り付け、交換が容易であるため、特に好ましい。
[2]本実施の形態に係る空気入りタイヤの製造方法
本実施の形態に係る空気入りタイヤは、通常の空気入りタイヤの製造工程に加えて、凹部形成工程と磁性体埋込工程とを備えた製造方法により製造することができる。以下、この凹部形成工程と磁性体埋込工程について説明する。
1.凹部形成工程
本工程は、加硫成形された空気入りタイヤのトレッド部の凸部の1つ以上に、接地面側から径方向内方に向けて、磁性体を埋め込むための凹部を形成する工程である。
具体的には、加硫成形された空気入りタイヤのトレッド部の1つ以上に、コルクボーラー、ドリル、ホールカッターなどの穿孔治具を用いて、接地面側から径方向内方に向けて穿孔することにより、凹部を形成する。これらの穿孔治具の内でも、穿孔作業の容易さを考慮すると、コルクボーラーが好ましい。
なお、加硫成形された空気入りタイヤへの穿孔に代えて、スパイクタイヤ用の加硫金型などのトレッド部に凹部が形成される加硫金型を用いて、加硫成形と同時に凹部を形成させてもよい。
2.磁性体埋込工程
本工程は、凹部形成工程において形成された凹部に、別途作製された磁性体を埋め込む工程である。以下においては、まず、磁性体の作製について説明し、その後、磁性体の埋め込みについて説明する。
(1)磁性体の作製
前記したように、磁性体は、磁性粉および高分子材料を適宜選択して、適切に配合して混練し、所定の形状、即ち、次工程で行う磁性体の埋込に適した形状に形成した後、一方向に着磁することにより、作製することができる。
(2)磁性体の埋め込み
作製された磁性体の凹部への埋め込みに際しては、前記した螺合や嵌合が用いられる。
[3]タイヤ摩耗測定方法
次に、本実施の形態に係る空気入りタイヤにおけるタイヤ摩耗測定方法について説明する。
本実施の形態においては、上記した空気入りタイヤに対して、以下の手順に従ってその摩耗状態を測定する。
1.事前のデータ取得
測定に先立って、予め、測定対象と同じ種類のタイヤについて、磁性体の摩耗により変化する磁場の磁束密度を磁気センサにより測定し、データを取得する。
具体的には、まず、製造直後の新品タイヤ(測定対象と同じ種類のタイヤ)における磁束密度を測定し、その後、このタイヤに対して、タイヤ摩耗ドラム試験機を用いて、摩耗限度を超えるまで、タイヤを摩耗させていく。そして、途中、所定時間毎に装置を停止させて、その時点での摩耗量と磁束密度とを測定する。
その後、測定された各時点での摩耗量と磁束密度とに基づいて摩耗量と磁束密度との関係を示す照合用のデータを作成し、作成されたデータを車両本体に設けられた摩耗状態判定装置に記憶させる。
2.測定対象タイヤの実車への装着と走行
次に、測定対象のタイヤを実車に装着して走行する。走行することにより、トレッド部と共に磁性体が摩耗していくため、磁気センサにより検知される磁束密度が変化する。
そして、磁気センサにより測定されたこの磁束密度の変化を、磁気センサから受信した摩耗状態判定装置において、予め記憶されている照合用のデータと照合することにより、測定対象のタイヤにおいて、どの程度まで摩耗が進行しているかを判定することができる。
なお、磁束密度の測定に当たっては、外部の磁界変化などによって生じる磁束密度の変化(外乱)の影響が考えられるが、これらの影響は、徐々に進行するタイヤの摩耗に伴い徐々に変更する磁束密度と異なり、大きな変化として現れるため、統計的な処理を施すことによって、これらの外乱を排除することができる。
以上のように、本実施の形態に係るタイヤ摩耗測定方法を適用することにより、磁気センサと磁性体との間の位置関係を一定に維持して、摩耗に合わせて変化する磁束密度を常時安定して正確に測定することができるため、タイヤの摩耗状態をより正確に安定して測定することができる。
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、上記の実施の形態に対して種々の変更を加えることができる。
1 トレッド部
2 凸部
3 凹部
4 磁性体
5 ブレーカー
6 ブレーカーコード
7 内腔部表面
8 接地面
9 磁気センサ
10 センサモジュール

Claims (5)

  1. 凸部および凹溝によってパターンが形成されたトレッド部において、前記凸部の1つ以上に、接地面側から径方向内方に向けて形成された所定形状の凹部に磁性体が内包されており、
    前記磁性体により形成される磁場の磁束密度を検知する磁気センサが、前記磁性体に対向した径方向内方の位置に配置され、
    前記磁性体は、硬磁性材料の粉粒体が30~70質量%、高分子材料中に分散されて形成されると共に一方向に着磁されて成り、着磁方向とタイヤ半径方向とが一致するように前記凹部に内包されており、
    前記凹部の内周面と前記磁性体の外周面とが、互いに螺合または嵌合されて固定されていることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記磁気センサが配置されている位置が、ブレーカーを挟んで前記磁性体と対向する内腔部表面であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記凹部の深さが、前記凸部の厚みの80~130%であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記硬磁性材料が、アルニコ系磁石、フェライト系磁石、サマリウム系磁石、ネオジム系磁石作製用の磁性粉から選択された1種または2種以上の磁性粉であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記凹部の位置に対向する内腔部の表面に、前記磁性体により形成される磁場の磁束密度を検出する磁気センサ、電源、および送受信装置が、センサモジュールに収納されて配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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