JP7345079B1 - 混合微生物及び廃水処理方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の課題は、幅広い塩濃度の廃水において窒素除去を可能とする技術を提供することである。本発明は、混合微生物であって、前記混合微生物が、アナモックス菌を少なくとも含み、前記アナモックス菌が、Candidatus Scalindua属のKAS-01である、混合微生物を提供する。

Description

本発明は、混合微生物及び廃水処理方法に関する。
近年、循環型社会形成の観点から、廃水処理に関しても地球環境への負荷が低い窒素除去技術への転換が求められている。
このような窒素除去技術として、アナモックス反応(anammox;anaerobic ammonium oxidation、嫌気性アンモニア酸化反応)の利用が提案されている(例えば、特許文献1)。
アナモックス反応とは、アナモックス菌の作用により、アンモニア性窒素や亜硝酸性窒素を、窒素ガスに変換する反応である。
特許第5943661号公報
ここで、本発明者は、アナモックス菌は、廃水の塩濃度に応じて、窒素除去性能が異なり得ることを見出した。例えば、従来のアナモックス菌は、塩濃度が低い廃水において良好に窒素除去できても、塩濃度が高い廃水においては充分に窒素除去できない可能性がある。
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、幅広い塩濃度の廃水において窒素除去を可能とする技術を提供することを目的とする。
本発明者らは、新規に見出されたアナモックス菌を有する混合微生物によれば上記課題を解決できる点を見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 混合微生物であって、
前記混合微生物が、アナモックス菌を少なくとも含み、
前記アナモックス菌が、Candidatus Scalindua属のKAS-01である、
混合微生物。
(2) 前記KAS-01の16SrRNA遺伝子が、配列番号3に記載の塩基配列と同一の塩基配列を含む、(1)に記載の混合微生物。
(3) (1)又は(2)に記載の混合微生物と、塩濃度が1質量%以上である廃水と、を接触させる工程を含む、廃水処理方法。
本発明によれば、幅広い塩濃度の廃水において窒素除去を可能とする技術が提供される。
実施例で使用した集積用リアクタの概要を示す図である。 実施例で使用した各混合微生物における窒素除去率を示す図である。 実施例で使用した各混合微生物における窒素除去速度を示す図である。 相同性解析における系統樹を示す図である。 実施例で使用した各混合微生物における窒素除去速度を示す図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
<本発明の混合微生物>
本発明の混合微生物は、所定の新規アナモックス菌、すなわちCandidatus Scalindua属の「KAS-01」を少なくとも含む。
(1)混合微生物
本発明において「混合微生物」とは、複数種類の微生物の集合体を包含する。本発明の混合微生物を構成する微生物のうち1種は、「KAS-01」である。
本発明の好ましい態様において、混合微生物は、「KAS-01」とともにその他の微生物が共生した汚泥の形態であり得る。このような汚泥においては、微生物の一部がアナモックス菌から有機物の供給を受けつつ、酸素を消費することによって、局所的に絶対嫌気的生育環境を創出し得る。このような環境が創出されることで、絶対嫌気性の条件を満たさない場合であっても、嫌気性のアナモックス菌を生育及び増殖させることができる。
(2)アナモックス菌
本発明において「アナモックス菌」とは、嫌気性の独立栄養細菌であり、曝気や炭素源等の添加を要さずに増殖することができる。
ただし、アナモックス菌は、単一の菌としては未だ単離されていない。
しかし、16SrRNA遺伝子の解析等により、アナモックス菌として複数種類が存在することが知られている。本発明における「KAS-01」も、そのようなアナモックス菌の一例である。
アナモックス菌は、下記式で表されるアナモックス反応によって、廃水中の窒素をガスとして除去することができる。
NH +NO →N+NO +H
(3)新規アナモックス菌「KAS-01」
「KAS-01」とは、本発明者らによって命名された、Candidatus Scalindua属の新規なアナモックス菌である。
本発明者らは、「KAS-01」を含む混合微生物を、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約に基づく国際寄託当局である、「独立行政法人 製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター」(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室)に寄託申請した。
しかし、「KAS-01」を含む混合微生物は、「それぞれの組成の説明及びそれらの存在を確認する少なくとも一の方法の説明が寄託申請書に記載されていない混合微生物」であること、及び、特許微生物寄託センターで「受託可能な生物種の範囲外」であることを理由に、2022年1月4日付で受託を拒否された。
そこで、本出願人は、「KAS-01」を含む混合微生物の株を、鹿島建設株式会社技術研究所(日本国東京都調布市飛田給2-19-1)内において自己寄託し、維持及び保存している。本出願人は、日本国特許法施行規則第27条の3各号に該当する場合、各法令の遵守を条件に、「KAS-01」を含む混合微生物を第三者に分譲することを保証する。
本発明の好ましい態様において、「KAS-01」は、その16SrRNA遺伝子が、配列番号3に記載の塩基配列と同一の塩基配列を含む。
本発明において、「配列番号3に記載の塩基配列と同一の塩基配列を含む」とは、好ましくは、配列番号3に記載の塩基配列と実質的に同一である塩基配列を含むか、又は、完全に同一である塩基配列を全て含むことを包含し、より好ましくは、配列番号3に記載の塩基配列と完全に同一である塩基配列を全て含むことを包含する。
「16SrRNA」とは、16S リボソームリボ核酸の略称である。
配列番号3に記載の塩基配列は、所定のプライマー対(配列番号1及び2)を用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による、「KAS-01」の遺伝子配列における増幅領域の配列に相当する。
本発明において、「配列番号3に記載の塩基配列と実質的に同一である塩基配列」とは、配列番号3に記載の塩基配列との差異が、好ましくは5塩基以下、より好ましくは3塩基以下、さらに好ましくは1塩基である塩基配列を包含する。
混合微生物に含まれる「KAS-01」の量(乾燥重量換算)は、試料の形態等に応じて異なるものの、混合微生物に対して、例えば、0.1質量%以上であり得る。
微生物が「KAS-01」であるかどうかは、PCRによって特定できる。
例えば、配列番号1及び2のプライマー対を用いて、対象微生物の16SrRNA遺伝子の所定領域を増幅し、該増幅領域の塩基配列について、配列番号3に記載の塩基配列との相同性を解析することによって特定できる。該相同性が、99.5%以上であれば、該微生物は「KAS-01」であると判断できる。
(4)混合微生物の培養
本発明の混合微生物の培養条件としては、アナモックス菌が生育及び増殖できる条件であれば特に限定されない。得られた培養物は、本発明の混合微生物として適宜利用できる。
本発明の混合微生物は、例えば、亜硝酸ナトリウム(NaNo)、硫酸アンモニウム((NHSO)、重炭酸カリウム(KHCO)、リン酸二水素カリウム(KHPO)、硫酸マグネシウム(MgSO・7HO)、及び塩化カルシウム(CaCl・2HO)等を含む液体培養培地中で培養できる。より具体的な培地組成としては、実施例に示したものが挙げられる。
なお、アナモックス菌は独立栄養性であるので、培地へ炭素源等を添加せずとも廃水処理を進行することができる。
本発明の混合微生物の培養培地は、アンモニア性窒素及び亜硝酸性窒素を含み、かつ、それらの比率(アンモニア性窒素:亜硝酸性窒素)が、1:1~1:1.5の範囲であることが好ましい。
また、培養培地は、曝気等によって、アンモニア酸化細菌の作用によってアンモニア性窒素の一部を亜硝酸性窒素に変換してから培養に供してもよい。
培養培地は、不活性ガスで酸素をパージしてから用いてもよい。
培養中、培養槽内に培養培地を上向流性に連続供給してもよい。
<混合微生物の用途>
本発明の混合微生物は、従来知られるアナモックス菌と同様に使用することで、廃水中の窒素除去に利用できる。
(1)廃水の種類
本発明において「廃水」とは、窒素を除去しようとする任意の処理対象を包含し、例えば、窒素(アンモニア態窒素、亜硝酸態窒素等)、塩、有機物等を含み得る。
廃水は、工場、農場、家庭等から排出された水であり得る。
廃水は、廃水処理(活性汚泥法処理、嫌気性処理)等を施されたものであってもよく、未処理の廃水であってもよい。
なお、アナモックス菌は独立栄養性であるので、廃水へ炭素源等を添加せずとも廃水処理を進行することができる。
本発明の混合微生物の処理対象である廃水は、効率的な窒素除去の観点から、アンモニア性窒素及び亜硝酸性窒素を含み、かつ、それらの比率(アンモニア性窒素:亜硝酸性窒素)が、1:1~1:1.5の範囲であることが好ましい。
また、廃水は、曝気等によって、アンモニア酸化細菌の作用によってアンモニア性窒素の一部を亜硝酸性窒素に変換してから、本発明の混合微生物による処理に供してもよい。
従来使用されてきたアナモックス菌は、主に、塩濃度が低い廃水の処理に供されてきた。
他方で、本発明者らは、このようなアナモックス菌が、塩濃度が高い廃水においては充分に窒素除去できない可能性があることを見出した。
しかし、本発明の混合微生物によれば、塩濃度が低い廃水だけではなく、塩濃度が高い廃水においても、良好に窒素除去することができることがわかった。
したがって、本発明の混合微生物によれば、幅広い塩濃度の廃水における窒素除去が可能となる。
本発明において「廃水における窒素除去が可能である」とは、窒素除去速度や窒素除去率が実用に耐えるほどに充分高いことや、菌の集積が実用に耐えるほどに早いことを包含する。
窒素除去速度や窒素除去率は、実施例に示した方法で特定できる。
本発明の混合微生物の処理対象である廃水の塩濃度の下限は、好ましくは0質量%以上(塩を全く含まない廃水を含む。)、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上である。
本発明の混合微生物の処理対象である廃水の塩濃度の上限は、好ましくは15質量%以下、より好ましくは9質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
本発明において、「廃水の塩濃度」とは、廃水中に含まれる任意の塩の総量(単位:質量%)を包含する。廃水に含まれ得る塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、塩化カルシウム等が挙げられる。
廃水中の塩濃度は、電気伝導度に基づき特定できる。
本発明の混合微生物の処理対象である廃水は、塩濃度が高い処分場浸出水、海水を含む廃水等を包含する。
このような廃水は、従来使用されてきたアナモックス菌によっては、充分に窒素除去できない可能性があるものである。
したがって、本発明は、アナモックス菌を用いた廃水処理技術の適用範囲の拡大を実現し得る点でも意義がある。
(2)廃水処理方法
本発明の混合微生物を用いた廃水処理方法としては、特に限定されず、アナモックス菌を用いた従来知られる方法を採用できる。
代表的な廃水処理方法として、混合微生物(アナモックス菌)を定着させた担体を配置した窒素除去槽を含む系が挙げられる。
窒素除去槽において、本発明の混合微生物と、廃水とを接触させることで、アナモックス菌による窒素除去が進行する。
窒素除去槽は、通常、廃水中アンモニアの亜硝酸酸化反応、及びアナモックス反応という2つの反応を実現できる構成が採用される。
このような構成として、2つの反応を別個の培養槽内で行う「二槽式」、及び同一の培養槽内で行う「一槽式」の各システムが知られる。
本発明の混合微生物は、これらのいずれのシステムにおいても適用できる。
混合微生物を定着させる担体としては、不織布、ひも等が挙げられる。
アナモックス菌を窒素除去槽内に定着させるための方法としては、特に限定されず、例えば、本発明の混合微生物を含む汚泥(アナモックス汚泥)を種汚泥として窒素除去槽に投入し、廃水や培地等を連続的に供給することにより、窒素除去槽にアナモックス菌を定着させることができる。
アナモックス汚泥の投入量は特に限定されず、窒素除去槽の容積1L当たり、浮遊物量(SS濃度)として、好ましくは10~1000mg、より好ましくは50~500mg、さらに好ましくは100~400mgである。
充分量のアナモックス汚泥を投入することで、窒素除去槽の定着を早め、早期(例えば、本発明の混合微生物の投入から1~4ヶ月)に処理系を立ち上げることができる。
廃水処理の条件は特に限定されないが、効率的な窒素除去の観点から、窒素除去率等を指標としてアナモックス菌の定着を確認した後に、本格的な運転を開始することが好ましい。
アナモックス菌は、嫌気性であるので、通常、窒素除去槽内は、密封された空気に触れにくい環境に維持される。
廃水処理における温度条件(例えば、廃水の温度)は、アナモックス菌が生育及び増殖できる条件であれば特に限定されず、例えば、5~40℃であってもよい。
本発明の混合微生物は、例えば、窒素負荷0.5~5.0kg/m/dayでの処理を実現し得る。
本発明の混合微生物の水理的滞留時間(HRT)は、窒素負荷によって異なるが、例えば、窒素負荷が500mg/Lの場合、HRTが2.4~24時間であり得る。
以下に、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
<試験1:混合微生物の取得>
以下の方法に基づき、アナモックス菌の集積培養を行い、アナモックス菌含有混合微生物を取得した。
(1)種汚泥の取得
塩分を含む環境(海洋等)から、以下の互いに異なる4種の試料を種汚泥として取得した。各試料の浮遊物量(SS濃度)は、1000mg/Lに調整した。
(試料KAS-01)水族館の濾過槽から採取した汚泥
(試料A)水族館の濾過槽から採取した汚泥
(試料B)海底から採泥器で採取した汚泥
(試料C)河川へ潜水したダイバーが採取した汚泥
(試料D)河川へ潜水したダイバーが採取した汚泥
(2)集積用リアクタ及び培養培地の準備
集積用リアクタ(窒素除去槽や培養槽に相当する。)を作製し、該リアクタに培養培地を供給しながら、各種汚泥の集積培養を行った。なお、本例で使用した集積用リアクタは、一槽式の処理システムに相当する。
集積用リアクタとして、直径25mmのひも状担体を充填した培養槽(反応部容積300mL)を作製した。この集積用リアクタを、25℃に温度制御した恒温器の中に設置した。
調製した培養培地の組成を表1~3に示す。
培養培地中の塩濃度は3質量%に調整した。
本例で使用した集積用リアクタの概要を図1に示す。
なお、図中、「P」はポンプを意味し、「pH」はpH計を意味する。
Figure 0007345079000001
Figure 0007345079000002
Figure 0007345079000003
(3)アナモックス菌の集積培養
集積用リアクタ内に、各試料(30mL)を投入し、培養培地を300mL/dayで供給しながら、アナモックス菌を馴致した。
ただし、培養状況等に応じて、培地供給量及び窒素濃度を適宜変更した。
集積用リアクタ中の溶存酸素を除去するために、培養中、常時窒素ガスでパージし、溶存酸素濃度を0.5mg/L以下に調整した。
また、培養中、集積用リアクタ内のpHは、1% NaOH水溶液により、7.7±0.1に調整した。
600日にわたって集積培養を行い、4種の種汚泥のそれぞれからアナモックス菌含有混合微生物を取得した。以下、得られた各アナモックス菌含有混合微生物は、それぞれの種汚泥の名称によって示す。
<試験2:混合微生物の窒素除去性能の評価>
上記試験1で得られた各混合微生物について、以下の方法に基づき窒素除去性能を評価した。
上記「試験1」と同様の集積用リアクタ及び培養培地を用いて培養を行い、各混合微生物の窒素除去性能を評価した。ただし、培地供給量及び窒素濃度は適宜調整し、流入窒素負荷を段階的に上昇させた。
培養期間中、集積用リアクタへ供給される培地の流入液、及び集積用リアクタからの流出液について、イオン交換クロマトグラフィーを用いて、各種塩(アンモニウム塩、亜硝酸塩、及び硝酸塩)の濃度を測定した。
次いで、該測定結果に基づき、窒素除去率及び窒素除去速度を以下の式に基づき算出した。その結果を図2及び3に示す。
窒素除去率(%)=(1-流出液の窒素濃度/流入液の窒素濃度)×100
窒素除去速度(kg-N/m/day)=流入液の窒素濃度×1日の流入量/リアクタ有効容積×窒素除去率/100
図2は、各混合微生物における窒素除去率を示す。図3は、各混合微生物における窒素除去速度を示す。図2及び3のいずれにおいても、「集積日数」とは、馴養開始からの経過日数を意味する。
「KAS-01」については、実験開始当初(集積日数=0日)では、流入窒素負荷が0.06kg-N/m/dayだったが、230日にわたって段階的に5.71kg-N/m/dayまで上昇させた。
図2に示されるとおり、「KAS-01」では、実験開始から81目にアナモックス反応による窒素除去が確認され、122日目以降は、流入窒素負荷上昇中であっても、窒素除去率が80%前後の水準で安定した。さらに、実験開始230日目には、最大窒素除去速度4.76kg-N/m/day、かつ、窒素除去率83.4%にまで達した。
他方で、その他の試料は、いずれも、「KAS-01」と比較して、窒素除去の効率が著しく低く、窒素除去が可能となるまでに200日以上要したうえ、窒素除去速度が低い水準のままだった。
以上の結果から、得られた各アナモックス菌含有混合微生物のうち、「KAS-01」が、顕著に良好な窒素除去特性を有することがわかった。
<試験3:混合微生物の遺伝子解析-1>
上記試験1で得られた混合微生物「KAS-01」について、以下の方法に基づき遺伝子解析を行った。
汚泥状の混合微生物「KAS-01」(500μL)を遠心分離(15,000rpm、5分間)し、ペレットを回収した。
得られたペレットに、「Lysis Solution F」(ニッポンジーン社製)を添加した後、「Shake Master Neo」(bms社製)を用いて、1,500rpmで2分間粉砕した。
粉砕したサンプルを、65℃で10分間静置した後、12,000×gで1分間遠心分離し、上清を分取した。
次いで、「MPure 12 システム」及び「MPure Bacterial DNA Extraction Kit」(いずれもMP Bio社製)を用いて、分取した上清からDNAを精製した。
得られたDNAについて、「16S Barcoding Kit」(Oxford Nanopore Technologies社製)及びプライマー(配列番号1及び2)を用いて、ライブラリーを作製した。
また、得られたDNAについて、「GridION」及び「R9.4 Flowcell」(いずれもOxford Nanopore Technologies社製)を用いてシーケンシングした。
次いで、該DNAについて、「Guppy」(Ver 4.0.11+f1071ce)を用いて、16SrRNA遺伝子の部分配列を取得した(配列番号3)。
Figure 0007345079000004
Figure 0007345079000005
<試験4:混合微生物の遺伝子解析-2>
上記試験3で取得した混合微生物「KAS-01」の遺伝子情報に基づき、他のアナモックス菌との相同性解析を行った。
相同性解析に基づき得られた系統樹を図4に示す。なお、図4中、「KA-01」及び「KA-02」は、いずれも特許第5943661号の実施例で得られたアナモックス菌である。
図4に示されるとおり、「KAS-01」は、「Candidatus Scalindua属」に属することがわかった。また、「KAS-01」と、その最も近縁にある「AB811946」及び「AB573103」とは、1~2塩基異なり、「KAS-01」は新規な菌であることを確認した。
<試験5:混合微生物に対する塩濃度の影響の評価>
上記試験1で得られた混合微生物のうち、「KAS-01」及び「A」について、以下の方法に基づき、塩濃度による影響を評価した。
バイアル瓶(容量120mL)に、表6に示す培地(80mL)を投入した。なお、表6中、「Trace Element S1」及び「Trace Element S2」は、それぞれ試験1(表2及び3)で使用したものと同一組成である。
培地中の塩濃度は、人工海水を用いて、最終塩濃度を0.5~9質量%の各段階に調整した。
バイアル瓶を密封後、アルゴンガスで5分間脱気した。
次いで、バイアル瓶内に、各混合微生物(20mL)を添加した。
各混合微生物を添加後、25℃で、4日間培養を行った。
培養直後、並びに、培養開始から1、2、3及び4日後の各時点でサンプル(10mL)を採取し、初期汚泥濃度の汚泥濃度、及び、イオン交換クロマトグラフィーを用いた各種塩(アンモニウム塩、亜硝酸塩、及び硝酸塩)の濃度を測定した。得られた測定結果に基づき、下記式により、単位汚泥量当たりの窒素除去速度を算出した。
なお、各バイアルで3反復実験を行った。その結果を図5に示す。
窒素除去速度(mg-N/mg cell/day)=(前日の窒素濃度-当日の窒素濃度)/乾燥菌体濃度の最大値
図5に示されるとおり、「KAS-01」は、幅広い塩濃度において良好な窒素除去性能を示した。
これに対し、「A」は、いずれの塩濃度においても、「KAS-01」と比較して著しく低い窒素除去性能しか示さなかった。
Figure 0007345079000006

Claims (3)

  1. 混合微生物であって、
    前記混合微生物が、アナモックス菌を少なくとも含み、
    前記アナモックス菌が、Candidatus Scalindua属のKAS-01である、
    混合微生物。
  2. 前記KAS-01の16SrRNA遺伝子が、配列番号3に記載の塩基配列と同一の塩基配列を含む、請求項1に記載の混合微生物。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の混合微生物と、塩濃度が1質量%以上である廃水と、を接触させる工程を含む、廃水処理方法。
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