以下、本発明に係る監視システム、その監視システムの実現に用いられる本発明に係る監視装置の実施の形態を、図を参照して説明する。なお、以下に示す変形例を含む実施の形態は一例であり、これらの実施の形態に本発明は限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る監視システムである報知システムの構成例を示す図である。この報知システム1は、壁2の間の通路aを通る人5の検出により情報提供を行うために施設に構築された監視システムである。本実施の形態に係る監視装置は、制御装置10として報知システム1に適用されている。
報知システム1では、図1に示すように、一方の壁2には、報知部12、及び投光器13が設置され、他方の壁2には、2つの受光器14a、14bが設置されている。投光器13は、電磁波、例えば赤外線を照射する光源である。2つの受光器14a、14bは、投光器13から照射された電磁波の受光用に配置されている。それにより、1つの投光器13、及び2つの受光器14a、14bは、人5の移動方向を特定するための光学センサである投受光部11を構成している。以降、受光器14aは「第1の受光器14a、」、受光器14bは「第2の受光器14b」とも表記する。特に限定する必要のない場合、「受光器14」と表記する。また、人5は、以降「検出対象者5」と表記する。また、電磁波は、以降「赤外線」と表記する。電磁波は、赤外線に限定されない。
本実施の形態では、図1に示すように、1つの投光器13から照射された赤外線を2つの受光器14に受光可能とさせている。これは、受光器14毎に投光器13を設置する場合と比較し、他の投光器13から照射された赤外線を受光しないようにする仕組みが不要となる、設置する投光器13の数が少なくなる、といった利点があるからである。
報知部12は、例えば音声を放音するスピーカを含む情報提供用の装置である。赤外線を遮る移動を行った検出対象者5への情報提供のために、投光器13の近くに設置されている。報知部12は、視覚的に情報提供を行えるものであっても良い。
図2は、本発明の実施の形態1に係る監視装置である制御装置の機能構成例を示す図である。この制御装置10は、図2に示すように、機能構成として、警報信号受信部101、状況判定部102、移動方向特定部103、及び制御部104を備えている。
警報信号受信部101は、外部装置から送信された警報信号を受信するための機能である。例えば外部装置との通信を可能にする通信装置である。警報信号受信部101により受信される警報信号は、例えば施設における緊急事態の発生、或いは緊急事態の収束を通知するメッセージである。緊急事態としては、例えば火災の発生、気象庁による洪水警報、或いは津波警報等の各種警報の発表時などが挙げられる。状況判定部102は、緊急事態が発生中か否かにより、施設の状況を判定する。ここでは、緊急事態が発生中の状況は「緊急状況」、それ以外の状況は「通常状況」と表記する。なお、状況は、災害の発生の有無、或いは災害を少なくとも警戒すべき期間か否かによる2つの状況に大別しなくとも良い。つまり状況は、3つ以上の状況に分けても良い。
なお、災害の発生の有無、或いは災害が発生する警報が有効となっている期間は、施設に配置したマイク(図示せず)により電気信号に変換した音に存在する警報音を検出し、状況判定を行うようにしても良い。ここで、警報音とは、施設内の非常ベルの放音、館内放送の音声などである。
洪水、及び津波では、人は高い場所に移動する必要がある。安全な場所が存在しない施設では、施設から移動する必要がある。多くの人は、このような知識を持っている。これに対し、火災は、その発生場所を考慮して避難する必要がある。しかし、大部分の人は、火災の発生場所が分からないか、例え分かったとしても、どのような経路で避難すれば良いかまでは分からない恐れがある。
このようなことから、火災のような施設の一部から発生する災害では、検出対象者5に対する適切な情報提供を行うことが特に求められる。それにより、ここでは、混乱を避ける意味もあり、便宜的に緊急事態にさせる災害として火災のみを想定することとする。警報信号には、緊急事態の種類を示す種類情報、及び発生か否かを示す状況情報の他に、検出対象者5の行動すべき内容を示す行動情報等も含まれると想定する。行動情報は、検出対象者5が移動すべき方向を示すことが可能なものである。
移動方向特定部103は、2つの受光器14a、14bがそれぞれ出力する検出信号を処理して、検出対象者5の移動方向を特定する機能である。この特定結果は、制御部104に出力される。
図4は、移動方向の特定方法を説明する図である。図4(a)は、検出対象者5が図1に示す矢印方向に移動した場合に、2つの受光器14a、14bがそれぞれ出力する検出信号の変化の例を示している。図4(b)は、検出対象者5が図1に示す矢印方向とは反対方向に移動した場合に、2つの受光器14a、14bがそれぞれ出力する検出信号の変化の例を示している。ここで図4を参照し、移動方向特定部103による検出対象者5の移動方向の特定方法について具体的に説明する。
ここでは、2つの受光器14a、14bは、検出対象者5の想定する移動方向、つまり図1に示す矢印方向と平行な方向上、比較的に短い間隔で配置されていることを前提としている。2つの受光器14a、14bが出力する検出信号は、投光器13から照射された赤外線を受光している場合にH(High)となり、その赤外線が遮られた場合にL(Low)となるとする。
検出対象者5が図1に示す矢印方向に移動した場合、図4(a)に示すように、第1の受光器14aの検出信号がHからLに変化した後、第2の受光器14bの検出信号がHからLに変化する。図4(a)中に表記の「Δt」は、第1の受光器14aの検出信号がHからLに変化してから第2の受光器14bの検出信号がHからLに変化するまでの時間差である。第2の受光器14bの検出信号がHからLに変化した後は、上記前提により、第1の受光器14a、及び第2の受光器14bが共にLの検出信号を出力する期間が続くことになる。その期間は、第1の受光器14aの検出信号がLからHに変化することで終了する。第1の受光器14aの検出信号がLからHに変化した後、第2の受光器14bの検出信号もLからHに変化する。第1の受光器14aの検出信号がHに変化してから第2の受光器14bの検出信号がHに変化するまでに時間差は、通常、時間差Δtか、或いはその時間差Δtに近い時間である。
一方、検出対象者5が図1に示す矢印方向とは反対方向に移動した場合、図4(b)に示すように、第2の受光器14bの検出信号がHから一時的にLに変化した後、第1の受光器14aの検出信号がHから一時的にLに変化する。図4(b)中に表記の「Δt」は、図4(a)と同様に、第2の受光器14bの検出信号がHからLに変化してから第1の受光器14aの検出信号がHからLに変化するまでの時間差である。第1の受光器14aの検出信号がHからLに変化した後は、上記前提により、第1の受光器14a、及び第2の受光器14bが共にLの検出信号を出力する期間が続くことになる。その期間は、第2の受光器14bの検出信号がLからHに変化することで終了する。第2の受光器14bの検出信号がLからHに変化した後、第1の受光器14aの検出信号もLからHに変化する。第2の受光器14bの検出信号がHに変化してから第2の受光器14bの検出信号がHに変化するまでに時間差は、通常、時間差Δtか、或いはその時間差Δtに近い時間である。
このようなことから、移動方向特定部103は、例えば第1の受光器14a、及び第2の受光器14bがそれぞれ出力する検出信号が共にHからLに変化した場合に、検出対象者5の移動方向を特定する。その移動方向は、第1の受光器14a、及び第2の受光器14bがそれぞれ出力する検出信号がHからLに変化したタイミングから特定される。図4(a)に示すように、第1の受光器14aの検出信号がHからLに変化した後、第2の受光器14bの検出信号がHからLに変化した場合、移動方向特定部103は、検出対象者5の移動方向が図1に示す矢印方向であると特定する。一方、図4(b)に示すように、第2の受光器14bの検出信号がHからLに変化した後、第1の受光器14aの検出信号がHからLに変化した場合、移動方向特定部103は、検出対象者5の移動方向が図1に示す矢印方向の反対方向であると特定する。
移動方向特定部103は、検出対象者5の移動方向を特定した場合、その特定結果を制御部104に通知する。制御部104は、移動方向特定部103からの移動方向の通知を契機に、状況判定部102が判定している状況に応じて、報知部12を用いた情報提供を行う。そのために、報知部12は、投光器13の近くに配置されている。この制御部104は、本実施の形態における報知制御部に相当する。
緊急状況時には、状況判定部102は、警報信号中の行動情報を制御部104に出力する。それにより、制御部104は、緊急状況時、特定された移動方向が、行動情報が示す移動すべき方向と一致するか否かにより、異なる情報を報知部12から報知させる。例えば移動方向が移動すべき方向と一致している場合、「避難方向は正しいです」「慌てずに避難してください」等のメッセージを報知部12から放音させる。反対に、移動方向が移動すべき方向と一致していない場合、つまり検出対象者5が移動すべき方向の反対方向に移動している場合、「避難方向が逆です」「避難方向が間違っています」「この先で火災が発生しています」等のメッセージを報知部12から放音させる。
通常状況時には、制御部104は、例えば移動方向に応じたメッセージを報知部12に放音させる。例えば移動方向に存在する場所、設備、テナント等を知らせるメッセージを報知部12に放音させる。投受光部11が商業施設の位置口付近に設置されていた場合、制御部104は、商業施設内に入る検出対象者5に対し、「ご来店、ありがとうございます」等のメッセージを報知部12に放音させても良い。商業施設から出る検出対象者5に対しては、「ご利用、ありがとうございます」等のメッセージを報知部12に放音させても良い。このように、制御部104は、状況、移動方向に応じて、提供すべき情報を選択して提供する。
利用時間帯が制限される施設の入口付近に投受光部11を設置させた場合、制御部104は、利用時間帯と現在時刻との間の関係に応じて、報知部12に放音させるメッセージを異ならせるようにしても良い。例えば利用終了時刻までの残り時間が設定時間以内か否かにより状況を分類し、放音させるメッセージを切り換えるようにしても良い。具体的には、残り時間が設定時間以内の状況では、「ご来店、ありがとうございます」等のメッセージに代えて、「まもなくご利用できなくなります」「お急ぎください」等のメッセージを報知部12に放音させるようにしても良い。このこともあり、状況は、施設の利用可能条件により時間帯で分類したものであっても良い。
施設によっては、時間帯によって居る人の人数が大きく変わる、人の多く居る場所が変化する、といった場合がある。例えば人が多い時間帯では、エレベータの利用は困難になると予想される。このことから、災害による分類に、時間帯による分類を更に組み合わせても良い。
このように、本実施の形態では、状況別に、移動方向に応じた情報提供をメッセージの放音により行うようにしている。そのため、状況別、及び移動方向別に、適切な情報提供を検出対象者5に対して個別に行うことができる。その結果、検出対象者5は、緊急状況時には居る場所に応じた適切な行動を容易、且つ確実に取れるようになる。通常状況時には、移動方向に応じた適切な情報提供を行うこともできる。このようなことから、検出対象者5が施設をより快適に、及びより安全に利用できるようにすることができる。
投光器13は、電源20から供給される電力により赤外線を照射する。電源20と投光器13との間には、スイッチ部21が配置されている。制御部104は、このスイッチ部21を介して、電源20から投光器13への電力供給を制御する。
図3は、本発明の実施の形態1に係る監視装置である制御装置のハードウェア構成例を示す図である。この制御装置10は、図3に示すように、処理部31、設定部32、表示部33を備えている。
処理部31は、各種データを処理する部分である。設定部32は、制御装置10への各種データ入力のための操作部である。各種設定、動作モードの切り換え、報知部12に放音させるメッセージの入力等は、設定部32への操作により行うことができる。この設定部32に設けられる操作子としては、ジャンパープラグ、トグルスイッチ、ロータリースイッチなどを含めても良い。
表示部33は、制御装置10の動作状態、設定内容等をオペレータに確認可能にする。この表示部33には、LED(発光ダイオード)、7セグメントLED、ランプ、または液晶表示器などを含めても良い。
処理部31は、図3に示すように、I/F(InterFace)部311、記憶部312、及びCPU(Central Processing Unit)部313を備えている。I/F部311は、各種周辺装置、及び外部装置との接続用の複数のコントローラを含むものである。投受光部11、報知部12、設定部32、及び表示部33は、全てI/F部311に接続されている。
2つの受光器14a、14bが出力する検出信号は、I/F部311によってサンプリングされ、検出信号の電圧値をデジタル値としてCPU部313に出力される。I/F部311は、設定されたサンプリング周期で検出信号のデジタル値をCPU部313に出力する。
CPU部313は、例えばCPU、及びワーク用のメモリを含むものである。そのCPUは、記憶部312に記憶されたアプリケーション・プログラムである監視プログラム3121をメモリに読み出して実行する。上述した状況判定部102、移動方向特定部103、及び制御部104は、この監視プログラム3121をCPUが実行することで実現される。この監視プログラム3121は、本実施の形態における監視プログラムに相当する。
記憶部312は、不揮発性の記憶装置である。例えばフラッシュメモリ、ハードディスク装置等の補助記憶装置である。この記憶部312は、媒体駆動装置、或いは外部装置を含むものであっても良い。外部装置は、ネットワークを介して通信可能なものであっても良い。監視プログラム3121は、媒体駆動装置、或いは外部装置がアクセス可能な記録媒体に格納させても良い。
図5は、監視処理の例を示すフローチャートである。この監視処理は、監視プログラム3121をCPU部313が実行することにより実現される処理である。データ受信により、受信したデータを処理するために起動される。それにより、監視処理は、投受光部11、つまり2つの受光器14a、14bが出力する検出信号の取り込み、或いは警報信号の受信により起動される。それにより、監視処理は、警報信号が受信されなくとも、検出信号のサンプリング周期で実行される。次に図5を参照し、この監視処理について詳細に説明する。処理を実行する主体としてはCPU部313を想定する。
先ず、ステップS11では、CPU部313は、警報信号が受信されたか否か判定する。警報信号を警報信号受信部101が受信した場合、ステップS11の判定はYESとなってステップS12に移行する。警報信号が受信されていない場合、ステップS11の判定はNOとなってステップS15に移行する。
ステップS12では、CPU部313は、受信した警報信号が警報の発生、つまり火災の発生を示しているか否か判定する。警報信号が火災の発生を示すものであった場合、ステップS12の判定はYESとなってステップS13に移行する。警報信号が火災の鎮火を示すものであった場合、ステップS12の判定はNOとなってステップS14に移行する。
ステップS13では、CPU部313は、緊急状況を設定する。その設定後はステップS15に移行する。一方、ステップS14では、CPU部313は、通常状況を設定する。その設定後もステップS15に移行する。
ステップS15では、CPU部313は、デジタルの検出信号を入力したか否か判定する。その検出信号がI/F部311から出力された場合、ステップS15の判定はYESとなってステップS16に移行する。その検出信号をI/F部311が出力していない場合、ステップS15の判定はNOとなり、ここで監視処理が終了する。
ステップS16では、CPU部313は、必要に応じて過去に入力した検出信号も参照し、検出対象者5の移動方向を特定するための解析を行う。続くステップS17では、CPU部313は、解析の結果、移動方向を特定できたか否か判定する。移動方向を特定できた場合、ステップS17の判定はYESとなってステップS18に移行する。移動方向を特定できなかった場合、ステップS17の判定はNOとなり、ここで監視処理が終了する。
ステップS16において、過去に入力した検出信号を参照するのは、各受光器14a、14bが出力する検出信号が共にLとなっている場合である。その場合、例えば、先ず、各受光器14a、14bが出力する検出信号が既に共にLとなっているか否か確認する。それら検出信号が既に共にLとなっていないことが確認できた場合、つまり何れか一方の検出信号がHからLに変化したことにより、検出信号が共にLとなったことが確認できた場合、更に過去に入力した検出信号を参照し、2つの受光器14a、14bのうちで最初に検出信号がHからLに変化した方を確認する。移動方向は、図4に示すように、2つの受光器14a、14bのうちで最初に検出信号がHからLに変化した方を確認することにより、特定することができる。それら検出信号が既に共にLとなっていることが確認できた場合、特定すべき移動方向は既に特定済みであることから、移動方向の特定は行われない。
ステップS18では、CPU部313は、緊急状況が設定されているか否か判定する。緊急状況が設定されている場合、つまり火災が発生しているような場合、ステップS18の判定はYESとなってステップS19に移行する。緊急状況が設定されていない場合、つまり通常状況が設定されている場合、ステップS18の判定はNOとなってステップS22に移行する。
ステップS19では、CPU部313は、移動方向が進入方向か否か判定する。特定された移動方向が進入方向と一致している場合、ステップS19の判定はYESとなってステップS20に移行する。それらの方向が一致しない場合、ステップS19の判定はNOとなってステップS21に移行する。なお、この進入方向は、例えば図1に示す矢印方向である。それにより、ここでは、その矢印方向に報知する対象となる場所、つまり設備、テナント等が存在すると想定している。
ステップS20では、CPU部313は、進入方向に移動する検出対象者5を進入者と見做してメッセージを放音する報知を行う。その報知後、監視処理が終了する。一方、ステップS21では、CPU部313は、進入方向の反対方向に移動する検出対象者5を退出者と見做してメッセージを放音する報知を行う。その報知後、監視処理が終了する。
このように、緊急状況時には、検出対象者5の移動方向に応じて、避難を適切に行うように支援するためのメッセージによる上記のような情報提供が個別に行われる。そのため、検出対象者5は、より適切な避難をより迅速に行えるようになる。
ステップS22では、CPU部313は、移動方向が進入方向か否か判定する。特定された移動方向が進入方向と一致している場合、ステップS22の判定はYESとなってステップS23に移行する。それらの方向が一致しない場合、ステップS22の判定はNOとなってステップS24に移行する。
ステップS23では、CPU部313は、進入方向に移動する検出対象者5を進入者と見做してメッセージを放音する報知を行う。その報知後、監視処理が終了する。一方、ステップS24では、CPU部313は、進入方向の反対方向に移動する検出対象者5を退出者と見做してメッセージを放音する報知を行う。その報知後、監視処理が終了する。
このように、通常状況時にも、検出対象者5の移動方向に応じて、上記のような異なるメッセージによる情報提供が個別に行われる。そのため、検出対象者5は、より快適に施設を利用することができる。
なお、本実施の形態では、投受光部11として、1つの投光器13、及び2つの受光器14a、14bを含むものを採用している。それにより、2つの受光器14a、14bは、同じ1つの投光器13に対応付けられ、その投光器13が照射する電磁波である赤外線の受光用となっている。しかし、投受光部11は、このようなものに限定されない。例えば投受光部11は、1つの受光器13に対応付けられた受光器14の数が3以上のものであっても良い。また、投受光部11は、1つの投光器13、及びその投光器13が照射する赤外線の受光用に対応付けられた1つの受光器14のみを含む組み合わせが複数、存在するものであっても良い。何れの投受光部11であっても、受光器14は最低限2つ含むものとする必要がある。
実施の形態2.
上記実施の形態1では、通路aを通行する検出対象者5を対象にした情報提供を想定している。これに対し、本実施の形態では、対象者以外の立ち入りを制限するエリアを対象エリアとして想定し、検出対象者5への情報提供を行うようにしたものである。本実施の形態では、上記実施の形態1と共通部分が多い。このことから、上記実施の形態1と異なる部分に着目して説明する。
図6は、本発明の実施の形態2に係る監視システムの構成例を示す図である。図7は、本発明の実施の形態2に係る監視システムで入退出を管理するエリアを説明する図である。
この監視システムは、図6、及び図7に示すように、対象者以外の立ち入りを制限する対象エリアである、3つのドア71が設けられた区画70への検出対象者5の進入、及び退出を管理するために構築されたものである。それにより、区画70への入退出は、通路a~cのうちの何れかを用いて行えるようになっている。
上記実施の形態1における報知システム1は、ドア71毎に設けられている。区画70に入退出する検出対象者5を管理するために、各報知システム1には、検出対象者5が携帯する記録媒体65に記録された識別情報を非接触で読み出すためのカードリーダ61が追加されている。各ドア71には、部外者がドア71を開けられないようにする施錠装置62が設けられている。以降、識別情報は「ID」(IDentifier)、記録媒体65は「IDカード65」と表記する。このカードリーダ61は、本実施の形態における情報読取装置に相当する。
IDカード65の種類は、特に限定されない。IDカード65は、磁気カードであっても良く、非接触で自律的にIDを送信可能なもの、つまりかざさなくともIDを送信可能なものであっても良い。このことから、カードリーダ61の種類も特に限定されない。カードリーダ61の代わりに、生体認証用の装置を採用しても良い。
各制御装置10a~10cは、カードリーダ61がIDを読み取った場合、読み取られたIDを管理装置60に送信して認証を要求する。それにより、各制御装置10a~10cは、認証された場合、施錠装置62のロックを一時的に解除させ、検出対象者5の区画70内への進入を可能にさせる。以降、特に限定する必要のないような場合、制御装置10a~10cは、「制御装置10」と表記する。本実施の形態において、各制御装置10、及び管理装置60は共に、監視装置に相当する。
図8は、管理装置の機能構成例を示す図である。図9は、管理装置のハードウェア構成例を示す図である。
管理装置60は、図8に示すように、機能構成として、通信部81、警報信号受信部82、状況判定部83、及び制御部84を備える。
通信部81は、図9に示すように、各制御装置10に搭載された通信部95との間で通信を行うためのものである。上記認証要求は、各制御装置10の通信部95から送信され、通信部81により受信される。
警報信号受信部82は、上記警報信号を受信するための通信装置である。状況判定部83は、警報信号受信部82が受信する警報信号により、状況を判定し設定する機能構成である。
制御部84は、各制御装置10を管理するための機能構成である。図8に示すように、機能構成として、認証部841、入退出管理部842、及び報知制御部843を備えている。この制御部84、及び各制御装置10の制御部104は共に、本実施の形態における報知制御部に相当する。また、制御部84、より具体的には、入退出管理部842は、人数計数部に相当する。
認証部841は、制御装置10からの認証要求を処理し、その認証要求に含まれるIDが有効か否かを確認する認証を行う機能である。入退出管理部842は、区画70での検出対象者5の入退出を監視して、区画70内に居る検出対象者5の人数を確認可能にする。報知制御部843は、認証要求による認証結果に応じて、報知する情報を制御するための機能である。
各制御装置10は、図1に示す矢印方向に移動する検出対象者5を区画70内に進入する進入者と見做し、その反対方向に移動する検出対象者5を区画70内から退出する退出者と見做し、管理装置60に通知する。そのため、図5に示すフローチャートにおけるステップS20、S21、S23、S24では、管理装置60に対して、移動方向の特定結果の送信が併せて行われる。
管理装置60には、警報信号受信部82が搭載されている。そのため、各制御装置10での状況設定は、管理装置60からの通知により行われる。制御部84は、そのための制御も行う。
図10は、管理情報の構成例を説明する図である。この管理情報は、入退出管理部842によって作成、或いは更新される情報である。移動方向の特定結果が送信される度に、更新される。各行は、移動方向の特定結果、つまり区画70における検出対象者5の入退出を示す入退出情報である。それにより、管理情報は、入退出情報の集合体となっている。
各入退出情報は、図10に示すように、受信時刻、通路番号、移動方向、入室人数の各情報を有する。受信時刻は、例えば制御装置10が特定結果を送信した時刻である。通路番号は、検出対象者5が入退出のために移動した通路を示す情報である。移動方向は、検出対象者5の移動方向が区画70に進入する方向、及びその区画70から退出する方向のうちの何れかを示す情報である。入室人数は、区画70内に居ると推定される検出対象者5の人数を示す情報である。本実施の形態では、このような管理情報を保存することにより、区画70内の人数を情報として提供可能にしている。
上記入退出情報において、入室人数以外の情報は、各制御装置10から送信可能である。このことから、以降、移動方向の特定により各制御装置10から送信される情報も「入退出情報」と表記する。
緊急状況時には、通常、区画70内に居る検出対象者5を避難させる必要がある。このことから、本実施の形態では、設定された人を救助活動者と見做し、区画70内に居る人の人数を情報として提供するようにしている。報知制御部843は、救助活動者に限定し、人数を情報として提供する。この人数を情報提供することにより、救助活動者にとっては、区画70内に居る人を確認する必要があるか否かを判断できるようになる。そのため、救助活動者にとっての負担が軽減され、救助活動者はより効率的な行動をとれるようになる。なお、認証要求の対象者が救助活動者か否かの判定は、認証用の個人データに、救助活動者か否かを示すデータを含めることで可能になる。区画70内に居る人は、通路a~cのうちの何れかを通って入退出を行うことから、全て検出対象者5である。
この管理装置60は、ハードウェア構成として、図9に示すように、通信部81、警報信号受信部82に加え、処理部90、設定部91、表示部92を備えている。処理部90は、状況判定部83、及び制御部84を実現させるものである。CPU部901、時計部902、I/F部903、及び記憶部904を備えている。
時計部902は、現在時刻を含む各種時間の計時を行うものである。I/F部903は、設定部91、及び表示部92に接続されている。それにより、設定部91を介した各種設定を含む各種データ入力が可能となっている。また、表示部92により、オペレータは、管理装置60の状態を確認することができる。
CPU部901は、例えばCPU、及びワーク用のメモリを含むものである。そのCPUは、記憶部904に記憶されたアプリケーション・プログラムである管理プログラム9041をメモリに読み出して実行する。上述した状況判定部83、及び制御部84は、この管理プログラム9041をCPUが実行することで実現される。この管理プログラム9041は、上記監視プログラム3121と共に、本実施の形態における監視プログラムに相当する。
記憶部904は、不揮発性の記憶装置である。例えばフラッシュメモリ、ハードディスク装置等の補助記憶装置である。この記憶部904は、媒体駆動装置、或いは外部装置を含むものであっても良い。外部装置は、ネットワークを介して通信可能なものであっても良い。管理プログラム9041は、媒体駆動装置、或いは外部装置がアクセス可能な記録媒体に格納させても良い。
図11は、本発明の実施の形態2における制御装置の機能構成例を示す図である。図12は、本発明の実施の形態2における制御装置のハードウェア構成例を示す図である。
上記のように、各制御装置10は、管理装置60からの通知により、状況設定を行う。そのため、図11に示すように、各制御装置10には警報信号受信部101は搭載されない。その警報信号受信部101の代わりとして、通信部95が搭載されている。また、制御部104は、施錠装置62の制御を行うようになっている。そのために、I/F部311には、図12に示すように、施錠装置62が接続されている。カードリーダ61も、I/F部311に接続されている。それにより、CPU部313は、I/F部311を介して、施錠装置62を制御し、I/F部311を介して、カードリーダ61がIDカード65から読み取ったIDを入力する。
図13は、管理処理の例を示すフローチャートである。この管理処理は、管理プログラム9041をCPU部901が実行することにより実現される処理である。上記監視処理と同様に、データ受信により、受信したデータを処理するために起動される。それにより、管理処理は、何れか制御装置10からの認証要求、若しくは入退出情報、或いは警報信号の受信により起動される。次に図13を参照し、この管理処理について詳細に説明する。処理を実行する主体としてはCPU部901を想定する。
先ず、ステップS31では、CPU部901は、警報信号が受信されたか否か判定する。警報信号を警報信号受信部82が受信した場合、ステップS31の判定はYESとなってステップS32に移行する。警報信号が受信されていない場合、ステップS31の判定はNOとなってステップS35に移行する。
ステップS32では、CPU部901は、受信した警報信号が警報の発生、つまり火災の発生を示しているか否か判定する。警報信号が火災の発生を示すものであった場合、ステップS32の判定はYESとなってステップS33に移行する。警報信号が火災の鎮火を示すものであった場合、ステップS32の判定はNOとなってステップS34に移行する。
ステップS33では、CPU部901は、緊急状況を設定すると共に、緊急状況の設定を各制御装置10に指示する。警報信号に含まれる行動情報は、各制御装置10に送信する。そのような指示を行った後はステップS35に移行する。一方、ステップS34では、CPU部901は、通常状況を設定し、通常情報の設定を各制御装置10に指示する。そのような指示を行った後もステップS35に移行する。
ステップS35では、CPU部901は、入退出情報を受信したか否か判定する。何れかの制御装置10が入退出情報を送信した場合、ステップS35の判定はYESとなってステップS36に移行する。何れの制御装置10も入退出情報を送信していない場合、ステップS35の判定はNOとなってステップS37に移行する。
ステップS36では、CPU部901は、受信した入退出情報を用いて、管理情報を更新する。入室人数は、受信した入退出情報、及び最後に保存した入退出情報の内容から求めた値とする。そのようにして管理情報を更新した後、ステップS37に移行する。
ステップS37では、CPU部901は、認証要求を受信したか否か判定する。何れかの制御装置10が認証要求を送信した場合、ステップS37の判定はYESとなってステップS38に移行する。何れの制御装置10も認証要求を送信していない場合、ステップS37の判定はNOとなり、ここで管理処理が終了する。
ステップS38では、CPU901は、認証要求に含まれるIDが有効か否か確認する認証を行う。続くステップS39では、CPU部901は、緊急状況時か否か判定する。緊急状況が設定されている場合、ステップS39の判定はYESとなってステップS40に移行する。緊急状況が設定されていない場合、つまり通常状況が設定されている場合、ステップS40の判定はNOとなってステップS42に移行する。
ステップS40では、CPU部901は、認証の結果、認証要求の対象者が救助活動者と確認されたか否か判定する。対象者が救助活動者であることが確認できた場合、ステップS40の判定はYESとなってステップS41に移行する。対象者が救助活動者であると確認できなかった場合、ステップS40の判定はNOとなってステップS42に移行する。
ステップS41では、CPU部901は、管理情報を参照して、室内人数を確認する。続くステップS42では、CPU部901は、確認した人数を認証結果と共に、認証要求を受信した制御装置10に送信する。その後、管理処理が終了する。
対象者の認証が行えなかった場合、その旨が認証結果として制御装置10に送信される。認証が行えたとしても、救助活動者と確認できなかった場合、認証結果のみが制御装置10に送信される。それにより、救助活動者にのみ、人数が確認できるようになっている。
図14は、本発明の実施の形態2における監視処理の例を示すフローチャートである。本実施の形態では、図5に示すフローチャートに続けて、言い換えればステップS20、S21、S23、或いはS24の処理の実行後、図14に示すフローチャートの部分が実行される。それにより、図14は、上記実施の形態1からの追加分のみを示すものとなっている。ここでは、その追加分に着目して説明を行うこととする。処理を実行する主体は、CPU部313とする。なお、上記のように、ステップS20、S21、S23、及びS24の処理では、入退出情報の管理装置60への送信が併せて行われるようになっている。
先ず、ステップS51では、CPU部313は、IDが読み取られたか否か判定する。カードリーダ61がIDカード65に記録されているIDを読み取った場合、そのIDはI/F部311を介してCPU部313に入力される。その結果、ステップS51の判定はYESとなってステップS52に移行する。カードリーダ61がIDを読み取っていない場合、ステップS51の判定はNOとなり、ここで監視処理が終了する。
ステップS52では、CPU部313は、読み取られたIDによる認証要求を管理装置60に送信する。続くステップS53では、CPU部313は、管理装置60から認証結果を受信するのを待って、認証されたか否か判定する。認証された場合、ステップS53の判定はYESとなってステップS54に移行する。認証されなかった場合、ステップS53の判定はNOとなってステップS58に移行する。
ステップS58では、CPU部313は、カードリーダ61の放音部から、認証できなかった旨を示すための警告音を放音させる。その後、監視処理が終了する。
ステップS54では、CPU部313は、緊急状況時か否か判定する。緊急状況の設定時であった場合、ステップS54の判定はYESとなってステップS55に移行する。緊急状況の非設定時であった場合、つまり通常状況の設定時であった場合、ステップS54の判定はNOとなってステップS57に移行する
ステップS55では、CPU部313は、認証された検出対象者5が救助対象者か否か判定する。上記のように、認証結果と共に人数を管理装置60から受信した場合、ステップS55の判定はYESとなってステップS56に移行する。認証結果のみを管理装置60から受信した場合、ステップS55の判定はNOとなってステップS57に移行する。
ステップS56では、CPU部313は、認証結果と共に送信された人数を知らせるメッセージを報知部12から放音させる。続くステップS57では、CPU部313は、施錠装置62にロックを解除させる。その後、監視処理が終了する。
このように、区画70内に居る人の人数は、救助活動者のみに自動的に伝達される。それにより、救助活動者以外の人にとっては必ずしも適切でないと思われる情報提供は行わないようにしている。
なお、本実施の形態では、投受光部11による検出対象者5の検出結果のみを用いて区画70内に居る人の人数を計数するようにしているが、別のセンサを更に組み合わせても良い。例えば区画70内を撮影する撮像装置による撮影結果を用いて、区画70内の人の有無を確認するようにしても良い。このような別のセンサを組み合わせることにより、救助活動者に対し、より正確な情報提供を行えるようになる。
また、本実施の形態では、通路毎に制御装置10を用意し、各制御装置10を制御するために管理装置60を用意している。しかし、全ての制御装置10、及び管理装置60を1台の情報処理装置により実現させても良い。このこともあり、本実施の形態における監視装置を実現させる情報処理装置の台数は、特に限定されない。監視装置に入退出を管理させる区画の数、例えば部屋数も1つに限定されない。