JP7342634B2 - 樹脂組成物成形体および電力ケーブル - Google Patents
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Description
プロピレンを含み、
融点は、158℃以上168℃以下であり、
融解熱量は、75J/g以上110J/g以下である
樹脂組成物が提供される。
樹脂組成物からなり、対象物に対して3mm以上の厚さで被覆される成形体であって、
プロピレンを含み、
前記成形体の融点は、158℃以上168℃以下であり、
前記成形体の融解熱量は、75J/g以上110J/g以下であり、
表面から前記対象物に向けた位置が0.5mmである外側試料と、前記対象物から前記表面に向けた位置が0.5mmである内側試料と、を採取したときに、
前記内側試料の融点から前記外側試料の融点を引いた差の絶対値は、8℃以下であり、
前記内側試料の融解熱量から前記外側試料の融解熱量を引いた差の絶対値は、10J/g以下である
樹脂組成物成形体が提供される。
導体と、
前記導体の外周に3mm以上の厚さで被覆された絶縁層と、
を備え、
前記絶縁層は、プロピレンを含み、
前記絶縁層の融点は、158℃以上168℃以下であり、
前記絶縁層の融解熱量は、75J/g以上110J/g以下であり、
前記絶縁層の表面から前記導体に向けた位置が0.5mmである外側試料と、前記導体から前記表面に向けた位置が0.5mmである内側試料と、を採取したときに、
前記内側試料の融点から前記外側試料の融点を引いた差の絶対値は、8℃以下であり、
前記内側試料の融解熱量から前記外側試料の融解熱量を引いた差の絶対値は、10J/g以下である
電力ケーブルが提供される。
<発明者等の得た知見>
まず、発明者等の得た知見について概略を説明する。
次に、本開示の実施態様を列記して説明する。
プロピレンを含み、
融点は、158℃以上168℃以下であり、
融解熱量は、75J/g以上110J/g以下である。
この構成によれば、ケーブル諸特性を確保することができる。
樹脂組成物からなり、対象物に対して3mm以上の厚さで被覆される成形体であって、
プロピレンを含み、
前記成形体の融点は、158℃以上168℃以下であり、
前記成形体の融解熱量は、75J/g以上110J/g以下であり、
表面から前記対象物に向けた位置が0.5mmである外側試料と、前記対象物から前記表面に向けた位置が0.5mmである内側試料と、を採取したときに、
前記内側試料の融点から前記外側試料の融点を引いた差の絶対値は、8℃以下であり、
前記内側試料の融解熱量から前記外側試料の融解熱量を引いた差の絶対値は、10J/g以下である。
この構成によれば、ケーブル諸特性を確保することができる。
架橋剤の残渣は、300ppm未満である。
この構成によれば、樹脂組成物成形体のリサイクル性を向上させることができる。
常温における交流破壊電界は、60kV/mm以上である。
この構成によれば、樹脂組成物成形体を電力ケーブルの絶縁層として好適に使用することができる。
前記外側試料および前記内側試料のそれぞれは、示差走査熱量測定を行ったDSC曲線において、100℃以上に単一の融解ピークのみを有する。
この構成によれば、樹脂成分の結晶量を容易に制御することができる。
導体と、
前記導体の外周に3mm以上の厚さで被覆された絶縁層と、
を備え、
前記絶縁層は、プロピレンを含み、
前記絶縁層の融点は、158℃以上168℃以下であり、
前記絶縁層の融解熱量は、75J/g以上110J/g以下であり、
前記絶縁層の表面から前記導体に向けた位置が0.5mmである外側試料と、前記導体から前記表面に向けた位置が0.5mmである内側試料と、を採取したときに、
前記内側試料の融点から前記外側試料の融点を引いた差の絶対値は、8℃以下であり、
前記内側試料の融解熱量から前記外側試料の融解熱量を引いた差の絶対値は、10J/g以下である。
この構成によれば、ケーブル諸特性を確保することができる。
次に、本開示の一実施形態を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
(1)樹脂組成物成形体
本実施形態の樹脂組成物成形体(以下、単に「成形体」ともいう)は、例えば、樹脂組成物からなり、対象物に対して3mm以上の厚さで被覆されたものである。具体的には、樹脂組成物成形体は、例えば、後述する電力ケーブル10の絶縁層130を構成している。樹脂組成物成形体の対象物は、例えば、長尺な線状の導体110である。樹脂組成物成形体は、例えば、導体110の外周を覆うように押出成形されている。すなわち、樹脂組成物成形体は、例えば、対象物の長手方向に同一の形状を有している。また、対象物の長手方向の樹脂組成物成形体の長さは、例えば、30cm以上、好ましくは50cm以上である。
ここで、本実施形態の樹脂組成物成形体を構成するモノマー単位の組成を核磁気共鳴(NMR:Nuclear Magnetic Resonance)装置により分析したとしても、プロピレン単位およびエチレン単位などのモノマー単位が、プロピレン系樹脂に由来しているのか、或いは、低結晶性樹脂に由来しているのかを正確に把握することは困難である。
成形体の融点は、158℃以上168℃以下であり、
成形体の融解熱量は、75J/g以上110J/g以下であり、
表面から対象物に向けた位置が0.5mmである外側試料と、対象物から表面に向けた位置が0.5mmである内側試料と、を採取したときに、
内側試料の融点から外側試料の融点を引いた差の絶対値は、8℃以下であり、
内側試料の融解熱量から外側試料の融解熱量を引いた差の絶対値は、10J/g以下である。
本実施形態の樹脂成分を構成するプロピレン系樹脂は、上述のように、プロピレンのみを含んでいる。すなわち、プロピレン系樹脂は、例えば、プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)からなっている。
本実施形態の樹脂成分を構成する低結晶性樹脂(非晶性樹脂)は、樹脂組成物成形体に柔軟性を付与する樹脂材料である。例えば、低結晶性樹脂は融点を有しないか、或いは、低結晶性樹脂の融点は100℃未満である。また、低結晶性樹脂の融解熱量は、例えば、50J/g以下、好ましくは30J/g以下である。
樹脂組成物成形体は、上述の樹脂成分のほかに、例えば、酸化防止剤、銅害防止剤、滑剤および着色剤を含んでいてもよい。
次に、図1を用い、本実施形態の電力ケーブルについて説明する。図1は、本実施形態に係る電力ケーブルの軸方向に直交する断面図である。
導体110は、例えば、純銅、銅合金、アルミニウム、またはアルミニウム合金等を含む複数の導体芯線(導電芯線)を撚り合わせることにより構成されている。
内部半導電層120は、導体110の外周を覆うように設けられている。また、内部半導電層120は、半導電性を有し、導体110の表面側における電界集中を抑制するよう構成されている。内部半導電層120は、例えば、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-メチルアクリレート共重合体、エチレン-ブチルアクリレート共重合体、およびエチレン-酢酸ビニル共重合体等のエチレン系共重合体、オレフィン系エラストマ、上述の低結晶性樹脂などのうち少なくともいずれかと、導電性のカーボンブラックと、を含んでいる。
絶縁層130は、内部半導電層120の外周を覆うように設けられ、上述した樹脂組成物成形体として構成されている。絶縁層130は、例えば、上述のように、樹脂組成物により押出成形されている。
外部半導電層140は、絶縁層130の外周を覆うように設けられている。また、外部半導電層140は、半導電性を有し、絶縁層130と遮蔽層150との間における電界集中を抑制するよう構成されている。外部半導電層140は、例えば、内部半導電層120と同様の材料により構成されている。
遮蔽層150は、外部半導電層140の外周を覆うように設けられている。遮蔽層150は、例えば、銅テープを巻回することにより構成されるか、或いは、複数の軟銅線等を巻回したワイヤシールドとして構成されている。なお、遮蔽層150の内側や外側に、ゴム引き布等を素材としたテープが巻回されていてもよい。
シース160は、遮蔽層150の外周を覆うように設けられている。シース160は、例えば、ポリ塩化ビニルまたはポリエチレンにより構成されている。
電力ケーブル10における具体的な各寸法としては、特に限定されるものではないが、例えば、導体110の直径は5mm以上60mm以下であり、内部半導電層120の厚さは0.5mm以上3mm以下であり、絶縁層130の厚さは3mm以上35mm以下であり、外部半導電層140の厚さは0.5mm以上3mm以下であり、遮蔽層150の厚さは0.1mm以上5mm以下であり、シース160の厚さは1mm以上である。本実施形態の電力ケーブル10に適用される交流電圧は、例えば20kV以上である。
本実施形態では、絶縁層130(樹脂組成物成形体)の融点および融解熱量をそれぞれ所定の範囲内としつつ、絶縁層130の厚さ方向に対する融点および融解熱量のそれぞれのばらつきを小さくすることで、以下のケーブル諸特性が確保されている。
本実施形態では、常温(例えば27℃)における絶縁層130の交流破壊電界強度は、例えば、60kV/mm以上である。より具体的には、常温において、0.2mm厚の内側試料に対して商用周波数(例えば60Hz)の交流電圧を10kVで10分課電した後、1kVごとに昇圧し10分課電することを繰り返す条件下で印加したときの、交流破壊電界は、60kV/mm以上である。
本実施形態では、例えば、JISK7216に準拠して、内側試料を-25℃で衝撃具により衝撃を与えた(殴打した)ときに割れを生じない。
本実施形態では、内側試料の引張弾性率は、例えば、1200MPa以下である。なお、「引張弾性率」とは、IT計測制御社製のDVA-200を用い、引張モードにて10℃/分の昇温速度で昇温する測定を、-50℃から200℃まで実施し、30℃で記録した貯蔵弾性率のことを意味する。
本実施形態では、絶縁層130としての樹脂組成物成形体を、常温(27℃)の1規定NaCl水溶液中に浸漬した状態で、樹脂組成物成形体に対して商用周波数(例えば60Hz)4kV/mmの交流電界を1000時間印加したときに、樹脂組成物成形体中に発生する水トリーの最大長さは、例えば、150μm未満である。これにより、水トリーに起因した絶縁層130の絶縁破壊を安定的に抑制することができる。
次に、本実施形態の電力ケーブルの製造方法について説明する。以下、ステップを「S」と略す。
まず、プロピレンを含む樹脂組成物を準備する。
一方で、複数の導体芯線を撚り合わせることにより形成された導体110を準備する。
樹脂組成物準備工程S100および導体準備工程S200が完了したら、上述の樹脂組成物を用い、導体110の外周を3mm以上の厚さで被覆するように絶縁層130を形成する。
ケーブルコアを形成したら、外部半導電層140の外側に、例えば銅テープを巻回することにより遮蔽層150を形成する。
遮蔽層150を形成したら、押出機に塩化ビニルを投入して押出すことにより、遮蔽層150の外周に、シース160を形成する。
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
以上、本開示の実施形態について具体的に説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
まず、所定の樹脂組成物をバンバリーミキサによって混合し、押出機によりペレット状に造粒した。次に、断面積が100mm2の導体を準備した。導体を準備したら、エチレン-エチルアクリレート共重合体を含む内部半導電層用樹脂組成物と、上述の樹脂組成物と、内部半導電層用樹脂組成物と同様の材料からなる外部半導電層樹脂組成物と、をそれぞれ押出機A~Cに投入した。押出機A~Cからのそれぞれの押出物をコモンヘッドに導き、導体の外周に、内側から外側に向けて、内部半導電層、絶縁層および外部半導電層を同時に押出した。このとき、内部半導電層、絶縁層および外部半導電層の厚さを、それぞれ、0.5mm、3.5mm、0.5mmとした。押出後、押出材を水冷した。その結果、中心から外周に向けて、導体、内部半導電層、絶縁層および外部半導電層を有する、試料A1~A5、B1、B3~B6のそれぞれの電力ケーブルを製造した。なお、試料B2については、樹脂組成物を導体に被覆させず、樹脂組成物成形体をプレス成形した。
(成形方法)
押出成形
押出温度:185℃
絶縁層の厚さ:3.5mm
(プロピレン系樹脂1)
アイソタクチックプロピレン単独重合体(ホモPP)
メルトフローレート:0.5g/10min
密度:0.9g/ml
(低結晶性樹脂)
含有量:7~20質量部
材料:
・エチレンプロピレンゴム(EPR)
エチレン含有量:52質量%
ムーニー粘度ML(1+4)100℃:40
・超低密度ポリエチレン(表記:VLDPE1)
エチレンおよび1-ブテンの共重合体
1-ブテン含有量:40質量%
融点:95℃
密度:0.88g/ml
ショアA硬度:66
・超低密度ポリエチレン(表記:VLDPE2)
エチレンおよび1-オクテンの共重合体
1-オクテン含有量:10質量%
融点:55℃
密度:0.87g/ml
ショアA硬度:70
絶縁層の厚さが1mmである点と、低結晶性樹脂の含有量が25質量部である点を除いて、試料A1と同様に作製した。
(成形方法)
プレス成形
180℃で2分の予熱と180℃で1分の加圧を行い、その後水冷した。
絶縁層の厚さ:3.5mm
(組成)
低結晶性樹脂の含有量が25質量部である点を除いて、試料A1と同様とした。
低結晶性樹脂の含有量がそれぞれ25、5、0質量部である点を除いて、試料A1と同様に作製した。
プロピレン系樹脂として以下の材料を用いた点を除いて、試料A3と同様に作製した。
(プロピレン系樹脂2)
シンジオタクチックプロピレン単独重合体(ホモPP)
融点145℃
密度:0.9g/ml
(試料採取)
試料A1~A5、B1、B3~B6のそれぞれの電力ケーブルの絶縁層を桂剥きし、絶縁層の表面から導体に向けた位置が0.5mmである外側試料と、導体から絶縁層の表面に向けた位置が0.5mmである内側試料と、を採取した。外側試料および内側試料のそれぞれの厚さは、0.5mmとした。なお、試料B1については、外側試料のみを採取した。また、試料B2については、一方の面を表面とし他方の面を導体側の面と想定して、外側試料と内側試料とを採取した。後述の水トリー耐性の評価については、別途、シートを作製した。
外側試料および内側試料のDSC測定を行った。DSC測定は、JIS-K-7121(1987年)に準拠して行った。具体的には、DSC装置としては、パーキンエルマー社製DSC8500(入力補償型)を用いた。基準試料は例えばα-アルミナとした。試料の質量は、8~10mgとした。DSC装置において、室温(27℃)から220℃まで10℃/分で昇温させた。これにより、温度に対する、単位時間当たりの吸熱量(熱流)をプロットすることで、DSC曲線を得た。
融点:158℃以上168℃以下
融解熱量:75J/g以上110J/g以下
内側試料の融点から外側試料の融点を引いた差の絶対値(融点の差):8℃以下
内側試料の融解熱量から外側試料の融解熱量を引いた差の絶対値(融解熱量の差):10J/g以下
交流破壊試験のため、0.5mm厚の内側試料を0.2mm厚に切り出した。その後、常温(27℃)において、0.2mm厚の内側試料に対して商用周波数(例えば60Hz)の交流電圧を10kVで10分課電した後、1kVごとに昇圧し10分課電することを繰り返す条件下で印加した。内側試料が絶縁破壊したときの電界強度を測定した。その結果、交流破壊強度が60kV/mm以上である場合を、良好として評価した。
JISK7216に準拠して、内側試料を-25℃で衝撃具により衝撃を与えた(殴打した)。このときに割れの有無を目視で確認した。その結果、割れが無かった場合を「A(良好)」とし、割れが有った場合を「B(不良)」とした。
IT計測制御社製のDVA-200を用い、引張モードにて10℃/分の昇温速度で昇温する測定を、-50℃から200℃まで実施し、30℃で貯蔵弾性率を記録した。その結果、引張弾性率が1200MPa以下である場合を、良好として評価した。
内側試料を500mmの直径で折り曲げ、内側試料の白化を目視で確認した。その結果、白化していなかった場合を「A(良好)」とし、白化していた場合を「B(不良)」とした。
絶縁層を桂剥きし、1mmの厚さを有するシートを2枚作製した。シートを作製したら、所定の半導電シートを2枚のシートで挟み、積層シートを形成した。積層シートを形成したら、半導電シートに対して配線を形成した。
以下の表1を用い、各試料の評価を行った結果を説明する。
表1に示すように、1mm厚の絶縁層を押出成形した試料B1では、低結晶性樹脂の含有量が22質量部超であったが、外側試料の融点および外側試料の融解熱量がそれぞれ規定範囲内であった。また、3.5mm厚の樹脂組成物成形体をプレス成形した試料B2においても、低結晶性樹脂の含有量が22質量部超であったが、融点、融解熱量、融点の差および融解熱量の差がそれぞれ規定範囲内であった。これらの結果、試料B1およびB2では、ケーブル諸特性の全てが良好であった。
3.5mm厚の絶縁層を押出成形し、低結晶性樹脂の含有量を22質量部超とした試料B3では、内側試料の融解熱量および融解熱量の差がそれぞれ規定範囲外であった。このため、交流破壊強度が60kV/mm未満であった。
3.5mm厚の絶縁層を押出成形し、低結晶性樹脂の含有量を7質量部未満とした試料B4およびB5では、外側試料および内側試料の融解熱量、内側試料の融点、融点の差および融解熱量の差がそれぞれ規定範囲外であった。その結果、交流破壊強度、引張弾性率、曲げ試験結果、最大水トリー長、および水トリー発生個数濃度がそれぞれ不良であった。低結晶性樹脂の含有量を0質量部とした試料B5では、さらに低温脆化試験結果も不良であった。
シンジオタクチックプロピレン単独重合体を用いた試料B6では、融点および融解熱量がそれぞれ規定範囲外であった。その結果、交流破壊強度、低温脆化試験結果、引張弾性率、曲げ試験結果がそれぞれ不良であった。
3.5mm厚の絶縁層を押出成形し、低結晶性樹脂の含有量を7質量部以上22質量部以下とした試料A1~A5では、融点、融解熱量、融点の差および融解熱量の差がそれぞれ規定範囲内であった。その結果、交流破壊強度、低温脆化試験結果、引張弾性率、曲げ試験結果、最大水トリー長、および水トリー発生個数濃度がそれぞれ良好であった。
以下、本開示の好ましい態様を付記する。
プロピレンを含み、
融点は、158℃以上168℃以下であり、
融解熱量は、75J/g以上110J/g以下である
樹脂組成物。
樹脂組成物からなり、対象物に対して3mm以上の厚さで被覆される成形体であって、
プロピレンを含み、
前記成形体の融点は、158℃以上168℃以下であり、
前記成形体の融解熱量は、75J/g以上110J/g以下であり、
表面から前記対象物に向けた位置が0.5mmである外側試料と、前記対象物から前記表面に向けた位置が0.5mmである内側試料と、を採取したときに、
前記内側試料の融点から前記外側試料の融点を引いた差の絶対値は、8℃以下であり、
前記内側試料の融解熱量から前記外側試料の融解熱量を引いた差の絶対値は、10J/g以下である
樹脂組成物成形体。
架橋剤の残渣は、300ppm未満である
付記2に記載の樹脂組成物成形体。
常温における交流破壊電界は、60kV/mm以上である
付記2又は付記3に記載の樹脂組成物成形体。
前記外側試料および前記内側試料のそれぞれは、示差走査熱量測定を行ったDSC曲線において、100℃以上に単一の融解ピークのみを有する
付記2から付記4のいずれか1つに記載の樹脂組成物成形体。
プロピレンのみを含むプロピレン系樹脂と、
エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセンおよびオクテンのうち少なくともいずれか2つを共重合した共重合体からなる低結晶性樹脂と
を含む
付記2から付記5のいずれか1つに記載の樹脂組成物成形体。
前記低結晶性樹脂の含有量は、前記プロピレン系樹脂と前記低結晶性樹脂との合計の含有量を100質量部としたときに、7質量部以上22質量部以下である
付記6に記載の樹脂組成物成形体。
プロピレンの結晶を生成する核剤として機能する添加剤の含有量は、前記プロピレン系樹脂と前記低結晶性樹脂との合計の含有量を100質量部としたときに、1質量部未満である
付記6又は付記7のいずれか1つに記載の樹脂組成物成形体。
前記内側試料を-25℃で殴打したときに割れを生じない
付記2から付記8のいずれか1つに記載の樹脂組成物成形体。
前記内側試料の引張弾性率は、1200MPa以下である
付記2から付記9のいずれか1つに記載の樹脂組成物成形体。
前記内側試料を500mmの直径で曲げたときに、前記内側試料が白化しない
付記2から付記10のいずれか1つに記載の樹脂組成物成形体。
前記成形体を、常温の1規定NaCl水溶液中に浸漬した状態で、前記成形体に対して商用周波数4kV/mmの交流電界を1000時間印加したときに、
前記成形体中に発生する水トリーの最大長さは、150μm未満である
付記2から付記11のいずれか1つに記載の樹脂組成物成形体。
前記成形体を、常温の1規定NaCl水溶液中に浸漬した状態で、前記成形体に対して商用周波数4kV/mmの交流電界を1000時間印加したときに、
前記成形体中に発生し30μm以上の長さを有する水トリーの発生個数濃度は、150個/cm3未満である
付記2から付記12のいずれか1つに記載の樹脂組成物成形体。
導体と、
前記導体の外周に3mm以上の厚さで被覆された絶縁層と、
を備え、
前記絶縁層は、プロピレンを含み、
前記絶縁層の融点は、158℃以上168℃以下であり、
前記絶縁層の融解熱量は、75J/g以上110J/g以下であり、
前記絶縁層の表面から前記導体に向けた位置が0.5mmである外側試料と、前記導体から前記表面に向けた位置が0.5mmである内側試料と、を採取したときに、
前記内側試料の融点から前記外側試料の融点を引いた差の絶対値は、8℃以下であり、
前記内側試料の融解熱量から前記外側試料の融解熱量を引いた差の絶対値は、10J/g以下である
電力ケーブル。
プロピレンを含む樹脂組成物を準備する工程と、
前記樹脂組成物を用い、導体の外周を3mm以上の厚さで被覆するように絶縁層を形成する工程と、
を備え、
前記絶縁層を形成する工程では、
前記絶縁層の融点が158℃以上168℃以下となり、前記絶縁層の融解熱量が75J/g以上110J/g以下となり、前記絶縁層の表面から前記導体に向けた位置が0.5mmである外側試料と、前記導体から前記表面に向けた位置が0.5mmである内側試料と、を採取したときに、前記内側試料の融点から前記外側試料の融点を引いた差の絶対値が8℃以下となり、かつ、前記内側試料の融解熱量から前記外側試料の融解熱量を引いた差の絶対値が10J/g以下となるように、前記絶縁層を形成する
電力ケーブルの製造方法。
110 導体
120 内部半導電層
130 絶縁層
140 外部半導電層
150 遮蔽層
160 シース
Claims (8)
- 樹脂組成物からなり、対象物に対して3mm以上の厚さで被覆される成形体であって、
前記樹脂組成物は、
プロピレン系樹脂と、
エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセンおよびオクテンのうち少なくともいずれか2つを共重合した共重合体からなる低結晶性樹脂と、
を含み、
前記樹脂組成物中の前記低結晶性樹脂の含有量は、前記プロピレン系樹脂と前記低結晶性樹脂との合計の含有量を100質量部としたときに、7質量部以上22質量部以下であり、
前記成形体の融点は、158℃以上168℃以下であり、
前記成形体の融解熱量は、75J/g以上110J/g以下であり、
前記対象物と反対の前記成形体の表面から前記対象物に向けた位置が0.5mmである外側試料と、前記対象物から前記成形体の前記表面に向けた位置が0.5mmである内側試料と、を採取したときに、
前記内側試料の融点から前記外側試料の融点を引いた差の絶対値は、8℃以下であり、
前記内側試料の融解熱量から前記外側試料の融解熱量を引いた差の絶対値は、10J/g以下である
樹脂組成物成形体。 - 前記プロピレン系樹脂の単体としての融点は、160℃以上175℃以下であり、
前記プロピレン系樹脂の単体としての融解熱量は、100J/g以上120J/g以下である
請求項1に記載の樹脂組成物成形体。 - 前記低結晶性樹脂は、エチレンプロピレンゴムおよび超低密度ポリエチレンのうち少なくともいずれかである
請求項1または請求項2に記載の樹脂組成物成形体。 - 前記低結晶性樹脂は、融点を有しないか、或いは、
前記低結晶性樹脂の融点は、100℃未満であり、且つ、前記低結晶性樹脂の融解熱量は、50J/g以下である
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の樹脂組成物成形体。 - 前記成形体は、非架橋であるか、或いは、
前記成形体は、架橋剤の分解残渣が300ppm未満となるように微架橋している
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の樹脂組成物成形体。 - 常温における交流破壊電界は、60kV/mm以上である
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の樹脂組成物成形体。 - 前記外側試料および前記内側試料のそれぞれは、示差走査熱量測定を行ったDSC曲線において、100℃以上に単一の融解ピークのみを有する
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の樹脂組成物成形体。 - 導体と、
前記導体の外周に3mm以上の厚さで被覆された絶縁層と、
を備え、
前記絶縁層は、
プロピレン系樹脂と、
エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセンおよびオクテンのうち少なくともいずれか2つを共重合した共重合体からなる低結晶性樹脂と、
を含み、
前記絶縁層中の前記低結晶性樹脂の含有量は、前記プロピレン系樹脂と前記低結晶性樹脂との合計の含有量を100質量部としたときに、7質量部以上22質量部以下であり、
前記絶縁層の融点は、158℃以上168℃以下であり、
前記絶縁層の融解熱量は、75J/g以上110J/g以下であり、
前記絶縁層の表面から前記導体に向けた位置が0.5mmである外側試料と、前記導体から前記表面に向けた位置が0.5mmである内側試料と、を採取したときに、
前記内側試料の融点から前記外側試料の融点を引いた差の絶対値は、8℃以下であり、
前記内側試料の融解熱量から前記外側試料の融解熱量を引いた差の絶対値は、10J/g以下である
電力ケーブル。
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