JP7335733B2 - 建物被害推定システム - Google Patents

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Description

本願発明は、比較的広い範囲を対象として建造物の被害状況を推定する技術に関するものであり、より具体的には、差分干渉合成開口レーダで得られる電波の位相と強度に基づいて、被害想定個所を検出する建物被害推定システムに関するものである。
我が国は地震が頻発する国として知られ、近年では、東北地方太平洋沖地震をはじめ、兵庫県南部地震、新潟県中越地震など大きな地震が発生し、そのたびに甚大な被害を被ってきた。例えば、兵庫県南部地震では強い直下型地震による衝撃が原因で多くの家屋が倒壊し、東日本大震災では津波によって夥しい数の家屋が壊滅的な被害を受け、また平成30年北海道胆振東部地震では液状化に伴い広範囲の建物が被害を受けた。
地震や台風等によって広範囲の建物被害を受けると、その全容を把握すべく上空からの調査が行われる。具体的には、航空機で上空を飛行しながら撮影(いわゆる空撮)を行い、その画像を用いて被害状況を確認している。全壊した建物や火災によって焼失した箇所などは、災害後の1時期の画像を目視することで把握できるが、残存した建物の変化(傾斜や沈下など)は、目視での判断は極めて困難である。この場合、現地に足を運んで実測により建物の変化を把握しているのが現状である。
ところで、広範囲を対象として調査を行う技術としては、航空写真を利用する手法のほか、合成開口レーダ(SAR:Synthetic Aperture Radar)を利用した手法が知られている。例えば、2時期のSARの計測結果を比較する差分干渉合成開口レーダ(以下、単に「干渉SAR」という。)で解析することによって、数センチオーダーの変位量を広範囲で得ることができる。2014年5月には陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)が打ち上げられ、さらなるSARの活用が推進されているところである。
干渉SARは、2時期の観測結果から得られた位相の差(位相差)を利用して、地形の変化を把握する手法である。なお干渉SARの結果は、縞模様のSAR干渉画像として表されるのが一般的である。あらかじめ位相差を複数のレンジ(以下、「位相差レンジ」という。)に分けておき、干渉SARの結果(つまり位相差)をこの位相差レンジに分類するとともに、同一の位相差レンジを示す範囲に対して位相差レンジごとに定められた色(あるいはグレースケール)を付与することでSAR干渉画像は作成される。
一度に広範囲にわたって、しかも定期的に対象領域の変位を取得できることから、干渉SARは様々な場面で利用されており、これまでにも干渉SARを活用した種々の技術が提案されている。例えば特許文献1では、干渉SARと衛星測位システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)の計測結果を利用することによって、対象領域の変位を高精度かつ広範囲で算出する発明について提案している。
特開2017-207457号公報
既述したとおり、地震等によって広範囲の建物被害が発生した場合、従来は空撮による目視調査が主流であり、残存した建物に関しては現地における実測調査が一般的であった。しかしながら、目視調査では建物の繊細な変化を把握することができず、実測調査では短時間に広範囲の結果を得ることができない。
一方、干渉SARを利用すれば、一度に広範囲にわたって建物被害を把握することができ、しかも数センチオーダーの変位量を得ることができる。ただしこの場合であっても、被害規模を客観的に推定することはできない。迅速かつ適切な救助や対策を実施するためにはある程度の優先順を設定することは避けられず、したがってその被害箇所に関する被害規模は極めて重要な情報となる。そのため、一度に広範囲にわたって建物被害を把握することができ、しかもその被害規模を把握することができる調査手法が切望されていた。
本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち一度に広い範囲(面的な領域)を対象とすることができ、しかも液状化に伴う建物被害など小規模な変化も把握することができ、さらにその被害規模を推定することができる建物被害推定システムを提供することである。
本願発明は、2時期の電波の位相及び強度に基づいて干渉レベル(電波の干渉性)を算出するとともに災害前後の干渉レベル比を算出し、この干渉レベル比に基づいて建物被害の有無を推定し、さらに長波の合成開口レーダ、中波の合成開口レーダ、そして短波の合成開口レーダによる結果に応じて被害規模を推定する、という点に着目したものであり、従来にはなかった発想に基づいてなされた発明である。
本願発明の建物被害推定システムは、合成開口レーダの観測値を用いて建物の被害を推定するシステムであり、干渉レベル算出手段と干渉レベル比算出手段、被害推定手段を備えたものである。このうち干渉レベル算出手段は、合成開口レーダによって得られる2時期の電波の位相及び強度に基づいて干渉レベル(2時期の電波の干渉性)を算出する手段であり、干渉レベル比算出手段は、対象干渉レベル(建物被害を推定しようとする時期の干渉レベル)と基準干渉レベル(平常時における2時期に基づいて算出された干渉レベル)の比によって求められる干渉レベル比を算出する手段であり、さらに被害推定手段は、干渉レベル比と被害推定用閾値とを照らし合わせることで建物被害の有無を推定するとともに被害推定箇所(建物被害が有ると推定された箇所)を検出し、その被害推定箇所の被害規模を推定する手段である。なお干渉レベル算出手段は、n(nは3以上の自然数)種類の波長の合成開口レーダの観測値に基づいてそれぞれn種類の干渉レベルを算出する。また被害推定手段は、n種類の干渉レベルごとに干渉レベル比を算出して被害推定箇所を検出するとともに、n種類の干渉レベル比に基づく被害推定箇所の重複数に応じて、その被害推定箇所に対してn段階に分けた被害規模を設定する、
本願発明の建物被害推定システムは、長波の合成開口レーダの観測値と中波の合成開口レーダの観測値、そして短波の合成開口レーダの観測値に基づいて、被害推定箇所の被害規模を推定するものとすることもできる。この場合、干渉レベル算出手段は、長波干渉レベル(長波の合成開口レーダの観測値に基づく干渉レベル)と中波干渉レベル(中波の合成開口レーダの観測値に基づく干渉レベル)、短波干渉レベル(短波の合成開口レーダの観測値に基づく干渉レベル)を算出し、干渉レベル比算出手段は、長波干渉レベル比(長波干渉レベルによる干渉レベル比)と中波干渉レベル比(中波干渉レベルによる干渉レベル比)、短波干渉レベル比(短波干渉レベルによる干渉レベル比)を算出する。そして、被害推定手段が、長波干渉レベル比による被害推定箇所と、中波干渉レベル比による被害推定箇所、短波干渉レベル比による被害推定箇所が重なる被害推定箇所の被害程度を「大規模」と推定し、また中波干渉レベル比による被害推定箇所と短波干渉レベル比による被害推定箇所が重なる被害推定箇所の被害程度を「中規模」と推定し、さらに短波干渉レベル比によってのみ推定された被害推定箇所を「小規模」と推定する。
本願発明の建物被害推定システムは、平常時における3以上の時期に得られた電波の位相及び強度に基づいて2以上の平常時干渉レベルを算出するとともに、この2以上の平常時干渉レベルの統計値に基づいて基準干渉レベルを算出するものとすることもできる。
本願発明の建物被害推定システムは、期間補正値設定手段をさらに備えたものとすることもできる。この期間補正値設定手段は、干渉レベルの算出に用いる観測値の観測間隔に応じた期間補正値を設定する手段である。この場合、干渉レベル算出手段は、2時期の電波の位相及び強度、並びに期間補正値に基づいて干渉レベルを算出する。
本願発明の建物被害推定システムは、対象領域設定手段をさらに備えたものとすることもできる。この対象領域設定手段は、平常時に得られた電波の位相及び強度に基づいて平常時干渉レベルを算出するとともに、この平常時干渉レベルに基づいて対象領域(建物被害を推定すべき領域)を設定する手段である。この場合、対象領域設定手段は、平常時干渉レベルが領域抽出用閾値を上回る注目個所を抽出するとともに、この注目個所を含む領域を対象領域として設定する。また被害推定手段は、対象領域内に限定して被害推定箇所を検出する。
本願発明の建物被害推定システムには、次のような効果がある。
(1)一度に広い範囲(面的な領域)を対象とすることができ、しかも液状化に伴う建物被害など小規模な変化も把握することができる。
(2)合成開口レーダを用いることから、安定して(定期的に)観測値を取得することができる。
(3)災害後、速やかに建物被害の状況を把握することができ、その結果、迅速かつ適切な救助や対策を実施することができる。
本願発明の建物被害推定システムの主な構成を示すブロック図。 建物被害推定システムの主な処理の流れを示すフロー図。 平常時に複数の平常時観測値が取得され、発災後に複数の異常時観測値が取得されたことを示すモデル図。 平常時に複数の平常時干渉レベルが求められるとともに基準干渉レベルが求められ、発災後に対象干渉レベルが求められたことを示すモデル図。 複数の注目箇所を含む対象領域を模式的に示すモデル図。 X-bandのSARと、C-bandのSAR、L-bandのSARによって被害規模を想定した結果を模式的に示すモデル図。 X-bandのSARと、C-bandのSAR、S-bandのSAR、L-bandのSAR、P-bandのSARによって被害規模を想定した結果を模式的に示すモデル図。
本願発明の建物被害推定システムの実施形態の一例を、図を参照しながら説明する。
1.定義
はじめに、本願発明の実施形態の例を説明するにあたって、ここで用いる用語の定義を示しておく。
(観測値)
本願発明は、合成開口レーダ(以下、「SAR」という。)で観測された電波の位相と電波の強度を利用して、建物の被害を推定するシステムである。ここでは、SARの観測によって得られる電波の位相及び電波の強度を、まとめて「観測値」ということとする。特に、平常時に観測された観測値のことを「平常時観測値」、地震などの災害が発生した後に観測された観測値のことを「異常時観測値」ということとする。
(干渉レベルと干渉レベル比)
また本願発明は、建物被害の有無を推定するにあたって、2時期の電波の干渉性を利用する。2時期の電波の干渉性を表す値は、2時期の観測値(つまり、電波の位相と強度)に基づいて算出することができ、ここではこの値のことを「干渉レベル」ということとする。特に干渉レベルのうち、2時期の平常時観測値に基づくものを「平常時干渉レベル」、発災前の平常時観測値と発災後の異常時観測値に基づくものを「対象干渉レベル」ということとし、さらに平常時干渉レベルに基づいて得られるいわば平常時における代表的な干渉レベルのことを「基準干渉レベル」ということとする。そして、基準干渉レベルと対象干渉レベルの比によって求められる値のことを、ここでは「干渉レベル比」ということとする。
(対象領域と注目個所)
広い範囲を対象として建物被害を推定する場合、あらかじめ農地や山林など建物がそれほど多くない場所を除外したうえで実行すると、より迅速に推定結果が得られ、すなわち速やかに救助や対策を実施することができて好適となる。そこで本願発明は、平常時にあらかじめ「対象領域」を設定する機能も具備することができることとした。ここで「対象領域」とは、建物が比較的集中している領域のことであり、平常時干渉レベルが比較的高い(いわば敏感に反応する)箇所(以下、「注目個所」という。)を含んで設定される領域である。
2.建物被害推定システム
次に、本願発明の建物被害推定システムの実施形態の一例について詳しく説明する。図1は、本願発明の建物被害推定システム100の主な構成を示すブロック図である。この図に示すように建物被害推定システム100は、干渉レベル算出手段101と干渉レベル比算出手段102、被害推定手段103を含んで構成され、さらに期間補正値設定手段104や対象領域設定手段105、観測値記憶手段106を含んで構成することもできる。
建物被害推定システム100は、専用のものとして製造することもできるし、汎用的なコンピュータ装置を利用することもできる。このコンピュータ装置は、パーソナルコンピュータ(PC)や、iPad(登録商標)といったタブレット型PC、スマートフォンを含む携帯端末などによって構成することができる。コンピュータ装置は、CPU等のプロセッサ、ROMやRAMといったメモリを具備しており、さらにマウスやキーボード等の入力手段やディスプレイを含むものもある。また観測値記憶手段106は、例えばデータベースサーバに構築することができ、ローカルなネットワーク(LAN:Local Area Network)に置くこともできるし、インターネット経由(つまり無線通信)で保存するクラウドサーバとすることもできる。
図2は、本願発明の建物被害推定システム100の主な処理の流れを示すフロー図であり、中央の列に実施する処理を示し、左列にはその処理に必要な入力情報を、右列にはその処理から生まれる出力情報を示している。以下、図2を参照しながら建物被害推定システム100の処理について説明する。なお建物被害推定システム100は、災害が発生する前の平常に実行する処理(以下、「平常時処理」という。)と、災害が発生した後に実行する処理(以下、「発災後処理」という。)に大別することができ、図2に示すStep101~Step105の各処理が平常時処理であり、Step106~Step109の各処理が発災後処理である。
図2に示すように、平常時では「期間補正値」を設定しておく(Step101)とよい。既述したとおり干渉レベルは、2時期の電波の干渉性を表す値である。つまり2時期の観測値を使用するわけであるが、この2時期の間隔(期間)によっては求められる干渉レベルが異なる値となることが考えられる。具体的には、2時期の間隔が小さい(つまり、短期間である)場合は干渉レベルが高い値となる傾向があり、逆に2時期の間隔が大きくなる(つまり、長期間である)場合は干渉レベルが低い値となる傾向がある。そこで、2時期の観測期間に応じた「期間補正値」を設定し、干渉レベルを算出する際にこの期間補正値で補正する(期間補正値を乗ずる)とよい。期間補正値は、期間補正値設定手段104(図1)によって設定され、観測期間が短いほど小さな値で、観測期間が長いほど大きな値で設定される。ただし次に説明するように、干渉レベルは必ずしも期間補正値で補正する必要がなく、したがって期間補正値を用いないときは当然ながら期間補正値を設定する処理は省略することができる。
期間補正値を設定すると、干渉レベル算出手段101(図1)が観測値記憶手段106(図1)から平常時観測値を読み出して「平常時干渉レベル」を算出する(Step102)。平常時干渉レベルは2時期の平常時観測値によって算出することができるが、SARによる観測値は定期的に得られることから、観測値が得られるたびに継続的に平常時干渉レベルを算出していくとよい。例えば図3に示すケースでは、平常時に第1平常時観測値~第7平常時観測値の7個の平常時観測値が得られており、この場合は図4に示すように第1平常時干渉レベル~第6平常時干渉レベルの6個の平常時干渉レベルを順次算出していくとよい。なお図4では、第1平常時観測値と第2平常時観測値によって第1平常時干渉レベルを算出し、第5平常時観測値と第6平常時観測値によって第5平常時干渉レベルを算出するなど、連続して得られた2時期の平常時観測値によって平常時干渉レベルを算出しているが、これに限らず第2平常時観測値と第7平常時観測値によって平常時干渉レベルを算出するなど、連続しない2時期の平常時観測値によって平常時干渉レベルを算出することもできる。
干渉レベルは、2時期の観測値(電波の位相及び強度)に基づいて算出され、例えば下記の数式によって算出することができる。この数式によれば干渉レベルは、対象範囲を分割した分割領域(いわゆるメッシュ)単位で算出され、計算対象となる分割領域とその周辺の分割領域の観測値による計算値の総和によって算出される。ここで、γは干渉レベル、Sは第1時期の観測値(電波の位相及び強度)、Sは第2時期の観測値(電波の位相及び強度)である。
Figure 0007335733000001
なお、上記のような数式で求められる値(γ)をそのまま干渉レベルとして利用してもよいし、既述したとおり、数式によって求められる値(γ)に期間補正値を乗じた値を干渉レベルとして利用することもできる。
平常時干渉レベルを算出すると、この平常時干渉レベルに基づいて「基準干渉レベル」を設定する(Step103)。基準干渉レベルを設定するにあたっては、最新の平常時干渉レベルをそのまま基準干渉レベルとして設定することもできるし、複数の平常時干渉レベルを統計処理することで基準干渉レベルを求めることもできる。例えば図4のケースでは、第6平常時干渉レベル(最新の平常時干渉レベル)を基準干渉レベルとして設定することもできるし、第1平常時干渉レベル~第6平常時干渉レベルから得られる平均値や中央値、あるいは最頻値といった統計値を基準干渉レベルとして設定することもできる。
平常時干渉レベルを算出すると、「注目箇所」を抽出する(Step104)。一般的に、農地や山林などは時間的な変化が大きいことから平常時干渉レベルは比較的低い値を示し、市街地や住宅地では時間的な変化が小さいことから平常時干渉レベルは比較的高い値を示す傾向がある。そこで、あらかじめ閾値(以下、「領域抽出用閾値」という。)を設定し、この領域抽出用閾値より高い平常時干渉レベルを示す箇所を注目箇所として抽出することとした。
注目箇所を抽出すると、対象領域設定手段105(図1)によって「対象領域」が設定される(Step105)。図5に示すように対象領域は、複数(図では4つ)の注目箇所を含む領域として設定され、クラスタリングなどの処理を行うことで自動的(機械的)に設定する仕様とすることもできるし、オペレータが手動処理を行うことで設定する仕様とすることもできる。また本願発明の建物被害推定システム100は、任意に対象領域設定手段105を具備することができ、すなわち対象領域を設定したうえで建物被害を推定するシステムとしてもよいし、対象領域を設定することなく建物被害を推定するシステムとしてもよい。対象領域設定手段105を具備しないときは、当然ながら注目箇所を抽出する処理(Step104)と対象領域を設定する処理(Step105)は省略することができる。
図2に示すように、地震や台風といった災害が発生すると、干渉レベル算出手段101(図1)が「対象干渉レベル」を算出する(Step106)。既述したとおり対象干渉レベルは、発災前の平常時観測値と発災後の異常時観測値に基づいて求められる干渉レベルである。例えば図4のケースでは、第7平常時観測値(発災前)と第1異常時観測値(発災後)を用いて対象干渉レベルが算出されている。なお図4では、発災直前の第7平常時観測値と発災直後の第1異常時観測値を用いて対象干渉レベルを算出しているが、これに限らず、第6平常時観測値と第1異常時観測値によって対象干渉レベルを算出することもできるし、第7平常時観測値と第2異常時観測値によって対象干渉レベルを算出してもよい。また、この場合も前述の数式を利用することができ、さらに期間補正値で補正したうえで対象干渉レベルを求めることも、期間補正値で補正することなく対象干渉レベルを求めることもできる。
対象干渉レベルを算出すると、干渉レベル比算出手段102(図1)が「干渉レベル比」を算出する(Step107)。既述したとおり干渉レベル比は、対象干渉レベルと基準干渉レベルの比によって求められる値であり、対象干渉レベルと基準干渉レベルの比そのものを干渉レベル比として利用することもできるし、対象干渉レベルと基準干渉レベルの比にあらかじめ定めた係数を乗じたものを干渉レベル比として利用することもできる。
干渉レベル比を算出すると、被害推定手段103(図1)が建物被害の有無を推定する(Step108)。具体的には、あらかじめ閾値(以下、「被害推定用閾値」という。)を設定し、この被害推定用閾値と干渉レベル比を照らし合わせることによって、その干渉レベル比に係る場所で建物被害が有ったか否かを推定する。このとき、対象干渉レベルを基準干渉レベルで除した値に基づいて干渉レベル比を算出した場合は、干渉レベル比が被害推定用閾値を下回ると建物被害が有ったと推定し、基準干渉レベルを対象干渉レベルで除した値に基づいて干渉レベル比を算出した場合は、干渉レベル比が被害推定用閾値を上回ると建物被害が有ったと推定するとよい。また、対象領域設定手段105によって対象領域が設定されている場合は、この対象領域に限定したうえで建物被害の有無を推定するとよい。
建物被害の有無を推定すると、建物被害が有ると推定された箇所に基づいて、被害推定手段103(図1)が「被害推定箇所」を検出する(Step109)。また、例えば図6に示すように、複数種類の波長のSARを利用することによって、検出された被害推定箇所の被害規模を推定する。図6は、短波(例えばX-band)のSARと、中波(例えばC-band)のSAR、長波(例えばL-band)のSARによって被害規模を想定した結果を模式的に示すモデル図である。
この場合、干渉レベル算出手段101が、X-bandのSARの観測値に基づいて干渉レベル(以下、「短波干渉レベル」という。)を算出し、C-bandのSARの観測値に基づいて干渉レベル(以下、「中波干渉レベル」という。)を算出し、L-bandのSARの観測値に基づいて干渉レベル(以下、「長波干渉レベル」という。)を算出する。そして、干渉レベル比算出手段102が、短波干渉レベルの対象干渉レベルと基準干渉レベルに基づいて干渉レベル比(以下、「短波干渉レベル比」という。)を算出し、中波干渉レベルの対象干渉レベルと基準干渉レベルに基づいて干渉レベル比(以下、「中波干渉レベル比」という。)を算出し、長波干渉レベルの対象干渉レベルと基準干渉レベルに基づいて干渉レベル比(以下、「長波干渉レベル比」という。)を算出する。このとき、基準干渉レベルも複数種類の波長のSARごとに設定しておくとよい。
X-bandは波長が短いことから微細な変化を抽出することができる一方で比較的限られた範囲の計測に適用され、L-bandは波長が長いことから広範囲の計測に適している一方で微細な変化を抽出することが難しいという面を有している。そこで、このような特性を利用し、図6に示すような被害規模を推定することとした。具体的には、長波干渉レベル比による被害推定箇所と、中波干渉レベル比による被害推定箇所、短波干渉レベル比による被害推定箇所がすべて重なる被害推定箇所の被害程度を「大規模」と推定し、また中波干渉レベル比による被害推定箇所と短波干渉レベル比による被害推定箇所が重なる被害推定箇所(ただし、長波干渉レベル比による被害推定箇所は重ならない)の被害程度を「中規模」と推定し、さらに短波干渉レベル比によってのみ推定された被害推定箇所を「小規模」と推定するわけである。
図6では、X-bandとC-band、L-bandの3種類の波長のSARを用いて被害推定箇所の被害規模を推定する例を示しているが、これに限らず4種類以上の波長のSARを用いて被害推定箇所の被害規模を推定することもできる。例えば図7では、X-bandとC-band、L-bandに加え、S-band(中長波:C-bandとL-bandの間の波長)とP-band(超長波:L-bandより長い波長)を含んだ5種類の波長のSARを用いて被害推定箇所の被害規模を推定する例を示している。この場合、干渉レベル算出手段101が、5種類の波長のSARに基づいてそれぞれ5種類の干渉レベルを算出し、干渉レベル比算出手段102が、同じく5種類の波長のSARに基づいてそれぞれ5種類の干渉レベル比を算出する(この場合も、基準干渉レベルは5種類の波長のSARごとに設定しておくとよい。)。そして被害推定手段103が、推定箇所を検出したうえで、被害推定箇所の重複数に応じて被害規模を設定する。具体的には、5種類の波長(X-band~P-band)のSARによる被害推定箇所がすべて重なれば最も大きな被害規模を示す「レベル5」と推定し、4種類の波長(X-band~L-band)のSARによる被害推定箇所が重なれば2番目に大きな被害規模を示す「レベル4」と推定し、3種類の波長(X-band~S-band)のSARによる被害推定箇所が重なれば3番目に大きな被害規模を示す「レベル3」と推定し、2種類の波長(X-bandとC-band)のSARによる被害推定箇所が重なれば4番目に大きな被害規模を示す「レベル2」と推定し、X-bandのSARによってのみ推定された被害推定箇所を最も小さな被害規模を示す「レベル1」と推定するわけである。
このように、n(nは3以上の自然数)種類の波長のSARを用いて被害推定箇所の被害規模を推定する場合、被害推定箇所はそれよりも短い波長のSARによる被害推定箇所に包含される傾向にあることから、n段階(レベル)に分けた被害規模を設定することができる。そして、被害推定箇所が重複する数が多いほど大きな被害規模を設定し、逆に被害推定箇所が重複する数が少ないほど小さな被害規模を設定することができる。
本願発明の建物被害推定システムは、地震による液状化に伴う建物被害のほか、地震動による建物被害や、台風による建物被害、火災による建物被害などにも利用することができる。本願発明によれば、速やかに建物被害の状況を把握することができ、すなわち迅速かつ適切な救助や対策が可能となることを考えれば、本願発明は産業上利用できるうえに社会的にも貢献が期待できる発明といえる。
100 建物被害推定システム
101 (建物被害推定システムの)干渉レベル算出手段
102 (建物被害推定システムの)干渉レベル比算出手段
103 (建物被害推定システムの)被害推定手段
104 (建物被害推定システムの)期間補正値設定手段
105 (建物被害推定システムの)対象領域設定手段
106 (建物被害推定システムの)観測値記憶手段

Claims (5)

  1. 合成開口レーダの観測値を用いて建物の被害を推定するシステムにおいて、
    合成開口レーダによって得られる2時期の電波の位相及び強度に基づいて、該2時期の電波の干渉性を表す干渉レベルを算出する干渉レベル算出手段と、
    建物被害を推定しようとする時期の前記干渉レベルである対象干渉レベルと、平常時における2時期に基づいて算出された前記干渉レベルである基準干渉レベルと、の比によって求められる干渉レベル比を算出する干渉レベル比算出手段と、
    前記干渉レベル比と被害推定用閾値とを照らし合わせることによって、建物被害の有無を推定するとともに、建物被害が有ると推定された被害推定箇所を検出し、該被害推定箇所の被害規模を推定する被害推定手段と、を備え、
    前記干渉レベル算出手段は、n(nは3以上の自然数)種類の波長の合成開口レーダの観測値に基づいてそれぞれn種類の前記干渉レベルを算出し、
    前記被害推定手段は、n種類の前記干渉レベルごとに前記干渉レベル比を算出して前記被害推定箇所を検出するとともに、n種類の該干渉レベル比に基づく該被害推定箇所の重複数に応じて、該被害推定箇所に対してn段階に分けた被害規模を推定する、
    ことを特徴とする建物被害推定システム。
  2. 前記干渉レベル比算出手段が、長波干渉レベルによる前記干渉レベル比である長波干渉レベル比と、中波干渉レベルによる前記干渉レベル比である中波干渉レベル比と、短波干渉レベルによる前記干渉レベル比である短波干渉レベル比と、を算出し、
    前記被害推定手段は、前記長波干渉レベル比による前記被害推定箇所と、前記中波干渉レベル比による前記被害推定箇所と、前記短波干渉レベル比による前記被害推定箇所と、が重なる該被害推定箇所の被害程度を、大規模と推定し、
    また前記被害推定手段は、前記中波干渉レベル比による前記被害推定箇所と、前記短波干渉レベル比による前記被害推定箇所と、が重なる該被害推定箇所の被害程度を、中規模と推定し、
    さらに前記被害推定手段は、前記短波干渉レベル比によってのみ推定された前記被害推定箇所を、小規模と推定する、
    ことを特徴とする請求項1記載の建物被害推定システム。
  3. 前記干渉レベル算出手段が、平常時における3以上の時期に得られた電波の位相及び強度に基づいて、2以上の平常時干渉レベルを算出するとともに、該2以上の平常時干渉レベルの統計値に基づいて前記基準干渉レベルを算出する、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の建物被害推定システム。
  4. 前記干渉レベルの算出に用いる観測値の観測間隔に応じた期間補正値を設定する期間補正値設定手段を、さらに備え、
    前記干渉レベル算出手段は、2時期の電波の位相及び強度、並びに前記期間補正値に基づいて、前記干渉レベルを算出する、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の建物被害推定システム。
  5. 平常時に得られた電波の位相及び強度に基づいて平常時干渉レベルを算出するとともに、該平常時干渉レベルに基づいて建物被害を推定すべき対象領域を設定する対象領域設定手段を、さらに備え、
    前記対象領域設定手段は、前記平常時干渉レベルが領域抽出用閾値を上回る注目個所を抽出するとともに、該注目個所を含む領域を前記対象領域として設定し、
    前記被害推定手段は、前記対象領域内において前記被害推定箇所を検出する、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の建物被害推定システム。
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