図面を参照しながら、複数の実施形態を説明する。複数の実施形態において、機能的におよび/または構造的に対応する部分および/または関連付けられる部分には同一の参照符号、または百以上の位が異なる参照符号が付される場合がある。対応する部分および/または関連付けられる部分については、他の実施形態の説明を参照することができる。
以下、複数の実施形態を図に基づいて説明する。
第1実施形態
<車載システム>
先ず、図1に基づいてセンサユニット700の適用される車載システム100を説明する。車載システム100は、ハイブリッドシステムを構成している。
車載システム100は、バッテリ200、電力変換装置300、および、モータ400を有する。また、車載システム100は、エンジン500と動力分配機構600とを有する。センサユニット700は、電力変換装置300に含まれている。モータ400は、第1MG401と第2MG402を有する。MGはmotor generatorの略である。モータ400は、電気負荷の一例を提供する。
車載システム100は、図示しない複数のECUを有する。これら複数のECUは、バス配線を介して相互に信号を送受信している。複数のECUは、協調してハイブリッド自動車を制御している。複数のECUの協調制御により、バッテリ200のSOCに応じたモータ400の力行と発電(回生)、および、エンジン500の出力などが制御される。SOCは、state of chargeの略である。ECUは、electronic control unitの略である。
ECUは、少なくとも1つの演算処理装置(CPU)と、プログラムおよびデータを記憶する記憶媒体としての少なくとも1つのメモリ装置(MMR)とを有する。ECUは、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体を備えるマイクロコンピュータによって提供される。記憶媒体は、コンピュータによって読み取り可能なプログラムを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体である。記憶媒体は、半導体メモリまたは磁気ディスクなどによって提供され得る。以下、車載システム100の構成要素を個別に概説する。
バッテリ200は、複数の二次電池を有する。これら複数の二次電池は、直列接続された電池スタックを構成している。二次電池としては、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池、および、有機ラジカル電池などを採用することができる。バッテリ200は、電源の一例を提供する。
二次電池は、化学反応によって起電圧を生成する。二次電池は、充電量が多すぎたり少なすぎたりすると劣化が促進する性質を有する。言い換えると、二次電池は、SOCが過充電だったり過放電だったりすると劣化が促進する性質を有する。
バッテリ200のSOCは、電池スタックのSOCに相当する。電池スタックのSOCは、複数の二次電池のSOCの総和である。電池スタックのSOCの過充電や過放電は、協調制御により回避される。これに対して複数の二次電池それぞれのSOCの過充電や過放電は、複数の二次電池それぞれのSOCを均等化する均等化処理によって回避される。
均等化処理は、複数の二次電池を個別に充放電することで成される。バッテリ200には、複数の二次電池を個別に充放電するためのスイッチを備える監視部が設けられている。また、バッテリ200には、複数の二次電池それぞれのSOCを検出するための電圧センサや温度センサなどが設けられている。複数のECUのうちの1つの電池ECUは、これらセンサの出力などに基づいてスイッチを開閉制御する。これにより、複数の二次電池それぞれのSOCが均等化される。SOCの検出には、後述の電流センサ730の出力も活用される。
電力変換装置300は、バッテリ200と第1MG401との間の電力変換を行う。また、電力変換装置300は、バッテリ200と第2MG402との間の電力変換を行う。電力変換装置300は、バッテリ200の直流電力を第1MG401と第2MG402の力行に適した電圧レベルの交流電力に変換する。電力変換装置300は、第1MG401と第2MG402との発電によって生成された交流電力をバッテリ200の充電に適した電圧レベルの直流電力に変換する。電力変換装置300については、後で詳説する。
第1MG401、第2MG402、および、エンジン500それぞれは、動力分配機構600に連結されている。第1MG401は、エンジン500から供給される回転エネルギーによって発電する。この発電によって発生した交流電力は、電力変換装置300によって直流電力に変換されるとともに降圧される。この直流電力がバッテリ200に供給される。また、直流電力は、ハイブリッド自動車に搭載された各種電気負荷にも供給される。
第2MG402は、ハイブリッド自動車の出力軸に連結されている。第2MG402の回転エネルギーは、出力軸を介して走行輪に伝達される。逆に、走行輪の回転エネルギーは、出力軸を介して第2MG402に伝達される。
第2MG402は、電力変換装置300から供給される交流電力によって力行する。この力行によって発生した回転エネルギーは、動力分配機構600によってエンジン500や走行輪に分配される。これにより、クランクシャフトのクランキングや走行輪への推進力の付与が成される。また、第2MG402は、走行輪から伝達される回転エネルギーによって回生する。この回生によって発生した交流電力は、電力変換装置300によって直流電力に変換されるとともに降圧される。この直流電力がバッテリ200や各種電気負荷に供給される。
第2MG402は、第1MG401よりも定格電流が大きくなっている。第2MG402には、第1MG401よりも多くの電流が流れやすくなっている。
エンジン500は、燃料を燃焼駆動することで回転エネルギーを生成する。この回転エネルギーが動力分配機構600を介して第1MG401や第2MG402に分配される。これにより、第1MG401の発電や走行輪への推進力の付与が成される。
動力分配機構600は、遊星歯車機構を有する。動力分配機構600は、サンギヤ、プラネタリーギヤ、プラネタリーキャリア、および、リングギヤを有する。
サンギヤとプラネタリーギヤそれぞれは、円盤形状を成している。サンギヤとプラネタリーギヤそれぞれの円周面に複数の歯が周方向に並んで形成されている。
プラネタリーキャリアは、環状を成している。プラネタリーキャリアとプラネタリーギヤそれぞれの平坦面が互いに対向する態様で、プラネタリーキャリアの平坦面に複数のプラネタリーギヤが連結されている。
複数のプラネタリーギヤは、プラネタリーキャリアの回転中心を中心とする円周上に位置している。これら複数のプラネタリーギヤの隣接間隔は、互いに等しくなっている。本実施形態では、3つのプラネタリーギヤが120°間隔で並んでいる。
リングギヤは、環状を成している。リングギヤの外周面と内周面それぞれに複数の歯が周方向に並んで形成されている。
サンギヤは、リングギヤの中心に設けられている。サンギヤの外周面とリングギヤの内周面とが互いに対向している。両者の間に3つのプラネタリーギヤが設けられている。3つのプラネタリーギヤそれぞれの歯がサンギヤとリングギヤそれぞれの歯とかみ合っている。これにより、サンギヤ、プラネタリーギヤ、プラネタリーキャリア、および、リングギヤそれぞれの回転が相互に伝達可能になっている。
サンギヤに第1MG401のモータシャフトが連結されている。プラネタリーキャリアにエンジン500のクランクシャフトが連結されている。リングギヤに第2MG402のモータシャフトが連結されている。これにより、第1MG401、エンジン500、および、第2MG402の回転数が共線図において直線の関係になっている。
電力変換装置300から第1MG401と第2MG402とに交流電力が供給されることでサンギヤとリングギヤにトルクが発生する。エンジン500の燃焼駆動によってプラネタリーキャリアにトルクが発生する。これにより、第1MG401の発電、第2MG402の力行と回生、および、走行輪への推進力の付与それぞれが行われる。
例えば、上記した複数のECUのうちの1つのMGECUは、ハイブリッド自動車に搭載された各種センサで検出される物理量、および、他のECUから入力される車両情報などに基づいて、第1MG401と第2MG402それぞれの目標トルクを決定する。そしてMGECUは、第1MG401と第2MG402それぞれに生成されるトルクが目標トルクになるようにベクトル制御する。このMGECUは、後述の制御回路基板372に搭載されている。
<電力変換装置の回路構成>
次に、電力変換装置300を説明する。図1に示すように電力変換装置300は、電力変換回路の構成要素としてコンバータ310とインバータ320とを備えている。コンバータ310は、直流電力の電圧レベルを昇降圧する機能を果たす。インバータ320は、直流電力を交流電力に変換する機能を果たす。インバータ320は、交流電力を直流電力に変換する機能を果たす。言い換えると、インバータ320は、電力の周波数を変化させる機能を果たす。
コンバータ310は、バッテリ200の直流電力を第1MG401と第2MG402のトルク生成に適した電圧レベルに昇圧する。インバータ320は、この直流電力を交流電力に変換する。この交流電力が第1MG401と第2MG402に供給される。また、インバータ320は、第1MG401と第2MG402で生成された交流電力を直流電力に変換する。コンバータ310は、この直流電力をバッテリ200の充電に適した電圧レベルに降圧する。
図1に示すようにコンバータ310は、正極バスバ301と負極バスバ302を介してバッテリ200と電気的に接続されている。コンバータ310は、Pバスバ303とNバスバ304を介してインバータ320と電気的に接続されている。
<コンバータ>
コンバータ310は、電気素子として、フィルタコンデンサ311、A相スイッチモジュール312、および、A相リアクトル313を有する。
図1に示すように正極バスバ301の一端は、バッテリ200の正極に接続されている。負極バスバ302の一端は、バッテリ200の負極に接続されている。この正極バスバ301にフィルタコンデンサ311の有する2つの電極のうちの一方が接続されている。負極バスバ302にフィルタコンデンサ311の有する2つの電極のうちの他方が接続されている。
A相リアクトル313の一端は、正極バスバ301の他端に接続されている。A相リアクトル313の他端は、第1連結バスバ711を介してA相スイッチモジュール312に接続されている。これにより、A相リアクトル313と第1連結バスバ711を介してバッテリ200の正極とA相スイッチモジュール312とが電気的に接続されている。図1では、各種バスバの接続部位を白丸で示している。これら接続部位は、例えばボルトや溶接などによって電気的に接続されている。
A相スイッチモジュール312は、ハイサイドスイッチ331とローサイドスイッチ332を有する。また、A相スイッチモジュール312は、ハイサイドダイオード331aとローサイドダイオード332aを有する。これら半導体素子は、図示しない封止樹脂によって被覆保護されている。
本実施形態では、ハイサイドスイッチ331とローサイドスイッチ332としてnチャネル型のIGBTを採用している。これらハイサイドスイッチ331とローサイドスイッチ332それぞれのコレクタ電極、エミッタ電極、および、ゲート電極それぞれに接続された端子の先端が封止樹脂の外に露出している。
図1に示すようにハイサイドスイッチ331のエミッタ電極とローサイドスイッチ332のコレクタ電極とが接続されている。これにより、ハイサイドスイッチ331とローサイドスイッチ332とが直列接続されている。
また、ハイサイドスイッチ331のコレクタ電極にハイサイドダイオード331aのカソード電極が接続されている。ハイサイドスイッチ331のエミッタ電極にハイサイドダイオード331aのアノード電極が接続されている。これにより、ハイサイドスイッチ331にハイサイドダイオード331aが逆並列接続されている。
同様にして、ローサイドスイッチ332のコレクタ電極にローサイドダイオード332aのカソード電極が接続されている。ローサイドスイッチ332のエミッタ電極にローサイドダイオード332aのアノード電極が接続されている。これにより、ローサイドスイッチ332にローサイドダイオード332aが逆並列接続されている。
ハイサイドスイッチ331とローサイドスイッチ332は、封止樹脂によって被覆保護されている。ハイサイドスイッチ331のコレクタ電極とゲート電極、ハイサイドスイッチ331とローサイドスイッチ332との間の中点、ローサイドスイッチ332のエミッタ電極とゲート電極それぞれに接続された端子の先端は、この封止樹脂から露出している。以下においては、これらの端子をコレクタ端子330a、中点端子330c、エミッタ端子330b、および、ゲート端子330dと示す。
このコレクタ端子330aは、Pバスバ303に接続される。エミッタ端子330bは、Nバスバ304に接続される。これにより、ハイサイドスイッチ331とローサイドスイッチ332とがPバスバ303からNバスバ304へ向かって順に直列接続されている。
また、中点端子330cが第1連結バスバ711に接続される。第1連結バスバ711は、A相リアクトル313と正極バスバ301を介してバッテリ200の正極と電気的に接続されている。
以上により、A相スイッチモジュール312の備える2つのスイッチの中点には、正極バスバ301、A相リアクトル313、および、第1連結バスバ711を介してバッテリ200の直流電力が供給される。A相スイッチモジュール312のハイサイドスイッチ331のコレクタ電極には、インバータ320によって直流電力に変換されたモータ400の交流電力が供給される。この直流電力に変換されたモータ400の交流電力が、ハイサイドスイッチ331、第1連結バスバ711、A相リアクトル313、および、正極バスバ301を介してバッテリ200に供給される。このように、第1連結バスバ711には、バッテリ200を入出力する電流が流れる。
ハイサイドスイッチ331とローサイドスイッチ332それぞれのゲート端子330dは、ゲートドライバに接続している。MGECUは、制御信号を生成し、それをゲートドライバに出力する。ゲートドライバは、制御信号を増幅し、それをゲート端子330dに出力する。これにより、ハイサイドスイッチ331とローサイドスイッチ332はMGECUによって開閉制御される。この結果、コンバータ310に入力される直流電力の電圧レベルが昇降圧される。
MGECUは、制御信号としてパルス信号を生成している。MGECUは、このパルス信号のオンデューティ比と周波数を調整することで直流電力の昇降圧レベルを調整している。この昇降圧レベルは、モータ400の目標トルクとバッテリ200のSOCに応じて決定される。
バッテリ200の直流電力を昇圧する場合、MGECUは、ハイサイドスイッチ331とローサイドスイッチ332それぞれを交互に開閉する。これとは反対に、インバータ320から供給された直流電力を降圧する場合、MGECUは、ローサイドスイッチ332に出力する制御信号をローレベルに固定する。それとともにMGECUは、ハイサイドスイッチ331に出力する制御信号をハイレベルとローレベルに順次切り換える。
<インバータ>
インバータ320は、電気素子として平滑コンデンサ321、図示しない放電抵抗、および、U相スイッチモジュール322~Z相スイッチモジュール327を有する。
平滑コンデンサ321の有する2つの電極のうちの一方がPバスバ303に接続されている。平滑コンデンサ321の有する2つの電極のうちの他方がNバスバ304に接続されている。放電抵抗は、Pバスバ303とNバスバ304に接続されている。U相スイッチモジュール322~Z相スイッチモジュール327は、Pバスバ303とNバスバ304に接続されている。平滑コンデンサ321、放電抵抗、および、U相スイッチモジュール322~Z相スイッチモジュール327それぞれは、Pバスバ303とNバスバ304との間で並列接続されている。
U相スイッチモジュール322~Z相スイッチモジュール327それぞれは、A相スイッチモジュール312と同等の構成要素を有する。すなわちU相スイッチモジュール322~Z相スイッチモジュール327それぞれは、ハイサイドスイッチ331、ローサイドスイッチ332、ハイサイドダイオード331a、ローサイドダイオード332a、および、封止樹脂を有する。また、これら6相のスイッチモジュールそれぞれは、コレクタ端子330a、エミッタ端子330b、中点端子330c、および、ゲート端子330dを有する。
6相のスイッチモジュールそれぞれのコレクタ端子330aは、Pバスバ303に接続されている。エミッタ端子330bは、Nバスバ304に接続されている。
そして、U相スイッチモジュール322の中点端子330cは、第2連結バスバ712を介して第1MG401のU相ステータコイルに接続されている。V相スイッチモジュール323の中点端子330cは、第3連結バスバ713を介して第1MG401のV相ステータコイルに接続されている。W相スイッチモジュール324の中点端子330cは、第4連結バスバ714を介して第1MG401のW相ステータコイルに接続されている。
同様にして、X相スイッチモジュール325の中点端子330cは、第5連結バスバ715を介して第2MG402のX相ステータコイルに接続されている。Y相スイッチモジュール326の中点端子330cは、第6連結バスバ716を介して第2MG402のY相ステータコイルに接続されている。Z相スイッチモジュール327の中点端子330cは、第7連結バスバ717を介して第2MG402のZ相ステータコイルに接続されている。
6相のスイッチモジュールそれぞれのゲート端子330dは、ゲートドライバに接続されている。第1MG401と第2MG402それぞれを力行する場合、MGECUからの制御信号の出力によって6相のスイッチモジュールの備えるハイサイドスイッチ331とローサイドスイッチ332それぞれがPWM制御される。これにより、インバータ320で3相交流が生成される。第1MG401と第2MG402それぞれが発電(回生)する場合、MGECUは、例えば制御信号の出力を停止する。これにより、発電によって生成された交流電力が6相のスイッチモジュールの備えるダイオードを通る。この結果、交流電力が直流電力に変換される。
以上に示した第1MG401および第2MG402それぞれに入出力する電流が、第1MG401および第2MG402それぞれとインバータ320とを接続する第2連結バスバ712~第7連結バスバ717を流れる。
電流経路部101は、電力変換装置300を介してバッテリ200とモータ400とを接続する電流経路を提供している。電流経路部101は、様々なバスバや端子などによって構成されている。正極バスバ301と負極バスバ302とは、電流経路部101の一部を構成している。同様に、Pバスバ303とNバスバ304とは、電流経路部101の一部を構成している。同様に、第1連結バスバ711~第7連結バスバ717は、電流経路部101の一部を構成している。
A相スイッチモジュール312、U相スイッチモジュール322~Z相スイッチモジュール327それぞれの備えるスイッチ素子の種類としては特に限定されず、例えばMOSFETを採用することもできる。そして、これらスイッチモジュールに含まれるスイッチやダイオードなどの半導体素子は、Siなどの半導体、および、SiCなどのワイドギャップ半導体によって製造することができる。半導体素子の構成材料としては、特に限定されない。
<電力変換装置の機械的構成>
次に、電力変換装置300の機械的構成を説明する。それに当たって、以下においては互いに直交の関係にある3方向をx方向、y方向、および、z方向とする。z方向は、所定方向の一例を提供する。所定方向とは、z方向に限られず、任意の方向に設定可能である。x方向とy方向とは、所定方向に直交する方向である直交方向の一例を提供する。直交方向とは、x方向とy方向に限られず、所定方向であるz方向成分を持たない方向であればよい。また、所定方向がx方向である場合には、y方向やz方向などのx方向成分を持たない方向が直交方向となる。
図2において、電力変換装置300は、コンデンサケース350、リアクトルケース360、冷却器370、センサユニット700、インバータハウジング380、および、入出力コネクタ390を有する。電力変換装置300は、図4に示すドライバ基板371と制御回路基板372を有する。
図2では、正極バスバ301と負極バスバ302とをまとめて電極バスバ305として示している。これら2つのバスバの端部が入出力コネクタ390に設けられている。この入出力コネクタ390にワイヤハーネスの端子が接続される。これにより、バッテリ200と電力変換装置300とがワイヤハーネスを介して電気的に接続される。
また、図2では、Pバスバ303とNバスバ304とをまとめてPNバスバ306として図示している。これら2つのバスバは、図4に示す絶縁シート307を介してz方向で積層配置されている。
コンデンサケース350とリアクトルケース360それぞれは、絶縁性の樹脂材料から成る。コンデンサケース350にフィルタコンデンサ311と平滑コンデンサ321が収納されている。リアクトルケース360にA相リアクトル313が収納されている。図4に示すようにPバスバ303とNバスバ304は、コンデンサケース350に一部が収納されるとともに、残りがコンデンサケース350の外に位置している。
冷却器370には、コンバータ310とインバータ320に含まれるスイッチモジュールが収納されている。冷却器370は、これら複数のスイッチモジュールを冷却する機能を果たしている。冷却器370に複数のスイッチモジュールが収納されることで、パワーモジュールが構成されている。
ドライバ基板371は、ゲートドライバを備えている。制御回路基板372は、MGECUを備えている。これら2つの基板それぞれは、z方向の厚さの薄い平板形状を成している。ドライバ基板371と制御回路基板372とは、図示しないコネクタを介して相互に信号を伝達可能に構成されている。
センサユニット700は、絶縁性の樹脂材料からなる端子台720を有する。この端子台720に第1連結バスバ711~第7連結バスバ717の一部がインサート成形されている。そして、端子台720には、これら複数の連結バスバに流れる電流を検出する電流センサ730が設けられている。電流センサ730は、集磁コアを利用しないコアレス電流センサである。ただし、電流センサ730は、コアレス電流センサに限られない。センサユニット700については、後で詳説する。
インバータハウジング380は、絶縁性の樹脂材料から成る。インバータハウジング380は、コンデンサケース350、リアクトルケース360、冷却器370、ドライバ基板371、制御回路基板372、および、センサユニット700それぞれを収納している。また、インバータハウジング380は、電極バスバ305とPNバスバ306を収納している。
コンデンサケース350の長手方向は、x方向である。センサユニット700の長手方向は、x方向である。コンデンサケース350とセンサユニット700とは、互いにy方向に所定距離だけ離れて並んで設けられている。コンデンサケース350およびセンサユニット700それぞれは、ドライバ基板371および制御回路基板372それぞれとz方向に離間して並んでいる。PNバスバ306の一部は、コンデンサケース350からy方向に沿って外に飛び出している。
図3に示すようにインバータハウジング380は、第1MG401と第2MG402それぞれを収納するモータハウジング410とz方向に並ぶ態様で連結されている。電力変換装置300とモータ400とが連結されることで、いわゆる機電一体型の電力変換ユニットが構成されている。
図4に示すように、端子台720から連結バスバの一部がy方向に沿って露出している。冷却器370は、z方向においてPNバスバ306とドライバ基板371との間に位置している。それとともに冷却器370は、z方向において連結バスバとドライバ基板371との間に位置している。
冷却器370にはコンバータ310とインバータ320を構成している計7個のスイッチモジュールが収納されている。これらスイッチモジュールは、封止樹脂を有し、この封止樹脂からコレクタ端子330a、エミッタ端子330b、中点端子330c、および、ゲート端子330dそれぞれの先端が露出している。これら4つの端子のうち、コレクタ端子330aとエミッタ端子330bは、PNバスバ306に向かってz方向に延びている。中点端子330cは、連結バスバに向かってz方向に延びている。ゲート端子330dは、これら3つの端子とは逆向きに、ドライバ基板371に向かってz方向に延びている。
コレクタ端子330aは、Pバスバ303と溶接されている。エミッタ端子330bは、Nバスバ304と溶接されている。中点端子330cは、連結バスバに溶接されている。ゲート端子330dは、ドライバ基板371にはんだ付けされている。中点端子330cは、接続経路部の一例を提供する。ここで、接続経路部とは、後述する検出対象部を有する連結バスバに接続され、電流経路部101の一部を構成している部品である。接続経路部は、導通可能な部品であればよく、形状、大きさ、材料などは任意に選択可能である。
センサユニット700と制御回路基板372とは、互いにz方向で離間している。センサユニット700の備える出力ピン723aが制御回路基板372に向かって延びている。出力ピン723aは、制御回路基板372にはんだ付けされている。
センサユニット700の端子台720から連結バスバの一端710aと他端710bとが露出している。連結バスバの一端710aは、中点端子330cに接続されている。連結バスバの他端710bは、ステータバスバ420を介してモータ400のステータコイルに接続されている。このステータバスバ420における連結バスバとの連結部位は、z方向に沿って延びている。ステータバスバ420は、接続経路部の一例を提供する。
<センサユニット>
次に、センサユニット700について図5~図8に基づいて詳説する。センサユニット700は、これまでに説明した第1連結バスバ711~第7連結バスバ717、端子台720、および、電流センサ730を有する。また、センサユニット700は、図8に示す遮蔽シールド740、樹脂カバー750、および、対向シールド760を有する。ただし、センサユニット700は、少なくとも端子台720と電流センサ730とを備える構成であればよく、上述のすべての構成を有するユニットに限られない。
電流センサ730は、7つの連結バスバに対応して磁気平衡方式の第1磁電変換部731~第7磁電変換部737と、これら7つの磁電変換部の搭載されるセンサ基板738とを有する。遮蔽シールド740は、端子台720よりも透磁率の高い金属材料から成る第1遮蔽シールド741~第7遮蔽シールド747を有する。対向シールド760は、樹脂カバー750よりも透磁率の高い金属材料から成る第1対向シールド761~第7対向シールド767を有する。
第1連結バスバ711~第7連結バスバ717それぞれは、端子台720にインサート成形されている。第1磁電変換部731~第7磁電変換部737は、これら7つの連結バスバにおける端子台720にインサート成形された部位とz方向で対向する態様で端子台720に設けられている。第1連結バスバ711~第7連結バスバ717において、7つの磁電変換部と所定方向であるz方向に対向する部分は、第1検出対象部711d~第7検出対象部717dである。磁電変換部は、この検出対象部を流れる電流を計測することとなる。磁電変換部と検出対象部とのz方向の距離が長すぎる、あるいは短すぎると磁電変換部における電流検出精度が低下してしまう。このため、磁電変換部と検出対象部とのz方向の距離は、適切な距離を維持することが好ましい。
端子台720に第1遮蔽シールド741~第7遮蔽シールド747がインサート成形されている。樹脂カバー750に第1対向シールド761~第7対向シールド767がインサート成形されている。樹脂カバー750は、これら7つの遮蔽シールドと7つの対向シールドとがz方向で離間して並ぶ態様で端子台720に設けられている。
z方向に並ぶ1つの遮蔽シールドと1つの対向シールドとの間に、1つの連結バスバにおける検出対象部と1つの磁電変換部とが位置する。これにより、磁電変換部への外部ノイズの入力が抑制される。また、連結バスバにおける検出対象部に流れる電流から発せられる磁界の分布が規制される。以下では、連結バスバにおける検出対象部に流れる電流から発せられる磁界を被検出磁界と呼ぶことがある。遮蔽シールドと対向シールドとによって、磁電変換部を透過する被検出磁界のz方向の変動が抑制されている。以下、センサユニット700の構成要素を個別に説明する。
<連結バスバ>
第1連結バスバ711~第7連結バスバ717は、端子台720よりも剛性の高い銅やアルミニウムなどの金属材料から成る。これら7つの連結バスバは、平板形状の金属板をプレス加工することで製造される。7つの連結バスバの中間部が端子台720にインサート成形されている。7つの連結バスバの両端が端子台720から露出している。
端子台720から露出した第1連結バスバ711~第7連結バスバ717の一端710aにスイッチモジュールの中点端子330cが接合される。第1連結バスバ711の他端710bにA相リアクトル313が接合される。第2連結バスバ712~第7連結バスバ717の他端710bにモータ400のステータバスバ420が接合される。これにより、連結バスバを介してスイッチモジュールからステータバスバ420へと電流が流れる。また、連結バスバを介してステータバスバ420からスイッチモジュールへと電流が流れる。
<端子台>
端子台720は、細分化して説明すると、基部721、フランジ部722、および、コネクタ部723を有している。これら基部721、フランジ部722、および、コネクタ部723それぞれは、端子台720を構成する樹脂材料によって一体的に連結されている。
基部721は、x方向を長手方向とする略直方体形状を成している。基部721は、x方向を法線方向とする左面721aと右面721bを備えている。基部721は、y方向を法線方向とする前面721cと後面721dとを備えている。基部721は、z方向を法線方向とする上面721eと下面721fとを備えている。
基部721の左面721aと右面721bそれぞれにフランジ部722が形成されている。左面721aに設けられたフランジ部722の突出方向は、x方向である。右面721bに設けられたフランジ部722の突出方向は、x方向である。左面721aに設けられたフランジ部722の突出方向と、右面721bに設けられたフランジ部722の突出方向とは、x方向において互いに逆向きの方向である。
2つのフランジ部722には、金属製のカラー722aがインサート成形されている。カラー722aは、z方向に開口する環状を成している。このカラー722aの中空にボルトが通される。このボルトの先端がインバータハウジング380に締結される。これにより、センサユニット700がインバータハウジング380に固定される。
図4や図8に示すように基部721の下面721fには、コネクタ部723が形成されている。コネクタ部723の突出方向は、z方向である。
コネクタ部723には、複数の出力ピン723aがインサート成形されている。出力ピン723aは、z方向に延びている。出力ピン723aの一端は、コネクタ部723の先端面723bから露出している。出力ピン723aの一端は、制御回路基板372にはんだ付けされる。出力ピン723aの他端は、基部721の上面721eから露出している。出力ピン723aの他端は、センサ基板738にはんだ付けされる。
基部721には、第1連結バスバ711~第7連結バスバ717の中間部がインサート成形されている。これら7つの連結バスバの一端710aは、後面721dから突出している。これら7つの一端710aは、x方向で離間して並んでいる。左面721aから右面721bに向かって、第5連結バスバ715、第6連結バスバ716、第7連結バスバ717、第1連結バスバ711、第2連結バスバ712、第3連結バスバ713、第4連結バスバ714の順に7つの一端710aが並んでいる。
一端710aは、x方向の厚さの薄い扁平形状を成している。この一端710aのx方向に面する連結面と中点端子330cとがx方向で互いに対向する態様で接触配置される。一端710aと中点端子330cとにz方向からレーザが照射される。これにより、連結バスバと中点端子330cとが端部同士において溶接接合される。
基部721にインサート成形された7つの連結バスバのうちの6つの第2連結バスバ712~第7連結バスバ717それぞれの中間部は、y方向に沿って延びている。これら6つの連結バスバの他端710bは、前面721cから突出している。これら6つの他端710bは、x方向で離間して並んでいる。詳しく言えば、左面721aから右面721bに向かって、第5連結バスバ715、第6連結バスバ716、第7連結バスバ717、第2連結バスバ712、第3連結バスバ713、第4連結バスバ714の順に6つの他端710bが並んでいる。
これら6つの連結バスバの他端710bそれぞれは、前面721cからy方向に延びた後、屈曲してz方向のうち下面721fから上面721eに向かう向きに延びている。これら6つの連結バスバの他端710bにモータ400のステータバスバ420が締結部材430によって締結される。締結部材430は、例えば金属製のボルトとナットによって構成されている。締結部材430は、連結バスバとステータバスバ420とを互いに固定する固定機能と、連結バスバとステータバスバ420との間での通電を可能にする導通機能とを有する。これにより、連結バスバとステータバスバ420とが通電可能に連結されている。ステータバスバ420における連結バスバとの連結部位は、z方向のうち下面721fから上面721eに向かう向きに延びている。
基部721にインサート成形された第1連結バスバ711の中間部のうち一端710a側は、第2連結バスバ712~第7連結バスバ717それぞれの中間部と同様にしてy方向に沿って延びている。しかしながら、図8に示すように第1連結バスバ711の中間部は、後面721dから前面721cに向かってy方向に延びた後、屈曲して下面721f側に向かってz方向に延びている。第1連結バスバ711の中間部は、そこからさらに屈曲して左面721a側に向かってx方向に延びた後、再度屈曲して上面721eに向かってz方向に延びている。図8では、第1連結バスバ711の中間部の形状を説明するために、第1連結バスバ711のうち、本来であれば図6に示すVIII-VIII線上にはない部分を含めて図示している。
第1連結バスバ711の他端710bは、上面721eから突出している。第1連結バスバ711の他端710bは、左面721aから右面721bに向かって第5連結バスバ715から第4連結バスバ714まで順に並ぶ6つの他端710bよりも外側であって、第5連結バスバ715に近い側に位置している。
第1連結バスバ711の中間部の一部は、x方向に延びている。このx方向に延びる延長部位711bは、第2MG402と接続される第5連結バスバ715~第7連結バスバ717それぞれの中間部とz方向で対向している。このように第1連結バスバ711におけるx方向に延びる延長部位711bとy方向に延びる第5連結バスバ715~第7連結バスバ717それぞれの中間部とは、ねじれの位置にある。
以下においては、表記を簡明とするために、第1連結バスバ711~第7連結バスバ717における端子台720にインサート成形された部位を、必要に応じて第1埋設部位711a~第7埋設部位717aと示す。
図7および図8に示すように、基部721にはインターロックピン724がインサート成形されている。このインターロックピン724は、図示しない保護カバーがセンサユニット700に取り付けられた否かを判定するためのものである。
インターロックピン724の一端は、基部721の後面721dから突出している。この一端に保護カバーの接続ピンが接続される。インターロックピン724の他端は、基部721の上面721eから突出している。この他端がセンサ基板738に接続される。インターロックピン724と接続ピンとの接続状態を示す信号が、保護カバーとセンサユニット700との取り付け状態を示す信号として、センサ基板738と出力ピン723aを介して制御回路基板372のMGECUに入力される。
図8に示すように基部721の上面721eには、z方向に局所的に凹んだ複数の凹部721gが形成されている。基部721には、7個の凹部721gが形成されている。これら7つの凹部721gは、x方向に離間して並んでいる。これら7つの凹部721gは、z方向で第1埋設部位711a~第7埋設部位717aと対向する態様で並んでいる。これら7つの凹部721gは、z方向で第1検出対象部711d~第7検出対象部717dと対向する態様で並んでいる。
上面721eには、電流センサ730が設けられる。センサ基板738におけるz方向に面する下主面738aが上面721eに対向配置される。この下主面738aに第1磁電変換部731~第7磁電変換部737が搭載されている。ただし、第1磁電変換部731~第7磁電変換部737を上主面738bに搭載してもよい。第1磁電変換部731~第7磁電変換部737は、7つの凹部721gそれぞれの中空に設けられる。
上面721eにおけるx方向に離間して並ぶ2つの凹部721gの間からは、z方向に突起する突起部721hが形成されている。センサ基板738には、下主面738aとその裏側の上主面738bとに開口する貫通孔が形成されている。突起部721hは、この貫通孔に通される。そして、突起部721hの先端が熱カシメされる。またセンサ基板738には、ボルトを通すためのボルト孔が形成されている。センサ基板738は、このボルト孔に通されたボルトによって基部721に固定されている。以上に示した連結により、センサ基板738が基部721に固定され、7つの磁電変換部それぞれの7つの連結バスバに対する相対位置が決定づけられている。
<電流センサ>
電流センサ730は、第1磁電変換部731~第7磁電変換部737を有する。これら7つの磁電変換部は、自身を透過する磁界である透過磁界に応じて抵抗値が変動する磁気抵抗効果素子を複数有する。この磁気抵抗効果素子は、透過磁界における下主面738aに沿う方向の成分に応じて抵抗値が変化する。すなわち、磁気抵抗効果素子は、透過磁界のx方向に沿う成分とy方向に沿う成分に応じて抵抗値が変化する。磁気抵抗効果素子は、感磁素子とも呼ばれる。
その反面、磁気抵抗効果素子はz方向に沿う透過磁界によって抵抗値が変化しない。したがって、z方向に沿う外部ノイズが磁気抵抗効果素子を透過したとしても、それによって磁気抵抗効果素子の抵抗値は変化しない。
磁気抵抗効果素子は、磁化方向の固定されたピン層、磁化方向が透過磁界に応じて変化する自由層、および、両者の間に設けられた非磁性の中間層を有する。中間層が非導電性の場合、磁気抵抗効果素子は、巨大磁気抵抗素子である。中間層が導電性の場合、磁気抵抗効果素子は、トンネル磁気抵抗素子である。磁気抵抗効果素子は、異方性磁気抵抗効果素子(AMR)でもよい。さらに言えば、磁電変換部は、磁気抵抗効果素子の代わりにホール素子を有してもよい。
磁気抵抗効果素子は、ピン層と自由層それぞれの磁化方向の成す角度によって抵抗値が変化する。ピン層の磁化方向は、z方向に交差する方向である。自由層の磁化方向は、透過磁界におけるz方向に交差する方向に沿う成分によって定まる。磁気抵抗効果素子の抵抗値は、自由層と固定層それぞれの磁化方向が平行の場合に最も小さくなる。磁気抵抗効果素子の抵抗値は、自由層と固定層それぞれの磁化方向が反平行の場合に最も大きくなる。
7つの磁電変換部それぞれは、ピン層の磁化方向の反転した第1磁気抵抗効果素子と第2磁気抵抗効果素子を含むブリッジ回路を有する。また、7つの磁電変換部およびセンサ基板738のうちのいずれか一方は、差動アンプ、フィードバックコイル、および、シャント抵抗を有する。
差動アンプの反転入力端子と非反転入力端子にブリッジ回路が接続されている。差動アンプの出力端子にフィードバックコイルとシャント抵抗とが直列接続されている。差動アンプは、図示しない帰還回路によってバーチャルショートしている。
以上に示した接続構成により、差動アンプの入力端子には、透過磁界に応じた電流が流れる。差動アンプは、反転入力端子と非反転入力端子とが同電位となるように動作する。すなわち、差動アンプは、入力端子に流れる電流と出力端子に流れる電流とがゼロとなるように動作する。したがって、差動アンプの出力端子からは、透過磁界に応じた電流であるフィードバック電流が流れる。
このフィードバック電流がフィードバックコイルとシャント抵抗に流れる。このフィードバック電流の流動によって、フィードバックコイルに相殺磁界が発生する。この相殺磁界が磁電変換部を透過する。これによって磁電変換部を透過する被検出磁界が相殺される。以上により磁電変換部は、自身を透過する被検出磁界と相殺磁界とが平衡となるように動作する。
相殺磁界を発生するフィードバック電流の電流量に応じたフィードバック電圧がフィードバックコイルとシャント抵抗との間の中点に生成される。このフィードバック電圧は、被検出電流を検出した電気信号として、出力ピン723aを介して制御回路基板372のMGECUに入力される。
第1磁電変換部731~第7磁電変換部737それぞれは、センサ基板738の下主面738aに搭載されている。これら7つの磁電変換部は、x方向に離間して並んでいる。詳しく言えば、左面721aから右面721bに向かって、第5磁電変換部735、第6磁電変換部736、第7磁電変換部737、第1磁電変換部731、第2磁電変換部732、第3磁電変換部733、第4磁電変換部734が順に並んでいる。
第5磁電変換部735~第7磁電変換部737は、第5検出対象部715d~第7検出対象部717dとz方向で対向配置されている。したがって、第5磁電変換部735~第7磁電変換部737には、第2MG402に流れる交流電流から発生する磁界が透過する。第5磁電変換部735~第7磁電変換部737は、第2MG402に流れる電流を検出する。
第1磁電変換部731は、第1検出対象部711dとz方向で対向配置される。したがって、第1磁電変換部731には、コンバータ310に流れる直流電流から発生する磁界が透過する。第1磁電変換部731は、コンバータ310に流れる電流を検出する。
第2磁電変換部732~第4磁電変換部734は、第2検出対象部712d~第4検出対象部714dとz方向で対向配置される。したがって、第2磁電変換部732~第4磁電変換部734には、第1MG401に流れる交流電流から発生する磁界が透過する。第2磁電変換部732~第4磁電変換部734は、第1MG401に流れる電流を検出する。
これら7つの磁電変換部で検出された交流電流や直流電流が制御回路基板372に入力される。制御回路基板372に設けられたMGECUは、検出された交流電流や図示しない回転角センサで検出されるモータ400の回転角などに基づいてモータ400をベクトル制御する。また、MGECUは、検出された直流電流を電池ECUなどの他のECUに出力する。
図4にy方向における中点端子330cとステータバスバ420との間の中点をz方向に貫く基準線BLを一点鎖線で示している。第2磁電変換部732は、y方向において中点端子330cと基準線BLとの間に位置している。言い換えると、第2磁電変換部732は、y方向においてステータバスバ420よりも中点端子330c側に位置している。
<遮蔽シールド>
遮蔽シールド740は、第1遮蔽シールド741~第7遮蔽シールド747を有する。これら7つの遮蔽シールドは、z方向の厚さの薄い平板形状を成している。ただし、遮蔽シールド740の形状は、平板形状に限られない。7つの遮蔽シールドは、x方向に離間して並ぶ態様で基部721にインサート成形されている。7つの遮蔽シールドは、7つの検出対象部とz方向で対向している。遮蔽シールドには、磁界におけるz方向に直交する方向の成分が積極的に透過しやすくなっている。
<樹脂カバー>
樹脂カバー750は、細分化して説明すると、閉塞部751と支持部752を有する。これら閉塞部751と支持部752それぞれは、樹脂カバー750を構成する樹脂材料によって一体的に連結されている。
閉塞部751は、x方向を長手方向とする略直方体形状を成している。閉塞部751は、z方向に並ぶ内面751aと外面751bを有する。樹脂カバー750は、内面751aがセンサ基板738とz方向で対向する態様で、基部721の上面721e側に設けられる。樹脂カバー750は、ボルト部材753によって基部721に固定される。
図7および図8に示すように、外面751bに支持部752が一体的に連結されている。支持部752は、外面751bからz方向に延びている。
この支持部752と閉塞部751における支持部752の連結部位それぞれには、z方向に貫通する中空が形成されている。この中空に基部721の前面721cから突起した第1連結バスバ711の他端710bが挿入される。第1連結バスバ711の他端710bは、支持部752の端面752aから露出している。
支持部752の端面752aには、z方向に開口するナット部材752bがインサート成形されている。このナット部材752bに対してz方向で対向する態様で、第1連結バスバ711の他端710bは、屈曲している。A相リアクトル313の他端がこの他端710bに接触する態様で、ナット部材752bにボルトが締結される。これにより、第1連結バスバ711とA相リアクトル313とが電気的に接続されている。
<対向シールド>
対向シールド760は、第1対向シールド761~第7対向シールド767を有する。これら7つの対向シールドは、z方向の厚さの薄い平板形状を成している。ただし、対向シールド760の形状は、平板形状に限られない。7つの対向シールドは、x方向に離間して並ぶ態様で樹脂カバー750にインサート成形されている。これら複数の対向シールドには、磁界におけるz方向に直交する方向の成分が積極的に透過しやすくなっている。
樹脂カバー750が基部721にボルト部材753によって固定された状態で、7つの対向シールドは、7つの遮蔽シールドそれぞれとz方向に対向して並んでいる。7つの対向シールドと7つの遮蔽シールドとの間に7つの埋設部位と7つの磁電変換部が位置している。
詳しく言えば、z方向において、第5遮蔽シールド745と第5対向シールド765との間に第5検出対象部715dと第5磁電変換部735が位置している。z方向において、第6遮蔽シールド746と第6対向シールド766との間に第6検出対象部716dと第6磁電変換部736が位置している。z方向において、第7遮蔽シールド747と第7対向シールド767との間に第7検出対象部717dと第7磁電変換部737が位置している。
z方向において、第1遮蔽シールド741と第1対向シールド761との間に第1検出対象部711dと第1磁電変換部731が位置している。z方向において、第2遮蔽シールド742と第2対向シールド762との間に第2検出対象部712dと第2磁電変換部732が位置している。z方向において、第3遮蔽シールド743と第3対向シールド763との間に第3検出対象部713dと第3磁電変換部733が位置している。z方向において、第4遮蔽シールド744と第4対向シールド764との間に第4検出対象部714dと第4磁電変換部734が位置している。
<磁界の打ち消し>
次に、図4に基づいて磁電変換部を透過しようとする磁界の打ち消しについて説明する。図4では、7つの連結バスバ、磁電変換部、遮蔽シールド、および、対向シールドのうちの代表として、第2連結バスバ712、第2磁電変換部732、第2遮蔽シールド742、および、第2対向シールド762を示している。他の第3~第7の連結バスバ、磁電変換部、遮蔽シールド、および、対向シールドは、図4と同等の構成である。
電流経路部101は、中点端子330cと第2連結バスバ712とステータバスバ420とを備えている。第2磁電変換部732~第7磁電変換部737は、磁電変換部の一例を提供する。
以下においては、説明を簡便とするために、z方向における連結バスバの検出対象部712dから磁電変換部に向かう方向を上方向と示す。z方向における磁電変換部から連結バスバの検出対象部712dに向かう方向を下方向と示す。
連結バスバの他端710bとステータバスバ420とは、締結部材430によって締結固定されている。このため、連結バスバの他端710bとステータバスバ420とは、締結部材430と接触している部分が互いに最も強固に締結されている。言い換えると、締結部材430から離れるほど、連結バスバの他端710bとステータバスバ420との間に生じる隙間が大きくなりやすい状態である。連結バスバの他端710bとステータバスバ420との間の導通機能は、強固に締結されている部分ほど高い。言い換えると、連結バスバの他端710bとステータバスバ420との間の隙間が小さいほど導通しやすく、隙間が大きいほど導通しにくくなる。締結部材430をボルトとナットで構成した場合、ボルトのフランジ部とナットに挟まれた部分が最も強固に締結された部分となる。
連結バスバの他端710bからステータバスバ420に電流が流れる場合、最も強固に締結されている部分である締結部材430の近傍に電流が流れやすい。より詳細には、連結バスバの他端710bを上方向に電流が流れ、締結部材430の近傍を経由してステータバスバ420を下方向に電流が流れることとなる。言い換えると、上方向に流れてから下方向に流れるU字状に折り返された電流経路が形成されることとなる。
第2連結バスバ712において、ステータバスバ420と隣り合っている部分は、第2順方向外乱部712nである。第2順方向外乱部712nにおいて、第2磁電変換部732に最も近い部分は、第2磁電変換部732とy方向において対向する部分である。同様に、第3連結バスバ713~第7連結バスバ717において、ステータバスバ420と隣り合っている部分は、第3順方向外乱部713n~第7順方向外乱部717nである。第3順方向外乱部713n~第7順方向外乱部717nにおいて、第3磁電変換部733~第7磁電変換部737に最も近い部分は、第3磁電変換部733~第7磁電変換部737とy方向で対向する部分である。第2順方向外乱部712n~第7順方向外乱部717nは、順方向外乱部の一例を提供する。
ステータバスバ420において、第2連結バスバ712~第7連結バスバ717と隣り合っている部分は、負荷側逆方向外乱部420nである。負荷側逆方向外乱部420nにおいて、第2磁電変換部732~第7磁電変換部737に最も近い部分は、第2磁電変換部732~第7磁電変換部737とy方向において対向する部分である。第2順方向外乱部712n~第7順方向外乱部717nは、負荷側逆方向外乱部420nとy方向において対向している。負荷側逆方向外乱部420nは、逆方向外乱部の一例を提供する。
第2順方向外乱部712nでは、上方向に流れる電流によって磁界が発生することとなる。一方、負荷側逆方向外乱部420nでは、下方向に流れる電流によって磁界が発生することとなる。言い換えると、第2順方向外乱部712nと負荷側逆方向外乱部420nとでは、互いに逆向きに流れる電流によって、互いに逆向きに磁界が発生することとなる。互いに逆向きの磁界が発生することにより、磁界同士が打ち消しあって第2磁電変換部732に外部ノイズとして影響し得る磁界が弱められることとなる。
第2順方向外乱部712nと負荷側逆方向外乱部420nとは、互いに隣り合って設けられている。このため、第2磁電変換部732から第2順方向外乱部712nまでの距離と、第2磁電変換部732から負荷側逆方向外乱部420nまでの距離とを略等しい距離とすることができる。したがって、第2磁電変換部732において、第2順方向外乱部712nで発生した磁界と、負荷側逆方向外乱部420nで発生した磁界とを効果的に打ち消し合わせることができる。よって、第2順方向外乱部712nと負荷側逆方向外乱部420nとから生じる磁界により、第2磁電変換部732の電流検出精度が低下することが抑制される。この電流検出精度の低下抑制の効果は、第3磁電変換部733~第7磁電変換部737でも同様に生じる。
以上説明したように、第2順方向外乱部712n~第7順方向外乱部717nと負荷側逆方向外乱部420nとは、発生する磁界が互いに打ち消し合わされる外乱抑制部770nを構成している。磁界の打ち消し合いの効果により、外乱抑制部770n全体として弱め合った磁界が発生し、弱め合わない磁界は発生しないこととなる。言い換えると、外乱抑制部770nからは、弱め合った磁界のみが発生することとなる。このため、磁電変換部は、外乱抑制部770nからの距離によらず、外乱抑制部770nからの弱め合った磁界が外部ノイズとして影響することとなる。
電流経路部101は、外乱抑制部770nのように逆向きの電流経路が隣り合っている部分を備えている。さらに、電流経路部101は、ステータバスバ420のみが設けられているなどの隣り合う電流経路のない部分を備えている。外乱抑制部770nは、第2埋設部位712aよりも上側に設けられている。ステータバスバ420のみが設けられている部分は、第2埋設部位712aよりも下側に設けられている。
外乱抑制部770nと第2磁電変換部732とは、両方とも第2埋設部位712aよりも上側に設けられている。言い換えると、第2磁電変換部732は、電流経路部101のうち外乱抑制部770nが形成されている側に設けられている。言い換えると、第2磁電変換部732は、U字状に折り返された電流経路が形成されている側に設けられている。言い換えると、第2磁電変換部732は、ステータバスバ420のうち第2連結バスバ712の隣り合っていない部分がy方向に対向しない位置に設けられている。
第2磁電変換部732は、y方向において外乱抑制部770nと対向している。言い換えると、第2埋設部位712aから第2磁電変換部732までのz方向の距離は、第2埋設部位712aから外乱抑制部770nの端部までのz方向の突出量よりも短い。
第2対向シールド762は、y方向において外乱抑制部770nと対向している。言い換えると、第2埋設部位712aから第2対向シールド762までのz方向の距離は、第2埋設部位712aから外乱抑制部770nの端部までのz方向の突出量よりも短い。
上述した実施形態によると、磁電変換部は、電流経路部101のうち外乱抑制部770nが形成されている側に設けられている。このため、外乱抑制部770nが形成されていない側に磁電変換部を備えた場合に比べて、所定方向であるz方向に沿って電流経路部101を流れる電流から磁電変換部が受ける外部ノイズの影響を抑制しやすい。したがって、電流検出精度の高いセンサユニット700を提供できる。また、外乱抑制部770nにおける磁界の打ち消し合いは、外乱抑制部770nからの距離によらず引き起こされる。言い換えると、外乱抑制部770nから発生する磁界は、外乱抑制部770nからの距離によらず常に弱められた状態となる。このため、磁電変換部と外乱抑制部770nとの相対的な位置関係を自由に設計しやすい。したがって、磁電変換部の搭載自由度を高く確保しやすい。
磁電変換部は、所定方向に直交する方向である直交方向において外乱抑制部770nと対向している。このため、電流経路部101のうち磁電変換部との距離が近い部分を流れる電流から生じる外部ノイズを抑制することができる。また、外乱抑制部770nを端子台720よりも透磁率の大きい材料で構成することで、外乱抑制部770nを磁電変換部のシールドとして機能させることができる。このシールド機能を発揮する外乱抑制部770nを磁電変換部の近くに配置することで、磁電変換部の広い範囲をシールドしやすい。
対向シールド760は、直交方向において外乱抑制部770nと対向している。このため、対向シールド760と外乱抑制部770nとが互いに対向しない場合に比べて、対向シールド760と外乱抑制部770nとの間の距離を短くしやすい。したがって、シールド機能を発揮可能な対向シールド760と外乱抑制部770nとの隙間を小さくできる。よって、対向シールド760や外乱抑制部770nによって磁電変換部をシールドしている範囲を広く確保しやすい。
連結バスバとステータバスバ420とは、順方向外乱部と負荷側逆方向外乱部420nとが互いに隣り合うように締結部材430で締結固定されている。このため、締結部材430での締結により、固定機能と導通機能とを同時に発揮させることができる。特に、金属材料を用いて締結部材430を構成することで、締結部材430自体を電流経路部101の一部とすることもできる。また、締結部材430を取り外すことで、連結バスバとステータバスバ420との固定を解消して、異なる形状のステータバスバ420を取り付けることができる。言い換えると、連結バスバに対してステータバスバ420を着脱可能に構成できる。このため、連結バスバに対して、電気負荷の種類や仕様に応じて任意の形状のステータバスバ420を取り付けて外乱抑制部770nを構成することができる。
第2実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。この実施形態では、連結バスバの一端710aと他端710bとの両側に外乱抑制部770nが形成されている。
図9に基づいて、電流経路部101の構成および磁電変換部を透過しようとする磁界の打ち消しについて説明する。図9では、7つの連結バスバ、磁電変換部、遮蔽シールド、および、対向シールドのうちの代表として、第2連結バスバ712、第2磁電変換部732、第2遮蔽シールド742、および、第2対向シールド762を示している。他の第3~第7の連結バスバ、磁電変換部、遮蔽シールド、および、対向シールドは、図9と同等の構成である。
第2連結バスバ712の一端710aは、z方向に沿って延び出している部分を備えている。第2連結バスバ712の一端710aと中点端子330cとは、x方向に隣り合って並んだ状態でz方向の端部において、互いに溶接接合されている。このため、中点端子330cを上方向に流れた電流は、溶接接合されている部分を流れた後、連結バスバの一端710aを下向きに流れることになる。言い換えると、中点端子330cと連結バスバの一端710aとは、電流の流れる向きが互いに逆向きである。
第2連結バスバ712のうち、中点端子330cと隣り合っている部分は、第2順方向外乱部712nである。第2連結バスバ712と同様に、第3連結バスバ713~第7連結バスバ717のうち、中点端子330cと隣り合っている部分は、第3順方向外乱部713n~第7順方向外乱部717nである。中点端子330cのうち、連結バスバと隣り合っている部分は、電源側逆方向外乱部330nである。順方向外乱部と電源側逆方向外乱部330nとは、互いに隣り合って設けられ、流れる電流の向きが互いに逆向きとなる外乱抑制部770nを構成している。電源側逆方向外乱部330nは、逆方向外乱部の一例を提供する。
外乱抑制部770nは、順方向外乱部と電源側逆方向外乱部330nとで構成される部分と、順方向外乱部と負荷側逆方向外乱部420nとで構成される部分とを備えている。言い換えると、連結バスバの一端710aと他端710bとのそれぞれに外乱抑制部770nが構成されている。磁電変換部は、連結バスバの一端710aに設けられた外乱抑制部770nと他端710bに設けられた外乱抑制部770nとの間に設けられている。外乱抑制部770nは、2箇所に限られず、3箇所以上設けられていてもよい。
上述した実施形態によると、磁電変換部は、電流経路部101に複数設けられた外乱抑制部770n同士の間に設けられている。言い換えると、磁電変換部のy方向の両側に外乱抑制部770nが設けられている。このため、磁電変換部の片側のみに外乱抑制部770nが設けられている場合に比べて、磁電変換部が受ける外部ノイズの影響を抑制しやすい。
連結バスバの端部と中点端子330cの端部とは、順方向外乱部と電源側逆方向外乱部330nとが互いに隣り合うように溶接固定されている。このため、溶接によって連結バスバと中点端子330cとの間での固定機能と導通機能とが良好な状態を維持しやすい。ここで、センサユニット700を車載システム100に用いる場合には、センサユニット700が車両走行時の振動の影響を受けることとなる。したがって、安定した固定機能および導通機能を維持しやすい溶接固定は、特に有用である。
第3実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。この実施形態では、連結バスバの一端710aに外乱抑制部770nが形成され、連結バスバの他端710bに外乱部770gが形成されている。さらに、磁電変換部から外乱抑制部770nまでの距離は、磁電変換部から外乱部770gまでの距離よりも短い。
図10に基づいて、電流経路部101の構成について説明する。図10では、7つの連結バスバ、磁電変換部、遮蔽シールド、および、対向シールドのうちの代表として、第2連結バスバ712、第2磁電変換部732、第2遮蔽シールド742、および、第2対向シールド762を示している。他の第3~第7の連結バスバ、磁電変換部、遮蔽シールド、および、対向シールドは、図10と同等の構成である。
第2連結バスバ712の他端710bには、外乱抑制部770nが構成されていない。より詳細には、第2連結バスバ712の他端710bのz方向に沿って延び出している部分には、ステータバスバ420が隣り合って設けられていない部分が存在する。また、第2連結バスバ712の他端710bとステータバスバ420とが隣り合っている部分は、どちらも電流の流れる方向が上方向である。言い換えると、第2連結バスバ712の他端710bとステータバスバ420とは、互いに逆向きに電流が流れない電流経路である。
第2連結バスバ712の他端710bのうちz方向に沿って延び出している部分は、外乱部770gである。外乱部770gは、第2磁電変換部732とy方向に対向する部分を含んでいる。外乱部770gのうち第2磁電変換部732とy方向に対向する部分は、外乱部770gにおいて第2磁電変換部732に最も近い部分である。このため、外乱部770gのうち第2磁電変換部732とy方向に対向する部分は、第2磁電変換部732に与える外部ノイズの影響が大きい。したがって、第2磁電変換部732を外乱部770gから離れた位置に配置するなどして、外乱部770gからの影響を抑制することが好ましい。
第2磁電変換部732から外乱抑制部770nまでの距離は、第2磁電変換部732から外乱部770gまでの距離よりも短い。言い換えると、第2磁電変換部732は、y方向において中点端子330cと基準線BLとの間に位置している。言い換えると、磁界を打ち消し合わない外乱部770gよりも、磁界を打ち消し合う外乱抑制部770nに近い位置に第2磁電変換部732が配置されている。
上述した実施形態によると、磁電変換部から外乱抑制部770nまでの距離は、磁電変換部から外乱部770gまでの距離よりも短い。このため、磁界が打ち消し合わない外乱部770gから離れた位置に磁電変換部を配置できる。したがって、外乱部770gで発生した外部ノイズが磁電変換部に大きな影響を与えてしまうことを抑制できる。
第4実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。この実施形態では、磁電変換部が負荷側電流経路部104に対して、所定方向に直交する方向である直交方向に対向しない位置に設けられている。
図11に基づいて、電流経路部101の構成について説明する。図11では、7つの連結バスバ、磁電変換部、遮蔽シールド、および、対向シールドのうちの代表として、第2連結バスバ712、第2磁電変換部732、第2遮蔽シールド742、および、第2対向シールド762を示している。他の第3~第7の連結バスバ、磁電変換部、遮蔽シールド、および、対向シールドは、図11と同等の構成である。
電流経路部101は、バッテリ200から連結バスバの検出対象部までの電流経路を提供している電源側電流経路部103を備えている。さらに、電流経路部101は、モータ400から連結バスバの検出対象部までの電流経路を提供している負荷側電流経路部104を備えている。電源側電流経路部103において、z方向に沿って延び出している部分は、電源側所定方向部103zである。負荷側電流経路部104において、z方向に沿って延び出している部分は、負荷側所定方向部104zである。電源側所定方向部103zと負荷側所定方向部104zとは、z方向に電流が流れるため、x方向成分とy方向成分とを有する磁界を発生させることとなる。
第2連結バスバ712の一端710aは、y方向に沿って延び出している部分を備えている。第2連結バスバ712の他端710bは、y方向に沿って延び出している部分と、z方向の上方向に沿って延び出している部分とを備えている。ここで、第2連結バスバ712の他端710bのうちz方向の上方向に沿って延び出している部分は、負荷側所定方向部104zである。一方、第2連結バスバ712の一端710aと接続している中点端子330cは、電源側所定方向部103zである。
第2磁電変換部732から電源側所定方向部103zまでの距離のy方向成分は、第2磁電変換部732から負荷側所定方向部104zまでの距離のy方向成分よりも小さい。言い換えると、第2磁電変換部732は、y方向において、負荷側所定方向部104zよりも電源側所定方向部103zに近い位置に設けられている。
第2磁電変換部732は、電源側所定方向部103zを有する電源側電流経路部103に対して、y方向に対向していない。一方、第2磁電変換部732は、負荷側所定方向部104zを有する負荷側電流経路部104に対して、y方向に対向している。言い換えると、第2磁電変換部732は、負荷側電流経路部104とはy方向に対向し、電源側電流経路部103とはy方向に対向していない。ここで、第2磁電変換部732は、y方向だけでなくz方向と直交するすべての方向について、電源側電流経路部103と対向していない。
上述した実施形態によると、磁電変換部は、電源側電流経路部103に対して、z方向に直交する方向である直交方向に対向しない位置に設けられている。このため、電源側電流経路部103における電源側所定方向部103zと磁電変換部との距離を長く確保しやすい。したがって、電源側所定方向部103zから外部ノイズが発生した場合であっても、磁電変換部に与える影響を小さくすることができる。電源側所定方向部103zよりも負荷側所定方向部104zの方が磁電変換部に近い場合には、磁電変換部を負荷側電流経路部104に対して直交方向に対向しない位置に設けてもよい。この場合、負荷側所定方向部104zから発生する外部ノイズの影響を小さくすることができる。
磁電変換部は、負荷側所定方向部104zよりも近い位置に設けられている電源側所定方向部103zを有する電源側電流経路部103に対して、直交方向に対向しない位置に設けられている。一方、磁電変換部は、負荷側所定方向部104zを有する負荷側電流経路部104に対して、y方向に対向する位置に設けられている。このため、電源側電流経路部103に対してy方向に対向し、負荷側電流経路部104に対して直交方向に対向しない位置に磁電変換部を設けた場合に比べて、磁電変換部から外部ノイズの発生源までの最短距離を長くすることができる。したがって、磁電変換部が受ける外部ノイズの影響を抑制しやすい。
第5実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。この実施形態では、磁電変換部が電源側電流経路部103と負荷側電流経路部104との両方に対して、所定方向に直交する方向である直交方向に対向しない位置に設けられている。
図12に基づいて、電流経路部101の構成について説明する。図12では、7つの連結バスバ、磁電変換部、遮蔽シールド、および、対向シールドのうちの代表として、第2連結バスバ712、第2磁電変換部732、第2遮蔽シールド742、および、第2対向シールド762を示している。他の第3~第7の連結バスバ、磁電変換部、遮蔽シールド、および、対向シールドは、図12と同等の構成である。
第2連結バスバ712の一端710aは、x方向に沿って延び出している部分を備えている。第2連結バスバ712の他端710bは、x方向に沿って延び出している部分と、z方向の下方向に沿って延び出している部分とを備えている。ここで、第2連結バスバ712の他端710bのうちz方向の下方向に沿って延び出している部分は、負荷側所定方向部104zである。一方、第2連結バスバ712の一端710aと接続している中点端子330cは、電源側所定方向部103zである。
第2連結バスバ712は、z方向の上方向に沿って延び出している部分を備えていない。このため、第2磁電変換部732は、電源側電流経路部103と負荷側電流経路部104との両方に対して、y方向に対向していない。言い換えると、第2磁電変換部732は、電流経路部101に対して、y方向に対向していない。また、第2磁電変換部732は、y方向だけでなくz方向と直交するすべての方向において、電流経路部101と対向していない。
上述した実施形態によると、磁電変換部は、電源側所定方向部103zと負荷側所定方向部104zとの両方に対して直交方向に対向しない位置に設けられている。このため、電源側所定方向部103zと負荷側所定方向部104zとの両方からz方向に離れた位置に磁電変換部を配置することができる。したがって、電源側所定方向部103zと負荷側所定方向部104zとの両方による外部ノイズの影響を効果的に抑制できる。
他の実施形態
上述の各実施形態では、インバータ320がU相スイッチモジュール322~Z相スイッチモジュール327の6つを有する例を示した。しかしながらインバータ320がU相スイッチモジュール322~W相スイッチモジュール324の3つを有する構成を採用することもできる。
上述の各実施形態では、電力変換装置300がコンバータ310とインバータ320を備える例を示した。しかしながら、電力変換装置300がインバータ320のみを備えてもよい。
上述の各実施形態では、遮蔽シールド740と対向シールド760それぞれがz方向の厚さの薄い平板形状である例を示した。しかしながら、シールドの形状としては特に限定されない。例えば遮蔽シールドと対向シールドそれぞれがz方向の厚さの薄い平板部と、この平板部のx方向の両端からz方向に延びた側板部とを有する形状を採用することができる。遮蔽シールドと対向シールドそれぞれの側板部の先端面をz方向で対向する態様とすることで、これら2つのシールドによって磁電変換部と埋設部位とが囲まれる構成を採用することができる。さらに言えば、センサユニット700が遮蔽シールド740と対向シールド760のうちの一方のみを有する構成も採用することができる。
上述の各実施形態では、コンバータ310がA相スイッチモジュール312を備える例を示した。しかしながら、コンバータ310は複数の相スイッチモジュールを備えてもよい。この場合、第1連結バスバ711の一端710aは相スイッチモジュールの数に応じて分岐することとなる。例えばコンバータ310が2つの相スイッチモジュールを備える場合、第1連結バスバ711の一端710aは二又に分岐する。コンバータ310が3つの相スイッチモジュールを備える場合、第1連結バスバ711の一端710aは三又に分岐する。
さらにいえば、インバータ320の備える6相のスイッチモジュールそれぞれがハイサイドスイッチ331とローサイドスイッチ332を複数備えてもよい。この場合、第2連結バスバ712~第7連結バスバ717の一端710aは、ハイサイドスイッチ331の数に応じて分岐している。例えば6相のスイッチモジュールそれぞれがハイサイドスイッチ331とローサイドスイッチ332それぞれを2つ備える場合、第2連結バスバ712~第7連結バスバ717の一端710aは二又に分岐することとなる。6相のスイッチモジュールそれぞれがハイサイドスイッチ331とローサイドスイッチ332それぞれを3つ備える場合、第2連結バスバ712~第7連結バスバ717の一端710aは三又に分岐する。
各実施形態では、センサユニット700を含む電力変換装置300がハイブリッドシステムを構成する車載システム100に適用される例を示した。しかしながら電力変換装置300の適用としては特に上記例に限定されない。例えば電気自動車の車載システム100に電力変換装置300が適用された構成を採用することもできる。
この明細書および図面等における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、1つの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、さらに請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
明細書および図面等における開示は、請求の範囲の記載によって限定されない。明細書および図面等における開示は、請求の範囲に記載された技術的思想を包含し、さらに請求の範囲に記載された技術的思想より多様で広範な技術的思想に及んでいる。よって、請求の範囲の記載に拘束されることなく、明細書および図面等の開示から、多様な技術的思想を抽出することができる。