JP7332030B2 - 通信装置、通信制御方法、及び通信制御プログラム - Google Patents

通信装置、通信制御方法、及び通信制御プログラム Download PDF

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Description

本開示は、通信装置、通信制御方法、及び非一時的なコンピュータ可読媒体に関する。
特許文献1のように、伝送路を介して2つの通信装置の間で行われる通信では、バーストエラーが発生し得る。特許文献1は、伝送路で発生したバーストエラーを再現する技術を開示する。
ところで、光通信路を介して通信を行う光通信システムが知られている。当該光通信システムでは、一般的に強力な誤り訂正処理が行われており、陸上系通信システムと比較して、送受信されるデータの誤り率が極めて小さい、いわゆるエラーフリー通信がエンドユーザに提供される。
特開2018-116344号
Jesse E. Simsarian, Young-Jin Kim, Nakjung Choi, Catello Di Martino, Nishok N. Mohanasamy, Peter J. Winzer, and Marina Thottan, "Error Awareness in a Multi-Layer Transport Network Operating System," Journal of Optical Communications and Networking, Vol. 10, Iss. 3, Feb. 2018. Yohei HASEGAWA and Jiro KATTO, "A Transmission Control Protocol for Long Distance High-Speed Wireless Communications," IEICE Trans. on Communication, Vol. El0l-B, No. 4, APRIL 2018. NEAL CARDWELL, YUCHUNG CHENG, C. STEPHEN GUNN, SOHEIL HASSAS YEGANEH, SOHEIL HASSAS YEGANEH and VAN JACOBSON, "BBR: Congestion-Based Congestion Control," ACM Queue, Vol. 14, Issue 5, DECEMBER 2016.
光通信システムでは、エラーフリー通信をエンドユーザに提供し、安定した長期間サービスを行うために、例えば、所要SNR(Signal-to-Noise Ratio)、又は誤り訂正処理等の通信設定に対して大きなマージンを設けている。
ところで、近年、光通信システムにおいて、通信設備及び通信路(通信インフラ)を管理する通信事業者が多様化してきている。通信事業者によっては、光通信システムにおいて、許容できる通信品質を、エラーフリー通信における通信品質よりも低くして、通信インフラの通信容量を確保することを望む場合もあり得る。このように、光通信システムにおける通信事業者の多様化により、通信品質だけでなく、通信インフラの通信容量も考慮する必要性が出てきた。そのため、通信事業者が、通信容量を増やすために、例えば、通信設定に対して設けられたマージンを低く設定された光通信システムが運用されることが想定される。しかしながら、通信設定に対して設けられたマージンを変更した場合に、ユーザに提供される通信品質がどのような状況であるのかを把握することは難しく、通信事業者は、通信品質状態を適切に把握できていない可能性があり得る。
本開示の目的の1つは、上記課題を解決するためになされたものであり、通信品質状態を把握することが可能な通信装置、通信制御方法、及び非一時的なコンピュータ可読媒体を提供することにある。
本開示にかかる通信装置は、
光通信路において発生したバーストエラーに関連する品質情報を取得する取得手段と、
前記品質情報に基づいて、前記バーストエラーに起因する第1通信装置における通信品質の影響度を示す第1指標値を推定する推定手段と、を備える。
本開示にかかる通信制御方法は、
光通信路において発生したバーストエラーに関連する品質情報を取得することと、
前記品質情報に基づいて、前記バーストエラーに起因する第1通信装置における通信品質の影響度を示す第1指標値を推定することと、を含む。
本開示にかかる非一時的なコンピュータ可読媒体は、
光通信路において発生したバーストエラーに関連する品質情報を取得することと、
前記品質情報に基づいて、前記バーストエラーに起因する第1通信装置における通信品質の影響度を示す第1指標値を推定することと、をコンピュータに実行させる通信制御プログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体である。
本開示によれば、通信品質状態を把握することが可能な通信装置、通信制御方法、及び非一時的なコンピュータ可読媒体を提供できる。
実施の形態の概要にかかる通信装置の構成例を示すブロック図である。 実施の形態1にかかる光通信システムの構成例を示す図である。 一般的なTCP方式と、超高速TCPとを比較した図である。 光伝送装置間のデータの送受信状況を示す図である。 複数の変調方式について、エラー率と、SNRとの関係を示す図である。 TCP方式による通信状況を表す図である。 実施の形態1にかかる光伝送装置の動作例を示すフローチャートである。 実施の形態2にかかる光通信システムの構成例を示す図である。 実施の形態にかかる通信装置等のハードウェア構成例を示す図である。
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。なお、以下の記載及び図面は、説明の明確化のため、適宜、省略及び簡略化がなされている。また、以下の各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
(実施の形態に至る検討)
上述したように、通信インフラを提供する事業者の多様化に伴い、光通信システムにおいて、通信容量を増やすことを望む通信事業者も想定される。このような通信事業者は、例えば、要求される所要SNRや誤り訂正処理(FEC:Forward Error Correction)等の通信設定に設けられたマージンを下げ、通信容量の増大を実現することが想定される。
ここで、非特許文献1には、通信設定に対して設けられたマージンを下げることにより、低頻度でバーストエラーが発生することが開示されている。当該バーストエラーは、Post-FECバーストエラーである。非特許文献1には、光通信における、例えば、SN比等の品質値と、Post-FEC BER(Bit Error Rate)との関係が開示されており、品質値が所定値よりも悪くなった場合に、低頻度でバーストエラーが発生することが開示されている。また、通信容量の増大を実現したい通信事業者は、通信容量を増加させるために、通信チャネルを増やすことにより実現することも想定されるが、通信チャネルを増やすことにより、バーストエラーが発生し得る。さらに、バーストエラーは、雷、地震等の影響により、通信路の電圧が変化する際に発生し得る。
このように、通信設定に対して設けられたマージンを示す通信設定マージンを下げることにより、通信容量を増やすことは可能となる。しかし、低頻度でバーストエラーが発生するため、バーストエラーに起因するユーザ影響度を含めた通信品質状態を把握した上で、通信設定マージンを調整する必要がある。そこで、発明者は、通信設定マージンが変更された場合に発生するバーストエラーによるユーザ影響度を示す指標値を推定することにより、通信事業者が通信品質状態を把握可能とすることを検討した。
(実施の形態の概要)
図1は、実施の形態の概要にかかる通信装置の構成例を示すブロック図である。通信装置1は、光通信システムを構成する通信装置であり、例えば、光伝送装置であってもよいし、光通信システムの監視及び制御を行うネットワーク監視装置であってもよい。通信装置1は、取得部2と、推定部3とを備える。
取得部2は、光通信路において発生したバーストエラーに関連する品質情報を取得する。光通信路は、例えば、海底ケーブルである。品質情報は、光通信路16に接続される光伝送装置間の通信往復時間と、バーストエラーが発生したバーストエラー時間とを含んでもよい。通信往復時間は、RTT(Round Trip Time)であってもよい。なお、光伝送装置20から光伝送装置30に送信されるデータは複数データであるため、通信往復時間は、光通信路16に接続される光伝送装置間のRTTの平均値であってもよい。また、品質情報は、光通信路における第1エラー率を含んでもよい。第1エラー率は、BERであってもよいし、FER(Frame Error Rate)であってもよい。
推定部3は、取得部2が取得した品質情報に基づいて、バーストエラーに起因する第1通信装置における通信品質の影響度合いを示す第1指標値を推定する。第1通信装置は、エンドユーザが管理するエンドユーザ端末であってもよいし、エンドユーザ端末と光伝送装置との間の中継装置であってもよい。
通信装置1は、上記構成を有するため、バーストエラーに関連する品質情報に基づいて、バーストエラーに起因する第1通信装置における通信品質の影響度合いを示す第1指標値を推定する。光通信システムを運用する通信事業者は、第1指標値により、通信品質状態を把握することができる。したがって、実施の形態にかかる通信装置1によれば、第1指標値を推定することにより、通信品質状態を把握できる。
(実施の形態1)
以下、図面を参照して、実施の形態1について説明する。
<光通信システムの構成例>
図2を用いて、実施の形態1にかかる光通信システム100の構成例について説明する。図2は、実施の形態1にかかる光通信システムの構成例を示す図である。光通信システム100は、端末装置10と、光伝送装置20及び30とを備える。
端末装置10は、例えば、陸上に設けられる通信装置である。端末装置10は、例えば、エンドユーザが管理するエンドユーザ端末であってもよいし、エンドユーザ端末と、光伝送装置20との間に設けられた中継装置等であってもよい。なお、以降の説明では、端末装置10は、エンドユーザ端末であるとして説明する。
端末装置10は、回線15を介して光伝送装置20と接続し、回線15を介して光伝送装置20と通信する。回線15は、例えば、アクセス回線である。回線15は、端末装置10から光伝送装置20までの通信路と称されてもよい。
光伝送装置20及び30は、光ファイバ等により構成される海底ケーブルである光通信路16を介して互いに接続し、光通信路16を介して通信を行う通信装置である。光伝送装置20及び30は、それぞれ、光通信路16を介して送受信される光信号を、回線15、及び光伝送装置30と接続された回線(不図示)を介して送受信される電気信号に変換する。また、光伝送装置20及び30は、回線15、及び光伝送装置30と接続された回線(不図示)を介して送受信される電気信号を、光通信路16を介して送受信される光信号に変換する。
光伝送装置20及び30は、WDM(Wavelength Division Multiplexing)方式に対応しており、光通信路16を送受信されるデータを、複数の波長帯に構成される複数の通信チャネルを介して、対向する光伝送装置に送信する。各通信チャネルは、光スペクトラムと称されてもよい。
光伝送装置20及び光伝送装置30は、一般的なTCP Reno方式よりも、エラー耐性が高いTCP方式による通信を行う。光伝送装置20及び光伝送装置30は、光通信路16を介した通信において、エラーが発生した場合、一般的なTCP Reno方式よりも、エラー耐性が高いTCP方式による再送処理を実行する。
ここで、非特許文献2及び3には、一般的なTCP(Transmission Control Protocol)方式であるTCP Reno方式よりも、エラー耐性が高く、高速通信を実現可能なTCP方式が提案されている。非特許文献2には、エラー耐性が高く、高速通信を実現可能なTCP方式として、10Gbpsよりも高いデータ伝送スループットを実現可能なTCP-FSO(transmission control protocol-free-space optical communications)方式が提案されている。非特許文献3にも、一般的なTCP方式よりもエラー耐性が高いTCP方式が提案されている。非特許文献2及び3に開示されているTCP方式は、高いデータ伝送スループットを実現可能なTCP方式であるため、超高速TCP方式と称されてもよい。
図3は、一般的なTCP方式と、超高速TCPとを比較した図である。図3の横軸は、リンクスピードを表しており、通信容量に対応する。縦軸は、ユーザスループットを表している。一点鎖線は、Post-FEC BERを表している。点線は、一般的なTCP方式の通信容量と、スループットとの関係を表している。実線は、非特許文献2及び3に開示されている超高速TCP方式の通信容量と、ユーザスループットとの関係を表している。
図3の点線の丸で囲んだ部分は、一般的なTCP方式において、最もよいユーザスループットを示している。図3の実線の丸で囲んだ部分は、超高速TCP方式において、最もよいユーザスループットを示している。図3に示すように、ユーザスループットが最もよくなるときの通信容量は、一般的なTCP方式よりも超高速TCP方式の方が大きい。また、超高速TCP方式では、Post-FEC BERが高くなってきても、ユーザスループットが低下せず、実線の丸で囲んだ部分までは、ユーザスループットを高くしつつ、通信容量を確保できる。このように、非特許文献2及び3に開示されている超高速TCP方式は、一般的なTCP方式であるTCP Reno方式よりも、Post-FEC BERが上がってきたとしても、ユーザスループット及び通信容量を増やすことができる。そのため、光伝送装置20及び30は、非特許文献2及び3に開示されている、一般的なTCP Reno方式よりも、エラー耐性が高いTCP方式を用いて、当該TCP方式を用いて再送処理を実行する。これにより、光伝送装置20及び30は、光通信路16の通信容量を増大させることができる。
図2に戻り説明を続ける。光伝送装置20及び30は、それぞれ光通信路16を送受信されるデータを正常に受信した場合、確認応答(ACK:Acknowledgement)を、対向する光伝送装置に送信する。光伝送装置20及び30は、それぞれ光通信路16を送受信されるデータに対して、確認応答を受信しない場合、確認応答が受信されなかったデータを再送する。
光伝送装置20は、通信装置1に対応する。光伝送装置20は、端末装置10から送信されるデータを、光通信路16及び光伝送装置30を介して、端末装置10と対向する端末装置(不図示)に送信する。光伝送装置20は、端末装置10に送信されるデータを受信し、端末装置10に送信する。
光伝送装置30は、端末装置10と対向する端末装置(不図示)から送信されるデータを、光通信路16及び光伝送装置20を介して端末装置10に送信する。光伝送装置30は、端末装置10と対向する端末装置(不図示)に送信されるデータを受信し、端末装置10と対向する端末装置(不図示)に送信する。
<光伝送装置の構成例>
次に、光伝送装置20の構成例について説明する。光伝送装置20は、再送処理部21と、取得部22と、推定部23と、制御部24と、出力部25とを備える。
再送処理部21は、光通信路16を介した通信においてエラーが発生した場合、再送処理を実行する。再送処理部21は、一般的なTCP Reno方式よりも、エラー耐性が高い、超高速TCP方式により通信を行い、再送処理を実行する。
再送処理部21は、光通信路16を介して、光伝送装置30にデータを送信する。再送処理部21は、当該データに対する確認応答(ACK)を光伝送装置30から受信する。再送処理部21は、確認応答(ACK)が受信された場合、上記データに続く他のデータを送信する。一方、再送処理部21は、確認応答(ACK)が受信されなかった場合、確認応答を受信しなかったデータを再送する。再送処理部21は、光通信路16を介して、光伝送装置30からデータを受信する。再送処理部21は、当該データを正常に受信した場合、光伝送装置30にACKを送信する。
取得部22は、例えば、光チャネルモニタ(OCM:Optical Channel Monitor)、光スペクトラムアナライザ等の光スペクトラム計測器を含むように構成される。取得部22は、光通信路16を介した通信において発生するバーストエラーに関連する品質情報を取得する。品質情報は、光通信路16に接続される、光伝送装置20及び30の間の通信往復時間であるRTTと、バーストエラーが発生したバーストエラー時間と、光通信路16におけるエラー率とを含む。品質情報は、光通信路16を介して通信を行うユーザ数、及び光通信路16における光信号品質であるSNRをさらに含んでもよい。なお、光信号品質は、OSNR(Optical Signal to Noise Ratio)であってもよい。
エラー率は、BERであってもよいし、FERであってもよい。なお、Post-FECバーストエラーは、低頻度で発生することが想定されるため、BERとFERとはほぼ同じ値になることが想定される。そのため、取得部22は、BERを取得してもよいし、FERを取得してもよい。光通信路16におけるエラー率を示す変数は、Pとして定義される。なお、本実施の形態では、エラー率は、BERであるとして説明する。
ここで、図4を用いて、RTTと、バーストエラー時間とについて説明する。図4は、光伝送装置間のデータの送受信状況を示す図である。実線及び点線は、データ送信側である光伝送装置20から受信側である光伝送装置30に送信されるデータを表している。実線は、光伝送装置20から送信されたデータが光伝送装置30で正常に受信されたデータを表している。点線は、光伝送装置20から送信されたデータが光伝送装置30で正常に受信されなかったデータを表している。三点鎖線は、光伝送装置30からの確認応答を表している。なお、当然ながら、光伝送装置30が送信側装置であり、光伝送装置20が受信側装置でもある。
RTTは、光伝送装置20から光伝送装置30にデータが送信された送信時刻から、当該データに対する確認応答が光伝送装置20で受信された受信時刻までの時間である。光伝送装置20からデータが送信され、光伝送装置30に当該データが到達した時間をDと定義すると、RTTは、2Dで表すことができる。取得部22は、光伝送装置30に送信されるデータを監視し、当該データの送信時刻から、当該データに対する確認応答の受信時刻に基づいて、RTTを取得する。
なお、取得部22は、光伝送装置20及び30のIPアドレスに対応する位置情報を保持し、光伝送装置20から光伝送装置30に送信されるデータのIPアドレスからそれぞれの位置を特定し、距離を算出してRTTを決定してもよい。
バーストエラー時間は、RTT内で発生したバーストエラーの時間であり、バーストエラー時間を示す変数は、Lとして定義される。RTT内で複数のバーストエラーが発生することも想定されるため、バーストエラー時間は、RTT内で発生した複数のバーストエラーの合計時間とする。図3において、矩形で示した部分は、点線が連続しており、バーストエラーが発生していることを表している。取得部22は、光伝送装置30に送信されるデータが連続して正常に受信されなかった時間の合計時間をバーストエラー時間として取得する。光伝送装置20から光伝送装置30に送信されるデータは複数データであるため、バーストエラー時間は、複数データに対するバーストエラーの合計時間の平均値とする。
推定部23は、取得部22が取得した品質情報に基づいて、バーストエラーに起因する端末装置10における通信品質の影響度合いを示す指標値を推定する。指標値は、光通信路16を介した通信を行うユーザ数に対する通信品質が劣化するユーザ数の割合を示すユーザ割合と、端末装置10における遅延時間と、光通信路を介した通信に要求される遅延時間に関する遅延品質指標値を満たさない確率と、を含む。
ユーザ割合は、光通信路16を介した通信を行うユーザ数に対する再送処理により遅延時間が悪化するユーザ数の割合ともいえる。再送処理により遅延時間が悪化するユーザは、再送処理中に通信回線が利用できないため、ユーザ割合は、ある時間中に通信回線が利用不能となったユーザの割合ともいえる。
本実施の形態では、端末装置10はエンドユーザ端末であるため、端末装置10における遅延時間は、エンドユーザにおける遅延時間であり、ユーザ遅延時間と称されてもよい。遅延品質指標値は、光通信路16を管理する通信事業者が、光通信システムにおける通信に対して要求する遅延時間に関する指標値である。遅延品質指標値を満たさない確率は、通信品質が保持されなくなる確率ともいえるため、品質劣化確率と称されてもよい。なお、推定部23は、光通信路16における雑音が、加算性白色ガウス雑音(AWGN:Additive white Gaussian noise)であると仮定して、上記した指標値を推定する。
推定部23は、取得部22が取得した、RTTと、バーストエラー時間とに基づいて、ユーザ割合を推定する。ここで、ユーザ割合を示す変数をAとして定義すると、ユーザ割合は、以下の式(1)により算出することができる。そのため、推定部23は、式(1)を用いて、ユーザ割合を推定する。
Figure 0007332030000001
ここで、Aはユーザ割合であり、Lはバーストエラー時間であり、DはRTTの半分の時間であり、A’はターゲット閾値(target threshold)である。なお、式(1)では、DはRTTの半分の時間であるが、変数DをRTTに置換してもよい。
一般的なエラー率は、エラー数/通信データ数であるのに対して、上記ユーザ割合は、ユーザ通信がバーストエラー中に行われる確率である。例えば、バーストエラー平均時間であるLが10ms、通信往復時間であるDが30msであれば、A=10ms/30ms=1/3となり、一般的なエラー率に対して高くなる。このように、推定部23は、上記式(1)を用いてユーザ割合である変数Aを求めることで、高い感度でバーストエラーの影響を検出できる。つまり、推定部23は、バーストエラーに対して高い感度で影響度を算出するため、上記式(1)により算出されたユーザ割合を用いることで、ユーザに対して安定した通信サービスの提供を可能とする。
また、推定部23は、取得部22が取得した、RTTと、BERとに基づいて、端末装置10における遅延時間を推定する。換言すると、推定部23は、RTTと、BERとに基づいて、ユーザ遅延時間を推定する。ここで、端末装置10における遅延時間を示す変数をDuserとして定義すると、端末装置10における遅延時間は、以下の式(2)により算出することができる。推定部23は、式(2)を用いて、端末装置10における遅延時間を推定する。
Figure 0007332030000002
ここで、Duserは端末装置10における遅延時間であり、DはRTTの半分の時間であり、Pは光通信路16におけるBERであり、D’はターゲット閾値(target threshold)である。なお、式(2)では、変数DはRTTの半分の時間を示す変数であるが、変数DをRTTに置換してもよい。
上記した式(2)において、iは、再送処理の回数を表しており、右辺第2項は、再送処理を考慮した遅延時間を表している。推定部23は、再送処理を考慮して、端末装置10における遅延時間を推定する。
また、推定部23は、取得部22が取得した、RTTと、BERと、遅延品質指標値とに基づいて、端末装置10において、遅延品質指標値を満たさない確率を推定する。換言すると、推定部23は、RTTと、BERと、遅延品質指標値とに基づいて、品質劣化確率を推定する。
ここで、遅延品質指標値を満たさない確率を示す変数をPDFとして定義すると、遅延品質指標値を満たさない確率は、以下の式(3)により算出することができる。推定部23は、式(3)を用いて、遅延品質指標値を満たさない確率を推定する。
Figure 0007332030000003
ここで、PDFは遅延品質指標値を満たさない確率であり、DはRTTの半分の時間であり、Pは光通信路16におけるBERであり、DSLAは遅延品質指標値であり、P’はターゲット閾値(target threshold)である。なお、式(3)では、変数DはRTTの半分の時間を示す変数であるが、変数DをRTTに置換してもよい。
式(3)において、nは、遅延品質指標値に基づいて決定される、光通信路16において実行される再送処理の再送回数を表している。遅延品質指標値DSLAに基づいて、再送処理がn回実行されるとすると、PDFは、通信品質が保持されなくなる品質劣化確率ともいえる。上記のように、PDF=P(n+1)であるため、品質劣化確率はとても小さくなり、平均遅延時間に対する影響も小さい。つまり、上記式(3)を用いることにより、通信事業者は、より小さなマージンで光通信システムを運用できる。換言すると、通信事業者は、エラー率はあるものの、通信容量を増大させた状態で、光通信システムを運用できる。
制御部24は、推定部23が推定したユーザ割合を用いて、光通信路16における通信設定を変更する。制御部24は、推定部23が推定したユーザ割合を用いて、光通信路16を介した通信における変調方式を変更し、通信設定マージンを調整する。また、制御部24は、光通信路16を介して通信を行うユーザ数及び光信号品質であるSNRをさらに用いて、光通信路16を介した通信における変調方式を変更し、通信設定マージンを調整してもよい。
光通信路16を介した通信において、使用し得る変調方式として、複数の変調方式が挙げられる。光通信路16を介した通信に使用し得る変調方式は、例えば、BPSK(Binary Phase shift Keying)、QPSK(Quadrature Phase shift Keying)、8-QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、16-QAM、32-QAM、64-QAM、128-QAM、又は256-QAMである。
短時間の通信を考えると、バーストエラーを経験したユーザ通信は再送処理のために通信速度(スループット)が低下するため、バーストエラー中の通信回線の利用率が低下することが想定される。制御部24は、ユーザ割合を考慮し、瞬間的に再送処理が行われていないユーザによる通信速度の合計量BESTが光通信路16の回線速度BMODを大きく下回らないように通信設定マージンを調整する。
ここで、光通信路16を介した通信を行うユーザ数をUとし、ユーザの通信速度をBTCPとすると、BESTは、式(4)のように表すことができる。制御部24は、式(4)を用いて、BESTを算出する。なお、変数Aは、推定部23が推定したユーザ割合であり、変数Uは取得部22が取得したユーザ数である。
Figure 0007332030000004
光伝送装置20及び30には、超高速TCP方式が適用されており、ユーザの通信速度BTCPは、以下の式(5)のように表すことができる。
Figure 0007332030000005
ここで、Dは通信往復時間であり、WはTCP方式を用いた通信を行うためにデータを一時的に保持するバッファのバッファサイズであり、PはBERである。変数Wは、制御部24が予め自装置から取得しておくことができる。
なお、光伝送装置20及び30に一般的なTCP方式が適用されていると仮定すると、ユーザの通信速度BTCPは、以下のように表すことができる。
Figure 0007332030000006
ここで、Dは通信往復時間であり、PはBERであり、Vは定数である。なお、定数Vは、例えば、0.866である。
通信設定マージンは、1つの通信シンボルで送信できる状態数である、多値変調方式の多値度を変更することにより変更される。多値度を示す変数をMとし、多値変調方式による通信速度を示す変数をBMODとし、1シンボルで2状態を示す変調方式であるBPSKの通信速度を示す変数をBとすると、BMODは、以下の式(6)のように表すことができる。なお、多値度を示す変数Mは、4~4096とすることができる。制御部24は、変数Bを予め設定しておくことで実現できる。また、制御部24は、後述するが、多値度を示す変数Mに基づいて、変調方式を決定するため、多値度を示す変数Mを保持しておくことができる。
Figure 0007332030000007
ここで、図5を用いて、複数の変調方式について、Post-FEC BERと、SNRとの関係を示す。図5は、複数の変調方式について、エラー率と、SNRとの関係を示す図である。図5の横軸は、SNRを示し、縦軸は、Post-FEC BERを示している。図5に示すように、Post-FEC BERが同一である場合、変調方式を多値度にすればするほど、高いSNRが要求されることが分かる。このように、多値度が大きくなるほど、高いSNRの通信が必要となる。
多値度を示す変数Mに対する変調方式によるエラー率を示す変数PMODは、以下の式(7)のように表すことができる。
Figure 0007332030000008
ここで、kは通信信号のシンボル長であり、SNRは光通信路16の光信号品質であり、erfcは相補誤差関数である。なお、相補誤差関数erfcは、式(8)で表すことができる。
Figure 0007332030000009
制御部24は、BESTがBMODよりも小さい場合、現在の多値度であるMよりも多値度を下げて新たな多値度であるMi+1を決定する。つまり、制御部24は、Mi+1=M-1とする。
制御部24は、上述した光通信路16を介した通信において使用し得る変調方式から、Mi+1に対応する変調方式に変更する。制御部24は、変調方式を変更することにより、通信設定マージンを変更する。制御部24は、変調方式を変更することで、ユーザが通信品質の低下を感じ難い通信を実現する。
一方、バーストエラー時間、及びPMODの少なくとも1つが、例えば、目標となる閾値よりも小さい場合、現在の多値度であるMよりも多値度を上げて新たな多値度であるMi+1を決定する。つまり、制御部24は、Mi+1=M+1とする。
制御部24は、上述した光通信路16を介した通信において使用し得る変調方式から、Mi+1に対応する変調方式に変更する。制御部24は、変調方式を変更することにより、通信設定マージンを変更する。制御部24は、変調方式を変更することで、ユーザに対して高速な通信サービスの提供を実現する。
なお、制御部24は、ユーザ割合が、ユーザ割合についてのターゲット閾値であるA’を上回った場合、通信設定マージンを変更してもよい。例えば、ユーザ割合がA’を上回った場合、制御部24は、現在の多値度よりも、多値度が1小さい多値度に対応する変調方式に変更してもよい。一方、ユーザ割合が、例えば、0.1等、十分に小さい値である場合、制御部24は、現在の多値度よりも、多値度が1大きい多値度に対応する変調方式に変更してもよい。制御部24は、変調方式を変更し、通信設定マージンを調整することで、高速通信サービスをユーザに提供する。すなわち、制御部24は、光通信路16のBERが、例えば、10-12よりも高いBERとなり、バーストエラーが発生する通信設定マージンであったとしても、高速通信サービスをユーザに提供できる。
また、制御部24は、バーストエラー時間が、RTTを超過しないように通信設定を変更する。図6は、TCP方式による通信状況を表す図である。図6は、バーストエラー時間がTCP方式で用いられる輻輳ウィンドウ(cwnd:congestion window)よりも大きくなっていることを表している。
TCP方式では、再送処理に関するタイマとして、RTO(Retransmission Time Out)が設けられている。図6のように、バーストエラー時間が、輻輳ウィンドウよりも大きくなると、RTOによる再送が行われる。RTOによる再送が行われると、再送処理が、データ送信開始時刻からRTO分の時間経過後に実行される。換言すると、データ送信開始時刻からRTO分の時間経過するまで再送処理が行われなくなる。この場合、データが送信されない時間が生じてしまい、送信されるデータ量が限られてしまうことになり、大きな性能低下となってしまう。そのため、制御部24は、バーストエラー時間が、RTTを超過しないように制御する。すなわち、制御部24は、バーストエラー時間が、RTTを超過しないように制御し、RTOによる再送を回避してスループット及び通信容量を低下することを抑制する。
制御部24は、バーストエラー時間が、RTTを超過しないように、誤り訂正処理(FEC)におけるインターリーブ長を変更する。具体的には、制御部24は、FECにおいて、短いインターリーブとすることにより、バーストエラー時間がRTTを超過しないように制御する。制御部24は、インターリーブ長の調整のように、FEC設定を変更することで、ユーザスループットを高くし、通信容量を増やすことができる。
出力部25は、推定部23が推定した、バーストエラーに起因する端末装置10における通信品質の影響度合いを示す指標値を出力する。上述したように、指標値は、ユーザ割合と、端末装置10における遅延時間と、遅延品質指標値を満たさない確率とを含む。出力部25は、ユーザ割合と、端末装置10における遅延時間と、遅延品質指標値を満たさない確率とを出力する。
出力部25は、光通信路16の管理者、運用者が用いる通信端末に上記指標値を送信することにより上記指標値を出力してもよい。もしくは、出力部25は、及び光通信路16を管理する通信事業者に上記指標値を送信することにより上記指標値を出力してもよい。もしくは、出力部25は、光通信システム100のネットワーク全体を監視するネットワーク監視装置(不図示)に上記指標値を送信することにより上記指標値を出力してもよい。もしくは、出力部25は、光伝送装置20が備える表示装置に上記指標値を出力してもよい。
<光伝送装置の動作例>
続いて、図7を用いて、実施の形態1にかかる光伝送装置20の動作例について説明する。図7は、実施の形態1にかかる光伝送装置の動作例を示すフローチャートである。図7に示す動作例は、光伝送装置20が起動したときに実行される。また、図7に示す動作例は、通信事業者が通信設定を変更したときに実行される。なお、図7に示す動作例は、周期的又は非周期的に実行されてもよい。
取得部22は、光通信路16を介した通信において発生するバーストエラーに関連する品質情報を取得する(ステップS1)。取得部22は、光通信路16に接続される、光伝送装置20及び30の間の通信往復時間であるRTTと、バーストエラーが発生したバーストエラー時間と、光通信路16におけるエラー率であるBERとを取得する。取得部22は、光通信路16を介して通信を行うユーザ数、及び光通信路16におけるSNRをさらに取得してもよい。
推定部23は、取得部22が取得した、RTTと、バーストエラー時間とに基づいて、光通信路16を介した通信を行うユーザ数に対する通信品質が劣化するユーザ数の割合を示すユーザ割合を推定する(ステップS2)。推定部23は、式(1)を用いて、RTTと、バーストエラー時間とに基づいて、ユーザ割合を推定する。
推定部23は、取得部22が取得した、RTTと、BERとに基づいて、ユーザ遅延時間を推定する(ステップS3)。推定部23は、式(2)を用いて、RTTと、BERとに基づいて、端末装置10における遅延時間を推定する。
推定部23は、取得部22が取得した、RTTと、BERと、遅延品質指標値とに基づいて、遅延品質指標値を満たさない確率を示す品質劣化確率を推定する(ステップS4)。推定部23は、式(3)を用いて、RTTと、BERと、遅延品質指標値とに基づいて、品質劣化確率を推定する。
出力部25は、ステップS2~S5において推定された、ユーザ割合、ユーザ遅延時間、及び品質劣化確率を出力する(ステップS5)。
制御部24は、通信設定マージンの調整が必要であるかを判定する(ステップS6)。制御部24は、式(4)~式(8)を用いて、ユーザの通信速度BTCP、多値変調方式による通信速度BMOD、及び多値変調方式によるエラー率PMODを算出する。制御部24は、BESTがBMODよりも小さいかの判定、及びバーストエラー時間、及びPMODの少なくとも1つが、例えば、目標となる閾値よりも小さいかの判定を行うことにより通信設定マージンの調整が必要であるかを判定する。なお、制御部24は、ユーザ割合についてのターゲット閾値であるA’よりも上回っているかの判定を行ってもよい。
通信設定マージンの調整が必要である場合(ステップS6のYES)、制御部24は、通信設定マージンを調整する(ステップS7)。制御部24は、BESTがBMODよりも小さい場合、現在の多値度であるMよりも多値度を下げて新たな多値度であるMi+1を決定する。また、制御部24は、バーストエラー時間、及びPMODの少なくとも1つが、例えば、目標となる閾値よりも小さい場合、現在の多値度であるMよりも多値度を上げて新たな多値度であるMi+1を決定する。制御部24は、決定した多値度Mi+1に対応する変調方式を、光通信路16を介した通信において使用し得る変調方式から選択し、選択した変調方式に変更する。制御部24は、変調方式を変更することにより、通信設定マージンの調整を行う。
なお、制御部24は、ユーザ割合がA’を上回った場合、現在の多値度よりも、多値度が1小さい多値度に対応する変調方式に変更してもよい。また、ユーザ割合が、例えば、0.1等、十分に小さい値である場合、制御部24は、現在の多値度よりも、多値度が1大きい多値度に対応する変調方式に変更してもよい。
また、制御部24は、バーストエラー時間が、RTTを超過しないように通信設定を変更する。制御部24は、インターリーブの短いFEC設定とすることにより、バーストエラー時間がRTTを超過しないように制御する。
一方、ステップS6において、通信設定マージンの調整が必要ない場合(ステップS6のNO)、光伝送装置20は、処理を終了する。
以上説明したように、光伝送装置20は、バーストエラーに関連する品質情報に基づいて、バーストエラーに起因する通信品質の影響度合いを示す指標値を推定する。具体的には、光伝送装置20は、品質情報に基づいて、ユーザ割合、ユーザ遅延時間、及び品質劣化確率を推定する。したがって、実施の形態1にかかる光伝送装置20によれば、ユーザ割合、ユーザ遅延時間、及び品質劣化確率を推定でき、通信事業者は、通信品質状態を把握できる。
さらに、実施の形態1にかかる光伝送装置20を用いることにより、ユーザ影響度を把握できるため、通信事業者は、ユーザ影響度を考慮して通信設定を変更できる。したがって、実施の形態1にかかる光伝送装置20によれば、ユーザ影響度を考慮して、通信容量を増やす等、通信設定を柔軟に制御できる。
また、制御部24は、ユーザ割合を用いて、通信設定マージンを調整する。具体的には、制御部24は、ユーザ割合を用いて、変調方式を変更する。制御部24は、変調方式を変更することで高速通信を可能とする。したがって、実施の形態1にかかる光伝送装置20によれば、ユーザに対して高速通信サービスを提供できる。
またさらに、光伝送装置20及び30は、一般的なTCP方式よりもエラー耐性が高い超高速TCP方式を用いて通信を行う。上述したように、光伝送装置20は、超高速TCP方式を用いることにより、ユーザスループットを高くしつつ、通信容量を増やすことができる。また、制御部24は、バーストエラー時間が、RTTを超過しないように制御し、RTOによる再送を回避してスループット及び通信容量が低下することを抑制する。したがって、実施の形態1にかかる光伝送装置20によれば、ユーザスループットを高くしつつ、通信容量を増やすことができる。
(実施の形態2)
続いて、実施の形態2について説明する。実施の形態2は、実施の形態1における光伝送装置20が実施した処理をネットワーク監視装置が実施する実施の形態である。
<光通信システムの構成例>
図8を用いて、実施の形態2にかかる光通信システム200の構成例について説明する。図8は、実施の形態2にかかる光通信システムの構成例を示す図である。光通信システム200は、端末装置10と、光伝送装置30及び40と、ネットワーク監視装置50とを備える。
光通信システム200は、実施の形態1にかかる光通信システム100に、ネットワーク監視装置50が追加された構成である。また、光通信システム200は、実施の形態1にかかる光通信システム100における光伝送装置20が光伝送装置40に置き換わった構成である。なお、端末装置10及び光伝送装置30の構成は、基本的に実施の形態1と同様であるため適宜説明を割愛する。
ネットワーク監視装置50は、光通信システム200のネットワーク全体を監視する装置である。ネットワーク監視装置50は、NMS(Network Management System)と称されてもよい。ネットワーク監視装置50は、ネットワークを介して、光伝送装置20と接続されており、光伝送装置40と通信を行う。ネットワーク監視装置50は、光伝送装置20を監視し、光伝送装置20を介して制御する。なお、図8では図示していないが、ネットワーク監視装置50は、光伝送装置30ともネットワークを介して接続しており、光伝送装置30を監視し、光伝送装置30を介して制御可能に構成される。
<光伝送装置の構成例>
次に、光伝送装置40の構成例について説明する。光伝送装置40は、実施の形態1にかかる光伝送装置20に対応する。光伝送装置40は、再送処理部21と、取得部41とを備える。再送処理部21は、実施の形態1にかかる再送処理部21と同様の構成をしているため、説明を割愛する。
取得部41は、実施の形態1にかかる取得部22と基本的に同様の構成をしている。取得部41は、光通信路16を介した通信において発生するバーストエラーに関連する品質情報を取得する。取得部41は、光通信路16に接続される、光伝送装置40及び30の間の通信往復時間であるRTT、バーストエラーが発生したバーストエラー時間、及び光通信路16におけるエラー率であるBERを取得する。取得部41は、光通信路16を介して通信を行うユーザ数及び光通信路16におけるSNRをさらに取得してもよい。取得部41は、取得したRTT、バーストエラー時間及びBERをネットワーク監視装置50に送信する。
<ネットワーク監視装置の構成例>
次に、ネットワーク監視装置50の構成例について説明する。ネットワーク監視装置50は、取得部51と、推定部52と、制御部53と、出力部54とを備える。
取得部51は、取得部41が取得したRTT、バーストエラー時間及びBERを受信することで、RTT、バーストエラー時間及びBERを取得する。
推定部52は、実施の形態1にかかる推定部23に対応する。推定部52は、実施の形態1にかかる推定部23と同様の構成をしており、実施の形態1にかかる推定部23が行う処理を実行する。
制御部53は、実施の形態1にかかる制御部24に対応する。制御部53は、実施の形態1にかかる制御部24と同様の構成をしている。制御部53は、ユーザ割合に基づいて、通信設定マージンの調整が必要であるかを判定する。制御部53は、通信設定マージンの調整が必要であると判定すると、通信設定マージンの調整内容を決定する。
具体的には、制御部53は、推定部52が推定したユーザ割合に応じて、光通信路16を介した通信における変調方式を決定する。また、制御部53は、バーストエラー時間が、RTTを超過しない、FECにおけるインターリーブ長を決定する。制御部53は、決定した変調方式及びインターリーブ長を光伝送装置40に送信し、光伝送装置40に変調方式の変更、及びインターリーブ長の変更を実行させる。
出力部54は、実施の形態1にかかる出力部25に対応する。出力部54は、実施の形態1にかかる出力部25と同様の構成をしており、実施の形態1にかかる出力部25が行う処理を実行する。
<ネットワーク監視装置の動作例>
次に、ネットワーク監視装置の動作例について説明する。ネットワーク監視装置50は、実施の形態1における光伝送装置20の動作例と基本的に同様であるため、図7を参照して適宜、説明を割愛する。ネットワーク監視装置50は、光伝送装置20が起動したときに図7の動作例を実行する。また、ネットワーク監視装置50は、通信事業者が通信設定を変更したときに図7の動作例を実行する。なお、ネットワーク監視装置50は、光伝送装置40が装置起動中の任意にタイミングで処理を開始してもよい。
取得部51は、光通信路16に接続される、光伝送装置40及び30の間の通信往復時間であるRTT、バーストエラーが発生したバーストエラー時間、及び光通信路16におけるエラー率であるBERを光伝送装置40から取得する(ステップS1)。取得部51は、RTT、バーストエラー時間、及びBERを光伝送装置40から受信することで、RTT、バーストエラー時間、及びBERを取得する。
ステップS7において、制御部53は、通信設定マージンを調整する(ステップS7)。制御部53は、BESTがBMODよりも小さい場合、現在の多値度であるMよりも多値度を下げて新たな多値度であるMi+1を決定する。また、制御部53は、バーストエラー時間、及びPMODの少なくとも1つが、例えば、目標となる閾値よりも小さい場合、現在の多値度であるMよりも多値度を上げて新たな多値度であるMi+1を決定する。制御部53は、決定した多値度Mi+1に対応する変調方式を、光通信路16を介した通信において使用し得る変調方式から選択する。制御部53は、選択した変調方式を光伝送装置40に送信し、光伝送装置40に、選択した変調方式に変更する制御を実行させる。
また、制御部53は、バーストエラー時間が、RTTを超過しない、FECにおけるインターリーブ長を決定する。制御部53は、インターリーブ長を、光伝送装置40に送信し、光伝送装置40に、決定されたインターリーブ長に変更する制御を実行させる。
このように、ネットワーク監視装置50が、実施の形態1にかかる光伝送装置20が実行する処理内容を実行しても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
(他の実施の形態)
<1>上述した実施の形態では、光伝送装置20及び40が再送処理部21を備える構成として説明したが、光伝送装置20及び40と、端末装置10との間にある、例えば、中継装置(不図示)が再送処理部21を備える構成としてもよい。このようにしても、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
<2>図9は、上述した実施の形態において説明した通信装置1、光伝送装置20、40、及びネットワーク監視装置50(以下、通信装置1等と称する)のハードウェア構成例を示す図である。図9を参照すると、通信装置1等は、ネットワーク・インターフェース1201、プロセッサ1202、及びメモリ1203を含む。ネットワーク・インターフェース1201は、光伝送装置、端末装置、ネットワーク監視装置等、光通信システムに含まれる他の通信装置と通信するために使用される。
プロセッサ1202は、メモリ1203からソフトウェア(コンピュータプログラム)を読み出して実行することで、上述の実施形態においてフローチャートを用いて説明された通信装置1等の処理を行う。プロセッサ1202は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU(Micro Processing Unit)、又はCPU(Central Processing Unit)であってもよい。プロセッサ1202は、複数のプロセッサを含んでもよい。
メモリ1203は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。メモリ1203は、プロセッサ1202から離れて配置されたストレージを含んでもよい。この場合、プロセッサ1202は、図示されていないI/Oインタフェースを介してメモリ1203にアクセスしてもよい。
図9の例では、メモリ1203は、ソフトウェアモジュール群を格納するために使用される。プロセッサ1202は、これらのソフトウェアモジュール群をメモリ1203から読み出して実行することで、上述の実施形態において説明された通信装置1等の処理を行うことができる。
図9を用いて説明したように、通信装置1等が有するプロセッサの各々は、図面を用いて説明されたアルゴリズムをコンピュータに行わせるための命令群を含む1または複数のプログラムを実行する。
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)を含む。さらに、非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/Wを含む。さらに、非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、半導体メモリを含む。半導体メモリは、例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
なお、本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、本開示は、それぞれの実施の形態を適宜組み合わせて実施されてもよい。
また、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
光通信路において発生したバーストエラーに関連する品質情報を取得する取得手段と、
前記品質情報に基づいて、前記バーストエラーに起因する第1通信装置における通信品質の影響度を示す第1指標値を推定する推定手段と、を備える通信装置。
(付記2)
前記第1指標値は、前記光通信路を介した通信を行うユーザ数に対する前記通信品質が劣化するユーザ数の割合を示すユーザ割合を含み、
前記品質情報は、前記光通信路に接続される、第1光伝送装置と第2光伝送装置との間の通信往復時間と、前記バーストエラーが発生したバーストエラー時間とを含み、
前記推定手段は、前記通信往復時間と、前記バーストエラー時間とに基づいて、前記ユーザ割合を推定する、付記1に記載の通信装置。
(付記3)
前記推定されたユーザ割合を用いて、前記光通信路における通信設定を変更する制御手段を備える、付記2に記載の通信装置。
(付記4)
前記制御手段は、前記推定されたユーザ割合に応じて、前記通信における変調方式を変更する、付記3に記載の通信装置。
(付記5)
前記取得手段は、前記光通信路を介して通信を行うユーザ数と、前記光通信路における光信号品質とを取得し、
前記制御手段は、前記ユーザ数及び前記光信号品質をさらに用いて、前記通信における変調方式を変更する、付記4に記載の通信装置。
(付記6)
前記制御手段は、前記バーストエラー時間が、前記通信往復時間を超過しないように誤り訂正処理におけるインターリーブ長を変更する、付記3~5のいずれか1項に記載の通信装置。
(付記7)
前記第1指標値は、前記第1通信装置における遅延時間を含み、
前記品質情報は、前記光通信路に接続される、第1光伝送装置と第2光伝送装置との間の通信往復時間と、前記光通信路におけるエラー率とを含み、
前記推定手段は、前記通信往復時間と、前記エラー率とに基づいて、前記遅延時間を推定する、付記1~6のいずれか1項に記載の通信装置。
(付記8)
前記第1指標値は、前記光通信路を介した通信に要求される遅延時間に関する第2指標値を満たさない確率を含み、
前記推定手段は、前記通信往復時間と、前記エラー率と、前記第2指標値とに基づいて、前記確率を推定する、付記7に記載の通信装置。
(付記9)
前記光通信路を介した通信においてエラーが発生した場合、再送処理を実行する再送処理手段をさらに備える、付記1~8のいずれか1項に記載の通信装置。
(付記10)
前記再送処理手段は、TCP Reno方式よりもエラー耐性が高いTCP方式を用いて前記通信を行う、付記9に記載の通信装置。
(付記11)
光通信路において発生したバーストエラーに関連する品質情報を取得することと、
前記品質情報に基づいて、前記バーストエラーに起因する第1通信装置における通信品質の影響度を示す第1指標値を推定することと、を含む通信制御方法。
(付記12)
光通信路において発生したバーストエラーに関連する品質情報を取得することと、
前記品質情報に基づいて、前記バーストエラーに起因する第1通信装置における通信品質の影響度を示す第1指標値を推定することと、をコンピュータに実行させる通信制御プログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体。
1 通信装置
2、22、51 取得部
3、23、52 推定部
10 端末装置
15 回線
16 光通信路
20、30、40 光伝送装置
21 再送処理部
24、53 制御部
25、54 出力部
41 取得部
50 ネットワーク監視装置
100、200 光通信システム

Claims (13)

  1. 光通信路において発生したバーストエラーに関連する品質情報を取得する取得手段と、
    前記品質情報に基づいて、前記バーストエラーに起因する第1通信装置における通信品質の影響度を示す第1指標値を推定する推定手段と、を備え
    前記第1指標値は、前記光通信路を介した通信を行うユーザ数に対する前記通信品質が劣化するユーザ数の割合を示すユーザ割合を含む
    通信装置。
  2. 記品質情報は、前記光通信路に接続される、第1光伝送装置と第2光伝送装置との間の通信往復時間と、前記バーストエラーが発生したバーストエラー時間とを含み、
    前記推定手段は、前記通信往復時間と、前記バーストエラー時間とに基づいて、前記ユーザ割合を推定する、請求項1に記載の通信装置。
  3. 前記推定されたユーザ割合を用いて、前記光通信路における通信設定を変更する制御手段を備える、請求項2に記載の通信装置。
  4. 前記制御手段は、前記推定されたユーザ割合に応じて、前記通信における変調方式を変更する、請求項3に記載の通信装置。
  5. 前記取得手段は、前記光通信路を介して通信を行うユーザ数と、前記光通信路における光信号品質とを取得し、
    前記制御手段は、前記ユーザ数及び前記光信号品質をさらに用いて、前記通信における変調方式を変更する、請求項4に記載の通信装置。
  6. 前記制御手段は、前記バーストエラー時間が、前記通信往復時間を超過しないように誤り訂正処理におけるインターリーブ長を変更する、請求項3~5のいずれか1項に記載の通信装置。
  7. 光通信路において発生したバーストエラーに関連する品質情報を取得する取得手段と、
    前記品質情報に基づいて、前記バーストエラーに起因する第1通信装置における通信品質の影響度を示す第1指標値を推定する推定手段と、を備え、
    前記品質情報は、前記光通信路におけるエラー率を含む
    通信装置。
  8. 前記第1指標値は、前記第1通信装置における遅延時間を含み、
    前記品質情報は、前記光通信路に接続される、第1光伝送装置と第2光伝送装置との間の通信往復時間と、前記光通信路におけるエラー率とを含み、
    前記推定手段は、前記通信往復時間と、前記エラー率とに基づいて、前記遅延時間を推定する、請求項7に記載の通信装置。
  9. 前記第1指標値は、前記光通信路を介した通信に要求される遅延時間に関する第2指標値を満たさない確率を含み、
    前記推定手段は、前記通信往復時間と、前記エラー率と、前記第2指標値とに基づいて、前記確率を推定する、請求項に記載の通信装置。
  10. 光通信路において発生したバーストエラーに関連する品質情報を取得することと、
    前記品質情報に基づいて、前記バーストエラーに起因する第1通信装置における通信品質の影響度を示す第1指標値を推定することと、を含み、
    前記第1指標値は、前記光通信路を介した通信を行うユーザ数に対する前記通信品質が劣化するユーザ数の割合を示すユーザ割合を含む
    通信制御方法。
  11. 光通信路において発生したバーストエラーに関連する品質情報を取得することと、
    前記品質情報に基づいて、前記バーストエラーに起因する第1通信装置における通信品質の影響度を示す第1指標値を推定することと、を含み、
    前記品質情報は、前記光通信路におけるエラー率を含む
    通信制御方法。
  12. 光通信路において発生したバーストエラーに関連する品質情報を取得することと、
    前記品質情報に基づいて、前記バーストエラーに起因する第1通信装置における通信品質の影響度を示す第1指標値を推定することと、をコンピュータに実行させ
    前記第1指標値は、前記光通信路を介した通信を行うユーザ数に対する前記通信品質が劣化するユーザ数の割合を示すユーザ割合を含む
    通信制御プログラム。
  13. 光通信路において発生したバーストエラーに関連する品質情報を取得することと、
    前記品質情報に基づいて、前記バーストエラーに起因する第1通信装置における通信品質の影響度を示す第1指標値を推定することと、をコンピュータに実行させ、
    前記品質情報は、前記光通信路におけるエラー率を含む
    通信制御プログラム。
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