JP7330019B2 - 漂砂捕集装置および漂砂捕集方法 - Google Patents

漂砂捕集装置および漂砂捕集方法 Download PDF

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Description

特許法第30条第2項適用 (1)2018年9月19日三沢市総合社会福祉センターにて開催された2018年度津波堆積物研究会で発表(2)2019年4月19日に発行された日本堆積学会2019年大阪大会プログラム・講演要旨で発表(3)2019年4月20日大阪市立自然史博物館にて開催された日本堆積学会2019年大阪大会で発表
本発明は、津波に巻き上げられ陸上に運ばれる漂砂を捕集する漂砂捕集装置および漂砂捕集方法に関する。
津波は発生が極低頻度であること、発生場所・時期の予測が困難であることから、現地観測が行われてこなかった。
しかし、近年、波浪伝播については、防災上の観点から、世界各地で津波観測網が整備され、津波による水位変動観測が可能となってきた。しかしながら、沿岸部および陸上遡上した津波、特に津波作用下における砂移動については、実際に観測する方法はなかった。理論および実験的手法による検討例はあるものの、未解明な部分が多く残されており、これが地質学的情報から過去の津波イベントを復元する際の技術的課題となっていた。
一方、津波堆積物調査に基づく長期の津波発生履歴・規模の解明が求められている。古津波規模の評価には陸上津波堆積物の分布距離から津波浸水距離を推定する手法や、堆積構造を逆解析する方法などがある。しかしながら、これらの手法は、戻り流れによる再移動や、複数回の津波浸水の効果を無視するなど単純化された砂移動モデルに基づいており、それ故に適用可能地点が平野部などに限られてきた。
津波水理量復元手法の高度化、および適用可能地点の拡大のためには、津波作用下における砂移動を正確に把握する必要がある。
かかる要望に応えるべく、津波被害が予測される沿岸域の陸上の漂砂計測地点において漂砂を計測することが求められている。
ところで、従来より海中などにおける漂砂の計測方法として、以下の方式がある(非特許文献1)。
(1)自然沈澱式
竹竿、または塩化ビニール製等の筒の側面(周面)に穴を開けたもの、あるいは箱型の容器を海中に設置し、側面に空けた穴を通して筒内あるいは容器内に海水を通過させて海水に運ばれる漂砂を自然沈殿により捕集する方式である。手軽で取扱いが容易であるが、筒内あるいは容器内を通過する海水に運ばれる漂砂を捕集するため、側面の穴・出入口の大きさ、容器の体積によって捕砂効率が変化する。しかも、この手法は主に漂砂量を求めたり、穴の高さを複数段階に設定して深さ毎の漂砂濃度を評価するものであるため、どのような種類の土砂類が、どのタイミングで、どれだけ流されてきたかなどを観測するには適していない。
(2)吸引式
ポンプ、あるいは水圧を利用して任意の点の海水を採水し、その海水中の浮遊砂(漂砂)濃度を求め、浮遊砂量特性を求める。この方法は採水量が十分でないと濃度の測定精度が低下する。また、採水口をつけた場合、荒天時の強度が問題となる。
(3)電気変換式
(a) 超音波式漂砂量計
超音波を水中に発射し、浮遊砂(漂砂)からの反射・散乱による減衰率から浮遊砂濃度を検出する。また、ドップラー効果を利用して浮遊砂の移動速度についても同時に求めようとするものである。この方法は超音波を用いた海洋観測機器に共通するノイズを検出しやすいことが欠点であるため、気泡の発生する砕波帯内での使用は困難である。また、漂砂の粒径の違いにより、発生する超音波の周波数を変化させる必要がある。
(b) 光学式浮遊砂濃度計
水中を透過する光量が砂粒子によって遮断される割合を電気的に変換して浮遊砂濃度を測定するものである。この方法は受光部であるダイオードが温度の影響を受けやすく、温度ドリフトが生じること、外光の影響を受けやすいこと、浮遊砂の粒度分布の影響を受けることなどの問題点がある。
(4)カメラシステムを使った直接観察など
水中での浮遊砂、あるいは掃流砂の移動状況を直接観察する方法である。この方法の場合、海水の濁りが激しい場合、水中ライトの光が懸濁している砂やシルトにより散乱されてカメラに入り視程が悪くなることが欠点である。また、画像情報のデータ収録方法、データの定量的解析方法が他のものに比べ複雑なものとなる。
本多牧生・績辰之介・工藤君明、「没水平板設置予定海域の特性-その2 漂砂評価手法の現状と漂砂調査結果について-」、海洋科学技術センター試験研究報告書、22、1989
しかしながら、非特許文献1に示される漂砂評価手法は、いずれも海中などにおける漂砂の量を計測する方法であって、津波作用下における土砂類の移動を正確に把握できるものではない。津波の研究では、津波によって流されてきた土砂類(漂砂)の移動状況を正確に把握することが重要であり、どのような種類の土砂類が、どのような順番で、どのタイミングで、どれだけ流されてきたかを観測したいとの要請がある。
本発明は、津波作用下における土砂類の移動を正確に把握することが可能な漂砂捕集装置および漂砂捕集方法を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために、本発明の漂砂捕集装置は、上端に漂砂採取口を有し、侵入する漂砂を内部に堆積させる有底の筒状本体と、待機状態では筒状本体の漂砂採取口を塞ぎ、水没時に筒状本体から外れて漂砂採取口を水中に露出させるキャップとを備えるようにしている。
ここで、キャップは水没時の浮力又は水流から受ける力によって筒状本体から外されることが好ましい。また、筒状本体は弾性材料で形成されており、過荷重が作用したときに弾性変形することによって過荷重を受け流し、過荷重の消失あるいは減少にともなって起立させるようにすることが好ましい。
また、本発明の漂砂捕集方法は、請求項1~3のいずれか1つに記載の漂砂補修装置を津波の襲来が予測される漂砂計測地点に立てて設置し、筒状本体の上端に設けられている漂砂採取口を塞ぐキャップが水没時の浮力又は水流から受ける力によって外されて漂砂採取口を開口させ、津波によって巻き上げられ移動させられる漂砂を筒状本体内に沈降させて堆積させることで捕集するようにしている。
ここで、筒状本体は漂砂計測地点の地盤に鉛直に立てて埋設することにより一部を埋設して鉛直立地させることが好ましい。
本発明の漂砂捕集装置および漂砂捕集方法によれば、津波が発生するときまでは、筒状本体の漂砂採取口がキャップによって塞がれているので、大気中の塵埃や昆虫などの侵入、営巣などを防ぐことができ、津波による漂砂の堆積との混雑を回避できる。そして、津波が発生したときには、筒状本体が水没するとキャップが外れて漂砂の捕集が開始され、漂砂採取口に侵入した漂砂が筒状本体内を沈降し順次堆積する。水没時に、筒状本体内がいったん水で満たされると筒状本体内には殆ど水の流れが生じないので、筒状本体内に侵入した漂砂はそのままの順序で堆積し、その後、撹拌等されることはない。そこで、津波が引いた後に筒状本体を回収することで、漂砂の堆積物をそのままの状態で取得することができる。
筒状本体内の堆積物は漂砂の時間的な変化をそのまま反映しており、堆積物を観察等することで、津波によって流されてきた土砂類(漂砂)の移動状況即ちどのような種類の土砂類が、どのような順番で、どのタイミングで、どれだけ流されてきたかを正確に把握することができる。つまり、筒状本体内では自然沈殿により粒子の沈降順序などを保全したまま試料採取が可能である。また、砂以外にも津波中に含まれる粒子(珪藻など)も同時に捕捉することができる。このことにより、地質学的検討に必要な情報を失わず、試料採取が可能である。
地質学的研究では、堆積物の鉛直方向の粒度分布や、鉱物組成、化学成分、微生物(珪藻、有孔虫など)が調べられる。これらは地層中に含まれる過去のイベント堆積物を解釈する際に極めて重要な情報である。そのため、地質学的な研究を進展させるためには、漂砂量(砂の移動量)や粒径だけでなく、砂以外の微化石なども採取し、沈降過程を明らかにする必要がある。
現在までは、地質学的解釈は、現地観測結果に基づいて経験的に確立されてきた部分が大きく、実測による実証が難しかった。しかし、地表に残存する試料と、流れ作用下での底質移動との関係が明らかになれば、過去の津波規模を推定することが可能になる。津波はある程度周期的に発生することから、現在の津波規模、砂移動を捕らえることができれば、地質学的調査で、過去数千年程度の同種の災害の発生頻度、規模を調査することが可能になる。このような知見は、その地域における将来の防災計画を立案する上で極めて重要な知見となりうる。
本発明の漂砂捕集装置の実施形態の一例を示し、(a)は待機状態における断面図、(b)は水没時における断面図、(c)は水害が治まり水が引いた後の状態における断面図である。 筒状本体が弾性変形して過荷重を受け流す様子を示す概念図である。 津波浸水域内に残されていたポールを示し、(a)は道路脇に残ったポールの写真、(b)は頭頂部の反射板が紛失した状態のポールを斜め上から撮影した写真、(c)は頭頂部の反射板が紛失した状態のポールを横から撮影した写真である。 2014年に行った現地調査の調査地点を示す地図であり、(A)は東北地方を示す図、(B)は鮫浦湾を示す図、(C)は大谷川浜を示す図、(D)はポールの採取位置を示す図である。 ジオスライサーにより採取された試料の柱状図である。 津波堆積物の粒度分布および珪藻分析の結果を示す図である。 取得したポール内の堆積物の分析結果を示す図である。 現地調査で回収したポールの曲げ試験の状況を示し、(a)は荷重を掛ける前(0Nの荷重を掛けた状態)のポールを示す写真、(b)は277Nの荷重を掛けた状態のポールを示す写真、(c)は座屈後の(約400Nの荷重を掛けた状態の)ポールを示す写真である。
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
図1に、本発明の漂砂捕集装置の実施形態の一例を示す。この漂砂捕集装置1は、上端に漂砂採取口3を有し、侵入する漂砂4を内部に堆積させる有底の筒状本体5と、待機状態すなわち津波が発生する前の平常状態では筒状本体5の漂砂採取口3を塞ぎ、水没時に筒状本体5から外れて漂砂採取口3を水中に開口させるキャップ6とを備える鉛直立地型試料採取装置(サンプラー)である。この漂砂捕集装置1を津波の襲来が予測される漂砂計測地点2に立てて設置し、筒状本体5の上端に設けられている漂砂採取口3を塞ぐキャップ6を水没時の浮力又は水流から受ける力によって外して漂砂採取口を開口させ、津波によって巻き上げられ移動させられる漂砂4を筒状本体5内に沈降させて堆積させることで捕集するようにしている。
筒状本体5は、その形状やサイズが特定のものに限られるものではないが、水没中に捕集する漂砂4を収容するのに十分な内部容積を有していることが望まれる。また、筒状本体5は、水没時において自然沈殿により順番に堆積してゆく漂砂の堆積の状況を阻害しない内面形状とすること、即ち沈降過程(例えば沈降順序など)を乱さない形状とすることが望まれる。さらに、津波が引いた後、回収までに長期間を要することもあるので、漂砂捕集装置1は上向きの漂砂採取口3を地上に露出させた状態で長期間にわたって放置されることもある。この状態で日光が奥まで射し込み難く且つ空中に舞上げられた砂,埃,植物の種子等の異物が混入し難く、さらには生物の営巣が難しくなるように筒状本体5の太さや漂砂採取口3の大きさを決定することが好ましい。これら条件を満たすような筒状本体5が求められる。
そこで、本実施形態の筒状本体5は、例えば漂砂採取口3から底部までが同じ内径のストレートな有底円筒体に形成されている。そして、漂砂4が筒状本体5内に侵入して堆積するように鉛直又はこれに近い角度で立てられて、漂砂採取口3が真上に向けられて漂砂計測地点2に設置される。本実施形態の場合、筒状本体5の口径(漂砂採取口3の内径)は、例えば直径10cm、長さ145cm、地中への埋設長54cm程度としている。ただし、これらに限るものではない。ここで、筒状本体5の漂砂採取口3の口径(換言すれば筒状本体の内径)は、10cm程度とすることが効果的であることは本発明者等の実地調査からの知見で得ているが、上述の値に限られず、例えば9~11cm程度に適宜変更しても良い。また、筒状本体5の長さについても、長さ145cm、地上高さ90cm前後とすることが、現地調査で得られた知見(津波高さが20mに達した状態でのサンプリングにおいても、十分な高さ・容積であること)からも確認されたが、これに特に限られず、例えば全長を140~150cm程度、地中への埋設長を50~60cm程度と必要に応じて適宜変更しても良いものである。
筒状本体5は、周囲の水位が漂砂採取口3よりも高くならないと漂砂4を捕集できないので、水没時の水位を考慮して筒状本体5の露出長さ(地盤からの高さ)と地中への埋設長を決定することが好ましい。本実施形態の場合、筒状本体5は一部例えば全長の25~50%、好ましくは30~40、より好ましくは35%程度となる下部が地中に埋められることによって、津波時に水没しても流されたり傾いたりしないようにしっかりと固定されている。例えば、筒状本体5の地中に埋設された下部に抜け止めのためのピンなどを貫通させて土中に埋めたり、底部にフランジを設けて埋設するようにしても良い。この場合、筒状本体5の地盤への固定構造が簡略なものとできるだけでなく、地中に埋設される部分によって漂砂4を収容する内部容積を拡大することができる。勿論、筒状本体5の一部・下部を地中に埋める必要はなく、例えば筒状本体5の底にフランジ状の固定部を備え、該フランジ状固定部をボルト止めやリベット止めなどで土中の基礎や地盤そのものに止め付けたり、あるいは筒状本体5の底部に基礎部を設けて当該基礎部を埋設するようにしても良い。例えば樹脂、ゴム、プラスチック、金属等の材料で形成されている。
また、本実施形態の筒状本体5は、例えば弾性を有する樹脂やゴム等の弾性材料で形成されているが、これに特に限られず、場合によっては金属製の有底の円筒体であったり、剛体のプラスチックス製の有底の円筒体であっても良い。
キャップ6は、例えばゴムやプラスチック、金属等の材料で筒状本体5に対し脱着可能な形状に成形されている。本実施形態では、ゴム製あるいはプラスチック製のキャップ6の下部を円柱状に成形して筒状本体5の上端の開口である漂砂採取口3に差し込むことで当該漂砂採取口3を塞ぐようにしているが、これに限るものではない。例えば、キャップ6の下部を円筒状に成形して筒状本体5の上端の外周面を覆うように装着することで当該漂砂採取口3を塞ぐようにしても良い。また、キャップ6の上部には水流からの力を受けて筒状本体からキャップ6を抜けさせる力に変換する抵抗部6aが設けられている。この抵抗部6aは、水流からの力を効率良く受ける形状であることが好ましく、例えばキャップ6に対して垂直な壁板状にして受圧面を確保することが好ましい。ただし、水没時に生ずる浮力でキャップ6を確実に外すことができる場合には、抵抗部6aは設けなくとも良い。さらには、水没時に浮力を発生させる機構を備えるようにしても良い。例えば、自動膨張式ライフジャケットに用いられているような感知素子付きガスボンベのようなもので、圧縮空気が水没時に膨張し、キャップを取り外す構造としても良い。勿論、非膨張式のライフジャケットのように、浮力体をキャップに付属させておいて、浮力体の浮力でキャップ6を取り外すようにしても良い。尚、キャップ6は、水没時の浮力又は水流から受ける力によって筒状本体5から外されるものであっても良いが、水流から受ける力と浮力とが相俟って、筒状本体5から抜け外れるようにする嵌合力であることが好ましい。この場合には、単に横方向への強い力、例えば待機時に強い風を受けても、キャップ6が筒状本体5から抜け外れないようにできる。
次に、上述の漂砂捕集装置1を使用した漂砂捕集方法について説明する。漂砂捕集方法は、予め漂砂捕集装置を津波の襲来が予測される漂砂計測地点2に立てて設置し、筒状本体5の上端に設けられている漂砂採取口3を塞ぐキャップ6を水没時の浮力又は水流から受ける力によって外して漂砂採取口を開口させ、津波によって巻き上げられ移動させられる漂砂4を筒状本体5内に沈降させて堆積させることで捕集するようにしている。
図1(a)に、津波が発生する前の状態(待機状態)を示す。待機状態では、筒状本体5の漂砂採取口3はキャップ6によって塞がれており、風等によって舞上げられた砂や埃等の筒状本体5内への混入を防止することができる。ここで、筒状本体5は、一部例えば全長の1/3~1/2程度の下部が地中に埋められることによって、津波時に水没しても流されたり傾いたりしないようにしっかりと固定される。
そして、津波の発生時に漂砂捕集装置1が水没すると、浮力又は水流から受ける力によって、あるいは浮力と水流から受ける力とが相俟ってキャップ6を筒状本体5から外す。例えば、筒状本体5内の空気が上昇する場合の浮力や、キャップ6自身が水に浮く場合にはキャップ6自身が浮き上がろうとする浮力によってキャップ6が外される。また、漂砂捕集装置1は水流からの力を受けているので、この力によってもキャップ6が外される。キャップ6は、浮力を受けながら水流からの強い力を受けると、容易に外れる。
筒状本体5からキャップ6が外されることにより、漂砂4の捕集が開始される。すなわち、漂砂採取口3が露出して筒状本体5内に水が流入し、筒状本体5内が水で満たされる(図1(b))。筒状本体5は細長い筒状を成しており、いったん筒状本体5内が水で満たされた後には筒状本体5内には殆ど水の流れは生じない。したがって、水没した漂砂捕集装置1の周囲に漂う漂砂4が漂砂採取口3から筒状本体5内に侵入すると、その漂砂4は筒状本体5内に沈降して堆積する。水没状態が続く限り、次々と漂砂4が堆積する。
また、筒状本体5は立てた状態で設置されているので、津波が引いた後でも、筒状本体5内の堆積物はそのままの状態で保持される(図1(c))。その後、漂砂捕集装置1を回収し、筒状本体5内の堆積物を取り出すことで、津波に因る漂砂4の移動状況を観察等することができる。
水没後の筒状本体5内には殆ど水の流れが生じないので、漂砂4は筒状本体5内に侵入した順序でそのまま堆積し、その後、撹拌等されることはない。そのため、筒状本体5内の堆積物は津波作用下における漂砂4の移動状況をそのまま反映することになる。したがって、筒状本体5内から取り出した堆積物を観察等することで、津波等による土砂類の移動状況を正確に把握することができる。
津波によって漂砂捕集装置1が水没する際、漂砂捕集装置1は水流や漂流物から力を受ける。また、水没後でも漂砂捕集装置1の周囲に流れが生じている場合には、漂砂捕集装置1は水流や漂流物から力を受ける。この力が大きく、筒状本体5を座屈させるような過荷重Fである場合には、筒状本体5は弾性変形して過荷重Fを受け流す(図2)。本実施形態では、筒状本体5が倒れるように弾性変形して過荷重Fを受け流す。したがって、漂砂捕集装置1の破損を防止することができる。
そして、筒状本体5に作用する過荷重Fが消失あるいは減少すると、筒状本体5は元の形状に復帰する。すなわち、筒状本体5が起立して漂砂採取口3が上に向き、以降も漂砂4を沈降させ堆積させることができる。この様に、過荷重Fから漂砂捕集装置1を保護することができ、漂砂4の捕集を周囲の水が引くまで継続することができる。
本実施形態の漂砂捕集装置1は、構造がシンプルであり、製造コストを安価に抑えることができる。また、水没時に自然の力を利用してキャップ6を外すことができるので、捕集を開始するための動力が不要である。さらに、漂砂計測地点2に設置後、漂砂捕集装置1のメンテナンスをほとんど必要としないので、長期間にわたる放置が可能である。これらのため、多数の漂砂捕集装置1を低予算で設置することができる。
筒状本体5は細長い筒状を成しており、鉛直又これに近い角度で立てられている。また、漂砂採取口3は筒状本体5の上端に設けられており、それなりの高さの位置に設けられている。これらのため、風で舞上げられた砂や埃、植物の種子等が筒状本体5内に混入し難く、且つ、日光が筒状本体5内の堆積物に直接当たり難くなっている。これらのため、筒状本体5が回収されるまでの間に内部の堆積物が水害後の影響を受けるのを防止することができる。
また、本実施形態では、筒状本体5の内径を約10cm程度としている。これによれば、ジオスライサーによる地層のサンプルとほほ同径の堆積物を得ることができ、ジオスライサーによる地層サンプルと漂砂捕集装置1による堆積物とを比較する際に大変都合が良い。例えば、回収した漂砂捕集装置1から取り出した堆積物と、その漂砂捕集装置1の設置場所(漂砂計測地点2)の近くの地層からジオスライサーで取得した地層サンプルとを比較することで、両者の対応関係(漂砂捕集装置1の堆積物から解る漂砂4の移動状況が、ジオスライサーの地層サンプルにどの様に現れるか)を調べることができるので、漂砂捕集装置1の堆積物をジオスライサーの地層サンプルと比較しやすいサイズにできることは大変有意義である。そして、漂砂捕集装置1の堆積物とジオスライサーの地層サンプルとの対応関係がわかれば、この対応関係を利用してジオスライサーの地層サンプルから漂砂4の移動状況を推測可能になるので、漂砂捕集装置1を設置していない場所についてもジオスライサーを使用して地層サンプルを取得することで漂砂4の移動状況を推測できるようになる。この点からも、漂砂捕集装置1の堆積物をジオスライサーの地層サンプルと比較しやすいサイズにできることは大変有意義である。
また、本実施形態では、筒状本体5を細長い円筒体とし、その下部を地中に埋設しているので、その埋設部分にも漂砂4を堆積させることができる。そのため、堆積物を収容する空間として大きな容積を確保することができる。
次に、津波研究で観測機器類に要求される条件を挙げ、本実施形態の漂砂捕集装置1の効果を対応させながら説明する。
(1)条件1:津波の発生頻度は極めて小さく、且つ現象の継続時間が短い(数時間)。そのため、発生を検知してからでは観測機器を投入することができない。他方、計測機器を設置した場合においても、数年~数十年程度計測までの待機時間が生じる。この期間のメンテナンス回数を極力低下させ、かつ現象発生時に確実に計測できる装置であることが必要である。
本実施形態の漂砂捕集装置1は、待機状態では筒状本体5の上端の開口である漂砂採取口3をキャップ6で塞いでいるので、平常時に不純物や生物が筒状本体5内に混入・侵入するのを防ぐことができる。これにより、水害発生までの長期間において、ほとんどメンテナンスすることなく漂砂捕集装置1を保全することを可能としている。一方、津波等の水害が発生すると、漂砂捕集装置1が水没することでキャップ6が外され、標砂の捕集を自動的に開始することができる。依って、ほとんどメンテナンスすることなく、津波が発生したときには確実に漂砂を採取することができる。
(2)条件2:津波による陸上氾濫が生じた場合、津波規模にも依存するものの、数m/s~数十m/s程度の流速が生じる。これは洪水流に匹敵する流速である。このような流動下では、流動そのものによる圧力に加え、流動によって生じる漂流物(礫、木材など)により極めて大きな荷重が生じる可能性がある。そのため、津波に対して水没型の観測機器を設置する場合には相当な対策が求められる。
津波による高流速に耐えるためには、漂砂捕集装置1が変形しないように強度を高める手法も考えられるが、その場合には装置が高価格かつ大型なものとなる。また、金属などを用いた場合は、塑性変形するため、想定外の力が作用したときに一旦変形してしまうと観測装置としての機能が失われる虞がある。筒状本体5を合成ゴムなどの弾性材料で形成した本実施形態の漂砂捕集装置1によれば、津波の際に過大な力が作用すると、積極的に一時的に変形させて過大な力を受け流し、作用する力が弱まると元の形状にもどることにより、津波作用下の大部分で観測装置としての機能を維持することが可能である。さらに、材料として高耐候性かつ安価である。
(3)条件3:津波の高流速により、津波作用下の海水中には高濃度の漂砂が生じていると考えられている。このような濃度下においても正常に稼働する必要がある。
漂砂捕集装置1は、細長い筒状本体5により十分な堆積物の収容空間を確保することができるので、高濃度の砂移動が生じた際にも、捕砂用容量が不足することがない。なかでも、本実施形態の場合、筒状本体5の一部を地中に埋設して設置するため、筒状本体5の埋設部分も捕砂装置の一部として堆積物を収容する空間として利用することができ、高濃度の砂移動が生じた際にも、捕砂用容量が不足することがない。
(4)条件4:津波による陸上氾濫が生じた場合、その近辺の沿岸地域は大規模な被災を被る可能性が高く、社会システムが回復するまでの期間は、観測装置に近づくことができない場合がある。また、津波が地震性の地殻変動期限である場合、余震により再度津波が生じる可能性もある。そのため、すぐには回収に行くことができず、津波発生から数週間~数ヶ月程度の期間、得られた計測データ、もしくは試料(堆積物)が乱されることなくその場で保管される必要がある。
本実施形態では、漂砂捕集装置1の漂砂採取口3を、通常のボーリングコア程度の直径(直径10cm程度)としている。このような直径は津波作用下の砂を捕捉するのに十分な面積を確保できるとともに、津波作用後に生物などが混入・生息することを防ぐ。また、前述する装置長さが充分あること、かつ遮光性の高い材料を使用することにより、堆積物上部に日光が入り込むことを防ぎ、捕砂試料表面に植生が影響することを防ぐ。また、漂砂捕集装置1自体は細長いため、風や降雨などにより捕砂試料(堆積物)が飛散・流出することを防ぐ。
(5)条件5:地質学的研究では、堆積物の鉛直方向の粒度分布や、鉱物組成、化学成分、微生物(珪藻、有孔虫など)が調べられる。これらは地層中に含まれる過去のイベント堆積物を解釈する際に極めて重要な情報である。そのため、地質学的な研究を進展させるためには、漂砂量(砂の移動量)や粒径だけでなく、沈降過程、砂以外の微化石なども採取する必要がある。
本実施形態の漂砂捕集装置1は自然沈殿方式であるため、漂砂4の沈降順序などを保全したまま試料(筒状本体5内の堆積物)採取が可能である。また砂以外にも津波中に含まれる粒子(珪藻など)も同時に捕捉することができる。このことにより、地質学的検討に必要な情報を失わず、試料採取が可能である。
(本発明の有用性)
本発明は、低コストで津波の砂移動を観測できる装置であり、導入後の維持管理コストなども極めて小さいため、多地点に導入することが可能である。装置自体に電気なども必要ないため、発展途上国や非開発地域においても導入できる。発生予測が難しい津波を捕らえるためには、様々な地点に観測装置を導入するのが現実的であるため、装置が安価で大量導入できる利点は大きい。また、本発明者等による実地調査において入手した筒状物には、津波発生後5年程度経過しているにもかかわらず、ほぼ内部の堆積物は乱されずに残されており、高い保全性が示されている。
さらに、本発明者等による実地調査において発見された筒状物に捕集された漂砂堆積物と、地表の津波堆積物(通常、地質学的調査で調べられる試料)とでは、砂の量、鉛直粒度分布、含まれる珪藻種など様々な違いが見られたという知見から、新たな観点から地質学的な解釈の検証に大きく貢献できると考えられる。
例えば、砂の量については、津波が生じた際の土砂移動量を推定するための基礎資料となりうる。津波による土砂移動は侵食による構造物の倒壊や、堆積による機能損傷を引き起こす。これらを予測するためには、津波作用下の移動量(濃度)が必要であり、得られた試料の量はこれらの問題解決に寄与するものである。
一方、鉛直粒度分布や珪藻種の違いは、従来の古津波堆積物の解釈を大きく前進させるものである。現在までは、地質学的解釈は、現地観測結果に基づいて経験的に確立されてきた部分が大きく、実測による実証が難しかった。地表に残存する試料と、流れ作用下での底質移動との関係が明らかになれば、過去の津波規模を推定することが可能になる。津波はある程度周期的に発生することから、現在の津波規模、砂移動を捕らえることができれば、地質学的調査で、過去数千年程度の同種の災害の発生頻度、規模を調査することが可能になる。このような知見は、その地域における将来の防災計画を立案する上で極めて重要な知見となりうる。
そこで、本実施形態の漂砂捕集装置1を、津波被害が予測される沿岸域の幅方向(沿岸と平行な円弧上あるいは直線上)にあるいは奥行き方向(津波の遡上方向)の複数の漂砂計測地点2に設置しておくことで、各地点の漂砂捕集装置1によって採取された試料(筒状本体5内の堆積物)を比較することができ、水害時の漂砂4の状況を広範囲に調査することが可能になる。
また、漂砂採取口3の高さが異なる漂砂捕集装置1を設置するようにしても良い。この場合、漂砂採取口3の高さが異なる漂砂捕集装置1を隣接して設置しても良いし、離れた場所に設置しても良い。漂砂採取口3の高さが異なる漂砂捕集装置1を使用することで、漂砂4の状況を立体的に調査することが可能になる。
なお、上述の実施形態は本発明を実施する際の好適な形態の一例であるがこれに限るものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
例えば、上述の説明では、筒状本体5を円筒体としていたが、円筒体には限られない。すなわち、横断面形状が円形の筒体に限るものではなく、例えば横断面形状が四角形の筒体、三角形の筒体、五角形以上の多角形の筒体等でも良い。これらの場合も、円筒体の場合と同様に、漂砂4の捕集を良好に行うことができる。
また、上述の説明では、筒状本体5の上端の開口をそのまま漂砂採取口3としていたが、例えば、筒状本体5の上部を細くしたり、太くしたりして漂砂採取口3と筒状本体5の口径を異ならせるようにしても良い。
さらに、上述の説明では、筒状本体5そのものが弾性変形により倒れるようにして過荷重Fを受け流していたが、これに特に限るものではない。例えば、筒状本体5そのものが剛性であっても部分的に弾性変形する構造的弾性部分あるいはばねやゴムなどの弾性素材を用いることで屈曲することで過荷重Fを受け流すようにしても良い。要するに、過荷重Fを受け流す(逃がす)ことができれば、弾性変形の仕方は特に限定されない。
また、上述の説明では、筒状本体5そのものを弾性変形させることで過荷重Fによる破壊を防止していたが、過荷重Fによる破壊や倒壊を防止するための手段はこれに限るものではない。例えば、筒状本体5の強度を上げることで過荷重Fによる破壊を防止するようにしても良い。すなわち、筒状本体5の製造コストの増加を許容できる場合等には、筒状本体5を高強度の金属やプラスチック等で形成し、想定される大きさの過荷重Fに耐えるものとしても良い。
また、上述の説明では、主に津波によって巻き上げられた漂砂の捕集に適用する実施形態について説明したが、場合によっては洪水などの水害に伴う漂砂の捕集に適用することも可能である。
本発明者らは東北地方太平洋沖地震に伴う津波(以下、3.11津波)による沿岸域の津波被害の現地調査を行った。その際に、以下の知見を得た。本発明はかかる知見に基づいて成されたものである。
1.研究の背景
従来、古津波規模の評価には陸上津波堆積物の分布距離から津波浸水距離を推定する手法や、堆積構造を逆解析する方法などがある。これらの手法は、戻り流れによる再移動や、複数回の津波浸水の効果を無視するなど単純化された砂移動モデルに基づいており、それ故に適用可能地点が平野部などに限られてきた。津波水理量復元手法の高度化、および適用可能地点の拡大のためには、津波作用下における砂移動を正確に把握する必要がある。
2.現地調査
3.11津波堆積物が豊富に残されており、かつ古津波の痕跡記録が残されている石巻市大谷川浜において、2014年に現地調査を実施した(図3)。津波堆積物を採取するために、ジオスライサーによる縦列調査、ボーリング、およびピット掘削を行った。一方、津波浸水域内には津波により一部流出したものがあるものの、デリニエーター(道路境界を示す円柱状の視線誘導設備、以下ポール)が数本残されていた(図4。取得したのは左から2本目のデリニエーター)。そのうちのいくつかは頭頂部の反射板が紛失しており、内部に堆積物らしきものが残されていることを確認した。そこで、ジオスライサー調査地点付近から頭頂部が紛失したポールを1本取得した。試料は実験室へ運搬し、1cm間隔でサンプリングした。サンプリング後、粒度分析、蛍光X線分析、珪藻分析を実施した。なお、採取したポールは長さ145cm(陸上部約91cm)、直径10cmの合成樹脂製であり、地表上に座屈痕が確認された。
3. 結果
(1)地表堆積物
3.11津波堆積物は沿岸付近で1m程度の層厚を有し、堆積物は内陸方向に薄層化しながら浸水限界付近まで分布していた(図5)。尚、図5において、矢印の位置は、ポールサンプルが採取された海岸線からの位置を示す。堆積物中には多量の貝殻片が含まれていた。一部の津波堆積物は堆積物の中央付近に礫層もしくは粘土層を含んでおり、上下2枚のサブユニットの存在が示唆された。堆積物は表層に有機質の薄い泥層を有する傾向があった。堆積構造は底部で逆級化、上部で級化構造を示した(図6)。堆積物中に含まれる珪藻は一部の表層試料を除いて非常に少なく、わずかに海性種が含まれるものの、多くは淡水種であった。
(2)人口構造物内堆積物
ポール内の堆積物は約120cmの厚さを有し、堆積物の全層準を通じて級化構造を示した(図7)。堆積物の構成物は周辺の津波堆積物と類似していたが、堆積厚が周辺の陸上堆積物(厚さ約20cm)に比べて厚く、堆積物中央に粘土層を含んでいないなどの相違があった。堆積物上部ほど含泥率が高い傾向があるが、堆積物表層に明確な泥層は認められなかった。また、堆積物中央でカルシウムの含有量が大きい傾向が見られた。堆積物中の珪藻種は鉛直方向の変化を示し、堆積物底部に海性、海性~汽水種の割合が多く、堆積物上部では淡水種の割合が増加する傾向が見られた。
(3)曲げ試験・数値解析
津波作用下におけるポールの挙動を調べるために、同型ポールを用いた片持ち梁による曲げ試験を実施した(図8)。また、津波の挙動を把握するために、当海岸を対象とした数値計算(平面2次元、非線形長波方程式)を実施した。試験の結果、ポールが座屈するには約4.6m/s以上の流速が必要であることが示唆された。数値計算結果によれば、津波先端部で座屈を生じさせる程度の流速(最大約11m/s)が生じ、このような高流速の継続時間は浸水時間(約1600s)中の5%以下であった。
4.考察
ポールはその形状からして、津波作用下において浮遊砂の補砂トラップとして機能したと考えられる。ポールは津波遡上初期に座屈した可能性があるが、津波浸水時間中のほとんどの時間は直立形状を保っていたと推測される。陸上側には座屈痕がないことから、実際は遡上流中に座屈していない可能性もある。ポール内に流れは生じないため、一度開口部から入った土砂は再移動しない。そのため、ポール内の堆積物は陸上91cm地点の浮遊砂を全て記録している可能性がある。
ポール内堆積物の下部(深さ50cm以下)は押し波時の流砂を、上部は引波時の流砂を捕らえていると解釈される。海側への座屈痕から海側への流れがあったことは明白であり、珪藻種の変化もこれを支持する。深さ50cm地点でカルシウムが最大となるのは、養殖が盛んな湾底部の土砂が到達したことを示唆している。
ポール内の堆積物は押し・戻り流れの作用下で堆積した陸上の津波堆積物と堆積過程が異なるため、両者の対比は津波作用下における土砂移動形態、および堆積過程を解明するための鍵となりうる。陸上堆積物の堆積厚は、ポール中の堆積厚のわずか20%であり、流れによる土砂の再移動が堆積物形成において重要であることが示唆される。また、地表の津波堆積物で確認された堆積物底部の逆級化構造や堆積物表層の泥層が人口構造物内の堆積物では確認できていない。このことは、逆級化構造の形成には流れの作用が必要であり、一方、泥層は沈降速度の違いにより形成されているわけではないことを示唆している。人口構造物内の堆積物が示すこれらの特徴は、津波堆積物の堆積学的解釈の妥当性を検証する上で重要な結果である。
1 漂砂捕集装置
2 漂砂計測地点
3 漂砂採取口
4 漂砂
5 筒状本体
6 キャップ

Claims (5)

  1. 上端に漂砂採取口を有し、侵入する漂砂を内部に堆積させる有底の筒状本体と、待機状態では前記筒状本体の前記漂砂採取口を塞ぎ、水没時に前記筒状本体から外れて前記漂砂採取口を水中に露出させるキャップとを備えることを特徴とする漂砂捕集装置。
  2. 前記キャップは水没時の浮力又は水流から受ける力によって前記筒状本体から外されることを特徴とする請求項1記載の漂砂捕集装置。
  3. 前記筒状本体は弾性材料で形成されており、過荷重が作用したときに弾性変形することによって前記過荷重を受け流し、前記過荷重の消失あるいは減少にともなって起立することを特徴とする請求項1又は2に記載の漂砂捕集装置。
  4. 請求項1~3のいずれか1つに記載の漂砂補修装置を津波の襲来が予測される漂砂計測地点に立てて設置し、前記筒状本体の上端に設けられている漂砂採取口を塞ぐ前記キャップが水没時の浮力又は水流から受ける力によって外されて前記漂砂採取口を開口させ、津波によって巻き上げられ移動させられる漂砂を前記筒状本体内に沈降させて堆積させることで捕集することを特徴とする漂砂捕集方法。
  5. 前記筒状本体は前記漂砂計測地点の地盤に鉛直に立てて埋設することにより一部を埋設して鉛直立地させていることを特徴とする請求項4記載の漂砂捕集方法。
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