1.定義
本明細書において「メッシュ」とは、位置情報に関連付けられた領域のことをいう。位置情報は、例えば、緯度および経度である。メッシュは、複数のメッシュにより空間(または平面)を充填することができる外形形状を有する領域である。
本明細書において「メッシュデータ」とは、1つのメッシュ内の所与の事項の統計量を示すデータのことを言う。所与の事項は、統計量として表すことが可能な任意の事項であり得、示強性量であってもよいし、示量性量であってもよい。
本明細書において「メッシュ統計」とは、複数のメッシュデータに基づく統計量のことを言う。
一例において、「メッシュ」が矩形領域であるとき、或る地域に複数のメッシュが適用されると、その地域が矩形の網の目で区分される。そのときの1つのメッシュ内の統計量を示すデータが「メッシュデータ」であり、複数のメッシュの複数のメッシュデータに基づく統計量が「メッシュ統計」である。例えば、1つのメッシュ内の人口の統計量(例えば、平均値、最大値、最小値、中央値等)が人口に関する「メッシュデータ」となり、或る地域内の複数のメッシュについて、人口に関するメッシュデータの値を集計した統計量が、その地域の人口に関する「メッシュ統計」となる。
2.位置情報に関連付けられたデータを利用したメッシュ統計の生成
本発明の発明者は、メッシュ統計を効率的に生成する手法を見出した。それは、位置情報に関連付けられたデータを利用して、メッシュ統計を生成する手法である。位置情報に関連付けられたデータを利用してメッシュ統計を生成する手法は、既存の統計データを複数のメッシュのそれぞれに対応付けて割り当てる従来の手法とは対照的に、位置情報に関連付けられた複数のデータが属するそれぞれのメッシュを決定し、決定されたメッシュのそれぞれから統計データを生成することができる。すなわち、メッシュと関連付けられた統計データを生成することができるため、統計データとメッシュとを関連付ける手間が省かれ、メッシュ統計を効率的に生成することができるのである。
位置情報に関連付けられたデータは、例えば、衛星画像データであり得る。衛星画像データは、衛星から取得された画像(衛星画像)に含まれるデータである。衛星画像データは、衛星センサから取得される。現在、世界中の衛星画像が利用可能であるため、世界中の衛星画像を利用することにより、世界メッシュ統計を効率的に生成することができる。
衛星画像には、その目的に応じた情報がデータとして含まれており、衛星画像に含まれる情報に対応したメッシュ統計を生成することができる。
例えば、衛星画像の一例である標高画像(デジタル標高モデル)は、各画素値がその場所の地表形状の標高を表す。この標高画像を利用することによって、標高についてのメッシュ統計を生成することができる。
例えば、衛星画像の一例である夜間光強度を表す夜間光画像は、各画素値がその場所の夜間光強度を表す。この夜間光画像を利用することによって、夜間光強度についてのメッシュ統計を生成することができる。
例えば、衛星画像の一例である雲密度を表す雲画像は、各画素値がその場所の雲密度を表す。この雲画像を利用することによって、雲密度についてのメッシュ統計を生成することができる。
位置情報に関連付けられたデータは、例えば、ポイントデータであり得る。ポイントデータは、点の位置情報と、その点に関連付けられた情報とを有するデータである。近年インターネット上で大量の位置情報付きデータポイントデータが収集され公開されており、これらのデータを利用することにより、世界メッシュ統計を効率的に生成することができる。
ポイントデータは、例えば、会社の所在地(位置情報)およびその従業員数を示す情報(その点に関連付けられた情報)を有するデータ、宿泊施設の所在地(位置情報)およびその収容人数または宿泊した人数を示す情報(その点に関連付けられた情報)を有するデータ等多岐にわたる。ポイントデータには、その目的に応じた情報がデータとして含まれており、ポイントデータに含まれる情報に対応したメッシュ統計を生成することができる。
位置情報に関連付けられたデータは、例えば、ポリゴンデータであり得る。ポリゴンデータは、複数の点によって表される領域の位置情報と、その領域に関連付けられた情報とを有するデータである。
ポリゴンデータは、例えば、或る地区の位置情報(領域の位置情報)およびその地区内に居住している人数を示す情報(その領域に関連付けられた情報)を有するデータ、浸水想定区域図に含まれるデータ(すなわち、単位区域の位置情報(領域の位置情報)および単位区域毎の想定浸水深を示す情報(その点に関連付けられた情報)を有するデータ)等多岐にわたる。ポリゴンデータには、その目的に応じた情報がデータとして含まれており、ポリゴンデータに含まれる情報に対応したメッシュ統計を生成することができる。
位置情報に関連付けられたデータは、例えば、データ源から得られた生データであってもよいし、加工されたデータであってもよい。例えば、位置情報に関連付けられたデータが衛星画像データである場合、衛星画像データは、衛星のセンサで観測された源記録であってもよいし、源記録を緯度経度直交系に写像し地図上に重ねて利用できるようにオルソ加工を施したデータであってもよいし、源記録から特徴量を抽出したデータであってもよい。
さらに、生成された複数のメッシュ統計に基づいて、所望のメッシュ統計を得ることができる。例えば、所望の領域(例えば、国、都道府県、市区町村等の行政界区画等)に含まれるメッシュの統計データの値を集計することによって、その領域のメッシュ統計を生成することができる。生成されたメッシュ統計は、国の機関、地方自治体、民間の会社等によって種々の用途のために利用され得る。
例えば、位置情報に関連付けられたデータが衛星画像データである場合、衛星画像の一例である標高画像から生成された複数のメッシュ統計を所望の領域について集計することにより、標高についてのその領域のメッシュ統計(例えば、平均標高、標高分布、単位面積当たりの標高等)を生成することができる。このようなメッシュ統計は、例えば、国土計画における基本フレーム、グランドデザインに活用されることができる。
例えば、衛星画像の一例である夜間光画像から生成された複数のメッシュ統計を所望の領域について集計することにより、夜間光強度についてのその領域のメッシュ統計(例えば、平均夜間光強度、夜間光強度分布、単位面積当たりの夜間光強度等)を生成することができる。このようなメッシュ統計は、人口把握、特に夜間人口把握のために活用されることができる。
例えば、衛星画像の一例である雲画像から生成された複数のメッシュ統計を所望の領域について集計することにより、雲密度についてのその領域のメッシュ統計(例えば、平均雲密度、雲密度分布、単位面積当たりの雲密度等)を生成することができる。さらに、略リアルタイムの頻度で更新される雲画像を利用すると、略リアルタイムの頻度で更新可能な時系列のメッシュ統計も生成することができる。このようなメッシュ統計は、気象状況の把握、気象予報、ひいては災害予測のために活用されることができる。
例えば、位置情報に関連付けられたデータがポイントデータである場合、会社の所在地およびその従業員数を示す情報を有する複数のデータを生成された複数のメッシュ統計を所望の領域について集計することにより、その領域内で働いている人数についてのメッシュ統計(例えば、平均人数、人数分布等)を生成することができる。このようなメッシュ統計は、例えば、労働環境調査等に活用されることができる。
例えば、位置情報に関連付けられたデータがポイントデータである場合、宿泊施設の所在地およびその収容人数を示す情報を有する複数のデータから生成された複数のメッシュ統計を所望の領域について集計することにより、その領域内の宿泊収容人数についてのメッシュ統計(例えば、平均宿泊可能人数、宿泊可能人数分布等)を生成することができる。このようなメッシュ統計は、例えば、宿泊施設分布調査等に活用されることができる。
例えば、位置情報に関連付けられたデータがポリゴンデータである場合、浸水想定区域図に含まれるデータから生成された複数のメッシュ統計を所望の領域について集計することにより、想定浸水深についてのその領域のメッシュ統計(例えば、平均浸水深、浸水深分布等)を生成することができる。このようなメッシュ統計は、例えば、危険区域の把握、災害予測のために活用されることができる。
このように位置情報に関連付けられたデータを利用してメッシュ統計を生成することにより、既存の統計データが存在しない地域であっても、衛星画像から抽出可能な統計量に関するものにはなるが、メッシュ統計を生成することが可能になる。
さらに、メッシュ統計は、1つのメッシュ統計と他のメッシュ統計とを組み合わせることができるため、既存のメッシュ統計から、新たな観点でのメッシュ統計を導出することができる。これにより、種々の観点のメッシュ統計を無限に創出することができるようになる。
例えば、ユーザが、旅行客が自然派であるか都会派であるかのプレファレンスを知りたいとき、夜間光画像から生成された複数のメッシュ統計と、宿泊施設の位置情報と宿泊した人数を示す複数のポイントデータから生成された複数のメッシュ統計とを組み合わせることにより、明るい場所に宿泊した人数および暗い場所に宿泊した人数を示すメッシュ統計を導出することができる。これにより、明るい場所に宿泊した人数(例えば、街中のホテルに宿泊した都会派の旅行者の人数)と暗い場所に宿泊した人数(例えば、山中のロッジに宿泊した自然派の旅行者の人数)とを比較することができ、旅行者のプレファレンスを知ることができるようになる。これは、例えば、マーケティング戦略立案等のために利用され得る。
例えば、ユーザが、旅行客が山派であるか海派であるかのプレファレンスを知りたいとき、地表の物理状態を示す土地被覆画像から生成された複数のメッシュ統計と、宿泊施設の位置情報と宿泊した人数を示す複数のポイントデータから生成された複数のメッシュ統計とを組み合わせることにより、周囲に森林が多い場所に宿泊した人数および海が近い場所に宿泊した人数を示すメッシュ統計を導出することができる。これにより、周囲に森林が多い場所に宿泊した人数(例えば、山中のロッジに宿泊した山派の旅行者の人数)と海が近い場所に宿泊した人数(例えば、海沿いの民宿に宿泊した海派の旅行者の人数)とを比較することができ、旅行者のプレファレンスを知ることができるようになる。これは、例えば、マーケティング戦略立案等のために利用され得る。
例えば、ユーザが、標高が高い場所に住んでいる人数を知りたいとき、夜間光画像から生成された複数のメッシュ統計と、標高画像から生成された複数のメッシュ統計とを組み合わせることにより、標高毎の人口を示すメッシュ統計を導出することができる。これにより、例えば1000m以上の高地に住んでいる人数、1500m以上の高地に住んでいる人数等を知ることができるようになる。これは、例えば、居住環境調査等のために利用され得る。
位置情報に関連付けられたデータを利用してメッシュ統計を生成することは、例えば、以下に説明する位置情報に関連付けられたデータを利用してメッシュ統計を生成するためのシステムによって実現され得る。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
3.位置情報に関連付けられたデータを利用してメッシュ統計を生成するためのシステムの構成
図1は、本発明の位置情報に関連付けられたデータを利用してメッシュ統計を生成するためのシステム1000の構成の一例を示す。
システム1000は、第1のコンピュータ装置100と、第2のコンピュータ装置200と、第1のコンピュータ装置100に接続された第1のデータベース部300と、第1のコンピュータ装置100および第2のコンピュータ装置200に接続された第2のデータベース部400を備える。第1のコンピュータ装置100は、位置情報に関連付けられたデータから複数のメッシュデータを生成するための装置であり得、第2のコンピュータ装置200は、複数のメッシュデータを集計することによりメッシュ統計を生成するための装置であり得る。
第1のコンピュータ装置100は、インターフェース部110と、プロセッサ120と、メモリ130とを備える。
インターフェース部110は、第1のコンピュータ装置100の外部とデータのやり取りを行う。第1のコンピュータ装置100のプロセッサ120は、インターフェース部110を介して、第1のコンピュータ装置100の外部からデータを受信することが可能であり、第1のコンピュータ装置100の外部にデータを送信することが可能である。インターフェース部110は、任意の形式でデータのやり取りを行うことができる。
インターフェース部110は、第1のコンピュータ装置100の外部からデータを受信することが可能であるように構成されている受信手段を備え得る。受信手段が、どのような態様でデータを受信するかは問わない。受信手段は、例えば、第1のコンピュータ装置100の外部からネットワークを介してデータを受信してもよいし、第1のコンピュータ装置100に接続された記憶媒体(例えば、USBメモリ、光ディスク等)または第1のデータベース部300または第2のデータベース部400からデータを受信してもよい。ネットワークを介してデータを受信する場合は、ネットワークの種類は問わない。受信手段は、例えば、Wi-fi等の無線LANを利用してデータを受信してもよいし、インターネットを介してデータを受信してもよい。
インターフェース部110の受信手段は、例えば、位置情報に関連付けられたデータを受信する。位置情報に関連付けられたデータは、例えば、第1のコンピュータ装置100に接続された第1のデータベース部300に格納され得、受信手段は、第1のデータベース300から位置情報に関連付けられたデータを受信してもよいし、システム1000の外部から位置情報に関連付けられたデータを受信してもよい。位置情報に関連付けられたデータは、例えば、衛星画像データであってもよいし、ポイントデータであってもよいし、ポリゴンデータであってもよい。例えば、衛星画像には衛星センサからの複数の衛星画像データが含まれているため、受信手段は、衛星画像を受信することを介して、複数の衛星画像データを受信するようにしてもよい。衛星画像は、例えば、地表形状の標高を表す標高画像、夜間光強度を表す夜間光画像、雲密度を表す雲画像、輝度温度を表す輝度温度画像、人工構造物を特定する人工構造物特定画像のうちの少なくとも1つを含むが、これらに限定されない。例えば、標高画像は、例えば、JAXA(宇宙航空研究開発機構)によって公開されており、このモデルは、陸域観測技術衛星「だいち(ALOS)」搭載のパンクロマチック立体視センサ(PRISM)で観測した衛星画像に基づいている。例えば、標高画像は、経済産業省および米国航空宇宙局(NASA)によっても提供されており、このモデルは、資源探査用将来型センサASTER(Advanced Spaceborne Thermal Emission and Reflection Radiometer)「ASTER」を用いて測定された数値地形データ(ASTER全球3次元地形データ)に基づいている。
衛星画像は、例えば、各画素値がその場所の特性を表し得る。例えば、地表形状の標高を表す標高画像は、各画素値がその場所の地表形状の標高を表す。例えば、夜間光強度を表す夜間光画像は、各画素値がその場所の夜間光強度を表す。例えば、雲密度を表す雲画像は、各画素値がその場所の雲密度を表す。輝度温度を表す輝度温度画像は、各画素値がその場所の輝度温度を表す。例えば、人工構造物を特定する人工構造物特定画像は、各画素値がその場所の人工構造物の有無または種類を表す。
ポイントデータは、点の位置情報と、その点に関連付けられたデータとを有する任意のデータである。ポリゴンデータは、複数の点によって表される領域の位置情報と、その領域に関連付けられた情報とを有する任意のデータである。
インターフェース部110の受信手段が受信したデータは、後続の処理のために、プロセッサ120に渡される。
インターフェース部110は、第1のコンピュータ装置100の外部にデータを出力することが可能であるように構成されている出力手段を備え得る。出力手段が、どのような態様で第1のコンピュータ装置100からデータを出力するかは問わない。例えば、出力手段が表示画面である場合、表示画面にデータを出力するようにしてもよい。あるいは、出力手段がデータ書き込み装置である場合、第1のコンピュータ装置100に接続された記憶媒体または第2のデータベース部400にデータを書き込むことによってデータを出力するようにしてもよい。あるいは、出力手段が送信器である場合、送信器がネットワークを介して第1のコンピュータ装置100の外部にデータを送信することにより出力してもよい。この場合、ネットワークの種類は問わない。例えば、送信器は、インターネットを介してデータを送信してもよいし、LANを介してデータを送信してもよい。例えば、出力手段は、データの出力先のハードウェアまたはソフトウェアによって取り扱い可能な形式に変換して、または、データの出力先のハードウェアまたはソフトウェアによって取り扱い可能な応答速度に調整してデータを出力するようにしてもよい。
インターフェース部110の出力手段は、例えば、生成されたメッシュデータを出力する。出力されたメッシュデータは、例えば、第2のデータベース部400に送信され、第2のデータベース部400に格納され得る。
プロセッサ120は、第1のコンピュータ装置100全体の動作を制御する。プロセッサ120は、メモリ130に格納されているプログラムを読み出し、そのプログラムを実行する。これにより、第1のコンピュータ装置100を所望のステップを実行する装置として機能させることが可能である。プロセッサ120は、単一のプロセッサによって実装されてもよいし、複数のプロセッサによって実装されてもよい。プロセッサ120によって処理されたデータは、出力のために、インターフェース部110に渡される。
メモリ130には、第1のコンピュータ装置100における処理を実行するためのプログラムやそのプログラムの実行に必要とされるデータ等が格納されている。メモリ130には、例えば、衛星画像を利用してメッシュ統計を生成するためのプログラム(例えば、後述する図6、図7、図8に示される処理を実現するプログラム)が格納されている。メモリ130には、任意の機能を実装するアプリケーションが格納されていてもよい。ここで、プログラムをどのようにしてメモリ130に格納するかは問わない。例えば、プログラムは、メモリ130にプリインストールされていてもよい。あるいは、プログラムは、ネットワークを経由してダウンロードされることによってメモリ130にインストールされるようにしてもよい。メモリ130は、任意の記憶手段によって実装され得る。
第2のコンピュータ装置200は、インターフェース部210と、プロセッサ220と、メモリ230とを備える。
インターフェース部210は、第2のコンピュータ装置200の外部とデータのやり取りを行う。第2のコンピュータ装置200のプロセッサ220は、インターフェース部210を介して、第2のコンピュータ装置200の外部からデータを受信することが可能であり、第2のコンピュータ装置200の外部にデータを送信することが可能である。インターフェース部210は、任意の形式でデータのやり取りを行うことができる。
インターフェース部210は、第2のコンピュータ装置200の外部からデータを受信することが可能であるように構成されている受信手段を備え得る。受信手段が、どのような態様でデータを受信するかは問わない。受信手段は、例えば、第2のコンピュータ装置200の外部からネットワークを介してデータを受信してもよいし、第2のコンピュータ装置200に接続された記憶媒体(例えば、USBメモリ、光ディスク等)または第2のデータベース部400からデータを受信してもよい。ネットワークを介してデータを受信する場合は、ネットワークの種類は問わない。受信手段は、例えば、Wi-fi等の無線LANを利用してデータを受信してもよいし、インターネットを介してデータを受信してもよい。
インターフェース部210の受信手段は、例えば、複数のメッシュデータを受信する。複数のメッシュデータは、例えば、第2のデータベース部400に格納され得、受信手段は、第2のデータベース部400から複数のメッシュデータを受信してもよいし、システム1000の外部から複数のメッシュデータを受信してもよい。
受信手段は、例えば、システム1000の外部から、提供すべきメッシュ統計の指示を受信することができる。提供すべきメッシュ統計の指示は、例えば、ユーザから送信され得、ユーザが所望するメッシュ統計の情報を含み得る。
インターフェース部210の受信手段が受信したデータは、後続の処理のために、プロセッサ220に渡される。
インターフェース部210は、第2のコンピュータ装置200の外部にデータを出力することが可能であるように構成されている出力手段を備え得る。出力手段が、どのような態様で第2のコンピュータ装置200からデータを出力するかは問わない。例えば、出力手段が表示画面である場合、表示画面にデータを出力するようにしてもよい。あるいは、出力手段がデータ書き込み装置である場合、第2のコンピュータ装置200に接続された記憶媒体または第2のデータベース部400にデータを書き込むことによってデータを出力するようにしてもよい。あるいは、出力手段が送信器である場合、送信器がネットワークを介して第2のコンピュータ装置200の外部にデータを送信することにより出力してもよい。この場合、ネットワークの種類は問わない。例えば、送信器は、インターネットを介してデータを送信してもよいし、LANを介してデータを送信してもよい。例えば、出力手段は、データの出力先のハードウェアまたはソフトウェアによって取り扱い可能な形式に変換して、または、データの出力先のハードウェアまたはソフトウェアによって取り扱い可能な応答速度に調整してデータを出力するようにしてもよい。インターフェース部210の出力手段は、例えば、生成されたメッシュ統計を出力する。出力されたメッシュ統計は、例えば、第2のデータベース部400に送信され、第2のデータベース部400に格納され得る。
プロセッサ220は、第2のコンピュータ装置200全体の動作を制御する。プロセッサ220は、メモリ230に格納されているプログラムを読み出し、そのプログラムを実行する。これにより、第2のコンピュータ装置200を所望のステップを実行する装置として機能させることが可能である。プロセッサ220は、単一のプロセッサによって実装されてもよいし、複数のプロセッサによって実装されてもよい。プロセッサ220によって処理されたデータは、出力のために、インターフェース部210に渡される。
メモリ230には、第2のコンピュータ装置200における処理を実行するためのプログラムやそのプログラムの実行に必要とされるデータ等が格納されている。メモリ230には、例えば、衛星画像を利用してメッシュ統計を生成するためのプログラム(例えば、後述する図9に示される処理を実現するプログラム)が格納されている。メモリ230には、任意の機能を実装するアプリケーションが格納されていてもよい。ここで、プログラムをどのようにしてメモリ230に格納するかは問わない。例えば、プログラムは、メモリ230にプリインストールされていてもよい。あるいは、プログラムは、ネットワークを経由してダウンロードされることによってメモリ230にインストールされるようにしてもよい。メモリ230は、任意の記憶手段によって実装され得る。
第1のコンピュータ装置100に接続されている第1のデータベース部300には、例えば、衛星画像が格納され得る。第1のデータベース部300には、例えば、第2のコンピュータ装置200によって出力されたデータ(例えば、生成されたメッシュデータ、生成されたメッシュ統計)が格納され得る。生成されたメッシュデータは、そのメッシュを識別する情報(例えば、地域メッシュ統計のために用いられている「地域メッシュコード」、もしくは、それを世界規模に拡張した「世界メッシュコード」、および/または、位置情報(例えば、メッシュの中央の座標、もしくは、メッシュの北西端の座標および南東端の座標)等)と関連付けられて格納され得る。「地域メッシュコード」は、日本全土に複数のメッシュを割り当て、各メッシュを識別できるようにするために付されたコードである。「世界メッシュコード」は、「地域メッシュコード」を世界規模に拡張したものであり、世界全土に複数のメッシュを割り当て、各メッシュを識別できるようにするために付されたコードである。緯度および経度の位置情報により、一意に「地域メッシュコード」または「世界メッシュコード」を特定することができる。
第1のコンピュータ装置100に接続されている第1のデータベース部300には、例えば、位置情報に関連付けられたデータ(例えば、衛星画像データ、ポイントデータ、ポリゴンデータ)が格納され得る。
第2のデータベース部400には、例えば、第1のコンピュータ装置100によって出力されたデータ(例えば、生成されたメッシュデータ)が格納され得る。生成されたメッシュデータは、そのメッシュを識別する情報(例えば、地域メッシュ統計のために用いられている「地域メッシュコード」、もしくは、それを世界規模に拡張した「世界メッシュコード」、および/または、位置情報(例えば、メッシュの中央の座標、もしくは、メッシュの北西端の座標および南東端の座標)等)と関連付けられて格納され得る。生成されたメッシュデータは、例えば、複数の統計量(最小値、最大値、中央値、平均値)を有することができる。第2のデータベース400には、例えば、第2のコンピュータ装置200によって出力されたデータ(例えば、生成されたメッシュ統計)が格納され得る。
第2のデータベース部400には、例えば、種々の領域の形状データが格納され得る。種々の領域は、例えば、国、都道府県、市区町村等の行政界区画等であるが、これらに限定されない。形状データは、例えば、種々の領域の形状を多角形で近似したデータであってもよいし、曲線で近似したデータであってもよい。
図1に示される例では、第1のコンピュータ装置100、第2のコンピュータ装置200、第1のデータベース部300、第2のデータベース部400が、それぞれ別個の構成要素として説明されているが、本発明はこれに限定されない。第1のコンピュータ装置100、第2のコンピュータ装置200、第1のデータベース部300、第2のデータベース部400のうちの少なくとも2つを同一の構成要素内に設けることも可能である。例えば、第1のコンピュータ装置100および第2のコンピュータ装置200を同一の構成要素とすることができる。このとき、第1のコンピュータ装置100および第2のコンピュータ装置200内のインターフェース部110、210、プロセッサ120、220、メモリ部130、230は、それぞれ統合されてもよいし、別個であってもよい。例えば、第1のデータベース部300を第1のコンピュータ装置100の内部に設けることができる。このとき、第1のデータベース部300は、メモリ130を実装する記憶手段と同一の記憶手段によって実装されてもよいし、メモリ130を実装する記憶手段とは別の記憶手段によって実装されてもよい。いずれにせよ、第1のデータベース部300は、第1のコンピュータ装置100のための格納部として構成される。例えば、第2のデータベース部400を第2のコンピュータ装置200の内部に設けることができる。このとき、第2のデータベース部400は、メモリ230を実装する記憶手段と同一の記憶手段によって実装されてもよいし、メモリ230を実装する記憶手段とは別の記憶手段によって実装されてもよい。いずれにせよ、第2のデータベース部400は、第2のコンピュータ装置200のための格納部として構成される。第1のデータベース部300および第2のデータベース部400の構成は、特定のハードウェア構成に限定されない。例えば、第1のデータベース部300および第2のデータベース部400の各々は、単一のハードウェア部品で構成されてもよいし、複数のハードウェア部品で構成されてもよい。例えば、第1のデータベース部300および/または第2のデータベース部400は、第1のコンピュータ装置100および/または第2のコンピュータ装置200の外付けハードディスク装置として構成されてもよいし、ネットワークを介して接続されるクラウド上のストレージとして構成されてもよい。
好ましい実施形態では、第1のデータベース部300と、第2のデータベース部400とは異なる構成要素で実装され得る。第1のデータベース部300に格納される位置情報関連付けられたデータは、比較的に取り扱いに注意を要するセンシティブなデータであり得る。位置情報に関連付けられたデータは、例えば、個人情報を含む場合があり、個人情報が漏洩するリスクがある。また、位置情報に関連付けられたデータは、機密情報を含む場合があり、悪意を持って利用されるリスクがある。例えば、衛星画像のうち、光源または熱源を示す衛星画像は、光源または熱源により、人が住んでいる場所を示す場合もあれば、原子力発電所等の核施設を示す場合もあり、軍事的に利用されるリスクがある。このようなセンシティブなデータへのアクセスを第1のコンピュータ装置100に制限し、第1のコンピュータ装置100によって生成された、取り扱いが容易なメッシュデータを第2のデータベース部400に格納して公衆に利用可能とすることにより、このようなリスクを排除することができる。さらに、メッシュデータであれば、個人が特定されるリスクは低く、セキュリティが強化されるという利点がある。また、衛星画像等のデータ量が大きいデータであっても、メッシュデータ化されることにより、扱いが容易になり、処理速度が向上する。
図2は、プロセッサ120の構成の一例を示す。
プロセッサ120は、少なくとも、決定手段121と、生成手段122とを備える。
決定手段121は、インターフェース部110によって受信された、位置情報に関連付けられた複数のデータが、それぞれ、複数のメッシュのうちどのメッシュに属するかを決定するように構成されている。位置情報に関連付けられた複数のデータは、例えば、少なくとも1つの衛星画像に含まれる衛星画像データであり、決定手段121は、少なくとも1つの衛星画像に複数のメッシュを割り当てることにより、衛星画像に含まれる複数の衛星画像データが属するそれぞれのメッシュを決定する。決定手段121は、例えば、図8を参照して後述する処理800によって、受信された衛星画像に複数のメッシュを割り当てることにより、衛星画像に含まれる複数の衛星画像データが属するそれぞれのメッシュを決定するができる。
位置情報に関連付けられた複数のデータは、例えば、複数のポイントデータであり、決定手段121は、複数のポイントデータが属するそれぞれのメッシュを決定する。決定手段121は、例えば、ポイントデータが示す位置情報(緯度および経度)から、対応する「地域メッシュコード」またはそれを世界規模に拡張した「世界メッシュコード」を計算することによって、ポイントデータが属するメッシュを決定する。
位置情報に関連付けられた複数のデータは、例えば、複数のポリゴンデータであり、決定手段121は、複数のポリゴンデータが属するそれぞれのメッシュを決定する。決定手段121は、例えば、ポリゴンデータを形成する複数の点のそれぞれが示す位置情報(緯度および経度)から、対応する「地域メッシュコード」またはそれを世界規模に拡張した「世界メッシュコード」を計算することによって、ポリゴンデータの各点が属するそれぞれのメッシュを決定し、それぞれのメッシュ全体を、ポリゴンデータが属するメッシュであると決定する。
メッシュは、複数のメッシュにより空間(または平面)を充填することができる外形形状を有する領域であり、例えば、メッシュは、矩形領域、または、多角形領域であり得る。複数のメッシュにより空間を充填することができる外形形状は、例えば、正三角形、正方形、長方形、平行四辺形、正六角形を含む。
一実施形態において、メッシュは、例えば、矩形領域であり、このとき、メッシュの各辺は、経線または緯線に略平行である。メッシュには、複数の種類のメッシュが存在し得る。例えば、図3に示されるように、大きさが異なる「1次メッシュ」、「2次メッシュ」、「3次メッシュ(または基準メッシュ)」、「2分の1メッシュ」、「4分の1メッシュ」、「8分の1メッシュ」が存在する。
「1次メッシュ」は、例えば、緯度方向幅40分および経度方向幅1度を有する矩形領域である。「2次メッシュ」は、1次メッシュを緯度方向および経度方向に8等分してできる矩形領域であり、例えば、緯度方向幅5分および経度方向幅7.5分を有する矩形領域である。このとき、「1次メッシュ」は、16個の「2次メッシュ」を包含することになり、16個の「2次メッシュ」のメッシュデータを集計したメッシュ統計が、対応する「1次メッシュ」のメッシュデータとなり得る。
「3次メッシュ」は、2次メッシュを緯度方向および経度方向に10等分してできる矩形領域であり、例えば、緯度方向幅30秒および経度方向幅45秒を有する矩形領域である。このとき、「2次メッシュ」は、100個の「3次メッシュ」を包含することになり、100個の「3次メッシュ」のメッシュデータを集計したメッシュ統計が、対応する「2次メッシュ」のメッシュデータとなり得る。
「2分の1メッシュ」は、3次メッシュを緯度方向および経度方向に2等分してできる矩形領域であり、例えば、緯度方向幅15秒および経度方向幅22.5秒を有する矩形領域である。このとき、「3次メッシュ」は、4個の「2分の1メッシュ」を包含することになり、4個の「2分の1メッシュ」のメッシュデータを集計したメッシュ統計が、対応する「3次メッシュ」のメッシュデータとなり得る。
「4分の1メッシュ」は、2分の1メッシュを緯度方向および経度方向に2等分してできる矩形領域であり、例えば、緯度方向幅7.5秒および経度方向幅11.25秒を有する矩形領域である。このとき、「2分の1メッシュ」は、4個の「4分の1メッシュ」を包含することになり、4個の「4分の1メッシュ」のメッシュデータを集計したメッシュ統計が、対応する「2分の1メッシュ」のメッシュデータとなり得る。
「8分の1メッシュ」は、4分の1メッシュを緯度方向および経度方向に2等分してできる矩形領域であり、例えば、緯度方向幅3.75秒および経度方向幅5.625秒を有する矩形領域である。このとき、「4分の1メッシュ」は、4個の「8分の1メッシュ」を包含することになり、4個の「8分の1メッシュ」のメッシュデータを集計したメッシュ統計が、対応する「4分の1メッシュ」のメッシュデータとなり得る。
メッシュは、例えば、地域メッシュ統計のために用いられている「地域メッシュコード」、または、それを世界規模に拡張した「世界メッシュコード」によって識別され得る。あるいは、例えば、メッシュの位置情報(例えば、メッシュの中央の座標、もしくは、メッシュの北西端の座標および南東端の座標)によって識別され得る。
以下では、メッシュが矩形領域であるとして、説明する。
例えば、位置情報に関連付けられたデータが、衛星画像データである場合、決定手段121が衛星画像データが属するメッシュを決定する。このとき、決定手段121は、衛星画像に任意の数のメッシュを割り当てることにより、衛星画像データが属するメッシュを決定する。メッシュの数は、例えば、衛星画像の緯度および経度の範囲と、緯度方向幅Δlatと、経度方向幅Δlongとによって決定される。例えば、衛星画像が、最大緯度maxlat、最小緯度minlat、最大経度maxlong、最小経度minlongを有する場合、メッシュの数は、N×Mによって算出され、ここで、Mは緯度方向のメッシュの数であり、Nは経度方向のメッシュの数であり、NおよびMは以下の式によって算出される。
M=└(maxlat-minlat)/(Δlat)┘
N=└(maxlong-minlong)/(Δlong)┘
緯度方向幅Δlatおよび経度方向幅Δlongは、生成しようとするメッシュに応じて変動し得る。例えば、1次メッシュを割り当てる場合、Δlatは、40分であり、Δlongは、1度であり得る。例えば、2次メッシュを割り当てる場合、Δlatは、5分であり、Δlongは、7.5分であり得る。例えば、3次メッシュを割り当てる場合、Δlatは、30秒であり、Δlongは、45秒であり得る。例えば、2分の1メッシュを割り当てる場合、Δlatは、15秒であり、Δlongは、22.5秒であり得る。例えば、4分の1メッシュを割り当てる場合、Δlatは、7.5秒であり、Δlongは、11.25秒であり得る。例えば、8分の1メッシュを割り当てる場合、Δlatは、3.75秒であり、Δlongは、5.625秒であり得る。
生成手段122は、複数のメッシュのうちの各メッシュに対して、そのメッシュに属するデータに基づいてメッシュデータを生成するように構成されている。生成手段122は、例えば、複数のメッシュのうちの各メッシュに対して、メッシュ内に含まれるデータの統計量(例えば、最小値、最大値、中央値、平均値)を算出することによって、メッシュデータを生成する。例えば、位置情報に関連付けられたデータが、衛星画像データである場合、生成手段122は、衛星画像の画素値の統計量(例えば、最小値、最大値、中央値、平均値)を算出することによって、メッシュデータを生成する。
例えば、対象のメッシュ内にm個の画素が含まれている場合、画素値の集合Oは、
O={o1,o2,・・・om}
で表される。ここで、oiは、画素iの画素値である。
生成手段122は、画素値の集合Oについて、統計量(例えば、最小値、最大値、中央値、平均値)を算出することができる。例えば、衛星画像にマスク等が存在し、メッシュ内に画素値が存在しない場合には、統計量を算出しないようにしてもよい。
生成手段122は、例えば、複数のメッシュの各々に対して直列的にメッシュデータを生成するようにしてもよい。好ましい実施形態では、複数のメッシュの各々に対して並列的にメッシュデータを生成し得る。並列的にメッシュデータを生成することにより、大きなデータ量を有するデータであっても、計算量および計算時間が大きくならないという利点があるからである。特に、衛星画像は多数のデータ点が1ファイルに存在することにより、衛星画像に対する処理は計算量が膨大になり扱いづらいという問題があるが、メッシュ毎に並列的にメッシュデータを生成することにより、多数のデータ点が1つのファイルに入った高分解能の衛星画像であっても計算量および計算時間が大きくならない。
生成手段122は、例えば、複合メッシュデータを生成することが可能なように構成されることもできる。ここで、複合メッシュデータとは、複数のメッシュデータに基づいて生成されたメッシュデータのことである。複合メッシュデータは、基づいたメッシュデータが示す統計量とは異なる新たな統計量を示すことができるため、基づいたメッシュデータとは別の観点からの統計量分析を可能にする。例えば、生成手段122は、位置情報に関連付けられた複数の第1のデータに基づいて、第1の事項に関する第1のメッシュデータを生成することと、位置情報に関連付けられた複数の第2のデータに基づいて、第2の事項に関する第2のメッシュデータを生成することと、第1のメッシュデータと第2のメッシュデータとに演算処理を施すことにより、複合メッシュデータを生成することとを行うができる。
例えば、生成手段122は、第1の衛星画像データおよび第2の衛星画像データ、または、第1のポイントデータおよび第2のポイントデータ、または、第1のポリゴンデータおよび第2のポリゴンデータに基づいて、複合メッシュデータを生成するようにしてもよいし、衛星画像データ、ポイントデータ、ポリゴンデータのうちの少なくとも2つに基づいて、複合メッシュデータを生成するようにしてもよい。例えば、生成手段122は、位置情報に関連付けられたデータに基づいて、第1の事項に関する第1のメッシュデータを生成することと、位置情報に関連付けられたデータ以外のソースから第2の事項に関する第2のメッシュデータを取得することと、第1のメッシュデータと第2のメッシュデータとに演算処理を施すことにより、複合メッシュデータを生成することも可能である。
演算処理は、例えば、四則演算であり得る。四則演算のうち、和および差は、第1のメッシュデータと第2のメッシュデータとが同一単位系である場合に行うことができる。四則演算のうち、積および商は、第1のメッシュデータと第2のメッシュデータとが同一単位系であっても、異なる単位系であっても行うことができ、積または商の演算結果の単位系は、もとの2つの単位系の積または商となる。
例えば、第1のメッシュデータが衛星画像データから生成された人工物占有面積に関するデータであり、第2のメッシュデータが衛星画像データから生成された森林面積に関するデータである場合、第1のメッシュデータと第2のメッシュデータとの和を取ることによって、人工物と森林とによって占有されている面積に関する複合メッシュデータを得ることができる。例えば、複数のメッシュのうちの1つのメッシュについて、第1の衛星画像の画素値の平均値を算出することによりそのメッシュ内の人工物占有面積が約50,000m2であると算出され、第2の衛星画像の画素値の平均値を算出することによりそのメッシュ内の森林面積が約30,000m2であると算出された場合、人工物と森林とによって占有されている面積に関するそのメッシュの複合メッシュデータは、約80,000m2となる。
例えば、第1のメッシュデータが衛星画像データから生成された森林面積に関するデータであり、第2のメッシュデータがポリゴンデータから生成された針葉樹林に関するデータである場合、第1のメッシュデータと第2のメッシュデータとの差を取ることによって、針葉樹林ではない森林の面積に関する複合メッシュデータを得ることができる。例えば、複数のメッシュのうちの1つのメッシュについて、第1の衛星画像の画素値の平均値を算出することによりそのメッシュ内の森林面積が約30,000m2であると算出され、ポリゴンデータのデータの平均値を算出することによりそのメッシュ内の針葉樹林面積が約10,000m2であると算出された場合、針葉樹林ではない森林の面積に関するそのメッシュの複合メッシュデータは、約20,000m2となる。
例えば、第1のメッシュデータがポイントデータから生成された宿泊施設の稼働率に関するデータであり、第2のメッシュデータがポイントデータから生成された宿泊施設の収容人数に関するデータである場合、第1のメッシュデータと第2のメッシュデータとの積を取ることによって、宿泊者数に関する複合メッシュデータを得ることができる。例えば、複数のメッシュのうちの1つのメッシュについて、第1のポイントデータのデータの平均値を算出することによりそのメッシュ内の宿泊施設の稼働率が約35%であると算出され、第2のポイントデータのデータの平均値を算出することによりそのメッシュ内の宿泊施設の収容人数が約10,000人であると算出された場合、宿泊者数に関するそのメッシュの複合メッシュデータは、約3,500人となる。
例えば、第1のメッシュデータがポリゴンデータから生成された第2次産業の売上額に関するデータであり、第2のメッシュデータがポリゴンデータから生成された第2次産業就業者数に関するデータである場合、第1のメッシュデータと第2のメッシュデータとの商を取ることによって、就業者1人当たりの第2次産業売上額に関する複合メッシュデータを得ることができる。例えば、複数のメッシュのうちの1つのメッシュについて、第1のポリゴンデータのデータの平均値を算出することによりそのメッシュ内の第2次産業の売上額が約8億万円であると算出され、第2のポリゴンデータのデータの平均値を算出することによりそのメッシュ内の第2次産業就業者数が約100人であると算出された場合、就業者1人当たりの第2次産業売上額に関するそのメッシュの複合メッシュデータは、約800万円となる。
生成手段122によって生成されたメッシュデータ(または複合メッシュデータ)は、インターフェース部110に渡され、インターフェース部110を介して装置100の外部に出力される。出力されたデータは、例えば、第1のデータベース部300に格納され得る。
図4は、プロセッサ220の構成の一例を示す。プロセッサ220は、少なくとも、集計手段221を備える。
集計手段221は、インターフェース部210によって受信された複数のメッシュデータの値を集計することにより、所望の領域のメッシュ統計を生成するように構成されている。インターフェース部210によって受信される複数のメッシュデータは、第1のコンピュータ装置100によって生成され第2のデータベース部400に格納された複数のメッシュデータであってもよいし、システム1000の外部から送信された複数のメッシュデータであってもよい。例えば、集計手段221は、所望の領域に対する、複数のメッシュデータが関連付けられたそれぞれのメッシュの包含関係に基づいて、複数のメッシュデータの値を集計することができる。所望の領域は、例えば、国、都道府県、市区町村等の行政界区画であり得る。このような領域は、複雑な外形形状を有し得るが、集計手段221は、この領域を例えばポリゴン(多角形)で近似し、ポリゴンとメッシュとの包含関係から、複数のメッシュデータの値を集計し得る。所望の領域のポリゴンとメッシュとの包含関係に基づいて複数のメッシュデータの値を集計する処理は、図9を参照して後述する処理900に説明される。
集計手段221は、例えば、インターフェース部210によって受信された、提供すべきメッシュ統計の指示を受信するようにしてもよい。集計手段221は、受信した指示に基づいて、メッシュ統計を生成するように、複数のメッシュデータを集計することができる。集計手段221は、例えば、受信された指示に基づいて、第2のデータベース部400に格納されている複数のメッシュデータを検索し、集計すべき複数のメッシュデータを選択し、選択された複数のメッシュデータの値を集計することができる。受信手段221は、例えば、受信された指示に基づいて、受信された複数のメッシュデータから集計すべき複数のメッシュデータを選択し、選択された複数のメッシュデータの値を集計することができる。これにより、集計手段221は、ユーザによって要求されたメッシュ統計を生成することができる。
集計手段221が複数のメッシュデータの値を集計することによって生成されたメッシュ統計は、インターフェース部110に渡され、インターフェース部110を介して装置100の外部に出力される。出力されたデータは、例えば、第1のデータベース部300に格納され得る。
図5は、複数のメッシュデータを格納する第2のデータベース部400のデータ構成の一例を示す。
第2のデータベース部400は、例えば、同一の事項についてのメッシュデータをまとめて格納し得る。第2のデータベース部400は、例えば、第1の事項(例えば、標高)についての第1のメッシュデータを格納する第1のデータベース501と、第2の事項(例えば、雲密度)についての第2のメッシュデータを格納する第2のデータベース502と、第3の事項(例えば、夜間光強度)についての第3のメッシュデータを格納する第3のデータベース503を備え得る。例えば、第1のメッシュデータは、標高画像から生成されたメッシュデータであり、第2のメッシュデータは、雲画像から生成されたメッシュデータであり、第3のメッシュデータは、夜間光画像から生成されたメッシュデータであり得る。
メッシュデータは、例えば、最大値、最小値、中央値のうちの少なくとも1つを含み得、好ましくは、最大値、最小値、および中央値を含み得る。最大値、最小値、および中央値を含むことにより、生成されるメッシュ統計の幅が広がるからである。メッシュデータは、例えば、最大値、最小値、および中央値に加えて、平均値も含むようにしてもよい。メッシュデータは、例えば、最大値、最小値、および中央値に加えて、他の四分位点(例えば25パーセンタイル(第一四分位点)、75パーセンタイル(第三四分位点))を含むようにしてもよい。
メッシュデータは、そのメッシュを識別する情報(例えば、地域メッシュコードもしくは世界メッシュコード、および/または、位置情報等)と関連付けられて格納され得る。本例では、メッシュの北西端の座標(緯度,経度)および南東端の座標(緯度,経度)によって表される位置情報と関連付けられて格納されている。座標の値は、正の値が北緯または東経を表し、負の値が南緯または西経を表し得る。
第1のデータベース501、第2のデータベース502、および第3のデータベース503は、それぞれ同一のサイズのメッシュについてのメッシュデータを格納しているが、異なるサイズのメッシュについてのメッシュデータを格納するデータベースを備えるようにしてもよい。
上述した図2、図4に示される例では、プロセッサ120、220の各構成要素が同一のプロセッサ120またはプロセッサ220内に設けられているが、本発明はこれに限定されない。プロセッサ120またはプロセッサ220の各構成要素が、複数のプロセッサ部に分散される構成も本発明の範囲内である。このとき、複数のプロセッサ部は、同一のハードウェア部品内に位置してもよいし、近傍または遠隔の別個のハードウェア部品内に位置してもよい。
上述した図1に示される例では、第1のコンピュータ装置100の各構成要素が第1のコンピュータ装置100内に設けられており、第2のコンピュータ装置200の各構成要素が第2のコンピュータ装置200内に設けられているが、本発明はこれに限定されない。第1のコンピュータ装置100の各構成要素のいずれかが第1のコンピュータ装置100の外部に設けられることも可能であり、第2のコンピュータ装置200の各構成要素のいずれかが第2のコンピュータ装置200の外部に設けられることも可能である。例えば、プロセッサ120、メモリ130のそれぞれが別々のハードウェア部品で構成されている場合には、各ハードウェア部品が任意のネットワークを介して接続されてもよい。このとき、ネットワークの種類は問わない。各ハードウェア部品は、例えば、LANを介して接続されてもよいし、無線接続されてもよいし、有線接続されてもよい。第1のコンピュータ装置100および第2のコンピュータ装置200は、特定のハードウェア構成には限定されない。例えば、プロセッサ120、220をデジタル回路ではなくアナログ回路によって構成することも本発明の範囲内である。第1のコンピュータ装置100および第2のコンピュータ装置200の構成は、その機能を実現できる限りにおいて上述したものに限定されない。
4.位置情報に関連付けられたデータを利用してメッシュ統計を生成するためのシステムによる処理
図6は、本発明の位置情報に関連付けられたデータを利用してメッシュ統計を生成するためのシステム1000による処理600の一例を示す。
ステップS601では、第1のコンピュータ装置100のインターフェース部110が、位置情報に関連付けられた少なくとも1つのデータを受信する。位置情報に関連付けられたデータは、例えば、衛星画像データ、ポイントデータ、ポリゴンデータであり得る。衛星画像データを受信する場合、衛星画像を受信することにより、衛星画像に含まれる衛星画像データ(例えば、画素値)を抽出するようにしてもよい。
衛星画像は、例えば、地表形状の標高を表す標高画像、夜間光強度を表す夜間光画像、雲密度を表す雲画像、輝度温度を表す輝度温度画像、人工構造物を特定する人工構造物特定画像のうちの少なくとも1つを含むが、これらに限定されない。
受信された位置情報に関連付けられたデータは、インターフェース部110からプロセッサ120に渡され、第1のコンピュータ装置100のプロセッサ120はこれを受信する。
ステップS602では、プロセッサ120が、複数のメッシュのうち、受信された位置情報に関連付けられたデータが属するメッシュを決定する。これは、例えば、上述した決定手段121によって行われる。決定手段121は、例えば、後述する図8に示される処理800によって、受信された衛星画像に複数のメッシュを割り当てることにより、衛星画像データが属するメッシュを決定するができる。決定手段121は、例えば、ポイントデータの位置情報から地域メッシュコードまたは世界メッシュコードを算出することによって、受信されたポイントデータが属するメッシュを決定することができる。決定手段121は、例えば、ポリゴンデータを形成する複数の点のそれぞれが示す位置情報から地域メッシュコードまたは世界メッシュコードを算出することによって、受信されたポリゴンデータが属するメッシュを決定することができる。ステップS601で位置情報に関連付けられた複数のデータが受信された場合には、複数のデータのそれぞれについて、属するメッシュを決定することができる。
ステップS603では、プロセッサ120が、少なくとも1つのデータに基づいて、そのデータが属するメッシュのメッシュデータを生成する。これは、例えば、上述した生成手段122によって行われる。
例えば、生成手段122は、複数のメッシュのうちの第1のメッシュについて、第1のメッシュに含まれる位置情報に関連付けられたデータの集合O1を取得し、O1の統計量(例えば、最小値、最大値、中央値、平均値)を算出することによって、第1のメッシュのメッシュデータを生成する。その後、または、これと並列的に、生成手段122は、複数のメッシュのうちの第2のメッシュについて、第2のメッシュに含まれる位置情報に関連付けられたデータの集合O2を取得し、O2の統計量(例えば、最小値、最大値、中央値、平均値)を算出することによって、第2のメッシュのメッシュデータを生成する。その後、または、これと並列的に、生成手段122は、複数のメッシュのうちの第nのメッシュについて、第nのメッシュに含まれる位置情報に関連付けられたデータの集合Onを取得し、Onの統計量(例えば、最小値、最大値、中央値、平均値)を算出することによって、第nのメッシュのメッシュデータを生成する。このように、生成手段122は、複数のメッシュの全てに対して、直列的または並列的にメッシュデータを生成することができる。複数のメッシュデータを並列的に生成することにより、大きなデータ量を有するデータ、特に、多数のデータ点が1つのファイルに入った高分解能の衛星画像であっても計算時間が大きくならない。本明細書において、「並列的」は、「同時に」の意味に限定されず、少なくとも部分的に同時に行われる場合も含むものとする。
例えば、位置情報に関連付けられたデータ内にマスク等が存在し、メッシュ内にデータが存在しない場合には、統計量を算出しないようにしてもよい。このとき、そのメッシュについてのメッシュデータを生成する処理を終了してもよい。
ステップS604では、プロセッサ120が、インターフェース部110を介して第2のデータベース部400にメッシュデータを送信し、メッシュデータを第2のデータベース部400に格納する。プロセッサ120は、例えば、ステップS603でメッシュデータを生成する度にステップS604でメッシュデータを第2のデータベース部400に格納してもよいし、例えば、ステップS603で複数のメッシュのうちのいくつかについてメッシュデータを生成した後にステップS604でメッシュデータを第2のデータベース部400に格納してもよいし、例えば、ステップS603で複数のメッシュの全てについてメッシュデータを生成した後にステップS604でメッシュデータを第2のデータベース部400に格納してもよい。
ステップS604では、メッシュデータに加えて、メッシュを識別する情報(例えば、地域メッシュコードもしくは世界メッシュコード、および/または、位置情報等)が、第2のデータベース部400に送信されて、メッシュデータに関連付けられて第2のデータベース部400に格納され得る。
ステップS601でインターフェース部110が、位置情報に関連付けられた第1のデータと位置情報に関連付けられた第2のデータとを含む複数のデータを受信した場合、ステップS602では、決定手段121は、複数のメッシュのうち、第1のデータおよび第2のデータのそれぞれが属するメッシュを決定する。次いで、ステップS603では、生成手段122は、第1のデータおよび第2のデータに基づいて複合メッシュデータを生成することができる。なお、ステップS602で考慮される複数のメッシュは、第1のデータおよび第2のデータのそれぞれにおいて、同じ位置で区画される同じサイズのメッシュである必要がある。メッシュが区画される位置またはサイズがずれている場合には、それぞれのメッシュデータに演算処理を行うことができず、複合メッシュデータを生成することができなくなるからである。
図7は、ステップS603において、生成手段122が、複数のデータ(位置情報に関連付けられた第1のデータおよび位置情報に関連付けられた第2のデータ)に基づいて複合メッシュデータを生成する処理の一例を示す。
ステップS701では、生成手段122が、メッシュに属する位置情報に関連付けられた第1のデータに基づいて第1のメッシュデータを生成する。これは上述した処理と同様の処理であり得る。例えば、生成手段122は、複数のメッシュのうちの第1のメッシュについて、第1のメッシュに含まれる位置情報に関連付けられた第1のデータの集合O11を取得し、O11の統計量(例えば、最小値、最大値、中央値、平均値)を算出することによって、第1のメッシュの第1のメッシュデータを生成する。その後、または、これと並列的に、生成手段122は、複数のメッシュのうちの第2のメッシュについて、第2のメッシュに含まれる位置情報に関連付けられた第1のデータの集合O12を取得し、O12の統計量(例えば、最小値、最大値、中央値、平均値)を算出することによって、第2のメッシュの第1のメッシュデータを生成する。その後、または、これと並列的に、生成手段122は、複数のメッシュのうちの第nのメッシュについて、第nのメッシュに含まれる位置情報に関連付けられた第1のデータの集合O1nを取得し、O1nの統計量(例えば、最小値、最大値、中央値、平均値)を算出することによって、第nのメッシュの第1のメッシュデータを生成する。
ステップS702では、生成手段122が、メッシュに属する位置情報に関連付けられた第2のデータに基づいて第2のメッシュデータを生成する。これも上述した処理と同様の処理であり得る。例えば、生成手段122は、複数のメッシュのうちの第1のメッシュについて、第1のメッシュに含まれる位置情報に関連付けられた第2のデータの集合O21を取得し、O21の統計量(例えば、最小値、最大値、中央値、平均値)を算出することによって、第1のメッシュの第2のメッシュデータを生成する。その後、または、これと並列的に、生成手段122は、複数のメッシュのうちの第2のメッシュについて、第2のメッシュに含まれる位置情報に関連付けられた第2のデータの集合O22を取得し、O22の統計量(例えば、最小値、最大値、中央値、平均値)を算出することによって、第2のメッシュの第2のメッシュデータを生成する。その後、または、これと並列的に、生成手段122は、複数のメッシュのうちの第nのメッシュについて、第nのメッシュに含まれる位置情報に関連付けられた第2のデータの集合O2nを取得し、O2nの統計量(例えば、最小値、最大値、中央値、平均値)を算出することによって、第nのメッシュの第2のメッシュデータを生成する。
第1のメッシュデータと第2のメッシュデータとが生成されると、ステップS703において、生成手段122が、第1のメッシュデータと第2のメッシュデータとに演算処理を施すことにより、複合メッシュデータを生成する。演算処理は、例えば、四則演算であり得る。これにより、第1のメッシュデータおよび第2のメッシュデータとは異なる事項についての統計量を示す複合メッシュデータを生成することができる。これは、第1のメッシュデータおよび第2のメッシュデータとは別の観点からの統計量分析を可能にする。
上述した例ではステップS701の後にステップS702が行われるように説明したが、本発明は、これらの順序に限定されない。ステップS702の後にステップS701が行われてもよいし、ステップS701とステップS702が並列的に行われてもよい。
ステップS703は、例えば、ステップS701およびステップS702で第1のメッシュデータおよび第2のメッシュデータが生成される度に行われるようにしてもよいし、例えば、ステップS701およびステップS702で複数のメッシュのうちのいくつかについて第1のメッシュデータおよび第2のメッシュデータを生成した後に行われるようにしてもよいし、例えば、ステップS701およびステップS702で複数のメッシュの全てについて第1のメッシュデータおよび第2のメッシュデータを生成した後に行われるようにしてもよい。
処理600によって生成され、第1のデータベース部300に格納された複数のメッシュデータは、メッシュ統計として利用されることができる。例えば、略リアルタイムで更新される衛星画像をソースに用いることにより、略リアルタイムの頻度で複数のメッシュデータを生成することも可能である。これにより、より最新の統計情報を需要者に提供することが可能になる。
例えば、格納された複数のメッシュデータは、それらの値を、所望の領域に対する、メッシュデータが関連付けられたメッシュの貢献度に基づいて、集計手段221によって集計されることができ、これにより、所望の領域のメッシュ統計が生成される。貢献度は、例えば、所望の領域の形状と、メッシュデータが関連付けられたメッシュとの包含関係に基づいて決定されてもよいし、別のメッシュデータに基づいて決定されてもよい。例えば、集計手段221は、図9を参照して後述する処理900によって、格納された複数のメッシュデータの値を集計することにより、所望の領域のメッシュ統計を生成することができる。
図8は、決定手段121によって行われる処理800の一例を示す。処理800は、受信された1つの衛星画像に複数のメッシュを割り当てることにより、衛星画像データが属するメッシュを決定するための処理である。
決定手段121が衛星画像を受信すると、ステップS801では、決定手段121が、受信された衛星画像の四隅の座標(緯度,経度)を求める。決定手段121は、例えば、衛星画像に含まれる位置情報を参照することにより、四隅の座標(緯度,経度)を求めることができる。決定手段121は、例えば、衛星画像に写っている、座標が既知の特徴との相対的な位置関係から、四隅の座標(緯度,経度)を求めることができる。
例えば、衛星画像が、最小緯度minlat、最大緯度maxlat、最小経度minlong、最大経度maxlongを有する場合、四隅の座標は、(maxlat,minlong)、(minlat,minlong)、(maxlat,maxlong)、(minlat,maxlong)と表され得る。
ステップS802では、決定手段121が、北西端のメッシュwNWを特定する。メッシュwNWは、座標(maxlat,minlong)を含むメッシュである。
ステップS803では、決定手段121が、メッシュwNWの中央の座標(緯度,経度)を求める。メッシュwNWが最小緯度lat0、最大緯度lat1、最小経度long0、最大経度long1を有する場合、メッシュwNWの中央の座標(latc,longc)は、
(latc,longc)=((lat0+lat1)/2,(long0+long1)/2)
によって求められる。
ここで、メッシュの緯度方向幅Δlatおよび経度方向幅Δlongとすると、
最小緯度lat0=maxlat-Δlat
最大緯度lat1=maxlat
最小経度long0=minlong
最大経度long1=minlong+Δlong
として求められ得る。緯度方向幅Δlatおよび経度方向幅Δlongは、生成しようとするメッシュに応じて変動し得る。例えば、1次メッシュを割り当てる場合、Δlatは、40分であり、Δlongは、1度であり得る。例えば、2次メッシュを割り当てる場合、Δlatは、5分であり、Δlongは、7.5分であり得る。例えば、3次メッシュを割り当てる場合、Δlatは、30秒であり、Δlongは、45秒であり得る。例えば、2分の1メッシュを割り当てる場合、Δlatは、15秒であり、Δlongは、22.5秒であり得る。例えば、4分の1メッシュを割り当てる場合、Δlatは、7.5秒であり、Δlongは、11.25秒であり得る。例えば、8分の1メッシュを割り当てる場合、Δlatは、3.75秒であり、Δlongは、5.625秒であり得る。
ステップS804では、決定手段121が、衛星画像を囲むメッシュの数N、Mを求める。ここで、Mは緯度方向のメッシュの数であり、Nは経度方向のメッシュの数であり、NおよびMは以下の式によって算出される。
M=└(maxlat-minlat)/(Δlat)┘
N=└(maxlong-minlong)/(Δlong)┘
ステップS805では、決定手段121が、衛星画像を覆うメッシュの集合W=w1,w2,...,wNM、すなわち、メッシュwiの集合(1≦i≦N×M)を求める。
wiは、中心座標(lati,longi)を有するメッシュであり、中心座標(lati,longi)は、
(lati,longi)=(latc+(yy-1)×Δlat,longc+(xx-1)×Δlong)
と表され、ここで、1≦yy≦Mであり、1≦xx≦Nである。
上述した処理によって割り当てられたメッシュの集合Wのそれぞれのメッシュは、中央の座標ならびに緯度方向幅Δlatおよび経度方向幅Δlongが分かっているので、メッシュの北西端の座標および南東端の座標を算出することが可能である。
なお、処理800は、衛星画像にメッシュを割り当てる処理の一例であり、他の処理によっても、衛星画像にメッシュを割り当てることができることが理解される。
図9は、集計手段221によって行われる処理900の一例を示す。処理900は、所望の領域とメッシュとの包含関係に基づいて、第2のデータベース部400に格納された複数のメッシュデータの値を集計することにより、所望の領域のメッシュ統計を提供するための処理である。
集計手段221は、第2のデータベース部400からインターフェース部110を介して所望の領域の形状データを受信しているものとする。また、集計手段221は、所望の領域の形状データによって定義されるポリゴンVを覆い得るm個のメッシュwiに対応するm個のメッシュデータの値xiおよびそれらのメッシュを識別する情報も受信しているものとする。ここで、1≦i≦mであり、mは、2以上の整数である。
処理900は、ステップS901で開始し、i=1が定義される。すなわち、m個のメッシュのうち、メッシュwi=1についての処理が行われる。
ステップS902では、集計手段221が、形状データによって定義されるポリゴンVと、メッシュwiとの包含関係を決定する。ポリゴンVと、メッシュwiとの包含関係は、例えば、図10に説明される関係である。
図10は、ポリゴンVとメッシュwとの包含関係を説明する図である。
(1)は、ポリゴンVがメッシュwに完全に内包されている場合を示している。この場合、S(w)>S(V)=S(V∩w)>0となる。ここで、Sは面積を表す。すなわち、S(w)は、メッシュwの面積であり、S(V)は、ポリゴンVの面積であり、S(V∩w)は、メッシュwとポリゴンVとの共通部分の面積である。
(2)は、ポリゴンVがメッシュwを完全に外包している場合を示している。この場合、S(V)≧S(w)=S(V∩w)>0となる。
(3)は、ポリゴンVがメッシュwと共通部分を有している場合を示している。この場合、S(V),S(w)>S(V∩w)>0となる。
(4)は、ポリゴンVがメッシュwと共通部分を有していない場合を示している。この場合、S(V∩w)=0となる。
再び図9を参照して、ステップS903では、集計手段221が、ステップS902で決定された包含関係に基づいて、ポリゴンVのメッシュwiに対する貢献度ρ(V,wi)を算出する。貢献度ρ(V,wi)は、ポリゴンVがメッシュwiに対してどのくらいの割合を占めているかの程度を示す値であり、例えば、以下の式によって定義される。
ρ(V,wi)=S(V∩w)/S(w)
すなわち、図10を参照して説明した包含関係において、(2)ポリゴンVがメッシュwを完全に外包している場合、ρ(V,wi)=1となり、(4)ポリゴンVがメッシュwと共通部分を有していない場合、ρ(V,wi)=0となり、(1)ポリゴンVがメッシュwに完全に内包されている場合、および、(3)ポリゴンVがメッシュwと共通部分を有している場合、1>ρ(V,wi)>0となる。
貢献度が算出されると、ステップS904では、集計手段221が、算出された貢献度ρ(V,wi)をメッシュデータの値xiに乗じる。
ステップS905では、iがインクリメントされる。
ステップS906では、集計手段221が、iとメッシュの数mとを比較し、iがmよりも大きい場合、ステップS907に進む。iがm以下の場合、ステップS902に戻り、iがmよりも大きくなるまで、すなわち、m個のメッシュ全てに対してρ(V,wi)×xiを算出するまで、ステップS902~ステップS906を繰り返す。
ステップS907では、集計手段221が、m個のメッシュ全てに対して算出されたρ(V,wi)×xiを総和する。得られた値が、所望の領域のメッシュ統計となり得る。
このようにして、所望の領域とメッシュとの包含関係に基づいて、第2のデータベース部400に格納された複数のメッシュデータの値を集計することにより、所望の領域のメッシュ統計を提供することで、例えば、統計データが存在しない領域(例えば、国、都道府県、市区町村等の行政界区画等)であっても、衛星画像から抽出可能な統計量に関するものにはなるが、メッシュ統計を提供することができる。さらに、略リアルタイムで更新される衛星画像をソースに用いることにより、略リアルタイムの頻度で更新可能なメッシュ統計を提供することも可能である。これにより、より最新の統計情報を需要者に提供することが可能になる。
上述した例では、第2のデータベース部400に格納された複数のメッシュデータの値を集計することを説明したが、システム1000の外部から受信された複数のメッシュデータの値を集計することも本発明の範囲内である。
上述した例では、m個のメッシュ全てに対して算出されたρ(V,wi)×xiを総和(Σρ(V,wi)×xi)することによって、所望の領域のメッシュ統計を提供したが、例えば、貢献度ρ(V,wi)が0ではないメッシュのメッシュデータxiを総和(Σ(ρ(V,wi)≠0)xi)することによってメッシュ統計を提供するようにしてもよいし、貢献度ρ(V,wi)が1であるメッシュのメッシュデータxiを総和(Σ(ρ(V,wi)=1)xi)することによってメッシュ統計を提供するようにしてもよい。Σρ(V,wi)×xiが、真の統計値により近似した値を与え得るが、Σ(ρ(V,wi)≠0)xiまたはΣ(ρ(V,wi)=1)xiもまた、真の統計値にある程度近似した値を与え得る。
上述した例では、所望の領域とメッシュとの包含関係に基づいて貢献度を算出したが、貢献度は、包含関係に基づくものに限定されない。貢献度は、例えば、他のメッシュデータに基づいて算出されてもよい。例えば、貢献度は、衛星画像データから生成された人工物占有面積に関するメッシュデータに基づいて算出されてもよく、この貢献度は、人工物が密集している区域であるかどうかの指標となる。例えば、人口についてのメッシュデータの値を所望の領域について再集計する場合にこの貢献度を利用することにより、人工物が密集している区域ほど人口に対する貢献度が大きく、人工物が点在している区域ほど人口に対する貢献度が小さいものとして、人口についてのメッシュデータの値を集計することができる。これにより、結果として得られるメッシュ統計の精度がより高いものとなる。
図11は、集計手段221によって行われる処理1100の一例を示す。処理1100は、ユーザから受けた要求に基づいて、所望のメッシュ統計を提供するための処理である。
第2のコンピュータ装置200のインターフェース部210が、提供すべきメッシュ統計の指示を受信すると、ステップS1101では、集計手段221が、インターフェース部210から、提供すべきメッシュ統計の指示を受信する。提供すべきメッシュ統計の指示は、例えば、ユーザから送信された指示であり得る。
ステップS1102では、集計手段221が、提供すべきメッシュ統計の指示に基づいて、メッシュデータのうち集計すべきメッシュデータを選択する。集計手段221は、例えば、第2のデータベース部400に格納されている複数のメッシュデータを検索することにより、集計すべきメッシュデータを選択してもよいし、インターフェース部210を介して既に受信されている複数のメッシュデータから、集計すべきメッシュデータを選択してもよい。集計手段221は、例えば、提供すべきメッシュ統計のために必要な事項を示すメッシュデータを選択するようにしてもよいし、提供すべきメッシュ統計のために必要な事項の必要な統計量(例えば、最大値、最小値、中央値、平均値等)を示すメッシュデータを選択するようにしてもよい。
ステップS1103では、集計手段221は、ステップS1102で選択されたメッシュデータの値を集計する。集計手段221は、例えば、ステップS1102で選択された第1の事項の統計量を示す第1のメッシュデータと、ステップS1102で選択された第2の事項の統計量を示す第2のメッシュデータとに演算処理を施す。これにより、提供すべきメッシュ統計が作成される。演算処理は、例えば、四則演算であり得る。
例えば、旅行客が自然派であるか都会派であるかのプレファレンスを知りたいというユーザの要望から、明るい場所に宿泊した人数および暗い場所に宿泊した人数を示すメッシュ統計を提供すべき場合、ステップS1102で、集計手段221は、夜間光画像から生成された夜間光強度の平均値を示すメッシュデータと、宿泊施設のポイントデータから生成された宿泊人数の平均値または中央値を示すメッシュデータとを選択し得る。ステップS1103では、集計手段221は、宿泊人数の平均値または中央値を示すメッシュデータの値を夜間光強度の平均値を示すメッシュデータの値で除算することにより、夜間光強度当たりの宿泊人数を示すメッシュ統計を提供することができる。
例えば、旅行客が山派であるか海派であるかのプレファレンスを知りたいというユーザの要望から、周囲に森林が多い場所に宿泊した人数および海が近い場所に宿泊した人数を示すメッシュ統計を提供すべき場合、ステップS1102で、集計手段221は、地表の物理状態を示す土地被覆画像から生成された土地利用状態を示すメッシュデータと、宿泊施設のポイントデータから生成された宿泊人数の平均値を示すメッシュデータとを選択し得る。ステップS1103では、集計手段221は、土地利用状態を示すメッシュデータの値に宿泊人数の平均値を示すメッシュデータの値を加算することにより、宿泊人数の平均値に土地利用状態のラベルを付したメッシュ統計を提供することができる。
例えば、標高が高い場所に住んでいる人数を知りたいというユーザの要望から、標高毎の人口を示すメッシュ統計を提供すべき場合、ステップS1102で、集計手段221は、夜間光画像から生成された夜間光強度の平均値を示すメッシュデータと、標高画像から生成された平均標高を示すメッシュデータとを選択し得る。ステップS1103では、集計手段221は、夜間光強度の平均値を示すメッシュデータの値に平均標高を示すメッシュデータの値を加算することにより、夜間光強度に平均標高のラベルを付したメッシュ統計を提供することができる。
図6、図7、図8、図9、図11を参照して上述した例では、図6、図7、図8、図9、図11に示される各ステップの処理は、プロセッサ120または220とメモリ130または230に格納されたプログラムとによって実現することが説明されたが、本発明はこれに限定されない。図6、図7、図8、図9、図11に示される各ステップの処理のうちの少なくとも1つは、制御回路などのハードウェア構成によって実現されてもよい。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。