JP7327986B2 - 酵母の早期凝集性の評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は、下面発酵によりビールを製造する際に使用されるビール酵母の早期凝集性を評価する方法に関する。
ビール酵母は、上面ビール酵母と下面ビール酵母とに大別される。上面ビール酵母は、発酵により麦汁の上面に酵母が浮上する、又は特段沈降性を有さないビール酵母であり、上面発酵に使用される。一方で、下面ビール酵母は、発酵終了時に酵母が沈降する酵母であり、下面発酵に使用される。下面発酵では、発酵が終了して沈降した下面ビール酵母を回収して次回の発酵に使用するため、充分な凝集性を備えるビール酵母を選択して使用することが好ましい。
実験室酵母サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)では全染色体について塩基配列が明らかになっており、凝集性に関与する遺伝子として、FLO1遺伝子、FLO5遺伝子、FLO8遺伝子、FLO9遺伝子、FLO10遺伝子、FLO11遺伝子等が確認されている。これらの凝集性に関与する遺伝子を利用して、酵母の凝集性を判定する方法が知られている。例えば、特許文献1には、FLO5遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)配列を利用したPCRによりFLO5遺伝子の有無を検出し、FLO5遺伝子を有する酵母は凝集性酵母であると判定する方法が開示されている。また、特許文献2には、FLO1遺伝子によく似たLg-FLO1遺伝子が凝集性に関与する遺伝子であること、及び、当該遺伝子を有する酵母は凝集性酵母であると判定する方法が開示されている。
また、ゲノム解析により、ビール酵母は、S. cerevisiae型(以降、「Sc型」ということがある。)の染色体と、S. cerevisiae以外の酵母の型(以降、「非Sc型」ということがある。)の染色体のキメラ染色体を含むことが知られている。例えば、特許文献3には、ビール酵母の菌株によっては特定の染色体がSc型染色体、サッカロマイセス・バヤナス(S. bayanus)型染色体、又はこれらのキメラ染色体(Sc型塩基配列とS. bayanus型塩基配列が同一染色体上で見られる染色体)となっていることを利用して、下面ビール酵母であるか否かを判定する方法が開示されている。また、特許文献4には、第VIII番染色体に座位するLg-FLO1遺伝子配列内の類似アミノ酸配列の繰り返しを含む領域が欠失すると、凝集性が低下することが記載されており、この繰り返しを含む領域の欠失の有無から酵母の凝集性を判定する方法も記載されている。
国際公開第2001/040514号 特開平8-205900号公報 特開2008-245636号公報 特開2007-228950号公報
van den Broek et al., Applied and Environmental Microbiology, 2015, vol.81(18), p. 6253-6267. Bond et al., Current Genetics, 2004, vol.45, p.360-370. Yona et al., Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 2012, vol.109(51), p.21010-21015.
下面発酵では、発酵終了時点では酵母は凝集して沈降していることが要求されるものの、凝集した酵母では発酵が停止する。このため、下面発酵において酵母の凝集が早期に開始すると、発酵不良(発酵不順)となる。そこで、下面ビール酵母では、充分な凝集性を備えることに加えて、早期凝集性が低く、発酵液中の資化性糖が充分に消費されてから凝集するものが好ましい。しかし、酵母の早期凝集性は、実際に酵母を接種して発酵させなければ判断することができず、評価に長時間を要するという問題がある。
本発明は、酵母の早期凝集性を評価する方法、及び当該方法により評価された酵母集団を用いてビール様発泡性飲料を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、各種下面ビール酵母のゲノムと早期凝集性について分析した結果、Sc型3番染色体の左腕側の領域が欠損したビール酵母は、早期凝集性が高まることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、下記[1]~[10]である。
[1] S. cerevisiae型第III染色体を含有する酵母の早期凝集性を評価する方法であって、
評価対象の酵母細胞について、S. cerevisiae型第III染色体の左腕に欠損があるか否かを検出し、前記欠損がある場合には、前記酵母細胞は早期凝集性であると評価する、酵母の早期凝集性の評価方法。
[2] 前記欠損が、S. cerevisiae型第III染色体の左腕の先端からBUD5遺伝子座を含むMAT座までの部分の欠損である、前記[1]の酵母の早期凝集性の評価方法。
[3] S. cerevisiae型第III染色体を含有する酵母の早期凝集性を評価する方法であって、
評価対象の酵母集団について、S. cerevisiae型第III染色体の左腕に欠損があるか否かを検出し、前記酵母集団に対する前記欠損がある酵母細胞の割合が、基準値超である場合に、前記酵母集団は早期凝集性であると評価
前記酵母集団に対する前記欠損がある酵母細胞の割合は、下記式(1)
Figure 0007327986000001
[式(1)中、「DNA測定用標的領域A」は、Sc型第III染色体の左腕側の、部分欠損Sc型第III染色体において欠損した領域中の部分領域を表し、「DNA測定用標的領域B」は、部分欠損Sc型第III染色体中の部分領域を表す。]
で求められ、
前記基準値は、40%超である、酵母の早期凝集性の評価方法。
[4] 前記欠損が、S. cerevisiae型第III染色体の左腕の先端からBUD5遺伝子座を含むMAT座までの部分の欠損である、前記[3]の酵母の早期凝集性の評価方法。
[5] 前記酵母集団に対する前記欠損がある酵母細胞の割合は、前記酵母集団を構成する酵母細胞の全量に含まれている、S. cerevisiae型第III染色体の全量に対する、左腕に欠損があるS. cerevisiae型第III染色体の量の割合である、前記[3]又は[4]の酵母の早期凝集性の評価方法。
[6] 前記酵母集団に対する前記欠損がある酵母細胞の割合は、前記酵母集団を構成する酵母細胞から抽出されたDNAにおける、S. cerevisiae型第III染色体のBUD5遺伝子座を含むMAT座よりも右腕側に存在する領域のDNA量に対する、S. cerevisiae型第III染色体の左腕の先端から前記MAT座までに存在する領域のDNA量の割合を、1から差し引いた割合である、前記[4]の酵母の早期凝集性の評価方法。
[7] 前記酵母集団が、少なくとも1度の発酵を行った後の酵母集団である、前記[3]~[6]のいずれかの酵母の早期凝集性の評価方法。
[8] 前記酵母集団が、下面ビール酵母の集団である、前記[3]~[7]のいずれかの酵母の早期凝集性の評価方法。
[9] 下面発酵を経て製造されるビール様発泡性飲料の製造方法であって、
発酵に使用する酵母集団を、予め、前記[3]~[8]のいずれかの酵母の早期凝集性の評価方法により評価し、
早期凝集性であるとは評価されなかった酵母集団を用いて下面発酵を行う、ビール様発泡性飲料の製造方法。
[10] 下面発酵を経て製造されるビール様発泡性飲料の製造方法であって、
発酵に使用する酵母集団を、予め、前記[3]~[8]のいずれかの酵母の早期凝集性の評価方法により評価し、
早期凝集性であると評価された酵母集団と、早期凝集性であるとは評価されなかった酵母集団とを、混合後の酵母集団に対する前記欠損がある酵母細胞の割合が前記基準値未満となるように混合した酵母集団を用いて下面発酵を行う、ビール様発泡性飲料の製造方法。
本発明に係る酵母の早期凝集性の評価方法により、実際に発酵を行って発酵推移を確認しなくとも、酵母の早期凝集性を評価することができる。
また、下面発酵に使用されるビール酵母について、発酵前に予め当該評価方法を使用して早期凝集性を評価することにより、実際に発酵を行う前に発酵不良を引き起こす可能性の高い酵母を識別することができる。
実施例1において、早期凝集性ではない健全酵母の全ゲノム解析の結果(上段)と、早期凝集酵母の全ゲノム解析の結果(下段)を示した図である。 実施例1において、健全酵母と早期凝集酵母を用いて発酵し、外観エキス濃度と浮遊酵母細胞数を経時的に測定した結果を示した図である。 実施例1において、早期凝集酵母の含有割合が異なる各酵母集団について、48時間培養後の酵母数(×10cells/mL)を測定した結果を示した図である。 実施例1において、早期凝集酵母の含有割合が異なる各酵母集団について、相対凝集度(%)を測定した結果を示した図である。 実施例2において、各酵母集団の48時間培養後の酵母数(×10cells/mL)を測定した結果を示した図である。 実施例2において、各酵母集団の相対凝集度(%)を測定した結果を示した図である。 実施例2において、各酵母集団の発酵液のマルトトリオ―ス濃度(mg/mL)を測定した結果を示した図である。 実施例2において、各酵母集団の発酵液のVDK濃度(ppm)を測定した結果を示した図である。
本発明及び本願明細書において、「ビール酵母」とは、一般にビール醸造に使用される酵母を指し、生物学的分類でいうと、例えばS. cerevisiae、サッカロマイセス・パストリアヌス(Saccharomyces pastorianus)が挙げられる。
歴史的には、「上面ビール酵母」と「下面ビール酵母」との区別は、ビール醸造過程で発酵後に見られるビール酵母の動態(沈降しない又は凝集して沈む)により区別されてきた。今現在、当業者間では、下面ビール酵母と上面ビール酵母とは生物学的分類において異なる種であり、上面ビール酵母は主としてサッカロマイセス・セレビシエに分類され、下面ビール酵母はサッカロマイセス・セレビシエとサッカロマイセス・ユーバヤナス(Saccharomyces eubayanus)との交雑体であってサッカロマイセス・パストリアヌス(S. pastorianus)に分類されるという見解が一般的となっている。
本発明及び本願明細書において、「S.cerevisiae型(Sc型)染色体」とは、FASTA、BLASTといった配列比較アルゴリズムを用いて、Saccharomyces Genome Database(SGD)(http://www.yeastgenome.org/)に公開されているS.cerevisiaeのゲノム塩基配列と比較した場合に95%以上の相同性(配列同一性)を示す塩基配列からなる染色体を指す。「非S.cerevisiae型(非Sc型)染色体」とは、同様にS.cerevisiaeのゲノム塩基配列と比較した場合に、95%未満の相同性(配列同一性)を示す塩基配列からなる染色体を指す。
本発明及び本願明細書において、「早期凝集性」とは、酵母が発酵開始から凝集して沈降するまでに要する時間が短い性質をいう。早期凝集性の酵母では、発酵開始から120時間経過時点以降の浮遊酵母数が、早期凝集性のない通常の酵母よりも低く推移する。ビール製造時の下面発酵では、一般的に、発酵開始から3~4日目で酵母数が最大となり、5日目以降に酵母の凝集し、沈降し始め、6~7日目で大部分の酵母が沈降し、全体の酵母量は、発酵開始時に比して約2倍に増える。これに対して、早期凝集性の酵母は、発酵開始から5日目にはその大部分の酵母が沈降する。例えば、発酵開始から168時間経過時点における浮遊酵母数に対する発酵開始から120時間経過時点における浮遊酵母数の割合は、早期凝集性の酵母では5倍以下であり、早期凝集性が高い酵母は、3倍以下、好ましくは2倍以下である。
本発明に係る酵母の早期凝集性の評価方法(以下、「本発明に係る評価方法」ということがある。)は、酵母の早期凝集性を、Sc型第III染色体の左腕の欠損の有無で評価する方法である。Sc型第III染色体を含有する酵母は、Sc型第III染色体の左腕側のおよそ50~60%程度の領域が欠損すると、早期凝集性が高くなる。本発明においては当該知見を利用し、評価対象である酵母が早期凝集性であるか否かを、ゲノム解析により評価する。酵母を実際に培養して沈降するまでに要する時間を測定する場合には、培養自体に通常5~7日間を要するが、本発明に係る評価方法では、培養を必要とせず、ゲノム解析の結果に基づいて評価するため、より短時間で評価することができる。
以降において、左腕側のおよそ50~60%程度の領域が欠損しているSc型第III染色体を「部分欠損Sc型第III染色体」ということがある。また、部分欠損Sc型第III染色体を含む酵母を、「部分欠損Sc3酵母」ということがある。本発明において、部分欠損Sc3酵母は、部分欠損Sc型第III染色体を少なくとも1本備えていればよい。例えば、部分欠損Sc型第III染色体と欠損のないSc型第III染色体の両方を備える酵母も、部分欠損Sc3酵母に含まれ、早期凝集性を備える。
本発明における部分欠損Sc型第III染色体において、欠損している左腕側領域は、当該欠損により酵母の早期凝集性が高められるものであれば特に限定されるものではなく、左腕の先端からSc型第III染色体全体の50~60%程度が欠損しているものが好ましく、通常は、Sc型第III染色体の左腕の先端からBUD5遺伝子座を含むMAT座(Mating-type locus)までの部分が欠損している。このSc型第III染色体の左腕の先端から前記MAT座までの領域内には、凝集性に関与することが報告されている遺伝子はなく、当該領域が欠落することで酵母の早期凝集性が高められる理由は明らかではない。
左腕の先端からBUD5遺伝子座を含むMAT座までの部分欠損は、Sc型第III染色体において、よく観察される変異であり(例えば、非特許文献1及び2参照。)、当該部分領域は欠損しやすい領域である。早期凝集性が弱く、下面発酵に適している下面ビール酵母が、発酵を複数回繰り返すことにより早期凝集性を獲得する現象はよく観察されるが、これは、発酵を繰り返すうちに、Sc型第III染色体の左腕の先端からBUD5遺伝子座を含むMAT座までの部分の欠落が生じ、部分欠損Sc3酵母に変化してしまったためと推察される。
本発明に係る評価方法において、評価対象が1個の酵母細胞である場合には、評価対象の酵母細胞について、Sc型第III染色体の左腕に欠損があるか否かを検出する。当該欠損が検出された場合には、当該酵母細胞は部分欠損Sc3酵母であり、早期凝集性であると評価する。
本発明に係る評価方法において、評価対象が酵母集団である場合には、当該酵母集団を構成する酵母細胞全体に対する部分欠損Sc3酵母の割合に基づいて、当該酵母集団の早期凝集性を評価する。酵母集団の早期凝集性は、部分欠損Sc3酵母の割合に依存しており、部分欠損Sc3酵母の割合が多くなるほど、当該酵母集団の早期凝集性は強くなる。本発明に係る評価方法では、評価対象の酵母集団について、Sc型第III染色体の左腕に欠損があるか否かを検出し、当該酵母集団に対する当該欠損がある酵母細胞(部分欠損Sc3酵母細胞)の割合が、所定の基準値超である場合に、当該酵母集団は早期凝集性であると評価する。
酵母集団に対する部分欠損Sc3酵母細胞の割合は、例えば、当該酵母集団を構成する酵母細胞の全量に含まれている、Sc型第III染色体の全量に対する、部分欠損Sc型第III染色体の量の割合で求められる。ここで、Sc型第III染色体の全量は、部分欠損Sc型第III染色体の全量と、左腕領域が欠損されていないSc型第III染色体の全量の和である。このため、酵母集団に対する部分欠損Sc3酵母細胞の割合は、当該酵母集団を構成する酵母細胞の全量に含まれているSc型第III染色体の全量に対する、左腕領域が欠損されていないSc型第III染色体の量の割合を、1から差し引いた割合に相当する。
染色体の相対量は、当該染色体中の部分領域のDNA量に基づいて求めることができる。ここで、左腕領域が欠損されていないSc型第III染色体の相対量は、Sc型第III染色体の左腕側の、部分欠損Sc型第III染色体において欠損した領域中の部分領域のDNA量を指標として求めることができる。一方で、左腕領域が欠損されていないSc型第III染色体の右腕側は、部分欠損Sc型第III染色体と同じ核酸配列である。このため、Sc型第III染色体の相対量は、部分欠損Sc型第III染色体中の部分領域のDNA量を指標として求めることができる。例えば、酵母集団を構成する酵母細胞から抽出されたDNAにおける、Sc型第III染色体のBUD5遺伝子座を含むMAT座よりも右腕側に存在する領域のDNA量に対する、Sc型第III染色体の左腕の先端から前記MAT座までに存在する領域のDNA量の割合を、1から差し引いた割合を、酵母集団に対する部分欠損Sc3酵母細胞の割合とすることができる。
以降において、DNA量を測定する対象の「Sc型第III染色体の左腕側の、部分欠損Sc型第III染色体において欠損した領域中の部分領域」を「DNA測定用標的領域A」、DNA量を測定する対象の「部分欠損Sc型第III染色体中の部分領域」を「DNA測定用標的領域B」ということがある。酵母集団に対する部分欠損Sc3酵母細胞の割合(%)は、下記式(1)で求めることができる。
式(1)・・・[酵母集団に対する部分欠損Sc3酵母細胞の割合(%)]=〔1-[DNA測定用標的領域AのDNA量(相対値)]/[DNA測定用標的領域BのDNA量(相対値)]〕×100(%)
なお、DNA測定用標的領域Aは、部分欠損Sc型第III染色体において欠損した領域中の部分領域であれば特に限定されるものではないが、Sc型第III染色体のBUD5遺伝子座を含むMAT座よりも右腕側に存在する領域であることが好ましい。同様に、DNA測定用標的領域Bは、部分欠損Sc型第III染色体中の部分領域であれば特に限定されるものではないが、Sc型第III染色体の左腕の先端から前記MAT座までに存在する領域であることが好ましい。
染色体中の部分領域のDNA量の相対量は、ポリメラーゼを使用した核酸増幅法を利用した定量方法により定量することができる。ポリメラーゼを使用した核酸増幅法としては、PCR(Polymerase Chain Reaction)を利用した方法が挙げられる。例えば、評価対象の酵母集団から抽出されたDNAを鋳型として、DNA測定用標的領域AとDNA測定用標的領域BをそれぞれPCR増幅し、得られた増幅産物の量を、それぞれの領域のDNA量の相対量とすることができる。PCRとその増幅産物の定量は、常法により行うことができる。例えば、超微量紫外可視分光光度計を用いてDNA量自体を測定することができる。また、増幅産物を電気泳動した後、エチジウムブロマイド等を用いてDNAのバンドを染色し、染色強度に基づいて、DNA量の相対値を求めることもできる。その他、評価対象の酵母集団から抽出されたDNAを鋳型として、DNA測定用標的領域AとDNA測定用標的領域BをそれぞれリアルタイムPCRし、両領域のDNAの相対量を求めることができる。また、評価対象の酵母集団から抽出されたDNAを鋳型として、デジタルPCRを行うことによっても、両領域のDNAの相対量を求めることができる。リアルタイムPCRやデジタルPCRは常法により行うことができる。
その他、DNA測定用標的領域AとDNA測定用標的領域BのDNA量の相対量は、Sc型第III染色体以外の染色体中の部分領域のDNA量を内部標準とし、この内部標準領域のDNA量に対するDNA測定用標的領域AのDNA量と、内部標準領域のDNA量に対するDNA測定用標的領域BのDNA量とを相対比較することにより求めることもできる。内部標準領域のDNA量は、前記のDNA測定用標的領域AのDNA量の測定と同様にして測定することができる。
酵母からのゲノムDNA抽出は、公知の方法のいずれを用いて行ってもよい。例えば、Methods in Yeast Genetics, Cold Spring Harbor Laboratory Press, P130 (1990)などに記載の方法が挙げられる。また、DNA抽出用のキットやカラム等を用いて行うこともできる。
酵母は、染色体の交差や重複が生じやすく、また、近縁種同士の自然交雑も行われる(例えば、非特許文献3参照。)。例えば、ビール酵母は、サッカロマイセス・セレビシエがその近縁種と自然交雑して得られた株がさらに交差や重複を起こしながら進化した酵母である。このため、同じ属種の酵母であっても、株によってそのゲノム構造は様々である。さらに、酵母は、継代回数や培養条件、ストレスの有無などによっても染色体に変異が生じやすい。このため、単一株化された酵母を培養して得られた酵母集団であっても、遺伝的背景は必ずしも均一ではない場合がある。この酵母集団の遺伝的背景の多様性から、評価対象の酵母集団ごとに、早期凝集性を評価するための基準値を設定する。
当該基準値は、各酵母集団の部分欠損Sc3酵母の割合と早期凝集性の有無に基づいて、早期凝集性のない酵母集団と早期凝集性である酵母集団とを識別可能な値として、実験的に決定することができる。例えば、実際に培養して早期凝集性でないことが確認されている複数の酵母集団と、実際に培養して早期凝集性であることが確認されている複数の酵母集団について、各酵母集団の部分欠損Sc3酵母の割合を測定し、早期凝集性でない酵母集団と早期凝集性である酵母集団とを識別可能な閾値を統計的に設定することができる。
また、実際に培養して早期凝集性を獲得していないことが確認されている特定の株の酵母を培養して得られる酵母集団の基準値は、例えば、以下の方法で設定することができる。まず、当該株が保有する全てのSc型第III染色体について、その左腕の先端からBUD5遺伝子座を含むMAT座までの部分を欠損させた部分欠損Sc3酵母を作製する。この部分欠損Sc3酵母は、遺伝子組換え技術等を用いて常法により作製してもよく、継代の過程で自然に取得された部分欠損Sc3酵母を単離して用いてもよい。部分欠損Sc型第III染色体を含まない酵母に、含有する全てのSc型第III染色体が部分欠損Sc型第III染色体である部分欠損Sc3酵母を混合して、両者の混合割合が様々である酵母集団の系列を作成し、各細胞集団について実際に培養して早期凝集性の有無を調べる。部分欠損Sc型第III染色体を含まない酵母からなる酵母集団は早期凝集性ではなく、部分欠損Sc3酵母からなる酵母集団は早期凝集性である。部分欠損Sc3酵母の含有割合が多くなるにつれ、酵母の凝集と沈降は早くなる。早期凝集性でない酵母集団のうち最も部分欠損Sc3酵母の割合が高かった酵母集団の部分欠損Sc3酵母の割合と、早期凝集性であった酵母集団のうち最も部分欠損Sc3酵母の割合が低かった酵母集団の部分欠損Sc3酵母の割合との間に、早期凝集性を評価するための基準値を設定することができる。
本発明に係る評価方法で評価対象とする酵母は、Sc型第III染色体を備える酵母であれば特に限定されるものではない。本発明に係る評価方法で評価対象とする酵母集団は、Sc型第III染色体を備える酵母細胞からなる集団であれば特に限定されるものではない。本発明に係る評価方法の評価対象としては、早期凝集性が問題となる下面ビール酵母であることが好ましい。下面発酵においては、早期凝集性の酵母を用いた場合には、エキス消費完了前に酵母が凝集して沈降してしまうため、エキス消費が遅延し、発酵完了までの時間が長くなり、製造効率が低下する。これに加えて、発酵不良により好ましくない香気(発酵不順臭)が生成したり、糖類の残留量が多くなり、香味が変化したりする。このように、下面発酵においては、発酵に使用する酵母集団が早期凝集性ではないことが重要であるが、従来は、早期凝集性の酵母を用いることに起因する発酵の不具合は、実際に1週間程度の時間をかけて発酵を行い、発酵推移を確認しなければ判断することができなかった。これに対して、本発明に係る評価方法は、発酵を行う必要がないため、1日程度という非常に短い時間で評価が可能である。
ビール様発泡性飲料の醸造における下面発酵では、発酵が終了して沈降した下面ビール酵母を回収して次回の発酵に使用する。発酵回数が多くなるほど、酵母集団の部分欠損Sc3酵母の割合が高くなり、早期凝集性を獲得する可能性が高くなるが、本発明に係る評価方法は、この少なくとも1度の発酵を行った後の酵母集団に対する早期凝集性の評価にも好適である。
下面発酵を経て製造されるビール様発泡性飲料の製造において、発酵に使用する酵母集団を、予め、本発明に係る評価方法により評価し、早期凝集性であるとは評価されなかった酵母集団を用いて下面発酵を行う。発酵前に使用する酵母集団の早期凝集性を本発明に係る評価方法で評価することによって、下面発酵に不適当な酵母の使用を避けることができる。特に、早期凝集は染色体変化以外の要因で発生することもあり、発酵条件を変更すること等で対処できる場合もある。しかし、染色体変化に起因する早期凝集性の獲得の場合、酵母の状態が改善する可能性はない。本発明に係る評価方法により、下面発酵の繰り返し使用における酵母入れ替えの判断を早期に実施することが可能になる。
本発明に係る評価方法により早期凝集性であると評価された酵母集団については、早期凝集性であるとは評価されなかった酵母集団と混合し、混合後の酵母集団の部分欠損Sc3酵母の割合を低下させることにより、早期凝集性を低下させることができる。例えば、早期凝集性であると評価された酵母集団に、早期凝集性であるとは評価されなかった酵母集団を、混合後の酵母集団に対する部分欠損Sc3酵母の割合が所定の基準値未満となるように低下させる。この部分欠損Sc3酵母の割合を基準値未満とした酵母集団を用いることにより、早期凝集による発酵不良を避けて下面発酵を行うことができる。
本発明に係る評価方法により早期凝集性を評価した酵母集団は、他の下面ビール酵母と同様に、下面発酵によるビール様発泡性飲料の製造に用いることができる。下面発酵のための発酵原料液(麦汁など)の調製や下面発酵の条件、発酵後の熟成等は、ビールをはじめとするビール様発泡性飲料の製造において一般的に行われている手法やその改良方法により行うことができる。
なお、本発明及び本願明細書において、「ビール様発泡性飲料」とは、アルコール含有量に関わらず、ビールと同等の又はそれと似た風味・味覚及びテクスチャーを有し、高い止渇感・ドリンカビリティーを有する発泡性飲料を意味する。すなわち、ビール様発泡性飲料は、アルコール飲料であってもよく、アルコール含量が1容量%未満であるいわゆるノンアルコール飲料又はローアルコール飲料であってもよい。ビール様発泡性飲料としては、具体的には、ビール、発泡酒、ローアルコールビール、ノンアルコールビール等が挙げられる。その他、麦芽を原料とし、発酵工程を経て製造された飲料を、アルコール含有蒸留液と混和して得られたリキュール類であってもよい。アルコール含有蒸留液とは、蒸留操作により得られたアルコールを含有する溶液であり、例えば、原料用アルコールであってもよく、スピリッツ、ウィスキー、ブランデー、ウオッカ、ラム、テキーラ、ジン、焼酎等の蒸留酒等を用いることができる。
次に実施例及び参考例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例等に限定されるものではない。
[実施例1]
同一の株を親株としているが、培養条件や継代回数等の培養履歴が異なる酵母のうち、早期凝集性の酵母と早期凝集性ではない酵母(健全酵母)について全ゲノム解析を行い、両酵母のゲノム上の違いを調べた。全ゲノム解析は、次世代シークエンサー(装置:Miseq、解析ソフト:CNMops、いずれもillumina社製)を用いて行った。
図1に、健全酵母の全ゲノム解析の結果(上段)と、早期凝集性の酵母の全ゲノム解析の結果(下段)を、それぞれ示す。早期凝集酵母は共通して、Sc型第III染色体の左端から約60%の領域が欠損していた(部分欠損Sc3酵母)。この欠損領域の右腕側端はBUD5遺伝子座を含むMAT座であった。
麦芽粉砕物と原料水の混合物を加温して糖化処理し、穀皮を除去後、得られた麦汁にホップを添加して煮沸処理した後、ワールプールを用いてトルーブを除去して清澄な麦汁を得た。この麦汁に、全ゲノム解析に供した健全酵母又は早期凝集酵母を接種し、10℃で10日間発酵させた。その後、発酵液を貯酒槽へ移し、10日間熟成させ、さらに0℃に冷却して10日間安定化させた後、珪藻土濾過を実施し、製品ビールを得た。
発酵期間中、経時的にサンプリングし、浮遊酵母細胞数(cells/mL)と外観エキス濃度(%)を測定した。外観エキス濃度と浮遊酵母細胞数の測定は常法により行った。測定結果を図2に示す。この結果、どちらの酵母も、発酵開始から3~4日目に酵母数が最大となり、5日目以降に酵母が凝集し、沈降し始めた。早期凝集酵母は、急激に凝集が進み、発酵から5日目にはそのほとんどが沈降してしまっていた。また、早期凝集酵母は、健全酵母よりもエキス消費が遅延していた。
<増殖性の測定>
早期凝集酵母と健全酵母を混合し、酵母集団に対する早期凝集酵母の含有割合が0、10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は100%である酵母集団を作成した。この作成した酵母集団の系列について、増殖性を測定した。
具体的には、5mLのYPM培地に、初発酵母数が10×10cells/mLとなるように接種し、25℃で48時間培養した。48時間経過後の酵母数(×10cells/mL)を測定し、増殖性を評価した。
<凝集性の測定>
早期凝集酵母と健全酵母を混合して作成した酵母集団の系列について、凝集性を測定した。
具体的には、5mLのYPM培地に、初発酵母数が10×10cells/mLとなるように接種し、25℃で48時間培養した。次いで、培養に得られた酵母を、50mLのYPM培地に、初発酵母数が10×10cells/mLとなるように接種し、12℃で7日間発酵させた。7日間発酵した酵母について、マルトース存在下での凝集性をHelm’s法により測定した。各酵母集団について、マルトース存在下で発酵させた後の相対凝集度(%:全く酵母が凝集しない場合を0%、全ての酵母が凝集する場合を100%とする)を求めた。
図3に、各酵母集団の48時間培養後の酵母数(×10cells/mL)の測定結果を、図4に、各酵母集団の相対凝集度(%)の測定結果を、それぞれ示す。この結果、増殖性及び凝集性はいずれも、酵母集団に占める早期凝集酵母の割合と高い相関を示した。当該結果から、酵母集団に占める早期凝集酵母の割合が高くなるほど、早期凝集性が強くなることが確認された。
[実施例2]
同一の株を親株としているが培養履歴が異なる様々な酵母集団について、部分欠損Sc3酵母の割合と早期凝集性を調べた。A工場で使用されている酵母集団のうち、早期凝集をしないことが発酵により確認されている酵母集団3種(A-1-1、A-1-2、A-2-1)と早期凝集をすることが発酵により確認されている酵母集団4種(A-3-1、A-3-2、A-3-2-16、A-3-3)、B工場で使用されている酵母集団のうち、早期凝集をしないことが発酵により確認されている酵母集団3種(B-1-1、B-1-2、B-1-3)、と早期凝集をすることが発酵により確認されている酵母集団4種(B-2-2、B-2-3、B-2-4、B-2-5)を用いた。
<部分欠損Sc3酵母の割合の測定>
酵母集団から市販のDNA抽出キットを用いてDNAを抽出した。DNA抽出キットとしては、「Genomic-tip 100/G」(QIAGEN社製)又は「Genとるくん(酵母用)High Recovery」(タカラバイオ社製)を用いた。
次いで、実施例1でゲノム解析した早期凝集酵母に共通していたSc型第III染色体の左腕側の欠損領域中のYCL045C(EMC1)遺伝子の遺伝子領域と、右腕側の非欠損領域中のYCR072C(RSA4)遺伝子の遺伝子領域について、表1に記載のプライマーを用いてリアルタイムPCRを行い、得られた核酸増幅量(相対量)を測定した。リアルタイムPCRは、「TB Green Premix Ex Taq GC (Perfect Real Time)」(タカラバイオ社製)と「7500 Real-Time PCR System」(Applied Biosystems社製)を用いて行い、相対検量線法又はΔΔCT法により相対定量を行った。
Figure 0007327986000002
表2に示す酵母集団について、YCR072のDNA量に対するYCL045のDNA量の比(YCL045/YCR072比)を求めた。YCL045/YCR072比は、酵母集団を構成する全酵母細胞に占める、Sc型第III染色体の左腕側が欠損していない酵母(健全酵母)の割合を示す。当該酵母集団の酵母集団を構成する全酵母細胞に占める早期凝集酵母(部分欠損Sc3酵母)の割合は、1-YCL045/YCR072比で求められる。次いで、各酵母集団について、親株のYCL045/YCR072比に対するYCL045/YCR072相対比を算出した。結果を表2に示す。
Figure 0007327986000003
早期凝集をしない酵母集団では、親株に対するYCL045/YCR072相対比は、1近くであり、酵母集団に占める早期凝集酵母(部分欠損Sc3酵母)の割合は、親株と同程度であった。これに対して、早期凝集をする酵母集団では、親株に対するYCL045/YCR072相対比は、いずれも小さく、酵母集団に占める早期凝集酵母(部分欠損Sc3酵母)の割合が、親株よりも明らかに増大していた。当該結果から、早期凝集の起こりやすさは、酵母集団に占める部分欠損Sc3酵母の割合に依存していることが確認された。
各酵母集団について、実施例1と同様にして、増殖性と凝集性を調べた。図5に、各酵母集団の48時間培養後の酵母数(×10cells/mL)の測定結果を、図6に、各酵母集団の相対凝集度(%)の測定結果を、それぞれ示す。この結果、早期凝集性である酵母集団は、早期凝集性を示さない酵母集団と比較して、増殖性と凝集性がいずれも高くなっていた。
さらに、A工場に由来する各酵母集団について、凝集性を調べた発酵液(熟成前のビール下し時の発酵液)のマルトトリオ―ス濃度(mg/mL)とビシナルジケトン(VDK)(ppm)を測定した。VDKは、発酵不良臭の一種である。発酵液のVDK値は、「BCOJビール分析法(2004.11.1 改訂版)8.16 ダイアセチル 8.16.2 ガスクロマトグラフィー法」の項に記載の方法に準じて測定した。また、発酵液のマルトトリオ―ス濃度は、HPLC分析により測定した。
図7に、各酵母集団の発酵液のマルトトリオ―ス濃度(mg/mL)の測定結果を、図8に、各酵母集団の発酵液のVDK濃度(ppm)の測定結果を、それぞれ示す。この結果、早期凝集性である酵母集団は、早期凝集性を示さない酵母集団と比較して、発酵終了後の発酵液中のマルトトリオ―ス濃度が有意に高く、VDK濃度も高かった。これらの結果から、部分欠損Sc3酵母の含有割合が高くて早期凝集性である酵母集団では、発酵不良が生じていることが確認された。

Claims (10)

  1. S. cerevisiae型第III染色体を含有する酵母の早期凝集性を評価する方法であって、
    評価対象の酵母細胞について、S. cerevisiae型第III染色体の左腕に欠損があるか否かを検出し、前記欠損がある場合には、前記酵母細胞は早期凝集性であると評価する、酵母の早期凝集性の評価方法。
  2. 前記欠損が、S. cerevisiae型第III染色体の左腕の先端からBUD5遺伝子座を含むMAT座までの部分の欠損である、請求項1に記載の酵母の早期凝集性の評価方法。
  3. S. cerevisiae型第III染色体を含有する酵母の早期凝集性を評価する方法であって、
    評価対象の酵母集団について、S. cerevisiae型第III染色体の左腕に欠損があるか否かを検出し、前記酵母集団に対する前記欠損がある酵母細胞の割合が、基準値超である場合に、前記酵母集団は早期凝集性であると評価
    前記酵母集団に対する前記欠損がある酵母細胞の割合は、下記式(1)
    Figure 0007327986000004
    [式(1)中、「DNA測定用標的領域A」は、Sc型第III染色体の左腕側の、部分欠損Sc型第III染色体において欠損した領域中の部分領域を表し、「DNA測定用標的領域B」は、部分欠損Sc型第III染色体中の部分領域を表す。]
    で求められ、
    前記基準値は、40%超である、酵母の早期凝集性の評価方法。
  4. 前記欠損が、S. cerevisiae型第III染色体の左腕の先端からBUD5遺伝子座を含むMAT座までの部分の欠損である、請求項3に記載の酵母の早期凝集性の評価方法。
  5. 前記酵母集団に対する前記欠損がある酵母細胞の割合は、前記酵母集団を構成する酵母細胞の全量に含まれている、S. cerevisiae型第III染色体の全量に対する、左腕に欠損があるS. cerevisiae型第III染色体の量の割合である、請求項3又は4に記載の酵母の早期凝集性の評価方法。
  6. 前記酵母集団に対する前記欠損がある酵母細胞の割合は、前記酵母集団を構成する酵母細胞から抽出されたDNAにおける、S. cerevisiae型第III染色体のBUD5遺伝子座を含むMAT座よりも右腕側に存在する領域のDNA量に対する、S. cerevisiae型第III染色体の左腕の先端から前記MAT座までに存在する領域のDNA量の割合を、1から差し引いた割合である、請求項4に記載の酵母の早期凝集性の評価方法。
  7. 前記酵母集団が、少なくとも1度の発酵を行った後の酵母集団である、請求項3~6のいずれか一項に記載の酵母の早期凝集性の評価方法。
  8. 前記酵母集団が、下面ビール酵母の集団である、請求項3~7のいずれか一項に記載の酵母の早期凝集性の評価方法。
  9. 下面発酵を経て製造されるビール様発泡性飲料の製造方法であって、
    発酵に使用する酵母集団を、予め、請求項3~8のいずれか一項に記載の酵母の早期凝集性の評価方法により評価し、
    早期凝集性であるとは評価されなかった酵母集団を用いて下面発酵を行う、ビール様発泡性飲料の製造方法。
  10. 下面発酵を経て製造されるビール様発泡性飲料の製造方法であって、
    発酵に使用する酵母集団を、予め、請求項3~8のいずれか一項に記載の酵母の早期凝集性の評価方法により評価し、
    早期凝集性であると評価された酵母集団と、早期凝集性であるとは評価されなかった酵母集団とを、混合後の酵母集団に対する前記欠損がある酵母細胞の割合が前記基準値超となるように混合した酵母集団を用いて下面発酵を行う、ビール様発泡性飲料の製造方法。
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