以下の説明では、「インタフェース部」は、1以上のインタフェースでよい。当該1以上のインタフェースは、ユーザインタフェース部と、通信インタフェース部とのうちの少なくとも通信インタフェース部を含んでよい。ユーザインタフェース部は、1以上のI/Oデバイス(例えば入力デバイス(例えばキーボードおよびポインティングデバイス)と出力デバイス(例えば表示デバイス))と表示用計算機とのうちの少なくとも1つのI/Oデバイスでもよいし、それに代えてまたは加えて、当該少なくとも1つのI/Oデバイスに対するインタフェースデバイスでもよい。通信インタフェース部は、1以上の通信インタフェースデバイスでよい。1以上の通信インタフェースデバイスは、1以上の同種の通信インタフェースデバイス(例えば1以上のNIC(Network Interface Card))であってもよいし2以上の異種の通信インタフェースデバイス(例えばNICとHBA(Host Bus Adapter))であってもよい。
以下の説明では、「メモリ部」は、1以上のメモリでよい。少なくとも1つのメモリは、揮発性メモリであってもよいし不揮発性メモリであってもよい。メモリ部は、主に、プロセッサ部による処理の際に使用される。
また、以下の説明では、「PDEV部」は、1以上のPDEVでよい。「PDEV」は、物理的な記憶デバイスを意味し、典型的には、不揮発性の記憶デバイス(例えば補助記憶デバイス)、例えばHDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)である。PDEV部は、RAIDグループであってもよい。「RAID」は、Redundant Array of Independent (or Inexpensive) Disksの略である。
また、以下の説明では、「記憶部」は、メモリ部およびPDEV部のうちの少なくともメモリ部を含む。
また、以下の説明では、「プロセッサ部」は、1以上のプロセッサでよい。少なくとも1つのプロセッサは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサであるが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサでもよい。1以上のプロセッサの各々は、シングルコアでもよいしマルチコアでもよい。一部のプロセッサは、処理の一部または全部を行うハードウェア回路でもよい。
また、以下の説明では、「kkk部」(インタフェース部、記憶部およびプロセッサ部を除く)の表現にて機能を説明することがあるが、機能は、1以上のコンピュータプログラムがプロセッサ部によって実行されることで実現されてもよいし、1以上のハードウェア回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit))によって実現されてもよい。プログラムがプロセッサ部によって実行されることで機能が実現される場合、定められた処理が、適宜に記憶部および/またはインタフェース部等を用いながら行われるため、機能はプロセッサ部の少なくとも一部とされてもよい。機能を主語として説明された処理は、プロセッサ部あるいはそのプロセッサ部を有する装置が行う処理としてもよい。プログラムは、プログラムソースからインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布計算機または計算機が読み取り可能な記録媒体(例えば非一時的な記録媒体)であってもよい。各機能の説明は一例であり、複数の機能が1つの機能にまとめられたり、1つの機能が複数の機能に分割されたりしてもよい。
また、以下の説明では、「xxxテーブル」といった表現にて情報を説明することがあるが、情報は、どのようなデータ構造で表現されていてもよい。すなわち、情報がデータ構造に依存しないことを示すために、「xxxテーブル」を「xxx情報」と言うことができる。また、以下の説明において、各テーブルの構成は一例であり、1つのテーブルは、2以上のテーブルに分割されてもよいし、2以上のテーブルの全部または一部が1つのテーブルであってもよい。
また、以下の説明では、「管理装置」は、一以上の計算機で構成されてよい。具体的には、例えば、計算機が表示デバイスを有していて計算機が自分の表示デバイスに情報を表示する場合、当該計算機が管理装置でよい。また、例えば、第1計算機(例えばサーバ)が表示用情報を遠隔の第2計算機(表示用計算機(例えばクライアント))に送信し表示用計算機がその情報を表示する場合(第1計算機が第2計算機に情報を表示する場合)、第1計算機と第2計算機とのうちの少なくとも第1計算機が管理装置でよい。管理装置は、インタフェース部、記憶部およびそれらに接続されたプロセッサ部を有してよい。管理装置における計算機が「表示用情報を表示する」ことは、計算機が有する表示デバイスに表示用情報を表示することであってもよいし、計算機が表示用計算機に表示用情報を送信することであってもよい(後者の場合は表示用計算機によって表示用情報が表示される)。また、管理装置としての機能は、1以上の計算機を含む計算機システム(例えばクラウド基盤)で1以上のコンピュータプログラムが実行されることにより提供されてもよい(例えばクラウドコンピューティングサービスの一種として提供されてもよい)。
以下、複数の実施形態を、図面を参照して具体的に説明する。以下では、例えば、第1~第4の実施形態では、管理装置の一例として、取引計画装置が説明される。第5の実施形態以降では、管理装置が説明される。
<<第1の実施形態>>
[構成]
<<機能構成>>
図1は、本発明の第一の実施形態に係わる電力の取引計画装置の機能の構成を示すブロック図である。図1において、取引計画装置1は、販売事業システムに属する装置であって、将来量推定部10と、発注量計画部20と、時間別発注計画部30を備えて構成される。将来量推定部10は、需要変動の推定部101と、供給変動の推定部102と、マーケット変動の予測部103と、コンバージェンス推定部104から構成される。発注量計画部20は、取引ポジション決定部201と、取引累積量記憶部202から構成される。時間別発注計画部30は、取引発注時間分割部301と、取引発注データ決定部302と、発電計画処理部303と、蓄電等需要計画処理部304と、目標発注推移テーブル305から構成される。
将来量推定部10は、複数の需要システム(1~N)1000、発電事業システム(1)2000、マーケットAシステム(販売事業システム(2~L)4000と、発電事業システム(2~K)2000を含む)3000、マーケットBシステム3100の各々から実績データを取得し、各々のシステムにおける需要と取引先に関する将来量を推定し、推定データを発注量計画部20に出力する。特に本実施形態では、実績値から推定される将来量の誤差に関するデータ(例えば分散や尤度の値)の推定量を推定するコンバージェンス推定部104を含む構成となっている。
発注量計画部20は、需要と取引先に関する将来量の推定データを将来量推定部10から受信し、複数の取引先への取引の量を決定し、決定した内容を時間別発注計画部30に出力する取引ポジション決定部201と、マーケット発注端末5000からの約定データと、発電発注端末5100からの発電計画データと、アグリゲータ発注端末5200からの需要計画データを基に、これまでの取引の累積量を記憶する取引累積量記憶部202を含む構成となっている。
時間別発注計画部30は、取引ができる取引期間中の時間経過の中の細分された期間である計画取引期間での取引発注の量もしくは行使する金額等の計画期間別データを生成する取引発注時間分割部301と、マーケットや取引先への発注電文(買いもしくは売りの発注の価格と数量のデータを含むメッセージ)を生成し、生成した発注電文(発注データ)をマーケット発注端末5000に出力する取引発注データ決定部302と、取引発注時間分割部301により生成された計画期間別データを基に発電計画データを生成し、生成した発電計画データを発電発注端末5100に出力する発電計画処理部303と、取引発注時間分割部301により生成された計画期間別データを基に需要計画データを生成し、生成した需要計画データをアグリゲータ発注端末5200に出力する蓄電等需要計画処理部304と、取引発注時間分割部301により生成された計画期間別データを記憶する目標発注推移テーブル305を含む構成となっている。
<<ハードウェア構成>>
図2は、取引計画装置1のハードウェアの構成図である。図2において、取引計画装置1は、将来量推定部10、発注量計画部20、時間別発注計画部30の各々の機能を実現するプログラムとデータが記録される記憶装置40と、CPU50、メインメモリ60、入出力インタフェース70、ネットワークインタフェース80を備え、各部がバス90に接続される。入出力インタフェース70は、外部通信端子71と、キーボード72と、ディスプレイ装置73を含む構成となっている。ネットワークインタフェース80には、外部システム(需要システム1000、発電事業システム2000等)およびマーケット発注端末5000、発電発注端末5100、アグリゲータ発注端末5200といった発注端末に接続される。入出力インタフェース70およびネットワークインタフェース80が、インタフェース部の一例である。記憶装置40が、PDEV部の一例である。メインメモリ60が、メモリ部の一例である。CPU50が、プロセッサ部の一例である。
<<取引処理のシーケンス図>>
図3は、本実施形態で取引計画装置が行う取引計画の処理を含む電力取引処理(フェーズPh1~Ph6)と取引処理の入出力データを授受する他システムの処理を示すシーケンス図である。
図3において、販売事業者は、取引計画装置1を用いてフェーズ(電力取引処理)Ph1~Ph6を実行する。まず、取引計画装置1は、マーケットB(マーケットBシステム)における燃料と先物と調整力および送電権に関する情報と、発電事業者におけるミドルとベースおよび再エネ(再生可能エネルギー)に関する情報を基に年次におけるフェーズPh1を実行し、マーケットBにおける送電権の情報と、発電事業者におけるミドルとベースおよび再エネに関する情報を基に月次におけるフェーズPh2を実行する。次に、取引計画装置1は、マーケットBにおけるネガワットに関する情報と、マーケットAにおける4時間商品先渡しに関する情報と、発電事業者におけるミドルとベースに関する情報を基に、10日前~3日前におけるフェーズPh3を実行し、マーケットBにおけるネガワットに関する情報と、マーケットAにおける1コマ商品前日と4時間商品先渡しに関する情報と、アグリゲータに関する情報と、発電事業者におけるミドルとベースに関する情報を基に、前日におけるフェーズPh4を実行する。次に、取引計画装置1は、マーケットBにおけるネガワットに関する情報と、マーケットAにおける1コマ商品時間前と4時間商品先渡しに関する情報と、アグリゲータに関する情報と、発電事業者におけるミドルに関する情報を基に、当日におけるフェーズPh5を実行し、アグリゲータに関する情報と、発電事業者における再エネに関する情報を基に、受渡し中におけるフェーズPh6を実行し、処理結果を契約需要家に送信し、その後、取引清算の処理を実行する。なお、フェーズPh6では、アンシラリーにおける30分商品の受渡し期間が受渡し中となる。また、30分商品の受渡し期間を内包する取引清算の処理までの期間がブロック取引受渡し期間となる。
<<システムの連係図>>
図4は、本実施形態に係わるシステムの連携関係を示す連係図である。図4において、本実施形態に係わるシステムは、契約需要家に属する複数の需要システム(1~N)1000と、他需要家に属する複数の需要システム(N+1~N+M)1000と、販売事業システム(1)4000と、発電事業システム(1)2000と、他電気事業者に属する複数の販売事業システム(2~L)4000と、他電気事業者に属する複数の発電事業システム(2~K)2000と、マーケットAシステム3000と、マーケットBシステム3100と、アンシラリーシステム7000と、アグリゲータシステム8000とから構成され、各システムがネットワークを介して接続される。電力の販売事業者が利用する販売事業システム4000は、取引計画装置1を含んでいる。この販売事業システム4000は、需要システム1000からのデータを、送配電事業者が管理しているデータ仲介のための仲介仮想データベース(仮想データベース)6000を介して受信している。また相対取引を行っている発電事業者の発電事業システム2000から供給に関わるデータ(火力の発電可能量や制御可能量のデータや、太陽光および風力による再生可能エネルギーの発電状況のデータ)を取得している。また販売事業システム4000は、マーケットAシステム3000、マーケットBシステム3100から各々のマーケットに関するデータを授受し、デマンドレスポンスを行うアグリゲータシステム8000と発注および受注に関するデータを授受している。
<<フローチャート>>
図5は、本実施形態での取引計画装置が行う処理の全体のフローチャートである。図5において、将来量推定部10は、各種の将来量の推定し(ステップS1)、発注量計画部20は、将来量推定部10の推定結果から発注量の計画し(ステップS2)、時間別発注計画部30は、発注量の計画を基に時間別発注の計画を行い、計画結果に基づいてマーケットと取引先へ発注データを送信する(ステップS3)。以下、各部における処理の詳細を説明する。
[将来量推定部10の処理]
(ステップS101)需要変動の推定部101では、供給を行う需要家が消費する電力の需要の将来量を推定する。ここでは、将来期間を30分単位の期間に分割し、その各々での需要量を推定する。推定は、過去の需要実績データに基づき行われる。例えば、曜日、暦日、気象データが類似する類似需要日の需要曲線を選択し、気象データから日最大、日最小、日平均もしくは極大極小の需要量の重回帰予測モデルを生成し、気象予報データから日最大、日最小、日平均もしくは極大極小の需要量を予測し、需要曲線を補正することで予測するようにしてもよい。もしくは、過去の需要の時間変動を時系列データとし、自己回帰モデルによる時系列予測を行うようにしてもよい。
(ステップS102)供給変動の推定部102では、販売事業者が需要家に供給する電力を、販売事業者に対して卸供給する発電事業者の発電に関わるデータの将来量を推定する。本処理は、太陽光発電および風力発電の再生可能エネルギーの供給量の将来量の推定の処理を含む。推定は、過去の発電実績データに基づき行われる。例えば、気象データが類似する類似需要日の発電曲線を選択し、気象データから日最大、日最小、日平均もしくは極大極小の発電量に重回帰予測モデルを生成し、気象予報データから日最大、日最小、日平均もしくは極大極小の発電量を予測し、発電曲線を補正することで予測するようにしてもよい。もしくは、過去の発電の時間変動を時系列データとし、自己回帰モデルによる時系列予測を行うようにしてもよい。
好ましくは、本実施形態の供給変動の推定部102の処理は、発電データに関わるデータとして、火力発電、揚水発電の制御可能な量(制御依頼を出すことで、30分以内に増加できる発電量と、減少できる発電量)の将来量の推定の処理を含む。
(ステップS103)マーケット変動の予測部103では、販売事業者が需要家に供給する電力を調達する卸市場の市場価格、入札件数、入札電力量のデータの将来量の推定を行う(これらのデータは連続の量、もしくは離散値の量として扱う)。推定は、過去の市場のデータに基づき行われる。例えば、曜日、暦日、気象、想定需要量、計画休止発電機容量のデータが類似する類似日の価格曲線や入札数量の曲線、入札電力量の曲線を選択し、各々の曲線の日最大、日最小、日平均もしくは極大極小の値に関する重回帰予測モデルを生成し、曜日、暦日、気象、想定需要量、計画休止発電機容量の想定データをもとに各々の重回帰予測値を算出し、各々の曲線を補正することで予測するようにしてもよい。もしくは、過去のデータの時間変動を時系列データとし、自己回帰モデルによる時系列予測を行うようにしてもよい。
また、好ましくは、本実施形態のマーケット変動の予測部103では、発電所から調達した電力の送電に関わる送電線の空き容量の将来量の推定部、送電事業者が買い付ける調整量発電権(調整力取引)の価格と数量の将来量の推定部、送電事業者によるインバランス解消のためのアンシラリーサービス(発電量と需要量の差を補給するサービス)の価格の将来量の推定部、ネガワット取引の将来量の推定部、燃料(LNGや原油の市場価格や先物取引価格)を将来量の推定部を含み、これらの将来量の推定の処理を行う。これにより送電の予約権、調整力への発電権の提供、アンシラリーサービス、ネガワットの利用を含めた取引の計画が行い得る。
(ステップS104)コンバージェンス推定部104では、各々の将来量の推定量についての誤差の推移を推定する。ここでは、将来期間を30分単位の期間に分割し、その各々での推定量の誤差を推定する。推定は、過去の実績データに基づき行われる。例えば、過去の実績データの時間変動を時系列データとし、分散自己回帰モデルによる時系列予測を行う。
好ましくは、過去の実績データを所定の期間(例えば24時間、48時間、1週間など)に細分し、各々を高速フーリエ変換もしくはウェーブレット変換して、周期的な変動としての特徴量が類似する期間毎に分類し、分類されたグループごとに周期変動のパターン(特徴量の平均値を逆変換して算出)を抽出し、また分類された各グループに共通する属性(曜日、暦日、気温、日照、その他気象データ、発電機計画停止台数、送電空き容量、需要予測値など)からパターンが発生する条件(属性)を識別する識別木をCARTやID3の識別アルゴリズムで生成し、識別木から将来期間において発生するパターンの候補を複数推定し、推定パターンを合成して発生する将来量の度数分布を求めるようにしても良い。これにより例えば、市場価格のスパイクと呼ばれる、不規則な変動を含めた将来量の推定を程度よく行うことができ、スパイクの発生を考慮した取引計画(スパイクがあることでの有効フロンティアの変更を考慮した取引計画)を行い得る。
図10の(a)~(f)に、このようにして求めた所定期間における将来量の時間推移のパターン1~6の抽出例を示す。
図11Aは、図3のシーケンスのフェーズ(電力取引処理)Ph2に含まれる時刻tにおいて行った、ある将来期間0~p3(例えば7月3日0:00~24:00)の間での将来量(ここでは需要量の一例)の推移の候補のパターンをプロットした図である。3つのパターンが候補として出力されている。図11Bは、図11Aの候補のパターンの各々が選択される確からしさ(識別木における選択割合)の情報と候補パターン(もしくは候補パターンを生成しているサンプルとなっている過去の実測データ)から図11Aの将来時点p2における将来量の推定量(予測量)の度数分布を示している。図11Cは、図3のシーケンスのフェーズ(電力取引処理)Ph4に時点t2でおこなった同一の将来期間(7月3日0:00~24:00)での将来量(ここでは需要量の一例)の推移の候補のパターンをプロットした図である。2つのパターンが候補として出力されている。図11Dは、図11Cの候補のパターンの各々が選択される確からしさ(識別木における選択割合)の情報と候補パターン(もしくは候補パターンを生成しているサンプルとなっている過去の実測データ)から同様に将来時点p2における将来量の推定量(予測量)の度数分布を示している。
ここでは、フェーズPh2の時刻t1からフェーズPh3の時刻t2に推定を実行するタイミングが進んだことで、予測の誤差が減少(度数分布のすそ野が狭まり、尤度が高まった)している。
特に好ましくは、本実施形態では、誤差(分散値もしくは尤度)の値を時系列データとし、その値の変化(収束)を予測するようにしても良い。
図12は、将来量の推定(予測)を行う各フェーズでの予測の推移の実測値(山形の度数分布で例示)と、分散値の予測値の推移(分散自己回帰モデルでの推定値)の推定結果の値(ボックスチャートで例示)の一例を示した図である。本実施形態では、各予測フェーズにおける時刻p2でのxの予測値の推移を示している。
[発注量計画部20の処理]
ステップS201~S202の発注量計画部20の処理では、需要、マーケット、相対契約のもと自社で運用している各種発電(火力発電、流水発電、太陽光発電)に関わるデータの推定値および推定値の誤差(分散や尤度)のデータから、電力供給を行うために必要な電力調達の発注量と発注先および発注商品種類の決定を行う。以下の発電量計画部20の処理の詳細を説明する。
(ステップS201)取引ポジション決定部201では、取引の累積量と、需要と取引先(卸供給を行う発電事業者、卸調達を行う他事業者およびマーケット)に関する将来量の推定データから、30分の受渡し時間毎の取引先への取引の量(発注量、受注量)の値である取引ポジション決定の処理を行う。取引ポジションは、運用資金の割付計画値であるポートフォリから決定される。ポートフォリオは、複数の無リスク資産と、有リスク資産に割り付ける運用資金の割合である。本実施形態では、取引先発電所と合意した発電量と、マーケットで取引した電力商品を資産とするポートフォリオを計画する。ここで有効フロンティア(有効な最良ポートフォリであり、効率的フロンティアとも呼ばれる)とは、実現可能なポートフォリオであって、(1)発電機の容量といった供給量の制約や起ち上げ起ち下げ時間や最小停止時間・最小運転時間など運用制約の物理制約を満たして実現でき、かつ、(2)同一のリスクの値であれば、期間収益額の評価値が最大であるポートフォリオ、かつ、(3)得られる期間収益額がより少ないリスクの評価値のポートフォリオの期間収益額以上である、の三条件を満たすポートフォリオのことである。
図6Aは、フェーズPh2の前半(受渡しの10日前)における、実現可能なポートフォリの各々の評価値に関するグラフである。ここで縦軸には、ポートフォリオに従った取引の実行のシミュレーションによる収益評価値、横軸は前記シミュレーションでの収益のVaR(バリューアットリスク)の値である。実行可能なポートフォリオについてシミュレーションでのモンテカルロシミュレーションを行うことで評価値を得ている。図中のPf1、Pf2、Pf3、Pf4はそれぞれ取引の商品構成(発電構成)が異なるポートフォリオである。
なお、本実施形態での収益の評価期間は需要家への電力の受渡し日を含む1週間とし、前記物理制約の中での実行可能解(1週間の発電機起動停止計画と出力配分の実行可能解)を満たすポートフォリオについて評価している。
Pf1は、30分コマ毎の取引として得た実行可能解で、一日の総供給量のうちの自社契約発電機、4時間ブロック電力、前日取引の30分電力、時間前取引の30分電力、運用予備費の比率を、6対1対1対1対1の比率で保持しているポートフォリオの一つを示している。同様にPf2は4対3対1対1対1の比率で、Pf3は1対6対1対1対1の比率で、Pf4は1対2対2対4対1の比率で一日の運用資金を割り当てている。
なお本実施形態に代わり、ポートフォリオのデータを供給kWhでの発電、売電、買電に関わる配分比としてデータを保持するようにしても良い。
前述の図6Aの例では、フェーズPh2での評価ではPf2とPf3は有効フロンティアの条件を満たすポートフォリオである。評価結果は入出力インタフェース70から出力され、いずれのポートフォリオによる計画の処理を進めるか選択指示を受信する。
選択指示されたポートフォリオを実現している30分毎の取引ポジションを前述のシミュレーション結果から呼び出し、図7のデータテーブルT1に格納する。データテーブルT1の例では、4時間ブロックの商品の卸購入し、30分1コマの商品を卸売りする計画の結果を示している。なお、卸販売の量は、負値で記憶される。
本実施形態では、ポジションとして負の値での評価値を含めたシミュレーションを行う。これは、マーケットに対して売りの入札を行うことを意味している。図7のデータテーブルT1の例では、8:00開始~12:00終了(11:30開始コマ)の受渡しに関して、契約している発電所の分担予定発電と、4時間ブロックでの調達を得たkWを需要が上回っているため、30分電力商品として前日市場と時間前市場に卸売りする計画結果が示されている。このように決定した30分毎の取引ポジションを出力する(以上ステップS201)。
(ステップS202)取引累積量記憶部202は、取引ポジションに対して、マーケットで約定できた取引累積データと取引先の発電事業者およびネガワットを供給するアグリゲータ事業者との計画妥結結果のデータを受信し記録する。記録結果は入出力インタフェース70を通してユーザへ出力される。
以上が発注量計画部20の処理である。この処理により、供給時間に向けて取引先から調達する電力量の目標値が、商品種類、取引先、発電種類を特定するタグつきデータとして、各受渡し時間帯(各受渡しコマ)ごとに決定される。
[発注量計画部20の処理、フェーズでの繰返し実行での再処理]
本実施形態では、ステップS201、S202は、図3に示したフェーズPh1~Ph6において繰返し実行される(一つのフェーズの間においても所定の期間(例えば2時間おき)ごとに実行)。これにより、取引期間の異なる複数の取引が行われるマーケットや取引先との取引計画や、徐々に明らかなる需要実勢や市況や発電機運転状況のデータに基づいた、需要や取引先の状況の変化に対応した取引の計画が行い得る。
例えばフェーズPh3での(ステップS201)の処理の実行により、前述したフェーズPh2でのポートフォリの評価(前記の図6Aで説明)とは異なり、新たなデータに受信したデータをもとに、図6Bのポートフォリを前述のステップS201の処理と同様に算出する。
このとき、ステップS201においては、ポートフォリオを選択すべき有効フロンティアが、前回実行時と一致する場合は処理の変更は行わない。有効フロンティアが前回実行時と異なる場合(たとえば、図6Aと図6Bでは相違している)は、ポートフォリオの選択の変更の処理を行うことを特徴とする。
なお、本実施形態の図6Bに示した例では、フェーズPh3の受渡し4日前において受渡し当日に対する気象予報のデータが「曇り」から「晴れときどき曇り・風速し」への変化している。
「太陽光による再生可能エネルギーによる供給が増加し、供給力の余裕が生まれた発電事象者が火力の発電を30分商品の時間前市場への売り入札を増加させることに起因する市場価格の低下の発生と、天候への依存性の高い再エネ発電の入札増加で市場価格の分散値の増大が起きる」ため、市場に関する将来量推定値の変化が生じている。あらたな市場に関する推定量のもとでは、有効フロンティア上のポートフォリオとなる条件を満たすポートフォリは前述のPf4である。
また、本実施形態の図6Cに示した例では、フェーズPh3の受渡し4日前において受渡し当日に対する気象予報のデータが「曇り」から「雨」(中層雲量が多)へと変化している。
「太陽光による再生可能エネルギーによる供給が減少し、供給力の余裕が減った発電事象者が30分スポットへの売り入札を減らすことに起因する市場価格の上昇、さらに、発電の場所の偏りが増すことにより電力潮流の混雑が発生することでの市場分断の発生と卸市場の建玉の買い上がり現象の発生頻度が増すことに起因して市場価格の分散値は増大する」ことを反映して、各々の将来量推定値が更新されている。この新たな市場に関する推定量野本では、有効フロンティア上のポートフォリオとなる条件を満たすポートフォリオは前述のPf1である。
好ましい本発明の実施形態では、ポーフォトフォリオの評価結果は、コンバージェンス推定での誤差推定データから推定されるポートフォリオの現在および将来の評価値を出録する。さらに各時刻(および図3の各フェーズ)での有効フロンティアのシミュレーション結果を出力するようにしてもよい。
ポートフォリオの選択のための入出力インタフェースでの出力では、ポートフォリオ(発電構成比や電力の商品の調達構成比)の現在での評価と、将来フェーズにおいて発生するポートフォリオの評価(図6Aの有効フロンティアから、天候変化により図6Bもしくは図6Cでの有効フロンティアの発生が予期)が出力されることで、先渡し電力への運用資金割当てを6割とするフェーズPh6は、想定される天候変化による気象データの元での評価は、収益が低くなることが表示され、ユーザへの注意喚起が行われる。
本実施形態において、好ましくは、ステップS201において、すべての取引先との取引量の合計と将来の需要量との差が、所定の値以上、乖離しているときには、いずれかの取引先との取引数量を増減する。
また、すべての取引の取引累積に係わる取引価格よりも、ある取引先との取引価格の推定値が安価なとなる場合には、当該取引先との取引割当量を増加し、ある取引先との取引価格の推定値が高価となる場合には当該取引先との取引割当量を減じる更新処理を行う。
また、取引先各々の取引価格の誤差に関するデータの値が増加した取引先への取引量割り当てを減少し、誤差に関するデータが減少した取引先への取引量割り当てを増量する更新処理を行う。
また取引による期待収益と期待収益のリスクから算出した有効フロンティアに基づいて取引の組合せを算出し、取引期間の後期において将来の期待収益もしくは期待収益分散が変化する範囲のデータから取引後期の有効フロンティアを算出し、有効フロンティアの近傍のポートフォリオ(発電や電力商品の調達販売の割合)から後期有効フロンティアの近傍のポートフォリオへと変更可能なように、複数の取引先への取引の組合せを決定する。あるいは、有効フロンティアと後期有効フロンティアの交点もしくは、交点の所定の近傍上の点のデータに基づいて複数の取引先への取引の組合せを決定する。特に交点の近傍のポートフォリオから取引ポジションを決定することで各種の変動が起きた場合と起きない場合のいずれにも有効な計画を得ることができる。例えば市場価格の極端な変動がおきる可能性が高い供給日に対する取引計画では、価格変動が起きた場合と起きなかった場合のいずれにおいても有効な取引計画を行い得るようになる。
[時間別発注計画部30の処理]
ステップS301~S304の時間別発注計画部30の処理では、取引先やマーケットとの間で電力の取引が行える取引期間(電力供給は需要家に対して連続的かつ継続的に行われるため、電力取引は所定間隔(例えば30分や4時間)に時間帯を区切り、各々の時間帯の電力供給に提供される発電やネガワットの取引を実際の電力供給の時間帯の前の所定の期間を取引期間(例えば受渡しの前日の17:00から受渡し時間の1時間前迄であったり、48時間前から24時間前までであったり、24時間前から1時間前までであったり、10日前から3日前迄である)として取引される)において、取引先への発注および受注の指示に関わる取引発注データの生成を行う。発注は取引期間を細分した複数の計画取引期間において段階的に行い、取引期間中の市場価格の変動等に対応した経済的な発注の計画を成し得ている。以下、ステップS301~S304の処理の詳細を示す。
(ステップS301)取引発注時間分割部301では、前記の取引ポジションの値を受信し、取引期間での各取引先やマーケットの商品の調達(仕上がりポジション)の目標量として、当該ポジションに向けて商品の取引数量(約定する電力量(kW))が均等になるように分割する。
分割した値は図8に示した目標発注推移テーブルT2または図9に示した目標発注推移テーブルT3に格納される。図8の目標発注推移テーブルT2には、時間前市場で卸売りする30分商品についてのデータの一例が記載されている。7月3日7:00を仕上がり時刻として仕上がりポジションとして-300kW(売りを300kWとするポジションを示している)を目標とし、15に分割された計画ロットの各々では(-300/15)kWに相当する取引を約定することが目標値とされている。なお、図8の例では、取引期間は30分毎の取引計画期間に細分されているが、取引計画期間はこれに限定されるものではなく、例えば、10分刻みにとしても良いし、これより長く2時間刻みとしても良い。また分割された発注単位は、計画ロットと呼ぶ。計画ロットは、電力商品の各々について作成するようにして良い。これにより、入札数が少ない商品については計画取引期間を長く、入札数が多い商品については計画取引期間を短くとるなどして取引計画と取引実績の管理を効率化することができる。
本実施形態に代わり、取引金額が均等になるように分割を行なっても良い。また、取引数量と取引数量の分散の値の重み付け和が均等となるように分割しても良い。また、取引金額と取引金額の分散の値の重み付き和が均等となるように分割しても良い。
好ましくは、取引期間を細分した計画取引期間での発注に関わり、計画取引期間に関わるコンバージェンス推定の値である将来量推定の誤差の大小により、計画取引期間の各々の発注データの値を増減補正する。これにより誤差の少ない計画取引期間での優先的に執行することができ、目標とする取引数量と取引収益をより安定的に実現する取引の計画が行い得るものとなる。
また好ましくは、ステップ201で算出する、取引期間の各時点での有効フロンティア(もしくは取引ポジション)の各々の不一致度を算出し(例えば、有効フロンティアの集合に含まれる点(ポートフォリオ)の重心の距離)、不一致が大きい場合には、将来となるほど計画取引期間の取引数量を減ずる処理を行う。これにより、有効フロンティアが計画の後期において変動するときに発電と電力商品の調達構成を変更できず、不経済な取引を行う事態が発生することを回避するような取引結果を得ることができる。
(ステップS302)取引発注データ決定部302では、計画取引期間での発注に関わり、前記目標発注推テーブルT2を参照し、計画取引期間でのマーケットの商品への調達の取引発注データの値を決定し、マーケット発注端末5000にデータを送信する処理を行う。約定する取引数量の目標値Mが与えられているときには、(数1)のように価格データXと入札数量Oのデータとを生成する。
ここでMは入札数量(建て玉とする電力量)を指定する変数、Rは目標約定割合を指定する変数、P、σは市場の市況(コンディション)を示す変数でありPは取引価格の期待値と、σは取引価格の分散を示す変数である。関数fは、市場に関わる統計的性質を示す数表(例えばt分布表)を参照し、取引成立(約定)できる価格を約定価格の分布から定まる信頼区間からRの割合で約定できる価格Xを与える関数である(例えば95%で約定されるための信頼区間は(P±1σ)であり、買いであればP+σの価格を指定すればその期間において約定が95%期待できる)。Rは入出力インタフェースを通してユーザから指定される値が代入される、例えば、0.1~0.9の値である。
(ステップS303)発電計画処理部303では、契約している発電事業者への発電機の起動停止計画と負荷配分計画として知られる発電の運用計画をシミュレーションする処理行う。シミュレーションにより運用可能との結果が得られた場合は、発電発注端末5100にデータを送信する。運用不能とのシミュレーション結果が出た場合には、入出力インタフェース70に対してアラート表示を出力する。
(ステップS304)蓄電等需要計画処理部304では、契約しているDRアグリゲータでの節電計画をシミュレーションする処理行う。シミュレーションにより運用可能との結果が得られた場合は、アグリゲータ発注端末5200にデータを送信する。運用不能とのシミュレーション結果が出た場合には、入出力インタフェース70に対してアラート表示を出力する。
[本実施形態の効果]
図13に、本発明の実施形態に示した取引計画を行ったときと、行わなかったときの発注結果を示す。図13の(a)は、発注を均等に分割しておこなった従来の例である。図13の(b)は、本発明の取引計画装置1による発注による結果を示している。取引計画装置1を用いることで、需要誤差がない時限(受渡しコマ、受渡し時間)では発注の早期化のオプションが与えられ、安い供給力を利用可能になり、収束率に応じて早期発注も許可される。なお、需要誤差がない時限では、需要量ではなく、価格の収束率、太陽光発電の収束率についても同様である。
図15に、本発明の実施形態に示した取引計画を行ったときの、供給時間T1の電力商品および発電の発注結果の推移を示す。図の15(a)は取引期間中に生じる将来量推定量の変動が少ない場合での発注の結果での約約定量と未約定量を示している。取引残時間に比例して約定未済み量が増えている(約定量が減っている)。
図15の(b)は取引期間中に生じる将来量推定量の変動が大きい場合での発注の結果での約約定量と未約定量を示している。取引残時間に対して指数的に約定未済み量が増えている(約定量が減っている)。これは将来の不確定な市況や需要の大きさ(将来量の推定量の変動の大きさ)に対して、発注の後ろ倒しが行われたことによる。
なお約定とは、市場(マーケットともいう)に対して入札(電文の送信)に対して売買が成立したこと、もしくは、発電事業者やネガワットの供給事業者(アグリゲータ)などとの電力の受渡しの申入れに対して合意が成立したこと、商取引の申入れに対して合意が成立したことである。
図14に、本発明の実施形態での取引計画を行った場合と行わなかった場合の、販売事業者の収益の結果(a)と、需要量と供給量の不一致の量(インバランス量)の発生結果(b)の例である。図14の(a)は、対象年度の第1週から第52週の収益率のヒストグラムを示し、図14の(b)は、対象年度の第1週から第52週に発生したインバランスに関するヒストグラムを示している。点線は従来の均等発注での結果を示し、実線は本発明の実施形態での取引計画による結果を示している。
従来(点線)は需要や市場価格の予測に関して、図11Bのように多峰な誤差は発生することを考慮せず、取引全体の初期段階から発注を固定的に行ってため、収益とインバランス量とが、多峰にすそ野も広がって分散している。本発明の実施形態の取引計画では収益とインバランス量の誤差が減少している。
本実施形態によれば、市場動向や、需要の変動、取引先の稼働状況に呼応した取引計画を実行し、その結果による取引先とマーケットへの発注の量と、発注タイミングを決定することが可能となる。
<<第2の実施形態>><<変形例:時間裁定>>
本実施形態の取引計画装置1は、需要の発生の変更に関する量もしくは時間のデータの推定量を生成するデマンド制御量推定部を備える将来量推定部10と、デマンド制御量の値に基づいて(受渡し時間が異なる取引のポジションの値を)取引ポジションのデータを加減算するデマンド制御制限部を備えた発注量計画部20とを備えたものである。
かかく取引計画により、デマンドレスポンスや蓄電制御による需要誘導を考慮した取引の計画を行い得るものとなる。
また、安い時間の需要を増やし(蓄電等)、高い時間の需要を減らす。但し、取引できる量は蓄電池の充放電で吸収できる量と、シフト時間幅に制限することができる。
<<第3の実施形態>><<変形例:送電権の予約取引>>
本実施形態の取引計画装置1は、再生可能エネルギー発電の供給の将来量を推定する供給推定部と、契約需要家の需要量の将来量を推定する需要推定部を含む将来量推定部10と、再生可能エネルギー発電量が需要量を上回る量に応じて発電の売りを行う取引ポジション決定部201を含む発注量計画部20を備えたものである。
かかる取引計画により、発生した発電を供給に供することを可能とする取引計画が行い得るものとなる。
また、本実施形態の取引計画装置1は、送電線および連系線の空容量の将来量を推定する推定部を含む将来量推定部20と、送電線の利用計画を作成する送電線利用計画部を含む時間別発注計画部30とを備えたものである。
かかる取引計画により、送電線の飽和により再生可能エネルギーの発電を停止させる事業の発生が回避され、発生した発電を送電線および連系線をとおして供給に供することを可能とする取引計画が行い得るものとなる。これにより再生可能エネルギーを停止により発生する埋没コストの低減の経済的価値をも反映した取引が達成される。
<<第4の実施形態>> <<調整力取引>>
本実施形態の取引計画装置1は、調整力の取引に関わる将来量の推定量(例えば、調整力取引の価格と、取引数量に推定量)を推定する推定部を含む将来量推定部10と、調整力への提供量を決定し、調整力提供量に応じて需要量に関わるデータを更新し、取引ポジションを算出する取引ポジション決定部201を含む発注量計画部20を備えたものである。
かかる取引計画により、外部より必要とされたときに提供することを約束し、買い戻すことが困難な調整力に関する取引を含む取引の計画を行い得るものとなる。
また、本実施形態の取引計画装置1は、実績値から推定する将来量の誤差に関するデータ(例えば分散や尤度の値)の推定量を推定するコンバージェンス推定の値を算出し、発注量計画もしくは時間分割計画を行うこともできる。
上述の説明を、例えば下記の通りに総括することができる。
(1)一実施形態に係る管理装置は、取引の累積量と、需要と取引先に関する将来量の推定データを受信し複数の取引先への取引の量を決定する取引ポジション決定部とを含む発注量計画部を備えたことを特徴とする。
これにより、絶えず変化する将来量に応じた取引の計画を行い得るものとなる。
(2)上記(1)の管理装置の発注量計画部は、複数の取引の各々に関わるデータとして正負の値を取り得るデータテーブルを備えたことを特徴とする。
これにより、同一の受渡し期間(納期やサービスを継続提供する期間)を含む商品に関して売り取引と買い取引を同時に行い得るものとなる。好ましくは、数時間にわたって受け渡されるエネルギーをピーク供給に応じて卸取引において買い、ピーク供給時間帯以外で生じる供給の残余分を卸取引において売り提供することで、エネルギーの効率的な利用を促進し得るものとなる。
(3)一実施形態に係る管理装置は、取引ができる取引期間中の時間経過の中の細分された期間である計画取引期間での取引発注に関わる発注価格(例えば買い入札の価格、売り入札の価格)もしくは発注数量のデータを含む取引発注データを生成する取引発注データ決定部を含む時間別発注計画部を備えたことを特徴とする。
これにより、取引期間の各時間断面において効率的な取引の計画を行い得るものとなる。
(4)一実施形態に係る管理装置は、実績値から推定する将来量の誤差に関するデータ(例えば分散や尤度の値)の推定量を推定するコンバージェンス推定部を含む将来量推定部を備えている。
これにより、将来量の推定精度が良好であるか不良であるかの状況に応じた取引の計画(例えば発注量の計画と発注処理の時間分割の計画)を行い得るものとなる。
(5)一実施形態に係る管理装置の発注量計画部は、すべての取引先との取引量の合計と将来の需要量との差が、所定の値以上、乖離しているときには、(取引先の各々との取引価格もしくは取引可能数量の推定値に基づいて)いずれかの取引先との取引数量を増減することを特徴とする取引ポジション決定部を備える。
(6)好ましくは、取引ポジション決定部は、すべての取引の取引累積に係わる取引価格よりも、ある取引先との取引価格の推定値が安価となる場合には、当該取引先との取引割当量を増加し、ある取引先との取引価格の推定値が高価となる場合には当該取引先との取引割当量を減少することを特徴とする。
(7)さらに好ましくは、取引ポジション決定部は、取引先各々の取引価格の誤差(分散もしくは尤度)に関するデータの値が増加した取引先への取引量割り当てを減少し、誤差に関するデータが減少した取引先への取引量割り当てを増量することを特徴とする。
これにより、経済的な合理性のもとで、需要に合致した発注を行い得るものとなる。好ましくは、各種の将来量の変動により発生しえる損失をも低減した発注を行い得るものとなる。
(8)一実施形態に係る管理装置の発注量計画部は、取引による期待収益と期待収益のリスク(例えば期待される収益の分散の値)から算出した有効フロンティアに基づいて取引の組合せを算出し、取引期間の後期において将来の期待収益もしくは期待収益分散が変化する範囲のデータから取引後期の有効フロンティアを算出し、有効フロンティアの近傍のポートフォリオ(発電や電力商品の調達販売の割合)から後期有効フロンティアの近傍のポートフォリオへと変更可能なように,複数の取引先への取引の組合せを決定する取引ポジション決定部を備えたことを特徴とする。
これにより、将来量に関わる推定(例えば供給を行う当日当時間の需要量や、当該時間に関わる取引の市場取引価格の推定量や、これらの分散値の推定量(コンバージェンス推定量))が初期の推定と後期の推定とで異なることが予想される場合において、初期時点の最適な取引計画の結果から後期時点の最適な取引計画の結果へと目標となる計画結果変わる場合にも、取引期間の全体を通した取引が行い得るものとなる。
さらに好ましくは、将来量に関わる推定値の収束の時間経過の評価値が大きいほど、発注の時期を遅らせることを特徴とする。
これにより、後期の有効フロンティアの変化量が大きい場合にも、もっとも経済性の高いポートフォリオに従った取引が行い得るものとなる。
(9)一実施形態に係る管理装置は、取引先の各々への発注量を取引時間中の発注の時間推移に関わる目標値に分割する取引発注時間分割部を含む時間別発注計画部を備えたことを特徴とする。
これにより、将来量の推定値が確定し得ない場合においても、取引先への発注量を順次変化させることで最終的に自社が顧客への供給に供する数量を効率的に確保する取引の計画を行い得るものとなる。
(10)好ましくは、本発明の管理装置は、取引期間を細分した計画取引期間での発注に関わり、計画取引期間に関わる将来量推定の誤差(分散もしくは尤度)の大小により、各々の計画取引期間での発注データの値を増減する時間別取引計画部を備えたことを特徴とする。
これにより、誤差の少ない取引を優先的に執行することができ、目標とする取引数量と取引収益をより安定的に実現する取引の計画が行い得るものとなる。
(11)一実施形態に係る管理装置は、好ましくは、目標発注推移のデータに基づいて生成した所定間隔の計画取引期間の各々での目標取引数量のデータ(例えば、受渡し時間の48時間前から24時間前までが取引期間である商品の取引期間を分割し、10分間毎の計画取引期間を設定し、各々の取引期間で完了すべき取引数量の目標値が設定される)を生成し、目標取引数量と取引数量実績の差に応じて、推定取引価格と推定取引価格誤差の重み加算をした価格を含む取引発注データを作成することを特徴とする取引発注データ決定部を含む時間別発注計画部を備える。
これにより、必要な取引数量の取引を完了する取引計画を行い得るものとなる。
例えば、取引市場のゲートクローズに向け調達や販売する数量を確保したいときに、本方法による入札価格の決定が行われる。買い手として調達の数量を集めるばあいには、本方法による入札では入札価格を以下のように決定することが可能となる。期待価格Pとその分散σとに対して、入札価格をP+σ(P)の値で買入札すると95%の確率で落札でき、P-σ(P)の値で入札すると95%の確率で落札できる統計的な傾向に基づき、必要な数量の約定をしえる入札価格を決定する。より好ましくは、約定数量が少なくて良い取引の初期段階には入札価格は低い値とし、取引数量が必要な段階では入札価格P+σのような高い値へと適切に変化させることが可能となる。また発電の売り手の場合は、約定数量が少なく良い時期には入札価格の値は高めとなり、発電機の停止制約に従い炊いた発電を売切りたいときにはより落札されるように入札価格をP-σのように低めの値へと適切に変化朝得ることが可能となる。
(12)一実施形態に係る管理装置は、将来量の推定データに基づいて所定間隔の計画取引期間に行う取引金額に関するデータを生成し、取引発注データを作成する取引発注データ決定部を備えることを特徴とする。
好ましくは、将来量の推定量の誤差の推定量に係数をかけた値を上記取引金額から加減算した取引金額データから取引発注データを生成する取引発注データ決定部を含む時間別発注計画部を備える。
これにより、取引期間の通期の間に将来量が変動(例えば取引価格の変動や、需要量の変動)が生じる場合にも、取引コストの均し効果により、支払い金額が過大になることがない取引の計画を行い得るものとなる。
さらに好ましくは、所定間隔の計画取引期間に行う取引金額はリスク引当後取引金額(期待取引金額Qから,その分散値ρに係数を乗じた値を引いた値)が均等となるように計画することを特徴とする。かかる取引計画により、取引の価格や数量の推定量の誤差が小さいときには行使する金額を大きし、誤差が大きい(市場リスクが大きい)場合には取引金額を小さくした取引計画を行い得るものとなり、市場のリスクによらずに効率的な取引が行い得るものとなる。
(13)一実施形態に係る管理装置は、受渡し時間(供給時間)が重複し(その結果実供給が相殺される)商品の買取の発注量と、販売の発注量を制限する反対ポジション制限の範囲で取引ポジションを決定する発注量計画部を備えることを特徴とする。
かかる発注量の制限を行うことで、取引量が制限なく増加することなく実際の供給にみあう取引を計画することが行い得るものとなる。
例えば、取引先や取引市場が異なる場合の裁定取引とその適正な量を決定することが行い得る。同等の電力商品(例えば同一時間帯の供給に使える電力商品)が異なると引き市場において異なる価格の値を取る状態((一物二価)が発生したとき安い市場で調達し、高い市場で販売する裁定取引を行うときには、裁定取引を上限なく行うと、予測価格が外れた場合に実現する損金が課題となり事業運営に支障を生じるが、本発明の取引計画によれば、実現する損金を許容範囲内に留めた取引の計画を行い得るものとなる。
例えば、4時間ブロックの発電を買って、30分スポットを売る(両建て)取引において、両建てにより取引量が上限なく増えてしまわないように反対ポジションの上限を制限する。例えば、リスク引当後利益を用いた評価を行う。あるいは、所定の値の上限を設ける、もしくは実供給に対して所定のN倍を取引上限とする上限を設ける。
(14)一実施形態に係る管理装置は、取引期間における価格(例えば市場取引での終値や重み付き平均価格(WACC))のデータとコンバージェンスに関わるデータ(分散値や分散値の収束速度を含む)の重み付き加算値を算出し,マーケットでの売り手の入札値との大小関係を比較し,取引発注データを生成する取引発注データ決定部を含むことを特徴とする。
かかる取引計画により、マーケットを介して,他事業者が至急必要とする商品の高い価格での買い取りや、残余の商品の安価での電力融通の申入れ(入札)に速やかに答えることでの全体合理性と、取引等業者に取っての経済的合理性をもった取引の計画を行い得るものとなる。
<<第5の実施形態>>
図16は、本発明の第5の実施形態に係わる管理装置の機能の構成を示すブロック図である。
管理装置1601は、販売収入算出部1611、収支予測スプレッド算出部1612、および、料金単価検索部1613を備える。
販売収入算出部1611は、需要カテゴリごとの時間別の料金単価と、電力使用の値とを用いて、需要に供給を行うことでの販売収入を算出する。「需要カテゴリ」は需要の区分単位である。「需要カテゴリ」に含まれる需要は、契約種類、産業種類、需要地点、需要の発生時期といった属性のいずれかが同一の需要である。需要カテゴリごとの情報が、需要カテゴリテーブル1621に格納されている。需要カテゴリテーブル1621は、例えば、需要カテゴリごとに、当該需要カテゴリについて共通の属性と、時間別の料金単価と、電力使用の値(時間別の使用量および契約最大量)とを格納する。販売収入算出部1611は、需要カテゴリテーブル1621を基に、需要カテゴリごとに、販売収入を算出できる。販売収入算出部1611は、各需要カテゴリについて、算出された販売収入を、需要カテゴリテーブル1621に格納する。
収支予測スプレッド算出部1612は、需要カテゴリの所定期間(例えば1日、1週間、1ヶ月、3ヶ月間、1年間)の電力使用量(需要)、市場の約定価格、供給量に関する複数の将来量推定時系列の各々での収支(販売収入と供給費(供給に要した費用))を比較する。「将来量」とは、将来量推定部10により推定された将来の電力使用量、約定価格、電源とマーケットからの供給量である。将来量は、需要カテゴリごとの料金単価を自動生成する場合は、料金単価の将来の値を含む。推定された将来量は、需要、約定価格及び供給量のうちの少なくとも1つであってもよい。需要カテゴリテーブル1621は、例えば、需要カテゴリごとに、複数の将来量推定時系列を格納する。このテーブル1621から、各需要カテゴリについて、複数の将来量推定時系列がわかる。また、各将来量推定時系列について、各日時での将来量を基に供給費を算出できる。「予測スプレッド」とは、条件をかえた予測の計算(シミュレーション)を行って得た結果の値のばらつきの大きさを表す指標である。本実施形態では、最も値の大きかった予測結果と最も値に小さかった予測結果の差の値を用いる。
料金単価検索部1613は、収支予測スプレッド算出部1612による比較の結果を基に、各需要カテゴリについて、制約条件を満たす料金単価を検索する。例えば、各需要カテゴリについて、時間別の料金単価を、販売収入と供給に要した費用との差額を基に、高くまたは安くすることができる。制約条件テーブル1622が、各制約条件について、制約条件と料金単価の関係を示していて、料金単価検索部1613が、該テーブル1622を基に、料金単価を検索してもよい。
かかる取引計画を行うことで、適切な料金単価の設定が行える。個別カテゴリの収支や、収支の擾乱幅を考慮した取引計画の策定に貢献できる。
好ましくは、料金単価検索部1613は、入力部1614を備える。入力部1614は、(a)各々の需要カテゴリの販売収入額の上限下限のデータ、(b)複数の将来シナリオ(将来量の時間推移)の各々で算出する収支の差である収支予測スプレッドの上限のデータ、のいずれかの制約条件を入力する。需要カテゴリの契約者は支払う料金額が他者と比べて相対的に高いときに減少や離反するが、これにより、減少や離反が発生しない料金単価を設定することが可能となる。また、供給できる量を上回る契約の増加を発生させない料金単価を設定することも可能となる。さらに、(b)の制約条件によれば、収支の差の上限があるので、複数の将来シナリオのいずれが発生しても収支の変動が所定範囲に収まる適切な料金収入を得て安定した供給を維持することが可能となる。なお、入力部1614は、制約条件を制約条件テーブル1622に格納する。格納された制約条件は、需要カテゴリに関連付けられる(例えば、制約条件IDが、需要カテゴリテーブル1621に格納される)。また、少なくとも1つの「将来シナリオ」は、将来量の時間推移に加えて、需要、市場、気象の時間推移を含んでもよい。需要家の離反を防ぐ料金単価を生成していくと、料金単価は将来変わる値となるので、このような料金単価が、将来量に含まれてよい。また、複数の将来シナリオを表す情報は、将来シナリオごとの情報を格納する将来シナリオテーブル1623が格納する。
好ましくは、需要カテゴリの販売収入は所定の値の範囲にある。時間別の単価の配分比率が、例えば料金単価検索部1613により調整される。かかる取引計画を行うことで、需要カテゴリの料金額は他電力会社と同じ水準に指定し、昼間単価と夜間単価の割合を変えことで、将来シナリオの変動に対しての収支変動を最小とすることが可能となる。
なお、上述した機能1611~1614およびテーブル1621~1623は、記憶装置40に格納される。
<<第6の実施形態>>
図17は、本発明の第6の実施形態に係わる管理装置の機能の構成を示すブロック図である。
管理装置1701は、収支最大の発電および調達の調整装置として機能できる。例えば、管理装置1701は、カテゴリ別供給費算出部1711、需要カテゴリ別収支算出部1712、および、供給源検索部1713を備える。
カテゴリ別供給費算出部1711は、需要カテゴリ別の供給費(例えば、各時に用いている供給源の各々の供給単価を供給量で加重平均したピリオド単価と、該需要カテゴリ各時刻需要値との積を、所定期間で通算)を算出する。なお、供給源ごとの供給単価および供給量は、例えば、供給源ごとに供給源の情報を格納する供給源テーブル1721に格納されている。また、需要カテゴリごとの各時刻需要値は、需要カテゴリテーブル1621に格納されている。これらのテーブル1721及び1621を基に、カテゴリ別供給費算出部1711は、需要カテゴリ別の供給費を算出できる。また、「供給源」の具体例は、上述した発電事業システム2000(例えば図1参照)である。またマーケットシステムA3000に含まれる発電事業システムと、マーケットシステムB3100のネガワットも供給源の具体例である。
需要カテゴリ別収支算出部1712は、所定の需要カテゴリの収支(当該需要カテゴリの販売収入から供給費との差分)を算出する。
供給源検索部1713は、当該収支(および、供給源テーブル1721および制約条件テーブル1622)を基に、制約条件を満たす時間別の供給源の組合せを検索する。
好ましくは、供給源検索部1713は、入力部1714を備える。入力部1714は、所定の需要カテゴリについての供給費、あるいは、所定の需要カテゴリへの供給による収支の値のいずれかに対して、これらを最小もしくは最大にならしめることを制約条件のデータを入力する。あるいは、入力部1714は、費用と収支のいずれかに対しての、上限、下限の値を制約条件のデータを入力する。かかる取引計画を行うことで、全需要カテゴリに対しての総合の供給費の低減に加えて、所定の需要カテゴリ(例えば、経営上の課題として重要な需要カテゴリ)に対しての供給費の低減をも達成することが可能となる。なお、入力された制約条件は、制約条件テーブル1622に格納される。
好ましくは、管理装置1701は、機能1711および1712に加えて、カテゴリ収支試算部1715および需要カテゴリ別予測収支スプレッド算出部1716を更に備える。カテゴリ収支試算部1715は、所定の需要カテゴリについての供給費(例えば、ピリオド単価と、需要カテゴリに分類されている需要の合算需要値との積を、所定期間で通算)と、該需要カテゴリへの供給による収入値との算出を含むカテゴリ収支算出を行う。需要カテゴリ別予測収支スプレッド算出部1716が、需要カテゴリ別に、複数の将来シナリオ(例えば、需要、市場、気象の時間推移)の各々について収支を比較する。供給源検索部1713が、上述の検索に代えてまたは加えて、需要カテゴリ別に、予測収支スプレッド(複数の将来シナリオにそれぞれ対応した複数の収支)が最小もしくは所定の値以下となる、供給源の組合せを検索する。なお、「ピリオド単価」とは、受渡し電力についての市場の約定価格、あるいは相対契約している発電システムからの調達単価、あるいはこれらの加重平均値である。「ピリオド」とは、受渡し期間である(狭義には、マーケットAの一コマ(例えば30分)でよい)。
供給源の組み合わせ(ユニットコミットメント)は、一度決めると大きく変えることができない。このため、供給源検索部1713が、いかなる将来においても制約条件を満たす実行可能解の候補(供給源の組合せ)をみつけることが難しい。そこで、所定需要に必要な供給源の組合せを与えるU=[u1,u2,u3,u4,u5]tや、ui=[di(1),di(2),di(3),...,di(46),di(47),di(48)](ここでiは供給源の号機番号。di(j)はiがjピリオドに起動している場合や市場商品として購入している場合は1、停止している場合や市場商品として購入していない場合は0となる変数)があるとする。Uから変更可能なUの集合をΦ(U)とする。
また、将来シナリオDに対して実行可能UをU(D1)とする。「実行可能なU」とは、例えば、契約している需要と市場への供給を、遂行できる供給源の組合せである。
複数の将来シナリオ(例えば、D1、D2、D3)に対して、実行可能解の積集合のΦ(U(D1))∩Φ(U(D1))∩Φ(U(D3))に含まれるU*を計画値として検索する。
一つの実施形態としては、Φ(U(D1))、Φ(U(D2))、Φ(U(D3))を各々もとめ総当り方により検索してもよい。
一つの実施形態としては、供給量(契約した需要家への供給と、市場への販売の和)の予測値の時系列をD1、前記供給量の予測値D1に1以上の所定の重みを掛けたD2、前記供給量の予測値D1に1以下の重みを掛けたD3、といった複数の供給量に対し、実行可能な供給源U(D1)、U(D2)、U(D3)を検索する。その際、供給源間の起動号機に差が生じないように、例えば任意の時間断面における起動、停止数が一定になるように、制約を設け検索を行う。この際、各々の供給源U(D1)、U(D2)、U(D3)にかかる費用の差が最小になるように最適化計算を行っても良い。
具体的には、「最適化計算」での最小化項は、(X1)供給に掛かる供給源コスト(具体的には供給で消費する燃料費もしくは、電力の調達でかかる市場取引で約定価格)、(X2)各シナリオでの供給源コストの偏差の和M(数2)もしくは分散V(数3)を用いて、(X1)と(X2)を加重平均して設定するようにしても良い(ここでNは将来シナリオの数で、一例ではN=3)。
このような最小化項を用いると、気象条件や需要や市場約定価格が振れたときに供給にかかるコストが急激に増加することがない計画を作成することができる。(X2)が最適化計算におけるペナルティ項として働き、コストがふれない解が検索されるためである。
また、最適化計算での最大化項として、(Y1)供給と販売とによる収支と、(Y2)各シナリオでの収支の偏差の和、もしくは分散を用いて、(Y1)と(Y2)を加重平均して設定してもよい。このような最大化項を用いると、気象条件や需要や市場約定価格が振れたときに収支が急激に変化することがない計画を作成することができる。
さらに、所定の需要カテゴリK、将来シナリオをDiとして、需要カテゴリ別供給コストをSC(K、Di)とする。最小化項にSC(K,Di)とSC(K、Di)の各シナリオでの偏差もしくは分散を加算しても良い。これにより、これにより、所定の需要カテゴリKにかかる供給コストがおおきくなったり、気象条件や需要や市場約定価格が振れたときに供給コストが急激に変化することがさけられる。
また、需要カテゴリ別を収支P(K、Di)とする。P(K、Di)の各シナリオでの偏差もしくは分散を加算してもよい。これにより、これにより、所定の需要カテゴリKでの販売と供給での収支が、気象条件や需要や市場約定価格が振れたときに供給コストが急激に変化することがさけられる。また最大化項にP(K,Di)を加えてもよい。需要カテゴリKへの販売収入に対して将来の供給源コストが大きくなることが避けられる。
将来シナリオは、D1に固定の値を掛けて生成するだけでなく、将来時刻の気象予測の予測スプレッドの大きさ応じた値をかけて生成するようにしても良い。将来シナリオの数は3つに限定されるものではない。例えば、気象数値予測シミュレーションにより、将来の気温や日照の予測時系列を生成し、これから需要、再エネ発電量、約定価格の予測値をさらに生成することで将来シナリオを作成ときに、気象数値予測シミュレーションは、気象観測値に初期摂動を加えた初期条件を設定してシミューションを行う。この初期摂動加えた初期条件を、例えば、20通りにわたって生成するときには、将来シナリオは20通り生成され得る。
(効果の説明)
図20(図20A、図20B、図20C)に、本実施形態の供給源検索装置(管理装置の一例)を用いず、各々のD1、D2、D3に対して、供給にかかる費用が最小となる供給源の組合せを求める最適化計算(最小コスト法)をおこなったときの供給源の組合せ結果を示す。
図21(図21A、図21B、図21C)に、本実施形態の供給源検索装置を用いた検索結果を示す。
図の横軸は受渡し時間であり、10時から10時30分を「10A」、10時30分から11時を「10B」と示している。縦軸は、供給源を特定する号機番号である。表の濃色は、供給源が運転もしくは市場商品として購入してあることを示している。
また、各々の時刻での電力受渡しについて将来シナリオD1は需要と市場約定価格の予測の中央値を用いた将来シナリオである。将来シナリオD2は市場約定価格がD1の場合より高く推移し市場への販売を増加させるなどして販売量(需要)が増加した将来シナリオである。将来シナリオD3は、市場約定価格がD1の場合より低く推移し、市場への販売を減少させるなどして販売量(需要)が減少した将来シナリオである。
本実施形態に係る方法を用いない、供給費の最小コスト法による計画では、将来シナリオD1では、5号機、6号機は運転が行われず、4号機は運転が行われると計画される(図20A)。将来シナリオD2に対する計画では、6号機が将来シナリオD1の場合では運転が予定されない6号機が、D1の場合の場合よりも16時から18時の需要増のために運転されている(図20B)。将来シナリオD3に対する計画では、D1の場合よりも17時から18時の需要がすくないために、定格容量が5号機よりも大きい4号機がそもそも運転せずに、代わりに5号機を運転することが計画されている(図20C)。
このように、最小コスト法での計画では、将来シナリオD1、D2、D3の各々では最小コストであるが、将来シナリオが変わる(気象予報が更新されることで将来量推定部の出力が変わる)たびに稼働される発電機や供給源がかわってしまい、前日から運転員を配置するような準備が必要な実際の発電システムを、いかなる将来シナリオのもとでも運転させるということはできない。
一方、本実施形態に係る方法によれば、図20A、図20B、図20Cに示すように、D1~D3のいずれの将来シナリオにオいても、4号機は運転されない。もし16時から18時の需要の増加した場合には6号機の運転影響で対応できている(図20B)。また17時から18時の需要が減少した場合には5号機の運転時間小短縮で対応できることがわかる(図20C)。
前日から配置する発電システムの運転員の準備や、燃料の準備を変えることなく、いずれの将来シナリオに対しても特定の準備対応が可能な供給源の、運転時間の短縮もしくは延長によって、計画に沿った運転が実現できることがわかる。
本実施形態での料金単価の検索と供給源の組合せ検索の検索処理は、制約条件を見た解を検索する内点法、もしくはカーマーカー法、分枝限定法、制約プログラミング法により実現される。またユーザが任意に指定した解の候補のテーブルデータに対する総当り法による検索を行なっても良い。本発明はこれらに限定されるものではなく、遺伝的アルゴリズム、強化学習法といったヒューリスティック法の検索を行なうようにしても良い。
なお、上述した機能1711~1716およびテーブル1721は、記憶装置40に格納される。
<<第7の実施形態>>
図18は、本発明の第7の実施形態に係わる管理装置の機能の構成を示すブロック図である。
管理装置1801は、契約移行率の推定装置として機能できる。例えば、管理装置1801は、料金メニュー値差推定部1811、料金メニュー別契約割合推定部1812、販売収入算出部1813、料金メニュー別契約割合制約条件入力部1814、および、料金単価検索部1815を備える。
料金メニュー値差推定部1811は、需要家が支払う電力料金に関し、変更候補の料金メニューでの支払額(仮の変更後の支払額)と、変更前の料金メニューでの支払額(変更前の支払額)との差額を推定する。この推定は、需要カテゴリ別に行なわれてよい、また需要家別に行われてよい。また、この推定は、料金メニューテーブル1821を基に行われてよい。料金メニューテーブル1821は、複数の料金メニューに関する情報を格納している。該テーブル1821は、各料金メニューについて、変更前後の料金メニューの情報を格納してよい。また、いずれの需要家がいずれの料金メニューに対応しているかは、需要家ごとの情報を格納する需要家テーブル1822を基に特定可能である。
料金メニュー別契約割合推定部1812は、料金メニュー値差推定量(推定された差額)に基づき、将来計画期間での各料金メニューの選択割合を推定する。料金メニュー別契約割合推定部1812は、例えば、ロジスティック回帰曲線から次計画期間までのスイッチ率(契約変更率)を算出し、算出したスイッチ率を基に、将来計画期間での各料金メニューの選択割合を推定することができる。例えば、当該推定部1812は、需要カテゴリに区分された集合としての需要家のうちxパーセントが、月y円の支払額の違いがあると他の料金メニューに契約を変更する(他社が提示している料金メニューへの変更の場合は「離反」)という推定を行うことができる。なお、ここでは「割合」として確定的に扱われるが、個々人をみて、変更の「可能性」と確率的に扱われてもよい。
販売収入算出部1813は、該支払額に基づく需要カテゴリ毎の販売収入を算出する。具体的には、販売収入算出部1813は、変更前の支払額及び変更後の支払額のそれぞれの販売収入を算出する。より具体的には、例えば、通常は、料金単価検索部1815による後述の処理により料金単価の変更案が作られた後に、販売収入算出部1813は、各々の販売収入を算出する処理(さらに、例えば、それらの販売収入を比較可能に可視化する処理)を行う。
料金メニュー別契約割合制約条件入力部1814は、需要カテゴリの料金メニュー別契約割合の増減率(料金メニュー別契約割合の制約条件の一例)を指定する。
料金単価検索部1815は、指定された増減率を基に、契約割合もしくは契約件数が所定の値となる料金単価を決定する。なお、料金単価は、例えば、ロジスティック回帰曲線から決定される。例えば、増減率が、(数4)のロジスティック回帰曲線に従うものと仮定される。増減率Yは、価格差(料金メニュー値差推定量)Xと係数a,b,cとを用いて算出される。係数a,b,cは過去のデータからロジスティック回帰の推定処理により決定するようにしてもよい。
なお、上述した機能1811~1815およびテーブル1821~1822は、記憶装置40に格納される。
<<第8の実施形態>>
図19は、本発明の第8の実施形態に係わる管理装置の機能の構成を示すブロック図である。
管理装置1901は、買収価値の評価装置として機能できる。例えば、シナリオ管理部1911、および、需要もしくは供給源の追加効果試算部1912を備える。なお、「買収」の対象は、下記のうちの少なくとも1つ、
・需要への販売権、
・発電システムから供給を受ける権利(購入権)、もしくは発電システムそのもの、及び、
・その他マーケットBで扱っている商品(送電権、燃料、ネガワットの利用権)の購入権および販売権、
でよい。買収の対象は、会社(例えば新電力会社)であってもよく、会社の買収によって、販売権や購入権の獲得が可能である。また、「シナリオ」は、将来シナリオと同義でよい。ただし、本実施形態では、将来シナリオの候補の生成が前述の実施形態とは異なる。具体的には、買収により増える需要、買収により増える供給源の量が加算される(前述の実施形態は、気温があがったから需要が増えるという、コントロールされない現象のシナリオであり、本実施形態のシナリオは、コントロール(買収)したときのシナリオである)。
シナリオ管理部1911は、第1のシナリオ(指定されたシナリオ)を用いた収支予測スプレッドと、第2のシナリオ(第1のシナリオの需要と供給の値に、所定の需要カテゴリの需要の値、もしくは、所定の供給カテゴリの供給の値を加算あるいは変更したシナリオ)を用いた収支予測スプレッドとを算出する。なお、シナリオに関する情報(例えば、シナリオの需要と供給の値)は、例えば、シナリオごとの情報を格納するシナリオテーブル1921に格納されている。所定の需要カテゴリの需要の値、もしくは、供給の値は、例えば、需要カテゴリテーブル1621に格納されている。シナリオ管理部1911は、テーブル1921および1621を基に、第1のシナリオを用いた収支予測スプレッドと、第2のシナリオを用いた収支予測スプレッドとを算出できる。また、「供給カテゴリ」とは、供給源の区分単位(属性の分類による区分単位)である。同一の「供給カテゴリ」に含まれる供給源は、発電燃料種類、容量、発電時間帯、設置地点、卸電力取引を行うとき商品種類といった属性のいずれかが同一の供給源である。
需要もしくは供給源の追加効果試算部1912が、第1のシナリオを用いた収支予測スプレッドと、第2のシナリオを用いた収支予測スプレッドとを比較表示する。
なお、上述した機能1911~1912およびテーブル1921は、記憶装置40に格納される。
<<第9の実施形態>>
第5~第8の実施形態(第1~第4の実施形態の少なくとも1つを含んでもよい)の総括に相当する。当該総括は、上述の説明に無い事項を含んでもよい。
管理装置のプロセッサ部は、図22、図29、図33、図37、図43、図47及び図53に例示する画面(例えばGUI(Graphical User Interface))を表示する。具体的には、例えば、管理装置のプロセッサ部は、下記
STEP1:需要家グルーピング及び収益化構造見える化、
STEP2:料金約款の策定、
STEP3:電源構成の策定、及び、
STEP4:週間計画の作成(期間は、週に限らないでもよい)、
といったステップを行う又は支援する。これらの画面に表示される情報は、管理装置が管理する情報のうちの少なくとも一部を基に表示される。すなわち、これらの画面に表示される情報は、例えば、管理装置における記憶部(例えばメモリ部)に格納されており、当該情報を基に、下記の画面に情報が表示される。
管理装置のプロセッサ部は、STEP1について、図22に例示する画面2200を表示する。具体的には、図22は、料金収益シミュレータ画面2200の全体構成を示す。当該画面2200に、それぞれ、図23~図28が示す情報部分2201~2206が表示される。具体的には、下記の通りである。
(図23:情報部分2201)収集した需要の時系列データを、需要カテゴリに分類する処理の結果を出力する(左上の「需要家のグルーピング」の表示部)。
(図24:情報部分2202)需要カテゴリ毎に、収支、供給コスト、販売収入の算出結果を出力する(左下「収益評価」の表示部)。
(図25:情報部分2203)販売収入に関わる料金単価の値の入力を行う、また入力された料金単価の表示を行う。料金単価は料金メニュー名を指定して保存される(画面中央上段)。料金メニューには、加入できる需要家の条件や、加入できる需要カテゴリの属性の指定を付加して保存する。(画面中央中段)。これらは料金メニュー設定の入力と表示である。(画面中央部上半分)。
(図26:情報部分2204)供給コストにかかる試算条件を設定する。(画面中央下段、「発電/調達原価設定」の入出力部)。ここでは、供給する電力での、自社発電機の発電の割合、相対で契約している発電システムから発電の割合、各々の市場からの市場調達の割合(スポット市場の割合、時間前市場の割合)のデフォルト値の入力を受付、入力結果を表示する。各々の発電原価と市場の約定価格の想定値は、図示されていないデータベースに保存されている。
(図27:情報部分2205)上記の(3)の料金メニューは、料金メニュー名称、料金単価(基本料金と従量料金)、加入条件として表示される(画面右上「料金メニュー表示」の表示部)。料金単価のうち、時間毎に異なる単価(従量料金の時間帯別単価)は、時間帯を良い軸に、単価の値を縦軸にしたグラフとして表示される。
(図28:情報部分2206)供給コストにかかる試算条件について、所定期間(例えば1年間)の時系列の値を表示する画面右下「発電/調達原価表示」の表示部)。
管理装置のプロセッサ部は、STEP2について、実行に関し、図29に例示する画面2900を表示する。具体的には、図29は、料金約款策定画面2900の全体構成を示す。当該画面2900に、それぞれ、図30~図32が示す情報部分2901~2903が表示される。具体的には、下記の通りである。
(図30:情報部分2901)料金単価は、ユーザから入力された値にかわり、指定される条件を満たす料金単価の検索を行う(図30の実行ボタンを印加することで検索が実行される)。料金単価の検索条件は、将来シナリオ(需要想定値と需要想定値の変動)、需要家の各々が契約している料金メニューの値(お客さま属性)、電源(調達)の時間別割合、図示されていないデータベースから読み込むことで指定されえる。また、料金単価の検索で、特定の需要カテゴリ(画面例では「需要グループ」と表示)に関わる収支やコストを最小化したり、収支やコストの変動を最小化するオプションを指定できる。(以上、図29画面左「条件設定」の入出力部)。
(図32:情報部分2903の上)電力の調達の想定値と販売の想定値は、データベースから読み込まれ横軸を時間(四半期や、1年の期間で表示)、縦軸の上半分を調達量(電源や市場からの調達電力の割合を各受渡し時間毎に棒グラフで表示)、下半分に対応する各受渡し時間での供給量(自社の需要家への販売と、市場への販売の量)を棒グラフで表示する(図29右上「電源構成」の表示部)。
(図31:情報部分2901、及び、図32:情報部分2903の下)検索された、検索条件を満たす料金単価は、「料金約款」の表示部(図29画面中央)に表示される。検索された料金単価での、収支、販売収入、供給コストは、需要カテゴリ別に表示される。(図29右下「グループ別収支評価」の表示部)。
図30の結果保存のボタンを印加することで、検索条件を指定して検索を実行した後、検索結果を保存する。保存結果の各々は、「シミュレーション結果」の画面3300(図33)に転記される。図33に示す画面3300は、例えば、シミュレーション結果1~3を示す情報部分3301~3303(図34~図36)を表示する。
管理装置のプロセッサ部は、STEP3について、実行に関し、図37に例示する画面3700を表示する。具体的には、図37は、電源構成策定画面3700の全体構成を示す。当該画面3700に、それぞれ、図38~図42が示す情報部分3701~3705が表示される。具体的には、下記の通りである。
(図38:情報部分3701)電源構成(発電/調達原価設定の条件となる、各受渡し時間での、発電と市場調達の供給源に関する割合)を検索する条件を入力する。検索条件としては、発電の総コストを最小化するか、販売と供給による収支を最大化するかを指定できる。また、特定の需要カテゴリのコストを低減する指定ができる(他の実施形態としてコスト変動を抑える指定をするチェックブックスを設けてもよい)。また検索条件として、発電機のコスト特性(時間当たりの燃料費)、需要の想定値、市場価格の想定値、料金約款(料金単価)(例えば図41の情報部分3704を利用)を指定してデータベースより読み込む(図37左側「条件設定」の入出力部)。
(図39:情報部分3702)読み込んだ検索条件に関する数値(需要、市場価格、燃料費)と、データベースに格納された将来や過去の再エネ量を、表示する(図37中央上段「中期想定値」)。
(図40:情報部分3703)図38の「実行」ボタンを印加することで、検索された結果の電源構成と、その供給(販売)は、横軸を時間(四半期や、1年の期間で表示)、縦軸の上半分を調達量(電源や市場からの調達電力の割合を各受渡し時間毎に棒グラフで表示)、下半分に対応する各受渡し時間での供給量(自社の需要家への販売と、市場への販売の量)を棒グラフで表示する(図37中央下段「電源構成」の表示部)。
(図42:情報部分3705)検索結果での、需要カテゴリ別の販売収入(「料金収入」)、コスト(「発電調達コスト」)、収支(「利益」)を出力する。(図37右下「グループ別収支評価」表示部)。
各々検索結果は、図38の結果保存ボタンを印加されると、データベースに保存され、電源構成策定のシミュレーション結果の画面4300(図43)に転記される。図43に示す画面4300は、例えば、シミュレーション結果1~3を示す情報部分4301~4303(図44~図46)を表示する。
管理装置のプロセッサ部は、STEP4について、実行に関し、図47に例示する画面4700を表示する。具体的には、図47は、週間計画策定画面4700の全体構成を示す。当該画面4700に、それぞれ、図48~図52が示す情報部分4701~4705が表示される。具体的には、下記の通りである。
(図48:情報部分4701)料金単価(料金メニュー)と電源構成を検索し、ユーザが選択する入力を受け付け(図示されていない画面にて処理)、この条件のもとで、一週間の電力取引を計画する。電源構成の選択は、どの検索条件による検索(図37、図43にて実行)がユーザにとって望ましいのであるのかが入力されている。指定されている検索条件は、「計画目的設定」のチェックボックスのデフォルト値として、週間計画策定の画面に転記されている(図47右中央)。
(図48:情報部分4701)週間計画で用いる、発電機特性、需要の予測値(週間気象予報をもとに随時再作成されてデータベースに格納されている)、市場価格の予測値を読み込み指定する、(ほかデータベースには再エネ発電量の予測値が、気象予報の更新にあわせて随時更新され格納されていて、週間系策策定のために読み込まれている)。(図47左側)。
(図49:情報部分4702)読み込んだ検索条件に関する数値(需要、市場価格、燃料費)と、データベースに格納されている将来や過去の再エネ量を、表示する(図47中央上段「週間予測値」)。
(図50:情報部分4703)図48の「実行」ボタンを印加することで、検索された週間電源構成の結果とその供給(販売)は、横軸を時間(四半期や、1年の期間で表示)、縦軸の上半分を調達量(電源や市場からの調達電力の割合を各受渡し時間毎に棒グラフで表示)、下半分に対応する各受渡し時間での供給量(自社の需要家への販売と、市場への販売の量)を棒グラフで表示する(図47中央下段「週間計画」の表示部)。
(図52:情報部分4705)検索結果での、需要カテゴリ別の販売収入(「料金収入」)、コスト(「発電調達コスト」)、収支(「利益」)を出力する。(図47右下「グループ別収支評価」表示部)。
各々検索結果は、図48の結果保存ボタンを印加されると、データベースに保存され、電源構成策定のシミュレーション結果の画面5300(図53)に転記される。図53に示す画面5300は、例えば、シミュレーション結果1~3を示す情報部分5301~5303(図54~図56)を表示する。
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。