JP7321239B2 - 表面保護フィルム - Google Patents
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Description
また、本発明は、液晶ディスプレイの製造工程に利用される表面保護フィルムに関するものである。さらに詳しくは、液晶ディスプレイを構成する偏光板、位相差板、反射防止フィルムなどの光学部材の表面に貼着することにより、偏光板、位相差板、反射防止フィルムなどの光学部材の表面を保護するために使用される表面保護フィルムに関するものである。
また、偏光板、位相差板、反射防止フィルムなどの光学部材は、表面保護フィルムを貼り合わされた状態で、液晶表示板の表示能力、色相、コントラスト、異物混入などの光学的評価を伴う製品検査を行うため、表面保護フィルムに対する要求性能としては、粘着剤層に気泡や異物が付着していないことが求められている。
また、近年では、偏光板、位相差板、反射防止フィルムなどの光学部材から表面保護フィルムを剥がすときに、粘着剤層を被着体が剥がす時に発生する静電気に伴って生じる剥離帯電が、液晶ディスプレイの電気制御回路の故障に影響することが懸念され、粘着剤層に対して優れた帯電防止性能が求められている。
また、偏光板、位相差板、反射防止フィルムなどの光学部材に表面保護フィルムを貼り合わせるときには、各種の理由により、一旦、表面保護フィルムを剥がして、再度、表面保護フィルムを貼り直すことがあり、そのときに被着体の光学部材から剥がし易いこと(リワーク性)が求められている。
また、このとき、被着体を汚染しないこと、いわゆる糊残りが起こらないことが求められている。
また、最終的に偏光板、位相差板、反射防止フィルムなどの光学部材から表面保護フィルムを剥がすときには、速やかに剥離できることが求められている。いわゆる、高速度での剥離によっても、速やかに剥離できるように、粘着力が剥離速度によっても変化が少ないことが求められている。
しかし、表面保護フィルムを構成する粘着剤層に対する要求性能である、これら(1)~(4)のそれぞれ、個々の要求性能を満たすことは出来ても、表面保護フィルムの粘着剤層に求められる(1)~(4)の全ての要求性能を、同時に満たすことは非常に困難な課題であった。
本明細書において、「低速度領域」とは、剥離速度が0.3m/min付近のことを指し、「高速度領域」とは、剥離速度が30m/min付近のことを指す。
また、上記と同様の共重合体に(メタ)アクリル酸アルキルエステルとカルボキシル基含有の共重合性化合物との共重合体を少量配合し、これを架橋剤で架橋処理した粘着剤層を設けたものなどが提案されている。しかし、これらは、表面張力が低くて表面が平滑なプラスチック板などの表面保護に使用すると、加工時や保存時の加熱により浮きなどの剥離現象を生じるという問題や、手作業領域である高速度で剥離した時に、再剥離性が劣るという問題もあった。
特許文献2に記載の粘着剤組成物では、加工時や保存時において、浮きなどの剥離現象を生じることがなく、その上、接着力が経時に大きく上昇しないで、再剥離性に優れているとしている。また、長期保存、特に高温雰囲気下で長期保存しても小さな力で再剥離でき、その際、被着体上に糊残りを生じず、また高速度で剥離を行ったときでも小さな力で再剥離できるとしている。
また、近年では、このような帯電防止剤を基材フィルムに含有させたり、あるいは基材フィルムの表面に塗布するのではなく、直接に粘着剤層に含有させたりすることが提案されている。
特許文献4では、アルキル基の炭素数が2~12程度のアクリル酸アルキルエステルやアルキル基の炭素数が4~12程度のメタクリル酸アルキルエステル等を主モノマー成分とし、例えば、カルボキシル基含有モノマーなどの他の官能基含有モノマー成分を含むことができるとしている。一般的には、上記主モノマーを50重量%以上含有させることが好ましい、又、官能基含有モノマー成分の含有量は0.001~50重量%であって、好ましくは0.001~25重量%、更に好ましくは0.01~25重量%であることが望まれる、としている。このような特許文献4に記載の粘着剤組成物は、高温下又は高温高湿下でも凝集力及び接着力の経時変化が小さく、かつ、曲面に対する接着力にも優れた効果を示すことから、リワーク性を有するとしている。
一般に、粘着剤層を柔らかい性状のものにすると、糊残りが発生し易くなり、リワーク性が低下しやすい。すなわち、誤って貼合したときに剥離し難く、貼り直しが困難となり易い。このことから、カルボキシル基などの官能基を有するモノマーを主剤に架橋させて、粘着剤層を一定の硬さにすることが、リワーク性を持たせるためには必要と考えられる。
さらに、近年では、粘着剤を樹脂フィルムに塗工して粘着剤層を形成した後に、外部応力により該粘着剤層に凹み等の欠点が生じることが問題とされている。このことから、粘着剤層に対する要求性能として、上記の4つに加えて、さらに、(5)外部応力による凹み等の欠点の発生を防止することが求められている。
本発明の粘着剤組成物は、帯電防止剤及び(メタ)アクリル系ポリマーを含有する粘着剤組成物であって、前記(メタ)アクリル系ポリマーの100重量部に対する配合量として、炭素数が4~10のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを55~97.5重量部と、炭素数が14~18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを1~30重量部と、ヒドロキシル基含有の共重合性モノマーを0.1~15重量部と、カルボキシル基含有の共重合性モノマーを0.1~2重量部と、を共重合させた、前記(メタ)アクリル系ポリマーの100重量部と、架橋剤を0.1~5重量部と、を含有し、前記(メタ)アクリル系ポリマーの酸価が0.01~8.0であり、前記帯電防止剤が融点30~50℃のイオン性化合物であることを特徴とする。
前記(メタ)アクリル系ポリマーの100重量部に対して、炭素数が4~10のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを55~97.5重量部含有することが好ましい。
前記(メタ)アクリル系ポリマーの100重量部に対して、炭素数が14~18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを1~30重量部含有することが好ましい。
8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N-ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドからなる化合物群から選択された、少なくとも1種以上であることが好ましい。
前記(メタ)アクリル系ポリマーの100重量部に対して、ヒドロキシル基含有の共重合性モノマーを0.1~15重量部含有することが好ましい。
前記(メタ)アクリル系ポリマーの100重量部に対して、カルボキシル基含有の共重合性モノマーを0.1~2重量部含有することが好ましい。
架橋剤としては、2官能または3官能以上のイソシアネート化合物、2官能または3官能以上のエポキシ化合物、2官能または3官能以上のアクリレート化合物、金属キレート化合物などが挙げられる。なかでも、ポリイソシアネート化合物(2官能または3官能以上のイソシアネート化合物)が好ましく、3官能以上のイソシアネート化合物がより好ましい。
前記(メタ)アクリル系ポリマーの100重量部に対して、架橋剤を0.1~5重量部含有することが好ましい。
3官能以上のイソシアネート化合物としては、ジイソシアネート類(1分子中に2個のNCO基を有する化合物)のビュレット変性体やイソシアヌレート変性体、トリメチロールプロパン(TMP)やグリセリン等の3価以上のポリオール(1分子中に少なくとも3個以上のOH基を有する化合物)とのアダクト体(ポリオール変性体)などが挙げられる。
これらの帯電防止剤は、融点が低いため、また、長鎖のアルキル基を有するため、(メタ)アクリル系ポリマーとの親和性が高いと推測される。
融点が30~50℃のイオン性化合物である帯電防止剤は、前記(メタ)アクリル系ポリマーの100重量部に対して、0.1~5.0重量部含まれることが好ましい。
前記アクリロイル基含有の4級アンモニウム塩型イオン性化合物は、前記(メタ)アクリル系ポリマー中に0.1~5.0重量%共重合されることが好ましい。
また、前記アクリロイル基含有の4級アンモニウム塩型イオン性化合物の具体例としては、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート 六フッ化リン酸メチル塩〔(CH3)3N+CH2OCOCQ=CH2・PF6 -、ただし、Q=HまたはCH3〕、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドメチル塩〔(CH3)3N+(CH2)2OCOCQ=CH2・(CF3SO2)2N-、ただし、Q=HまたはCH3〕、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート ビス(フルオロスルホニル)イミドメチル塩〔(CH3)3N+CH2OCOCQ=CH2・(FSO2)2N-、ただし、Q=HまたはCH3〕等が挙げられる。
前記ポリエーテル変性シロキサン化合物の分子量は、重量平均分子量(Mw)で、10000以下であることが好ましい。アクリル系粘着剤への相溶性の観点からは、HLBが低く、分子量が低い方が相溶性は良好であるが、分子量が低いポリエーテル変性シロキサン化合物であれば、HLBが比較的高く(粘着剤への相溶性がやや低く)ても、優れた帯電防止性が得られる。
また、前記(メタ)アクリル系ポリマーの100重量部に対して、前記ポリエーテル変性シロキサン化合物が0.01~0.5重量部含まれることが好ましい。
HLBとは、例えばJIS K3211(界面活性剤用語)等に規定する親水親油バランス(親水性親油性比)である。
ポリエーテル変性シロキサン化合物は、例えば、水素化ケイ素基を有するポリオルガノシロキサン主鎖に対し、不飽和結合及びポリオキシアルキレン基を有する有機化合物をヒドロシリル化反応によりグラフトさせることによって得ることができる。具体的には、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン重合体等が挙げられる。
前記ポリエーテル変性シロキサン化合物を粘着剤組成物に配合することにより、粘着剤の粘着力及びリワーク性能を改善することができる。
また、前記ポリエーテル変性シロキサン化合物は、融点が30~50℃のイオン性化合物である帯電防止剤と併用することによって、帯電防止補助剤として機能する。
前記架橋遅延剤は、ケトエノール互変異性化合物であるのが好ましく、特にアセチルアセトン、アセト酢酸エチルからなる化合物群の中から選択された、少なくとも1種以上であることが好ましい。
前記架橋遅延剤は、添加する場合、前記(メタ)アクリル系ポリマーの100重量部に対して、1.0~5.0重量部含まれることが好ましい。
第三級アミンとしては、トリアルキルアミン、N,N,N’,N’-テトラアルキルジアミン、N,N-ジアルキルアミノアルコール、トリエチレンジアミン、モルホリン誘導体、ピペラジン誘導体等が挙げられる。
有機錫化合物としては、ジアルキル錫オキシドや、ジアルキル錫の脂肪酸塩、第1錫の脂肪酸塩等が挙げられる。
前記架橋触媒は、有機錫化合物であるのが好ましく、特にジオクチル錫オキシド、ジオクチル錫ジラウレートからなる化合物群の中から選択された、少なくとも1種以上であることが好ましい。
前記架橋触媒は、添加する場合、前記(メタ)アクリル系ポリマーの100重量部に対して、0.01~0.5重量部含まれることが好ましい。
ポリアルキレングリコールの誘導体としては、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルやポリオキシアルキレンジアルキルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンモノアルケニルエーテルやポリオキシアルキレンジアルケニルエーテル等のポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレンモノアリールエーテルやポリオキシアルキレンジアリールエーテル等のポリオキシアルキレンアリールエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレングリコールモノ脂肪酸エステルやポリオキシアルキレングリコールジ脂肪酸エステル等のポリオキシアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、ポリオキシアルキレンジアミンなどが挙げられる。
ここで、ポリアルキレングリコール誘導体におけるアルキルエーテルとしては、メチルエーテルやエチルエーテル等の低級アルキルエーテル、ラウリルエーテルやステアリルエーテル等の高級アルキルエーテルが挙げられる。ポリアルキレングリコール誘導体におけるアルケニルエーテルとしては、ビニルエーテル、アリルエーテル、オレイルエーテル等が挙げられる。また、ポリアルキレングリコール誘導体における脂肪酸エステルとしては、酢酸エステルやステアリン酸エステル等の飽和脂肪酸エステル、(メタ)アクリル酸エステルやオレイン酸エステル等の不飽和脂肪酸エステルが挙げられる。
ポリエーテル化合物が、エチレンオキシド基を含有する化合物であることが好ましく、ポリエチレンオキシド基を含有する化合物であることが好ましい。
(メタ)アクリル系ポリマーには、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルモノマー、水酸基を含有しない窒素含有ビニルモノマー、アルコキシ基含有アルキル(メタ)アクリレートモノマー、アクリロイル基含有の4級アンモニウム塩型イオン性化合物等の他のモノマーを共重合させてもよい。
本発明の粘着剤組成物は、上記の(メタ)アクリル系ポリマーに、架橋剤、帯電防止剤、さらに適宜任意の添加剤を配合することで調製することができる。
ここで、「酸価」とは、酸の含有量を表す指標の一つであり、カルボキシル基を含有するポリマー1gを中和するのに要する、水酸化カリウムのmg数で表される。
基材フィルムには、樹脂フィルムの粘着剤層が形成された側とは反対面に、シリコーン系、フッ素系の離型剤やコート剤、シリカ微粒子等による防汚処理、帯電防止剤の塗布や練り込み等による帯電防止処理を施すことができる。
剥離フィルムには、粘着剤層の粘着面と合わされる側の面に、シリコーン系、フッ素系の離型剤などにより離型処理が施される。
偏光板や位相差フィルムなどの各種光学フィルムを、液晶セルなどの光学部品及び他の光学フィルムに貼り合せる、粘着フィルムの粘着剤層は、十分な透明性を有することが好ましい。また、偏光板用の表面保護フィルムなどの光学用の表面保護フィルムの場合は、基材フィルム及び粘着剤層は、十分な透明性を有することが好ましい。
この場合、本発明の粘着フィルムは、偏光板とディスプレイパネルの貼り合わせに用いることができる。ディスプレイパネルとしては液晶表示装置や有機EL等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、本発明の粘着フィルムは、偏光板を構成する材料の貼り合わせ用粘着フィルム、偏光板を主とする液晶表示装置の周辺部材用の各種光学フィルム、タッチパネル用フィルム、電子ペーパー用フィルム、有機EL用フィルム等に用いることができる。
例えば、「光学フィルム/粘着剤層/離型フィルム」のように、離型フィルムで保護された粘着剤層を有する場合、離型フィルムを剥がして、「光学フィルム/粘着剤層」のように粘着剤層を露出させ、他の光学フィルムと貼合することにより、粘着剤層が層間の貼合に用いられた「光学フィルム/粘着剤層/光学フィルム」のような構成が得られる。
[実施例1]
撹拌機、温度計、還流冷却器及び窒素導入管を備えた反応装置に、窒素ガスを導入して、反応装置内の空気を窒素ガスで置換した。その後、反応装置に2-エチルヘキシルアクリレート80重量部、イソミリスチルアクリレート10重量部、8-ヒドロキシオクチルアクリレート8.5重量部、アクリル酸1.5重量部とともに溶剤(酢酸エチル)を60重量部加えた。その後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を2時間かけて滴下させ、65℃で6時間反応させ、重量平均分子量50万の、実施例1に用いる(メタ)アクリル系ポリマー溶液1を得た。(メタ)アクリル系ポリマーの一部を採取し、後述する酸価の測定試料として用いた。
[実施例2~6及び比較例1~3]
単量体の組成を各々、表1,2の(A)~(D)の記載のようにする以外は、上記の実施例1に用いる(メタ)アクリル系ポリマー溶液1と同様にして、実施例2~6及び比較例1~3に用いる(メタ)アクリル系ポリマー溶液を得た。
なお、表1,2において(A)は、炭素数が4~10のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートであり、(B)は、炭素数が14~18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートであり、(C)は、ヒドロキシル基含有の共重合性モノマーであり、(D)は、カルボキシル基含有の共重合性モノマーである。
[実施例1]
上記のとおり製造した実施例1の(メタ)アクリル系ポリマー溶液1に対して、1-オクチルピリジニウム ドデシルベンゼンスルホン酸塩2.0重量部、HLBが7のポリエーテル変性シロキサン化合物(重量平均分子量Mwは10000)0.1重量部を加え撹拌したのち、コロネートHX(ヘキサメチレンジイソシアネート化合物のイソシアヌレート体)1.0重量部を加えて撹拌混合して実施例1の粘着剤組成物を得た。この粘着剤組成物をシリコーン樹脂コートされたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムからなる剥離フィルムの上に塗布後、90℃で乾燥することによって溶剤を除去し、粘着剤層の厚さが25μmである粘着シートを得た。
その後、一方の面に帯電防止及び防汚処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの帯電防止及び防汚処理された面とは反対の面に粘着シートを転写させ、「帯電防止及び防汚処理されたPETフィルム/粘着剤層/剥離フィルム(シリコーン樹脂コートされたPETフィルム)」の積層構成を有する実施例1の表面保護フィルムを得た。
[実施例2~6及び比較例1~3]
添加剤の組成を各々、表1,2の(E)~(G)の記載のようにする以外は、上記の実施例1の表面保護フィルムと同様にして、実施例2~6及び比較例1~3の表面保護フィルムを得た。
なお、表1,2において、(E)は、架橋剤であり、(F)は、帯電防止剤であり、(G)は、ポリエーテル変性シロキサン化合物である。
また、表1に用いた各成分の略記号の化合物名を、表2に示す。なお、コロネート(登録商標)HX、同HL及び同Lは日本ポリウレタン工業株式会社の商品名であり、タケネート(登録商標)D-140N、D-127N、D-110Nは三井化学株式会社の商品名である。
実施例1~6及び比較例1~3における表面保護フィルムを23℃、50%RHの雰囲気下で7日間エージングした後、剥離フィルム(シリコーン樹脂コートされたPETフィルム)を剥がして、粘着剤層を表出させたものを、表面抵抗率の測定試料とした。
さらに、この粘着剤層を表出させた表面保護フィルムを、粘着剤層を介して液晶セルに貼られた偏光板の表面に貼り合わせ、1日放置した後、50℃、5気圧、20分間オートクレーブ処理し、室温でさらに12時間放置したものを、粘着力、剥離帯電圧、リワーク性、及び耐久性の測定試料とした。
(メタ)アクリル系ポリマーの酸価は、試料を溶剤(ジエチルエーテルとエタノールを体積比2:1で混合したもの)に溶かし、電位差自動滴定装置(京都電子工業製、AT-610)を用いて、0.1上記電位差滴定装置を用い、濃度が約0.1mol/lの水酸化カリウムエタノール溶液で電位差滴定を行い、試料を中和するために必要な水酸化カリウムエタノール溶液の量を測定した。そして、下記式より、酸価を求めた。
酸価=(B×f×5.611)/S
B=滴定に用いた0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液の量(ml)
f=0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液のファクター
S=試料の固形分の質量(g)
上記で得られた測定試料(25mm幅の表面保護フィルムを偏光板の表面に貼り合わせたもの)を180°方向に引張試験機を用いて低速度領域の剥離速度(0.3m/min)及び高速度領域の剥離速度(30m/min)において剥がして測定した剥離強度を粘着力とした。
エージングした後、偏光板に貼り合わせる前に、剥離フィルム(シリコーン樹脂コートされたPETフィルム)を剥がして粘着剤層を表出し、抵抗率計ハイレスタUP-HT450(三菱化学アナリテック製)を用いて粘着剤層の表面抵抗率を測定した。
上記で得られた測定試料を30m/minの引張速度で180°剥離した際に偏光板が帯電して発生する電圧(帯電圧)を高精度静電気センサSK-035、SK-200(株式会社キーエンス製)を用いて測定し、測定値の最大値を剥離帯電圧とした。
上記で得られた測定試料の表面保護フィルムの上をボールペンで(荷重500g、3往復)なぞった後、偏光板から表面保護フィルムを剥離して偏光板の表面を観察し、偏光板に汚染移行の無いことを確認した。評価目標基準は、偏光板に汚染移行の無い場合を「○」、ボールペンでなぞった軌跡に沿って少なくとも一部に汚染移行が確認された場合を「△」、ボールペンでなぞった軌跡に沿って汚染移行が確認され、粘着剤表面からも粘着剤の離脱が確認された場合を「×」と評価した。
上記で得られた測定試料を60℃、90%RHの雰囲気下に250時間放置後、室温に取り出し、さらに12時間放置した後、粘着力を測定して初期の粘着力と比較して明らかな増加が無いことを確認した。評価目標基準は、試験後の粘着力が初期粘着力の1.5倍以下である場合を「○」、1.5倍を超えた場合を「×」と評価した。
表面がアンチグレア処理された偏光板の表面に、2.5cm幅×5cm長さの測定試料の一端のみ接触させて、測定試料の全体が偏光板の表面に均一に濡れて密着するまでの時間を測定した。評価目標基準は、全体が均一に濡れるまでの時間が15秒未満の場合を「○」、全体が均一に濡れるまでの時間が15秒以上30秒未満の場合を「△」、全体が均一に濡れるまでの時間が30秒以上の場合を「×」と評価した。
測定試料の表面に、5cm×5cm内に100個の突起のあるデント試験治具を載せ、1kgの荷重をかけて1日放置後、5cm×5cmの測定試料を偏光板に貼合して、貼合後測定試料の表面の凹みに由来する、貼合不良欠点(気泡)の数を測定した。評価目標基準は、欠点の個数が0~5個の場合を「○」、欠点の個数が6~10個の場合を「△」、欠点の個数が11個以上の場合を「×」と評価した。
すなわち、本願発明に係わる表面保護フィルムは、(1)低速度領域、及び高速度領域の剥離速度において、粘着力のバランスを取ること、(2)糊残りの発生を防止すること、(3)優れた帯電防止性能を有すること、(4)リワーク性能を有すること、及び(5)外部応力による凹み等の欠点の発生を防止すること、からなる粘着剤層に対して求められる5つの要求性能を、全て同時に満たしている。
比較例2の表面保護フィルムは、帯電防止剤を含まないため、表面抵抗率と剥離帯電圧が高い。また、炭素数が14~18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを含まず、ヒドロキシル基含有の共重合性モノマーが過多であるためか、耐久性にやや劣っていた。また、ウエット性とデント試験の結果が悪かった。
比較例3の表面保護フィルムは、炭素数が14~18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを含まず、カルボキシル基含有の共重合性モノマーを含まないためか、表面抵抗率と剥離帯電圧が高く、リワーク性がやや劣っていた。また、デント試験の結果が悪かった。
このように、比較例1~3の表面保護フィルムでは、(1)低速度領域、及び高速度領域の剥離速度において、粘着力のバランスを取ること、(2)糊残りの発生を防止すること、(3)優れた帯電防止性能を有すること、(4)リワーク性能を有すること、及び(5)外部応力による凹み等の欠点の発生を防止すること、からなる粘着剤層に対して求められる5つの要求性能を、全て同時に満たすことができなかった。
Claims (2)
- (メタ)アクリル系ポリマーと、帯電防止剤と、架橋剤とを含有する粘着剤組成物を架橋させた粘着剤層が、樹脂フィルムの片面に形成されてなる表面保護フィルムであって、
前記(メタ)アクリル系ポリマーが、前記(メタ)アクリル系ポリマーの100重量部に対して、
(A)炭素数が4~10のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートの少なくとも1種以上を55~97.5重量部と、(B)炭素数が14~18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートの少なくとも1種以上を1~30重量部と、
(C)ヒドロキシル基含有の共重合性モノマーを0.1~15重量部と、
(D)カルボキシル基含有の共重合性モノマーを0.1~2重量部と、
を共重合させた共重合体からなり、
前記(メタ)アクリル系ポリマーの100重量部に対して、前記架橋剤を0.1~5重量部の割合で含有してなり、前記(メタ)アクリル系ポリマーの酸価が0.01~8.0であり、
前記粘着剤層の表面抵抗率が5.0×10+11Ω/□以下であり、剥離帯電圧が±0~0.5kVであることを特徴とする表面保護フィルム。 - 請求項1に記載の表面保護フィルムが用いられた、光学用の表面保護フィルム。
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