JP7319255B2 - 断層画像プロセス、コンピュータ読み取り可能記憶媒体、および断層画像システム - Google Patents

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Description

本願発明は、生物医学画像、特に断層画像システムおよび方法に関する。
原因の効果が既知のときはいつも電磁気(EM)内に逆問題が生じるが、原因自身は未知である。電磁気逆問題の目的は、観測した効果に従う原因のEM特性を見つけることである。対照的に、原因が既知である順問題において、所望されるのは対応する効果を計算することである。広範囲の電磁気逆問題において、例えば、地球物理学または生物医学イメージングにおいて、原因はしばしば対象物を電磁気的に記述する複合誘電率(比誘電率および導電率を含む)であるが、一方効果は対象物からの散乱電場であり、それは、画像アンテナによって検出され、当業者に“散乱パラメータ”または“Sパラメータ”と呼ばれるものに代表される(W. C. Chew, Waves and Fields in Inhomogeneous Media, IEEE Press, New York, 1995 (“Chew”)参照)。
順問題と逆問題との主な違いは、順問題が唯一の解を有するのに対して、逆問題は有効データが唯一の解を決定するのに不十分であるため、唯一の解を有しない点である。
例えば、ダイポールアンテナ(原因)が、あるポートインピーダンス、所与の構造および基板を有し、特定の動作周波数が自由空間内で電磁波を放射する場合、このアンテナによって自由空間内に形成されるひとつの可能場分布(効果)のみが存在する。しかし、この場分布(効果)が既知であり、所望されるのがこの場分布を生成したアンテナ(原因)の特性を見つけることであれば、理論的には、無限個の対応するアンテナが見つかる。
定量的EM逆問題(断層撮影法)の再構成画像は、しばしば荒く、回折効果のために不正確であり、それは、マイクロ波周波数(直線で伝搬するX線のような高い周波数と異なる)において顕著である。それにも関わらず、それが非侵襲的にドメインから再構成される際にはこれらの荒い画像は有用である。例えば、ブラックボックス(例えば、人間の頭部、地下鉱山など)の内部から画像を再構成する際、ブラックボックス内の複素誘電率の空間的分布を表す荒い画像を有することは、高い定量的正確さに対する要求よりもずっと重要である。この点は、不所望に時間を浪費し、静的で巨大、または、イオン化放射線を有するMRIまたはCTスキャンのような従来技術がポータブルではなく、交通事故やスポーツ事故または生存確率が概して時間に反比例する発作のような緊急シナリオにおいて現場で使用することができない生物医学的な場合により重要である。
逆問題において、興味あるドメインにわたる誘電率は、3次元(3D)積分方程式によって常に記述される。しかし、Chewの論文に記載されているように、これらの方程式は非常に複雑であり直接解くことは困難であるので、解法可能にするために2次元(2D)積分によって常に近似される。ドメインの誘電特性を表す2次元画像は、ボルン法、ヴァンデンバーグ法(異なるコントラストのソース反転)、または、勾配ベース法のいずれかを使って反復順逆計算処理を通じて再構成される。
電磁気的逆問題を解法する従来の方法の現状は、理想的ポイントソースとしての画像アンテナを表すこと、座標軸のひとつに沿った均質性を仮定すること、および、バックグラウンドマッチング媒体を使用することの要件を含む、深刻な限定に見舞われている。これらの限定は、あるレベルの正確さのエラーを有する2次元へ画像再構成を制限し、合理的な誘電特性を有する適切なバックグラウンド媒体を選択することに関連する製造上の問題を課す。付加的に、アンテナの相互結合および表面波を減少させるために、損失マッチング媒体がしばしば使用される。しかし、これもまた、10dB(すなわち、有用な信号の90%が損失する)以上だけ所望の信号を減衰させる。したがって、ダイナミックレンジおよび検出能力が有意に制限される。付加的に、これらの方法はまた不所望に時間がかかり、特に、画像再構成時間が、患者の経過にダイナミックな効果を有し、かつ、ある例において生と死との間の差を意味するところの発作や外傷患者などの緊急シナリオでの生物医学画像アプリケーションに対して特に時間がかかる。
したがって、従来技術のこれら一つ以上の困難を克服するかまたは緩和すること、または、少なくとも有用な代替を提供することが所望される。
本願発明のある態様において、断層画像処理プロセスが与えられ、当該プロセスは、
境界S上の物体の周りに配置された複数のアンテナから生じ、物体内部の特徴によって散乱される電磁波を表す散乱パラメータデータにアクセスする工程と、
物体内部の特徴の空間分布を表す再構成画像を生成するべく、散乱パラメータデータを処理する工程であって、当該処理は、電磁気逆問題を解法することであり、逆問題の順方向および逆方向ステップが、電場に対する値を決定するための電場に関連する各微分方程式として表されかつ解法されるところの工程と、
物体内部の一つ以上の電磁気特性の一つ以上の空間分布を表す再構成画像データを生成するべく、電場の決定値を処理する工程と
を有する。
逆工程は、以下の微分方程式および境界条件(BC)によって表されてよく、
Figure 0007319255000001
ここで、E1nおよびE2nは、境界S上に記録された散乱場E scatおよび入射場E inc(ここで、E=E inc+E scat)から導出された境界Sの両側での電場の2つの法線成分である。
順工程は、以下の式の微分方程式および境界条件(BC)により表されてよい。
Figure 0007319255000002
ある実施形態において、散乱パラメータデータを処理する工程は、複数の異なる散乱媒体に対する予め定められたトレーニングデータおよび物体の散乱パラメータデータを処理することにより、物体の誘電率値を推定することを含む。
ある実施形態において、予め定められたトレーニングデータは、それぞれ異なる誘電率値を有する異なるトレーニング散乱媒体によって散乱するための散乱パラメータの関数と、それぞれ異なる誘電率値との間の二次の関係を表す回帰係数を有する。
ある実施形態において、散乱パラメータの関数は以下の式に従うバリオグラムであり、
Figure 0007319255000003
ここで、hは、j番目の送信アンテナ位置とk番目の送信アンテナ位置との間の距離であり、SijはNこの周波数サンプルを使ってj番目のアンテナから送信されi番目のアンテナで受信した信号であり、N(h)は、観測ijおよび観測ikの対のセットを記述し、ここで|rij-rik|=hであり、|N(h)|はセット内のペアの数である。また、物体の誘電率値を推定する工程は、物体の散乱パラメータデータから対応するバリオグラムを生成することを含む。
ある実施形態において、当該プロセスは、i番目の受信機(数4)の視点からの有効誘電率を、(数5)と表すことを含み、
Figure 0007319255000004
Figure 0007319255000005
ここで、s={γ,h}、(数6)は、二次回帰関数ベクトルであり、(数7)は最小化エラーz(s)に対して計算されるべき回帰係数の7×1ベクトルである。
Figure 0007319255000006
Figure 0007319255000007
ある実施形態において、当該プロセスは、アンテナに対して、物体上へ電磁波を放射させるべく、物体の近くに配置された複数のアンテナを活性化する工程を含む。
ある実施形態において、当該プロセスは、物体内部の特徴によって散乱された電磁波を検出し、当該検出に基づいて散乱パラメータデータを生成する工程を含む。
ある実施形態において、物体内部の特徴によって散乱された電磁波はアンテナによって検出される。
ある実施形態において、当該プロセスは、散乱パラメータデータを処理する工程の前に物体の境界を決定する工程を含み、再構成画像は物体の決定された境界に基づいて生成される。
ある実施形態において、物体の境界は、アンテナからの物体の距離と、対応する反射係数との間の関係から決定される。
ある実施形態において、当該プロセスは、アンテナからの物体の距離と、それぞれの共鳴周波数との間の関係を決定する工程を含み、境界は、当該関係に基づいて決定される。
ある実施形態において、当該プロセスは、アンテナからの物体の距離と、散乱パラメータS11の各測定値との間の関係を決定するべく、ベクトルネットワークアナライザのポートキャリブレーション法を使用する工程を有し、境界は当該関係に基づいて決定される。
ある実施形態において、当該プロセスは、アンテナからの物体までの距離と、アンテナの入力インピーダンスとの間の関係を決定する工程を含み、境界は、当該関係に基づいて決定される。
ある実施形態において、当該プロセスは、物体の付近の周波数ドメイン反射係数を測定する工程、周波数ドメインの測定値を時間ドメインの測定値に変換するべく、周波数時間ドメイン変換を使用する工程、および、物体の境界を決定するべく時間ドメイン測定値を空間ドメインにマッピングするようアンテナのジオメトリを使用する工程を含む。
本願発明のある態様に従い、データ処理システムの少なくもひとつのプロセッサによって実行された際、少なくともひとつのプロセッサに上記したプロセスのいずれかを実行させるプロセッサ実行可能なインストラクションが格納されたコンピュータ読み取り可能記憶媒体が与えられる。
本願発明のある態様に従い、断層画像システムが与えられ、当該システムは、メモリおよび少なくともひとつのプロセッサを含むデータ処理コンポーネントを有し、少なくともひとつのプロセッサは、
境界S上で物体の周りに配置された複数のアンテナから生じ、物体内部の特徴によって散乱される電磁波を表す散乱パラメータにアクセスし、
物体内部の特徴の空間分布を表す再構成画像を生成するべく、散乱パラメータデータを処理し、その処理は、電磁気逆問題を解法することを含み、ここで、逆問題の順および逆工程は、電場に対する値を決定するための電場に関連する各微分方程式として表され、かつ、解法され、
物体内部の一つ以上の電磁気特性の一つ以上の空間分布を表す再構成画像データを生成するべく、電場の決定値を処理する、
ように構成されている。
逆工程は、以下の微分方程式および境界条件(BC)によって表されてよく、
Figure 0007319255000008
ここで、E1nおよびE2nは、境界S上で記録された散乱場E scatおよび入射場E inc(ここで、E=E inc+E scat)から導出された境界Sの両側での電場の2つの法線成分である。
順工程は、以下の微分方程式および境界条件(BC)によって表されてよい。
Figure 0007319255000009
ある実施形態において、少なくともひとつのプロセッサは、物体の近くに配置された複数のアンテナに、物体へ電磁波を放射させるようにさらに構成されている。
物体は、生物物体であってよい。物体は人間の頭部であってよい。システムおよびプロセスは、患者の脳内の出血領域のような負傷を画像化するように構成されてよい。
ここで説明するのは、患者、例えば、人体の内部特徴を画像化するように構成された断層画像システムおよびプロセスである。システムおよびプロセスは、患者の近くに配置された複数のアンテナ要素を有するアンテナから放出される電磁気放射線を使用してよく、患者に対して負傷を同定するべく画像を迅速に生成するように構成されてよい。システムは、脳損傷を画像化するように構成されてよく、例えば交通事故またはスポーツ事故などの事故現場への移送を容易にするポータブルシステムであってよい。システムおよびプロセスは、脳損傷の画像を迅速に生成するように構成されており、その結果、損傷は迅速に検出され、過度の遅延なく適切な治療が可能となる。
本願発明のいくつかの実施形態が、添付する図面を参照して例示的に説明される。
図1Aは、包囲する境界S上に配置された画像アンテナによって未知物体が画像化される、マイクロ波画像ドメイン(Ω)の略示斜視図である。 図1Bは、包囲する境界S上に配置された画像アンテナによって未知物体が画像化される、マイクロ波画像ドメイン(Ω)の略示平面図である。平面図は、方程式を解法可能にするために、積分ベースの逆方程式に対して要求される不可避的な近似を同定する。 図2は、式(1)および(11)によって表される微分フォーマットのEM逆問題を解法する断層画像プロセスのフローチャートである。最初の2つの開始工程の後、固定測定Sパラメータが方程式(11)の境界条件を画定するのに使用され、それが後続の反復中に不変のままであり、それは、FEMエラーの程度が予め定められた(許容可能な)値に達するまで続き、破線ループは反復ループを表し、(1)または(11)はそのFEM表現を示す。 図3は、画像化される物体と5mmから80mmの距離で離れて対向する際に、周波数の関数として画像アンテナの反射係数を示すグラフである。 図4は、対応する反射係数が最小であるところの周波数の関数として、アンテナと、画像化物体の境界(皮膚)との間の距離の関係を示すグラフである。 図5は、本願発明のある実施形態に従う断層画像プロセスのフローチャートである。 図6は、本願発明のある実施形態に従う断層画像システムのブロック図である。 図7は、脳の半球損傷領域を含む均質な人体頭部モデルの略示図であり、ダイポールアンテナアレイによって画像化され、誘電特性のスライスは、図9および10に示すようにz=15での微分処理によって再構成される。 図8Aは、ここで説明する微分処理の収束を示すグラフである(順および逆工程が別々に示される)。 図8Bは、図7の頭部モデルに対するCSI法の収束を示すグラフである。 図9は、頭部モデルを通じてスライスした平面図で、比誘電率εの2次元空間分布を示す4つの再構成画像であり、左側の3つの画像はそれぞれ、z=14、16、および15cmでのスライスに対する微分処理によって生成され、最も右側の画像は、z=15cmでのスライスに対するCSI法によって生成されたものである。 図10は、図9の画像に対応するが、比誘電率ではなく、導電率σの2次元空間分布を示す。 図11Aは、脳(ε=44、σ=1.05)を画像化するために、1.6GHzで異なる頭部組織およびそれらの対応する誘電特性を示す。 図11Bは、血液(ε=58.7、σ=1.92)を画像化するために、1.6GHzで異なる頭部組織およびそれらの対応する誘電特性を示す。 図11Cは、皮質および網目状頭蓋(ε=15.5、σ=0.52)の平均を画像化するために、1.6GHzで異なる頭部組織およびそれらの対応する誘電特性を示す。 図11Dは、筋肉(ε=53、σ=1.25)を画像化するために、1.6GHzで異なる頭部組織およびそれらの対応する誘電特性を示す。 図11Eは、皮膚(ε=38.4、σ=1.1)を画像化するために、1.6GHzで異なる頭部組織およびそれらの対応する誘電特性を示す。 図12Aは、画像アンテナとともに、図11の組織をアセンブリした図である。 図12Bは、3次元で再構成された比誘電率(SI単位は1)および導電率(ジーメンス/メートル)のスライスを示す。 図13Aは、ここで説明する微分処理の収束を示すグラフである(順および逆工程を別個に示す)。 図13Bは、図12の頭部モデルに対するCSI法の収束を示すグラフである。 図14は、図12の頭部モデルを通じてスライスした平面図において、比誘電率εの2次元空間分布を示す4つの再構成画像であり、左側の3つの画像はそれぞれ、z=14、16、および15cmでのスライスに対する微分処理によって生成され、最も右側の画像は、z=15cmでのスライスに対するCSI法によって生成されたものである。 図15は、図14の画像に対応するが、比誘電率ではなく導電率σの2次元空間分布を示す。 図16は、ここで説明する微分処理の精度および計算時間に対するさまざまな影響ファクタの効果を示すグラフである。 図17は、ここで説明する微分処理の精度および計算時間に対するさまざまな影響ファクタの効果を示すグラフである。 図18は、ここで説明する微分処理の精度および計算時間に対するさまざまな影響ファクタの効果を示すグラフである。 図19は、ここで説明する微分処理の精度および計算時間に対するさまざまな影響ファクタの効果を示すグラフである。 図20は、ここで説明する微分処理の精度および計算時間に対するさまざまな影響ファクタの効果を示すグラフである。 図21は、ここで説明する微分処理の精度および計算時間に対するさまざまな影響ファクタの効果を示すグラフである。 図22は、適切な境界条件を導出するべく、微分処理の逆工程においてアンテナを励起させる手法を示す。 図23は、図22のアンテナのポートにおいて、典型的な異なる電圧信号を示すグラフである。 図24は、図4Fに示すひとつのアンテナにおける電場および電流密度の法線成分の分布を、本願発明に従うアプローチと実際の分布とで比較した図である。 図25は、図4Fに示すひとつのアンテナにおける電場および電流密度の法線成分の分布を、本願発明に従うアプローチと実際の分布とで比較した図である。 図26は、アンテナポートから遠いアンテナのエッジを横切る図12の再構成画像スライスを示す。 図27は、アンテナポートから遠いアンテナのエッジを横切る図12の再構成画像スライスを示す。 図28は、ワイドで平坦なアンテナ上における、計算して再構成された電場分布と、実際の電場分布とを比較した図である。
本願発明の文脈をより良く理解するために、電磁気逆問題を解法するための従来の方法をまず詳細に説明する。
図1は、電磁気逆問題の形式を示し、ここで、画像アンテナによって生成される入射波(Einc)は、未知のドメインΩを示し、かつ、対応するマルチ散乱信号は、Ωを包囲しかつ画像アンテナを包含する面S上でのSパラメータとして記録される。逆問題は、ドメインΩ内の電磁気特性の空間分布を表す画像を生成または再構成することである。
当業者に周知のように(例えば、Chewらの論文に記載されるように)、ドメインΩの非均質媒体内の対応する波形伝搬は、以下の式および時間調和体制の周波数ドメインでの境界条件(BC)によって支配され、
Figure 0007319255000010
ここで、ρはアンテナ上の表面電荷であり、nはアンテナ表面上の放線ベクトルである。ρ=0である誘電体表面上において、対応する境界条件は以下の式に簡略化される。
Figure 0007319255000011
ドメインを計算的に単純化するために、吸収境界条件がS(放線ベクトルn’を有する)に適用される。図1Bに示すように、両方の放線ベクトルは、領域2から領域1を指し示す(nに対して、領域2はアンテナの内部である)。また、E=Einc+Esct(式2)は、画像ドメインΩ内の全電場であり、ここで、Eincはドメイン上の入射電場であり、Esctはドメイン内の異なる物体からの散乱電場であり、kはk=ωμεとして定義される波数である。ここで、以下の関係がある。
Figure 0007319255000012
ε、ε、およびσの量は、媒体の複素誘電率、非誘電率および導電率であり、μ、εおよびωは、それぞれ自由空間誘電率、誘電率および角振動数である。多くの実際の問題において、未知のドメインは非磁性であるので、μ=μの関係が仮定される。単純化のために、式(3)の周波数依存性は、単一マイクロ波周波数でのマイクロ波トモグラフィーに対応して画像再構成プロセスの以下の説明において無視される。しかし、複数周波数トモグラフィーが要求されれば任意の他の周波数において同じ工程が適用可能であるので、これは説明の一般性を排除するものではない。
すべての電磁気逆問題において、複素誘電率ε(スカラーである)または電場E(3つの成分を有するベクトルである)のいずれかが未知である。S上の画像アンテナ位置でSパラメータとして記録されるEsct、および物体が無い状態でドメイン全体にわたるEincが、唯一の入手可能なデータである。2つの未知数(Eは3つの空間成分を有するが、それはひとつの未知数として考えられる)を有することは、解法されるべき2つの方程式、すなわち、ひとつの未知数に対してひとつの方程式を要求する。未知数が乗算されているところの以下に示す項のために、数式(1)の問題は概して非線形である。
Figure 0007319255000013
したがって、Eに対する管理方程式として数式(1)を仮定すると(順工程、3つの場の成分により3つの方程式に対応する)、対応する境界条件を有する偏微分方程式(PDF)はεに対して考慮されなかった(逆工程として)。結果的に、逆問題は、不十分な方程式の数のため、PDFフォーマットで解法されない。
従来技術の代替的アプローチは、均質なバックグラウンド媒体内の物体(一般的に非均質である)を考慮した必要な2つの方程式を形成するべく、グリーンのベクトルアイデンティティの協力を求めることによって、電磁気逆問題を解法することである。Chewの論文に記載されるように、3次元の積分方程式は以下のように表される。
Figure 0007319255000014
ここで、k、ε、およびGは、それぞれ波数、複素比誘電率、および均質バックグラウンド媒体(自由空間または他の任意の均質媒体)のグリーン関数であり、q、pおよびpは、それぞれ画像ドメインΩにわたる積分値、座標変数、およびJ番目のアンテナの位置である。各方程式において、2つの積分が存在し、誘導積分は、誘導電流に対応し、一方、ガルバニック(またはボルタイック)積分はボルタポテンシャルによって生成される伝導電流に対応する。この用語の重要性は、スカラーおよびベクトルポテンシャル(vおよび(数15))に関する電場の定義と数式(4)を比較することによって明白となる。すなわち、以下の(数16)は、ボルタポテンシャル(v)および時間調和誘導(以下の数17)の和として電場を表す。
Figure 0007319255000015
Figure 0007319255000016
Figure 0007319255000017
上記した定義を方程式(4)と比較すると、順および逆工程において、方程式(4)の右側の最初の積分項は、(数18)に対応する誘導項であり、一方、二番目の積分項はvに対応する。
Figure 0007319255000018
ちなみに、用語“逆問題”は、トモグラフィーを指すが、“逆工程”はすべてのトモグラフィー問題を解法する際の2つのステップ(順または逆工程)のひとつを指す点を明確にすべきである。
残念ながら、方程式(4)の積分方程式は、広範囲の3次元EM逆問題、特に生物医学問題に対して解くことができない。また、関数G自身は、任意の境界なしのバックグラウンド(自由空間内のアンテナ放射のような)または境界構造が単純なバックグラウンドに対してのみ、既知である。ドメインが囲まれていないか、または、その境界が単純であるときは常に、ハンケル関数が解析グリーン関数の例である。しかし、境界が複雑であり、ある境界が表面電荷および電流(多くのEM問題で生じる)を保持する場合、これらの表面電荷および電流は、体積電荷および電流としてモデリングすることができないので、それはハンケル関数のような解析グリーン関数を与えるべく積分される。その後、広範囲な計算技術がグリーン関数を見つけるのに要求される(例えば、J. Jin, The Finite Element Method in Electromagnetics, 3rd ed., Wiley, New York, 2014の第14章(以下、“Jin”と呼ぶ))。
付加的に、たとえGが見つかっても、Chewに記載されるように、ガルバニック積分項内のグリーン関数の積分不可能な特異点に対する∇∇演算子を適用する際に他の困難性が存在する。したがって、3次元グリーン関数を含む方程式(4)内の積分方程式は、しばしば、非効率的でかつ時間を要する反復処理を通じて解法され得る。迅速な解法が要求される生物医学マイクロ波トモグラフィー問題において、以下の近似により、方程式(4)がしばしば効率的に解法され得る。
(i)3次元グリーン関数が、制限された有用コンピュータメモリによってロード不可能であるか、または、合理的な時間フレーム内で方程式(4)を解法するのに、コンピュータリソース(例えば、CPU速度)が不十分な場合、ドメインはひとつの軸線(例えば、z軸線)にそって均質であると近似され、2次元の積分およびグリーン関数を可能にし、それは、実際により単純かつ計算実行可能である。この近似は、ポイントソースとして近似された画像アンテナを有する(図1B参照)物体の2次元再構成プロファイルを生じさせる。もちろん、画像アンテナは現実の空間で伸張し(図1B参照)、一つの軸線に沿った物体の仮定した均質性はめったに補正されない。
(ii)利用可能なメモリおよびCPUリソースがグリーン関数をロードするのに十分であっても、ガルバニック積分項は、(数19)の場合にのみ無視できるので、多くの問題(例えば、人体組織損失が多いところの生物医学問題)で数学的に複雑な誘電率特性を有するバックグラウンドマッチング媒体は、画像化物体の平均誘電特性に近い誘電特性を与えるよう使用される。
Figure 0007319255000019
このアプローチにより、ガルバニック項は無視可能となり、グリーン関数の特異点に関連する問題を回避することができる。言い換えれば、マッチング媒体は、アンテナと画像化物体の外側レイヤーとの間のマッチングを改善する。バックグラウンドマッチング媒体を使用することの利益は、問題の計算上の複雑さを大きく減少させることであり、問題の計算を実行可能にするために要求される。例えば、人間の頭部の平均比誘電率特性が1.6GHzにおいて(数20)である。
Figure 0007319255000020
したがって、積分ベースのマイクロ波トモグラフィーを使ってこの周波数で人間頭部を画像化するために、バックグラウンド媒体は、この複素数値に近い誘電特性を有するべきである。もちろん、このような特定の複素数値を有するバックグラウンド媒体を製造することは、技術的に困難であり、画像システムを複雑化し、より多くの減衰を付加し、その結果システムのダイナミックレンジを減少させる。また、実際に、バックグラウンド媒体は、アンテナを画像化物体に完璧に一致させず、ガルバニック項は計算において完全には無視できない。したがって、積分ベース(すなわち、従来技術)のトモグラフィーにおけるガルバニック項に関連する再構成誘電率は、再構成比誘電率よりしばしば精度が劣る。また、人間の器官などの物体をバックグラウンド媒体内に置くことはさらに困難であり、患者を不快にさせる。誘導項はマイクロ波周波数において大きいk を乗算されているので、バックグラウンドマッチング媒体を使う際に誘導項は無視できない。
これらの近似は、図1Aに示すものから図1Bに示すものまで、問題ドメインを単純化し、方程式(4)の以下に示す簡略化した2次元形式を与え、
Figure 0007319255000021
ここで、プライム付き変数は、方程式(4)のプライム無しの3次元変数の2次元バージョンである。
方程式(5)を解くために、計算済みデータと測定済みデータとの間のエネルギーミスマッチとして定義されるコスト関数を最小化するために、線形または非線形最適化技術が利用される。ボルン法またはヴァンデンバーグ法のいずれかを使って、反復処理が利用され、計算済みデータと測定済みデータとの間のエネルギーミスマッチとして定義されるコスト関数が最適化によって最小化される。2次元の順-逆問題は、コスト関数が一定でかつ付加的な反復で変化しなくなるまで繰り返される。しかし、方程式(5)は、未知数の数が既知の数(付与されたデータ)より非常に多い場合の劣決定問題であるので、測定数はかなりの精度の結果を有するのに十分に多くなければならない。また、もし、ε(q’)を制限するのに正則化が適用されなければ、ε(q’)が明確に囲まれていないので、安定なコスト関数は達成されず、ε(q’)の可能な解を制限するべく付加的条件が実行されない。正則化がなければ、コスト関数は反復処理の間に発散する。
最終結果の精度はアンテナの数(自由度理論によって定義される限定されたある値までであるが)を増加させることによって改善可能であるが、これは計算時間の増加になる。結果として、画像アンテナの数は、精度と計算時間との間のトレードオフを表す。発作、交通事故、またはスポーツ中の事故のような、時間が生存率または身体障害の重要な役割を担う緊急事態において、ポータブルまたは現場でのマイクロ波トモグラフィーシステムの使用は多数のアンテナの使用を不可能にするが、この選択はまた、精確な結果の取得をも不可能にし、ひいては、頭蓋内の血腫などの重要な所見を見落とすリスクを増加させる。
常に積分方程式に基づく、電磁気逆問題を解決するための既存の方法の問題点を解決するために、発明者らは、偏微分方程式を使って電磁気逆問題を解くことに関連する新規な断層画像システムおよびプロセスを開発した。
新規な微分フレームワークは、グリーン関数に基づかず、上述した限定に直面しない有限要素法(FEM)のような計算技術によって電磁気逆問題を解くことを可能にする。これは、迅速な画像再構成が重要である緊急医療に対してトモグラフィーが実行されるときに特に重要である。
方程式(1)は、順工程に対して微分方程式として使用可能である。方程式(1)において、境界条件は、(数22)を包囲する役割を果たし、境界条件に合う値を取らせる。この境界条件は正則化の役割を果たす。逆工程に対して、微分方程式および対応する境界条件を確立するために、体積電荷密度ρに従う変位ベクトル(D)の発散を表す第3のマクスウェル方程式(数23)が利用される。
Figure 0007319255000022
Figure 0007319255000023
ここで、Dまたはρのいずれかは概して3次元の空間座標の関数(それぞれベクトルおよびスカラー)である。多くの実際のEM問題において、例えば、生物医学問題において、ドメイン内部に体積電荷は存在しないこと(方程式(4)の積分ベース方程式で使用されたものと類似の仮定)、つまりρ=0が仮定される。変位自身は電場および誘電率の関数であるので、それは以下の関係に従う。
Figure 0007319255000024
説明した実施形態において、方程式(7)は、逆工程の微分方程式として使用され、方程式(1)は3次元空間座標を使って電磁気逆問題を解くための順工程として使用される。方程式(7)を操作して、以下の式が与えられる。
Figure 0007319255000025
方程式(8)は、一次の微分スカラー関数として誘電率を記述し、一方、方程式(1)の電場は二次の微分ベクトル関数である。当業者に周知のように、偏微分方程式(1)および(8)は、不連続性(微分不可能)が生じる任意の境界、エッジ等ではなく、問題ドメイン内でのみ対応する量を管理する。この境界に対して、当該技術分野において“境界条件”または“境界方程式”と呼ばれる他の管理方程式が、境界およびエッジにおいて対応する物理量(すなわち、(数26)およびε)を記述するのに使用される。
Figure 0007319255000026
これらの境界方程式は、(数27)に対する方程式(1)に見られるように、ゼロ次または一次の微分である。したがって、もしその境界条件が決定されなければ、偏微分方程式によって管理される問題が特定の解を有しない理由は明確である。
Figure 0007319255000027
方程式(8)を解くことを可能にする境界条件を画定するために、それにより残りの方法が確立される洞察として誘電率の定義が使用されうる。材料の系の誘電率は、電気エネルギーを格納する際の単位長さあたりの系の容量であり、誘電率のSI単位はファラッド/メートル(F/m)である。これは、各特定の境界上での誘電率の境界条件がその境界によって見られる単位長さあたりの系の容量を表すことを意味する。方程式(1)と同様に、3つのタイプの境界条件が方程式(8)に要求される。(i)アンテナ表面、(ii)未知物体の平均誘電率が付与されかつプライオリ情報(平均物体の境界上において、電場の法線成分が付与され、条件(数28)が適用され、誘電率が付与される方程式(1)の順工程と反対)として使用可能であるところの問題の任意の誘電体面、および(iii)包囲面Sである。
Figure 0007319255000028
第1および第3の境界条件に対して、これらの境界上でいずれの電磁気量が誘電率のSI単位を満足するかを考えることができる。明確に、誘電率のSI単位は、(数29)として書き換えられる。
Figure 0007319255000029
この比率は、誘電率が電流密度(数30)と関連しているところの第2のマクスウェル方程式の右側を使って各境界で以下のように計算可能である。
Figure 0007319255000030
Figure 0007319255000031
方程式(9a)の両側に電流密度のドット積を適用することで以下の関係が得られる。
Figure 0007319255000032
ドット積を単純化すると、複素誘電率に対して以下の方程式が与えられる。
Figure 0007319255000033
ここで、tおよびnは、それぞれ接線および法線成分を表す。方程式(9c)は、各境界によって見られる複素誘電率(単位長さあたりの容量)である。
方程式(9c)は興味ある境界に適用される。アンテナ伝導面(例えば、銅からなる薄いダイポール)上において、電場(数34)はほぼゼロである。この場合、(数35)は2つの成分、すなわち、アンテナの表面上の磁場の主に接線成分による伝導接線成分(数36)、および電場(数37)法線成分による変位法線成分(数38)を有する。
Figure 0007319255000034
Figure 0007319255000035
Figure 0007319255000036
Figure 0007319255000037
Figure 0007319255000038
したがって、アンテナ表面上の境界条件は、以下のように表される。
Figure 0007319255000039
ここで、εlookは各画像アンテナによって見られるドメインの複素誘電率である。また、εは、アンテナ上の電場(法線方向である)に関して伝導電流(接線方向である)の“垂直性”により各アンテナによって見られる系の複素誘電率である。(数40)はアンテナ伝導面上に表面電荷をサポートするので、各画像アンテナは、特定の見た目容量を示す、特定の伝導電流密度(数41)、およびその表面上に表面電荷ρを有する。
Figure 0007319255000040
Figure 0007319255000041
包囲面Sに対する境界条件を導出する前に、他の可能な形式で方程式(9c)を表すと、不完全な方程式を導くかもしれない点に注意すべきである。例えば、誘電率を以下のように定義すれば、
Figure 0007319255000042
(数43)がアンテナ伝導面上でほぼゼロとして、方程式(9c)は(数44)に簡略化される。
Figure 0007319255000043
Figure 0007319255000044
しかし、この方程式は、(数45)の効果を考慮していないため、不完全である。
Figure 0007319255000045
この不完全性は、アンテナの伝導面上の(数45)の存在が、EM境界条件に従い、電場の接線成分ではなく磁場の接線成分によるものであるという事実からくる。したがって、(数46)に対するゼロ値は(数47)にゼロ値を割り当てない。
Figure 0007319255000046
Figure 0007319255000047
一方、包囲面Sは伝導電流密度を運ぶ物理的インターフェース(伝導アンテナ面など)を有しないので、方程式(9c)の電流密度は、変位電流密度(数48)のみである。
Figure 0007319255000048
したがって、境界条件方程式(9c)は以下のように簡略化される。
Figure 0007319255000049
ディリクレおよび連続タイプのこれらの境界条件は、ドメイン内部に誘電率の可能な分布を束縛するべく方程式(8)を補う(正則化の役割を担う)。したがって、提案した偏微分フォーマットの逆工程に対する完全方程式は、以下のように記述される。
Figure 0007319255000050
残った問題は、εlookをどのように計算するかのみである。この目的のために、付録Iは、例えばCOMSOLマルチフィジックスソフトウエアを利用して、測定されたSパラメータのもとでの伝導アンテナ表面上の導電電流密度および電場の法線成分の導出を与える。
次のステップは、方程式(1)および(11)を解くことであり、これは、有限要素法(FEM)として知られる数学的方法を使って実行可能である。方程式(1)および(11)の一般的形式の微分方程式を数学的に解くために、FEMをどのように実行しかつ使用するかについての詳細な議論は、例えば、Jinの論文に記載されている。
図2のフローチャートには、方程式(1)および(11)を解くための高レベルな工程が示されており、人間頭部を画像化する文脈で以下に説明する。最初に、画像化物体(頭部)の3次元境界の輪郭を生成するために、境界検出法が使用される。方程式(1)のεに対する初期値として平均的で健康な誘電特性が使用され、その後、Eに対する値(電場の3つの成分に対する実際の3つの値)が導出される。このEは、その後、εに対する更新値を見つけるために、方程式(11)のFEM表示に置換される(この工程から、固定測定Sパラメータが、付録Iに記載されるように、方程式(11)内の境界条件を画定するのに使用され、それは、反復中に不変のままである。)。εに対する更新値はその後、Eに対する更新値を与えるべく、方程式(1)のFEM表示に置換される。各反復の後、線形FEM最適化は、その境界条件に関する(数51)およびεのエラーレベルをチェックする。この反復処理は、先の反復において、その値に関して更新値が実質的に変化しなくなるまで繰り返される。それはエラーが最小値に到達したことを示す。
Figure 0007319255000051
このプロセスは、順または逆工程のいずれかにおいて、(数52)のような方程式の2つの線形FEM系を扱う。
Figure 0007319255000052
したがって、各工程における未知のマトリクスは、(数53)として導出される。
Figure 0007319255000053
なぜなら、FEM剛性マトリクス(数54)は可逆行列だからである(M’は問題ドメイン内の全ノード数である)。
Figure 0007319255000054
方程式(4)または(5)の積分ベース処理に関する図2のプロセスのロバスト性において、εが束縛条件にさらされていないため、方程式(4)または(5)内のεに対する可能解の空間はしばしば大きい。εの可能解を束縛するために、チホノフまたは全変動のような正則化技術が使用され、アルゴリズムの発散または非最適解への収束が防止される。しかし、ここで説明するプロセスに対して、境界条件は問題境界におけるεの可能解を制限する。したがって、実行すれば、結果を改善するのに相補的役割を果たすが、チホノフのような他の正則化手法を利用することは必須ではない。FEM剛性マトリクス(数55)を解くために、マトリクスピボッティングまたは左/右プレコンディショニングのような当業者に周知の技術は、ノイズ測定に関して、問題をよく条件付けしかつロバストにする。
Figure 0007319255000055
しかし、逆問題の解法は以下の4つの理由のために一意ではない。
1)エベネセント波の存在および拡散効果のために固有の非一意性が存在する。
2)ほとんどの逆散乱問題の非線形性のため局所的に最小値が存在し、非線形最適化技術が必要となる。
3)また、ボルン反復法のような方法が、方程式[A][x]=[b](ここで、[A]は係数マトリクス、[x]は未知のマトリクス、[b]は所与のデータのマトリクス)のシステムとして問題を線形化しても、その劣決定性のために[A]は可逆行列ではない(正方行列ではない)(ここで、既知数の数は、未知数の数よりも非常に少ない)。したがって、問題を解くために線形最適化が使用されても、構築された解は劣決定性のために実際のものと十分に近くないかもしれない。
4)非一意性はまたノイズに対する逆問題の感度のために増加する。たとえ[A]が線形かつ決定された問題において可逆行列であっても、それはまだ悪い状態であり、その結果小さいレベルのノイズが線形システムの解を大きく逸脱させる。
マイクロ波イメージングが、X線またはMRIと同等に精確ではないことを説明する、上述した最初の問題は不可避であるが、2番目から4番目の問題は取り扱い可能である。劣決定性問題における第2、第3および第4の問題は、測定数が十分に多いこと(自由度理論(DOF)のもとでの数の閾値を考慮し)を保証することにより回避可能であり、可能解の空間を制限するために正則化手法が使用され得る。しかし、これは、計算時間を大きく犠牲にして実行される。一方、それにもかかわらず、決定された問題において(ここで説明するような)第2および第3の問題は、十分な数の測定を有する正則化技術のような良い状態のアルゴリズムが、対応するマトリクス[A]の悪い状態の振る舞いを抑制するために使用可能であるので、心配な点ではない。それにもかかわらず、これらの問題に対して正則化手法を単独で使用することは、増加した計算時間を犠牲にして、トモグラフィーの精度をさらに改善するべく相補的な役割を有する。
積分ベースの方程式(4)または(5)のように、問題が不良設定されるときはいつも、既知数および未知数の数は、問題ドメイン内で等しくない(すなわち、問題は劣決定される)。したがって、十分な数の測定とともに、チホノフまたは“全変動”(TV)のような正則化技術が、可能解の空間を制限するために利用され、非最適解(局所的最小値)への収束が防止される。しかし、ここで説明するプロセスに対して、既知数および未知数の数は等しい、すなわち、問題は“決定”される。したがって、問題(FEM剛性マトリクス(数56))は、不良設定ではなく悪い状態のみである。
Figure 0007319255000056
この問題に取り組むために、ノイズ測定に関して、問題を良い状態かつロバストにするべく、方程式(1)および(2)の両方のFEM表示の剛性マトリクスに対して、マトリクスピボッティングまたは左/右プレコンディショニングが適用される。したがって、ここで説明するプロセスにおいて、局所的最小値による心配はない。
説明したプロセスにおける初期化工程は、積分ベースのマイクロ波トモグラフィーにおけるボルン法に似て現れてもよい。しかし、ボルン法と、ここで説明するプロセスとの間には以下の基本的な違いが存在する。
(i)ボルン法において、(数57)の近似がある。
Figure 0007319255000057
しかし、この近似は、微分方程式のフレームワーク内の初期入力として使用されるに過ぎない(図2を参照)。また、収束を改善するべく物体の平均誘電特性が使用されるところの複雑な問題において、上記近似は初期工程においても使用されない。
(ii)方程式(1)または(11)のFEM表示は線形かつ決定問題を形成するので、微分逆方程式の上述したプロセスにおいて正則化(チホノフ正則化など)は使用されない。これは、方程式(4)または(5)における劣決定問題とは全く異なる(例えば、外部の正則化が要求されるChewの8章および9章を参照)。付加的に、FEM自身はミニマイザであるので、図2の各工程の結果は、先行工程の結果の改良版である。FEMの唯一の問題は上述したように悪い状態の剛性マトリクスである。幸い、この問題は、例えばシミュレータCOMSOL内で適応されるように、ピボッティングおよび左/右プレコンディショニングなどの当業者に周知のいずれかの方法によって解決可能である。
理論的な上記違いに加え、積分ベースの方程式と違うのは、ここで説明する微分ベース処理において画像アンテナの数を増やすことは(自由度理論によって定義される制限を忘れずに)、ある程度まで精度を改善しつつ、要求される計算時間を有意に増加させない点である。より多くのアンテナを使用する際の微分ベース法の計算時間の比較的小さい増加は、対応するFEMマトリクス表示での要素数の増加によるものである。
FEMが問題ドメインを小さい要素に離散化することは言及する価値がある。したがって、これらの要素は、画像の解像度に対応し、十分なコンピュータメモリが利用可能であり、かつ、計算時間が利用可能なリソースの能力を超えない限り、任意に増やすことができる。しかし、要素の増加は、精度を有意に改善しない。精度は以下で議論するいくつかの要因によって改善可能である。したがって、積分ベースのトモグラフィーにおいて達成可能な解像度の定義は、ここで説明するプロセスとは異なる。積分ベースの方法は劣決定であり、解像度は任意に増加されない。
ここで説明する微分ベースのプロセスは位置特定されたトモグラフィー法として使用可能であるので、微分ベースのトモグラフィーを興味ボリュームにフォーカスすることができるよう、マルチスタティックレーダベースのビーム形成プロセスが、任意のプレスキャンツールとして利用可能である。しかし、精確な結果を得るために、レーダーベースの画像化は、プライオリ情報として各画像アンテナから見た画像化物体の有効誘電特性を要求する。ここで説明するビーム形成処理は、画像ドメインの複素誘電率を散乱パラメータの関数としてモデリングするべく、空間統計技術を使用する。ビーム形成処理は、アンテナと画像化物体との間に予め定められたギャップを要求せず、画像ドメイン内部で画像化物体を中央に置くことも要求しない。
画像ドメインがマルチスタティックモードにおいてNa個の動作アンテナによって包囲されていることが仮定される。任意のアンテナによって見られる画像ドメインの有効誘電率は、ドメイン内に配置された画像化物体の特性、サイズおよび形状に依存する。周波数分散特性を有する不均質物体に対して、アンテナによって見られる有効誘電率はまたは、物体に関するアンテナの位置および使用される周波数に依存する。したがって、ひとつの有効誘電率の仮定、または、レーダビーム形成処理技術を使用する際のひとつの有効値の予測は、精確な画像化を実際には可能にしない。したがって、任意のアンテナによって見られる有効誘電率を予測できるプロセスは、精確な画像化にとって重要である。
有効誘電率は、散乱パラメータの関数として表現可能である。したがって、Sパラメータのセットが既知の特性を有する特定の画像ドメイン(すなわち、特定構造を有するアンテナの特定構造)に対して計算されれば、未知の物体を画像化する際に、これらのパラメータが、有効複素誘電率を予測するプロセスを訓練するのに使用可能である。このような関数は、バイスタティックコンフィギュレーションにおいて、標準最小2乗回帰法を使って解法可能である。しかし、上述したマルチスタティックコンフィギュレーション内の多数の変数(Sパラメータ)により、このような関数は一つ以上の重み付けファクタが線形方程式を満足するところ不良設定問題を導き、過剰または劣決定方程式を導く。
この問題を解決するために、過剰または劣外挿を防止するべく、付加的な情報が不良設定問題に対して導入される。その目的のために、問題は、散乱パラメータの空間リージョナリゼーションによって正則化される。したがって、信号の空間依存度を記述するバリオグラムは、以下の式に従って各受信器iに対して計算される。
Figure 0007319255000058
ここで、hはj番目とk番目のアンテナ送信位置の間の距離であり、SijはN個の周波数サンプルを使ってj番目のアンテナから送信されi番目のアンテナにおいて受信した信号であり、N(h)は|rij-rik|=hのような観測ijおよび観測ikの対のセットを表し、|N(h)|はセット内の対の個数である。小さい値のhは隣接アンテナを表し、それは非常に相関した信号を受信し、したがってそれに対応するγは小さい。一方、互いに離れたアンテナ(hの値が大きい)は大きい値のγを分配する。式(B1)を使うことにより、マルチスタティックコンフィギュレーション内の各受信器は関数γ(h)によって与えられる。したがって、0.5×Na×(Na+1)個の独立の変数/信号が、関連信号の空間的特徴を組み込むNa個の正則化関数まで簡略化される。
γ(h)を画像化ドメインの誘電特性とリンクさせるために、i番目の受信器(数59)からの有効誘電率は(数60)のようにモデル化される。
Figure 0007319255000059
Figure 0007319255000060
ここで、s={γ,h}は、γが方程式(B1)を使って計算されるところの関数の入力であり、(数61)は二次回帰関数のベクトルであり、(数62)は最小化エラーz(s)に対して形成されるべき回帰係数の7×1ベクトルである。0から、アンテナアレイの最大軸線の長さまで伸張するh値に対してεのN個の関数が存在する。
Figure 0007319255000061
Figure 0007319255000062
この二次関数はhに対するγの離散値をεに対するγの離散値に関連づける。(数63)の最適なバイアスのない推測値を得るために、トレーニングサンプルを使ってモデルを訓練することが必要である。
Figure 0007319255000063
それは、ある仮定された誘電率(サンプル媒体)を有する均質媒体で満たされたとき、画像ドメインの計算されたSパラメータを使って生成される。それに関して、画像ドメインはNε個の異なる誘電率値εn(n=1からNε)を有すると仮定され、対応するマルチスタティックSパラメータは各仮定において計算される。計算されたSパラメータはその後、γ(h)ひいては対応するトレーニング関数S={γ,h(n=1からNε)および(数64)を取得するために方程式(B1)で使用される。
Figure 0007319255000064
仮定された誘電率値εn(n=1からNε)を有するNε個の異なるトレーニングサンプルを仮定すると、方程式(B2)は以下のマトリクス形式で記載できる。
Figure 0007319255000065
ここで、ε=[ε,..,ε]はM(=Nε×N)の次元を有する誘電率のベクトルであり、(数66)はM×(N-1)回帰関数マトリクスであり、(数67)はM×1のエラーベクトルである。
Figure 0007319255000066
Figure 0007319255000067
係数推定量(数68)のマトリクス(記号^は推定された係数を表す)は、エラー(数69)の総平方和(TSS)の最小化により決定される。
Figure 0007319255000068
Figure 0007319255000069
Figure 0007319255000070
(数71)の一般化された最小2乗解は、以下に示される。
Figure 0007319255000071
Figure 0007319255000072
この方程式において、(数73)は、cij=ρ(s,s)を有するM×Mの確率論的処理相関マトリクスであり、i、j=1,...,Mであり、ここで、ρはサンプルs={γ,h}、s={γ,h}での誘電率値の間の相関関数である。
Figure 0007319255000073
線形、ガウスおよび指数関数などの異なる相関関数をテストした後、後者はデータに対する最適な外挿を与えるように選択される。
設計した画像ドメイン(アンテナアレイおよびその構造)に対する(数74)を見つけた後、トレーニングステップが終了し、システムは、そのドメイン内でそれがフィットする限り任意の形状およびサイズの未知の物体を画像化するのに使用する準備がなされる。
Figure 0007319255000074
この場合、s={γ,h}を有する未知の画像化物体の存在のもとで、測定されたSパラメータに対する誘電率値(数75)が以下の式によって近似される。
Figure 0007319255000075
Figure 0007319255000076
ここで、(数77)は未知の物体からの入力sとトレーニングサンプルとの間の相関マトリクスである。最後に、i番目のアンテナによって観測された有効誘電率が、hのすべての値にわたって誘電率値を平均化することにより以下の式で計算される。
Figure 0007319255000077
Figure 0007319255000078
要するに、適応されたマルチスタティックビーム形成プロセスは、以下のステップによって表される。
a)トレーニング
1.異なる(トレーニング)媒体に対するマルチスタティック周波数ドメインを計算し、
2.方程式(B1)を使ってSパラメータを正則化し、
3.方程式(B5)を使って、係数推定量(数79)のベクトルを決定する。
Figure 0007319255000079
b)イメージング
1.画像ドメイン内に画像化されるべき物体を挿入し、未知の画像化物体を有するマルチスタティック周波数ドメインSパラメータを集め、
2.方程式(B1)を使って、測定したSパラメータを正則化し、
3.方程式(B6)および(B7)を使って有効複素誘電率ベクトルを推定し、
4.後方投影法などの適当な画像アルゴリズムおよび推定した誘電率値を使って画像を構成する。
5.生成された画像は物体内部で任意の異常性を示す。このような画像は微分トモグラフィーに対する初期画像として採用されてよく、この場合それは、興味ある体積の誘電率特性の発見にフォーカスする局所的領域のトモグラフィーとして使用される。
従来技術の積分ベース法と違い、ここで説明する微分ベース法においてアンテナの数を増加させることは、計算時間を有意に増加させることはなく、同時に、自由度理論によって画定される限度まで精度を改善する。ここで説明するプロセスにおいて、より多くのアンテナを使用することによる計算時間の相対的に小さい増加は、対応するFEM表示における要素数の増加によるものである。FEMは問題のドメインを小さい要素に離散化するので、これらの要素は、画像の“解像度”に対応し、十分なコンピュータメモリが使用可能でかつ計算時間が緊急場面で許容範囲のままである限り、任意に増加してよい。
結合媒体を使用することは、ここで説明するプロセスに対して要求されない。しかし、結合媒体は画像を改善するのに任意で使用されるが、画像化がノイズ環境で実行されていれば使用する。その目的のために、損失の少ない高誘電率結合媒体が、画像アンテナを画像頭部から分離した空間内に挿入されてよい。一方、極端に損失の大きい高誘電率媒体は画像アンテナの間および画像アンテナの背後に挿入されてよい。第1(低損失)媒体は、EMウエーブガイドのように動作し、したがって、脳内部のより強い場に対して頭の内部への信号の浸透を強化し、一方、第2(高損失)媒体はアンテナの相互結合および不所望の反射を有意に減少させつつ、すべての表面波を吸収し、したがってノイズ環境内でのより良い画像化のために信号対ノイズ比を強化する。この結合の組み合わせは、後者がこのような場面に対して要求されるグリーン関数に対する均質なマッチング媒体を要求しないため、従来技術のトモグラフィーにおいては使用されなかった。また、問題を解法する際に、境界条件の要件を満足するために、画像システムの外側境界は、金属シールドによって覆われる吸収材料を含む。
ここで説明するプロセスは、画像化物体の境界についてプライオリ情報を要求する。その情報を提供するために、画像化物体の存在のもとでの画像アンテナの特性の変化が利用される。アンテナが画像化物体に面しているとき、負荷インピーダンスの変化により反射係数は有意に変化する。この変化はしばしば、入力インピーダンスの周波数依存作用による反射係数の最小値における周波数シフトとして見られる(図3参照)。この現象は、送信された信号の大きな割合が、画像化物体の皮膚または境界から反射して戻るところの高い周波数においてより明確である。一方、アンテナと画像化物体との間の異なる距離は、異なる負荷インピーダンス、ひいては、異なるアンテナ入力インピーダンスを生じさせ、反射係数のスペクトルのシフトを生じさせる。したがって、アンテナからの画像化物体の距離と、その入力インピーダンスまたは反射係数の周波数シフトは、物体の画像表面を同定することにつながる。その目的のために、以下で説明する4つの異なる方法が精確な境界検出のために利用される。
方法1
アンテナの共鳴周波数と画像化物体の位置との間の関連を見つけるために、異なる距離で画像化物体に対面したときのアンテナの反射係数が決定され、距離と周波数シフトとの間の関係を表す関数を定義するのに使用される。その目的のために、画像アンテナが、現実の誘電特性を有する画像化物体を表す数値モデルに面するところのシミュレーションステップが確立される。データ取得ステップにおいて、使用された周波数帯域をカバーする信号はアンテナによって送信され、モデルから後方散乱された対応する信号の強度はモデルとアンテナとの間の異なる距離ごとに記録される。各分離工程に対して、後方散乱信号強度は、図3に示すように対応する周波数において最小値を有する。図4に示すように、得られた値は、分離距離と周波数との間の相関関係を表す関数を決定するために、標準的な外挿手法への入力として与えられる。説明する実施形態において、得られた関数は、以下に示す二次のオーダーの二次方程式であり、
Figure 0007319255000080
ここで、dはアンテナと皮膚との間の距離であり、fは反射係数が最小化されるところの周波数(GHz)であり、a、b、およびcは、アンテナに依存する外挿パラメータである。画像アンテナの位置を知るのに、画像化物体の表面が、物体の周りに配置されたすべてのアンテナアレイ要素に対して取得された方程式を使用することによって推定可能である。この方法において、アンテナの数に等しい数を有するポイントのセットが生成される。画像ドメイン内のこれらすべてのポイントをつなげることにより、物体の推定表面が作成される。
しかし、画像アンテナの数の制限により、推定表面ポイントは物体の全表面をカバーしない。この問題を解決するべく、実際のアンテナアレイからの後方散乱された信号強度が、実際のアレイよりも多くのアンテナ要素を有する仮想アレイから得られる後方散乱された信号強度を推定するために使用される。仮想アレイ法は、以下の式に従う実際のアンテナのアンテナ位置(数81)および記録した信号Sを使って、仮想要素の位置において受信信号を予測するのに空間補完技術を使用する。
Figure 0007319255000081
Figure 0007319255000082
ここで、(数83)は仮想位置(数84)での推定信号であり、(数84)はアンテナ位置の関数マトリクスであり、(数85)は係数推定量である。
Figure 0007319255000083
Figure 0007319255000084
Figure 0007319255000085
Figure 0007319255000086
また、(数87)は以下の指数相関マトリクスである。
Figure 0007319255000087
Figure 0007319255000088
仮想アレイの仮想位置で予測された信号の最小値が決定され、その周波数は、アンテナ(実際および仮想を含む)と画像化物体の位置との間の距離を決定するために方程式(12)に適用される。
方法2
ベクトルネットワークアナライザー(VNA)のワンポートキャリブレーションで使用されるキャリブレーション法(http://literature.cdn.keysight.com/litweb/pdf/5965-7917E.pdfから入手可能な Network Analyzer Basics, Keysight Technologies 2014参照)が、画像アンテナの測定したS11をアンテナから画像化物体までの距離に関連づけるのに使用可能である。
画像化物体はアンテナから距離dの位置に配置されており、かつ、物体の有効誘電率を使用して計算される反射係数Γを有することを仮定すると、頭部のような誘電物質に近接したアンテナ放射の場合に以下の関係式が適用可能であるところのVNAワンポートキャリブレーションから容易に証明される。
Figure 0007319255000089
ここで、S110は、画像化物体が無い場合の測定されたS11であり、dは適用可能なこの関係式(ファクタはアンテナ設計に依存する)に対する最小距離であり、Eはリフレクタが放射された信号全体ではなくその一部のみを反射する際のエラー(S21による、かつ、1未満であるべき)であり、Eは、すべての反射信号がアンテナによってピックアップされない場合のエラー(S22による)であり、kは自由空間伝搬係数(=2π/λ)である。
距離の精確な予測を行うべく、システムは、S110、d、E、Eを取得するべく、アンテナから異なる位置において画像化物体の実際のモデルを有する場合と有しない場合での、フルウェーブシミュレーションまたは測定を通じてキャリブレーションされる。その後、方程式(16)が距離dを見つけるべく、測定されたS11とともに使用される。方程式(16)の、実数および虚数部分は、使用された各周波数においてdを計算するのに使用可能であり、最小2乗法のような任意の最適化方法が最も精確な予測を得るのに利用されうる。
方法3
Antenna theory, analysis and design, Balanis, 2005 (以下、“Balanis”という)において説明されるように、画像理論は、アンテナの相互結合を計算するのに周知の方法であり、アンテナの入力インピーダンスに画像化物体の効果を含めるのに使用可能である。その目的のために、物体の効果は、オリジナルのアンテナから距離2dの位置に配置された仮想アンテナを付加することにより複製可能である。相互結合理論から、アンテナの入力インピーダンスを、自己インピーダンスおよび相互結合インピーダンスの組み合わせとして定義することが可能である。
Figure 0007319255000090
Balanisに説明される誘導EMF法を使って、相互インピーダンスを計算することが可能である。ダイポールモードで動作するアンテナの例として、相互インピーダンスが以下のように近似可能である。
Figure 0007319255000091
Figure 0007319255000092
ここで、CおよびSは、それぞれコサインおよびサイン積分であり、R、X、およびlは、アンテナの構成に依存する見つけるべき定数である。単純なダイポールアンテナに対して、パラメータR、X、およびlは、それぞれ、30、30、ダイポールの長さとして発見される。しかし、複雑なアンテナに対して、これらのパラメータはアンテナの構成に基づいて発見されるべきであり、または、フルウェーブシミュレーションまたは測定において方程式をトレーニングすることによって単純に見つけられる。自己インピーダンスは、アンテナの構造に依存し、したがって積分方程式-モーメント法または誘導EMF法などの任意の方法を使ってアンテナの最終設計から計算可能である。
アンテナの共鳴周波数は、アンテナの有効入力インピーダンスの虚数部分がゼロになる周波数として以下のように計算可能である。
Figure 0007319255000093
よって、アンテナの共鳴周波数を観測し、かつ、方程式(19)および(20)を使うことによって、頭部とアンテナとの間の距離が計算可能である。
方法4
画像化物体が無い状態からその物体がある状態までの使用帯域をまたいだ測定は、物体の境界を推定するのに使用可能である。周波数ドメインの反射係数が、物体の周りのさまざまな位置で計測される。これらの測定ポイントの各々は、周波数-時間ドメイン変換を使って、空間ドメイン測定値に変換される。これは、周波数ポイントの均質な分布が使用されるならばフーリエ変換を通じて実行され、そうでなければ複素指数の和により実行される。
Figure 0007319255000094
ここで、S(t)は時間ドメインの等価信号である。
これらの時間ドメイン信号は、アンテナのジオメトリを考慮して物理的空間へマッピングされる。各アンテナにおける第1反射は、テスト中の人体の境界を表す。異なる方法で境界エッジを強化するために、推定前に異なる操作が実行されてもよい。それは、S(t)の大きさ(絶対値または絶対値の平方)を取ることを含む。
処置の付加的ステージがその後に実行されてよく、それは、物理的空間を適当な寸法のボクセルに分割することに関連する。そのボクセルに対する各アンテナの寄与は、自由空間を通じる伝搬距離を見つけることによって合算される。画像化ステップと異なり、自由空間とテスト中の人体との間の境界である第1反射のみが考慮されるので、伝搬速度での付随電荷および誘電特性は考慮されない。
上記方法のひとつ(または任意の他の方法)、および、上記したマルチスタティックビーム形成プロセスを使って興味ある体積のおおよその位置を含む最初の3D頭部画像によって物体の境界が決定されると、方程式(1)および(11)が解法される。実際には、異なる計算方法が方程式(1)および(11)の微分方程式を解法するのに使用されてよいが、最も通常の方法は、有限差分および有限要素法である。それらは当業者にとって周知の方法であり、例えば、既存のソフトウエアパッケージ(以下の実施例で説明されるようなもの)によって与えられてよい。
説明した実施形態において、図6に示すように、断層画像システム900は、インテル(商標)アーキテクチャーのデータ処理システムを含み、図2および5に示しかつここで説明する断層画像プロセスを実行する。プロセスは、図10に示すようなコンピュータシステムに関連する不揮発性ストレージ1004(例えば、ハードディスクまたは固体ドライブ)に格納された一つ以上のソフトウエアモジュール1002のプログラミングインストラクションの形式で実装され、微分方程式(1)および(11)を解法するように構成されている。説明する実施形態において、断層画像処理を実装するソフトウエアモジュール1002は、商業的に入手可能なコンピュータソフトウエアパッケージCOMSOLマルチフィジックスを含む。しかし、断層画像プロセスは、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)および/または少なくともひとつのフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)のコンフィギュレーションデータのような一つ以上の専用ハードウエアコンポーネントの形式で代替的に実装可能である。
図10に示す実施形態において、システム1000は、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)1006、少なくともひとつのプロセッサ1008、および、外部インターフェース1010、1012、1014を有し、すべてはバス1016によって相互接続されている。外部インターフェースは、その少なくともひとつがキーボード1018およびマウス1019のようなポインティングデバイスに接続されているユニバーサル・シリアル・バス(USB)インターフェース1010、インターネットなどの通信ネットワークにシステム1000を接続されるネットワークインターフェースコネクタ(NIC)1012、およびLCDパネルディスプレイ122のようなディスプレイ装置に接続されたディスプレイアダプタ1014を含む。システム1000はまた、Linux(登録商標)またはMicrosoft Windows(登録商標)のようなオペレーティングシステム1024、および、任意でhttp://www.apache.orgから入手可能なApacheのようなウェブサーバーソフトウエア1026を含む一つ以上のソフトウエアモジュール10から1030を有して良い。
ここで説明する断層画像プロセスにより、従来技術の断層画像システムおよびプロセスによってかかる時間より短い時間で、物体(例えば、人間の頭部)内の特徴の3次元再構成画像が、同じコンピュータハードウエアを使って同じ精度で得ることが可能となる。
特に、既存の最新技術の方法を使って数時間かかる2次元再構成は、ここで説明する断層画像システムおよびプロセスによって3次元再構成が数秒で生成可能である。
<実施例>
EM逆問題の微分フォーマットの効率は、ある3次元問題を解くことによって実証された。すべてのシミュレーションは、インテル社のCorei7プロセッサ(3.60GHz)およびRAM(16GB)を有するパーソナルコンピュータを使って実行された。画像化用に使用されたソフトウエアは、方程式(1)に基づいたCOMSOL RFモジュールを含む有限要素法に基づいたCOMSOLマルチフィジックスであった。当業者に周知のように、このソフトウエアは、ユーザに対し、任意のタイプの偏微分方程式を利用することを可能にする、数学モジュールと呼ばれるインターフェースを与える。したがって、これら2つのCOMSOLモジュールは、順工程の際RFモジュールが方程式(1)を解き、逆工程の際数学モジュールが方程式(11)を解くように、画像を再構成するべく使用された。COMSOLモジュールを使用する際に、問題の設定はひとつの“スタディ”フレームワークの中に(1)および(11)の両方を有しなければならない点に注意すべきである。もしそれらが、2つのフレームワークにおいて別々に解法されれば、それらの収束は独立であり、図2の反復プロセスは実現されない。
以下で説明するすべての例において、画像アンテナレイは、75Ωのポートインピーダンスを有する8個の半波長ダイポールアンテナからなる。アレイは、13cmの半径を有する円であり、それは大人の頭を包囲するのに適している。また、画像化周波数は1.6GHzであり、それは、10cmのダイポール長を要求する。この周波数は、人間の頭の中にかなり浸透する。頭部の外側境界は、プライオリ情報として付与された。ここで説明する新規なプロセスを使用する際、シミュレーションにおいてマッチング媒体は仮定されない。しかし、比較のために、CSIによって補助される積分ベース法によって問題を解く際に適切なマッチングバックグラウンドが仮定された。信号対ノイズ比(SNR)は、ノイズ環境内での本技術のロバスト性をスタディするべく、すべてのシミュレーションにおいて20dB(Sパラメータにランダムな付加ノイズを付加することにより)である。
上述したように、新規な微分ベースで、かつ、従来技術の積分ベースの逆の散乱フレームワークは、基本的な違いを有する。制限されたCPU速度およびメモリ(ここで説明するような)を有するパーソナルコンピュータを使うとき、従来技術の方法は、方程式(5)を2次元の積分ベースの方程式として扱うこと、ひとつの軸線(いわばz軸)に沿った均質性を仮定すること、およびアンテナがポイントソースであると考えることを要求する。
実施例I 均質な人間頭部
第1の実施例において、1.6GHzでσ=1.17、ε=42の平均的な誘電特性を有する均質な人間頭部(COMSOLで利用可能)が画像化された。脳出血をエミュレートするために、1.6GHzでσ=1.92、ε=58.7の誘電特性を有する出血領域が、図7で示すように脳組織の内部に挿入された。この問題は、ここで説明する微分処理と、CSI法によって補助される積分ベースのトモグラフィーの両方によって解法された。CSI最適化は、方程式(5)によって記述される2次元問題に対して実行されるので、それは出血領域の中心を通るz=15cmのスライスに適用される。
ε=1およびσ=0の初期値は微分処理においてドメイン全体に対して仮定された。積分ベース法に対して、ε=40およびσ=1を有するバックグラウンドマッチング媒体が使用された。それは、1.6GHzにおいて頭部の平均誘電率特性に近く、画像化物体の特性は正確にはわからないことが仮定された。正確な平均値は、積分ベースの問題をシングルレイヤーの画像問題に単純化するので利用されなかった。ε=40およびσ=1のマッチング媒体が、シナリオをよりリアルにするために利用された。COMSOLマルチフィジックスで微分方程式法を利用するこの例に対するFEMメッシュ設定は、頂点要素の数が31個、エッジ要素の数が257個、境界要素の数が1449個、ドメイン要素の数が19306個というものである。
微分処理およびCSI法を使った収束速度が図8に示され、そこで最終状態は10-2に設定されている。解を得るために必要な反復回数は、微分およびCSI法においてそれぞれ10および100であった。微分処理における要素離散化は二次であり、解法は、より長い時間であっても、線形離散化より良い方法で突然の変化に従うことができる。明確に、FEMにおいて最高の精度を有する3次の離散化もまた利用可能であるが、それは、計算時間を非常に増加させる。微分処理の線形エラー削減手法(最適化)は、順および逆工程において方程式の2つの線形かつ決定された系を扱うので、各ステップは図8の上のグラフに見られるそれ自身の収束速度を有する。比較として、CSIは、単一の量(コントラストソースと呼ぶ)として電場および誘電率の両方を考慮し、したがって、その収束速度はひとつのプロットのみを含む(図8の下側のグラフ)。
微分処理における各ステップに対する反復時間は、順工程に対して6秒、逆工程に対して5秒であった。逆工程は、一次のPDEを扱うので、反復あたりの計算時間はしばしばより速い。トータルで、11秒かける10回の反復が110秒の再構成時間を与える。しかし、CSI法の各工程に対する反復時間は5.8秒であり、それに100回の反復回数をかけ算すると、580秒の画像再構成時間が与えられる。
CSIによる積分ベース法の解は、未知数よりも既知数がより少ないために、微分ベースの処理より遅く収束する。図9および10は両方の方法がかなり正確な結果に収束していることを示すが、重要な違いは、微分処理が3次元であり、かつ、その対応する計算時間および収束プロットが積分ベースの問題(5)にとってはラージサイズの問題に属するという点にある。比較したスライス(z=15)における微分処理での要素数は900であり、これはできるだけ公正な比較をするためにCSI法の画像数と等しい点に注意すべきである。微分処理の再構成された3次元画像から、z=14cm、z=15cm、z=16cmでの3つの典型的なスライスが図3に示されている。上述したように、画像は、より密なメッシュを使用することにより、より高次の離散化(3次)により、または、特定のレベルまでアンテナの数を増加させることにより、さらに改良可能である。次の例は、より現実的な問題の定量的解析の詳細を与える。
実施例II 異質の人間頭部
第2実施例は、ANSYS HFSSバイオモデルから導出された異質の人間頭部を考える。1.6GHzでの対応する誘電特性は、図11Aが、脳(ε=44およびσ=1.05)、図11Bが血液(ε=58.7およびσ=1.92)、図11Cが皮質および網目状頭蓋(ε=15.5およびσ=0.52)、図11Dが筋肉(ε=53、およびσ=1.25)、および図11Eが皮膚(ε=38.3およびσ=1.1)である。脳出血をエミュレートするために、1.6GHzで誘電特性を有する出血領域が、図12に示すように脳組織の内部に挿入され、z=15cmの脳出血の中心領域でカットされる。シミュレーションに含まれる組織の中で、脳の誘電特性はグレーおよびホワイトの物体の平均である。血液を脳に運ぶ動脈が血液の高い散乱効果を含むように考慮される。脳を覆う頭蓋は、皮質および網目状組織から成り、そこで、これらの2つの平均誘電特性が頭蓋の誘電率特性として考慮される。筋肉は、モデル内に含まれる他の重要な組織であり、頭蓋を覆い、高い誘電特性を有するため照射波を部分的に反射する。最後にこれの筋肉は皮膚に覆われ、その最初のレイヤーは画像アンテナによって送信されるEM波を部分的に反射する。図2に示すプロセスの最初のステップにおいて、頭部は、すべての組織の平均誘電特性(すなわち、1.6GHzでε=42およびσ=1.17)によって均質に満たされている(ドメインの残りは、自由空間である)。しかし、CSI最適化の元で方程式(5)を使用する場合、バックグラウンドマッチング媒体(ε=42およびσ=1.17)は頭部を含む画像ドメイン全体を満たす。この問題はマルチレイヤー異質物体を表し、マッチング媒体は含まれる組織すべての平均特性を有する。
微分処理および図13に示すCSI法に対する収束速度は、正しい解を求めるために、微分処理がCSIに要求される反復回数の29%のみを要求することを明らかにしている。順および逆解法は、各反復を完了するのにそれぞれ10および8秒を要求する。トータルで、630秒が画像を再構成するのに要求される。CSIにおいて、各反復ステップを完了するのに11秒が要求される。トータルで、1320秒が画像を再構成するのに要求される。この結果は、微分処理が、CSI最適化のもとでの方程式(5)に比べ2倍以上速いことを示す。
図14および15は、血液、脳の境界、および、脳梁(頭部の中心領域)を含む組織の荒い分布として再構成された画像を示す。この問題に対して使用されたFEMメッシュ設定は次のようである。頂点要素数が184個、エッジ要素数が1602個、境界要素数が6012個、ドメイン要素数が321387個である。図15(D)からわかるように、CSI最適化のもとで方程式(5)により再構成された導電率は、ボルタイック積分項を無視した結果としてかなり粗末である。
上述したように、回折効果は、マイクロ波トモグラフィーにおける非一意性の固有ソースである。この効果は、再構成画像に非線形な位相遅延および振幅減衰からの共鳴に似たパターンを生じさせる。これらの非線形変化は、Chewに記載の“エコー”効果として知られるものを生じさせる。迅速な画像化が優先である限り(救急医療など)、ターゲットの決定のみが重要な要求なので、エコー効果の存在は高い医学的重要性を有しない。しかし、救急でない場合において、この効果を削減するためにマルチ周波数と(長い計算時間を伴う)が使用され、続いてエコーフィルタによって周波数がゲートされる(Chewの論文の523ページに記載される)。
表1は、要素離散化が二次であり、異なるプロセスに対して単一の実験(付録で議論されるひとつの同時照射)が実行される場合の2つの実施例の計算時間およびローカリゼーションエラーを要約したものである。積分ベース法に対して、測定の各セットを付加することは、CSI最適化中に可能な解の空間を有意に制限するので、標準的な複数実験が実行される。しかし、既知数および未知数の数が線形微分処理において等しいので、可能解の空間は、連続または同時照射のいずれによっても影響されない。精度は、再構成誘電特性に基づく以下の寸法ローカリゼーションエラーによって定義される。
Figure 0007319255000095
ここで、mは、FEM内の要素数であり、Mは要素総数である。表1からわかるように、CSIによって補助される積分ベース法は、方程式(4)を方程式(5)に簡略化するのに使用される近似のため、精度が劣る。また、腫瘍の比誘電率は1.6GHzで約70であるので、図14CおよびDを参照すると、出血しているが、CSIは腫瘍の偽陽性検出を生じさせたことが明らかである。
Figure 0007319255000096
第2実施例はより現実的であるので、微分処理の計算時間および精度に対する影響ファクタの効果は以下で詳細にスタディする。任意の特定のアプリケーション(現場での医学的緊急アプリケーション、または、現場以外の非緊急アプリケーションのいずれか)に対して異なる影響ファクタ間の妥協が、最適な効率および精度を有するべくなされることが示される。
A.初期値の効果
画像再構成プロセスにおいて、ドメインの誘電特性に対する初期値が必要となる。図16は、計算時間におけるその値の効果を示す。適切な初期値は、反復回数を減少させることで計算時間を有意に削減するとともに、結果の精度を改善する。初期値が実際の平均値に近くなる場合、解は迅速に収束する。生物医学的アプリケーションにおいて、その値は、組織の誘電特性が一人の個人から他の個人に大きく変化しないことが知られている。本例において、他の設定は以下の通りである。M=329185、SNR=20dB、要素離散化が二次であり、単一実験が実行される(8個のアンテナがドメインを同時に照射する)。また、ノイズに対して解をロバストにするために良い状態の技術がすべてのシミュレーションにおいて適用される。
B.ノイズの効果
ノイズの効果をスタディするために、M=329185、要素離散化が二次で、かつ、単一実験が実行される場合、SNR=10dBからSNR=30dBの範囲で、測定されたSパラメータがランダムな付加ノイズによって汚染された。図17に示すように、ノイズの効果は、精度および計算時間において有意である。低いSNRにおいて、特定のエラー程度に達するのに、より多くの反復数が要求される。また、低いSNRに対して再構成画像の精度は、より高いSNRにおいて得られた画像より悪い。この結果は、良い状態のアルゴリズムが特定のレベルまでFEM解のノイズ感度を減少させることができるという事実によって説明可能である。また、高いノイズレベル(低いSNRにおいて)は、エバネセント波の信号レベルに達し、超えてもよい。したがって、エバネセント波まで上昇させる誘電特性の突然の変化は、もはや検出不可能である。
C.要素密度の効果
このサブセクションにおいて、再構成画像の計算時間および精度における適応メッシュの密度の効果が議論される。本例において、以下のようにパラメータが仮定される。SNR=20dB、要素離散化は二次、かつ、単一実験が実行される。図18に示すように、メッシュ数(M)の増加は、マトリクス計算の複雑さ(ここでは、FEM剛性マトリクス)とそのサイズとの間の関係が非線形であるので、各反復の計算時間を有意に増加させる。各反復においてより大きいマトリクス方程式を解くことは、より長い計算時間を要求する。結果の精度は改善されるが、この改善は小さくかつ緊急医療のアプリケーションにおける計算時間を犠牲にする価値はない。この小さい改善の理由は、より小さい要素は、画像化物体の構造をより正確にモデリングすることができるという点にある。反復の総回数は、メッシュ密度Mに対する35から、メッシュ密度3Mに対する29まで有意に減少する。
D.要素離散化の効果
SNR=20dBであり、かつ、単一の実験が実行される場合、より高次の要素離散化(3次)の実行は図19および20に示すようにローカリゼーションエラーを削減する。しかし、それは、各反復あたりの計算時間を増加させる。計算時間の増加の理由は、FEM剛性マトリクスのサイズの増加であり、それは、上述したメッシュ密度を増加させる際と同様の効果を有する。精度改善の理由は、FEM近似関数におけるより高次の非線形性が、未知の関数(すなわち、順工程での電場、および逆工程での誘電率)の突然の変化に従うべく近似関数に対してより高い能力を与えるという事実から生じるものである。これらの突然の変化は、ドメインの構造か、または、誘電率の値のいずれかで生じる。興味のある妥協は、各反復あたりの計算時間と、反復の総回数との間に発見される。より高次の離散化(3次)は各反復あたりの計算時間を増加させると同時に、反復の総回数を大きく減少させる。上述したように、これは、電場および誘電率の突然の変化に従う解法のより高い能力から生じる。
考えるべき最後のポイントは、FEM剛性マトリクスの状態数における、より高次の要素の効果である。FEM剛性マトリクスは、行および列の一つ以上の対がほぼ線形的に依存していれば、悪い状態である。言い換えれば、FEM剛性マトリクスの状態数は非常に大きい。これは、ドメイン要素の一つ以上の対がドメインの残りと十分な結合を有しない場合に生じる。提案したプロセスにおいて、この結合を増加させるための任意のマッチング媒体を利用していないので、この問題は、画像化物体(頭部)の内部ドメインに関して、アンテナを構成する要素間に存在する。要素離散化が線形である場合、それは、より少数の要素を利用し、したがって、より少数の要素の対が不十分な結合に直面し、対応する状態数はしばしばそれほど大きくはない。FEMの近似オーダーを増加させることは、問題ドメイン内の不十分に結合した要素の対の数を増加させ、ひいては、状態数を有意に増加させる。この効果は、微分処理の順工程に対して図20に示されている。逆工程の状態数はしばしば同じオーダーである。幸い、一次、2次、または3次のいずれかの離散化において、悪い状態問題に対処するのにピボッティングまたはプレコンディショニングアルゴリズムが使用可能である、3次離散化に対して、良い状態のアルゴリズムは、特定のレベルまでマトリクスの状態数を改善することができるので、ローカリゼーションエラーの改善は小さい。したがって、ある問題の状態数は、図20より大きくてもよく、3次の要素を使用することは再構成された誘電特性を悪化させうる。
E.アンテナ数の効果
本例は、最も単純なタイプのアンテナ、すなわち、物体を画像化するべく単一共鳴の細いダイポールアンテナを使用する。この特定のアンテナに対して、アンテナ数を8から20に増加させることにより、ローカリゼーションエラーが減少する。しかし、図21に示すように、この改善は、DOF(M=329185、SNR=20、要素離散化が二次である場合)と一致するその閾値に徐々に達する。このスタディにおいて、反復の総回数は、解の収束をサポートするべくより多くの測定値(境界条件)を有する結果として、8本のアンテナに対する35から、20本のアンテナに対する31までわずかに減少する。各反復の計算時間のわずかな増加は、各アンテナを付加することが要素の数をわずかに増加させ、ひいてはFEM剛性マトリクスのサイズをわずかに増加させるという事実によるものである。
F.FEM方程式のスパーシティ
スパーシティは、しばしば積分ベースの逆散乱問題で考慮されるが、微分処理にも適応可能である。定義によれば、EM逆散乱内のスパーシティは、スパース基底関数の一次展開による誘電率または電場(未知の関数)の表記である。したがって、所望するのは、上記展開によって形成された方程式の対応する線形システムを解くことである。積分ベース方程式において与えられるデータ数が未知のデータ数より少ないので、上記線形システムの方程式を解くために、スパーシティベースの正則化が、問題の不良設定を対処するのに利用される。その後、解は、測定およびシミュレーションから導出されたSパラメータ間のエラーを減少させる最適化アプローチを通じて見つけられる。スパーシティベース技術の重要な利点は、それが、多くのゼロ要素を有する方程式のスパース系を生じさせ、これが逆問題の計算処理を有意に加速させるということである。
同様に、FEMにおいても、未知の関数(例えば、誘電率または電場)は、スパース関数の一次展開(その対応する要素以外はゼロ)によって最初に表記される。その後、変分原理が、問題の対応する偏微分方程式の汎関数を形成する。これに続いて、リッツまたはガラーキン法に従い、汎関数はスパースシステムの方程式を通じて解を見つけるべく線形的に最小化される。この意味で、スパーシティのコンセプトは、FEMにおいても採用される。しかし、FEMとスパーシティベースの方法との間の差は、既知と未知のデータの数にある。スパーシティベースの方法において、上記数は等しくはないので、正則化は最適化処理を通じて方程式のシステムを解くのに使用される。一方、FEMに基づく提案するアプローチにおいて、上記数が等しくかつ方程式のシステムが線形であるので、スパーシティベースの正則化は必要でなく(使用可能ではあるが)、直接逆工程によって解が得られる。
Figure 0007319255000097
G.達成可能な精度
時間がさほど重要性を有しない非緊急シナリオにおいて、特定の例の内部で、提案する方法によって最適で達成可能な精度を評価することがしばしば特定の関心となる。この目的のために、図16から21に示す、提案する方法の精度における異なるファクタの効果に従い、以下の設定が図12の単一周波数問題に対する最終的な精度を達成するよう我々を導く。1)初期値はおおよそε=42、およびσ=1.17、2)SNR=25dB(より高いSNRは現実のシナリオにおいては達成不可能であることを仮定して)、3)DOFを満たすダイポールアンテナの数は20本、4)二次の要素離散化、5)適応メッシュ化(コンピュータ仕様に従う最適なメッシュ構成を画定する)。これらの設定は、0.018のローカリゼーションエラーを生じさせる。この最適化設定において、微分処理の順および逆工程に対する収束プロットは、それぞれ0.0067および0.0078に達する。上記パラメータ(4と5は適用不能なので除外)を有するCSIを使って問題を解くと、ローカリゼーションエラーが0.112、かつ、達成可能な収束が0.0045の結果となる。しかし、CSIのより良い収束は、CSIによる最適で達成可能な解を示すのみである。CSIにおける可能解のより大きい空間のため、より良い収束は必ずしも、収束したCSI解が微分処理よりも精確であることを示すものではない。
積分ベースのEM医学トモグラフィーは、問題を2次元に制約し、ひとつの空間座標軸に沿った均質性を仮定し、かつポイントソースとしてモデル化された画像アンテナを要求する厳しい制限を被る。これらの制限および近似は、3次元のグリーン関数に関連しており、それは、積分演算子のもとで導出不可能であるか、または、計算上広範囲におよぶ。EM医療トモグラフィーに対する提案する微分方程式は、初めて、FEMのようなグリーン関数に基づいていない周知の数値技術を通じてこのクラスの問題を解く可能性を与える。結果として、アンテナをポイントソースとして考慮するか、または、ひとつの座標軸線に沿ったドメインの均質性を仮定する通常の近似をせずに、3次元の正確な画像が迅速に再構成可能となる。この迅速かつ精確な画像再構成プロセスは、早期段階での傷の正しい所見が生存確率を大きく改善することが真実である、例えばプロスポーツまたは交通事故などの緊急医療シナリオにおいて重要な役割を果たす。
<付録I>
Sパラメータから境界条件を導出すること
この付録では、電場(数97)(銅のような良好な導体に対して接線成分はほぼゼロ)の法線成分を導出し、測定されたSパラメータからアンテナ導体における電流密度(数98)を導出する手法を説明する。
Figure 0007319255000098
Figure 0007319255000099
図22および23は、画像化のために使用される薄いダイポールアンテナ、Sパラメータが記録されるところのポート、各測定におけるポート励起を示す。
アンテナは、同時または連続で励起可能である。第1のアプローチは、画像アンテナの数と等しい数の同期したトランシーバを要求し、一方、第2のアプローチは、ひとつのトランシーバを要求する標準的な測定アプローチである。この付録は、測定を通じて、マルチスタティック照射を介した標準的アプローチによって記録されたデータが、画像再構成プロセスにおいて、同時照射を与えるべく、どのように組み合わされるかを詳細に説明する。
測定において、各アンテナのポート(例えば、i番目のアンテナ)は特定の電圧、例えばv incによって励起されるが、一方、他のすべてのアンテナポートは、マッチング状態に維持される。その後、この電圧はi番目のアンテナの導体表面上に電荷(ひいては、電流)を形成する。方程式(1)に定義されるように電磁気境界条件に従い、この電荷はその導体面全体にわたって電場の放線成分を形成し、一方、電場の接戦方向の成分は明確にゼロである。この場はその後ドメイン内に伝搬し、多重散乱の後、散乱電場の特定部分が、画像アレイの各アンテナ、例えばj番目のアンテナの導体表面に入射する。電場のこの部分は、次に、J番目のアンテナ導体面に電荷(ひいては電流)を印加し、対応して、電圧、例えばv sctをそのポートに印加する。標準的な定義に従い、2つの電圧v sctおよびv incの比率がSパラメータSijであり、それは、以下のように定義される。
Figure 0007319255000100
上記関係は、すべてのアンテナのポートに対して、以下のようにより一般化して書き換えることができる(Nはアンテナの数である)。
Figure 0007319255000101
言い換えれば、アンテナが(数101)の等しく規格化(一般化の損失なしで)された電圧によって、連続的に励起される場合、以下の関係が保持される。
Figure 0007319255000102
Figure 0007319255000103
実際に、これは、制御された参照信号を有する任意のベクトルネットワークアナライザまたはトランシーバを使って容易に実現できる。単純な操作により、以下のようになる。
Figure 0007319255000104
したがって、連続測定を完了した後に、各アンテナにおいて組み合わされた散乱電圧は、個別の散乱電圧の重ね合わせである。同時照射が使用されれば、それは同じ電圧である。方程式(A4)におけるこのトータル電圧は、散乱効果による各アンテナの導体面上での全電流密度および電場に対応する。それは入射電圧を含まない。表面電荷密度は、電場(εが乗算された)の放線成分と同一であり、かつ、表面電荷密度と、磁場の接線成分との間で同じ関係が有効であることに注意すべきである。したがって、電磁場を導出するのはこの目的のために十分であるので、電荷および電流密度を直接計算する必要はない。
アンテナポートでの全電圧は(数104)であり、全電流は(数105)である。
Figure 0007319255000105
Figure 0007319255000106
したがって、i番目のアンテナのポートが(数106)または(数107)によって励起される場合、i番目のアンテナの全導体表面上に形成される法線電場および電流密度は、まるでアンテナがドメインを同時に照射しているように、所望の(数108)および(数109)をほぼ示す。
Figure 0007319255000107
Figure 0007319255000108
Figure 0007319255000109
Figure 0007319255000110
電流に対する方程式での-vsctのマイナス符号(図22に見られる)は、電荷の保存則(または、回路理論のキルヒホッフの法則)を満足するために要求される。以下の表A1は、出血領域がある場合と無い場合で、図12に示す8個のダイポールアンテナのポートでの規格化された再構成電磁場を示す。
Figure 0007319255000111
このアプローチにおいて、i番目のアンテナが電流に対する(数110)または(数111)によってトモグラフィーの再構成処理中に励起される場合、他のすべてのアンテナおよび物体は、他のすべてのアンテナおよび画像ドメインのすでに含まれる効果を考慮する際の重複を避けるために、ドメインから除去されることに注意すべきである。
Figure 0007319255000112
Figure 0007319255000113
しかし、この空のドメインは、画像再構成ドメインではなく、アンテナ上で場および電流を近似的に再構成するためにのみ使用される点に注意しなければならない。導出された(数112)および(数113)は、その後、画像再構成ドメイン用の境界条件として方程式(11)に挿入され、図2の反復処理中に不変のままである。
Figure 0007319255000114
Figure 0007319255000115
また、ポートに対する電流励起を選択する際、実際の励起は(数114)であり、ここで、Zはそのポートでのアンテナのインピーダンス特性である点にも注意すべきである。
Figure 0007319255000116
パラメータvinc、vsct、vinc-vsct、vinc+vsctはすべて、含まれる例において1.6GHzで単音調和関数である。より正確には、このような単一周波数時間調和体制における(数115)および(数116)のようなすべてのEM波関数は、ポートにおいてその振幅および位相によって明確に定義される。
Figure 0007319255000117
Figure 0007319255000118
したがって、これらすべての量は、適当な重み付け関数によって単純に乗算することにより、互いに関してスケーリング可能である。それにもかかわらず、アンテナ表面における再構成電場および電流には2つの不可避的な制限が存在するため、アンテナ表面における場および電流の分布は、近似的にのみ導出可能である。最初に、問題のドメイン内の任意の構造の鋭角なエッジおよびコーナー(例えば、アンテナのエッジ)から反射して戻る場は、主にエバネセント波を生じさせる。この波は伝搬するに従い減衰する。結果として、それは、散乱信号のレベルがノイズレベルに近いとして散乱信号が記録される場合、アンテナのポートにおいて顕著なシグネチャーを有しない。第2に、物体が概して未知であり、かつ、図22に与えられるポートでの電圧が電場および電流の振幅および位相を再構成することのみが可能なので、アンテナの放射面上における電場および電流の分布をわずかに変形させる、画像化物体の誘電または容量の負荷効果は再構成できない。それにもかかわらず、電流および場分布がほぼ一次元であり、アンテナを横切る振幅および位相のみが重要であり、かつ、2次元場および電流分布が無視できる場合に、このアプローチはワイヤ状のアンテナに対して精確である。アンテナが物体に非常に近接し、かつ、物体の導電率が大きいときに、アンテナ上における画像化物体の負荷効果がしばしば現れる点を言及する価値はある。生物医学アプリケーションに対して、組織が大きい導電率を有しない場合、最初のケースは、負荷効果を最小化するべくアンテナの距離を調節することによって考慮されなければならない。
例として、説明したアプローチにおける上記制限の効果を見るために、図4Fに示すひとつのアンテナにおける電場および電流密度の法線成分の分布が、実際の分布と比較して説明したアプローチを使って図24および25にそれぞれ示されている。見てわかるように、計算結果は、実際の値に非常に近い。分布内の小さい差は、アンテナエッジからの急速に減衰するエバネセント波によるものであり、それは、このアプローチを通じて十分に再構成されない。使用されたアンテナはワイヤ状であるので、場および電流は主に一次元分布を有し、上記した第2の制限の効果は無視できる。エバネセント波を精確に含むことができないということは、アンテナポートから遠いアンテナのエッジを横切る図12の再構成画像スライス(図26および27)が、ポートにより近いスライスに対する図14および15に示すものと同じくらい精確ではないということを意味する。ワイドで平坦なアンテナ上における説明した制限のインパクトを見るために、先の調査が同じ周波数(1.6GHz)で動作し、1.6mm厚のFR4上に設計されたパッチアンテナ上で繰り返された。計算された場分布は、実際の分布と比較して図28に示されている。再構成分布は、実際のものに近いが、主にアンテナの中央における場分布のわずかな変形が、実際のケースには見られる。それは、ここで説明するプロセスによって再構成されない。既存の二次元の方法と比較すると、それは画像化物体の場および電流特性を再構成するべくひとつのポイントのみで散乱される場を利用するが、説明したプロセスはアンテナの構造全体にわたって、かなりよく散乱場および電流を再構成する。したがって、説明したプロセスは、画像プロセスに対する付加的な有効情報を与え、特に迅速な生物医学イメージングに対するトモグラフィーを有意に改善する。
本願発明の態様から離れることなく、多くの修正が可能であることは当業者の知るところである。
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Claims (19)

  1. 断層画像プロセスであって、
    境界S上で物体の周りに配置された複数のアンテナから生じ、前記物体の内部の特徴によって散乱される電磁波を表す散乱パラメータデータにアクセスする工程と、
    前記物体の内部の特徴の空間分布を表す再構成画像を生成するべく前記散乱パラメータデータを処理する工程と
    を備え、
    前記処理する工程は、
    電磁気逆問題を解く工程であって、逆問題の順および逆工程は、電場に対する値を決定するための前記電場に関連する各微分方程式として表されかつ解法される、ところの工程と、
    前記物体の内部の一つ以上の電磁気特性の一つ以上の空間分布を表す、再構成画像データを生成するべく、前記電場の決定された前記値を処理する工程と
    を有
    前記散乱パラメータデータを処理する工程は、前記物体の前記散乱パラメータデータ、および、複数の異なる散乱媒体に対する予め定められたトレーニングデータを処理することにより、前記物体の誘電率値を推定する工程を含み、
    前記予め定められたトレーニングデータは、それぞれ異なる誘電率値を有する異なるトレーニング散乱媒体による散乱に対する散乱パラメータの関数と、前記それぞれ異なる誘電率値との間の二次の関係を表す回帰係数を含む
    ことを特徴とするプロセス。
  2. 前記逆工程は、以下に示す微分方程式および境界条件(BC)によって表され、
    ここで、E1nおよびE2nは、境界S上に記録された、乱電場E scatおよびE=E inc+E scatである射電場E incから導出される前記境界Sの両側における前記電場のつの法線成分である、
    ことを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
  3. 前記順工程は、以下に示す微分方程式および境界条件(BC)によって表される、ことを特徴とする請求項1または2に記載のプロセス。
  4. 前記散乱パラメータの関数は、以下の式に従うバリオグラムであり、
    ここで、hは、j番目とk番目の送信アンテナ位置の間の距離であり、SijはN個の周波数サンプルを使ってj番目のアンテナから送信されi番目のアンテナで受信した信号であり、N(h)は、観察ijおよび観察ikの対のセットを記述し、ここで|rij-rik|=hであり、|N(h)|はセット内のペアの数であり、前記物体の前記誘電率値を推定する工程は、前記物体の前記散乱パラメータデータから対応するバリオグラムを生成する工程を含む、ことを特徴とする請求項に記載のプロセス。
  5. 以下に示すi番目の受信器(数120)の視点からの有効誘電率を表す工程を含み、
    ここで、s={γ,h}、(数122)は、二次回帰関数ベクトルであり、(数123)は最小化エラーz(s)に対して計算されるべき回帰係数の7×1ベクトルである、ことを特徴とする請求項に記載のプロセス。
  6. 前記アンテナに前記物体上へ電磁波を放射させるべく、前記物体の近くに配置された前記複数のアンテナを励起する工程を含む、請求項1からのいずれか一項に記載のプロセス。
  7. 前記物体の内部の前記特徴によって散乱された前記電磁波を検出し、かつ、前記検出に基づいて前記散乱パラメータデータを生成する工程を含む、請求項1からのいずれか一項に記載のプロセス。
  8. 前記物体の内部の前記特徴によって散乱された前記電磁波は、前記アンテナによって検出される、ことを特徴とする請求項に記載のプロセス。
  9. 前記散乱パラメータデータを処理する工程の前に、前記物体の境界を決定する工程を含み、前記再構成画像は、前記物体の決定された前記境界に基づいて生成される、ことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のプロセス。
  10. 前記物体の前記境界は、前記アンテナから前記物体までの距離と、対応する反射係数との間の関係から決定される、ことを特徴とする請求項に記載プロセス。
  11. 前記アンテナから前記物体までの距離と、それぞれの共鳴周波数との間の関係を決定する工程を含み、前記境界は前記関係に基づいて決定される、ことを特徴とする請求項に記載のプロセス。
  12. 前記アンテナから前記物体までの距離と、散乱パラメータS11のそれぞれの測定値との間の関係を決定するべく、ベクトルネットワークアナライザのポートキャリブレーションを使用する工程を含み、前記境界は前記関係に基づいて決定される、ことを特徴とする請求項に記載のプロセス。
  13. 前記アンテナから前記物体までの距離と、前記アンテナの入力インピーダンスとの間の関係を決定する工程を含み、前記境界は前記関係に基づいて決定される、ことを特徴とする請求項に記載のプロセス。
  14. 前記物体の周りの周波数ドメイン反射係数を測定し、前記周波数ドメインの測定値を時間ドメインの測定値に変換するべく周波数時間ドメイン変換を使用し、前記物体の前記境界を決定するべく前記時間ドメインの測定値を空間ドメインにマッピングするよう前記アンテナのジオメトリを使用する工程を含む、請求項に記載のプロセス。
  15. データ処理システムの少なくともひとつのプロセッサによって実行される際、請求項1から14のいずれか一項に記載されるプロセスを、前記少なくともひとつのプロセッサに実行させる、プロセッサ実行可能なインストラクションを格納したコンピュータ読み取り可能記憶媒体。
  16. 断層画像システムであって、メモリおよび少なくともひとつのプロセッサを有するデータ処理コンポーネントを備え、前記少なくともひとつのプロセッサは、
    境界Sにおいて物体の周りに配置された複数のアンテナから生じ、前記物体の内部の特徴によって散乱される電磁波を表す散乱パラメータデータにアクセスし、
    前記物体の内部の特徴の空間分布を表す再構成画像を生成するべく、前記散乱パラメータデータを処理するように構成されており、前記処理は、
    電磁気逆問題を解法する工程であって、前記逆問題の順および逆工程は、電場に対する値を決定するための前記電場に関連する各微分方程式として表されかつ解法される、ところの工程と、
    前記物体の内部の一つ以上の電磁気特性の一つ以上の空間分布を表す再構成画像データを生成するべく前記電場の決定された前記値を処理する工程と
    を有し、
    前記散乱パラメータデータを処理する工程は、前記物体の前記散乱パラメータデータ、および、複数の異なる散乱媒体に対する予め定められたトレーニングデータを処理することにより、前記物体の誘電率値を推定する工程を含み、
    前記予め定められたトレーニングデータは、それぞれ異なる誘電率値を有する異なるトレーニング散乱媒体による散乱に対する散乱パラメータの関数と、前記それぞれ異なる誘電率値との間の二次の関係を表す回帰係数を含む、ことを特徴とするシステム。
  17. 前記逆工程は、以下に示す微分方程式および境界条件(BC)によって表され、
    ここで、E1nおよびE2nは、境界S上に記録された、乱電場E scatおよびE=E inc+E scatである射電場E incから導出される前記境界Sの両側における前記電場のつの法線成分である、
    ことを特徴とする請求項16に記載のシステム。
  18. 前記順工程は、以下に示す微分方程式および境界条件(BC)によって表される、ことを特徴とする請求項16または17に記載のシステム。
  19. 前記少なくともひとつのプロセッサは、前記物体の近くに配置された複数のアンテナに、前記物体上に電磁波を放射させるようさらに構成されている、ことを特徴とする請求項16から18のいずれか一項に記載のシステム。
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Maryam Naseri,Microwave Tomography for Breast Cancer Detection,Master's thesis in Master's of Biomedical Engineering,Department of Signals and Systems, CHALMERS UNIVERSITY OF TECHNOLOGY, Sweden,2015年,pp.1-53,https://publications.lib.chalmers.se/records/fulltext/222890/222890.pdf

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