JP7318559B2 - 防音部材及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、木材と、木材に固着された被覆材とを備え、木材と被覆材の間に、防音性に寄与する空隙部が設けられている防音部材及びその製造方法に関する。
この種の防音部材は、騒音対策の観点から各種の構造体に用いられており、とりわけ車両の構成部材として好適に用いられている。そして防音部材では、優れた性能を確保する観点から、比較的軽量で且つ遮音性に優れる木材と、この木材とは異なる防音性を備えた被覆材とを用いることがある。例えば特許文献1に開示の防音材料は、木製合板からなる支持板に、グラスウールやウレタンフォーム製の多孔質層が、制振塗料を介して密着して固着されている。こうして特許文献1の防音材料は、各種の騒音に対応する観点から、支持板の遮音性と多孔質層の吸音性を兼ね備えている。
しかし特許文献1に開示の防音部材では、遮音性や吸音性が素材の種類に左右される傾向にあり、使用された素材によって防音可能な音の範囲がおのずと定まってしまう。ここで特許文献2(図6)に開示された断熱材では、発泡樹脂製の下地材と、グラスウール製の吸音材とが積層されて接着されている。そして下地材には、スリット状の吸音凹部が設けられ、この吸音凹部の開口が吸音材で覆われている。このように特許文献2では、下地材と吸音材の間に吸音凹部を設け、この吸音凹部に入射した音をヘルムホルツの共鳴原理を利用して吸音することができる。そこで特許文献2の技術を適用して、防音部材に、木材の遮音性及び被覆材の吸音性とともに、ヘルムホルツ共鳴による吸音性を持たせることで、各種の騒音に対して更に適切に対応することが可能となる。
特開平10-141434号公報 特開2003-138668号公報
ここで特許文献2の構成を適用した場合、木材又は被覆材にスリット状の吸音凹部(空隙部)を設ける必要がある。しかし吸音凹部を形成することによって木材や被覆材が極端に薄くなる(肉欠け状態となる)ことは、防音部材の強度性を確保する観点などから、すんなり採用できる構成ではない。また木材等に吸音凹部を設ける後工程が必要となり、このような後工程は、製造時の手間が増えることを意味し、製造コスト増加の一因となる。本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、より優れた防音性を確保しつつ、木材と被覆材を性能良く固着しておくことにある。
上記課題を解決するための手段として、第1発明の防音部材は、木材と、木材に固着された被覆材とを備え、木材と被覆材の間に、防音性に寄与する空隙部が設けられている。本発明の防音部材では、木材と被覆材の間に設けられた空隙部によって、より優れた防音性を確保するのであるが、この種の構成では、木材と被覆材を性能良く(例えば強度を維持しつつ)固着しておくことが望ましい。
そこで本発明の被覆材は、交絡状態の複数の繊維体と、繊維体の交絡状態を保持する熱可塑性樹脂とが含まれているとともに、被覆材の少なくとも一部に、繊維体が疎な状態で交絡することで形成された多孔質構造が設けられている。そして本発明では、多孔質構造と木材の間に空隙部をなす隙が設けられるように、被覆材が木材から離れる向きに曲がり変形している。本発明の防音部材では、木材の遮音性とともに、被覆材に設けられた多孔質構造によって吸音性を確保している。そして本発明では、被覆材を適宜の向きに曲折させて多孔質構造と木材の間に空隙部を設けているため、木材等を部分的に薄くする必要がなく、防音部材の優れた性能の確保に資する構成となっている。
また発明の防音部材は所定の容量の隙で形成された第一の空隙部と、第一の空隙部に比して容量の大きい隙で形成された第二の空隙部とが設けられている。本発明の防音部材は、容量の異なる空隙部を設けることで、より幅広い周波数の音の防音に資する構成となっている。
発明の防音部材は、第1発明防音部材において、被覆材の単位面積当たりの重量となる目付量が、木材に固着している箇所と多孔質構造が形成されている箇所で同等である。本発明では、被覆材の目付量を全体的に同等となるように設定して、目付量不足による部分的な脆弱化を回避することにより、防音部材の強度性をより適切に確保することが可能となる。
発明の防音部材の製造方法は、第1発明又は発明の防音部材の製造方法であり、下記の第一工程と第二工程を行うことで、防音部材の製造時の手間を軽減することができる。すなわち第一工程では、複数の繊維体が密に交絡して熱可塑性樹脂にて固められている基材を用意し、基材の熱可塑性樹脂を熱で溶かして繊維体の交絡を緩めることにより、複数の繊維体が疎な状態で交絡した多孔質構造を形成する。また第二工程では、第一工程にて形成された被覆材と木材を部分的に押圧してこれらを固着する。そして第二工程の際に、熱可塑性樹脂が溶けた状態を維持して、多孔質構造の形成された箇所を自重によって木材から離れる向きに移動させることにより、被覆材を木材から離れる向きに曲がり変形させて、多孔質構造と木材の間に空隙部をなす隙を設ける際に、所定の容量の隙で形成された第一の空隙部と、第一の空隙部に比して容量の大きい隙で形成された第二の空隙部とを設けることとした
本発明の製造方法では、被覆材(多孔質構造)を形成する第一工程において、基材の熱可塑性樹脂を熱で溶かして繊維体の交絡状態を緩めるという簡便な手法を採用している。また第二工程では、被覆材の多孔質構造を自重で移動させて、被覆材を、木材との間に空隙部ができるように曲げている。このように第二工程において、被覆材を自重で曲げながら木材に固着することで、空隙部を別途形成する後工程が不要となり、製造時の手間の軽減に資する構成となる。
発明の防音部材の製造方法は、第発明の防音部材の製造方法において、木材と被覆材を重ねた状態で圧着可能な第二工程用の成形型に、木材と被覆材を重ねて載置可能な載置面が設けられている。そして載置面には、多孔質構造の形成された箇所が木材から離れる向きに移動することを許容する凹部が形成されている。本発明では、第二工程用の成形型の凹部に被覆材の多孔質構造を配置して、この多孔質構造の自重による移動を許容することにより、木材との間に空隙部をより確実に形成することができる。
本発明に係る第1発明によれば、より優れた防音性を確保しつつ、木材と被覆材を性能良く固着しておくことができる。また第発明によれば、防音性の更なる向上を図ることができる。また第発明によれば、木材と被覆材を更に性能良く固着しておくことができる。また第発明によれば、製造時の手間の軽減を図りながら、より優れた防音性を確保しつつ、木材と被覆材を性能良く固着することができる。そして第発明によれば、優れた防音性をより確実に確保しつつ、木材と被覆材を性能良く固着することができる。
車両の概略斜視図である。 図1のII-II線断面に相当する防音部材の概略断面図である。 空隙部を示す防音部材の拡大概略断面図である。 ヘルムホルツ共鳴器の概略図である。 基材の概略斜視図である。 第一工程を示す各部材の概略図である。 第二工程を示す各部材の概略図である。 成形型に載置される際の木材と被覆材の概略断面図である。 第二工程の際の木材と被覆材の概略断面図である。 吸音特性試験に使用する試験サンプルの概略断面図である。 図10のXI-XI線に相当する部分の被覆材の平面図である。 吸音特性試験の結果を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態を、図1~図12を参照して説明する。図1~図3には、便宜上、車両の前後方向と左右方向と上下方向を示す矢線を図示する。また図6~図9では、製造過程における防音部材を基準として、その前後方向と左右方向と上下方向を示す矢線を適宜図示する。
[車両の概要]
図1に示すトラックTRは、キャビンをなすボディ2Tと、ボディ2Tの後側の荷台3Tを有する車両であり、荷台3Tの床面側には防音部材2が設置されている。この防音部材2は、図1及び図2を参照して、上方視において概ね矩形に形成された板状部材であり、荷台3Tの床面をなす外装材として使用されている。そして防音部材2では、ロードノイズやエンジン音などの各種の騒音に対応する観点から、遮音性を有する木材4に、吸音性を備えた被覆材10を固着している。さらに本実施形態では、木材4と被覆材10の間に空隙部(31~33)を設け、この空隙部(31~33)によって、より優れた防音性を確保している。この種の構成では、防音部材2が車両の構成部材に使用されることを考慮して、木材4と被覆材10の性能(強度性等)を適切に確保することが望ましい。そこで本実施形態では、後述する構成によって、より優れた防音性を確保しつつ、木材4と被覆材10を性能良く固着しておくこととした。以下、防音部材2の各構成とその製造方法について詳述する。
[木材]
図2に示す木材4は、所定の厚み寸法を持った概ね矩形の板状部材であり、防音部材2の上側に配置されている。この木材4は、外部への露出が想定されている表側(図2の上面)の表面部位5と、表面部位5とは反対の裏側(図2の下面)の裏面部位6と、表面部位5と裏面部位6の間に配置する周面部位7とを有している。そして表面部位5と裏面部位6は、概ね同形同寸の平坦面であり、両面部位5,6の外形にて木材4の前後左右の外形寸法が規定されている。ここで木材4の素材は、適度な強度を備える限り特に限定しないが、スギやヒノキやマツなどの針葉樹、ラワンやケヤキやブナなどの広葉樹から採取でき、製材品(無垢材)でもよく、成形部材(MDF)や合板材や集成材や積層材などの木質品でもよい。なお木材4は、強度性と軽量性の観点から適度に乾燥していることが望ましく、例えば含水率を8%以下に設定することができる。
[被覆材]
図2に示す被覆材10は、木材4の裏面部位6を被覆している板状部材であり、防音部材2の下側(路面側)に配置されている。この被覆材10は、交絡状態の複数の繊維体12と、これら繊維体12同士の交絡状態を維持する熱可塑性樹脂14とを有している(各図2では、便宜上、特定の繊維体12にのみ符号12を付している)。そして被覆材10には、後述するように、吸音性に寄与する多孔質構造22と、木材4に固着するための固着部20とが適宜の位置に設けられている。
[繊維体]
ここで図2に示す繊維体12の素材は、適度な強度性を備えている限り特に限定されず、有機系の繊維体や無機系の繊維体を選択又は併用して用いることが可能である。無機系の繊維体の素材として、無アルカリガラスや低アルカリガラスや含アルカリガラスなどのガラス組成を備えたガラス繊維、PAN系やピッチ系のカーボン繊維、セラミック繊維、金属繊維、ボロン繊維、活性炭繊維を例示できる。また有機系の繊維体の素材として、アラミドなどの芳香族ポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂繊維、ポリベンズアゾール樹脂繊維、ポリアリレート繊維、動物系又は植物系の天然繊維を例示できる。なかでもガラス繊維やカーボン繊維やアラミド繊維製の繊維体12は、耐熱性に優れて溶けにくく(分解しにくく)、さらに適度な強度性を有して耐衝撃性に優れているため、繊維体12として好適に使用することが可能である。
そして図2に示す被覆材10では、繊維体12同士が三次元的にランダムに交絡して一体化されており、これら繊維体12全体が連続繊維をなすように途切れなく連続的に配置している。なお繊維体12の平均繊維長は所望の交絡状態を確保できる限り特に限定しないが、例えばガラス繊維の場合には、典型的に10mm以上であり、好ましくは20mm以上である。また繊維体12の繊維径(繊度)も特に限定しないが、例えばガラス繊維の繊維径は、強度性を考慮して通常3~25μmに設定され、好ましくは10~23μmに設定される。また被覆材10全体における繊維体12の重量比は、被覆材10に求められる性能に応じて適宜設定可能であり、典型的に20~80重量%の範囲に設定され、熱可塑性樹脂14の保持性と強度性を確保する観点から30~70重量%の範囲に設定されることが望ましい。そして被覆材10では、その全体に繊維体12を含ませておくことができ、後述の多孔質構造22の形成位置を考慮して繊維体12を一部にのみ密集させて含ませておくこともできる。
[熱可塑性樹脂]
また図2に示す熱可塑性樹脂14は、繊維体12同士の交絡状態を保持する固形の成分であり、溶けた状態において適度な流動性を有していることが望ましい。すなわちこの種の熱可塑性樹脂14では、ISO1133に準拠して230℃及び21.18Nの条件で測定したメルトフローレイトの値が10g/10min以上であることが好ましく、より好ましくは同値が25g/10min以上、更に好ましくは同値が35g/10min以上である。そして本実施形態では、上述のように流動性に優れる熱可塑性樹脂14を用いることで、後述する製造方法にて、被覆材10の自重による移動がスムーズに行われる。なおメルトフローレイトの値が10g/10min未満の熱可塑性樹脂14を用いる場合には、後述の製造工程の際に被覆材10の自重による移動に時間を要し、木材4との間に所定の容量の隙を形成しにくくなる。なおメルトフローレイトの上限値は、所望の被覆材10を製造できる限り特に限定しないが、メルトフローレイトの値が極端に大きいと、溶けた熱可塑性樹脂14の大部分が繊維体12から溶け落ちる等の不具合が生じやすい。
そして上述の熱可塑性樹脂14として、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、アラミドなどの芳香族ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(エチレン-2,6-ナフタレート)、ナイロン(ポリアミド)等のポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(熱可塑性タイプ)、ポリフェニレンスルファイド樹脂、プロピレン-エチレン共重合体、ポリスチレン樹脂、芳香族ビニル系単量体と低級アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体、テレフタル酸-エチレングリコール-シクロヘキサンジメタノール共重合体、ポリメチルメタクリレート等の(メタ)アクリル樹脂を例示できる。なかでもポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂は、適度な強度を備えて耐水性に優れているため、熱可塑性樹脂14として好適に使用することが可能である。そして本実施形態では、これら熱可塑性樹脂14を、所望の流動性を有するように、単独又は2種以上を混合して使用することができる。なお熱可塑性樹脂14には、その性能や流動性の向上に寄与する成分を添加剤として含むことができる。この種の添加剤として、耐光剤、酸化防止剤、熱安定化剤、難燃剤、金属不活性剤、帯電防止剤、分散剤、滑剤、酸変性ポリプロピレンを例示できる。
[固着部]
そして図2に示す被覆材10には、木材4との固着箇所である固着部20と、吸音性に寄与する多孔質構造22とが設けられている。ここで固着部20は、熱可塑性樹脂14が木材4に固着している箇所であり、被覆材10の適宜の位置に形成することができ、例えば被覆材10の周縁部分に形成することができる。そして固着部20では、被覆材10の厚み寸法が小さくなるように熱可塑性樹脂14が押し固められており、交絡状態の繊維体12同士が相対的に密に配置されている。このため固着部20は、相対的に硬く締まった状態となり、木材4とともに優れた遮音性を発揮することができる。
[多孔質構造]
また図2に示す多孔質構造22は、繊維体12同士が相対的に疎な状態で交絡した箇所であり、固着部20に比して厚み方向の寸法が大きくなっている。この多孔質構造22では、隣り合う繊維体12の間に隙間が生じ、この隙間が被覆材10の厚み方向に連なるように形成されている。このため多孔質構造22を音が通過する際に、その内部の空気や繊維体12との摩擦等によって、音のエネルギーの一部が熱エネルギーに変換されて吸音効果が発揮される。そして多孔質構造22の形成された箇所は、固着部20に比して厚み寸法が大きいため、より優れた吸音性の確保に資する構成となっている。なお多孔質構造22による吸音性は、例えばその通気度で設定でき、JIS L 1096 A形又はB法に準拠して測定できる。そして一般的な多孔質素材の通気度は0.5~25cc/cm/secの範囲に設定されていることが多い。
[被覆材の目付量]
ここで図2に示す被覆材10の多孔質構造22は、後述する製造工程の際に、繊維体12の内部応力を利用して形成されるため、その構成成分(不可避的に含まれる揮発成分を除く)の損失がほとんどない。このため本実施形態の被覆材10は、その単位面積当たりの重量となる目付量が、固着部20の形成されている箇所と、多孔質構造22の形成されている箇所で同等となっている。こうして被覆材10の目付量を全体的に同等となるように設定して、目付量不足による部分的な脆弱化を回避することにより、防音部材2の強度性をより適切に確保することが可能となる。なお固着部20の平均目付量を100とした場合、多孔質構造22の平均目付量が100±10の範囲にあるならば、これら両箇所の目付量は同等とみなすことができる。そして平均目付量の測定手法として、各箇所において任意の部分で測定した5点の目付量より平均値を算出する手法を例示できる。
そして防音部材2では、図2に示すように被覆材10の多孔質構造22が木材4に対して離間する向きに曲がり変形している。例えば本実施形態の被覆材10は、その左右の周縁に固着部20が設けられ、これら左右の固着部20は、木材4に密着した状態で配置されている。また左右の固着部20の間には多孔質構造22が形成され、この多孔質構造22が形成された箇所は木材4から離れる向きである下方に段差状に屈曲している。すなわち多孔質構造22では、右側の固着部20に隣接するように一段低くなっている右側領域22aが形成され、左側の固着部20に隣接するように一段低くなっている左側領域22bが形成されている。そして図2及び図3を参照して、右側領域22aと左側領域22bの間には、これら両領域22a,22bよりもさらに一段低くなっている中央領域22cが形成されている。
[空隙部]
こうして図2に示す防音部材2では、多孔質構造22が下方に曲がり変形していることで、多孔質構造22と木材4の間に空隙部(31~33)をなす隙が設けられている。ここで防音部材2には、単数の空隙部を設けてもよいが、本実施形態では、幅広い音に対する吸音性を確保する観点から複数種類の空隙部を設けている。すなわち防音部材2では、図3に示すように木材4と右側領域22aの間に隙C1(上下の隙間)が設けられ、この隙C1によって右側第一空隙部31が形成されている。また同様に木材4と左側領域22bの間にも隙(C1と同寸の隙)が設けられ、この隙によって左側第一空隙部32が形成されている。そして両第一空隙部31,32の容量は、木材4との隙C1が意図的に狭くなるように設定されることで相対的に小さくなっている。また木材4と中央領域22cの間に隙C2が設けられ、この隙C2によって第二空隙部33が形成されている。この第二空隙部33の容量は、木材4との隙C2が意図的に広くなるように設定されることで、各第一空隙部31,32よりも大きくなっている。すなわち本実施形態では、右側第一空隙部31と左側第一空隙部32が本発明の第一の空隙部に相当し、第二空隙部33が第二の空隙部に相当する。そして防音部材2では、多孔質構造22を通じて各空隙部31~33に入射された音を、後述するヘルムホルツの共鳴原理によって減衰して吸音することが可能となっている。
[ヘルムホルツの共鳴原理]
ここでヘルムホルツの共鳴原理を図4に示すヘルムホルツ共鳴器50を基に説明すると、このヘルムホルツ共鳴器50では、吸音される音の周波数を、共鳴器の内部空間51と連通部52の構成で規定できる。すなわちヘルムホルツ共鳴器50において、共鳴器の内部空間51の内部体積をV(cm)、共鳴器の連通部52の長さをL(cm)、共鳴器の連通部52の開口OPの半径をa(cm)、音速をc(cm/s)としたとき、共鳴器の連通部52に入射する音の周波数f(Hz)は、以下の式(1)により求めることができる。そしてヘルムホルツ共鳴器50では周波数fの音を吸音可能であり、この周波数fは、共鳴器の内部空間51の体積Vと連通部52の長さLの平方根に反比例し、共鳴器の連通部52の開口面積πa(開口率)の平方根に正比例する。
式1:f=(c/2π)×√(πa/(V(L×0.6a)))
そして図2及び図3に示す各空隙部31~33の容量(体積)は、防音すべき音の周波数に応じて適宜設定することができる。すなわちヘルムホルツの共鳴原理によると、体積の小さい空隙部では相対的に高周波の音を減衰でき、体積の大きい空隙部では相対的に低周波の音を減衰できる。そこで防音部材2では、容量の小さい右側第一空隙部31及び左側第一空隙部32によって相対的に高周波の音を減衰して吸音でき、容量の大きい第二空隙部33によって相対的に低周波の音を減衰して吸音できる。このため本実施形態の防音部材2は、容量の異なる複数種類の空隙部31~33を設けることで、より幅広い周波数の音の防音に資する構成となっている。またヘルムホルツの共鳴原理では、連通部を長くすることで入射する音の周波数f(Hz)が次第に小さくなっていく。そして本実施形態では、連通部の長さに相当する多孔質構造22の厚みが相対的に大きいため、とりわけロードノイズのような低周波及び中周波の吸音により適した構造となっている。
[防音部材の製造方法]
図2に示す防音部材2の製造方法では、下記の第一工程と第二工程とを行うことで、その製造時の手間を軽減することが可能となっている。ここで後述の第一工程においては、図5に示す基材10Xを用意し、この基材10Xでは、複数の繊維体12が密に交絡して熱可塑性樹脂14にて固められている。この種の基材10Xとして、独自に成形した基材を使用してもよく、市販されている基材を使用してもよい。例えば基材10Xとして、クオドラント・プラスチック・コンポジット社製のガラスマット強化熱可塑性プラスチック(GMT又はGMTex(登録商標))、ボンドラミネーツ社製の強化熱可塑性プラスチック(CFRTP又はGFRTP、商品名:tepex(登録商標))を好適に使用できる。そしてこの種の基材10Xにおいては、例えば0.3MPa以上の圧で厚み方向に押し縮められた交絡状態の繊維体12が熱可塑性樹脂14にて保持(拘束)されており、この交絡状態の繊維体12には、元の膨らんだ状態に戻ろうとする内部応力が生じる。
[第一工程]
図5及び図6を参照して、第一工程では、基材10Xの熱可塑性樹脂14を熱で溶かして繊維体12の交絡を緩めることにより、複数の繊維体12が疎な状態で交絡した多孔質構造22を形成する。例えば本実施形態では、ベルトコンベア40に載置した複数の基材10Xを、箱状のオーブン41内に順次送り込んでいく。このオーブン41内の設定温度は、熱可塑性樹脂14が溶けて流動可能な温度に設定され、その上限値は、繊維体12が軟化しない温度に設定されている。例えば熱可塑性樹脂14としてポリプロピレン(単独重合の場合の融点は160~165℃)を使用する場合、オーブン41内の設定温度を190℃~260℃の温度域に設定することにより、この熱可塑性樹脂14を溶けた状態(軟化又は溶融状態)とすることができる。また繊維体12としてガラス繊維やカーボン繊維を用いる場合、これらの軟化点等は800℃以上であり、上述のオーブン41内の温度よりもはるかに高温である。このため基材10X中の繊維体12は、オーブン41内においてもその外形形状を維持し、元の状態に戻ろうとする内部応力を維持している。
そこで第一工程では、図5及び図6を参照して、オーブン41の熱で熱可塑性樹脂14を溶かして、繊維体12に対する拘束力を弱めることにより、密に交絡している繊維体12が内部応力によって元の膨らんだ状態に戻っていく。そして交絡状態の繊維体12が膨らんでいくに従って、繊維体12同士の交絡が緩められて次第に疎な状態となることで、この基材10Xが、多孔質構造22を備えた被覆材10に成形されることとなる。こうして本実施形態では、基材10Xがオーブン41内を通過していくにしたがって次第に厚み寸法が大きくなり、このオーブン41を出た際には、多孔質構造22の形成された被覆材10となっている。そして被覆材10の多孔質構造22は、複数の繊維体12が疎な状態で交絡しており、これら各繊維体12の周囲が熱可塑性樹脂14にて覆われている。
[第二工程]
つぎに図7~図9に示す第二工程では、第一工程にて形成された木材4と被覆材10を部分的に押圧してこれらを固着する。この第二工程では、木材4と被覆材10を重ねた状態で圧着可能な押圧成形用の成形型42を使用することができる。この成形型42は、図7に示すように互いに閉じ合わせ可能な上型43と下型44とを有し、下型44には、木材4と被覆材10を重ねて載置可能な載置面45が設けられている。この載置面45の周辺部分46は、図8に示すように概ね平坦な面となっており、上型43に対する閉合わせ面となっている。そして載置面45の中央部分には、被覆材10の外形に倣った階段状の凹部47が形成されている。すなわち凹部47には、被覆材10の右側領域22aを形成する右段差部47aと、左側領域22bを形成すべき左段差部47bとが一段低くなった状態で形成されている。そして右段差部47aと左段差部47bの間には、さらに一段低くなった中央段差部47cが形成され、この中央段差部47cでは、被覆材10の中央領域22cを形成することができる。
そこで第二工程では、図8及び図9を参照して、下型44の載置面45(周辺部分46)に被覆材10を載置し、さらにその上から木材4を重ねて載置しておく。この状態で上型43と下型44を閉じ合わせて、木材4と被覆材10の周辺を上下から押圧することでこれらを圧着する。こうすることで載置面45の周辺部分46に位置する被覆材10(多孔質構造22)部分が、上型43による加圧によって再び押し縮められながら木材4に固着することで、当該部分に固着部20が形成されることとなる。また被覆材10の中央に位置する多孔質構造22は、凹部47の各段差部47a~47cの上方に配置されることで、木材4から下方に移動することが許容されている。そして第二工程の際に熱可塑性樹脂14が溶けた状態を維持しておくことで、この多孔質構造22を自重によって木材4から離れるように下方に移動させることができる。ここで熱可塑性樹脂14が溶けた状態を維持する手法としては、第一工程から間を置かずに第二工程を行う手法を例示でき、そのほかにも第二工程に先立って又は第二工程の際に熱可塑性樹脂14を再度加熱する手法を例示できる。
こうして図8及び図9に示す第二工程において、多孔質構造22が自重によって下方に移動して各段差部47a~47cに沿うように載置されることで、被覆材10が、木材4から離れる向きに曲げ変形することとなる。そして被覆材10を曲がり変形させることで、多孔質構造22と木材4の間に、各空隙部31~33としての隙を設けることができる。さらに多孔質構造22を、第二工程の際に各段差部47a~47cに配置しておくことで、上型43によって過度に押し潰されるといった事態が極力回避される。このため多孔質構造22は、第二工程後においても、その厚みや内部構造を維持した状態となり、優れた吸音性を発揮することが可能となっている。
[防音部材の働き]
図1に示すトラックTRでは、上述のとおり荷台3Tの床面側に防音部材2が設置されている。この防音部材2は、図2に示すように、木材4の遮音性と、被覆材10の多孔質構造22の吸音性とを兼ね備え、さらに木材4と被覆材10の間には、騒音を減衰して吸音する複数種類の空隙部31~33が設けられている。このため本実施形態の防音部材2は、各種の騒音に対して適切に対応することが可能となっており、例えば路面から発せられるロードノイズやエンジン音などの騒音を、より適切に吸音及び遮音することができる。そして防音部材2では、被覆材10を適宜の向きに曲折させて各空隙部31~33を設けているため、木材4や被覆材10の強度を適切に維持することができ、車両の構成部材として好適に使用することができる。さらに防音部材2では、木材4の裏側を被覆材10で被覆することで、耐水性などの各種性能に優れる構成となっている。
以上説明した通り本実施形態の防音部材2では、木材4の遮音性とともに、被覆材10に設けられた多孔質構造22によって吸音性を確保している。そして被覆材10を適宜の向きに曲折させて多孔質構造22と木材4の間に各空隙部31~33を設けているため、木材4等を部分的に薄くする必要がなく、防音部材2の優れた性能の確保に資する構成となっている。また本実施形態の防音部材2は、容量の異なる各空隙部31~33を設けることで、より幅広い周波数の音の防音に資する構成となっている。そして本実施形態では、被覆材10の目付量を全体的に同等となるように設定して、目付量不足による部分的な脆弱化を回避することにより、防音部材2の強度性をより適切に確保することが可能となる。このため本実施形態によれば、より優れた防音性を確保しつつ、木材4と被覆材10を性能良く固着しておくことができる。
また防音部材2の製造方法では、被覆材10(多孔質構造22)を形成する第一工程において、基材10Xの熱可塑性樹脂14を熱で溶かして繊維体12の交絡状態を緩めるという簡便な手法を採用している。また第二工程では、被覆材10の多孔質構造22を自重で移動させて、被覆材10を、木材4との間に各空隙部31~33ができるように曲げている。このように第二工程において、被覆材10を自重で曲げながら木材4に固着することで、各空隙部31~33を別途形成する後工程が不要となり、製造時の手間の軽減に資する構成となる。そして本実施形態では、第二工程用の成形型42の凹部47に被覆材10の多孔質構造22を配置して、この多孔質構造22の自重による移動を許容することにより、木材4との間に各空隙部31~33をより確実に形成することができる。
[試験例]
以下、本実施形態を試験例に基づいて説明するが、本発明は試験例に限定されない。そして図10及び図11に吸音特性試験に使用する試験サンプルを図示し、[図12]に、実施例と比較例と参考例の防音部材の吸音特性試験の結果を示す。また下記の[表1]に、基材と被覆材の重量測定試験の結果を示す。
[実施例]
本試験では、上述の第一工程と第二工程を経て実施例の防音部材を製造した。第一工程では、基材として、クオドラント・プラスチック・コンポジット社製のガラスマット強化熱可塑性プラスチック(被覆材:不織布、ガラス繊維製の繊維体の含有率:40重量%、熱可塑性樹脂:ポリプロピレン)を用いた。そして230℃に設定されたオーブン内で基材を加熱して、多孔質構造を備えた被覆材を成形した。
つぎに第二工程では、第二工程用の凹部を備えた成形型を用いて、針葉樹合板の木材に被覆材を部分的に押圧してこれらを固着した(圧力: 0.3MPa、温度:25℃)。このとき第一工程の直後に第二工程を行うことで、第二工程の際に熱可塑性樹脂が溶けた状態を維持しておいた。そして成形型の載置面に設けられた凹部によって、多孔質構造の形成された箇所を自重によって木材から離れる向きに移動させて空隙部をなす隙を設けておいた。そして本実施例の防音部材では、被覆材の周縁に固着部を形成し、被覆材の中央に多孔質構造を形成し、さらに多孔質構造と木材の間に空隙部となる隙を形成した。
[試験サンプルの作成]
そして図10及び図11を参照して、後述する吸音特性試験用の試験サンプルを、実施例の防音部材から作成した。この試験サンプルSは、図10に示すように木材4S(厚み寸法T1:12mm)と被覆材10Sを固着して形成されており、木材4Sと多孔質構造(厚み寸法T2:10mm)の間には、空隙部30Sをなす5mmの隙Cが形成されている。また試験サンプルSは、図11に示すようにφ30.6mmの円筒形状をなし、その左右の端に、幅寸法L1が5mmに設定された固着部20Sがそれぞれ形成され、中央には、幅寸法L2が20.6mmに設定された多孔質構造22Sが形成されている。このため実施例の試験サンプルSでは、空隙部30Sの容積が約2900mmに設定されている。
[比較例]
比較例として、ラワン合板材(厚み:12mm)製の木材のみからなる防音部材を用意した。また実施例と同様の手順で、比較例の防音部材から試験サンプルを作成した。
[参考例]
参考例として、実施例の被覆材のみからなる防音部材を用意した。また実施例と同様の手順で、参考例の防音部材から試験サンプルを作成した。
[吸音特性試験]
吸音特性試験では、垂直入射吸音率測定装置(日東紡音響エンジニアリング、WinZacMTX)を使用し、測定条件は、315~5000Hz/φ30.6mmに設定した。そして図10及び図11に示す実施例の防音部材の試験サンプルSを、被覆材10S側を上に向けた状態で測定台上に配置して、その上側から音を出してその吸音率を測定した。また比較例の防音部材及び参考例の防音部材の試験サンプルを測定台上に載置し、実施例と同一条件で吸音率を測定した。
[重量測定試験]
実施例の基材から四角形の基材サンプル(5×5cm角)を5つ作成し、各基材サンプル(下記の[表1]では、基材サンプルA~基材サンプルEと標記する)の重量をそれぞれ測定した。また各基材サンプルに第一工程を行い、基材サンプル毎に被覆材を作成した。そして各基材サンプルと各被覆材の重量をそれぞれ測定した。なお被覆材の各辺の長さは、第一工程によって対応する基材サンプルよりも約0.5mm大きくなって、5.5×5.5cm角となっていた。
Figure 0007318559000001
[結果及び考察]
[図12]を参照して、比較例の防音部材では、全体的にブロードな吸音率曲線となり、また吸音率も全体的に低くなっていた。これとは異なり、実施例の防音部材では、比較例に比して全体的に吸音率が高く、低周波から高周波に向かうにつれて次第に吸音率が高くなる吸音率曲線が得られた。また参考例の防音部材では、実施例と概ね同様の傾向の吸音率曲線となっていたが、実施例程の吸音率を得ることはできなかった。この結果は、実施例の防音部材が、木材の遮音性と、被覆材の吸音性と、空隙部の吸音性を兼ね備えているためと考えられる。そして実施例の防音部材では、被覆材を適宜の向きに曲折させて多孔質構造と木材の間に空隙部を設けているため、木材等を部分的に薄くする必要がなく、防音部材の優れた性能の確保に資する構成となっていることが容易に推察される。このため実施例の防音部材によれば、より優れた防音性を確保しつつ、木材と被覆材を性能良く固着できることがわかった。
また[表1]の結果から、各基材サンプルの重量と、それに対応する被覆材の重量は概ね同じであり、第一工程の加熱による構成成分の消失がほとんどないことがわかった。この試験結果は、被覆材の多孔質構造が、基材サンプル内の繊維体の内部応力を利用して形成されるためと推察される。また圧縮状態の基材サンプルA~Eの平均目付量(0.1804g/m)を100とした場合、これらに対応する膨らんだ状態の被覆材の平均目付量(0.1486g/m)は82.4であった。そして重量測定試験による被覆材の作成は、面積の増加を許容する条件下で行われたが、そのような場合においても平均目付量の低下は20%程度に抑えられた。このため図7に示す成形型を用いて面積を一定に保ちながら防音部材を製造することで、被覆材の目付量が、固着部の形成されている箇所と、多孔質構造の形成されている箇所で同等となることが容易に推察される。このため本実施例では、被覆材の目付量を全体的に同等となるように設定して、目付量不足による部分的な脆弱化を回避することにより、防音部材の強度性をより適切に確保することが可能となっていることがわかった。
本実施形態の防音部材及びその製造方法は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その他各種の実施形態を取り得る。例えば本実施形態では、防音部材2の構成(形状,寸法,設置位置,使用用途など)を例示したが、防音部材の構成を限定する趣旨ではない。防音部材は、荷台の床面(外装材)のほか、車両の各種の外装材や内装材に使用でき、家屋などの構造体にも使用することが可能である。また防音部材は、板状や柱状などの各種形状を取ることができ、防音部材の形状は、その使用用途に応じて設定される。
また本実施形態では、木材4と被覆材10と各空隙部31~33の構成を例示したが、これらの構成を限定する趣旨ではない。木材は、防音部材の用途に応じて各種の形状や寸法を取り得る。そして木材の表面部位と裏面部位とは、平坦面であってもよく、湾曲面や屈曲面であってもよい。また被覆材は、木材の裏面部位とともに、表面部位と側面部位の少なくとも一つを覆うこともできる。また被覆材の多孔質構造に貫通孔を設け、この貫通部を通じて空隙部に音を入射する構成とすることもできる。また被覆材は、木材との間に隙を確保するために、段差状や階段状やジグザグ状などの屈曲状、円弧状や波状などの湾曲状などの各種形状に曲がり変形させておくことができる。なお被覆材の目付量は、全体的に同等とすることができるが、必ずしも同等にする必要はない。また空隙部は、防音部材の適所に複数又は単数設けることができ、空隙部を複数設ける場合にはこれらを区画する区画壁を木材や被覆材に設けることができる。そして空隙部の容積や外形形状も適宜変更可能である。
また本実施形態では、防音部材の製造方法を例示したが、同製造方法を限定する趣旨ではない。例えば各工程に用いる加熱装置(オーブンやベルトコンベア)や成形型の構成も適宜変更可能である。そして第二工程に用いる成形型は、本実施例ではヒータを備えていなかったが、多孔質構造の溶けた状態を維持又は再加熱のためのヒータを備えることもできる。また凹部を深く形成しておき、この凹部の底に調整用の板材を適宜の枚数設置することで、多孔質構造の曲がり度合いを調整することもできる。また予め曲げ変形させた被覆材を、木材に圧着又は接着して(後付けして)固着することもできる。なお被覆材を後付けする手法では、被覆材に、多孔質構造の形成されている箇所の一部を意図的に圧縮するなどして、遮音性を有する箇所を形成しておくこともできる。
TR トラック
2T ボディ
3T 荷台
2 防音部材
4 木材
5 表面部位
6 裏面部位
7 周面部位
10X 基材
10 被覆材
12 繊維体
14 熱可塑性樹脂
20 固着部
22 多孔質構造
22a 右側領域
22b 左側領域
22c 中央領域
31 右側第一空隙部(本発明の第一の空隙部)
32 左側第一空隙部(本発明の第一の空隙部)
33 第二空隙部(本発明の第二の空隙部)
40 ベルトコンベア
41 オーブン
42 成形型
43 上型
44 下型
45 載置面
46 載置面の周辺部分
47 凹部
47a 右段差部
47b 左段差部
47c 中央段差部
50 ヘルムホルツ共鳴器
51 内部空間
52 連通部
S 試験サンプル
4S 試験サンプルの木材
10S 試験サンプルの被覆材
20S 試験サンプルの固着部
22S 試験サンプルの多孔質構造
30S 試験サンプルの空隙部

Claims (4)

  1. 木材と、前記木材に固着された被覆材とを備え、前記木材と前記被覆材の間に、防音性に寄与する空隙部が設けられている防音部材において、
    前記被覆材は、交絡状態の複数の繊維体と、前記繊維体の交絡状態を保持する熱可塑性樹脂とが含まれているとともに、前記被覆材の少なくとも一部に、前記繊維体が疎な状態で交絡することで形成された多孔質構造が設けられており、
    前記多孔質構造と前記木材の間に前記空隙部をなす隙が設けられるように、前記被覆材が前記木材から離れる向きに曲がり変形していると共に、
    所定の容量の隙で形成された第一の空隙部と、前記第一の空隙部に比して容量の大きい隙で形成された第二の空隙部とが設けられている防音部材。
  2. 前記被覆材の単位面積当たりの重量となる目付量が、前記木材に固着している箇所と前記多孔質構造が形成されている箇所で同等である請求項1に記載の防音部材。
  3. 請求項1又は2に記載の防音部材の製造方法において、
    前記複数の繊維体が密に交絡して前記熱可塑性樹脂にて固められている基材を用意し、前記基材の前記熱可塑性樹脂を熱で溶かして前記繊維体の交絡を緩めることにより、前記複数の繊維体が疎な状態で交絡した前記多孔質構造を形成する第一工程と、
    第一工程にて形成された前記被覆材と前記木材を部分的に押圧してこれらを固着する第二工程とを有し、
    第二工程の際に、前記熱可塑性樹脂が溶けた状態を維持して、前記多孔質構造の形成された箇所を自重によって前記木材から離れる向きに移動させることにより、前記被覆材を前記木材から離れる向きに曲がり変形させて、前記多孔質構造と前記木材の間に前記空隙部をなす隙を設ける際に、所定の容量の隙で形成された前記第一の空隙部と、前記第一の空隙部に比して容量の大きい隙で形成された前記第二の空隙部とを設ける防音部材の製造方法。
  4. 前記木材と前記被覆材を重ねた状態で圧着可能な第二工程用の成形型に、前記木材と前記被覆材を重ねて載置可能な載置面が設けられ、
    前記載置面には、前記多孔質構造の形成された箇所が前記木材から離れる向きに移動することを許容する凹部が形成されている請求項3に記載の防音部材の製造方法。
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