JP7314983B2 - 積層セラミックコンデンサ - Google Patents

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この発明は、積層セラミックコンデンサに関する。
近年、大容量かつ小型の積層セラミックコンデンサが求められている。このような積層セラミックコンデンサは、例えば、内部電極が印刷される内層用誘電体層と内部電極とが交互に積層され、さらに、その上面と下面に外層用セラミック層が積層され、直方体状に形成された積層体を有する。そしてその積層体の両端面に形成された外部電極を有する。このような積層セラミックコンデンサには、積層体の側面において内部電極が外部電極に接続してしまうことを防止するため、側面上にサイドマージン部と言われる誘電体層が形成されたものがある。
特許文献1には、前述したようなサイドマージン部を有する積層セラミックコンデンサの製造方法が開示されている。特許文献1に記載の積層セラミックコンデンサの製造方法ではまず、内部電極となる導電膜を表面に形成されたセラミックグリーンシートが積層される。次にマザー積層体が形成され、そのマザー積層体を切断するにあたり、外部電極が形成されない側面において導電膜が露出するように切断される。その結果、積層体チップが得られる。そして、切断された積層体チップの両側に露出した内部電極に対してサイドマージン部となるセラミックスラリーが塗布される。これにより、積層体チップの全幅にわたって内部電極を形成することが可能となるため、静電容量の取得効率を高めるとともに静電容量のばらつきを少なくすることができる。
特開昭61-248413号公報
しかしながら、特許文献1の積層セラミックコンデンサは、例えば、より小さい積層セラミックコンデンサのサイズで、より大きな静電容量を得ることを目的としてサイドマージン部の厚み、すなわち、積層体の幅方向に沿った寸法を小さくすると、サイドマージン部の十分な強度が得られない。これにより、特許文献1の積層セラミックコンデンサは、十分な抗折強度が得られないという問題があった。さらに、サイドマージン部に亀裂や欠けが生じ易くなり、その亀裂や欠けから水分が侵入してしまう。これにより、特許文献1の積層セラミックコンデンサの絶縁性が低下してしまうという問題があった。
この発明の主たる目的は、サイドマージン部の幅方向の寸法が小さくても、サイドマージン部の強度の向上を図れ、信頼性の向上した積層セラミックコンデンサを提供することである。
この発明に係る積層セラミックコンデンサは、積層された複数の誘電体層と複数の内部電極を含む積層体と、内部電極に電気的に接続された外部電極とを備えた積層セラミックコンデンサであって、積層体は、積層方向において相対する第1の主面および第2の主面、積層方向と直交する幅方向において相対する第1の側面および第2の側面、並びに積層方向および幅方向と直交する長さ方向において相対する第1の端面および第2の端面を含む直方体状に形成され、複数の内部電極は、第1の端面に露出する第1の内部電極と、第1の内部電極と誘電体層を介して対向するように第2の端面に露出する第2の内部電極とを含み、積層体は、誘電体層と、第1の内部電極および第2内部電極とを複数積層して構成される内層部と、複数の前記誘電体層を有し、内層部を積層方向から挟むように配置される外層部と、内層部と外層部とを前記幅方向から複数のセラミック層で挟むように形成されたサイドマージン部を有し、複数の外部電極は、第1の端面を覆うように形成され、且つ第1の内部電極に電気的に接続された第1の外部電極と、第2の端面を覆うように形成され、且つ第2の内部電極に接続された第2の外部電極とを含みサイドマージン部は、積層体の長さ方向中央部において、積層方向と幅方向に平行な断面で見たとき、第1の側面および第2の側面を含むアウター層と、アウター層よりも幅方向内側に位置するインナー層とを有し、内部電極の端部にはSiが偏析しており、アウター層のSiのmol数/Tiのmol数が3.0以上7.0以下であり、インナー層のSiのmol数/Tiのmol数が1.0以上4.0以下であり、アウター層の幅方向に沿った寸法は、5μm以上20μm以下であり、インナー層の幅方向に沿った寸法は、0.1μm以上20μm以下であり、且つアウター層の幅方向に沿った寸法は、インナー層の幅方向に沿った寸法よりも大きい、積層セラミックコンデンサである。
また、この発明に係る積層セラミックコンデンサでは、積層体は、第1の側面および第2の側面における第1の内部電極および第2の内部電極の露出面は、第1の内部電極および第2の内部電極の中央部よりもSiを多く含むことが好ましい。
さらに、この発明に係る積層セラミックコンデンサでは、サイドマージン部のSiのmol数/Tiのmol数は、1.0以上7.0以下であることが好ましい。
またさらに、この発明に係る積層セラミックコンデンサでは、サイドマージン部の幅方向に沿った寸法は5μm以上40μm以下であることが好ましい。
この発明に係る積層セラミックコンデンサでは、積層体の内層部および外層部を幅方向から複数のセラミック層で挟むように形成されたサイドマージン部を有し、サイドマージン部は、積層体の長さ方向中央部において、積層方向と幅方向に平行な断面で見たとき、第1の側面および第2の側面を含むアウター層と、アウター層よりも幅方向内側に位置するインナー層とを有するサイドマージン部とを含み、アウター層におけるSiの含有量は、インナー層におけるSiの含有量よりも大きく、アウター層のSiのmol数/Tiのmol数が3.0以上7.0以下であり、インナー層のSiのmol数/Tiのmol数が1.0以上4.0以下であり、アウター層の幅方向に沿った寸法は、5μm以上20μm以下であり、インナー層の幅方向に沿った寸法は、0.1μm以上20μm以下であるので、サイドマージン部の強度を向上させることができるため、積層セラミックコンデンサの抗折強度が向上する。また、サイドマージン部の亀裂や欠けが生じ難くなり、水分の進入を防止することができることから、積層セラミックコンデンサの絶縁性を確保することができる。その結果、信頼性の向上した積層セラミックコンデンサを提供することができる。
この発明によれば、サイドマージン部の幅方向の寸法が小さくても、サイドマージン部の強度の向上を図れ、信頼性の向上した積層セラミックコンデンサを提供することができる。
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
実施の形態の積層セラミックコンデンサの外観斜視図である。 実施の形態の積層セラミックコンデンサを示す図1のA-A断面図である。 実施の形態の積層セラミックコンデンサを示す図1のB-B断面図である。 実施の形態の積層セラミックコンデンサを示す図3のC部拡大図である。 実施の形態の積層セラミックコンデンサが備えるサイドマージン部のSiの偏析部分をWDXにより撮像した図である。 実施の形態の積層セラミックコンデンサが備えるサイドマージン部表面近傍のMgの偏析部分をWDSにより撮像した図である。 実施の形態の積層セラミックコンデンサが備えるサイドマージン部表面近傍のNiの偏析部分をWDSにより撮像した図である。 実施の形態の積層セラミックコンデンサが備えるサイドマージン部表面近傍のSiの偏析部分をWDSにより撮像した図である。 この発明に係る積層セラミックコンデンサの製造方法を説明するための図であり、(a)が導電膜の形成されたセラミックグリーンシートを示す概略図、(b)が導電膜の形成されたセラミックグリーンシートを積層する様子を示した模式図である。 この発明に係る積層セラミックコンデンサの製造方法において得られる積層体チップの外観の一例を示す斜視図である。 サイドマージン部表面近傍のポア面積率とサイドマージン部表面のビッカース硬度との関係を示す図である。
1.積層セラミックコンデンサ
この発明に係る積層セラミックコンデンサの一実施例について、図1~4を参照して説明する。図1は、実施の形態の積層セラミックコンデンサを示す外観斜視図である。図2は、実施の形態の積層セラミックコンデンサを示す図1のA-A断面図である。図3は、実施の形態の積層セラミックコンデンサを示す図1のB-B断面図である。図4は、実施の形態の積層セラミックコンデンサを示す図3のC部拡大図である。
図1に示されるように、この実施の形態の積層セラミックコンデンサ10は、概略、積層体12と、積層体12の両端面にそれぞれ形成された第1および第2の外部電極40、42とから構成される。
本発明に係る積層セラミックコンデンサ10の大きさは“長さ(L)方向の寸法×幅(W)方向の寸法×積層(T)方向の寸法”として記載すると例えば、“1.6mm×0.8mm×0.8mm”、“1.0mm×0.5mm×0.5mm”、“0.6mm×0.3mm×0.3mm”、“0.4mm×0.2mm×0.2mm”、“0.2mm×0.1mm×0.1mm”といった大きさとなることが通常想定される。
図1に示されるように積層体12は、略直方体状に形成される。この積層体12は幅(W)方向および積層(T)方向に沿って延びる第1の端面13および第2の端面14と、長さ(L)方向および積層(T)方向に沿って延びる第1の側面15および第2の側面16と、長さ(L)方向および幅(W)方向に沿って延びる第1の主面17および第2の主面18とを有する。第1の端面13および第2の端面14は互いに対向し、第1の側面15および第2の側面16は互いに対向し、そして第1の主面17および第2の主面18は互いに対向する。また、第1の側面15および第2の側面16は、第1の端面13および第2の端面14に直交し、第1の主面17および第2の主面18は、第1の端面13および第1の側面15に直交する。なお、積層体12は、略直方体の形状を有していれば、角部および稜部には、丸み等が形成されていることが好ましい。
図2に示されるように、積層体12は、内層用セラミック層20同士の界面に、第1の内部電極22が配設され、第1の内部電極22と対向するように内層用セラミック層20を挟んで第2の内部電極24が配設されている。このような内層用セラミック層20、第1の内部電極22および第2の内部電極24の組み合わせを複数積層することで内層部26を構成する。この内層部26を積層(T)方向から挟むように外層部28及び外層部30が設けられる。外層部28は、複数の外層用セラミック層46を有し、外層部30は、複数の外層部セラミック層48を有する。内層部26および外層部28、30を幅(W)方向から挟むようにサイドマージン部32及び34が設けられる。これらサイドマージン部32及び34は、複数のサイドマージン用セラミック層により構成される。換言すると、内層部26は、積層(T)方向に沿って、第1の主面17に最も近い第1の内部電極22bと、第2の主面18に最も近い第2の内部電極24bに挟まれた領域である。また、サイドマージン部32、34は、積層体12を積層(T)方向からみた断面において、第1の内部電極22および第2の内部電極24が存在しない領域である。
複数の内層用セラミック層20それぞれは、第1の内部電極22と、第2の内部電極24との間に挟まれるように形成される。内層用セラミック層20は、例えば、Ba、Tiを含有するペロブスカイト型化合物を主成分とし、ペロブスカイト構造を備える誘電体セラミック粒子からなる。また、これらの主成分に、Si、MgおよびBaのうちの少なくとも一種が添加剤として加えられてもよい。添加剤は、セラミック粒子間に存在する。焼成後の内層用セラミック層20の厚みは、0.2μm以上10μm以下となる。
積層体12では、上下に配設された外層部28、30を構成する外層用セラミック層46、48は、内層用セラミック層20と同じ誘電体セラミック材料から形成される。なお、外層用セラミック層46、48は、内層用セラミック層20と異なる材料で形成されてもよい。また、外層用セラミック層46、48がそれぞれ複層構造である場合、最も第1および第2の内部電極22b、24bの側に位置する外層用セラミック層46、48のSiの偏析部分よりも、その他の外層用セラミック層46、48の偏析部分のほうが多いことが好ましい。これにより、積層セラミックコンデンサ10の積層(T)方向側からの抗折強度を向上させることができる。なお、焼成後の外層部28、30の厚みは、15μm以上40μm以下となる。なお、外層用セラミック層46、48それぞれは、複数ではなく単層構造であってもよい。
第1の内部電極22と第2の内部電極24とは、積層(T)方向において、内層用セラミック層20を介して対向している。この第1の内部電極22と第2の内部電極24とが、内層用セラミック層20を介して対向している部分により静電容量が発生する。
内層用セラミック層20は、幅(W)方向および長さ(L)方向に沿って延びており、複数の第1の内部電極22それぞれは、内層用セラミック層20に沿って平板状に延びる。複数の第1の内部電極22それぞれは、積層体12の第1の端面13に引き出され、第1の外部電極40に電気的に接続される。また、複数の第2の内部電極24それぞれは、第1の内部電極22と内層用セラミック層20を介して対向するように平板状に延びる。複数の第2の内部電極24それぞれは、積層体12の第2の端面14に引き出され、第2の外部電極42に電気的に接続される。
第1および第2の内部電極22、24それぞれの厚みは、例えば0.3μm以上2.0μm以下である。第1および第2の内部電極22、24は、Niを含むことが好ましい。なお、Ni以外に、例えば、Cu、Ag、Pd、Ag-Pd合金、Auなどの金属を含むことができる。なお、第1および第2の内部電極22、24は、内層用セラミック層20と同じ誘電体粒子を含んでもよい。
図4に示されるように、第1および第2の内部電極22、24の最もサイドマージン部32、34側に露出している面を含む部位には、Siが偏析している。Siはサイドマージン部から幅(W)方向の中央部に向かって、少なくとも0.5μm以下の範囲内には内部電極に偏析領域を有しており、偏析部22a、24aを形成している。換言すると、偏析部22aは、第1の内部電極22のサイドマージン部32、34側に形成されており、偏析部24aは、第2の内部電極24のサイドマージン部32、34側に形成されている。この偏析部22a、24aにより、積層セラミックコンデンサ10の抗折強度が向上する。
積層体12を積層(T)方向からの断面としてみて、第1の内部電極22と第2の内部電極24が存在しない領域をサイドマージン部32、34とすると、サイドマージン部32、34が、複数のサイドマージン層を有し、最も内部電極22、24側のサイドマージン層より、それ以外のサイドマージン層のSiの含有量が多いので、サイドマージン部32、34の強度を上げることができる。これにより、積層セラミックコンデンサ10の抗折強度を向上させることができる。さらに、サイドマージン部32、34に亀裂や欠けが生じ難くなり、水分の浸入を防止できる。これにより、積層セラミックコンデンサ10の絶縁性を確保することができる。その結果、十分に信頼性のある積層セラミックコンデンサ10を得ることができる。
また、積層体12が、第1の内部電極22および第2の内部電極24はサイドマージン部32、34側に偏析部22a、24aを含んでおり、偏析部22a、24aは、Siを含む場合、積層セラミックコンデンサの抗折強度をさらに向上させることができる。サイドマージン部32、34それぞれは、積層体12の第1および第2の側面15、16側に位置するアウター層32a、34aと、第1および第2の内部電極22、24側に位置するインナー層32b、34bとを含む複層構造である。なお、サイドマージン部32、34が複層構造であることは、アウター層32a、34aとインナー層32b、34bにおける焼結性の違いにより、光学顕微鏡を用いて観察することで容易に確認することができる。
焼成後のサイドマージン部32、34の幅(W)方向の寸法は、例えば5μm以上40μm以下とする。より好ましくは、20μm以下である。また、アウター層32a、34aの幅(W)方向の寸法は、インナー層32b、34bの幅(W)方向の寸法よりも大きい。具体的には、アウター層32a、34aの幅(W)方向の寸法は、5μm以上20μm以下である。インナー層32b、34bの幅(W)方向の寸法は、0.1μm以上20μm以下である。
なお、この発明におけるサイドマージン部32、34の幅(W)方向の寸法とは、積層(T)方向に沿って、サイドマージン部32、34の寸法を複数箇所で測定し、測定結果により算出された平均寸法を意味する。測定方法は次の通りである。まず、積層セラミックコンデンサ10の幅(W)方向と積層(T)方向を含む面(以下、「WT断面」という)を露出させる。次に、WT断面の第1および第2の内部電極22、24の幅(W)方向の端部とサイドマージン部32、34のうちいずれか一方のサイドマージン部が同一視野に収まるように光学顕微鏡により撮像する。撮像箇所は積層(T)方向において、上部、中央部および下部の3箇所をそれぞれ撮像する。そして、上部、中央部および下部において、第1および第2の内部電極22、24の幅(W)方向の端部から第1および第2の側面15、16に向かって幅(W)方向に平行な複数の線分をそれぞれ引き、それぞれの線分の長さを測定する。このように測定した線分の長さについて、上部、中央部および下部それぞれの平均値を算出する。また、それぞれの平均値をさらに平均化することでサイドマージン部32、34の厚み寸法が得られる。
サイドマージン部32、34は、例えば、BaTiO3などの主成分からなるペロブスカイト構造を備える誘電体セラミック材料からなる。これらの主成分にSiが添加剤として加えられ、セラミック粒子間にそれらの添加剤が偏析している部分が存在する。Siの偏析部分が存在することにより、サイドマージン部32、34の抗折強度が向上する。Siは、アウター層32a、34aでは、Siのmol数/Tiのmol数が3.0以上7.0以下添加され、インナー層32b、34bでは、Siのmol数/Tiのmol数が1.0以上4.0以下添加される。特に、アウター層32a、34aのSiの偏析部分は、インナー層32b、34bのSiの偏析部分よりも多く存在している。
図5は、積層セラミックコンデンサ10が備えるサイドマージン部のSiの偏析部分を波長分散型X線分析装置(以後、WDXと呼ぶ)により撮像した図である。サイドマージン部32、34のSiの偏析部分は、積層体12の長さ(L)方向の略中央において、WT断面を露出させた後、WDXを用いて観察することで確認することができる。さらに、第1および第2の内部電極22、24の最もサイドマージン部32、34側には、Siの偏析部22a、24aが形成されていることを確認することができる。なお、SiだけでなくMgの偏析も確認されている。図6~8は、積層セラミックコンデンサ10の同じ箇所(サイドマージン部表面近傍)をWDSにより撮像した図であり、図6がMgの偏析部分を撮像した図、図7がNiの偏析部分を撮像した図、図8がSiの偏析部分を撮像した図である。
内層用セラミック層20、アウター層32a、34aおよびインナー層32b、34bそれぞれのセラミック粒子間における添加剤であるBaの量は、
内層用セラミック層20<アウター層32a、34a<インナー層32b、34b、
である。
このように、内層用セラミック層20、アウター層32a、34aおよびインナー層32b、34bそれぞれのセラミック粒子間におけるBaの含有量が異なる。なお、Baの含有量の違いは、TEM分析により見出すことができる。
また、内層部26、サイドマージン部32、34のアウター層32a、34aおよびインナー層32b、34bにおけるBaの含有量は、Tiが1molに対するmol比が、センター値で、
アウター層32a、34aは、1.01より大きく1.020以下、
インナー層32b、34bは、1.020より大きく1.040未満、
内層部26は、0.99より大きく1.01未満、
であるように調合される。
なお、上記したmol比を確認する方法は、次の通りである。まず、サイドマージン部32、34側から積層体12のサイドマージン部32、34におけるアウター層32a、34aおよびインナー層32b、34bを研磨する。次に、研磨することにより得られたアウター層32a、34aおよびインナー層32b、34bの粉それぞれを酸により溶解する。そして、ICP発光分光分析を行うことにより、アウター層32a、34aおよびインナー層32b、34bそれぞれが上記mol比であるかの確認をすることができる。
アウター層32a、34aのセラミック粒子間のBaの含有量に対して、インナー層32b、34bのセラミック粒子間のBaの含有量が100%を超えて140%未満の範囲で多く添加される。
また、サイドマージン部32、34は、内部電極側から側面側に向かって空隙部が減少するように形成される。すなわち、アウター層32a、34aにおける空隙部は、インナー層32b、34bにおける空隙部よりも少ない。これにより、サイドマージン部32、34から積層体12の内側への水分の侵入が抑制されるため、積層セラミックコンデンサ10の耐湿性を向上させることができる。さらに、積層セラミックコンデンサ10の絶縁性を確保することができる。
(第1および第2の外部電極40、42)
第1の外部電極40は、積層体12の第1の端面13を覆うように形成され、且つ積層体12の第1の端面13に引き出された第1の内部電極22と電気的に接続される。また、第2の外部電極42は、積層体12の第2の端面14を覆うように形成され、且つ積層体12の第2の端面14に引き出された第2の内部電極24と電気的に接続される。
図1及び図2に示されるように、第1の外部電極40は、ベース電極層40a、そのベース電極層40aの表面に形成された下層めっき40b、及びその下層めっき40bの表面に形成された上層めっき40cとを含む3層構造である。ベース電極層40aは、積層体12の第1の端面13の全体を覆うように設けられるとともに、その端面13を覆う部分から、第1の側面15および第2の側面16それぞれの一部並びに第1の主面17および第2の主面18それぞれの一部を覆うように設けられる。
図1及び図2に示されるように、第2の外部電極42は、ベース電極層42aと、そのベース電極層42aの表面に形成された下層めっき42bと、その下層めっき42bの表面に形成された上層めっき42cとを含む3層構造である。ベース電極層42aは、積層体12の第2の端面14の全体を覆うように設けられるとともに、その端面14を覆う部分から、第1の側面15および第2の側面16それぞれの一部並びに第1の主面17および第2の主面18それぞれの一部を覆うように設けられる。
ベース電極層40a、42aは、焼付けにより形成されたCuを含むことが好ましい。なお、Cu以外に、例えば、Ni、Ag、Pd、Ag-Pd合金、またはAuなどを含むことができる。また、ベース電極層40a、42aは、複数層であってもよい。なお、ベース電極層40a、42aは、第1の内部電極22および第2の内部電極24と同時焼成した、いわゆるコファイアにより形成されてもよいし、導電性ペーストを塗布して焼き付けた、いわゆるポストファイアにより形成されてもよい。また、ベース電極層40a、42aは、直接めっきにより形成されていてもよいし、導電性粒子と熱硬化性樹脂を含む樹脂層を硬化させることにより形成されてもよい。
下層めっき40b、42bは、はんだ喰われを防止するためにNiを含むことが好ましい。また、上層めっき40c、42cは、実装性を高めるためにSnを含むことが好ましい。なお、下層めっき40b、42bはNi以外に、または上層めっき40c、42cとして、Sn以外に、例えば、Cu、Ag、Pd、Ag-Pd合金、又はAuなどを含むことができる。なお、ベース電極層40aと下層めっき40bとの間、およびベース電極層42aと下層めっき42bとの間に、応力緩和用の導電性樹脂層が形成されてもよい。また、積層体12に直接めっきすることで、めっきにより第1および第2の外部電極40、42が形成されてもよい。
なお、外部電極40、42として直接めっきする場合、第1および第2の内部電極22、24としてNiを用いる場合、下層めっき40b、42bとしてNiと接合性のよいCuを用いることが好ましい。さらに、上層めっき40c、42cは、下層めっき40b、42bの表面に形成された上層めっき第1層と、上層めっき第1層の表面に形成された上層めっき第2層とを含む2層構造であることが好ましい。上層めっき第1層は、はんだ喰われを防止する機能を有するNiを含むことが好ましい。上層めっき第2層は、はんだ濡れ性のよいSnやAuを含むことが好ましい。
図3に示されるように、この実施の形態の積層セラミックコンデンサ10は、そのサイドマージン部32、34が、複数の層からなる。サイドマージン部32は、アウター層32aおよびインナー層32bを有する。インナー層32bは、第1および第2の内部電極22、24とアウター層32aの間に配置されている。最も第1および第2の内部電極22、24側に配置されているインナー層32bより、インナー層32b以外のサイドマージン層であるアウター層32aのSiの含有量が多い。サイドマージン部34は、アウター層34aおよびインナー層34bを有する。インナー層34bは、第1および第2の内部電極22、24とアウター層の間に配置されている。最も第1および第2の内部電極22、24側に配置されているインナー層34bより、インナー層34b以外のサイドマージン層であるアウター層34aのSiの含有量が多い。これにより、サイドマージン部32、34の強度の向上を図ることができるため、積層セラミックコンデンサ10の抗折強度が向上する。さらに、サイドマージン部32、34に亀裂や欠けが生じ難くなり、水分の浸入を防止することができるため、積層セラミックコンデンサ10の絶縁性を確保することができる。その結果、信頼性の向上した積層セラミックコンデンサ10を提供することができる。また、アウター層32a、34aとインナー層32b、34bとの間には界面が存在し、この界面により積層セラミックコンデンサ10にかかる応力を緩和することができる。
また、この実施の形態の積層セラミックコンデンサ10は、その第1および第2の内部電極22、24の中央部よりも最もサイドマージン部32、34側の表面にSiを多く含む。その結果、サイドマージン部32、34の強度をさらに向上させることができる。
さらに、この実施の形態の積層セラミックコンデンサ10は、そのサイドマージン部32、34のSiの含有量をSiのmol数/Tiのmol数で計算すると1.0以上7.0以下である。Siのmol数/Tiのmol数が1.0未満の場合、サイドマージン部32、34の焼結が不十分になり、ポーラスが増え、十分な抗折強度の向上が望めない。一方、Siのmol数/Tiのmol数が7.0を超える場合、Siが内部電極に過剰に拡散し、過焼結となり絶縁抵抗値などの信頼性が低下する。
またさらに、この実施の形態の積層セラミックコンデンサ10は、積層体10の幅方向において、そのサイドマージン部32、34の寸法が、5μm以上40μm以下である。サイドマージン部32、34が40μmを超えると必要とする容量を確保できなくなる。5μm未満では、サイドマージン部32、34の焼結が十分に進まず、緻密なサイドマージン部32、34が得られない。サイドマージン部が緻密でないと外部からの水分侵入が容易になる。
2.積層セラミックコンデンサの製造方法
つづいて、積層セラミックコンデンサの製造方法について説明する。図9は、この実施の形態の積層セラミックコンデンサの製造方法を説明するための図であり、(a)が導電膜の形成されたセラミックグリーンシートを示す概略図、(b)が導電膜の形成されたセラミックグリーンシートを積層する様子を示した模式図である。図10は、この実施の形態の積層セラミックコンデンサの製造方法において得られる積層体チップの外観の一例を示す斜視図である。
(1)積層体チップの形成
まず、誘電体セラミック材料として、BaおよびTiを含むペロブスカイト型化合物が準備される。この誘電体セラミック材料から得られる誘電体粉末に、添加剤として、Si、MgおよびBaのうちの少なくとも一種、並びに有機バインダ、有機溶剤、可塑剤および分散剤を所定の割合で混合することにより、セラミックスラリーが作製される。セラミックスラリーは、複数枚の樹脂フィルム(図示せず)の表面にセラミックグリーンシート50aと50bが成形される。セラミックグリーンシート50bは、セラミックグリーンシート50aと交互に積層されるものであり、セラミックグリーンシート50a(50b)の成形は、例えば、ダイコータ、グラビアコータおよびマイクログラビアコータなどを用いて行われる。
次に、図9(a)に示すように、セラミックグリーンシート50a(50b)の表面に、内部電極用導電性ペーストをX方向にストライプ状に印刷し、乾燥する。なお、以下内部電極用導電性ペーストがストライプ状に伸びる方向をX方向とする。また、導電膜52a、52bの幅方向をY方向とする。このようにして、第1の内部電極22(第2の内部電極24)となる導電膜52a(52b)が形成される。印刷方法は、スクリーン印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷など各種の方法を用いることができる。導電膜52a、52bの厚みは、例えば1.5μm以下とする。
はじめに外層部28となる導電膜の形成されていないセラミックグリーンシートが所定枚数積み重ねられ、次に、図9(b)に示すように、導電膜52a、52bの印刷された複数枚のセラミックグリーンシート50a、50bが、Y方向にずらされ、積層され内層部26となる。さらに、内層部26上に外層部30となる導電膜の形成されていないセラミックグリーンシートが所定枚数積み重ねられ、マザー積層体が得られる。
次に、得られたマザー積層体はプレスされる。マザー積層体をプレスする方法は、剛体プレス、静水圧プレスなどの方法を用いることができる。
次に、プレスされたマザー積層体がチップ形状にカットされ、図10に示される積層体チップ60が得られる。マザー積層体をカットする方法は、押切り、ダイシング、レーザなどの各種方法を用いることができる。
図10に示されるように、以上の工程により得られた積層体チップ60の一方の端面には、セラミックグリーンシート50aの導電膜52aのみが露出する。また、他方の端面には、セラミックグリーンシート50bの導電膜52bのみが露出する。
また、積層体チップ60の両側面には、セラミックグリーンシート50aの導電膜52a、およびセラミックグリーンシート50bの導電膜52bのそれぞれが露出する。
(2)サイドマージン部の形成
つづいて、サイドマージン部32、34となるサイドマージン用セラミックグリーンシートを作製する手順について説明する。
まず、誘電体セラミック材料として、BaおよびTiを含むペロブスカイト型化合物が準備される。この誘電体セラミック材料から得られる誘電体粉末に、添加剤として、Si、MgおよびBaのうちの少なくとも一種、並びにバインダ樹脂、有機溶剤、可塑剤および分散剤を所定の割合で混合し、セラミックスラリーが作製される。
ここで、サイドマージン部32のアウター層32a(およびサイドマージン部34のアウター層34a)となるセラミックスラリーにはSiが添加される。具体的には、Siは、Siのmol数/Tiのmol数が1.0以上7.0以下となるように添加される。また、サイドマージン部32のインナー層32b(およびサイドマージン部34のアウター層34b)となるセラミックスラリーにもSiが添加される。具体的には、Siは、Siのmol数/Tiのmol数が1.0以上4.0以下となるように添加される。
また、サイドマージン部32のアウター層32a(およびサイドマージン部34のアウター層34a)となるセラミックスラリーにはBaが添加される。具体的には、Baは、Baのmol数/Tiのmol数が0.00以上0.02未満となるように添加される。また、サイドマージン部32のインナー層32b(およびサイドマージン部34のアウター層34b)となるセラミックスラリーにもBaが添加される。具体的には、Baは、Baのmol数/Tiのmol数が0.02以上0.04未満となるように添加される。
さらに、サイドマージン部32、34のアウター層32a、34aとなるセラミックスラリーに含まれるポリ塩化ビニルであるPVCの量は、サイドマージン部32、34のインナー部32b、34bとなるセラミックスラリーに含まれるポリ塩化ビニル(PVC)の量よりも多く含まれる。
さらにまた、サイドマージン部32、34のインナー層32b、34bとなるセラミックスラリーに含まれる溶剤は、アウター層用セラミックグリーンシートに対する溶解を防止するため、適宜最適な溶剤が選択される。また、このインナー層用セラミックグリーンシートは、積層体チップ60と接着するための役割を有する。
そして、樹脂フィルムの表面に、作製されたアウター層32a、34aとなるセラミックスラリーを塗布し、乾燥することにより、アウター層用セラミックグリーンシートが得られる。
次に、アウター層用セラミックグリーンシートの表面に、作製されたインナー層32b、34bとなるセラミックスラリーを塗布し、乾燥して、インナー層用セラミックグリーンシートが形成される。以上のようにして、2層構造を有するサイドマージン用セラミックグリーンシートが得られる。
ここで、インナー層用セラミックグリーンシートの幅方向に沿った寸法は、アウター層用セラミックグリーンシートの幅方向に沿った寸法よりも小さいことが好ましい。具体的には、例えば、焼成後の厚みについて、アウター層用セラミックグリーンシートが5μm以上20μm以下に形成され、インナー層用セラミックグリーンシートが0.1μm以上20μm以下に形成される。
なお、上記では、2層構造のサイドマージン用セラミックグリーンシートは、アウター層用セラミックグリーンシートの表面にインナー層用セラミックグリーンシートを塗布し乾燥することにより得られる場合について説明した。しかしながら、この場合に限られず、アウター層用セラミックグリーンシートとインナー層用セラミックグリーンシートのそれぞれが予め形成され、その後、それぞれを貼り合せることにより2層構造のサイドマージン用セラミックグリーンシートが得られるようにしてもよい。なお、サイドマージン用セラミックグリーンシートは、2層に限らず、3層以上の複数層も良い。
次に、樹脂フィルムから、サイドマージン用セラミックグリーンシートが剥離される。
つづいて、剥離されたサイドマージン用セラミックグリーンシートにおけるインナー層用セラミックグリーンシートと積層体チップ60の導電膜52a、52bが露出する側面を対向させ、押し付けて打ち抜くことにより、サイドマージン部32となる層が形成される。さらに、積層体チップ60のサイドマージン部32となる層が形成されていない側面についても、積層体チップ60の導電膜52a、52bが露出する側面とインナー層用セラミックグリーンシートを対向させ、押し付けて打ち抜くことにより、サイドマージン部34となる層が形成される。このとき、積層体チップ60の側面には、予め、接着剤となる有機溶剤を塗布しておくことが好ましい。
次に、サイドマージン部32、34となる層が形成された積層体チップ60は、窒素雰囲気中、所定の条件で脱脂処理された後、窒素-水素-水蒸気混合雰囲気中で、所定の温度で焼成され、焼結した積層体12が得られる。
次に、焼結した積層体12の二つの端面それぞれに、Cuを主成分とする外部電極ペーストを塗布して焼き付けし、第1の内部電極22に接続されたベース電極40aと、第2の内部電極に接続されたベース電極42aを形成する。さらに、ベース電極層40a、42aの表面に、Niめっきによる下層めっき40b、42bが形成され、下層めっき40b、42bの表面にSnめっきによる上層めっき40c、42cが形成され、第1および第2の外部電極40、42が形成される。
以上のようにして、図1に示す積層セラミックコンデンサ10が製造される。
なお、サイドマージン部32、34の形成は、積層体チップ60の導電膜52a、52bが露出している両側面に、サイドマージン用のセラミックスラリーを塗布することによって形成してもよい。
すなわち、積層体チップ60の導電膜52a、52bが露出している両側面に、インナー層32b、34bとなるセラミックスラリーがそれぞれ塗布され、乾燥される。さらに、インナー層32b、34bの表面に、アウター層32a、34aとなるセラミックスラリーが塗布される。
この場合、アウター層32a、34aおよびインナー層32b、34bとなるセラミックスラリーそれぞれの厚みは、それぞれのセラミックスラリーに含まれる樹脂の量を変えることにより調整することができる。
また、サイドマージン部32、34の形成は、積層体チップ60の両端面を樹脂などでマスクした上で、この積層体チップ60を丸ごとインナー層32b、34bとなるセラミックスラリー内にディッピングし、乾燥させ、さらに、アウター層32a、34aとなるセラミックスラリー内にディッピングすることで形成してもよい。この場合、外層部28、30上にインナー層およびアウター層が形成され、3層構造に形成される。
3.実験例
以下、この発明の効果を確認するために発明者らが行った実験例について説明する。実験例では、以下に示す実施例および比較例の積層セラミックコンデンサの各試料が製造され、積層セラミックコンデンサのサイドマージン部表面の硬度がビッカース硬度計で計測されることにより評価した。
(実施例)
まず、実施例では、上述の方法で、図1に示された積層セラミックコンデンサの試料を製造した。この場合、積層セラミックコンデンサの外形寸法を長さ1.0mm、幅0.5mm、高さ0.5mmとした。実施例では、Tiに対してSiをSiのmol数/Tiのmol数が3.5となるに含有するインナー層と、Tiに対してSiをSiのmol数/Tiのmol数が5となるように含有するアウター層とからなる2層構造のサイドマージン部を備える積層セラミックコンデンサが準備された。また、サイドマージン部の厚みは、20μmとした。なお、実施例のサイドマージン部について、アウター層の厚みを16μmとし、インナー層の厚みを4μmとした。
(比較例)
比較例では、インナー層およびアウター層の2層からなるサイドマージン部を設けずにTiに対してSiをSiのmol数/Tiのmol数が3.5となるように含有する1層構造のサイドマージン部とした以外は、実施例と同じ条件で積層セラミックコンデンサを製造した。
(評価方法)
上記した実施例および比較例の積層セラミックコンデンサの各試料をそれぞれ5個ずつ準備し、積層セラミックコンデンサの両側面のサイドマージン部表面の硬度をビッカース硬度計で測定した。ビッカース硬度の測定条件は、測定加重:200gf、下死点保持時間:10sとした。また、実施例および比較例の積層セラミックコンデンサの各試料のサイドマージン部表面近傍のポア面積率が算出された。このポア面積率は、サイドマージン部を含む面を露出させ、SEMにより撮像する。撮像した画像に画像処理を施しポアの面積を測定する。このポアの面積を撮像した画像に写っている積層セラミックコンデンサの面積で割ったものをポア面積率として算出している。
図11は、サイドマージン部表面近傍のポア面積率とサイドマージン部表面のビッカース硬度との関係を示す図である。
実験の結果、図11に示すように、実施例の積層セラミックコンデンサでは、サイドマージン部表面付近のポア面積率0.3%であり、サイドマージン部表面のビッカース硬度は1470MPa以上1680MPa以下であった。
一方、図11に示すように、比較例の積層セラミックコンデンサでは、サイドマージン部表面付近のポア面積率は1.9%であり、サイドマージン部表面のビッカース硬さは1140MPa以上1270MPa以下であった。
以上より、実施例の積層セラミックコンデンサの方が比較例の積層セラミックコンデンサよりも抗折強度が向上していることが明らかとなった。
なお、この発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変形される。
10 積層セラミックコンデンサ
12 積層体
13 第1の端面
14 第2の端面
15 第1の側面
16 第2の側面
17 第1の主面
18 第2の主面
20 内層用セラミック層
22 第1の内部電極
22a、24a 偏析部
22b 第1の主面に最も近い第1の内部電極
24 第2の内部電極
24b 第2の主面に最も近い第2の内部電極
26 内層部
28、30 外層部
32、34 サイドマージン部
32a、34a アウター層
32b、34b インナー層
40 第1の外部電極
42 第2の外部電極
40a、42a ベース電極層
40b、42b 下層めっき
40c、42c 上層めっき
46、48 外層用セラミック層
50a、50b セラミックグリーンシート
52a、52b 導電膜
60 積層体チップ

Claims (4)

  1. 積層された複数の誘電体層と複数の内部電極を含む積層体と、前記内部電極に電気的に接続された外部電極とを備えた積層セラミックコンデンサであって、
    前記積層体は、積層方向において相対する第1の主面および第2の主面、積層方向と直交する幅方向において相対する第1の側面および第2の側面、並びに積層方向および幅方向と直交する長さ方向において相対する第1の端面および第2の端面を含む直方体状に形成され、
    前記複数の内部電極は、前記第1の端面に露出する第1の内部電極と、前記第1の内部電極と誘電体層を介して対向するように前記第2の端面に露出する第2の内部電極とを含み、
    前記積層体は、前記誘電体層と、前記第1の内部電極および前記第2内部電極とを複数積層して構成される内層部と、複数の前記誘電体層を有し、前記内層部を積層方向から挟むように配置される外層部と
    記内層部と前記外層部とを前記幅方向から複数のセラミック層で挟むように形成されたサイドマージン部を有し、
    前記複数の外部電極は、前記第1の端面を覆うように形成され、且つ前記第1の内部電極に電気的に接続された第1の外部電極と、前記第2の端面を覆うように形成され、且つ前記第2の内部電極に接続された第2の外部電極とを含み
    前記サイドマージン部は、前記積層体の前記長さ方向中央部において、前記積層方向と前記幅方向に平行な断面で見たとき、前記第1の側面および前記第2の側面を含むアウター層と、前記アウター層よりも前記幅方向内側に位置するインナー層とを有し、
    前記内部電極の端部にはSiが偏析しており、前記アウター層のSiのmol数/Tiのmol数が3.0以上7.0以下であり、前記インナー層のSiのmol数/Tiのmol数が1.0以上4.0以下であり、
    前記アウター層の前記幅方向に沿った寸法は、5μm以上20μm以下であり、前記インナー層の前記幅方向に沿った寸法は、0.1μm以上20μm以下であり、且つ前記アウター層の幅方向に沿った寸法は、前記インナー層の幅方向に沿った寸法よりも大きい、積層セラミックコンデンサ。
  2. 前記積層体は、前記第1の側面および前記第2の側面における前記第1の内部電極および前記第2の内部電極の露出面は、前記第1の内部電極および第2の内部電極の中央部よりもSiを多く含むことを特徴とする、請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。
  3. 前記サイドマージン部のSiのmol数/Tiのmol数は、1.0以上7.0以下であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の積層セラミックコンデンサ。
  4. 前記サイドマージン部の前記幅方向に沿った寸法は5μm以上40μm以下であることを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の積層セラミックコンデンサ。
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