JP7314664B2 - 異常検知装置、異常検知方法、異常検知装置の制御方法、及び制御プログラム - Google Patents

異常検知装置、異常検知方法、異常検知装置の制御方法、及び制御プログラム Download PDF

Info

Publication number
JP7314664B2
JP7314664B2 JP2019126226A JP2019126226A JP7314664B2 JP 7314664 B2 JP7314664 B2 JP 7314664B2 JP 2019126226 A JP2019126226 A JP 2019126226A JP 2019126226 A JP2019126226 A JP 2019126226A JP 7314664 B2 JP7314664 B2 JP 7314664B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
belt
torque
detection device
feature amount
abnormality
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019126226A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021012096A (ja
Inventor
幸太 宮本
克行 木村
健斗 土川
正善 月川
仁 友定
真輔 川ノ上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Omron Corp
Original Assignee
Omron Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Omron Corp filed Critical Omron Corp
Priority to JP2019126226A priority Critical patent/JP7314664B2/ja
Publication of JP2021012096A publication Critical patent/JP2021012096A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7314664B2 publication Critical patent/JP7314664B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Control Of Electric Motors In General (AREA)
  • Testing Of Devices, Machine Parts, Or Other Structures Thereof (AREA)
  • Devices For Conveying Motion By Means Of Endless Flexible Members (AREA)

Description

本発明はプーリ間に懸架されたベルトの異常を検知するための、異常検知装置、異常検知方法、異常検知装置の制御方法、及び制御プログラムに関する。
軸間で回転運動を伝達する機構である、ベルト&プーリ機構は産業界で広く用いられている。特に、サーボドライバ等の制御装置により制御されるサーボモータの回転軸に連結されたプーリによって、複数のプーリ間に懸架された無端ベルトが駆動される方式が、ベルト&プーリ機構の動作の精密な制御が必要な場面において用いられている。
特開平8-217302号公報
ベルト&プーリ機構において、ベルトの経時劣化等によりベルトがゆるむと、所要の動作が行えなくなる不具合が生じる。そこで、特許文献1では、動作時におけるベルトの蛇行を直接検知するセンサを設けて、ベルトのゆるみを検出する技術が提案されている。しかし、本技術では、ベルトの蛇行を直接検知できるセンサを、ベルト異常検知のために設ける必要がある。
本発明の一態様は、モータにより駆動されるベルト&プーリ機構におけるベルトの異常を、ベルトの蛇行を直接観察するためのセンサを付加することなく検知し得る異常検知装置を実現することを目的とする。
本発明は、上述の課題を解決するために、以下の構成を採用する。
本発明の一側面に係る異常検知装置は、プーリを回転させることによってプーリ間に懸架された無端ベルトを駆動するモータの、トルクを示すトルク信号を受信する通信部と、前記トルク信号の周期における平均値であるトルク平均を第1特徴量として算出する、第1特徴量算出部と、前記トルク信号の当該周期における変動の大きさを示す変動パラメタを第2特徴量として算出する、第2特徴量算出部と、当該第1特徴量及び当該第2特徴量から異常度スコアを算出する異常度スコア算出部と、前記異常度スコアが所定の閾値を超えると、前記無端ベルトの状態が異常であると判定する異常判定部とを備える。
上記構成によれば、モータにより駆動されるベルト&プーリ機構におけるベルトの異常を、ベルトの蛇行を直接観察するためのセンサを付加することなく検知し得る異常検知装置を実現できる。あるいは、ベルト&プーリ機構の管理者は、ベルト&プーリ機構の周期内における動作がどのようなものであるかを考慮することなくベルト異常の判定基準を定めることができる。あるいは、ベルトへの異物の噛み込みをもベルト異常として検知できるようになる。
上記一側面に係る異常検知装置において、前記変動パラメタは、前記トルク信号の周期における最大幅または標準偏差である構成を備えていてもよい。
上記構成によれば、上記変動パラメタが具体的に定義できる。あるいは、ベルトへの異物の噛み込みをもベルト異常として検知できるようになる。
上記一側面に係る異常検知装置において、前記変動パラメタは、前記トルク信号の周期における、前記トルク信号の高周波成分の最大幅または標準偏差である構成を備えていてもよい。
上記構成によれば、上記変動パラメタが具体的に定義できる。あるいは、ベルトへの異物の噛み込みをもベルト異常として検知できるようになる。
上記一側面に係る異常検知装置において、前記異常度スコアは、前記無端ベルトの状態が正常であるときに取得された前記トルク信号に関しての、多数の前記トルク平均の分布を基礎に、当該分布のばらつきが拡大するように修正された修正トルク平均を第1特徴量とし、前記変動パラメタを第2特徴量とし、各周期における第1特徴量及び第2特徴量の2次元空間での多数の周期についての分布に基づいて、第1特徴量と第2特徴量の関数として定められている構成を備えていてもよい。
上記構成によれば、ベルト&プーリ機構の構成や使用条件等に依存することが少なく、柔軟にベルト異常の検出機能を付加したシステムの構築が可能となる。あるいは、ベルト&プーリ機構の管理者は、ベルト異常を故意に発生させた状態でベルト&プーリ機構を動作させることなく、ベルト異常の判定基準を定めることができる。あるいは、ベルト&プーリ機構の管理者は、所定の気温でトルク信号のデータを取得することによって、幅を持った所要の気温の範囲においてベルト異常が検知できるシステムの構築が可能となる。
本発明の一側面に係る異常検知方法は、プーリを回転させることによってプーリ間に懸架された無端ベルトを駆動するモータの、トルクを示すトルク信号を受信するステップと、前記トルク信号の周期における平均値であるトルク平均を第1特徴量として算出するステップと、前記トルク信号の当該周期における変動の大きさを示す変動パラメタを第2特徴量として算出するステップと、当該第1特徴量及び当該第2特徴量から異常度スコアを算出するステップと、前記異常度スコアが所定の閾値を超えると、前記無端ベルトの状態が異常であると判定するステップとを備える。
上記構成によれば、モータにより駆動されるベルト&プーリ機構におけるベルトの異常を、ベルトの蛇行を直接観察するためのセンサを付加することなく検知し得る異常検知装置を実現できる。あるいは、ベルト&プーリ機構の管理者は、ベルト&プーリ機構の周期内における動作がどのようなものであるかを考慮することなくベルト異常の判定基準を定めることができる。あるいは、ベルトへの異物の噛み込みをもベルト異常として検知できるようになる。
上記一側面に係る異常検知方法において、前記異常度スコアは、前記無端ベルトの状態が正常であるときに取得された前記トルク信号に関しての、多数の前記トルク平均の分布を基礎に、当該分布のばらつきが拡大するように修正された修正トルク平均を第1特徴量とし、前記変動パラメタを第2特徴量とし、各周期における第1特徴量及び第2特徴量の2次元空間での多数の周期についての分布に基づいて、第1特徴量と第2特徴量の関数として定められている構成を備えていてもよい。
上記構成によれば、ベルト&プーリ機構の構成や使用条件等に依存することが少なく、柔軟にベルト異常の検出機能を付加したシステムの構築が可能となる。あるいは、ベルト&プーリ機構200の管理者は、ベルト異常を故意に発生させた状態でベルト&プーリ機構を動作させることなく、ベルト異常の判定基準を定めることができる。あるいは、ベルト&プーリ機構200の管理者は、所定の気温でトルク信号のデータを取得することによって、幅を持った所要の気温の範囲においてベルト異常が検知できるシステムの構築が可能となる。
本発明の一側面に係る異常検知装置の制御方法は、上記本発明の一側面に係る異常検知装置の制御方法であって、前記異常度スコアを定めるステップと、前記異常検知装置の前記異常度スコア算出部に、当該異常度スコアを設定するステップとを備える。
本発明の一側面に係る制御プログラムは、上記本発明の一側面に係る異常検知装置の制御方法に記載の各ステップをコンピュータに実行させることによって、前記コンピュータを異常検知装置の制御装置として動作させる構成を備える。
上記本発明の一側面に係る異常検知装置の制御方法、または上記本発明の一側面に係る制御プログラムによれば、モータにより駆動されるベルト&プーリ機構におけるベルトの異常を、ベルトの蛇行を直接観察するためのセンサを付加することなく検知し得る異常検知装置、異常検知システムを実現させることができる。あるいは、ベルト&プーリ機構の管理者は、ベルト&プーリ機構の周期内における動作がどのようなものであるかを考慮することなくベルト異常の判定基準を定めることができる。あるいは、ベルトへの異物の噛み込みをもベルト異常として検知できるようになる。
あるいは、ベルト&プーリ機構の構成や使用条件等に依存することが少なく、柔軟にベルト異常の検出機能を付加したシステムの構築が可能となる。あるいは、ベルト&プーリ機構の管理者は、ベルト異常を故意に発生させた状態でベルト&プーリ機構を動作させることなく、ベルト異常の判定基準を定めることができる。あるいは、ベルト&プーリ機構の管理者は、所定の気温でトルク信号のデータを取得することによって、幅を持った所要の気温の範囲においてベルト異常が検知できるシステムの構築が可能となる。
本発明の一側面に係る異常検知装置によれば、モータにより駆動されるベルト&プーリ機構におけるベルトの異常を、ベルトの蛇行を直接観察するためのセンサを付加することなく検知し得る。
本発明の一側面に係る異常検知方法によれば、モータにより駆動されるベルト&プーリ機構におけるベルトの異常を、ベルトの蛇行を直接観察するためのセンサを付加することなく検知し得る異常検知装置を実現することができる。
本発明の実施形態1に係る異常検知装置及び、異常検知装置が監視するベルト&プーリ機構を含んだ全体の構成を示す図である。 本発明の実施形態1におけるトルク信号を示すタイムチャートである。ベルトの状態が正常である場合と、ゆるみがある場合とを比較して示す。 本発明の実施形態1におけるトルク平均の統計データを、4通りの気温時について示す図である。ベルトの状態が正常である場合、ゆるみがある場合(2通り)を比較して示す。 本発明の実施形態1におけるトルク信号を示すタイムチャートである。ベルトの状態が正常である場合と、ベルトに異物の噛み込みがある場合とを比較して示す。 本発明の実施形態1におけるトルク平均の最大幅の統計データを、4通りの気温時について示す図である。ベルトの状態が正常である場合、異物の噛み込みがある場合(3通り)を比較して示す。 本発明の実施形態1における機械学習処理を説明するフローチャートである。 本発明の実施形態1におけるトルク平均と修正トルク平均を説明するための分布を示すグラフである。 本発明の実施形態1における機械学習処理中の変動パラメタ処理(サブルーチン)を説明するフローチャートである。 本発明の実施形態1における機械学習処理によって異常度スコアが算出されることを説明するための概念図である。 本発明の実施形態1に係る異常検知装置が実行する監視処理を説明するフローチャートである。 本発明の実施形態2における機械学習処理中の変動パラメタ処理(サブルーチン)を説明するフローチャートである。 本発明の実施形態2におけるトルク信号の高周波成分を示すタイムチャートである。ベルトの状態が正常である場合と、異物の噛み込みがある場合とを比較して示す。 本発明の実施形態2におけるトルク平均の高周波成分の最大幅の統計データを、4通りの気温時について示す図である。ベルトの状態が正常である場合、異物の噛み込みがある場合(3通り)を比較して示す。
以下、本発明の一側面に係る実施形態が説明される。
§1 適用例
まず、本発明が適用される場面の一例が説明される。複数のプーリ間に懸架された無端ベルトと、プーリを回転させることによって前記無端ベルトを駆動するモータを備えたベルト&プーリ機構に対して、本実施形態に係る異常検知装置は適用される。
本実施形態に係る異常検知装置は、プーリを回転させることによってプーリ間に懸架された無端ベルトを駆動するモータの、トルクを示すトルク信号を受信する通信部を備えている。
また本実施形態に係る異常検知装置は、前記トルク信号の周期における平均値であるトルク平均を第1特徴量として算出する、第1特徴量算出部と、前記トルク信号の当該周期における変動の大きさを示す変動パラメタを第2特徴量として算出する、第2特徴量算出部とを備えている。
更に本実施形態に係る異常検知装置は、当該第1特徴量及び当該第2特徴量から異常度スコアを算出する異常度スコア算出部と、前記異常度スコアが所定の閾値を超えると、前記無端ベルトの状態が異常であると判定する異常判定部とを備えている。
本実施形態に係る異常検知装置は、上記構成を備えることにより、前記モータまたはモータを制御する制御装置からの前記トルク信号に基づいて、前記無端ベルトの状態が異常か否かを判定することができる。
従って、モータにより駆動されるベルト&プーリ機構におけるベルトの異常を、ベルトの蛇行を直接観察するためのセンサを付加することなく検知し得る。またベルト&プーリ機構の改造を要することが無いため、既設のベルト&プーリ機構に対しても容易に後付けで適用が可能である。
よって、ベルト&プーリ機構を備えるシステムの管理者は、本実施形態に係る異常検知装置の利用によって、ベルト&プーリ機構が動作不良に至る前にメンテナンスを実行できるようになる。もって、ベルト&プーリ機構の動作不良の発生を抑制することができるようになる。
あるいは、本実施形態に係る異常検知装置では、上記構成を備えることにより、ベルトのゆるみのみならず、ベルトへの異物の噛み込みも異常として検知することができる。あるいは、ベルト&プーリ機構の管理者は、ベルト&プーリ機構の周期内における動作がどのようなものであるかを考慮することなくベルト異常の判定基準を定めることができる。
§2 構成例
以下に、図1~図13を参照しつつ、本発明が適用される場面のより具体的な例が説明される。本発明が適用される具体的な場面の例示としては、生産現場におけるファクトリーオートメーション(FA)があり得る。この場合、異常検知装置は、中央制御装置としてのプログラマブルロジックコントローラ(Programmable Logic Controller:PLC)に統合され得る。以下の構成例では、そのように、PLCが異常検知装置としての機能を実装しているケースを例に説明される。
〔実施形態1〕
<全体の構成>
図1は、実施形態1に係る異常検知装置100と、異常検知装置100により監視されるベルト&プーリ機構200を含めた全体のシステム構成を示す概略図である。ベルト&プーリ機構200は、サーボドライバ210、サーボモータ220、サーボモータ220(モータ)の回転軸に連結されたプーリ221、可動機構230、可動機構230の回転軸に連結されたプーリ231とベルト240(無端ベルト)とを備えている。
ベルト&プーリ機構200における駆動力をサーボモータ220が発生させる。サーボドライバ210は、サーボモータ220の回転をフィードバック制御することにより、ベルト&プーリ機構200の動作を制御する。サーボドライバ210は、サーボモータ220の回転をフィードバック制御するに当たり、サーボモータ220のトルクを監視する。
プーリ221及びプーリ231は、無端(リング状)であるベルト240が懸架される回転体である。サーボモータ220の回転軸に連結されたプーリ221は、サーボモータ220の回転軸の回転運動をベルト240を通じてプーリ231に伝達する。可動機構230は、プーリ231の回転運動によって作動する可動部を備えた機構である。可動機構230の具体的な事例としては、生産や検査の工程において、製品等の加工や搬送、検査を実行するための可動部であることが挙げられる。
図1において、ベルト240は、2つのプーリ221、231の間に懸架されるように描かれているが、公知の如く、3つ以上のプーリ間に懸架されてもよい。ベルト&プーリ機構は、複数の可動機構における回転運動を、連動させて動作させる際にも多用されている機構であり、本発明は当然にそのような構成にも適用され得る。
異常検知装置100には、コンピュータ501及び入出力装置502が接続されている。入出力装置502は、PLCでもある異常検知装置100に対しての管理者からの入力を受け付け、また異常検知装置100から情報を受け取って表示し得る装置である。コンピュータ501も入出力装置502と同様に動作し得る。またコンピュータ501は、PLCである異常検知装置100内部の設定の変更をサポートし得るアプリケーションを備えた、ツールとも称されるコンピュータ(異常検知装置の制御装置)であり得る。
<異常検知装置の構成>
異常検知装置100は、第1通信部101(通信部)、記録部102、制御部103、第2通信部104、異常検知部110を備える。第1通信部101は、サーボドライバ210が出力するトルク信号Stを受信する通信インターフェースである。記録部102は、トルク信号Stやその他の種々の情報を記録するメモリである。
制御部103は、外部の機器を制御し、また外部の機器からの情報を取得して種々の情報処理を実行し得る、PLCである異常検知装置100が備える機能ブロックである。制御部103は、サーボドライバ210を制御して、ベルト&プーリ機構200に所要の動作を実行させる。そのため制御部103は、第1通信部101を通じてサーボドライバ210等の外部の機器と制御に関する情報のやり取りや情報の取得を行う。
第2通信部104は、外部のコンピュータ等との通信を行う通信インターフェースである。実施形態1において、第2通信部104には、コンピュータ501と、入出力装置502とが適宜のネットワークを介して接続されている。
異常検知部110は、第1通信部101が受信し、あるいは第1通信部101が受信して記録部102に記録されたトルク信号Stに基づいて、ベルト&プーリ機構200におけるベルト240の異常検知を実行する。異常検知部110には、第1特徴量算出部111、第2特徴量算出部112、異常度スコア算出部113、異常判定部114の各機能ブロックが設けられている。これら各機能ブロックが実行する動作については後述される。
<ゆるみがある場合のトルク信号>
実施形態1に係る異常検知装置100の動作が説明されるにあたり、まず、異常検知装置100が、ベルト240の異常を検知する原理について示される。
図2は、サーボドライバ210が出力する、サーボモータ220のトルクを示すトルク信号Stの例を表したタイムチャートである。図2のタイムチャートにおいて、縦軸は任意単位である。図2には、ベルト240が正常な場合のトルク信号波形と、実験的に故意にベルトにゆるみを設けてベルト&プーリ機構200を動作させたときのトルク信号波形が示されている。
それぞれの場合のトルク信号Stは周期的な挙動を示し、図2には、その3周期分が表されている。トルク信号Stの1周期は、PLCである異常検知装置100の制御によりベルト&プーリ機構200が実行する、1単位分の処理動作に相当する。
ここで、1単位とは、製品の加工処理や検査処理であれば、被処理品(製品)1個分に対応する。1単位分の処理において、サーボモータ220は、回転の開始や停止、加速や減速、反転等の所要の動作を実行する。そのためトルク信号Stは1周期内において複雑な挙動を示す。また、1単位分の処理動作が多数の被処理品に対して繰り返されるため、トルク信号Stは周期的な挙動を示す。
図2に示されるように、トルク信号Stについて、ベルト240が正常な場合と、ベルト240にゆるみがある場合とを比較すると、後者において、トルクの大きさが全体的に小さくなっている。トルク信号Stの各周期において信号の大きさの平均を取り、それをトルク平均Atとすると、トルク平均Atの大きさは、ゆるみがある場合において小さくなると考えられる。
図3は、多数の周期についてトルク平均Atを取得した統計データを箱ヒゲ図として表したものである。図3は、ベルト240にゆるみが無く正常な場合、ゆるみの大きさが小さい場合と大きい場合についての結果を比較して示す。また図3は、トルク信号Stを取得する時の気温を10℃、20℃、30℃、40℃としたときの各結果も併せて示す。
一定の気温において比較すると、正常時と比べてゆるみが大きくなるほどトルク平均Atが小さくなっている状況が明確に表れている。従って図3の結果から、トルク平均Atを監視すれば、ベルト240のゆるみが検出できる可能性があることが判明する。しかしながら、トルク平均Atは、気温により変動することもまた同時に図3には示されている。気温が低くなるとトルク平均Atは大きくなり、気温が高くなるとトルク平均Atは小さくなる。
ただし図3に示されるように、ゆるみの発生によるトルク平均Atの減少の程度は、ベルト&プーリ機構200が設置される工場等の室内における通常の範囲の気温変化に起因する変動と比べて大きい。
例えば、図3において矢印で示されているようなトルク平均Atの範囲を正常である状態と判断し、その範囲を外れた場合を異常と判断するとする。ベルト&プーリ機構200の設置箇所の気温が10℃から40℃の程度の範囲内にあると想定されるのであれば、ベルト&プーリ機構200の動作が不良となるほどの大きなゆるみ(図3のゆるみ(大)よりも更に大きなゆるみ)が発生する以前に、ベルト異常を検知できることになる。また、その場合に気温変化起因の変動により、ベルトのゆるみが発生していないにも係わらずベルト異常と判断してしまう誤検知が発生しない可能性が示されている。
<異物の噛み込みがある場合のトルク信号>
ベルト&プーリ機構200の動作に異常が生じてしまうようなベルト異常の原因としては、ベルト240のゆるみ以外にも、ベルト240への異物の噛み込みが想定される。
図4は、ベルト240が正常な場合のトルク信号波形と、実験的に故意にベルト240に異物の噛み込みを発生させて動作させたときのトルク信号波形を示すタイムチャートである。正常な場合の信号波形は、図2の場合と同様である。
異物の噛み込みがある場合のトルク信号Stは、トルクが正常な場合から一瞬大きく振れるような、特徴的な波形を示す。この現象は、異物がプーリに接触することにより生じている。トルク信号Stの各周期においてトルクの変動の大きさを示すようなパラメタ(変動パラメタDt)を算出すると、異物の噛み込み発生時には正常時よりも、変動パラメタDtが大きくなると考えられる。
図5は、変動パラメタDtとして各周期におけるトルク信号Stの最大幅を採用し、多数の周期において取得した統計データを箱ヒゲ図として表したものである。最大幅とは、各周期におけるトルク信号Stの最大値と最小値の差である。
図5は、ベルト240に異物の噛み込みが無く正常な場合、異物の噛み込みがある場合の結果を比較して示す。異物についてはその大きさを大、中、小と3通りである場合の結果が示されている。また図5は、トルク信号Stを取得する時の気温を10℃、20℃、30℃、40℃としたときの各結果も合わせて示す。
図5から明らかなように、異物の噛み込みが生じると、トルク信号Stの最大幅が、正常な場合と比較して顕著に増大する状況が明確に表れている。従って図5の結果から、トルク信号Stの最大幅等の変動パラメタDtを監視すれば、ベルト240への異物の噛み込みによる異常が検出できる可能性が示された。
なお、変動パラメタDtとしては、トルク信号Stの最大幅に限られず、周期内のトルク信号Stの標準偏差等、他のトルクの変動の大きさを示すパラメタを用いても、同様に異常の検出が可能である。
<機械学習処理>
上述の様に、トルク信号Stを監視すれば、ベルト240のゆるみまたは異物の噛み込みによるベルト異常が検知できる可能性がある。しかし、ベルト&プーリ機構200の構成は様々であり、また、生産現場等においてPLCに制御より制御される、ベルト&プーリ機構200の動作も様々である。よって、上述の原理に基づいてベルト&プーリ機構200のベルト異常を実際に検知するには、これら多種多様な状況に対応する必要がある。
そこで、実施形態1に係る異常検知装置100では、ベルト&プーリ機構200が実際に使用されている現場において、その使用条件に応じてベルト異常の判定基準を定める。その際、実際に監視を行うベルト&プーリ機構200についての多数の実測データを用いた機械学習処理によって、判定基準が定められる。
図6は、このような機械学習を利用して、異常検知装置100における判定基準を定める手順(機械学習処理)を示すフローチャートである。機械学習処理を実施する際に、管理者は所定の気温下において、正常状態にあるベルト&プーリ機構200を運転し、異常検知装置100の記録部102にトルク信号Stを記録させる。
コンピュータ501は、記録部102に記録されたトルク信号Stに基づいて、機械学習を実行し、更に異常検知装置100を制御して、異常検知装置100に特定の判定モデルを設定させる専用のプログラムを備えたコンピュータである。以下に図6のフローチャートに示された判定基準を定める手順(機械学習処理)が詳細に説明される。
ステップS11:コンピュータ501は、異常検知装置100の記録部102から、上記トルク信号Stのデータを取得する。当該トルク信号Stのデータは、機械学習のためのデータとなる。
ステップS12:続いてコンピュータ501は、ベルト&プーリ機構200の動作の1周期をフレームとし、フレーム毎のトルク信号Stの平均値をトルク平均Atとして算出する。
ステップS13:続いてコンピュータ501は、算出した多数のトルク平均Atから、その平均値Aaを算出する。
ステップS14:続いてコンピュータ501は、各フレームのトルク平均Atのデータを、以下のようにして修正トルク平均Amに変換する。トルク平均Atが平均値Aaである場合には、修正トルク平均Amはトルク平均Atに等しい。
トルク平均Atが平均値Aaより小さい場合、平均値Aaとの差異が、Em倍になる値に変換する。トルク平均Atと修正トルク平均Amの関係を数式で示すと、各フレームにおいて、(Aa-At)×Em=Aa-Amとなる。
トルク平均Atが平均値Aaより大きい場合、平均値Aaとの差異が、Ep倍になる値に変換する。トルク平均Atと修正トルク平均Amの関係を数式で示すと、各フレームにおいて、(At-Aa)×Ep=Am-Aaとなる。
図7は、トルク平均Atの分布、及び修正トルク平均Amの分布を概念的に示す図である。修正トルク平均Amは、トルク平均Atの分布におけるばらつきが、平均値より小さい領域においてEm倍に拡大され、平均値より大きい領域においてEp倍に拡大されたものである。
ステップS15:続いてコンピュータ501は、変動パラメタ算出処理を実行する。実施形態1における変動パラメタ算出処理(サブルーチン)のフローチャートは、図8に示される。変動パラメタ算処理は以下の通りである。
ステップS21:コンピュータ501は、各フレームにおいてトルク信号Stの最大幅を算出し、変動パラメタDtとする。次に変動パラメタ算出処理は終了し、ステップS16に進む。
ステップS16:続いてコンピュータ501は、修正トルク平均Amを第1特徴量、変動パラメタDtを第2特徴量とした2次元空間での、各フレームについての分布データから、異常度スコアSoを算定する。
各フレームについての分布データは、正常な状態における分布と見なすべきものである。異常度スコアSoの算出には、正常な状態における特徴量の分布から、異常値(外れ値)である蓋然性を示す値である異常度スコアを算出する機械学習のアルゴリズムを利用できる。そのようなアルゴリズムの具体例としては、アイソレーションフォレスト(Isolation Forest)やLOF(Local Outlier Factor)といった公知の手法を用いることができる。
ここで、第1特徴量としての修正トルク平均Amは、所定の気温下で取得された実際のトルク平均Atの分布を拡大したものである。図9は、各フレームについての分布データと異常度スコアの関係を説明するための概念図である。図9のグラフ9Aは、各フレームについてのデータをプロットしたものであり、トルク平均Atについてのプロットが黒点で、修正トルク平均Amについてのプロットが白抜き点で示されている。
図9のグラフ9Bは、修正トルク平均Amである第1特徴量を横軸に、変動パラメタDtである第2特徴量を縦軸にして、異常度スコアSoを等高線グラフで示した図であり、横軸、縦軸はグラフ9Aに対応している。横軸方向に分布が拡大された各フレームについての分布データ(修正トルク平均Amと変動パラメタDt)に基づいて、異常度スコアが算定される状況が模式的に示されている。
異常度スコアを算出する機械学習のアルゴリズムによって、各フレームについてのデータが多数存在する領域では、異常度スコアSoが小さくなり、その領域から外れていくと異常度スコアSoが大きくなる状況が、図9には模式的に表されている。
第1特徴量としての修正トルク平均Amを、所定の気温下で取得された実際のトルク平均Atの分布を拡大したものとすることは、図3に示される正常時の統計データにおいて、ある気温でトルク信号Stを取得した場合に、矢印で示される範囲まで、正常と見なす範囲を拡大することに相当する。ステップS14にて指定される係数Em、係数Epは、ある気温で取得したデータを、想定される室内の気温条件に対応するようにばらつきを拡大するための係数である。
仮にベルト&プーリ機構200が稼働する際の設置された部屋の気温として10℃から40℃までの範囲が想定されるとする。例えば正常時の統計データの取得が、10℃にて行われていた場合には、平均値Aaよりも小さいデータについては分布の拡大を非常に大きくし(Em大)、平均値Aaより大きいデータについては分布の拡大は少なくする(Ep小)。
また例えば正常時の統計データの取得が、30℃にて行われていた場合には、平均値Aaよりも小さいデータについては分布の拡大を小さくし(Em小)、平均値Aaより大きいデータについては分布の拡大を大きくする(Ep大)。
このように、係数Em、係数Epの適切な値は、ベルト&プーリ機構200が稼働する際の想定される気温条件と、正常時のデータ取得時の気温の関係により調整されるものである。よってあらかじめ、ステップS14でコンピュータ501において、これらに応じて目安となる値が準備されており、管理者により選択されるようにされていることが好ましい。
こうして、ステップS16において、第1特徴量と第2特徴量についての関数として、異常度スコアが定められる。異常度スコアSoは、第1特徴量と第2特徴量についての関数であるので、その値が第1特徴量と第2特徴量についてのテーブルとして表現されてもよい。
このようにして、第1特徴量及び第2特徴量で定義される2次元空間中の点における値として算定された異常度スコアSoが、ベルト異常の監視に利用される。例えば、ベルト240の監視時において、ベルト240が大きくゆるむとトルク平均At(第1特徴量)が低下し、図9のグラフ9Aにおいて、「異常(ゆるみ)」として示された点で表される状態となり、大きい異常度スコアSoが算出されて異常が検知されることとなる。また例えば、ベルト240の監視時において、ベルト240に異物の噛み込みが発生するとトルク信号Stの最大幅(第2特徴量)が増大し、図9のグラフ9Aにおいて、「異常(異物)」として示された点で表される状態となり、大きい異常度スコアSoが算出されて異常が検知されることとなる。
ステップS17:コンピュータ501は、管理者により選択された値を閾値Thとして決定する。なお、閾値Thは、規定値(デフォルト値)であってもよい。
ステップS18:コンピュータ501は、異常検知装置100を制御して、第1特徴量と第2特徴量についての関数としての異常度スコアSoを、異常度スコア算出部113に設定する。また、閾値Thを、異常判定部114に設定する。次にフローは終了する。
<監視処理>
実施形態1に係る異常検知装置100は、上記機械学習処理により、ベルト&プーリ機構200が使用されている現場で取得したトルク信号Stを基に算定された判定基準に従って、ベルト&プーリ機構200のベルト異常の監視を実行する。
図10は、異常検知装置100が実行する監視処理を示すフローチャートである。異常検知装置100は、監視を実行している期間中、図10のステップS41からステップS48で表されるフローを繰り返し実行する。フローの繰り返しは、フレームと等しい期間毎に実行される。
ステップS41:異常検知装置100は、第1通信部101を通じてサーボドライバ210から、トルク信号Stの1周期分のデータを取得する。なお、異常検知装置100は、記録部102に逐次記録された、サーボドライバ210からのトルク信号Stの1周期分のデータを、記録部102から読み出すことによって取得してもよい。
ステップS42:続いて、第1特徴量算出部111が、当該フレームにおけるトルク信号Stの平均であるトルク平均Atを算出し、第1特徴量とする。このように、監視時には、トルク平均Atを第1特徴量に採用する。
ステップS43:続いて、第2特徴量算出部112が、当該フレームにおける変動パラメタDtを算出し、第2特徴量とする。実施形態1において、変動パラメタDtは、当該フレームにおけるトルク信号Stの最大幅である。
ステップS44:続いて、異常度スコア算出部113が、当該第1特徴量及び当該第2特徴量から、異常度スコアSoを算出する。
ステップS45:続いて、異常判定部114が、当該異常度スコアSoが、閾値Th以下であるか否かを判断する。閾値以下である(So≦Th)と判断される場合(S45でYES)、ステップS46に進み、それ以外の場合(S45でNO)、ステップS47に進む。
ステップS46:異常判定部114は、異常度スコアSoが、閾値Th以下である場合には、ベルトの状態が正常であると判断する。次にフローは終了する。
ステップS47:異常判定部114は、異常度スコアSoが、閾値Th以下でない場合には、ベルトの状態が異常であると判定する。
ステップS48:続いて、異常判定部114は、ベルトの状態が異常であることを、第2通信部を通じて、入出力装置502に通知する。適宜に入出力装置502が、設けられたディスプレイにベルトの状態が異常であることを表示し、管理者に報知する。次にフローは終了する。
上記フローにおいて、異常検知装置100は、当該フレームにおけるベルトの状態の判断結果を適宜、記録部102に記録するようにしてもよい。
<効果>
異常検知装置100によれば、トルク信号Stに基づいて、ベルト異常の発生が検知される。従って、ベルト&プーリ機構200にベルト240の動作の蛇行を直接検知するようなセンサを新たに設けずとも、ベルト240のゆるみといったベルト異常が検知できる。よって、ベルト240のゆるみを低コストで検知できるようになる。またベルト&プーリ機構200の改造を要することが無いため、既設のベルト&プーリ機構200に対しても容易に後付けで適用が可能である。
異常検知装置100によれば、ベルト異常の判定基準の設定は、ベルト&プーリ機構200が実際に使用されている現場において取得されたトルク信号Stに基づき、機械学習によって定められる。よって、ベルト&プーリ機構200の構成や使用条件、あるいはサーボドライバ210の型式に依存することが少なく、柔軟にベルト異常の検出機能を付加したシステムの構築が可能となる。
異常検知装置100によれば、正常に稼働するベルト&プーリ機構200について取得されたトルク信号Stに基づき、機械学習によってベルト異常の判定基準の設定が行われる。よってベルト&プーリ機構200の管理者は、機械学習を行わせるに当たり、ベルトのゆるみやベルトへの噛み込みといった異常を故意に発生させた状態でベルト&プーリ機構200を動作させる必要は無く、ベルト異常の判定基準の設定の作業が容易に遂行できる。
異常検知装置100によれば、トルク信号Stに基づいたベルト異常の判定基準の設定は、トルク信号Stの周期分のデータから算出される上記特徴量により行われる。よってベルト&プーリ機構200の管理者は、ベルト&プーリ機構200の周期内における動作がどのようなものであるかを考慮することなく判定基準を定めることができ、判定基準を定めるに当たってベルト&プーリ機構200の動作を詳細に分析する必要が無い。
異常検知装置100によれば、トルク信号Stに基づいて、ベルト異常の発生が検知されるから、本発明者らにより実験的に明らかにされたように、誤検知が少なくベルト240のゆるみが検知できるようになる。更には、ベルト240への異物の噛み込みも併せて検知できるようになる。
また、トルク信号Stに基づいたベルト異常の判定基準の設定は、トルク信号Stの周期分のデータから算出されるトルク平均Atの分布のばらつきを拡大した修正トルク平均Amに基づいて行われる。そのため、ベルト&プーリ機構200の管理者は、機械学習を行わせるに当たり、所定の気温下においてトルク信号Stのデータを取得すれば、幅を持った所要の気温の範囲においてベルト異常が検知できるシステムの構築が可能となる。
ベルト&プーリ機構を備えるシステムの管理者は、実施形態1に係る異常検知装置100の利用によって、ベルト&プーリ機構200が動作不良に至る前にメンテナンスを実行できるようになる。もって、ベルト&プーリ機構200の動作不良の発生を抑制することが可能となる。
なお、実施形態1において、機械学習処理及び監視時における変動パラメタDtとしては、トルク信号Stの周期における最大幅が採用された。しかし、変動パラメタDtとしては、他のトルク信号Stの周期における変動に関するパラメタ、例えば標準偏差を用いたとしても、異常検知装置を同様に動作させることができる。ただし、標準偏差を採用すると、計算量が増大するため、その点からは最大幅を採用した方が好ましい。
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2が、以下に説明される。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明は繰り返されない。実施形態2は、第2特徴量の算出方法が、実施形態1とは異なる他は、同様である。
図11は、実施形態2における、機械学習処理の変動パラメタ算出処理(サブルーチン)を示すフローチャートである。実施形態2において、変動パラメタ算出処理の詳細は以下の通りである。
ステップS31:コンピュータ501は、トルク信号Stの移動平均波形を算出する。ここで、移動平均波形とは、トルク信号Stの各測定点の値を、その前後合わせてP点を平均した値に置き換えた波形である。
ステップS32:コンピュータ501は、トルク信号Stから移動平均波形を差し引いた波形を、高周波信号として算出する。
ステップS33:コンピュータ501は、各フレームの高周波信号の最大幅を算出し、変動パラメタDtとする。次に変動パラメタ算出処理は終了し、ステップS16に進む。
以上のように算出された高周波信号は、点数Pの大きさに応じて、トルク信号Stの細かい振動成分が取り出された波形である。図12には、図4に示された正常状態のトルク信号St及びベルト240に異物の噛み込みが発生した異常状態のトルク信号Stから抽出した高周波信号を示す。
図13は、図5と同様の統計データの箱ヒゲ図を、抽出した高周波信号の各フレームの最大幅について描いた図である。図5と比較すると、トルク信号Stに基づくよりも高周波信号に基づいた変動パラメタDtを採用した方が、正常の場合と異物の噛み込みが発生した異常の場合との、より特徴量の差異が明確になり得ることが示されている。
ただし高周波信号を採用する場合には、ベルト&プーリ機構200の管理者が、機械学習を実行するに当たり、高周波成分を抽出するためのパラメタである点数Pを適正に設定する必要がある。点数Pは、サーボドライバ210の制御によるサーボモータ220の動作やトルク信号Stのデータの間隔に応じて設定する必要があり、その分、ベルト&プーリ機構200の管理者の負担となる。
実施形態2での、異常検知装置100が実行する監視処理においても、同様に、第2特徴量として、ステップS31からステップS33の処理に準じて、第2特徴量算出部112において第2特徴量が算出される。つまり、図10のフローチャートにおけるステップS43において、フレームの高周波信号の最大幅が第2特徴量とされる。
実施形態2によっても、実施形態1と同様の効果が奏される。更に、実施形態2によれば、ベルトへの異物の噛み込みによる異常が、より的確に検知できるようになる可能性がある。
なお、実施形態2において、機械学習処理及び監視時における変動パラメタDtとしては、高周波信号の周期における最大幅が採用された。しかし、変動パラメタDtとしては、高周波信号の周期における変動に関する他のパラメタ、例えば標準偏差を用いたとしても、同様に動作することができる。ただし、標準偏差を採用すると、計算量が増大するため、その点最大幅を採用した方が好ましかった。
〔ソフトウェアによる実現例〕
異常検知装置100の機能ブロック(特に、制御部103、異常検知部110)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、異常検知装置100は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。
上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを更に備えていてもよい。
また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
〔付記事項〕
上記実施形態において、フレームを構成するベルト&プーリ機構200の動作またはトルク信号Stの周期は、1周期であるように説明された。しかしながら本発明の適用におけるフレームを構成する周期は、1周期に限らず、2周期や、3周期など、複数の周期であってもよく、この場合についても同様に本発明の効果が奏される。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
100 異常検知装置
101 第1通信部
102 記録部
103 制御部
104 第2通信部
110 異常検知部
111 第1特徴量算出部
112 第2特徴量算出部
113 異常度スコア算出部
114 異常判定部
200 ベルト&プーリ機構
210 サーボドライバ
220 サーボモータ(モータ)
221、231 プーリ
230 可動機構
240 ベルト(無端ベルト)
501 コンピュータ(異常検知装置の制御装置)
502 入出力装置

Claims (8)

  1. 1単位分の処理動作を周期的に繰り返す、複数のプーリ、前記プーリ間に懸架された無端ベルト及び前記プーリを回転させることによって前記無端ベルトを駆動するモータを有する機構における、前記モータのトルクを示すトルク信号を受信する通信部と、
    前記トルク信号の前記1単位分の処理動作に相当する周期における平均値であるトルク平均を第1特徴量として算出する、第1特徴量算出部と、
    前記トルク信号の当該周期における変動の大きさを示す変動パラメタを第2特徴量として算出する、第2特徴量算出部と、
    当該第1特徴量及び当該第2特徴量から異常度スコアを算出する異常度スコア算出部と、
    前記異常度スコアが所定の閾値を超えると、前記無端ベルトの状態が異常であると判定する異常判定部と、を備える異常検知装置。
  2. 前記変動パラメタは、前記トルク信号の周期における最大幅または標準偏差である、請求項1に記載の異常検知装置。
  3. 前記変動パラメタは、前記トルク信号の周期における、前記トルク信号の高周波成分の最大幅または標準偏差である、請求項1に記載の異常検知装置。
  4. 前記異常度スコアは、
    前記無端ベルトの状態が正常であるときに取得された前記トルク信号に関しての、
    多数の前記トルク平均の分布を基礎に、当該分布のばらつきが拡大するように修正された修正トルク平均を第1特徴量とし、前記変動パラメタを第2特徴量とし、
    各周期における第1特徴量及び第2特徴量の2次元空間での多数の周期についての分布に基づいて、第1特徴量と第2特徴量の関数として定められている、請求項1から3のいずれか1項に記載の異常検知装置。
  5. 1単位分の処理動作を周期的に繰り返す、複数のプーリ、前記プーリ間に懸架された無端ベルト及び前記プーリを回転させることによって前記無端ベルトを駆動するモータを有する機構における、前記モータのトルクを示すトルク信号を受信するステップと、
    前記トルク信号の前記1単位分の処理動作に相当する周期における平均値であるトルク平均を第1特徴量として算出するステップと、
    前記トルク信号の当該周期における変動の大きさを示す変動パラメタを第2特徴量として算出するステップと、
    当該第1特徴量及び当該第2特徴量から異常度スコアを算出するステップと、
    前記異常度スコアが所定の閾値を超えると、前記無端ベルトの状態が異常であると判定するステップと、を備える異常検知方法。
  6. 前記異常度スコアは、
    前記無端ベルトの状態が正常であるときに取得された前記トルク信号に関しての、
    多数の前記トルク平均の分布を基礎に、当該分布のばらつきが拡大するように修正された修正トルク平均を第1特徴量とし、前記変動パラメタを第2特徴量とし、
    各周期における第1特徴量及び第2特徴量の2次元空間での多数の周期についての分布に基づいて、第1特徴量と第2特徴量の関数として定められている、請求項5に記載の異常検知方法。
  7. 請求項4に記載の異常検知装置の制御方法であって、
    前記異常度スコアを定めるステップと、
    前記異常検知装置の前記異常度スコア算出部に、当該異常度スコアを設定するステップと、を備えた異常検知装置の制御方法。
  8. 請求項7に記載の各ステップをコンピュータに実行させることによって、前記コンピュータを異常検知装置の制御装置として動作させる制御プログラム。
JP2019126226A 2019-07-05 2019-07-05 異常検知装置、異常検知方法、異常検知装置の制御方法、及び制御プログラム Active JP7314664B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019126226A JP7314664B2 (ja) 2019-07-05 2019-07-05 異常検知装置、異常検知方法、異常検知装置の制御方法、及び制御プログラム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019126226A JP7314664B2 (ja) 2019-07-05 2019-07-05 異常検知装置、異常検知方法、異常検知装置の制御方法、及び制御プログラム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021012096A JP2021012096A (ja) 2021-02-04
JP7314664B2 true JP7314664B2 (ja) 2023-07-26

Family

ID=74227356

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019126226A Active JP7314664B2 (ja) 2019-07-05 2019-07-05 異常検知装置、異常検知方法、異常検知装置の制御方法、及び制御プログラム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7314664B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2022128824A (ja) * 2021-02-24 2022-09-05 オムロン株式会社 情報処理装置、情報処理プログラムおよび情報処理方法
SE2250443A1 (en) * 2022-04-07 2023-10-08 Husqvarna Ab Construction equipment with belt slip detection function

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019106875A1 (ja) 2017-11-28 2019-06-06 株式会社安川電機 異常判定システム、モータ制御装置、及び異常判定装置

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019106875A1 (ja) 2017-11-28 2019-06-06 株式会社安川電機 異常判定システム、モータ制御装置、及び異常判定装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021012096A (ja) 2021-02-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN107272586B (zh) 机械学习装置、机械学习方法、故障预知装置及系统
JP5009791B2 (ja) インテリジェント駆動装置
JP6451662B2 (ja) 異常判定装置、異常判定プログラム、異常判定システム、及びモータ制御装置
JP7314664B2 (ja) 異常検知装置、異常検知方法、異常検知装置の制御方法、及び制御プログラム
US9429936B2 (en) Servo motor controller having self-measuring function and self-monitoring function of mechanical stiffness
US10471593B2 (en) Rotation driving apparatus, robot apparatus, control program, and article manufacturing method
JP6569927B1 (ja) 異常判定システム、モータ制御装置、及び異常判定装置
JP4944361B2 (ja) プロセス制御ループにおける不安定性の検出および識別
JP7282184B2 (ja) 工業プロセスで使用されるコンポーネントから発生する信号の異常を検出及び測定するためのシステムと方法
JP2006281421A (ja) ロボットおよびロボットの異常検出方法
JP2017120504A (ja) プラント異常監視方法およびプラント異常監視用のコンピュータプログラム
EP3528072A1 (en) Operation state monitoring device, and learning data generation device, method, and program
WO2019167171A1 (ja) 異常検出装置及び異常検出方法
KR20190077358A (ko) 상태 감시 장치, 상태 감시 방법 및 프로그램
JP2000305620A (ja) プロセス制御システムで用いられる診断ツール
JP2006154998A (ja) 制御装置
JP4986155B2 (ja) 通信品質診断装置
US8380462B2 (en) System and method for setting machine limits
US11449044B2 (en) Successive maximum error reduction
US10088829B2 (en) Diagnostic device and method for monitoring the operation of a control loop
TW202142850A (zh) 振動處理裝置、振動處理方法以及程式
JP6721012B2 (ja) モータ制御システム
JP2003036115A (ja) 機器の診断方法およびその装置
JP7264231B2 (ja) 監視方法、監視装置、プログラム
JP3856204B2 (ja) 機器の診断装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220513

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230320

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230404

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230522

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230613

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230626

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7314664

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150