JP7313845B2 - 鉄道制御システム - Google Patents

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Description

本発明は、通信ネットワークを介して列車の運行を制御する多重系方式の鉄道制御システムに関する。
列車の運行制御を行う鉄道制御システムの一つとして、例えば電子連動装置が知られている。電子連動装置は、連動図表データに従って、信号機及び転てつ機などの現場装置を制御し、列車運行の安全性を確保している。このような電子連動装置で故障が発生すると列車が運行できなくなるので、通常、電子連動装置は多重系方式とされる。
例えば特許文献1には、使用系及び待機系の二重系により構成され、両系を常時動作させて、使用系の故障時に待機系への切り替えを行う電子連動装置が開示されている。この二重系方式の電子連動装置は、両系の動作状態を受け取って系の切り替えを行うリレー結線方式の論理回路を持つ共通部を備え、この共通部を介して使用系及び待機系がメタル回線で接続されている。
特許第3208060号公報
上記のような従来の電子連動装置については、二重系を構成する使用系及び待機系を距離の離れた場所(例えば、別々の駅など)に設置することが困難であった。即ち、両系を別々の駅などに設置しようとすると、使用系及び待機系と共通部との間を接続するメタル回線の全長が長くなる。このような長いメタル回線を伝送される信号は外来ノイズの影響を受け易くなるため、系の切り替えに誤動作が生じてしまう可能性がある。このため、従来の電子連動装置では、使用系、待機系及び共通部を同じ駅の機器室に設置する必要があった。
このように使用系、待機系及び共通部が同じ機器室に設置された場合、この機器室が火災や水害などの災害に遭うと、当該電子連動装置を含む連動制御システムを維持できなくなるという課題があった。また、1か所の拠点駅に集約された電子連動装置によって複数の駅に関連する連動論理を一括して処理する集約型若しくは集中型連動制御システムの場合には、災害によるシステム障害の影響が線区全体に亘る可能性もあり、そのような状況を回避可能なシステム構成の実現が求められている。
なお、このような課題は上記電子連動装置を含む連動制御システムに限られるものではなく、列車運行の安全性を確保するために多重系方式を採用する様々な鉄道制御システムに共通する課題である。
本発明は上記の点に着目してなされたもので、システム障害の発生を回避して列車の運行制御を確実に行うことができる多重系方式の鉄道制御システムを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明に係る鉄道制御システムの一態様は、通信ネットワークを介して列車の運行制御が可能な複数の処理部を有し、前記複数の処理部は、異なる駅にそれぞれが配置されており、前記通信ネットワークを介して送受信される互いの情報をそれぞれが保有し、その保有情報に基づいて自身の正常判断をそれぞれが行い、自身が主系で動作するか従系で動作するかを決定する。
上記鉄道制御システムによれば、多重系を構成する複数の処理部のそれぞれが自身の正常判断と主従決定とを独自に行うようになるため、従来のようなリレー結線方式の共通部が不要になり各処理部を異なる駅に設置できるようになる。これにより、複数の処理部のうちの1つが災害により動作できなくなっても、そこから離れたにある他の処理部が主系として動作することが可能であり、災害によるシステム障害の発生を回避して列車の運行制御を確実に行うことができる。
本発明の一実施形態に係る鉄道制御システムの概略構成を示すブロック図である。 上記実施形態における処理部のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。 上記実施形態における処理部の機能ブロック図である。 上記実施形態における制御信号のフォーマットの一例を示す図である。 上記実施形態における同期信号に代わる別の方法を例示した概略図である。 上記実施形態における電子連動装置の立ち上げ時の処理動作の一例を示すフローチャートである。 従系動作ための処理の一例を示すフローチャートである。 上記実施形態における電子連動装置の運転時の処理の一例を示すフローチャートである。 上記実施形態において主系処理部に通信路故障が発生した場合の主従切り替え動作を説明するための図である。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る鉄道制御システムの概略構成を示すブロック図である。
図1において、本実施形態の鉄道制御システム100は、通信ネットワーク1に接続された複数(ここでは2つ)の処理部11-1,11-2を有する電子連動装置10と、通信ネットワーク1に接続された複数(ここではn個)の電子機器20-1,20-2,…,20-nと、電子機器20-1に接続された現場機器30と、を含む。
電子連動装置10は、通信ネットワーク1を介して電子機器20-1~20-n及び現場機器30を連動制御することにより列車の運行を制御する。この電子連動装置10は、同一の構成を有する処理部11-1,11-2により二重系を構成しており、処理部11-1,11-2のそれぞれが異なる駅に配置されている。具体的には、処理部11-1がA駅の機器室に設置され、そのA駅とは距離の離れたB駅の機器室に処理部11-2が設置されている。
上記処理部11-1,11-2は、電子連動装置10の運転時に、一方の処理部が主系で動作し、他方の処理部が従系で動作する。前述した従来の電子連動装置における使用系及び待機系は、本実施形態の電子連動装置10における主系及び従系にそれぞれ相当する。主系として動作する処理部(主系処理部)は、電子機器20-1~20-n及び現場機器30の連動制御における処理のタイミングを一致させるための基準となる同期信号Ssと、該連動制御を実行するための制御信号Sc1(又はSc2)とを生成して通信ネットワーク1に送信する。一方、従系として動作する処理部(従系処理部)は、主系処理部から送信され通信ネットワーク1を介して受信される同期信号Ssに同期して、上記連動制御を実行するための制御信号Sc2(又はSc1)を生成して通信ネットワーク1に送信する。なお、主従の決定方法や、連動制御における同期信号Ss及び制御信号Sc1,Sc2の詳細については後述する。
電子機器20-1~20-nは、電子連動装置10による通信ネットワーク1を介した連動制御の対象となるものである。ここでは、電子機器20-1~20-nのうちの電子機器20-1について複数の現場機器30が接続されている。現場機器30は、例えば、信号機、転てつ機、踏切、軌道回路などの機器である。本実施形態の電子機器20-1~20-n及び複数の現場機器30は、本発明における「機器群」に相当する。
電子機器20-1は、電子連動装置10から通信ネットワーク1を介して受信される同期信号Ss及び制御信号Sc1,Sc2に従って各現場機器30の動作を制御する。また、電子機器20-1は、管理下にある各現場機器30が現在どのような状態にあるかを把握し、各々の状態情報を示す状態信号C1を生成して、所定の周期で通信ネットワーク1に送信する。これと同様に、他の電子機器20-2~20-nは、電子連動装置10からの同期信号Ss及び制御信号Sc1,Sc2に従って各々の動作が制御されると共に、それぞれの現在の状態情報を示す状態信号C2~Cnを所定の周期で通信ネットワーク1に送信する。なお、ここでは電子機器20-1にのみ現場機器30が接続される一例を示したが、現場機器の接続された電子機器が通信ネットワーク1上に複数存在していても構わない。
通信ネットワーク1は、電子連動装置10の各処理部11-1,11-2及び電子機器20-1~20-nのそれぞれの間で情報や信号を双方向に伝送可能な周知の通信手段を利用することが可能である。本実施形態の鉄道制御システム100では、例えばマルチキャスト方式の通信により、各処理部11-1,11-2及び電子機器20-1~20-nのそれぞれが随時データを遣り取りすることが可能である。
図2は、電子連動装置10の処理部11-1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。なお、処理部11-2については、処理部11-1と同じハードウェア構成であるため説明を省略する。
図2において、処理部11-1は、プロセッサ41と、メモリ42と、記憶装置43と、通信装置44と、入出力装置45と、を備える。
プロセッサ41は、CPU(Central Processing Unit)及びキャッシュメモリなどを内蔵し、記憶装置43に格納された各種プログラムを実行する。
メモリ42は、例えばRAM(Random Access Memory)等であり、プロセッサ41で実行されるプログラムがロードされると共に、プロセッサ41の処理に用いるデータが格納される。
記憶装置43は、例えばHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等であり、主従決定プログラム及び連動処理プログラム、並びに、連動処理の際に参照する連動図表データ、後述する同時立ち上げ状態において主従を決定する際に参照する優先系データなどが格納されている。主従決定プログラムには、立ち上げ時における自身の処理部の動作モード(主系又は従系)の決定と、立ち上げ後の運転時における動作モードの切り替えとに関する処理のアルゴリズムが記述されている。また、連動処理プログラムには、主従決定プログラムの処理と連携して主系及び従系の各動作モードに対応した連動制御を実現するためのアルゴリズムが記述されている。
通信装置44は、プロセッサ41での演算処理により生成される各種信号を通信ネットワーク1に送信すると共に、他の処理部11-2及び各電子機器20-1~20-nから通信ネットワーク1に送信された各種信号を受信してプロセッサ41に伝える。
入出力装置45は、例えばキーボードやディスプレイ等であり、運用者による動作命令や各種設定値などを受け付けると共に、プロセッサ41による演算処理の結果を出力する。
上記処理部11-1の各構成要素は、バス46で接続されている。
図3は、処理部11-1が備える機能をブロック化して例示した機能ブロック図である。なお、処理部11-2の機能ブロックも処理部11-1と同様であるため説明を省略する。
図3において、処理部11-1は、その機能ブロックとして、信号監視部51と、正常判断部52と、主従決定部53と、故障情報出力部54と、同期信号生成部55と、制御信号生成部56と、を含む。
信号監視部51は、他の処理部11-2及び電子機器20-1~20-nから送信され通信ネットワーク1を介して受信される信号を監視する。この信号監視部51は、信号の受信の有無、及び受信信号の有効/無効に関する履歴をn周期分(但し、nは2以上の整数とする)記憶することが可能である。信号監視部51の監視結果は、正常判断部52及び制御信号生成部56にそれぞれ伝えられる。
正常判断部52は、信号監視部51の監視結果に基づいて、自身の処理部11-1が正常に動作しているか否かを判断すると共に、他の処理部11-2が主系として動作(自身は従系として動作)している場合に、その主系処理部が正常に動作しているか否かを判断する。この正常判断部52の判断結果は、主従決定部53及び故障情報出力部54にそれぞれ伝えられる。
上記正常判断部52における自身の処理部11-1の正常判断は、例えば、信号監視部51で監視される電子機器20-1~20-nからの状態信号C1~Cnの有無に応じて、自身の通信路が正常な状態にあるか否かを判断する。ここで自身の通信路とは、処理部11-1と通信ネットワーク1との間を繋ぐ部分の通信路である。当該通信路において、例えば通信ケーブルの断線やコネクタの接続不良などの故障が発生すると、通信ネットワーク1からの信号が処理部11-1で一切受信できなくなる。電子機器20-1~20-nからの状態信号C1~Cnは、前述したように所定の周期で繰り返し送信されるので、状態信号C1~Cnのいずれかを受信できるか否かを監視すれば、自身の通信路が正常な状態にあるか故障が発生しているかを判断することができる。なお、正常判断部52は、自身の通信路以外にも、例えばプロセッサ41やメモリ42、通信装置44等のハードウェアの自己診断機能を利用して、演算処理自体に問題が生じているかを判断するようにしてもよい。
また、上記正常判断部52における主系で動作する他の処理部の正常判断は、例えば、信号監視部51で監視される電子機器20-1~20-nからの状態信号C1~Cnは受信できるが、他の処理部11-2(主系)からの信号の一部若しくは全部が受信できない、或いは、主系からの信号が後述する故障情報Fを含んでいると、主系での故障発生を判断する。なお、本実施形態における正常判断部52は、本発明における「第1判断部」及び「第2判断部」としての機能を備えている。
主従決定部53は、正常判断部52の判断結果に基づいて、自身の処理部11-1が主系として動作するか従系として動作するかを決定し、その決定結果を同期信号生成部55及び制御信号生成部56にそれぞれ伝える。この主従決定部53による具体的な処理の内容については、電子連動装置10の立ち上げ時と立ち上げ後の運転時とに場合分けして、後でフローチャートを参照しながら詳しく説明する。
故障情報出力部54は、正常判断部52において自身の処理部11-1(自系)の故障が判断されると、自系が故障状態にあることを示す故障情報Fを生成し、その故障情報Fを通信ネットワーク1に送信すると同時に制御信号生成部56にも伝える。通信ネットワーク1に故障情報Fを送信する方法としては、例えば、自身が送信する制御信号Sc1とは別の信号に故障情報Fを乗せて送信する、制御信号Sc1に故障を示すフラグを立てて送信する、又は信号を送信しないことをもって故障状態を外部に知らせるなどの方法がある。
同期信号生成部55は、主従決定部53で自身の処理部11-1が主系として動作することが決定されると同期信号Ssを生成する。この同期信号Ssは、連動制御における処理のタイミングを一致させるための基準、具体的には、二重系を構成する処理部11-1,11-2のそれぞれが演算処理を開始するタイミングを一致させるための基準となる信号である。同期信号生成部55は、生成した同期信号Ssを所定の周期で通信ネットワーク1に送信する。これにより、通信ネットワーク1上のすべての機器は、同期信号Ssの受信をトリガーとして自身の処理を開始し、そのタイミングを基準にして周期的に動作する。
制御信号生成部56は、主従決定部53で自身の処理部11-1が主系として動作することが決定されると、同期信号生成部55で生成される同期信号Ssのタイミングに合わせて、信号監視部51で監視される電子機器20-1~20-nからの状態信号C1~Cnを入力データとして採用する一方、主従決定部53で自身の処理部11-1が従系として動作することが決定されると、信号監視部51で監視される他の処理部11-2(主系)からの同期信号Ssのタイミングに合わせて、信号監視部51で監視される電子機器20-1~20-nからの状態信号C1~Cnを入力データとして採用する。そして、制御信号生成部56は、採用した状態信号C1~Cnの内容に応じて、連動制御を実行するための制御信号Sc1を生成し、該制御信号Sc1を所定の周期で通信ネットワーク1に送信する。この制御信号Sc1には、無効フラグを設定することができる。無効フラグが立てられた制御信号Sc1は、連動制御の対象となる電子機器20-1~20-n及び現場機器30の動作の制御には使われずに破棄されるものとする。
上記制御信号Sc1のフォーマットの一例を図4に示す。この制御信号Sc1は、通信プロトコルとしてUDP/IPプロトコルを基本としたDIX仕様のフレームフォーマットを有している。このようなフォーマットでは、制御対象となる電子機器20-1~20-n又は現場機器30を特定する情報が宛先MACアドレスに示され、当該処理部11-1を特定する情報が送信元MACアドレスに示され、連動制御の具体的な内容がユーザーデータに示されることになる。無効フラグについては、ユーザーデータ内の特定の領域を利用して示すことが可能である。なお、制御信号等の送受信に用いる通信方式、制御信号等のフォーマットは上記の一例に限定されない。
前述したマルチキャスト方式の通信では、各処理部11-1,11-2が演算処理を開始するタイミングが異なると、それぞれが演算の入力データとして採用する情報(電子機器20-1~20-nからの状態信号C1~Cn)が相違し、各々の制御信号生成部56で生成される制御信号Sc1,Sc2の内容が異なってしまう可能性がある。このような制御信号Sc1,Sc2の不一致を回避して整合性を取るために、各処理部11-1,11-2の制御信号生成部56は同期信号Ssのタイミングに合わせて状態信号C1~Cnを採用している。
また、制御信号生成部56は、故障情報出力部54から故障情報Fが伝えられると、生成した制御信号Sc1の通信ネットワーク1への送信を中止するか、又は制御信号Sc1に無効フラグを立てて連動制御に採用されないようにする。さらに、制御信号生成部56は、処理部11-1の立ち上げ時などにおいて、電子機器20-1~20-nからの状態信号C1~Cnを収集できていな場合にも、無効フラグを立てた暫定的な制御信号Sc1を生成し、該制御信号Sc1を周期的に通信ネットワーク1へ送信する。
なお、ここでは連動制御を実行するための制御信号Sc1とは別に、処理のタイミングを一致させるための同期信号Ssを生成して通信ネットワーク1に送信する一例を示したが、これ以外にも、例えば、制御信号Sc1のヘッダーに処理のタイミングをとるためのフラグを立てるなどして、制御信号Sc1に同期信号Ssとしての役割を持たせるようにしてもよい。
また、同期信号Ssに代わる別の方法として、例えば図5の概略図に示すように、状態信号や制御信号を載せるフレームが、主系処理部を起点として従系処理部及び電子機器20-1~20-nを一巡するように通信ネットワーク1上を周回し、主系処理部、従系処理部及び各電子機器20-1~20-nのそれぞれが、上記フレームの特定の領域A1,A2,A3…に対してデータの読み書きを行うようにしてもよい。このような方法でも、主系処理部及び従系処理部のそれぞれが採用する各電子機器20-1~20-nからの状態信号C1~Cnが同じになるので、主系処理部及び従系処理部のそれぞれで生成される制御信号の整合性を取ることができる。
次に、電子連動装置10の立ち上げ時に各処理部11-1,11-2で実行される主従決定のための処理動作の一例について、図6のフローチャートを参照しながら具体的に説明する。
電子連動装置10の二重系を構成する処理部11-1,11-2のうちの一方の電源がオンされると、当該処理部のプロセッサ41は、記憶装置43に格納された主従決定プログラム及び連動処理プログラムを実行する。なお、これらのプログラムに従い電子連動装置10の立ち上げが完了するためには、通信ネットワーク1に接続された少なくとも1つの機器が動作していることが必要である。
図6のフローチャートにおける最初のステップS10において、プロセッサ41は、立ち上げ直後の処理として、自身の処理部(自系)で生成する制御信号Scに無効フラグを立てる処理を行う。なお、符号Scは、処理部11-1で生成される制御信号Sc1及び処理部11-2で生成される制御信号Sc2のいずれかを示すものとする。この無効フラグを立てる処理は、立ち上げ直後の段階では電子機器20-1~20-nからの状態信号C1~Cnが収集できていないため、暫定的に生成する制御信号Scが実際の連動制御に用いられないようにするための措置である。無効化された制御信号Scは所定の周期で通信ネットワーク1に送信される。
続くステップS20でプロセッサ41は、通信ネットワーク1を介して受信される信号を監視し、電子機器20-1~20-nからの状態信号C1~Cnのいずれかを受信したか否かを判定する。状態信号を受信した場合には(Yes)、自身の通信路が正常な状態にあることを判断して、ステップS30に進む。一方、状態信号を受信していない場合には(No)、状態信号の受信が判定されるまで待機する。状態信号が通信ネットワーク1上に送信される周期を超えて、状態信号を受信できない状況が続くときには、自身の通信路で断線等の故障が発生していると判断し、ステップS10~ステップS20を繰り返し続ける。
次に、ステップS30でプロセッサ41は、他方の処理部(他系)からの制御信号Scを受信したか否かを判定する。他系からの制御信号Scを受信しなかった場合(No)には、続くステップS40で、他系の電源はオンされておらず、自系が他系よりも先に立ち上がった状態(以下、「先立ち上げ状態」とする)にあることを認識する。一方、他系からの制御信号Scを受信した場合には(Yes)、ステップS70に移る。
先立ち上げ状態が認識されると、続くステップS50でプロセッサ41は、その先立ち上げ状態がn周期連続したか否かを判定する。この判定の基準となる周期数nは、先立ち上げ状態の認識をより確実にするために設定されるものであり、2以上の値を適宜設定することが可能である。先立ち上げ状態がn周期連続した場合には(Yes)ステップS60に進み、n周期連続しなかった場合には(No)前述したステップS10に戻る。
n周期連続して先立ち上げ状態にあることが確認されると、ステップS60においてプロセッサ41は、自身の処理部が主系として動作を開始することを決める。主系の具体的な動作としては、まず、同期信号Ssを生成して通信ネットワーク1に送信すると共に、その同期信号Ssのタイミングに合わせて、電子機器20-1~20-nからの最新の状態信号C1~Cnを採用する。そして、それら最新の状態信号C1~Cnの内容に応じて、記憶装置43に格納された連動図表データを参照しながら制御信号Scを生成する。生成された制御信号Scは、無効フラグを立てることなく、即ち、有効な制御信号Scとして通信ネットワーク1に送信される。
前述したステップS30で他系からの制御信号Scの受信が判定されると、ステップS70においてプロセッサ41は、受信した制御信号Scが有効なものであるか無効なものであるかを判定する。有効な制御信号Scを受信した場合には(Yes)、続くステップS80で、他方の処理部が既に主系として動作しており、自系は他系よりも後に立ち上がった状態(以下、「後立ち上げ状態」とする)にあることを認識する。一方、無効な制御信号Scを受信した場合には(No)ステップS110に移る。
後立ち上げ状態が認識されると、ステップS90でプロセッサ41は、後立ち上げ状態がn周期連続したか否かを判定する。後立ち上げ状態がn周期連続した場合には(Yes)ステップS100に進み、n周期連続しなかった場合には(No)前述したステップS10に戻る。
n周期連続して後立ち上げ状態が確認されると、ステップS100においてプロセッサ41は、自身の処理部が従系として動作するための処理を実行する。図7は、従系動作ための処理の一例を示すフローチャートである。まず、プロセッサ41は、図7のステップS101で自身の処理部が従系で動作することを確定する。続くステップS102では、主系として動作している他方の処理部からの同期信号Ssを通信ネットワーク1経由で受信し、その同期信号Ssのタイミングに合わせて、電子機器20-1~20-nからの最新の状態信号C1~Cnを採用する。ステップS103では、それら最新の状態信号C1~Cnの内容に応じて、記憶装置43に格納された連動図表データを参照しながら制御信号Scを生成する。この制御信号Scには、現時点では無効フラグが立てられる。
続くステップS104でプロセッサ41は、生成した制御信号Scを無効なまま通信ネットワーク1に送信する。次のステップS105において、プロセッサ41は、生成した制御信号Scと、他方の処理部から通信ネットワーク1経由で受信した有効な制御信号Scとを比較し、各々の内容が一致しているか否かを判定する。一致していない場合には(No)、ステップS106で、制御信号Scの内容を一致させる処理を実行した後にステップS102に戻る。一致している場合には(Yes)ステップS107に進み、次の周期以降で生成する制御信号に無効フラグを立てないようにする。これにより、当該処理部は、従系処理部として動作を開始する。
前述した図6のステップS70で無効な制御信号Scの受信が判定されると、ステップS110においてプロセッサ41は、他系の電源はオンされているが主系又は従系の動作モードはまだ決まっておらず無効な制御信号Scが送信されている状態、即ち、自系及び他系がほぼ同時に立ち上がった状態(以下、「同時立ち上げ状態」とする)にあることを認識する。
同時立ち上げ状態における主従決定は、例えば、優先的に立ち上げる系(以下、「優先系」とする)を入出力装置45で予め定めて記憶装置43に格納しておき、自系が優先系に該当する場合には主系、該当しない場合には従系、とすることが可能である。これに従い、ステップS120においてプロセッサ41は、記憶装置43に格納された優先系データを参照して自系が優先系であるか否かの判定を行う。優先系である場合には(Yes)、続くステップS130に進み、優先系でない場合には(No)、ステップS150に移る。なお、ここでは記憶装置43に格納された優先系データを参照して優先系を判定する一例を示したが、優先系に関する設定方法はこれに限らず、例えば、各処理部に物理スイッチをそれぞれ設けておき、該物理スイッチを利用して各処理部の優先度を設定、参照することも可能である。
ステップS130においてプロセッサ41は、同時立ち上げ状態がm周期連続したか否かを判定する。この判定の基準となる周期数mは、前述のステップS50等の判定で用いた周期数nよりも小さい値に設定されている(m<n)。同時立ち上げ状態がm周期連続した場合には(Yes)ステップS140に進み、m周期連続しなかった場合には(No)ステップS10に戻る。
優先系に該当し且つm周期連続して同時立ち上げ状態が確認されると、ステップS140においてプロセッサ41は、前述したステップS60の処理と同様にして、自身の処理部が主系として動作を開始することを決める。
前述のステップS120で自系が優先系でないことが判定されると、ステップS150においてプロセッサ41は、同時立ち上げ状態がn周期連続したか否かを判定する。同時立ち上げ状態がn周期連続した場合には(Yes)ステップS160に進み、n周期連続しなかった場合には(No)ステップS10に戻る。
優先系に該当せず且つn周期連続して同時立ち上げ状態が確認されると、ステップS160においてプロセッサ41は、自身の処理部が従系として動作するための処理を実行する。なお、この時点で他系は主系処理部として動作を開始している。従系動作のための処理は、前述したステップS100の処理と同様であり、図7に例示したフローチャートに従った処理が実行される。これにより、当該処理部は、従系処理部として動作を開始する。
上述したような電子連動装置10の立ち上げ時における主従決定のための処理動作により、二重系を構成する処理部11-1,11-2のうちの一方が主系処理部として動作し、他方が従系処理部として動作して、電子連動装置10による電子機器20-1~20-n及び現場機器30の連動制御が開始される。立ち上げ後の運転時、電子連動装置10の主系処理部からは同期信号Ss及び有効な制御信号Sc1(又はSc2)が通信ネットワーク1に送信され、従系処理部からは有効な制御信号Sc2(又はSc1)が通信ネットワーク1に送信される。具体的な一例として上述の図1には、電子連動装置10の処理部11-1が主系処理部、処理部11-2が従系処理部としてそれぞれ動作する場合に、通信ネットワーク1上を双方向に伝送される同期信号Ss、制御信号Sc1,Sc2、及び状態信号C1~Cnの様子が示してある。なお、図1に例示した信号伝送の様子における括弧内の表記は、故障の発生時に伝送される信号の一例であり、これについては後述する。
連動制御の対象となる電子機器20-1~20-n及び現場機器30は、例えば、通信ネットワーク1を介して受信される主系処理部及び従系処理部からの各制御信号Sc1,Sc2の内容を比較し、それらの一致により電子連動装置10の二重系が正常な状態にあることを確認した上で、制御信号Sc1(又はSc2)に従って各々の動作が制御される。なお、各制御信号Sc1,Sc2の内容が一致していることの確認は、連動制御システムに要求される信頼性などに応じて適宜に行えばよく、基本的には、主系処理部からの制御信号だけを用いて対象機器の動作制御が可能であるし、各制御信号Sc1,Sc2の内容が一致していない場合の動作を別に規定してもよい。
次に、立ち上げ後の運転時の電子連動装置10における主系及び従系の切り替え動作の一例について、図8のフローチャートを参照しながら具体的に説明する。
電子連動装置10の処理部11-1,11-2のうちの一方が主系処理部、他方が従系処理部として動作する運転時において、各処理部のプロセッサ41は、主従決定プログラム及び連動処理プログラムに従い、自身の処理部の動作モードの切り替え判定処理を実行する。まず、図8のステップS300でプロセッサ41は、通信ネットワーク1を介して受信される信号を監視し、同期信号Ssを受信したか否かを判定する。同期信号Ssを受信した場合には(Yes)、続くステップS310で、自身の処理部の動作モードが従系であればそのまま動作を継続し、主系であれば従系に切り替える。同期信号Ssを受信していない場合には(No)ステップS320に移る。
上記ステップS300,S310の処理に関して、同期信号Ssは主系からのみ送信される信号であり、それを受信したということは、自身の処理部は基本的に従系として動作していることになり、主系として動作していることは原則ない。ただし、自系の処理に異常が発生して両方の処理部が主系として動作してしまう可能性は排除できない。このような状況を想定し、ステップS310の処理において、自系の動作が主系である場合に従系に切り替わるようにしている。なお、異常の内容に依っては、従系に切り替えるのではなく自系の動作を停止させるようにしても構わない。
ステップS320では、同期信号Ssを受信していないことが確認されたので、プロセッサ41は、他の処理部からの制御信号Scを受信したか否かを判定する。制御信号Scを受信した場合には(Yes)ステップS330に進み、制御信号Scを受信していない場合には(No)ステップS420に移る。
ステップS330でプロセッサ41は、受信した制御信号Scが有効であるか無効であるかを判定する。有効な制御信号Scである場合には(Yes)、他の処理部からの同期信号Ssの受信はなく、かつ、有効な制御信号Scの受信はある状態、即ち、他の処理部は従系として動作している状態を判断する。この状態では、自身の処理部は基本的に主系として動作していることになり、従系として動作していることは原則ない。ただし、前述した場合と同様に、自系の処理に異常が発生して両方の処理部が従系として動作している可能性はある。このような状況を想定し、続くステップS340でプロセッサ41は、自身の処理部が主系であるか従系であるかの判定を行う。
主系である場合には(Yes)、続くステップS350で、そのまま主系として動作を継続する。一方、従系である場合には(No)、ステップS360に移り、同じ状態、即ち、他の処理部からの同期信号Ssの受信はなく、かつ、有効な制御信号Scの受信はある状態が、n周期連続したか否かを判定する。同じ状態がn周期連続した場合には(Yes)ステップS370に進み、n周期連続しなかった場合には(No)ステップS380に移り、そのまま従系として動作を継続する。
ステップS370でプロセッサ41は、両方の処理部が従系として動作している状態にあると認識して、自系が上述した優先系に該当するか否かの判定を行う。自系が優先系に該当する場合には(Yes)、続くステップS390で、自身の処理部の動作モードを従系から主系に切り替える。一方、自系が優先系に該当しない場合には(No)、前述のステップS380と同様にして、そのまま従系として動作を継続する。
前述したステップS330において無効な制御信号Scの受信が判定された場合には(No)、ステップS400でプロセッサ41は、同じ状態、即ち、他の処理部からの同期信号Ssの受信はなく、無効な制御信号Scの受信はある状態が、n周期連続したか否かを判定する。このような状態は、他の処理部が立ち上げ中か、又は演算処理自体には問題のない軽故障の発生中に生じ得る。同じ状態がn周期連続した場合には(Yes)、続くステップS410で、自身の処理部の動作モードが主系であればそのまま動作を継続し、従系であれば主系に切り替える。一方、n周期連続しなかった場合には(No)前述したステップS300に戻る。
前述したステップS320における他系からの制御信号Scを受信していないとの判定を受けて、ステップS420でプロセッサ41は、電子機器20-1~20-nからの状態信号C1~Cnのいずれかを受信したか否かを判定する。状態信号を受信した場合には(Yes)ステップS430に進み、状態信号を受信しなかった場合には(No)ステップS450に移る。
ステップS430でプロセッサ41は、同じ状態、即ち、他の処理部からの同期信号Ss及び制御信号Scの双方の受信がなく、かつ、電子機器20-1~20-nのいずれかからの状態信号の受信がある状態が、n周期連続したか否かを判定する。同じ状態がn周期連続した場合には(Yes)、続くステップS440で、他の処理部において通信路故障、又は動作停止が発生していると判断し、自身の処理部の動作モードを従系から主系に切り替える。一方、n周期連続しなかった場合には(No)ステップS300に戻る。
ステップS450でプロセッサ41は、同じ状態、即ち、他の処理部からの同期信号Ss及び制御信号Sc、並びに、電子機器20-1~20-nのいずれかからの状態信号の受信がない状態が、n周期連続したか否かを判定する。同じ状態がn周期連続した場合には(Yes)ステップS460に進み、n周期連続しなかった場合には(No)前述したステップS300に戻る。
ステップS460でプロセッサ41は、通信ネットワーク1からの信号の受信が一切できない状態にあることより、自身の通信路故障を認識する。そして、自系から送信する制御信号Scを停止し、自身の処理部の動作モードが主系であれば同期信号Ssの送信も停止して、自身の通信路故障を示す故障情報Fを通信ネットワーク1上の各機器に伝える。具体的な一例として、上述した図1の括弧内には、電子連動装置10の処理部11-1が主系、処理部11-2が従系として動作している場合に、主系の処理部11-1で通信路故障が発生したとき、通信ネットワーク1上を伝送される故障情報F、制御信号Sc2、及び状態信号C1~Cnの様子が示してある。これにより、従系として動作している処理部11-2は主系に切り替わることになる。そして、処理部11-1が故障から復旧したときには、上述の図6に示した立ち上げ時の手順に従い、ステップS10以降の処理を再び順次実行する。これにより、処理部11-2が主系として正常に動作を続けていれば、故障から復旧した処理部11-1は従系として復帰する。
なお、上記の説明では、通信路故障の発生した処理部11-1が制御信号Sc1の送信を停止する一例を示したが、これ以外にも、制御信号Sc1に無効フラグを立てて、無効化した制御信号Sc1を通信ネットワーク1に送信するようにしてもよい。故障発生時に制御信号Sc1を停止するか無効化するかは適宜に選択可能である。
以下では、主系で動作する処理部11-1に通信路故障が発生した場合の主系及び従系の切り替え動作について、図9を参照しながら詳しく説明する。
図9の上段は、主系の処理部11-1から見た動作の変遷を例示しており、図9の下段は、従系の処理部11-2から見た動作の変遷を例示している。ここでは、主系及び従系の処理部11-1,11-2並びに各電子機器20-1~20-nのそれぞれが、200msの定周期で処理を繰り返しており、図9の左側に示した最初の周期処理が行われている途中で、主系に通信路故障が発生(図中の×印)した場合を想定している。
このような想定にあって、主系の処理部11-1は、最初の処理周期において、同期信号Ssを送信すると共に、従系の処理部11-2からの制御信号Sc2や電子機器20-1~20-nからの状態信号C1~Cnを受信することができていた。しかし、故障発生後の周期処理(2回目)においては、同期信号Ssを生成するものの、その同期信号Ssを通信ネットワーク1に送信することはできず、また、従系の処理部11-2及び電子機器20-1~20-nからの信号も受信できなくなっている(図中の破線矢印)。そして、その状態が3周期(n=3)連続すると、主系の処理部11-1は、同期信号Ssの出力を停止すると共に制御信号Scの出力も停止(又は無効化)して、従系との並列運転から離脱する。
このとき、従系の処理部11-2は、主系の処理部11-1の通信路故障の発生後の周期処理(2回目)において、電子機器20-1~20-nからの状態信号C1~Cnを受信することはできているものの、主系からの同期信号Ss及び制御信号Sc1を受信することはできなくなる。そして、その状態が3周期連続したところで、従系の処理部11-2は、主系の処理部11-1の故障発生を判断して、自身の動作モードを従系から主系に切り替える。これにより、切り替え後の処理部11-2は、通信ネットワーク1を介して電子機器20-1~20-nに同期信号Ss及び制御信号Sc2を送信するようになり、新たな主系処理部となる。
以上説明したように本実施形態の鉄道制御システム100によれば、電子連動装置10の処理部11-1,11-2のそれぞれが、通信ネットワーク1を介して送受信される同期信号Ss(立ち上げ後の運転時)並びに制御信号Sc1,Sc2及び状態信号C1~Cn(立ち上げ時、立ち上げ後の運転時)を利用して、自身の正常判断と主従決定とを独自に行うようになるため、従来の電子連動装置のように使用系(主系)及び待機系(従系)をリレー結線方式の共通部を介してメタル回線で接続して両系の切り替えを行う必要がなくなる。これにより、電子連動装置10の二重系を構成する処理部11-1,11-2を、異なるA駅及びB駅の各機器室に距離を離して配置することが可能になる。したがって、一方の駅の機器室が火災や水害などの災害に遭ったとしても、他方の駅の機器室にある処理部が主系として動作することで連動制御システムを維持することができ、災害によるシステム障害の発生を回避して列車の運行制御を確実に行うことが可能になる。また、共通部が不要になることで部品点数が減少するので、電子連動装置10の故障頻度を下げることもできる。
さらに、本実施形態の鉄道制御システム100によれば、電子連動装置10の二重系を構成する処理部11-1,11-2間の距離を自由に設定できる、言い換えると、通信ネットワーク1上の任意の場所に処理部11-1,11-2を配置できるようになるため、電子連動装置10の設計自由度が高まり、設備費などを抑えた設計が可能になる。例えば、各処理部11-1,11-2を構成するハードウェアに新旧の差があるような場合には、新しいハードウェアで構成された処理部の優先度を高く、古いハードウェアで構成された処理部の優先度を低くなるように入出力装置45や物理スイッチなどで設定して、優先度の高い処理部(優先系)はメンテナンスがより容易な場所に配置するようにすれば、効率的なシステムの設計及び運用を実現することができる。このような効果は、複数の駅に関連する連動論理を一括して処理する集約型若しくは集中型連動制御システムにおいて特に有効である。
なお、上述した本実施形態では、電子連動装置10の処理部11-1,11-2が異なる駅の機器室にそれぞれ配置される一例について説明したが、例えば、同じ駅の敷地内において距離の離れた場所に設けられた2つの機器室に、処理部11-1,11-2を別々に配置するようにしても、災害によるシステム障害の発生を回避することが可能である。また、電子連動装置10が2つの処理部11-1,11-2により二重系を構成する一例を示したが、3つ以上の処理部により多重系を構成する場合にも本発明は有効である。電子連動装置が3つ以上の処理部を備える場合にも、それぞれの処理部について優先度、即ち、優先的に立ち上げる系の順番を処理部毎に入出力装置45で定めて記憶装置43に格納しておく、若しくは物理スイッチなどを利用して設定しておくことにより、上述した実施形態の場合と同様にして処理部のそれぞれが自身の主従動作モードを独自に決定することが可能である。この場合、1つの処理部が主系として動作し、残りの処理部が従系として動作することになる。
さらに、上述した本実施形態では、電子連動装置10が通信ネットワーク1を介して電子機器20-1~20-n及び現場機器30の連動制御を行うシステム構成の一例を説明したが、本発明はこのような電子連動装置10を含む連動制御システムに限定されるものではなく、列車運行の安全性を確保するために多重系方式を採用する任意の鉄道制御システムに対して本発明を適用することが可能である。
上記のような任意の鉄道制御システムへの本発明の適用において、多重系を構成する複数の処理部は、通信ネットワークを介して送受信される互いの情報をそれぞれが保有する。この保有情報は、通信ネットワーク上の各処理部がどのような信号を通信ネットワークに送信し且つどのような信号を通信ネットワークから受信しているかという情報である。そして、複数の処理部は、保有情報に基づいて正常判断をそれぞれが行い、自身が主系で動作するか従系で動作するかを決定する。ここでの正常判断は、例えば、保有情報より、他の処理部が通信ネットワークから3種類の信号を受信すべきところ2種類の信号しか受信しておらず、自身の処理部が送信した信号が他の処理部で受信されていないことが分かると、自身の通信路故障を判断することが可能である。また、自身の主従動作モードの決定は、例えば、保有情報より、主系だけが生成する信号を他の処理部が送信しているにもかかわらず、その信号が自身を含む主系以外の処理部で受信されていないことが分かると、主系処理部の故障を判断して自身の動作モードを従系から主系に切り替えることが可能である。このような機能を複数の処理部のそれぞれが備えることにより、上述した実施形態の場合と同様な作用効果を得ることが可能である。
以上、本発明の実施形態及びその応用例について説明したが、本発明は上述の実施形態及びその応用例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて更なる変形や変更が可能である。
1…通信ネットワーク、10…電子連動装置、11-1,11-2…処理部、20-1~20-n…電子機器、30…現場機器、41…プロセッサ、42…メモリ、43…記憶装置、44…通信装置、51…信号監視部、52…正常判断部、53…主従決定部、54…故障情報出力部、55…同期信号生成部、56…制御信号生成部、100…鉄道制御システム、Ss…同期信号、Sc,Sc1,Sc2…制御信号、C1~Cn…状態信号

Claims (7)

  1. 通信ネットワークを介して列車の運行制御が可能な複数の処理部を有し、
    前記複数の処理部は、異なる駅にそれぞれが配置されており、前記通信ネットワークを介して送受信される互いの情報をそれぞれが保有し、その保有情報に基づいて自身の正常判断をそれぞれが行い、自身が主系で動作するか従系で動作するかを決定する、鉄道制御システム。
  2. 前記複数の処理部は、前記保有情報に基づいて少なくとも自身の通信路の正常判断をそれぞれが行う、請求項1に記載の鉄道制御システム。
  3. 前記複数の処理部のうち、主系で動作すると決定された主系処理部は、前記運行制御のタイミングを決定し、かつ、前記運行制御を実行するように構成され、従系で動作すると決定された従系処理部は、前記主系処理部で決定されたタイミングに従って前記運行制御を実行可能に構成される、
    請求項1又は2に記載の鉄道制御システム。
  4. 前記通信ネットワークに接続された機器群を含み、
    前記複数の処理部のうちの少なくとも前記主系処理部が、前記機器群を連動制御することによって列車の運行制御を行う、
    請求項に記載の鉄道制御システム。
  5. 前記主系処理部は、前記連動制御のタイミングを一致させるための基準となる同期信号と、前記連動制御を実行するための制御信号とを生成して前記通信ネットワークに送信し、
    前記従系処理部は、前記主系処理部から前記通信ネットワークを介して受信される前記同期信号に同期して、前記連動制御を実行するための制御信号を生成して前記通信ネットワークに送信する、
    請求項に記載の鉄道制御システム。
  6. 前記主系処理部は、故障発生時に前記同期信号を停止し、
    前記従系処理部は、前記通信ネットワークを介して前記同期信号が受信されなくなると、自身の動作を主系に変更して新たな主系処理部になり、
    元の主系処理部は、故障復旧後に、前記新たな主系処理部からの同期信号が前記通信ネットワークを介して受信されると、従系として動作を再開して新たな従系処理部になる、
    請求項に記載の鉄道制御システム。
  7. 前記複数の処理部のそれぞれは、
    前記同期信号を生成する同期信号生成部と、
    前記機器群及び他の処理部から送信され前記通信ネットワークを介して受信される信号を監視する信号監視部と、
    前記信号監視部で監視される前記機器群からの信号の有無に応じて、自身の通信路の状態を判断する第1判断部と、
    前記信号監視部で監視される前記機器群からの信号の内容に応じて、前記制御信号を生成する制御信号生成部と、
    前記信号監視部で監視される他の処理部からの信号に基づいて、前記主系処理部の状態を判断する第2判断部と、
    前記第1及び第2判断部の各判断結果に応じて、自身が主系で動作するか従系で動作するかを決定する主従決定部と、を備え、
    前記主従決定部により主系で動作すると決定されると、前記同期信号生成部で生成される同期信号、及び前記制御信号生成部で生成される制御信号を前記通信ネットワークに送信し、前記主従決定部により従系で動作すると決定されると、前記制御信号生成部で生成される制御信号を前記通信ネットワークに送信する、
    請求項5又は6に記載の鉄道制御システム。
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